説明

光伝送システム及び光端末装置

【課題】 停電時でも告知信号を確実に出力する。
【解決手段】 センター装置2が、共同受信信号と告知信号とを含む電気信号を光信号に変換して、光ファイバー8を介して各光端末装置10に伝送する。光端末装置10は、
停電時でも動作する光電変換部16が光信号を電気信号に変換し、バンドパスフィルタ40が電源非供給でも告知信号を抽出し、TV放送信号増幅部44が光電変換部16の電気信号から共同受信信号を抽出して増幅する。バンドパスフィルタ40からの告知信号とTV放送信号増幅部44の共同受信信号を合成器48が合成し、1つの出力端子14aから出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光によってテレビジョン放送や、地震等を告知する告知放送を伝送する光放送伝送システムと、このシステムに使用する光端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光放送伝送システムには、テレビジョン放送を伝送すると共に、必要なときに音声告知放送も伝送するものがある。このような光放送伝送システムで使用する光端末装置の一例が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された光端末装置では、センター装置から伝送された光信号を電気信号に変換する光電変換部が設けられ、光電変換部が出力する電気信号に含まれるテレビジョン放送信号は、テレビジョン放送用の高周波増幅回路で増幅される。上記電気信号に音声告知放送信号が含まれる場合、この音声告知放送信号は、音声告知放送用の高周波増幅回路で増幅され、これら両増幅回路の出力信号が合成されて、出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−174211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
音声告知放送は、例えば災害の発生等を知らせる公共目的があるので、光伝送システムの放送エリアの全ての家庭において受信可能とする要求がある。そのため、特許文献1に開示された光端末装置を放送エリアの各家庭に設置することがある。しかし、設置された家庭には、テレビジョン放送の受信を望まないものもある。このような家庭から、テレビジョン放送の受信によって生じる費用を収集することは困難で、不正利用されることがある。これを防止するためには、音声告知のみを受信する専用の告示用光端末装置を製作する必要があり、光伝送システム全体のコストアップが生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の光伝送システムは、センター装置と、センター装置に光伝送路を介して接続された複数の光端末装置とを、備えている。センター装置は、電気信号である共同受信信号と告知信号とを、光信号に変換して、光伝送路に伝送する。共同受信信号としては、アンテナで受信したテレビジョン放送信号を使用することもできるし、センター装置側で製作した自主放送信号を使用することもできる。告知信号としては、例えば音声告知信号を使用することができる。複数の光端末装置は、前記光信号を前記共同受信信号と前記告知信号とに、電源非供給時でも変換する光電変換手段を、有し、前記変換された共同受信信号と前記変換された告知信号とを1つの出力端子に、出力する。
【0007】
前記光端末装置は、前記光電変換手段の出力である前記電気信号から前記告知信号を電源非供給でも抽出する告知信号抽出手段と、前記光電変換手段の出力である前記電気信号から前記共同受信信号を抽出して増幅する共同受信信号処理手段と、前記告知信号抽出手段からの前記告知信号と前記共同受信信号処理手段からの前記共同受信信号とを合成して、前記1つの出力端子に供給する合成手段とを、具備するものとできる。
【0008】
本発明の他の態様の光端末装置は、センター装置から光伝送路を介して伝送され、共同受信信号と告知信号とを含む電気信号を変換した光信号を前記電気信号に電源非供給時でも変換する光電変換手段と、前記光電変換手段で変換された前記共同受信信号と前記告知信号とが供給される1つの出力端子とを、具備している。
【0009】
前記光電変換手段の電気信号から、前記告知信号を電源非供給でも抽出する告知信号抽出手段と、前記光電変換手段の出力である前記電気信号から前記共同受信信号を抽出して増幅する共同受信信号処理手段と、前記告知信号抽出手段からの前記告知信号と前記共同受信信号処理手段からの前記共同受信信号とを合成して、前記1つの出力端子に供給する合成手段とを、具備するものとできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の参考例の光伝送システムのブロック図である。
