説明

光受信機

【課題】従来よりも生成される信号の電力が大きい光受信機を提供する。
【解決手段】光フィルタ3が、入力された光信号の周波数成分に基づいて強度変調された互いに位相が180度異なる第一光信号及び第二光信号を生成する変換する。第一受光素子12が、第一光信号を第一電流信号に変換する。第二受光素子22が、第二光信号を第二電流信号に変換する。第一整合回路14が、第一電流信号の電力が大きくなるようにインピーダンス整合を行う。第二整合回路24が、第二電流信号の電力が大きくなるようにインピーダンス整合を行う。180度ハイブリッド回路4が、第一出力ポート及び第二出力ポートにそれぞれ分配される2つの電流信号の位相が180度ずれるように第一電流信号を分配すると共に、第一出力ポート及び第二出力ポートにそれぞれ分配される2つの電流信号の位相が同じになるように第二電流信号を分配する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、入力された光信号を電気信号に変換する光受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光受信機の例を、図10を参照して説明する(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
従来の光受信機は、フォトダイオード91、直流電流バイアス回路92、電流電圧変換回路93から構成されていた。
【0004】
フォトダイオード91は、光ファイバから出力された光の強度に比例した大きさを有する光電流を生成する。直流電流バイアス回路92は、フォトダイオード91の量子効率が高くなるようにフォトダイオード91の電極に逆方向の直流電流を加える。電流電圧変換回路93は、光電流を電圧に変換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−171142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の光受信機は周波数帯域の広い光アナログ信号を受信できるように設計されており、生成される信号の電力が必ずしも大きくないという問題があった。
【0007】
この発明は、生成される信号の電力が従来よりも大きい光受信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の光受信機は、入力された光信号の周波数成分に基づいて強度変調された互いに位相が180度異なる第一光信号及び第二光信号を生成する変換する光フィルタと、第一光信号を第一電流信号に変換する第一受光素子と、第二光信号を第二電流信号に変換する第二受光素子と、第一電流信号の電力が大きくなるように、インピーダンス整合を行う第一整合回路と、第二電流信号の電力が大きくなるように、インピーダンス整合を行う第二整合回路と、第一出力ポート及び第二出力ポートにそれぞれ分配される2つの電流信号の位相が180度ずれるように第一電流信号を分配すると共に、第一出力ポート及び第二出力ポートにそれぞれ分配される2つの電流信号の位相が同じになるように第二電流信号を分配する180度ハイブリッド回路と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
第一整合回路及び第二整合回路を用いてインピーダンス整合を行うことにより、光受信機により生成される信号の電力を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第一実施形態の光受信機の例のブロック図。
【図2】第二実施形態の光受信機の例のブロック図。
【図3】第三実施形態及び第四実施形態の光受信機の例のブロック図。
【図4】第三実施形態の制御回路の例のブロック図。
【図5】第四実施形態の制御回路の例のブロック図。
【図6】光フィルタの特性を説明するための図。
【図7】180度ハイブリッド回路の特性を説明するための図。
【図8】180度ハイブリッド回路の特性を説明するための図。
【図9】整合回路の具体例を説明するための図。
【図10】従来の光受信機の例のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第一実施形態]
