説明

光学フィルムの製造方法

【課題】コンパクトな装置による斜め方向に配向を有する均質な光学フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】フィルムをその略長手方向に走行する両把持部間の相対移動により延伸する光学フィルムの製造方法であって、一の把持部6の走行速度を他の把持部8の走行速度より速くし、一の把持部6と他の把持部8が略同一の方向に走行する第1ステージs1、他の把持部8がフィルムの面方向外側に向けて斜向する方向に走行し、一の把持部6と他の把持部8との間隔が漸増する第2ステージs2、他の把持部8がフィルムの面方向内側に向けて斜向する方向に走行し、一の把持部6と他の把持部8との間隔が一の把持部6の走行方向に漸増しまたは変わらない第3ステージs3、一の把持部6と他の把持部8が略平行に走行する第4ステージs4をこの順に設ける光学フィルムの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相差板などに有用な斜め配向のフィルムを均質で効率よく製造できる光学フィルムの製造方法に関する。斜め配向はフィルムの長手方向(あるいは幅方向)に対して斜めに構造が配向することをいう。
【背景技術】
【0002】
テレビ、パソコンなどのフラットパネルディスプレイとして液晶ディスプレイ(LCD)が広く用いられている。液晶ディスプレイでは位相差フィルムを用い位相差を補償し、楕円偏光を直線偏光に戻すことなどが行われる。位相差フィルムは、着色防止や視野角拡大等の光学補償などを目的にLCDを形成する偏光板等に接着して用いられ、偏光板の透過軸に対し配向軸を種々の角度で設定することが求められる。従来は、一軸延伸したフィルムから、その配向軸が辺に対して所定の傾斜角度となるように周辺を打ち抜いて裁断する方式がとられており、収率の低さが問題となっていた。
【0003】
この課題を解決するために、配向軸の傾斜角度を種々変更できて、斜め配向の位相差板に用いる延伸フィルムの製造方法としてテンターを用い縦横方向に左右異なる速度の送り力で延伸することにより、配向軸に傾斜角度をつける斜め延伸の方法がある((例えば、特許文献1〜4参照)が、フィルムの幅方向の物性を均一にすることは極めて困難である。すなわち、テンター内においてフィルムの両側縁部は把持手段により把持されているのに対し、フィルム中央部分は把持手段による拘束力が比較的弱いので、横延伸による縦方向の収縮によって中央部分が移動する傾向がある。これにより、延伸前のフィルム面の直線がフィルム進行方向に向かって凹形の曲線に変形する現象が生ずる。この現象が延伸中のシワの発生やフィルムの幅方向の物性、特に配向角分布などの光学的特性を不均一にする原因となっており、斜め延伸においてはこの現象の影響が顕著で、従来の方法では目標の光軸傾斜を得るため延伸倍率を大きくすると均一な延伸が行われにくい。
【0004】
また、左右の送り速度を同じにしてテンターの進行方向を途中で把持間隔を拡張したのち両側の把持軌跡を1回折り曲げて進行させる方法(例えば、特許文献5参照)も開示されているが、装置の走行方向が途中で急激に折れ曲がるため直線的な装置レイアウトとならず、装置が複雑で機械幅方向の占有スペースも大きくなり、従来の直線走行型のテンターと同じ程度にコンパクトな装置による均質な斜め延伸が求められている。さらに、折れ曲がる位置でフィルムに剪断力が大きく作用するので処理中にシワが生じやすい。また、左右の送り速度を同じにしてテンターの進行方向を途中で片側の把持軌跡を山形に曲げて進行させる方法(例えば、特許文献6参照)も開示されているが目標の光軸傾斜を得るため延伸倍率を大きくすると均一な延伸が行われにくい。
【0005】
このため、従来の直線走行型のテンターと同じ程度にコンパクトな装置による均質な斜め延伸の方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
[特許文献1]特開平3−182701号公報
[特許文献2]特開2000−9912号公報
[特許文献3]特開平1−237601号公報
[特許文献4]特開2003−342384号公報
[特許文献5]特開2008−110573号公報
[特許文献6]特開2002−86554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、コンパクトな装置による斜め方向に配向を有する均質な光学フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の要旨とするところは、連続供給されるフィルムの幅方向両縁部それぞれをフィルムの略長手方向に走行する一の把持部と他の把持部で把持して両把持部間の相対移動により延伸する光学フィルムの製造方法であって、
前記一の把持部の走行速度を前記他の把持部の走行速度より速くし、
前記一の把持部と前記他の把持部がフィルムの送り込み方向と略同一の方向に走行する第1ステージ、
前記他の把持部が、第1ステージでの走行方向に対してフィルムの面方向外側に向けて斜向する方向に走行し、前記一の把持部と前記他の把持部との間隔が前記一の把持部の走行方向に漸増する第2ステージ、
前記他の把持部が第1ステージでの走行方向に対してフィルムの面方向内側に向けて斜向する方向に走行し、前記一の把持部と前記他の把持部との間隔が前記一の把持部の走行方向に漸増しまたは変わらない第3ステージ、
前記一の把持部と前記他の把持部が前記送り込み方向と略平行に走行する第4ステージ
をフィルムの進行方向にこの順に設ける
光学フィルムの製造方法であることにある。
【0009】
前記光学フィルムの製造方法においては、
前記一の把持部の走行速度を前記他の把持部の走行速度より0.5〜5.0%速くすることも好ましい。
【0010】
前記光学フィルムの製造方法においては、光学フィルムが前記第2ステージを通過する間に、前記一の把持部と前記他の把持部との間隔が該第2ステージの最上流での間隔に対して5〜50%増加し、かつ該他の把持部が、前記第1ステージでの走行方向に対してフィルムの面方向外側に向けて2〜20度斜向する方向に走行することも好ましい。
【0011】
前記光学フィルムの製造方法においては、前記第2ステージでの斜向角と前記第3ステージでの斜向角の差が0〜15度であることも好ましい。
【0012】
また、本発明の要旨とするところは、処理対象フィルムに対して前記光学フィルムの製造方法による延伸処理を複数回繰り返す光学フィルムの製造方法であり、1回目の延伸処理時に前記一の把持部で把持された側の縁部を、2回目以降の前記延伸処理時に、前記一の把持部に把持させる光学フィルムの製造方法であることにある。
