説明

光学フィルム、その製造方法、およびこれを含む液晶表示装置

【課題】
【解決手段】本発明は、光学フィルム、その製造方法、およびこれを含む液晶表示装置に関する。より具体的には、本発明に係る光学フィルムは、アセチルセルロース系基材、液晶配向層、および液晶フィルムを含み、前記液晶配向層は、光反応性重合体に追加的に架橋反応が可能な官能基を有したモノマーを導入することにより、アセチルセルロース系基材と液晶配向層、液晶配向層と液晶フィルムとの間に強い接着力を維持させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルム、その製造方法、およびこれを含む液晶表示装置に関する。
【0002】
本出願は2008年1月18日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2008−0005838号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
一般的に、位相差フィルム、視野角補償フィルムなどの光学フィルムは、偏光板と液晶表示素子との間に挿入して、液晶ディスプレイ(LCD)装置の色相変化を減らし、視野角を拡大し、輝度を向上させるなどの用途として用いられている。このような用途として用いるための光学フィルムには、大きく、高分子フィルムを延伸して光学異方性を付与した延伸フィルムとプラスチック基材上に重合性液晶化合物を塗布して乾燥し紫外線を照射して硬化させることによって製造される液晶フィルムの光学異方性を利用したものが提案されている。特に、液晶フィルムは、液晶分子の模様によって棒状液晶と円盤状液晶に分けることができ、この中、棒状液晶は、平面(planar)、垂直(homeotropic)、傾斜(tilted)、スプレイ(splay)、コレステリック(cholesteric)などの様々な配向形態が存在するため、延伸フィルムを介して得ることのできない光学性質を提供することができる。したがって、延伸フィルムに重合性液晶化合物を直接塗布して前記の様々な液晶配向特性を付加するのであれば、偏光板偏光素子の保護フィルムと延伸フィルムだけでは実現し難い光学補償フィルムの役割を同時に提供することができる。
【0004】
このような液晶フィルムは、通常、プラスチック基材上にポリイミドまたはポリビニルアルコールなどの配向剤を塗布して配向層を形成させ、これを一定方向にラビングした後、再び重合性液晶化合物を塗布して配向させることによって製造される。しかし、上記のように配向層を用いる場合には、液晶フィルムとの接着力が不足するため、高温多湿な環境においては、液晶フィルムが剥離したり収縮したりするなどの問題が発生し得る。その上、ラビングを用いた方法においては、ラビング時の摩擦によって静電気やスクラッチなどが発生し易く、ラビング布などから微細なホコリが発生するなどの問題を避けることができない。
【0005】
したがって、このようなラビング方法の問題点を解決するための努力として非接触式液晶配向方法が研究されており、その中、光照射を利用して液晶配向層を製造する光配向法が提案されている。この時、液晶を配向させるための光配向層物質としては、シンナメート基、クマリン基、カルコン基などの光二量化反応によるもの、アゾベンゼン基を含む高分子の光異性化反応によるもの、およびポリイミド高分子の光分解反応によるものなどが報告されているが、一般的に熱的安定性または光安定性などが脆弱であり、分解生成物による汚染が発生し得る。
【0006】
また、通常、重合性液晶化合物を用いた位相差フィルム、視野角補償フィルム、輝度向上フィルムなどを製造するためには、プラスチック基材上に配向層を形成することが一般的であるが、前記過程によって製造された配向層組成物であっても使用可能なプラスチック基材の種類に制限がある。
【0007】
韓国公開特許第2002−0068195号(特許文献1)にはポリメタアクリル系重合体からなる光配向層の使用について開示されているが、前記文献に記載された高分子の場合、移動度が落ちるため、長時間の光照射にもかかわらず、配向特性や表面強度が落ちるなどの短所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第2002−0068195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、前記問題点を解決するためのものであり、基材、液晶配向層、および液晶フィルムを含む光学フィルムであって、基材と液晶配向層、液晶配向層と液晶フィルムとの間の接着力に優れた光学フィルム、その製造方法、およびこれを含む液晶表示装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は、
1)アセチルセルロース系フィルムの基材、
2)前記基材上に形成され、a)シンナメート基を含むノルボルネン系光反応性重合体、下記化学式1で示される単位体を含む光反応性重合体および下記化学式2で示される単位体を含む光反応性重合体からなる群から選択された1種以上を含む光反応性重合体、b)前記光反応性重合体と架橋反応可能な多官能性モノマー、c)光開始剤、およびd)有機溶媒を含む液晶配向層組成物から形成される液晶配向層、および
3)前記液晶配向層上に形成された液晶フィルム
を含む光学フィルムを提供する。
【0011】
【化1】

