説明

光ファイバ保持用部品、光レセプタクル、ピグテール型光レセプタクルおよび光モジュール

【課題】光ファイバ保持用部品において光ファイバにかかる力を低減する。
【解決手段】光ファイバ保持用部品1は、フェルール2と、先端がフェルール2に挿入固定されているとともに、後端側がフェルール2の後端から外部に引き出されている光ファイバ3と、フェルール2の後端を引き出された光ファイバ3の一部とともに囲むように保持するホルダ4と、ホルダ4におけるフェルール2の先端側の部分が圧入された圧入領域を有するケース5とを備えており、断面視したときにフェルール2の後端面がケース5の圧入領域よりもホルダ4におけるフェルール2の後端側の部分に位置している。これにより、ホルダ4からフェルール2の後端部にかかる圧力を低下させることができ、フェルール2の内径の収縮を抑制することができる。その結果、光ファイバ3の一部分に局所的に外力が集中する可能性を低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ保持用部品ならびにこれを用いた光レセプタクル、ピグテール型光レセプタクルおよび光モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ同士を光学的に接続するための部品として光ファイバ保持用部品が知られている。光ファイバ保持用部品としては、例えば、特許文献1に記載の光プラグが挙げられる。特許文献1に記載の光プラグは、フェルールと、フェルールから引き出された光ファイバと、フェルールが挿入されたプラグフレームと、プラグフレームを保持する内部ハウジングとを備えている。内部ハウジングは、プラグフレームを保持するための係止爪を具備している。特許文献1に記載の光プラグでは、プラグフレームが係止爪によって保持されていることにより、内部ハウジングのプラグフレームに対する保持力を向上させることが困難であった。そこで、保持力を向上させることを目的として、特許文献2に記載されているようにホルダ(プラグフレーム)を接合部材に圧入することによって固定することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−21766号公報
【特許文献2】特開2007−65244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の光プラグのように、フェルールから光ファイバが引き出されている構成においてプラグフレームを接合部材に圧入すると、光ファイバのうち、フェルールに挿入されている領域とフェルールに挿入されていない領域との境界において、光ファイバの強度が低下する可能性があった。具体的には、プラグフレームが接合部材に圧入されることによって、プラグフレームからフェルールに圧力がかかり、フェルールの内径が収縮する。この収縮によって、フェルールに挿入されている領域において光ファイバがフェルールに圧迫されることになる。この状態で光ファイバに光ファイバの延長方向の外力が加わると、フェルールに挿入されている領域とフェルールに挿入されていない領域との境界において局所的に外力が集中してしまう可能性があった。
【0005】
本発明はこのような従来の技術における問題点を解決すべく案出されたものであり、その目的は、光ファイバの一部分に局所的に外力が集中する可能性を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る光ファイバ保持用部品は、フェルールと、先端がフェルールに挿入固定されているとともに、後端側がフェルールの後端から外部に引き出されている光ファイバと、フェルールの後端を引き出された光ファイバの一部とともに囲むように保持するホルダと、ホルダにおけるフェルールの先端側の部分が圧入された圧入領域を有するケースとを備えている。さらに、光ファイバ保持用部品は、断面視したときにフェルールの後端面がケースの圧入領域よりもホルダにおけるフェルールの後端側の部分に位置している。
【0007】
本発明の一実施形態に係る光レセプタクルは、上記光ファイバ保持用部品と、フェルー
ルの先端に設けられたプラグフェルールが挿入されるスリーブとを備えている。
【0008】
本発明の一実施形態に係るピグテール型光レセプタクルは、上記光レセプタクルと、光ファイバの後端が挿入固定された外部接続用フェルールとを備えている。
