説明

光増幅器

【課題】入力波長多重信号光の波長数が変化しても良好な雑音指数が得られる高励起効率で低コストの光増幅器で提供する。
【解決手段】光増幅器10は、第1および第2増幅媒体11,13に対して共通の励起光源21を設け、励起光源21から出力される励起光Lpを合波器22を介して第1増幅媒体11の一端に与えた後、該第1増幅媒体11の他端から出力される励起光を、分波器23、迂回光路24上の可変光減衰器26および合波器25を介して第2増幅媒体13に供給する。このときに、制御部40により、可変光減衰器の減衰量が入力WDM信号光Lsの波長数に応じて設定された上で、光検出器32で検出される出力パワーを基に可変光減衰器26の減衰量または励起光源21の出力パワーがフィードバック制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送装置に用いられる光増幅器に関し、特に、波長多重(Wavelength Division Multiplexing:WDM)方式の信号光を増幅可能な光増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
マルチメディアネットワークの進展に伴い、通信トラフィックの需要は飛躍的に増大している。このような状況の下、波長の異なる複数の信号光を合波したWDM信号光を、希土類添加光ファイバを増幅媒体とする光増幅器を用いて中継伝送する光伝送装置が、マルチメディア社会における通信システムの経済化を図る上で大きな役割を果たしている。
【0003】
WDM信号光を一括増幅する光増幅器としては、例えば図1に示すように、入力ポートINおよび出力ポートOUTの間の信号経路上に、第1のエルビウム添加ファイバ(Erbium Doped Fiber:EDF)111、損失媒体112(例えば、利得等化器や波長分散補償器など)および第2のEDF113を直列に配置した構成が知られている。このように2段構成のEDF111,113の段間に損失媒体112を配置した光増幅器は、1段構成のEDFの前段に損失媒体を配置した場合に発生する雑音指数(Noise Figure:NF)の劣化という問題と、1段構成のEDFの後段に損失媒体を配置した場合に発生する所要励起光パワーの増大という問題とを同時に解決することができる。このため、光増幅器に要求される諸性能の実現に有効な構成となり得る。
【0004】
また、上記図1の構成例では、励起光源121から合波器122を介して前段のEDF111の一端に与えられた後、該EDF111で吸収されきらずにEDF111の他端から漏れ出てくる励起光Lpが、損失媒体112で減衰されることなく、後段のEDF113に与えられるようにするための経路が形成されている。具体的には、前段のEDF111および損失媒体112の間に設けた分波器123により、EDF111から漏れ出る励起光Lpが迂回経路124側に取り出される。そして、該迂回経路124を通った励起光Lpが、損失媒体112および後段のEDF113の間に設けた合波器125を介して後段のEDF113に与えられる。このような段間の損失媒体112を迂回するための励起光の経路を形成することにより、2段構成のEDF111,113を共通の励起光源121を用いて励起できるため、光増幅器の低コスト化を図ることが可能になる。上記のような励起光の迂回経路を備えた光増幅器は、例えば、特許文献1の図5等に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−77757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記図1に示したような従来の光増幅器の構成については、入力されるWDM信号光の波長数が減少した場合に、光増幅器のNFが劣化してしまうという問題点がある。すなわち、従来の光増幅器では、通常、入力ポートINに入力されるWDM信号光の波長数が変化しても、出力ポートOUTから出力されるWDM信号光の1波長当たりの信号光パワーが予め設定した目標値で一定となるように、励起光源121から出力される励起光のパワーが制御部140により最適化される。このため、入力されるWDM信号光の波長数が減少した場合には、励起光パワーを減少させる制御が行われる。
【0007】
上記励起光パワーの減少によって、前段のEDF111の光入力端付近における反転分布率が低下するようになる。この反転分布率の低下により、前段のEDF111におけるNFの劣化が発生する。前段のEDF111におけるNF劣化は、光増幅器全体の雑音特性に大きな影響を及ぼすことになる。したがって、波長数の変化に関係なく1波長当たりの出力信号光パワーを目標値で一定に維持しつつ、少数波長時における光増幅器全体のNF劣化を如何にして抑えるかが課題となる。
【0008】
本発明は上記の点に着目してなされたもので、入力されるWDM信号光の波長数が変化しても良好な雑音指数が得られる高励起効率で低コストの光増幅器で提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため本発明は、波長の異なる複数の信号光が合波された波長多重信号光を増幅可能な光増幅器を提供する。