【0012】
【化2】

【0013】
また、本発明は、
1)アセチルセルロース系フィルムの基材上に、a)シンナメート基を含むノルボルネン系光反応性重合体、前記化学式1で示される単位体を含む光反応性重合体および前記化学式2で示される単位体を含む光反応性重合体からなる群から選択された1種以上を含む光反応性重合体、b)前記光反応性重合体と架橋反応可能な多官能性モノマー、c)光開始剤、およびd)有機溶媒を含む液晶配向層組成物を塗布および乾燥した後に紫外線を照射して液晶配向層を形成するステップ、および
2)前記液晶配向層上に、重合性液晶化合物、光開始剤、および有機溶媒を含む液晶化合物溶液を塗布および乾燥した後に紫外線を照射するステップ
を含む光学フィルムの製造方法を提供する。
【0014】
また、本発明は前記光学フィルムを含む液晶表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る光学フィルムは、基材と液晶配向層、液晶配向層と液晶フィルムとの接着力に優れるため、光学フィルムの耐久性を向上させることができる。また、高温多湿な環境においても、液晶フィルムが液晶配向層から剥離したり収縮したりするなどの問題点を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例1によって製造された配向層上に形成された平面配向液晶フィルムの視野角に応じた位相差分布を示す図である。
【図2】本発明の実施例3によって製造された配向層上に形成されたスプレイ配向液晶フィルムの視野角に応じた位相差分布を示す図である。
【図3】本発明の実施例4によって製造された配向層上に形成されたコレステリック配向液晶フィルムの透過率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0018】
本発明に係る光学フィルムは、1)アセチルセルロース系フィルムの基材、2)前記基材上に形成され、a)シンナメート基を含むノルボルネン系光反応性重合体、前記化学式1で示される単位体を含む光反応性重合体および前記化学式2で示される単位体を含む光反応性重合体からなる群から選択された1種以上を含む光反応性重合体、b)前記光反応性重合体と架橋反応可能な多官能性モノマー、c)光開始剤、およびd)有機溶媒を含む液晶配向層組成物から形成される液晶配向層、および3)前記液晶配向層上に形成された液晶フィルムを含む。
【0019】
本発明に係る光学フィルムにおいて、前記1)アセチルセルロース系フィルムは特に制限されず、当技術分野で一般的に用いられるアセチルセルロース系フィルムを用いることができる。例えば、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムなどを用いることができるが、これだけに限定されるものではない。
【0020】
本発明に係る光学フィルムにおいて、前記2)液晶配向層組成物のうちの光反応性重合体は、数平均分子量が10,000〜500,000であるものを用いることが好ましい。
【0021】
前記シンナメート基を含むノルボルネン系光反応性重合体は、下記化学式3で示される単位体を含むことができる。
【0022】
【化3】

【0023】
前記化学式3において、
nは50〜5,000であり、
R1およびR2のうちの少なくとも1つは下記化学式4で示され、
残りは水素、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル基および下記化学式4の基からなる群から選択され、
【0024】
【化4】

【0025】
前記化学式4において、R3は、各々独立に、水素、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基およびアリルオキシ基からなる群から選択される。
【0026】
前記シンナメート基を含むノルボルネン系光反応性重合体としてはポリノルボルネンシンナメート、ポリノルボルネンアルコキシシンナメート(アルコキシ基は炭素数1〜20)、ポリノルボルネンアリルオイルオキシシンナメート、ポリノルボルネンフッ素化シンナメート、ポリノルボルネン塩素化シンナメートおよびポリノルボルネンジシンナメートからなる群から選択されたいずれか1つ以上を用いることができるが、これらだけに限定されるものではない。
【0027】
本発明に係る光学フィルムにおいて、前記シンナメート基を含むノルボルネン系光反応性重合体は、下記化学式5〜化学式10で示される単位体のうちのいずれか1つ以上を含むことがより好ましい。
【0028】
【化5】

【0029】
【化6】

【0030】
【化7】

【0031】
前記化学式5〜化学式10において、nは50〜5,000である。
【0032】
前記光反応性重合体の含有量は、前記液晶配向層組成物全体に基づいて0.1〜20重量%であることが好ましく、0.1〜10重量%であることがより好ましい。前記含有量が0.1重量%未満である場合には、被層の厚さが小さすぎるために良好な配向層を得ることができず、20重量%を超過する場合には、被層の厚さが大きすぎるために良好な配向層を得ることができない。
【0033】
本発明に係る光学フィルムにおいて、前記2)液晶配向層組成物のうちの多官能性モノマーは前記光反応性重合体と共に用いられ、紫外線照射時、光反応性重合体の二量化反応の他に追加的な架橋反応を誘導する役割を果たす。
【0034】
前記架橋反応は、光反応性重合体内の架橋反応、光反応性重合体と多官能性モノマーとの間の架橋反応、および光反応性重合体と液晶分子との間の架橋反応の全てを含む。
【0035】
シンナメート基は、偏光された紫外線が照射されれば偏光紫外線の垂直方向に整列する特性があるが、全体シンナメート基のうちの一部だけ反応が進行され、残りは未反応した状態で残るようになる。本発明において、基材と液晶配向層、液晶配向層と液晶フィルムとの間の付着力を増進させる方法は、前記未反応状態で残っているシンナメート基を活用するものである。すなわち、光開始剤および多官能性モノマーが投入され、未反応状態のシンナメート基同士間またはシンナメート基と多官能性モノマーとの間に架橋反応が誘導され、今後の液晶配向層上に塗布される液晶分子との架橋反応も誘導される。
【0036】
本明細書において、前記「多官能性」の意味は官能基を2つ以上含むものとして定義する。
【0037】
前記官能基は、ラジカルによって架橋反応および重合反応の役割を果たし、炭素間二重結合を含むものであればその種類は特に制限されない。例えば、代表的な官能基としてアクリレート基が挙げられるが、これだけに限定されるものではない。
【0038】
前記多官能性モノマーは、下記構造式からなる群から選択されたラジカル反応を生じる官能基(炭素間二重結合)を含む多官能性モノマーであることが好ましい。
【0039】
【化8】

