説明

光伝送装置および光伝送装置の管理方法

【課題】光伝送装置の内部において監視ユニットとトランスポンダユニットとの間の通信を効率化し、優先度の高い通信における遅延を防止することを課題とする。
【解決手段】中央監視ユニット40は、優先度の高い第一の応答要求に対する応答の集約先に任意のトランスポンダユニットを設定する(例えば、トランスポンダユニット50A1)。また、中央監視ユニット40は、優先度の低い第二の応答要求に対する応答であり、特に、集約トランスポンダユニットが行う応答を代行するトランスポンダユニットをさらに設定する(トランスポンダユニット50A1とは異なる)。この設定を元に、トランスポンダユニットは、第一の応答要求に対する応答については、該集約トランスポンダユニットに対して行う。集約トランスポンダユニットは、他のトランスポンダユニットの応答を代行して行う代わりに、第二の応答要求に対する応答をトランスポンダユニットに対して行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号をトランスポンダにかけて多重化する光伝送装置およびその管理方法に関し、特に光伝送装置内の監視ユニットとトランスポンダユニット間の通信制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光信号をトランスポンダにかけて多重化する光伝送装置(WDM: Wavelength Division Multiplexing)では、トランスポンダユニットの動作を監視する監視ユニットを設けて装置の制御を行なってきた。
【0003】
具体的には、監視ユニットは、ユーザの操作を受けて直接に、またはNMS(Network Management System)等を通して間接的に、光伝送装置へ設定要求(Provisioning)や制御命令(Control)を指示する。
【0004】
また、光伝送装置は、各ユニットで発生した警報(Condition)やPM(Performance)等の情報収集をユーザへ通知する。監視ユニットと各トランスポンダユニット間はそれぞれインタフェースを具備しており、監視ユニットは、そのインタフェースを用いて、ユーザからの指示をトランスポンダユニットへ転送することはもちろん、トランスポンダユニットと情報の送受信を行なう。
【0005】
例えば、ユーザからの設定要求(Provisioning)や制御命令(Control)を監視ユニットが受信すると、監視ユニットは、対象トランスポンダユニットへその要求/命令を通知する。対象トランスポンダユニットは要求/命令された処理を完了後、監視ユニットへ要求応答/命令応答を返し、監視ユニットは、ユーザへ処理結果を通知する。
【0006】
同様に警報やPMの情報収集は、定期的に監視ユニットが各トランスポンダユニットへ情報収集要求を通知する。各トランスポンダユニットは、これを受けて情報を収集し、監視ユニットへ通知する。そして、監視ユニットは、必要に応じてユーザへ情報収集結果を通知する。
【0007】
しかし、近年、ユーザからの設定要求や制御命令に対する迅速な応答が求められている。また、情報収集する対象の増加や、項目の増加などで収集量が増える傾向にある。特に任意のトランスポンダユニット間で直接通信するメッシュ構成が可能なユニットは、自ユニット以外の情報もそれぞれ収集し、監視ユニットへ通知する場合もあることから収集量が膨大になる。
【0008】
そのため、情報収集処理が終わらず、ユーザからの設定要求や制御命令の処理が遅延する場合が発生していた。これはユニット枚数が多いほど遅延が多くなるため、複数枚以上での運用が前提であるメッシュ構成が可能なユニットにおいては、非常に大きな遅延が発生する。
【0009】
そこで従来、特許文献1が開示するように中央監視システムを用意し、予め中央監視システムが情報を収集しておくことで、集中監視装置のデータ収集の時間を短くするという方式が用いられてきた。
【0010】
【特許文献1】特開平06−164523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上述した従来技術では集中監視装置と中央監視システム間のデータ収集時間は短縮されるが、NE(Network Equipment)と中央監視システム間のデータ収集時間は短縮されない。また、上述の従来技術は複数のNEのネットワークを対象としているため、集中監視装置とNE間の間に中央監視システムを配置可能であるが、監視ユニットとトランスポンダユニット間の場合には、情報収集専用のシステムを配置すると、余分なスペースが必要となるという問題点があった。
【0012】
すなわち、依然としてメッシュ構成で複数トランスポンダユニットを常時実装するような場合には、監視ユニットがトランスポンダユニットからの情報を収集する時間が長くなり、優先度の低い情報収集処理のために、優先度の高いユーザの要求や命令の実行が遅延するという課題が発生していた。
【0013】
本発明は、上述した従来技術における問題点を解消し、課題を解決するためになされたものであり、光伝送装置の内部において監視ユニットとトランスポンダユニットとの間の通信を効率化し、優先度の高い通信における遅延を防止する光伝送装置および光伝送装置の管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この装置は、複数のトランスポンダユニットと、前記複数のトランスポンダユニットの各々と個別に接続されてトランスポンダユニットの動作を監視する監視ユニットと、任意のトランスポンダユニット間で直接通信可能なメッシュ回線網と、を備え、前記複数のトランスポンダユニットの各々は、前記監視ユニットから第一の応答要求を受け取った場合に前記複数のトランスポンダユニットのうち予め設定した第一応答トランスポンダユニットから前記監視ユニットに応答を返すよう前記メッシュ回線網を介して応答を転送し、自ユニットが第一応答トランスポンダユニットに設定された状態で前記監視ユニットから第二の応答要求を受け取った場合に当該応答要求に対する応答を予め設定した第二応答トランスポンダユニットから前記監視ユニットに返すよう前記メッシュ回線網を介して応答を転送する転送処理部を備えたことを要件とする。
【発明の効果】
【0015】