【図2】図1の光伝送システムにおいて使用される光端末装置のブロック図である。
【図3】図2の光端末装置に使用する光電変換部のブロック図である。
【図4】本発明の1実施形態の光伝送システムの光端末装置のブロック図である。
【図5】本発明の第2の参考例の光伝送システムの光端末装置のブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の第1の参考例の光伝送システムは、図1に示すようにセンター装置2を有している。センター装置2には、高周波ヘッドエンド部(RFHE部)4が設けられている。高周波ヘッドエンド部4は、共同受信信号、例えば図示していないアンテナで受信したテレビジョン放送信号を出力する。テレビジョン放送信号には、衛星放送信号または衛星通信信号を1GHz帯の中間周波信号に変換したものも含む。或いは、テレビジョン放送信号に加えて、共同受信システムの運営者が製作した自主放送信号も共同受信信号には含まれる。この他に、音声告知信号も高周波ヘッドエンド部4から出力される。これは、例えば地震等の災害が発生したときに、放送されるもので、例えば76MH乃至90MHzの周波数帯を用いたFM音声信号である。
【0012】
これらテレビジョン放送信号と音声告知信号とは、光送信部6に供給され、ここで光信号に変換され、光伝送路、例えば光ファイバー8に伝送される。光ファイバー8は、この光伝送システムの送信エリアの各家庭に配線されている。
【0013】
各家庭には、それぞれ光端末装置10が配置され、光ファイバー8に接続され、上述した光信号を受信する。光端末装置10は、光信号からテレビジョン放送信号と音声告知信号とを復元し、テレビジョン放送信号を図示していないテレビジョン受信機用の出力端子12に出力し、音声告知信号を図示していない音声告知受信端末装置用の出力端子14から出力する。これら光端末装置10には、互いに異なるアドレスがそれぞれ予め割り当てられている。
【0014】
センター装置2は、各光端末装置10のうちテレビジョン放送信号を出力することを不可能とするものに割り当てられたアドレスと、上記不可能とすることを指示する指令とを含むデジタル信号で搬送波を変調した制御信号を生成する制御信号送信部15を有している。この制御信号は、複数の場合もあるし、単数の場合もある。制御信号の搬送波の周波数は、例えばテレビジョン放送信号及び音声告知信号とは異なる周波数である。制御信号は高周波ヘッドエンド部4に伝送され、テレビジョン放送信号及び音声告知信号と共に光送信部6に伝送され、光信号に変換されて、各光端末装置10に光ファイバー8を介して伝送される。
【0015】
光端末装置10は、図2に示すように光電変換部16を有している。光電変換部16は、例えば図3に示すように無電源で動作するものである。即ち、動作電力の供給を受けずに、光信号をテレビジョン放送信号と音声告知信号と制御信号とに変換する。
【0016】
光電変換部16は、受光素子、例えばフォトダイオード18を有し、光信号を受光したとき、その光量に応じた電流を、アノード−カソード間に発生する。フォトダイオード18のアノードとカソードとは、負荷、例えば変成器、具体的には高周波トランス20の一次巻線20p間に接続されている。一次巻線20pは中間タップ20tを有し、中間タップ20tは、基準電位、例えば接地電位に接続されている。フォトダイオード18のアノードは、高周波阻止コイル22を介して接地電位に接続されている。これによって、フォトダイオード18は高周波的には接地されていない。高周波トランス20の二次巻線20sの一端は接地され、他端はコンデンサ24を介して後述するテレビジョン放送信号処理部26、音声告知信号処理部28及び制御信号処理部30に接続されている。
【0017】
この光電変換部16では、フォトダイオード18にはバイアスは供給されてなく、無バイアス状態で使用されている。従って、光電変換部16は、停電でも光信号を変換することができる。
【0018】
フォトダイオード18が光信号を受光すると、その光量に応じて高周波トランス20の一次巻線20pに電流が流れ、二次巻線20sにテレビジョン放送信号、音声告知信号及び制御信号が誘起され、これがコンデンサ24を介して各処理部に供給される。
【0019】
テレビジョン放送信号処理部26は、入力されたテレビジョン放送信号、音声告知信号及び制御信号からテレビジョン放送信号のみを抽出する抽出手段、例えばバンドパスフィルタを備え、抽出したテレビジョン放送信号を増幅して出力する。このテレビジョン放送信号処理部26の出力側と出力端子12との間に開閉スイッチ32が設けられている。この開閉スイッチ32は、通常は閉じられているもので、後述する指令が与えられたとき、開放する。開閉スイッチ32が閉じられているときには、出力端子12には、テレビジョン放送信号が出力されるが、開閉スイッチ32が開かれているときには、出力端子12には、テレビジョン放送信号は出力されない。