【0040】
前記多官能性モノマーの具体的な例としては、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリアリルオキシ−1,3,5−トリアジン、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリス[2−(アクリロイルオキシ)エチル]イソシアヌレート、テトラシアノエチレンオキシド、トリアリル1,3,5−ベンゼントリカルボキシレート、(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メチル2−アセトアミドアクリレート、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(アクリルアミド)、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、ポリ(メラミン−co−ホルムアルデヒド)、2−カルボキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、モノ−2−(アクリロイルオキシ)エチルサクシネート、ビニルアクリレート、3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール1,3−ジグリセロレートジアクリレート、トリ(プロピレングリコール)グリセロレートジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ−/ヘキサ−アクリレート、2−(2−オキソ−イミダゾリジニル)エチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルエステル、モノ−2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルマレート、1,2,3−トリアゾール−4,5−ジカルボン酸、3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオール、ビス[4−(グリシジルオキシ)フェニル]メタン、2−ビニル−1,3−ジオキソランなどが1種または2種以上含まれ得る。
【0041】
前記多官能性モノマーはジペンタエリスリトールヘキサアクリレートまたはトリス[2−(アクリロイルオキシ)エチル]イソシアヌレートであることがより好ましいが、これらだけに限定されるものではない。
【0042】
前記多官能性モノマーの含有量は、前記液晶配向層組成物全体に基づいて0.1〜20重量%であることが好ましい。前記含有量が0.1重量%未満である場合には追加的な架橋反応の効果がなく、20重量%を超過する場合には配向能力を失うために好ましくない。
【0043】
本発明に係る光学フィルムにおいて、前記2)液晶配向層組成物のうちの光開始剤は、ラジカル反応を誘導できるものであればいずれも用いることができる。例えば、前記光開始剤としてα−ヒドロキシケトン系、α−アミノケトン系、フェニルグリオキシレートなどが挙げられるが、これらだけに限定されるものではない。
【0044】
前記光開始剤の含有量は、前記液晶配向層組成物全体に基づいて0.01〜5重量%であることが好ましく、0.01〜2重量%であることがより好ましい。前記含有量が0.01重量%未満である場合には追加的な架橋反応の効果を期待することができず、5重量%を超過する場合には配向能力が顕著に減少するために好ましくない。
【0045】
本発明に係る光学フィルムにおいて、前記2)液晶配向層組成物のうちの有機溶媒としてはエーテル系、芳香族系、ハロゲン系、オレフィン系、およびケトン系からなる群から選択された1種または2種以上の有機溶媒を用いることができる。より具体的には、シクロペンタノン、クロロベンゼン、N−メチルピロリドン、トルエン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフランなどを用いることができるが、これらだけに限定されるものではない。
【0046】
本発明に係る光学フィルムにおいて、前記3)液晶フィルムは重合性液晶化合物を含む。
【0047】
前記重合性液晶化合物は、光によって周辺の液晶モノマーと重合され、液晶ポリマーを形成するネマチック液晶またはコレステリック液晶が用いられ得る。
【0048】
一般的に重合性液晶化合物は、配向性のあるプラスチック基材またはプラスチック基材に配向層組成物を塗布して固定した配向層上に等方性状態で塗布された後、乾燥および硬化過程で重合反応によってネマチック規則性またはコレステリック規則性を有する液晶に相転移され、特定方向に配向される特性があり、よって、他の層を積層しても配向が変化しない。
【0049】
本発明に係る光学フィルムにおいて、前記重合性液晶化合物は、光反応によって重合可能なアクリレート基を有する物質が1種以上用いられることが好ましい。前記アクリレート基を有する物質としては、シアノビフェニル系アクリレート、シアノフェニルシクロヘキサン系アクリレート、シアノフェニルエステル系アクリレート、安息香酸フェニルエステル系アクリレート、フェニルピリミジン系アクリレート、およびこれらの混合物などのような、室温または高温においてネマチックまたはコレステリック液晶相を示す低分子液晶が挙げられる。
【0050】
本発明に係る光学フィルムは光学異方性の特徴を有し得るし、液晶表示装置用の位相差フィルム、偏光層保護フィルムなどとして用いることができる。
【0051】
また、本発明に係る光学フィルムの製造方法は、1)アセチルセルロース系フィルムの基材上に、a)シンナメート基を含むノルボルネン系光反応性重合体、前記化学式1で示される単位体を含む光反応性重合体および前記化学式2で示される単位体を含む光反応性重合体からなる群から選択された1種以上を含む光反応性重合体、b)前記光反応性重合体と架橋反応可能な多官能性モノマー、c)光開始剤、およびd)有機溶媒を含む液晶配向層組成物を塗布および乾燥した後に紫外線を照射して液晶配向層を形成するステップ、および2)前記液晶配向層上に、重合性液晶化合物、光開始剤、および有機溶媒を含む液晶化合物溶液を塗布および乾燥した後に紫外線を照射するステップを含む。
【0052】
