説明

光分岐挿入装置

【課題】光分岐挿入装置において、故障モードに入った時や光分岐挿入部で光ファイバの接続ミス等により誤った主信号を挿入ポートに挿入した時でも、下流ノードに対して誤った波長数を転送することを防ぐ。
【解決手段】光合波器208の温度をモニタし、温度モニタ結果が異常時に光減衰器210を損失最大にするシャットダウン制御部607を設ける。更に、光分岐挿入部202において、個別チャネルの光レベルモニタに対し光レベル変化検出回路部603を設ける。また、光合波器208の後に全主信号の光レベルモニタ602を設け、個別チャネルの光レベルモニタ214の総和との比較により、波長数の不一致を検出した上で、光レベル変化検出回路部603で光レベル変化を検出したチャネルのみ光減衰器210を損失最大にするシャットダウン制御を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長多重技術を用いた光分岐挿入装置に係り、特に波長数情報を誤り無く転送する光分岐挿入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット技術に代表されるデータ系通信の大容量化に伴い、光伝送システムにおいても急激な情報量の増大とそれに伴う伝送容量の大容量化が期待されており、このような要求に対して波長の異なる複数の信号光を一本の光ファイバに束ねて通信を行う波長多重技術が適用されている。近年では、距離の離れた2拠点に対して波長多重技術を用いて大容量伝送することのみならず、複数地点間で1波長毎に光信号を分岐・挿入することが可能な光分岐挿入装置による通信ネットワークが構築されつつある。
【0003】
図1を参照して、光分岐挿入装置による通信ネットワークの一部を説明する。ここで、図1は通信システムのブロック図である。図1は、リングトポロジーの光ネットワークにおいて光分岐挿入装置101−1と光分岐挿入装置101−2の区間を取り出した構成である。ただし、光分岐挿入装置101−1は、East側の装置構成のみを記載している。図1で実線は主信号の流れ、点線は監視制御光信号の流れを表す。また、一点鎖線は監視制御用の電気信号を表す。
【0004】
まず、光分岐挿入装置101−1、101−2は、光増幅部(West)202−2、光増幅部(East)202−1および光分岐挿入部(West)201−2、光分岐挿入部(East)202−1から構成される。光増幅部202は、光ファイバ伝送路102からの入力光信号を増幅し光分岐挿入部201へ送信する受信光増幅器203と、光分岐挿入部201からの入力光信号を増幅し、光ファイバ伝送路102へ送信する送信光増幅器204とから構成される。光分岐挿入部201は、光カプラ206−1と光分波器207とによる光分岐部と、光分波器207と光合波器208と光スイッチ209と可変光減衰器210、可変光減衰器210後の光出力の一部を分岐する光カプラ206−と光カプラ206−の分岐光をモニタする光検出器214からなる光透過・挿入選択部から構成される。
【0005】
以下、図1の光分岐挿入装置101−2におけるWestからEast方向への主信号の流れによって、光分岐挿入装置101全体の動作を説明する。光分岐挿入装置101−1からの受信光信号は、光分岐挿入装置101−2の光増幅部(West)202−2の受信光増幅器203で増幅され、光分器挿入部(West)201−2に送信される。
【0006】
光分岐挿入部(West)201−2は、光カプラ206−1により光信号が二分割され、その一方は光分波器207により更に波長毎の光に分岐され、分岐光ポートから出力される。もう一方の光信号は、そのまま光分岐挿入部201間を接続する光ファイバ211を通じて、光分岐挿入部(East)201−1に送信される。
【0007】
光分岐挿入部(East)201−1は、光分波器207により更に波長別の光信号に分岐され、光スイッチ209に入力される。光スイッチ209ではWestからの透過光信号または挿入光信号のいずれかを選択する。光スイッチ209の後段に配置されている可変光減衰器210は、各波長の光パワーレベルを全波長均一に揃えるために具備されており、光検出器214で光レベルをモニタし、各チャネルの光レベルが一定になるように制御される。可変光減衰器210により光パワーレベルを揃えた光は光合波器208で再度波長多重化され、光増幅部(East)202−1に送信される。