【0020】
音声告知信号処理部28は、入力されたテレビジョン放送信号、音声告知信号及び制御信号から音声告知信号を抽出する抽出手段、例えばバンドパスフィルタを備え、抽出した音声告知信号を増幅して、出力端子14に供給する。従って、音声告知信号が、センター装置2から送信される限り、いずれの光端末装置10の出力端子14に音声告知信号が出力される。
【0021】
制御信号処理部30は、入力されたテレビジョン放送信号、音声告知信号及び制御信号から制御信号を抽出する抽出手段、例えばバンドパスフィルタを備え、抽出された制御信号は、増幅された後、デジタル信号に復調され、制御手段、例えばCPU34に供給される。CPU34には、このCPU34が設けられている光端末装置10に割り当てられたアドレスが記憶されており、デジタル信号に含まれるアドレスが、割り当てられているアドレスと一致するか判断する。一致する場合、デジタル信号に含まれる指令がテレビジョン放送出力不能を指示するものであるか判断する。出力不能を指示するものである場合、CPU34は開閉スイッチ32を開く。これによって、出力端子12にテレビジョン放送信号は、出力されない。また、出力不能を指示するものでない場合、開閉スイッチ32は閉じられたままであるので、出力端子12にテレビジョン放送信号が出力される。
【0022】
このように構成しているので、各光端末装置10のうち所望のものでは、テレビジョン放送信号を出力しないようにすることができる。但し、音声告知信号は、いずれの光端末装置においても出力される。また、光電変換部16が無電源で動作するものであるので、停電が生じた場合でも、音声告知信号は光電変換部16から出力される。音声告知信号処理部28は、停電となったとき、その入力側に供給された音声告知信号を出力端子14にスルーさせるスルー回路を備えている。
【0023】
本発明の1実施形態の光伝送システムの光端末装置10aは、図4に示すように音声告知信号処理部として、光電変換部16から取り出したテレビジョン放送信号、音声告知信号及び制御信号から抽出手段、例えばバンドパスフィルタ40によって音声告知信号を抽出している。即ち、増幅部は設けられていない。光電変換部16からのテレビジョン放送信号、音声告知信号及び制御信号は1分岐器42を介してテレビジョン放送信号処理部としてのテレビジョン放送信号増幅部44に供給され、ここでテレビジョン放送信号が抽出されて増幅される。この増幅されたテレビジョン放送信号は、1分岐器46を介して出力端子12に供給される。また、1分岐器46で分岐されたテレビジョン放送信号とバンドパスフィルタ40からの音声告知信号とは合成器48で合成されて、出力端子14aに供給される。
【0024】
1分岐器42で分岐されたテレビジョン放送信号、音声告知信号及び制御信号は、制御信号受信部30でデジタル信号に変換され、CPU34に供給される。CPU34は、デジタル信号に含まれるアドレスが、この光端末装置10aのアドレスであって、テレビジョン放送信号増幅部44を動作させることを指示しているときには、テレビジョン放送信号増幅部44に付勢信号を供給し、テレビジョン放送信号増幅部44を不作動とすることを指示しているときには、除勢信号をテレビジョン放送信号増幅部44に供給する。例えば付勢信号が供給されたときには、テレビジョン放送信号増幅部44に動作電源を供給し、除勢信号が供給されたときには動作電源を非供給とする。
【0025】
従って、制御信号によってテレビジョン放送信号増幅部44の非作動の指示が与えられているときには、いずれの出力端子12、14aにもテレビジョン放送信号は出力されないが、制御信号によってテレビジョン放送信号増幅部44の作動の指示が与えられているときには、いずれの出力端子12、14aからもテレビジョン放送信号は出力される。また、出力端子14aからは、センター装置2からどのような指示が与えられているかに拘わらず、音声告知信号が出力された場合には、それが出力される。たとえ停電が生じていたとしても、光電変換部16が無給電で動作するので、音声告知信号は出力される。
【0026】
本発明の第2の参考例の光伝送システムの光端末装置10bは、図5に示すように、第1の実施形態において、バンドパスフィルタ40の出力信号と、テレビジョン放送信号増幅部44の出力信号とを、選択手段、例えば高周波リレー50に供給し、バンドパスフィルタ40の出力信号と、テレビジョン放送信号増幅部44の出力信号の一方を出力端子12aに供給する。高周波リレー44は、通常時にはテレビジョン放送信号増幅部44の出力信号を出力端子12aに供給するように動作し、停電時にはバンドパスフィルタ40の出力信号を出力端子12aに供給する。