【0009】
本発明の一実施形態に係る光モジュールは、上記ピグテール型光レセプタクルと、このピグテール型光レセプタクルの外部接続用フェルールの後端側に設けられた光素子とを備えている。
【発明の効果】
【0010】
上記の実施形態に係る光ファイバ保持用部品によれば、フェルールの後端部が圧入領域よりも後端側に位置していることによって、ホルダからフェルールの後端部にかかる圧力を低下させることができる。これにより、フェルールの後端部におけるフェルールの内径の収縮を抑制することができる。その結果、光ファイバに、光ファイバの延長方向の外力が加わったときに光ファイバの一部分に局所的に外力が集中する可能性を低減することができる。
【0011】
上記の実施形態に係る光レセプタクル、ピグテール型光レセプタクルおよび光モジュールによれば、光ファイバの一部分に局所的に外力が集中する可能性が低減された光ファイバ保持用部品を備えていることから、光を良好に伝達することができる光レセプタクル、ピグテール型光レセプタクルおよび光モジュールとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態の光モジュールを示す断面図である。
【図2】図1に示す光モジュールにおける光ファイバ保持用部品の近傍を拡大した断面図である。
【図3】図1に示す光モジュールにおける外部接続用フェルールの近傍を拡大した断面図である。
【図4】図1に示す光モジュールにプラグフェルールを挿入固定したときの断面図である。
【図5】一変形例に係る光モジュールにおけるホルダの先端部の近傍を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る光ファイバ保持用部品1、光レセプタクル10、ピグテール型光レセプタクル11および光モジュール12について図面を参照して説明する。
【0014】
<光モジュール12の構成>
図1−4に示すように、本発明の一実施形態の光モジュール12は、ピグテール型光レセプタクル11と、ピグテール型光レセプタクル11の後端側に設けられた光素子8とを備えている。光モジュール12は、電気信号を光信号へ変換する機能または光信号を電気信号に変換する機能を有している。光モジュール12は、例えば通信回路等において用いることができる。
【0015】
<ピグテール型光レセプタクル11の構成>
本発明の一実施形態のピグテール型光レセプタクル11は、後端から光ファイバ3が引き出された光レセプタクル10と、光レセプタクル10の後端側に設けられた、光ファイバ3の後端が挿入固定された外部接続用フェルール7とを備えている。このピグテール型光レセプタクル11は、光ファイバ3を通じて光信号を伝達する機能を有している。
【0016】
<光レセプタクル10の構成>
本発明の一実施形態の光レセプタクル10は、先端にスリーブ6が挿入されるようにフェルール2の先端側が露出して設けられ、後端から光ファイバ3が引き出された光ファイバ保持用部品1と、プラグフェルール62が挿入される、略円筒状のスリーブ6とを備えている。光レセプタクル10は、挿入されるプラグフェルール62の光軸と光レセプタクル10の内部の光ファイバ3の光軸とを位置合わせしつつ、プラグフェルール62を保持する機能を有している。
【0017】
<光ファイバ保持用部品1の構成>
本発明の一実施形態の光ファイバ保持用部品1は、フェルール2と、フェルール2の後端から外部に引き出されている光ファイバ3と、フェルール2を保持する、略円筒状のホルダ4と、ホルダ4が圧入された、略円筒状のケース5とによって構成されている。
【0018】
フェルール2は、先端部から後端部にかけて貫通する貫通孔22を有する円柱状の部材である。フェルール2の貫通孔22にはフェルール2の全長にわたって光ファイバ3が挿入されている。フェルール2は光ファイバ3を保持するために設けられている。
【0019】
フェルール2は、後端面に凹部20が形成されている。凹部20は、後端面の中心に向かうほど深く形成されている。凹部20の側面は断面視したときの形状が直線状である。貫通孔22は凹部20の底面に開口している。このようにフェルール2の後端面に凹部20が設けられていることによって、フェルール2の後端側において光ファイバ3を固定するための接着剤21を凹部20の内側において光ファイバ3を包むようにして充填することができる。
【0020】
