説明

光ファイバ照明装置及びその製造方法

【課題】 複数本の光ファイバにより形成された光ファイバ照明装置において、任意のデザイン領域で、任意の配色で発光させることができる光ファイバ照明装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 任意のデザイン領域Dを有する複数本の光ファイバ1と、前記光ファイバ1を固定する光ファイバ固定部材2と、前記光ファイバ1の端部に設けられた光源10とを備える光ファイバ照明装置であって、前記デザイン領域Dに少なくとも1箇所の着色層Xを有することを特徴とする光ファイバ照明装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数本の光ファイバをシート状に配置した照明装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数本の光ファイバを配置した照明装置としては、互いに略並行する複数本の光ファイバでシートを形成すると共に、シート表面の所定位置に光ファイバのコアに達する光導出口を穿設した面状発光体と、光ファイバの端部に取り付けられ、光ファイバの内部に向けて光を供給する光源部と、光源部の発光を制御する駆動回路とで構成された光ファイバ照明装置が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。
このような光ファイバ照明装置によれば、壁や天井などの面に対して美麗な光のデザインを施すことを可能としている。
【0003】
しかしながら、前記従来技術では、照明装置の光の色が光源の色によってのみ決定されるため、単色でしか発光させることができなかった。
また、光ファイバごとに異なる色の光源を接続し、照明装置全体として複数の色で発光させることはできるが、1本の光ファイバにおいて、位置によって異なる色を発光させることは出来なかった。
図5を用いて従来技術の一例を説明する。
1は光ファイバ、7は収縮チューブ、8は筒状部材、9は接着剤、10、10′は光源、Cは、収縮チューブ7、筒状部材8、接着剤9からなる接続端部、D、D′はデザイン領域である。
従来の光ファイバ照明装置は、発光する色は光源のみによって定まる。
したがって、光ファイバごとに異なる色の光源10、10′を接続すれば、照明装置全体としてデザイン領域D、D′を異なる色にすることはできるが、光ファイバの長手方向においては異なる色を発光させることは出来なかった(図に示すように、Dは3箇所とも同一色、D′は3箇所とも同一色であった。)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−351436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような問題点に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、複数本の光ファイバにより形成された光ファイバ照明装置において、任意のデザイン領域で、任意の配色で発光させることができる光ファイバ照明装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記の技術的構成により、前記課題を解決できたものである。
【0007】
(1)任意のデザイン領域を有する複数本の光ファイバと、前記光ファイバを固定する光ファイバ固定部材と、前記光ファイバの端部に設けられた光源とを備える光ファイバ照明装置であって、前記デザイン領域に少なくとも1箇所の着色層を有することを特徴とする光ファイバ照明装置。
(2)前記着色層は、塗料を含有する層であることを特徴とする前記(1)記載の光ファイバ照明装置。
(3)前記着色層は、可視光透過率が14〜90%であることを特徴とする前記(1)記載の光ファイバ照明装置。
(4)前記着色層は、耐水性あるいは耐候性を有することを特徴とする前記(1)記載の光ファイバ照明装置。
(5)前記光源の色は、白色であることを特徴とする前記(1)記載の光ファイバ照明装置。
(6)前記光ファイバ固定部材は、白色の部材であることを特徴とする前記(1)記載の光ファイバ照明装置。
(7)前記光ファイバに隣接して支持線を備え、前記光ファイバと支持線が前記光ファイバ固定部材により固定されてなることを特徴とする前記(1)記載の光ファイバ照明装置。
(8)任意のデザイン領域を有する複数本の光ファイバと、光ファイバ固定部材と、光源とを備える光ファイバ照明装置の製造方法であって、光ファイバ固定部材上に、複数本の光ファイバを平行に配置する第1工程と、前記複数本の光ファイバにより形成された平面上で、先端部が発熱する加熱手段を該光ファイバに押し付けることにより、光ファイバの一部を溶融変形させて任意のデザイン領域を作製する第2工程と、塗料をデザイン領域に塗布する第3工程とを有し、前記第1工程の前、前記第1工程の後、前記第2工程の後、及び、前記第3工程の後のいずれかで、前記光ファイバの端部に光源を接続する工程を有することを特徴とする光ファイバ照明装置の製造方法。