この光増幅器の一態様は、波長多重信号光が入力される入力ポートと、増幅後の波長多重信号光が出力される出力ポートと、前記入力ポートおよび前記出力ポートの間の信号経路上に直列に配置された第1増幅媒体および第2増幅媒体と、前記第1および第2増幅媒体の間に接続された損失媒体と、励起光を発生する励起光源と、前記入力ポートおよび前記第1増幅媒体の間に配置され、前記励起光源から出力される励起光を前記入力ポートからの波長多重信号光と合波し、該合波光を前記第1増幅媒体の一端に与える第1合波器と、前記第1増幅媒体および前記損失媒体の間に配置され、前記第1増幅媒体の他端から出力される光を波長多重信号光および励起光に分波し、該分波した波長多重信号光を前記損失媒体に与えると共に、前記損失媒体を迂回するための迂回経路の一端に前記分波した励起光を与える分波器と、前記迂回経路の他端から出力される励起光を前記第2増幅媒体に供給する第2合波器と、前記迂回経路上に配置された可変光減衰器と、前記第2増幅媒体から前記出力ポートに送られる波長多重信号光の一部を分岐する第1分岐器と、前記第1分岐器からの分岐光のパワーを検出する第1光検出器と、前記入力ポートに入力される波長多重信号光の波長数に応じて前記可変光減衰器の減衰量を設定した上で、前記第1光検出器の検出結果に基づいて、前記出力ポートから出力される波長多重信号光の1波長当たりの信号光パワーが予め設定した目標値で一定となるように、前記可変光減衰器の減衰量または前記励起光源の出力パワーを制御する制御部と、を備える。
【0010】
上記光増幅器では、第1および第2増幅媒体に対して共通の励起光源が設けられ、該励起光源から出力される励起光が第1合波器を介して第1増幅媒体の一端に与えられた後、該第1増幅媒体の他端から出力される励起光が、分波器、迂回光路上の可変光減衰器および第2合波器を介して第2増幅媒体に供給される。このときに、可変光減衰器の減衰量が、制御部により入力波長多重信号光の波長数に応じて設定される。また、第1分岐器および第1光検出器により出力波長多重信号光のパワーが検出され、該検出結果に基づいて制御部により1波長当たりの出力信号光パワーが目標値で一定となるように、可変光減衰器の減衰量または励起光源の出力パワーが制御される。
【発明の効果】
【0011】
上記のような光増幅器によれば、入力波長多重信号光の波長数が減少しても、第1増幅媒体に大きなパワーの励起光が供給されるので、該第1増幅媒体の光入力端付近における反転分布率が十分に高い状態となり、少数波長時のNF劣化が抑えられる。また、少数波長時の第2増幅媒体への波長多重信号光の入力レベルが高くなるので、第2増幅媒体のNFも改善される。よって、入力波長多重信号光の波長数の変化に関係なく光増幅器全体のNFを良好な値に保ちながら、高い励起効率で波長信号光を増幅できる光増幅器を低コストで実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来の光増幅器の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明による光増幅器の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図3】図2の光増幅器におけるWDM信号光のトータルパワーの変化の一例を示すレベルダイヤである。
【図4】本発明による光増幅器の他の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図5】図4の光増幅器におけるVOAの減衰量、励起光源の出力パワーおよび第1増幅媒体の光入力端付近の反転分布率の一例を示す図である。
【図6】図4の光増幅器における第1増幅媒体のNFおよび光増幅器全体のNFの一例を示す図である。
【図7】図4の光増幅器に関連した他の構成例を示すブロック図である。
【図8】図4の光増幅器に関連した別の構成例を示すブロック図である。
【図9】図1の光増幅器に関連した他の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図2は、本発明による光増幅器の一実施形態の構成を示すブロック図である。
図2において、本実施形態の光増幅器10は、例えば、WDM信号光Lsが入力される入力ポートINと、増幅後のWDM信号光Lsが出力される出力ポートOUTと、入力ポートINおよび出力ポートOUTの間の信号経路上に直列に配置された第1増幅媒体11、損失媒体12および第2増幅媒体13と、を備える。また、この光増幅器10は、第1増幅媒体11に対して励起光Lpを供給するための励起光源21および合波器22と、第1増幅媒体11で吸収されなかった励起光Lpを損失媒体12を迂回して第2増幅媒体13に供給するための分波器23、迂回経路24、合波器25および可変光減衰器(Variable Optical Attenuator:VOA)と、を備える。さらに、上記光増幅器10は、出力ポートOUTから出力されるWDM信号光Lsのパワーを検出するための分岐器31および光検出器(PD)32と、WDM信号光Lsの波長数情報および光検出器32の検出結果に基づいて少なくともVOA26の減衰量を制御する制御部40と、を備える。
【0014】
第1および第2増幅媒体11,13は、例えば、光ファイバ(または光導波路)に希土類イオンを添加した希土類添加光ファイバ(または希土類添加光導波路)を用いて構成される。第1増幅媒体11の長さは、第2増幅媒体13の長さよりも短くなるように設定するのが好ましい。つまり、第1増幅媒体11の長さは、その一端より供給される励起光Lpが吸収されきらずに他端から漏れ出るような長さまで短く設定し、第2増幅媒体13の長さは、供給される励起光Lpの殆どが吸収されるような長さまで長く設定するのがよい。
【0015】
損失媒体12は、入力される光に対して損失を与え得る任意の光デバイスである。第1および第2増幅媒体11,13の段間によく配置される損失媒体12としては、例えば、各増幅媒体11,13における利得の波長依存性を補償するための利得等化器(Gain Equalizer)や、WDM信号光Lsに生じた波長分散を補償するための分散補償器(Dispersion Compensator)などがある。ただし、本発明における損失媒体12が上記の具体例に限定されることを意味するものではない。
【0016】
