光信号冗長システム、光信号分配装置及び光信号冗長方法
【課題】光通信回線の冗長構成を容易に構築できる光信号冗長システムを提供する。
【解決手段】スイッチ81は、光信号が入力される複数の入力回線71,72のうち、いずれか一つの入力回線を選択する。受光パワー監視手段82は、スイッチによって選択された入力回線から入力される光信号の受光パワーを監視する。スイッチ切替手段83は、光信号の受光パワーに異常があった場合、スイッチに選択する入力回線を切り替えさせる。光信号分配手段84は、スイッチ81を介して入力回線から受信した光信号を複数の出力回線73に分配して送信する。また、各光信号分配装置80における一の入力回線72は、他の光信号分配装置80’における一の出力回線73’に接続され、各光信号分配装置80における一の出力回線73は、他の光信号分配装置80’における一の入力回線72’に接続される。
【解決手段】スイッチ81は、光信号が入力される複数の入力回線71,72のうち、いずれか一つの入力回線を選択する。受光パワー監視手段82は、スイッチによって選択された入力回線から入力される光信号の受光パワーを監視する。スイッチ切替手段83は、光信号の受光パワーに異常があった場合、スイッチに選択する入力回線を切り替えさせる。光信号分配手段84は、スイッチ81を介して入力回線から受信した光信号を複数の出力回線73に分配して送信する。また、各光信号分配装置80における一の入力回線72は、他の光信号分配装置80’における一の出力回線73’に接続され、各光信号分配装置80における一の出力回線73は、他の光信号分配装置80’における一の入力回線72’に接続される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光回線を冗長化する光信号冗長システム及び光信号冗長システムに適用される光信号分配装置及び光信号冗長方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の光通信サービスでは、データ通信に止まらず、光電話や、テレビ放送配信といったサービスも提供されている。そのため、光ケーブルの被害により、多くのユーザに対して同時に長時間、サービスを停止させることは避けなければならない。そのため、光回線の信頼度を高める方法が、各種提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、冗長構成のみのハードウェアを少なくすることで制御を簡易化できる光分配冗長方法が記載されている。特許文献1に記載された方法では、光分配装置として2入力2出力の光スイッチを用いる。通常状態では、光分配装置は、各入力線から入力された光をそれぞれ異なる出力線に出力する。一方、入力線の一方に異常が検知された状態では、光分配装置は、他方の線から入力される光を等分して各出力線に出力する。
【0004】
また、特許文献2には、多段光分岐ポイント−マルチポイント光伝送システムが記載されている。特許文献2に記載されたシステムは、センタ装置とユーザ装置との間に光分岐素子及び光ファイバを多段に配置することで、各種の障害による通信への影響を緩和するものである。
【0005】
なお、特許文献3には、親局装置と光スプリッタとの幹線が冗長構成される光多分岐通信システムが記載されている。特許文献1に記載されたシステムでは、切替指示が行われると、光スイッチが幹線の伝送路を切り替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−23478号公報(段落0020,0025,0055)
【特許文献2】特開平8−242207号公報(段落0007,0008、図1)
【特許文献3】特開2002−198904号公報(段落0031,0032、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、GE−PON(Gigabit Ethernet Passive Optical Network。なお、Ethernetは登録商標。)による光通信サービスが提供されている。GE−PONによる光通信サービスでは、1本の光ケーブルを光カプラと呼ばれる光受動素子によって複数の回線に分岐させる。
【0008】
図10は、一般的な光通信サービスの構成を示す説明図である。図10に示す光通信サービスでは、光カプラ12によって1本の光ケーブル11を複数の回線に分岐させて、センタ局に配置されるOLT(Optical Line Terminal )装置10と、各ユーザ宅に配置されるONU(Optical Network Unit)装置13とをダブルスター方式で接続することにより、光通信回線を共有させている。図10に示す構成のメリットは、複数のユーザが同一回線を共有しているため、1対1のシングルスター方式で接続する場合に比べ、インフラコストをより低価格にできることである。
【0009】
ここで、光通信で使用されるケーブルは、敷設された箇所により、大きく3つに分類される。OLT装置と光カプラとを結ぶ幹線、光カプラからユーザ宅を結ぶ引き込み配線、及び、ユーザ宅内でONU装置に接続される宅内配線である。引き込み配線および宅内配線が何らかの理由で切断、破損してしまった場合、光通信が使用できなくなるのは、この配線に接続されている1ユーザのみである。一方、複数ユーザが共有する幹線上で災害や不慮の事故により切断、破損などの回線異常が発生してしまった場合、この幹線を共有しているすべてのユーザが通信不能になる。そうすると、光通信サービスが使用不可能な状態になってしまうため、大きな問題になることがあった。
【0010】
災害や不慮の事故として、例えば、地震などの災害により電柱が倒壊してしまうことや、大型車両などが誤って光ケーブルを引っかけてしまうこと、鳥や虫などが光ケーブルを切断したり破損させたりすることによる被害などが想定される。実際、道路整備工事時に誤って光ケーブルを切断させてしまった事例や、クマゼミが光ケーブルに卵を産みつけようとして光ケーブルを切断してしまった事例などが報告されている。
【0011】
光回線異常により正常な光通信サービスできなくなった場合、通信事業者は、不具合箇所を特定させ、早急に故障個所を修繕するか、切断されたり破損したりした光ケーブルの区間を別の光ケーブルにて再敷設する必要があった。特に、幹線に被害が及んだ場合は、再敷設のために、ユニック車などの工事車両や、光ケーブルを敷設できる技術を有する技術者などが必要になる。すなわち、修理作業完了までに様々な時間を要するため、光通信サービスを瞬時に復旧させることは難しい。そのため、光回線の信頼度を高めることが必要になる。
【0012】
光通信サービスの通信障害に備え、OLT装置を冗長構成とすることが一般的に知られている。しかし、これは、OLT装置が故障した場合に予備のOLT装置へ制御を切り替えることによって光通信サービスを維持させる方法である。そのため、光回線上で異常が発生した場合の有効な手段とは言えない。
【0013】
特許文献1及び特許文献2に記載された構成により、光回線の信頼度を高めることは可能である。しかし、GE−PONによる光通信回線を特許文献1に記載された光分配装置や、特許文献2に記載されたシステム構成を用いて実現しようとする場合、その構築が容易ではないという課題がある。
【0014】
特許文献1に記載された構成は、映像配信用の光通信を想定しており、この構成は一心片方向の通信になる。データ通信を主とするGE−PONの光通信においては、一心双方向の通信になるため、特許文献1に記載された光増幅器部分を双方向対応する必要がある。そのため、特許文献1に記載された方法を用いてGE−PONによる光通信システムを構成しようとすると、光増幅器部分を含む構成がより複雑化してしまうという問題がある。
【0015】
また、特許文献2に記載された光伝送システムを実現しようとする場合、センタ装置もしくはユーザ装置、またはその両者の装置が冗長構成に対応した光スイッチを内蔵しなければならない。このように、特許文献2に記載されたシステムを構築する場合には、専用の装置を用意しなければならず、やはり、システムの構築が容易ではないという問題がある。
【0016】
そこで、本発明は、光通信回線の冗長構成を容易に構築できる光信号冗長システム及び光信号冗長システムに適用される光信号分配装置及び光信号冗長方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明による光信号冗長システムは、光信号が入力される複数の入力回線に接続され、その入力回線の中から選択した一の入力回線から入力される光信号を、複数の出力回線に分配して送信する光信号分配装置を複数備え、各光信号分配装置が、光信号が入力される複数の入力回線のうち、いずれか一つの入力回線を選択するスイッチと、スイッチによって選択された入力回線から入力される光信号の受光パワーを監視する受光パワー監視手段と、光信号の受光パワーに異常があった場合、スイッチに選択する入力回線を切り替えさせるスイッチ切替手段と、スイッチを介して入力回線から受信した光信号を複数の出力回線に分配して送信する光信号分配手段とを備え、各光信号分配装置における一の入力回線が、他の光信号分配装置における一の出力回線に接続され、各光信号分配装置における一の出力回線が、他の光信号分配装置における一の入力回線に接続されることを特徴とする。
【0018】
本発明による光信号分配装置は、光信号が入力される複数の入力回線に接続され、その入力回線の中から選択した一の入力回線から入力される光信号を、複数の出力回線に分配して送信する光信号分配装置であって、光信号が入力される複数の入力回線のうち、いずれか一つの入力回線を選択するスイッチと、スイッチによって選択された入力回線から入力される光信号の受光パワーを監視する受光パワー監視手段と、光信号の受光パワーに異常があった場合、スイッチに選択する入力回線を切り替えさせるスイッチ切替手段と、スイッチを介して入力回線から受信した光信号を複数の出力回線に分配して送信する光信号分配手段とを備え、その光信号分配装置自身における一の入力回線は、他の光信号分配装置における一の出力回線に接続され、その光信号分配装置自身における一の出力回線は、他の光信号分配装置における一の入力回線に接続されることを特徴とする。
【0019】
本発明による光信号冗長方法は、光信号が入力される複数の入力回線に接続され、その入力回線の中から選択した一の入力回線から入力される光信号を、複数の出力回線に分配して送信する複数の光信号分配装置を用いた光回線冗長方法であって、各光信号分配装置における一の入力回線は、他の光信号分配装置における一の出力回線に接続され、各光信号分配装置における一の出力回線は、他の光信号分配装置における一の入力回線に接続され、各光信号分配装置が、選択した入力回線から入力される光信号の受光パワーを監視し、各光信号分配装置が、入力回線から入力される光信号の受光パワーに異常があった場合、入力回線の接続先を選択するスイッチに入力回線を切り替えさせ、各光信号分配装置が、スイッチを介して入力回線から受信した光信号を複数の出力回線に分配して送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、光通信回線の冗長構成を容易に構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態における光回線冗長構成装置の例を示す説明図である。
【図2】第1の実施形態における光通信システムの構成例を示す説明図である。
【図3】第1の実施形態における冗長構成の動作例を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態における光通信システムの他の構成例を示す説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態における光回線冗長構成装置の例を示す説明図である。
【図6】第2の実施形態における光通信システムの構成例を示す説明図である。
【図7】第2の実施形態における冗長構成の動作例を示すフローチャートである。
【図8】予備幹線の関係例を示す説明図である。
【図9】本発明による光信号冗長システムの最小構成の例を示すブロック図である。
【図10】一般的な光通信サービスの構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0023】
実施形態1.
