説明

光出力デバイス

光出力デバイスは、当該デバイスの光出力表面を有する第1の基板装置1と第2の基板装置2とを有する。電極装置3a、3bは、これら基板装置の間に挟まれ、少なくとも一つの光源4は、前記電極装置に接続されている。第1の基板装置1は、前記光源からの光出力の均一性のレベルを変える光拡散器を有し、第2の基板装置2は、光散乱又は反射層を有する。一方の装置は、照明が提供される基板のために散乱基板装置を用いる。均一性のレベルを増強するために、他方の基板装置も、散乱又は反射の何れかである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光出力デバイス、特に透明基板構造体と関連する個別的光源を使用する光出力デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の照明デバイスの1つの既知の例は、いわゆる「ガラスのLED」装置である。一つの例が、図1に示される。概して、電極を形成する透明な導電被膜(例えばITO)を持つガラスプレートが用いられる。導電被膜は、半導体LED装置に接続された電極を作るためにパターン化される。アセンブリは、熱可塑性樹脂層(例えばポリビニルブチラール、PVB)内のLEDとで、ガラスを積層することによって完成される。
【0003】
この種のデバイスのアプリケーションは、棚、ショーケース、ファサード、オフィス・パーティション、壁外装材の照明及び装飾的な照明である。照明デバイスは、他の目的の照明のため、画像の表示のため、又は単に装飾的な目的のために用いられることができる。
【0004】
この種のデバイスでの1つの課題は、半導体LEDが近似的に点光源であるということである。結果として、LEDは光の明るいドットとして現れ、これは必ずしも好ましくなく、均一な照明を与えない。
【0005】
この種のデバイスでの他の課題は、時間変動する出力を提供するか、又は異なる出力効果を提供するための柔軟性があまりないということである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の第1の目的は、デバイスの基板構造体に集積されている、デバイスに使用する別々の光源からの照明の均一性のレベルを制御することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によると、前記デバイスの光出力表面を有し、前記光出力表面からの光出力の均一性のレベルを制御するための手段を有する第1の基板装置と、光偏向手段を有する第2の基板装置と、第1の基板装置と第2の基板装置との間に供給された、少なくとも半透明の電極を有する電極装置と、第1の基板装置と第2の基板装置との間に供給された、前記電極によって電気的に駆動される少なくとも一つの光源とを有する光出力デバイスが供給される。
【0008】
本発明のこの態様のデバイスは、光の均一性のレベルを制御する(例えば高くする)照明が供給される基板、例えば散乱基板用装置を使用する。光の均一性のより高いレベルとは、より均一な光出力を意味すると理解されるべきである。
【0009】
第2の基板装置は、光偏向手段(散乱するか又は反射する)を有する。光は、実質的に透明な電極を通って第2の基板装置に到達する。前記実質的に透明な電極は、視る人に見えないかほとんど目に見えず、これらは重要な不均一性を光出力にもたらさない。
【0010】
第2の基板装置に向かう付加的な光が第1の基板装置に戻るので、第2の基板装置からの反射/散乱の効果は光の散乱を増大させる。これは、前記出力表面からの光出力を増大するが、依然、光が光源の両側の両方の基板から放射されることが可能である。
【0011】
第1の基板装置は、実質的に透明な状態と光出力表面からの光出力の均一性の異なる(例えば、増大する)レベルを供給する状態との間で切換え可能である。これは、均一な照明とスポット照明との間で切換えるために、変動装置(フォイルでもよい)を提供する。
【0012】
他の実施例において、両方の基板装置は、全体的にデバイスが切換えられるように、切換え可能である。両方の基板装置が透明な状態に切換えられるとき、これは完全に透明なシステムを与える。
【0013】
1つの装置において、均一性のレベルを増大するための手段は、光源の位置に対応する領域により強い効果を持ち、光源から離れた領域により弱い効果を持つ。
【0014】
本発明の他の目的は、基板装置と関連した光源からの光出力の性質の切換え可能な制御を提供することである。
【0015】
