説明

光学コードを読取るレーザモジュール

【課題】 ノイズの増加を防ぎ、短い距離の光学コードの読取が可能な小型レーザモジュールを提供する。
【解決手段】 光学コードを読取る小型レーザモジュール1は、レーザビームを発生する少なくとも1つの光源8、およびレーザスポットを用いて読取る光学コードCを走査する手段9,10を有する走査照明部と、コードCにより拡散される光の少なくとも一部分を集光し、集光した光を検出する受光部20〜24とを備え、受光部と走査照明部とは空間的に分離されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学コードを読取るレーザモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
既知の光学コード読取装置は、基本的に、例えばLEDアレイによってコード幅全体を同時に照明し、例えば直線上に並んだセンサまたは二次元配列のセンサ(光学コードの“画像化”)によって拡散光を同時に集光して検出する読取装置と、レーザビームを一定角度で掃引してレーザスポットが光学コードを走査し(フライングスポット)、フォトダイオードおよび/またはCCDおよび/またはC−MOS型の光検出素子によって拡散光を集光して検出する読取装置とに分けられる。
【0003】
第2のタイプの読取装置は、基本的に、所定のサイズと形状のレーザビームを発生する光源、読取る光学コード上にレーザビームを走査させる走査発生手段、コードによって拡散された光の少なくとも一部を集光する集光手段、および集光した光を検出する検出手段を有する光学コード読取りレーザモジュールと、検出した光パワーを、コードを形成する要素の反射率変化を可能な限り正確に再現する電気信号に変換する手段とを備える。
【0004】
既知のレーザモジュールは再帰反射タイプである。すなわち、集光光学装置により枠決めされた視野が、瞬間的に、走査手段により枠決めされた領域と一致する。言い替えると、読取るコードに沿ってレーザビームを走査するのに使用される開口が、検出光学装置方向に拡散された光を集光するのに使用される開口と一致する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の基本にある技術的課題は、小型のレーザモジュールを提供することである。
本明細書における“小型レーザモジュール”の用語は、体積が約20cm3以下、好ましくは1.5cm3以下のレーザモジュールを指す。
【0006】
いかなる種類の再帰反射構造も、走査システムの開口が受光システムの開口に一致することを意味している。したがって、この種類の読取装置のサイズを減少させると、走査システムのサイズを減少させ、同時にコードにより拡散された光を集光する光学システムのサイズを減少させることになる。しかし、集光システムのサイズを減少させると、実際に集光される光量が減少して、光信号のノイズと読取り可能距離に大きく影響する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明によれば、コードにより拡散される光を集光し検出する構成部品を、照明し走査する構成部品から完全に離して設け、コードを照明する光とコードにより拡散される光が完全に分離した光路を通ることによって前述の問題点は解決される。光放射窓、すべてのレーザビームの偏向ミラー、および集束レンズ等の照射システム構成部品と、光学コードの読取りのために集光が必要な拡散光の最小光量から要求される、受光開口、集束レンズ、および光検出素子の表面等の集光・検出素子のサイズの条件とを無関係にすることにより、走査照明部のサイズ、さらにレーザモジュール全体のサイズを大幅に減少できる。
【0008】
これにより、本発明は光学コードを読取る小型レーザモジュールに関するものであり、このレーザモジュールは、
レーザビームを発生する少なくとも1つの光源、およびレーザスポットを用いて読取る光学コードを走査する手段を有する走査照明部と、
前記光学コードにより拡散される光の少なくとも一部を集光し、集光した光を検出する受光部とを備え、
前記受光部と前記走査照明部とは空間的に分離されている。
【0009】
走査照明部と受光部の構成部品の適切な相対的配置、および特別な構成部品の使用によって、レーザモジュールのサイズを既知のレーザモジュールの一般的サイズよりもさらに大幅に減少させることができる。さらに、小型化により、レーザビームを走査するために設けられたすべての可動構成部品が、起動時における小さい慣性および少ないエネルギー消費を示す。
【0010】
走査照明部の第1実施形態では、走査手段はモータ手段およびこのモータ手段で可動する光反射体を備え、光反射体はレーザビームを受光および偏向するように可動する。
光反射手段がコードにより拡散された光を集光する表面として作用しないので、走査照明部のサイズを従来のミラー走査システムに比較して大幅に減少させることができる。
好ましい実施形態では、前記光反射手段のサイズは、走査平面に対する垂直方向において、1.5mm未満である。
【0011】
有利な実施形態では、前記モータ手段は連続的な可変角速度を提供する。
これにより、走査ごとに、または各走査内で部分的に速度パターンを変更して、用途の特性と処理電気回路性能に対して読取り速度を調整するように、モータ制御を実行できる。
【0012】
さらに好ましくは、起動時に、前記モータ手段はランプ信号(ramp signal:傾斜波信号)を用いて駆動される。
この構成によれば、段階的に作動速度に到達させることができるとともに、前記作動速度を読取るべき特定の光学コードの関数として最適化でき、特に不鮮明または極めて小さい光学コードの場合に有効である。
【0013】
一般に、前記モータ手段はブラシレスモータおよびステッピングモータから選ばれたモータを備える。
好ましくは、前記モータは9mm未満の高さ、より好ましくは6mm未満の高さ、さらに好ましくは3mm未満の高さである。
このようなサイズのモータは光反射体の小型化および軽量化には適するが、走査平面に垂直な方向の極度に制限されるレーザモジュールのサイズは小さくできない。
【0014】
代わりに、前記モータ手段は回転磁気ディスクモータを備え、光反射体がこの回転磁気ディスク上に直接支持される。
上述の範囲の薄い厚さを得ることができる上に、この解決方法は電子制御部品をモータのケース上に直接組み立て、前記モータの作動から発生する電磁ノイズを随意に遮断し、これにより受信信号増幅回路の効率を改良する。
【0015】
別の実施形態では、前記モータ手段は静電モータを備える。
さらに、好ましくは、モータ手段はパルス幅変調を用いて駆動される。
これにより、モータ消費電力が抑えられるという利点を持つ。
【0016】
一般に、光反射体は多角形本体の少なくとも1つの側面を備え、前記モータ手段により回転運動する。
ポリゴンミラー(回転多面鏡)と称するこのタイプの走査システムは、前述のような積極的に制御される変動を除いて、走査ライン全体に大きな速度変動はない、極めて広い走査角度を実現する。さらに、本発明の範囲内で可能な限り小型化することにより、ポリゴンミラーはこの種の走査システムに通常付随する慣性の欠点に影響されない。
【0017】
有利な実施形態では、多角形本体の側面は、軸心に対してそれぞれ異なる角度で傾斜している。
これにより、 “スタック式(上下方向に積み重ねられている)”バーコード、つまり複数の棒線(バー)が上下方向に連続して積み重ねられているバーコードの読取りに有効である。
【0018】
代わりに、光反射体は単一の面を備え、円弧に沿った交互の振動運動に追随する。
このような光反射体、一般には平面ミラー(以後、簡単のために、時にはこれを引用する)は、ミラー重量が回転ポリゴンミラー走査システムに比べてはるかに軽量であることより、有利である。
振動運動は、前述の種々のモータ手段を適切に駆動して得られる。
【0019】
代わりに、消費電力が極めて少ないことより、前記モータ手段が振動磁気装置を備えることが有利である。
振動磁気装置は、具体的には、共通絶縁基板上に、
導線が巻かれ、空隙を有する磁気コアと、
前記磁気コアの前記空隙に向かう方向および前記空隙から離れる方向に振動する自由端部を有し、光反射体を保持する細長い磁性部材とを備える。
この構成により、磁気装置の厚さを極めて薄く(1/10ミリメータの数倍)できる。すなわち、光反射体に入射するレーザスポットのサイズによってのみ磁気装置の厚さは制限される。
【0020】
前記走査照明部のさらに別の実施形態では、走査手段は、電気−光装置および音響−光装置から選ばれた装置を備える。
この種の走査デバイスは高速で、運動部分を持たないため、機械的故障の発生が少なく、また摩耗の影響を受けない。
【0021】
前記走査照明部の同様の利点を有するさらに別の実施形態では、走査手段は、レーザ超小型光源アレイを備え、この走査手段がレーザ超小型光源アレイの列のレーザ超小型光源を順次駆動するコントローラを備える。
好ましくは、レーザ超小型光源アレイは複数の列を有する。
このようにして発生する複数の走査ラインは、スタック式コードを読取るのに特に有利である。
【0022】
さらに、有利な実施形態では、レーザ超小型光源アレイの各列がそれぞれ異なる発光色を有する。
有効な異なる色の複数の走査ラインを有することで、光学コード読取りは、コードとその背景間の色彩コントラストに関して、さらに汎用性が高くなる。
【0023】
前述の各種の走査照明部の実施形態では、走査手段またはレーザ超小型光源は、レーザモジュールの前面からできる限り離れて配置されるのが好ましい。