フェルール2は、先端部および後端部のそれぞれに、端面と側面との間の角部を取るように面取りが施されている。これにより、フェルール2をスリーブ6に挿入した際に、スリーブ6がフェルール2の角部と接触することによって損傷してしまう可能性を低減することができる。
【0021】
フェルール2は、例えばアルミナセラミックスまたはジルコニアセラミックスのようなセラミック材料を用いることができる。特に、ジルコニアセラミックスで形成することが好ましい。具体的には、正方晶の結晶を主体とする部分安定化ジルコニアセラミックスを用いることが好ましい。このような部分安定化ジルコニアセラミックスを用いることで、フェルール2の耐摩耗性、耐湿性、耐温性および耐薬品性を向上させることができる。
【0022】
光ファイバ3は、先端がフェルール2に挿入固定されているとともに、後端側がフェルール2の後端から外部に引き出されている。光ファイバ3は、フェルール2の後端部の凹部20において接着剤21によって固定されている。接着剤21としては、例えばエポキシ樹脂のような樹脂材料を用いることができる。光ファイバ3のうちフェルール2および外部接続用フェルール7に挿入固定されている領域ならびに接着剤21で覆われている領域以外の領域は、光ファイバ3を包むように設けられた円筒状の保護部材30によって被覆されている。保護部材30としては、例えばポリエステルエラストマ、アクリレート樹脂のような樹脂材料を用いることができる。
【0023】
ホルダ4は、略円筒状の部材である。ホルダ4は、内径が一定であって、外径が後端部において小さく、外側面の途中で段差を有するように形成されている。ホルダ4は、フェルール2の後端を、フェルール2の後端から引き出された光ファイバ3の一部とともに囲むように保持している。ホルダ4は、引き出された光ファイバ3を保護するために、ホルダ4の先端がフェルール2を保持し、後端が保護部材30を介して光ファイバ3を保持するように設けられている。ホルダ4の先端側には、フェルール2の後端部が挿入固定され
ている。ホルダ4は、例えば、ステンレス等の金属材料を用いることができる。ホルダ4は、ケース5に圧入したときにケース5を傷付けないために、後端部の端面と側面との間の角部を取るように面取りが施されている。
【0024】
ホルダ4は、ホルダ4の後端において、ホルダ4の内周の角部と保護部材30との間に接着剤21が設けられている。これにより、光ファイバ3および保護部材30に外力がかかってこれらが撓むように変形したときに、保護部材30がホルダ4の内周の角部に直接接することを抑制することができる。これにより、保護部材30がホルダ4の内周の角部に接することで生じる応力を低減することができる。その結果、光ファイバ3および保護部材30の外力に対する耐久性を向上させることができる。
【0025】
ケース5は、略円筒状の部材であって、フェルール2を囲むように設けられていることによって、フェルール2の先端部およびフェルール2が挿入されるスリーブ6が、外部と接触することのないように保護するために設けられている。ケース5は、後端側に位置する円筒状の後端側領域51と、この後端側領域51よりも先端側に設けられており、後端側領域51よりも内径が小さい略円筒状の先端側領域52とを有している。
【0026】
後端側領域51は、後端側に、ホルダ4の先端部が圧入固定された部分である圧入領域50を有している。後端側領域51は、間に隙間が存在するようにしてフェルール2を囲んでいる。隙間の大きさは、例えば0.15mm〜0.3mmに設定することができる。先端側領域52は、後端側領域51よりも内径が小さい円筒状の円筒部53と、円筒部53の後端部を外周方向に延設した、いわゆるフランジ状の延設部54とを有している。先端側領域52と後端側領域51との内径の差は、例えば1.2mm〜2.4mmに設定することができる。先端側領域52は、円筒部53が間に隙間が存在するようにしてフェルール2を囲んでいる。後端側領域51と先端側領域52とは、それぞれ後端側領域51の先端部と先端側領域52の延設部54とで繋がっている。
【0027】