励起光源21は、第1および第2増幅媒体11,13内の希土類イオンを励起可能な所要の波長を有する励起光Lpを発生する一般的な励起光源である。この励起光源21は、励起光Lpの出力パワーが予め定めた値で一定となるように駆動されるか、または、制御部40からの出力信号に従って駆動状態がフィードバック制御される。なお、励起光源21の駆動状態の詳細については後述する。合波器22は、入力ポートINおよび第1増幅媒体11の間に配置され、励起光源21から出力される励起光Lpを、入力ポートINに入力されるWDM信号光Lsと合波して第1増幅媒体11の一端(光入力端)に与える。
【0017】
分波器23は、第1増幅媒体11および損失媒体12の間に配置され、第1増幅媒体11の他端(光出力端)から出力される光を波長に応じてWDM信号光Lsと励起光Lpとに分離し、WDM信号光Lsを損失媒体12に与え、励起光Lpを迂回経路24に与える。合波器25は、損失媒体12および第2増幅媒体13の間に配置され、迂回経路24を伝搬した励起光Lpを、損失媒体12を通過したWDM信号光Lsと合波して、第2増幅媒体13の一端(光入力端)に与える。可変光減衰器(VOA)26は、分波器23および合波器25の間を接続する迂回経路24上に挿入され、迂回経路24を伝搬する励起光Lpを可変の減衰量に従って減衰させる。VOA26の減衰量は、後で詳しく説明するように制御部40からの出力信号に従って設定、制御される。
【0018】
分岐器31は、第2増幅媒体13および出力ポートOUTの間に配置され、第2増幅媒体13の他端(光出力端)から出力ポートOUTに送られる光の一部を分岐して光検出器32に出力する。光検出器32は、分岐器31で分岐された光のパワーを検出し、該検出結果を制御部40に伝える。
【0019】
制御部40は、外部等より与えられる波長数情報を用いて、入力ポートINに与えられるWDM信号光Lsの波長数に対応したVOA26の減衰量を設定する。また、制御部40は、分岐器31の分岐比および光検出器32で検出される光パワーに基づいて、出力ポートOUTから出力されるWDM信号光Lsの1波長当たりの信号光パワーを求め、該信号光パワーが予め設定された目標値で一定になるように、VOA26の減衰量または励起光源21の駆動状態をフィードバック制御する。
【0020】
上記のような構成の光増幅器10では、入力ポートINに与えられたWDM信号光Lsが合波器22を通って第1増幅媒体11に入力される。第1増幅媒体11には、励起光源21から出力される励起光Lpが合波器22を介して入力ポートIN側の一端から供給されており、該励起光Lpにより第1増幅媒体11内の希土類イオンが励起される。また、第1増幅媒体11の励起には寄与しなかった余剰の励起光Lp、つまり、第1増幅媒体11で吸収されきらずに損失媒体12側の他端から漏れ出る励起光Lpは、分波器23により迂回経路24側に送られ、迂回経路24上のVOA26および合波器25を介して第2増幅媒体13に供給される。この損失媒体12を迂回した励起光Lpにより第2増幅媒体13内の希土類イオンが励起される。
【0021】
第1増幅媒体11の一端に入力されたWDM信号光Lsは、励起された希土類イオンの誘導放出作用により増幅されて第1増幅媒体11の他端から出力される。第1増幅媒体11で増幅されたWDM信号光Lsは、分波器23を通って損失媒体12に入力され、利得等化や分散補償などの処理が行われると同時に損失を受けて損失媒体12から出力される。損失媒体12を通過したWDM信号光Lsは、合波器25を通って第2増幅媒体13の一端に入力され、励起された希土類イオンの誘導放出作用により増幅されて第2増幅媒体13の他端から出力される。
【0022】
第2増幅媒体13で増幅されたWDM信号光Lsは、その一部が分岐器31により分岐されて光検出器32に送られ、残りのWDM信号光Lsが出力ポートOUTから外部に出力される。光検出器32では、分岐器31で分岐された光のパワーが検出され、該検出結果が制御部40に伝えられる。制御部40では、入力WDM信号光の波長数に対応したVOA26の減衰量の設定と、光検出器32の検出結果に基づいたVOA26または励起光源21のフィードバック制御とが行われる。
【0023】
ここで、制御部40の動作について詳しく説明する。
上記のように入力ポートINに入力されるWDM信号光Lsを第1および第2増幅媒体11,13で増幅して出力ポートOUTから出力する光増幅器10では、入力WDM信号光の波長数が変化すると、出力WDM信号光の1波長当たりの信号光パワーを目標値にするために必要となる第1および第2増幅媒体11,13への励起光Lpの供給パワーが変化する。すなわち、入力WDM信号光の波長数が、想定される範囲(例えば、1波から40波まで)で最大となる時、第1および第2増幅媒体11,13に対して最も大きな励起光パワーを供給することが必要になり、波長数の減少とともに所要励起光パワーは小さくなる。第1および第2増幅媒体11,13に供給される励起光パワーは、第1増幅媒体11については励起光源21の出力パワーに応じて変化し、第2増幅媒体13については励起光源21の出力パワーおよびVOA26の減衰量に応じて変化する。
【0024】
上記のような光増幅器10の特性を踏まえて、制御部40は、VOA26の減衰量を、入力WDM信号光が最大波長数時に最小値(例えば、0)に設定し、波長数の減少に合わせて減衰量の設定値を増加させる。このとき、励起光源21の出力パワーは、入力WDM信号光の波長数が減少しても、最大波長数時に必要な励起光パワーを基本的に維持するように設定される。つまり、波長数の減少時にVOA26の減衰量を増加させることにより、第1増幅媒体11に供給される励起光パワーは最大波長数時と同様の状態を保ちつつ、第2増幅媒体13に供給される励起光パワーが小さくなるようにしている。これにより、入力WDM信号光の波長数の変化に関係なく、第1増幅媒体11に対して大きなパワーの励起光Lpが供給されるので、該第1増幅媒体11の光入力端付近における反転分布率は十分に高い状態となる。したがって、上述したような従来の光増幅器における少数波長時のNF劣化が抑えられるようになる。