本明細書において、 “前面”の用語は、読取る光学コードに面しているレーザモジュール面を指す。この用語は、レーザモジュールを内部に備える光学コード読取装置内のレーザモジュールの絶対的な方向を指すと解釈すべきではなく、もとより絶対的な空間方向を指すものでもない。同様に、“背面”、“下面”、“上面”、“側面”などの用語は絶対的な方向を意味すると解釈すべきでなく、前述の前面を基準としたものである。
このように前面からできる限り離れた配置によって、走査幅はすでにレーザモジュール出力においてできる限り大きくなり、レーザモジュールに近接している光学コードの読取りが可能であって、これにより最大限に集光できる。
【0024】
さらに、有利な実施形態では、走査手段は所定の待機状態位置を示し、この待機位置において、走査手段がコード上の少なくとも1つの固定されたレーザスポットにレーザビームを放射する。
回転式または振動式の光反射体を有する回転モータの場合、所定の待機状態位置は、単一のステータ巻線に直流電圧を供給して、またはキャパシタの電荷を除去して設定される。待機状態位置において光反射体は、レーザビームが反射面の中心を照射するように、または多角形本体の場合には2つの反射面が接する角部を照射するように取付けられる。磁気振動装置の場合、所定の待機状態位置は、巻線への電源供給をなくして設定される。電気−光または音響−光装置の場合、所定の待機状態位置は、これら装置の駆動を停止することにより設定される。超小型光源のアレイの場合、アレイ列の中心の光源またはアレイ列の両端の光源をオンにすることにより設定される。これにより、モジュールの起動時に、1つまたは2つのレーザスポットが走査領域の中心またはその両端に発生し、読取る光学コード方向にレーザモジュールの照準を合わせるのに役立つ。
【0025】
この場合、所定の待機状態位置での始動から予め設定された遅延後もしくはレーザをオンにしてから予め設定された遅延後、または2つの位置の切換えの第2位置を介して、走査手段の走査が起動される。これらの他に、2つの別個の始動ボタンを設けてもよい。
【0026】
さらに、安全性の理由から、待機状態位置の走査手段をオンにしてから予め設定された時間間隔後にも走査手段が走査を開始しない場合には、レーザ光源をオフにする手段を設けてもよい。
【0027】
好ましくは、走査レーザ光は高周波数変調される。
これにより、受光部の出力信号において、対象とする部分である変調された信号に含まれる情報を、周辺光によるノイズである変調されない信号に含まれる情報から分離できる。
特に、走査レーザ光を変調して、例えば欧州特許公開第0652530号に記載されているように、光学コードの距離の測定に適する信号を得ることができる。
【0028】
さらに、一般的に受光部は、レーザモジュールの前面近くに少なくとも1つの集光レンズと、集光レンズの焦点位置に少なくとも1つの光検出素子とを備える。
特に、適切な形状および面積を有する単一の集光レンズおよび単一の光検出素子、単一の集光レンズおよび複数の光検出素子、または複数の集光レンズおよび対応する複数の光検出素子を設けることにより、各光検出素子の視野が光学コード走査ラインのみを含むようにすることができる。この場合、各光検出素子の視野は、正方形、長方形または円のような光検出素子自体の形状、および使用している特定のレンズに依存する幾何形状を持つ。
【0029】
一般に、前記少なくとも1つの集束レンズと前記少なくとも1つの光検出素子の間にスリットも設けられている。
このスリットにより、集光によって対象とする光検出領域全体を正確に選択することができ、および/または、さらに、各光検出素子ごとの視野を減少させることができる。
【0030】
複数の光検出素子がある場合、好ましくは、前記走査手段にこれら複数の光検出素子の作動を同期させる手段を設ける。
これにより、信号/雑音比が改良され、レーザモジュールの消費エレルギーが抑えられる。
【0031】
受光部の実施形態では、基本的に平行六面体であり、少なくとも1つの光検出素子がレーザモジュールの背面に近接して配置されている。
これにより、基本的にモジュールの奥行きに等しい長い焦点距離を有する1つ以上のレンズが使用される。長い焦点距離を持つレンズは、コードが極めて大きい距離にある場合だけ完全に焦点を結ぶため、コードが近付く方向に移動するに伴ない形成される像は著しく焦点から外れ、光学コードにより拡散される光エネルギーの大部分が徐々に検出されなくなる。このようにして、近接コードが遠方コードに比べ多量の光を受光し、拡散するという効果が補償される。したがって、光学コードの距離に対する感度を小さくすることができる。さらに、焦点位置が後退していることにより、光検出素子は走査平面に対して傾斜している光線、すなわちコードから拡散した光ではない周辺光(つまりノイズ)を集光しない。
【0032】
さらに、受光部の側面に近接して配置された光検出素子が設けられている。
これにより、走査ラインの端部から拡散される全ての光を効率よく取り込むことができ、周辺光によるノイズを増大させずに受光部の集光効率を高めることができる。
【0033】
さらに好ましい実施形態では、すべての光検出素子が単一の集光レンズの最適焦点曲線に沿って配置される。
別の実施形態では、受光部は、前面と、前面に直交する下面または上面と、これらの間の傾斜面と、直角三角形の形状の側面とを有するチャンバを備え、前記少なくとも1つの集光レンズが前面に配置され、前記少なくとも1つの光検出素子が下面または上面に配置され、さらに傾斜面に内側反射面が設けられている。
【0034】
このような受光部のくさび形状は、各種の理由で有利である。実際、コードにより拡散された光線は集光レンズから内側反射面まで第1の“水平”光路上を伝播し、内側反射面から光検出素子までは第2の“垂直”光路上を伝播する。したがって、奥行きサイズが等しい場合は、平行六面体の受光チャンバよりも長い焦点距離を持つ前述の利点を有するレンズを使用できる。一方、焦点距離が等しい場合は、短い奥行きを持つレーザモジュールの小型化の点で有利な受光チャンバを構成できる。さらに、光検出素子を“水平”配置することにより、レーザモジュールの厚みを大きくすることがなく大きい面積を有する一般に市販されている単一のフォトダイオードを使用することができる。さらに、光検出素子を“水平”配置することにより、“垂直”プリント回路を備える必要が無くなり、反対に単一プリント回路を使用して、走査照明部に電力供給して制御することも可能になる。
【0035】
好ましくは、傾斜面と前面の間の傾斜角度は45°未満である。
さらに好ましくは、内側反射面が受光チャンバの側面にも設けられている。
これにより、走査ラインの端部により拡散される全ての光を効率よく取り込むことができ、周辺光によるノイズを増大させずに受光部の集光効率を高めることができる。
集光効率をさらに改良するために、両側面の間隔を前面から離れる方向に沿ってわずかに狭くする、つまり収束するようにすることができる。
【0036】
一実施形態では、受光チャンバは光学的に透明な材料で製作された一体物である。
これによりチャンバ全体を単一のブロックで製作でき、その結果各面の相対方向を精度よく調整できる。
【0037】
好ましくは、さらに、受光部のすべての実施形態において、前記少なくとも1つの集光レンズは円柱レンズおよび円環体レンズ(トーリックレンズ)から選択される。
このようなレンズは極めて大きい集光効率を持ち、走査ラインに方向には広い視野、かつ走査ラインに直交する方向には狭い視野を与える。すなわち、周辺光の高い除去効果を示す。
【0038】
特に好ましくは、前記少なくとも1つの集光レンズはフレネル円柱レンズである。
これによれば、フレネル円柱レンズが平坦な形状であるため、組立が容易になり有利である。組立は、実際にはフレネル円柱レンズを受光窓に接触させて行う。この結果、前記受光窓によるレンズの遮蔽が生じないために集光効率も高くなる。さらに、このようなレンズは焦点距離とレンズの直径との比が1まで動作できるが、この条件では従来レンズであれば表面の大きい反射によって影響を受けてしまう。
【0039】
さらに、有利な実施形態では、前記少なくとも1つの集光レンズは、高域通過フィルタ特性を持つ着色プラスティック材料から製作される。
材料の色は、走査レーザ光の発光色ならびに光学コードと背景間の色彩コントラストを基にして適切に選択される。これにより、レンズは同時にフィルタとしても作用し、走査レーザ光の波長よりも短い可視波長を吸収する。
この場合、有利な実施形態では、受光部は低域通過特性を持つ一般のガラスフィルタを備える。
これにより、レンズとフィルタの全体コストは、無色レンズと赤色の保護ガラスの従来構成に比べて大幅に削減される。
代わりに、集光レンズの光学的な性質を示さない面が低域通過フィルタ特性を持つように、集光レンズは着色される。
【0040】
一実施形態では、レーザモジュールの横方向寸法をできる限り小さくするため、走査照明部と受光部を積み重ねて配置する。
この場合、コードにより拡散された光を集光するのに有効な前面領域をレーザモジュールの厚みと等しく、できる限り大きくするために、走査照明部が、放射窓面におけるレーザビーム直径にほぼ等しい高さを持つ放射窓を備えることが好ましい。
実際、放射窓高さはできる限り小さく、走査レーザ光の放出が妨害されることがない限界の大きさである。
【0041】
別の実施形態では、レーザモジュールの厚さを最小にするために、走査照明部と受光部を共通平面に配置する。
この場合、走査ライン方向のサイズも制限するために、受光部の光検出素子が走査照明部のモータ手段の前に部分的に延びてもよい。
同様に走査ライン方向のサイズも制限するために、走査手段またはレーザ超小型光源のアレイがレーザモジュールの前面に近接して配置されてもよい。
【0042】
さらに、特に有利な実施形態では、上記両方の実施形態において、レーザモジュールが、受光部の構成部品と走査照明部の構成部品を共通に支持する支持ブロック備える。
