説明

光信号種別識別器

【課題】光信号の波長、波長数、変調速度(変調周波数)を検出して光信号種別を識別することができる光信号種別識別器を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの波長で所定の変調速度で変調された光信号を入力し、当該光信号の波長および波長数を検出する光波長モニタと、当該光信号を入力し、光波長モニタで検出された波長のうちの代表波長の光信号から1波長あたりの変調速度を検出する変調速度モニタと、光波長モニタで検出された光信号の波長および波長数の情報と、変調速度モニタで検出された代表波長の変調速度の情報を入力し、事前登録しているデータベースを参照して光信号の光信号種別を識別する光信号種別識別部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力する光信号の波長、波長数、代表波長の変調速度(変調周波数)を検出し、例えば当該光信号を接続する接続ポートなどの特定に用いる光信号種別を識別する光信号種別識別器に関する。
【背景技術】
【0002】
光ネットワークシステムでは、クライアントからの光信号を光ネットワークに挿入(Add)し、光ネットワークからの光信号をクライアントへ出力(Drop)する機能を有する装置を光クロスコネクト(OXC)と呼んでいる。そのOXCは、合分波器、光スイッチ、波長選択スイッチなどとともに構成することが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、WDM伝送装置には、各クライアントに対応する光信号の経路切替や多重、逆多重を実施する端局装置が接続される。近年、WDM伝送装置と端局装置との間のトランスポンダ削減やオペレーションコスト削減のために、図6に示すようなOXCとODU−XCの機能を統合したノード装置が提案されている。
【0004】
図6において、ノード装置は、WDM伝送路に接続され、波長単位に経路切替を行うOXCと、IF部31,32を介してユーザIFのアドドロップポートとOXCのアドドロップポートとの間で所定の信号処理を行う高速トランスポンダ33,34と、電気信号の経路切替を行うODU−XCと、IF部31,32を介してユーザIFのアドドロップポートとODU−XCのアドドロップポートとの間で光/電気変換、電気/光変換を行う低速トランスポンダ35,36と、OXCとODU−XCとの間で多重/分離を行うトランスポンダ37,38とを備える。ODU−XCおよび各トランスポンダは、OXCのユーザIF部に接続される端局装置の機能を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−252664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
クライアントが使用するサービスの多様化により、要求信号帯域が様々になっている。例えば、10Gbit/s の信号を1波長の光信号で伝送する形態や、 100Gbit/s の信号を25Gbit/s ずつ4波長の光信号で伝送する形態がある。
【0007】
このように信号を伝送するクライアントのニーズに応じて、利用目的に応じたトラフィックに適合した光信号種別が選択され、ネットワーク内の帯域利用、伝送コストの最適化が図られている。そのためには、図6に示すノード装置のIF部31,32において、入出力する光信号の光信号種別を識別し、対応する接続ポートなどを特定した光ファイバ接続作業が必要になっている。しかし、光ファイバ接続作業は保守者による現地作業が必要であり、光信号種別の確認等は事前準備している設計書や接続元の現地作業者との口頭伝達によることから、光信号種別に応じてノード装置の接続ポートが異なる場合、保守者の誤接続による信頼性低下や作業時間の増大が課題になっている。
【0008】
本発明は、光信号の波長、波長数、変調速度(変調周波数)を検出して光信号種別を識別することができる光信号種別識別器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光信号種別識別器は、少なくとも1つの波長で所定の変調速度で変調された光信号を入力し、当該光信号の波長および波長数を検出する光波長モニタと、当該光信号を入力し、光波長モニタで検出された波長のうちの代表波長の光信号から1波長あたりの変調速度を検出する変調速度モニタと、光波長モニタで検出された光信号の波長および波長数の情報と、変調速度モニタで検出された代表波長の変調速度の情報を入力し、事前登録しているデータベースを参照して光信号の光信号種別を識別する光信号種別識別部とを備える。