開示の装置では、メッシュ回線を使用したトランスポンダユニット間の通信経路を利用して、任意のトランスポンダユニットを優先度の高い応答の集約先として設定し、該トランスポンダユニットの情報収集の応答(優先度は低い)を別のトランスポンダユニットに代行させる。こうすることで、光伝送装置の内部において監視ユニットとトランスポンダユニットとの間の通信を効率化し、優先度の高い通信における遅延を防止するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る光伝送装置の好適な実施例について詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、実施例1に係る光伝送装置の概要および構成を説明するための図である。まず、同図を用いて光伝送装置の概要から説明を行う。
【0018】
光伝送装置10は、合波器20と、分波器30と、複数のトランスポンダユニット50A1〜50Anと、を備える。そして、光伝送装置10は、各部の機能により、図示しない他の光伝送装置とともに光信号の基幹伝送路を形成し、自装置に接続された複数の光送受信器(例えばルータなど)200A1〜200Axからの信号を該基幹伝送路に出力したり、該基幹伝送路を通ってきた光信号を取り入れて光送受信器へ送信したりする。
【0019】
また、光伝送装置10は、中央監視ユニット40を備え、自装置に接続された管理装置100からのアクセスを制御する。
【0020】
なお、管理装置100は、光伝送装置10に対する初期設定、あるいは、運用中における設定変更を行う。該初期設定や設定変更とは、具体的にはトランスポンダユニットを対象としたものであり、管理装置100は、光伝送装置10へ設定要求(Provisioning)または制御命令(Control)を送信する。
【0021】
中央監視ユニット40は、該設定要求や制御命令を受信し、対象トランスポンダユニットに通知する。トランスポンダユニットでは設定要求または制御命令にかかる処理が行われ、処理の完了通知を受けた中央監視ユニット40は、管理装置100に応答を行う。トランスポンダユニットに対するこのような設定や制御のもと、光伝送装置10の信号処理が行われる。
【0022】
信号処理の流れについて説明すると、トランスポンダユニット50A1の信号処理部53は、例えば、光送受信器200A1から受信した信号を波長多重用の光信号に変換し、合波器20に入力する。
【0023】
そして、合波器20は、該トランスポンダユニット50A1からの光信号のほか、各トランスポンダユニットからの光信号を多重化して他の光伝送装置に送信する。
【0024】
一方、分波器30は、他の光伝送装置が送信した多重化信号を個々の波長の光信号に分波し、各トランスポンダユニットに入力する。
【0025】
トランスポンダユニット50A1の信号処理部53は、分波器30から入力された光信号を光送受信器向けの信号に変換し、例えば、光送受信器200A1に送信する。
【0026】
ところで、光伝送装置10では、図2に示すように、中央監視ユニット40またはトランスポンダユニット50A1〜50A8を差し込むための複数のスロットが設けられている。なお、図2では、例えば、光伝送装置10が現に8つのトランスポンダユニットを実装するものとしている。
【0027】
ユーザは、各スロットに任意に中央監視ユニット40やトランスポンダユニット50A1〜50A8を差し込むことができる。例えば、トランスポンダユニット50A1は、スロット番号1のスロット1に実装され、中央監視ユニット40は、スロット9に実装される。なお、何も差し込まれないスロット11は、空きスロットとなる。
【0028】
このような格納部を構成する各スロットは、図示しない配線によって互いに接続されている。さらに、スロットに実装された各トランスポンダユニットは、同じく別スロットに実装された全てのトランスポンダユニットと通信可能になる。以下では、このようにスロットに実装された全てのトランスポンダユニットと相互に通信可能なトランスポンダユニットを、メッシュ構成が可能なトランスポンダユニットと呼称する。もちろん、同スロットに実装された中央監視ユニット40は、全てのトランスポンダユニットと通信可能である。
【0029】
例えば、トランスポンダユニット50A1は、自ユニットと、中央監視ユニット40やトランスポンダユニット50A2〜50A8とを結ぶ図2内の双方向矢印が示すように、各スロットに実装された各ユニットと相互に通信可能である。
【0030】
以上が光伝送装置の概要であり、以下では、実施例1に係る光伝送装置10を構成する各部の説明を行う。
【0031】
中央監視ユニット40は、光伝送装置10に対する管理装置100のアクセスを制御する処理部であり、監視処理部41と、転送経路設定部42と、転送経路テーブル43と、を備える。
【0032】
監視処理部41は、光伝送装置10に対する設定要求または制御命令を管理装置100から受け付け、設定や制御の対象であるトランスポンダユニットに該設定要求または制御命令を通知する。その後、対象トランスポンダユニットからはかかる設定や制御に基づく処理が完了したことを示す応答が返ってくるので、監視処理部41は、管理装置100に対し、光伝送装置10としての応答を返す。
【0033】
また、監視処理部41は、定期的に各トランスポンダユニットに対する情報収集を行う。監視処理部41は、情報収集の対象であるトランスポンダユニットに情報収集要求を通知する。該対象トランスポンダユニットからはかかる情報収集要求に基づく所定のデータが送信されるので、監視処理部41は、データを受け取り、管理装置100に送信する。
【0034】
転送経路テーブル43は、後述する転送経路設定部42の処理中に情報が格納されるテーブルである。具体的には、図3に示すように、転送経路テーブル43には、スロットのスロット番号(例えば、図2で示したスロットならば、「スロット」に付与された数字がスロット番号である)が予め設けられ、該スロット番号に対応付けられるように、設定要求または制御命令応答先スロット番号と情報収集要求応答先スロット番号の対応関係が格納される。なお、設定要求または制御命令応答先スロット番号とは、設定要求または制御命令応答の集約先であるトランスポンダユニットが実装されているスロットのスロット番号であり、情報収集要求応答先スロット番号とは、情報収集要求の応答先であるトランスポンダユニットが実装されているスロットのスロット番号である。