これにより、レーザモジュール内部品が小型部品であるために厳密性を必要とする組立作業が容易になる。
同一の目的のために、支持ブロックならびに走査照明部および受光部の構成部品が、所定の位置に構成部品を組立てるための結合手段を有してもよい。これら結合手段として、例えば走査モータのケース、レーザ光源、走査ミラー等に設けられるノッチもしくはスリット、および支持ブロックに設けられる組立タブもしくは留め金具、レンズ、フィルタなどの光学部品を挿入するスリット、またはモータをはめ込み収納するスリット、および多くの箇所で支持ブロックに固定されるのに適する結合手段がある。
【0043】
さらに好ましくは、支持ブロックは、前面に対して横方向に延びる少なくとも1つの壁を有し、この壁が走査レーザ光の伝播から分離されたチャンバを画定する。
これにより、受光部の光検出素子は、走査照明部から直接放射された光から有効に遮蔽される。
【0044】
さらに、好ましくは、支持ブロックは、走査端部における少なくとも1つの分離した光抽出光路と、各抽出光路の先端に配置された光検出素子とを有する。
この場合、光検出素子は走査開始および/もしくは終了信号またはパルスを発生する。この信号またはパルスは光学コード読取装置のデコード部品で使用できる。この読取装置内には、単一の走査、例えば走査ライン内の光学コードの検索を開始するための走査に同期化するために、レーザモジュールが内蔵されている。さらに、この信号は各走査ラインから得られる部分的デコードの再構成を基本とするデコードシステムに特に有効である。最後に、安全性の点より、レーザモジュールまたは走査手段がオンになった後に予め設定した時間内に信号を受信しない場合は、このような信号を使用してすべてのレーザ光源をオフにすることができる。
【発明の効果】
【0045】
以上説明したように、光学コードを読取るレーザモジュールによれば、走査照明部と受光部の構成部品の適切な相対的配置、および特別な構成部品の使用によって、レーザモジュールのサイズを既知のレーザモジュールの一般的サイズよりもさらに大幅に減少させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
本発明の特徴と利点を、添付図面において限定されない例として示されている実施形態を引用して述べる。
【0047】
図1に示すように、本発明によるレーザモジュール1は平行六面体形状であって、ベース面すなわち基壁2、ベース2の長辺からそれぞれ突出している前壁3および後壁4、側壁5,6、ならびに上壁7を有する。このようなモジュール1のサイズは小型のマッチ箱のサイズとほぼ同一であり、20cm3未満の体積である。
【0048】
まず、レーザモジュール1は走査照明部の各構成部品を収納している。これら構成部品は、レーザ光源8または放射源と、図1では鏡面状の側面の部分を少なくとも有する六角形直角プリズムである、光反射体9と、モータ10とから構成されている。
【0049】
光反射体すなわちポリゴンミラー9はモータ10により回転運動をする。放射源8から放射されたレーザビームはミラー9自体の瞬間的な位置に依存する角度に従って、ポリゴンミラー9の反射面によって反射される。その結果、レーザビームはモジュール1の基壁2に平行な走査平面において一定角度を掃引し、放射窓11を介して前壁3から放出される。したがってレーザビームはレーザスポットによって光学コードCを走査する。
【0050】
特に、レーザ放射源8はモジュール1の後壁4に隣接し、またポリゴンミラー9に近接して配置され、レーザ放射源8は中間ミラーを介さずにレーザビームをポリゴンミラー9に直接放射する。これにより、全体寸法をできる限り小さくでき、システムの光学的な位置調整作業を簡単にする。後述するように本発明で必要とされるこのように小型のミラー9は、極めて厳密性を必要とする。
【0051】
好ましくは、レーザ放射源8は、放射源の外側ケースが嵌め合わされる形状の留め金具13aにより壁に固定されているので、レーザ放射源8の位置がレーザモジュール1に対して固定される。
【0052】
周辺光の除去性能を改良するため、レーザ放射源8から発生するビームを高周波数、例えば約40MHzで変調できる。この方法によって、対象とする部分である変調された信号に含まれる情報を、周辺光によるノイズである変調されない信号に含まれる情報から分離できる。
【0053】
さらに、特定の応用対象では、レーザモジュールが組み込まれている光学コード読取装置が、読取装置自体から光学コードまでの距離の測定器として機能するように(これについては例えば欧州特許公開第0652530号に記載されている)、レーザ光を高周波数で変調する。
【0054】
モータ10、例えば直流モータ、ブラシレスモータ、またはステッピングモータは、直径DMが5mm以下で、高さHMが3mm未満のベースを有する円柱形状の本体を有する。光反射体9はモータに取付けられ、好ましくは回転可能に直接結合されている。反射体9は、本実施形態では、直径(対角線)DSが7mm未満、光学的に有効な表面の高さHSが1.5mm未満、重量が0.3g未満のポリゴンミラーである。このような小型のポリゴンミラー9により、ミラー9を100msec未満という極めて短時間の所望の回転速度にする、極めて小さい回転質量、したがって小さい慣性を得ることができる。
【0055】
特に、モータ10とミラー9はモジュール1のベース2に直角な各軸が一致するように、かつ後壁4にできる限り近接するように配置され、それにより放射窓11からできる限り遠方に走査領域を発生するようにする。このような配置により、走査ライン幅は放射窓11位置で既に増大させることが可能である。したがって、放射窓11の外側数cmの距離(約4cm)で既に読み込むべき光学コードCの全体幅をカバーできる。
【0056】
レーザ放射源8と同様に、モータ10と光反射体9の位置がレーザモジュール1内で固定されていることが重要である。したがって、モータ10に円柱状の本体にスリット12またはノッチが設けられて、レーザモジュール1の後壁4から突出する留め金具(クリップ)13に結合され、それによりモータ10の高さをレーザモジュール1に対して固定し、レーザモジュール1のベース2に対するポリゴンミラー9の高さを確定する。ノッチ12と留め金具13は、対をなす固定手段の単なる例と解釈されるものである。
【0057】
モータ10は最低750RPM(回転/分)〜最高8000RPMまで連続的に変化できる回転速度を示し、例えば六角形ベースのポリゴンミラー9の場合、75〜800走査/秒の走査速度が得られる。ポリゴンミラー9の側面の数を変更することにより、時間間隔を長・短に変化できる。したがって、五角形ベースの本体では、62〜660走査/秒となるのに対して、八角形ベースの本体では、100〜1050走査/秒になる。
【0058】
高解像度の光学コード、またはレーザモジュール1から離れているコードの読取りを改良するために、有利な実施形態では、モータ10の速度、つまり光反射体9の速度をリアルタイムで変化できる。実際、極めて細いバーを持つバーコードおよび離れているコードの影響は、電子回路の通過帯域の上限に起因する、バーの集束損失となる。たとえレーザスポットが集束しているとしても、信号は電子回路の限界により減衰する。一般的なポリゴンミラーシステムは回転速度変化に対する応答時間が遅い。しかし、本発明によれば、軽量のポリゴンミラー9を使用するので、必要とされる速度変化への応答を極めて速くすることができる。これにより、コードが高速度走査において読取れない場合は回転速度を低下させて、バーを“拡大”し、同時に電子回路の動作周波数を低下させて減衰を少なくすることができる。電子回路の減衰が小さいと、信号は明確に集束する。さらに、ランプ信号(傾斜信号)を用いてモータを駆動して徐々に動作速度に到達させることにより、始動時に調整性能を利用できる。これにより、高解像度またはバーの変形のために特に読取りの困難なコードの場合、低速度で最初の走査を実行して、デコードが容易になる。
【0059】
走査開始信号を利用して、例えば後述する方法によれば、走査毎または各走査内で部分的に変化する速度パターンを発生するようにモータの制御を実行し、用途特性および電子回路の信号処理能力に応じて読取り速度を調整することが一般に可能になる。
【0060】
モータ10の消費電力を低減させるために、駆動信号にパルス幅変調(PWM)方式を使用するのが有利である。この方式(図2参照)は、連続波(図2では一点鎖線で示す)を用いずに、デューティサイクルつまり起動時間tonと周期ton+toffの比(一般に50%)を持つパルス列を用いてモータの異なる相(一般に3相)を駆動する。これにより、図のように、電源電圧が等しいモータ10の消費電流および結果的にレーザモジュールの消費電力はデューティサイクルに等しい係数で低減する。それ自体が大きいサイズのモータでは知られているが、今までのところレーザモジュールを駆動するのにまだ使用されていないこの装備によって、レーザモジュール1の消費電力は動作電力で70mA未満になる。ポリゴンミラー9の慣性が極めて小さいため、この電力供給方法の利用に起因するモータ10のトルク低下はこれまで述べた性能に影響を与えない。
【0061】
光反射体としてポリゴンミラー9を使用することにより、極めて広い角度の走査を得ることができる。例えば、直径0.6mmのレーザビームが入射する7mmの外径(対角線)DSを有する八角形底面の本体は62°の有効走査角度を可能にし、同一入射ビームで同一外径DSを有する六角形底面の本体は91°の有効走査角度を可能にする等である。理論的には、現に、N面ポリゴンは(360×2/N)度の光学角度をカバーできる。実際には、レーザスポットがポリゴンミラーの各面の端部で切り取られ、2つの隣接面間で“分裂”して、それぞれ読取り目的には適さない一対のスポットを発生するため、この角度は理論値よりも小さくなる。後に詳細に説明するように、このような一対のスポットはコード照準に利用できる。