【0013】
前記光学フィルムの製造方法においては、
さらに、前記第3ステージと前記第4ステージとの間に、
前記他の把持部が、前記第1ステージでの走行方向に対してフィルムの面方向外側に向けて斜向する方向に走行し、前記一の把持部と前記他の把持部との間隔が前記一の把持部の走行方向に漸増する他の第2ステージ、
前記他の把持部が前記送り込み方向に対してフィルムの面方向内側に向けて斜向する方向に走行し、前記一の把持部と前記他の把持部との間隔が前記一の把持部の走行方向に漸増しまたは変わらない他の第3ステージ
をこの順に1回または繰り返して設け得る。
【0014】
また、前記光学フィルムの製造方法においては、
さらに、前記第3ステージと前記第4ステージとの間に、
前記一の把持部と前記他の把持部が前記送り込み方向と略同一の方向に走行する他の第1ステージ、
前記他の把持部が、前記第1ステージでの走行方向に対してフィルムの面方向外側に向けて斜向する方向に走行し、前記一の把持部と前記他の把持部との間隔が前記一の把持部の走行方向に漸増する他の第2ステージ、
前記他の把持部が前記送り込み方向に対してフィルムの面方向内側に向けて斜向する方向に走行し、前記一の把持部と前記他の把持部との間隔が前記一の把持部の走行方向に漸増しまたは変わらない他の第3ステージ
をこの順に設け得る。
【0015】
前記光学フィルムの製造方法においては、前記フィルムが下記式(1)で表わされる単位に由来する構造単位を有するノルボルネン系樹脂を素材とし得る。
【0016】
【化1】

[式(1)中、m、pはそれぞれ独立に0以上の整数であり、R〜Rは、それぞれ独立に下記(a)〜(e)で表されるものを表すか、(f)または(g)を表す。
(a)水素原子、
(b)ハロゲン原子、
(c)酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を含む置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基
(d)置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基
(e)極性基
(f)RとR、またはRとRが、相互に結合して形成されたアルキリデン基を表し、この結合に関与しないR〜Rは相互に独立に前記(a)〜(e)より選ばれるものを表す。
(g)RとR、RとR、またはRとRが、相互に結合して形成された芳香環あるいは非芳香環の単環もしくは多環の炭化水素環を表し、この結合に関与しないR〜Rは相互に独立に前記(a)〜(e)より選ばれるものを表す。]
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、コンパクトな装置による斜め方向に配向を有する均質な光学フィルムの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の光学フィルムの製造方法の典型的な態様を示す平面模式図である。
【図2】本発明の光学フィルムの製造方法の他の態様の一例を示す説明図である。
【図3】本発明の光学フィルムの製造方法のさらに他の態様の一例を示す説明図である。
【図4】従来の一般的な斜め延伸の態様を示す平面模式図である。
【図5−1】実施例におけるフィルムを把持する把持部の軌跡(1回目の延伸)を示す説明図である。
【図5−2】実施例におけるフィルムを把持する把持部の軌跡(2回目の延伸)を示す説明図である。
【図5−3】実施例におけるフィルムを把持する把持部の軌跡(3回目の延伸)を示す説明図である。
【図6】比較例における把持部の軌跡を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の光学フィルムの製造方法の典型的な態様を図1の平面模式図に示す。なお、本明細書においては、各図にわたって記される同じ符号は同一又は同様のものを示す。図1において、長尺の処理対象のフィルム2がテンター4に導入される。テンター4はフィルム2の幅方向両縁部それぞれを把持してフィルム2の略長手方向に走行する一の把持部6と他の把持部8を備える。一の把持部6と他の把持部8は、無限軌道をループ状に走行する、チェーンのような不図示の長尺エンドレス可撓部材とその可撓部材の長手方向に配列固定され所定域で処理対象フィルム2の幅方向縁部(フィルムの長手方向に沿った両縁部)を把持する不図示のクリップ群からなる。クリップはテンター4の入口側でフィルム2を順次把持して可撓部材の動きにつれて走行し、テンター4の出口側でフィルム2を順次開放したのち入口側に戻ってくる。また、テンター4は走行するフィルム2を加熱する不図示の加熱手段を備える。さらに、テンター4はフィルムの原反を引き出す不図示の引き出しロールや、排出されたフィルムを巻き取る不図示の巻き取り手段を備えてもよい。
【0020】
フィルム2が一の把持部6及び他の把持部8の把持開始位置10に導入されて第1〜4ステージ(s1〜s4)の処理がフィルム進行方向に順次行われる。一の把持部6及び他の把持部8の走行速度は適宜選択されるが通常1〜50m/min、好ましくは1〜20/min、特に好ましくは1〜10m/minである。また、一の把持部6の走行速度は他の把持部8の走行速度より速くされている。フィルムは第1〜4ステージを通過する際に両把持部の速度差と両把持部間の間隔の増加により延伸される。
第1ステージ(s1)においては、一の把持部6と他の把持部8がフィルムの送り込み方向(矢印Y)と略同一の方向に走行する。第1ステージにおいてフィルムにたるみ補正のための張力を与えてもよい。このため一の把持部6と他の把持部8との間隔h1が走行方向に微増してもよい。
【0021】
第2ステージ(s2)においては、他の把持部8が、第1ステージでの走行方向からフィルムの面方向外側に向けて斜向する方向に走行し、一の把持部6と他の把持部8との間隔h2が一の把持部6の走行方向に漸増する。一の把持部6と他の把持部8との間隔は一の把持部6の走行方向と直交する方向の間隔である。
第3ステージ(s3)においては、他の把持部8が第1ステージでの走行方向に対してフィルムの面方向内側に向けて斜向する方向に走行し、一の把持部6と他の把持部8との間隔h3が一の把持部の走行方向に漸増する。第3ステージ(s3)においては、h3が一の把持部の走行方向に変わらない態様もとり得る。
【0022】
