説明

光変調器キャリブレーション装置

【課題】光変調器キャリブレーション装置を提供する。
【解決手段】光変調器のキャリブレーションを行う装置において、上記光変調器に所定の光を出射する光源と、上記光変調器から出射された光をスキャンして投射する光スキャン装置と、上記光源から出射される光を測定する光測定手段と、及び上記光スキャン装置に、非可視的でありながら上記光測定手段により感知可能なキャリブレーション光が出射されるように上記光源を制御する光源制御部と、を含む光変調器キャリブレーション装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ装置及びその方法に関するもので、特に光変調器を用いたディスプレイ装置のキャリブレーション装置(Apparatus for calibrating optical modulator)に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、光信号処理は多いデータ量と実時間処理が不可能な既存のデジタル情報処理とは異なり、高速性と並列処理能力、大容量の情報処理が可能であるという長所があり、空間光変調理論を用いて、二位相フィルタ設計及び製作、光論理ゲート、光増幅器などと映像処理技法、光素子、光変調器などの研究が進行されつつある。
【0003】
この中の光変調器は、光ファイバまたは光周波数帯の自由空間を伝送媒体とする場合に送信機にて信号を光に乗せる(光変調)回路または装置である。光変調器は、光メモリ、光ディスプレイ、プリンタ、光インターコネクション、ホログラムなどの分野に使用されて、現在、これを用いた表示装置の開発研究が活発に進行されている。このような光変調器は、メムス技術に関わるが、メムス(MEMS、Micro Electro Mechanical System)とは、半導体製造技術を用いてシリコン基板上に3次元の構造物を形成する技術である。このようなメムスの応用分野は、非常に多様であり、例えば、車両用各種センサ、インクジェットプリンタヘッド、HDD磁気ヘッド、及び小型化及び高機能化が急進展されている携帯型通信機器などを挙げられる。メムス素子は、機械的な動作をするために基板上で微細駆動ができるように基板から浮上された部分を有する。メムスは、超小型電気機械システムまたは素子といえるが、その応用の一つとして光学分野に応用されている。マイクロマシニング技術を用いると、1mmより小さな光学部品を製作することができ、これらにより、超小型光システムを具現することができる。別途で製作した半導体レーザを予めマイクロマシニング技術により製作した固定台に装着し、マイクロフレネルレンズ、ビームスプリッタ、45゜反射ミラーをマイクロマシニング技術で製作して組立することができる。既存の光学システムは、大きくて重い光学台上にミラー、レンズなどの組立器具を用いてシステムを構成する。また、レーザも大きい。このように構成した光学システムの性能を得るためには、精緻なステージを用いて光軸及び反射角、反射面などをかなりの努力をかけて整列しなくてはならないという問題点がある。
【0004】
現在、超小型光システムは、早い応答速度と小さな損失、集積化及びデジタル化の容易性などの長所により情報通信装置、情報ディスプレイ及び記録装置に採用され応用されている。例えば、マイクロミラー、マイクロレンズ、光ファイバ固定台などのマイクロ光学部品は、情報保存記録装置、大型画像表示装置、光通信素子、適応光学に応用することができる。
【0005】
ここで、マイクロミラーは、上下方向、回転方向、 滑る方向などの方向と動的及び静的な運動に応じて多様に応用される。上下方向への運動は位相補正器や回折器などに応用され、傾く方向への運動はスキャナやスィッチ、光信号分配器、光信号減衰器、光源アレイなどに応用され、また、滑る方向への運動は光遮蔽器やスィッチ光信号分配器などに応用される。
【0006】
マイクロミラーは、応用に応じて大きさや個数が非常に異なり、動作方向及び動的または静的な動作に応じて応用が異なる。勿論、それに応じてマイクロミラーの制作方法も異なる。
【0007】
最近には、プロジェクション(Projection)テレビ、モバイルプロジェクタなどが開発されることにつれて、映像ディスプレイにビームを走査する手段として光ビームスキャニング装置が用いられている。
【0008】
