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光学フィルム及びその製造方法、積層光学フィルム、偏光板、並びに液晶表示装置
説明

光学フィルム及びその製造方法、積層光学フィルム、偏光板、並びに液晶表示装置

【課題】面状が良く、機械的強度が高く、耐久性に優れ、光学補償フィルムに適した光学異方性を発現することのできる、特にIPSモードの液晶表示装置に好適に用いることのできる光学フィルムを提供すること。
【解決手段】一対の基板間に液晶層を有する液晶セルを備え、黒表示時に前記液晶層の液晶分子が前記基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置に用いる光学フィルムであって、セルロースエステルとアクリル樹脂とを相溶状態で含み、
前記セルロースエステルの質量平均分子量が75000以上であり、前記アクリル樹脂の質量平均分子量が80000以上であり、前記セルロースエステルと前記アクリル樹脂との質量比が70:30〜5:95であり、
下記式(I)及び(II)で定義されるRe及びRthが、波長590nmにおいて下記式(III)及び(IV)を満たす光学フィルム。
式(I) Re=(nx−ny)×d
式(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式(III) 0nm≦Re≦10nm
式(IV) Rth≧30nm
式中、nxは前記光学フィルムのフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは前記フィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzは前記光学フィルムの厚み方向の屈折率であり、dは前記光学フィルムの厚さ(nm)である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルム及びその製造方法、積層光学フィルム、偏光板、並びに液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置は、液晶テレビや、パソコン、携帯電話、デジタルカメラなどの液晶パネル等の用途で広く用いられている。通常、液晶表示装置は、液晶セルの両側に偏光板を設けた液晶パネル部材を有し、バックライト部材からの光を液晶パネル部材で制御することにより表示が行われている。ここで、偏光板は偏光子とその両側の保護フィルムとからなり、一般的な偏光子は延伸されたポリビニルアルコール(PVA)系フィルムをヨウ素又は二色性色素で染色することにより得られ、保護フィルムとしてはセルロールエステルフィルムなどが用いられている。
また、液晶表示装置において、視野角の拡大、画像着色の改良、及びコントラストの向上のため、ポリマーフィルムを光学補償フィルム(位相差フィルム)として使用することが知られている。光学補償フィルムとして用いられるポリマーフィルムに対しては、VAモード、IPSモード等の液晶表示装置の液晶セルのモードに応じて、フィルムの光学特性(例えば、フィルム面内のレターデーション値Reやフィルム厚さ方向のレターデーション値Rthなどの複屈折性)を制御して所望の光学異方性を持たせることが求められる。
【0003】
最近の液晶表示装置は、高品質化とともに、用途も多様化し、耐久性への要求が厳しくなってきている。例えば、屋外用途での使用においては環境変化に対する安定性が求められ、液晶表示装置に用いられる上記の偏光板用保護フィルムや光学補償フィルムなどの光学フィルムについても温度や湿度変化に対する寸法や光学特性の変化を抑えることが求められる。高温高湿の環境下に晒される液晶表示装置の問題としては、表示ムラの発生があるが、これはフィルム内のポリマーや添加剤の存在状態変化による光学特性変化、水分が偏光子に浸透することによる偏光子性能の悪化、フィルム及び偏光子の寸法変化により生じる応力起因の光学特性変化等が原因と考えられている。このため、偏光板の保護フィルムや偏光板と貼り合わされる光学補償フィルムなどに対しては、湿度依存性や湿熱耐久性の改善が求められている。
【0004】
特許文献1〜3には、透明性が高く、低吸湿性、高耐熱性、力学的強度の高い光学フィルムの提供を目的として、セルロースエステルにポリメチルメタクリレート(PMMA)などのアクリル樹脂を多量添加した光学フィルムが開示されている。更に、特許文献2では、VAモードの液晶セルの光学補償のための光学異方性を持たせるために、レターデーション発現剤(位相差制御剤)を添加することが記載されている。一方、特許文献3には、ReやRthが小さく、光学的に等方的なフィルムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2009/047924号
【特許文献2】国際公開第2009/081607号
【特許文献3】国際公開第2009/096701号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
VAモード、TNモード、IPSモード、FFSモード、OCBモードのような光学異方性の高い液晶セルを光学補償するため、特に広い視野角を得るためには、光学補償フィルムに対しても高い光学異方性、特に、Rthが十分に大きいことが求められる。
しかしながら、特許文献1に記載の光学フィルムは、セルロースエステルによる正の複屈折とアクリル樹脂による負の複屈折が相殺してフィルムとして発現する複屈折性が低いため、光学補償フィルムとして求められる十分な光学異方性が得られず、光学異方性の高い液晶表示装置への光学補償フィルムとして適用することは難しい。
また、特許文献2では、レターデーション発現剤を添加して光学異方性を発現させているが、Reの発現性に対してRthの発現性が不十分であり、更なる改良が求められる。また、レターデーション発現剤のセルロースエステルやアクリル樹脂との相溶性が良くないため、フィルム内におけるレターデーション発現剤の配向のばらつきが生じたり、ReやRth値にもばらつきが生じたりしてしまう。また、フィルムの透明性、特に高温環境下又は高温高湿環境下で経時させた後の透明性が低下しがちである。したがって、十分なRth発現性が得られるとともに、セルロースエステルやアクリル樹脂との相溶性が高いレターデーション発現剤を使用することが求められる。
更に、特許文献3に記載の光学フィルムは、光学的に等方的なフィルムであり、光学補償フィルムやその支持体として用いるには適したRthを有していない。
【0007】
上記のような状況に鑑みて、本発明の目的は、面状と透明性に優れ、機械的強度が高く、耐久性(高い耐熱性、低い湿度依存性)に優れ、光学補償フィルムに適した光学異方性を発現することのできる光学フィルム及びその製造方法を提供することである。
本発明の別の目的は、上記光学フィルムを用い、特にIPSモードやFFSモード用の光学補償フィルムとして好適な積層光学フィルムを提供することであり、更に別の目的は、これらの光学フィルムを用いた偏光板を提供することである。また、本発明の更に別の目的は、耐久性が高く、表示ムラが改善された液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は下記の手段により達成することができる。
【0009】
[1]
一対の基板間に液晶層を有する液晶セルを備え、黒表示時に前記液晶層の液晶分子が前記基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置に用いる光学フィルムであって、
セルロースエステルとアクリル樹脂とを相溶状態で含み、
前記セルロースエステルの質量平均分子量が75000以上であり、前記アクリル樹脂の質量平均分子量が80000以上であり、前記セルロースエステルと前記アクリル樹脂との質量比が70:30〜5:95であり、
下記式(I)及び(II)で定義されるRe及びRthが、波長590nmにおいて下記式(III)及び(IV)を満たす、光学フィルム。
式(I) Re=(nx−ny)×d
式(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式(III) 0nm≦Re≦10nm
式(IV) Rth≧30nm
式中、nxは前記光学フィルムのフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは前記フィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzは前記光学フィルムの厚み方向の屈折率であり、dは前記光学フィルムの厚さ(nm)である。
[2]
前記セルロースエステルのアシル基の総置換度が2.00〜3.00であり、炭素数3〜7のアシル基の置換度が1.20〜3.00である[1]に記載の光学フィルム。
[3]
前記光学フィルムのフィルム面内において、100mm間隔の2点におけるRthの差分が3.0nm以内である[1]又は[2]に記載の光学フィルム。
[4]
全ヘイズ値が0.30%以下であり、内部ヘイズ値が0.10%以下である[1]〜[3]のいずれか1項に記載の光学フィルム。
[5]
前記光学フィルムがレターデーション発現剤を含み、該レターデーション発現剤が円盤状化合物である[1]〜[4]のいずれか1項に記載の光学フィルム。
[6]
一対の基板間に液晶層を有する液晶セルを備え、黒表示時に前記液晶層の液晶分子が前記基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置に用い、セルロースエステルとアクリル樹脂とを相溶状態で含む光学フィルムの製造方法であって、
前記セルロースエステルと前記アクリル樹脂との質量比が70:30〜5:95である高分子膜を製膜する工程と、
前記高分子膜の搬送方向と直交する幅方向に前記高分子膜を延伸する工程とを含み、
前記セルロースエステルの質量平均分子量が75000以上であり、前記アクリル樹脂の質量平均分子量が80000以上であり、
前記光学フィルムの下記式(I)及び(II)で定義されるRe及びRthが、波長590nmにおいて下記式(III)及び(IV)を満たす、光学フィルムの製造方法。
式(I) Re=(nx−ny)×d
式(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式(III) 0nm≦Re≦10nm
式(IV) Rth≧30nm
式中、nxは前記光学フィルムのフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは前記フィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzは前記光学フィルムの厚み方向の屈折率であり、dは前記光学フィルムの厚さ(nm)である。
[7]
前記高分子膜の延伸が、乾燥後の未延伸の高分子膜のTgに対してTg±30℃の温度範囲で行われる[6]に記載の光学フィルムの製造方法。
[8]
前記アクリル樹脂が、メチルメタクリレート由来の繰り返し単位を50質量%以上含有し、質量平均分子量が500000以下である[6]又は[7]に記載の光学フィルムの製造方法。
[9]
前記セルロースエステルがアセチル基及びプロピオニル基を含み、
前記セルロースエステルのアシル基の総置換度が2.00〜3.00であり、炭素数3〜7のアシル基の置換度が1.20〜3.00であり、
前記セルロースエステルの質量平均分子量が250000以下である[6]〜[8]のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
[10]
前記光学フィルムがレターデーション発現剤を含み、該レターデーション発現剤が円盤状化合物である[6]〜[9]のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
[11]
下記で定義されるNz値が0.5以下である光学フィルムと、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の光学フィルムとが積層された、積層光学フィルム。
Nz=Rth/Re+0.5
ここで、Reはフィルムの面内レターデーション(nm)であり、Rthはフィルムの厚み方向のレターデーション(nm)である。
[12]
前記Nz値が0.5以下である光学フィルムが、熱可塑性樹脂を含む[11]に記載の積層光学フィルム。
[13]
前記熱可塑性樹脂が、アクリル樹脂、スチレン樹脂、及びポリカーボネート樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つである[12]に記載の積層光学フィルム。
[14]
[1]〜[5]のいずれか1項に記載の光学フィルム又は[11]〜[13]のいずれか1項に記載の積層光学フィルムを少なくとも1枚含む偏光板。
[15]
[1]〜[5]のいずれか1項に記載の光学フィルム、[11]〜[13]のいずれか1項に記載の積層光学フィルム、又は[14]に記載の偏光板を少なくとも1枚含む液晶表示装置。
[16]
少なくとも、第1偏光子と、第1位相差領域と、第2位相差領域と、液晶層及び該液晶層を挟持する一対の基板を含む液晶セルと、第2偏光子とがこの順序で配置され、黒表示時に前記液晶層の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置であって、
前記第1位相差領域及び前記第2位相差領域の一方が、下記で定義されるNz値が0.5以下である光学フィルムであり、他方が、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の光学フィルムである液晶表示装置。
Nz=Rth/Re+0.5
ここで、Reはフィルムの面内レターデーション(nm)であり、Rthはフィルムの厚み方向のレターデーション(nm)である。
[17]
前記第2位相差領域が[1]〜[5]のいずれか1項に記載の光学フィルムである[16]に記載の液晶表示装置。
[18]
前記第1位相差領域が、熱可塑性樹脂を含む光学フィルムである[16]又は[17]に記載の積層光学フィルム。
[19]
前記熱か組成樹脂が、アクリル樹脂、スチレン樹脂、及びポリカーボネート樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つである[18]に記載の液晶表示装置。
[20]