後端側領域51は先端側領域52よりも厚みを薄くして形成されている。この構成により、後端側領域51は先端側領域52と比べて、弾性変形しやすくなっていることから、ホルダ4を圧入しやすくなっている。また、先端側領域52の延設部54の外径は、後端側領域51の外径よりも大きく形成されている。これにより、後端側領域51と先端側領域52との境界部分の強度を向上させることができる。その結果、スリーブ6にホルダ4を挿入固定した際の保持力を強化することができる。後端側領域51と延設部54との外径の差は、例えば0.6mm〜1.2mmに設定することができる。なお、本実施形態においては、先端側領域52の延設部54の外径は、後端側領域51の外径よりも大きく形成されているが、先端側領域52の延設部54の外径と後端側領域51の外径とが同じ外径寸法で形成されても構わない。
【0028】
ケース5は、フェルール2の後端面がケース5の圧入領域50よりもフェルール2の後端側の部分に位置するようにホルダ4の先端部に設けられている。これにより、フェルール2の後端部が圧入領域50よりも後端側に位置していることによって、ホルダ4からフェルール2の後端部にかかる圧力を低下させることができる。そして、フェルール2の後端部におけるフェルール2の内径の収縮を抑制することができる。その結果、光ファイバ3の延長方向の外力が加わったときに光ファイバ3に局所的に外力が集中する可能性を低減することができる。したがって、光を良好に伝達することができる光レセプタクル10およびピグテール型光レセプタクル11とすることができる。圧入領域50は、例えばホルダ4の先端部から1mm〜2mmまでの位置に設定することができ、フェルール2の後端部は、例えばホルダ4の先端部から3mm〜6mmの位置に配置することができる。
【0029】
さらに、凹部20の底面がケース5の圧入領域50よりも後端側の部分に位置している
。これにより、光ファイバ3の延長方向の外力が加わったときに光ファイバ3に局所的に外力が集中する可能性をより低減することができる。具体的には、フェルール2のうち凹部20が形成されている領域はフェルール2が部分的に薄くなっている。このため、凹部20が形成されている領域は、フェルール2の内径が収縮しやすくなっており、この領域にホルダ4から外力が加わると光ファイバ3がフェルール2またはフェルール2と光ファイバ3との間に設けられた接着剤21に圧迫されやすくなる。
【0030】
そこで、凹部20の底面をケース5の圧入領域50よりも後端側の部分に位置させることによって、ホルダ4から凹部20が形成されている領域にかかる圧力を低下させることができる。これにより、凹部20が形成されている領域におけるフェルール2の内径の収縮を抑制することができる。その結果、光ファイバ3の延長方向の外力が加わったときに光ファイバ3に局所的に外力が集中する可能性をより低減することができる。凹部2は、例えばホルダ4の先端部から2.2mm〜4.4mmの位置に設定することができる。
【0031】
<スリーブ6の構成>
スリーブ6は、スリット60を有する略円筒状の部材である。スリーブ6の後端側にはフェルール2の先端部が挿入固定されている。スリーブ6は、ケース5と離間して設けられている。これにより、スリーブ6にプラグフェルール62が挿入されたときにスリーブ6の外径を拡げやすくすることができる。スリーブ6の後端部は、ホルダ4と接するように設けられている。これにより、プラグフェルール62を挿入する際のスリーブ6の軸方向の位置ずれを低減することができる。
【0032】
スリーブ6は、フェルール2が挿入固定されることにより先端側に空洞部61が構成されている。空洞部61には、先端側からプラグフェルール62が挿入される。スリーブ6は、先端部から後端部にかけて形成され、スリーブ6の内周面および外周面に開口するスリット60を有している。スリーブ6は、このようなスリット60を有していることから、プラグフェルール62を挿入固定する際に内径を拡げることができる。これにより、プラグフェルール62の挿入を容易に行なうことができる。スリット60は例えば、幅を0.2〜0.4mmに設定することができる。
【0033】