図1は、従来技術による光変調器とポリゴンミラーを用いたディスプレイ装置を示す模式図である。図1を参照すると、光源110、制御部120、レンズ130、光変調器135、ポリゴンミラー140、スクリーン150が示されている。ここで、モバイルプロジェクタにおいて必ずしも光変調器を用いる必要はないが、以下では光変調器を用いたモバイルプロジェクタを中心として説明する。
【0009】
光源110は、光変調器により反射及び回折されたレーザビームを発生する装置である。ここで、光源110は垂直方向へ同時にレーザビームを発生し、このようなレーザビームは、回転するポリゴンミラー140により2次元映像を具現する。別の実施例によれば、光源110はレーザ及びレーザダイオードで具現することができ、このような光源110は、制御部120の駆動制御に応じてオン/オフ(ON/OFF)されレーザビームを発生する。
【0010】
制御部120は、光源110のオン/オフ制御、ポリゴンミラー140の駆動制御、光変調器制御を行う。
【0011】
レンズ130は、光源110から発生されるレーザビームをポリゴンミラー140の回転軸方向に集束させる。
【0012】
ポリゴンミラー140は、制御部120の駆動制御に応じてオン/オフされて、駆動する際には、予め設定されている回転速度で一定に回転する。このようなポリゴンミラー140は、多角形で具現されており、回転する際に各面を介して入射されるビームを反射させる。
【0013】
ポリゴンミラー140は、一方向または両方向に回転できるモータ(図示せず)を備えており、このモータにより回転しながらレンズ130を介して走査されるビームをスクリーン150方向に反射する。
【0014】
ここで、光変調器の画質の不均一を改善するために、製品が出る前に各ピクセル別にキャリブレーション(Calibration)した後、補償ディスプレイをしなくてはならない。一般的に、光変調器のキャリブレーションのために、光変調器を作動させる所定の電圧を印加し、光変調器から出射された光を検出して基準値に適するか否かを判断して補正値を生成した後、補正値を適用した電圧を光変調器に適用する方法で光変調器をキャリブレーションする。製品が出た後にも長期間使用及び環境変化による素子、回路、光学系の変化(Drift)による画質の不均一の発生を防止するために、上述したキャリブレーションにより持続的に補償されたディスプレイを具現する必要性がある。ここで、従来技術によれは、光変調器の画質不均一を改善するために使用されるキャリブレーション光または画面は可視領域にあるので、これを遮断する具、例えば、光学Shutter、が備えられる必要があり、全体的な装置が複雑になるという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、光源の特性を変化させることで、複雑ではない光変調器キャリブレーション装置を提供する。
【0016】
また、本発明は、簡単な構造で、電気的な制御により多様な実施例に適用できる光変調器キャリブレーション装置を提供する。
【0017】
本発明が提示する以外の技術的課題等は、下記の説明を通してより易しく理解することができるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一実施形態によれば、光変調器のキャリブレーションを行う装置において、上記光変調器に所定の光を出射する光源と、上記光変調器から出射された光をスキャンして投射する光スキャン装置と、上記光源から出射された光を測定する光測定手段と、及び上記光スキャン装置に、非可視的でありながら上記光測定手段により感知可能なキャリブレーション光が出射されるように上記光源を制御する光源制御部と、を含む光変調器キャリブレーション装置が提供される。
【0019】
上記光測定手段は、上記光源から出射される光の光量を測定することができる。
【0020】
上記キャリブレーション光は、上記光変調器が出射する映像のフレームエッジ(edge)に相応して出射されることができる。
【0021】
上記光測定手段は、フォトダイオード(Photo Diode)センサ、CMOSイメージセンサ及びCCDイメージセンサの中のいずれか一つであることができる。
【0022】
本発明の別の実施形態によれば、光変調器のキャリブレーションを行う装置において、上記光変調器に所定の光を出射する光源と、上記光変調器から出射された光を半透過する半透過膜と、上記半透過膜から一方向に投射された光をスキャンして投射する光スキャン装置と、上記半透過膜から他方向に投射された光を測定する光測定手段と、及び上記光スキャン装置に、非可視的でありながら上記光測定手段により感知可能なキャリブレーション光が出射されるように上記光源を制御する光源制御部と、を含む光変調器キャリブレーション装置が提供される。
