光ヘッドおよび画像形成装置
【課題】光ヘッドにおいて、熱的クロストークに基づく階調のムラを低減する。
【解決手段】光ヘッド10では、電流駆動型の発光素子Eと、発光素子Eに並列接続され、発光素子Eに対して高階調を指定する階調データDを受けてオフ状態となる一方、発光素子Eに対して低階調を指定する階調データを受けてオン状態となる制御トランジスタTcと、発光素子Eに直列接続され、発光素子Eを駆動する電流を生成する駆動トランジスタTdrとが形成された複数の単位領域ERが一方向に繰り返し並ぶ。また、単位領域URの各々では、当該単位領域URに形成された発光素子Eと当該単位領域URに形成された制御トランジスタTcとの間の熱抵抗が、当該発光素子Eと当該単位領域URの隣の単位領域URに形成された制御トランジスタTcとの間の熱抵抗よりも小さい。
【解決手段】光ヘッド10では、電流駆動型の発光素子Eと、発光素子Eに並列接続され、発光素子Eに対して高階調を指定する階調データDを受けてオフ状態となる一方、発光素子Eに対して低階調を指定する階調データを受けてオン状態となる制御トランジスタTcと、発光素子Eに直列接続され、発光素子Eを駆動する電流を生成する駆動トランジスタTdrとが形成された複数の単位領域ERが一方向に繰り返し並ぶ。また、単位領域URの各々では、当該単位領域URに形成された発光素子Eと当該単位領域URに形成された制御トランジスタTcとの間の熱抵抗が、当該発光素子Eと当該単位領域URの隣の単位領域URに形成された制御トランジスタTcとの間の熱抵抗よりも小さい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流により駆動されて発光する電流駆動型の発光素子を発光させて像担持体に潜像を形成する光ヘッドと、光ヘッドを用いて画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の光ヘッドは、光源となる電流駆動型の発光素子と駆動電流を生成する駆動トランジスタ(薄膜トランジスタ等の能動素子)とを含む複数の単位回路を一方向に配列して構成されている。駆動トランジスタには特性のバラツキがあり得る。この傾向は、駆動トランジスタが薄膜トランジスタの場合に顕著となる。このようなバラツキがあると、形成される潜像に階調のムラが生じる虞がある。そこで、駆動トランジスタの特性のバラツキを補償(補正)して階調のムラを低減する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−144634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電流駆動型の発光素子は、その温度が高ければ高い輝度で発光するという温度特性を持つ。例えば、点灯(高階調)を指定する階調データを2回にわたって同一の単位回路に供給しても、これらの階調データに応じて当該単位回路の発光素子が発光するときの当該発光素子の温度が互いに異なれば、互いに異なる輝度での発光となる。これは潜像における階調のムラにつながる。したがって、画像形成装置に用いられる光ヘッドでは、画像が形成される期間において発光素子の温度を一定に保つべきである。
【0004】
発光素子の温度は、当該発光素子の付与熱量、すなわち当該発光素子に付与される熱量から当該発光素子から熱伝導により出ていく熱量を減じた熱量に応じて変動する。発光素子に付与される熱量のうち、著しく大きなものは、当該発光素子を熱源とする熱量と、当該発光素子を駆動する駆動トランジスタを熱源とする熱量である。これらの熱量は、当該発光素子の点灯中には発生するが、当該発光素子の消灯中には発生しない。したがって、発光素子の温度を一定に保つには、何らかの対策が必要である。しかし、そのような対策は提案されていない。
【0005】
また、光ヘッドにおいては互いに隣接する単位回路同士が近接して配置されるため、ある単位回路(以降、「第1単位回路」と称する)の発光素子に付与される熱量には、当該単位回路に隣接する単位回路(以降、「第2単位回路」と称する)の発光素子や駆動トランジスタを熱源とする熱量も含まれる。この熱量は、形成を要求される画像の解像度が高いほど、すなわち互いに隣接する単位回路が互いにより近接するほど、大きくなる。また、この熱量は、第2単位回路の発光素子の点灯中には発生するが、当該発光素子の消灯中には発生しない。よって、発光素子の温度を一定に保つには、何らかの対策が必要である。しかし、そのような対策は提案されていない。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みて為されたものであり、画像が形成される期間において電流駆動型の発光素子の温度が大きく変動することのない光ヘッドおよび画像形成装置を提供することを解決課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電流により駆動されて発光する発光素子と、前記発光素子に並列接続され、前記発光素子に対して高階調を指定する階調データを受けてオフ状態となる一方、前記発光素子に対して低階調を指定する階調データを受けてオン状態となる制御トランジスタと、前記発光素子に直列接続され、前記発光素子を駆動する電流を生成する駆動トランジスタとが形成された複数の単位領域が一方向に繰り返し並んだ光ヘッドであって、前記複数の単位領域の各々では、当該単位領域に形成された前記発光素子と当該単位領域に形成された前記制御トランジスタとの間の熱抵抗が、当該発光素子と当該単位領域の隣の単位領域に形成された前記制御トランジスタとの間の熱抵抗よりも小さい、ことを特徴とする光ヘッドを提供する。
【0008】
「電流により駆動されて発光する発光素子」は電流駆動型の発光素子を意味し、OLED(Organic Light-Emitting Diode)素子や無機EL(Electro Luminescent)素子等のEL素子を含む概念である。「熱抵抗」は熱の伝わり難さを示す指標であり、熱伝導率に反比例するパラメータを含む概念である。また、「隣の単位領域に形成された前記制御トランジスタとの間の熱抵抗よりも小さい」は、隣の単位領域が複数の場合には、「隣の複数の単位領域に形成された前記制御トランジスタとの間のいずれの熱抵抗よりも小さい」を意味する。また、「複数の単位領域が一方向に繰り返し並んだ」は、「複数の単位領域が一列に並んだ」、「複数の単位領域が複数列にわたって一方向に繰り返し並んだ」および「複数の単位領域が複数列にわたって一方向かつ千鳥状に繰り返し並んだ」を含む概念である。
【0009】
この光ヘッドでは、発光素子に並列接続された制御トランジスタが、発光素子に対して高階調を指定する階調データを受けてオフ状態となる一方、発光素子に対して低階調を指定する階調データを受けてオン状態となるから、発光素子に直列接続された駆動トランジスタにより生成される電流は、階調データが高階調を指定するものであっても低階調を指定するものであっても、確実に流れる。したがって、この光ヘッドを電子写真方式の画像形成装置における潜像の形成に用いれば、画像が形成される期間において、電流駆動型の発光素子の温度が大きく変動することはない。
【0010】
上記の光ヘッドにおいて、前記光ヘッドは複数の層で構成され、前記発光素子は電流が流れて発光する層状の発光部を有し、前記複数の単位領域の各々では、前記発光素子は、前記発光部に垂直な方向において前記制御トランジスタにも前記駆動トランジスタにも重ならない、ようにしてもよい。この態様では、エミッションタイプに関わらず、発光素子からの光が駆動トランジスタや制御トランジスタによって必要以上に遮られてしまうことがない。よって、設計の自由度が高くなる。なお、光ヘッドのエミッションタイプとしては、発光素子からの光が当該発光素子が形成された基板を透過して出射するボトムエミッションタイプと、ボトムエミッションタイプとは逆方向に光が出射するトップエミッションタイプと、両方向に出射するデュアルエミッションタイプとがある。
【0011】
上記の光ヘッドにおいて、前記光ヘッドは複数の層で構成され、前記発光素子は電流が流れて発光する層状の発光部を有し、前記複数の単位領域の各々では、前記発光素子は、前記発光部に垂直な方向において前記制御トランジスタに重なる、ようにしてもよい。光ヘッドを複数の層で構成する場合、その長さ(単位領域の長さ)に比較して、その厚さは著しく短くなる。したがって、発光素子が制御トランジスタに重なるということは、発光素子と制御トランジスタとが十分に近接することを意味する。つまり、この態様は、各単位領域における発光素子と制御トランジスタとの間の熱抵抗が必然的に十分に小さくなる構造となっている。また、この態様によれば、光ヘッドの光出射面に重なる発光部の総面積を広く確保すること、すなわち開口率を高く保つことができる。
【0012】
さらに、この態様において、前記発光素子は光透過性の第1基板上に形成され、前記駆動トランジスタおよび前記制御トランジスタは第2基板上に形成され、前記第1基板と前記第2基板との間に前記発光素子、前記駆動トランジスタおよび前記制御トランジスタが配置される、ようにしてもよい。この態様によれば、発光素子からの光は駆動トランジスタや制御トランジスタに遮られることなく第1基板を透過して出射する。
【0013】
本発明は、上記の各種態様の光ヘッドと、像担持体とを備え、前記像担持体を帯電し、前記像担持体の帯電された面に前記光ヘッドからの光を照射して潜像を形成し、前記潜像にトナーを付着させて顕像を形成し、前記顕像を他の物体に転写することを特徴とする画像形成装置を提供する。この画像形成装置によれば、形成される画像における階調のムラを低減することができるとともに、備える光ヘッドによりもたらされる効果を享受することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<A:光ヘッド>
図1は、本発明の実施の形態に係る光ヘッド(露光装置)10を用いる画像形成装置の部分的な構成を示す斜視図である。同図に示すように、画像形成装置は光ヘッド10と集光性レンズアレイ15と感光体ドラム110とを含む。光ヘッド10は、基板の表面に直線状に配列された多数の発光素子を含む。これらの発光素子は、用紙などの記録材に印刷されるべき画像の態様に応じて選択的に発光する。感光体ドラム110は、主走査方向に延在する回転軸に支持され、外周面を光ヘッド10に対向させた状態で副走査方向(記録材が搬送される方向)に回転する。
【0015】
集光性レンズアレイ15は光ヘッド10と感光体ドラム110との間隙に配置される。この集光性レンズアレイ15は、各々の光軸を光ヘッド10に向けた姿勢でアレイ状に配列された多数の屈折率分布型レンズを含む。このような集光性レンズアレイ15としては、例えば日本板硝子株式会社から入手可能なSLA(セルフォック・レンズ・アレイ)がある(セルフォック/SELFOCは日本板硝子株式会社の登録商標)。
【0016】
光ヘッド10の各発光素子からの出射光は集光性レンズアレイ15の各屈折率分布型レンズを透過したうえで感光体ドラム110の表面に到達する。これが「露光」である。この露光によって感光体ドラム110の表面には所望の画像に応じた潜像(静電潜像)が形成される。本実施の形態においては、横(主走査方向)n列×縦(副走査方向)1行にわたって画素がマトリクス状に配列された潜像が形成される場合を想定する。なお、本実施の形態を変形し、画素の並びが横n列×縦m行となるようにしてもよいし、さらに、複数の画素が千鳥状に並ぶようにしてもよい。
【0017】
<A−1:光ヘッド10の構成>
光ヘッド10は、その電気的な構成により、光ヘッド10Aと光ヘッド10Bとに大別される。以降の説明において、両者を区別する必要がない場合には、「光ヘッド10」を用いる。図2は光ヘッド10Aの電気的な構成を示すブロック図であり、図3は光ヘッド10の駆動に利用される各信号の波形を例示するタイミングチャートである。図2に示すように、光ヘッド10は、基板12の表面に第1選択回路部30、第2選択回路部40および発光回路ブロック50が配置された構造となっている。発光回路ブロック50は、各々が発光素子Eを含むn個の単位回路Uを含む。単位回路U1〜Unは主走査方向に沿って配列しており、隣り合う単位回路は、画像形成装置に要求される解像度で潜像を形成することができるように近接して配置されている。
【0018】
光ヘッド10には、画像形成装置の制御装置(例えばCPUやコントローラである。以下では「上位装置」という)からクロック信号(例えばクロック信号CLKaおよびクロック信号CLKb)など様々な制御信号や、各種のデータ(例えば補正データAや階調データD)、各種の電位(例えば高電位の電源電位Velや低電位の接地電位Gnd)が供給される。発光素子Eは、これに供給される駆動電流Ielに応じた輝度で発光する電流駆動型の発光素子であり、具体的には、有機EL材料からなる発光層を陽極と陰極との間に介在させたOLED素子である。もちろん、OLED素子以外の電流駆動型の発光素子(例えば無機EL素子)を用いるように変形してもよい。
【0019】
第1選択回路部30および第2選択回路部40の各々は、例えばICチップの形態で基板に実装される。また、単位回路U1〜Unを構成する各要素とともに基板の表面に形成された素子(例えば薄膜トランジスタなどの能動素子)によって第2選択回路部40や第1選択回路部30が構成された構造(単位回路U1〜Unと第1選択回路部30および第2選択回路部40とが基板の表面に一体的に作り込まれた構造)も採用される。この構造における基板としては、例えばガラスやプラスチックなどの絶縁性材料からなる基板が好適に採用される。
【0020】
図3に示すように、光ヘッド10が動作する期間は第1期間Paと第2期間Pbとに区分される。第2期間Pbは、記録材に形成されるべき画像に応じて各発光素子Eの輝度が実際に制御される期間である。換言すると、第2期間Pbは、その期間内における各発光素子Eの発光に応じた画像が実際に記録材に形成されて出力される期間である。一方、第1期間Paは、各発光素子Eの階調の制御が停止している期間である。例えば、電源の投入の直後に光ヘッド10の各部の状態を初期化するための期間や、外部に出力される画像に各発光素子Eの階調が反映されない期間(例えば複数の記録材に画像を形成するときの間隔(紙間)の期間)が第1期間Paに該当する。
【0021】