【0035】
転送経路設定部42は、各トランスポンダユニットの監視応答転送処理部51aによる転送経路を設定する。転送経路設定部42の処理動作については、図4のフローチャートを用いて説明する。なお、図4は、転送経路設定部42の処理動作を説明するためのフローチャートであり、同図に示す処理フローは、光伝送装置10の電源投入時に実行される。
【0036】
まず、転送経路設定部42は、メッシュ構成可能なトランスポンダユニットが2枚以上あることを認識すると(ステップS110肯定)、設定要求または制御命令応答を集約するトランスポンダユニットを設定する(ステップS120)。
【0037】
なお、集約先のトランスポンダユニットの決め方としては、例えば、スロット番号が最も若いスロットに実装されたトランスポンダユニットを、集約先のトランスポンダユニットとして決定するようにしてもよい。例えば、図2に示すようにトランスポンダユニット50A1〜50A8が実装された場合には、スロット番号が最も若いスロット1に実装されたトランスポンダユニット50A1が集約先として決定される。
【0038】
そして、転送経路設定部42は、転送経路テーブル43内で、メッシュ構成可能なトランスポンダユニットが実装されたスロットのスロット番号に対応する設定要求または制御命令応答先スロット番号に集約トランスポンダユニットが実装されたスロットのスロット番号を格納する(ステップS130)。
【0039】
ここで、図3に戻って、スロット番号「9」および「11」を除く各スロット番号に対応する設定要求または制御命令応答先スロット番号には、トランスポンダユニット50A1が実装されたスロット1のスロット番号「1」が格納されている。これは、ステップS120の具体例として、図2に示すトランスポンダユニット50A1〜50A8のうち、トランスポンダユニット50A1が集約先として決定された場合の転送経路テーブル43を示している。
【0040】
処理動作の説明に戻って、転送経路設定部42は、次に、集約トランスポンダユニットの情報収集要求応答を代行するトランスポンダユニットを設定する(ステップS140)。
【0041】
なお、代行するトランスポンダユニットの決め方としては、例えば、スロット番号が次に若いスロットに実装されたトランスポンダユニットを、代行トランスポンダユニットとして決定するようにしてもよい。例えば、図2に示すようにトランスポンダユニット50A1〜50A8が実装された場合には、トランスポンダユニット50A2が代行トランスポンダユニットとして決定される。
【0042】
そして、転送経路設定部42は、転送経路テーブル43内で、集約トランスポンダユニットが実装されたスロットのスロット番号に対応する情報収集要求応答先スロット番号には、代行トランスポンダユニットが実装されたスロットのスロット番号を格納し、他のトランスポンダユニットが実装されたスロットのスロット番号に対応する情報収集要求応答先スロット番号には、予め設けられたスロット番号と同一のスロット番号を格納する(ステップS150)。
【0043】
ここで、図3に戻って、スロット番号「1」に対応する情報収集要求応答先スロット番号には、トランスポンダユニット50A2が実装されたスロット3のスロット番号「3」が格納され、他のスロット番号「9」および「11」を除く各スロット番号に対応する情報収集要求応答先スロット番号には、スロット番号と同じ数字が格納されている。これは、ステップS140の具体例として、図2に示すトランスポンダユニット50A1〜50A8のうち、トランスポンダユニット50A2が代行トランスポンダユニットとして決定された場合の転送経路テーブル43を示している。
【0044】
処理動作の説明に戻って、転送経路設定部42は、最も若いスロット番号のスロットに実装されたトランスポンダユニットに設定要求または制御命令応答先スロット番号および情報収集要求応答先スロット番号を送信する(ステップS160)。
【0045】
例えば、図2に示すようにトランスポンダユニット50A1〜50A8が実装され、転送経路テーブル43に図3に示すような情報が格納された場合を説明する。転送経路設定部42は、スロット1に実装されたトランスポンダユニット50A1に設定要求または制御命令応答先スロット番号「1」および情報収集要求応答先スロット番号「3」を送信する。
【0046】
処理動作の説明に戻って、転送経路設定部42は、送信先のトランスポンダユニットから受信した旨の応答があると(ステップS170肯定)、全てのトランスポンダユニットに設定要求または制御命令応答先スロット番号および情報収集要求応答先スロット番号を送信したかを確認し(ステップS180)、送信していなければ(ステップS180否定)、次に若いスロット番号のスロットに実装されたトランスポンダユニットに設定要求または制御命令応答先スロット番号および情報収集要求応答先スロット番号を送信する(ステップS190)。
【0047】
全てのトランスポンダユニットに対して各スロット番号の送信が終了すると(ステップS180肯定)、転送経路設定部42は、処理を終了する。
【0048】
次に、トランスポンダユニット50A1〜50Anの説明を行う。なお、複数のトランスポンダユニットを代表してトランスポンダユニット50A1の説明を行う。
【0049】
トランスポンダユニット50A1は、主制御部51と、転送経路テーブル52と、信号処理部53と、を備える。なお、光伝送装置10の概要で言及した信号処理部53については説明を省略する。
【0050】
主制御部51は、トランスポンダユニット50A1を全体制御する処理部であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、監視応答転送処理部51aを備える。
【0051】
監視応答転送処理部51aは、中央監視ユニット40の監視処理部41からの出力または転送経路設定部42からの出力を受け取り、それぞれに応じた処理を行う。
【0052】
まず、監視応答転送処理部51aは、転送経路設定部42から設定要求または制御命令応答先スロット番号および情報収集要求応答先スロット番号を受け取ると、転送経路テーブル52に格納する。
【0053】
ところで、転送経路設定部42の処理動作を説明した際の具体例として、該トランスポンダユニット50A1には、設定要求または制御命令応答先スロット番号「1」および情報収集要求応答先スロット番号「3」が送信された。