初めに、第1の実施形態における光回線冗長構成装置について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における光回線冗長構成装置の例を示す説明図である。図1に例示する光回線冗長構成装置は、光カプラに光スイッチを内蔵した1つの装置である。以下、本実施形態における光回線冗長構成装置を、光スイッチ内蔵カプラと記す。図1に例示する光スイッチ内蔵カプラ2は、光スイッチ3と、受光監視部4と、光ケーブル5と、光カプラ部6と、光ケーブル7−1〜7−nとを備えている。
【0024】
光スイッチ内蔵カプラ2には、光ケーブル1−1,1−2が上位接続用の回線として外部から接続され、各光ケーブルは、光スイッチ内蔵カプラ2内部の光スイッチ3に接続される。また、光スイッチ3は、光ケーブル5を介して光カプラ部6に接続される。
【0025】
光スイッチ3は、後述の受光監視部4の指示に応じ、上位接続用の回線のうち、いずれか一つの回線を選択する。図1に示す例では、光スイッチ3は、後述の受光監視部4の指示に応じ、上位接続先である光ケーブル1−1と光ケーブル1−2のうち、いずれか一つの回線を選択する。
【0026】
光ケーブル5の後段において、光カプラ部6は、光ケーブル7−1から光ケーブル7−nまでのn本に光ケーブルを分岐させる。光ケーブル7−1〜7−(n−1)までは、光スイッチ内蔵カプラ2から外部に出され、後段のONU装置(図示せず)に接続される。光ケーブル7−nは、内部向けの専用ケーブルであり、光スイッチ内蔵カプラ2内部の受光監視部4に接続される。
【0027】
一般的に、GE−PONシステムでは、光カプラとして1対N分岐(Nは2の倍数)のものが使用される。OLT装置が発光する光は、光カプラでN分岐され、各ONU装置に伝送される。反対に、各ONU装置の光は、光カプラで結合され、OLT装置に伝送される。
【0028】
各ONU装置の光信号が光カプラ部で結合される際、異なるONU装置の信号がぶつかってしまわないように、一般的には、OLT装置が各ONU装置に対する発光許可情報を光信号に含めて伝送する。この発行許可情報を伝送して時間管理することにより、1台のOLT装置に対して、複数台のONU装置を接続し、同一の光回線を共有することが可能になる。このように、GE−PONシステムで用いられる通信方法は、光通信を分岐させて複数のユーザに接続する際、上り方向の信号が存在する点において、映像配信を想定した光通信方法(例えば、特許文献1に記載された光分配冗長方法)と異なる。
【0029】
受光監視部4は、OLT装置(図示せず)が発光する光信号の受光パワーを監視する。なお、光信号は、光ケーブル1−1または光ケーブル1−2から、光スイッチ3と、光ケーブル5と、光カプラ部6とを経由して入力される。そして、受光監視部4は、受光パワーの異常を検出すると、光スイッチ3に対して、スイッチ切り替え信号を発信し、光ケーブル5の接続先を切り替えさせる。
【0030】
受光監視部4は、例えば、受光パワーの揺らぎから異常を検出してもよい。上述の通り、受光監視部4が監視する受光パワーは、OLT装置が常時発光する光信号である。受光経路が変化しなければ、受光監視部4は、安定した光信号を受光する。一方、受光パワーが揺らいだ場合、その経路に何らかの異常があることが想定される。よって、受光監視部4が受光パワーの揺らぎを検知することで、回線断等の異常を検出できる。
【0031】
なお、受光パワーが大きく揺らいだ場合、回線断までは至らずとも、回線がダメージを受けてしまっていることも想定される。このような場合でも、受光監視部4が異常と判断してスイッチ3を切り替えてもよい。このような場合にも切り替え処理を行うことで、運用状態であっても、ダメージを受けた光幹線の再敷設が可能になる。
【0032】
なお、受光監視部4が異常を検出する方法は、受光パワーの揺らぎを検知する方法に限定されない。例えば、ONU装置がデータ受信可能な受光パワーを閾値と定めておき、受光監視部4が、その閾値を下回る受光パワーの光信号を検知したときに、異常を検出してもよい。ただし、閾値として定める値は、ONU装置がデータ受信可能な受光パワーに限定されない。
【0033】
また、受光監視部4は、異常を検知する方法として、閾値を超える受光パワーの信号を受信したか否かを判断する方法と、受光パワーに揺らぎが発生したか否かを判断する方法の両方を用いてもよい。この場合、受光監視部4は、いずれか一方の内容(すなわち、閾値を超える受光パワーの信号を受信したこと、もしくは、受光パワーに揺らぎが発生したこと)を満たす場合に、異常を検知すればよい。
【0034】
受光監視部4は、RSSI(Received Signal Strength Indication )と呼ばれる機能と、RSSIで測定した光信号の強度などの情報を管理する機能とを組み合わせることにより実現される。光信号用のRSSIは、光フォトダイオードの電流値から光信号の強度を判定することが可能なため、受光監視部4は、この強度の情報を収集し、揺らぎ、もしくは、所定の閾値に達しているか否かを判断する。例えば、所定の閾値に達しているか否かを判断する場合、受光監視部4は、電気回路構成のみで実現可能である。また、揺らぎを判断する場合、受光監視部4は、例えば、揺らぎ判断がプログラムされた専用の機能を有するICやPLD(Programmable Logic Device )などにより実現される。なお、プログラムには、スイッチを切り替える処理を受光監視部4に実行させる処理を含んでいてもよい。
【0035】
このように、本実施形態における光スイッチ内蔵カプラ2は、光ケーブルを分岐させるための光カプラに光スイッチ3を内蔵することにより、上位接続される光回線ルート(例えば、光ケーブル1−1,1−2)を選択できるようにしている。
【0036】
さらに、光カプラ内の受光監視部4が、上位の光回線が切断した場合や損傷した場合に、OLT装置から受光する光信号の受光パワー変化を検出する。そして、受光パワーに異常を検出した場合、受光監視部4が、光スイッチ3の切り替えを促し、別光回線ルートへの回線接続を選択させる。そのため、故障個所の修繕、もしくは、光ケーブルの再配線をすることなく、光通信が可能な状態に短時間で自動復旧できる。そのため、長時間の光通信サービス停止に陥ることを避けることができる。
【0037】
次に、上述の光スイッチ内蔵カプラを用いて光回線を冗長化した光回線冗長方法について説明する。図2は、図1に例示した光スイッチ内蔵カプラ2を用いた光通信システムの構成例を示す説明図である。図2に例示する光通信システムは、OLT装置20と複数のONU装置29−1〜29−(n−1)と、光スイッチ内蔵カプラ26とを含む。なお、光スイッチ内蔵カプラ26は、図1における光スイッチ内蔵カプラ2に対応する。以下、ONU装置29−1〜29−(n−1)のうちから選択した一のONU装置を、ONU装置29と記す。
【0038】
本実施形態による構成は、図10に示す一般的な構成と比較すると、光カプラ12が光スイッチ内蔵カプラ26に置き換わっている。また、OLT装置20と、光スイッチ内蔵カプラ26との間は、光ケーブル21と2分岐光カプラ22を経由して、光ケーブル23及び光ケーブル24の2本の光ケーブルで接続されている。なお、OLT装置20と、ONU装置29とは、一般的な構成に用いられる装置と同様であるため、説明を省略する。
【0039】
光ケーブル23は、通常使用されることを想定した幹線である。また、個々のONU装置29は、光スイッチ内蔵カプラ26と光ケーブル23とを介して、OLT装置20に接続され、相互に光通信を行う。
【0040】
光ケーブル24は、光ケーブル23上で切断や破損などの異常が発生した際の予備幹線として、予め敷設する光回線である。
【0041】
2分岐光カプラ22は、OLT装置20の直近に配置され、光スイッチ内蔵カプラ26は、個々のONU装置29の近くに配置される。このような配置の工夫により、OLT装置20からONU装置29までの総配線長内で幹線にあたる光ケーブル23の占める割合が高くなるように構成できる。
【0042】
また、このように構成することで、災害や不慮の事故などにより光ケーブルが切断したり、破損したりする状況が、本ケーブル上(光ケーブル23上)で発生する可能性が高くなる。さらに、幹線の光ケーブル23及び予備幹線の光ケーブル24の配線ルートを分けることで、幹線上で災害や不慮の事故が発生した場合でも、予備幹線まで切断されないようにすることができる。
【0043】
次に、図2及び図3を用いて、本実施形態による光スイッチ内蔵カプラを用いて構築した冗長構成(光通信システム)の動作について説明する。図3は、本実施形態における冗長構成の動作例を示すフローチャートである。なお、光スイッチ25は、初期状態として、幹線として使用される光ケーブル23側にスイッチが倒れている状態にあるものとする。また、以下の説明では、OLT装置20から送信される光信号は、常時発光しているものとする。
【0044】
受光監視部27は、光ケーブル23を経由して送信されるOLT装置20からの光信号を常時受信し、その受光パワーを監視する(ステップS1)。なお、GE−PONシステムにおいては、下り信号の波長は1490nmである。そのため、受光監視部27は、監視する光の波長を1490nmに合わせることで、OLT装置20が発光する光信号のみを監視できるようになる。
【0045】
災害や不慮の事故により幹線の光ケーブル23が切断もしくは破損してしまった場合、OLT装置20が発光する光信号が光スイッチ内蔵カプラまで正常に伝達されないことになる。このような場合において、受光監視部27は、受光パワーの異常を検出すると(ステップS2)、光スイッチ切り替え信号(制御信号と記すこともある。)を光スイッチ25に対して発信する(ステップS3)。光スイッチ25は、この制御信号を受信すると、光回線の接続先を光ケーブル23側から光ケーブル24側に切り替える(ステップS4)。受光監視部27は、光ケーブルの切り替えにより、OLT装置20が発光する光信号を確認できたか否か判断する(ステップS5)。
【0046】
光信号を確認できた場合(ステップS5におけるYes)、受光監視部27は、回線障害の復旧が完了したと判断して処理を終了する(ステップS6)。この場合、各ONU装置29は、再び切断および破損していない光ケーブル24を経由してOLT装置20と正常な光信号の送受信が可能になる。
【0047】
一方、スイッチを切り替えても光信号を確認できない場合には、保護幹線(予備幹線)も切断もしくは破損してしまった、あるいは、OLT装置20自体が故障した可能性がある。そのため、自動復旧は困難であり、人による光回線もしくはOLT装置20の修復作業が必要になる。この場合(ステップS5におけるNo)、受光監視部27は、回線障害を復旧できていないと判断し、再度光スイッチ切り替え信号を光スイッチ25に発信する(ステップS7)。光スイッチ25は、この制御信号を受信すると、光回線の接続先を光ケーブル24側から光ケーブル23側に切り替える。すなわち、受光監視部27は、光スイッチ25をもとの状態に戻して処理を終了する(ステップS8)。
【0048】
以上のように、本実施形態では、光信号が入力される複数の上位回線に接続し、その上位回線の中から選択した一の上位回線から入力される光信号を、複数の出力回線に分配して送信する光スイッチ内蔵カプラ2を用いて、冗長回線を構成する。また、光カプラ部6における分岐の1つに受光監視部4が設けられ、受光監視部4が、OLT装置からの受光パワーを監視して光スイッチ3の接続先を変更する。具体的には、受光監視部4は、監視する回線から入力される光信号の受光パワーに異常があった場合、回線の接続先を他の入力回線に切り替える。
【0049】
このように、受光監視部4が、受光パワーを監視して回線を切り替えるため、OLT装置(センタ装置と記すこともある。)と、ONU装置(ユーザ装置と記すこともある。)のいずれも特殊な機能を備える必要がない。そのため、光通信回線の冗長構成を容易に構築できる。
【0050】
さらに、受光監視部4が、OLT装置からの受光パワーを監視して光スイッチ3の接続先を変更することにより、障害発生時には上位回線選択用の光スイッチ3を自動で切り替えることができる。すなわち、光スイッチ内蔵カプラ2は、受動的に動作して、冗長構成における回線の切り替えを行うため、外部装置(例えばOLT装置など)からの外部制御を必要としない冗長構成を容易に構築できる。
【0051】
また、本実施形態における光スイッチ内蔵カプラは、OLT装置から光信号を受信し、自身で受光パワーの異常を検知して他の回線に切り替える。そのため、外部制御を必要としない。すなわち、本実施形態における光スイッチ内蔵カプラは、OLT装置から光信号を受信する機能(受信機能)を具備していればよく、送信機能まで具備する必要はないため、より簡易な構成で回線切り替えを実現できる。