【0023】
上記光スキャン装置は上記半透過膜から透過された光をスキャンし、上記光測定手段は上記半透過膜から反射された光を測定することができる。
【0024】
上記光スキャン装置は上記半透過膜から反射された光をスキャンし、上記光測定手段は上記半透過膜から透過された光を測定することができる。
【0025】
本発明のさらに別の実施形態によれば、光変調器のキャリブレーションを行う装置において、上記光変調器に所定の光を出射する光源と、上記光変調器から出射された光をスキャンして投射する光スキャン装置と、上記光スキャン装置から投射された一方向の光を測定する光測定手段と、及び上記光スキャン装置に、非可視的でありながら上記光測定手段により感知可能なキャリブレーション光が出射されるように上記光源を制御する光源制御部と、を含む光変調器キャリブレーション装置が提供される。
【0026】
上記光測定手段は、上記光源から出射された光の光量または周波数を測定することができる。
【0027】
上記キャリブレーション光は、上記光変調器が出射する映像のフレームエッジ(edge)に相応して出射することができる。
【0028】
上記光測定手段は、フォトダイオード(Photo Diode)センサ、CMOSイメージセンサ及びCCDイメージセンサであることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明による光変調器キャリブレーション装置は、光源の特性を変化させることで複雑ではない構成ができる。
【0030】
また、本発明による光変調器キャリブレーション装置は、簡単な構造で、電気的な制御を通して多様な実施例に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明による光変調器キャリブレーション装置の好ましい実施例を添付図面を参照して詳しく説明するが、添付図面を参照して説明することにおいて、図面符号にかかわらず同一である構成要素は同一な参照符号を付与し、これに対する重複される説明は略する。本発明を説明することにおいて、係わる公知技術の具体的な説明が本発明の要旨をかえって不明にすると判断される場合、その詳細な説明を略する。本発明の好ましい実施例を詳しく説明する前に、先ず、本発明に適用される光変調器に対して説明する。
【0032】
光変調器は大きく、直接光のオン/オフを制御する直接方式と、反射及び回折を用いる間接方式とに分けられ、さらに間接方式は精電気方式と圧電方式とに分けることができる。ここで、光変調器は、駆動される方式にかかわらず本発明に適用することができる。例えば、アメリカ特許番号第5、311、360号に開示されている静電駆動方式の格子光変調器は、反射表面部を有し、一定に離隔して基板上部に浮遊(suspended)する多数の変形可能な反射型リボンを含む。絶縁層は、シリコン基板上に蒸着される。さらに、犠牲二酸化シリコン膜及び窒化シリコン膜の蒸着工程が後続する。
【0033】
窒化物膜は、リボンにパターニングされて、二酸化シリコン層の一部がエッチングされリボンが窒化物フレームにより酸化物スペーサ層上に維持されるようにする。単一波長λ0を有す光を変調させるために、変調器は、リボンの厚みと酸化物スペーサの厚みがλ0/4になるように設計する。
【0034】
リボン状の反射表面と基板の反射表面との間の垂直距離dに限定されたこのような変調器の格子振幅は、リボン(第1電極としての役目をするリボンの反射表面)と基板(第2電極としての役目をする基板下部の伝導膜)との間に電圧を印加することで制御される。以下では、圧電方式の回折型光変調器が本発明の実施例に適用された場合を中心として説明する。
【0035】
図2は、本発明に適用できる間接光変調器のうち、圧電体を用いた回折型光変調器素子に含まれるマイクロミラーの斜視図である。図2を参照すると、基板210、絶縁層220、犠牲層230、リボン構造物240及び圧電体250を含む光変調器100が示されている。
【0036】