【0054】
したがって、例えば、図5に示すように、転送経路テーブル52には、設定要求または制御命令応答先スロット番号「1」および情報収集要求応答先スロット番号「3」が格納される。なお、図示しないトランスポンダユニット50A2の転送経路テーブルには、例えば、図6に示すように、設定要求または制御命令応答先スロット番号「1」および情報収集要求応答先スロット番号「3」が格納され、図示しないトランスポンダユニット50A3の転送経路テーブルには、例えば、図7に示すように、設定要求または制御命令応答先スロット番号「1」および情報収集要求応答先スロット番号「5」が格納される。
【0055】
次に、監視応答転送処理部51aが監視処理部41から設定要求、制御命令または情報収集要求を受け取った場合の処理動作について、図8のフローチャートを用いて説明する。なお、図8は、監視応答転送処理部51aの処理動作を説明するためのフローチャートであり、同図に示す処理フローは、光伝送装置10の作動中繰り返し実行される。
【0056】
監視応答転送処理部51aは、監視処理部41から設定要求または制御命令を受け取ると(ステップS200肯定)、設定要求または制御命令に基づく処理を行って処理が完了したことを通知するデータを生成する(ステップS220)。なお、監視処理部41は、このデータの受信を、トランスポンダユニットからの応答と判断する。
【0057】
一方、監視応答転送処理部51aは、監視処理部41から情報収集要求を受け取ると(ステップS210肯定)、情報収集を行って所定のデータを生成する(ステップS230)。
【0058】
各データのうちいずれかを生成すると(ステップS220またはステップS230)、監視応答転送処理部51aは、転送経路テーブル52を参照する(ステップS240)。
【0059】
そして、監視応答転送処理部51aは、送信対象のデータの送信先に自ユニットが実装されたスロットのスロット番号が設定されている場合には(ステップS250肯定)、直接、中央監視ユニット40にデータを送信する(ステップS270)。
【0060】
一方、監視応答転送処理部51aは、送信先に他のスロット番号が設定されている場合には(ステップS250否定)、設定されたスロット番号のスロットに実装されたトランスポンダユニットにデータを送信し(ステップS260)、処理を終了する。
【0061】
ところで、上述したように転送経路を設定すると、集約トランスポンダユニットや代行トランスポンダユニットとして決定されたトランスポンダユニットには、他のトランスポンダユニットからデータが転送されることになる。その場合には、かかるトランスポンダユニットの監視応答転送処理部は、受け取ったデータを中央監視ユニット40にさらに転送する。
【0062】
以上が光伝送装置10を構成する各部の説明である。以下では、図2に示した各ユニットのうち、中央監視ユニット40およびトランスポンダユニット50A1〜50A3を選択し、該4つのユニットにおいて、従来行われた通信と今回行われる通信とを比較する。
【0063】
図9に示すように、各ユニットは、全ユニット同士で相互に通信可能な状態となっている。従来、各トランスポンダユニットは、中央監視ユニット40が送信した設定要求または制御命令を受け取った場合には(C1〜C3)、受け取った経路と同じ経路で応答を返していた(R1〜R3)。なお、図9は、従来の設定要求または制御命令応答の経路を説明するための図である。
【0064】
次に、図10を用いて、時間の流れに沿って各ユニットが行う通信を説明する。なお、各部から下方向へ伸びる線が時間軸であり、時間は上から下へ経過する。
【0065】
まず、管理装置100は、矢印(C10)の始点が示す時間に、中央監視ユニット40へ、トランスポンダユニット50A1に対する設定要求または制御命令の送信を開始する。
【0066】
そして、中央監視ユニット40は、該矢印(C10)の終点が示す時間に、管理装置100からの設定要求または制御命令の受信を終了する。
【0067】
矢印を追っていくと、間もなく、トランスポンダユニット50A1は、中央監視ユニット40を介して該設定要求または制御命令を受け取る。そして、設定要求または制御命令に基づく処理を行った後、トランスポンダユニット50A1は、矢印(R10)の始点が示す時間に、応答の送信を開始する。
【0068】
中央監視ユニット40は、該矢印(R10)の終点が示す時間に、応答の受信を終了し、最後に、管理装置100は、矢印(R11)の終点が示す時間に、中央監視ユニット40を介して該応答を受け取る。
【0069】
その後、管理装置100は、トランスポンダユニット50A2に対する設定要求または制御命令を中央監視ユニット40へ送信するが、以降の各部の処理については同様であるので説明を省略する。
【0070】
図11は、従来の情報収集要求応答の経路を説明するための図である。同図に示すように、従来、各トランスポンダユニットは、中央監視ユニット40が送信した情報収集要求を受け取った場合には(C20〜C22)、受け取った経路と同じ経路で応答を返していた(R20〜R22)。
【0071】
同様に、図12を用いて、時間の流れに沿って各ユニットが行う通信を説明する。
【0072】
まず、中央監視ユニット40は、点線矢印(C30)の始点が示す時間に、トランスポンダユニット50A1に対して情報収集要求の送信を開始する。
【0073】
そして、トランスポンダユニット50A1は、該点線矢印(C30)の終点が示す時間に、中央監視ユニット40からの情報収集要求の受信を終了する。
【0074】
情報収集要求を受信したトランスポンダユニット50A1は、情報収集を行って所定のデータを生成した後、点線矢印(R30)の始点が示す時間に、データの送信を開始する。
【0075】
そして、中央監視ユニット40は、該点線矢印(R30)の終点が示す時間に、データの受信を終了する。
【0076】
ここで、該点線矢印(R30)は、他の矢印には見られない傾きを持っている。つまり、情報収集要求に応じて生成されたデータの容量が大きく、トランスポンダユニット50A1は、該点線矢印(R30)の始点から、トランスポンダユニット50A1の時間軸と該点線矢印(R30)の終点から時間軸への垂線との交点までの間、中央監視ユニット40に対してデータを送り続ける。その結果、トランスポンダユニット50A1と中央監視ユニット40間の通信経路が該データに占有され、設定要求または制御命令応答の遅延が起こっていた。
