説明

光フィルタとその製造方法及び光学フィルタ装置モジュール

【課題】製造時において特に基板間の接合の際にミラー間や電極間が接合してしまうのが防止され、さらに動作時においてもミラー間や電極間が接合してしまうのが防止された光フィルタとその製造方法、光学フィルタ装置モジュールを提供する。
【解決手段】対向面の一部が当接し、残部が離間して配設された第1基板14及び第2基板15と、これら基板の対向面側の離間した部位に第1のギャップG1を介して配置された一対のミラー2A、2Bと、第2のギャップG2を介して配置された一対の電極16A、16Bとを備え、第1基板14に、電極16A、16B間の静電力によって変位し、第1のギャップG1を変化させる可動部13を有する光フィルタ1である。第1基板14と第2基板15との間に、一対のミラー2A、2Bが当接するのに干渉し、あるいは一対の電極16A、16Bが当接するのに干渉する突起20(25)が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エタロン素子からなる光フィルタとその製造方法、及び光学フィルタ装置モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
入射した光のうち、目標波長の光を選択して射出する光フィルタとして、エタロン素子が知られている。このようなエタロン素子としては、ギャップを介して対向する一対のミラーを有し、このギャップを例えば一対の電極間の静電力で調整することにより、透過し射出する光の波長を選択して目標波長とする、エアギャップ型で静電駆動型のものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【0003】
このようなエタロン素子では、例えば第1基板及び第2基板のそれぞれの内面(対向面)にミラーと電極とを形成しておき、これら基板の内面を互いに対向させた状態でその一部を接合させ、製造している。すなわち、基板の一部を当接させた際、ミラー間及び電極間にはそれぞれギャップを設けておき、また、一方の基板には、ミラーの配置箇所が電極間の静電力によって変位し、ミラー間のギャップを変化させるように可動部を形成しておく。
【特許文献1】特開2002−214429号公報
【特許文献2】特開2003−57438号公報
【特許文献3】特開2005−62384号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記のエアギャップ型のエタロン素子では、一対のミラー間のギャップ(エアーギャップ)を精度良く維持させ、かつ、所望のギャップ量に制御することが重要である。しかし、ミラー間のギャップがサブミクロンから数ミクロンと非常に狭く、一方、ミラーや電極が配置される基板内面上の領域は、その幅が数ミリと相対的に非常に大きいため、ミラー間のギャップを精度良くしかも所望のギャップ量に形成するのが非常に困難になっている。
【0005】
このような課題に対し、特許文献1では、犠牲層をエッチングによって除去し、ギャップを形成するようにしている。しかしながら、このようにすると、犠牲層をエッチングした際に一対のミラー間がエッチング液の表面張力で貼り付いてしまい、エッチング後もミラー間が離間せず、したがってミラー間を離間させて所望のギャップにするのが非常に困難になってしまう。
【0006】
また、特許文献2では、スペーサーによって基板間にギャップを形成し、このギャップによってミラー間を所望のギャップ量にしており、特許文献3では、基板に凹部を加工しておき、この基板を他方の基板に接合することで、凹部に対応するギャップによってミラー間を所望のギャップ量にしている。しかしながら、このようにして基板間にギャップを形成した場合、一対の基板を接合した際に加えられる荷重(圧)により、特に一方の基板に形成した可動部やその周辺が撓んでしまうため、接合させる箇所以外の、離間させるべき箇所も接合してしまう。すると、例えばミラー間や電極間が接合して離間しなくなってしまい、その結果、やはりミラー間や電極間を離間させて所望のギャップにするのが非常に困難になってしまう。
【0007】
また、このようなエアギャップ型で静電駆動型のエタロン素子からなる光フィルタでは、所定のギャップを有しているはずのミラー間や電極間が、動作時において密着して離間しなくなってしまい、フィルタとしての機能が損なわれるおそれもある。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、製造時において特に基板間の接合の際にミラー間や電極間が接合してしまうのが防止され、さらに動作時においてもミラー間や電極間が接合してしまうのが防止された光フィルタと、この光フィルタの製造方法、及びこの光フィルタを用いた光学フィルタ装置モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本発明の光フィルタは、互いに対向した状態で対向した面の一部が当接し、残部が離間して配設された第1基板及び第2基板と、これら基板の対向面側の離間した部位に第1のギャップを介して対向して配置された一対のミラーと、前記基板の対向面側の離間した部位に第2のギャップを介して対向して配置された一対の電極と、を備え、前記第1基板に、前記電極間の静電力によって変位し、前記第1のギャップを変化させる可動部を有する光フィルタであって、
前記第1基板と第2基板との間に、前記一対のミラーが互いに当接するのに干渉し、あるいは前記一対の電極が互いに当接するのに干渉する突起が設けられたことを特徴としている。
【0009】