図2に示すように、第1選択回路部30は、第1選択回路31、n個のメモリ32およびn個のD/A変換器33を含む。n個のメモリ32の各々およびn個のD/A変換器33の各々は、単位回路U1〜Unの各々に対応して設けられている。第1選択回路31は、第1期間Paにおいて、n個のメモリ32の各々を、対応する単位回路Uの配列の順番(すなわち単位回路U1から単位回路Unに向かう順番)で順次に選択する手段である。具体的には、第1選択回路31は、n段のシフトレジスタであり、図3に示すように、クロック信号CLKaに同期したタイミングで所定のパルス信号(図示略)を順次にシフトすることで第1選択信号SA1〜SAnを出力する。したがって、第1選択信号SA1〜SAnはクロック信号CLKaの周期T1ごとに順番にアクティブレベルに遷移する。第1選択信号SAi(iは1≦i≦nを満たす整数)のアクティブレベルへの遷移は単位回路Uiの選択を意味する。なお、第2期間Pbにおいては第1選択回路31の動作が停止する(例えばクロック信号CLKaの供給が停止される)。
【0022】
n個のメモリ32は、kビットのデータを記憶し、記憶しているデータを出力するものであり、信号線L1に対して共通に接続される。kは自然数である。信号線L1には第1期間Paにおいて各単位回路Uの補正データAがクロック信号CLKaに同期したタイミングでシリアルに供給される。補正データAは、駆動トランジスタTdrのドレインから出力される電流を単位回路U毎に設定するkビットのデジタルデータであり、例えば、補正データAiは、対応する単位回路Uiにおいて駆動トランジスタTdrのドレインから出力される電流を設定するデータである。単位回路Uiに対応するメモリ32は、アクティブレベルへの遷移が当該単位回路Uiの選択を意味する第1選択信号SAiの供給を受け、この信号がアクティブレベルへ遷移すると、信号線L1から補正データAiを取り込み、記憶する。
【0023】
補正データAは、各発光素子Eの輝度を事前に測定した結果や光ヘッド10の利用者による操作に応じて発光素子Eごとに予め生成される。例えば、各々に同じ電流値の駆動電流Idrを供給したうえで総ての発光素子Eの実際の輝度が測定され、その測定の結果(非補正時における輝度のバラツキ)に基づいて、総ての発光素子Eの輝度が均一化されるように単位回路U1〜Unの各々について補正データAが決定される。
【0024】
D/A変換器33は、対応するメモリ32から出力された補正データAを入力し、この補正データAが示す補正電位Vaを対応する単位回路Uに供給する。例えば、単位回路Uiに対応するD/A変換器33は、当該単位回路Uiに対応するメモリ32から出力された補正データAiを入力し、補正データAiが示す補正電位Vaiを当該単位回路Uiに供給する。
【0025】
図2に示すように、第2選択回路部40は、第2選択回路41およびn個のラッチ42を含む。n個のラッチ42の各々は、単位回路U1〜Unの各々に対応して設けられている。第2選択回路41は、第1選択回路31と同様に、単位回路U1〜Unの各々を順次に選択する手段(例えばn段のシフトレジスタ)である。図3に示すように、第2選択回路41は、クロック信号CLKbに同期したタイミングで所定のパルスを順次にシフトすることで選択信号SB1〜SBnを出力する。したがって、選択信号SB1〜SBnはクロック信号CLKbの周期T2(<周期T1)ごとに順番にアクティブレベルに遷移する。選択信号SBiのアクティブレベルへの遷移は単位回路Uiの選択を意味する。なお、第1期間Paにおいては第2選択回路41の動作が停止する(例えばクロック信号CLKbの供給が停止される)。
【0026】
n個のラッチ42は、ラッチしたデータを出力するものであり、信号線L2に対して共通に接続される。信号線L2には第2期間Pbにおいて各単位回路Uの階調データDがクロック信号CLKbに同期したタイミングでシリアルに供給される。階調データDは、単位回路U毎に階調(高階調/低階調)を指定する1ビットのデータであり、例えば、階調データDiは、単位回路Uiにおける発光素子Eの階調を指定するデータである。図3に示すように、階調データD1〜Dnはクロック信号CLKbに同期して順次に光ヘッド10に入力される。選択信号SBiがハイレベルを維持する期間において信号線L2には階調データDiが供給される。単位回路Uiに対応するラッチ42は、アクティブレベルへの遷移が当該単位回路Uiの選択を意味する第2選択信号SBiの供給を受け、この信号がアクティブレベルへ遷移すると、信号線L2から階調データDiをラッチする一方、ラッチした階調データDiを単位回路Uiに供給する。
【0027】
本実施の形態を変形し、メモリ32およびラッチ42をそれぞれ2段に配置した構成としてもよい。この構成においては、単位回路U1〜Unにおいて、補正データA1〜Anは、1段目のメモリ32によって点順次にラッチされた後に2段目のメモリ32によって所定のタイミングで一斉に(線順次に)ラッチされる一方、階調データD1〜Dnは、1段目のラッチ42によって点順次にラッチされた後に2段目のラッチ42によって所定のタイミングで一斉に(線順次に)ラッチされる。
【0028】
<A−2:光ヘッド10Aの構成>
図2に示すように、n個の単位回路Uは、給電線L3に対して共通に接続される。給電線L3には電源電位Velが供給される。単位回路Uの構成は、光ヘッド10Aと光ヘッド10Bとで異なる。ここでは、光ヘッド10Aにおける単位回路Uの構成について説明する。単位回路Uにおいて、給電線L3(電源電位Vel)から接地線L4(接地電位Gnd)に至る経路にはpチャネル型の駆動トランジスタTdrと発光素子Eが直列に介挿される。駆動トランジスタTdrは、ソースとゲートの間の電圧Vgsに応じた駆動電流Ielを生成するための手段であり、そのソースが給電線L3に接続されるとともにドレインが発光素子Eの陽極に接続される。駆動トランジスタTdrのゲートには、対応するD/A変換器33から補正電位Vaが供給される。例えば、単位回路Uiの駆動トランジスタTdrのゲートには、対応するD/A変換器33から補正電位Vaiが供給される。発光素子Eの陰極は接地線L4に接続される。
【0029】
上記の経路において、発光素子Eと並列に制御トランジスタTcが接続される。制御トランジスタTcは、nチャネル型のトランジスタであり、そのドレインは発光素子Eの陽極に、そのソースは接地線L4に接続される。制御トランジスタTcのゲートには、対応するラッチ42から階調データDが供給される。例えば、単位回路Uiの制御トランジスタTcのゲートには、階調データDiが供給され、その電位は階調データDiの電位となる。したがって、制御トランジスタTcは対応する階調データDに応じてオン/オフする。
【0030】
また、制御トランジスタTcは、オン状態におけるインピーダンスが、発光素子Eに比較して十分に低くなるように、換言すればオン状態においては駆動トランジスタTdrのドレインから出力される電流の大部分が制御トランジスタTcを通るように設計されている。したがって、制御トランジスタTcがオン状態の場合の発光素子Eの輝度は十分に低くなり、発光素子Eを非発光とする場合と同様の潜像が得られる。つまり、制御トランジスタTcは、そのゲートに供給される階調データDに応じて発光素子Eの発光を制御する手段として機能する。また、制御トランジスタTcは、駆動トランジスタTdrのドレインから出力される電流の迂回路となって単位回路Uiの消費電力を階調データDに依存しないものとする手段でもある。
【0031】
<A−3:光ヘッド10A1の構造>
次に、光ヘッド10Aの構造について説明する。光ヘッド10Aの構造としては様々な形態が考えられる。これらの形態のうち、まず、或る形態の光ヘッド(以降、「光ヘッド10A1」と称する)の構造について説明する。図4は光ヘッド10A1を感光体ドラム110から眺めた平面図であり、図5は図4のA−A’断面図である。図4では、図面が繁雑になるのを避けるために、基板等の部材の図示が省略されている。また、図4および図5には、単位回路Uが占める領域である単位領域URの一例として、単位回路Uiに対応する単位領域URiが図示されている。他の単位領域URの構造は、単位領域URiの構造と同様である。また、以降の説明では、光ヘッド10A1の発光素子Eを「発光素子E1」と称する。
【0032】
図5に示すように、基板12上には、駆動トランジスタTdr、制御トランジスタTc、給電線L3および接地線L4が形成されている。基板12の面上には、シリコンなどの半導体材料によって半導体層63が形成されており、半導体層63上には、絶縁層70を挟んでゲート電極Gtがトランジスタ毎に形成されている。各トランジスタは、対応するゲート電極Gt、ソース電極STおよびドレイン電極DTと、当該ゲート電極Gtの近傍の半導体層63とを含む。各トランジスタに含まれる半導体層63は、ゲート電極Gtに対向するチャネル領域CRと、チャネル領域CRを挟むソース領域SRおよびドレイン領域DRとを含む薄膜トランジスタである。ソース領域SRはソース電極STに導通しており、ドレイン領域DRはドレイン電極DTに導通している。駆動トランジスタTdrのソース電極STは給電線L3の一部であり、制御トランジスタTcのソース電極STは接地線L4の一部である。図4に示すように、各単位回路Uにおいて、駆動トランジスタTdrのドレイン電極DTは制御トランジスタTcのドレイン電極DTを兼ねている。
【0033】
駆動トランジスタTdrおよび制御トランジスタTcは、透明な材料から形成された絶縁層62に覆われている。絶縁層62上には発光素子E1が形成されている。発光素子E1は、ITO(Indium Tin Oxide)等の材料から形成された透明電極である陽極Ep1と、発光部Eeと、Caなどのアルカリ金属材料とアルミニウム等の低抵抗材料を積層して形成された電極である共通陰極En1とを含む。発光部Eeは、有機EL材料から形成された発光層のうち、陽極Ep1と共通陰極En1とに挟まれ、電流が流れて発光する部分である。発光部Eeは陽極Ep1の上層であるとともに共通陰極En1の下層である。陽極Ep1は、コンタクトCntを介して駆動トランジスタTdrのドレイン電極DTに導通している。共通陰極En1は単位回路U1〜Unに共通である。
【0034】
単位回路Uにおける発光素子E1と制御トランジスタTcとの間の熱抵抗は、十分に小さい。具体的に例示すると、単位回路Uiにおける発光素子E1と制御トランジスタTcとの間の熱抵抗は、当該発光素子E1と単位回路Ui+1の制御トランジスタTcとの間の熱抵抗よりも小さく、かつ当該発光素子E1と単位回路Ui-1の制御トランジスタTcとの間の熱抵抗よりも小さい。熱抵抗は熱の伝わり難さを示す指標であり、熱伝導率に反比例するパラメータを熱抵抗として採用することも可能である。
【0035】
発光素子E1上には共通陰極En1を覆うようにパッシベーション層641が形成されており、パッシベーション層641上には接着層651が形成されており、接着層651上には封止基板661が重なっている。パッシベーション層641は窒化珪素や酸化珪素などの材料から形成されており、封止基板661はガラスやプラスチック等の材料から形成されている。両者は、発光素子E1を外気や水分から保護する役割を果たす。接着層651は、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂等の接着剤から形成されており、パッシベーション層641と封止基板661とを接着する役割を果たす。なお、発光素子E1の封止方法は上記の発光素子が形成された基板と封止基板との間を接着剤で充填する封止方法に限られず、窒素や希ガスなどの不活性ガスや不活性液体を発光素子と封止基板の間に充填する封止方法や、発光素子上に上記のパシベーション層のような薄膜を形成しこれにより封止する方法を採用しても良い。
【0036】
<A−4:光ヘッド10A1の熱伝導>
図6、図7、図9および図10は、発光回路ブロック50における熱伝導の様子を3つの単位領域URi-1、URiおよびURi+1について例示する図である。これらの図には、電流が流れて主要な熱源となっている、駆動トランジスタ領域TdrR、制御トランジスタ領域TcRおよび発光素子領域ERが示されている。駆動トランジスタ領域TdrRは、駆動トランジスタTdrが占める領域のうちの電流が流れる領域である。制御トランジスタ領域TcRは、制御トランジスタTcが占める領域のうちの電流が流れる領域である。発光素子領域ERは、発光素子E1が占める領域のうちの電流が流れる領域であり、発光部Eeが占める領域を含む。
【0037】
図6、図7、図9および図10では、発光回路ブロック50を単位回路Uの配列方向に平行な断面上の熱伝導の様子が同心円により示されている。具体的には、発光素子領域ERを熱源とする熱伝導の様子が点線の同心円で、駆動トランジスタ領域TdrRを熱源とする熱伝導の様子が実線の同心円で、制御トランジスタ領域TcRを熱源とする熱伝導の様子が一点鎖線の同心円で示されている。なお、熱源からの熱は放射状に伝わるが、発光回路ブロック50の熱伝導率は一様ではないし、熱源には形状があるから、実際には、伝わる熱量が等しい位置を結んでも円にはならない。また、主要な熱源とは、発光素子領域ERに付与される熱量に対して十分に大きな影響を与える熱源であり、その候補としては、発光素子領域ER、駆動トランジスタ領域TdrRおよび制御トランジスタ領域TcRが挙げられる。また、上記の断面は、図6と図9とで共通し、図7と図10とで共通している。
【0038】
[ケース1]
図6および図7は、階調データDi-1、DiおよびDi+1がいずれも高階調を指定するデータである場合(ケース1)の熱伝導の様子を示している。ケース1では、単位回路Ui-1、UiおよびUi+1において制御トランジスタTcがオフ状態となる。したがって、駆動トランジスタTdrにより生成される電流の全てが駆動電流Ielとなり、この駆動電流Ielに応じた輝度で発光素子E1が発光する。単位回路Ui-1、UiおよびUi+1において、駆動トランジスタTdrのゲートには補正データAi-1、AiおよびAi+1に応じた電位Vai-1、VaiおよびVai+1が供給されるから、駆動トランジスタTdrは、発光素子E1の輝度が一定となる電流を生成する。よって、ケース1では、単位回路Ui-1、UiおよびUi+1において、発光素子E1を発光させる電流が駆動トランジスタTdrおよび発光素子E1を流れ、発光素子E1が発光し、図6および図7に示すように、単位領域URi-1、URiおよびURi+1において、駆動トランジスタ領域TdrRおよび発光素子領域ERが主要な熱源となる。
【0039】