【0052】
さらに、本実施形態における光スイッチ内蔵カプラは、OLT装置20からの光信号を監視することにより光回線の異常状態を検知しているため、OLT装置20と通信できなくなってしまった状態でも光回線の切り替え制御を実行できる。
【0053】
また、例えば、一般的に、回線異常が確認された場合には、異常個所を特定させた後、修繕もしくは、異常区間の光ケーブル再敷設が必要になる。通常、復旧作業には多くの時間及び作業が必要なため、長時間、光通信サービスが停止してしまうことがある。しかし、本実施形態における光スイッチ内蔵カプラを用いることで、光回線異常による通信障害から、自動的に短時間(例えば数秒)で回線障害を復旧出来るという効果も得られる。
【0054】
次に、本実施形態における光通信システムの変形例について説明する。図4は、本変形例における光通信システムの構成例を示す説明図である。本変形例における光通信システムは、OLT装置30と複数のONU装置39−1〜39−(n−2),44−1〜44−(n−2)と、光ケーブル33,34と、光スイッチ内蔵カプラ36,41とを含む。以下、ONU装置39−1〜39−(n−2)のうちから選択した一のONU装置を、ONU装置39と記し、ONU装置44−1〜44−(n−2)のうちから選択した一のONU装置を、ONU装置44と記す。
【0055】
本変形例における光スイッチ内蔵カプラ36,41は、図1における光スイッチ内蔵カプラ2と同様であり、受光監視部37,42は、図1における受光監視部4と同様である。また、本実施形態における光スイッチ35,40は、図1における光スイッチ3と同様であり、光カプラ部38,43は、図1における光カプラ部6と同様である。
【0056】
本変形例における光通信システムでは、光スイッチ内蔵カプラ36,41の2台を用いる。光ケーブル33は、ONU装置39に対して通常使用されることを想定した幹線である。また、光ケーブル34は、ONU装置44に対して通常使用されることを想定した幹線である。
【0057】
光スイッチ内蔵カプラ36の予備幹線(ここでは、光ケーブル45)は、上述の実施形態と異なり、もう一方の光スイッチ内蔵カプラ41の分岐の一つ(すなわち、光カプラ部43)に接続される。光スイッチ内蔵カプラ41の予備幹線(ここでは、光ケーブル46)も同様に、光スイッチ内蔵カプラ36の分岐の一つ(すなわち、光カプラ部38)に接続されている。
【0058】
なお、OLT装置30と、ONU装置39,44とは、一般的な構成に用いられる装置と同様であるため、説明を省略する。
【0059】
図4に例示する構成において、幹線である光ケーブル33上で回線異常が発生した場合、受光監視部37は、受光パワーの異常を検出し、光スイッチ35を切り替えることにより、上位回線接続先を光ケーブル33から予備幹線の光ケーブル45に変更する。これにより、光スイッチ内蔵カプラ36は、光スイッチ内蔵カプラ41の後段に再接続されることになる。よって、通信障害が発生していた各ONU装置39は、幹線の光ケーブル34、光スイッチ内蔵カプラ41、予備幹線の光ケーブル45、光スイッチ内蔵カプラ36を経由して、OLT装置30との信号送受信が可能となり、自動復旧できる。
【0060】
同様に、幹線である光ケーブル34上で回線異常が発生した場合、受光監視部42は、受光パワーの異常を検出し、光スイッチ40を切り替えることにより、上位回線接続先を光ケーブル34から予備幹線の光ケーブル46に変更する。これにより、光スイッチ内蔵カプラ41は、光スイッチ内蔵カプラ36の後段に再接続されることになる。よって、通信障害が発生していた各ONU装置44は、幹線の光ケーブル33、光スイッチ内蔵カプラ36、予備幹線の光ケーブル46、光スイッチ内蔵カプラ41を経由して、OLT装置30との信号送受信が可能となり、自動復旧できる。
【0061】
以上のように、本変形例においても、光信号が入力される複数の上位回線に接続し、その上位回線の中から選択した一の上位回線から入力される光信号を、複数の出力回線に分配して送信する複数の光スイッチ内蔵カプラ36,41を用いて、冗長回線を構成する。このとき、光スイッチ内蔵カプラ36は、幹線である光ケーブル33と異なる光ケーブル45に、光スイッチ内蔵カプラ41における出力回線の一つを接続する。同様に、光スイッチ内蔵カプラ41は、幹線である光ケーブル34と異なる光ケーブル46に、光スイッチ内蔵カプラ36における出力回線の一つを接続する。
【0062】
そして、光スイッチ内蔵カプラ36の受光監視部37は、幹線である光ケーブル33から入力される光信号の受光パワーを監視する。光ケーブル33から入力される光信号の受光パワーに異常があった場合、受光監視部37は、光スイッチ35を他の入力回線である光ケーブル45に切り替えて接続する。そして、光カプラ部38は、光スイッチ35を介して光ケーブル45から受信した光信号を複数の出力回線に分配してONU装置39に送信する。
【0063】
すなわち、本実施形態における光スイッチ内蔵カプラを2つ用いて、各光スイッチ内蔵カプラに接続する予備幹線の光ケーブルを各々の分岐に接続することで、お互いの幹線を保護し合う光通信回線の冗長構成を構築できる。特に、保護回線を新たにに敷設する場合、既存敷設された光回線に本発明における光スイッチ内蔵カプラを設置することで、既存の2分岐光カプラ32を用いて、新たに敷設した保護回線に光回線を分岐させることができる。すなわち、2分岐光カプラ32を別製品に変更することなく、冗長構成を構築できる。
【0064】
すなわち、冗長構成を構築するためには、光スイッチ内蔵カプラ同士、もしくは、光スイッチ内蔵カプラと他のカプラとを接続する構成を用意するだけ冗長構成を容易に構築できる。
【0065】
また、光ケーブル33、光ケーブル34の長さに比べ、光スイッチ内蔵カプラ36、41の設置距離が十分に近い場合、本発明における光スイッチ内蔵カプラを設置することで新たに敷設する光ケーブルの長さを短くすることが可能である。
【0066】
実施形態2.
図5は、本発明の第2の実施形態における光回線冗長構成装置の例を示す説明図である。図5に例示する光回線冗長構成装置も、第1の実施形態と同様、光カプラに光スイッチを内蔵しているものである。以下、本実施形態における光回線冗長構成装置も、光スイッチ内蔵カプラと記す。図5に例示する光スイッチ内蔵カプラ51は、光スイッチ53と、受光監視部54と、光ケーブル55と、光カプラ部56と、光ケーブル57−1〜57−nとを備えている。
【0067】
第1の実施形態では、図1に例示する光スイッチ内蔵カプラ2が上位接続用の2つの回線が外部から接続される場合について説明した。一方、図5に例示する光スイッチ内蔵カプラ51は、上位接続用の4つの回線が外部から接続される点で、光スイッチ内蔵カプラ2と異なる。それ以外については、第1の実施形態と同様である。
【0068】
すなわち、図1に例示する光スイッチ内蔵カプラ2の光スイッチ3が1回路2接点であるのに対し、図5に例示する光スイッチ53は、1回路4接点のスイッチを採用している。ただし、スイッチが接続する接点の数は、4接点に限られず、また、2接点に限られない。スイッチが接続する接点の数は、2接点以上あればよい。
【0069】
図5に示す例では、光スイッチ内蔵カプラ51には、光ケーブル50−1〜50−4が上位接続用の回線として外部から接続され、各光ケーブルは、光スイッチ内蔵カプラ51内部の光スイッチ53に接続される。また、光スイッチ53は、光ケーブル55を介して光カプラ部56に接続される。
【0070】
また、図1に例示する光スイッチ3と、光スイッチ53とが対応し、図1に例示する受光監視部4と、受光監視部54とが対応する。さらに、図1に例示する光カプラ部6と、光カプラ部56とが対応し、図1に例示する光ケーブル5及び7−1〜7−nと、光ケーブル55及び57−1〜57−nとが対応する。これらの対応する構成については、説明を省略する。以下の説明では、光スイッチが接続する接点の数が4接点である場合について説明する。
【0071】
図6は、図5に例示した光スイッチ内蔵カプラ51を用いた光通信システムの構成例を示す説明図である。図6に例示する光通信システムも、通信障害の自動復旧を目的とした接続例である。図6に例示する光通信システムは、OLT装置60と、光スイッチ内蔵カプラ67,69〜71とを含む。光スイッチ内蔵カプラ69〜71の内容は、光スイッチ内蔵カプラ67の内容と同様であるため、説明を省略する。
【0072】
光スイッチ内蔵カプラ67は、光スイッチ68を備えている。また、光スイッチ内蔵カプラ67は、受光監視部(図示せず)を備えている。光スイッチ内蔵カプラ67が備える受光監視部(図示せず)は、図1における受光監視部4と同様である。光スイッチ内蔵カプラ67に入力された光信号は、光スイッチ68を介して、例えば、複数のONU装置(図示せず)に送信される。ただし、図6において、光スイッチ内蔵カプラ67,69〜71で分岐され後段に接続される光ケーブル、及び、その光ケーブルとONU装置との接続に関しては記載を省略する。
【0073】
OLT装置60は、光ケーブル61に接続されている。また、光ケーブル61は、4分岐光カプラ62に接続されている。4分岐カプラ62は、光ケーブル63,64,65,66を介して、それぞれ、光スイッチ内蔵カプラ67,69,70,71に接続されている。
【0074】
例えば、光スイッチ内蔵カプラ67において、4接点を有する光スイッチ68の一つの接点を主幹線(光ケーブル63)に接続する。そして、残りの3接点のうちの一つの接点を、第1の実施形態における変形例で示した接続方法と同様に、光スイッチ内蔵カプラ69が分岐させた回線の1つである光ケーブル72に接続することで、予備幹線にする。同様に、残りの接点を、光スイッチ内蔵カプラ70が分岐させた光ケーブル回線の1つである光ケーブル73及び光スイッチ内蔵カプラ71が分岐させた光ケーブル回線の1つである光ケーブル74に接続することで、予備幹線にする。
【0075】
次に、図6及び図7を用いて、本実施形態による光スイッチ内蔵カプラを用いて構築した冗長構成(光通信システム)の動作について説明する。図7は、冗長構成における動作の例を示すフローチャートである。なお、光スイッチ68は、初期状態として、幹線として使用される光ケーブル63側にスイッチが倒れている状態にあるものとする。
【0076】
光スイッチ内蔵カプラ67内部の受光監視部は、光ケーブル63を経由して送信されるOLT装置60からの光信号を常時受信し、その受光パワーを監視する(ステップS10)。受光監視部は、受光パワー異常を検出すると(ステップS11)、光スイッチ切り替え信号を光スイッチ68に対して発信する(ステップS12)。そして、受光監視部は、光スイッチ68の接点を光ケーブル72に切り替える(ステップS13)。
【0077】
受光監視部は、光ケーブルの切り替えにより、光ケーブル64及び光ケーブル72経由で正常にOLT装置60が発光する光信号の受光パワーを確認できたか否か判断する(ステップS14)。光信号の受光パワーが確認出来た場合(ステップS14におけるYes)、受光監視部は、回線障害の復旧が完了したと判断して処理を終了する(ステップS15)。
【0078】
一方、光信号の受光パワーが確認出来ない場合(ステップS14におけるNo)、受光監視部は、光スイッチ切り替え信号を光スイッチ68に対してさらに発信する(ステップS16)。そして、受光監視部は、光スイッチ68の接点を光ケーブル73に切り替え(ステップS17)、自動復旧を試みる。
【0079】
受光監視部は、光ケーブルの切り替えにより、光ケーブル65及び光ケーブル73経由で正常にOLT装置60が発光する光信号の受光パワーを確認できたか否か判断する(ステップS18)。光信号の受光パワーが確認出来た場合(ステップS18におけるYes)、受光監視部は、回線障害の復旧が完了したと判断して処理を終了する(ステップS15)。
【0080】
また、光信号の受光パワーが確認出来ない場合(ステップS18におけるNo)、受光監視部は、光スイッチ切り替え信号を光スイッチ68に対してさらに発信する(ステップS19)。そして、受光監視部は、光スイッチ68の接点を光ケーブル74に切り替え(ステップS20)、自動復旧を試みる。
【0081】
受光監視部は、光ケーブルの切り替えにより、光ケーブル66及び光ケーブル74経由で正常にOLT装置60が発光する光信号の受光パワーを確認できたか否か判断する(ステップS21)。光信号の受光パワーが確認出来た場合(ステップS21におけるYes)、受光監視部は、回線障害の復旧が完了したと判断して処理を終了する(ステップS15)。
【0082】