光増幅部(East)202−1では、送信光増幅器204で増幅された後、再度光ファイバ伝送路102に送信される。
【0008】
以下、光分岐挿入装置の監視制御光信号について説明する。光分岐挿入装置の監視制御光信号は、光増幅部202が正常に動作するように主信号の使用波長数を光分岐挿入装置間で転送する役割を担っている。波長数を光分岐挿入装置間で転送する機能は、光増幅部が波長数情報を基に1波長あたりの光信号を一定に揃える光レベル一定制御を実施している場合には必要不可欠である。光レベル一定制御では、波長数情報から光増幅器の目標とすべき光出力レベルが決定するため、誤った波長数情報が転送されると、実際に必要とされる光出力レベルと誤った波長数情報から算出される目標光出力レベルに差分が生じ、主信号が誤ることにつながる。
【0009】
図1において、受信光増幅器203は、光レベル一定制御で運用されている。波長数情報取得転送部213は、光分岐挿入装置内での波長数情報を検出して監視制御光信号送受信部212に通知するとともに、別ノードの光分岐挿入装置から転送されてきた波長数情報を監視制御光信号送受信部212から受信して、受信光増幅器203に通知する。監視制御光信号送受信部212は、波長数情報取得転送部213から送られてきた当該ノードの波長数情報を光信号に変換して、下流の光分岐挿入装置101に送信する。また、監視制御光信号受信部212は、上流の光分岐挿入装置101から伝送路102を通して送信されてきた監視制御光信号を受信して、そこから波長数情報を取り出して波長数情報取得転送部213に電気信号として送信する。なお、監視制御光信号は、受信光増幅器203の前段の監視制御光分波用光カプラ206−4で主信号から分離され、送信光増幅器204の後段の監視制御光合波用光カプラ206−3で主信号と多重される。
【0010】
図2を参照して、波長数情報の転送を説明する。ここで、図2は波長数情報の転送を説明するブロック図である。図2(a)は、図1を用いて説明した通信システムから、光分岐挿入装置101−1のEast方向から光分岐挿入装置101−2のWest方向へ波長数を転送する機能について抜粋した図である。また、図2(b)は主信号の流れを説明する図である。
【0011】
図2(a)において、アルファベットAないしEは、波長数転送制御における動作順番を表す。また、図2(b)において、光分岐挿入装置101−1は、波長λ1、λ2の光信号が光分岐挿入部(East)201−1で合波され、波長λ3の光信号が光分岐挿入装置101−1を透過する。この場合、まず位置Aではλ1、λ2、λ3の光レベルモニタ214のみ光レベルが観測でき、他の波長の光レベルは観測できない。従って、位置Aで光レベルモニタ214から波長数が3波長観測されることを、波長数情報取得転送部213は、認識する。この3波長という波長数情報は、位置Bで波長数情報取得転送部213から監視制御光送受信部212に転送される。監視制御光送受信部212は、位置Bで電気的に受信した3波長という波長数情報を光信号に変換して位置Cで送信する。Cで送信した光は光増幅部(East)202−1の監視制御光合波用光カプラ206−3で主信号と合波され、光分岐挿入装置101−2に送信される。光分岐挿入装置101−2は、まず監視制御光分波用光カプラ206−4で監視制御光と主信号とを分波し、監視制御光は監視制御光送受信部212で受信する。受信した監視制御光は、位置Dで光信号から電気信号に変換され、ここで分岐挿入装置101−1で取得した3波長という波長数情報を受け取る。受信した波長数情報は、位置Eで波長数情報取得転送部213に送信される。波長数情報取得転送部213は、受信した波長数情報を位置Fで当該ノードの受信光増幅器203に送信する。この情報を受けて受信光増幅器203は3波長という波長数情報を基に出力光レベルの目標値を決定して、目標出力レベルに合うように主信号の光増幅を行う。
【0012】
特許文献1には、アッド光の波長設定ミスを防止するために、波長多重器で波長多重した光の一部を反射鏡で反射し、アッド光を合波した波長合波器の逆方向検出器で検出する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005−286721
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述した背景技術では、波長分離した状態で波長数をカウントしている。このため、波長多重した際に、正常に波長多重された波長数と食い違うことがある。具体的には、光合波器の故障、挿入光信号の波長誤りがあると、波長数の誤りが生じる。