第一実施形態の光受信機は、図1に示すように、光フィルタ3、光ファイバ11、第一受光素子12、第一受光素子バイアス回路13、第一整合回路14、光ファイバ21、第二受光素子22、第二受光素子バイアス回路23、第二整合回路24、180度ハイブリッド回路4を例えば含む。
【0012】
光フィルタ3は、入力ポート31、通過ポート32及び反射ポート33に接続されている。入力ポート31には、光ファイバが接続されている。この光ファイバから周波数変調された光信号が入力ポート31に入力される。
【0013】
光フィルタ3は、入力された光信号の周波数成分に基づいて強度変調された互いに位相が180度異なる第一光信号及び第二光信号を生成する。第一光信号は通過ポート32に出力され、第二光信号は反射ポート33に出力される。通過ポート32に出力された光信号は、第一経路を通って電流信号に変換され、その電流信号は後述する180度ハイブリッド回路4の第一入力ポート41に出力される。反射ポート33を通過する光信号は、第二経路を通って電流信号に変換され、その電流信号は後述する180度ハイブリッド回路4の第二入力ポート42に出力される。
【0014】
光フィルタ3は、例えば光信号の周波数が高いほど高い強度を有する光信号を出力するハイパスフィルタで構成されている。そのハイパスフィルタを通過する第一光信号が通過ポート32に出力され、そのハイパスフィルタで反射された第二光信号が反射ポート33に出力される。この場合、図6に例示するように、光信号の周波数が高いほど、第一光信号の強度は高く、第二光信号の強度は低くなる。このように、周波数変調された光信号は、強度変調された2つの光信号(第一光信号、第二光信号)に変換される。
【0015】
光フィルタ3に入力される光信号の周波数が図6に例示する光フィルタの動作の中心周波数に概ね一致する場合には、上記のように入力された光信号の周波数成分に基づいて変換された、第一光信号の強度成分の位相と、第二光信号の強度成分の位相とは180度異なることになる。また、光フィルタ3に入力される光信号の強度成分は、第一光信号及び第二光信号に同位相同振幅に乗ることになる。
【0016】
光フィルタ3に入力される光信号は、理想的には、周波数のみが変化して、強度が一定であることが望ましい。しかし、現実的には、光信号を生成するレーザダイオード等の注入電流対光強度特性により、光フィルタ3に入力される光信号の強度は変化し得る。このような場合であっても、光フィルタ3に入力される光信号の強度成分が第一光信号及び第二光信号に同位相同振幅に乗れば、後述する180度ハイブリッド回路4により、この光信号の強度成分はキャンセルされることになる。
【0017】
光フィルタ3の詳細は、特願2010−094655号明細書を参照のこと。
【0018】
通過ポート32を始点とする第一経路は、図1に示すように、光ファイバ11、第一受光素子12、第一受光素子バイアス回路13、第一整合回路14で例えば構成される。第一経路の終点は、180度ハイブリッド回路4の第一入力ポート41である。反射ポート33を始点とする第二経路は、図1に示すように、光ファイバ21、第二受光素子22、第二受光素子バイアス回路23、第二整合回路24で例えば構成される。第二経路の終点は、180度ハイブリッド回路4の第二入力ポート42である。
【0019】
通過ポート32から入力された第一光信号は、光ファイバ11を通って、第一受光素子12に出力される。第一受光素子12は、第一光信号を第一電流信号に変換する。第一受光素子12は、例えばフォトダイオードである。第一受光素子12は、第一光信号の強度に比例した光電流を生成して第一電流信号とする。第一電流信号は、第一整合回路14に出力される。。
【0020】
第一受光素子バイアス回路13は、第一受光素子12の量子効率が高くなるように、第一受光素子12の電極に逆方向の直流電力を加える。
【0021】
第一整合回路14は、第一電流信号の電力が大きくなるように、インピーダンス整合を行う。この実施形態では、第一整合回路14は、第一受光素子12の出力インピーダンスと、この光受信機に接続される負荷の入力インピーダンスとを整合する。すなわち、第一整合回路14は、第一受光素子12の出力インピーダンスと、負荷の入力インピーダンスとが複素共役の関係になるようにする。これにより、第一電流信号の電力を大きくすることができ、この光受信機により生成される信号のレベルを大きくすることができる。第一整合回路14から出力された第一電流信号は、第一入力ポート41を通って180度ハイブリッド回路4に入力される。