ケース1での付与熱量の分布は、例えば図8に示すものとなる。ある位置の付与熱量とは、その位置の物質の付与熱量であり、当該物質が自ら生成する熱量と他の物質から熱伝導により与えられる熱量との和から他の物質へ熱伝導により与える熱量を減じて定まる。図8は、発光回路ブロック50における付与熱量の分布の一例を示す積み上げグラフであり、単位回路Ui-1、UiおよびUi+1の発光素子領域ERを通る直線における分布が示されている。このグラフにおいて、付与熱量は、領域a〜fを積み上げて表されている。領域a〜fは、互いに異なる熱源に対応し、対応する熱源から付与される熱量をその幅(縦軸方向の長さ)で示している。領域a〜fが対応する熱源は、それぞれ、単位領域URiの発光素子領域ERi、単位領域URiの駆動トランジスタ領域TdrRi、単位領域URi-1の発光素子領域ERi-1、単位領域URi-1の駆動トランジスタ領域TdrRi-1、単位領域URi+1の発光素子領域ERi+1、単位領域URi+1の駆動トランジスタ領域TdrRi+1である。なお、図8では、図面が繁雑になるのを避けるために、単位領域URi-1、URiおよびURi+1以外の領域との間でやり取りされる熱量の図示を省略している。また、図8では、領域c〜fが途中で切れているように見えるが、実際には、領域c〜fは極めて狭い幅ながらも切れることなく延在する。
【0040】
ケース1では、例えば、発光素子領域ERiに付与される熱量は、発光素子領域ERiを熱源とする熱量(領域a)、駆動トランジスタ領域TdrRiを熱源とする熱量(領域b)、発光素子領域ERi-1を熱源とする熱量(領域c)、駆動トランジスタ領域TdrRi-1を熱源とする熱量(領域d)、発光素子領域ERi+1を熱源とする熱量(領域e)および駆動トランジスタ領域TdrRi+1を熱源とする熱量(領域f)の総量に応じたものとなる。
【0041】
[ケース2]
図9および図10は、階調データDi-1が高階調を指定するデータであり、かつ階調データDiおよびDi+1が低階調を指定するデータである場合(ケース2)の熱伝導の様子を示している。この場合、単位回路Ui-1において制御トランジスタTcがオフ状態となり、単位回路UiおよびUi+1において制御トランジスタTcがオン状態となる。したがって、単位回路Ui-1においては、発光素子E1を発光させる電流が駆動トランジスタTdrおよび発光素子E1を流れ、発光素子E1が発光する。よって、単位領域URi-1においては、図9および図10に示すように、駆動トランジスタ領域TdrRi-1および発光素子領域ERi-1が主要な熱源となる。一方、単位回路UiおよびUi+1においては、駆動トランジスタTdrにより生成される電流のほとんど全てが制御トランジスタTcを通ることになる。よって、図9および図10に示すように、単位領域URiにおいては、駆動トランジスタ領域TdrRi-1および制御トランジスタ領域TcRi-1が主要な熱源となり、単位領域URi+1においては、駆動トランジスタ領域TdrRi+1および制御トランジスタ領域TcRi+1が主要な熱源となる。このように、単位回路Uでは、発光素子Eが発光して発熱するときには制御トランジスタTcが発熱せず、制御トランジスタTcが発光しないときには発光素子Eが発熱する。つまり、発熱に着目すると、発光素子Eと制御トランジスタTcとが相補的に機能する。
【0042】
ケース2での付与熱量の分布は、例えば図11に示すものとなる。図11は図8と同様の積み上げグラフであり、領域aの代わりに領域gが、領域eの代わりに領域hが存在する。領域gが対応する熱源は単位領域URiの制御トランジスタ領域TcRであり、領域hが対応する熱源は単位領域UiRの制御トランジスタ領域TcRである。
【0043】
ケース2では、例えば、単位領域URiの発光素子領域ERiに付与される熱量は、制御トランジスタ領域TcRiを熱源とする熱量(領域g)、駆動トランジスタ領域TdrRiを熱源とする熱量(領域b)、発光素子領域ERi-1を熱源とする熱量(領域c)、駆動トランジスタ領域TdrRi-1を熱源とする熱量(領域d)、制御トランジスタ領域TcRi+1を熱源とする熱量(領域h)および駆動トランジスタ領域TdrRi+1を熱源とする熱量(領域f)の総量に応じたものとなる。
【0044】
ケース1であってもケース2であっても、単位回路Uiの駆動トランジスタTdrのゲートには補正データAiに応じた電位Vaiが供給されるから、単位回路Uiの駆動トランジスタTdrは、一定の電流を生成する。この電流は、ケース1では発光素子E1を通って接地線L4に流れ込み、ケース2では制御トランジスタTc(および発光素子E1)を通って接地線L4に流れ込む。したがって、単位回路Uiの消費電力は、ケース1とケース2とで同一となる。よって、単位領域URiの発熱量は、ケース1とケース2とで略同一となる。このことは、単位領域URi+1にもあてはまる。
【0045】
つまり、単位領域URの発熱量は、階調データDに依存せず、それぞれ略一定となる。また、単位領域URiにおいて、発光素子E1と制御トランジスタTcとの間の熱抵抗は十分に小さい。よって、ある単位領域URの制御トランジスタTcにより発せられて当該単位領域UR内外の発光素子領域ERに付与される熱量(当該単位領域URが単位領域URiであれば図11の領域g)は、当該単位領域URの駆動トランジスタTdrにより生成された電流の全てが駆動電流Ielとして用いられた場合に発生して当該単位領域UR内外の発光素子領域ERに付与される熱量(当該単位領域URが単位領域URiであれば図8の領域a)と略同一となる。
【0046】
<A−5:光ヘッド10A1の効果>
以上より、光ヘッド10A1によれば、記録材に形成されるべき画像に応じて各発光素子E1の輝度が実際に制御される第2期間Pbにおいて、各発光素子E1の温度が略一定に保たれる。よって、点灯時における各発光素子E1の輝度が略一定となる。
【0047】
光ヘッド10A1は、発光素子からの光が当該発光素子が形成された基板を透過して出射するボトムエミッションタイプの発光装置である。ボトムエミッションタイプの発光装置では、発光素子から基板12へ進行する光をなるべく遮らないようにする必要がある。光ヘッド10A1では、発光素子E1の層と基板12との間に駆動トランジスタTdrのみならず制御トランジスタTcも存在するから、普通に考えればボトムエミッションタイプの構造を採り難い。しかし、光ヘッド10A1では、発光素子領域ERには駆動トランジスタ領域TdrRも制御トランジスタTcRも重ならないため、ボトムエミッションタイプの構造を採っても、発光素子から基板12へ進行する光をほとんど遮らずに済む。
【0048】
光ヘッド10A1では、発光素子領域ERには駆動トランジスタ領域TdrRも制御トランジスタTcRも重ならないから、任意のエミッションタイプを採ることが可能であり、設計の自由度が高い。ボトムエミッションタイプ以外のエミッションタイプとしては、ボトムエミッションタイプとは逆方向に光が出射するトップエミッションタイプや、両方向に出射するデュアルエミッションタイプがある。
【0049】
<A−6:光ヘッド10A2の構造>
光ヘッド10A1を変形してトップエミッションタイプの構造とするのであれば、発光素子領域ERに駆動トランジスタ領域TdrRおよび制御トランジスタTcRの少なくとも一方が重なっていてもよいことになる。発光素子領域ERに駆動トランジスタ領域TdrRおよび制御トランジスタTcRが重なった構造の光ヘッド10A2の発光回路ブロック50の断面図を図12に示す。この図において、図5と共通する部分には同一の符号が付されている。なお、以降の説明では、光ヘッド10A2の発光素子Eを「発光素子E2」と称する。
【0050】
図12に示すように、光ヘッド10A2では、基板12上において駆動トランジスタTdrと制御トランジスタTcとが近接して配置されており、発光素子E2に重なっている。両トランジスタ間ではドレイン電極DTが共通している。駆動トランジスタTdrおよび制御トランジスタTcを覆う絶縁層62上には発光素子E2が形成されている。発光素子E2は、アルミニウム等の光反射材料とITO(Indium Tin Oxide)等の透明材料を積層したものや銀等の貴金属材料から形成された電極である陽極Ep2と、発光部Eeと、CaやMgAg等の材料を用いて10nm以下の薄膜として形成された光透過性電極である共通陰極En2とを含む。この構造において、発光部Eeは、有機EL材料から形成された発光層のうち、陽極Ep2と共通陰極En2とに挟まれ、電流が流れて発光する部分である。発光部Eeは陽極Ep2の上層であるとともに共通陰極En2の下層である。陽極Ep2は、コンタクトCntを介して、駆動トランジスタTdrおよび制御トランジスタTcに共通のドレイン電極DTに導通している。共通陰極En2は全ての単位回路Uに共通である。
【0051】
発光素子E2上には共通陰極En2を覆うようにパッシベーション層642が形成されており、パッシベーション層642上には接着層652が、接着層652上には封止基板662が重なっている。パッシベーション層642は窒化珪素や酸化珪素などの透明な材料から形成されており、封止基板662はガラスやプラスチック等の透明な材料から形成されている。両者は、発光素子E2を外気や水分から保護する役割を果たす。接着層652は、熱硬化性または光硬化性の透明な樹脂等の接着剤から形成されており、パッシベーション層642と封止基板662とを接着する役割を果たす。なお、発光素子E2の封止方法は上記の発光素子が形成された基板と封止基板との間を接着剤で充填する封止方法に限られず、窒素や希ガスなどの不活性ガスや不活性液体を発光素子と封止基板の間に充填する封止方法や、発光素子上に上記のパシベーション層のような薄膜を形成しこれにより封止する方法を採用しても良い。また、光ヘッド10A2はトップエミッションタイプの発光装置であるから、基板12および絶縁層62は遮光性の材料から形成されてもよい。
【0052】
<A−7:光ヘッド10A2の効果>
光ヘッド10A2は複数の層を積み重ねて形成されているから、その長さ(単位回路U1〜Unの配列方向の長さ)に比較して、その厚さは著しく短い。また、光ヘッド10A2では、単位領域URにおいて、発光素子E2が制御トランジスタTcに重なっている。よって、単位領域URの各々において、必然的に、発光素子E2と制御トランジスタTcとが十分に近接する。つまり、光ヘッド10A2の構造は、例えば、単位回路Uiにおける発光素子E2と制御トランジスタTcとの間の熱抵抗が、当該発光素子E2と単位回路Ui+1の制御トランジスタTcとの間の熱抵抗よりも小さく、かつ当該発光素子E2と単位回路Ui-1の制御トランジスタTcとの間の熱抵抗よりも小さくなる構造となっている。
【0053】
また、光ヘッド10A1と同様に、いかなる階調データDが供給されようとも、複数の発光素子E2の温度はそれぞれ略一定となる。したがって、光ヘッド10A2によれば、光ヘッド10A1により得られる効果と同様の効果を得ることができる。ただし、光ヘッド10A2を変形してボトムエミッションタイプまたはデュアルエミッションタイプとすることはできない。なお、光ヘッド10A2によれば、発光素子E2に制御トランジスタTcを重ねることができるから、光ヘッド10A2の光出射面に重なる発光部Eeの総面積を広く確保することができる。
【0054】
<A−8:光ヘッド10Bの構成>
光ヘッド10A2は、トップエミッションの構造を採ることによって、発光素子Eに駆動トランジスタTdrおよび制御トランジスタTcの両方を重ねることを可能としているが、ボトムエミッションの構造を採りながらこれを可能とすることもできる。その一例である光ヘッド10Bを図13および図14に示す。図13は光ヘッド10Bの電気的な構成を示すブロック図であり、図14は、光ヘッド10A1における図5に相当する、光ヘッド10Bの発光回路ブロック50の断面図である。これらの図において、図2および図5と共通する部分には同一の符号が付されている。
【0055】
図13に示すように、光ヘッド10Bの電気的構成が光ヘッド10Aの電気的構成と異なる点は、発光回路ブロック50における単位回路U1〜Unの構成のみである。光ヘッド10Bの単位回路U1〜Unの各々において、給電線L3(電源電位Vel)から接地線L4(接地電位Gnd)に至る経路には発光素子E1とnチャネル型の駆動トランジスタTdrが直列に介挿される。駆動トランジスタTdrのソースは発光素子E1の陰極に、ドレインは接地線L4に接続される。駆動トランジスタTdrは、ソースとゲートの間の電圧Vgsに応じた電流をドレインから出力する。したがって、発光素子E1を流れる駆動電流Ielは、駆動トランジスタTdrのソースとゲートの間の電圧Vgsに応じたものとなる。よって、駆動トランジスタTdrは、ソースとゲートの間の電圧Vgsに応じた駆動電流Ielを生成するための手段として機能する。駆動トランジスタTdrのゲートには、対応するD/A変換器33から補正電位Vaが供給される。例えば、単位回路Uiの駆動トランジスタTdrのゲートには、対応するD/A変換器33から補正電位Vaiが供給される。
【0056】
上記の経路において、発光素子Eと並列にpチャネル型の制御トランジスタTcが接続される。制御トランジスタTcのドレインは給電線L3に、そのソースは発光素子E1の陰極に接続される。制御トランジスタTcのゲートには、対応するラッチ42から階調データDが供給される。例えば、単位回路Uiの制御トランジスタTcのゲートには、階調データDiが供給され、その電位は階調データDiの電位となる。したがって、制御トランジスタTcは対応する階調データDに応じてオン/オフする。
【0057】
また、制御トランジスタTcは、オン状態におけるインピーダンスが、発光素子Eに比較して十分に低くなるように、換言すればオン状態においては給電線L3からの電流の大部分が制御トランジスタTcを通るように設計されている。したがって、制御トランジスタTcがオン状態の場合の発光素子E1の輝度は十分に低くなり、この場合に発光素子E1を非発光とする場合と同様の潜像が得られる。よって、制御トランジスタTcは、そのゲートに供給される階調データDに応じて発光素子E1の発光を制御する手段として機能する。また、制御トランジスタTcは、給電線L3からの電流の迂回路となって単位回路Uiの消費電力を階調データDに依存しないものとする手段でもある。
【0058】
<A−9:光ヘッド10Bの構造>
図14の断面図の向きは図5の断面図の向きと同一であるが、図14においては、基板12の下方に発光素子E1が位置し、発光素子E1においては発光部Eeの上方に陽極Ep1が位置し、発光部Eeの下方に陰極En1が位置する。これは、発光素子E1が形成される基板12とは別に、駆動トランジスタTdrおよび制御トランジスタTcが形成される基板67が存在するためである。つまり、光ヘッド10Bは、発光素子E1が形成された基板12と、駆動トランジスタTdrおよび制御トランジスタTcが形成された基板67とを接着層651で貼り合わせた構造を採っている。
【0059】