【0015】
特許文献1は、挿入光信号の波長誤りを検出できるが、光部品が多数必要である。また、光合波器の故障については記載が無い。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題は、波長多重された主光信号の多重波長数情報を監視制御光信号に乗せ、主光信号と監視制御光信号とを多重して送信し、主光信号の全パワーを監視する第1の光レベルモニタと、波長分離された個別光信号の有無を検出する複数の第2の光レベルモニタとを備え、第1の光レベルモニタが検出する第1の多重波長数と複数の第2の光レベルモニタから得る第2の多重波長数とを比較する光分岐挿入装置により、達成できる。
【0017】
また、第1の波長多重光信号を波長分離して複数の第1の個別光信号を生成する光分波器と、複数の第1の個別光信号のそれぞれと複数の第2の個別光信号のそれぞれとを入力として、一方を選択する複数のスイッチと、複数のスイッチの出力の複数の第3の個別光信号を波長多重して第2の波長多重光信号を生成する光合波器とからなり、光合波器に温度モニタを設け、温度モニタが異常を検出したとき、第2の波長多重光信号の生成を停止する光分岐挿入装置により、達成できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、光分岐挿入装置において、光分岐挿入部の主信号品質に影響を与えるような故障モードに入った時や光分岐挿入部で光ファイバの接続ミス等により誤った主信号を挿入ポートに挿入した時でも、下流ノードに対して誤った波長数を転送することを防ぎ、下流ノード以降の主信号の伝送品質劣化を避けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】通信システムのブロック図である。
【図2】波長数情報の転送を説明するブロック図である。
【図3】光分岐挿入装置の各ポイントでの波長−光強度特性を説明する図である。
【図4】光分岐挿入装置の各ポイントでの波長−光強度特性を説明する図である。
【図5】光分岐挿入装置のブロック図である。
【図6】光分岐挿入装置の制御フローチャートである。
【図7】他の光分岐挿入装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下本発明の実施の形態について、実施例を用い図面を参照しながら説明する。なお、同一部位には同じ参照番号を振り、説明は繰り返さない。
【実施例1】
【0021】
背景技術で説明した光分岐挿入装置における波長数転送機能において、誤った波長数を下流に転送してしまう場合がある。これを、以下に(1)、(2)として説明する。
(1)光分岐挿入装置の光分岐挿入部201の合分波器208の故障
光分岐挿入部の合分波器207、208としてAWG(Arrayed Waveguide Grating)と呼ばれるガラス導波路光デバイスが用いられる。このような合分波機能デバイスでは主信号の透過特性に温度依存性があり、主信号を最小損失で透過させるために合分波器に対して温度一定制御を実施する。
【0022】
光分岐挿入部の光分岐挿入部で光合波器208の温度一定制御部が故障して主信号を最小損失で透過できなくなったときの、透過特性を図3を参照して説明する。ここで、図3は光分岐挿入装置の各ポイントでの波長−光強度特性を説明する図である。図3(a)において、可変光減衰器210を通過した直後では、図3(a)に示すように主信号である波長λ1、λ2、λ3の光信号は正常である。したがって、光分岐挿入装置101−1の波長数情報取得転送部213は、波長数3と認識する。光合波器208が正常動作している場合には、図3(b)に示すように光合波器208の主信号透過特性と主信号の中心波長が一致するため、主信号λ1、λ2、λ3は光合波器208を透過して光増幅部202−1に送信され、光分岐挿入装置101−2には正常レベルの主信号を受信できる。
【0023】