光信号の受光パワーが確認出来ない場合(ステップS21におけるNo)、すなわち、自動復旧したことを確認できなかった場合、すべての光回線に障害がある、あるいは、OLT装置60自体が故障した可能性があるため自動復旧は困難であり、人による修復作業が必要になる。この場合、受光監視部は、光スイッチ切り替え信号を光スイッチ68に発信する(ステップS22)。光スイッチ68は、この制御信号を受信すると、光回線の接続先を光ケーブル63に切り替える。すなわち、受光監視部は、光スイッチ68を初期状態に戻して処理を終了する(ステップS23)。
【0083】
なお、光スイッチ内蔵カプラ69,70,71についても、光スイッチ内蔵カプラ67と同様に、上位回線(具体的には、光スイッチの接点)を、他の光スイッチ内蔵カプラ70が分岐させた光ケーブル回線の1つに接続することで、予備幹線を用意することが出来る。
【0084】
図8は、予備幹線の関係例を示す説明図である。図6に例示する光ケーブル63〜66が、光ケーブル83〜86に相当し、図6に例示する光スイッチ内蔵カプラ67,69〜71が、光スイッチ内蔵カプラ87〜90に相当する。また、予備幹線ルート91〜96は、光スイッチを切り替えた場合に接続される光ケーブルを表す。
【0085】
図8の例では、予備幹線ルート91〜96を双方向の矢印で表現している。これは、2本の光ケーブルを意味しており、双方向で光ケーブルを冗長化していること意味している。なお、図8における予備幹線とは、双方向の矢印のペア(すなわち、光ケーブル)のことである。
【0086】
例えば、予備幹線ルート91において、光スイッチ内蔵カプラ87から光スイッチ内蔵カプラ88方向への矢印は、図6に例示する光ケーブル72に相当する。また、予備幹線ルート93において、光スイッチ内蔵カプラ87から光スイッチ内蔵カプラ90方向への矢印は、図6に例示する光ケーブル74に相当し、予備幹線ルート95において、光スイッチ内蔵カプラ87から光スイッチ内蔵カプラ89方向への矢印は、図6に例示する光ケーブル73に相当する。
【0087】
なお、図6に例示する構成例では、図8の予備幹線ルート91,93,95におけるもう一方の矢印に相当する光ケーブル、及び、予備幹線ルート92,94,96における双方の矢印に相当する光ケーブルは、記載を省略している。具体的には、これらの矢印に相当する光ケーブルは、光スイッチ内蔵カプラ69〜71の光スイッチ(図示せず)に接続される光ケーブルであり、光ケーブル72〜74に相当する。
【0088】
このように、各光スイッチ内蔵カプラの上位回線を、他の光スイッチ内蔵カプラが分岐させた光ケーブル回線の1つに接続しておくことにより、双方向の予備幹線ルートを確保することができる。よって、例えば、主幹線(光ケーブル83,84,85,86)のうち、3ライン同時に回線異常が発生したとしても、自動復旧することが可能になる。
【0089】
次に、本発明による光信号冗長システムの最小構成の例を説明する。図9は、本発明による光信号冗長システムの最小構成の例を示すブロック図である。本発明による光信号冗長システムは、光信号が入力される複数の入力回線71,72(例えば、光ケーブル1−1,1−2)に接続され、その入力回線の中から選択した一の入力回線71(例えば、光ケーブル1−1)から入力される光信号を、複数の出力回線73(例えば、光ケーブル7−1〜7−n)に分配して送信する光信号分配装置80(例えば、光スイッチ内蔵カプラ2)を複数備えている。
【0090】
各光信号分配装置80は、光信号が入力される複数の入力回線71,72のうち、いずれか一つの入力回線を選択するスイッチ81(例えば、光スイッチ3)と、スイッチ81によって選択された入力回線から入力される光信号の受光パワーを監視する受光パワー監視手段82(例えば、受光監視部4)と、光信号の受光パワーに異常があった場合(例えば、受光パワーに揺らぎがある場合や受光パワーが閾値未満の場合)、スイッチ81に選択する回線を切り替えさせるスイッチ切替手段83(例えば、受光監視部4)と、スイッチ81を介して入力回線から受信した光信号を複数の出力回線73に分配して送信する光信号分配手段84(例えば、光カプラ部6)とを備えている。
【0091】
各光信号分配装置80における一の入力回線72は、他の光信号分配装置80’における一の出力回線73’に接続され、各光信号分配装置80における一の出力回線73は、他の光信号分配装置80’における一の入力回線72’に接続される。
【0092】
このような構成により、光通信回線の冗長構成を容易に構築できる。
【0093】
すなわち、光信号分配装置80(例えば、光スイッチ内蔵カプラ2)は、外部装置(例えば、OLT装置)から制御されることなく、外部装置からの受光パワーを監視するだけで、受動的に光回線接続を切り替え、通信復旧を試みことが可能である。そのため、光回線上で異常が発生し、外部装置に接続された受信装置(例えば、ONU装置)が正常に通信できないような状態に対して有効と言える。
【0094】
なお、少なくとも以下に示すような光回線冗長システム及び光回線分配装置も、上記に示すいずれかの実施形態に開示されている。
【0095】
(1)光信号が入力される複数の入力回線(例えば、光ケーブル1−1,1−2)に接続され、その入力回線の中から選択した一の入力回線(例えば、光ケーブル1−1)から入力される光信号を、複数の出力回線(例えば、光ケーブル7−1〜7−n)に分配して送信する光信号分配装置(例えば、光スイッチ内蔵カプラ2)を複数備え、各光信号分配装置が、光信号が入力される複数の入力回線のうち、いずれか一つの入力回線を選択するスイッチ(例えば、光スイッチ3)と、スイッチによって選択された入力回線から入力される光信号の受光パワーを監視する受光パワー監視手段(例えば、受光監視部4)と、光信号の受光パワーに異常があった場合(例えば、受光パワーに揺らぎがある場合や受光パワーが閾値未満の場合)、スイッチに選択する入力回線を切り替えさせるスイッチ切替手段(例えば、受光監視部4)と、スイッチを介して入力回線から受信した光信号を複数の出力回線に分配して送信する光信号分配手段(例えば、光カプラ部6)とを備え、各光信号分配装置における一の入力回線が、他の光信号分配装置における一の出力回線に接続され、各光信号分配装置における一の出力回線が、他の光信号分配装置における一の入力回線に接続される光回線冗長システム。
【0096】
(2)スイッチ切替手段が、受光パワー監視手段が光信号の揺らぎを検出した場合に、スイッチに選択する入力回線を切り替えさせる光回線冗長システム。
【0097】
(3)スイッチ切替手段が、受光パワーが予め定められた閾値を下回る受光パワーの光信号を受光パワー監視手段が検出した場合に、スイッチに選択する入力回線を切り替えさせる光回線冗長システム。
【0098】
(4)スイッチ切替手段が、光信号分配手段が分配する複数の出力回線のうちの一つ回線(例えば、光ケーブル7−n)に接続され、その回線を介して受信する光信号の受光パワーに異常があった場合に、スイッチに選択する入力回線を切り替えさせる光回線冗長システム。
【0099】
(5)光信号分配手段が、光カプラであり、光カプラとスイッチとが一つの装置(例えば、光スイッチ内蔵カプラ2)内に含まれる光回線冗長システム。
【0100】
(6)光信号が入力される複数の入力回線(例えば、光ケーブル1−1,1−2)に接続され、その入力回線の中から選択した一の入力回線(例えば、光ケーブル1−1)から入力される光信号を、複数の出力回線(例えば、光ケーブル7−1〜7−n)に分配して送信する光信号分配装置(例えば、光スイッチ内蔵カプラ2)であって、光信号が入力される複数の入力回線のうち、いずれか一つの入力回線を選択するスイッチ(例えば、光スイッチ3)と、スイッチによって選択された入力回線から入力される光信号の受光パワーを監視する受光パワー監視手段(例えば、受光監視部4)と、光信号の受光パワーに異常があった場合(例えば、受光パワーに揺らぎがある場合や受光パワーが閾値未満の場合)、スイッチに選択する入力回線を切り替えさせるスイッチ切替手段(例えば、受光監視部4)と、スイッチを介して入力回線から受信した光信号を複数の出力回線に分配して送信する光信号分配手段(例えば、光カプラ部6)とを備え、光信号分配装置自身における一の入力回線が、他の光信号分配装置における一の出力回線に接続され、光信号分配装置自身における一の出力回線が、他の光信号分配装置における一の入力回線に接続される光信号分配装置。
【0101】
(7)スイッチ切替手段が、受光パワー監視手段が光信号の揺らぎを検出した場合に、スイッチに選択する入力回線を切り替えさせる光信号分配装置。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、光回線を冗長化する光信号冗長システムに好適に適用される。
【符号の説明】
【0103】
1−1,1−2,5,7−1〜7−n 光ケーブル
2,26,36,41,51,67,69〜71,87〜90 光スイッチ内蔵カプラ
3,25,35,40,53,68 光スイッチ
4,27,37,42,54 受光監視部
6,28,38,43,56 光カプラ部
20,30,60,80 OLT装置
22,32 2分岐光カプラ
29,39,44,82 ONU装置
62 4分岐光カプラ
91〜96 予備幹線ルート
【技術分野】
【0001】
本発明は、光回線を冗長化する光信号冗長システム及び光信号冗長システムに適用される光信号分配装置及び光信号冗長方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の光通信サービスでは、データ通信に止まらず、光電話や、テレビ放送配信といったサービスも提供されている。そのため、光ケーブルの被害により、多くのユーザに対して同時に長時間、サービスを停止させることは避けなければならない。そのため、光回線の信頼度を高める方法が、各種提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、冗長構成のみのハードウェアを少なくすることで制御を簡易化できる光分配冗長方法が記載されている。特許文献1に記載された方法では、光分配装置として2入力2出力の光スイッチを用いる。通常状態では、光分配装置は、各入力線から入力された光をそれぞれ異なる出力線に出力する。一方、入力線の一方に異常が検知された状態では、光分配装置は、他方の線から入力される光を等分して各出力線に出力する。
【0004】
また、特許文献2には、多段光分岐ポイント−マルチポイント光伝送システムが記載されている。特許文献2に記載されたシステムは、センタ装置とユーザ装置との間に光分岐素子及び光ファイバを多段に配置することで、各種の障害による通信への影響を緩和するものである。
【0005】
なお、特許文献3には、親局装置と光スプリッタとの幹線が冗長構成される光多分岐通信システムが記載されている。特許文献1に記載されたシステムでは、切替指示が行われると、光スイッチが幹線の伝送路を切り替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−23478号公報(段落0020,0025,0055)
【特許文献2】特開平8−242207号公報(段落0007,0008、図1)
【特許文献3】特開2002−198904号公報(段落0031,0032、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、GE−PON(Gigabit Ethernet Passive Optical Network。なお、Ethernetは登録商標。)による光通信サービスが提供されている。GE−PONによる光通信サービスでは、1本の光ケーブルを光カプラと呼ばれる光受動素子によって複数の回線に分岐させる。
【0008】
図10は、一般的な光通信サービスの構成を示す説明図である。図10に示す光通信サービスでは、光カプラ12によって1本の光ケーブル11を複数の回線に分岐させて、センタ局に配置されるOLT(Optical Line Terminal )装置10と、各ユーザ宅に配置されるONU(Optical Network Unit)装置13とをダブルスター方式で接続することにより、光通信回線を共有させている。図10に示す構成のメリットは、複数のユーザが同一回線を共有しているため、1対1のシングルスター方式で接続する場合に比べ、インフラコストをより低価格にできることである。
【0009】
ここで、光通信で使用されるケーブルは、敷設された箇所により、大きく3つに分類される。OLT装置と光カプラとを結ぶ幹線、光カプラからユーザ宅を結ぶ引き込み配線、及び、ユーザ宅内でONU装置に接続される宅内配線である。引き込み配線および宅内配線が何らかの理由で切断、破損してしまった場合、光通信が使用できなくなるのは、この配線に接続されている1ユーザのみである。一方、複数ユーザが共有する幹線上で災害や不慮の事故により切断、破損などの回線異常が発生してしまった場合、この幹線を共有しているすべてのユーザが通信不能になる。そうすると、光通信サービスが使用不可能な状態になってしまうため、大きな問題になることがあった。