前記液晶セルと第2偏光子の間に、更に光学的等方性の光学フィルムを含む[16]〜[19]のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、面状が良く、機械的強度が高く、耐久性に優れ、光学補償フィルムに適した光学異方性を発現することのできる光学フィルムを提供することができる。本発明の光学フィルムを用いることで、耐久性が高く、表示ムラ発生が抑えられた液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】溶液製膜方法を実施するためのフィルム製造ラインの概略図である。
【図2】実施例で作製したIPSモード液晶セルの画素領域例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」及び「(数値1)乃至(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。
「アクリル樹脂」とはメタクリル酸又はアクリル酸の誘導体を重合して得られる樹脂、及びその誘導体を含有する樹脂を意味するものとする。また、特に限定しない場合には、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートを表し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルを表す。
更に、フィルムの「遅相軸方向」とはフィルム面内で屈折率が最大となる方向で、「真相軸方向」とはフィルム面内で遅相軸と直交する方向を意味するものとする。
【0013】
[光学フィルム]
本発明の光学フィルムは、一対の基板間に液晶層を有する液晶セルを備え、黒表示時に前記液晶層の液晶分子が前記基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置(例えば、IPSモード、FFSモードの液晶表示装置)用の光学フィルムとして好適である。
本発明の光学フィルムは、セルロースエステルとアクリル樹脂とを相溶状態で含み、前記セルロースエステルの質量平均分子量が75000以上であり、前記アクリル樹脂の質量平均分子量が80000以上であり、前記セルロースエステルと前記アクリル樹脂との質量比が70:30〜5:95であり、下記式(I)及び(II)で定義されるRe及びRthが、波長590nmにおいて下記式(III)及び(IV)を満たす。
式(I) Re=(nx−ny)×d
式(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式(III) 0nm≦Re≦10nm
式(IV) Rth≧30nm
(式中、nxは前記光学フィルムのフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは前記フィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzは前記光学フィルムの厚み方向の屈折率であり、dは前記光学フィルムの厚さ(nm)である。)
上記構成により、機械的強度が高く、耐久性に優れ、光学補償フィルムに適した光学異方性を発現することができる。
【0014】
(セルロースアシレート)
本発明に用いられるセルロースエステルの原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースエステルでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについては、例えばプラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができるが、本発明で用いられるセルロースエステルは特にその記載のものに限定されるものではない。
【0015】
本発明で用いられるセルロースエステルは、セルロースと脂肪酸(芳香族脂肪酸を含む)とのエステルが好ましく、セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位の2位、3位及び6位にある水酸基に該脂肪酸のアシル基が置換してアシル化されたセルロースアシレートが好ましい。
例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、また、2種類以上の脂肪酸のアシル基が置換したセルロースエステルも好ましい。これらのセルロースエステルは、更に置換された基を有していてもよい。
前記水酸基に置換するアシル基としては、炭素数2のアセチル基及び炭素数3〜22のアシル基を好ましく用いることができる。アクリル樹脂との相溶性向上の観点から、炭素数2のアセチル基及び炭素数3〜7のアシル基が好ましい。
本発明で用いられるセルロースエステルにおけるアシル基の総置換度(セルロースのβ
−グルコース単位において水酸基にアシル基が置換している割合で、2位、3位及び6位の3つの水酸基の全てにアシル基が置換している場合には3となる)は、特に限定されないが、アシル基の総置換度が高い方がアクリル樹脂との相溶性が良好で、湿度依存性が小さくなるため好ましい。このため、アシル基の総置換度は2.00〜3.00が好ましく、2.50〜3.00がより好ましく、2.50〜2.90が更に好ましい。
更に、アクリル樹脂との相溶性の観点から、炭素数3〜7のアシル基についてその置換度は、1.20〜3.00が好ましく、1.50〜3.00がより好ましく、2.00〜3.00が更に好ましく、2.00〜2.90が特に好ましい。
本発明のセルロースエステルにおいて、セルロースの水酸基に置換するアシル基の置換度の測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じた方法や、NMR法を挙げることができる。
【0016】
セルロースのβ−グルコース単位の水酸基に置換するアシル基としては、脂肪族基でも芳香族基もよく、特に限定されない。また、該水酸基に置換するアシル基は、単一のアシル基でも二種類以上であってもよい。
前記アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、へプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、iso−ブタノイル基、t−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、t−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などが好ましく、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基がより好ましく、プロピオニル基又はブタノイル基が更に好ましく、プロピオニル基が特に好ましい。
合成の容易さ、コスト、置換基分布の制御のし易さなどの観点から、アセチル基とプロピオニル基、アセチル基とブタノイル基、プロピオニル基とブタノイル基、アセチル基とプロピオニル基とブタノイル基が併用されることが好ましく、より好ましくはアセチル基とプロピオニル基、アセチル基とブタノイル基、アセチル基とプロピオニル基とブタノイル基が併用されることであり、更に好ましくはアセチル基とプロピオニル基、アセチル基とプロピオニル基とブタノイル基が併用されることであり、特に好ましくはアセチル基とプロピオニル基が併用されることである。
上記のアシル基が置換したセルロースエステルとしては、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートプチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレート、セルロースベンゾエートなどが挙げられ、なかでもセルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレートが好ましく、セルロースアセテートプロピオネートがより好ましい。
【0017】
本発明で用いられるセルロースエステルの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であり、特に、アセチル基とプロピオニル基が置換したセルロースアセテートプロピオネートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度がこの範囲であれば、セルロースエステルを含むドープ溶液の粘度が流延によりフィルム作製に適したものとすることができ、またアクリル樹脂との相溶性が高く、透明性及び機械的強度の高いフィルムを得ることができるので好ましい。粘度平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。特開平9−95538に詳細に記載されている。
【0018】
本発明で用いるセルロースエステルの質量平均分子量Mwは75000以上である。セ
ルロースエステルの質量平均分子量Mwが75000以上であれば、機械的強度が高く、フィルム製造時のハンドリング適性に優れる。この観点から、セルロースエステルの質量平均分子量Mwは100000以上であること好ましく、150000以上であることがより好ましい。また、アクリル樹脂との相溶性向上の観点からは、セルロースエステルの質量平均分子量Mwは300000以下であることが好ましく、270000以下であることがより好ましく、250000以下であることが更に好ましい。
フィルムの機械的強度、ハンドリング適性、及びアクリル樹脂との相溶性向上を両立させる観点からは、セルロースエステルの質量平均分子量Mwは75000以上300000以下であることが好ましく、100000以上270000以下であることがより好ましく、150000以上250000以下であることが更に好ましい。
同様の観点から、セルロースエステルの数平均分子量Mnは、18000以上300000以下であることが好ましく、25000以上270000以下であることがより好ましく、38000以上250000以下であることが更に好ましい。
セルロースエステルの質量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定することができる。
更に、セルロースエステルの分子量分布については、多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜4.0であることが好ましく、2.0〜3.5であることがより好ましく、2.3〜3.4であることが更に好ましい。
【0019】
セルロースエステルの低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースエステルよりも低くなるため有用である。低分子成分の除去は、通常の方法で合成したセルロースエステルを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。なお、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量部に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量分布が狭いセルロースアシレートを合成することができる。
本発明の光学フィルムの製造時に使用される際には、セルロースエステルの含水率は2質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは1質量%以下であり、特に好ましくは0.7質量%以下である。一般に、セルロースエステルは、水を含有しており、例えばセルロースアシレートの含水率は2.5〜5質量%が知られている。本発明で上記のようなセルロースアシレートの含水率にするためには、乾燥することが好ましく、その方法は目的とする含水率になれば特に限定されない。
本発明に用いることのできるセルロースアシレートに関しては、その原料綿や合成方法は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて7頁〜12頁に詳細に記載されている。
【0020】
本発明では、セルロースエステルの置換基、置換度、重合度、分子量分布などの観点で、単一あるいは異なる二種類以上のセルロースエステルを混合して用いることができる
【0021】
本発明の光学フィルムにおけるセルロースエステルの含有量は、光学フィルム中、69.9〜3.3質量%であることが好ましく、69.9〜10.0質量%であることがより好ましく、69.9〜20.0質量%であることが更に好ましく、49.9〜20.0質量%であることが更に好ましい。
【0022】
(アクリル樹脂)
本発明に用いられるアクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸の誘導体を重合して得られる樹脂、及びその誘導体を含有する樹脂であり、本発明の効果を損なわない限り特に制限されるものではない。
前記(メタ)アクリル酸の誘導体としては、(メタ)アクリレートを挙げることができ
る。例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、N−プロピルアクリレート、N−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、N−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、N−プロピルメタクリレート、N−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、N−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、t−ブチルシクロヘキシルメタクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートの単独重合体;2−クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルアクリレート、2−クロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルメタクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートの任意の水素原子をハロゲン基、水酸基及び他の有機残基で置換したものでもよい。ここで、他の有機残基は炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルキル基であることが好ましい。