本発明の第2の態様によると、デバイスの光出力表面を有し、前記光出力表面からの光出力の均一性のレベルを制御するための手段を有する第1の基板装置と、光偏向手段を有する第2の基板装置と、これら基板装置の間のスペースに光学的に結合された出力を持つ少なくとも一つの光源とを有し、第1の基板装置が、光出力表面からの光出力の均一性の異なるレベルを持つ少なくとも2つの状態の間で切換え可能である、光出力デバイスが提供される。
【0016】
これは、異なる出力効果を提供することを可能にする。例えば、前記デバイスは、スポット照明モードとより多くの拡散照明モードとの間で切換えられる。この柔軟性は、時間依存照明効果を提供するために用いることができる。スイッチングはサブエリアに局地化できる場合、位置依存的な照明効果も作られる(例えば低解像度画像又は異なる領域に対するスポット照明と拡散照明との単なる混成)。
【0017】
光出力はわずか1つの表面からでもよく(対向基板/電極が透明である必要がない)、又は両側からでもよい。
【0018】
実施例において、少なくとも一つの光源は、第1の基板装置と第2の基板装置との間に備えられる。
【0019】
前記デバイスは、これら基板装置の間にはさまれる電極装置を有し、少なくとも一つの光源は電極装置に接続されている。これは、完全に集積化されたバージョンを提供する。
【0020】
第1の基板装置は、埋め込み散乱粒子を持つガラス層(例えば乳白ガラス)を有する。
【0021】
あるいは、第1の基板装置は、透明なガラス層及び拡散層を有する。
【0022】
第2の基板の光偏向手段が反射又は散乱させる。第2の基板装置に向かう付加的な光が第1の基板装置に戻るので、第2の基板装置からの反射/散乱の効果は、光を散乱させることを増大する。これは、出力表面からの光出力を増大するが、光は光源の両側の両方の基板から放射されることが依然可能である。
【0023】
1つの装置において、均一性のレベルを増大するための手段は、光源の位置に対応する領域により強い効果を持ち、光源から離れた領域により弱い効果を持つ。
【0024】
第1の基板装置は均一でない厚みを有してもよく、光源の位置に対応する領域に増大された厚みを持ち、光源から離れた領域で減少した厚みを持つ。
【0025】
あるいは、第1の基板装置は散乱粒子の均一でない密度を持ち、光源の位置に対応する領域で増大した密度を持ち、光源から離れた領域で減少した密度を持つ。
【0026】
これらの装置は、更に均一性のレベルを強化する。
【0027】
電気的に切換え可能な実施態様のために、第1の基板装置は、電極層の間にはさまれるLC層を有する。
【0028】
このとき、第1の基板装置の異なる領域は、独立して切換え可能である。
【0029】
好ましくは、第1の基板装置の少なくとも8つの部分は独立してアドレスされることができ、この結果、比較的高いマルチプレクス率が得られる。
【0030】
代わりの切換可能なデバイスは懸濁された粒子デバイスであり、これは切換え可能な反射層又は切換え可能な散乱層を供給できる。これは、第1の及び/又は第2の基板装置の電気切換機能を提供するために用いることができる。
【0031】
他の実施例において、第2の基板は、実質的に透明な状態と反射状態との間で切換可能である。これは、全体のデバイスが透明なモードと均一な照明モードとの間を切換可能にさせる。
【0032】
好ましくは、光源はLED装置又はLED装置のグループ(例えばOLED装置)を有し、これらは一方又は両方の基板を照明する。しかしながら、他の光源が使われてもよく、本発明の装置は、一般に、第1の光出力(例えばスポット)が、均一性の異なるレベル(例えば増大された均一性)を持つ光出力へ変換されることを可能にする。好ましくは、デバイスは、光源のアレイを有する。
【0033】
本発明の実施例は、添付の図面を参照して詳述される。同一参照番号は、これらの図の全体にわたって同様の部品を示すために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、ガラス照明デバイスの既知のLEDを示す。
【図2】図2は、本発明の光出力デバイスの第1の実施例を示す。
【図3】図3は、本発明の光出力デバイスの第2の実施例を示す。
【図4】図4は、本発明の光出力デバイスの第3の実施例を示す。
【図5】図5は、本発明の光出力デバイスの第4の実施例を示す。
【図6】図6は、本発明の光出力デバイスの第5の実施例を示す。
【図7】図7は、典型的な散乱層に対する電圧の関数として、測定された反射率を示す。
【図8】図8は、反射層を使用して、散乱層に対する電圧の関数として、測定された反射率を示す。
【図9】図9は、本発明のデバイスで使われることができる切換可能な散乱層の例を示す。
【図10】図10は、図式的に、液晶ポリマー合成に基づいた散乱層を作るためのプロセスの例を示す。