【0022】
反射ポート33を始点とする第二経路は、図1に示すように、光ファイバ21、第二受光素子22、第二受光素子バイアス回路23、第二整合回路24で例えば構成される。第二経路の終点は、180度ハイブリッド回路4の第二入力ポート42である。
【0023】
反射ポート33から入力された第二光信号は、光ファイバ21を通って、第二受光素子22に出力される。第二受光素子22は、第二光信号を第二電流信号に変換する。第二受光素子22は、例えばフォトダイオードである。第二受光素子22は、第二光信号の強度に比例した光電流を生成して第二電流信号とする。第二電流信号は、第二整合回路24に出力される。。
【0024】
第二受光素子バイアス回路23は、第二受光素子22の量子効率が高くなるように、第二受光素子22の電極に逆方向の直流電流を加える。
【0025】
第二整合回路24は、第二電流信号の電力が大きくなるように、インピーダンス整合を行う。この実施形態では、第二整合回路24は、第二受光素子22の出力インピーダンスと、この光受信機に接続される負荷の入力インピーダンスとを整合する。すなわち、第二整合回路24は、第二受光素子22の出力インピーダンスと、負荷の入力インピーダンスとが複素共役の関係になるようにする。これにより、第二電流信号の電力を大きくすることができ、この光受信機により生成される信号のレベルを大きくすることができる。第二整合回路24から出力された第二電流信号は、第二入力ポート42を通って180度ハイブリッド回路4に入力される。
【0026】
180度ハイブリッド回路4は、第一入力ポート41、第二入力ポート42、第一出力ポート43、第二出力ポート44に接続されている。180度ハイブリッド回路4は、第一出力ポート43及び第二出力ポート44にそれぞれ分配される2つの電流信号の位相が180度ずれるように第一電流信号を分配すると共に、第一出力ポート43及び第二出力ポート44にそれぞれ分配される2つの電流信号の位相が同じになるように第二電流信号を分配する。
【0027】
例えば、図7に示すように、第一入力ポート41から位相が0度の第一信号が入力され、第二入力ポートから位相が180度の第二信号が入力されとする。この場合、位相が0度の第一信号は、位相が90度の第一出力信号と、位相が270度の第二出力信号とに分配される。第一出力信号は第二出力ポート44に出力され、第二出力信号は第一出力ポート43に出力される。位相が180度の第二信号は、位相が270度の第三出力信号と、位相が270度の第四出力信号とに分配される。第三出力信号は第二出力ポート44に出力され、第四出力信号は第一出力ポート43に出力される。
【0028】
位相が90度の第一出力信号と位相が270度の第三出力信号とは逆相であるためこれらの信号は相殺される。一方、位相が270度の第二出力信号と位相が270度の第四出力信号とは同相であるためこれらの信号は強め合う。
【0029】
このように、第一入力ポート41に入力される信号と第二入力ポート42に入力される信号とが逆相である場合には、いわゆる逆相ポートである第一出力ポート43に求めようとしていた信号が現れ、いわゆる同相ポートである第二出力ポート44からの信号の出力レベルは理想的には0となる。
【0030】
一方、例えば、図8に示すように、第一入力ポート41から位相が0度の第一信号が入力され、第二入力ポートから位相が0度の第二信号が入力されとする。この場合、位相が0度の第一信号は、位相が90度の第一出力信号と、位相が270度の第二出力信号とに分配される。第一出力信号は第二出力ポート44に出力され、第二出力信号は第一出力ポート43に出力される。位相が0度の第二信号は、位相が90度の第三出力信号と、位相が90度の第四出力信号とに分配される。第三出力信号は第二出力ポート44に出力され、第四出力信号は第一出力ポート43に出力される。
【0031】
位相が90度の第一出力信号と位相が90度の第三出力信号とは同相であるためこれらの信号は強め合う。一方、位相が270度の第二出力信号と位相が90度の第四出力信号とは逆相であるためこれらの信号は相殺する。
【0032】
このように、第一入力ポート41に入力される信号と第二入力ポート42に入力される信号とが同相である場合には、いわゆる同相ポートである第二出力ポート44からの信号が出力され、いわゆる逆相ポートである第一出力ポート43からの信号の出力レベルは理想的には0に近づく。