第4ステージ(s4)においては、一の把持部6と他の把持部8が送り込み方向Yと略平行に走行したのちフィルムの把持が開放位置20で解除される。一の把持部6と他の把持部8との間隔h4が走行方向に微増してもよい。
【0023】
一の把持部6の走行速度は他の把持部8の走行速度より通常0.5〜5.0%速いことが好ましく、この範囲を越えて速度差が大きくなると処理中にシワが発生し行程が不安定になることがある。この範囲を越えて速度差が小さくなると十分な斜め延伸が行われにくい。さらに好ましくは0.5〜2.5%速いことである。
【0024】
第1ステージでの前記一の把持部と前記他の把持部との間隔(平均間隔)をWとしたとき、第1ステージでの一の把持部6の走行距離(k1)、第2ステージでの一の把持部の走行距離(k2)、第3ステージでの一の把持部の走行距離(k3)、はそれぞれ1.5W〜6Wとされることが好ましい。k1、k2、k3がこの範囲を越えて大きくなると当該ステージあるいはその次のステージで処理中にシワが発生し行程が不安定になることがある。この範囲を越えて小さくなると十分な斜め延伸が行われにくいことがある。
【0025】
また、一の把持部6が第2ステージを通過するあいだに間隔h2は第2ステージの最上流での間隔に対して通常5〜50%、すなわち、第2ステージの開始位置12での間隔h2に対して第2ステージの終了位置14での間隔h2が上記範囲で増加していることが好ましい。間隔h2の増加率がこの範囲を越えて大きくなると当該ステージあるいはその次のステージで処理中にシワが発生し行程が不安定になることがある。この範囲を越えて小さくなると十分な斜め延伸が行われにくいことがある。この間隔h2の増加は5〜30%であることが特に好ましい。
【0026】
また、これにともない、第2ステージおいては他の把持部8が、第1ステージでの走行方向からフィルムの面方向外側に向けて通常2〜20度、好ましくは3〜15度、特に好ましくは5〜15度斜向する方向に走行することが好ましい。8〜15度斜向する方向に走行することが安定した延伸と均一な延伸配向を得るうえでまたさらに好ましい。
【0027】
第3ステージでは一の把持部6と他の把持部8との間隔h3は一の把持部6が第3ステージを通過するあいだに変わらないかまたは第3ステージの最上流での間隔に対して15%以内増加することが好ましい。すなわち、第3ステージの開始位置(第2ステージの終了位置)14での間隔h3に対して第3ステージの終了位置16の間隔h3が変わらないかまたは15%以内、好ましくは5%以内、特に好ましくは2%以内で増加していることが好ましい。間隔h3の増加率がこの範囲を越えて大きくなると当該ステージあるいはその次のステージで処理中にシワが発生し行程が不安定になることがある。かつ第3ステージでは他の把持部8が第1ステージでの走行方向に対してフィルムの面方向内側に向けて2〜20度、好ましくは3〜15度、特に好ましくは5〜15度斜向する方向に走行することが好ましい。この一の把持部6の傾斜角の反転により行程中でのシワの発生が著しく緩和される。特に、第2ステージでの斜向角と前記第3ステージでの斜向角の差が通常0〜15度、好ましくは0〜10度、特に好ましくは0〜5度の範囲にあるとシワの発生を抑制することができる。8〜15度斜向する方向に走行することが安定した延伸と均一な延伸配向を得るうえでさらに好ましい。
【0028】
第4ステージでの一の把持部6の走行距離k4は1.2W〜6Wであることが好ましい。k4がこの範囲を越えて大きくなると処理中にシワが発生し行程が不安定になることがある。この範囲を越えて小さくなると十分な斜め延伸が行われにくいことがある。
【0029】
フィルムは第1ステージで長手方向のずり応力と長手方向と斜向する方向の延伸力を受けて変形する。第2ステージではフィルムが長手方向のずり応力と長手方向と斜向する方向の第1ステージより大きな延伸力を受けてさらに変形する。第3ステージでもフィルムが長手方向のずり応力と長手方向と斜向する方向の延伸力を受けるが、第2ステージから第3ステージに移行するときに一の把持部6の走行方向が内側にくの字状に曲って変化する。この変化は、フィルムの張力や変形にともなうシワが消失する方向の変化であるため、安定した延伸が行われる。さらに、フィルムは第4ステージで長手方向のずり応力と長手方向と斜向する方向の延伸力を受けて変形する。
【0030】
延伸処理温度は、特に限定されるものではないが、用いるフィルム構成樹脂のガラス転移温度〔Tg〕を基準として、Tg±30℃、好ましくはTg±15℃、さらに好ましくはTg−5〜Tg+15℃の範囲である。Tgより0〜5℃高い温度であることが最も好ましい。延伸処理温度を上記範囲内に設定することにより、得られる延伸フィルムに位相差ムラが発生することを抑制することができ、また、屈折率楕円体の制御が容易となる。さらには、シワ発生の少ない円滑な延伸を行なって所望の光軸の傾斜を得るうえで好ましい。
【0031】
延伸処理されたフィルムは、そのまま冷却してもよいが、Tg−20℃〜Tgの温度雰囲気下に少なくとも10秒間以上、好ましくは30秒間〜60分間、より好ましくは1〜60分間保持した後に冷却することが好ましい。これにより、透過光の位相差の経時変化が少なく、安定した位相差フィルムが得られる。
上述のようにして延伸処理が施されたフィルムは、延伸処理により分子が配向する結果、透過光に位相差を与えるようになるが、この位相差は、延伸倍率、延伸温度またはフィルムの厚さなどにより制御することができる。
位相差フィルムとして用いられる樹脂(A)フィルムの厚さは、特に限定するものではないが、通常5〜500μm、好ましくは10〜300μm、より好ましくは20〜200μm程度であるのが望ましい。
【0032】
第1〜4ステージまでのかかる作用により、フィルムは円滑に斜め延伸され、光軸がフィルムの長手方向、幅方向に対して斜向した、位相差板などに有用な斜め配向の光学フィルムが得られる。また、本発明により得られた光学フィルムの幅方向の光軸の傾斜のばらつきは±0.5度以内と極めて小さい。
【0033】
ここでいう光軸とは、二軸延伸フィルムの面内で屈折率が最大となる方位、すなわち面内遅相軸を意味し配向角とも呼ばれるものであり、光学フィルムの延伸方向が一般に対応する。従って、光軸のズレ(バラツキ)とは、遅相軸の方向のズレであり、光学フィルムの延伸方向において発生した遅相軸に対するズレを意味する。
【0034】