この光フィルタによれば、第1基板と第2基板との間に、一対のミラーが互いに当接するのに干渉し、あるいは一対の電極が互いに当接するのに干渉する突起を設けたので、該突起がスペーサーとして機能することにより、動作時においてはもちろん、製造時において基板間を接合する際にも、ミラー間や電極間が接合してしまうのを防止することができる。
【0010】
また、前記光フィルタにおいては、前記一対のミラーが互いに当接するのに干渉する第1の突起と、前記一対の電極が互いに当接するのに干渉する第2の突起とが設けられているのが好ましい。
このようにすれば、動作時や製造時においてミラー間が接合してしまう不都合と、電極間が接合してしまう不都合の両方を確実に防止することができる。
【0011】
また、前記光フィルタにおいては、前記一対のミラーが平面視した状態で円形に形成され、前記一対の電極が平面視した状態で前記一対のミラーを囲んだ円環状に形成されており、前記突起は、前記ミラーの円形の周方向に沿って複数配設され、又は、前記電極の円環状の周方向に沿って複数配設されているのが好ましい。
このようにすれば、ミラーや電極の周方向において、これらミラーや電極に対して偏ることなく均等に突起が配設されることになり、したがって動作時や製造時においてミラー間や電極間が接合してしまうのをより良好に防止することができる。
【0012】
また、前記光フィルタにおいては、前記一対のミラーが平面視した状態で円形に形成され、前記一対の電極が平面視した状態で前記一対のミラーを囲んだ円環状に形成されており、前記突起は、前記ミラーの円形の半径方向に沿って複数配設され、又は、前記電極の円環における外周円の半径方向に沿って複数配設されているのが好ましい。
このようにすれば、ミラーや電極の半径方向において、これらミラーや電極に対して偏ることなく均等に突起が配設されることになり、したがって動作時や製造時においてミラー間や電極間が接合してしまうのをより良好に防止することができる。
【0013】
なお、この光フィルタにおいては、前記ミラーの円形の半径方向に沿って複数配設されてなる突起の列が、放射状に複数設けられ、又は、前記電極の円環における外周円の半径方向に沿って複数配設されてなる突起の列が、放射状に複数設けられているのが好ましい。
このようにすれば、ミラーや電極の半径方向、周方向の両方において、これらミラーや電極に対して偏ることなく均等に突起が配設されることになり、したがって動作時や製造時においてミラー間や電極間が接合してしまうのをより良好に防止することができる。
【0014】
また、前記光フィルタにおいては、前記第1基板及び第2基板がいずれも透明材料からなるのが好ましい。
このようにすれば、入射光として可視光を用いることができる。
【0015】
また、前記光フィルタにおいては、前記第1基板及び第2基板がいずれもシリコンからなるのが好ましい。
このようにすれば、入射光として近赤外光を用いることができる。
【0016】
また、前記光フィルタにおいては、前記一対の電極が互いに当接するのに干渉する突起が設けられてなり、該突起は、絶縁材料からなっているのが好ましい。
このようにすれば、動作時に突起が一対の電極の両方に通じても、電極間でショートを起こすことがない。
【0017】
また、前記光フィルタにおいては、前記突起は、前記第1基板あるいは前記第2基板の一部からなっているのが好ましい。
このようにすれば、例えば第1基板あるいは前記第2基板に対し、ミラーや電極を配置するための凹部などを形成する際、同じ工程で突起を形成することができ、したがって製造工程を簡略化することができる。
【0018】
また、前記光フィルタにおいては、前記一対のミラーが互いに当接するのに干渉する突起が設けられてなり、該突起は、前記電極の形成材料からなっているのが好ましい。
このようにすれば、製造時において電極を形成する際、同じ工程で前記突起を形成することができ、したがって製造工程を簡略化することができる。
【0019】
また、本発明の光フィルタの製造方法は、第1基板の一方の面にミラーと電極とを設ける工程と、
第2基板の一方の面にミラーと電極とを設ける工程と、
前記第1基板と第2基板とを、それぞれの一方の面が対向するようにして一部を当接させ、残部を離間させるとともに、これら基板の対向する面間の離間した部位に、第1のギャップを介して前記ミラーを対向して配置し、かつ、第2のギャップを介して前記電極を対向して配置する工程と、
前記第1基板に、前記電極間の静電力によって変位し、前記第1のギャップを変化させる可動部を形成する工程と、を備え、
前記第1基板と第2基板との間に、前記一対のミラーが互いに当接するのに干渉し、あるいは前記一対の電極が互いに当接するのに干渉する突起を設ける工程を有することを特徴としている。
【0020】
この光フィルタの製造方法によれば、第1基板と第2基板との間に、一対のミラーが互いに当接するのに干渉し、あるいは一対の電極が互いに当接するのに干渉する突起を設ける工程を有しているので、基板間を接合する際に、ミラー間や電極間が接合してしまうのを防止することができる。また、得られる光フィルタは、前記突起によってミラー間や電極間が動作時に接合してしまうのが防止されたものとなる。
【0021】
また、前記光フィルタの製造方法においては、前記基板に前記ミラーと前記電極とを設け、さらに前記第2のギャップを介して前記電極を対向して配置する際に、前記一対のミラーが互いに当接するのに干渉する前記突起を、前記電極の形成材料で形成するのが好ましい。
このようにすれば、電極を形成配置する際に、同じ工程で突起を形成することができ、したがって製造工程を簡略化することができる。
【0022】