【0025】
VOA26の減衰量の設定は、光増幅器10の運用開始前に、VOA26の減衰量を最小値に設定した状態で、入力WDM信号光の波長数と、出力WDM信号光の1波長当たりの信号光パワーを目標値とするために必要な励起光源21の出力パワー(所要励起光パワー)との関係を実測またはシミュレーションにより求めておき、該関係を示す情報を制御部40の図示を省略したメモリに記憶させておく。そして、光増幅器10の運用開始後に、メモリの記憶情報より、制御部40に与えられる波長数情報が示す波長数に対応した所要励起パワーを読み出し、最大波長数時の所要励起パワーに対する差分値を求め、VOA26の減衰量の最小値に上記差分値を加算した値を、運用時におけるVOA26の減衰量として設定する。具体的な一例を挙げておくと、最大波長数(40波)時にVOA26の減衰量を0dBに設定したときの所要励起光パワーが24.1dBmであり、少数波長(1波)時の所要励起光パワーが14.0dBmまで減少する場合には、24.1dBm−14.0dBm=10.1dBだけVOA26を閉じる、つまり、1波時のVOA26の減衰量として10.1dBを設定すればよい。
【0026】
図3は、入力WDM信号光の波長数が40波から1波に減少した場合に、WDM信号光Lsのトータルパワーが光増幅器10内でどのように変化するかの一例を示したレベルダイヤである。波長数が40波から1波に減少することによって、第2増幅媒体13から出力されるWDM信号光Lsは、1波長当たりの信号光パワーが一定に保たれていても、そのトータルパワーはPout(40)からPout(1)まで減少する。従来の光増幅器100の構成(図1)では、波長数の減少に応じて励起光源121の出力パワーを減少させることにより、出力WDM信号光のトータルパワーPout(1)を実現しているので、1波時のレベルダイヤは、図3中の破線で示すように40波時のレベルダイヤを下方にシフトさせたものとなっている。
【0027】
一方、本実施形態の光増幅器10の構成(図2)では、迂回経路24上に設けたVOA26の減衰量を波長数の減少に応じて増加させ、励起光源21の出力パワーについては最大波長数時と同様の状態を維持することにより、出力WDM信号光のトータルパワーPout(1)を実現しているので、1波時のレベルダイヤは、図3中の実線で示すように、第1増幅媒体11における利得が40波時よりも高められている。また、損失媒体12においてWDM信号光Lsが受ける損失は波長数が減少しても一定であるので、第1増幅媒体11での利得の上昇分に応じて、第2増幅媒体13に入力されるWDM信号光Lsのトータルパワーが大きくなっている。第2増幅媒体13へのWDM信号光の入力レベルが高くなることで、第2増幅媒体13のNFが光増幅器全体のNFへ与える影響も改善される。このため、第1増幅媒体11に供給される励起光パワーの増大による光入力端付近での反転分布率の上昇と、第2増幅媒体13へのWDM信号光の入力レベル上昇との相乗効果により、少数波長時における光増幅器10全体のNFは、従来の光増幅器100の場合と比べて大幅に改善するようになる。
【0028】
なお、前述したVOA26の減衰量の設定方法では、WDM信号光の波長数と所要励起光パワーとの関係が、VOA26の減衰量を最小値に設定した状態で実測またはシミュレーションにより取得されるので、該関係における所要励起光パワーは、波長数の減少と共にVOA26の減衰量を増加させることで第1増幅媒体11の利得が上昇する影響を反映させた値にはなっていない。このため、上記関係を用いて計算した少数波長時の減衰量をVOA26に設定して実現される、出力WDM信号光の1波長当たりの信号光パワーは、目標値からずれてしまう可能性がある。当該誤差を補償するために、制御部40は、光検出器32の検出結果を用いて、実際に得られる出力WDM信号光の1波長当たりの信号光パワーを求め、該信号光パワーが目標値で一定になるように、VOA26の減衰量または励起光源21の駆動状態のフィードバック制御を行っている。
【0029】
具体的に、制御部40がVOA26の減衰量をフィードバック制御するようにした場合、励起光源21の駆動状態は、入力WDM信号光の波長数の変化に関係なく、最大波長数時の所要励起光パワーで一定とされる。そして、上記関係に従い波長数に対応させて設定したVOA26の減衰量が、光検出器32の検出結果に基づいて出力WDM信号光の1波長当たりの信号光パワーが目標値に一致するように最適化される。また、制御部40が励起光源21の駆動状態をフィードバック制御するようにした場合には、VOA26の減衰量が上記関係に従い波長数に対応した値に設定される。そして、励起光源21の駆動状態が、光検出器32の検出結果に基づいて出力WDM信号光の1波長当たりの信号光パワーが目標値に一致するように最適化される。
【0030】
なお、上記フィードバック制御におけるVOA26および励起光源21の応答速度を比較すると、励起光源21の応答速度の方が高速である。このため、出力WDM信号光の1波長当たりの信号光パワーの精度を重視する場合には、光検出器32の検出結果に基づいて励起光源21のフィードバック制御を行うようにするのが好ましい。このような励起光源21のフィードバック制御は、従来の光増幅器で行われているAGCやALCと同様な制御になるので、その実現は容易である。一方、光検出器32の検出結果に基づいてVOA26のフィードバック制御を行うようにすれば、励起光源21を一定の状態で駆動すればよいので、光増幅器10の構成を簡略化することが可能である。
【0031】