(9)前記塗料は、インクジェット印刷用インクであることを特徴とする前記(8)記載の光ファイバ照明装置の製造方法。
(10)前記第3工程は、蛍光ペンでデザイン領域をなぞる工程であることを特徴とする前記(8)記載の光ファイバ照明装置の製造方法。
(11)任意のデザイン領域を有する複数本の光ファイバと、光ファイバ固定部材と、光源とを備える光ファイバ照明装置の製造方法であって、光ファイバ固定部材上に、複数本の光ファイバを平行に配置する第1工程と、前記複数本の光ファイバにより形成された平面上で、先端部が発熱する加熱手段を該光ファイバに押し付けることにより、光ファイバの一部を溶融変形させて任意のデザイン領域を作製する第2工程と、着色フィルムをデザイン領域に貼付する第3工程とを有し、前記第1工程の前、前記第1工程の後、前記第2工程の後、及び、前記第3工程の後のいずれかで、前記光ファイバの端部に光源を接続する工程を有することを特徴とする光ファイバ照明装置の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数本の光ファイバにより形成された光ファイバ照明装置において、任意のデザイン領域で、任意の配色で発光させることができる光ファイバ照明装置及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、図面を用いて本発明の光ファイバ照明装置の実施形態について具体的に説明する。
図1は本発明の光ファイバ照明装置の一実施形態を示した図である。
X、X′は着色層である。
なお、従来技術と同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
本発明の光ファイバ照明装置は、任意のデザイン領域D、D′を有する複数本の光ファイバ1と、前記光ファイバを固定する図示していない光ファイバ固定部材と、前記光ファイバの端部に設けられた光源10とを備える光ファイバ照明装置であって、前記デザイン領域D、D′に少なくとも1箇所の着色層X、X′を有することを特徴とする。
図1に示すように、デザイン領域Dに着色層X、デザイン領域D′に着色層X′を有することで、光源10の光を、デザイン領域で露光する際に着色層X、X′の色にすることができるので、配色の自由度を格段に向上させることができるようになる。
【0010】
図2は、任意のデザイン領域の拡大断面図である。
2は光ファイバ固定部材、3はコア、4はクラッドである。
本発明の光ファイバ照明装置においては、中心から外側に向けてコア3、クラッド4により構成された光ファイバ1が、光ファイバ固定部材2上に配置されている。
そして、この光ファイバ1上において、ハンダごてのような先端部が発熱する加熱手段を押し付けることによって、クラッド4(必要に応じてコアの一部)が溶融変形されて、任意の光のデザイン領域Dが形成されている。
デザイン領域Dは、溶融変形されたクラッド4の表面に少なくとも1箇所の着色層Xを有しており、コア3内を伝達されてくる光が、着色層Xを透過して光ファイバ1の側面に出光する。
なお、図2には示していないが、光源が光ファイバ1の少なくとも一方の端部に接続されている。
また、光源は、交換等のために着脱自在に接続することが好ましい。
【0011】
本発明の着色層Xは、良好な発色及び光を透過させるために、可視光透過率が14〜90%であることが好ましく、25〜60%であることがさらに好ましい。可視光透過率が14%以下であると発色が悪く、十分な光量を得ることが出来ず、また可視光透過率が90%以上であると色が薄すぎて色の認識が出来ないため適当ではない。
なお、可視光透過率の測定は、島津ダブルモノクロメータ自記分光光度計UV−VISを用いて行い、測定波長は400〜800nmとした。
また本発明の着色層Xは、デザイン領域Dの少なくとも一箇所に設けてあればよく、デザイン領域Dの全域に設けなくてもよい。
【0012】
本発明の着色層Xは、塗料を含有する層であることが好ましい。具体的には塗料からなる層や塗料で着色されたフィルムからなる層などである。
塗料は、任意の色で発色するものであればいかなる材料を用いてもよいが、透明度の高い染料系塗料、発色の鮮明なインクジェット印刷用インク、視認性の高い蛍光塗料などを用いることが好ましい。また、用途に応じて蓄光塗料を用いてもよい。なお、これらの塗料は着色層の厚みにより色の濃淡を調節しても良い。