本発明に係る光学フィルムの製造方法において、前記1)ステップにおいて、アセチルセルロース系フィルムの基材上に液晶配向層組成物を塗布する方法は、当技術分野で通常的に実施できる方法であればいずれもよく、アセチルセルロース系フィルムの基材上に800〜2,000Å程度の厚さで均一に塗布できることが好ましい。
【0053】
前記1)ステップにおいて、アセチルセルロース系フィルムの基材上に液晶配向層組成物を塗布した後、残存溶媒を除去するために25〜150℃で少なくとも30秒間乾燥する。前記乾燥温度が25℃未満である場合には、十分に乾燥されないために染みが生じるか、残存溶媒の影響により配向性能が低下し、150℃を超過する場合には、基材の変形を招くために好ましくない。
【0054】
乾燥が完了した後、所定方向に線偏光された紫外線を0.5秒以上照射することにより、所望の任意の方向に配向を付与することができる。これは、液晶配向層を構成する光反応性重合体などが紫外線照射による二量化(環状付加)反応により、紫外線偏光板(ワイヤーグリッド偏光板)の透過軸に垂直した方向(吸収軸)に1次分子配向を誘導するようになる。したがって、照射する紫外線の偏光方向を調節する場合、配向層の配向方向を任意の所望の角度に調節することができ、よって、今後の液晶配向層上に塗布される重合性液晶化合物の光軸を基材の進行方向に対して任意の角度に調節することができる。
【0055】
本発明に係る光学フィルムの製造方法において、前記2)ステップの液晶化合物溶液は、重合性液晶化合物および光開始剤を有機溶媒に溶解させて製造することができる。前記液晶化合物溶液のうちの重合性液晶化合物の含有量は特に制限されるものではないが、全体液晶化合物溶液100重量部当たり5〜70重量部が好ましく、5〜50重量部がより好ましい。前記重合性液晶化合物の含有量が5重量部未満である場合には染みの発生が酷くなり、70重量部を超過する場合には溶媒の量が少ないために重合性液晶化合物が析出される。
【0056】
前記液晶化合物溶液には光開始剤が少量含まれる。前記光開始剤の含有量は、全液晶化合物溶液のうちの重合性液晶化合物100重量部当たり3〜10重量部であることが好ましい。前記光開始剤の含有量が3重量部未満である場合には紫外線照射時に十分な硬化が起こらず、10重量部を超過する場合には光開始剤の影響によって液晶配向が変わる。
【0057】
また、前記液晶化合物溶液には、光開始剤の他にも、液晶配向を妨げない限り、キラル剤、界面活性剤、重合性モノマー、ポリマーなどが添加され得る。
【0058】
前記液晶化合物溶液の製造時、有機溶媒としてはクロロホルム、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼンなどの芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどのケトン類;イソプロピルアルコール、n−ブタノールなどのアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類;などを用いることができるが、これらだけに限定されるものではなく、単一または混合物の形態で用いることができる。
【0059】
前記液晶配向層上に液晶化合物溶液を塗布した後には乾燥過程を経る。乾燥温度は25〜120℃が好ましく、乾燥時間は少なくとも1分が好ましい。前記乾燥温度は液晶の配向位置姿勢に重要な要因となり、前記の温度範囲および時間範囲から脱する場合には、液晶の配向に影響を及ぼし得るし、染みなどが発生し得る。
【0060】
前記乾燥過程を経た後、液晶配向層上に配向された液晶層は、紫外線照射を通じ、重合し、硬化させることによって固定される。この時、重合による硬化は、紫外線領域の波長を吸収する光開始剤の存在下でなされる。紫外線照射は、大気中あるいは反応効率を上げるために酸素を遮断した窒素雰囲気下で行うことができる。通常、紫外線照射器は80w/cm以上の強さを有する中圧あるいは高圧の水銀紫外線ランプ、またはメタルハライドランプが使われ得る。紫外線照射時、液晶層の表面温度が液晶状態を有する温度範囲内になるように、基材と紫外線ランプとの間にコールドミラーやその他の冷却装置を設けることもできる。
【0061】
また、本発明は前記光学フィルムを1つまたは2つ以上含む液晶表示装置を提供する。
【0062】
本発明に係る光学フィルムは、液晶表示装置用光学補償部材として好適に用いられる。その例としては、STN(Super Twist Nematic)型LCD、TFT−TN(Thin Film Transistor−Twisted Nematic)型LCD、VA(Vertical Alignment)型LCD、IPS(In−Plane Switching)型LCDなどの位相差フィルム;1/2波長板;1/4波長板;逆波長分散特性フィルム;光学補償フィルム;カラーフィルタ;偏光板との積層フィルム;偏光板補償フィルムなどが挙げられる。
【0063】
前記光学フィルムを1つまたは2つ以上含む液晶表示装置についてより具体的に見てみれば次の通りである。
【0064】
液晶セルおよび該液晶セルの両面に各々備えられた第1偏光板および第2偏光板を含む液晶表示装置において、光学フィルムは前記液晶セルと前記第1偏光板および/または第2偏光板との間に備えられてもよい。すなわち、第1偏光板と液晶セルとの間に光学フィルムが備えられてもよく、第2偏光板と液晶セルとの間、または第1偏光板と液晶セルとの間と第2偏光板と液晶セルとの間の全てに光学フィルムが1つまたはそれ以上備えられてもよい。
【0065】
前記第1偏光板および第2偏光板は一面または両面に保護フィルムを含むことができる。前記内部保護フィルムとしてはトリアセテートセルロース(TAC)フィルム、開環メタセシス重合(ring opening metathesis polymerization;ROMP)により製造されたポリノルボルネン系フィルム、開環重合された環状オレフィン系重合体を再び水素添加して得たHROMP(ring opening metathesis polymerization followed by hydrogenation)重合体、ポリエステルフィルム、または付加重合(addition polymerization)により製造されたポリノルボルネン系フィルムなどであってもよい。この他にも透明な高分子材料から製造されたフィルムを保護フィルムなどとして用いることができるが、これらだけに限定されるものではない。
【0066】