一方、光合波器208の温度一定制御部が故障した場合、図3(c)に示すように光合波器208の透過特性のピーク波長は温度一定制御目標値から外れれば外れるほど、主信号λ1、λ2、λ3の中心波長から外れていくことになる。したがって、主信号λ1、λ2、λ3は光合波器208を透過しないことになり、光増幅部202−1には微弱な光レベルの主信号しか到達しない。ところが、光減衰器210を通過した直後では、主信号λ1、λ2、λ3は正常動作しており、3波長という波長数情報が監視制御光信号を通して、光分岐挿入装置101−2に転送されることになる。従って、主信号λ1、λ2、λ3は非常に微弱な光レベルを送信しているにも関わらず、光増幅部202−2は3波長の目標光レベルに到達させようとして、非常に高い光増幅率で動作させる。この結果、主信号雑音レベルの増大にも繋がる。更にはこのような伝送品質の劣化した雑音レベルの高い主信号が更に光分岐挿入装置101−2以下の下流ノードにも送信されることになる。
(2)光分岐挿入装置の光分岐挿入部201挿入ポートに別の波長光の誤挿入
図4を参照して、光分岐挿入装置101−1の主信号λ1が挿入されるべきポートに誤って別の主信号であるλ4を挿入した場合の動作を説明する。ここで、図4は光分岐挿入装置の各ポイントでの波長−光強度特性を説明する図である。この場合、光減衰器210を通過した後のモニタポイントでは、波長が異なった信号λ4が挿入されてもカプラ206−2に光信号をフィルタする機能はないため、図4(a)に示すように光レベルモニタ214は、λ1の波長が存在するように見える。一方、光合波器208は、波長λ1の入力ポートに波長λ4の主信号を挿入しても透過しないため、光合波器208の出力の主信号はλ2、λ3の2信号しか存在しない。一方、波長数情報取得転送部213は、3台の光レベルモニタ214が主信号検出しているので、波長数3を光分岐挿入装置101−2に転送する。この、光分岐挿入装置101−2の受信光増幅器203は、3波長の目標レベルに合わせて、主信号を増幅しようとする。しかし、主信号はλ2、λ3の2波長分しか存在しないので、結果としてλ2、λ3の主信号は期待値より高い光レベルで出力される。
【0024】
図5を参照して、光分岐挿入装置の構成を説明する。ここで、図5は光分岐挿入装置のブロック図である。なお、ここでは光分岐挿入装置500AのEast側のみを記載し、図1との相違点を以下説明する。まず、光部品に関しては、光分岐挿入部201−1の光合波器208の後に光合波器を透過する主信号光レベルをモニタするための光カプラ601と光レベルモニタ602が追加されている。電子回路制御部は、まず光合波器208の温度をモニタし光合波器の温度異常を検出する温度モニタ・温度異常検出部611が追加されている。また、個別チャネルの光レベルモニタ214に加えて、光レベルが短時間に変化したことを検出する光レベル変化点検出部603が追加される。光レベル変化点検出部603は、周期的に監視する光レベルモニタにおいて、1回前に読み出した光レベルモニタ値と今回読み出した光レベルモニタ値の差分から、読み出し周期の間に光レベルの大幅な変化が発生したか否かを検出する。また、波長数情報抽出部604Aは、総和演算部605、主信号光レベル比較部606、光レベルモニタ変化チャネル判定部607、光シャットダウン制御部608、波長数情報確定部610から構成される。
【0025】
まず、光レベルモニタ総和演算部605は、個別チャネルからの光レベルモニタ214の光レベルを全て足し算し、総和結果を求める。この計算結果は光合波器208透過後の光レベルの期待値に等しい。
【0026】
次に、主信号光レベル比較部606は、光レベルモニタの総和演算部605で求めた計算結果と光合波器208透過後の光レベルモニタ602での光レベルモニタ結果との比較を行う。比較結果が一致しているということは、計算による主信号期待値と実際に光合波器208を透過した主信号光レベルが一致しており、主信号の波長数情報は一致することになる。比較結果が一致しないということは、実際に下流ノードに送信される主信号の波長数と光分岐挿入部で検出した波長数情報が不一致であることを意味する。
【0027】
光レベルモニタ変化チャネル判定部607は、主信号光レベル比較部606での比較結果、温度異常検出部611の検出結果から、光レベルモニタ変化チャネル判定が必要か不要かを判定する。まず、温度異常検出部611で温度異常が検出される場合には、光レベル変化が全チャネルで発生していると判定する。温度異常検出部611で温度異常が発生しておらず、なおかつ主信号光レベル比較部606での主信号光レベル比較結果が一致している場合は、全チャネルで光レベル変化が発生していないと判定する。温度異常検出部611で温度異常が発生しておらず、かつ主信号光レベル比較部606での主信号光レベル比較結果が一致していない場合のみ、主信号光レベル変化点検出部603の検出信号を用いて、読み出し周期期間に大幅な光レベル変化が発生したチャネルを特定する。