【0010】
本発明の光信号種別識別器における光波長モニタは、光スペクトラムアナライザを用いて光信号の波長および波長数を検出し、その情報を光信号種別識別部に通知するとともに、代表波長の情報を変調速度モニタに通知する構成としてもよい。
【0011】
本発明の光信号種別識別器における光波長モニタは、光信号を各波長の出力ポートに分波する波長分波器と、各波長の出力ポートにそれぞれ接続される光パワーモニタとを備え、各波長に対応する光パワーモニタの出力値が所定値を超える波長とその波長数を検出し、その情報を光信号種別識別部に通知するとともに、代表波長の情報を変調速度モニタに通知する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の光信号種別識別器は、さまざまなクライアントに対応する入力光信号の波長、波長数、1波あたりの変調速度を検出し、事前登録の情報と比較することにより当該入力光信号の光信号種別を識別することができる。また、この光信号種別識別器をさまざまなクライアントの光信号を収容するノード装置に用いることにより、光伝送システム導入時やクライアントのサービスアップグレード時の作業を効率化することができる。また、現地保守者の作業を軽減し、コスト削減および作業時間の短縮が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の光信号種別識別器の構成例を示す図である。
【図2】光波長モニタ12の構成例を示す図である。
【図3】変調速度モニタ13の構成例を示す図である。
【図4】本発明の光信号種別識別器の処理手順を示す図である。
【図5】光信号種別識別部14のデータベースの登録例を示す図である。
【図6】本発明の光信号種別識別器が用いられるノード装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の光信号種別識別器の構成例を示す。
図1において、光信号種別識別器は、光カプラ11、光波長モニタ12、変調速度モニタ13および光信号種別識別部14により構成される。なお、本発明の光信号種別識別器は、例えば図6に示すノード装置のIF部31,32に接続し、入出力する光信号の光信号種別の識別に用いられる。また、IF部31,32に代えて光スイッチが用いられる構成では、この光スイッチに接続される。
【0015】
入力する光信号は光カプラ11で分岐され、一方が光波長モニタ12に入力し、他方が変調速度モニタ13に入力する。光波長モニタ12は、光信号の波長および波長数を検出して光信号種別識別部14に通知するとともに、その代表波長を変調速度モニタ13に通知する。例えば、10Gbit/s の信号を1波長の光信号で伝送する形態では、当該1波長と波長数1が検出され、その1波長が代表波長となる。 100Gbit/s の信号を25Gbit/s ずつ4波長の光信号で伝送する形態では、当該4波長と波長数4が検出され、その1波長が代表波長となる。変調速度モニタ13は、光波長モニタ12から通知された代表波長の光信号から1波長あたりの変調速度(変調周波数)を検出する。光信号種別識別部14は、光波長モニタ12で検出された入力光信号の波長および波長数の情報と、変調速度モニタ13で検出された1波長あたりの変調速度の情報を入力し、事前登録しているデータベースを参照して入力光信号の光信号種別を識別する。
【0016】
図2は、光波長モニタ12の構成例を示す。
図2(1) は、光波長モニタ12として光スペクトラムアナライザを用いる例であり、波長をスイープすることにより、ピーク波長や波長数を検出する。
【0017】
図2(2) は、波長分波器121の各波長に対応する出力ポートにそれぞれ光パワーモニタ122を接続した構成であり、各波長に対応する光パワーモニタ122の出力値が閾値を超える波長とその波長数を検出する。
【0018】
図3は、変調速度モニタ13の構成例を示す。
図3において、変調速度モニタ13は波長可変フィルタ131および変調信号モニタ132により構成される。波長可変フィルタ131は、光波長モニタ12から通知された代表波長を透過帯域として設定し、入力する光信号から代表波長の光信号を分波して出力する。変調信号モニタ132は、波長可変フィルタ131を透過した代表波長の光信号を入力し、光/電気変換器(O/E)133で電気信号に変換する。この電気信号は、位相比較器134で電圧制御発振器(VCO)136の出力と周波数/位相比較され、その周波数/位相誤差信号が制御器135に入力される。制御器135は、周波数/位相誤差信号が最小になるようにVCO136の周波数/位相を制御する。これを繰り返し、周波数/位相誤差信号が最小になったときのVCO136の周波数を、入力する光信号の1波長あたりの変調速度(変調周波数)として出力する。