また、本発明は、偏光層を含み、前記偏光層の一面または両面に本発明に係る光学フィルムを保護フィルムとして1つまたはそれ以上含む一体型偏光板を提供する。
【0067】
本発明に係る光学フィルムが前記一体型偏光板内の保護フィルムとして適用される場合、偏光層と接する面は本発明の光学フィルムの基材面であってもよく、液晶フィルム面であってもよい。
【0068】
偏光層の一面だけに位相差フィルムが備えられる場合、残りの他面には当技術分野に知られた保護フィルムが備えられてもよい。
【0069】
前記偏光層としてはヨウ素または二色性染料を含むポリビニルアルコール(PVA)からなるフィルムを用いることができる。前記偏光層はPVAフィルムにヨウ素または二色性染料を染着させて製造することができるが、その製造方法は特に限定されない。本明細書において、偏光層は保護フィルムを含まない状態を意味し、偏光板は偏光層と保護フィルムを含む状態を意味する。
【0070】
本発明の一体型偏光板において、保護フィルムと偏光層は当技術分野に知られている方法によって貼り合わせることができる。
【0071】
例えば、保護フィルムと偏光層との貼り合わせは、接着剤を用いた接着方式によってなされてもよい。すなわち、先ず、偏光層の保護フィルムまたは偏光層であるPVAフィルムの表面上に、ロールコータ、グラビアコータ、バーコータ、ナイフコータまたはキャピラリコータなどを使って接着剤をコーティングする。接着剤が完全に乾燥される前に保護フィルムと偏光層を貼り合わせロールで加熱圧着するか、常温圧着して貼り合わせる。ホットメルト型接着剤を用いる場合には加熱圧着ロールを使わなければならない。
【0072】
前記保護フィルムと偏光板を貼り合わせる時に使用可能な接着剤としては一液型または二液型のPVA接着剤、ポリウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、スチレンブタジエンゴム系(SBR系)接着剤またはホットメルト型接着剤などが挙げられるが、これらだけに限定されるものではない。ポリウレタン系接着剤を使う場合、光によって黄変しない脂肪族イソシアネート系化合物を用いて製造したポリウレタン系接着剤を利用することが好ましい。一液型または二液型のドライラミネート用接着剤またはイソシアネートとヒドロキシ基との反応性が比較的に低い接着剤を使う場合には、アセテート系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤または芳香族系溶剤などにより薄められた溶液型接着剤を使うこともできる。この時、接着剤の粘度は5,000cps以下の低粘度型が好ましい。前記接着剤は、貯蔵安定性に優れつつも、400〜800nmにおける光透過度が90%以上であることが好ましい。
【0073】
十分な粘着力を発揮できるのであれば粘着剤も使うことができる。粘着剤は、貼り合わせ後、熱または紫外線によって十分に硬化が起こって機械的強度が接着剤レベルに向上されることが好ましく、界面接着力も大きくて粘着剤が付着された両側フィルムのうちのいずれか一方が破壊されずには剥離しない程度の粘着力を有することが好ましい。
【0074】
使用可能な粘着剤の具体的な例としては、光学透明性に優れた天然ゴム、合成ゴムまたはエラストマ、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルキルエーテル、ポリアクリレートまたは変性ポリオレフィン系粘着剤などと、これにイソシアネートなどの硬化剤を添加した硬化型粘着剤が挙げられる。
【0075】
また、本発明は前記一体型偏光板を含む液晶表示装置を提供する。
【0076】
本発明に係る液晶表示装置が前述した一体型偏光板を含む場合にも、本発明に係る光学フィルム1枚以上を偏光板と液晶セルとの間にさらに含むことができる。
【実施例】
【0077】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。但し、下記の実施例は本発明をより容易に理解するために提供されるだけであって、これによって本発明の内容が限定されるものではない。
【0078】
<実施例1>
下記表1のように、光反応性重合体である5−ノルボルネン−2−メチル−(4−メトキシシンナメート)と、多官能性モノマーであるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、および光開始剤であるイルガキュア907(スイス、Ciba−Geigy社)をトルエンに各々2重量%、2重量%、0.5重量%の濃度で溶解し、前記組成で調製した液晶配向層塗工液を厚さ80マイクロンのアセチルセルロース基材上に乾燥後の厚さが1,000Åになるように塗布した後、70℃乾燥オーブンで2分間熱風乾燥して液晶配向層を形成した。
【0079】
前記液晶配向層は、光源として80w/cm強さの高圧水銀ランプを使い、Moxtek社のワイヤーグリッド偏光板を利用し、基材の進行方向と垂直した偏光紫外線が出るように設置して、3m/分の速度で1回露光させることによって配向性を付与した。
【0080】
前記液晶配向層上に、シアノビフェニル系アクリレート、シアノフェニルシクロヘキサン系アクリレート、およびシアノフェニルエステル系アクリレートからなる平面配向可能な重合性液晶化合物(Merck)95重量%と光開始剤であるイルガキュア907(スイス、Ciba−Geigy社)5重量%が混合された固形分を全体溶液100重量部当たり含有量が25重量部になるようにトルエンに溶解して製造した液晶化合物塗工液を乾燥後の厚さが1マイクロンになるように塗布し、60℃乾燥オーブンで2分間熱風乾燥した後、80w/cm強さの高圧水銀ランプで、非偏光紫外線を3m/分の速度で1回露光させ、硬化させることによって液晶フィルムを製造した。
【0081】
よって、最終的には、アセチルセルロース基材、前記基材上に形成された液晶配向層と前記液晶配向層上に形成された液晶フィルムの順に積層された光学フィルムを得ることができた。
【0082】
各層間結合力、言い換えれば、アセチルセルロース基材と液晶配向層、液晶配向層と液晶フィルムとの間の接着力は、ASTMで規定するcross−cut試験方法を利用して評価し、液晶配向層上に形成された液晶フィルムの光学特性は複屈折測定装置であるAxoscan(Axomatrix社製)を使って定量的な位相差値を測定した。
【0083】
【表1】