【図11】図11は、液晶ポリマー合成に基づいた散乱層の透明な状態と散乱状態との例を図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図2は、本発明によるデバイスの第1の実施例を示す。光出力デバイスは、ガラスプレート1と2とを有する。(半)透明な電極3a及び3b(例えば、ITO又は細い導電ワイヤを使用して形成される)は、これらガラスプレートの間にあり、LED4は透明な電極3a及び3bに接続されている。熱可塑性材料5の層は、ガラスプレート(例えばPVB又はUV樹脂)1と2との間に設けられる。
【0036】
透明な電極が用いられるので、これらは視る人の目に見えず、これらは不均一性を光出力にもたらさない。
【0037】
電極は好ましくは実質的に透明であり、これらがデバイスの通常の使用で見る人に対して知覚できないことを意味する。電線配置が光伝送において顕著な変化を導かない場合(例えば、パターン化されていないので、又は、パターンが見えないので)、50%以上の透明度は、透明であるべきシステムに対して充分である。より好ましくは、透明度は、70%を超える、より好ましくは、90%及びさらにより好ましくは99%を超える。電線配置がパターン化される場合(例えば細いワイヤが用いられるので)、透明度は、好ましくは80%を超える、より好ましくは、90%、最も好ましくは99%を超える。
【0038】
電極は、ITOのような透明な材料でできているか、又は、これらは銅のような不透明材料でできているが、これらが通常の使用において見えないように十分に薄い。適切な材料の例は、米国特許第5218351号において開示されている。
【0039】
この例では、ガラスプレート1は、より大きい放射領域にわたってLED4からの光を分散するために、光拡散器として作用し、例えばこれは乳白ガラスでもよい。ガラスは、ガラスに粒子物質を付加することによって拡散するように作られる。例えば、酸化スズ粒子又は小さい気泡が、使われてもよい。ガラスの表面を粗くすることも可能であり、よって、より多くの光を散乱させる。ガラスに所望の色、透明度、拡散のレベル等を与えるための多くの種々異なる添加物は、当業者に既知である。
【0040】
光の拡散は、光出力の均一性のレベルを増大するための手段である。これは入射光線の方向のかなりランダムな再方向付けを含み、これは粒子を散乱させることで達成できる。
【0041】
ガラスプレートは、概して1.1mmから2.1mmの厚さを持つ。LEDと接続する電極間の間隔は、概して0.01から3mm(例えば約0.15mm)である。熱可塑性樹脂層は0.5mmから2mmの厚みを持ち、電極の電気抵抗は1から80オーム、1から50オーム、若しくはより好ましくは2から20オーム、又は10―30オーム/平方mmである。
【0042】
光分布の均一性を増大するために、ガラスプレート2は、入射光を偏向させ、これによって反射器又は拡散器としても作用する。
【0043】
多重反射(特に拡散器1において生じる)は、ガラスプレート1から出る光の強度の非常に均一な分布に寄与する。これは、この構造が、より均一な光分布が所望されるか又は必要とされるより広い種類のアプリケーションで使われることを可能にする。
【0044】
ガラスプレートは、散乱粒子がガラス構造体に埋められているガラスを有する。これらは、ミクロン・サイズのTiO2粒子又は小さいガス泡である。あるいは、ガラスの表面は、散乱を作るように、処理されている(粗くされている)。
【0045】
図3に示すように、光強度分布の均一性は、層厚の変化を持つ拡散器1を使用して、更に改良できる。拡散器1の層厚は、LEDからの離れた距離でよりもLED4の位置にすぐに向かい合ってより大きくなるように選ばれる。
【0046】
図4は、LEDのアレイに適用された図3の構造体を示す。
【0047】
厚み変化は、LEDの位置で局所的に散乱を増大させる。厚みを変化させる代わりに、同じ目的を達成するために散乱粒子の量を変化させることも可能である。
【0048】
これらの尺度は、散乱粒子密度が最も大きい又は層厚が最も大きい領域での拡散器の伝送率が、層厚が最も小さい、又は散乱粒子密度が最も低い領域での拡散器の伝送率の30%から70%となることを好ましくは提供する。例えば、前記伝送率は、40%から60%又は45%から55%である。
【0049】
図5は、ガラスプレート1自体が拡散器特性を提供しない他の実施例を示す。代わりに、拡散層6が、ガラスプレートに適用される。同様に、ガラスプレート2は、拡散層又は反射層(図示せず)でコーティングされてもよい。
【0050】