上述したように本実施形態の光増幅器10によれば、第1増幅媒体11から漏れ出る励起光Lpを、段間に配置された損失媒体12を迂回して第2増幅媒体13に供給する場合に、励起光Lpが伝搬する迂回経路24上にVOA26を配置し、該VOA26の減衰量を入力WDM信号光の波長数に応じて設定すると共に、出力WDM信号光の1波長当たりの信号光パワーをモニタしてVOA26の減衰量または励起光源21の駆動状態をフィードバック制御するようにしたことで、入力WDM信号光の波長数の変化に関係なく光増幅器全体のNFを良好な値に保ちながら、高い励起効率でWDM信号光の増幅を行うことが可能になる。
【0032】
次に、本発明による光増幅器の他の実施形態について説明する。
図4は、上記光増幅器の他の実施形態の構成を示すブロック図である。なお、上述した図2と同一の符号は、同一または相当部分を示すものとし、以降、他の図面についても同様とする。
【0033】
図4において、本実施形態の光増幅器10’は、上述した図2の構成について、制御部40として減衰量設定回路41および励起光源制御回路42を設けると共に、入力ポートINに入力されるWDM信号光Lsのパワーを検出するための分岐器33および光検出器(PD)34を設けている。
【0034】
減衰量設定回路41は、本光増幅器10’を搭載する図示しない光伝送装置が他の光伝送路装置との間で送受信する監視制御信号等を利用して、光増幅器10’の入力ポートINに与えられるWDM信号光Lsの波長数情報を取得する。そして、減衰量設定回路41は、前述したように最大波長数時の所要励起光パワーと、波長数情報が示す波長数に対応した所要励起光パワーとの差分値を求め、VOA26の減衰量の最小値に差分値を加算し、該算出値をVOA26の減衰量として設定する。
【0035】
分岐器33は、入力ポートINおよび第1増幅媒体11の間に配置され、入力ポートINから第1増幅媒体11に送られる光の一部を分岐して光検出器34に出力する。光検出器34は、分岐器33で分岐された光のパワーを検出し、該検出結果を励起光源制御回路42に伝える。
【0036】
励起光源制御回路42は、入力側の光検出器34および出力側の光検出器32でそれぞれ検出される光パワーに基づいて光増幅器10’全体の利得を演算し、該利得が予め設定した目標利得で一定となるように、励起光源21の駆動状態をフィードバック制御する。この励起光源制御回路42による励起光源21のフィードバック制御により、入力WDM信号光の波長数が変化しても、出力ポートOUTから出力されるWDM信号光Lsの1波長当たりの信号光パワーが所要の目標値で一定になる。
【0037】
上記のような構成の光増幅器10’では、減衰量設定回路41で波長数情報に応じて算出される減衰量がVOA26に設定され、該減衰量の設定は波長数情報が示す波長数に変化が生じる都度更新される。この減衰量設定回路41によるVOA26の減衰量の制御は、励起光源制御回路42による励起光源21のフィードバック制御とは基本的に独立して行うことが可能である。
【0038】
図5の上段は、減衰量設定回路41により設定される波長数に対応したVOA26の減衰量の一例を示したグラフである。この例では、VOA26の減衰量が、最大波長数である40波時に0dBに設定され、波長数の減少に伴い徐々に増大していき、1波時には10.1dBに設定されている。なお、ここではWDM信号光Lsについて、C−バンドの波長帯域に100GHzの波長間隔で1波から40波までの信号光が配置され、1波長当たりの入力信号光パワーが−20.4dBm/ch、出力信号光パワーが2.5dBm/chに設定される場合を想定している。また、第1増幅媒体11として長さ5.5mのエルビウム添加ファイバ(Erbium Doped Fiber:EDF)、第2増幅媒体13として長さ15.5mのEDFをそれぞれ使用し、励起光源21の波長は0.98μmとしている。
【0039】
上記のように波長数情報に応じてVOA26の減衰量が設定されることで、上述した図2の光増幅器10の場合と同様に、励起光源21から出力される励起光Lpが第1および第2増幅媒体11,13に供給され、WDM信号光Lsが第1および第2増幅媒体11,13を伝搬することで増幅される。このとき、入力側の光検出器34でWDM信号光Lsの入力パワーが検出されると共に、出力側の光検出器32でWDM信号光Lsの出力パワーが検出され、各々の検出結果が励起光源制御回路42に伝えられる。励起光源制御回路42では、各光検出器32,34での検出結果を基に光増幅器10’全体の利得が演算され、該利得が目標利得で一定となるように励起光源21のフィードバック制御が行われる。つまり、励起光源制御回路42によって光増幅器10’の自動利得制御(Automatic Gain Control:AGC)が行われる。この励起光源制御回路42によるAGCにより、入力WDM信号光の波長数が変化しても、出力ポートOUTから出力されるWDM信号光の1波長当たりの信号光パワーが目標値で一定となる。
【0040】
図5の中段は、入力WDM信号光の波長数に対する励起光源21の出力パワーの関係の一例を示したグラフである。図中の丸印で示す従来の場合、励起光源の出力パワーは、40波時に24.1dBmに設定され、波長数の減少と共に小さくなり、1波時には14.0dBmとなる。一方、図中の四角印で示す本実施形態の場合、従来の場合と同様にして40波時に24.1dBmに設定される励起光源21の出力パワーは、波長数が減少しても僅かに減少するだけで、1波時に22.5dBmとなっている。少数波長時における励起光源21の出力パワーの僅かな減少は、励起光源制御回路42によるAGCに起因するものであり、前述した第1増幅媒体11の利得上昇による出力信号光パワーの誤差がAGCによって補償されることで、励起光源21の出力パワーが減少した結果である。
【0041】