スリーブ6は、フェルール2と同様に、例えばアルミナセラミックスまたはジルコニアセラミックスのようなセラミック材料を用いることができる。特に、上述の部分安定化ジルコニアセラミックスを用いることで、スリーブ6の耐摩耗性、耐湿性、耐温性および耐薬品性を向上させることができる。また、スリット60が設けられていることにより、プラグフェルール62が挿入された際に、適度に弾性変形することによってこれらを保持することができる。スリーブ6の内径は、例えば挿入されるフェルール2およびプラグフェルール62の外径が1.25mmの場合であれば、フェルール2およびプラグフェルール62が挿入される前の内径は1.2mmに設定することができる。そして、スリーブ6にフェルール2およびプラグフェルール62が挿入されることによって、内径を例えば1.25mmに変化させることができ、スリーブ6でフェルール2およびプラグフェルール62を確実に保持することができる。なお、本実施形態においては、スリーブ6にスリット60が設けられているが、スリット60が設けられていない、いわゆる精密スリーブを用いてもよい。
【0034】
図4に示すように、プラグフェルール62は、先端部から後端部にかけて貫通する貫通孔63を有する円柱状の部材である。プラグフェルール62の貫通孔63にはプラグフェルール62の全長にわたって光ファイバ3が挿入されている。フェルール2の先端面とプラグフェルール62の後端面とが突き合わされることによって、フェルール2とプラグフェルール62との光ファイバ3同士が光学的に接続される。
【0035】
プラグフェルール62は、フェルール2およびスリーブ6と同様に、例えばアルミナセラミックスまたはジルコニアセラミックスのようなセラミック材料を用いることができる。特に、上述の部分安定化ジルコニアセラミックスを用いることで、プラグフェルール62の耐摩耗性、耐湿性、耐温性および耐薬品性を向上させることができる。
【0036】
<外部接続用フェルール7の構成>
外部接続用フェルール7は、先端部から後端部にかけて貫通する貫通孔73を有する円柱状の部材である。外部接続用フェルール7の貫通孔73には外部接続用フェルール7の全長にわたって光ファイバ3の後端側の部分が挿入されている。外部接続用フェルール7は光ファイバ3を保持するためにピグテール型光レセプタクル11の後端側に光ファイバ3を囲むように設けられている。外部接続用フェルール7は、略円筒状の外部接続用ホルダ72に、後端部が露出するように挿入されている。
【0037】
外部接続用フェルール7は、先端面に凹部70が形成されている。凹部70は、先端面の中心に向かうほど深くなるように形成されている。凹部70の側面は断面視したときの形状が直線である。貫通孔73は凹部70の底面に開口している。このように外部接続用フェルール7の先端面に凹部70が設けられていることによって、外部接続用フェルール7の先端側において光ファイバ3を固定するための接着剤71を凹部70の内側において光ファイバ3を包むようにして充填することができる。
【0038】
外部接続用フェルール7は、後端面が、外部接続用フェルール7における光の伝送方向に垂直な方向に対して傾斜する傾斜面状に形成されている。これにより、外部接続用フェルール7の後端側から外部接続用フェルール7における光の伝送方向に光を入射した際に、この光が入射してきた方向に反射する可能性を低減することができる。なお、傾斜面の傾斜角度としては、外部接続用フェルール7の軸方向に垂直な方向に対して2〜10度程度に設定することが好ましい。また、反射を低減するために反射防止膜を傾斜面に施しておくことが好ましい。
【0039】
外部接続用フェルール7は、先端部に端面と側面との間の角部を取るように面取りが施されている。これにより、外部接続用フェルール7の先端側を外部接続用ホルダ72の後端側に挿入した際に、外部接続用フェルール7の角部が外部接続用ホルダ72の内周面に当たることによって外部接続用ホルダ72が損傷してしまう可能性を低減することができる。
【0040】
外部接続用フェルール7は、例えばアルミナセラミックスまたはジルコニアセラミックスのようなセラミック材料を用いることができる。特に、ジルコニアセラミックスで形成することが好ましい。具体的には、正方晶の結晶を主体とする部分安定化ジルコニアセラミックスを用いることが好ましい。このような部分安定化ジルコニアセラミックスを用いることで、外部接続用フェルール7の耐摩耗性、耐湿性、耐温性および耐薬品性を向上させることができる。
【0041】
外部接続用ホルダ72は、略円筒状の部材である。外部接続用ホルダ72は、内径が一定であって、外径が先端部において小さく、外側面の途中で段差を有するように形成されている。外部接続用ホルダ72は、外部接続用フェルール7の後端を、外部接続用フェルール7の後端から引き出された光ファイバ3の一部とともに囲むように保持している。外部接続用ホルダ72は、引き出された光ファイバ3を保護するために、外部接続用ホルダ7の後端が外部接続用フェルール7を保持し、先端が保護部材30を介して光ファイバ3を保持するように設けられている。外部接続用ホルダ72は、例えば、ステンレス等の金属材料を用いることができる。