特に拡散層6のための適切な材料は、カルシウム・ハロ・リン酸塩及び/又はカルシウム・ピロリン酸塩である。拡散層6は塗料として例えば付与され、ここにおいて、溶媒(例えばMibk)と共に、例えばTHVのような例えばフッ素共重合体の結合剤が用いられる。
【0051】
全ての上記例は、所望のより均一な光出力を提供する。
【0052】
他の実施例において、電気光学スイッチが用いられることができ、これは実質的に透明な状態と散乱状態との間のスイッチングを可能にする。図6にて概略的に示すように、これは、電極層10と12との間にはさまれた液晶層8を使用してなされる。電極層10、12は、ITO又はインジウム酸化亜鉛(IZO)のような透明な電極で形成される。これらの電極は、単にLC材料8の全体の層を切換えるか、でなければ、LC層の異なる部分がアドレスできるように、電極を交差させた受動的なマトリクスアレイが使われる。
【0053】
切換可能なLC層は、光源にわたって供給され、散乱を提供する。切換可能なLC装置によって、ユーザがスポット照明と均一な照明との間を切換えることができる。
【0054】
底部ガラスプレート2は、電気光学スイッチを備えてもよい。この場合、可変反射スイッチを使用することも有利である。
【0055】
ガラスプレート1及び2両方が電気光学スイッチを備える場合、両方のプレートは完全に透過状態に切換えられるので、デバイスは完全に透明なモードで機能することができる。例えば、照明源がオフにされるときに、この透明なモードが所望される。
【0056】
可変反射スイッチの実施例として、国際特許公開WO2005/029170が参照される。この公報は、懸濁された粒子デバイスの形で切換可能な透過反射器を開示する。粒子は、絶縁流体の中に懸濁される不等反射粒子である。懸濁液は、次々に粒子の双極分子を誘導するデバイスの電界を電気的に制御するための電極を担持している透明基板の間に挟まれている。使用可能な材料の更なる詳細及び制御スキームは、国際特許公開WO2005/029170で見出だせる。しかしながら、他の既知のタイプの電気的に制御可能な反射器も用いられ得る。
【0057】
切換可能なトランスフレクタと同様に、懸濁された粒子デバイスを使用して切換可能な散乱層を作ることも可能である。この場合、反射粒子は、散乱粒子により置き換えられる。
【0058】
上述した変動する厚み層の使用又は均一でない密度の粒子の使用の課題は、斯様な構造体を作るのに高価であるということである。
【0059】
上記電気光学スイッチは、この課題を解決するために用いることができる。スイッチは、異なるセクションが個々に制御されることを可能にする。これは、特定の位置の散乱量の制御を可能にし、よって、LEDに直接向かい合って散乱する量を増やし、LEDから離れて散乱する量を減少させることが可能である。
【0060】
散乱量の制御は、例えば散乱状態と透過状態との間で電気光学スイッチを変調することによって達成され、平均すると、一定量の散乱が達成される。例えば、スイッチが50%の散乱と50%の透過との間で変調される場合、散乱の量は非変調された散乱状態と比較して50%である。
【0061】
前述の実施例において、光源は、組込形LEDである。しかしながら通常は、光源は、光のスポットを生成する何れの光源でもよい。例えば、2枚のガラスプレート(導波路として作用する)の間に光を結合させ、特定の位置のスポットとして光を出すことも可能である。異なる色(例えば赤、緑、青)を持つ光源から、光ガイドに光を結合できることによって、生成された光スポットの色は、選択されることができ、調整可能である。
【0062】
上記の技術は、もちろん他のタイプの光源(例えばOLED、エレクトロルミネセンス光出力デバイス)に適用できる。上記の実施例は、個々の光源と関連した光経路を示した。しかしながら、本発明は、大きなガラスプレートに埋め込まれた、多くのLEDデバイスとして典型的に実施されることが理解されるだろう。LEDとLEDとの間の典型的距離は、1cm〜10cm(例えばほぼ3cm)である。
【0063】
各光源は、単一のLED又は複数のLEDを有する。
【0064】
上記の実施例はガラス基板を使用するが、プラスチック基板(例えばパースペックス又は合成樹脂)が用いられてもよいことは明らかであろう。
【0065】
切換可能な形式において、上部基板は、LCデバイスとして上述されている。しかしながら、これは、代わりに電気的に制御可能な懸濁された粒子層として実施されてもよい。
【0066】
上記の実施例は、また、基板構造体に集積されたLEDの使用を示している。しかしながら、光源は基板装置の外部にあってもよく、光は、その代わりに光源から基板と基板との間のスペースへ結合される。この目的のため、光ガイドが、光源のアレイから基板装置の中心へ供給される。これらの光ガイドは、別々の光源からの光を含むために、全内部反射を使用することができ、光が基板と基板との間のスペースから出ることができるように、全内部反射(例えば粗面)の妨害を持つ。