また、前記光フィルタの製造方法においては、前記突起を、前記第1基板あるいは前記第2基板の一部で形成するのが好ましい。
このようにすれば、第1基板あるいは前記第2基板に対してミラーや電極を配置するための凹部などを形成する際に、同じ工程で突起を形成することができ、したがって製造工程を簡略化することができる。
【0023】
本発明の光学フィルタ装置モジュールは、前記の光フィルタを備えたことを特徴としている。
この光学フィルタ装置モジュールによれば、動作時や製造時においてミラー間や電極間が接合してしまうのが防止された光フィルタを備えているので、モジュール自体として、ミラー間や電極間の接合に起因する不都合が回避された良好なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明を詳しく説明する。
なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明することがある。その場合に、水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。
【0025】
図1、図2は、本発明の光フィルタの第1実施形態を示す図であり、図1は光フィルタの平面図、図2は側断面図である。これらの図において符号1は光フィルタであり、この光フィルタ1はエアギャップ型で静電駆動型のエタロン素子からなっている。この光フィルタ1は、異なる波長を有する複数の入射光のうち、所定波長の光(干渉光)を干渉作用によって波長選択的に透過し射出するものである。すなわち、図2に示すように一方のミラー2Aと他方のミラー2Bとの間の第1のギャップG1に光が入射すると、干渉作用により、第1のギャップG1の大きさに対応した波長の光のみを選択的に透過し、射出するものである。したがって、光フィルタ1から射出される光の波長は、第1のギャップG1の大きさに対応して変化することになる。
【0026】
この光フィルタ1は、一方のミラー2Aを保持する第1基板14と、他方のミラー2Bを保持する第2基板15とを有してなるものである。第1基板14は、第2基板15に対向する対向面(内面)14Aの中央部に円形状のミラー2Aを配設し、このミラー2Aの周囲に円環状の電極16Aを配設したものである。第2基板15は、第1基板14と対向する対向面(内面)15Aの中央部に第1凹部11を形成し、この第1凹部11の周囲に該第1凹部11より浅い深さの第2凹部12を形成したもので、第1凹部11内に円形状のミラー2Bを配設し、第1凹部11の外側で第2凹部12内に円環状の電極16Bを配設したものである。
【0027】
第1基板14、第2基板15は、共に光透過性で絶縁性の材料からなる矩形状(正方形状)のもので、特にガラス等の透明材料からなっているのが好ましい。具体的には、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ナトリウムガラス、無アルカリガラス等が好適に用いられる。このように第1基板14、第2基板15を共に透明材料とすることにより、入射光として可視光を用いることができる。なお、第1基板14、第2基板15については、例えばこれらを共にシリコンで形成してもよく、その場合には、入射光として近赤外光を用いることができる。
【0028】
また、第1基板14には、前記対向面14Aと反対側の面(外面)に、図1に示すように平面視円環状の溝部14Bが形成されている。これによって第1基板14では、図2に示すように該溝部14Bが形成された箇所14Dが、形成されていない箇所14Cに比べて厚さが薄くなっている。このような構成のもとに厚さが薄い箇所14Dは、弾性(可撓性)を有して変形可能(変位可能)になっており、これによってこの箇所14Dとこれに囲まれた箇所14C1は、第1のギャップG1を変化させる可動部13となっている。
【0029】
すなわち、前記の箇所14Dに囲まれた箇所14C1に対応する対向面14Aの領域内には、ミラー2Aが配置されている。したがって、可動部13が変形(変位)することにより、Z軸方向に関する第1基板14の対向面14Aと第2基板15の対向面15Aとの距離が変化し、対向面14A上に配設されたミラー2Aと対向面15A上に配設されたミラー2Bとが、第1のギャップG1の大きさを変化させるようになっているのである。
【0030】
ミラー2A、2Bは、本実施形態では高屈折率層と低屈折率層とが交互に複数積層されてなる、誘電体多層膜からなっている。ただし、本発明のミラーは誘電体多層膜に限定されることなく、他に例えば、炭素を含有する銀の合金膜などを用いることもできる。なお、以下の説明では、変形可能な第1基板14に保持されている一方のミラー2Aを可動ミラー2Aと記し、第2基板15に保持されている他方のミラー2Bを固定ミラー2Bと記すことがある。
【0031】
本実施形態の光フィルタ1を可視光領域、赤外光領域で用いる場合、誘電体多層膜における高屈折率層を形成する材料としては、例えばTiO、Ta、酸化ニオブ等が用いられる。また、光フィルタ1を紫外光領域で用いる場合、高屈折率層を形成する材料としては、例えばAl、HfO、ZrO、ThO等が用いられる。一方、誘電体多層膜における低屈折率層を形成する材料としては、例えばMgF、SiO等が用いられる。高屈折率層及び低屈折率層の層数、厚さについては、必要とする光学特性に基づいて適宜に設定される。一般に、誘電体多層膜によって反射膜(ミラー)を形成する場合、その光学特性を得るために必要な層数は12層以上であり、誘電体多層膜によって反射防止膜を形成する場合、その光学特性に必要な層数は4層程度である。
【0032】