光ヘッド10Bでは、駆動トランジスタTdrおよび制御トランジスタTcは、基板67上に形成される。駆動トランジスタTdrのソース電極STは接地線L4の一部であり、制御トランジスタTcのソース電極STは給電線L3の一部である。各単位回路Uにおいて、駆動トランジスタTdrのドレイン電極DTは制御トランジスタTcのドレイン電極DTを兼ねている。駆動トランジスタTdrおよび制御トランジスタTcは絶縁層62に覆われており、絶縁層62上には単位領域UR毎に配線68が形成されている。各配線68は、コンタクトCntを介して、駆動トランジスタTdrおよび制御トランジスタTcに共通のドレイン電極DTに導通している。
【0060】
一方、発光素子E1は、基板12下に形成されており、その共通陰極En1は、一部を除いて、図5のパッシベーション層651と同様のパッシベーション層PLに覆われている。パッシベーション層PLに覆われていない部分は、単位領域UR毎に存在する。これらの部分は、それぞれ、金属などの材料から形成された導通材Mを通じて配線68に導通している。接着層62は、この導通を阻害することなく、パッシベーション層PLおよび共通陰極En1と絶縁層62および配線68とに挟まれる空間を埋めるように形成されている。なお、基板12、パッシベーション層PL、接着層651および絶縁層62は遮光性の材料から形成されてもよい。
【0061】
<A−10:光ヘッド10Bの効果>
上述したことから明らかなように、発光素子E1は光透過性の基板12上に形成され、駆動トランジスタTdrおよび制御トランジスタTcは基板67上に形成され、基板12と基板67との間に発光素子E1、駆動トランジスタTdrおよび制御トランジスタTcが配置される。よって、光ヘッド10Bによれば、発光素子E1からの光は、駆動トランジスタTdrや制御トランジスタTcに遮られることなく基板12を透過して出射する。つまり、ボトムエミッションタイプの発光装置を用いることが可能である。また、光ヘッド10Bによれば、光ヘッド10A2により得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0062】
<B:画像形成装置>
次に、図15を参照して、本発明に係る画像形成装置の一態様について説明する。この画像形成装置は、ベルト中間転写体方式を利用したタンデム型のフルカラー画像形成装置である。
【0063】
この画像形成装置では、各々が同様の構成である4個の光ヘッド10K,10C,10M,10Yが、各々の構成が同様である4個の感光体ドラム(像担持体)110K,110C,110M,110Yの像形成面110Aに対向する位置にそれぞれ配置されている。光ヘッド10K,10C,10M,10Yは、以上の各形態に係る光ヘッド10と同様の構成である。
【0064】
図15に示すように、この画像形成装置には、駆動ローラ121と従動ローラ122とが設けられており、これらのローラ121,122には無端の中間転写ベルト120が巻回されて、矢印に示すようにローラ121,122の周囲を回転させられる。図示しないが、中間転写ベルト120に張力を与えるテンションローラなどの張力付与手段を設けてもよい。
【0065】
この中間転写ベルト120の周囲には、外周面に感光層を有する4個の感光体ドラム110K,110C,110M,110Yが互いに所定の間隔をおいて配置される。添字「K」,「C」,「M」,「Y」はそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローの顕像を形成するために使用されることを意味している。他の部材についても同様である。感光体ドラム110K,110C,110M,110Yは、中間転写ベルト120の駆動と同期して回転駆動される。
【0066】
各感光体ドラム110(K,C,M,Y)の周囲には、コロナ帯電器111(K,C,M,Y)と、光ヘッド10(K,C,M,Y)と、現像器114(K,C,M,Y)とが配置されている。コロナ帯電器111(K,C,M,Y)は、これに対応する感光体ドラム110(K,C,M,Y)の像形成面110A(外周面)を一様に帯電させる。光ヘッド10(K,C,M,Y)は、各感光体ドラムの帯電した像形成面110Aに静電潜像を書き込む。各光ヘッド10(K,C,M,Y)においては、感光体ドラム110(K,C,M,Y)の母線(主走査方向)に沿って複数の発光素子Eが配列する。静電潜像の書き込みは、複数の発光素子Eによって感光体ドラム110(K,C,M,Y)に光を照射することにより行う。現像器114(K,C,M,Y)は、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラム110(K,C,M,Y)に顕像(すなわち可視像)を形成する。
【0067】
このような4色の単色顕像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各顕像は、中間転写ベルト120上に順次に一次転写されることによって中間転写ベルト120上で重ね合わされ、この結果としてフルカラーの顕像が形成される。中間転写ベルト120の内側には、4つの一次転写コロトロン(転写器)112(K,C,M,Y)が配置されている。一次転写コロトロン112(K,C,M,Y)は、感光体ドラム110(K,C,M,Y)の近傍にそれぞれ配置されており、感光体ドラム110(K,C,M,Y)から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写コロトロンの間を通過する中間転写ベルト120に顕像を転写する。
【0068】
最終的に画像を形成する対象(記録材)としてのシート102は、ピックアップローラ103によって、給紙カセット101から1枚ずつ給送されて、駆動ローラ121に接した中間転写ベルト120と二次転写ローラ126の間のニップに送られる。中間転写ベルト120上のフルカラーの顕像は、二次転写ローラ126によってシート102の片面に一括して二次転写され、定着部である定着ローラ対127を通ることでシート102上に定着される。この後、シート102は、排紙ローラ対128によって、装置上部に形成された排紙カセット上へ排出される。
【0069】
次に、図16を参照して、本発明に係る画像形成装置の他の形態について説明する。この画像形成装置は、ベルト中間転写体方式を利用したロータリ現像式のフルカラー画像形成装置である。図16に示すように、感光体ドラム110の周囲には、コロナ帯電器168と、ロータリ式の現像ユニット161と、以上の実施形態に係る光ヘッド10と、中間転写ベルト169とが設けられている。
【0070】
コロナ帯電器168は、感光体ドラム110の外周面を一様に帯電させる。光ヘッド10は、感光体ドラム110の帯電させられた像形成面110A(外周面)に静電潜像を書き込む。この光ヘッド10においては、感光体ドラム110の母線(主走査方向)に沿って複数の発光素子Eが配列する。静電潜像の書き込みは、これらの発光素子Eから感光体ドラム110に光を照射することにより行う。
【0071】
現像ユニット161は、4つの現像器163Y,163C,163M,163Kが90°の角間隔をおいて配置されたドラムであり、軸161aを中心にして反時計回りに回転可能である。現像器163Y,163C,163M,163Kは、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、黒のトナーを感光体ドラム110に供給して、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラム110に顕像(すなわち可視像)を形成する。
【0072】
無端の中間転写ベルト169は、駆動ローラ170a、従動ローラ170b、一次転写ローラ166およびテンションローラに巻回されて、これらのローラの周囲を矢印に示す向きに回転させられる。一次転写ローラ166は、感光体ドラム110から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラム110と一次転写ローラ166の間を通過する中間転写ベルト169に顕像を転写する。
【0073】
具体的には、感光体ドラム110の最初の1回転で、光ヘッド10によりイエロー(Y)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Yにより同色の顕像が形成され、さらに中間転写ベルト169に転写される。また、次の1回転で、光ヘッド10によりシアン(C)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Cにより同色の顕像が形成され、イエローの顕像に重なり合うように中間転写ベルト169に転写される。そして、このようにして感光体ドラム110が4回転する間に、イエロー、シアン、マゼンタ、黒の顕像が中間転写ベルト169に順次に重ね合わせられ、この結果としてフルカラーの顕像が転写ベルト169上に形成される。最終的に画像を形成する対象としてのシートの両面に画像を形成する場合には、中間転写ベルト169に表面と裏面の同色の顕像を転写し、次に中間転写ベルト169に表面と裏面の次の色の顕像を転写する形式で、フルカラーの顕像を中間転写ベルト169上に形成する。
【0074】
画像形成装置には、シートが通過させられるシート搬送路174が設けられている。シートは、給紙カセット178から、ピックアップローラ179によって1枚ずつ取り出され、搬送ローラによってシート搬送路174を進行させられ、駆動ローラ170aに接した中間転写ベルト169と二次転写ローラ171の間のニップを通過する。二次転写ローラ171は、中間転写ベルト169からフルカラーの顕像を一括して静電的に吸引することにより、シートの片面に顕像を転写する。二次転写ローラ171は、図示しないクラッチにより中間転写ベルト169に接近および離間させられるようになっている。そして、シートにフルカラーの顕像を転写する時に二次転写ローラ171は中間転写ベルト169に当接させられ、中間転写ベルト169に顕像を重ねている間は二次転写ローラ171から離される。
【0075】
以上のようにして画像が転写されたシートは定着器172に搬送され、定着器172の加熱ローラ172aと加圧ローラ172bの間を通過させられることにより、シート上の顕像が定着する。定着処理後のシートは、排紙ローラ対176に引き込まれて矢印Fの向きに進行する。両面印刷の場合には、シートの大部分が排紙ローラ対176を通過した後、排紙ローラ対176が逆方向に回転させられ、矢印Gで示すように両面印刷用搬送路175に導入される。そして、二次転写ローラ171により顕像がシートの他面に転写され、再び定着器172で定着処理が行われた後、排紙ローラ対176でシートが排出される。
【0076】
図15および図16に例示した画像形成装置は、OLED素子を発光素子Eとして採用した光源(露光手段)を利用しているので、レーザ走査光学系を用いた場合よりも装置が小型化される。また、点灯時における各発光素子Eの輝度が略一定となるから、形成される画像における階調のムラを低減することができる。なお、以上に例示した以外の電子写真方式の画像形成装置にも本発明の電気光学装置を採用することができる。例えば、中間転写ベルトを使用せずに感光体ドラムからシートに対して直接的に顕像を転写するタイプの画像形成装置や、モノクロの画像を形成する画像形成装置にも本発明に係る電気光学装置を応用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の形態に係る光ヘッド10を用いる画像形成装置の部分的な構成を示す斜視図である。
【図2】光ヘッド10の一種である光ヘッド10Aの電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】光ヘッド10の駆動に利用される各信号の波形を例示するタイミングチャートである。
【図4】光ヘッド10Aの一種である光ヘッド10A1を感光体ドラム110から眺めた平面図である。
【図5】図4のA−A’断面図である。
【図6】発光回路ブロック50における熱伝導の様子を例示する図である。
【図7】発光回路ブロック50における熱伝導の様子を例示する図である。
【図8】発光回路ブロック50における付与熱量の分布の一例を示す積み上げグラフである。
【図9】発光回路ブロック50における熱伝導の様子を例示する図である。
【図10】発光回路ブロック50における熱伝導の様子を例示する図である。
【図11】発光回路ブロック50における付与熱量の分布の一例を示す積み上げグラフである。
【図12】光ヘッド10Aの一種である光ヘッド10A2の発光回路ブロック50の断面図である。
【図13】光ヘッド10の一種である光ヘッド10Bの電気的な構成を示すブロック図である。
【図14】光ヘッド10Bの発光回路ブロック50の断面図である。
【図15】本発明に係る画像形成装置の構成を示す縦断面図である。
【図16】本発明に係る別の画像形成装置の構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0078】
10(10A(10A1,10A2),10B)……光ヘッド、12……基板(第1基板)、67……基板(第2基板)、E(E1,E2)……発光素子、Tdr……駆動トランジスタ、Tc……制御トランジスタ、U(U1〜Un)……単位回路、UR(UR1〜URn)……単位領域、110……感光体ドラム(像担持体)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流により駆動されて発光する電流駆動型の発光素子を発光させて像担持体に潜像を形成する光ヘッドと、光ヘッドを用いて画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の光ヘッドは、光源となる電流駆動型の発光素子と駆動電流を生成する駆動トランジスタ(薄膜トランジスタ等の能動素子)とを含む複数の単位回路を一方向に配列して構成されている。駆動トランジスタには特性のバラツキがあり得る。この傾向は、駆動トランジスタが薄膜トランジスタの場合に顕著となる。このようなバラツキがあると、形成される潜像に階調のムラが生じる虞がある。そこで、駆動トランジスタの特性のバラツキを補償(補正)して階調のムラを低減する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−144634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電流駆動型の発光素子は、その温度が高ければ高い輝度で発光するという温度特性を持つ。例えば、点灯(高階調)を指定する階調データを2回にわたって同一の単位回路に供給しても、これらの階調データに応じて当該単位回路の発光素子が発光するときの当該発光素子の温度が互いに異なれば、互いに異なる輝度での発光となる。これは潜像における階調のムラにつながる。したがって、画像形成装置に用いられる光ヘッドでは、画像が形成される期間において発光素子の温度を一定に保つべきである。
【0004】