上記のように本実施形態の光増幅器10’では少数波長時にも励起光源21から十分なパワーの励起光Lpが出力され、該励起光Lpが合波器22を介して第1増幅媒体11へ供給される。これにより、第1増幅媒体11の光入力端付近の反転分布率は、図5下段の四角印に示すように、少数波長時においても最大波長数時と同程度となる。一方、従来の場合は、図5下段の菱形印に示すように少数波長時における反転分布率の低下が顕著となる。具体的に1波時の反転分布率を比較すると、従来の場合に0.907であった反転分布率が本実施形態では0.984まで改善している。
【0042】
これにより、本実施形態の光増幅器10’では、図6の上段に示すように、従来の光増幅器のような少数波長時における第1増幅媒体のNF劣化が効果的に抑えられる。具体的に1波時の第1増幅媒体のNFを比較すると、従来の3.43dBが本実施形態では3.07dBとなっており、40波時の3.09dBにほぼ等しい値まで改善している。また、上述の図3に示したように第1増幅媒体11での利得が上昇することで第2増幅媒体13に入力されるWDM信号光のレベルが高くなるため、第2増幅媒体13のNFも改善する。したがって、光増幅器10全体のNFは、図6の下段に示すように、波長数が減少しても劣化することはなく、最大波長数時と同等以上の値まで改善される。具体的に、1波時の値は4.11dBであり、40波時の4.37dBと比べるとむしろ少数波長時の値の方が良くなっている。これは少数波長時における第1および第2増幅媒体11,13のNF改善の相乗効果が大きいことを示している。
【0043】
なお、上記の光増幅器10’では、入力WDM信号光の波長数情報が監視制御信号等を利用して減衰量設定回路41に与えられる場合について説明したが、例えば図7に示すように、光検出器34で検出される入力パワーを基に波長数検出回路43で波長数を検出し、該波長数を減衰量設定回路41に与えるようにすることも可能である。この場合、波長数検出回路43は、分岐器33の分岐比および光検出器34の検出パワーを基に入力WDM信号光のトータルパワーを求め、該トータルパワーを1波長当たりの信号光パワーの目標値で除算することにより、入力WDM信号光の波長数を検出する。このような構成によれば、光増幅器10’が単独で波長数情報を取得できるようになる。
【0044】
また、上記の光増幅器10’では、励起光源制御回路42により励起光源21の駆動状態をフィードバック制御することで光増幅器10’のAGCを行うようにしたが、励起光源21のフィードバック制御に代えて、VOA26の減衰量の設定をフィードバック制御することにより、光増幅器10’のAGCを行うことも可能である。この場合の構成例を図8に示す。
【0045】
図8において、励起光源21から出力される励起光Lpのパワーは、入力WDM信号光の波長数の変化に関係なく、最大波長数時の所要励起光パワーで一定となるように設定される。減衰量制御回路43は、入力側の光検出器34および出力側の光検出器32でそれぞれ検出される光パワーに基づいて光増幅器10’全体の利得を演算し、該利得が予め設定した目標利得で一定となるように、VOA26の減衰量をフィードバック制御する。このような構成では、入力WDM信号光の波長数に変化が生じても、第1増幅媒体11には一定パワーの励起光Lpが供給されるので少数波長時にNFが劣化するようなことはない。また、減衰量制御回路43により波長数に応じてVOA26の減衰量が最適化されることにより、入力WDM信号光の波長数が変化しても、出力WDM信号光の1波長当たりの信号光パワーが目標値で一定となる。
【0046】
したがって、図8の構成を適用することにより、上記図4の場合と同様の効果が得られると共に、光増幅器10’の構成の簡略化を図ること可能になる。ただし、減衰量制御回路43によりフィードバック制御されるVOA26の応答速度は、励起光源制御回路42によりフィードバック制御される励起光源21の応答速度よりも遅くなるため、波長数の変化時に出力信号光パワーが目標値に収束するまでの時間は若干長くなる。この点を考慮すると、信号光パワーの精度を重視する場合には、図4または図7の構成の方が適している。
【0047】
さらに、上述した各実施形態の光増幅器10,10’では、損失媒体12を迂回した励起光Lpが第2増幅媒体13の前方(損失媒体12側に位置する一端)より与えられる構成例について説明したが、例えば図9に示すように、合波器25を第2増幅媒体13および分波器31の間に配置し、第2増幅媒体13の後方(出力ポートOUT側に位置する他端)より励起光が与えられるようにしても同様の作用効果を得ることができる。
【0048】
以上の各実施形態に関して、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) 波長の異なる複数の信号光が合波された波長多重信号光を増幅可能な光増幅器において、
波長多重信号光が入力される入力ポートと、
増幅後の波長多重信号光が出力される出力ポートと、
前記入力ポートおよび前記出力ポートの間の信号経路上に直列に配置された第1増幅媒体および第2増幅媒体と、
前記第1および第2増幅媒体の間に接続された損失媒体と、
励起光を発生する励起光源と、
前記入力ポートおよび前記第1増幅媒体の間に配置され、前記励起光源から出力される励起光を前記入力ポートからの波長多重信号光と合波し、該合波光を前記第1増幅媒体の一端に与える第1合波器と、
前記第1増幅媒体および前記損失媒体の間に配置され、前記第1増幅媒体の他端から出力される光を波長多重信号光および励起光に分波し、該分波した波長多重信号光を前記損失媒体に与えると共に、前記損失媒体を迂回するための迂回経路の一端に前記分波した励起光を与える分波器と、
前記迂回経路の他端から出力される励起光を前記第2増幅媒体に供給する第2合波器と、
前記迂回経路上に配置された可変光減衰器と、