光軸の傾斜のばらつきが小さくかつ斜45度に近い光軸傾斜のフィルムを安定して得るためには、処理対象フィルムに対して第1ステージから第4ステージに至る延伸処理を複数回施すことが好ましい。この場合、1回目の延伸処理時に一の把持部6で把持された側のフィルムの縁部を、2回目以降の延伸処理時にも、一の把持部6に把持させることが必要である。また、延伸処理を複数回施すことにより、フィルム面内位相差(レターデーション)ROが要求値を満たす比較的大きな値のフィルムが得られる。ここでRO=(nx−ny)×d:式中、面内の遅相軸方向の屈折率をnx、面内で遅相軸に直交する方向の屈折率をny、dはフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。
【0035】
この複数回の延伸処理は各回ごとに異なる延伸装置(テンター)あるいは異なる条件に設定された装置にフィルムを仕掛けて行うことができる。すなわち、1回の処理ごとにフィルムをテークアップし、テークアップしたフィルムを次の処理用の装置にフィードすることにより行うことができる。このテークアップしたフィルムはクリップによる縁部の損傷部をトリミングしてから次の処理用の装置にフィードしてもよい。あるいは、1台のテンターにつき、両把持部の軌道設定を何回目かの処理条件の軌道設定の次にその次の回の処理条件の軌道設定が連続してなされるようにするなどして、順次行う複数回の延伸処理を1台のテンターで連続して行ってもよい。
【0036】
本発明の他の態様にあっては、把持部の軌跡を示す図2のように、第1ステージs1から第4ステージs4に至る延伸処理に加えてさらに、第3ステージs3と第4ステージs4との間に、他の把持部8が第1ステージs1での走行方向(矢印Y)に対してフィルムの面方向外側に向けて斜向する方向に走行し一の把持部6と他の把持部8との間隔ha2が一の把持部6の走行方向に漸増する他の第2ステージst2と、他の把持部8が前記の送り込み方向(矢印Y)に対してフィルムの面方向内側に向けて斜向する方向に走行し一の把持部6と他の把持部8との間隔ha3が一の把持部6の走行方向に漸増しまたは変わらない他の第3ステージst3とが、この順に繰り返して設けられる。他の第2ステージst2と他の第3ステージst3とは、この順に1回設けられてもよい。この順に複数回繰り返して設けられてもよい。この態様によっても、光軸の傾斜のばらつきが小さくかつ斜45度に近い光軸傾斜のフィルムが安定して得られる。また、このような他の第2ステージst2と他の第3ステージst3とが付加された延伸処理が複数回施されてもよい。
【0037】
本発明のさらに他の態様にあっては、把持部の軌跡を示す図3に示すように、第1ステージs1から第4ステージs4に至る延伸処理に加えて、第3ステージs3と第4ステージs4との間に、一の把持部6と他の把持部8が前記の送り込み方向(矢印Y)と略同一の方向に走行する他の第1ステージst1と、他の把持部8が第1ステージs1での走行方向に対してフィルムの面方向外側に向けて斜向する方向に走行し一の把持部6と他の把持部8との間隔hb2が一の把持部6の走行方向に漸増する他の第2ステージst2と、他の把持部8が前記の送り込み方向Yに対してフィルムの面方向内側に向けて斜向する方向に走行し一の把持部6と他の把持部8との間隔hb3が一の把持部6の走行方向に漸増しまたは変わらない他の第3ステージst3とが、この順に設けられる。他の第1ステージst2、他の第2ステージst2、他の第3ステージst3は、この順に繰り返して設けられてもよい。この態様によっても、光軸の傾斜のばらつきが小さくかつ斜45度に近い光軸傾斜のフィルムが安定して得られる。
【0038】
本発明においては、延伸処理における一の把持部の全ステージの走行距離の和をLTとし、一の把持部の走行速度をV1、他の把持部の走行速度をV2としたとき、光軸の傾斜角がフィルム幅方向に対してαである延伸フィルムを得るためには、tanαの値が大略(W÷(LT×(1−(V2/V1))であるように製造条件を設定するが、実際の条件は、目標の要求特性、フィルムの性状、加熱温度、走行速度、フィルム幅などにもよるので、微調整されることが好ましい。
【0039】
一方、従来の方法例えば、図4に示すような一の把持部6xと他の把持部8xとを備えるテンター4xを用いて、一の把持部6xの走行速度を他の把持部8xより大きくし、かつ一の把持部6xと他の把持部8xの間隔が進行方向に漸増するゾーンsXを1か所に有するテンターで延伸を行った場合は、光軸傾斜を大きくするため横方向延伸倍率を大きくすると剪断力が作用して延伸中にシワが生じて、安定した走行状態では光軸傾斜度がたかだか30度のものしか得られない。図4に示すようなテンターでゾーンsXでの一の把持部6xと他の把持部8xとの間隔の進行方向の増加度合いを小さくして横方向延伸倍率を小さくし、延伸処理を複数回繰り返すこともできるが、その場合はROを要求値を満たすほどに大きな値にすることが難しい。
【0040】
本発明に用いる延伸処理の対象とする樹脂フィルムについては、特に限定はなく、熱可塑性樹脂からなるフィルムを用いることができ、一般には未延伸のフィルムが用いられる。ちなみに上記樹脂としては、セルロースアセテートや環状オレフィン系樹脂のほか、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリアリレート、ポリアミドなどが挙げられるが、好ましくはセルロースアセテート、および環状オレフィン系樹脂である。本発明はなかでも環状オレフィン系樹脂のフィルムに対してシワ発生の少ない円滑な延伸を行なって所望の光軸の傾斜で光軸のばらつきの少ない光学フィルムを得ることができる。環状オレフィン系樹脂としてはノルボルネン系樹脂などが挙げられる。
【0041】
本発明は、下記式(1)で表わされる単位に由来する構造単位を有するノルボルネン系樹脂を素材とするフィルムに対して適用したときに、円滑な延伸を行なって所望の光軸の傾斜で光軸のばらつきの極めて少ない光学フィルムを得ることができる。
【0042】
【化1】

[式(1)中、m、pはそれぞれ独立に0以上の整数であり、R〜Rは、それぞれ独立に下記(a)〜(e)で表されるものを表すか、(f)または(g)を表す。
(a)水素原子、
(b)ハロゲン原子、
(c)酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を含む置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基
(d)置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基
(e)極性基