【0023】
本発明に用いられるアクリル樹脂の主成分としては、アルキル(メタ)アクリレートが好ましい。アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数1〜18のアルキル基と(メタ)アクリル酸とからなるアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基とメタ)アクリル酸とからなるアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、メチルアクリレート及びメチルメタクリレートが更に好ましく、メチルメタクリレートが特に好ましい。
【0024】
本発明に用いられるアクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸の誘導体1種の単重合体であっても、(メタ)アクリル酸の誘導体2種以上の共重合体であっても、これらと共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。
(メタ)アクリル酸の誘導体と共重合可能な共重合成分としては、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸類及びマレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸類等の不飽和酸類、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル類、ラクトン環単位、グルタル酸無水物単位、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸無水物類、マレイミド、N−置換マレイミド等のマレイミド類、グルタルイミド単位が挙げられる。
光学特性の観点から芳香族ビニル化合物が好ましく、特にスチレンが好ましい。
【0025】
セルロースエステルとの相溶性向上の観点から、アクリル樹脂としてはメチルメタクリレートの単独又は共重合体であることが好ましく、メチルメタクリレート由来の繰り返し単位を50質量%以上含むことがより好ましく、70質量%以上含むことが更に好ましく、90質量%以上含むことが特に好ましい。更には、メチルメタクリレートと他の単量体との共重合体が好ましく、該共重合体のアクリル樹脂にはメチルメタクリレートと共重合する単量体由来の繰り返し単位が1〜50質量%含まれることが好ましく、1〜30質量%含まれることがより好ましく、1〜10質量%含まれることが更に好ましい。
メチルメタクリレートと共重合可能な単量体としては、上記アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な単量体として例示したものに加えて、炭素数が2〜18のアルキル基とメタクリル酸とからなるアルキルメタアクリレート、炭素数が1〜18のアルキル基とアクリル酸とからなるアルキルアクリレートが挙げられ、これらは単独で、又は2種以上の単量体を併用して用いることができる。中でも、共重合体の耐熱分解性や流動性の観点から、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく、メチルアクリレートやn−ブチルアクリレートが特に好ましく用いられる。
本発明のアクリル樹脂及び(メタ)アクリル酸の誘導体、他の共重合可能な単量体としては特開2009−122664号、特開2009−139661号、特開2009−139754号、特開2009−294262号、国際公開2009/054376号等の各公報に記載のものも使用することができる。なお、これらは本発明を限定するものではなく、これらは単独で又は2種類以上組み合わせて使用できる。
2種類以上のアクリル樹脂を用いる場合は、少なくとも1種類は上記の構造を有するものを用いることが好ましい。
【0026】
本発明で用いるアクリル樹脂の質量平均分子量Mwは80000以上である。アクリル樹脂の質量平均分子量Mwが80000以上であれば、機械的強度が高く、フィルム製造時のハンドリング適性に優れる。この観点から、アクリル樹脂の質量平均分子量Mwは100000以上であること好ましい。また、セルロースエステルとの相溶性向上の観点からは、アクリル樹脂の質量平均分子量Mwは1100000以下であることが好ましく、500000以下であることがより好ましい。
フィルムの機械的強度、ハンドリング適性及びセルロースエステルとの相溶性向上の両立の観点からは、アクリル樹脂の質量平均分子量Mwは80000以上1100000以下であることが好ましく、80000以上500000以下であることがより好ましく、100000以上500000以下であることが更に好ましい。
アクリル樹脂の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。
【0027】
本発明におけるアクリル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、あるいは溶液重合等の公知の方法のいずれを用いてもよい。ここで、重合開始剤としては、通常のパーオキサイド系及びアゾ系のものを用いることができ、また、レドックス系とすることもできる。重合温度については、懸濁又は乳化重合では30〜100℃、塊状又は溶液重合では80〜160℃で実施することができる。得られた共重合体の還元粘度を制御するために、アルキルメルカプタン等を連鎖移動剤として用いて重合を実施することもできる。
【0028】
本発明に用いられるアクリル樹脂としては、市販のものも使用することができる。例えば、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR80、BR85、BR88、BR102(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製)等が挙げられる。
アクリル樹脂は2種以上を併用することもできる。
【0029】
本発明の光学フィルムにおけるアクリル樹脂の含有量は、光学フィルム中、20.0〜94.9質量%であることが好ましく、20.0〜84.9質量%であることがより好ましく、20.0〜69.9%であることが更に好ましく、34.0〜69.9質量%であることが更に好ましい。
【0030】
本発明の光学フィルムにおいて、セルローエステルとアクリル樹脂との比率(質量比)は70:30〜5:95である。セルロースエステルの比率を70質量%以下とすることで、湿度依存性が低く、高温高湿耐久性が改善され、好ましい光学特性を得ることができ、液晶表示装置の表示ムラを防止することができる。また、アクリル樹脂の比率を95質量%以下とすることで、耐熱性が向上し、所望の光学異方性を発現させ易い。また、機械的強度、機械的強度、面状、ハンドリング適性、フィルム表面処理適性を改善できる。セルロールエステルとアクリル樹脂との質量比は70:30〜5:95であり、好ましくは70:30〜15:85であり、より好ましくは70:30〜30:70であり、更に好ましくは49:51〜30:70である。
【0031】
本発明の光学フィルムにおいては、全ヘイズ、内部ヘイズを小さくし、透明性を高める観点から、セルロースエステルとアクリル樹脂とが相溶状態で含有されていることが好ましい。
セルロースエステルとアクリル樹脂が相溶状態となっているかどうかは、例えば、ガラス転移温度Tgにより判断することが可能である。例えば、セルロースエステルとアクリル樹脂とのガラス転移温度が異なる場合、両者を混合したときは、各々のガラス転移温度が存在するため混合物のガラス転移温度は2つ以上存在するが、両者が相溶したときは、各々の樹脂固有のガラス転移温度が消失し、1つのガラス転移温度となって相溶した樹脂のガラス転移温度となる。
ガラス転移温度は、示差走査型熱量計(DSC)を用いて昇温速度10℃/分で測定したときに樹脂のガラス転移に由来するベースラインが変化しはじめる温度と再びベースラインに戻る温度との平均値として求めることができる。
【0032】
セルロースエステルとアクリル樹脂は、それぞれ非結晶性樹脂であることが好ましく、いずれか一方が結晶性高分子、あるいは部分的に結晶性を有する高分子であってもよいが、セルロースエステルとアクリル樹脂とが相溶することで、非結晶性樹脂となることが好ましい。
【0033】
本発明の光学フィルムにおけるセルロースエステルの質量平均分子量Mwや置換度、アクリル樹脂の質量平均分子量Mwは、両者の溶媒に対する溶解性の差を用いて、分別した後に、それぞれ測定することでも得ることができる。樹脂を分別する際には、いずれか一方にのみ溶解する溶媒中に相溶された樹脂を添加することで、溶解する樹脂を抽出して分別することができ、このとき加熱操作や環流を行ってもよい。これらの溶媒の組み合わせを2工程以上組み合わせて、樹脂を分別してもよい。溶解した樹脂と、不溶物として残った樹脂を濾別し、抽出物を含む溶液については、溶媒を蒸発させて乾燥させる操作によって樹脂を分別することができる。これらの分別した樹脂は、高分子の一般の構造解析によって特定することができる。本発明の光学フィルムが、セルロースエステルやアクリル樹脂以外の樹脂を含有する場合も同様の方法で分別することができる。
また、相溶された樹脂の質量平均分子量Mwがそれぞれ異なる場合は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって、高分子量物は早期に溶離され、低分子量物であるほど長い時間を経て溶離されるために、容易に分別可能であるとともに分子量を測定することも可能である。
また、相溶した樹脂をゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって分子量測定を行うと同時に、時間毎に溶離された樹脂溶液を分取して溶媒を留去し乾燥した樹脂を、構造解析を定量的に行うことで、異なる分子量の分画毎の樹脂組成を検出することで、相溶されている樹脂をそれぞれ特定することができる。事前に溶媒への溶解性の差で分取した樹脂を、各々ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって分子量分布を測定することで、相溶されていた樹脂をそれぞれ検出することもできる。
また、「セルロースエステルとアクリル樹脂とを相溶状態で含有する」とは、各々の樹脂(ポリマー)を混合することで、結果として相溶された状態となることを意味しており、モノマー、ダイマー、あるいはオリゴマー等のアクリル樹脂の前駆体をセルロースエステルに混合させた後に重合させることにより混合樹脂とされた状態は含まれないものとする。
【0034】
本発明の光学フィルムは、光学フィルムとしての機能を損なわない限りは、セルロースエステル、アクリル樹脂以外の樹脂や添加剤を含有して構成されていてもよい。セルロースエステル、アクリル樹脂以外の樹脂を含有する場合、添加される樹脂が相溶状態であっても、溶解せずに混合されていてもよい。
【0035】
(マット剤微粒子)
本発明の光学フィルムには、マット剤として微粒子を加えることができる。マット剤として使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものがフィルムのヘイズが低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上が更に好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
【0036】
これらの微粒子は、通常平均粒子径が0.1〜3.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させる。2次粒子の平均粒子径は0.2μm以上1.5μm以下が好ましく、0.4μm以上1.2μm以下が更に好ましく、0.6μm以上1.1μm以下が最も好ましい。1次粒子、2次粒子の粒子径はフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒径とした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とした。
【0037】
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
【0038】
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが1次粒子の平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化珪素の微粒子であり、光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
【0039】
本発明において2次粒子での平均粒子径が小さな粒子を有する光学フィルムを得るために、微粒子の分散液を調製する際にいくつかの手法が考えられる。例えば、溶剤と微粒子を撹拌混合した微粒子分散液をあらかじめ作成し、この微粒子分散液を別途用意した少量のセルロースエステル又はアクリル樹脂溶液に加えて撹拌溶解し、更にメインのフィルム作製用の高分子溶液(ドープ液)と混合する方法がある。この方法は二酸化珪素微粒子の分散性がよく、二酸化珪素微粒子が更に再凝集しにくい点で好ましい調製方法である。ほかにも、溶剤に少量のセルロースエステル又はアクリル樹脂を加え、撹拌溶解した後、これに微粒子を加えて分散機で分散を行い、これを微粒子添加液とし、この微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する方法もある。本発明はこれらの方法に限定されないが、二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化珪素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度が高い方が添加量に対する液濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
最終的なドープ溶液中でのマット剤の添加量は1m2あたり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gが更に好ましく、0.08〜0.16gが最も好ましい。マット剤の添加量としては、セルロースエステル樹脂とアクリル樹脂等のドープ溶液に使用する樹脂の全量に対して、0.001質量%以上0.4質量%以下が好ましく、0.001質量%以上0.2質量%以下がより好ましく、0.01質量%以上0.1質量%以下が更に好ましい。また、光学フィルムが多層から形成される場合、内層への添加はせず、表層