前記第2増幅媒体から前記出力ポートに送られる波長多重信号光の一部を分岐する第1分岐器と、
前記第1分岐器からの分岐光のパワーを検出する第1光検出器と、
前記入力ポートに入力される波長多重信号光の波長数に応じて前記可変光減衰器の減衰量を設定した上で、前記第1光検出器の検出結果に基づいて、前記出力ポートから出力される波長多重信号光の1波長当たりの信号光パワーが予め設定した目標値で一定となるように、前記可変光減衰器の減衰量または前記励起光源の出力パワーを制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする光増幅器。
【0049】
(付記2) 付記1に記載の光増幅器であって、
前記制御部は、前記入力ポートに入力される波長多重信号光の最大波長数時に、前記可変光減衰器の減衰量を最小値に設定し、波長数の減少に合わせて減衰量の設定値を増加させることを特徴とする光増幅器。
【0050】
(付記3) 付記2に記載の光増幅器であって、
前記制御部は、運用開始前に、前記可変光減衰器の減衰量を最小値に設定した状態で、前記入力ポートに入力される波長多重信号光の波長数と、前記出力ポートから出力される波長多重信号光の1波長当たりの信号光パワーを目標値とするために必要な前記励起光源の出力パワーとの関係を求めて記憶し、運用開始後に、該記憶した関係を用いて、前記入力ポートに入力される波長多重信号光の波長数に対応した前記励起光源の出力パワーを判断して最大波長数時の前記励起光源の出力パワーに対する差分値を求め、前記可変光減衰器の減衰量の最小値に前記差分値を加算した値を、運用時における前記可変光減衰器の減衰量として設定することを特徴とする光増幅器。
【0051】
(付記4) 付記1〜3のいずれか1つに記載の光増幅器であって、
前記入力ポートから前記第1増幅媒体に送られる波長多重信号光の一部を分岐する第2分岐器と、
前記第2分岐器からの分岐光のパワーを検出する第2光検出器と、を備え、
前記制御部は、前記入力ポートに入力される波長多重信号光の波長数に応じて前記可変光減衰器の減衰量を設定する減衰量設定回路と、前記第1および第2光検出器の各検出結果に基づいて光増幅器全体の利得を演算し、該利得が予め設定した目標利得で一定となるように前記励起光源の駆動状態を制御する励起光源制御回路と、を有することを特徴とする光増幅器。
【0052】
(付記5) 付記4に記載の光増幅器であって、
前記減衰量設定回路は、前記光増幅器の外部より与えられる波長数情報を用いて、前記入力ポートに入力される波長多重信号光の波長数を判断し、該波長数に応じて前記可変光減衰器の減衰量を設定することを特徴とする光増幅器。
【0053】
(付記6) 付記4に記載の光増幅器であって、
前記制御部は、前記第2光検出器の検出結果を基に前記入力ポートに入力される波長多重信号光の波長数を検出する波長数検出回路を有し、
前記減衰量設定回路は、前記波長数検出回路で検出される波長数に応じて前記可変光減衰器の減衰量を設定することを特徴とする光増幅器。
【0054】
(付記7) 付記1〜3のいずれか1つに記載の光増幅器であって、
前記入力ポートから前記第1増幅媒体に送られる波長多重信号光の一部を分岐する第2分岐器と、
前記第2分岐器からの分岐光のパワーを検出する第2光検出器と、を備え、
前記励起光源は、前記入力ポートに入力される波長多重信号光の波長数の変化に関係なく出力パワーが一定となるように駆動状態が設定され、
前記制御部は、前記第1および第2光検出器の各検出結果に基づいて光増幅器全体の利得を演算し、該利得が予め設定した目標利得で一定となるように前記可変光減衰器の減衰量を制御する減衰量制御回路を有することを特徴とする光増幅器。
【0055】
(付記8) 付記1〜7のいずれか1つに記載の光増幅器であって、
前記第2合波部は、前記損失媒体および前記第2増幅媒体の間に配置されることを特徴とする光増幅器。
【0056】
(付記9) 付記1〜7のいずれか1つに記載の光増幅器であって、
前記第2合波部は、前記第2増幅媒体および前記第1分岐器の間に配置されることを特徴とする光増幅器。
【0057】
(付記10) 付記1〜9のいずれか1つに記載の光増幅器であって、
前記第1増幅媒体の長さが、前記第2増幅媒体の長さよりも短く設定されることを特徴とする光増幅器。
【0058】
(付記11) 付記1〜10のいずれか1つに記載の光増幅器であって、
前記第1および第2増幅媒体は、希土類添加光ファイバまたは希土類添加光導波路を用いて構成されることを特徴とする光増幅器。
【0059】
(付記12) 付記1〜11のいずれか1つに記載の光増幅器であって、
前記損失媒体は、前記第1および第2増幅媒体における利得の波長依存性を補償するための利得等化器を含むことを特徴とする光増幅器。
【0060】
(付記13) 付記1〜11のいずれか1つに記載の光増幅器であって、
前記損失媒体は、前記入力ポートに入力される波長多重信号光に生じた波長分散を補償するための分散補償器を含むことを特徴とする光増幅器。
【符号の説明】
【0061】
10,10’…光増幅器
11…第1増幅媒体
12…損失媒体
13…第2増幅媒体
21…励起光源
22,25…合波器
23…分波器
24…迂回経路
26…可変光減衰器(VOA)
31,33…分岐器
32,34…光検出器(PD)
40…制御部
41…減衰量設定回路
42…励起光源制御回路
43…減衰量制御回路
IN…入力ポート
Lp…励起光
Ls…WDM信号光
OUT…出力ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長の異なる複数の信号光が合波された波長多重信号光を増幅可能な光増幅器において、
波長多重信号光が入力される入力ポートと、
増幅後の波長多重信号光が出力される出力ポートと、