【0062】
直径を変えずに面の数を減少させると、走査の角度幅が増加するので、短い距離つまりレーザモジュール1の前面に光学コードが近接した状態において特定の走査ライン幅を得ることができる。さらにレーザモジュール1の奥行きを減少させるために、モータを光の出口窓の方向に移動させる。ポリゴンミラー9の面の数を減少させると、同一の時間当り走査数を得るためにはモータ10の回転速度を増加させる必要がある。
【0063】
特有の用途において、複数の積み重なった直線コードから構成されるスタック式の光学コードを読取る場合、一定領域をカバーする多数の層状平行走査ライン(ラスタ)を生成するのが有効である。これは、多角形ベース本体(光反射体9)の各単一面を、軸心に対して異なる角度で傾斜させることにより得られる。図3Aおよび3Bは、それぞれ、六角形ベースの光反射体9の斜視図および平面図である。図3Aにおいて、第1側面911は傾斜しておらず(α1=0)、他の側面912〜916はそれぞれ軸心A−Aに対してα2〜α6の角度で傾斜し、α2<α3<α4<α5<α6の関係が成り立つ。簡単のため、図3Aでは、角度α2〜α6は各側面の表面に対して垂直な角度と軸心に対して垂直な角度との間で示している。もちろん、各側面は図の順番とは異なって配列された傾斜を持つか、または図3Aおよび3Bに示す上面から傾斜しているものではなく、側面の中間部分から傾斜していてもよい。
【0064】
図1に示すレーザモジュール1の受光部の説明に先立ち、光反射体9は、一般的な単一反射面の平面ミラーで構成できることを述べておく価値はある。この場合、モータ10を駆動して、前記角度範囲を定める円弧に沿った交互の振動運動についていくように光反射体9を運動させる。スタック式のコードを読取るために、このような光反射体を、前記振動運動の軸心に直角な軸心まわりに第2運動させることにより、2次元走査が容易に得られる。
【0065】
最小の回転質量を得るように選択されるこのような小型の光反射体9(ポリゴンミラーまたは平面ミラー)では、各反射面のサイズが、そこに入射するレーザスポットのサイズよりわずかに大きい。したがって、前記反射面は、有意な戻り信号(受光部に入ってくる信号)を生成するのに十分な光を集光するのに適しない。本発明によれば、走査照明部と共通の部品を持たない受光部が使用される。この受光部の光学コードにより拡散される光を集光する前面は、既知のレーザモジュールのものに比べてかなり大きい。さらに、前記走査照明部および前記受光部は、空間的に分離している。つまり、照射レーザ光とコードにより拡散された光が全く別の光路を通るように、これら走査照明部および受光部は構成されている。
【0066】
図1に示したレーザモジュール1の受光部の構成部品は、前壁3における受光窓20、ガラス21、集光レンズ22、スリット23、および少なくとも1つの光検出素子24を備えている。光検出素子24として、図1では例として4つのフォトダイオード24を示している。しかし、ガラス21とスリット23は省いてもよい。前述の素子はすべて放射窓11の上方であるレーザモジュール上部に配置され、前述の受光部と走査照明部を分離する水平壁(図示せず)を備えている。
【0067】
さらに、ガラス21は受光窓20に配置され、集光レンズ22はこの窓20のすぐ後ろに配置されて、受光窓20を通して読取るコードCに対面している。
【0068】
他方、光検出素子24とスリット23は、モータ10が占有する空間を妨害しない、できる限り大きい奥行き位置まで、モジュール1の後壁4の方向に後退している。これにより、できる限り大きい開口(f/#、つまりレンズ径に対する焦点距離の比)およびできる限り大きい焦点距離を持つ受光装置の使用が可能になり、その結果戻り信号ができる限り大きくなり、その信号のダイナミックレンジ(動的変化範囲)が減少する。実際、既に知られているように、光検出素子24の受ける戻り信号は光学コードからの距離の自乗に逆比例して変化する。このため、光学コードからできる限り離れた距離で、できる限り多くの光量を集光することが必要である。したがって、前面で集光する集光レンズ22の開口ができる限り大きいことが必要である。他方、集光された信号は長距離からのものが最大である。しかしながら、短距離からは、戻り信号はより強いが、集光される光量はより少ない。例として、レンズ22が、長距離からと短距離からとの両方のコードにより拡散された光をすべて集光すると仮定すると、最大50cmおよび最小5cmの読取り距離に対して、遠距離信号に対する近距離信号の比は(50/5)2=100:1になり、一般的な増幅回路のダイナミックレンジが飽和する。長距離焦点レンズ22は、コードができる限り離れた距離にある場合にだけ完全に集光する一方、コードが近付くにともない、画像の焦点がぼやけて、徐々に増加しているエネルギーの一部がフォトダイオードの感知領域からはみ出す。レーザモジュール1では、焦点距離は6〜10mmとし、モジュール10の奥行きを最大の10mmに保つ必要がある。この利点は、増幅器の信号のダイナミックレンジを許容値にまで減少させることであり、前述の例では、2:1から3:1になる。
【0069】
受光部に使用する集光レンズ22は、球面、回折または好ましくは円環体もしくは円柱レンズにできる。実際、円環体もしくは円柱レンズは、走査ライン方向には広い視野、かつラインの直角方向には狭い視野を有し、本発明に関連する用途では、周辺光の優れた除去効果が得られる。
【0070】
特に好ましい実施形態では、レンズ22はフレネル円柱レンズである。この理由は、平坦な形状によって、組立が特に容易であることによる。さらに、このようなレンズはレンズ径に対する焦点距離の比f/#が最大1まで使用できるが、この条件では従来レンズは表面からの反射がかなり大きい。この手段では、基本的にレンズを受光窓20または接触ガラス21内に組立てて、受光窓20または接触ガラス21がレンズ22を遮蔽しないため、集光効率をさらに向上できる。
【0071】
図4Aおよび4Bは、フレネル円柱レンズ22(図4A)の場合に、集光される光部分25が、図4Bのかなりの損失部分26が存在する円柱レンズまたは円環体レンズの場合に比べて大きいことを示している。
【0072】
受光部のガラス21にフィルタを組み込んで、周辺光により発生するノイズを減少させことができる。このようなフィルタガラス21は従来タイプのガラス、すなわち低域通過特性を持つ着色ガラス、例えば赤色と想定されるレーザ放射の波長よりも長い赤外線光波長を吸収する赤色フィルタにできる。
【0073】
本発明によれば、高域通過特性を持つ着色プラスティック材料からレンズ22を製作できる。この場合、ガラス21は低コストである透明にでき、外部に対する保護エレメントとして作用する。
【0074】
好ましい方法では、さらに、透明ガラス21またはレンズ22自体の光学的に作用しない面に低域通過特性を持たせる。
これらの場合、レンズ22とガラス21の全体コストは、透明レンズ22と色ガラス21の場合に比べて約1/3になる。
【0075】
レンズ22の視野の外側領域、すなわち光学コード上の走査ラインの外側領域から入射する光が受光部の光検出素子24に達する可能性を最小にするために、既に述べたように、受光窓20の位置に対してレンズをレーザモジュール1内のできる限り後方に配置する。
【0076】
このような配置の適切さは、図5Aと従来技術を表す図5Bとを比較することで明らかにできる。実際、図5Aの配置では、視野の外側領域から入射する光は、ここでは単一のフォトダイオード24で表された光検出素子の感知領域の外側に入射する。他方、図5Bに示すように、フォトダイオード24をレンズ22の直後に配置すると、読取る光学コードCの領域からではない、単にノイズを発生させるだけの水平方向に傾斜した傾斜光が光検出素子に到達することになる。
【0077】
円環体または円柱レンズが、焦点に、レンズと同一幅の次々に入射してくるラインである画像を形成し、このラインが極めて細いため、好ましくはフォトダイオード24は幅広で高さは小さい感知領域(例えば高さHFが1.5mm未満、幅LFがレーザモジュール1で有効な最大幅(20〜25mm)に等しい)を持つ。もちろん、フォトダイオード24はレンズ22の焦点位置に配置されている。図5Aの概略図では、点線は基本的に平行六面体の受光チャンバ27を示すが、受光部の追加的な素子、すなわち保護および/またはフィルタ用ガラス21とスリット23は示されていない。
【0078】
このような構造を得るには、単一のフォトダイオードの代わりとして、既に図1で示されているように、単一の光検出素子(例えば、小型フォトダイオード)のバンクまたはアレイを使用できる。
【0079】
集光対象の全体感知領域をより広く正確に選択し、および/またはさらに視野を減少させるには、光検出素子24の前に、これらの構成方法(単一またはアレイであるか)に関係なく、既に図1で示されているような幅広の低いスロット23を配置するのが有利である。
【0080】
図6に示すように、光検出素子24のアレイの場合は、集光のために、集光レンズ22(例えば球面体、円環体、円柱レンズ、選択的にフレネルレンズ)の対応するアレイを適切に使用できる。これにより、光検出素子24ごとの視野Vは、光学コード(図示せず)上の走査ラインLの一部だけを含む。図6では、各光検出素子24の視野Vは楕円形であるが、各光検出素子24の視野Vは光検出素子自体の形状(正方形、長方形または円形)およびレンズ22の形状に依存するのが当然である。
【0081】