一対の電極16A、16Bは、互いに対向し、第2のギャップG2を介して配置されたもので、入力される駆動電圧に応じてこれら電極16A、16B間に静電力を発生し、ミラー2を相対移動させるものである。このような構成によって電極16A、16Bは、前記可動部13を上下(変位)させてミラー2A、2B間の第1のギャップG1を変化させ、これを調整するものとなっている。ここで、一方の電極16Aは、第1基板14の前記溝部14Bに対応する箇所とその外側に配置されている。したがって、可動部13の上下動をより容易になさせるようになっている。なお、本実施形態では基板14の対向面14Aと基板15の対向面15Aとはほぼ平行になっており、したがって電極16A、16Bもほぼ平行に配置されている。
【0033】
これら電極16A、16Bを形成する材料としては、導電性であれば特に限定されず、例えば、Cr、Al、Al合金、Ni、Zn、Tiなどの金属、カーボン、チタン等を分散した樹脂、多結晶シリコン(ポリシリコン)、アモルファスシリコン等のシリコン、窒化シリコン、ITOのような透明導電材料、Au等が用いられる。
【0034】
これら電極16A、16Bには、図1に示すように配線17A(17B)が接続されており、これら配線17A(17B)を介して電極16A、16Bは、別に用意された電源(図示せず)に接続されるようになっている。なお、これら配線17A、17Bは、第1基板14に形成された配線溝18A、あるいは第2基板15に形成された配線溝18B内に形成され、したがって第1基板14と第2基板15との接合に干渉しないようになっている。
【0035】
電源は、駆動信号として、電極16A、16Bに電圧を印加し、これによって前記したように電極16A、16Bを駆動させ、これらの間に所望の静電力を発生させるものである。なお、この電源には制御装置(図示せず)が接続されており、この制御装置によって電源を制御することにより、電極16Aと電極16Bとの間の電位差を調整することができるようになっている。
【0036】
電極16A、16Bに電圧が印加されることにより、電極16Aと電極16Bとの間には、電圧(電位差)に応じた静電力が発生する。制御装置は、電源を制御することで電極16A、16Bに電圧を印加し、電極16Aと電極16Bとの間に所定の静電力を発生させる。このようにして所定の静電力が発生すると、第1基板14が変形し、可動部13が所定量変位する。したがって、このように可動部13が予め設定された所定の量変位することにより、第1のギャップG1の大きさが設定された通りに調整される。
【0037】
また、本実施形態では、前記一対のミラー2A、2Bの間に第1の突起20が複数設けられ、前記一対の電極16A、16Bの間に第2の突起25が複数設けられている。第1の突起20は、第2基板15側のミラー2B上に設けられた円柱状のもので、一対のミラー2A、2Bが互いに当接するのに干渉し、これによってこれら一対のミラー2A、2Bが互いに当接するのを防止するものである。ただし、第1の突起20は、後述するように可動部13が上下することにより、第1のギャップG1が設定された範囲内で最も狭められた際に、その先端がミラー2Aに当接することなく、したがって可動部13の下降に干渉しない高さになっている。具体的には、第1のギャップG1が1〜2μm程度であるのに対し、0.5μm程度となっている。
【0038】
また、第1の突起20は、本実施形態では図1に示すように円形のミラー2Bの外周部に、その周方向に沿って等間隔で4つ形成されている。このような構成によって第1の突起20は、ミラー2A、2B間において一方に偏ることなく配設されることになり、したがって動作時や製造時においてミラー2A、2B間が接合してしまうのを、より良好に防止するものとなっている。
なお、第1の突起20の形成材料については、特に限定されることなく、種々のものが使用可能である。
【0039】
第2の突起25は、第2基板15側の電極16B上に設けられた円柱状のもので、一対の電極16A、16Bが互いに当接するのに干渉し、これによってこれら一対の電極16A、16Bが互いに当接するのを防止するものである。ただし、第2の突起25も、後述するように電極16A、16Bがその静電力によって互いに引きつけられ、第2のギャップG2が設定された範囲内で最も狭められた際に、その先端が電極16Aに当接することなく、したがって可動部13の下降に干渉しない高さ、例えば0.5μm程度になっている。
【0040】
また、第2の突起25は、本実施形態では円環状の電極16Bの内周部に、その周方向に沿って等間隔で4つ形成されている。このような構成によって第2の突起25も、電極16A、16B間において一方に偏ることなく配設されることになり、したがって動作時や製造時において電極16A、16B間が接合してしまうのを、より良好に防止するものとなっている。
なお、第2の突起25の形成材料については、絶縁材料であれば、特に限定されることなく種々のものが使用可能である。
【0041】
このような構成の光フィルタ1にあっては、例えば第1基板14側より一方のミラー2Aに入射させた光から、第1のギャップG1の大きさに対応した波長の光を選択的に取り出し、第2基板15の射出面15Bより射出させることができる。すなわち、電極16A、16B間に所望の電圧を印加し、これら電極16A、16B間に所望の静電力を発生させ、可動部13を動作させることで第1のギャップG1を予め設定した所定の大きさ(間隔)にする。すると、第1基板14を通ってこの第1のギャップG1に入射した光は、可動ミラー2Aと固定ミラー2Bとの間で複数回反射する。そして、可動ミラー2Aと固定ミラー2Bとの間での干渉効果により、第1のギャップG1の大きさに対応した特定の波長の光が強められ、選択的に透過し、射出面15Bより射出する。