(f)RとR、またはRとRが、相互に結合して形成されたアルキリデン基を表し、この結合に関与しないR〜Rは相互に独立に前記(a)〜(e)より選ばれるものを表す。
(g)RとR、RとR、またはRとRが、相互に結合して形成された芳香環あるいは非芳香環の単環もしくは多環の炭化水素環を表し、この結合に関与しないR〜Rは相互に独立に前記(a)〜(e)より選ばれるものを表す。]
【0043】
上記式(1)で表される化合物の具体例としては、次のような化合物が挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン、
トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(DNM)、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−イソプロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロイソプロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン。
【0044】
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0045】
上記式(1)中、R1およびR3は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜30、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2の炭化水素基を表すものであることが望ましい。該炭化水素基は、アルキル基であることが好ましく、炭素原子数1〜4のアルキル基、より好ましくは炭素原子数1〜2、特に好ましくはメチル基であることが望ましい。
【0046】
このようなアルキル基が、下述する下記式:−(CH2nCOORで表される極性基が結合した炭素原子に結合している場合、得られる環状オレフィン系樹脂の吸湿性を低減できるため好適である。
【0047】
上記式(1)中、R2およびR4は、それぞれ独立に、水素原子または1価の極性基であることが好ましい。
【0048】
「1価の極性基」としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基などが挙げられる。これらの極性基は、メチレン基などの極性を有さない連結基を介して結合していてもよいし、カルボニル基、エーテル基、シリルエーテル基、チオエーテル基、イミノ基などの極性を有する2価の有機基を介して結合していてもよい。これらの極性基のうち、カルボキシル基、水酸基、アルコキシカルボニル基およびアリロキシカルボニル基が好ましく、特にアルコキシカルボニル基およびアリロキシカルボニル基が好ましい。
【0049】
また、「1価の極性基」が、式:−(CH2nCOORで表される場合、得られる環状オレフィン系樹脂が、高いガラス転移温度〔Tg〕、低い吸湿性、各種材料との優れた密着性を有するものとなるため好ましい。
【0050】
上記式:−(CH2nCOORにおいて、Rは、炭素原子数1〜12、好ましくは炭素原子数1〜4、より好ましくは炭素原子数1〜2の炭化水素基、好ましくはアルキル基であることが望ましい。nは、通常0〜5を表すが、好ましくは0〜3を表す。nの値が小さいものほど、得られる環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度〔Tg〕が高くなるので好ましく、さらにnが0を表す場合は、その合成も容易である点で好ましい。
【0051】
上記式(1)中、mおよびpは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表すのが好ましく、m+p=0〜4を満たすことが好ましく、m+p=0〜2がより好ましく、m=1のときp=0であることが特に好ましい。m=1、p=0である場合は、得られる環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度〔Tg〕が高く、かつ該樹脂を含んでなるシートの機械的強度も優れるため、好適である。
【0052】
本発明において、環状オレフィン系樹脂は、公知の方法により得ることができ、例えば、特開平1−132626号公報、特開2006−77257号公報および特開2008−955号公報に記載の方法により得ることができる。
【0053】
環状オレフィン系樹脂の分子量としては、テトラヒドロフランに溶解してゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量〔Mn〕で、好ましくは8,000〜100,000、より好ましくは10,000〜80,000、さらに好ましくは12,000〜50,000であり、重量平均分子量〔Mw〕で、好ましくは20,000〜300,000、より好ましくは30,000〜250,000、さらに好ましくは40,000〜200,000のものが好適である。また、分子量分布〔Mw/Mn〕は、好ましくは2.0〜4.0、より好ましくは2.5〜3.7であり、さらに好ましくは2.8〜3.5である。分子量分布の小さい樹脂を用いることにより、機械的強度に優れる成形体が得られるため好適である。
【0054】
また、数平均分子量および重量平均分子量が上記範囲内であることによっても機械的強度に優れた成形体が得られる。
このような環状オレフィン系樹脂(A)フィルムは、市販のものであってもよく、例えば、ARTON(登録商標)FILM G(JSR株式会社製、膜厚188μm)、ARTON(登録商標)FILM R50(JSR株式会社製、膜厚150μm)などが好適である。
【0055】
本発明に用いる環状オレフィン系樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲において、さらに機械的特性、易成形性を付与するための酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤などの添加剤を配合することができる。
【0056】
本発明の光学フィルムの製造方法には公知のテンター式延伸機を応用して用いることができるが、1組の把持部が互いに異なる走行速度と走行軌跡を実現でき、長尺のフィルムを連続的に処理することができるものであれば、特に制約されず、種々のタイプの装置を使用することができる。
【0057】