側のみに添加することが好ましく、この場合は、セルロースエステル樹脂とアクリル樹脂等のドープ溶液に使用する樹脂の全量に対して、表層のマット剤の添加量としては0.001質量%以上0.4質量%以下が好ましく、0.001質量%以上0.2質量%以下がより好ましく、0.01質量%以上0.1質量%以下が更に好ましい。
【0040】
分散に使用される溶剤としては低級アルコール類が好ましく、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、光学フィルムの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
【0041】
(その他の添加剤)
上記マット粒子の他に、本発明の光学フィルムには、下記で述べるレターデーション発現剤を添加することができる。更に、その他の種々の添加剤(例えば、可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、剥離剤、赤外線吸収剤、波長分散調整剤など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば融点が20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば特開2001−151901号などに記載されている。更にまた、赤外吸収染料としては例えば特開2001−194522号に記載されている。また、これら添加剤の添加する時期はドープ作製工程において何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、光学フィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開2001−151902号などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。これらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
【0042】
セルロースエステル及びアクリル樹脂との相溶性が良い可塑剤は、ブリードアウトが生じ難く、低ヘイズであり、光モレ、正面コントラスト、輝度に優れた液晶表示装置を実現するフィルムの作製に有効である。
本発明の光学フィルムに可塑剤を用いてもよい。可塑剤としては特に限定しないが、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、カルボン酸エステル系可塑剤、ポリエステルオリゴマー系可塑剤、糖エステル系可塑剤、エチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤などが挙げられる。
好ましくはリン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、ポリエステルオリゴマー系可塑剤、糖エステル系可塑剤、エチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤であり、より好ましくはポリエステルオリゴマー系可塑剤、糖エステル系可塑剤、エチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤であり、更に好ましくはエチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤、糖エステル系可塑剤であり、特に好ましくはエチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤である。
特にポリエステルオリゴマー系可塑剤、エチレン性不飽和モノマー共重合体系可塑剤、糖エステル系可塑剤は本発明の光学フィルムとの相溶性が高く、ブリードアウト低減、低ヘイズ及び低透湿度の効果が高く、また温湿度変化や経時による可塑剤の分解及びフィルムの変質や変形が生じ難いため、本発明に好んで用いることができる。
本発明においては、可塑剤は1種のみで用いても良いし、2種以上を混合して使用することもできる。
【0043】
また本発明の光学フィルムには、アクリル粒子を含有してもよい。アクリル粒子、特に
多層構造アクリル系粒状複合体を添加することで、耐衝撃性、耐応力白化性が改善することが特公昭60−17406、特公平3−39095号公報等に記載されている。
【0044】
本発明の光学フィルムにおいては、これらの添加剤を添加する場合、添加剤の総量は、光学フィルムに対して50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることが好ましい。
【0045】
(レターデーション)
本発明の光学フィルムは、波長590nmで測定したRe及びRth(下記式(I)及び(II)にて定義される)が、式(III)及び(IV)を満たす。
式(I) Re=(nx−ny)×d
式(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式(III) 0nm≦Re≦10nm
式(IV) Rth≧30nm
(式中、nxは前記光学フィルムのフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは前記フィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzは前記光学フィルムの厚み方向の屈折率であり、dは前記光学フィルムの厚さ(nm)である。)
上記式(III)及び(IV)を満たすフィルムは高い光学異方性が発現するので、一対の基板間に液晶層を有する液晶セルを備えて黒表示時に前記液晶層の液晶分子が前記基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置(IPSモードやFFSモードの液晶表示装置)の光学補償フィルムとして好適に用いることができ、該液晶表示装置の表示のコントラスト比を向上させたり、視野角や色味を改善したりすることができる。
なお、本発明の光学フィルムでは、上記式(III)及び(IV)がフィルム面内の少なくとも1点において満足されればよいが、フィルム面内の任意の点で上記式(III)及び(IV)が満足されることが好ましい。
【0046】
本発明の光学フィルムを上記の黒表示時に液晶層の液晶分子が基板の表面に対して平行に配向する液晶セルを有する液晶表示装置に用いる場合、該光学フィルムのRe及びRthは以下の値が好ましい。
Reの値としては、0nm≦Re≦7nmが好ましく、0nm≦Re≦5nmがより好ましい。
Rthの値としては、30nm≦Rth≦200nmが好ましく、50nm≦Rth≦150nmがより好ましく、60nm≦Rth≦120nmが更に好ましい。
【0047】
ここで、波長λnmでのRe、Rth及びNzの測定方法について説明する。これらRe、Rth及びNzは次のようにして測定できる。
ReはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
Rthは前記Re、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、及び面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基にKOBRA 21ADHにより算出する。ここで平均屈折率の仮定値はポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
Nzは、Re及びRthに基づいてNz=Rth/Re+0.5により算出する。なお、平均屈折率の仮定値と膜厚に基づいて、KOBRA 21ADHによりnx、ny、nzを算出し、これらのnx、ny、nzの値からNz=(nx−nz)/(nx−ny)によりNzを算出することもできる。
本発明の光学フィルムの測定では、光学フィルムの平均屈折率を1.48としてレタータデーションの測定を行う。
【0048】
上記のRe、Rth及びNzは、セルロースエステルの置換度、セルロースエステルとアクリル樹脂の比率、レターデーション発現剤の添加、フィルムの膜厚、フィルムの延伸方向と延伸率等により調整することができる。
【0049】
(Rthのばらつき)
本発明の光学フィルムでは、フィルム内でのRthのばらつきが小さい方が、適用する液晶表示装置のコントラスト比、視野角や色味の改善の点で好ましい。具体的には、フィルム面内において、100mm間隔の2点におけるRthの差分が3.0nm以内であることが好ましく、2.0nm以内であることがより好ましく、1.5nm以内であることが更に好ましい。
Rthのバラツキは延伸条件、乾燥条件などにより調節することができるが、特に延伸温度による調整が好ましい。延伸温度は製膜、乾燥後の未延伸の高分子膜のTgを基準としてTg±30℃が好ましく、Tg±25℃がより好ましく、Tg±20℃が更に好ましく、Tg±15℃が特に好ましく、Tg±15℃が最も好ましい。
【0050】
<レターデーション発現剤>
本発明では、所望の光学異方性を発現させるため、レターデーション発現剤を用いるのが好ましい。
本発明のレターデーション発現剤としては、セルロースエステル及びアクリル樹脂の両方に対して相溶性が良く、セルロースエステルとアクリル樹脂とが相溶状態で含まれるフィルムに対しても相溶性が良い化合物を使用することが好ましい。また、固有複屈折が大きく、延伸時に延伸方向へと沿って分子配向する化合物を使用することが好ましい。
本発明において用いることができるレターデーション発現剤としては、円盤状化合物、及び棒状化合物などが挙げられる。また、液晶性を示す化合物もレターデーション発現剤として用いることができ、前記円盤状化合物又は棒状化合物が液晶性を示す化合物であってもよい。
なかでも、液晶表示装置の光学補償の観点からは、フィルム内での配向性がよく、Rthの発現性が大きなレターデーション発現剤が好ましい。この観点からは、円盤状化合物又は液晶性を示す化合物が好ましく、円盤状化合物がより好ましい。
【0051】
光学フィルム中のレターデーション発現剤は、特に限定されないが、セルロースエステル及びアクリル樹脂等のフィルムを形成する樹脂の合計量を100質量部としたときに、0.1〜50質量部であることが好ましく、0.1〜30質量部であることがより好ましく、0.1から20質量部であることが更に好ましく、0.1〜12質量部であることが特に好ましい。
レターデーション発現剤は2種類以上を用いてもよく、円盤状化合物同士、棒状化合物同士、液晶性化合物同士の組み合わせでも、異なる組み合わせでも良く、更にその他の構造のレターデーション発現剤と組み合わせて用いても良い。2種類以上のレターデーション発現剤を用いる場合は、合計量が上記の範囲にあることが好ましい。
前記レターデーション発現剤は、250〜400nmの波長領域に最大吸収を有することが好ましく、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
【0052】
円盤状化合物のレターデーション発現剤について説明する。
円盤状化合物としては、少なくとも二つの芳香族環を有する化合物を用いることが好ましい。
ここで、「芳香族環」は、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族ヘテロ環を含む。
【0053】
円盤状化合物における芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。
芳香族ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族ヘテロ環は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることが更に好ましい。芳香族ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1,3,5−トリアジン環が含まれる。
【0054】
芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1,3,5−トリアジン環が好ましく、特に1,3,5−トリアジン環が好ましく用いられる。
【0055】
前記円盤状化合物が有する芳香族環の数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることが更に好ましく、2〜6であることが最も好ましい。
二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合及び(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
【0056】
(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、ナフタセン環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環及びチアントレン環が含まれる。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環及びキノリン環が好ましい。
【0057】
(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。二以上の単結合で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環又は非芳香族性へテロ環を形成してもよい。
【0058】
(c)の連結基も、二つの芳香族環の炭素原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O−、−NH−、−S−又はそれらの組合せであることが好ましい。組合せからなる連結基の例を以下に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆になってもよい。
【0059】
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
【0060】
芳香族環及び連結基は、下記置換基群Aの置換基を有していてもよい。
(置換基群A)