【0042】
図3(a)、(b)は、光フィルタ1の作用を説明するためのもので、図3(a)は可視光(BGR)から赤色光(R)を選択的に取り出す場合を示し、図3(b)は可視光(BGR)から緑色光(G)を選択的に取り出す場合を示している。すなわち、この例では、図3(a)に示すように電極16A、16B間に電圧を印加せず、したがって第1のギャップG1を予め設定された大きさにすることにより、赤色光(R)の波長域の光を選択的に射出させることができる。また、図3(b)に示すように電極16A、16B間に所定の電圧を印加し、可動部13を変位させて第1のギャップG1を予め設定された大きさに狭めることにより、緑色光(G)の波長域の光を選択的に射出させることができる。よって、この光フィルタ1は、入射した光に対して分光機能を有するものとなる。
【0043】
このように波長を選択して射出する際、不測の外力が可動部13等に加わっても、第1の突起20や第2の突起25が設けられていることにより、ミラー2A、2B間や電極16A、16B間が接合してしまうのが防止されている。また、初期電圧など、設定値より大きな電圧が電極16A、16B間に瞬間的に印加され、設定以上に可動部13が動作(下降)しても、第1の突起20や第2の突起25が設けられていることにより、やはりミラー2A、2B間や電極16A、16B間が接合してしまうのが防止されている。
【0044】
また、このような光フィルタ1を製造するには、図4(a)に示すように第1基板14と第2基板15とを用意する。これら各基板14、15については、予め所定の加工を施しておく。第1基板14には、溝部14Bを形成して可動部13を形成するとともに、配線溝18Aを形成しておく。第2基板15には、第1凹部11と第2凹部12とを形成するとともに、配線溝18Bを形成しておく。そして、これら各基板にそれぞれミラー2A(2B)と電極16A(16B)とを設けておく。すなわち、第1基板14には、溝部14Bを形成した面と反対側の面(対向面14A)の、前記溝部14Bに囲まれた箇所14C1に対応する領域に、円形のミラー2Aを形成する。また、前記溝部14Bに対応する領域とその外側に、円環状の電極16Aを形成し、さらにこの電極16Aに接続する配線17Aを配線溝18A内に形成する。
【0045】
また、第2基板15には、前記第1凹部11内に円形のミラー2Bを形成し、この第1凹部11の外側の第2凹部12内に、円環状の電極16Bを形成する。そして、この電極16Bに接続する配線17Bを、配線溝18B内に形成する。
また、このようにして第2基板15にミラー2B、電極16B、配線17Bを形成したら、ミラー2B上に第1の突起20を形成し、さらに電極16B上に第2の突起25を形成する。これら第1の突起20、第2の突起25については同じ材料で形成してもよく、異なる材料で形成してもよい。
【0046】
ただし、電極16A、16B間に形成する第2の突起25については、絶縁材料で形成するものとする。具体的には、SiOなどの無機絶縁材料を成膜しエッチングでパターニングすることなどにより、これら第1の突起20、第2の突起25を形成することができる。なお、第1の突起20については、金属を成膜しこれをパターニングすることにより、形成することもできる。
【0047】
また、これら第1の突起20や第2の突起25については、ミラー2Bや電極16Bの上に形成するのに代えて、第2基板15に直接形成してもよい。すなわち、このように第1の突起20や第2の突起25を形成した第2基板15上に、ミラー2Bや電極16Bを形成してもよい。その場合に、当然ながら第1の突起20や第2の突起25を、ミラー2Bや電極16Bの表面上に突出させる。
【0048】
このようにしてミラー2A(2B)や電極16A(16B)を設けた基板14、15を用意したら、これら基板14、15を、図4(b)に示すように互いに接合させる。すなわち、それぞれの一方の面(対向面14A、15A)が対向するようにして、第2基板15の第2凹部12の外側を第1基板14に当接させ、第2凹部12の内部を第1基板14から離間させる。このようにして第1基板14と第2基板15とを接合することにより、これら基板14、15の対向する面間の離間した部位、つまり第1凹部11に対応する部位に、第1のギャップG1を介して前記ミラー2A、2Bを対向配置し、第2凹部12に対応する部位に、第2のギャップG2を介して前記電極16A、16Bを対向配置する。
【0049】
その後、これら基板14、15間を所定の荷重で加圧し、基板14、15間の接合箇所を例えば融着や接着等によって固定することにより、光フィルタ1を得る。その際、特に第1基板14の可動部13やその周辺に荷重が加わると、図4(c)に示すように該箇所が撓んでしまうことにより、第2凹部12内、さらには第1凹部11内に形成された第2のギャップG2や第1のギャップG1が狭められる。
【0050】
このとき、従来では第1の突起20や第2の突起25が無いので、ミラー2Aとミラー2Bとが接合したり、電極16Aと電極16Bとが接合してしまうことにより、その後これらが接合したまま離間しなくなるといったおそれがあった。
これに対して本実施形態では、ミラー2A、2B間に第1の突起20を設け、電極16A、16B間に第2の突起25を設けたので、可動部13やその周辺が撓んで第2のギャップG2や第1のギャップG1が狭められても、第1の突起20が干渉してスペーサーとして機能することにより、ミラー2A、2Bが互いに当接してしまうのを防止することができ、また、第2の突起25が干渉してスペーサーとして機能することにより、電極15A、16Bが互いに当接してしまうのを防止することができる。