【0033】
したがって、例えばレーザダイオードの注入電流対光強度特性等に応じて生じ得るノイズである、第一入力ポート41に入力される信号と第二入力ポート42に入力される信号と中の同相の成分は、180度ハイブリッド回路4によって打ち消されて、第一出力ポート43からは出力されない。
【0034】
このように、第一整合回路14及び第二整合回路24を用いて、インピーダンス整合を行うことにより、光受信機から出力される信号の電力を増加させることができる。
【0035】
[第二実施形態]
第二実施形態の光受信機は、第一実施形態の光受信機に増幅素子を追加したものである。以下、第一実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様の部分については重複説明を省略する。
【0036】
第二実施形態の光受信機は、図2に示すように、第一増幅素子15、第一増幅素子バイアス回路16、第二増幅素子25、第二増幅素子バイアス回路26を更に含む。第二実施形態の第一整合回路14は、第一入力整合回路141及び第一出力整合回路142から構成される。第二実施形態の第二整合回路24は、第二入力整合回路241及び第二出力整合回路242から構成される。
【0037】
第一受光素子12が出力した第一電流信号は、第一入力整合回路141に入力される。第一入力整合回路141は、第一受光素子12の出力インピーダンスと、第一増幅素子15の入力インピーダンスとを整合する。第一受光素子12の出力インピーダンスと、第一増幅素子15の入力インピーダンスとが複素共役の関係になるようにする。これにより、第一受光素子12が出力する第一電流信号の有能電力を高めることができる。
【0038】
第一増幅素子15は、第一入力整合回路141が出力した第一電流信号を増幅する。増幅された第一電流信号は、第一出力整合回路142に出力される。第一増幅素子バイアス回路16は、第一増幅素子15が第一電流信号を増幅するために必要な直流バイアスを第一増幅素子15に供給する。
【0039】
第一出力整合回路142は、第一増幅素子15の出力インピーダンスと、光受信機に接続される負荷の入力ピーダンスとを整合する。すなわち、第一増幅素子15の出力インピーダンスと、光受信機に接続される負荷の入力ピーダンスとが複素共役の関係になるようにする。これにより、第一増幅素子15が出力する第一電流信号の有能電力を高めることができる。第一出力整合回路142が出力した第一電流信号は、180度ハイブリッド回路4の第一入力ポート41に入力される。
【0040】
第二受光素子22が出力した第二電流信号は、第二入力整合回路241に入力される。第二入力整合回路241は、第二受光素子22の出力インピーダンスと、第二増幅素子25の入力インピーダンスとを整合する。第二受光素子22の出力インピーダンスと、第二増幅素子25の入力インピーダンスとが複素共役の関係になるようにする。これにより、第二受光素子22が出力する第一電流信号の有能電力を高めることができる。
【0041】
第二増幅素子25は、第二入力整合回路241が出力した第二電流信号を増幅する。増幅された第二電流信号は、第二出力整合回路242に出力される。第二増幅素子バイアス回路26は、第二増幅素子25が第二電流信号を増幅するために必要な直流バイアスを第二増幅素子25に供給する。
【0042】
第二出力整合回路242は、第二増幅素子25の出力インピーダンスと、光受信機に接続される負荷の入力ピーダンスとを整合する。すなわち、第二増幅素子25の出力インピーダンスと、光受信機に接続される負荷の入力ピーダンスとが複素共役の関係になるようにする。これにより、第二増幅素子25が出力する第二電流信号の有能電力を高めることができる。第二出力整合回路242が出力した第二電流信号は、180度ハイブリッド回路4の第二入力ポート42に入力される。
【0043】
このように、第一入力整合回路141及び第一出力整合回路142から構成される第一整合回路14、第二入力整合回路241及び第二出力整合回路242から構成される第二整合回路24を用いてインピーダンス整合を行うことにより、光受信機から出力される信号の電力を増加させることができる。
【0044】
[第三実施形態]