さらに、光検出素子24のアレイを受光に使用する場合、戻り信号と読取装置の観測角の両方が増加するように、前記光検出素子をレンズ22に対して配置するのが好ましい。図7Aで明らかなように、光検出素子24をレンズ22を含む面に平行な平面(垂直方向の平面)に一列に並べて配置する場合、視野の端部から入射する光(すなわち、光学コードCの端部からの光)が、レーザモジュール1の側壁、またはモジュール1の受光チャンバ27の側壁(受光部の構成部品)を照射し、いかなる場合でも消失する。フォトダイオードを、例えば受光チャンバ27の側壁に近接させて横方向に配置するか、または図7Bに示すように、光検出素子24を曲線状に配置すると、視野の端部から入射する信号部分を取り込むことができ、これによりシステムの集光効率が増す。特に、曲線は、単一の集光レンズ22の場合には最適焦点曲線に相当する。
【0082】
この方法を前述したレーザモジュール1内でフォトダイオード24をできる限り後退させて配置することに組み合わせることにより、周辺光によるノイズの増加をともなわずに受光信号を増加できる。
【0083】
これに関して、アレイの光検出素子24の動作に同期して回転するステッピングモータ10を使用するのが適切である。いかなる場合にも、制御回路で設定されることによってモータの位置は把握されているため、これによりレーザスポットの位置も把握されている。したがって、コードにより拡散される光が照射する特定の光検出素子24だけを作動させることができる。これにより、自明なエネルギーおよび信号/雑音比は有利になる。
【0084】
図8に示す第2実施形態では、モータ10は厚さが極めて薄く、3mm未満の高さHMを有し、制限された平面部分の大きさ、一般には20mm×20mm以下の正方形に収まる大きさである。図8には、モータのケースすなわちステータ30、巻線31、磁石すなわちロータ32、モータシャフト33、およびモータ10の駆動用の電子回路部品34を示している。
【0085】
前述したモータ10の全体寸法の小型化は、従来のステッピングモータまたはブラシレスモータのサイズの大幅な減少により達成できる。これは、磁石32および巻線31のサイズを減少させる必要を意味するが、モータに取付けられたポリゴンミラー9(または他の光反射体)の質量が十分小さいために、モータの十分なトルクを得ることができることを意味する。
【0086】
モータ10の駆動に関しては、前述の説明が当てはまる。すなわち、パスル幅変調、連続可変速度を用いた駆動が好ましく、またランプ起動によるのが好ましい。
【0087】
さらに、図8には、ポリゴンミラー9で示す光反射体とレーザ光源8とを示しているが、受光部の構成部品は示しておらず、走査照明部上方に納められたチャンバ27(一点鎖線)として概略を示している。代わりに、受光部を走査照明部の下方に収納してもよい。いずれにせよ、前述の説明のすべてがこれらの構成部品に当てはまる。したがって、図8の配置により、受光部の光検出素子24をレーザモジュール1の後面4の方向に後退させることができ、これにより、レンズ22の視野の遮蔽効果を向上させ、焦点距離を延ばすことができる、したがって、前述のように、信号のダイナミックレンジを改良できる。
【0088】
また、本実施形態において、モータ10以外の走査照明部の構成要素に関しても、前述の説明が当てはまる。特に、ポリゴンミラー9を平面ミラーにしてもよく、またいかなる場合も単一の反射面を持つミラーにしてもよい。特に、レーザ読取装置を光学コードCの距離の測定を可能にするために、光放射源8からのレーザ光を高周波数で変調してもよい。
【0089】
さらに、図8の場合も、モータ10、レーザ放射源8、光反射体9の各位置は、このような構成要素とレーザモジュール1のケーシング間を結合手段によって固定するのが好ましい。
【0090】
図8に示した内部磁気モータの代わりに、回転磁気ディスクモータを使用できる。このようなモータは図示していないが、磁石がモータの外部にあり、磁石が交流電流を流す巻線で励磁されることを除いて、構造的には図8のフラットモータとほぼ同一である。このようなモータは磁気ディスクを回転させるモーメントを発生する。このような方法により、例えばシャフト33に沿って挿入することで光反射体9を磁気ディスクと一体化して組立てでき、これにより厚さを大幅に薄くできる。さらに、受光チャンバ27のサイズ、すなわち受光部の構成部品の相互位置、およびレーザ放射源8の位置と放射窓11における走査ラインの幅を、前述のように維持できる。
【0091】
さらに、モータ10を制御する電子回路部品34を上側プレート上に組立てるとともに、前記モータを作動させることによって発生する電磁ノイズを光学的に遮蔽し、その結果受信信号の増幅回路の性能を向上させることができる。厚さは大きくても1〜1.5mm増加するだけである。
【0092】
別の実施形態では、レーザ放射源8で発生したレーザビームを走査するために、単一表面を有する光反射体9と、振動磁気装置から構成されるモータとを使用でき、振動磁気装置の厚さは極めて薄いという利点を有する。
【0093】
このような振動磁気装置40は、例えば、UETP MEMS -Ca Project- Course Micro Actuatr, 1997, B.Schmidt, J.Fluitman,のページ3-7, 3-8に記述された原理に基づくものであり、図9に概略的に示されている。
【0094】
振動磁気装置40は、例えばセラミック製の絶縁基板41上に、例えばニッケル−鉄の磁気材料で作製され、C字形状を持つ、すなわち空隙43を持つたコア42が設けられている。コア42に、銅または他の導電材料で作製された巻線44が巻き付けられている。この巻線44が巻きつけられたコア42は、例えば、B.Rogge, J.Schulz, J.Mohr, A.Thommers, "Magnetic Microactuators Fabricated by the LIGA-Technique for Large Displacements or Large Force(大きい変位または大きい作用力用のLIGA方法で製作された磁気超小型アクチュエータ)", Proc. Actuator '96, Bremen, p.112-115,またはChong H.Ahn, Mark G.Allen, "A fully integrated Surface Micromachined Magnetic Microactuator with a Multilevel Meander Magnetic Core(多様な曲線状の磁気コアを持つ完全一体化表面の超小型マシン化された磁気超小型アクチュエータ)", Journal of MEMS, 2, p.15022, 1993に記載された方法で製作される。
【0095】
さらに、振動磁気装置40は細長い磁性部材45を持つ。磁性部材45は基本的にT字形状であり、T形ステムの端部46で基板41と一体になっている。T字形磁性部材45は磁気コア42に対し、巻線44が励磁されないときは、T字形の上部線(横線)の端部47が磁気コア42の空隙43に近接している(静止位置)が、巻線44が励磁されると、図9に鎖線で示したように空隙方向に引き付けられる。さらに、細長い磁性部材45は共振構造体であり、その固有周波数に等しいかまたは近い周波数を持つ駆動波形で励磁され、固有周波数で振動する。
【0096】
T字形の上部の線(横線)には光反射体9、この場合は単一ミラーが取付けられている。これにより、ミラー9は振動して、レーザ放射源8で発生するレーザビームを走査する。
【0097】
数mmの厚さを持つこのような構造体の製作が可能であるため、振動磁気装置40の厚さは、実際にミラー9に入射するレーザスポットのサイズに等しいまでになり、このレーザスポットのみが走査システム厚さを小さくすることの制限要素となる。このような装置40の厚さサイズが最小0.5〜最大1.5mmの範囲にあり、また基板41が0.5〜1.0mmの厚さにできることを考慮すると、走査モータ全体の走査手段は、振動磁気装置のモータ40および平面ミラー光反射体9から構成され、全体走査モータの厚さはまさに1.0〜2.5mmになる。
【0098】
別の実施形態(図示せず)では、レーザ放射源8で発生するレーザビームを走査するために、振動する光反射体9と組み合わせた静電気振動モータ、または、回転および振動する光反射体9と組み合わせた回転モータを使用できる。
【0099】
振動または回転静電気モータは、基本的に1つのキャパシタまたは多数のキャパシタからなり、キャパシタのプレートが反対または同一の極性で交互に帯電し、その結果、吸引/反発静電気力を発生してプレートを周期的に近付けたり離したりする。キャパシタプレートの特定の実施形態により、このような力は回転または振動運動を発生する。これについては、以下の特許出願において、典型的な具体例で記述され図示されている。すなわち、UETP MEMS-Ca Project-Course Micro Actuators, 1997, B.Schmidt, J.Fluitman, p.3-1, 3-5:W.S.N. Trimmer and K.J.Gabriel, "Design considerations for a practical electrostatic micromotor(実用的な静電気マイクロモータの設計)", Sensors and Actuators, 11(1987), p.189-206:S.Bart, M.Mehregany, L.S.Tavrow, J.H. Lang, S.S.Seturia, "Electric micromotors dynamics(電気マイクロモータ力学)", IEEE Transactions on Electron Devices, 39(1992), p.566-575 : H.Schenk, P. Durr,