本発明により得られる光学フィルムは、単独で、あるいは種類の異なるフィルムを2枚以上積層した状態のものを、保護フィルムとして偏光膜に貼合することができ、このような保護フィルムが偏光膜の両面の各々に貼合されてなる構成の積層体は、偏光板として好適に用いることができる。
【0058】
偏光板として用いることのできる積層体の構成の具体例は、例えば下記のとおりである。
(1)偏光膜の一面にトリアセチルセルロースフィルムを貼合し、当該偏光膜の他面に本発明の光学フィルムを貼合してなる積層体
(2)偏光膜の両面に本発明の光学フィルムを貼合してなる積層体
【0059】
本発明により得られる光学フィルムを他のフィルム、シート、ガラスなどの基板に積層する場合には、粘着剤や接着剤を用いることができる。また、本発明により得られた光学フィルムは、他のフィルムやシート、基板などとの積層の作業性を向上させるために、あらかじめ、粘着剤層または接着剤層を積層することができる。
【0060】
本発明により得られる光学フィルムには透明導電層、ガスバリア性材料、反射防止層を必要に応じて積層することができる。
【0061】
その他、本発明は、主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【実施例】
【0062】
長尺未延伸フィルムとして、ARTON(登録商標)FILM J(JSR株式会社製、膜厚60μm)を用い、一の把持部と他の把持部が軌跡を図5に示すように配置されたテンターに供給して、フィルム温度が145℃となるように加熱された状態で延伸処理した。延伸処理は3回にわたって行った。
【0063】
1回目の延伸処理
一の把持部の軌跡6aと他の把持部の軌跡8aの配置を図5−1の如くとした。
テンターの基準線SLを、把持開始位置(ステージ1(s1)の開始位置)p1における一の把持部の走行方向と平行で、一の把持部との間隔WO11が100mmの直線と定めた。
一の把持部の走行速度:2.04m/min
他の把持部の走行速度:2m/min
p1における基準線SLから他の把持部までの距離WD11:430mm
p1における一の把持部と他の把持部の間隔W11(=WO11+WD11):530mm
p1からステージ1の終点(ステージ2の開始点)p2までの距離L11:1200mm
p2における基準線SLから他の把持部までの距離WD12:430mm
p2における基準線SLから一の把持部までの距離WO12:105mm
p2における一の把持部と他の把持部の間隔W12(=WO12+WD12):535mm
p2からステージ2(s2)の終点(ステージ3の開始点)p3までの距離L12:1300mm
ステージ2における他の把持部の軌跡8aの、基準線SLに対する傾斜角θ12:4.7度
p3における基準線SLから他の把持部までの距離WD13:536mm
p3における基準線SLから一の把持部までの距離WO13:105mm
p3における一の把持部と他の把持部の間隔W13(=WO13+WD13):641mm
p3からステージ3(s3)の終点(ステージ4(s4)の開始点)p4までの距離L13:1300mm
ステージ3における他の把持部の軌跡8aの、基準線SLに対する傾斜角θ13:4.4度
p4における基準線SLから他の把持部までの距離WD14:426mm
p4における基準線SLから一の把持部までの距離WO14:224mm
p4における一の把持部と他の把持部の間隔W14(=WO14+WD14):650mm
p4からステージ4の終点p5までの距離L14:880mm
p5における基準線SLから他の把持部までの距離WD15:426mm
p5における基準線SLから一の把持部までの距離WO15:224mm
p5における一の把持部と他の把持部の間隔W15(=WO15+WD15):650mm
【0064】
2回目の延伸処理
1回目の延伸処理により得られた処理フィルムにつき2回目の延伸処理を行った。
一の把持部の軌跡6bと他の把持部の軌跡8bの配置を図5−2の如くとした。1回目の延伸処理で一の把持部で把持された側のフィルム縁部を2回目の延伸処理でも一の把持部で把持させた。
p1における一の把持部の走行方向と平行で、一の把持部との間隔WO21が280mmの直線と定めた。
一の把持部の走行速度:2m/min
他の把持部の走行速度:1.96/min
p1における基準線SLから他の把持部までの距離WD21:270mm
p1における一の把持部と他の把持部の間隔W21(=WO21+WD21):550mm
p1からステージ1の終点(ステージ2の開始点)p2までの距離L21:1200mm
p2における基準線SLから他の把持部までの距離WD22:270mm
p2における基準線SLから一の把持部までの距離WO22:280mm
p2における一の把持部と他の把持部の間隔W22(=WO22+WD22):550mm
p2からステージ2の終点(ステージ3の開始点)p3までの距離L22:1300mm
ステージ2における他の把持部の軌跡8aの、基準線SLに対する傾斜角θ22:10.0度
p3における基準線SLから他の把持部までの距離WD23:500mm
p3における基準線SLから一の把持部までの距離WO23:105mm
p3における一の把持部と他の把持部の間隔W23(=WO23+WD23):605mm
p3からステージ3の終点(ステージ4の開始点)p4までの距離L23:1300mm
ステージ2における他の把持部の軌跡8aの、基準線SLに対する傾斜角θ23:4.4度
p4における基準線SLから他の把持部までの距離WD24:440mm
p4における基準線SLから一の把持部までの距離WO24:155mm
p4における一の把持部と他の把持部の間隔W24(=WO24+WD24):605mm
p4からステージ4の終点p5までの距離L24:880mm
p5における基準線SLから他の把持部までの距離WD25:440mm
p5における基準線SLから一の把持部までの距離WO25:165mm
p5における一の把持部と他の把持部の間隔W25(=WO25+WD25):605mm
【0065】
3回目の延伸処理
2回目の延伸処理により得られた処理フィルムにつき3回目の延伸処理を行った。
一の把持部の軌跡6cと他の把持部の軌跡8cの配置を図5−3の如くとした。2回目の延伸処理で一の把持部で把持された側のフィルム縁部を3回目の延伸処理でも一の把持部で把持させた。
p1における一の把持部の走行方向と平行で、一の把持部との間隔WO31が370mmの直線と定めた。
一の把持部の走行速度:2m/min
他の把持部の走行速度:196/min
p1における基準線SLから他の把持部までの距離WD31:100mm