【0019】
図4は、本発明の光信号種別識別器の処理手順を示す。
図4において、(1) 光波長モニタ12は、入力光信号の波長および波長数を検出する。(2) 光波長モニタ12は、検出した波長数が1が場合は当該波長を代表波長として、複数の場合はそのうちの1波長を代表波長として、その情報を変調速度モニタ13に通知する。(3) 変調速度モニタ13は、代表波長の情報を受領する。(4) 光波長モニタ12は、検出した波長および波長数の情報を光信号種別識別部14に通知する。(5) 光信号種別識別部14は、波長および波長数の情報を受領する。
【0020】
(6) 変調速度モニタ13は、光波長モニタ12から通知された代表波長を透過波長に設定し、入力光信号の1波長あたりの変調速度を検出する。(7) 変調速度モニタ13は、検出した代表波長の変調速度の情報を光信号種別識別部14に通知する。(8) 光信号種別識別部14は、当該1波長あたりの変調速度の情報を受領する。(9) 光信号種別識別部14は、受領した入力光信号の波長、波長数、1波長あたりの変調速度と、データベースに登録されている情報とを照合し、対応する光信号種別を識別する。
【0021】
図5は、光信号種別識別部14のデータベースの登録例を示す。
図5において、波長数、代表波長、1波長あたりの変調速度と光信号種別が対応付けられている。ただし、波長や変調速度の情報のみで規格化されているクライアント対応の光信号種別のすべてを識別することができないが、実際に装置に収容する可能性のある情報のみ光信号種別識別部14に登録しておくことで、運用に支障ない識別が可能である。
【0022】
例えば、波長 1.5μm、波長数1、1波長あたりの変調速度が10.3125 Gbit/s であれば、上記の10Gbit/s の信号を1波長の光信号で伝送するクライアントの光信号として識別することができる。また、波長 1.3μm、波長数4、1波長あたりの変調速度が25.78125Gbit/s であれば、上記の 100Gbit/s の信号を25Gbit/s ずつ4波長の光信号で伝送するクライアントの光信号として識別することができる。
【符号の説明】
【0023】
11 光カプラ
12 光波長モニタ
121 波長分波器
122 光パワーモニタ
13 変調速度モニタ
131 波長可変フィルタ
132 変調信号モニタ
133 光/電気変換器(O/E)
134 位相比較器
135 制御器
136 電圧制御発振器(VCO)
14 光信号種別識別部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの波長で所定の変調速度で変調された光信号を入力し、当該光信号の波長および波長数を検出する光波長モニタと、
前記光信号を入力し、前記光波長モニタで検出された波長のうちの代表波長の光信号から1波長あたりの変調速度を検出する変調速度モニタと、
前記光波長モニタで検出された前記光信号の波長および波長数の情報と、前記変調速度モニタで検出された前記代表波長の変調速度の情報を入力し、事前登録しているデータベースを参照して前記光信号の光信号種別を識別する光信号種別識別部
とを備えたことを特徴とする光信号種別識別器。
【請求項2】
請求項1に記載の光信号種別識別器において、
前記光波長モニタは、光スペクトラムアナライザを用いて前記光信号の波長および波長数を検出し、その情報を前記光信号種別識別部に通知するとともに、前記代表波長の情報を前記変調速度モニタに通知する構成である
ことを特徴とする光信号種別識別器。
【請求項3】
請求項1に記載の光信号種別識別器において、
前記光波長モニタは、前記光信号を各波長の出力ポートに分波する波長分波器と、各波長の出力ポートにそれぞれ接続される光パワーモニタとを備え、各波長に対応する光パワーモニタの出力値が所定値を超える波長とその波長数を検出し、その情報を前記光信号種別識別部に通知するとともに、前記代表波長の情報を前記変調速度モニタに通知する構成である
ことを特徴とする光信号種別識別器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−253590(P2012−253590A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124965(P2011−124965)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】