また、塗料は、長期間屋外でも使用することができるように耐水性や耐候性を有するものであることが好ましい。
フィルムとしては、透明度の高いものが好ましく、セロファン、アクリル、ポリエチレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートなどを前記塗料で着色したものなどが好ましく用いられる。
なお、フィルムは接着剤や粘着材を用いてデザイン領域に貼付することになるが、接着剤や粘着材も透明度の高いものを選択することが好ましい。
フィルムを用いれば必要に応じて容易に色の変更を行うことができる。
【0013】
また、本発明では着色層Xを有することにより、色ごとに光源を用意する必要なく、装置を簡素化して自由な配色を実現でき、コストを低減することができる。
本発明の光源10は、蛍光灯、ハロゲンランプ、キセノンランプ、LEDランプなどいかなるものを用いてもかまわないが、高輝度で長寿命のLEDを用いるのが好ましい。
また、本発明の光源10の色は、白、青、黄、緑、赤等、いかなる色を用いてもかまわないが、鮮明に発色し、かつ着色層X、X′の色を忠実に再現可能となる白色が好ましく、中でも透明度の高い白色がより好ましい。
【0014】
本発明における光ファイバは、上記のように、コアとクラッドとからなる光ファイバ素線であるが、本発明においてはクラッド(必要に応じてコアの一部)が加熱手段により溶融変形されていることが必須であるため、プラスチック系光ファイバであることが必要である。
また、本発明における光ファイバ固定部材2は、複数本の光ファイバを貼着させて固定することができればいずれのものでもよく、例えば、アクリル系粘着材が貼り付けられたアクリル板、光ファイバ上に塗工したシリコーンゴム等が用いられる。
さらに、本発明における光ファイバ固定部材2は、クラッド(必要に応じてコアの一部)を溶融変形させた光ファイバの側面からの出光が光ファイバ固定部材側に回り込んだ場合、この光を反射することができるため、白色のものが好ましい。
【0015】
なお、本発明においては、光ファイバ1の端部に、光源10と接続するための接続端部Cを設けることが好ましい。
この接続端部Cは、図1に示したように、複数本の光ファイバ1の先端を束ね、先端を収縮チューブ7等により集束させ、次いで、集束させた光ファイバの端部を裁断刃で切りそろえた後、プラスチック製の筒状部材8に通し、筒状部材8と光ファイバの端部とを接着剤9で固定して作製する。
なお、図1における接続端部Cは、光源10であるLEDが筒状部材8にはめ込まれる構成のものを示したが、この構成に限定されるものではない。
【0016】
さらに、本発明においては、光源10に接続されていない側の光ファイバの端部を様々な方向に向けさせたまま光源からの光を出光させて、装飾の一部とすることも可能である。
また、図3に示すように、複数本の光ファイバ1に並列にエナメル銅線やアルミ線等の支持線Sを配線し、これらを光ファイバ固定部材2で一括被覆することもできる。
このような構成によれば、支持線Sを折り曲げて光ファイバ照明装置の3次元形状を自由に変形させ、かつその状態を維持させることができ、壁や、柱状の支持体の必要なく、立体的な配置での光ファイバ照明が可能となる。また、図3に示すように、光ファイバを分岐させることも可能である。
本発明で用いられる支持線Sは、屈曲やねじれに対して形状を維持することができるものが好ましく、具体的には金属線、樹脂線等を挙げることができる。
例えば金属線として、針金、アルミ線、エナメル線、ピアノ線、銅線、タフピッチ鋼線、無酸素銅線、丹銅線、黄銅線、りん青銅線、すず入り銅線、銀入り銅線、ステンレス線、ニッケル線、真鍮線、めっき線、形状記憶合金線等を用いることができる。その中でもさびにくい材料で、柔軟性があり、汎用性のある、アルミ線やエナメル線を使用するのがより好ましい。なお、着色塗料やさび止め、接着剤等の塗工液を塗布したものを用いてもかまわない。
また樹脂線として、エステル系ウレタン樹脂、ポリイミド、フェノール、ポリスチレン、ポリエチレン等の可塑性の高い樹脂素材の線や、架橋または部分結晶化された固定相と可逆相が混在しており、熱やpH変化、電気刺激、光刺激などによって形状を再生するポリエステル、ポリウレタン、スチレン・ブタジエン、ポリノルボルネン、トランスポリイソプレン等の形状記憶樹脂が本発明に適用される。
【0017】
次に、光ファイバ照明装置の製造方法の一例を図4(a)〜(e)により説明する。
6は定規である。
【0018】
(第1工程)
まず、図4(a)に示されるように、光ファイバ固定部材2を用意する。
次に、図4(b)に示されるように、一本の光ファイバ1を定規6に沿わせて直線状に配置させ、これを光ファイバ固定部材2に押し付けて貼着させる。