【0084】
<実施例2>
下記表2のように、多官能性モノマーであるジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの代わりに、トリス[2−(アクリロイルオキシ)エチル]イソシアヌレートを用いたことを除いては、前記実施例1と同じ方法によって液晶フィルムを製造した。
【0085】
【表2】

【0086】
<実施例3>
シアノビフェニル系アクリレート、シアノフェニルシクロヘキサン系アクリレート、およびシアノフェニルエステル系アクリレートからなる平面配向可能な重合性液晶化合物の代わりに、シアノビフェニル系アクリレート、シアノフェニルシクロヘキサン系アクリレート、およびシアノフェニルエステル系アクリレートからなるスプレイ配向可能な重合性液晶化合物(Merck)を用いたことを除いては、前記実施例1と同じ方法によって液晶フィルムを製造した。
【0087】
<実施例4>
シアノビフェニル系アクリレート、シアノフェニルシクロヘキサン系アクリレート、およびシアノフェニルエステル系アクリレートからなる平面配向可能な重合性液晶化合物の代わりに、シアノビフェニル系アクリレート、シアノフェニルシクロヘキサン系アクリレート、シアノフェニルエステル系アクリレート、安息香酸フェニルエステル系アクリレート、フェニルピリミジン系アクリレートからなるコレステリック配向可能な重合性液晶化合物(Merck、Basf)を用いたことを除いては、前記実施例1と同じ方法によって液晶フィルムを製造した。
【0088】
<実施例5>
液晶配向層の製造時、偏光紫外線の方向が基材の進行方向に対して15度になるように照射したことを除いては、前記実施例1と同じ方法によって液晶フィルムを製造した。
【0089】
<実施例6>
液晶配向層の製造時、偏光紫外線の方向が基材の進行方向に対して75度になるように照射したことを除いては、前記実施例1と同じ方法によって液晶フィルムを製造した。
【0090】
<実施例7>
光反応性重合体として、5−ノルボルネン−2−メチル−(4−メトキシシンナメート)の代わりに、5−ノルボルネン−2−メチル−(4−フルオロシンナメート)を用いたことを除いては、前記実施例1と同じ方法によって液晶フィルムを製造した。
【0091】
<実施例8>
光反応性重合体として、5−ノルボルネン−2−メチル−(4−メトキシシンナメート)の代わりに、5−ノルボルネン−2−メチル−(4−アリルオキシシンナメート)(化学式6で示される化合物)を用いたことを除いては、前記実施例1と同じ方法によって液晶フィルムを製作した。
【0092】
<実施例9>
光反応性重合体として、5−ノルボルネン−2−メチル−(4−メトキシシンナメート)の代わりに、5−ノルボルネン−2−メチル−シンナメート(化学式5で示される化合物)を用いたことを除いては、前記実施例1と同じ方法によって液晶フィルムを製作した。
【0093】
<比較例1>
下記表3のように、液晶配向層組成物において、多官能性モノマーと光開始剤を除いた5−ノルボルネン−2−メチル−(4−メトキシシンナメート)だけからなる組成物を用いたことを除いては、前記実施例1と同じ方法によって液晶フィルムを製造した。
【0094】
【表3】