基板210は一般的に使用される半導体基板であり、絶縁層220はエッチング停止層(etch stop layer)として蒸着され、犠牲層として使用される物質をエッチングするエッチャント(ここでエッチャントはエッチングガスまたはエッチング溶液である)に対して選択比が高い物質で形成される。ここで、絶縁層220は入射光を反射するために反射層220(a)が塗布されてもよい。
【0037】
犠牲層230は、リボン構造物240が絶縁層220と一定間隔で離隔されるように両サイドからリボン構造物240を支持し、中心部に空間を形成する。
【0038】
リボン構造物240は、上述したように入射光の回折及び干渉を起こして信号を光変調する役目をする。リボン構造物240の形態は、精電気方式に応じて複数のリボン形状で構成されることができ、圧電方式に応じてリボンの中心部に複数のオープンホールを備えることもできる。ここで、リボン構造物240は、中央部に複数のリボン240a及びオープンホール240bを含む。また、圧電体250は、上部及び下部電極の間の電圧差により発生する上下または左右の収縮または膨脹程度に応じてリボン構造物240が上下に動くように制御する。
【0039】
例えば、光の波長がλである場合、光変調器が変形されない状態、すなわち、どんな電圧も印加されていない状態で、リボン構造物240と下部反射層220(a)の形成された絶縁層220との間の間隔はλ/2のようである。よって、0次回折光(反射光)の場合、リボン構造物240から反射された光と絶縁層220から反射された光との間の全体経路の差はλと同様であり、補強干渉をして光の強さは最大値を有する。ここで、+1次及び−1次回折光の場合、光の強さは相殺干渉により最小値を有する。
【0040】
また、適正電圧が圧電体250に印加される際に、リボン構造物240と下部反射層220(a)の形成された絶縁層220との間の間隔はλ/4のようである。よって、0次回折光の場合、リボン構造物240と絶縁層220から反射された光の間の全体経路差はλ/2のようであり、相殺干渉をして光の強さは最小値を有する。ここで、+1次及び−1次回折光の場合、補強干渉により光の強さは最大値を有する。このような干渉の結果、光変調器は反射または回折光の光量を調節して信号を光に乗せることができる。
【0041】
以上では、リボン構造物240と下部反射層220(a)の形成された絶縁層220との間の間隔がλ/2である場合を説明したが、入射光の回折、反射により干渉される強さを調節できる間隔で駆動される多様な実施例が本発明に適用されることができる。
【0042】
図3を参照すると、光変調器は、それぞれ第1ピクセル(pixel#1)、第2ピクセル(pixel#2)、…、第nピクセル(pixel#n)を担当するn個のマイクロミラー(100−1、100−2、…、100−n)を含む。ここで, マイクロミラー(100−2、100−2、...、100−n)は、中央部に複数のリボン(240(a)−1、240(a)−2、 ...、240(a)−n)及びオープンホール(240(b)−1、240(b)−2、...、240(b)−n)を含み、圧電体(250−1、250−2、...、250−n)により駆動される。光変調器は垂直走査線または水平走査線(ここで、垂直走査線または水平走査線は、n個のピクセルを含むことに仮定する)の1次元映像に対する映像情報を担当し、各マイクロミラー(100−1、100−2、…、100−n)は垂直走査線または水平走査線を構成するn個のピクセルの中のいずれか一つのピクセルを担当する。よって、それぞれのマイクロミラーから反射及び回折された光は、以後光スキャン装置によりスクリーンに2次元映像として投射される。
【0043】
図4を参照すると、n個のマイクロミラー(100−1、100−2、…、100−n)が垂直に配列された場合、光スキャン装置によりスクリーン400に水平でスキャンされ生成された画面(410−1、410−2、410−3、410−4、…、410−(n−3)、410−(n−2)、410−(n−1)、410−n)が示されている。ここで、スキャン方向は左から右方向(矢印方向)に表示されているが、その逆方向にも映像がスキャンされることができる。
【0044】
図5は、本発明の好ましい実施例による光変調器のキャリブレーションのためのレーザパワーとスクリーンに投射される画面との関係を示す図面である。図5を参照すると、キャリブレーション光が出射される画面510、スクリーン映像520及び時間に対するレーザパワーのグラフが示されている。
【0045】