【0067】
例において、LEDは、熱可塑性材料に埋められる。LEDが他のタイプの材料に埋められることや、これらLEDが全く材料に埋められない(したがって、LEDは、真空内に、又は空気内にある)ことも可能である。
【0068】
透明な(又は、少なくとも半透明な)電極を形成する可能性がある材料が少しだけ、上述のように概説された。他の例は、米国特許第5218351号で見出せ、約10mm以上の間隔でほぼ0.1mmの直径を持つか、又は1mm以上の間隔でほぼ20umの直径を持つ電気導電ワイヤを含んでいる。ワイヤは、金、銀、銅、亜鉛又はステンレス鋼のストランドから作ることができる。あるいは、ポリエステル又はナイロン・ワイヤのような樹脂でできているストランドが用いられることができ、その外面は蒸着、金属めっき等によって金属で被覆されている。蒸着されたSiO2―インジウム合金の導電性薄膜が、用いられることもできる。
【0069】
1つの特に好適な材料は導電性インクであり、これはインクジェット又はシルクスクリーン印刷によって堆積される。インクは、銀のような微細な金属粒子を含み、0、1オーム/平方/mil未満のコンダクタンスを持つ。インクを使用する典型的ワイヤ幅は、0.08mm〜0.8mmである。
【0070】
光源装置の不均一性は、全光出力の少なくとも50%が直接光源にわたる領域内に集中するとして特徴づけられる。均一性のレベルを増大するための手段は、この概観を減らす。
【0071】
上記の例では、デバイスの光学特性を切換える能力は、スポットモードと拡散照明モードとの間の切換えのために有効であるとして述べられた。スイッチングは、時間依存の光出力効果を得るために用いられてもよい。
【0072】
切換可能な液晶層の形で切換可能な散乱層の使用が上述して概説され、いくつかの他の詳細がここで提示される。パッシブ・マトリックス・スキームを使用して、LC層の異なる領域の制御を実行するという問題点がある。特に、所定の期間あるいは同時に、特定のコントラストで電気的に独立して駆動できる散乱層の隣接細片に対応する行の最大数は、非常に制限される。このことは、マルチプレクス率が低いことを意味する。
【0073】
パッシブ・マトリックスアドレッシングにおいて、特定のコントラストを持って駆動できる行の最大数(Nmax)は、アルトとプレシュコによると、式1により決定される(1974.IEEE Trans.Electron.Devices.ED―21:146―155を参照)。
式1

Vthは反射量が大幅に変化し始める閾値電圧を表わし、ΔVはVsatとVthとの間の差を2で割ったものであり、Vsatは反射がもうほとんど変化しない電圧である。
【0074】
特定の散乱層に対する値を決定するために、前記特定の散乱層間の印加電圧の関数として拡散照明の反射率が、測定されなければならない。図7は、典型的散乱層に対する電圧の関数として、測定された反射率を示す。図7から、以下の値が、決定できる。Vth=2V、ΔV=29V。式1により、パッシブ・マトリックスアドレッシングで駆動できる行の最大数(Nmax、すなわちマルチプレクス率)が、この典型的散乱層に対してわずか1であることが、計算できる。
【0075】
この例の散乱層は、Chelix(米国企業)から市販されている材料であって、例えば米国特許US第6897936号で指定される材料に基づいている。
【0076】
図7の反射―電圧曲線は、印加電圧が3ボルトから60ボルトまで増大するとき、反射の量がほぼ14%からほぼ3%に徐々に減少することを示す。反射の最大量と反射の最小限の量との差は、比較的小さい、すなわちほぼ11%である。しかしながら、反射の量が急なステップでの代わりに電圧の比較的大きな範囲にわたって徐々に変化するという事実は、より深刻な問題である。出力の領域がパッシブ・マトリックス・アドレッシングを使用して独立に制御される場合、これは、特定の散乱層を作らなくするか又はほとんど適さなくする。
【0077】
追加反射器の使用又は反射器としての第2の基板装置の制御は、反応が、パッシブ・マトリックス切換え装置に対してより適している態様で、図7の曲線を変える。
【0078】