【0077】
図13は、設定要求または制御命令応答が遅延する状況を説明するための図である。同図に示すように、中央監視ユニット40からの情報収集要求を受信したトランスポンダユニット50A1は、情報収集を行って所定のデータを生成した後、点線矢印(R40)の始点が示す時間に、データの送信を開始する。
【0078】
データの送信中、トランスポンダユニット50A1は、実線矢印(C40)の終点が示す時間に、設定要求または制御命令の受信を終了する。そして、トランスポンダユニット50A1は、該設定要求または制御命令に基づく処理を行う。
【0079】
ところが、トランスポンダユニット50A1は、該実線矢印(C40)の終点の下方の点が示す時間に応答の送信を開始できるのに、自ユニットと中央監視ユニット40間の通信経路が情報収集要求に応じて送信中のデータに占有されているので、応答を送信できない。
【0080】
したがって、トランスポンダユニット50A1は、該データの送信終了後、実線矢印(R41)の始点が示す時間に、応答の送信を開始せざるを得ない。
【0081】
このように、従来の通信には設定要求または制御命令に対するトランスポンダユニットの応答遅延が生じていた。
【0082】
そこで今回は、図14に示すように、トランスポンダユニット50A2およびトランスポンダユニット50A3は、中央監視ユニット40が送信した設定要求または制御命令を受け取った場合には(C50およびC51)、トランスポンダユニット50A1を経由する経路で応答を返す(R50およびR51)。なお、トランスポンダユニット50A1は、中央監視ユニット40が送信した設定要求または制御命令を受け取った場合には(C52)、従来どおり、受け取った経路と同じ経路で応答を返す(R52)。
【0083】
また、図15に示すように、トランスポンダユニット50A1は、中央監視ユニット40が送信した情報収集要求を受け取った場合には(C60)、トランスポンダユニット50A2を経由する経路で応答を返す(R60)。なお、トランスポンダユニット50A2およびトランスポンダユニット50A3は、中央監視ユニット40が送信した情報収集要求を受け取った場合には(C61およびC62)、従来どおり、受け取った経路と同じ経路で応答を返す(R61およびR62)。
【0084】
同じく図16を用いて、時間の流れに沿って今回の各ユニットが行う通信を説明する。
【0085】
同図に示すように、中央監視ユニット40からの情報収集要求を受信したトランスポンダユニット50A1は、情報収集を行って所定のデータを生成した後、点線矢印(R70)の始点が示す時間に、データの送信を、トランスポンダユニット50A2に対して開始する。
【0086】
トランスポンダユニット50A2は、点線矢印(R71)の始点が示す時間に、中央監視ユニット40に対し、該データの転送を開始する。
【0087】
ここで、トランスポンダユニット50A1は、データの送信中、実線矢印(C70)の終点が示す時間に、設定要求または制御命令の受信を終了する。今回は、自ユニットと中央監視ユニット40間の通信経路が空いているので、トランスポンダユニット50A1は、設定要求または制御命令に基づく処理を行った後、実線矢印(R72)の始点が示す時間に、直ちに、応答の送信を開始することができる。
【0088】
また、中央監視ユニット40からの情報収集要求を受信したトランスポンダユニット50A2は、情報収集を行って所定のデータを生成した後、点線矢印(R73)の始点が示す時間に、中央監視ユニット40に対してデータの送信を開始する。
【0089】
ここで、トランスポンダユニット50A2は、データの送信中、実線矢印(C71)の終点が示す時間に、設定要求または制御命令の受信を終了する。
【0090】
自ユニットと中央監視ユニット40間の通信経路はデータの送信に使用しているので、トランスポンダユニット50A2は、設定要求または制御命令に基づく処理を行った後、実線矢印(R74)の始点が示す時間に、応答の送信を、トランスポンダユニット50A1に対して開始する。
【0091】
トランスポンダユニット50A2から応答を受け取ったトランスポンダユニット50A1は、中央監視ユニット40に該応答を転送する。
【0092】
図13と図16を比較すれば、管理装置100が設定要求または制御命令を送信してから応答を受け取るまでに図13でかかった時間よりも図16でかかった時間の方が短くなっているのは明らかである。
【0093】
以上、4つのユニットを選択し、従来行われた通信と今回行われる通信とを比較して説明を行った。
【0094】
ところで、光伝送装置10の作動中、トランスポンダユニットを抜き差しする必要もでてくる。そこで、以下では、トランスポンダユニットを追加したり、削除したりする場合について説明を行う。なお、図2や図4を用いた説明で挙げた具体例と同様、トランスポンダユニット50A1〜50A8が各スロットに実装され、トランスポンダユニット50A1が集約トランスポンダユニットとして決定され、かつ、トランスポンダユニット50A2が代行トランスポンダユニットとして決定された上で説明を行う。
【0095】
まず、トランスポンダユニットをスロットに追加する場合について説明する。図2に示したスロットのうち、スロット11は、何も差し込まれない空きスロットであった。
【0096】
ここで、新たにトランスポンダユニットが差し込まれると、転送経路設定部42は、図17に示すように転送経路テーブル43を更新する。つまり、スロット番号「11」に対応する設定要求または制御命令応答先スロット番号には「1」が格納され、情報収集要求応答先スロット番号には「11」が格納される。
【0097】
そして、転送経路設定部42は、該トランスポンダユニットに設定要求または制御命令応答先スロット番号「1」および情報収集要求応答先スロット番号「11」を送信する。
【0098】
次に、トランスポンダユニットをスロットから削除する場合について説明する。図2に示したスロットのうち、例えば、すでに実装されているトランスポンダユニット50A3を抜かれた場合には、転送経路設定部42は、図18に示すように転送経路テーブル43を更新する。つまり、図18の「A」では、スロット番号「5」に対応する設定要求または制御命令応答先スロット番号には「1」が格納され、情報収集要求応答先スロット番号には「5」が格納されているが、更新後には、図18の「B」に示すように、いずれのスロット番号も削除される。なお、トランスポンダユニット50A3は、集約トランスポンダユニットでも、代行トランスポンダユニットでもないため、転送経路テーブル43にこれ以上の更新はない。