【0051】
したがって、本実施形態の光フィルタ1によれば、前述したように動作時において不測の外力が可動部13等に加わっても、第1の突起20や第2の突起25を設けたことにより、ミラー2A、2B間や電極16A、16B間が接合してしまうのを防止することができる。また、製造時においても、ミラー2A、2B間や電極16A、16B間が接合してしまうのを防止することができる。よって、ミラー2A、2B間や電極16A、16B間が接合してしまうことによる不都合を回避し、ミラー2A、2B間や電極16A、16B間のギャップを設定通りの所望のギャップにすることができる。
【0052】
なお、前記実施形態では、ミラー2A、2B間に第1の突起20を設け、電極16A、16B間に第2の突起25を設けたが、これら第1の突起20、第2の突起25については、両方設けることなく、いずれか一方を設けるようにしてもよい。その場合にも、ミラー2A、2Bと電極16A、16Bとは隣り合って配置されているので、ミラー2A、2B間と電極16A、16B間とのうちの一方に設けた突起により、他方の部材が互いに当接してしまうことを防止することができる。
【0053】
また、前記実施形態では、第1の突起20や第2の突起25を円柱状に形成したが、これら突起20、25については特にその形状について限定されることなく、任意の形状のものを用いることができる。例えば、図5に示すように、その平面視形状が円弧状である柱状のものを用いることもできる。すなわち、例えば第2の突起25の平面視形状を円弧状に形成する場合、その円弧を、円環状に形成された電極16Bの湾曲形状に沿わせて、円弧状に形成する。このようにすることにより、電極16A、16B間において第2の突起25が一方に偏ることなく、より均等に配置することが可能になる。
【0054】
図6は、本発明の光フィルタの第2実施形態の、概略構成を示す側断面図であり、図6において符号30は光フィルタである。この光フィルタ30が前記の光フィルタ1と主に異なるところは、第1の突起20、第2の突起25の形成材料についてである。
この光フィルタ30では、第1の突起20はこれが形成される第1基板15に形成された電極16Bの形成材料と、同じ材料によって形成されている。すなわち、第1の突起20は、前記した製造時において基板15に電極16Bを形成する際、この電極16Bの形成と同じ工程で形成されている。
【0055】
また、第2の突起25は、第2基板15の一部からなっている。すなわち、第2の突起25は、前記した製造時において第2基板15に第2凹部12などを形成する際、この工程と同じ工程で形成されている。
また、本実施形態では、第1基板14の外面の、前記箇所14C1に反射防止膜28が設けられており、同様に第2基板15の外面の、前記第1凹部11に対応する領域に反射防止膜29が設けられている。これら反射防止膜28、29は、例えば誘電体多層膜からなるものである。そして、これら反射防止膜28、29は、それぞれ同じ基板に設けられたミラー2A(2B)の外側を覆って配置されており、これによって光フィルタ30内に入射させる光や光フィルタ30から射出する光を、反射させることなく効率良く入射させ、あるいは射出させるようになっている。
【0056】
このような構成からなる光フィルタ30にあっては、第1の突起20を電極16Bの形成材料によって形成し、第2の突起25を第2基板15の一部によって形成しているので、電極16Bを形成する際に同じ工程で第1の突起20を形成することができ、また、第2基板15に第2凹部12などを形成する際に同じ工程で第2の突起25を形成することができる。したがって、製造工程を簡略化して製造コストを低く抑えることができる。
なお、本実施形態においても、前記したように第1の突起20、第2の突起25のうちのいずれか一方のみを設けるようにしてもよく、また、これら第1の突起20、第2の突起25の形状を、平面視形状が円弧状である柱状に形成してもよい。
【0057】
図7、図8は、本発明の光フィルタの第3実施形態を示す図であり、図7は光フィルタの平面図、図8は図7のA−A線矢視断面図である。これらの図において符号40は光フィルタである。この光フィルタ40が前記の光フィルタ1と主に異なるところは、第1基板14、第2基板15の形状と、第1の突起20、第2の突起25の数やその配置についてである。
【0058】
この光フィルタ40において第1基板14には、図8に示すように対向面14Aに凹部41が形成されており、この凹部41内に、ミラー2A、電極16Aが設けられている。また、第2基板15では、第2凹部12が第1凹部11より深く形成されている。
【0059】
また、この光フィルタ40には、図7に示すように第2の突起25が、電極16A(16B)の円環状の周方向に沿って複数配設されており、かつ、電極16A(16B)の円環における外周円の半径方向に沿って複数配設されている。すなわち、円環状に形成された電極16A(16B)における、外周縁によって形成される円形(外周円)の半径方向に沿って、第2の突起25が4個ずつ配列されており、さらに、このように4個が配列してなる第2の突起25の列が、前記外周円の中心から放射状に16列、等間隔で形成されている。
【0060】
これら第2の突起25は、図8に示すように第2基板15の一部からなっており、第2凹部12内に形成されたものである。すなわち、これら第2の突起25は、製造時において第2基板15に一旦第1凹部11に対応する凹部が形成された後、さらに第2凹部12がエッチング等で形成された際に、第2の突起25に対応する部位のみがエッチングされることなく、その周囲がエッチングされて第2凹部12が形成されたことにより、この第2凹部12の形成とともに同時に形成されたものである。