本発明の実施例によるキャリブレーション光は、光変調器のキャリブレーションを行うための光であって、非可視的(invisible)であり、キャリブレーションのために光を測定する光測定手段が感知可能な波長を有する。すなわち、可視光線の波長範囲は、人により若干差はあるが、大体その波長は380〜770nmである。可視光線内では波長に応ずる性質の変化がそれぞれの色に現し、赤色から紫色に行くほど波長が短くなる。単色光である場合、700〜610nmは赤色、610〜590nmは橙色、590〜570nmは黄色、570〜500nmは緑色、500〜450nmは青色、450〜400nmは紫色に見える。本発明の実施例によれば、キャリブレーションをするための光は、人(使用者)には見えなく、これを感知し所定の光量であるか否かを判断する光測定手段のみにより感知されるので、従来技術によるキャリブレーション光を遮断する道具または装置が不要である。
【0046】
図5を参照すると、キャリブレーション光のレーザパワーの大きさは(a)であり、映像に相応する光のレーザパワーは(b)である。ここで、レーザパワーは光の周波数に相応して決定できるので、レーザパワーが小さいほど光の周波数が小い。よって、x軸の(c)〜(e)までは一つのフレームが出力される時間であり、一つのフレームのエッジ(edge)部分からキャリブレーション光が出射される。キャリブレーション光は、(c)〜(d)の間、光源から出射されるし、このような光は、スクリーン映像520に相応する光と互いに異なる周波数を有する。また、別の実施例によれば、キャリブレーション光により出射されるイメージは点、線などであることができる。すなわち、キャリブレーション光により出射されるイメージが点である場合、一つの点が出射されるように光源から短い時間の間にだけ光を出射することができ、キャリブレーション光により出射されるイメージが線である場合、点を出力する場合より相対的に長い時間の間に光を出射することができる。また、キャリブレーション光により出射されるイメージが線である場合、直線上に輝度の異なる光が出力できるし、この場合、光変調器に印加される電圧を制御して輝度を制御することができる。例えば、光変調器に印加される電圧が0Vである場合に輝度が最小であり、10Vである場合に輝度が最大である光が出射されれば、キャリブレーション光が光変調器に照射される間に光変調器に印加される電圧を0Vから10Vに調節して輝度の変化を測定することにより光変調器の状態を検査し、最初基準値と互いに異なる場合、印加される電圧を輝度に応じて調節することによりキャリブレーションを行うことができる。
【0047】
出射されたキャリブレーション光は、フレームのエッジ(edge)に位置するので、画質を歪曲させない。キャリブレーション光が出射される周期は、フレーム当たり一回に記載したが、二つのフレーム当たり一回、三つのフレーム当たり一回など、多様に実施されることができる。
【0048】
ここで、キャリブレーション光の波長は、上述した可視光線の波長範囲外にあれば、本発明に適用できる。よって、本発明によるキャリブレーション装置は、装置の複雑度が減り、光測定手段の位置を多様に変形することができるので、小型の装置に適合に備えられることができる。特に、光変調器がモバイルディスプレイ装置に備えられる場合、現在、モバイル端末機の大きさが小さくなる趨勢を考慮すれば、このような本発明の実施例による複雑ではないキャリブレーション装置の活用度は増加されることができる。
【0049】
以上、光変調器を一般的に示した斜視図、配列図及びキャリブレーションの原理を説明したが、以下では、添付図面を参照して、本発明による光変調器キャリブレーション装置を構成する方法により区別される具体的な実施例を基準として説明する。本発明による実施例は、大きく二つに分けられ、以下で順序に説明する。
【0050】
図6は、本発明の好ましい第1実施例による光変調器のキャリブレーション装置を示す図面である。図6を参照すると、光源制御部610、光源620、光変調器630、光スキャン装置640、光測定手段650及びスクリーン660が示されている。説明の便宜のために、光源620から出射された光を確張し(expender)、平衡にして(collimate)、集束する役目をするレンズが追加されてもよいが、これに対する説明は略する。
【0051】