置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ウレイド基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基及び非芳香族性へテロ環基が含まれる。
【0061】
前記置換基群Aの置換基について説明する。
アルキル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。アルキル基は、更に置換基(例、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基、4−カルボキシブチル基、2−メトキシエチル基及び2−ジエチルアミノエチル基が含まれる。
アルケニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、更に置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、ビニル基、アリル基及び1−ヘキセニル基が含まれる。
アルキニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、更に置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル基、1−ブチニル基及び1−ヘキシニル基が含まれる。
【0062】
脂肪族アシル基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル基、プロパノイル基及びブタノイル基が含まれる。
脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシ基が含まれる。
アルコキシ基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルコキシ基は、更に置換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基及びメトキシエトキシ基が含まれる。
アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシ
カルボニル基の例には、メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ基及びエトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0063】
アルキルチオ基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メチルチオ基、エチルチオ基及びオクチルチオ基が含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニル基及びエタンスルホニル基が含まれる。
脂肪族アミド基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミド基が含まれる。
脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基及びn−オクタンスルホンアミド基が含まれる。
脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基及び2−カルボキシエチルアミノ基が含まれる。
【0064】
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基及びジエチルカルバモイル基が含まれる。
脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイル基及びジエチルスルファモイル基が含まれる。
脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイド基が含まれる。
非芳香族性ヘテロ環基の例には、ピペリジノ基及びモルホリノ基が含まれる。
【0065】
円盤状化合物のレターデーション発現剤の分子量は、300〜800であることが好ましい。
【0066】
円盤状化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
一般式(1):
【0067】
【化1】

【0068】
上記一般式(1)中、R12は、各々独立に、置換基を有する芳香族環又はヘテロ環を表す。X11は、各々独立に、単結合又は−NR13−を表す。ここで、R13は、各々独立に、水素原子、置換又は無置換の、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。
11としては−NR13−が好ましく、R13は水素原子又はアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0069】
12が表す芳香族環は、フェニル又はナフチルであることが好ましく、フェニルであることが特に好ましい。R12が表す芳香族環がフェニルの場合はオルト位、メタ位及びパラ位の少なくともいずれかに置換基を有することが好ましい。置換基の例には、前記置換基群Aのものが挙げられる。
置換基としてはアルキル基又はアルコキシ基が好ましく、アルキル基としてはメチル基が、アルコキシ基としてはメトキシ基が特に好ましい。
12がフェニル場合に該フェニルに置換する置換基の位置はメタ位又はパラ位が好ましく、アルキル基はメタ位が、アルコキシ基はパラ位が特に好ましい。
【0070】
12が表すヘテロ環基は、芳香族へテロ環基であることが好ましい。芳香族へテロ環は一般に不飽和へテロ環であり、好ましくは最多の二重結合を有するヘテロ環である。へテロ環は5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることが更に好ましく、6員環であることが最も好ましい。へテロ環のヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子又は酸素原子であることが好ましく、窒素原子であることが特に好ましい。へテロ環としては、ピリジン環(複素環基としては、2−ピリジル又は4−ピリジル)が特に好ましい。芳香族ヘテロ基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、前記置換基群Aのものが挙げられる。
11が単結合である場合のヘテロ環基は、窒素原子に遊離原子価をもつヘテロ環基であることが好ましい。窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることが更に好ましく、5員環であることが最も好ましい。ヘテロ環基は、複数の窒素原子を有していてもよい。また、ヘテロ環基は、窒素原子以外のヘテロ原子(例、O、S)を有していてもよい。以下に、窒素原子に遊離原子価をもつヘテロ環基の例を示す。
【0071】
【化2】

【0072】
一般式(1)中、X11は単結合又は−NR13−を表す。R13は独立して、水素原子、置換若しくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基を表す。
13が表すアルキル基は、環状アルキル基であっても鎖状アルキル基であってもよいが、鎖状アルキル基が好ましく、分岐を有する鎖状アルキル基よりも、直鎖状アルキル基がより好ましい。アルキル基の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8が更にまた好ましく、1〜6であることが最も好ましい。アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)及びアシルオキシ基(例、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基)が含まれる。
【0073】
13が表すアルケニル基は、環状アルケニル基であっても鎖状アルケニル基であってもよいが、鎖状アルケニル基を表すのが好ましく、分岐を有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基を表すのがより好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜10であることが更に好ましく、2〜8であることが更にまた好ましく、2〜6であることが最も好ましい。アルケニル基は置換基を有していてもよい。置換基の例には、前述のアルキル基の置換基と同様の置換基を挙げることができる。
13が表す芳香族環基及びヘテロ環基は、R12が表す芳香族環及びヘテロ環と同様であり、好ましい範囲も同様である。芳香族環基及びヘテロ環基は更に置換基を有していてもよく、置換基の例には、前述のアルキル基の置換基と同様の置換基を挙げることができる。
【0074】
一般式(1)で表される円盤状化合物の具体例としては、特開2007−249180号公報の段落[0087]〜[0113]に記載の化合物を挙げることができる。
【0075】
次に、棒状化合物のレターデーション発現剤について説明する。
棒状化合物は、直線的な分子構造を有する。直線的な分子構造とは、熱力学的に最も安定な構造において分子構造が直線的であることを意味する。熱力学的に最も安定な構造は、結晶構造解析又は分子軌道計算によって求めることができる。例えば、分子軌道計算ソフト(例、WinMOPAC2000、富士通(株)製)を用いて分子軌道計算を行い、化合物の生成熱が最も小さくなるような分子の構造を求めることができる。分子構造が直線的であるとは、上記のように計算して求められる熱力学的に最も安定な構造において、分子構造で主鎖の構成する角度が140度以上180度以下であることを意味する。
【0076】
棒状化合物としては、少なくとも二つの芳香族環を有するものが好ましく、少なくとも二つの芳香族環を有する棒状化合物としては、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
【0077】
一般式(2):Ar1−L1−Ar2
【0078】
一般式(2)において、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。ここで、芳香族基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリール基、芳香族性ヘテロ環基及び置換芳香族性ヘテロ環基を含む。
【0079】
アリール基及び置換アリール基の方が、芳香族性ヘテロ環基及び置換芳香族性ヘテロ環基よりも好ましい。芳香族性へテロ環基のヘテロ環は、一般には不飽和である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることが更に好ましい。芳香族性へテロ環は一般に最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子が好ましく、窒素原子又は硫黄原子が更に好ましい。
芳香族基の芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環及びピラジン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
【0080】
置換アリール基及び置換芳香族性ヘテロ環基の置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、アルキルアミノ基(例、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基)、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基(例、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基)、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基(例、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基)、ウレイド基、アルキルウレイド基(例、N−メチルウレイド基、N,N−ジメチルウレイド基、N,N,N′−トリメチルウレイド基)、アルキル基(例、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、s−ブチル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基)、アルケニル基(例、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基)、アルキニル基(例、エチニル基、ブチニル基)、アシル基(例、ホルミル基、アセチル基、ブチリル基、ヘキサノイル基、ラウリル基)、アシルオキシ基(例、アセトキシ基、ブチリルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ラウリルオキシ基)、アルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基)、アリールオキシ基(例、フェノキシ基)、アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニルアミノ基(例、ブトキシカルボニルアミノ基、ヘキシルオキシカルボニルアミノ基)、アルキルチオ基(例、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基)、アリールチオ基(例、フェニルチオ基)、アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘプチルスルホニル基、オクチルスルホニル基)、アミド基(例、アセトアミド基、ブチルアミド基、ヘキシルアミド基、ラウリルアミド基)及び非芳香族性ヘテロ環基(例、モルホリル基、ピラジニル基)が含まれる。
【0081】
置換アリール基及び置換芳香族性ヘテロ環基の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキル置換アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基及びアルキル基が好ましい。
アルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基のアルキル部分とアルキル基とは、更に置換基を有していてもよい。アルキル部分及びアルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基、スルファモイル、アルキルスルファモイル基、ウレイド、アルキルウレイド基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アミド基及び非芳香族性複素環基が含まれる。アルキル部分及びアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基及びアルコキシ基が好ましい。
【0082】
一般式(2)において、L1は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−CO−及びそれらの組合せからなる基から選ばれる二価の連結基である。
アルキレン基は、環状構造を有していてもよい。環状アルキレン基としては、シクロヘキシレンが好ましく、1,4−シクロへキシレンが特に好ましい。鎖状アルキレン基としては、直鎖状アルキレン基の方が分岐を有するアルキレン基よりも好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜15であり、更に好ましくは1〜10であり、更に好ましくは1〜8であり、最も好ましくは1〜6である。
アルケニレン基及びアルキニレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することが更に好ましい。
アルケニレン基及びアルキニレン基の炭素原子数は、好ましくは2〜10であり、より好ましくは2〜8であり、更に好ましくは2〜6であり、更に好ましくは2〜4であり、最も好ましくは2(ビニレン又はエチニレン)である。
アリーレン基は、炭素原子数は6〜20であることが好ましく、より好ましくは6〜16であり、更に好ましくは6〜12である。
【0083】
一般式(3)の分子構造において、L1を挟んで、Ar1とAr2とが形成する角度は、140度以上180度以下であることが好ましい。
棒状化合物としては、下記式一般式(3)で表される化合物が更に好ましい。
【0084】
一般式(3):Ar1−L2−X−L3−Ar2
【0085】
一般式(3)において、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。芳香族基の定義及び例は、一般式(2)のAr1及びAr2と同様である。
【0086】
一般式(3)において、L2及びL3は、それぞれ独立に、アルキレン基、−O−、−CO−及びそれらの組合せからなる基より選ばれる二価の連結基である。
アルキレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することが更に好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1〜8であり、更に好ましくは1〜6であり、更に好ましくは1〜4であり、1又は2(メチレン又はエチレン)であることが最も好ましい。
2及びL3は、−O−CO−又は−CO−O−であることが特に好ましい。
一般式(2)において、Xは、1,4−シクロへキシレン、ビニレン又はエチニレンである。
【0087】
一般式(2)又は(3)で表される化合物の具体例としては、特開2007−254699号公報の段落[0089]〜[0102]に記載の化合物を挙げることができる。
【0088】
溶液の紫外線吸収スペクトルにおいて最大吸収波長(λmax)が250nmより短波長である棒状化合物を、二種類以上併用してもよい。
棒状化合物は、文献記載の方法により合成できる。文献としては、Mol. Cryst. Liq. Cryst., 53巻、229ページ(1979年)、同89巻、93ページ(1982年)、同145巻、111ページ(1987年)、同170巻、43ページ(1989年)、J. Am. Chem. Soc., 113巻、1349ページ(1991年)、同118巻、5346ページ(1996年)、同92巻、1582ページ(1970年)、J. Org. Chem., 40巻、420ページ(1975年)、Tetrahedron、48巻16号、3437ページ(1992年)を挙げることができる。
【0089】
次に、液晶性を示す化合物のレターデーション発現剤について説明する。
液晶性を示す化合物は、100℃〜300℃の温度範囲で液晶相を発現することが好ましい。より好ましくは120℃〜200℃である。液晶相は、ネマチィク相又はスメクティック相が好ましい。
【0090】
液晶性を示す化合物としては、下記一般式(4)で表される化合物が好ましい。
一般式(4):
【0091】
【化3】

【0092】
一般式(4)中、L1及びL2は、それぞれ、単結合又は二価の連結基を表す。A1及びA2は−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基)、−S−、−CO−からそれぞれ独立に選ばれる基である。R1、R2、R3、R4及びR5は置換基を表す。nは0から2までの整数を表す。
【0093】
1及びL2は好ましくは下記の例が挙げられる。
【0094】
【化4】

【0095】
更に好ましくは−O―、―COO―、―OCO−である。
【0096】
1は置換基であり、複数存在する場合は同じでも異なっていてもよく、環を形成しても良い。置換基の例としては下記のものが適用できる。
【0097】
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル基)、ビシクロアルケニル基(置換又は無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、
【0098】
アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5又は6員の置換又は無置換の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5又は6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、
【0099】
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、
【0100】
メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N'フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、
【0101】
カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換又は無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)を表わす。
【0102】
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り、更に上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
【0103】
1は好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基、アミノ基であり、更に好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、アルコキシ基である。
【0104】
2、R3は各々独立に置換基を表す。例としては上記R1の例があげられる。好ましくは置換若しくは無置換のベンゼン環、置換若しくは無置換のシクロヘキサン環である。より好ましくは置換基を有するベンゼン環、置換基を有するシクロヘキサン環であり、更に好ましくは4位に置換基を有するベンゼン環、4位に置換基を有するシクロヘキサン環である。
【0105】
4、R5は各々独立に置換基を表す。例としては上記R1の例があげられる。好ましくは、ハメットの置換基定数σp値が0より大きい電子求引性の置換基であることが好ましく、σp値が0〜1.5の電子求引性の置換基を有していることが更に好ましい。このような置換基としてはトリフルオロメチル基、シアノ基、カルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。また、R4とR5とが結合して環を形成してもよい。
なお、ハメットの置換基定数のσp、σmに関しては、例えば、稲本直樹著「ハメット則−構造と反応性−」(丸善)、日本化学会編「新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応V」2605頁(丸善)、仲谷忠雄著「理論有機化学解説」217頁(東京化学同人)、ケミカル レビュー、91巻、165〜195頁(1991年)等の成書に詳しく解説されている。
【0106】
1及びA2は−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基)、−S−、−CO−からそれぞれ独立に選ばれる基である。好ましくは−O−、−NR−(Rは置換基)、−S−からそれぞれ独立に選ばれる基である。
【0107】
nは0又は1が好ましく、0であることが最も好ましい。
【0108】
一般式(4)で表される液晶性を示す化合物の具体例としては、特開2009−198822号公報の段落[0044]〜[0051]に記載の化合物を挙げることができる。
【0109】
(フィルムの厚さ)
本発明の光学フィルムの厚さは、10〜120μmが好ましく、25〜90μmが更に好ましく、30〜80μmが特に好ましい。この範囲にあると温湿度変化に伴うパネルの反りが小さくすることができる。
【0110】
(フィルムのヘイズ)
本発明の光学フィルムは、全ヘイズ値が2.00%以下であることが好ましい。全ヘイズ値が2.00%以下であると、フィルムの透明性が高く、液晶表示装置のコントラスト比や輝度向上に効果がある。全ヘイズ値は、1.00%以下がより好ましく、0.50%以下であることが更に好ましく、0.30%以下が特に好ましく、0.20%以下が最も好ましい。全ヘイズ値は低いほど光学的性能が優れるが原料選択や製造管理やロールフィルムのハンドリング性も考慮すると0.01%以上であることが好ましい。
本発明の光学フィルムの内部ヘイズ値は、1.00%以下であることが好ましい。内部ヘイズ値を1.00%以下とすることで、液晶表示装置のコントラスト比を向上させ、優れた表示特性を実現することができる。内部ヘイズ値は、0.50%以下がより好ましく、0.20%以下が更に好ましく、0.10%以下が特に好ましく、0.05%以下が最も好ましい。原料選択や製造管理等の観点からは0.01%以上であることが好ましい。
本発明の光学フィルムとしては、特に、全ヘイズ値が0.30%以下であり、内部ヘイズ値が0.10%以下であることが好ましい。
全ヘイズ値及び内部ヘイズ値は、フィルム材料のセルロースエステルやアクリル樹脂の種類や添加量、添加剤の選択(特に、マット剤粒子の粒径、屈折率、添加量)や、更にはフィルム製造条件(延伸時の温度や延伸倍率など)により調整することができる。
なおヘイズの測定は、本発明のフィルム試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−6714に従って測定することができる。
【0111】
(フィルムの弾性率)
本発明の光学フィルムの弾性率は、幅方向(TD方向)で1800〜7000MPaであることが好ましい。
本発明において、TD方向の弾性率が上記範囲とすることにより、高湿及び高温高湿環境経時後の黒表示時の表示ムラやフィルム作製時の搬送性、端部スリット性や破断のし難さ等の製造適性の観点で好ましい。TD弾性率が小さすぎると高湿及び高温高湿環境経時後の黒表示時の表示ムラが発生し易くなり、また製造適性に問題が生じ、大きすぎるとフィルム加工性に劣る為、TD方向の弾性率は、1800〜5000MPaがより好ましく、1800〜4000MPaであることが更に好ましい。
また、本発明の光学フィルムの搬送方向の(MD方向)の弾性率は、1800〜4000MPaが好ましく、1800〜3000MPaであることがより好ましい。
ここで、フィルムの搬送方向(長手方向)とは、フィルム作製時の搬送方向(MD方向)であり、幅方向とはフィルム作製時の搬送方向に対して垂直な方向(TD方向)である。
フィルムの弾性率は、フィルム材料のセルロースエステルやアクリル樹脂の種類や添加量、添加剤の選択(特に、マット剤粒子の粒径、屈折率、添加量)や、更にはフィルム製造条件(延伸倍率など)により調整することができる。
弾性率は、例えば、東洋ボールドウィン(株)製万能引っ張り試験機“STM T50BP”を用い、23℃、70RH%雰囲気中、引張速度10%/分で0.5%伸びにおける応力を測定して求めることができる。
【0112】
(ガラス転移温度Tg)
本発明の光学フィルムのガラス転移温度Tgは製造適性と耐熱性の観点より、100℃以上200℃以下が好ましく、更に100℃以上150℃以下が好ましい。
ガラス転移温度は、示差走査型熱量計(DSC)を用いて昇温速度10℃/分で測定したときにフィルムのガラス転移に由来するベースラインが変化しはじめる温度と再びベースラインに戻る温度との平均値として求めることができる。
また、ガラス転移温度の測定は、以下の動的粘弾性測定装置を用いて求めることもできる。本発明のフィルム試料(未延伸)5mm×30mmを、25℃60%RHで2時間以上調湿した後に動的粘弾性測定装置(バイブロン:DVA−225(アイティー計測制御(株)製))で、つかみ間距離20mm、昇温速度2℃/分、測定温度範囲30℃〜250℃、周波数1Hzで測定し、縦軸に対数軸で貯蔵弾性率、横軸に線形軸で温度(℃)をとった時に、貯蔵弾性率が固体領域からガラス転移領域へ移行する際に見受けられる貯蔵弾性率の急激な減少を固体領域で直線1を引き、ガラス転移領域で直線2を引いたときの直線1と直線2の交点を、昇温時に貯蔵弾性率が急激に減少しフィルムが軟化し始める温度であり、ガラス転移領域に移行し始める温度であるため、ガラス転移温度Tg(動的粘弾性)とする。
【0113】
(フィルムの平衡含水率)
本発明の光学フィルムの含水率(平衡含水率)は、偏光板の保護フィルムとして用いる際、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーとの接着性を損なわないために、膜厚のいかんに関わらず、25℃80%RHにおける含水率が、0〜4質量%であることが好ましい。0.1〜2.5質量%であることがより好ましく、0.5〜1.5質量%であることが更に好ましい。平衡含水率が4質量%以下であれば、レターデーションの湿度変化による依存性が大きくなり過ぎず、液晶表示装置の常温、高湿及び高温高湿環境経時後の黒表示時の表示ムラを抑止の点からも好ましい。