【0099】
また、図2に示したスロットのうち、例えば、すでに実装されているトランスポンダユニット50A1を抜かれた場合には、転送経路設定部42は、図19に示すように転送経路テーブル43を更新する。つまり、図19の「A」では、スロット番号「1」に対応する設定要求または制御命令応答先スロット番号には「1」が格納され、情報収集要求応答先スロット番号には「3」が格納されているが、更新後には、図19の「B」に示すように、いずれのスロット番号も削除される。なお、トランスポンダユニット50A1は、集約トランスポンダユニットであるため、転送経路テーブル43にさらなる更新が行われる。
【0100】
転送経路設定部42は、トランスポンダユニット50A1が集約トランスポンダユニットであったため、例えば、スロット番号がスロット1の次に若いスロット3に実装されたトランスポンダユニット50A2を集約トランスポンダユニットに設定する。そして、転送経路設定部42は、転送経路テーブル43内で、メッシュ構成可能なトランスポンダユニットが実装されたスロットのスロット番号に対応する設定要求または制御命令応答先スロット番号を、「1」から、トランスポンダユニット50A2が実装されているスロットのスロット番号「3」に更新する。
【0101】
そして、転送経路設定部42は、例えば、スロット番号がスロット3の次に若いスロット5に実装されたトランスポンダユニット50A3を、集約トランスポンダユニットの情報収集要求応答を代行するトランスポンダユニットに設定する。その結果、転送経路設定部42は、転送経路テーブル43内のスロット番号「3」に対応する情報収集要求応答先スロット番号を「3」から「5」へ更新する。
【0102】
また、図2に示したスロットのうち、例えば、すでに実装されているトランスポンダユニット50A2を抜かれた場合には、転送経路設定部42は、図20に示すように転送経路テーブル43を更新する。つまり、図20の「A」では、スロット番号「3」に対応する設定要求または制御命令応答先スロット番号には「1」が格納され、情報収集要求応答先スロット番号には「3」が格納されているが、更新後には、図20の「B」に示すように、いずれのスロット番号も削除される。なお、トランスポンダユニット50A2は、代行トランスポンダユニットであるため、転送経路テーブル43にさらなる更新が行われる。
【0103】
転送経路設定部42は、トランスポンダユニット50A2が代行トランスポンダユニットであったため、例えば、スロット番号がスロット3の次に若いスロット5に実装されたトランスポンダユニット50A3を代行トランスポンダユニットに設定する。そして、転送経路設定部42は、転送経路テーブル43内のスロット番号「1」に対応する情報収集要求応答先スロット番号を「3」から「5」へ更新する。
【0104】
なお、トランスポンダユニットの動作異常を転送経路設定部42が検知し、該トランスポンダユニットを抜かれる前に上述した処理を行うようにしてもよい。
【0105】
以上、トランスポンダユニットを追加したり、削除したりする場合について説明を行った。最後に、設定要求と制御命令とを区別し、設定要求に対する応答の集約先となるトランスポンダユニットと、制御命令に対する応答の集約先となるトランスポンダユニットとを別にして設定する変形例について説明を行う。なお、従来行われた通信と今回行う通信との比較説明を行ったときと同様、図2に示した各ユニットのうち、中央監視ユニット40およびトランスポンダユニット50A1〜50A3を選択し、該4つのユニットのみを対象に説明を行う。
【0106】
まず、図14に戻って、同図では、トランスポンダユニット50A2およびトランスポンダユニット50A3は、中央監視ユニット40が送信した設定要求または制御命令を受け取った場合には(C50およびC51)、トランスポンダユニット50A1を経由する経路で応答を返していた(R50およびR51)。
【0107】
同図を用いて変形例を説明すると、トランスポンダユニット50A2およびトランスポンダユニット50A3は、設定要求を受け取った場合にのみ(C50およびC51)、トランスポンダユニット50A1を経由する経路で応答を返す(R50およびR51)。なお、トランスポンダユニット50A1は、設定要求を受け取った場合には(C52)、直接中央監視ユニット40に応答を返す(R52)。
【0108】
そして、図21に示すように、トランスポンダユニット50A1およびトランスポンダユニット50A3は、制御命令を受け取った場合には(C80およびC81)、トランスポンダユニット50A2を経由する経路で応答を返す(R80およびR81)。なお、トランスポンダユニット50A2は、制御命令を受け取った場合には(C82)、直接中央監視ユニット40に応答を返す(R82)。
【0109】
このように、トランスポンダユニット50A1と中央監視ユニット40間の通信経路を設定要求応答に使用し、トランスポンダユニット50A2と中央監視ユニット40間の通信経路を制御命令応答に使用するようにしてもよい。そして、その場合には、各トランスポンダユニットが中央監視ユニット40に送信する情報収集要求応答を、トランスポンダユニット50A3が代行する。
【0110】
つまり、図22に示すように、トランスポンダユニット50A1は、中央監視ユニット40が送信した情報収集要求を受け取った場合には(C90)、トランスポンダユニット50A3を経由する経路で応答を返す(R90)。また、トランスポンダユニット50A2は、中央監視ユニット40が送信した情報収集要求を受け取った場合には(C91)、トランスポンダユニット50A3を経由する経路で応答を返す(R91)。なお、トランスポンダユニット50A3は、情報収集要求を受け取った場合には(C92)、直接中央監視ユニット40に応答を返す(R92)。
【0111】
[実施例1の効果]