図8は、散乱層に隣接する反射層を持って図7の分析のために使用された散乱層に対する電圧の関数として、測定された反射率を示す。図8の反射―電圧曲線は、反射の量が0ボルトから52ボルトまでの電圧のかなりの範囲に対して実質的に一定であることを示す。この時、反射の量は、電圧の比較的少ない範囲にわたって著しく減少する。反射の最大量と反射の最小限の量との差は、比較的大きく、すなわちほぼ35%である。両方の態様、すなわち、反射の量が電圧の比較的小さい範囲にわたってかなり変化するという事実と、反射の最大量と反射の最小限の量との差が比較的大きいという事実とは、特定の散乱層と反射層との組合せをアプリケーションに適させていて、これにより光変調は、パッシブ・マトリックスアドレッシングに基づく(イメージ・ディスプレイ機能が実行できるように)。
【0079】
図9は、一番上の(第1の)基板装置用の1つの可能性がある装置(本発明の光出力デバイスに使用する)を図式的に示す。装置400は、
−光線402に対して、実質的に透明な状態と散乱状態との間を切換可能である液晶を有する散乱層302と、
−透明な状態と散乱状態との間で、電極のそれぞれのセットのパッシブ・マトリックス・アドレッシングにより、散乱層302の各部324〜330を切換えるための電極314〜322のセットと、
−散乱層302へ向かって散乱光線334の一部336を反射するための反射層306と、
−一組の透明なカバープレート310、312と、
−電極314〜322のセットに適当な電圧を供給するための駆動手段と、
を有する。
【0080】
散乱層302の異なる独立制御可能な部分324―330の間の電圧の変調によって、多少の散乱の対応するパターンがつくられる。これらのパターンによって、光出力336の変調が生じる。
【0081】
電極は、インジウム酸化スズ(ITO)を有するが、インジウム酸化亜鉛(IZO)、又は透明な電極として使用に適している当業者に知られている他の有機導電材料でもよい。
【0082】
好ましくは、電極314〜322は、透明な導電材料の細片の2つのグループとして構成され、これら2つのグループは散乱層の両側に配置される。好ましくは、第1のグループの電極314は、第2のグループの電極316―322に対して実質的に直交して向いている。電極の第1のグループの電極314は、散乱層302のそれぞれの列の上に延在する一方、電極の第2のグループの電極316―322は散乱層302のそれぞれの行の上に延在する。各対は電極の第1のグループの選択された電極314と電極の第2のグループの選択された電極316とを有し、これら電極の対の間に電圧を適切に印加することによって、散乱層302の異なる部分324―330はアドレスされる、すなわち、散乱の局所的量が変調できる。このタイプの変調は、画像表示駆動の当業者には、パッシブ・マトリックス・アドレッシングとして知られている。
【0083】
散乱層302は、ポリマー・ネットワークによって安定する液晶を有する(ポリマー・ネットワークの濃度がほぼ2%である)。例えば、米国特許US第6897936号では、斯様な散乱層がどのように作られるかが開示されている。
【0084】
404として示される光源は、装置400と他の(第2の)基板装置(図9に示されていない)との間のLED(又は、他の光源デバイス)を表す。おそらく余分のガラスプレートを含んで、層306と層302との間にLED404を配置することも可能である。この場合、図2―6の層2は、図9の306と同じ層でありえる。
【0085】
反射層306は、光源404によって生成されている光の伝送のための手段を有する。好ましくは、これらの手段は、ホールの構造である。上記したように、パッシブ・マトリックスアドレッシング、特に達成可能なマルチプレクス率を改善する反射器306は、第2の基板装置の一部でありえる。例えば、第2の基板装置が切換可能な反射器である場合、この反射機能は、制御可能な散乱層の光出力の表示タイプのピクセル化された制御の間、用いられる。
【0086】
散乱層は、ポリマーLCゲルでありえる。多重化を許容するのに十分急峻である反射―電圧曲線を達成するために、ポリマー液晶コンポジットのポリマー含有量は、影響を与える。ポリマー含有量は、好ましくは0.5〜10重量パーセント、より好ましくは1〜6重量%、より好ましくは2〜4重量%の間で選ばれる。
【0087】
概して、市販の散乱層の液晶と関係するポリマーの濃度は、非常により高い。特に、切換可能な散乱層で、液晶と関係するポリマーの濃度は、概して20%である。その理由は、ポリマー・ネットワークの機械的特性が関連するということである。液晶と関係してポリマーの比較的低い濃度を持つ散乱層の異なる光学状態同士の間で頻繁に切り替わることは、ポリマー・ネットワークの滅失に結果としてなる。
【0088】
つまり、散乱層のポリマー・ネットワークの特定の濃度の選択が、
−ポリマー・ネットワークが比較的耐久性があり安定でなければならないので、機械的観点と、
−デバイスの多重比率が比較的高くなければならないので、電気光学態様と、
により決定される。
【0089】