含水率の測定法は、フィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置“CA−03”及び“VA−05”{共に三菱化学(株)製}にてカールフィッシャー法で測定した。水分量(g)を試料質量(g)で除して算出できる。
【0114】
(フィルムの透湿度)
フィルムの透湿度は、JIS Z−0208をもとに、60℃、95%RHの条件において測定される。
透湿度は、フィルムの膜厚が厚ければ小さくなり、膜厚が薄ければ大きくなる。そこで膜厚の異なるサンプルでは、基準を80μmに設けて換算する必要がある。膜厚の換算は、下記数式に従って行うことができる。
数式:80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚(μm)/80(μm)。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁「蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)」に記載の方法を適用することができる。
本発明の光学フィルムの透湿度は、100〜2000g/m・24hであることが好ましい。150〜1500g/m・24hであることがより好ましく、150〜1200g/m・24hであることが更に好ましい。透湿度が4000g/m・24h以下であれば、フィルムのRe値、Rth値の湿度依存性が小さく、液晶表示装置の常温、高湿及び高温高湿環境経時後の黒表示時の表示ムラを抑止の点からも、好ましい。
【0115】
(フィルムの寸度変化)
本発明の光学フィルムの寸度安定性は、60℃、90%RHの条件下に24時間静置した場合(高湿)の寸度変化率、及び80℃、DRY環境(5%RH以下)の条件下に24時間静置した場合(高温)の寸度変化率が、いずれも0.5%以下であることが好ましい。
より好ましくは0.3%以下であり、更に好ましくは0.15%以下である。
【0116】
(光弾性係数)
本発明の光学フィルムを偏光板用保護フィルムとして使用した場合には、偏光子の収縮による応力などにより複屈折(Re、Rth)が変化する場合がある。このような応力に伴う複屈折の変化は光弾性係数として測定できるが、その範囲は、15Br以下であることが好ましく、−3〜12Brであることがより好ましく、0〜11Brであることが更に好ましい。
【0117】
[光学フィルムの製造方法]
本発明の光学フィルムの製造方法は、セルロースエステルとアクリル樹脂との質量比が70:30〜5:95である高分子膜を製膜する工程と、高分子膜の搬送方向と直交する幅方向に該高分子膜を延伸する工程とを含む。ここで、セルロースエステルの質量平均分子量が75000以上であり、アクリル樹脂の質量平均分子量が80000以上であり、製造される光学フィルムは、前述の式(I)及び(II)で定義されるRe及びRthが、波長590nmにおいて前述の式(III)及び(IV)を満たす。
前記高分子膜は、セルローエステルとアクリル樹脂との質量比が70:30〜5:95であり、好ましくはセルロースエステルとアクリル樹脂が相溶状態となっている。延伸に用いる高分子膜は乾燥フィルムでも湿潤フィルムでも良いが、湿潤フィルムであることがより好ましい。
延伸に用いる高分子膜としては、乾燥後の未延伸の高分子膜のガラス転移温度Tgが100〜200℃であるものが好ましく、100〜150℃であるものがより好ましい。
ここで、乾燥後の高分子膜(乾燥フィルム)とは、膜中の残留溶剤量が3.0質量%以下、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.3質量%以下、特に好ましくは0.2質量%以下である高分子膜を指す。ガラス転移温度は、セルロールエステルとアクリル樹脂の種類や質量比により調整することができる。
ここで、残留溶媒量(%)=(M−N)/N×100で、Mは任意時点での高分子膜の質量、Nは該質量Mの高分子膜を110℃で3時間乾燥させた後の質量である。
【0118】
前記高分子膜の製膜方法としては、インフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルジョン法、ホットプレス法等の製造法が使用できるが、着色抑制、異物欠点の抑制、ダイラインなどの光学欠点の抑制などの観点から流延法による溶液製膜(溶液流延法(ソルベントキャスト法))が好ましい。
【0119】
本発明の光学フィルムの作製方法は溶液流延法を使用しても良いし、溶融流延法を使用しても良い。
溶液流延法の場合、セルロースエステル、アクリル樹脂及び溶媒を含む高分子溶液(ドープ)を支持体上に流延することで前記高分子膜が形成される。
前記ドープ中、セルロールエステルとアクリル樹脂との質量比は、70:30〜5:95であり、好ましくは70:30〜15:85であり、より好ましくは70:30〜30:70であり、更に好ましくは49:51〜30:70である。
【0120】
(溶媒)
ドープを形成するのに有用な溶媒は、セルロースエステル、アクリル樹脂、及びその他の添加剤を同時に溶解するものであれば、制限なく用いることができる。
本発明においては、有機溶媒として、塩素系有機溶媒を主溶媒とする塩素系溶媒と塩素系有機溶媒を含まない非塩素系溶媒とのいずれをも用いることができる。2種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
【0121】
ドープを作製するに際しては、主溶媒として塩素系有機溶媒が好ましく用いられる。本発明においては、セルロースアシレートが溶解し流延、製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りはその塩素系有機溶媒の種類は特に限定されない。これらの塩素系有機溶媒は、好ましくはジクロロメタン、クロロホルムである。特にジクロロメタンが好ましい。また、塩素系有機溶媒以外の有機溶媒を混合することも特に問題ない。その場合は、ジクロロメタンは有機溶媒全体量中少なくとも50質量%使用することが必要である。本発明で塩素系有機溶剤と併用される他の有機溶媒について以下に記す。即ち、好ましい他の有機溶媒としては、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、アルコール、炭化水素などから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトン、エーテル及びアルコールは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトン及びエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を同時に有していてもよい。二種類以上の官能基を有する溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
【0122】
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート及びペンチルアセテート等が挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノン等が挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトール等が挙げられる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール及び2−ブトキシエタノール等が挙げられる。
【0123】
また塩素系有機溶媒と併用されるアルコールとしては、好ましくは直鎖であっても分岐を有していても環状であってもよく、その中でも飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコールの水酸基は、第一級〜第三級のいずれであってもよい。アルコールの例には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール及びシクロヘキサノールが含まれる。なおアルコールとしては、フッ素系アルコールも用いられる。例えば、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなども挙げられる。更に炭化水素は、直鎖であっても分岐を有していても環状であってもよい。芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素のいずれも用いることができる。脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽和であってもよい。炭化水素の例には、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン及びキシレンが含まれる。
その他の溶媒としては、例えば特開2007−140497号公報に記載の溶媒を用いることができる。
【0124】
(ドープの調製)
ドープは、0℃以上の温度(常温又は高温)で処理することからなる一般的な方法で調製することができる。本発明のドープの調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法及び装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にジクロロメタン)とアルコール(特にメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール及びシクロヘキサノール)を用いることが好ましい。
セルロースエステル及びアクリル樹脂の合計量は、得られる高分子溶液中に10〜40質量%含まれるように調整する。セルロースエステル及びアクリル樹脂の合計量は、10〜30質量%であることが更に好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
溶液は、常温(0〜40℃)でセルロースエステル及びアクリル樹脂と有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧及び加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースエステル及びアクリル樹脂と有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。
加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、更に好ましくは80〜110℃である。
【0125】
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
【0126】
(フィルムの製造−溶液製膜方法−)
次に、上記で得られたドープを用いて本発明の光学フィルムを製造する方法を説明する。
図1はフィルム製造ライン20を示す概略図である。ただし、本発明は、図1に示すようなフィルム製造ラインに限定されるものではない。フィルム製造ライン20には、ストックタンク21、濾過装置30、流延ダイ31、回転ローラ32,33に掛け渡された流延バンド34及びテンタ式乾燥機35などが備えられている。更に耳切装置40、乾燥室41、冷却室42及び巻取室43などが配されている。
【0127】
ストックタンク21には、モータ60で回転する攪拌機61が取り付けられている。そして、ストックタンク21は、ポンプ62及び濾過装置30を介して流延ダイ31と接続している。
【0128】
流延ダイ31の幅は、特に限定されるものではないが、最終製品となるフィルムの幅の1.1倍〜2.0倍であることが好ましい。
【0129】
流延ダイ31の下方には、回転ローラ32,33に掛け渡された流延バンド34が設けられている。回転ローラ32,33は図示しない駆動装置により回転し、この回転に伴い流延バンド34は無端で走行する。
【0130】
また、流延バンド34の表面温度を所定の値にするために、回転ローラ32,33に伝熱媒体循環装置63が取り付けられていることが好ましい。流延バンド34は、その表面温度が−20℃〜40℃に調整可能なものであることが好ましい。
【0131】
流延バンド34の幅は特に限定されるものではないが、ドープ22の流延幅の1.1倍〜2.0倍の範囲のものを用いることが好ましい。また、長さは20m〜200m、厚みは0.5mm〜2.5mmであり、表面粗さは0.05μm以下となるように研磨されていることが好ましい。流延バンド34は、ステンレス製であることが好ましく、十分な耐腐食性と強度とを有するようにSUS316製であることがより好ましい。また、流延バンド34の全体の厚みムラは0.5%以下のものを用いることが好ましい。
なお、回転ローラ32,33を直接支持体として用いることも可能である。
【0132】
流延ダイ31、流延バンド34などは流延室64に収められている。流延室64には、その内部温度を所定の値に保つための温調設備65と、揮発している有機溶媒を凝縮回収するための凝縮器(コンデンサ)66とが設けられている。そして、凝縮液化した有機溶媒を回収するための回収装置67が流延室64の外部に設けられている。また、流延ダイ31から流延バンド34にかけて形成される流延ビードの背面部を圧力制御するための減圧チャンバ68が配されていることが好ましく、本実施形態においてもこれを使用している。
【0133】
流延膜69中の溶媒を蒸発させるため送風口70,71,72が流延バンド34の周面近くに設けられている。
【0134】
渡り部80には、送風機81が備えられ、テンタ式乾燥機35の下流の耳切装置40には、切り取られたフィルム82の側端部(耳と称される)の屑を細かく切断処理するためのクラッシャ90が接続されている。
【0135】
乾燥室41には、多数のローラ91が備えられており、蒸発して発生した溶媒ガスを吸着回収するための吸着回収装置92が取り付けられている。冷却室42の下流には、フィルム82の帯電圧を所定の範囲(例えば、−3kV〜+3kV)となるように調整するための強制除電装置(除電バー)93が設けられている。更に、本実施形態においては、フィルム82の両縁にエンボス加工でナーリングを付与するためのナーリング付与ローラ94が強制除電装置93の下流に適宜設けられる。また、巻取室43の内部には、フィルム82を巻き取るための巻取ローラ95と、その巻き取り時のテンションを制御するためのプレスローラ96とが備えられている。