そして、この貼着させた一本の光ファイバ1に沿わせて、次の光ファイバ1を光ファイバ固定部材2上に配置させ貼着させる。
このようにして複数本の光ファイバ1を光ファイバ固定部材2上に貼着させて、図4(c)に示されるように、複数本の光ファイバ1からなる平面が形成される。
なお、光ファイバの配置は、直線状に限らず、曲線状や半円状等にしてもよく、これらを組み合わせてもよい。
また、粘着シート上に、一本の光ファイバ1を定規に沿わせて直線状に配置、貼着させた後、上記と同様にして、複数本の光ファイバ1からなる平面を形成し、次いで、光ファイバ平面上において、室温硬化型のシリコーンゴム等を塗布、硬化させて、光ファイバ固定部材2とし、粘着シートを剥離してもよい。
【0019】
光ファイバ固定部材2をシリコーンゴムから形成する場合、光ファイバ照明装置を柔軟に曲げることができ、3次元的形状に自由に変形させることができる。
また、シリコーンゴムは環境耐性に優れ、長期の使用でも劣化しにくいため、屋外においても光ファイバ照明装置を利用することができる。
さらに、光ファイバ固定部材2がシリコーンゴムのように粘着性を有する場合には、この光ファイバ固定部材2が光ファイバ照明装置を壁等に貼り付ける際の粘着層をも兼ねた構成とすることができる。
また、複数本の光ファイバ1からなる平面を形成した際、光ファイバ1に並列にエナメル銅線やアルミ線等の支持線を配線し、これらをシリコーンゴム等で一括被覆することもできる。
【0020】
(第2工程)
次いで、先端部が発熱する加熱手段を用いて、上記の光ファイバ平面上に加熱手段の先端部を押し付けながら移動させることにより、クラッド(必要に応じてコアの一部)を溶解変形させ、図4(d)に示されるように、任意のデザイン領域Dを形成する。
この加熱手段としては、ハンダごてが挙げられ、特に、クラッド(必要に応じてコアの一部)の溶解変形を厳密に制御可能であることから、高出力温調式ハンダごてがより好ましい。
また、この加熱手段は、85〜400℃の温度に発熱するものであることが好ましく、さらには、120〜300℃の温度に発熱するものであることがより好ましい。
【0021】
また、本発明においては、光ファイバ1及び光ファイバ固定部材2がある程度の透過性を有している場合、任意のデザインの下書きを光ファイバ固定部材2の裏面側に配置することにより、この下書きを見ながらなぞることでデザイン領域Dを形成することができる。
さらに、この状態で光源を発光させることにより、自らが描いたデザインを確認しながら作業を進めることができる。
また、制御ロボット等を用いることもできる。
【0022】
さらに、光ファイバ固定部材2がシリコーンゴムのように、弾性を有する場合には、加熱手段の先端部の押し付けによる押圧力が必要以上に強くても、過剰な押圧力を光ファイバ固定部材2が吸収するため、光ファイバ1の断線を防ぐことができる。
【0023】
(第3工程)
次に、図4(e)に示されるように、任意のデザイン領域Dに着色層X、X′を形成する。
着色層X、X′を形成するには、塗料をデザイン領域Dに塗布する方法やフィルムをデザイン領域Dに貼付する方法などがある。
塗料を塗布する場合には筆塗り、ペン塗りの他、スプレー塗布等してもよい。具体的には、蛍光ペンでデザイン領域Dをなぞるなどの方法が好ましい。
また、デザイン領域D以外の領域をマスキングテープなどでマスキングして塗布すると正確に塗布することができる。さらに、あらかじめプログラミングされたインクジェット印刷機等の印刷機でデザイン領域Dに塗料を塗布することも好ましい。
フィルムをデザイン領域に貼り付ける場合には、予め塗料をフィルムに塗布しておき、フィルムに接着剤または粘着材を塗って、デザイン領域Dに貼付する。
このとき、塗料入り接着剤または塗料入り粘着材を用いてもよい。また、着色済のフィルムを用いてもよい。
以上のようにして、着色層を形成することができる。
なお、第2工程と第3工程の順序を入れ換えて塗料を塗布してからデザイン領域を形成することもできるが、加熱により塗料が変色することがあるので、デザイン領域を形成してから塗料を塗布することが好ましい。
【0024】
(光源接続工程)
また、本発明においては、光ファイバ1の少なくとも一方の端部に、光源10が接続されていることが必須であるが、光ファイバ1の両端に光源10を設けると、光が重複されて光量を多くすることができ、また、それぞれの光源から発せられる光の色を混ぜることにより、任意のデザイン領域Dにカラーグラデーションを付与することもできる。
光源接続工程は、第1工程の前、第1工程の後、第2工程の後、及び、第3工程の後のいずれに行ってもよい。
光源の発光量、発光時間等は適宜選択又は制御することができる。
【実施例】
【0025】