発光素子の温度は、当該発光素子の付与熱量、すなわち当該発光素子に付与される熱量から当該発光素子から熱伝導により出ていく熱量を減じた熱量に応じて変動する。発光素子に付与される熱量のうち、著しく大きなものは、当該発光素子を熱源とする熱量と、当該発光素子を駆動する駆動トランジスタを熱源とする熱量である。これらの熱量は、当該発光素子の点灯中には発生するが、当該発光素子の消灯中には発生しない。したがって、発光素子の温度を一定に保つには、何らかの対策が必要である。しかし、そのような対策は提案されていない。
【0005】
また、光ヘッドにおいては互いに隣接する単位回路同士が近接して配置されるため、ある単位回路(以降、「第1単位回路」と称する)の発光素子に付与される熱量には、当該単位回路に隣接する単位回路(以降、「第2単位回路」と称する)の発光素子や駆動トランジスタを熱源とする熱量も含まれる。この熱量は、形成を要求される画像の解像度が高いほど、すなわち互いに隣接する単位回路が互いにより近接するほど、大きくなる。また、この熱量は、第2単位回路の発光素子の点灯中には発生するが、当該発光素子の消灯中には発生しない。よって、発光素子の温度を一定に保つには、何らかの対策が必要である。しかし、そのような対策は提案されていない。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みて為されたものであり、画像が形成される期間において電流駆動型の発光素子の温度が大きく変動することのない光ヘッドおよび画像形成装置を提供することを解決課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電流により駆動されて発光する発光素子と、前記発光素子に並列接続され、前記発光素子に対して高階調を指定する階調データを受けてオフ状態となる一方、前記発光素子に対して低階調を指定する階調データを受けてオン状態となる制御トランジスタと、前記発光素子に直列接続され、前記発光素子を駆動する電流を生成する駆動トランジスタとが形成された複数の単位領域が一方向に繰り返し並んだ光ヘッドであって、前記複数の単位領域の各々では、当該単位領域に形成された前記発光素子と当該単位領域に形成された前記制御トランジスタとの間の熱抵抗が、当該発光素子と当該単位領域の隣の単位領域に形成された前記制御トランジスタとの間の熱抵抗よりも小さい、ことを特徴とする光ヘッドを提供する。
【0008】
「電流により駆動されて発光する発光素子」は電流駆動型の発光素子を意味し、OLED(Organic Light-Emitting Diode)素子や無機EL(Electro Luminescent)素子等のEL素子を含む概念である。「熱抵抗」は熱の伝わり難さを示す指標であり、熱伝導率に反比例するパラメータを含む概念である。また、「隣の単位領域に形成された前記制御トランジスタとの間の熱抵抗よりも小さい」は、隣の単位領域が複数の場合には、「隣の複数の単位領域に形成された前記制御トランジスタとの間のいずれの熱抵抗よりも小さい」を意味する。また、「複数の単位領域が一方向に繰り返し並んだ」は、「複数の単位領域が一列に並んだ」、「複数の単位領域が複数列にわたって一方向に繰り返し並んだ」および「複数の単位領域が複数列にわたって一方向かつ千鳥状に繰り返し並んだ」を含む概念である。
【0009】
この光ヘッドでは、発光素子に並列接続された制御トランジスタが、発光素子に対して高階調を指定する階調データを受けてオフ状態となる一方、発光素子に対して低階調を指定する階調データを受けてオン状態となるから、発光素子に直列接続された駆動トランジスタにより生成される電流は、階調データが高階調を指定するものであっても低階調を指定するものであっても、確実に流れる。したがって、この光ヘッドを電子写真方式の画像形成装置における潜像の形成に用いれば、画像が形成される期間において、電流駆動型の発光素子の温度が大きく変動することはない。
【0010】
上記の光ヘッドにおいて、前記光ヘッドは複数の層で構成され、前記発光素子は電流が流れて発光する層状の発光部を有し、前記複数の単位領域の各々では、前記発光素子は、前記発光部に垂直な方向において前記制御トランジスタにも前記駆動トランジスタにも重ならない、ようにしてもよい。この態様では、エミッションタイプに関わらず、発光素子からの光が駆動トランジスタや制御トランジスタによって必要以上に遮られてしまうことがない。よって、設計の自由度が高くなる。なお、光ヘッドのエミッションタイプとしては、発光素子からの光が当該発光素子が形成された基板を透過して出射するボトムエミッションタイプと、ボトムエミッションタイプとは逆方向に光が出射するトップエミッションタイプと、両方向に出射するデュアルエミッションタイプとがある。
【0011】
上記の光ヘッドにおいて、前記光ヘッドは複数の層で構成され、前記発光素子は電流が流れて発光する層状の発光部を有し、前記複数の単位領域の各々では、前記発光素子は、前記発光部に垂直な方向において前記制御トランジスタに重なる、ようにしてもよい。光ヘッドを複数の層で構成する場合、その長さ(単位領域の長さ)に比較して、その厚さは著しく短くなる。したがって、発光素子が制御トランジスタに重なるということは、発光素子と制御トランジスタとが十分に近接することを意味する。つまり、この態様は、各単位領域における発光素子と制御トランジスタとの間の熱抵抗が必然的に十分に小さくなる構造となっている。また、この態様によれば、光ヘッドの光出射面に重なる発光部の総面積を広く確保すること、すなわち開口率を高く保つことができる。
【0012】
さらに、この態様において、前記発光素子は光透過性の第1基板上に形成され、前記駆動トランジスタおよび前記制御トランジスタは第2基板上に形成され、前記第1基板と前記第2基板との間に前記発光素子、前記駆動トランジスタおよび前記制御トランジスタが配置される、ようにしてもよい。この態様によれば、発光素子からの光は駆動トランジスタや制御トランジスタに遮られることなく第1基板を透過して出射する。
【0013】
本発明は、上記の各種態様の光ヘッドと、像担持体とを備え、前記像担持体を帯電し、前記像担持体の帯電された面に前記光ヘッドからの光を照射して潜像を形成し、前記潜像にトナーを付着させて顕像を形成し、前記顕像を他の物体に転写することを特徴とする画像形成装置を提供する。この画像形成装置によれば、形成される画像における階調のムラを低減することができるとともに、備える光ヘッドによりもたらされる効果を享受することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<A:光ヘッド>
図1は、本発明の実施の形態に係る光ヘッド(露光装置)10を用いる画像形成装置の部分的な構成を示す斜視図である。同図に示すように、画像形成装置は光ヘッド10と集光性レンズアレイ15と感光体ドラム110とを含む。光ヘッド10は、基板の表面に直線状に配列された多数の発光素子を含む。これらの発光素子は、用紙などの記録材に印刷されるべき画像の態様に応じて選択的に発光する。感光体ドラム110は、主走査方向に延在する回転軸に支持され、外周面を光ヘッド10に対向させた状態で副走査方向(記録材が搬送される方向)に回転する。
【0015】
集光性レンズアレイ15は光ヘッド10と感光体ドラム110との間隙に配置される。この集光性レンズアレイ15は、各々の光軸を光ヘッド10に向けた姿勢でアレイ状に配列された多数の屈折率分布型レンズを含む。このような集光性レンズアレイ15としては、例えば日本板硝子株式会社から入手可能なSLA(セルフォック・レンズ・アレイ)がある(セルフォック/SELFOCは日本板硝子株式会社の登録商標)。
【0016】
光ヘッド10の各発光素子からの出射光は集光性レンズアレイ15の各屈折率分布型レンズを透過したうえで感光体ドラム110の表面に到達する。これが「露光」である。この露光によって感光体ドラム110の表面には所望の画像に応じた潜像(静電潜像)が形成される。本実施の形態においては、横(主走査方向)n列×縦(副走査方向)1行にわたって画素がマトリクス状に配列された潜像が形成される場合を想定する。なお、本実施の形態を変形し、画素の並びが横n列×縦m行となるようにしてもよいし、さらに、複数の画素が千鳥状に並ぶようにしてもよい。
【0017】
<A−1:光ヘッド10の構成>
光ヘッド10は、その電気的な構成により、光ヘッド10Aと光ヘッド10Bとに大別される。以降の説明において、両者を区別する必要がない場合には、「光ヘッド10」を用いる。図2は光ヘッド10Aの電気的な構成を示すブロック図であり、図3は光ヘッド10の駆動に利用される各信号の波形を例示するタイミングチャートである。図2に示すように、光ヘッド10は、基板12の表面に第1選択回路部30、第2選択回路部40および発光回路ブロック50が配置された構造となっている。発光回路ブロック50は、各々が発光素子Eを含むn個の単位回路Uを含む。単位回路U1〜Unは主走査方向に沿って配列しており、隣り合う単位回路は、画像形成装置に要求される解像度で潜像を形成することができるように近接して配置されている。
【0018】
光ヘッド10には、画像形成装置の制御装置(例えばCPUやコントローラである。以下では「上位装置」という)からクロック信号(例えばクロック信号CLKaおよびクロック信号CLKb)など様々な制御信号や、各種のデータ(例えば補正データAや階調データD)、各種の電位(例えば高電位の電源電位Velや低電位の接地電位Gnd)が供給される。発光素子Eは、これに供給される駆動電流Ielに応じた輝度で発光する電流駆動型の発光素子であり、具体的には、有機EL材料からなる発光層を陽極と陰極との間に介在させたOLED素子である。もちろん、OLED素子以外の電流駆動型の発光素子(例えば無機EL素子)を用いるように変形してもよい。
【0019】
第1選択回路部30および第2選択回路部40の各々は、例えばICチップの形態で基板に実装される。また、単位回路U1〜Unを構成する各要素とともに基板の表面に形成された素子(例えば薄膜トランジスタなどの能動素子)によって第2選択回路部40や第1選択回路部30が構成された構造(単位回路U1〜Unと第1選択回路部30および第2選択回路部40とが基板の表面に一体的に作り込まれた構造)も採用される。この構造における基板としては、例えばガラスやプラスチックなどの絶縁性材料からなる基板が好適に採用される。
【0020】
図3に示すように、光ヘッド10が動作する期間は第1期間Paと第2期間Pbとに区分される。第2期間Pbは、記録材に形成されるべき画像に応じて各発光素子Eの輝度が実際に制御される期間である。換言すると、第2期間Pbは、その期間内における各発光素子Eの発光に応じた画像が実際に記録材に形成されて出力される期間である。一方、第1期間Paは、各発光素子Eの階調の制御が停止している期間である。例えば、電源の投入の直後に光ヘッド10の各部の状態を初期化するための期間や、外部に出力される画像に各発光素子Eの階調が反映されない期間(例えば複数の記録材に画像を形成するときの間隔(紙間)の期間)が第1期間Paに該当する。
【0021】
図2に示すように、第1選択回路部30は、第1選択回路31、n個のメモリ32およびn個のD/A変換器33を含む。n個のメモリ32の各々およびn個のD/A変換器33の各々は、単位回路U1〜Unの各々に対応して設けられている。第1選択回路31は、第1期間Paにおいて、n個のメモリ32の各々を、対応する単位回路Uの配列の順番(すなわち単位回路U1から単位回路Unに向かう順番)で順次に選択する手段である。具体的には、第1選択回路31は、n段のシフトレジスタであり、図3に示すように、クロック信号CLKaに同期したタイミングで所定のパルス信号(図示略)を順次にシフトすることで第1選択信号SA1〜SAnを出力する。したがって、第1選択信号SA1〜SAnはクロック信号CLKaの周期T1ごとに順番にアクティブレベルに遷移する。第1選択信号SAi(iは1≦i≦nを満たす整数)のアクティブレベルへの遷移は単位回路Uiの選択を意味する。なお、第2期間Pbにおいては第1選択回路31の動作が停止する(例えばクロック信号CLKaの供給が停止される)。
【0022】
n個のメモリ32は、kビットのデータを記憶し、記憶しているデータを出力するものであり、信号線L1に対して共通に接続される。kは自然数である。信号線L1には第1期間Paにおいて各単位回路Uの補正データAがクロック信号CLKaに同期したタイミングでシリアルに供給される。補正データAは、駆動トランジスタTdrのドレインから出力される電流を単位回路U毎に設定するkビットのデジタルデータであり、例えば、補正データAiは、対応する単位回路Uiにおいて駆動トランジスタTdrのドレインから出力される電流を設定するデータである。単位回路Uiに対応するメモリ32は、アクティブレベルへの遷移が当該単位回路Uiの選択を意味する第1選択信号SAiの供給を受け、この信号がアクティブレベルへ遷移すると、信号線L1から補正データAiを取り込み、記憶する。
【0023】
補正データAは、各発光素子Eの輝度を事前に測定した結果や光ヘッド10の利用者による操作に応じて発光素子Eごとに予め生成される。例えば、各々に同じ電流値の駆動電流Idrを供給したうえで総ての発光素子Eの実際の輝度が測定され、その測定の結果(非補正時における輝度のバラツキ)に基づいて、総ての発光素子Eの輝度が均一化されるように単位回路U1〜Unの各々について補正データAが決定される。
【0024】
D/A変換器33は、対応するメモリ32から出力された補正データAを入力し、この補正データAが示す補正電位Vaを対応する単位回路Uに供給する。例えば、単位回路Uiに対応するD/A変換器33は、当該単位回路Uiに対応するメモリ32から出力された補正データAiを入力し、補正データAiが示す補正電位Vaiを当該単位回路Uiに供給する。
【0025】
図2に示すように、第2選択回路部40は、第2選択回路41およびn個のラッチ42を含む。n個のラッチ42の各々は、単位回路U1〜Unの各々に対応して設けられている。第2選択回路41は、第1選択回路31と同様に、単位回路U1〜Unの各々を順次に選択する手段(例えばn段のシフトレジスタ)である。図3に示すように、第2選択回路41は、クロック信号CLKbに同期したタイミングで所定のパルスを順次にシフトすることで選択信号SB1〜SBnを出力する。したがって、選択信号SB1〜SBnはクロック信号CLKbの周期T2(<周期T1)ごとに順番にアクティブレベルに遷移する。選択信号SBiのアクティブレベルへの遷移は単位回路Uiの選択を意味する。なお、第1期間Paにおいては第2選択回路41の動作が停止する(例えばクロック信号CLKbの供給が停止される)。
【0026】