p1における一の把持部と他の把持部の間隔W31(=WO31+WD31):470mm
p1からステージ1の終点(ステージ2の開始点)p2までの距離L31:1200mm
p2における基準線SLから他の把持部までの距離WD32:100mm
p2における基準線SLから一の把持部までの距離WO32:370mm
p2における一の把持部と他の把持部の間隔W32(=WO32+WD32):470mm
p2からステージ2の終点(ステージ3の開始点)p3までの距離L32:1300mm
ステージ2における他の把持部の軌跡8aの、基準線SLに対する傾斜角θ32:10.0度
p3における基準線SLから他の把持部までの距離WD33:330mm
p3における基準線SLから一の把持部までの距離WO33:173mm
p3における一の把持部と他の把持部の間隔W33(=WO33+WD33):503mm
p3からステージ3の終点(ステージ4の開始点)p4までの距離L33:1300mm
p4における基準線SLから他の把持部までの距離WD34:270mm
p4における基準線SLから一の把持部までの距離WO34:233mm
ステージ2における他の把持部の軌跡8aの、基準線SLに対する傾斜角θ33:2.6度
p4における一の把持部と他の把持部の間隔W34(=WO34+WD34):503mm
p4からステージ4の終点p5までの距離L34:880mm
p5における基準線SLから他の把持部までの距離WD35:270mm
p5における基準線SLから一の把持部までの距離WO35:233mm
p5における一の把持部と他の把持部の間隔W35(=WO35+WD35):503mm
【0066】
[比較例1]
実施例に用いたと同様の未延伸フィルムを用い、一の把持部と他の把持部が軌跡を図6に示すように配置されたテンターに供給して145℃で延伸処理した。延伸処理は4回行った。
直前回の延伸処理で一の把持部で把持された側のフィルム縁部をその次の延伸処理でも一の把持部で把持させた。
延伸処理
一の把持部の軌跡6dと他の把持部の軌跡8dの配置を図6の如くとした。
一の把持部の走行速度:5m/min
他の把持部の延伸1回目及び2回目の走行速度:4.975/min
他の把持部の延伸3回目及び4回目の走行速度:4.95/min
把持開始位置(第1のステージ(sH1)の開始位置)q1における一の把持部と他の把持部の間隔WH1:590mm(1回目)670mm(2回目)、570mm(3回目)、480mm(4回目)
q1から第1のステージの終点(第2のステージ(sH2)の開始点)q2までの距離LH1:1200mm(1〜4回目)
q2における一の把持部と他の把持部の間隔WH2:820mm(1回目)、730mm(2回目)、570mm(3回目)、480mm(4回目)
q2からsH2の終点(第3のステージ(sH3)の開始点)q3までの距離LH2:1300mm(1〜4回目)
q3における一の把持部と他の把持部の間隔WH3:940mm(1回目)、750mm(2回目)、570mm(3回目)、480mm(4回目)
q3からsH3の終点q4までの距離LH3:1300mm(1〜4回目)
q4における一の把持部と他の把持部の間隔WH4:910mm(1回目)、740mm(2回目)、570mm(3回目)、480mm(4回目)
【0067】
[比較例2]
実施例に用いたと同様の未延伸フィルムを用い、一の把持部と他の把持部が軌跡を図6に示すように配置されたテンターに供給して145℃で延伸処理した。延伸処理は3回にわたって行った。
直前回の延伸処理で一の把持部で把持された側のフィルム縁部をその次の延伸処理でも一の把持部で把持させた。
延伸処理(1〜3回目)
一の把持部の走行速度:3m/min
他の把持部の走行速度:2.98/min
把持開始位置(第1のステージ(sH1)の開始位置)q1における一の把持部と他の把持部の間隔WH1:530mm(1〜3回目)
q1から第1のステージの終点(第2のステージ(sH2)の開始点)q2までの距離LH1:1200mm(1〜3回目)
q2における一の把持部と他の把持部の間隔WH2:560mm(1〜3回目)
q2からsH2の終点(第3のステージ(sH3)の開始点)q3までの距離LH2:1300mm(1〜3回目)
q3における一の把持部と他の把持部の間隔WH3:560mm(1〜3回目)
q3からsH3の終点q4までの距離LH3:1300mm(1〜3回目)
q4における一の把持部と他の把持部の間隔WH4:560mm(1〜3回目)
【0068】
延伸処理の目標値と実施例、比較例1,2で得られたフィルムの特性値を表1に示す。
【0069】
【表1】

【0070】
比較例1は目標に近い厚みとROが得られたものの、光軸の傾きが不足した。比較例2は目標に近い光軸の傾きが得られたものの、目標に近い厚みが得られず、ROも不足した。また、NZのばらつきも大きかった。実施例は、NZがやや小さかったものの、厚み、光軸の傾き、RO、NZとも目標の値、あるいは目標に近い値が得られ、それぞれの値のばらつきも小さく、位相差板としての満足すべき性能を有していた。
【0071】
また、実施例、比較例のフィルム物性は、次のようにして測定した。
フィルム面内の位相差RO(550)〔nm〕
大塚電子(株)製の位相差フィルム偏光解析装置「RETS−1200VA」を用い、フィルムの任意の部分を1mサンプリングしてフィルム面内を2cm間隔で測定した。
フィルム面方向の光軸とフィルム長手方向とのなす角(光軸の傾き)
厚み方向の屈折率(NZ)
大塚電子(株)製の位相差フィルム偏光解析装置「RETS−1200VA」を用い、フィルムの任意の部分を1mサンプリングしてフィルム面内を5cm間隔で測定した。
フィルム面内の光軸の傾き
配向角(ロールフィルムの長さ方向(いわゆるMD方向)を0度とした延伸配向角度)を、大塚電子(株)製、位相差フィルム偏光解析装置「RETS−1200VA」を用い、フィルムの任意の部分を1mサンプリングしてフィルム面内を2cm間隔で測定した。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明により得られる光学フィルムは、液晶やプラズマに代表される各種ディスプレイパネルにおける偏光フィルム、保護フィルム、位相差フィルム、視野角補償フィルム、偏光板保護兼位相差フィルム、偏光板保護兼視野角補償フィルムなどの他、強度異方性の少ない各種フィルムなどとして特に有用である。また、これ以外にも、例えば、携帯電話、ディジタル情報端末、ポケットベル、ナビゲーション、車載用液晶ディスプレイ、液晶モニター、調光パネル、OA機器用ディスプレイ、AV機器用ディスプレイなどの各種液晶表示素子、エレクトロルミネッセンス表示素子またはタッチパネルなどに用いることができる。また、CD、CD−R、MD、MO、DVDなどの光ディスクの記録・再生装置に使用される波長板としても有用である。