【0095】
<比較例2>
下記表4のように、液晶配向層組成物において、5−ノルボルネン−2−メチル−(4−メトキシシンナメート)の代わりに、5−ノルボルネン−2−メトキシ−ヘキシルアクリレートを用いたことを除いては、前記実施例1と同じ方法によって液晶フィルムを製造した。
【0096】
【表4】

【0097】
<平面配向の位相差確認>
図1は、前記実施例1によって製造された配向層上に形成された平面配向液晶フィルムの視野角に応じた位相差分布を示すものである。図1から確認できるように、視野角が変化することにより、前記平面配向液晶フィルムの位相差が良好に分布していることが分かる。
【0098】
<スプレイ配向の位相差確認>
図2は、前記実施例3によって製造された配向層上に形成されたスプレイ配向液晶フィルムの視野角に応じた位相差分布を示すものである。図2から確認できるように、視野角が変化することにより、前記スプレイ配向液晶フィルムの位相差が良好に分布していることが分かる。
【0099】
<コレステリック配向の透過率確認>
図3は、前記実施例4によって製造された配向層上に形成されたコレステリック配向液晶フィルムの透過率を示すものである。図3から確認できるように、各波長帯別に液晶がコレステリック配向されていることが分かる。
【0100】
<配向性および接着性確認>
実施例1〜9および比較例1〜2による液晶フィルムの配向性と、基材と配向層との間の接着性、配向層と液晶との間の接着性を評価し、その結果を下記表5に示す。配向性の評価は、全く配向されない場合(X)、若干の偏差を含んで配向される場合(△)、および偏差なしで配向される場合(○)を基準にして実施した。接着性は、ASTM規格に従い、ナイフで液晶フィルムの表面に1mm間隔で碁盤のような線状にクロス−カット(cross−cut)した後、その上にセロハンテープを貼り、それを剥がれる時についているか否かを判断したものであり、(○)は完全についている場合を、(X)は碁盤模様の間が部分的に剥離するかまたは完全に剥離する場合を示したものである。
【0101】
【表5】

【0102】
<配向層の熱安定性確認>
実施例1〜9および比較例1〜2によって製作された光配向層を100℃乾燥オーブンに48時間以上放置し、前記配向層上に重合性液晶化合物を置いて配向性および接着性を調べることによって配向層の熱安定性を確認し、下記表6に示す。配向性の評価は、全く配向されない場合(X)、若干の偏差を含んで配向される場合(△)、および偏差なしで配向される場合(○)を基準にして実施した。接着性は、ASTM規格に従い、ナイフで液晶フィルムの表面に1mm間隔で碁盤のような線状にクロス−カット(cross−cut)した後、その上にセロハンテープを貼り、それを剥がれる時についているか否かを判断したものであり、(○)は完全についている場合を、(X)は碁盤模様の間が部分的に剥離するかまたは完全に剥離する場合を示したものである。
【0103】
【表6】

【0104】
前記結果から、本発明に係る光学フィルムは、基材と液晶配向層、液晶配向層と液晶フィルムとの接着力に優れ、光学フィルムの耐久性を向上させることが分かる。したがって、高温多湿な環境においても、液晶フィルムが液晶配向層から剥離したり収縮したりするなどの問題点を解決することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)アセチルセルロース系フィルムの基材、
2)前記基材上に形成され、a)シンナメート基を含むノルボルネン系光反応性重合体、下記化学式1で示される単位体を含む光反応性重合体および下記化学式2で示される単位体を含む光反応性重合体からなる群から選択された1種以上を含む光反応性重合体、b)前記光反応性重合体と架橋反応可能な多官能性モノマー、c)光開始剤、およびd)有機溶媒を含む液晶配向層組成物から形成される液晶配向層、および
3)前記液晶配向層上に形成された液晶フィルム
を含む光学フィルム:
【化9】

【化10】

【請求項2】
前記a)光反応性重合体は、数平均分子量が10,000〜500,000であることを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記シンナメート基を含むノルボルネン系光反応性重合体は、下記化学式3で示される単位体を含むことを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルム:
【化11】