【0010】
災害や不慮の事故として、例えば、地震などの災害により電柱が倒壊してしまうことや、大型車両などが誤って光ケーブルを引っかけてしまうこと、鳥や虫などが光ケーブルを切断したり破損させたりすることによる被害などが想定される。実際、道路整備工事時に誤って光ケーブルを切断させてしまった事例や、クマゼミが光ケーブルに卵を産みつけようとして光ケーブルを切断してしまった事例などが報告されている。
【0011】
光回線異常により正常な光通信サービスできなくなった場合、通信事業者は、不具合箇所を特定させ、早急に故障個所を修繕するか、切断されたり破損したりした光ケーブルの区間を別の光ケーブルにて再敷設する必要があった。特に、幹線に被害が及んだ場合は、再敷設のために、ユニック車などの工事車両や、光ケーブルを敷設できる技術を有する技術者などが必要になる。すなわち、修理作業完了までに様々な時間を要するため、光通信サービスを瞬時に復旧させることは難しい。そのため、光回線の信頼度を高めることが必要になる。
【0012】
光通信サービスの通信障害に備え、OLT装置を冗長構成とすることが一般的に知られている。しかし、これは、OLT装置が故障した場合に予備のOLT装置へ制御を切り替えることによって光通信サービスを維持させる方法である。そのため、光回線上で異常が発生した場合の有効な手段とは言えない。
【0013】
特許文献1及び特許文献2に記載された構成により、光回線の信頼度を高めることは可能である。しかし、GE−PONによる光通信回線を特許文献1に記載された光分配装置や、特許文献2に記載されたシステム構成を用いて実現しようとする場合、その構築が容易ではないという課題がある。
【0014】
特許文献1に記載された構成は、映像配信用の光通信を想定しており、この構成は一心片方向の通信になる。データ通信を主とするGE−PONの光通信においては、一心双方向の通信になるため、特許文献1に記載された光増幅器部分を双方向対応する必要がある。そのため、特許文献1に記載された方法を用いてGE−PONによる光通信システムを構成しようとすると、光増幅器部分を含む構成がより複雑化してしまうという問題がある。
【0015】
また、特許文献2に記載された光伝送システムを実現しようとする場合、センタ装置もしくはユーザ装置、またはその両者の装置が冗長構成に対応した光スイッチを内蔵しなければならない。このように、特許文献2に記載されたシステムを構築する場合には、専用の装置を用意しなければならず、やはり、システムの構築が容易ではないという問題がある。
【0016】
そこで、本発明は、光通信回線の冗長構成を容易に構築できる光信号冗長システム及び光信号冗長システムに適用される光信号分配装置及び光信号冗長方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明による光信号冗長システムは、光信号が入力される複数の入力回線に接続され、その入力回線の中から選択した一の入力回線から入力される光信号を、複数の出力回線に分配して送信する光信号分配装置を複数備え、各光信号分配装置が、光信号が入力される複数の入力回線のうち、いずれか一つの入力回線を選択するスイッチと、スイッチによって選択された入力回線から入力される光信号の受光パワーを監視する受光パワー監視手段と、光信号の受光パワーに異常があった場合、スイッチに選択する入力回線を切り替えさせるスイッチ切替手段と、スイッチを介して入力回線から受信した光信号を複数の出力回線に分配して送信する光信号分配手段とを備え、各光信号分配装置における一の入力回線が、他の光信号分配装置における一の出力回線に接続され、各光信号分配装置における一の出力回線が、他の光信号分配装置における一の入力回線に接続されることを特徴とする。
【0018】
本発明による光信号分配装置は、光信号が入力される複数の入力回線に接続され、その入力回線の中から選択した一の入力回線から入力される光信号を、複数の出力回線に分配して送信する光信号分配装置であって、光信号が入力される複数の入力回線のうち、いずれか一つの入力回線を選択するスイッチと、スイッチによって選択された入力回線から入力される光信号の受光パワーを監視する受光パワー監視手段と、光信号の受光パワーに異常があった場合、スイッチに選択する入力回線を切り替えさせるスイッチ切替手段と、スイッチを介して入力回線から受信した光信号を複数の出力回線に分配して送信する光信号分配手段とを備え、その光信号分配装置自身における一の入力回線は、他の光信号分配装置における一の出力回線に接続され、その光信号分配装置自身における一の出力回線は、他の光信号分配装置における一の入力回線に接続されることを特徴とする。
【0019】
本発明による光信号冗長方法は、光信号が入力される複数の入力回線に接続され、その入力回線の中から選択した一の入力回線から入力される光信号を、複数の出力回線に分配して送信する複数の光信号分配装置を用いた光回線冗長方法であって、各光信号分配装置における一の入力回線は、他の光信号分配装置における一の出力回線に接続され、各光信号分配装置における一の出力回線は、他の光信号分配装置における一の入力回線に接続され、各光信号分配装置が、選択した入力回線から入力される光信号の受光パワーを監視し、各光信号分配装置が、入力回線から入力される光信号の受光パワーに異常があった場合、入力回線の接続先を選択するスイッチに入力回線を切り替えさせ、各光信号分配装置が、スイッチを介して入力回線から受信した光信号を複数の出力回線に分配して送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、光通信回線の冗長構成を容易に構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態における光回線冗長構成装置の例を示す説明図である。
【図2】第1の実施形態における光通信システムの構成例を示す説明図である。
【図3】第1の実施形態における冗長構成の動作例を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態における光通信システムの他の構成例を示す説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態における光回線冗長構成装置の例を示す説明図である。
【図6】第2の実施形態における光通信システムの構成例を示す説明図である。
【図7】第2の実施形態における冗長構成の動作例を示すフローチャートである。
【図8】予備幹線の関係例を示す説明図である。
【図9】本発明による光信号冗長システムの最小構成の例を示すブロック図である。
【図10】一般的な光通信サービスの構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0023】
実施形態1.
初めに、第1の実施形態における光回線冗長構成装置について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における光回線冗長構成装置の例を示す説明図である。図1に例示する光回線冗長構成装置は、光カプラに光スイッチを内蔵した1つの装置である。以下、本実施形態における光回線冗長構成装置を、光スイッチ内蔵カプラと記す。図1に例示する光スイッチ内蔵カプラ2は、光スイッチ3と、受光監視部4と、光ケーブル5と、光カプラ部6と、光ケーブル7−1〜7−nとを備えている。
【0024】
光スイッチ内蔵カプラ2には、光ケーブル1−1,1−2が上位接続用の回線として外部から接続され、各光ケーブルは、光スイッチ内蔵カプラ2内部の光スイッチ3に接続される。また、光スイッチ3は、光ケーブル5を介して光カプラ部6に接続される。
【0025】
光スイッチ3は、後述の受光監視部4の指示に応じ、上位接続用の回線のうち、いずれか一つの回線を選択する。図1に示す例では、光スイッチ3は、後述の受光監視部4の指示に応じ、上位接続先である光ケーブル1−1と光ケーブル1−2のうち、いずれか一つの回線を選択する。
【0026】
光ケーブル5の後段において、光カプラ部6は、光ケーブル7−1から光ケーブル7−nまでのn本に光ケーブルを分岐させる。光ケーブル7−1〜7−(n−1)までは、光スイッチ内蔵カプラ2から外部に出され、後段のONU装置(図示せず)に接続される。光ケーブル7−nは、内部向けの専用ケーブルであり、光スイッチ内蔵カプラ2内部の受光監視部4に接続される。
【0027】
一般的に、GE−PONシステムでは、光カプラとして1対N分岐(Nは2の倍数)のものが使用される。OLT装置が発光する光は、光カプラでN分岐され、各ONU装置に伝送される。反対に、各ONU装置の光は、光カプラで結合され、OLT装置に伝送される。
【0028】
各ONU装置の光信号が光カプラ部で結合される際、異なるONU装置の信号がぶつかってしまわないように、一般的には、OLT装置が各ONU装置に対する発光許可情報を光信号に含めて伝送する。この発行許可情報を伝送して時間管理することにより、1台のOLT装置に対して、複数台のONU装置を接続し、同一の光回線を共有することが可能になる。このように、GE−PONシステムで用いられる通信方法は、光通信を分岐させて複数のユーザに接続する際、上り方向の信号が存在する点において、映像配信を想定した光通信方法(例えば、特許文献1に記載された光分配冗長方法)と異なる。
【0029】
受光監視部4は、OLT装置(図示せず)が発光する光信号の受光パワーを監視する。なお、光信号は、光ケーブル1−1または光ケーブル1−2から、光スイッチ3と、光ケーブル5と、光カプラ部6とを経由して入力される。そして、受光監視部4は、受光パワーの異常を検出すると、光スイッチ3に対して、スイッチ切り替え信号を発信し、光ケーブル5の接続先を切り替えさせる。
【0030】
受光監視部4は、例えば、受光パワーの揺らぎから異常を検出してもよい。上述の通り、受光監視部4が監視する受光パワーは、OLT装置が常時発光する光信号である。受光経路が変化しなければ、受光監視部4は、安定した光信号を受光する。一方、受光パワーが揺らいだ場合、その経路に何らかの異常があることが想定される。よって、受光監視部4が受光パワーの揺らぎを検知することで、回線断等の異常を検出できる。
【0031】
なお、受光パワーが大きく揺らいだ場合、回線断までは至らずとも、回線がダメージを受けてしまっていることも想定される。このような場合でも、受光監視部4が異常と判断してスイッチ3を切り替えてもよい。このような場合にも切り替え処理を行うことで、運用状態であっても、ダメージを受けた光幹線の再敷設が可能になる。
【0032】
なお、受光監視部4が異常を検出する方法は、受光パワーの揺らぎを検知する方法に限定されない。例えば、ONU装置がデータ受信可能な受光パワーを閾値と定めておき、受光監視部4が、その閾値を下回る受光パワーの光信号を検知したときに、異常を検出してもよい。ただし、閾値として定める値は、ONU装置がデータ受信可能な受光パワーに限定されない。
【0033】
また、受光監視部4は、異常を検知する方法として、閾値を超える受光パワーの信号を受信したか否かを判断する方法と、受光パワーに揺らぎが発生したか否かを判断する方法の両方を用いてもよい。この場合、受光監視部4は、いずれか一方の内容(すなわち、閾値を超える受光パワーの信号を受信したこと、もしくは、受光パワーに揺らぎが発生したこと)を満たす場合に、異常を検知すればよい。
【0034】
受光監視部4は、RSSI(Received Signal Strength Indication )と呼ばれる機能と、RSSIで測定した光信号の強度などの情報を管理する機能とを組み合わせることにより実現される。光信号用のRSSIは、光フォトダイオードの電流値から光信号の強度を判定することが可能なため、受光監視部4は、この強度の情報を収集し、揺らぎ、もしくは、所定の閾値に達しているか否かを判断する。例えば、所定の閾値に達しているか否かを判断する場合、受光監視部4は、電気回路構成のみで実現可能である。また、揺らぎを判断する場合、受光監視部4は、例えば、揺らぎ判断がプログラムされた専用の機能を有するICやPLD(Programmable Logic Device )などにより実現される。なお、プログラムには、スイッチを切り替える処理を受光監視部4に実行させる処理を含んでいてもよい。
【0035】
このように、本実施形態における光スイッチ内蔵カプラ2は、光ケーブルを分岐させるための光カプラに光スイッチ3を内蔵することにより、上位接続される光回線ルート(例えば、光ケーブル1−1,1−2)を選択できるようにしている。
【0036】