次に、本発明の光ファイバ照明装置について、実施例を用いてさらに詳細に説明する。
なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0026】
<実施例1>
平面板上に、光ファイバ固定部材として、室温硬化型のシリコーンゴム(モメンティブパフォーマンスマテリアルズジャパン社製、商品名:TSE398、白色)を塗布した。
該シリコーンゴム上において、一本のプラスチック光ファイバ(三菱レイヨン社製、商品名:ESCA CK−40、外径1mm、長さ1.5m)を、定規に沿わせて直線状に配置させ、これをシリコーンゴムに押し付けて貼着させた。
次いで、この貼着させたプラスチック光ファイバに沿わせて、同じプラスチック光ファイバをアクリル系粘着材上に配置、貼着させた。
このようにして20本のプラスチック光ファイバをシリコーンゴム上に貼着させて、20本のプラスチック光ファイバからなる平面を形成した。
【0027】
次に、20本のプラスチック光ファイバの一方の先端を束ねて長さ20mmの収縮チューブ(内径7mm)に通し、この収縮チューブをドライヤーにより熱収縮させて光ファイバを集束させた。
次いで、集束させた光ファイバの端部を裁断刃で切りそろえ、プラスチック製の筒状部材に通し、筒状部材と光ファイバの端部とを接着剤で固定して、光源との接続端部を作製した。
そして、この接続端部に、光源である砲弾型白色LED(径5mm、輝度9800mcd)を直接はめ込み、プラスチック光ファイバと光源とを接続した。
【0028】
次いで、先端部が発熱する加熱手段として、先端部に円錐型こて先(白光社製、商品名:T12−B4)を備えた高出力温調式ハンダこて(白光社製、商品名:FX−951)を使用し、プラスチック光ファイバの平面上において、上方から円錐型こて先(先端部温度:200℃)を押し付けながら移動させ、クラッド及びコアの一部を溶解変形させ、任意のデザイン領域Dを形成した。
このとき、光源を発光させながら行うことにより、自らが描いたデザインを確認しながら任意のデザインを形成した。
【0029】
そして、形成したデザイン領域Dの一部を、蛍光ペン(トンボ製 蛍COAT 黄色)でなぞることにより、着色層を形成した。
このようにして、長さ1m、幅20mm、厚さ3.3mmの照明範囲を有する実施例1の光ファイバ照明装置を作製した。
【0030】
実施例1の光ファイバ照明装置では、蛍光ペンで着色層を形成したデザイン領域からは黄色光が、その他のデザイン領域からは白色光が視認された。すなわち、実施例1の光ファイバ照明装置によれば、任意のデザイン領域を任意の配色で発光させることができ、デザインの自由度が飛躍的に向上した。
また、十分な光量を均一に出光させることができると共に、デザイン領域の深さを調節することで、汎用的なはんだこてを用いてデザインや発光量を容易に調整することができた。
さらに、白色の光ファイバ固定部材を用いることにより、光ファイバ固定部材側に回り込んだ光を反射させて、より美麗な光を出光させることができた。
また、光ファイバ固定部材がシリコーンゴムからなるので、光ファイバ照明装置を柔軟に曲げることができ、3次元的形状に自由に変形させることが容易であった。
さらに、シリコーンゴムは環候性に優れ、かつ耐水性を有しているので、長期の使用でも劣化しにくく、屋外や水中下においても有効に利用し得る光ファイバ照明装置を提供することができた。
【0031】
<実施例2>
実施例1における光ファイバ照明装置の作製において、デザイン領域をはんだこてで作製した後、厚さ25μmの透明なポリエチレンテレフタレートのフィルム(帝人社製 テトロンフィルム)に、塗料入り粘着材(緑色塗料とアクリル粘着材を混合したもの)を厚さ25μmになるように塗布し、該フィルムをデザイン領域の一部に貼付することで、実施例2の光ファイバ照明装置を作製した。
【0032】
実施例2の光ファイバ照明装置では、該フィルムを貼付したデザイン領域からは緑色光が、その他のデザイン領域からは白色光が視認された。
また、実施例1における作用効果に加えて、色を変更させたいときには該フィルムを剥離して他色のフィルムを貼付すればよく、配色を容易に変更させることが可能であった。
【0033】
<実施例3>
実施例1における光ファイバ照明装置の作製において、20本のプラスチック光ファイバからなる平面を形成した後、プラスチック光ファイバを1本おきに計10本抜き取り、抜き取った跡に外径1mmのアルミ線を配置した。このようにして光ファイバとアルミ線を交互に並べた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の光ファイバ照明装置を作製した。
【0034】