第三実施形態の光受信機は、180度ハイブリッド回路4のいわゆる同相ポートである第二出力ポート44から出力される信号の電力を小さくするために、図3に例示するように、第一増幅素子15及び第二増幅素子25の増幅率を制御する制御回路5を第二実施形態の光受信機に加えたものである。
【0045】
以下、第二実施形態と異なる部分を中心に説明する。第二実施形態と同様の部分については重複説明を省略する。
【0046】
制御回路5は、図4に例示するように、第一検波回路51、第一平均化回路52、バイアス制御回路53、第一増幅素子入力バイアス回路54、第二増幅素子入力バイアス回路55を例えば含む。
【0047】
第一検波回路51は、180度ハイブリッド回路4のいわゆる同相ポートである第二出力ポート44に接続されている。第一実施形態で説明したように、第二出力ポート44から出力される信号のレベルは理想的には0になる。しかし、実際には、光受信機に入力される光信号を生成するレーザダイオードの注入電流対強度特性等に基づくノイズにより、第二出力ポート44から出力される信号のレベルが0にならない場合がある。
【0048】
第一検波回路51には、この第二出力ポート44から出力された、ノイズを含み得る信号が入力される。第一検波回路51は、入力された信号を検波する。検波された信号は、第一平均化回路52に出力される。
【0049】
第一平均化回路52は、検波された信号を平均化する。平均化された信号は、バイアス制御回路53に出力される。
【0050】
バイアス制御回路53は、平均化された信号に基づいて、第二出力ポート44から出力される信号の電力が小さくなるように、第一増幅素子入力バイアス回路54及び第二増幅素子入力バイアス回路55を制御する。
【0051】
バイアス制御回路53は、第一増幅素子15及び第二増幅素子25の少なくとも一方の増幅率を段階的に変化させるように、第一増幅素子入力バイアス回路54及び第二増幅素子入力バイアス回路55の制御を行う。
【0052】
例えば、まず、第一増幅素子15の増幅率を上げるように第一増幅素子入力バイアス回路54を制御する。この結果、第一平均化回路52からの出力が小さくなった場合には、さらに第一増幅素子15の増幅率を上げるように第一増幅素子入力バイアス回路54を制御する。第一増幅素子15の増幅率は、180度ハイブリッド回路のいわゆる逆相ポートである第一出力ポート43からの信号の出力波形が歪まない範囲で行う。
【0053】
第一増幅素子15の増幅率を上げた結果、第一平均化回路52からの出力が大きくなった場合には、第一増幅素子15の増幅率を下げるように第一増幅素子入力バイアス回路54を制御するか、第二増幅素子25の増幅率を上げるか下げるように第二増幅素子入力バイアス回路55を制御する。
【0054】
このように、制御回路5は、第一増幅素子15及び第二増幅素子25の増幅率を適宜段階的に変更して、第二出力ポート44から出力される信号の電力を小さくなるようにする。これにより、第一出力ポート43から出力される信号の電力を大きくすることができる。
【0055】
このように、制御回路5を設けることにより、第一出力ポート43から出力される信号の電力をさらに大きくすることができる。
【0056】
[第四実施形態]
第四実施形態の光受信機は、180度ハイブリッド回路4のいわゆる逆相ポートである第一出力ポート43から出力される信号の電力をより大きくするために、図5に例示するように、第一出力ポート43から出力される信号を監視する第二検波回路56及び第二平均化回路57を第三実施形態の制御回路5に加えたものである。
【0057】
以下、第三実施形態と異なる部分を中心に説明する。第三実施形態と同様の部分については重複説明を省略する。
【0058】
第二検波回路56は、180度ハイブリッド回路4のいわゆる逆相ポートである第一出力ポート43に接続されている。第一実施形態で説明したように、第一出力ポート43から出力される信号が、この光受信機により生成しようとした信号である。第二検波回路56は、第一出力ポート43から出力された信号を検波する。検波された信号は、第二平均化回路57に出力される。
【0059】
第二平均化回路57は、検波された信号を平均化する。平均化された信号は、バイアス制御回路53に出力される。
【0060】