さらに、光カプラ内の受光監視部4が、上位の光回線が切断した場合や損傷した場合に、OLT装置から受光する光信号の受光パワー変化を検出する。そして、受光パワーに異常を検出した場合、受光監視部4が、光スイッチ3の切り替えを促し、別光回線ルートへの回線接続を選択させる。そのため、故障個所の修繕、もしくは、光ケーブルの再配線をすることなく、光通信が可能な状態に短時間で自動復旧できる。そのため、長時間の光通信サービス停止に陥ることを避けることができる。
【0037】
次に、上述の光スイッチ内蔵カプラを用いて光回線を冗長化した光回線冗長方法について説明する。図2は、図1に例示した光スイッチ内蔵カプラ2を用いた光通信システムの構成例を示す説明図である。図2に例示する光通信システムは、OLT装置20と複数のONU装置29−1〜29−(n−1)と、光スイッチ内蔵カプラ26とを含む。なお、光スイッチ内蔵カプラ26は、図1における光スイッチ内蔵カプラ2に対応する。以下、ONU装置29−1〜29−(n−1)のうちから選択した一のONU装置を、ONU装置29と記す。
【0038】
本実施形態による構成は、図10に示す一般的な構成と比較すると、光カプラ12が光スイッチ内蔵カプラ26に置き換わっている。また、OLT装置20と、光スイッチ内蔵カプラ26との間は、光ケーブル21と2分岐光カプラ22を経由して、光ケーブル23及び光ケーブル24の2本の光ケーブルで接続されている。なお、OLT装置20と、ONU装置29とは、一般的な構成に用いられる装置と同様であるため、説明を省略する。
【0039】
光ケーブル23は、通常使用されることを想定した幹線である。また、個々のONU装置29は、光スイッチ内蔵カプラ26と光ケーブル23とを介して、OLT装置20に接続され、相互に光通信を行う。
【0040】
光ケーブル24は、光ケーブル23上で切断や破損などの異常が発生した際の予備幹線として、予め敷設する光回線である。
【0041】
2分岐光カプラ22は、OLT装置20の直近に配置され、光スイッチ内蔵カプラ26は、個々のONU装置29の近くに配置される。このような配置の工夫により、OLT装置20からONU装置29までの総配線長内で幹線にあたる光ケーブル23の占める割合が高くなるように構成できる。
【0042】
また、このように構成することで、災害や不慮の事故などにより光ケーブルが切断したり、破損したりする状況が、本ケーブル上(光ケーブル23上)で発生する可能性が高くなる。さらに、幹線の光ケーブル23及び予備幹線の光ケーブル24の配線ルートを分けることで、幹線上で災害や不慮の事故が発生した場合でも、予備幹線まで切断されないようにすることができる。
【0043】
次に、図2及び図3を用いて、本実施形態による光スイッチ内蔵カプラを用いて構築した冗長構成(光通信システム)の動作について説明する。図3は、本実施形態における冗長構成の動作例を示すフローチャートである。なお、光スイッチ25は、初期状態として、幹線として使用される光ケーブル23側にスイッチが倒れている状態にあるものとする。また、以下の説明では、OLT装置20から送信される光信号は、常時発光しているものとする。
【0044】
受光監視部27は、光ケーブル23を経由して送信されるOLT装置20からの光信号を常時受信し、その受光パワーを監視する(ステップS1)。なお、GE−PONシステムにおいては、下り信号の波長は1490nmである。そのため、受光監視部27は、監視する光の波長を1490nmに合わせることで、OLT装置20が発光する光信号のみを監視できるようになる。
【0045】
災害や不慮の事故により幹線の光ケーブル23が切断もしくは破損してしまった場合、OLT装置20が発光する光信号が光スイッチ内蔵カプラまで正常に伝達されないことになる。このような場合において、受光監視部27は、受光パワーの異常を検出すると(ステップS2)、光スイッチ切り替え信号(制御信号と記すこともある。)を光スイッチ25に対して発信する(ステップS3)。光スイッチ25は、この制御信号を受信すると、光回線の接続先を光ケーブル23側から光ケーブル24側に切り替える(ステップS4)。受光監視部27は、光ケーブルの切り替えにより、OLT装置20が発光する光信号を確認できたか否か判断する(ステップS5)。
【0046】
光信号を確認できた場合(ステップS5におけるYes)、受光監視部27は、回線障害の復旧が完了したと判断して処理を終了する(ステップS6)。この場合、各ONU装置29は、再び切断および破損していない光ケーブル24を経由してOLT装置20と正常な光信号の送受信が可能になる。
【0047】
一方、スイッチを切り替えても光信号を確認できない場合には、保護幹線(予備幹線)も切断もしくは破損してしまった、あるいは、OLT装置20自体が故障した可能性がある。そのため、自動復旧は困難であり、人による光回線もしくはOLT装置20の修復作業が必要になる。この場合(ステップS5におけるNo)、受光監視部27は、回線障害を復旧できていないと判断し、再度光スイッチ切り替え信号を光スイッチ25に発信する(ステップS7)。光スイッチ25は、この制御信号を受信すると、光回線の接続先を光ケーブル24側から光ケーブル23側に切り替える。すなわち、受光監視部27は、光スイッチ25をもとの状態に戻して処理を終了する(ステップS8)。
【0048】
以上のように、本実施形態では、光信号が入力される複数の上位回線に接続し、その上位回線の中から選択した一の上位回線から入力される光信号を、複数の出力回線に分配して送信する光スイッチ内蔵カプラ2を用いて、冗長回線を構成する。また、光カプラ部6における分岐の1つに受光監視部4が設けられ、受光監視部4が、OLT装置からの受光パワーを監視して光スイッチ3の接続先を変更する。具体的には、受光監視部4は、監視する回線から入力される光信号の受光パワーに異常があった場合、回線の接続先を他の入力回線に切り替える。
【0049】
このように、受光監視部4が、受光パワーを監視して回線を切り替えるため、OLT装置(センタ装置と記すこともある。)と、ONU装置(ユーザ装置と記すこともある。)のいずれも特殊な機能を備える必要がない。そのため、光通信回線の冗長構成を容易に構築できる。
【0050】
さらに、受光監視部4が、OLT装置からの受光パワーを監視して光スイッチ3の接続先を変更することにより、障害発生時には上位回線選択用の光スイッチ3を自動で切り替えることができる。すなわち、光スイッチ内蔵カプラ2は、受動的に動作して、冗長構成における回線の切り替えを行うため、外部装置(例えばOLT装置など)からの外部制御を必要としない冗長構成を容易に構築できる。
【0051】
また、本実施形態における光スイッチ内蔵カプラは、OLT装置から光信号を受信し、自身で受光パワーの異常を検知して他の回線に切り替える。そのため、外部制御を必要としない。すなわち、本実施形態における光スイッチ内蔵カプラは、OLT装置から光信号を受信する機能(受信機能)を具備していればよく、送信機能まで具備する必要はないため、より簡易な構成で回線切り替えを実現できる。
【0052】
さらに、本実施形態における光スイッチ内蔵カプラは、OLT装置20からの光信号を監視することにより光回線の異常状態を検知しているため、OLT装置20と通信できなくなってしまった状態でも光回線の切り替え制御を実行できる。
【0053】
また、例えば、一般的に、回線異常が確認された場合には、異常個所を特定させた後、修繕もしくは、異常区間の光ケーブル再敷設が必要になる。通常、復旧作業には多くの時間及び作業が必要なため、長時間、光通信サービスが停止してしまうことがある。しかし、本実施形態における光スイッチ内蔵カプラを用いることで、光回線異常による通信障害から、自動的に短時間(例えば数秒)で回線障害を復旧出来るという効果も得られる。
【0054】
次に、本実施形態における光通信システムの変形例について説明する。図4は、本変形例における光通信システムの構成例を示す説明図である。本変形例における光通信システムは、OLT装置30と複数のONU装置39−1〜39−(n−2),44−1〜44−(n−2)と、光ケーブル33,34と、光スイッチ内蔵カプラ36,41とを含む。以下、ONU装置39−1〜39−(n−2)のうちから選択した一のONU装置を、ONU装置39と記し、ONU装置44−1〜44−(n−2)のうちから選択した一のONU装置を、ONU装置44と記す。
【0055】
本変形例における光スイッチ内蔵カプラ36,41は、図1における光スイッチ内蔵カプラ2と同様であり、受光監視部37,42は、図1における受光監視部4と同様である。また、本実施形態における光スイッチ35,40は、図1における光スイッチ3と同様であり、光カプラ部38,43は、図1における光カプラ部6と同様である。
【0056】
本変形例における光通信システムでは、光スイッチ内蔵カプラ36,41の2台を用いる。光ケーブル33は、ONU装置39に対して通常使用されることを想定した幹線である。また、光ケーブル34は、ONU装置44に対して通常使用されることを想定した幹線である。
【0057】
光スイッチ内蔵カプラ36の予備幹線(ここでは、光ケーブル45)は、上述の実施形態と異なり、もう一方の光スイッチ内蔵カプラ41の分岐の一つ(すなわち、光カプラ部43)に接続される。光スイッチ内蔵カプラ41の予備幹線(ここでは、光ケーブル46)も同様に、光スイッチ内蔵カプラ36の分岐の一つ(すなわち、光カプラ部38)に接続されている。
【0058】
なお、OLT装置30と、ONU装置39,44とは、一般的な構成に用いられる装置と同様であるため、説明を省略する。
【0059】
図4に例示する構成において、幹線である光ケーブル33上で回線異常が発生した場合、受光監視部37は、受光パワーの異常を検出し、光スイッチ35を切り替えることにより、上位回線接続先を光ケーブル33から予備幹線の光ケーブル45に変更する。これにより、光スイッチ内蔵カプラ36は、光スイッチ内蔵カプラ41の後段に再接続されることになる。よって、通信障害が発生していた各ONU装置39は、幹線の光ケーブル34、光スイッチ内蔵カプラ41、予備幹線の光ケーブル45、光スイッチ内蔵カプラ36を経由して、OLT装置30との信号送受信が可能となり、自動復旧できる。
【0060】
同様に、幹線である光ケーブル34上で回線異常が発生した場合、受光監視部42は、受光パワーの異常を検出し、光スイッチ40を切り替えることにより、上位回線接続先を光ケーブル34から予備幹線の光ケーブル46に変更する。これにより、光スイッチ内蔵カプラ41は、光スイッチ内蔵カプラ36の後段に再接続されることになる。よって、通信障害が発生していた各ONU装置44は、幹線の光ケーブル33、光スイッチ内蔵カプラ36、予備幹線の光ケーブル46、光スイッチ内蔵カプラ41を経由して、OLT装置30との信号送受信が可能となり、自動復旧できる。
【0061】
以上のように、本変形例においても、光信号が入力される複数の上位回線に接続し、その上位回線の中から選択した一の上位回線から入力される光信号を、複数の出力回線に分配して送信する複数の光スイッチ内蔵カプラ36,41を用いて、冗長回線を構成する。このとき、光スイッチ内蔵カプラ36は、幹線である光ケーブル33と異なる光ケーブル45に、光スイッチ内蔵カプラ41における出力回線の一つを接続する。同様に、光スイッチ内蔵カプラ41は、幹線である光ケーブル34と異なる光ケーブル46に、光スイッチ内蔵カプラ36における出力回線の一つを接続する。
【0062】
そして、光スイッチ内蔵カプラ36の受光監視部37は、幹線である光ケーブル33から入力される光信号の受光パワーを監視する。光ケーブル33から入力される光信号の受光パワーに異常があった場合、受光監視部37は、光スイッチ35を他の入力回線である光ケーブル45に切り替えて接続する。そして、光カプラ部38は、光スイッチ35を介して光ケーブル45から受信した光信号を複数の出力回線に分配してONU装置39に送信する。
【0063】
すなわち、本実施形態における光スイッチ内蔵カプラを2つ用いて、各光スイッチ内蔵カプラに接続する予備幹線の光ケーブルを各々の分岐に接続することで、お互いの幹線を保護し合う光通信回線の冗長構成を構築できる。特に、保護回線を新たにに敷設する場合、既存敷設された光回線に本発明における光スイッチ内蔵カプラを設置することで、既存の2分岐光カプラ32を用いて、新たに敷設した保護回線に光回線を分岐させることができる。すなわち、2分岐光カプラ32を別製品に変更することなく、冗長構成を構築できる。
【0064】
すなわち、冗長構成を構築するためには、光スイッチ内蔵カプラ同士、もしくは、光スイッチ内蔵カプラと他のカプラとを接続する構成を用意するだけ冗長構成を容易に構築できる。
【0065】
また、光ケーブル33、光ケーブル34の長さに比べ、光スイッチ内蔵カプラ36、41の設置距離が十分に近い場合、本発明における光スイッチ内蔵カプラを設置することで新たに敷設する光ケーブルの長さを短くすることが可能である。
【0066】
実施形態2.