実施例3の光ファイバ照明装置では、実施例1における作用効果に加えて、アルミ線を屈曲させて光ファイバ照明装置の3次元形状を自由に変形させ、かつその状態を維持することができ、壁や柱などの支持体を要することなく立体的な配置での光ファイバ照明が可能であった。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の光ファイバ照明装置の一実施形態を示した図
【図2】任意のデザイン領域の拡大断面図
【図3】支持線を有する光ファイバ照明装置の図
【図4】光ファイバ照明装置の製造方法の一例
【図5】従来技術の一例を示した図
【符号の説明】
【0036】
1 光ファイバ
2 光ファイバ固定部材
3 コア
4 クラッド
6 定規
7 収縮チューブ
8 筒状部材
9 接着剤
10、10′ 光源
C 接続端部
D、D′ デザイン領域
X、X′ 着色層
S 支持線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意のデザイン領域を有する複数本の光ファイバと、前記光ファイバを固定する光ファイバ固定部材と、前記光ファイバの端部に設けられた光源とを備える光ファイバ照明装置であって、
前記デザイン領域に少なくとも1箇所の着色層を有することを特徴とする光ファイバ照明装置。
【請求項2】
前記着色層は、塗料を含有する層であることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ照明装置。
【請求項3】
前記着色層は、可視光透過率が14〜90%であることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ照明装置。
【請求項4】
前記着色層は、耐水性あるいは耐候性を有することを特徴とする請求項1記載の光ファイバ照明装置。
【請求項5】
前記光源の色は、白色であることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ照明装置。
【請求項6】
前記光ファイバ固定部材は、白色の部材であることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ照明装置。
【請求項7】
前記光ファイバに隣接して支持線を備え、前記光ファイバと支持線が前記光ファイバ固定部材により固定されてなることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ照明装置。
【請求項8】
任意のデザイン領域を有する複数本の光ファイバと、光ファイバ固定部材と、光源とを備える光ファイバ照明装置の製造方法であって、
光ファイバ固定部材上に、複数本の光ファイバを平行に配置する第1工程と、
前記複数本の光ファイバにより形成された平面上で、先端部が発熱する加熱手段を該光ファイバに押し付けることにより、光ファイバの一部を溶融変形させて任意のデザイン領域を作製する第2工程と、
塗料をデザイン領域に塗布する第3工程とを有し、
前記第1工程の前、前記第1工程の後、前記第2工程の後、及び、前記第3工程の後のいずれかで、前記光ファイバの端部に光源を接続する工程を有することを特徴とする光ファイバ照明装置の製造方法。
【請求項9】
前記塗料は、インクジェット印刷用インクであることを特徴とする請求項8記載の光ファイバ照明装置の製造方法。
【請求項10】
前記第3工程は、蛍光ペンでデザイン領域をなぞる工程であることを特徴とする請求項8記載の光ファイバ照明装置の製造方法。
【請求項11】
任意のデザイン領域を有する複数本の光ファイバと、光ファイバ固定部材と、光源とを備える光ファイバ照明装置の製造方法であって、
光ファイバ固定部材上に、複数本の光ファイバを平行に配置する第1工程と、
前記複数本の光ファイバにより形成された平面上で、先端部が発熱する加熱手段を該光ファイバに押し付けることにより、光ファイバの一部を溶融変形させて任意のデザイン領域を作製する第2工程と、
着色フィルムをデザイン領域に貼付する第3工程とを有し、
前記第1工程の前、前記第1工程の後、前記第2工程の後、及び、前記第3工程の後のいずれかで、前記光ファイバの端部に光源を接続する工程を有することを特徴とする光ファイバ照明装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−98408(P2009−98408A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−269898(P2007−269898)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000153591)株式会社巴川製紙所 (457)
【Fターム(参考)】