光源620は、光変調器630により反射及び回折されるレーザビームを発生する装置である。光変調器630が1次元アレイである場合、光源620から出射された光は、光変調器630のアレイの各ピクセルに光を投射できるように構成される。ここで、光源620は、垂直または水平方向にレーザビームを発生し、このようなレーザビームは回転する光スキャン装置640により2次元映像を具現する。光源620は、レーザやレーザダイオードで具現されることができ、このような光源620は、光源制御部610の駆動制御に応じてオン/オフ(ON/OFF)されて所定の波長を有するレーザビームを発生する。
【0052】
光源制御部610は、光源620から出射される光の波長を制御することができる。すなわち、本発明の実施例によるキャリブレーション光は、非可視的(invisible)でありながらキャリブレーションのために光を測定する光測定手段650が感知可能な波長を有するので、スクリーン660に投射される映像に相応してキャリブレーション光が光源620から出射されるように光源620を制御する。光源制御部610により光源620から出射されるキャリブレーション光は、光変調器630及び光スキャン装置640を経由して光測定手段650により測定される。
【0053】
光測定手段650は、キャリブレーション光の光量または感知された光の周波数を測定する。ここで、光測定手段650は、光スキャン装置640から反射されたキャリブレーション光を感知できる位置に備えられる。例えば、光測定手段650は、光スキャン装置640から出射された光を直接感知できる位置に備えられてもよく、別途の遮断道具(図示せず)により反射されて進行する光を感知できる位置に備えられてもよい。
【0054】
光測定手段650がキャリブレーション光の光量を測定して劣化された光変調器630の各ピクセル別の劣化程度を感知し、これに相応して各ピクセルに印加される電圧を調節することによりキャリブレーションを行うことができる。光測定手段650が光変調器630の各ピクセルから反射される光を測定するために、各ピクセルに相応する形状を有した一連の配列で形成されることができる。
【0055】
ここで、光測定手段650は、フォトダイオードセンサ、CMOSイメージセンサ及びCCDイメージセンサなどであることができる。フォトダイオード(Photo Diode)センサは、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光センサであって、その構成は、半導体のPN接合部に光検出機能を追加したものである。CMOS(Complementary metal oxide semiconductor)イメージセンサは、フォトダイオード(Photo Diode)を含む多数の単位ピクセルを含み、1次元または2次元配列で構成されて、このような単位ピクセルは制御回路及び信号処理により駆動される。CCD(charge coupled device)イメージセンサは、多数のMOSキャパシタを含み、このMOSキャパシタに電荷(キャリア)を移動させることにより動作される。このようなイメージセンサは、光を感知できる複数のピクセルを有している。また、光測定手段650がキャリブレーション光の周波数を感知する場合、キャリブレーション光が光スキャン装置640から反射されて光測定手段650に投射される経路が外れるかを検査することができる。すなわち、キャリブレーション光は、光源制御部610の制御により所定の周期を有して光源620から出射されるが、このような週期及び装置の位置に変化が生じた場合、これを修正するためには、このようなキャリブレーション光の経路誤差を検査することにより、位置修正をすることもできる。ここで、光測定手段650がキャリブレーション光の周波数を感知する方法は多様に具現することができ、例えば、光測定手段650はキャリブレーション光を感知できるように特定周波数以上の光に対して光子を発生できる仕事関数を有する物質で形成されることができる。
【0056】
ここで、キャリブレーション光は、光変調器630が出射する映像のフレームエッジ(edge)に相応して出射することができる。この場合、キャリブレーション光は映像に該当する光と互いに異なる周波数及び形状を有することができるので、フレームエッジ部分から出射されることにより、映像の画質が均一に投射できる。
【0057】