H.Kuck, "A novel electrostatically driven torsional actuator(新しい静電気駆動振動ねじりアクチュエータ)", proc. 3rd intl. Conf. On Micro-Opto-Electro-Mechanical Sys., Mainz, Aug. 30th-Sept. 1st, 1999で記述されている。
【0100】
さらに別の実施形態では、レーザ放射源8で発生したレーザビームを走査する手段は、電気−光装置または音響−光装置から構成される。このような走査手段の概略を図10に示す。
【0101】
電気−光装置50は、基本的に、第1媒質51と第2媒質52(例えば、2つのガラスプレートまたは空気プレートとガラスプレート)間の界面と、第1および/または第2媒質に電界を供給する回路53とを備える。電界は、電界を加える媒質の屈折率を変化させる。レーザ放射源8で発生し、第1媒質51を通過したレーザ光ビームは、第2媒質52との界面において制御可能な屈折角で偏向される。図10には、簡単化のために、空気および第1媒質51間と、第2媒質および空気間との屈折を示していない。
【0102】
音響−光装置は、第1および/または第2媒質の屈折率が音響エレルギーによって変化させられる点を除いて、全体としては電気−光装置50と共通している。
【0103】
別の実施形態では、図11に示すように、レーザ超小型光源のアレイ60とこのレーザ超小型光源を駆動するコントローラ61とが設けられている。例として、4列62〜65がそれぞれ10個のレーザ超小型光源66を備えたアレイを概略的に示す。
コントローラ61は、アレイ60の各列62〜65のレーザ超小型光源66を順次駆動して、駆動された列62〜65のそれぞれ1つのレーザ超小型光源66により瞬間的に発生したレーザスポットで光学コードを走査する。
【0104】
したがって、レーザ超小型光源の列は1つで十分(例えば、列62)ではあるが、複数の列が存在するのが好ましい。もちろん、図11における4列という数は、典型的な具体例に過ぎない。これにより、光学コード、特に、スタック式コードの種々の高さ位置に、複数の走査ラインを発生できる。
【0105】
さらに、特に有利な方法では、各列62〜65ごとにレーザ超小型光源66が異なる発光色を持つ。例えば、列62が赤色のレーザ光走査ラインを発生でき、列63が緑色のレーザ光走査ラインを発生でき、他の列についても異なる色を発生できる。レーザモジュールを内蔵する光学コード読取装置のコントローラ61の処理により、光学コード自体の色および背景の色に依存する、例えばバーコードのスペースおよびバーの色に依存する背景の読取りに最適の色で、レーザ走査ラインを用いて光学コードを照明できる。
好ましくは、アレイ60のレーザ超小型光源66をレーザモジュール1の後壁4にできる限り近接して配置することにより、前述のように、放射窓11から出力する走査ラインは長いものとなる。
【0106】
次に、図12および13について説明する。ブロック70は、受光部の構成部品および走査照明部の構成部品の各支持体を単一成形品に組み込んでいるため、特に有利である。支持ブロック70は、図1の実施形態の特定部品を参照して図示されているが、もちろん、適切な改良として説明した他の実施形態でも使用できる。
【0107】
まず、支持ブロック70は周縁部の垂直な脚部71と、水平な隔壁72とを備える。図12で明らかなように、隔壁72の上方には、前脚部71が複数の溝73を有し、その溝内に光学的保護および/またはフィルタガラス21と、集光レンズ22と、光学的スリット23と、光検出素子24が結合された回路とが挿入される。
実際には、受光部は、薄い黒色の柔軟なプラスティックシート(図示せず)により上方部分から分離している、このプラスティックシートは、支持ブロック70の上部ベース上に“置かれ”ており、電子部品を含むプリント回路74の圧力により前記ベース上に押し付けられている。
【0108】
モータ10に対して選択される実施形態によれば、例えば、前述の磁気ディスクモータまたは振動磁気装置などの厚さの薄いモータの場合には、モータ10を隔壁72の上方または下方(図12および13)に収納できる。
【0109】
レーザ8に対するモータ10および光反射体9の高さおよび平面の両方の配置を確実にするために、図12および13に示す留め金具13の代わりとして、図14および15に示すモータ10本体を滑り込ませる円筒形支持体75を設けるのが有利である。前記支持体75は、2本のねじ77で上側のプリント回路74に支持体75の一端部で固定されるためのねじ孔76を有し、支持体75の他端部は、2本のピン78によってブロック70の適切な位置に設けられた2つの孔(図示せず)内に導入できる。この方法により、モータ10を支持ブロック70の4点で固定しているため、衝撃が吸収される。さらに、角度の位置合わせ不良を防止できる。好ましくは、スナップ止めできるような切り取られた構造を使用して、図15に示すように、モータ10を支持ブロック70内に圧入する。
【0110】
図12および13に戻って、支持ブロック70の隔壁72の下方に、レーザ放射源8と、光反射体、例えば図示のポリゴンミラーとを収納している。光反射体は、基本的に、2つの垂直壁80、81で画定された三角形のくぼみの頂部に配置されるのが好ましい。これにより、照明レーザ光を他の構成部品から分離できる。
【0111】
有利な実施形態では、支持ブロック70の下部にも溝82が設けられ、その溝が大きい角度で実行される走査の一部分を選択し、超小型のフォトダイオード83の感知領域に前記走査の一部を伝達する。この超小型のフォトダイオード83は走査開始センサおよびモータ10のフィードバック制御用に使用されるが、これについては後に詳しく説明する。さらに、ポリゴンで反射する光と小型フォトダイオードの感知領域間の結合を容易にするような、例えば、プラスティックプリズムからなる光ガイド(図示せず)を溝82に導入することにより、集光が容易になる。このような光ガイドの端面を拡散面(粗面)にすることにより、フォトダイオード83にかなり大きい位置誤差があっても結合を保証できる。走査開始を検出するための溝82およびフォトダイオード83の代わりまたは追加として、走査終了を検出するために、各フォトダイオードに第2の溝を設けてもよい。
【0112】
溝82によって画定された抽出光路および走査開始フォトダイオード83を設けることは、それ自体大型のスキャナでは既知であり、走査の端部位置に交わる機能を持つ。しかし、前記走査の端部位置は極めて大きい角度に相当するために、一般には使用されない。前記走査の端部位置は、レーザスポットがポリゴンミラーの光反射体の1つの面と隣接して後に続く面との中間に照射される位置か、または平面ミラーの縁端部の位置である。したがって、このようなフォトダイオード83は各走査に対してパルス、または“走査”信号を提供し、その信号は単一の走査の電子回路を同期化し、例えば走査ライン内の光学コードの探索を開始するデコーダで使用される。さらに、このような信号は再構成を基本とするデコードシステムで特に有効である。
【0113】
もちろん、同様に走査開始および走査終了を検知することは、他の前述の実施形態の走査照明部で実現できる。例えば、図11のレーザ超小型光源のアレイ60の場合では、走査開始(終了)信号は、各列62〜65の最初(最後)の超小型光源66の開始に相当する。
【0114】
図16はレーザモジュール1の別の実施形態を示している。このレーザモジュールでは、走査照明部および受光部の各構成部品を共通平面に配置して、モジュールの厚さを大幅に薄くしている。図16では、走査照明部はレーザ放射源8と、光反射体9としての平面ミラーと、モータ10とから構成されていることを示す。しかし、このような単一平面配置は、前述の走査照明部の他の実施形態にも適合する。レーザモジュール1の長さ、すなわち、走査ラインに平行な方向のサイズを制限するために、平面ミラー9とレーザ放射源8はレーザモジュール1自体の前面に近接して配置され、ミラー9は部分的にモータ10の前方に配置される。
【0115】
図16では、受光部は、図17から図19に関して以後に説明する受光チャンバ27または受光チャンバ27aとして概略的に示されている。しかし、レーザモジュール1の長さをさらに減少させるために、光検出素子24もレーザモジュールの前面に近接して配置し、図16の平面ミラー9の配置と同様に、部分的にモータ10の前方に突出している。
図17に示すように、受光チャンバ27aはくさび形状であり、前面90、前面に垂直な下面91、前記両者間の傾斜面92および直角三角形状の側面93、94を備える。
【0116】
集光レンズ22またはレンズシステムが前面90に配置されるのに対し、光検出素子24すなわち1つのフォトダイオードが下面91に配置される。傾斜面92は、前面90に対して最大傾斜角度45°を有し、内側反射面95を備えている。一点鎖線の矢印で示すように、コードCにより拡散された光線は前面90から受光チャンバ27aに入り、レンズ22を通り、水平光路セグメントを通過して傾斜面92の内側反射面95に達する。この内側反射面95で、拡散光線は下方に反射され、光検出素子24方向の第2垂直セグメントをカバーする。
【0117】
このようなくさび形状の受光チャンバ27aでは、平行六面体受光チャンバと奥行きサイズPが等しい場合に、平行六面体受光チャンバに比べて焦点距離の長いレンズを使用できる。焦点距離の長いレンズは前述の利点を有する。別の観点からは、レンズ22の焦点距離が等しいときは、平行六面体受光チャンバに比べて、受光チャンバ27に対して浅い奥行きPを有する受光チャンバ27aを製作することができ、レーザモジュールの小型化の面で利点を持つ。さらに、光検出素子24を水平配置することにより、受光チャンバ27aおよびこれによるレーザモジュール1の厚さへの悪影響もないので、大きい面積を持つ市販フォトダイオードを使用できる。さらに、光検出素子24を水平配置することにより、前述の他の実施形態で必要とするような、素子を制御し、素子からの出力電気信号を受信する垂直プリント回路を備える必要が無くなる。逆に、走査照明部にパワーを供給し、制御するために必要な部品および端子を同一プリント回路上に設けることもできる。このようなプリント回路が、例えば図16のレーザモジュール1のベースを形成してもよい。