前記化学式3において、
nは50〜5,000であり、
R1およびR2のうちの少なくとも1つは下記化学式4で示され、
残りは水素、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル基および下記化学式4の基からなる群から選択され、
【化12】

前記化学式4において、R3は、各々独立に、水素、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基およびアリルオキシ基からなる群から選択される。
【請求項4】
前記シンナメート基を含むノルボルネン系光反応性重合体は、ポリノルボルネンシンナメート、ポリノルボルネンアルコキシシンナメート(アルコキシ基は炭素数1〜20)、ポリノルボルネンアリルオイルオキシシンナメート、ポリノルボルネンフッ素化シンナメート、ポリノルボルネン塩素化シンナメートおよびポリノルボルネンジシンナメートからなる群から選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項5】
前記シンナメート基を含むノルボルネン系光反応性重合体は、下記化学式5〜化学式10で示される単位体のうちから選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルム:
【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

前記化学式5〜化学式10において、nは50〜5,000である。
【請求項6】
前記a)光反応性重合体の含有量は、前記液晶配向層組成物全体に基づいて0.1〜20重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項7】
前記b)多官能性モノマーは、下記構造式からなる群から選択されたラジカル反応を生じる官能基を含む多官能性モノマーであることを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルム:
【化19】

【請求項8】
前記b)多官能性モノマーは、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリアリルオキシ−1,3,5−トリアジン、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリス[2−(アクリロイルオキシ)エチル]イソシアヌレート、テトラシアノエチレンオキシド、トリアリル1,3,5−ベンゼントリカルボキシレート、(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メチル2−アセトアミドアクリレート、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(アクリルアミド)、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、ポリ(メラミン−co−ホルムアルデヒド)、2−カルボキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、モノ−2−(アクリロイルオキシ)エチルサクシネート、ビニルアクリレート、3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール1,3−ジグリセロレートジアクリレート、トリ(プロピレングリコール)グリセロレートジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ−/ヘキサ−アクリレート、2−(2−オキソ−イミダゾリジニル)エチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルエステル、モノ−2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルマレート、1,2,3−トリアゾール−4,5−ジカルボン酸、3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオール、ビス[4−(グリシジルオキシ)フェニル]メタン、および2−ビニル−1,3−ジオキソランからなる群から選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項9】
前記b)多官能性モノマーの含有量は、前記液晶配向層組成物全体に基づいて0.1〜20重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項10】
前記c)光開始剤の含有量は、前記液晶配向層組成物全体に基づいて0.01〜5重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項11】
前記d)有機溶媒は、エーテル系、芳香族系、ハロゲン系、オレフィン系、およびケトン系溶媒からなる群から選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項12】
前記3)液晶フィルムは、ネマチック液晶またはコレステリック液晶の重合性液晶化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項13】
前記3)液晶フィルムは、シアノビフェニル系アクリレート、シアノフェニルシクロヘキサン系アクリレート、シアノフェニルエステル系アクリレート、安息香酸フェニルエステル系アクリレート、フェニルピリミジン系アクリレート、およびこれらの混合物からなる群から選択された重合性液晶化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項14】
1)アセチルセルロース系フィルムの基材上に、a)シンナメート基を含むノルボルネン系光反応性重合体、下記化学式1で示される単位体を含む光反応性重合体および下記化学式2で示される単位体を含む光反応性重合体からなる群から選択された1種以上を含む光反応性重合体、b)前記光反応性重合体と架橋反応可能な多官能性モノマー、c)光開始剤、およびd)有機溶媒を含む液晶配向層組成物を塗布および乾燥した後に紫外線を照射して液晶配向層を形成するステップ、および
2)前記液晶配向層上に、重合性液晶化合物、光開始剤、および有機溶媒を含む液晶化合物溶液を塗布および乾燥した後に紫外線を照射するステップ
を含む光学フィルムの製造方法:
【化20】

【化21】

【請求項15】
前記1)ステップの液晶配向層の厚さは800〜2,000Åであることを特徴とする、請求項14に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項16】
前記2)ステップの重合性液晶化合物の含有量は、全液晶化合物溶液100重量部当たり5〜70重量部であることを特徴とする、請求項14に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項17】
前記2)ステップの光開始剤の含有量は、全液晶化合物溶液のうちの重合性液晶化合物100重量部当たり3〜10重量部であることを特徴とする、請求項14に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項18】
前記2)ステップの有機溶媒は、ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類、アルコール類、およびセロソルブ類からなる群から選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項14に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項19】
請求項1〜13のうちのいずれか一項の光学フィルムを1つまたは2つ以上含む液晶表示装置。
【請求項20】
偏光層を含み、前記偏光層の一面または両面に請求項1〜13のうちのいずれか一項の光学フィルムを保護フィルムとして1つまたは2つ以上含むことを特徴とする一体型偏光板。
【請求項21】
請求項20の一体型偏光板を含む液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−511957(P2011−511957A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543064(P2010−543064)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【国際出願番号】PCT/KR2009/000274
【国際公開番号】WO2009/091227
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】