【0061】
また、この光フィルタ40では、図8に示すように、第1基板14側のミラー2Aが第2基板15側のミラー2Bより一回り小さい円形状に形成されている。そして、第1基板14側の小さいミラー2Aの外側に、第1の突起20が設けられている。第1の突起20は、図7に示すように平面視形状が円弧状である柱状のもので、ミラー2Aの外側に、該ミラー2Aの周方向に沿って8個形成されている。
【0062】
また、これら第1の突起20は、図8に示すように第1基板14の一部からなっている。すなわち、これら第1の突起20は、製造時において第1基板14に凹部41がエッチング等で形成された際に、第1の突起20に対応する部位のみがエッチングされることなく、その周囲がエッチングされて凹部41が形成されたことにより、この凹部41の形成とともに同時に形成されたものである。
【0063】
また、本実施形態の光フィルタ40では、図7に示すように、各電極16A、16Bに接続する配線17A、17Bの端部に、幅が広げられてなる接続部19が形成されており、これによって電源(図示せず)に接続するための接続配線(図示せず)との接続が容易になっている。
【0064】
このような構成からなる光フィルタ40にあっては、第1の突起20を第1基板14の一部によって形成し、第2の突起25を第2基板15の一部によって形成しているので、第1基板14や第2基板15に凹部を加工形成する際に、同じ工程で第1の突起20や第2の突起25を形成することができる。したがって、製造工程を簡略化して製造コストを低く抑えることができる。
また、第1の突起20をミラー2Aの周方向に沿って形成しており、さらに前記した第2の突起25の列を、前記外周円の中心から放射状に16列、等間隔で形成しているので、これら第1の突起20、第2の突起25を、ミラー2A、2Bや電極16A、16Bに対して偏ることなく均等に配設することができ、したがって動作時や製造時においてミラー間や電極間が接合してしまうのをより確実に防止することができる。
【0065】
次に、本実施形態に係る光フィルタ1(30、40)の応用例として、該光フィルタ1(30、40)を備えた光学フィルタ装置モジュールについて説明する。
図9は、本発明の光学フィルタ装置モジュールの一実施形態を示す図であって、図9中符号50は光学フィルタ装置モジュールである。この光学フィルタ装置モジュール50は、前記光フィルタ1(30、40)からなるフィルタ部51を備えたもので、検体に対して特定の帯域の光を照射し、この検体の反射光から予め設定した波長の光を選択的に取り出し(分光し)、その強度を測定するようにしたものである。
【0066】
すなわち、この光学フィルタ装置モジュール50は、光源52とレンズ53とを有し、検体Wに対して所定の光、例えば可視光や赤外光を照射する光源光学系54と、前記フィルタ部51と検出素子55とを有し、前記検体Wからの反射光を検出する検出部光学系56と、前記光源52の照度等を制御する光源制御回路57と、前記フィルタ部51を制御するフィルタ制御回路58と、前記検出素子55で検出された検出信号を受信し、さらに前記光源制御回路57、フィルタ制御回路58に接続するプロセッサ59と、を備えて構成されたものである。
【0067】
このような光学フィルタ装置モジュール50では、検体Wに対して可視光や赤外光などの特定の帯域の光を照射する。すると、例えば検体Wの表面状態などに対応して反射光が生じ、これがフィルタ部51に入射する。フィルタ部51では、前記電極16A、16Bへの電圧印加(あるいは無印加)により、予め設定した波長の光を選択的に取り出す(分光する)ようにしておく。これにより、反射光から特定の波長域のみが選択的に取り出され、検出素子55で検出されるようになる。したがって、例えば検出素子55としてフィルタ部51で取り出される光を選択的に検出するものを用いることにより、感度良く反射光を検出することが可能になる。
【0068】
よって、この光学フィルタ装置モジュール50によれば、検体Wの表面状態等を感度良く検出することができる。
また、フィルタ部51を構成する光フィルタとして、前述したように動作時や製造時においてミラー間や電極間が接合してしまうのが防止された光フィルタ1(30、40)を用いているので、モジュール自体として、ミラー間や電極間の接合に起因する不都合が回避された良好なものとなる。
【0069】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、例えば第1の突起や第2の突起の数や形状、配設位置、形成材料など、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の光フィルタの実施形態の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1に示した光フィルタの側断面図である。
【図3】(a)、(b)は光フィルタの作用を説明するための図である。
【図4】(a)〜(b)は光フィルタの製造工程を説明するための図である。
【図5】本発明の光フィルタの実施形態の概略構成を示す平面図である。
【図6】本発明の光フィルタの実施形態の概略構成を示す側断面図である。
【図7】本発明の光フィルタの実施形態の概略構成を示す平面図である。
【図8】図7に示した光フィルタのA−A線矢視断面図である。
【図9】本発明の光学フィルタ装置モジュールの一実施形態の概略構成図である。
【符号の説明】