【0118】
光学コードCの走査ラインの端部から拡散されて到達する光を取り込むには、周辺光によるノイズを増加させることなく集光効率を増加させるために、受光部27aの側面93、94に内側反射面96を設けてもよい。
集光効率をさらに改良するには、図18の平面図に示すように、受光部27aの側面93、94の間隔を前面91から離れる方向にわずかに狭くする。
【0119】
図17の実施形態では、受光チャンバ27aは中空であり、チャンバ27aの面90、92および任意の面93、94、91は、レンズ22、ミラー95、96およびフォトダイオード24から構成される。
【0120】
別の実施形態では、図19に示すように、受光部27aは、前述のようなくさび形状の光学的に透明な材料のブロック97で構成され、傾斜面92にミラー特性を有する。側面93、94にもミラー特性を有してもよい。これにより、各面の相互の向きは、さらに容易に調整可能となる。
【0121】
図16を用いて走査照明部の構成部品の同一平面への配置に関して述べてきたが、このようなくさび形状の受光チャンバ27aの前記利点によって、走査照明部の上方または下方でこのチャンバ27aを使用するのが有利であることは明らかである。この場合、くさび形状の受光チャンバ27aは、図17〜19の方向に対して上下逆に組立てるのが好ましく、すなわち走査照明部からの分割面である上部に、底面91を配置する。
【0122】
本発明にかかる光学コードを読取るためレーザモジュール1の実際の用途では、読取りを開始する前に、オペレータが光学コードに照準を定めることができるのが有用である。これは、モータ10のシャフト(回転軸)に対して所定の位置に走査する光反射体9を組み合わせることにより達成され、その結果、開始時にモータ10を適切に駆動して、光反射体9を入射レーザビームに対して所定の位置に配置する。
【0123】
前述の回転モータすべては、回転部分(ロータ)の特定数(少なくとも1つ)の磁気双極子と、ステータの特定数の巻線により特徴付けされる。ロータの磁気双極子の数を1つにまで減少できると仮定する。次に、開始時に、1つだけのステータ巻線に直流が供給されると仮定すると、ロータは一義的位置に配置される。したがって、光反射体をロータに対して所定の位置に組立てることができる。ステータ巻線も外側ケースおよび各ピンに対して所定の位置に配置されるため、プリント回路上にモータを組み合わせて、プリント回路に対して、すなわちレーザビームの到来方向に対して巻線が常に所定の位置にあるようにする。組立作業は以下の順序に従う。
【0124】
巻線が入射レーザビームに対して予め設定された位置にあるように、ピンを用いてモータをプリント回路上に組立てる。次に、巻線には直流が供給され、それによりロータ磁気双極子は直流供給された巻線の極性に対して一直線上に並ぶ。この角度位置にあるロータでは、光反射体は走査ラインの中心に固定スポットを発生するか、または入射レーザビーム位置に端部を持つように取付けられたポリゴンミラーの場合には、走査ラインの端部に2つのスポットを発生するような方向に組み合わされる。
【0125】
このように固定されると、同一巻線が電力供給される度に、光反射体は同一位置に来る。このようにして、効果的な照準が可能になる。レーザビームを走査するために、モータの始動に対するレーザ光源のこのような待機状態を可能にするように、別個の始動ボタン、単一の2つの位置間の切換え、または予め設定された遅延が設けられる。さらに、安全性の理由から、レーザ発生開始から所定の時間内にモータが回転開始しない場合のレーザの自動遮断を設けることができる。
【0126】
同様の装備は、前述の他の走査照明部にも容易に具現化できる。振動磁気装置40の場合には、巻線に電力供給をしないことにより待機状態位置を設定できる。電気−光もしくは音響−光装置50の場合には、前記装置への駆動がなされないことにより、また超小型光源アレイ60の場合には、列の中心光源または両端の光源の発光開始により、待機状態位置を設定できる。
【0127】
最後に、前述の実施形態すべてにおいて、C−MOSタイプの光検出素子24が使用される場合には、すべてのセンサ制御論理、ディジタル化論理、デコード論理を同一チップ上に一体化できる。これにより、システムのサイズおよびコストはさらに削減する。
【0128】
構成部品数を減少させるために、光検出素子24で発生した信号を総合的にディジタル処理できる専用集積回路を実現することができる。このような回路はアナログ/ディジタルコンバータを有し、サンプリングされたアナログ信号をディジタル処理回路に供給する。これにより、ディジタル化に要求されるすべてのアナログ部品は必要とされず、単一の専用ディジタルチップで置き換えられる。
経済的理由と組立の簡単化のために、前記集積回路はモータ制御に必要なすべての回路を含んでもよい。
【0129】
本発明のレーザモジュール1を組み込む光学コード読取装置にかかる別の好ましい実施形態では、すでに市場に存在する製品との互換性の理由のために必要とされるディジタル化出力と、デコード出力との両方を提供できる回路が設けられている。これにより、極めて小型で低価格の読取装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる光学コードを読取るレーザモジュールの一部破断した概略斜視図を示す。
【図2】図1のレーザモジュールのレーザ光源にパワー供給するのに好ましい信号を示す図である。
【図3A】図1のレーザモジュールにおける“スタック式”コードの読取りに有効な光反射体の斜視図である。
【図3B】図3Aの光反射体の平面図である。
【図4A】図1のレーザモジュールにおける集光レンズの縦断面図である。
【図4B】図4Aとは異なるタイプの集光レンズの縦断面図である。
【図5A】図1のレーザモジュールにおける光検出素子の配置を示す図である。
【図5B】従来のレーザモジュールにおける光検出素子の配置を示す図である。
【図6】図1のレーザモジュールにおける光検出素子のアレイおよび対応する集光レンズのアレイの概略を示す図である。
【図7A】図1のレーザモジュール用のフォトダイオードの配置例を示す概略平面図である。
【図7B】図7Aとは異なる配置例を示す概略平面図である。
【図8】本発明の別の実施形態にかかるレーザモジュールの斜視図である。
【図9】図8のレーザモジュールの振動モータの概略斜視図である。
【図10】図8のレーザモジュールの走査照明部の別の実施形態の概略図である。
【図11】図8のレーザモジュールの走査照明部のさらに別の実施形態の概略正面図である。
【図12】図8のレーザモジュール部品の支持ブロックの上方から見た斜視図である。
【図13】図12の支持ブロックの下方から見た斜視図である。
【図14】図12のレーザモジュールの支持体の斜視図であって、収納されたモータがない場合を示す斜視図である。
【図15】図12のレーザモジュールの支持体の斜視図であって、収納されたモータがある場合を示す斜視図である。
【図16】本発明のさらに別の実施形態にかかるレーザモジュールの概略斜視図を示す。
【図17】図16のレーザモジュールの受光部の別の実施形態を示す概略斜視図である。
【図18】図17の受光部の横断面図である。
【図19】図16のレーザモジュールの受光部のさらに別の実施形態を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0131】
1…レーザモジュール、8…光源、9…光反射体、10,40…モータ手段、20〜24,27,27a…受光部、50…電気−光装置および音響−光装置、60…レーザ超小型光源アレイ、61…コントローラ、911〜916…光反射体の側面、C…光学コード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学コードを読取る小型レーザモジュール(1)であって、
レーザビームを発生する少なくとも1つの光源(8;60)、およびレーザスポットを用いて読取る光学コード(C)を走査する手段(9,10;40;50;60,61)を有する走査照明部と、
前記コード(C)により拡散される光の少なくとも一部分を集光し、集光した光を検出する受光部(20〜24;27;27a)とを備え、
前記受光部と前記走査照明部とは空間的に分離されているレーザモジュール(1)。
【請求項2】
請求項1において、前記走査手段(9,10;40;50;60,61)はモータ手段(10;40)およびこのモータ手段で可動する光反射体(9)を有し、前記光反射体(9)がレーザビームを受光および偏向するように可動するレーザモジュール(1)。
【請求項3】
請求項2において、前記光反射体(9)の走査平面に垂直方向のサイズ(HS)が、1.5mm未満であるレーザモジュール(1)。
【請求項4】
請求項2または3において、前記モータ手段(10;40)が連続的な可変角速度を提供するレーザモジュール(1)。
【請求項5】
請求項4において、前記モータ手段(10;40)は、起動時にランプ信号を用いて駆動されるレーザモジュール(1)。
【請求項6】
請求項2ないし5のいずれかにおいて、前記モータ手段(10;40)がブラシレスモータおよびステッピングモータから選ばれたモータを備えるレーザモジュール(1)。
【請求項7】
請求項6において、前記モータ(10)の高さ(HM)が9mm未満であるレーザモジュール(1)。
【請求項8】