【0028】
光シャットダウン制御部608は、光レベルモニタ変化チャネル判定部607で判定した光レベル変化発生チャネルに対して光減衰器210をシャットダウンするように光減衰器制御部609に通知する。温度異常検出部611で温度異常を検出した場合には、光シャットダウン制御部608は、全チャネルの光減衰器制御部609に対しシャットダウン制御指示を出す。温度異常を検出しておらず主信号比較結果が不一致と判定されている場合には、光シャットダウン制御部608は、光レベルモニタ変化チャネル判定部607で判定した光レベル変化が発生しているチャネルのみ光減衰器210をシャットダウンするようにシャットダウン制御指示を出す。それ以外の場合には、光シャットダウン制御部608は、シャットダウン制御指示は出さず、何も動作しない。
【0029】
シャットダウン制御指示を出した後、波長数情報確定部610は、波長数情報取得転送部213に通知する最終的な波長数情報を確定する。具体的には個別チャネル光レベルモニタ214から検出される波長数に対して、波長数情報確定部610でシャットダウン制御指示をかけたチャネル数だけ差し引いたものを最終的な波長数情報として波長数情報転送制御部213に送信する。
【0030】
実際には以上光レベルモニタの総和演算部605→主信号光レベル比較部606→光レベルモニタ変化チャネル判定部607→光シャットダウン制御部608→波長数情報確定部610の部の動作を1ループとして、これら一連の部動作を周期的に動作させることで、誤った波長数情報を通知することなく、波長数情報を下流ノードに正確に転送することが可能となる。
【0031】
上述した事象の発生時の動作を説明すると以下のようになる。まず、光合波器208の温度異常検出時には、まず温度異常検出部611で温度異常動作を検出して、光レベルモニタ変化チャネル判定部607に通知する。光レベルモニタ変化チャネル判定部607では温度異常検出ということで、全チャネルで光レベル変化が発生していると判定する。そこで、光シャットダウン制御部608から全チャネルの光減衰器制御部609に対してシャットダウン指示が通知され、波長数情報確定部610で波長数情報が0波であると通知されることになる。
【0032】
次に、光分岐挿入部201−1の挿入ポートに誤って別の波長の光を挿入した場合、まず主信号光レベル比較部606で主信号の計算結果による期待値と光合波器208透過後の光レベルモニタ比較結果に1波長分の光信号の不一致が生じる。そこで、光レベルモニタ変化チャネル判定部607において光ファイバが挿入されて光レベル変化が発生したチャネルを特定する。光シャットダウン制御部608では光レベル変化発生したチャネルの光減衰器210に対してシャットダウン制御を指示する。波長数情報確定部610ではシャットダウン制御指示を出した1波長分を差し引いた波長数(この場合は2波長)を波長数情報取得転送部213に通知する。
【0033】
図6を参照して、光分岐挿入装置の制御フローを説明する。ここで、図6は光分岐挿入装置の制御フローチャートである。図6において、光分岐挿入装置500Aは、電源を投入されると、複数の個別波長の光レベルモニタ214は、該当する波長の光パワー情報を取得する(S501)。また、光パワーモニタ602は、全主信号光パワー情報を取得する(S511)。さらに、光合波器温度モニタ・温度異常検出部611は、光合波器208の温度情報を取得する(S521)。
【0034】
ステップ501に引き続いて、光レベル変化点検出部603は、各個別波長の光パワーの変化発生有無を検出する(S502)。また、総和演算部605は、各個別波長「有」の総和を演算する(S503)。比較部606は、ステップ511から得られる波長数と、ステップ503で得た波長数を比較し、波長数情報に矛盾がないか判定する(S512)。
【0035】
光レベルモニタ変化発生チャネル判定部607は、ステップ502とステップ512とステップ521との結果に基づいて、どのチャネル(波長)で異常が発生したか/していないか判定する(S513)。さらに、シャットダウン制御部608は、異常が発生したチャネルに対し、シャットダウンを指示する(S514)。波長数情報確定部510は、波長数情報を確定し(S515)、ステップ501、S511およびS521に戻る。