n個のラッチ42は、ラッチしたデータを出力するものであり、信号線L2に対して共通に接続される。信号線L2には第2期間Pbにおいて各単位回路Uの階調データDがクロック信号CLKbに同期したタイミングでシリアルに供給される。階調データDは、単位回路U毎に階調(高階調/低階調)を指定する1ビットのデータであり、例えば、階調データDiは、単位回路Uiにおける発光素子Eの階調を指定するデータである。図3に示すように、階調データD1〜Dnはクロック信号CLKbに同期して順次に光ヘッド10に入力される。選択信号SBiがハイレベルを維持する期間において信号線L2には階調データDiが供給される。単位回路Uiに対応するラッチ42は、アクティブレベルへの遷移が当該単位回路Uiの選択を意味する第2選択信号SBiの供給を受け、この信号がアクティブレベルへ遷移すると、信号線L2から階調データDiをラッチする一方、ラッチした階調データDiを単位回路Uiに供給する。
【0027】
本実施の形態を変形し、メモリ32およびラッチ42をそれぞれ2段に配置した構成としてもよい。この構成においては、単位回路U1〜Unにおいて、補正データA1〜Anは、1段目のメモリ32によって点順次にラッチされた後に2段目のメモリ32によって所定のタイミングで一斉に(線順次に)ラッチされる一方、階調データD1〜Dnは、1段目のラッチ42によって点順次にラッチされた後に2段目のラッチ42によって所定のタイミングで一斉に(線順次に)ラッチされる。
【0028】
<A−2:光ヘッド10Aの構成>
図2に示すように、n個の単位回路Uは、給電線L3に対して共通に接続される。給電線L3には電源電位Velが供給される。単位回路Uの構成は、光ヘッド10Aと光ヘッド10Bとで異なる。ここでは、光ヘッド10Aにおける単位回路Uの構成について説明する。単位回路Uにおいて、給電線L3(電源電位Vel)から接地線L4(接地電位Gnd)に至る経路にはpチャネル型の駆動トランジスタTdrと発光素子Eが直列に介挿される。駆動トランジスタTdrは、ソースとゲートの間の電圧Vgsに応じた駆動電流Ielを生成するための手段であり、そのソースが給電線L3に接続されるとともにドレインが発光素子Eの陽極に接続される。駆動トランジスタTdrのゲートには、対応するD/A変換器33から補正電位Vaが供給される。例えば、単位回路Uiの駆動トランジスタTdrのゲートには、対応するD/A変換器33から補正電位Vaiが供給される。発光素子Eの陰極は接地線L4に接続される。
【0029】
上記の経路において、発光素子Eと並列に制御トランジスタTcが接続される。制御トランジスタTcは、nチャネル型のトランジスタであり、そのドレインは発光素子Eの陽極に、そのソースは接地線L4に接続される。制御トランジスタTcのゲートには、対応するラッチ42から階調データDが供給される。例えば、単位回路Uiの制御トランジスタTcのゲートには、階調データDiが供給され、その電位は階調データDiの電位となる。したがって、制御トランジスタTcは対応する階調データDに応じてオン/オフする。
【0030】
また、制御トランジスタTcは、オン状態におけるインピーダンスが、発光素子Eに比較して十分に低くなるように、換言すればオン状態においては駆動トランジスタTdrのドレインから出力される電流の大部分が制御トランジスタTcを通るように設計されている。したがって、制御トランジスタTcがオン状態の場合の発光素子Eの輝度は十分に低くなり、発光素子Eを非発光とする場合と同様の潜像が得られる。つまり、制御トランジスタTcは、そのゲートに供給される階調データDに応じて発光素子Eの発光を制御する手段として機能する。また、制御トランジスタTcは、駆動トランジスタTdrのドレインから出力される電流の迂回路となって単位回路Uiの消費電力を階調データDに依存しないものとする手段でもある。
【0031】
<A−3:光ヘッド10A1の構造>
次に、光ヘッド10Aの構造について説明する。光ヘッド10Aの構造としては様々な形態が考えられる。これらの形態のうち、まず、或る形態の光ヘッド(以降、「光ヘッド10A1」と称する)の構造について説明する。図4は光ヘッド10A1を感光体ドラム110から眺めた平面図であり、図5は図4のA−A’断面図である。図4では、図面が繁雑になるのを避けるために、基板等の部材の図示が省略されている。また、図4および図5には、単位回路Uが占める領域である単位領域URの一例として、単位回路Uiに対応する単位領域URiが図示されている。他の単位領域URの構造は、単位領域URiの構造と同様である。また、以降の説明では、光ヘッド10A1の発光素子Eを「発光素子E1」と称する。
【0032】
図5に示すように、基板12上には、駆動トランジスタTdr、制御トランジスタTc、給電線L3および接地線L4が形成されている。基板12の面上には、シリコンなどの半導体材料によって半導体層63が形成されており、半導体層63上には、絶縁層70を挟んでゲート電極Gtがトランジスタ毎に形成されている。各トランジスタは、対応するゲート電極Gt、ソース電極STおよびドレイン電極DTと、当該ゲート電極Gtの近傍の半導体層63とを含む。各トランジスタに含まれる半導体層63は、ゲート電極Gtに対向するチャネル領域CRと、チャネル領域CRを挟むソース領域SRおよびドレイン領域DRとを含む薄膜トランジスタである。ソース領域SRはソース電極STに導通しており、ドレイン領域DRはドレイン電極DTに導通している。駆動トランジスタTdrのソース電極STは給電線L3の一部であり、制御トランジスタTcのソース電極STは接地線L4の一部である。図4に示すように、各単位回路Uにおいて、駆動トランジスタTdrのドレイン電極DTは制御トランジスタTcのドレイン電極DTを兼ねている。
【0033】
駆動トランジスタTdrおよび制御トランジスタTcは、透明な材料から形成された絶縁層62に覆われている。絶縁層62上には発光素子E1が形成されている。発光素子E1は、ITO(Indium Tin Oxide)等の材料から形成された透明電極である陽極Ep1と、発光部Eeと、Caなどのアルカリ金属材料とアルミニウム等の低抵抗材料を積層して形成された電極である共通陰極En1とを含む。発光部Eeは、有機EL材料から形成された発光層のうち、陽極Ep1と共通陰極En1とに挟まれ、電流が流れて発光する部分である。発光部Eeは陽極Ep1の上層であるとともに共通陰極En1の下層である。陽極Ep1は、コンタクトCntを介して駆動トランジスタTdrのドレイン電極DTに導通している。共通陰極En1は単位回路U1〜Unに共通である。
【0034】
単位回路Uにおける発光素子E1と制御トランジスタTcとの間の熱抵抗は、十分に小さい。具体的に例示すると、単位回路Uiにおける発光素子E1と制御トランジスタTcとの間の熱抵抗は、当該発光素子E1と単位回路Ui+1の制御トランジスタTcとの間の熱抵抗よりも小さく、かつ当該発光素子E1と単位回路Ui-1の制御トランジスタTcとの間の熱抵抗よりも小さい。熱抵抗は熱の伝わり難さを示す指標であり、熱伝導率に反比例するパラメータを熱抵抗として採用することも可能である。
【0035】
発光素子E1上には共通陰極En1を覆うようにパッシベーション層641が形成されており、パッシベーション層641上には接着層651が形成されており、接着層651上には封止基板661が重なっている。パッシベーション層641は窒化珪素や酸化珪素などの材料から形成されており、封止基板661はガラスやプラスチック等の材料から形成されている。両者は、発光素子E1を外気や水分から保護する役割を果たす。接着層651は、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂等の接着剤から形成されており、パッシベーション層641と封止基板661とを接着する役割を果たす。なお、発光素子E1の封止方法は上記の発光素子が形成された基板と封止基板との間を接着剤で充填する封止方法に限られず、窒素や希ガスなどの不活性ガスや不活性液体を発光素子と封止基板の間に充填する封止方法や、発光素子上に上記のパシベーション層のような薄膜を形成しこれにより封止する方法を採用しても良い。
【0036】
<A−4:光ヘッド10A1の熱伝導>
図6、図7、図9および図10は、発光回路ブロック50における熱伝導の様子を3つの単位領域URi-1、URiおよびURi+1について例示する図である。これらの図には、電流が流れて主要な熱源となっている、駆動トランジスタ領域TdrR、制御トランジスタ領域TcRおよび発光素子領域ERが示されている。駆動トランジスタ領域TdrRは、駆動トランジスタTdrが占める領域のうちの電流が流れる領域である。制御トランジスタ領域TcRは、制御トランジスタTcが占める領域のうちの電流が流れる領域である。発光素子領域ERは、発光素子E1が占める領域のうちの電流が流れる領域であり、発光部Eeが占める領域を含む。
【0037】
図6、図7、図9および図10では、発光回路ブロック50を単位回路Uの配列方向に平行な断面上の熱伝導の様子が同心円により示されている。具体的には、発光素子領域ERを熱源とする熱伝導の様子が点線の同心円で、駆動トランジスタ領域TdrRを熱源とする熱伝導の様子が実線の同心円で、制御トランジスタ領域TcRを熱源とする熱伝導の様子が一点鎖線の同心円で示されている。なお、熱源からの熱は放射状に伝わるが、発光回路ブロック50の熱伝導率は一様ではないし、熱源には形状があるから、実際には、伝わる熱量が等しい位置を結んでも円にはならない。また、主要な熱源とは、発光素子領域ERに付与される熱量に対して十分に大きな影響を与える熱源であり、その候補としては、発光素子領域ER、駆動トランジスタ領域TdrRおよび制御トランジスタ領域TcRが挙げられる。また、上記の断面は、図6と図9とで共通し、図7と図10とで共通している。
【0038】
[ケース1]
図6および図7は、階調データDi-1、DiおよびDi+1がいずれも高階調を指定するデータである場合(ケース1)の熱伝導の様子を示している。ケース1では、単位回路Ui-1、UiおよびUi+1において制御トランジスタTcがオフ状態となる。したがって、駆動トランジスタTdrにより生成される電流の全てが駆動電流Ielとなり、この駆動電流Ielに応じた輝度で発光素子E1が発光する。単位回路Ui-1、UiおよびUi+1において、駆動トランジスタTdrのゲートには補正データAi-1、AiおよびAi+1に応じた電位Vai-1、VaiおよびVai+1が供給されるから、駆動トランジスタTdrは、発光素子E1の輝度が一定となる電流を生成する。よって、ケース1では、単位回路Ui-1、UiおよびUi+1において、発光素子E1を発光させる電流が駆動トランジスタTdrおよび発光素子E1を流れ、発光素子E1が発光し、図6および図7に示すように、単位領域URi-1、URiおよびURi+1において、駆動トランジスタ領域TdrRおよび発光素子領域ERが主要な熱源となる。
【0039】
ケース1での付与熱量の分布は、例えば図8に示すものとなる。ある位置の付与熱量とは、その位置の物質の付与熱量であり、当該物質が自ら生成する熱量と他の物質から熱伝導により与えられる熱量との和から他の物質へ熱伝導により与える熱量を減じて定まる。図8は、発光回路ブロック50における付与熱量の分布の一例を示す積み上げグラフであり、単位回路Ui-1、UiおよびUi+1の発光素子領域ERを通る直線における分布が示されている。このグラフにおいて、付与熱量は、領域a〜fを積み上げて表されている。領域a〜fは、互いに異なる熱源に対応し、対応する熱源から付与される熱量をその幅(縦軸方向の長さ)で示している。領域a〜fが対応する熱源は、それぞれ、単位領域URiの発光素子領域ERi、単位領域URiの駆動トランジスタ領域TdrRi、単位領域URi-1の発光素子領域ERi-1、単位領域URi-1の駆動トランジスタ領域TdrRi-1、単位領域URi+1の発光素子領域ERi+1、単位領域URi+1の駆動トランジスタ領域TdrRi+1である。なお、図8では、図面が繁雑になるのを避けるために、単位領域URi-1、URiおよびURi+1以外の領域との間でやり取りされる熱量の図示を省略している。また、図8では、領域c〜fが途中で切れているように見えるが、実際には、領域c〜fは極めて狭い幅ながらも切れることなく延在する。
【0040】
ケース1では、例えば、発光素子領域ERiに付与される熱量は、発光素子領域ERiを熱源とする熱量(領域a)、駆動トランジスタ領域TdrRiを熱源とする熱量(領域b)、発光素子領域ERi-1を熱源とする熱量(領域c)、駆動トランジスタ領域TdrRi-1を熱源とする熱量(領域d)、発光素子領域ERi+1を熱源とする熱量(領域e)および駆動トランジスタ領域TdrRi+1を熱源とする熱量(領域f)の総量に応じたものとなる。
【0041】
[ケース2]
図9および図10は、階調データDi-1が高階調を指定するデータであり、かつ階調データDiおよびDi+1が低階調を指定するデータである場合(ケース2)の熱伝導の様子を示している。この場合、単位回路Ui-1において制御トランジスタTcがオフ状態となり、単位回路UiおよびUi+1において制御トランジスタTcがオン状態となる。したがって、単位回路Ui-1においては、発光素子E1を発光させる電流が駆動トランジスタTdrおよび発光素子E1を流れ、発光素子E1が発光する。よって、単位領域URi-1においては、図9および図10に示すように、駆動トランジスタ領域TdrRi-1および発光素子領域ERi-1が主要な熱源となる。一方、単位回路UiおよびUi+1においては、駆動トランジスタTdrにより生成される電流のほとんど全てが制御トランジスタTcを通ることになる。よって、図9および図10に示すように、単位領域URiにおいては、駆動トランジスタ領域TdrRi-1および制御トランジスタ領域TcRi-1が主要な熱源となり、単位領域URi+1においては、駆動トランジスタ領域TdrRi+1および制御トランジスタ領域TcRi+1が主要な熱源となる。このように、単位回路Uでは、発光素子Eが発光して発熱するときには制御トランジスタTcが発熱せず、制御トランジスタTcが発光しないときには発光素子Eが発熱する。つまり、発熱に着目すると、発光素子Eと制御トランジスタTcとが相補的に機能する。
【0042】
ケース2での付与熱量の分布は、例えば図11に示すものとなる。図11は図8と同様の積み上げグラフであり、領域aの代わりに領域gが、領域eの代わりに領域hが存在する。領域gが対応する熱源は単位領域URiの制御トランジスタ領域TcRであり、領域hが対応する熱源は単位領域UiRの制御トランジスタ領域TcRである。
【0043】