請求項7において、前記モータ(10)の高さ(HM)が6mm未満であるレーザモジュール(1)。
【請求項9】
請求項8において、前記モータ(10)の高さ(HM)が3mm未満であるレーザモジュール(1)。
【請求項10】
請求項2ないし5のいずれかにおいて、前記モータ手段(10;40)が回転磁気ディスクモータを備え、光反射体(9)がこの磁気ディスクモータに直接支持されているレーザモジュール(1)。
【請求項11】
請求項2ないし5のいずれかにおいて、前記モータ手段(10;40)が静電モータを備えるレーザモジュール(1)。
【請求項12】
請求項2ないし11のいずれかにおいて、前記モータ手段(10;40)がパルス幅変調を用いて駆動されるレーザモジュール(1)。
【請求項13】
請求項2ないし12のいずれかにおいて、前記光反射体(9)が多角形本体の少なくとも1つの側面(911〜916)を備え、前記光反射体(9)は前記モータ手段(10)によって回転運動させられるレーザモジュール(1)。
【請求項14】
請求項13において、前記多角形本体の前記側面(911〜916)は、軸心に対してそれぞれ異なる角度(α1〜α6)で傾斜しているレーザモジュール(1)。
【請求項15】
請求項2ないし12のいずれかにおいて、前記光反射体(9)が単一の面を備え、前記光反射体(9)が円弧に沿った交互の振動運動に追随するレーザモジュール(1)。
【請求項16】
請求項15において、前記モータ手段(10;40)が振動磁気装置(40)を備えたレーザモジュール(1)。
【請求項17】
請求項16において、前記振動磁気装置(40)が、共通絶縁基板(41)上に、
導線(44)が巻かれ、空隙(43)を有する磁気コア(42)と、
前記磁気コア(42)の前記空隙(43)に向かう方向および前記空隙(43)から離れる方向に振動する自由端部(47)を有し、前記光反射体(9)を保持する細長い磁性部材(45)とを備えたレーザモジュール(1)。
【請求項18】
請求項1において、前記走査手段(9,10;40;50;60,61)が電気−光装置および音響−光装置から選ばれた装置(50)を備えたレーザモジュール(1)。
【請求項19】
請求項1において、前記走査照明部がレーザ超小型光源(66)のアレイ(60)を備え、前記走査手段(9、10;40;50;60、61)が、前記アレイ(60)の列(62〜65)の前記レーザ超小型光源(66)を順次駆動するコントローラ(61)を備えたレーザモジュール(1)。
【請求項20】
請求項19において、前記レーザ超小型光源(66)の前記アレイ(60)が複数の列(62〜65)を備えたレーザモジュール(1)。
【請求項21】
請求項20において、前記アレイ(60)のレーザ超小型光源(66)の各列(62〜65)がそれぞれ異なる発光色を有するレーザモジュール(1)。
【請求項22】
請求項1ないし21のいずれかにおいて、前記走査手段(9,10;40;50)またはレーザ超小型光源(60)が、レーザモジュール(1)の前面(3)から可能な限り離れて配置されているレーザモジュール(1)。
【請求項23】
請求項1ないし22のいずれかにおいて、前記走査手段(9,10;40;50;60,61)が所定の待機状態位置を示し、この待機位置において、前記走査手段が少なくとも1つの固定されたコード(C)のレーザスポットにレーザビームを放射するレーザモジュール(1)。
【請求項24】
請求項1ないし23のいずれかにおいて、走査用の前記レーザビームが高周波数で変調されるレーザモジュール(1)。
【請求項25】
請求項24において、前記レーザビームを変調して、光学コード距離の測定に適する信号を得るレーザモジュール(1)。
【請求項26】
請求項1ないし25のいずれかにおいて、前記受光部が、レーザモジュール(1)の前面近くに少なくとも1つの集光レンズ(22)と、集光レンズ(22)の焦点位置に少なくとも1つの光検出素子(24)とを備えたレーザモジュール(1)。
【請求項27】
請求項26において、前記少なくとも1つの集光レンズ(22)と前記少なくとも1つの光検出素子(24)の間にスリット(23)が存在するレーザモジュール(1)。
【請求項28】
請求項26または27において、複数の光検出素子(24)と、前記走査手段(9,10;40;50;60,61)を用いて前記複数の光検出素子(24)の作動を同期化させる手段(82,83)とを備えたレーザモジュール(1)。
【請求項29】
請求項26ないし28のいずれかにおいて、前記受光部が基本的に平行六面体(27)であり、前記少なくとも1つの光検出素子(24)がレーザモジュール(1)の背面(4)に近接して配置されているレーザモジュール(1)。
【請求項30】
請求項29において、前記受光部が、さらに、前記受光部の側面に近接して配置された光検出素子(24)を備えたレーザモジュール(1)。
【請求項31】
請求項30において、前記受光部が、単一の集光レンズ(22)の最適焦点曲線に沿って配置される複数の光検出素子(24)を備えたレーザモジュール(1)。
【請求項32】
請求項26ないし28のいずれかにおいて、前記受光部が、前面(90)と、この前面に直交する下面または上面(91)と、これら(90,91)の間の傾斜面(92)と、直角三角形状の側面(93、94)と、前記前面(90)に配置された前記少なくとも1つの集光レンズ(22)と、前記下面または上面(91)に配置された前記少なくとも1つの光検出素子とを有するチャンバ(27a)を備え、前記傾斜面(92)に内側反射面が設けられているレーザモジュール(1)。
【請求項33】
請求項32において、前記傾斜面(92)と前面(90)の間の傾斜角度が45°よりも小さいレーザモジュール(1)。
【請求項34】
請求項32または33において、前記内側反射面(96)が受光チャンバ(27a)の前記側面(93,94)に設けられているレーザモジュール(1)。
【請求項35】
請求項34において、前記両側面(93,94)の間隔が前記前面(90)から離れる方向に沿ってわずかに狭くなっているレーザモジュール(1)。
【請求項36】
請求項32ないし35のいずれかにおいて、前記受光チャンバ(27a)が、光学的に透明な材料(97)で製作された一体物であるレーザモジュール(1)。
【請求項37】
請求項26ないし36のいずれかにおいて、前記少なくとも1つの集光レンズ(22)が、円柱レンズおよび円環体レンズから選択されるレーザモジュール(1)。
【請求項38】
請求項37において、前記少なくとも1つの集光レンズ(22)が、フレネル円柱レンズであるレーザモジュール(1)。
【請求項39】
請求項26ないし35のいずれかにおいて、前記少なくとも1つの集光レンズ(22)が、高域通過フィルタ性能を持つ着色プラスティック材料から製作されているレーザモジュール(1)。
【請求項40】
請求項39において、前記受光部が、低域通過特性を持つ一般のガラスフィルタ(21)を備えているレーザモジュール(1)。
【請求項41】
請求項39において、前記集光レンズ(22)の光学的に作用しない面が、低域通過特性を持つように着色されているレーザモジュール(1)。
【請求項42】
請求項1ないし41のいずれかにおいて、前記走査照明部と受光部が、積み重ねて配置されているレーザモジュール(1)。
【請求項43】
請求項36において、前記走査照明部が、放射窓(11)面におけるレーザビーム直径にほぼ等しい高さを有する放射窓(11)を備えているレーザモジュール(1)。
【請求項44】
請求項1ないし41のいずれかにおいて、前記走査照明部と前記受光部が、共通平面に配置されているレーザモジュール(1)。
【請求項45】
請求項44おいて、前記受光部の前記少なくとも1つの光検出素子(24)が、前記走査照明部のモータ手段(10;40)の前に部分的に延びているレーザモジュール(1)。
【請求項46】
請求項44または45において、前記走査手段(9;50)または前記レーザ超小型光源の前記アレイ(60)が、前記レーザモジュールの前記前面(3)に近接して配置されているレーザモジュール(1)。
【請求項47】
請求項1ないし46のいずれかにおいて、さらに、前記受光部の構成部品と前記走査照明部の構成部品を共通に支持する支持ブロック(70)を備えたレーザモジュール(1)。
【請求項48】
請求項47において、前記支持ブロック(70)ならびに前記走査照明部および前記受光部の構成部品が、所定の位置に構成部品を組立てための結合手段(12,13,13a,76〜78)を有するレーザモジュール(1)。
【請求項49】
請求項47または48において、前記支持ブロック(70)が、前記走査用のレーザビームの伝播から分離されたチャンバを画定するように、前記前面(3)に対して横方向に延びる少なくとも1つの壁(80,81)を有するレーザモジュール(1)。
【請求項50】
請求項47または49において、前記支持ブロック(70)が、走査端部における少なくとも1つの分離された光抽出光路(82)を有し、光検出素子(83)が各抽出光路(82)の先端に配置されているレーザモジュール(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−193364(P2007−193364A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−103545(P2007−103545)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【分割の表示】特願2001−329520(P2001−329520)の分割
【原出願日】平成13年10月26日(2001.10.26)
【出願人】(599068887)データロジック・エス・ピー・エー (2)
【氏名又は名称原語表記】DATALOGIC S.p.A.
【Fターム(参考)】