【0071】
1、30、40…光フィルタ、2…ミラー、2A…ミラー(可動ミラー)、2B…ミラー(固定ミラー)、11…第1凹部、12…第2凹部、13…可動部、14…第1基板、14A…対向面、14B…溝部、15…第2基板、15A…対向面、16A…電極、16B…電極、20…第1の突起、25…第2の突起、G1…第1のギャップ、G2…第2のギャップ、50…光学フィルタ装置モジュール、51…フィルタ部(光フィルタ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向した状態で対向した面の一部が当接し、残部が離間して配設された第1基板及び第2基板と、これら基板の対向面側の離間した部位に第1のギャップを介して対向して配置された一対のミラーと、前記基板の対向面側の離間した部位に第2のギャップを介して対向して配置された一対の電極と、を備え、前記第1基板に、前記電極間の静電力によって変位し、前記第1のギャップを変化させる可動部を有する光フィルタであって、
前記第1基板と第2基板との間に、前記一対のミラーが互いに当接するのに干渉し、あるいは前記一対の電極が互いに当接するのに干渉する突起が設けられたことを特徴とする光フィルタ。
【請求項2】
前記一対のミラーが互いに当接するのに干渉する第1の突起と、前記一対の電極が互いに当接するのに干渉する第2の突起とが設けられたことを特徴とする請求項1記載の光フィルタ。
【請求項3】
前記一対のミラーが平面視した状態で円形に形成され、前記一対の電極が平面視した状態で前記一対のミラーを囲んだ円環状に形成されており、
前記突起は、前記ミラーの円形の周方向に沿って複数配設され、又は、前記電極の円環状の周方向に沿って複数配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光フィルタ。
【請求項4】
前記一対のミラーが平面視した状態で円形に形成され、前記一対の電極が平面視した状態で前記一対のミラーを囲んだ円環状に形成されており、
前記突起は、前記ミラーの円形の半径方向に沿って複数配設され、又は、前記電極の円環における外周円の半径方向に沿って複数配設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光フィルタ。
【請求項5】
前記ミラーの円形の半径方向に沿って複数配設されてなる突起の列が、放射状に複数設けられ、又は、前記電極の円環における外周円の半径方向に沿って複数配設されてなる突起の列が、放射状に複数設けられていることを特徴とする請求項4のいずれか一項に記載の光フィルタ。
【請求項6】
前記第1基板及び第2基板がいずれも透明材料からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光フィルタ。
【請求項7】
前記第1基板及び第2基板がいずれもシリコンからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光フィルタ。
【請求項8】
前記一対の電極が互いに当接するのに干渉する突起が設けられてなり、該突起は、絶縁材料からなっていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光フィルタ。
【請求項9】
前記突起は、前記第1基板あるいは前記第2基板の一部からなっていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の光フィルタ。
【請求項10】
前記一対のミラーが互いに当接するのに干渉する突起が設けられてなり、該突起は、前記電極の形成材料からなっていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の光フィルタ。
【請求項11】
第1基板の一方の面にミラーと電極とを設ける工程と、
第2基板の一方の面にミラーと電極とを設ける工程と、
前記第1基板と第2基板とを、それぞれの一方の面が対向するようにして一部を当接させ、残部を離間させるとともに、これら基板の対向する面間の離間した部位に、第1のギャップを介して前記ミラーを対向して配置し、かつ、第2のギャップを介して前記電極を対向して配置する工程と、
前記第1基板に、前記電極間の静電力によって変位し、前記第1のギャップを変化させる可動部を形成する工程と、を備え、
前記第1基板と第2基板との間に、前記一対のミラーが互いに当接するのに干渉し、あるいは前記一対の電極が互いに当接するのに干渉する突起を設ける工程を有することを特徴とする光フィルタの製造方法。
【請求項12】
前記基板に前記ミラーと前記電極とを設け、さらに前記第2のギャップを介して前記電極を対向して配置する際に、前記一対のミラーが互いに当接するのに干渉する前記突起を、前記電極の形成材料で形成することを特徴とする請求項11記載の光フィルタの製造方法。
【請求項13】
前記突起を、前記第1基板あるいは前記第2基板の一部で形成することを特徴とする請求項11記載の光フィルタの製造方法。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の光フィルタを備えた光学フィルタ装置モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−8644(P2010−8644A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166972(P2008−166972)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】