【0042】
<光素子8の構成>
光素子8は、光素子用ケース80によってピグテール型光レセプタクル11の後端側に設けられており、光素子8は光ファイバ3の光軸上に配置されている。光素子用ケース80は、外部接続用ホルダ72に取り付けられている。
【0043】
光素子8としては、発光素子または受光素子を用いることができる。発光素子としては、例えば半導体レーザーダイオードを用いることができる。受光素子としては、例えばフォトダイオードを用いることができる。光素子用ケース80としては、例えば略筒状の部材を用いることができる。光素子用ケース80としては、例えばステンレス等の金属材料を用いることができる。
【0044】
なお、図1に示すように光ファイバ3の光軸上であって、光素子8と外部接続用フェルール7との間にレンズ部材81を設けてもよい。レンズ部材81は、例えば非晶質ガラス等を含んでおり、球状、半球状、凸レンズ状またはロッドレンズ状等に形成されているものを用いることができる。光素子8が半導体レーザーダイオードの場合であれば、レンズ部材81は、光素子8から放射された光を集める機能または平行光に変換する機能を有している。この場合には、光素子8から放射された光は、レンズ部材81を介して光ファイバ3に入る。光素子8がフォトダイオードの場合であれば、レンズ部材81は、光ファイバ3から放射された光を集める機能または平行光に変換する機能を有している。この場合には、光ファイバ3から放射された光は、レンズ部材81を介して光素子8に入射する。
【0045】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。例えば、本実施形態においては、フェルール2、スリーブ6、プラグフェルール62および外部接続用フェルール7はセラミック材料によって構成されているが、金属材料またはプラスチック材料であってもよい。金属材料としては、ステンレスまたはりん青銅等を用いることができる。プラスチック材料としては、エポキシまたは液晶ポリマー等を用いることができる。また、本実施形態においては、スリーブ6の形状は略円筒状であるが、楕円筒状であってもよい。
【0046】
ここで、ピグテール型光レセプタクル11の寸法の一例を示すと、フェルール2および外部接続用フェルール7の外径は1.25mm〜2.5mm、スリーブ6の内径は1.25mm〜2.5mmmm、スリーブ6の外径は1.6mm〜3.2mm、ホルダ4および外部接続用ホルダ72の外径は2.1mm〜4.2mm、ケース5の後端側領域51の内径は3.1mm〜6.2mm、ケース5の先端側領域52の内径は1.9mm〜3.8mm、圧入領域50の光軸方向の長さは1mm〜2mm、圧入領域50の後端から凹部20の底面までの長さは3mm〜6mmとして作製することができる。
【0047】
<変形例>
光モジュール12の変形例について説明する。なお、本例の各構成において、上述の光モジュール12と同様の構成および機能を有する部材については、同じ参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0048】
上述した実施形態に係る光モジュール12は、ホルダ4の先端側のフェルール2が挿入固定されている領域の内径が一定である構成としたが、これに限られない。例えば、図5に示すように、ホルダ4はフェルール2の先端側に位置する第1領域41と第1領域41よりもフェルール2の後端側に位置するとともにフェルール2を内面で保持する第2領域42とを備えており、第1領域41の内径が第2領域42の内径よりも大きい構成であってもよい。
【0049】
本変形例では、ホルダ4の内径が一定ではなく、先端側に位置する第1領域41の内径
が大きく形成されている。これにより、ホルダ4がケース5に圧入されていることによる、ホルダ4からフェルール2にかかる圧力による影響を抑制することができる。これにより、フェルール2の内径の収縮を抑制することができ、光ファイバ3にかかる圧力を低減することができる。
【0050】