【符号の説明】
【0073】
2:フィルム
4:テンター
6、6a、6b、6c、6d:一の把持部
8、8a、8b、8c、8d:他の把持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続供給されるフィルムの幅方向両縁部それぞれをフィルムの略長手方向に走行する一の把持部と他の把持部で把持して両把持部間の相対移動により延伸する光学フィルムの製造方法であって、
前記一の把持部の走行速度を前記他の把持部の走行速度より速くし、
前記一の把持部と前記他の把持部がフィルムの送り込み方向と略同一の方向に走行する第1ステージ、
前記他の把持部が、第1ステージでの走行方向に対してフィルムの面方向外側に向けて斜向する方向に走行し、前記一の把持部と前記他の把持部との間隔が前記一の把持部の走行方向に漸増する第2ステージ、
前記他の把持部が第1ステージでの走行方向に対してフィルムの面方向内側に向けて斜向する方向に走行し、前記一の把持部と前記他の把持部との間隔が前記一の把持部の走行方向に漸増しまたは変わらない第3ステージ、
前記一の把持部と前記他の把持部が前記送り込み方向と略平行に走行する第4ステージ
をフィルムの進行方向にこの順に設ける
光学フィルムの製造方法。
【請求項2】
前記一の把持部の走行速度を前記他の把持部の走行速度より0.5〜5.0%速くすることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記フィルムが前記第2ステージを通過する間に、前記一の把持部と前記他の把持部との間隔が該第2ステージの最上流での間隔に対して5〜50%増加し、かつ該他の把持部が、前記第1ステージでの走行方向に対してフィルムの面方向外側に向けて2〜20度斜向する方向に走行し、
前記フィルムが前記第3ステージを通過する間に、前記一の把持部と前記他の把持部との間隔が該第3ステージの最上流での間隔に対して15%以内増加するか、または変わらず、かつ該他の把持部が第1ステージでの走行方向に対してフィルムの面方向内側に向けて2〜20度斜向する方向に走行することを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記第2ステージでの斜向角と前記第3ステージでの斜向角の差が0〜15度であることを特徴とする請求項3に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項5】
処理対象フィルムに対して請求項1から4のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法による延伸処理を複数回繰り返す光学フィルムの製造方法であり、1回目の延伸処理時に前記一の把持部で把持された側の縁部を、2回目以降の前記延伸処理時に、前記一の把持部に把持させる光学フィルムの製造方法。
【請求項6】
さらに、前記第3ステージと前記第4ステージとの間に、
前記他の把持部が、前記第1ステージでの走行方向に対してフィルムの面方向外側に向けて斜向する方向に走行し、前記一の把持部と前記他の把持部との間隔が前記一の把持部の走行方向に漸増する他の第2ステージ、
前記他の把持部が前記送り込み方向に対してフィルムの面方向内側に向けて斜向する方向に走行し、前記一の把持部と前記他の把持部との間隔が前記一の把持部の走行方向に漸増しまたは変わらない他の第3ステージ
をこの順に1回または繰り返して設けた請求項1から5のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項7】
さらに、前記第3ステージと前記第4ステージとの間に、
前記一の把持部と前記他の把持部が前記送り込み方向と略同一の方向に走行する他の第1ステージ、
前記他の把持部が、前記第1ステージでの走行方向に対してフィルムの面方向外側に向けて斜向する方向に走行し、前記一の把持部と前記他の把持部との間隔が前記一の把持部の走行方向に漸増する他の第2ステージ、
前記他の把持部が前記送り込み方向に対してフィルムの面方向内側に向けて斜向する方向に走行し、前記一の把持部と前記他の把持部との間隔が前記一の把持部の走行方向に漸増しまたは変わらない他の第3ステージ
をこの順に設けた請求項1から5のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項8】
前記フィルムが下記式(1)で表わされる単位に由来する構造単位を有するノルボルネン系樹脂を含有する請求項1から7のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
【化1】

[式(1)中、m、pはそれぞれ独立に0以上の整数であり、R〜Rは、それぞれ独立に下記(a)〜(e)で表されるものを表すか、(f)または(g)を表す。
(a)水素原子、
(b)ハロゲン原子、
(c)酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を含む置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基
(d)置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基
(e)極性基
(f)RとR、またはRとRが、相互に結合して形成されたアルキリデン基を表し、この結合に関与しないR〜Rは相互に独立に前記(a)〜(e)より選ばれるものを表す。
(g)RとR、RとR、またはRとRが、相互に結合して形成された芳香環あるいは非芳香環の単環もしくは多環の炭化水素環を表し、この結合に関与しないR〜Rは相互に独立に前記(a)〜(e)より選ばれるものを表す。]

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−11434(P2011−11434A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−157029(P2009−157029)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【出願人】(390002015)ヒラノ技研工業株式会社 (18)
【Fターム(参考)】