バイアス制御回路53は、第三実施形態と同様にして、第一出力ポート43から出力される信号の電力が大きく、かつ、第二出力ポート44から出力される信号の電力が小さくなるように、第一増幅素子入力バイアス回路54及び第二増幅素子入力バイアス回路55を制御して、第一増幅素子15及び第二増幅素子25の増幅率を適宜変更する。
【0061】
[変形例]
光フィルタ3は、ハイパスフィルタではななく、光信号の周波数が高いほど高い強度を有する光信号を出力するローパスフィルタで構成されていてもよい。
【0062】
第一整合回路14、第一入力整合回路141、第一出力整合回路142、第二整合回路24、第二入力整合回路241、第二出力整合回路242は、図9に例示するマイクロストリップ線路により実現することができる。図9のマイクロストリップ線路は、主線路であるマイクロストリップ線路L1に、先端開放のスタブL2を並列に挿入することにより構成したものである。もちろん、コプレーナ導波路等他の線路構造を用いてこれらの整合回路を構成してもよい。
【0063】
第一増幅素子15及び第二増幅素子25として、電解効果トランジスタ(Field Effect Transistor)を用いてもよい。
【0064】
移動通信用の基地局において通信装置とアンテナとを光ファイバで接続し、通信装置とアンテナとのデータ通信をメタリックの線路ではなくこの光受信機を用いて光ファイバを介して行うことにより、基地局の設備を簡素化することができる。また、メタリックの線路を用いた場合と比較して低損失でデータ通信を行うことができる。
【0065】
この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、その他、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0066】
12 第一受光素子
14 第一整合回路
141 第一入力整合回路
142 第一出力整合回路
15 第一増幅素子
22 第二受光素子
24 第二整合回路
241 第二入力整合回路
242 第二出力整合回路
25 第二増幅素子
3 光フィルタ
4 180度ハイブリッド回路
5 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された光信号の周波数成分に基づいて強度変調された互いに位相が180度異なる第一光信号及び第二光信号を生成する変換する光フィルタと、
上記第一光信号を第一電流信号に変換する第一受光素子と、
上記第二光信号を第二電流信号に変換する第二受光素子と、
上記第一電流信号の電力が大きくなるように、インピーダンス整合を行う第一整合回路と、
上記第二電流信号の電力が大きくなるように、インピーダンス整合を行う第二整合回路と、
第一出力ポート及び第二出力ポートにそれぞれ分配される2つの電流信号の位相が180度ずれるように上記第一電流信号を分配すると共に、上記第一出力ポート及び第二出力ポートにそれぞれ分配される2つの電流信号の位相が同じになるように上記第二電流信号を分配する180度ハイブリッド回路と、
を含む光受信機。
【請求項2】
請求項1に記載の光受信機において、
上記第一電流信号を増幅する第一増幅素子と、
上記第二電流信号を増幅する第二増幅素子と、
を更に含む光受信機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光受信機において、
上記第一出力ポート及び上記第二出力ポートの一方から出力される電流信号が小さくなるように、上記第一増幅素子及び上記第二増幅素子の増幅率を制御する制御回路、
を更に含む光受信機。
【請求項4】
請求項3に記載の光受信機において、
上記制御回路は、上記第一出力ポート及び上記第二出力ポートの他方から出力される電流信号が大きくなるように、上記第一増幅素子及び上記第二増幅素子の増幅率を更に制御する、
光受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−65277(P2012−65277A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209915(P2010−209915)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【出願人】(304028726)国立大学法人 大分大学 (181)
【Fターム(参考)】