液晶は、キラル・ドーパントをネマチック液晶に加えることによって、ネマティック又はキラルネマティックでありえる。
【0090】
ポリマーは、液晶に前に加えられたモノマーの重合によって得ることができる。好ましい実施例において、モノマーは、重合され、及び/又は(UV)光によって架橋される。より多くの好ましい実施例において、液晶が整列される間に、重合及び/又は架橋結合が起こる。重合の間に付与される外部の場は、液晶の整列を達成する。あるいは、液晶の整列は、ラビングされたポリイミド、界面活性剤、界面活性剤を含むポリイミド又は斜角で蒸発するSiO2のような整列誘導面によって誘導される。
【0091】
図10は、液晶ポリマーコンポジットに基づいた散乱層302を作るプロセスを図式的に示す。散乱層302は、モノマー114―118の予め定められた量を液晶104―112の予め定められた量に加えることによって作られる。電界によって、分子は、要求された方向に配向される。その後、前記コンポジットは、所定の期間の間、紫外線光(hv)によって照射される。紫外線光の影響を受けて、モノマー分子120―124は、126―128をポリマー・ネットワークにリンクさせるだろう。あるいは、所定の期間の間の比較的高い温度が、架橋結合のために使われる。
【0092】
図11は、液晶ポリマー・コンポジットに基づく散乱層302の透明な状態及び散乱状態を図式的に示す。透明な状態において、液晶は、ポリマー・ネットワークの分子と整列される、すなわち、分子は同じ方向に配向される。透明な状態において、液晶は、ポリマー・ネットワークの分子と整列されない。つまり、液晶及びポリマー・ネットワークの分子の配向は、相互に異なる。概して、液晶の配向は、ランダムである。
【0093】
添付の請求の範囲に記載のように、さまざまな他の可能性は、本発明のさまざまな態様の範囲内である。
【0094】
さまざまな他の変更態様は、当業者にとって明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光出力デバイスの光出力表面を有し、前記光出力表面からの光出力の均一性のレベルを制御するための手段を有する第1の基板装置と、光偏向手段を有する第2の基板装置と、第1の基板装置と第2の基板装置との間に供給され、少なくとも半透明の電極を有する電極装置と、第1の基板装置と第2の基板装置との間に供給された、前記電極によって電気的に駆動される少なくとも一つの光源とを有する光出力デバイス。
【請求項2】
第1の基板装置は、前記光出力表面からの光出力の均一性の異なるレベルを持つ少なくとも2つの状態の間で切換え可能である、請求項1に記載の光出力デバイス。
【請求項3】
第1の基板装置は、実質的に透明な状態と前記光出力表面からの光出力の均一性の増大したレベルを供給する状態との間で切換え可能である、請求項2に記載の光出力デバイス。
【請求項4】
光出力デバイスの光出力表面を有し、前記光出力表面からの光出力の均一性のレベルを制御するための手段を有する第1の基板装置と、光偏向手段を有する第2の基板装置と、これら基板装置の間のスペースに光学的に結合された出力を持つ少なくとも一つの光源とを有し、第1の基板装置が、前記光出力表面からの光出力の均一性の異なるレベルを持つ少なくとも2つの状態の間で切換え可能である、光出力デバイス。
【請求項5】
第1の基板装置は、前記光出力表面からの光出力の均一性の増大したレベルを供給する状態と実質的に透明な状態との間で切換えられる、請求項4に記載の光出力デバイス。
【請求項6】
前記少なくとも一つの光源は、第1の基板装置と第2の基板装置との間に備えられる、請求項4又は5に記載の光出力デバイス。
【請求項7】
これら基板装置の間にはさまれる電極装置を有し、前記少なくとも一つの光源が前記電極装置に接続されている、請求項6に記載の光出力デバイス。
【請求項8】
前記電極装置は透明な導電材料を有する、請求項1、2、3又は7に記載の光出力デバイス。
【請求項9】
前記透明な導電材料が、インジウム酸化亜鉛(IZO)、酸化スズ(TO)、インジウム酸化スズ(ITO)、又はフッ素をドープした酸化スズ(FTO)を有する、請求項8に記載の光出力デバイス。
【請求項10】
前記電極装置は半透明導電材料を有する、請求項1、2、3又は7に記載の光出力デバイス。
【請求項11】
前記半透明導電材料が、金、銀、銅、亜鉛又はステンレス鋼を有する、請求項10に記載の光出力デバイス。
【請求項12】
前記半透明導電材料が、インク含有導電粒子を有する、請求項10又は11に記載の光出力デバイス。
【請求項13】
前記導電材料を使用して形成されたワイヤのワイヤ幅が1mm未満である、請求項11又は12に記載の光出力デバイス。