光スキャン装置640は、光スキャン装置制御部(図示せず)の駆動制御に応じてオン/オフされて、駆動する際既に設定された回転速度で一定に回転する。このような光スキャン装置640は、多角形からなっており、回転する際に各面を介して入射されるビームを反射させる。この際、光スキャン装置640の一面から反射されるビームは、スキャニングにより一定間隔のスポット(Spot)配列を形成させながらスクリーン660に走査されるが、このスポット配列はスクリーン660の一つの画面を生成する。例えば、VGA640*480解像度である場合、480個の垂直画素に対して光スキャン装置640の一面にて640回のモジュレーションを行い、光スキャン装置640の一面当たり、画面1フレームが生成される。
【0058】
光スキャン装置640は、一方向または両方向に回転できるモータ(図示せず)を備えており、このモータにより回転しながら光変調器630を介して走査されるビームをスクリーン660方向に反射する。ここで、光スキャン装置640は、ポリゴンミラー(Polygon mirror)、回転バー(Rotating bar)またはガルバノミラー(Galvano Mirror)などであることができる。
【0059】
図7は、本発明の好ましい第2実施例による光変調器のキャリブレーションのための装置を示す図面である。図7を参照すると、光源制御部710、光源720、光変調器730、光スキャン装置740、光測定手段750、スクリーン760及び半透過膜770が示されている。上述した第1実施例との相違点を主として説明する。
【0060】
半透過膜770は、光変調器730と光スキャン装置740との間に位置し、光変調器730から出射された光の一部は反射するし、その他の一部は透過される。半透過膜770を透過して一方向に投射された光は、光スキャン装置740にて反射されスクリーン760に投影されるし、半透過膜770から反射されて他方向に投射された光は光測定手段750に進行する。
【0061】
ここで、半透過膜770は、多様な方法により具現することができ、例えば、半透過膜770は、誘電体を用いる誘電体ミラーであることができる。すなわち、半透過膜770は、誘電体多層膜を有し、このような多層膜構造により入射光の一部を透過し、その他を反射するように構成される。このような誘電体としては、例えば、TiO2(酸化チタン)とSiO2(酸化シリコン)の積層構造を用いることができる。誘電体膜の厚みは、入射光の約半分は反射しその他は透過するように、共振波長に対応して誘電体多層膜の積層数及び各遺伝体膜の厚みが定められて構成されている。すなわち、誘電体多層膜及び反射電極により光学的共振器が構成されるので、光変調器730から出射された光は、それぞれの遺伝体膜にて反射または透過されることができる。
【0062】
以上、半透過膜770を透過して一方向に投射された光は光スキャン装置740にて反射されてスクリーン760に投影されるし、半透過膜770から反射されて他方向に投射された光は光測定手段750に進行する場合に対して説明したが、半透過膜770から反射されて一方向に投射された光は光スキャン装置740にて反射されてスクリーン760に投影されるし、半透過膜770を透過して他方向に投射された光が光測定手段750に進行するように装置の構造を変更することもできる。
【0063】
上記では、本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、本発明は上記実施例に限定されず、当該技術分野で通常の知識を持った者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明及びその均等物の思想及び領域から脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更させることができるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】従来技術による光変調器とポリゴンミラーとを用いたディスプレイ装置を示す模式図である。
【図2】本発明の好ましい実施例に適用できる圧電体を用いた回折型光変調器モジュールの斜視図である。
【図3】本発明の好ましい実施例に適用できる回折型光変調器アレイの平面図である。
【図4】本発明の好ましい実施例に適用できる回折型光変調器アレイによりスクリーンにイメージが生成される模式図である。
【図5】本発明の好ましい実施例による光変調器のキャリブレーションのためのレーザパワーとスクリーンに投射される画面との関係を示す図面である。
【図6】本発明の好ましい第1実施例による光変調器のキャリブレーションのための装置を示す図面である。