ケース2では、例えば、単位領域URiの発光素子領域ERiに付与される熱量は、制御トランジスタ領域TcRiを熱源とする熱量(領域g)、駆動トランジスタ領域TdrRiを熱源とする熱量(領域b)、発光素子領域ERi-1を熱源とする熱量(領域c)、駆動トランジスタ領域TdrRi-1を熱源とする熱量(領域d)、制御トランジスタ領域TcRi+1を熱源とする熱量(領域h)および駆動トランジスタ領域TdrRi+1を熱源とする熱量(領域f)の総量に応じたものとなる。
【0044】
ケース1であってもケース2であっても、単位回路Uiの駆動トランジスタTdrのゲートには補正データAiに応じた電位Vaiが供給されるから、単位回路Uiの駆動トランジスタTdrは、一定の電流を生成する。この電流は、ケース1では発光素子E1を通って接地線L4に流れ込み、ケース2では制御トランジスタTc(および発光素子E1)を通って接地線L4に流れ込む。したがって、単位回路Uiの消費電力は、ケース1とケース2とで同一となる。よって、単位領域URiの発熱量は、ケース1とケース2とで略同一となる。このことは、単位領域URi+1にもあてはまる。
【0045】
つまり、単位領域URの発熱量は、階調データDに依存せず、それぞれ略一定となる。また、単位領域URiにおいて、発光素子E1と制御トランジスタTcとの間の熱抵抗は十分に小さい。よって、ある単位領域URの制御トランジスタTcにより発せられて当該単位領域UR内外の発光素子領域ERに付与される熱量(当該単位領域URが単位領域URiであれば図11の領域g)は、当該単位領域URの駆動トランジスタTdrにより生成された電流の全てが駆動電流Ielとして用いられた場合に発生して当該単位領域UR内外の発光素子領域ERに付与される熱量(当該単位領域URが単位領域URiであれば図8の領域a)と略同一となる。
【0046】
<A−5:光ヘッド10A1の効果>
以上より、光ヘッド10A1によれば、記録材に形成されるべき画像に応じて各発光素子E1の輝度が実際に制御される第2期間Pbにおいて、各発光素子E1の温度が略一定に保たれる。よって、点灯時における各発光素子E1の輝度が略一定となる。
【0047】
光ヘッド10A1は、発光素子からの光が当該発光素子が形成された基板を透過して出射するボトムエミッションタイプの発光装置である。ボトムエミッションタイプの発光装置では、発光素子から基板12へ進行する光をなるべく遮らないようにする必要がある。光ヘッド10A1では、発光素子E1の層と基板12との間に駆動トランジスタTdrのみならず制御トランジスタTcも存在するから、普通に考えればボトムエミッションタイプの構造を採り難い。しかし、光ヘッド10A1では、発光素子領域ERには駆動トランジスタ領域TdrRも制御トランジスタTcRも重ならないため、ボトムエミッションタイプの構造を採っても、発光素子から基板12へ進行する光をほとんど遮らずに済む。
【0048】
光ヘッド10A1では、発光素子領域ERには駆動トランジスタ領域TdrRも制御トランジスタTcRも重ならないから、任意のエミッションタイプを採ることが可能であり、設計の自由度が高い。ボトムエミッションタイプ以外のエミッションタイプとしては、ボトムエミッションタイプとは逆方向に光が出射するトップエミッションタイプや、両方向に出射するデュアルエミッションタイプがある。
【0049】
<A−6:光ヘッド10A2の構造>
光ヘッド10A1を変形してトップエミッションタイプの構造とするのであれば、発光素子領域ERに駆動トランジスタ領域TdrRおよび制御トランジスタTcRの少なくとも一方が重なっていてもよいことになる。発光素子領域ERに駆動トランジスタ領域TdrRおよび制御トランジスタTcRが重なった構造の光ヘッド10A2の発光回路ブロック50の断面図を図12に示す。この図において、図5と共通する部分には同一の符号が付されている。なお、以降の説明では、光ヘッド10A2の発光素子Eを「発光素子E2」と称する。
【0050】
図12に示すように、光ヘッド10A2では、基板12上において駆動トランジスタTdrと制御トランジスタTcとが近接して配置されており、発光素子E2に重なっている。両トランジスタ間ではドレイン電極DTが共通している。駆動トランジスタTdrおよび制御トランジスタTcを覆う絶縁層62上には発光素子E2が形成されている。発光素子E2は、アルミニウム等の光反射材料とITO(Indium Tin Oxide)等の透明材料を積層したものや銀等の貴金属材料から形成された電極である陽極Ep2と、発光部Eeと、CaやMgAg等の材料を用いて10nm以下の薄膜として形成された光透過性電極である共通陰極En2とを含む。この構造において、発光部Eeは、有機EL材料から形成された発光層のうち、陽極Ep2と共通陰極En2とに挟まれ、電流が流れて発光する部分である。発光部Eeは陽極Ep2の上層であるとともに共通陰極En2の下層である。陽極Ep2は、コンタクトCntを介して、駆動トランジスタTdrおよび制御トランジスタTcに共通のドレイン電極DTに導通している。共通陰極En2は全ての単位回路Uに共通である。
【0051】
発光素子E2上には共通陰極En2を覆うようにパッシベーション層642が形成されており、パッシベーション層642上には接着層652が、接着層652上には封止基板662が重なっている。パッシベーション層642は窒化珪素や酸化珪素などの透明な材料から形成されており、封止基板662はガラスやプラスチック等の透明な材料から形成されている。両者は、発光素子E2を外気や水分から保護する役割を果たす。接着層652は、熱硬化性または光硬化性の透明な樹脂等の接着剤から形成されており、パッシベーション層642と封止基板662とを接着する役割を果たす。なお、発光素子E2の封止方法は上記の発光素子が形成された基板と封止基板との間を接着剤で充填する封止方法に限られず、窒素や希ガスなどの不活性ガスや不活性液体を発光素子と封止基板の間に充填する封止方法や、発光素子上に上記のパシベーション層のような薄膜を形成しこれにより封止する方法を採用しても良い。また、光ヘッド10A2はトップエミッションタイプの発光装置であるから、基板12および絶縁層62は遮光性の材料から形成されてもよい。
【0052】
<A−7:光ヘッド10A2の効果>
光ヘッド10A2は複数の層を積み重ねて形成されているから、その長さ(単位回路U1〜Unの配列方向の長さ)に比較して、その厚さは著しく短い。また、光ヘッド10A2では、単位領域URにおいて、発光素子E2が制御トランジスタTcに重なっている。よって、単位領域URの各々において、必然的に、発光素子E2と制御トランジスタTcとが十分に近接する。つまり、光ヘッド10A2の構造は、例えば、単位回路Uiにおける発光素子E2と制御トランジスタTcとの間の熱抵抗が、当該発光素子E2と単位回路Ui+1の制御トランジスタTcとの間の熱抵抗よりも小さく、かつ当該発光素子E2と単位回路Ui-1の制御トランジスタTcとの間の熱抵抗よりも小さくなる構造となっている。
【0053】
また、光ヘッド10A1と同様に、いかなる階調データDが供給されようとも、複数の発光素子E2の温度はそれぞれ略一定となる。したがって、光ヘッド10A2によれば、光ヘッド10A1により得られる効果と同様の効果を得ることができる。ただし、光ヘッド10A2を変形してボトムエミッションタイプまたはデュアルエミッションタイプとすることはできない。なお、光ヘッド10A2によれば、発光素子E2に制御トランジスタTcを重ねることができるから、光ヘッド10A2の光出射面に重なる発光部Eeの総面積を広く確保することができる。
【0054】
<A−8:光ヘッド10Bの構成>
光ヘッド10A2は、トップエミッションの構造を採ることによって、発光素子Eに駆動トランジスタTdrおよび制御トランジスタTcの両方を重ねることを可能としているが、ボトムエミッションの構造を採りながらこれを可能とすることもできる。その一例である光ヘッド10Bを図13および図14に示す。図13は光ヘッド10Bの電気的な構成を示すブロック図であり、図14は、光ヘッド10A1における図5に相当する、光ヘッド10Bの発光回路ブロック50の断面図である。これらの図において、図2および図5と共通する部分には同一の符号が付されている。
【0055】
図13に示すように、光ヘッド10Bの電気的構成が光ヘッド10Aの電気的構成と異なる点は、発光回路ブロック50における単位回路U1〜Unの構成のみである。光ヘッド10Bの単位回路U1〜Unの各々において、給電線L3(電源電位Vel)から接地線L4(接地電位Gnd)に至る経路には発光素子E1とnチャネル型の駆動トランジスタTdrが直列に介挿される。駆動トランジスタTdrのソースは発光素子E1の陰極に、ドレインは接地線L4に接続される。駆動トランジスタTdrは、ソースとゲートの間の電圧Vgsに応じた電流をドレインから出力する。したがって、発光素子E1を流れる駆動電流Ielは、駆動トランジスタTdrのソースとゲートの間の電圧Vgsに応じたものとなる。よって、駆動トランジスタTdrは、ソースとゲートの間の電圧Vgsに応じた駆動電流Ielを生成するための手段として機能する。駆動トランジスタTdrのゲートには、対応するD/A変換器33から補正電位Vaが供給される。例えば、単位回路Uiの駆動トランジスタTdrのゲートには、対応するD/A変換器33から補正電位Vaiが供給される。
【0056】
上記の経路において、発光素子Eと並列にpチャネル型の制御トランジスタTcが接続される。制御トランジスタTcのドレインは給電線L3に、そのソースは発光素子E1の陰極に接続される。制御トランジスタTcのゲートには、対応するラッチ42から階調データDが供給される。例えば、単位回路Uiの制御トランジスタTcのゲートには、階調データDiが供給され、その電位は階調データDiの電位となる。したがって、制御トランジスタTcは対応する階調データDに応じてオン/オフする。
【0057】
また、制御トランジスタTcは、オン状態におけるインピーダンスが、発光素子Eに比較して十分に低くなるように、換言すればオン状態においては給電線L3からの電流の大部分が制御トランジスタTcを通るように設計されている。したがって、制御トランジスタTcがオン状態の場合の発光素子E1の輝度は十分に低くなり、この場合に発光素子E1を非発光とする場合と同様の潜像が得られる。よって、制御トランジスタTcは、そのゲートに供給される階調データDに応じて発光素子E1の発光を制御する手段として機能する。また、制御トランジスタTcは、給電線L3からの電流の迂回路となって単位回路Uiの消費電力を階調データDに依存しないものとする手段でもある。
【0058】
<A−9:光ヘッド10Bの構造>
図14の断面図の向きは図5の断面図の向きと同一であるが、図14においては、基板12の下方に発光素子E1が位置し、発光素子E1においては発光部Eeの上方に陽極Ep1が位置し、発光部Eeの下方に陰極En1が位置する。これは、発光素子E1が形成される基板12とは別に、駆動トランジスタTdrおよび制御トランジスタTcが形成される基板67が存在するためである。つまり、光ヘッド10Bは、発光素子E1が形成された基板12と、駆動トランジスタTdrおよび制御トランジスタTcが形成された基板67とを接着層651で貼り合わせた構造を採っている。
【0059】
光ヘッド10Bでは、駆動トランジスタTdrおよび制御トランジスタTcは、基板67上に形成される。駆動トランジスタTdrのソース電極STは接地線L4の一部であり、制御トランジスタTcのソース電極STは給電線L3の一部である。各単位回路Uにおいて、駆動トランジスタTdrのドレイン電極DTは制御トランジスタTcのドレイン電極DTを兼ねている。駆動トランジスタTdrおよび制御トランジスタTcは絶縁層62に覆われており、絶縁層62上には単位領域UR毎に配線68が形成されている。各配線68は、コンタクトCntを介して、駆動トランジスタTdrおよび制御トランジスタTcに共通のドレイン電極DTに導通している。
【0060】
一方、発光素子E1は、基板12下に形成されており、その共通陰極En1は、一部を除いて、図5のパッシベーション層651と同様のパッシベーション層PLに覆われている。パッシベーション層PLに覆われていない部分は、単位領域UR毎に存在する。これらの部分は、それぞれ、金属などの材料から形成された導通材Mを通じて配線68に導通している。接着層62は、この導通を阻害することなく、パッシベーション層PLおよび共通陰極En1と絶縁層62および配線68とに挟まれる空間を埋めるように形成されている。なお、基板12、パッシベーション層PL、接着層651および絶縁層62は遮光性の材料から形成されてもよい。
【0061】
<A−10:光ヘッド10Bの効果>
上述したことから明らかなように、発光素子E1は光透過性の基板12上に形成され、駆動トランジスタTdrおよび制御トランジスタTcは基板67上に形成され、基板12と基板67との間に発光素子E1、駆動トランジスタTdrおよび制御トランジスタTcが配置される。よって、光ヘッド10Bによれば、発光素子E1からの光は、駆動トランジスタTdrや制御トランジスタTcに遮られることなく基板12を透過して出射する。つまり、ボトムエミッションタイプの発光装置を用いることが可能である。また、光ヘッド10Bによれば、光ヘッド10A2により得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0062】
<B:画像形成装置>
次に、図15を参照して、本発明に係る画像形成装置の一態様について説明する。この画像形成装置は、ベルト中間転写体方式を利用したタンデム型のフルカラー画像形成装置である。
【0063】
この画像形成装置では、各々が同様の構成である4個の光ヘッド10K,10C,10M,10Yが、各々の構成が同様である4個の感光体ドラム(像担持体)110K,110C,110M,110Yの像形成面110Aに対向する位置にそれぞれ配置されている。光ヘッド10K,10C,10M,10Yは、以上の各形態に係る光ヘッド10と同様の構成である。
【0064】
図15に示すように、この画像形成装置には、駆動ローラ121と従動ローラ122とが設けられており、これらのローラ121,122には無端の中間転写ベルト120が巻回されて、矢印に示すようにローラ121,122の周囲を回転させられる。図示しないが、中間転写ベルト120に張力を与えるテンションローラなどの張力付与手段を設けてもよい。
【0065】
この中間転写ベルト120の周囲には、外周面に感光層を有する4個の感光体ドラム110K,110C,110M,110Yが互いに所定の間隔をおいて配置される。添字「K」,「C」,「M」,「Y」はそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローの顕像を形成するために使用されることを意味している。他の部材についても同様である。感光体ドラム110K,110C,110M,110Yは、中間転写ベルト120の駆動と同期して回転駆動される。