前記入力ポートおよび前記出力ポートの間の信号経路上に直列に配置された第1増幅媒体および第2増幅媒体と、
前記第1および第2増幅媒体の間に接続された損失媒体と、
励起光を発生する励起光源と、
前記入力ポートおよび前記第1増幅媒体の間に配置され、前記励起光源から出力される励起光を前記入力ポートからの波長多重信号光と合波し、該合波光を前記第1増幅媒体の一端に与える第1合波器と、
前記第1増幅媒体および前記損失媒体の間に配置され、前記第1増幅媒体の他端から出力される光を波長多重信号光および励起光に分波し、該分波した波長多重信号光を前記損失媒体に与えると共に、前記損失媒体を迂回するための迂回経路の一端に前記分波した励起光を与える分波器と、
前記迂回経路の他端から出力される励起光を前記第2増幅媒体に供給する第2合波器と、
前記迂回経路上に配置された可変光減衰器と、
前記第2増幅媒体から前記出力ポートに送られる波長多重信号光の一部を分岐する第1分岐器と、
前記第1分岐器からの分岐光のパワーを検出する第1光検出器と、
前記入力ポートに入力される波長多重信号光の波長数に応じて前記可変光減衰器の減衰量を設定した上で、前記第1光検出器の検出結果に基づいて、前記出力ポートから出力される波長多重信号光の1波長当たりの信号光パワーが予め設定した目標値で一定となるように、前記可変光減衰器の減衰量または前記励起光源の出力パワーを制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする光増幅器。
【請求項2】
請求項1に記載の光増幅器であって、
前記制御部は、前記入力ポートに入力される波長多重信号光の最大波長数時に、前記可変光減衰器の減衰量を最小値に設定し、波長数の減少に合わせて減衰量の設定値を増加させることを特徴とする光増幅器。
【請求項3】
請求項2に記載の光増幅器であって、
前記制御部は、運用開始前に、前記可変光減衰器の減衰量を最小値に設定した状態で、前記入力ポートに入力される波長多重信号光の波長数と、前記出力ポートから出力される波長多重信号光の1波長当たりの信号光パワーを目標値とするために必要な前記励起光源の出力パワーとの関係を求めて記憶し、運用開始後に、該記憶した関係を用いて、前記入力ポートに入力される波長多重信号光の波長数に対応した前記励起光源の出力パワーを判断して最大波長数時の前記励起光源の出力パワーに対する差分値を求め、前記可変光減衰器の減衰量の最小値に前記差分値を加算した値を、運用時における前記可変光減衰器の減衰量として設定することを特徴とする光増幅器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の光増幅器であって、
前記入力ポートから前記第1増幅媒体に送られる波長多重信号光の一部を分岐する第2分岐器と、
前記第2分岐器からの分岐光のパワーを検出する第2光検出器と、を備え、
前記制御部は、前記入力ポートに入力される波長多重信号光の波長数に応じて前記可変光減衰器の減衰量を設定する減衰量設定回路と、前記第1および第2光検出器の各検出結果に基づいて光増幅器全体の利得を演算し、該利得が予め設定した目標利得で一定となるように前記励起光源の駆動状態を制御する励起光源制御回路と、を有することを特徴とする光増幅器。
【請求項5】
請求項4に記載の光増幅器であって、
前記減衰量設定回路は、前記光増幅器の外部より与えられる波長数情報を用いて、前記入力ポートに入力される波長多重信号光の波長数を判断し、該波長数に応じて前記可変光減衰器の減衰量を設定することを特徴とする光増幅器。
【請求項6】
請求項4に記載の光増幅器であって、
前記制御部は、前記第2光検出器の検出結果を基に前記入力ポートに入力される波長多重信号光の波長数を検出する波長数検出回路を有し、
前記減衰量設定回路は、前記波長数検出回路で検出される波長数に応じて前記可変光減衰器の減衰量を設定することを特徴とする光増幅器。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の光増幅器であって、
前記入力ポートから前記第1増幅媒体に送られる波長多重信号光の一部を分岐する第2分岐器と、
前記第2分岐器からの分岐光のパワーを検出する第2光検出器と、を備え、
前記励起光源は、前記入力ポートに入力される波長多重信号光の波長数の変化に関係なく出力パワーが一定となるように駆動状態が設定され、
前記制御部は、前記第1および第2光検出器の各検出結果に基づいて光増幅器全体の利得を演算し、該利得が予め設定した目標利得で一定となるように前記可変光減衰器の減衰量を制御する減衰量制御回路を有することを特徴とする光増幅器。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の光増幅器であって、
前記第2合波部は、前記損失媒体および前記第2増幅媒体の間に配置されることを特徴とする光増幅器。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の光増幅器であって、
前記第2合波部は、前記第2増幅媒体および前記第1分岐器の間に配置されることを特徴とする光増幅器。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1つに記載の光増幅器であって、
前記第1増幅媒体の長さが、前記第2増幅媒体の長さよりも短く設定されることを特徴とする光増幅器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−165993(P2011−165993A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28441(P2010−28441)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】