上記したように、実施例1によれば、メッシュ回線を使用したトランスポンダユニット間の通信経路を利用して、任意のトランスポンダユニットを優先度の高い応答の集約先として設定し、該トランスポンダユニットの情報収集の応答(優先度は低い)を別のトランスポンダユニットに代行させる。こうすることで、光伝送装置の内部において監視ユニットとトランスポンダユニットとの間の通信を効率化し、優先度の高い通信における遅延を防止することが可能となる。
【0112】
また、実施例1によれば、転送経路の設定が自動で行われるので、管理者の手間を省くことが可能となる。
【0113】
また、実施例1によれば、トランスポンダユニットが追加されたり、削除されたり、あるいは、トランスポンダユニットに動作異常が起こった場合でも、転送経路の再設定が自動で行われるので、管理者の手間を省くことが可能となる。
【0114】
また、実施例1によれば、複数の応答を優先度の高い応答として設定することが可能となる。
【実施例2】
【0115】
実施例1では、中央監視ユニット40が集約トランスポンダユニットや代行トランスポンダユニットを設定するものとして説明を行ったが、実施例2では、複数のトランスポンダユニットのうちいずれかが代表となり、集約トランスポンダユニットや代行トランスポンダユニットを設定する場合を説明する。
【0116】
図23は、実施例2に係る光伝送装置の概要および構成を説明するための図である。以下では、実施例2に係る光伝送装置10を構成する各部の説明を行う。なお、処理や機能の説明が実施例1と同じとなる各部の説明は省略する。また、以下では、複数のトランスポンダユニットを代表してトランスポンダユニット50A1の説明を行うが、各部の処理や機能については全トランスポンダユニットに共通する。
【0117】
まず、転送経路テーブル52は、実施例1における中央監視ユニット40の転送経路テーブル43と同様の情報が格納されるテーブルである。つまり、転送経路テーブル52は、図3で示したように、光伝送装置10に設けられたスロットのスロット番号が予め設けられ、該スロット番号に対応付けられるように、設定要求または制御命令応答先スロット番号と情報収集要求応答先スロット番号の対応関係が格納される。なお、転送経路テーブル52には、後述する転送経路設定部51bの処理中に情報が格納される。
【0118】
主制御部51は、監視応答転送処理部51aのほか、実施例1とは異なり、転送経路設定部51bを備える。
【0119】
転送経路設定部51bは、光伝送装置10の電源が投入されると、各スロットにおけるトランスポンダユニットの実装状況を確認する。
【0120】
図2を用いて具体的に説明すると、転送経路設定部51bは、トランスポンダユニット50A2〜トランスポンダユニット50A8との通信が可能であれば、スロット3、5、7、13、15、17、19にメッシュ構成可能なトランスポンダユニットが実装されていることを認識する。他のトランスポンダユニットの転送経路設定部も同様の処理を行う。
【0121】
以下の処理については、自ユニットが、スロット番号が最も若いスロットに実装されていることを認識した転送経路設定部のみが行う処理である。
【0122】
図2に戻って、転送経路設定部51bは、スロット番号が最も若いスロット1に自ユニットが実装されているので、自ユニットを集約先のトランスポンダユニットとして決定する。また、転送経路設定部51bは、転送経路テーブル52内で、メッシュ構成可能なトランスポンダユニットが実装されたスロットのスロット番号に対応する設定要求または制御命令応答先スロット番号に、自ユニットが実装されたスロットのスロット番号「1」を格納する。
【0123】
さらに、転送経路設定部51bは、スロット番号が次に若いスロット3に実装されたトランスポンダユニット50A2を自ユニットの情報収集要求応答を代行するトランスポンダユニットとして決定する。また、転送経路設定部51bは、転送経路テーブル52内で、自ユニットが実装されたスロットのスロット番号に対応する情報収集要求応答先スロット番号には「3」を格納し、他のトランスポンダユニットが実装されたスロットのスロット番号に対応する情報収集要求応答先スロット番号には、予め設けられたスロット番号と同一のスロット番号を格納する。
【0124】
そして、転送経路設定部51bは、転送経路テーブル52が記憶する情報を他のトランスポンダユニットに送信する。他のトランスポンダユニットの転送経路設定部は、受信した情報を転送経路テーブルに格納する。
【0125】
このような転送経路設定部51bの設定に基づいて、監視応答転送処理部51aは、中央監視ユニット41から送信される設定要求、制御命令または情報収集要求に対する応答を行う。なお、転送経路テーブル52を参照する際は、監視応答転送処理部51aは、自ユニットが実装されたスロットのスロット番号に対応する情報を参照することになる。
【0126】
ところで、実施例1と同様、光伝送装置10の作動中、トランスポンダユニットが抜き差しされ、トランスポンダユニットの構成に変化が生じる場合がある。その場合でも、スロット番号が最も若いスロットに実装されたトランスポンダユニットが代表となり、実施例1で説明した転送経路設定部42の処理と同じように転送経路テーブルの更新を行い、更新後の情報を他のトランスポンダユニットに送信すればよい。
【0127】
[実施例2の効果]
上記したように、実施例2によれば、トランスポンダユニット自体が転送経路の設定や再設定を自動で行うので、中央監視ユニットの処理負担を軽減することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0128】
以上のように、本発明に係る光伝送装置および光伝送装置の管理方法は、光伝送装置の運用に必要な通信であって、特に、装置内において監視ユニットとトランスポンダユニットとの間の通信を効率化し、優先度の高い通信における遅延を防止することに適する。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】実施例1に係る光伝送装置の概要および構成を説明するための図である。
【図2】中央監視ユニットおよびトランスポンダユニットがスロットに差し込まれた状態を示す図である。
【図3】中央監視ユニットが備える転送経路テーブルに記憶される情報の例を示す図である。
【図4】転送経路設定部の処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】トランスポンダユニット50A1が備える転送経路テーブルに記憶される情報の例を示す図である。