【0027】
従って、センター装置2からテレビジョン放送信号増幅部44を動作させることを指示しているときには、通常時には出力端子12aからテレビジョン放送信号が出力され、センター装置2からテレビジョン放送信号増幅部44を動作させないことを指示しているときには、通常時には出力端子12aからテレビジョン放送信号は出力されない。
【0028】
一方、停電が生じると、センター装置2からテレビジョン放送信号増幅部44を動作させるか動作させないかいずれの指示が与えられていても、バンドパスフィルタ40の出力信号が出力端子12aに供給されるので、音声告知信号が出力端子12aに出力される。
【0029】
上記の第1の参考例では、テレビジョン放送信号処理部26の出力側に設けた開閉スイッチ32によってテレビジョン放送信号処理部26の出力信号が出力端子12に供給されないようにしたが、例えば開閉スイッチ32をテレビジョン放送信号処理部26の電源端子と動作電源との間に設け、これを開放することによってテレビジョン放送信号処理部26を非動作状態として、テレビジョン放送信号処理部26の出力信号が出力端子12に供給されないようにすることもできる。上記の第1の参考例では、開閉スイッチ32を制御信号が供給されたときに開放される型として、テレビジョン放送信号を出力しない光端末装置10に制御信号を供給したが、開閉スイッチ32を制御信号が供給されたときに閉じられる型として、テレビジョン放送信号を出力する光端末装置10に制御信号を供給するようにすることもできる。上記の第1の参考例では、音声告知信号処理部28は、音声告知信号を増幅するものとしたが、これに限ったものではなく、例えば音声告知信号を適当な中間周波信号に周波数変換して増幅して出力するものや、中間周波信号から復調した音声信号を出力するものとすることもできる。
【符号の説明】
【0030】
2 センター装置
8 光ファイバー(光伝送路)
10 光端末装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
共同受信信号と告知信号とを含む電気信号を光信号に変換して、光伝送路に伝送するセンター装置と、
前記光伝送路から受けた前記光信号から前記共同受信信号と告知信号とを復元し、出力する複数の光端末装置とを、
具備し、前記光端末装置は、
前記光信号を前記共同受信信号と前記告知信号とに、電源非供給時でも変換する光電変換手段を、有し、
前記変換された共同受信信号と前記変換された告知信号とを1つの出力端子に、出力する
光伝送システム。
【請求項2】
請求項1記載の光伝送システムにおいて、前記光端末装置は、
前記光電変換手段の出力である前記電気信号から前記告知信号を電源非供給でも抽出する告知信号抽出手段と、
前記光電変換手段の出力である前記電気信号から前記共同受信信号を抽出して増幅する共同受信信号処理手段と、
前記告知信号抽出手段からの前記告知信号と前記共同受信信号処理手段からの前記共同受信信号とを合成して、前記1つの出力端子に供給する合成手段とを、
具備する光伝送システム。
【請求項3】
センター装置から光伝送路を介して伝送され、共同受信信号と告知信号とを含む電気信号を変換した光信号を前記電気信号に電源非供給時でも変換する光電変換手段と、
前記光電変換手段で変換された前記共同受信信号と前記告知信号とが供給される1つの出力端子とを、
具備する光端末装置。
【請求項4】
請求項3記載の光端末装置において、
前記光電変換手段の電気信号から、前記告知信号を電源非供給でも抽出する告知信号抽出手段と、
前記光電変換手段の出力である前記電気信号から前記共同受信信号を抽出して増幅する共同受信信号処理手段と、
前記告知信号抽出手段からの前記告知信号と前記共同受信信号処理手段からの前記共同受信信号とを合成して、前記1つの出力端子に供給する合成手段とを、
具備する
光端末装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−65332(P2012−65332A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238636(P2011−238636)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【分割の表示】特願2007−156897(P2007−156897)の分割
【原出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】