さらに、第1領域41におけるフェルール2後端側の端は、圧入領域50よりもフェルール2の後端側の部分に位置している。このように、ホルダ4のうち圧入領域50から直接圧力が加えられる部分の内径が大きく形成されていることから、フェルール2の内径の収縮をさらに抑制することができる。したがって、光ファイバ3にかかる圧力をさらに低減することができる。
【0051】
また、第1領域41の内径は、スリーブ6の外径よりも小さい。これにより、プラグフェルール62の挿入を行なうときに、スリーブ6が移動することにより第1領域41の内側に入りこむ可能性を抑制することができる。これにより、スリーブ6がホルダ4を介して圧入領域50から力を受ける可能性を低減することができる。
【0052】
第1領域41の内径としては例えば1.3m〜2.6mmに、第2領域42の内径としては例えば1.25mm〜2.5mmに、スリーブの内径としては例えば1.25mm〜2.5mmmmに、およびスリーブ6の外径としては例えば1.6mm〜3.2mmに設定することができる。
【0053】
なお、本変形例においては、フェルール2と第1領域41との間に隙間が形成されていることによって、ホルダ4からフェルール2にかかる圧力による影響を抑制しているが、これに限られない。具体的には、例えば、フェルール2のうち第1領域41の内側に位置する部分の外径を大きくして、第1領域41と接するように配置してもよい。これにより、圧入領域50の内側に位置する部分におけるフェルール2の強度を向上させることができる。その結果、ホルダ4からフェルール2にかかる圧力による影響を抑制することができる。
【符号の説明】
【0054】
1:光ファイバ保持用部品
10:光レセプタクル
11:ピグテール型光レセプタクル
12:光モジュール
2:フェルール
20,70:凹部
21,71:接着剤
22,63,73:貫通孔
3:光ファイバ
30:保護部材
4:ホルダ
41:第1領域
42:第2領域
5:ケース
50:圧入領域
51:後端側領域
52:先端側領域
53:円筒部
54:延設部
6:スリーブ
60:スリット
61:空洞部
62:プラグフェルール
7:外部接続用フェルール
72:外部接続用ホルダ
8:光素子
80:光素子用ケース
81:レンズ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェルールと、
先端が前記フェルールに挿入固定されているとともに、後端側が前記フェルールの後端から外部に引き出されている光ファイバと、
前記フェルールの後端を引き出された前記光ファイバの一部とともに囲むように保持するホルダと、
該ホルダにおける前記フェルールの先端側の部分が圧入された圧入領域を有するケースとを備えており、
断面視したときに前記フェルールの後端面が前記ケースの前記圧入領域よりも前記ホルダにおける前記フェルールの後端側の部分に位置している光ファイバ保持用部品。
【請求項2】
前記ホルダは、筒状の部材であって、前記フェルールの先端側に位置する第1領域と該第1領域よりも前記フェルールの後端側に位置するとともに前記フェルールを内面で保持する第2領域とを備えており、前記第1領域の内径が前記第2領域の内径よりも大きい請求項1記載の光ファイバ保持用部品。
【請求項3】
前記第1領域における前記フェルールの後端側の端が前記圧入領域よりも前記ホルダにおける前記フェルールの後端側の部分に位置している請求項2記載の光ファイバ保持用部品。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の光ファイバ保持用部品と、前記フェルールの先端に設けられた、プラグフェルールが挿入されるスリーブとを備えている光レセプタクル。
【請求項5】
請求項4記載の光レセプタクルと、前記光ファイバの後端が挿入固定された外部接続用フェルールとを備えているピグテール型光レセプタクル。
【請求項6】
請求項5記載のピグテール型光レセプタクルと、前記外部接続用フェルールの後端側に設けられた光素子とを備えている光モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−230275(P2012−230275A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98913(P2011−98913)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】