【請求項14】
電極層の間にはさまれるLC層を有する第1の基板装置を持つ、請求項1乃至13の何れか一項に記載の光出力デバイス。
【請求項15】
前記LC層は液晶ポリマー複合材料を有する、請求項14に記載の光出力デバイス。
【請求項16】
前記液晶ポリマー複合材料のポリマー含量が0.5%から10%の間、より好ましくは1%から6%の間、さらにより好ましくは2%から4%の間である、請求項15に記載の光出力デバイス。
【請求項17】
切換え可能な第1の基板装置を持ち、前記第1の基板装置の異なる領域が独立して切換えられる、請求項1乃至16の何れか一項に記載の光出力デバイス。
【請求項18】
前記切換えを制御するためのパッシブマトリクス導電装置を有する、請求項17に記載の光出力デバイス。
【請求項19】
第2の基板装置は、実質的に透明な状態と反射状態との間で切換られる、請求項1乃至18の何れか一項に記載の光出力デバイス。
【請求項20】
第2の基板装置は、実質的に透明な状態と拡散状態との間で切換られる、請求項1乃至18の何れか一項に記載の光出力デバイス。
【請求項21】
第2の基板装置は、懸濁粒子デバイスを有する、請求項19又は20に記載の光出力デバイス。
【請求項22】
光の均一性のレベルを制御するための前記手段は、光拡散器である、請求項1乃至21の何れか一項に記載の光出力デバイス。
【請求項23】
前記光偏向手段は、光散乱手段又は光反射手段を有する、請求項1乃至22の何れか一項に記載の光出力デバイス。
【請求項24】
前記光偏向手段は、光散乱層又は光反射層を有する、請求項1乃至23の何れか一項に記載の光出力デバイス。
【請求項25】
第1の基板装置は、埋め込まれた散乱粒子を持つガラス層を有する、請求項1乃至24の何れか一項に記載の光出力デバイス。
【請求項26】
第2の基板装置は、埋め込まれた散乱粒子を持つガラス層を有する、請求項1乃至25の何れか一項に記載の光出力デバイス。
【請求項27】
第1の基板装置は、懸濁粒子デバイスを有する、請求項1乃至23の何れか一項に記載の光出力デバイス。
【請求項28】
第1の基板装置は、ガラス層及び拡散層を有する、請求項1乃至24の何れか一項に記載の光出力デバイス。
【請求項29】
均一性のレベルを制御するための前記手段は、前記光源の位置に対応する領域において強い効果を持ち、前記光源から離れた領域で弱い効果を持つ、請求項1乃至28の何れか一項に記載の光出力デバイス。
【請求項30】
第1の基板装置は、前記光源の位置に対応する領域で増大した厚さを持ち、前記光源から離れた領域で低減した厚さを持った均一でない厚さを持つ、請求項1乃至29の何れか一項に記載の光出力デバイス。
【請求項31】
第1の基板装置は、前記光源の位置に対応する領域で増大した密度を持ち、前記光源から離れた領域で低減した密度を持った均一でない密度の散乱粒子を持つ、請求項25に記載の光出力デバイス。
【請求項32】
前記光源は、LEDデバイス又はLEDデバイスのグループを有する、請求項1乃至31の何れか一項に記載の光出力デバイス。
【請求項33】
各LEDデバイスは、無機LED、有機LED(OLED)、ポリマーLED(ポリLED)、又はレーザーダイオードを有する、請求項32に記載の光出力デバイス。
【請求項34】
前記光源が熱可塑性プラスティック又は樹脂層に埋め込まれた、請求項33に記載の光出力デバイス。
【請求項35】
切換え可能な第1の基板を持ち、前記切換機能を変調することにより均一性のレベルを制御するための手段を制御するための手段を更に有する、請求項1乃至34の何れか一項に記載の光出力デバイス。
【請求項36】
前記光源出力は、前記基板装置の一つ又は両方に向かう、請求項1乃至35の何れか一項に記載の光出力デバイス。
【請求項37】
光源のアレイを有する請求項1乃至36の何れか一項に記載の光出力デバイス。
【請求項38】
前記光源に供給される信号を制御するための制御器と、請求項1乃至37の何れか一項に記載の光出力デバイスとを有する照明システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−524220(P2010−524220A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501629(P2010−501629)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【国際出願番号】PCT/IB2008/051193
【国際公開番号】WO2008/120165
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】