【図7】本発明の好ましい第2実施例による光変調器のキャリブレーションのための装置を示す図面である。
【符号の説明】
【0065】
710 光源制御部
720 光源
730 光変調器
740 光スキャン装置
750 光測定手段
760 スクリーン
770 半透過膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光変調器のキャリブレーションを行う装置において、
前記光変調器に所定の光を出射する光源と、
前記光変調器から出射された光をスキャンして投射する光スキャン装置と、
前記光源から出射される光を測定する光測定手段と、及び
前記光スキャン装置に、非可視的でありながら前記光測定手段が感知可能なキャリブレーション光が出射されるように前記光源を制御する光源制御部と、
を含む光変調器キャリブレーション装置。
【請求項2】
前記光測定手段は、前記光源から出射される光の光量を測定することを特徴とする請求項1に記載の光変調器キャリブレーション装置。
【請求項3】
前記キャリブレーション光は、前記光変調器が出射する映像のフレームエッジ(edge)に相応して出射されることを特徴とする請求項1に記載の光変調器キャリブレーション装置。
【請求項4】
前記光測定手段は、フォトダイオード(Photo Diode)センサ、CMOSイメージセンサ及びCCDイメージセンサの中のいずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載の光変調器キャリブレーション装置。
【請求項5】
光変調器のキャリブレーションを行う装置において、
前記光変調器に所定の光を出射する光源と、
前記光変調器から出射された光を半透過させる半透過膜と、
前記半透過膜から一方向に投射された光をスキャンして投射する光スキャン装置と、
前記半透過膜から他方向に投射された光を測定する光測定手段と、及び
前記光スキャン装置に、非可視的でありながら前記光測定手段が感知可能なキャリブレーション光が出射されるように前記光源を制御する光源制御部と、
を含む光変調器キャリブレーション装置。
【請求項6】
前記光スキャン装置は、前記半透過膜から透過された光をスキャンするし、前記光測定手段は、前記半透過膜から反射された光を測定することを特徴とする請求項5に記載の光変調器キャリブレーション装置。
【請求項7】
前記光スキャン装置は、前記半透過膜から反射された光をスキャンするし、前記光測定手段は前記半透過膜から透過された光を測定することを特徴とする請求項5に記載の光変調器キャリブレーション装置。
【請求項8】
光変調器のキャリブレーションを行う装置において、
前記光変調器に所定の光を出射する光源と、
前記光変調器から出射された光をスキャンして投射する光スキャン装置と、
前記光スキャン装置から投射された一方向の光を測定する光測定手段と、及び
前記光スキャン装置に、非可視的でありながら前記光測定手段が感知可能なキャリブレーション光が出射されるように前記光源を制御する光源制御部と、
を含む光変調器キャリブレーション装置。
【請求項9】
前記光測定手段は、前記光源から出射される光の光量を測定することを特徴とする請求項5ないし8項のいずれか一項に記載の光変調器キャリブレーション装置。
【請求項10】
前記光測定手段は、前記光源から出射される光の周波数を測定することを特徴とする請求項5ないし8項のいずれか一項に記載の光変調器キャリブレーション装置。
【請求項11】
前記キャリブレーション光は、前記光変調器が出射する映像のフレームエッジ(edge)に相応して出射されることを特徴とする請求項5ないし8項のいずれか一項に記載の光変調器キャリブレーション装置。
【請求項12】
前記光測定手段は、フォトダイオード(Photo Diode)センサ、CMOSイメージセンサ及びCCDイメージセンサの中のいずれか一つであることを特徴とする請求項5ないし8項のいずれか一項に記載の光変調器キャリブレーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−310386(P2007−310386A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−131117(P2007−131117)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】