【図6】トランスポンダユニット50A2が備える転送経路テーブルに記憶される情報の例を示す図である。
【図7】トランスポンダユニット50A3が備える転送経路テーブルに記憶される情報の例を示す図である。
【図8】監視応答転送処理部の処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】従来の設定要求/制御命令応答の経路を説明するための図である。
【図10】ある時間内に行われた従来の設定要求/制御命令応答を説明するための図である。
【図11】従来の情報収集要求応答の経路を説明するための図である。
【図12】ある時間内に行われた従来の情報収集要求応答を説明するための図である。
【図13】設定要求/制御命令応答が遅延する状況を説明するための図である。
【図14】今回の設定要求/制御命令応答の経路を説明するための図である。
【図15】今回の情報収集要求応答の経路を説明するための図である。
【図16】設定要求/制御命令応答の遅延が生じないことを説明するための図である。
【図17】トランスポンダユニットの追加によって行われる再設定を説明するための図である。
【図18】トランスポンダユニットの削除または動作異常によって行われる再設定を説明するための図である。
【図19】トランスポンダユニットの削除または動作異常によって行われる再設定を説明するための図である。
【図20】トランスポンダユニットの削除または動作異常によって行われる再設定を説明するための図である。
【図21】制御命令応答の別経路を説明するための図である。
【図22】情報収集要求応答の別経路を説明するための図である。
【図23】実施例2に係る光伝送装置の概要および構成を説明するための図である。
【符号の説明】
【0130】
10 光伝送装置
20 合波器
30 分波器
40 中央監視ユニット
41 監視処理部
42 転送経路設定部
43 転送経路テーブル
50A1〜50An トランスポンダユニット
51 主制御部
51a 監視応答転送処理部
51b 転送経路設定部
52 転送経路テーブル
53 信号処理部
100 管理装置
200A1〜Ax 光送受信器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号をトランスポンダにかけて多重化する光伝送装置であって、
複数のトランスポンダユニットと、
前記複数のトランスポンダユニットの各々と個別に接続されてトランスポンダユニットの動作を監視する監視ユニットと、
任意のトランスポンダユニット間で直接通信可能なメッシュ回線網と、
を備え、
前記複数のトランスポンダユニットの各々は、
前記監視ユニットから第一の応答要求を受け取った場合に前記複数のトランスポンダユニットのうち予め設定した第一応答トランスポンダユニットから前記監視ユニットに応答を返すよう前記メッシュ回線網を介して応答を転送し、自ユニットが第一応答トランスポンダユニットに設定された状態で前記監視ユニットから第二の応答要求を受け取った場合に当該応答要求に対する応答を予め設定した第二応答トランスポンダユニットから前記監視ユニットに返すよう前記メッシュ回線網を介して応答を転送する転送処理部を備えたことを特徴とする光伝送装置。
【請求項2】
前記転送処理部による転送経路を設定する経路設定部を前記監視ユニットに備えたことを特徴とする請求項1に記載の光伝送装置。
【請求項3】
前記転送処理部による転送経路を設定する経路設定部を前記トランスポンダユニットに備えたことを特徴とする請求項1に記載の光伝送装置。
【請求項4】
前記経路設定部は、前記トランスポンダユニットの追加、削除、動作異常のいずれかを検知した場合に、前記転送経路を再設定することを特徴とする請求項2または3に記載の光伝送装置。
【請求項5】
前記転送処理部は、前記監視ユニットから第二の応答要求を受け取った場合に前記複数のトランスポンダユニットのうち予め設定した第二応答トランスポンダユニットから前記監視ユニットに応答を返すよう前記メッシュ回線網を介して応答を転送し、自ユニットが第一もしくは第二応答トランスポンダユニットに設定された状態で前記監視ユニットから第三の応答要求を受け取った場合に当該応答要求に対する応答を予め設定した第三応答トランスポンダユニットから前記監視ユニットに返すよう前記メッシュ回線網を介して応答を転送することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の光伝送装置。
【請求項6】
光信号を処理する複数のトランスポンダユニットと、前記複数のトランスポンダユニットの各々と個別に接続されてトランスポンダユニットの動作を監視する監視ユニットと、任意のトランスポンダユニット間で直接通信可能なメッシュ回線網と、を備えた光伝送装置の管理方法であって、
前記複数のトランスポンダユニットの各々は、
前記監視ユニットから第一の応答要求を受け取った場合には、
自ユニットが予め設定された第一応答トランスポンダユニットであるか否かを判定する第一判定ステップと、
自ユニットが第一応答トランスポンダユニットである場合には自ら監視ユニットに応答し、自ユニットが第一応答トランスポンダユニットでない場合には前記メッシュ回線網を介して第一応答トランスポンダユニットに応答を転送する第一応答処理ステップと
を実行し、
前記監視ユニットから第二の応答要求を受け取った場合には、
自ユニットが予め設定された第一応答トランスポンダユニットであるか否かを判定する第一判定ステップと、
自ユニットが第一応答トランスポンダユニットでない場合には自ら監視ユニットに応答し、自ユニットが第一応答トランスポンダユニットである場合には前記メッシュ回線網を介して第二応答トランスポンダユニットに応答を転送する第二応答処理ステップと
を実行し、
他のトランスポンダユニットから応答を受信した場合には、
前記監視ユニットに応答を転送する応答転送ステップを実行することを特徴とする光伝送装置の管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−159294(P2009−159294A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334973(P2007−334973)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】