図5は、本発明の第2の実施形態における光回線冗長構成装置の例を示す説明図である。図5に例示する光回線冗長構成装置も、第1の実施形態と同様、光カプラに光スイッチを内蔵しているものである。以下、本実施形態における光回線冗長構成装置も、光スイッチ内蔵カプラと記す。図5に例示する光スイッチ内蔵カプラ51は、光スイッチ53と、受光監視部54と、光ケーブル55と、光カプラ部56と、光ケーブル57−1〜57−nとを備えている。
【0067】
第1の実施形態では、図1に例示する光スイッチ内蔵カプラ2が上位接続用の2つの回線が外部から接続される場合について説明した。一方、図5に例示する光スイッチ内蔵カプラ51は、上位接続用の4つの回線が外部から接続される点で、光スイッチ内蔵カプラ2と異なる。それ以外については、第1の実施形態と同様である。
【0068】
すなわち、図1に例示する光スイッチ内蔵カプラ2の光スイッチ3が1回路2接点であるのに対し、図5に例示する光スイッチ53は、1回路4接点のスイッチを採用している。ただし、スイッチが接続する接点の数は、4接点に限られず、また、2接点に限られない。スイッチが接続する接点の数は、2接点以上あればよい。
【0069】
図5に示す例では、光スイッチ内蔵カプラ51には、光ケーブル50−1〜50−4が上位接続用の回線として外部から接続され、各光ケーブルは、光スイッチ内蔵カプラ51内部の光スイッチ53に接続される。また、光スイッチ53は、光ケーブル55を介して光カプラ部56に接続される。
【0070】
また、図1に例示する光スイッチ3と、光スイッチ53とが対応し、図1に例示する受光監視部4と、受光監視部54とが対応する。さらに、図1に例示する光カプラ部6と、光カプラ部56とが対応し、図1に例示する光ケーブル5及び7−1〜7−nと、光ケーブル55及び57−1〜57−nとが対応する。これらの対応する構成については、説明を省略する。以下の説明では、光スイッチが接続する接点の数が4接点である場合について説明する。
【0071】
図6は、図5に例示した光スイッチ内蔵カプラ51を用いた光通信システムの構成例を示す説明図である。図6に例示する光通信システムも、通信障害の自動復旧を目的とした接続例である。図6に例示する光通信システムは、OLT装置60と、光スイッチ内蔵カプラ67,69〜71とを含む。光スイッチ内蔵カプラ69〜71の内容は、光スイッチ内蔵カプラ67の内容と同様であるため、説明を省略する。
【0072】
光スイッチ内蔵カプラ67は、光スイッチ68を備えている。また、光スイッチ内蔵カプラ67は、受光監視部(図示せず)を備えている。光スイッチ内蔵カプラ67が備える受光監視部(図示せず)は、図1における受光監視部4と同様である。光スイッチ内蔵カプラ67に入力された光信号は、光スイッチ68を介して、例えば、複数のONU装置(図示せず)に送信される。ただし、図6において、光スイッチ内蔵カプラ67,69〜71で分岐され後段に接続される光ケーブル、及び、その光ケーブルとONU装置との接続に関しては記載を省略する。
【0073】
OLT装置60は、光ケーブル61に接続されている。また、光ケーブル61は、4分岐光カプラ62に接続されている。4分岐カプラ62は、光ケーブル63,64,65,66を介して、それぞれ、光スイッチ内蔵カプラ67,69,70,71に接続されている。
【0074】
例えば、光スイッチ内蔵カプラ67において、4接点を有する光スイッチ68の一つの接点を主幹線(光ケーブル63)に接続する。そして、残りの3接点のうちの一つの接点を、第1の実施形態における変形例で示した接続方法と同様に、光スイッチ内蔵カプラ69が分岐させた回線の1つである光ケーブル72に接続することで、予備幹線にする。同様に、残りの接点を、光スイッチ内蔵カプラ70が分岐させた光ケーブル回線の1つである光ケーブル73及び光スイッチ内蔵カプラ71が分岐させた光ケーブル回線の1つである光ケーブル74に接続することで、予備幹線にする。
【0075】
次に、図6及び図7を用いて、本実施形態による光スイッチ内蔵カプラを用いて構築した冗長構成(光通信システム)の動作について説明する。図7は、冗長構成における動作の例を示すフローチャートである。なお、光スイッチ68は、初期状態として、幹線として使用される光ケーブル63側にスイッチが倒れている状態にあるものとする。
【0076】
光スイッチ内蔵カプラ67内部の受光監視部は、光ケーブル63を経由して送信されるOLT装置60からの光信号を常時受信し、その受光パワーを監視する(ステップS10)。受光監視部は、受光パワー異常を検出すると(ステップS11)、光スイッチ切り替え信号を光スイッチ68に対して発信する(ステップS12)。そして、受光監視部は、光スイッチ68の接点を光ケーブル72に切り替える(ステップS13)。
【0077】
受光監視部は、光ケーブルの切り替えにより、光ケーブル64及び光ケーブル72経由で正常にOLT装置60が発光する光信号の受光パワーを確認できたか否か判断する(ステップS14)。光信号の受光パワーが確認出来た場合(ステップS14におけるYes)、受光監視部は、回線障害の復旧が完了したと判断して処理を終了する(ステップS15)。
【0078】
一方、光信号の受光パワーが確認出来ない場合(ステップS14におけるNo)、受光監視部は、光スイッチ切り替え信号を光スイッチ68に対してさらに発信する(ステップS16)。そして、受光監視部は、光スイッチ68の接点を光ケーブル73に切り替え(ステップS17)、自動復旧を試みる。
【0079】
受光監視部は、光ケーブルの切り替えにより、光ケーブル65及び光ケーブル73経由で正常にOLT装置60が発光する光信号の受光パワーを確認できたか否か判断する(ステップS18)。光信号の受光パワーが確認出来た場合(ステップS18におけるYes)、受光監視部は、回線障害の復旧が完了したと判断して処理を終了する(ステップS15)。
【0080】
また、光信号の受光パワーが確認出来ない場合(ステップS18におけるNo)、受光監視部は、光スイッチ切り替え信号を光スイッチ68に対してさらに発信する(ステップS19)。そして、受光監視部は、光スイッチ68の接点を光ケーブル74に切り替え(ステップS20)、自動復旧を試みる。
【0081】
受光監視部は、光ケーブルの切り替えにより、光ケーブル66及び光ケーブル74経由で正常にOLT装置60が発光する光信号の受光パワーを確認できたか否か判断する(ステップS21)。光信号の受光パワーが確認出来た場合(ステップS21におけるYes)、受光監視部は、回線障害の復旧が完了したと判断して処理を終了する(ステップS15)。
【0082】
光信号の受光パワーが確認出来ない場合(ステップS21におけるNo)、すなわち、自動復旧したことを確認できなかった場合、すべての光回線に障害がある、あるいは、OLT装置60自体が故障した可能性があるため自動復旧は困難であり、人による修復作業が必要になる。この場合、受光監視部は、光スイッチ切り替え信号を光スイッチ68に発信する(ステップS22)。光スイッチ68は、この制御信号を受信すると、光回線の接続先を光ケーブル63に切り替える。すなわち、受光監視部は、光スイッチ68を初期状態に戻して処理を終了する(ステップS23)。
【0083】
なお、光スイッチ内蔵カプラ69,70,71についても、光スイッチ内蔵カプラ67と同様に、上位回線(具体的には、光スイッチの接点)を、他の光スイッチ内蔵カプラ70が分岐させた光ケーブル回線の1つに接続することで、予備幹線を用意することが出来る。
【0084】
図8は、予備幹線の関係例を示す説明図である。図6に例示する光ケーブル63〜66が、光ケーブル83〜86に相当し、図6に例示する光スイッチ内蔵カプラ67,69〜71が、光スイッチ内蔵カプラ87〜90に相当する。また、予備幹線ルート91〜96は、光スイッチを切り替えた場合に接続される光ケーブルを表す。
【0085】
図8の例では、予備幹線ルート91〜96を双方向の矢印で表現している。これは、2本の光ケーブルを意味しており、双方向で光ケーブルを冗長化していること意味している。なお、図8における予備幹線とは、双方向の矢印のペア(すなわち、光ケーブル)のことである。
【0086】
例えば、予備幹線ルート91において、光スイッチ内蔵カプラ87から光スイッチ内蔵カプラ88方向への矢印は、図6に例示する光ケーブル72に相当する。また、予備幹線ルート93において、光スイッチ内蔵カプラ87から光スイッチ内蔵カプラ90方向への矢印は、図6に例示する光ケーブル74に相当し、予備幹線ルート95において、光スイッチ内蔵カプラ87から光スイッチ内蔵カプラ89方向への矢印は、図6に例示する光ケーブル73に相当する。
【0087】
なお、図6に例示する構成例では、図8の予備幹線ルート91,93,95におけるもう一方の矢印に相当する光ケーブル、及び、予備幹線ルート92,94,96における双方の矢印に相当する光ケーブルは、記載を省略している。具体的には、これらの矢印に相当する光ケーブルは、光スイッチ内蔵カプラ69〜71の光スイッチ(図示せず)に接続される光ケーブルであり、光ケーブル72〜74に相当する。
【0088】
このように、各光スイッチ内蔵カプラの上位回線を、他の光スイッチ内蔵カプラが分岐させた光ケーブル回線の1つに接続しておくことにより、双方向の予備幹線ルートを確保することができる。よって、例えば、主幹線(光ケーブル83,84,85,86)のうち、3ライン同時に回線異常が発生したとしても、自動復旧することが可能になる。
【0089】
次に、本発明による光信号冗長システムの最小構成の例を説明する。図9は、本発明による光信号冗長システムの最小構成の例を示すブロック図である。本発明による光信号冗長システムは、光信号が入力される複数の入力回線71,72(例えば、光ケーブル1−1,1−2)に接続され、その入力回線の中から選択した一の入力回線71(例えば、光ケーブル1−1)から入力される光信号を、複数の出力回線73(例えば、光ケーブル7−1〜7−n)に分配して送信する光信号分配装置80(例えば、光スイッチ内蔵カプラ2)を複数備えている。
【0090】
各光信号分配装置80は、光信号が入力される複数の入力回線71,72のうち、いずれか一つの入力回線を選択するスイッチ81(例えば、光スイッチ3)と、スイッチ81によって選択された入力回線から入力される光信号の受光パワーを監視する受光パワー監視手段82(例えば、受光監視部4)と、光信号の受光パワーに異常があった場合(例えば、受光パワーに揺らぎがある場合や受光パワーが閾値未満の場合)、スイッチ81に選択する回線を切り替えさせるスイッチ切替手段83(例えば、受光監視部4)と、スイッチ81を介して入力回線から受信した光信号を複数の出力回線73に分配して送信する光信号分配手段84(例えば、光カプラ部6)とを備えている。
【0091】
各光信号分配装置80における一の入力回線72は、他の光信号分配装置80’における一の出力回線73’に接続され、各光信号分配装置80における一の出力回線73は、他の光信号分配装置80’における一の入力回線72’に接続される。
【0092】
このような構成により、光通信回線の冗長構成を容易に構築できる。
【0093】
すなわち、光信号分配装置80(例えば、光スイッチ内蔵カプラ2)は、外部装置(例えば、OLT装置)から制御されることなく、外部装置からの受光パワーを監視するだけで、受動的に光回線接続を切り替え、通信復旧を試みことが可能である。そのため、光回線上で異常が発生し、外部装置に接続された受信装置(例えば、ONU装置)が正常に通信できないような状態に対して有効と言える。
【0094】
なお、少なくとも以下に示すような光回線冗長システム及び光回線分配装置も、上記に示すいずれかの実施形態に開示されている。
【0095】
(1)光信号が入力される複数の入力回線(例えば、光ケーブル1−1,1−2)に接続され、その入力回線の中から選択した一の入力回線(例えば、光ケーブル1−1)から入力される光信号を、複数の出力回線(例えば、光ケーブル7−1〜7−n)に分配して送信する光信号分配装置(例えば、光スイッチ内蔵カプラ2)を複数備え、各光信号分配装置が、光信号が入力される複数の入力回線のうち、いずれか一つの入力回線を選択するスイッチ(例えば、光スイッチ3)と、スイッチによって選択された入力回線から入力される光信号の受光パワーを監視する受光パワー監視手段(例えば、受光監視部4)と、光信号の受光パワーに異常があった場合(例えば、受光パワーに揺らぎがある場合や受光パワーが閾値未満の場合)、スイッチに選択する入力回線を切り替えさせるスイッチ切替手段(例えば、受光監視部4)と、スイッチを介して入力回線から受信した光信号を複数の出力回線に分配して送信する光信号分配手段(例えば、光カプラ部6)とを備え、各光信号分配装置における一の入力回線が、他の光信号分配装置における一の出力回線に接続され、各光信号分配装置における一の出力回線が、他の光信号分配装置における一の入力回線に接続される光回線冗長システム。