【0036】
本実施例に拠れば、光分岐挿入部で誤った波長数情報を検出した場合であっても、下流ノードに対して誤った波長数を転送することを防止し、下流ノード以降の主信号の伝送品質劣化を避けることができる。
【実施例2】
【0037】
実施例2について図7を参照して説明する。ここで、図7は光分岐挿入装置のブロック図である。なお、ここでは光分岐挿入装置500BのEast側のみを記載し、図5との相違点を以下説明する。光分岐挿入部201−1において、個別チャネルのシャットダウン制御に光減衰器210の損失最大制御ではなく、個別チャネルの光スイッチ209を切り替えて、シャットダウン制御を行う。ここでスイッチ切替制御により、光減衰器210への出力をシャットダウンすることが必要となるため、光スイッチ209は入力2方路、出力2方路の光スイッチである。なお、光スイッチ209の第1の出力方路に光減衰器210を接続したとき、第2の出力方路には図示しない光終端器を接続する。
【0038】
図5の波長数情報抽出部604Aの光減衰器のシャットダウン制御部608の代わりに、波長数情報抽出部604Bの光スイッチのシャットダウン制御部701が実装されている。シャットダウン制御部701は、波長数不一致状態が検出されたとき、該当光スイッチ切替制御部702に第2の出力方路を選択するよう動作させる。なお、光スイッチ切替制御部702は、図5では図示を省いていたものである。
【符号の説明】
【0039】
101…光分岐挿入装置、102…光ファイバ伝送路、103…波長の異なる光分岐挿入装置間の主信号、201…光分岐挿入部、202−1…光増幅部、203…受信光増幅器、204…送信光増幅器、205…光安全レベル制御回路、206…光カプラ、207…光分波器、208…光合波器、209…光スイッチ、210…可変光減衰器、211…光ファイバ、212…監視制御光送受信部、213…波長数情報取得転送部、214…光レベルモニタ、500…光分岐挿入装置、601…光カプラ、602…光レベルモニタ、603…光レベル変化点検出部、604…波長数情報抽出部、605…総和演算部、606…比較部、607…光レベルモニタ変化発生チャネル判定部、608…シャットダウン制御部、609…光減衰器制御部、610…波長数情報確定部、611…光合波器温度モニタ・温度異常検出部、701…シャットダウン制御部、702…光スイッチ切替制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の波長多重光信号を波長分離して複数の第1の個別光信号を生成する光分波器と、複数の前記第1の個別光信号のそれぞれと複数の第2の個別光信号のそれぞれとを入力として、一方を選択する複数のスイッチと、前記複数のスイッチの出力の複数の第3の個別光信号を波長多重して第2の波長多重光信号を生成する光合波器とからなる光分岐挿入装置において、
前記光合波器に温度モニタを設け、前記温度モニタが異常を検出したとき、前記第2の波長多重光信号の生成を停止することを特徴とする光分岐挿入装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光分岐挿入装置であって、
前記第2の波長多重光信号は、前記スイッチによる方路切替により、生成が停止されることを特徴とする光分岐挿入装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光分岐挿入装置であって、
さらに、複数の前記第3の個別信号の光レベルを調整する複数の可変光減衰器を備え、 前記第2の波長多重光信号は、前記可変光減衰器による減衰により、生成が停止されることを特徴とする光分岐挿入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−176887(P2011−176887A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124932(P2011−124932)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【分割の表示】特願2007−130403(P2007−130403)の分割
【原出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】