【0066】
各感光体ドラム110(K,C,M,Y)の周囲には、コロナ帯電器111(K,C,M,Y)と、光ヘッド10(K,C,M,Y)と、現像器114(K,C,M,Y)とが配置されている。コロナ帯電器111(K,C,M,Y)は、これに対応する感光体ドラム110(K,C,M,Y)の像形成面110A(外周面)を一様に帯電させる。光ヘッド10(K,C,M,Y)は、各感光体ドラムの帯電した像形成面110Aに静電潜像を書き込む。各光ヘッド10(K,C,M,Y)においては、感光体ドラム110(K,C,M,Y)の母線(主走査方向)に沿って複数の発光素子Eが配列する。静電潜像の書き込みは、複数の発光素子Eによって感光体ドラム110(K,C,M,Y)に光を照射することにより行う。現像器114(K,C,M,Y)は、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラム110(K,C,M,Y)に顕像(すなわち可視像)を形成する。
【0067】
このような4色の単色顕像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各顕像は、中間転写ベルト120上に順次に一次転写されることによって中間転写ベルト120上で重ね合わされ、この結果としてフルカラーの顕像が形成される。中間転写ベルト120の内側には、4つの一次転写コロトロン(転写器)112(K,C,M,Y)が配置されている。一次転写コロトロン112(K,C,M,Y)は、感光体ドラム110(K,C,M,Y)の近傍にそれぞれ配置されており、感光体ドラム110(K,C,M,Y)から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写コロトロンの間を通過する中間転写ベルト120に顕像を転写する。
【0068】
最終的に画像を形成する対象(記録材)としてのシート102は、ピックアップローラ103によって、給紙カセット101から1枚ずつ給送されて、駆動ローラ121に接した中間転写ベルト120と二次転写ローラ126の間のニップに送られる。中間転写ベルト120上のフルカラーの顕像は、二次転写ローラ126によってシート102の片面に一括して二次転写され、定着部である定着ローラ対127を通ることでシート102上に定着される。この後、シート102は、排紙ローラ対128によって、装置上部に形成された排紙カセット上へ排出される。
【0069】
次に、図16を参照して、本発明に係る画像形成装置の他の形態について説明する。この画像形成装置は、ベルト中間転写体方式を利用したロータリ現像式のフルカラー画像形成装置である。図16に示すように、感光体ドラム110の周囲には、コロナ帯電器168と、ロータリ式の現像ユニット161と、以上の実施形態に係る光ヘッド10と、中間転写ベルト169とが設けられている。
【0070】
コロナ帯電器168は、感光体ドラム110の外周面を一様に帯電させる。光ヘッド10は、感光体ドラム110の帯電させられた像形成面110A(外周面)に静電潜像を書き込む。この光ヘッド10においては、感光体ドラム110の母線(主走査方向)に沿って複数の発光素子Eが配列する。静電潜像の書き込みは、これらの発光素子Eから感光体ドラム110に光を照射することにより行う。
【0071】
現像ユニット161は、4つの現像器163Y,163C,163M,163Kが90°の角間隔をおいて配置されたドラムであり、軸161aを中心にして反時計回りに回転可能である。現像器163Y,163C,163M,163Kは、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、黒のトナーを感光体ドラム110に供給して、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラム110に顕像(すなわち可視像)を形成する。
【0072】
無端の中間転写ベルト169は、駆動ローラ170a、従動ローラ170b、一次転写ローラ166およびテンションローラに巻回されて、これらのローラの周囲を矢印に示す向きに回転させられる。一次転写ローラ166は、感光体ドラム110から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラム110と一次転写ローラ166の間を通過する中間転写ベルト169に顕像を転写する。
【0073】
具体的には、感光体ドラム110の最初の1回転で、光ヘッド10によりイエロー(Y)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Yにより同色の顕像が形成され、さらに中間転写ベルト169に転写される。また、次の1回転で、光ヘッド10によりシアン(C)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Cにより同色の顕像が形成され、イエローの顕像に重なり合うように中間転写ベルト169に転写される。そして、このようにして感光体ドラム110が4回転する間に、イエロー、シアン、マゼンタ、黒の顕像が中間転写ベルト169に順次に重ね合わせられ、この結果としてフルカラーの顕像が転写ベルト169上に形成される。最終的に画像を形成する対象としてのシートの両面に画像を形成する場合には、中間転写ベルト169に表面と裏面の同色の顕像を転写し、次に中間転写ベルト169に表面と裏面の次の色の顕像を転写する形式で、フルカラーの顕像を中間転写ベルト169上に形成する。
【0074】
画像形成装置には、シートが通過させられるシート搬送路174が設けられている。シートは、給紙カセット178から、ピックアップローラ179によって1枚ずつ取り出され、搬送ローラによってシート搬送路174を進行させられ、駆動ローラ170aに接した中間転写ベルト169と二次転写ローラ171の間のニップを通過する。二次転写ローラ171は、中間転写ベルト169からフルカラーの顕像を一括して静電的に吸引することにより、シートの片面に顕像を転写する。二次転写ローラ171は、図示しないクラッチにより中間転写ベルト169に接近および離間させられるようになっている。そして、シートにフルカラーの顕像を転写する時に二次転写ローラ171は中間転写ベルト169に当接させられ、中間転写ベルト169に顕像を重ねている間は二次転写ローラ171から離される。
【0075】
以上のようにして画像が転写されたシートは定着器172に搬送され、定着器172の加熱ローラ172aと加圧ローラ172bの間を通過させられることにより、シート上の顕像が定着する。定着処理後のシートは、排紙ローラ対176に引き込まれて矢印Fの向きに進行する。両面印刷の場合には、シートの大部分が排紙ローラ対176を通過した後、排紙ローラ対176が逆方向に回転させられ、矢印Gで示すように両面印刷用搬送路175に導入される。そして、二次転写ローラ171により顕像がシートの他面に転写され、再び定着器172で定着処理が行われた後、排紙ローラ対176でシートが排出される。
【0076】
図15および図16に例示した画像形成装置は、OLED素子を発光素子Eとして採用した光源(露光手段)を利用しているので、レーザ走査光学系を用いた場合よりも装置が小型化される。また、点灯時における各発光素子Eの輝度が略一定となるから、形成される画像における階調のムラを低減することができる。なお、以上に例示した以外の電子写真方式の画像形成装置にも本発明の電気光学装置を採用することができる。例えば、中間転写ベルトを使用せずに感光体ドラムからシートに対して直接的に顕像を転写するタイプの画像形成装置や、モノクロの画像を形成する画像形成装置にも本発明に係る電気光学装置を応用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の形態に係る光ヘッド10を用いる画像形成装置の部分的な構成を示す斜視図である。
【図2】光ヘッド10の一種である光ヘッド10Aの電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】光ヘッド10の駆動に利用される各信号の波形を例示するタイミングチャートである。
【図4】光ヘッド10Aの一種である光ヘッド10A1を感光体ドラム110から眺めた平面図である。
【図5】図4のA−A’断面図である。
【図6】発光回路ブロック50における熱伝導の様子を例示する図である。
【図7】発光回路ブロック50における熱伝導の様子を例示する図である。
【図8】発光回路ブロック50における付与熱量の分布の一例を示す積み上げグラフである。
【図9】発光回路ブロック50における熱伝導の様子を例示する図である。
【図10】発光回路ブロック50における熱伝導の様子を例示する図である。
【図11】発光回路ブロック50における付与熱量の分布の一例を示す積み上げグラフである。
【図12】光ヘッド10Aの一種である光ヘッド10A2の発光回路ブロック50の断面図である。
【図13】光ヘッド10の一種である光ヘッド10Bの電気的な構成を示すブロック図である。
【図14】光ヘッド10Bの発光回路ブロック50の断面図である。
【図15】本発明に係る画像形成装置の構成を示す縦断面図である。
【図16】本発明に係る別の画像形成装置の構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0078】
10(10A(10A1,10A2),10B)……光ヘッド、12……基板(第1基板)、67……基板(第2基板)、E(E1,E2)……発光素子、Tdr……駆動トランジスタ、Tc……制御トランジスタ、U(U1〜Un)……単位回路、UR(UR1〜URn)……単位領域、110……感光体ドラム(像担持体)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流により駆動されて発光する発光素子と、
前記発光素子に並列接続され、前記発光素子に対して高階調を指定する階調データを受けてオフ状態となる一方、前記発光素子に対して低階調を指定する階調データを受けてオン状態となる制御トランジスタと、
前記発光素子に直列接続され、前記発光素子を駆動する電流を生成する駆動トランジスタとが形成された複数の単位領域が一方向に繰り返し並んだ光ヘッドであって、
前記複数の単位領域の各々では、当該単位領域に形成された前記発光素子と当該単位領域に形成された前記制御トランジスタとの間の熱抵抗が、当該発光素子と当該単位領域の隣の単位領域に形成された前記制御トランジスタとの間の熱抵抗よりも小さい、
ことを特徴とする光ヘッド。
【請求項2】
前記光ヘッドは複数の層で構成され、
前記発光素子は電流が流れて発光する層状の発光部を有し、
前記複数の単位領域の各々では、前記発光素子は、前記発光部に垂直な方向において前記制御トランジスタにも前記駆動トランジスタにも重ならない、
ことを特徴とする請求項1記載の光ヘッド。
【請求項3】
前記光ヘッドは複数の層で構成され、
前記発光素子は電流が流れて発光する層状の発光部を有し、
前記複数の単位領域の各々では、前記発光素子は、前記発光部に垂直な方向において前記制御トランジスタに重なる、
ことを特徴とする請求項1記載の光ヘッド。
【請求項4】
前記発光素子は光透過性の第1基板上に形成され、
前記駆動トランジスタおよび前記制御トランジスタは第2基板上に形成され、
前記第1基板と前記第2基板との間に前記発光素子、前記駆動トランジスタおよび前記制御トランジスタが配置される、
ことを特徴とする請求項3に記載の光ヘッド。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光ヘッドと、
像担持体とを備え、
前記像担持体を帯電し、前記像担持体の帯電された面に前記光ヘッドからの光を照射して潜像を形成し、前記潜像にトナーを付着させて顕像を形成し、前記顕像を他の物体に転写することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
電流により駆動されて発光する発光素子と、
前記発光素子に並列接続され、前記発光素子に対して高階調を指定する階調データを受けてオフ状態となる一方、前記発光素子に対して低階調を指定する階調データを受けてオン状態となる制御トランジスタと、
前記発光素子に直列接続され、前記発光素子を駆動する電流を生成する駆動トランジスタとが形成された複数の単位領域が一方向に繰り返し並んだ光ヘッドであって、
前記複数の単位領域の各々では、当該単位領域に形成された前記発光素子と当該単位領域に形成された前記制御トランジスタとの間の熱抵抗が、当該発光素子と当該単位領域の隣の単位領域に形成された前記制御トランジスタとの間の熱抵抗よりも小さい、
ことを特徴とする光ヘッド。
【請求項2】
前記光ヘッドは複数の層で構成され、
前記発光素子は電流が流れて発光する層状の発光部を有し、
前記複数の単位領域の各々では、前記発光素子は、前記発光部に垂直な方向において前記制御トランジスタにも前記駆動トランジスタにも重ならない、
ことを特徴とする請求項1記載の光ヘッド。
【請求項3】
前記光ヘッドは複数の層で構成され、
前記発光素子は電流が流れて発光する層状の発光部を有し、
前記複数の単位領域の各々では、前記発光素子は、前記発光部に垂直な方向において前記制御トランジスタに重なる、
ことを特徴とする請求項1記載の光ヘッド。
【請求項4】
前記発光素子は光透過性の第1基板上に形成され、
前記駆動トランジスタおよび前記制御トランジスタは第2基板上に形成され、
前記第1基板と前記第2基板との間に前記発光素子、前記駆動トランジスタおよび前記制御トランジスタが配置される、
ことを特徴とする請求項3に記載の光ヘッド。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光ヘッドと、
像担持体とを備え、
前記像担持体を帯電し、前記像担持体の帯電された面に前記光ヘッドからの光を照射して潜像を形成し、前記潜像にトナーを付着させて顕像を形成し、前記顕像を他の物体に転写することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−203647(P2007−203647A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−26593(P2006−26593)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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