【0096】
(2)スイッチ切替手段が、受光パワー監視手段が光信号の揺らぎを検出した場合に、スイッチに選択する入力回線を切り替えさせる光回線冗長システム。
【0097】
(3)スイッチ切替手段が、受光パワーが予め定められた閾値を下回る受光パワーの光信号を受光パワー監視手段が検出した場合に、スイッチに選択する入力回線を切り替えさせる光回線冗長システム。
【0098】
(4)スイッチ切替手段が、光信号分配手段が分配する複数の出力回線のうちの一つ回線(例えば、光ケーブル7−n)に接続され、その回線を介して受信する光信号の受光パワーに異常があった場合に、スイッチに選択する入力回線を切り替えさせる光回線冗長システム。
【0099】
(5)光信号分配手段が、光カプラであり、光カプラとスイッチとが一つの装置(例えば、光スイッチ内蔵カプラ2)内に含まれる光回線冗長システム。
【0100】
(6)光信号が入力される複数の入力回線(例えば、光ケーブル1−1,1−2)に接続され、その入力回線の中から選択した一の入力回線(例えば、光ケーブル1−1)から入力される光信号を、複数の出力回線(例えば、光ケーブル7−1〜7−n)に分配して送信する光信号分配装置(例えば、光スイッチ内蔵カプラ2)であって、光信号が入力される複数の入力回線のうち、いずれか一つの入力回線を選択するスイッチ(例えば、光スイッチ3)と、スイッチによって選択された入力回線から入力される光信号の受光パワーを監視する受光パワー監視手段(例えば、受光監視部4)と、光信号の受光パワーに異常があった場合(例えば、受光パワーに揺らぎがある場合や受光パワーが閾値未満の場合)、スイッチに選択する入力回線を切り替えさせるスイッチ切替手段(例えば、受光監視部4)と、スイッチを介して入力回線から受信した光信号を複数の出力回線に分配して送信する光信号分配手段(例えば、光カプラ部6)とを備え、光信号分配装置自身における一の入力回線が、他の光信号分配装置における一の出力回線に接続され、光信号分配装置自身における一の出力回線が、他の光信号分配装置における一の入力回線に接続される光信号分配装置。
【0101】
(7)スイッチ切替手段が、受光パワー監視手段が光信号の揺らぎを検出した場合に、スイッチに選択する入力回線を切り替えさせる光信号分配装置。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、光回線を冗長化する光信号冗長システムに好適に適用される。
【符号の説明】
【0103】
1−1,1−2,5,7−1〜7−n 光ケーブル
2,26,36,41,51,67,69〜71,87〜90 光スイッチ内蔵カプラ
3,25,35,40,53,68 光スイッチ
4,27,37,42,54 受光監視部
6,28,38,43,56 光カプラ部
20,30,60,80 OLT装置
22,32 2分岐光カプラ
29,39,44,82 ONU装置
62 4分岐光カプラ
91〜96 予備幹線ルート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号が入力される複数の入力回線に接続され、当該入力回線の中から選択した一の入力回線から入力される光信号を、複数の出力回線に分配して送信する光信号分配装置を複数備え、
前記各光信号分配装置は、
光信号が入力される複数の入力回線のうち、いずれか一つの入力回線を選択するスイッチと、
前記スイッチによって選択された入力回線から入力される光信号の受光パワーを監視する受光パワー監視手段と、
前記光信号の受光パワーに異常があった場合、前記スイッチに選択する入力回線を切り替えさせるスイッチ切替手段と、
前記スイッチを介して入力回線から受信した光信号を複数の出力回線に分配して送信する光信号分配手段とを備え、
各光信号分配装置における一の入力回線は、他の光信号分配装置における一の出力回線に接続され、各光信号分配装置における一の出力回線は、前記他の光信号分配装置における一の入力回線に接続される
ことを特徴とする光信号冗長システム。
【請求項2】
スイッチ切替手段は、受光パワー監視手段が光信号の揺らぎを検出した場合に、スイッチに選択する入力回線を切り替えさせる
請求項1記載の光回線冗長システム。
【請求項3】
スイッチ切替手段は、受光パワーが予め定められた閾値を下回る光信号を受光パワー監視手段が検出した場合に、スイッチに選択する入力回線を切り替えさせる
請求項1または請求項2記載の光回線冗長システム。
【請求項4】
スイッチ切替手段は、各光信号分配手段が分配する複数の出力回線のうちの一つの回線に接続され、当該回線を介して受信する光信号の受光パワーに異常があった場合に、スイッチに選択する入力回線を切り替えさせる
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の光回線冗長システム。
【請求項5】
光信号分配手段は、光カプラであり、
前記光カプラとスイッチとが一つの装置内に含まれる
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の光回線冗長システム。
【請求項6】
光信号が入力される複数の入力回線に接続され、当該入力回線の中から選択した一の入力回線から入力される光信号を、複数の出力回線に分配して送信する光信号分配装置であって、
光信号が入力される複数の入力回線のうち、いずれか一つの入力回線を選択するスイッチと、
前記スイッチによって選択された入力回線から入力される光信号の受光パワーを監視する受光パワー監視手段と、
前記光信号の受光パワーに異常があった場合、前記スイッチに選択する入力回線を切り替えさせるスイッチ切替手段と、
前記スイッチを介して入力回線から受信した光信号を複数の出力回線に分配して送信する光信号分配手段とを備え、
当該光信号分配装置自身における一の入力回線は、他の光信号分配装置における一の出力回線に接続され、当該光信号分配装置自身における一の出力回線は、前記他の光信号分配装置における一の入力回線に接続される
ことを特徴とする光信号分配装置。
【請求項7】
スイッチ切替手段は、受光パワー監視手段が光信号の揺らぎを検出した場合に、スイッチに選択する入力回線を切り替えさせる
請求項6記載の光回線分配装置。
【請求項8】
光信号が入力される複数の入力回線に接続され、当該入力回線の中から選択した一の入力回線から入力される光信号を、複数の出力回線に分配して送信する複数の光信号分配装置を用いた光回線冗長方法であって、
各光信号分配装置における一の入力回線は、他の光信号分配装置における一の出力回線に接続され、各光信号分配装置における一の出力回線は、前記他の光信号分配装置における一の入力回線に接続され、
前記各光信号分配装置が、選択した入力回線から入力される光信号の受光パワーを監視し、
前記各光信号分配装置が、前記入力回線から入力される光信号の受光パワーに異常があった場合、入力回線の接続先を選択するスイッチに入力回線を切り替えさせ、
前記各光信号分配装置が、前記スイッチを介して入力回線から受信した光信号を複数の出力回線に分配して送信する
ことを特徴とする光回線冗長方法。
【請求項9】
各光信号分配装置が、選択された入力回線から入力される光信号の揺らぎを検出した場合に、スイッチに入力回線を切り替えさせる
請求項8記載の光回線冗長方法。
【請求項1】
光信号が入力される複数の入力回線に接続され、当該入力回線の中から選択した一の入力回線から入力される光信号を、複数の出力回線に分配して送信する光信号分配装置を複数備え、
前記各光信号分配装置は、
光信号が入力される複数の入力回線のうち、いずれか一つの入力回線を選択するスイッチと、
前記スイッチによって選択された入力回線から入力される光信号の受光パワーを監視する受光パワー監視手段と、
前記光信号の受光パワーに異常があった場合、前記スイッチに選択する入力回線を切り替えさせるスイッチ切替手段と、
前記スイッチを介して入力回線から受信した光信号を複数の出力回線に分配して送信する光信号分配手段とを備え、
各光信号分配装置における一の入力回線は、他の光信号分配装置における一の出力回線に接続され、各光信号分配装置における一の出力回線は、前記他の光信号分配装置における一の入力回線に接続される
ことを特徴とする光信号冗長システム。
【請求項2】
スイッチ切替手段は、受光パワー監視手段が光信号の揺らぎを検出した場合に、スイッチに選択する入力回線を切り替えさせる
請求項1記載の光回線冗長システム。
【請求項3】
スイッチ切替手段は、受光パワーが予め定められた閾値を下回る光信号を受光パワー監視手段が検出した場合に、スイッチに選択する入力回線を切り替えさせる
請求項1または請求項2記載の光回線冗長システム。
【請求項4】
スイッチ切替手段は、各光信号分配手段が分配する複数の出力回線のうちの一つの回線に接続され、当該回線を介して受信する光信号の受光パワーに異常があった場合に、スイッチに選択する入力回線を切り替えさせる
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の光回線冗長システム。
【請求項5】
光信号分配手段は、光カプラであり、
前記光カプラとスイッチとが一つの装置内に含まれる
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の光回線冗長システム。
【請求項6】
光信号が入力される複数の入力回線に接続され、当該入力回線の中から選択した一の入力回線から入力される光信号を、複数の出力回線に分配して送信する光信号分配装置であって、
光信号が入力される複数の入力回線のうち、いずれか一つの入力回線を選択するスイッチと、
前記スイッチによって選択された入力回線から入力される光信号の受光パワーを監視する受光パワー監視手段と、
前記光信号の受光パワーに異常があった場合、前記スイッチに選択する入力回線を切り替えさせるスイッチ切替手段と、
前記スイッチを介して入力回線から受信した光信号を複数の出力回線に分配して送信する光信号分配手段とを備え、
当該光信号分配装置自身における一の入力回線は、他の光信号分配装置における一の出力回線に接続され、当該光信号分配装置自身における一の出力回線は、前記他の光信号分配装置における一の入力回線に接続される
ことを特徴とする光信号分配装置。
【請求項7】
スイッチ切替手段は、受光パワー監視手段が光信号の揺らぎを検出した場合に、スイッチに選択する入力回線を切り替えさせる
請求項6記載の光回線分配装置。
【請求項8】
光信号が入力される複数の入力回線に接続され、当該入力回線の中から選択した一の入力回線から入力される光信号を、複数の出力回線に分配して送信する複数の光信号分配装置を用いた光回線冗長方法であって、
各光信号分配装置における一の入力回線は、他の光信号分配装置における一の出力回線に接続され、各光信号分配装置における一の出力回線は、前記他の光信号分配装置における一の入力回線に接続され、
前記各光信号分配装置が、選択した入力回線から入力される光信号の受光パワーを監視し、
前記各光信号分配装置が、前記入力回線から入力される光信号の受光パワーに異常があった場合、入力回線の接続先を選択するスイッチに入力回線を切り替えさせ、
前記各光信号分配装置が、前記スイッチを介して入力回線から受信した光信号を複数の出力回線に分配して送信する
ことを特徴とする光回線冗長方法。
【請求項9】
各光信号分配装置が、選択された入力回線から入力される光信号の揺らぎを検出した場合に、スイッチに入力回線を切り替えさせる
請求項8記載の光回線冗長方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−193263(P2011−193263A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58003(P2010−58003)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】
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