【0136】
次に、以上のようなフィルム製造ライン20を使用してフィルム82を製造する方法の一例を以下に説明する。
ドープ22は、攪拌機61の回転により常に均一化されている。ドープ22には、この攪拌の際にもレターデーション発現剤、可塑剤、紫外線吸収剤などの添加剤を混合させることもできる。
【0137】
ドープ22は、ポンプ62により濾過装置30に送られてここで濾過された後に、流延ダイ31から流延バンド34上に流延される。
流延ダイ31から流延バンド34にかけては流延ビードが形成され、流延バンド34上には流延膜69が形成される。流延時のドープ22の温度は、−10℃〜57℃であることが好ましい。
流延ダイ31からドープ22は流延ビードを形成して、流延バンド34上に流延される。
流延膜69は流延バンド34の移動に伴い移動する。
【0138】
次に、流延膜69は送風口73が上部に配置されている箇所まで連続的に搬送される。送風口73のノズルから乾燥風が流延膜69に向けて送風される。
【0139】
流延膜69は、乾燥により溶媒が蒸発した結果、自己支持性を有するものとなった後に、湿潤フィルム74として剥取ローラ75で支持されながら流延バンド34から剥ぎ取られる。剥ぎ取り時の残留溶媒量は、固形分基準で20質量%〜250質量%であることが好ましい。
その後に多数のローラが設けられている渡り部80を搬送させて、テンタ式乾燥機35に湿潤フィルム74を送り込む。渡り部80では、送風機81から所望の温度の乾燥風を送風することで湿潤フィルム74の乾燥を進行させる。このとき乾燥風の温度が、20℃〜250℃であることが好ましい。
【0140】
湿潤フィルム74は、搬送方向(MD方向)と直交する幅方向(TD方向)に延伸することが好ましい。幅方向への延伸により、支持体での乾燥時及び剥ぎ取り時に発生したムラを軽減しフィルム面内で良好な面状を得ることが出来る。幅方向への延伸倍率は、10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、30%以上が更に好ましい。
テンタ式乾燥機35に送られている湿潤フィルム74は、その両端部がクリップで把持されて搬送されながら乾燥される。幅方向への延伸は、この際、テンタ式乾燥機35を用いて行うことができる。
なお、テンタ式乾燥機35の内部を温度ゾーンに区画分割して、その区画毎に乾燥条件を適宜調整することが好ましい。
このように、渡り部80及び/又はテンタ式乾燥機35で湿潤フィルム74を幅方向に延伸することができる。
搬送方向への延伸を行ってもよく、渡り部80で下流側のローラの回転速度を上流側のローラの回転速度より速くすることにより湿潤フィルム74に搬送方向にドローテンションを付与させて行うことができる。
ここで、渡り部80及び/又はテンタ式乾燥機35において、湿潤フィルム74を未延伸のまま乾燥し、フィルム中の残留溶剤量が3.0%質量以下、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.3質量%以下、特に好ましくは0.2質量%以下である乾燥フィルムとした後に、延伸を行っても良い。
なお、乾燥フィルムを延伸する場合、未延伸のまま乾燥フィルムを作製して一度巻き取った後、更に延伸を行っても良い。
延伸に用いる高分子膜は乾燥フィルムでも湿潤フィルムでも良いが、湿潤フィルム(残留溶剤量が3.0質量%超、好ましくは10質量%以上)であることがより好ましい。
【0141】
幅方向の延伸倍率は10%〜200%であることが好ましく、20%〜200%であることが好ましく、30%〜60%であることが特に好ましい。搬送方向の延伸倍率は0〜40%であることが好ましい。なお、搬送方向には意図的にドローテンションをかけて延伸しない場合でも搬送によるテンションがかかるため、結果的に1%〜10%程度の倍率で延伸されたフィルムが得られることもある。
【0142】
延伸時の温度は、乾燥後の未延伸の高分子膜のガラス転移温度Tgに対してTg±30℃の温度範囲とすることが好ましい。ここで、乾燥後の未延伸の高分子膜のガラス転移温度とは、セルロースエステルとアクリル樹脂との相溶状態でのガラス転移温度であり、前述のとおり、100〜200℃が好ましく、100〜150℃がより好ましい。この温度範囲で延伸は、フィルムのハンドリング適性がよく、高分子膜を破断させることなく所望の光学フィルムを作製することができる。(Tg−30℃)以上で延伸することにより、フィルムの破断を防ぎ、フィルム内でのRthのばらつきを抑えることができる。また(Tg+30℃)以下で延伸することで、フィルムの自重により延伸を防ぎ、フィルム内でのRthのばらつきを抑えることができる。また、フィルム内の相分離による全ヘイズ、内部ヘイズの増加を抑えることができる。延伸時の温度は、Tg±25℃の温度範囲が好ましく、Tg±20℃の温度範囲がより好ましい。
【0143】
このように延伸処理は湿潤フィルム74を製膜後、渡り部80及びテンタ式乾燥機35を経る乾燥工程で行ってもよいし、湿潤フィルム74を乾燥後巻き取った後に行ってもよい。
本発明の流延条件は、未延伸でフィルムを作製した場合に、該未延伸フィルムの厚みが10〜200μmとなるような条件で行うことが好ましく、20〜150μmがより好ましく、30〜120μmが更に好ましく、40〜100μmとなるような条件とすることが最も好ましい。
この範囲にあると、延伸後のフィルムの膜厚を小さくでき、湿度変化時、高温時及び高温高湿環境経時後のレターデーション変化が小さくなり、更に使用する樹脂が少なく安価なフィルムが製造できるので好ましい。
【0144】
湿潤フィルム74は、テンタ式乾燥機35で所定の残留溶媒量まで乾燥された後、フィルム82として下流側に送り出される。フィルム82の両側端部は、耳切装置40によりその両縁が切断される。切断された側端部は、図示しないカッターブロワによりクラッシャ90に送られる。クラッシャ90により、フィルム側端部は粉砕されてチップとなる。このチップはドープ調製用に再利用されるので、この方法はコストの点において有効である。なお、このフィルム両側端部の切断工程については省略することもできるが、前記流延工程から前記フィルムを巻き取る工程までのいずれかで行うことが好ましい。
【0145】
両側端部を切断除去されたフィルム82は、乾燥室41に送られ、更に乾燥される。乾燥室41内の温度は、特に限定されるものではないが、50℃〜160℃の範囲であることが好ましい。乾燥室41においては、フィルム82は、ローラ91に巻き掛けられながら搬送されており、ここで蒸発して発生した溶媒ガスは、吸着回収装置92により吸着回収される。溶媒成分が除去された空気は、乾燥室41の内部に乾燥風として再度送風される。なお、乾燥室41は、乾燥温度を変えるために複数の区画に分割されていることがより好ましい。
【0146】
フィルム82は、冷却室42で略室温まで冷却される。なお、乾燥室41と冷却室42との間に調湿室(図示しない)を設けても良く、この調湿室でフィルム82に対して、所望の湿度及び温度に調整された空気を吹き付けられることが好ましい。これにより、フィルム82のカールの発生や巻き取る際の巻き取り不良の発生を抑制することができる。
【0147】
また、強制除電装置(除電バー)93により、フィルム82が搬送されている間の帯電圧が所定の範囲(例えば、−3kV〜+3kV)とされる。更に、ナーリング付与ローラ94を設けて、フィルム82の両縁にエンボス加工でナーリングを付与することが好ましい。
【0148】
最後に、フィルム82を巻取室43内の巻取ローラ95で巻き取る。この際には、プレスローラ96で所望のテンションを付与しつつ巻き取ることが好ましい。なお、テンションは巻取開始時から終了時まで徐々に変化させることがより好ましい。巻き取られるフィルム82は、長手方向(流延方向)に少なくとも100m以上とすることが好ましい。また、フィルム82の幅が600mm以上であることが好ましく、1100mm以上2900mm以下であることがより好ましく、1800mm以上2500mm以下が更に好ましい。
【0149】
本発明の溶液製膜方法において、ドープを流延する際に、2種類以上のドープを同時積層共流延又は逐次積層共流延させることもできる。更に両共流延を組み合わせても良い。同時積層共流延を行う際には、フィードブロックを取り付けた流延ダイを用いても良いし、マルチマニホールド型流延ダイを用いても良い。共流延により多層からなるフィルムは、空気面側の層の厚さと支持体側の層の厚さとの少なくともいずれか一方が、フィルム全体の厚みの0.5%〜30%であることが好ましい。更に、同時積層共流延を行う場合には、ダイスリットから支持体にドープを流延する際に、高粘度ドープが低粘度ドープにより包み込まれることが好ましい。また、同時積層共流延を行なう場合には、ダイスリットから支持体にかけて形成される流延ビードのうち、外界と接するドープが内部のドープよりもアルコールの組成比が大きいことが好ましい。
【0150】
流延ダイ、減圧チャンバ、支持体などの構造、共流延、剥離法、延伸、各工程の乾燥条件、ハンドリング方法、カール、平面性矯正後の巻取方法から、溶媒回収方法、フィルム回収方法まで、特開2005−104148号の[0617]段落から[0889]段落に詳しく記述されている。
また、上記では、本発明の光学フィルムの製造方法の一例をドープをバンド上に流延させた例で説明したが、ドープをドラム上に流延させてもよい。
【0151】
[積層光学フィルム]
前述したセルロースエステルとアクリル樹脂とを含む光学フィルムは、下記で定義されるNz値が0.5以下である光学フィルムと積層して、積層光学フィルムとすることができる。
Nz=Rth/Re+0.5
ここで、Reはフィルムの面内レターデーション(nm)であり、Rthはフィルムの厚み方向のレターデーション(nm)である。
本発明のNz値が0.5以下である光学フィルム(以下、第1光学フィルムともいう)と前述したセルロースエステルとアクリル樹脂とを含む光学フィルム(以下、第2光学フィルムともいう)を積層した積層光学フィルムは、一対の基板間に液晶層を有する液晶セルを備えて黒表示時に前記液晶層の液晶分子が前記基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置(IPSモードやFFSモードの液晶表示装置)の視野角拡大、及びコントラストの良化は図れる光学補償フィルムとして好適に用いることができる。
本発明の積層光学フィルムにおいて、第2光学フィルムのRe及びRthは以下の値が好ましい。
Reの値としては、0nm≦Re≦7nmが好ましく、0nm≦Re≦5nmがより好ましい。
Rthの値としては、30nm≦Rth≦200nmが好ましく、50nm≦Rth≦150nmがより好ましく、60nm≦Rth≦120nmが更に好ましい。
【0152】
また、第1光学フィルムのReの値としては50nm≦Re≦300nmが好ましく、70nm≦Re≦200nmがより好ましく、80nm≦Re≦160nmが特に好ましい。またNz値は0.5以下が好ましく、より好ましくはNz値が−2.0以上0.5以下であり、更に好ましくは−1.0以上0.25以下であり、特に好ましくは−0.5以上0.1以下であり、最も好ましくは0である。更に、Rthは0nm以下であることが好ましく、より好ましくはー300nm≦Rth≦−20nmであり、更に好ましくはー200nm≦Rth≦−25nmであり、特に好ましくは−160nm≦Rth≦−300nmであり、最も好ましくは−80nm≦Rth≦−40nmである。
【0153】
第1光学フィルムとしては、Nz値が0.5以下であれば特に制限されないが、棒状の液晶性分子を垂直配向させて固定化した層を有するフィルムや、熱可塑性樹脂を延伸、収縮したフィルム挙げられる。フィルム形成時の配向ムラや湿熱環境下での配向ムラを防止する観点からは、熱可塑性樹脂を延伸したフィルムがより好ましい。
第1光学フィルムに用いることのできる熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、例として、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられ、第1光学フィルムはこれらの樹脂を少なくとも1つ以上含むことが好ましい。
アクリル樹脂としては、アクリル単重合体、スチレン系単量体を共重合成分に含むアクリル系共重合体等が挙げられる。また、アクリル樹脂としては、前述の第2光学フィルムに用いるアクリル樹脂として説明したもの好ましく用いることができる。
第1の光学フィルムとして熱可塑性樹脂フィルムを用いる場合、延伸・収縮工程として1軸延伸又は2軸延伸を行っても良く、熱収縮フィルムを貼合した後に加熱処理を加えても良い。
【0154】
棒状の液晶性分子を垂直配向させて固定化した層を有するフィルムとしては、該層単独の態様でもよいし、透明支持体上に該層を設けた態様でもよい。
棒状の液晶性分子を垂直配向させるために、透明支持体上に配向膜を設け、該配向膜上に、棒状の液晶性分子を垂直配向させて固定化した層を形成することも好ましい。このとき、配向膜側界面では配向膜により棒状の液晶性分子の配向が制御される。また、層中及び空気界面側での棒状の液晶性分子の配向を制御するために棒状の液晶性分子とともに配向剤(例えば、空気界面側垂直配向剤)を用いることで、配向を制御することも好ましい。
ここで、棒状の液晶性分子、配向膜、液晶性分子、フィルム作製方法などは、例えばWO2005/109088等に記載の化合物及び方法を使用できる。
【0155】
第1光学フィルムと第2光学フィルムの積層は、接着剤(例えば、アクリル接着剤)などを用いて両者を貼り合わすこと等により行うことができる。
【0156】
(アルカリ鹸化処理によるフィルム表面の接触角)
本発明の光学フィルム及び積層光学フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いる場合の表面処理の有効な手段の1つとしてアルカリ鹸化処理が挙げられる。この場合、アルカリ鹸化処理後のフィルム表面の接触角が55°以下であることが好ましい。より好ましくは50°以下であり、45°以下であることが更に好ましい。
アルカリ鹸化処理の1つの例としては、光学フィルム又は積層光学フィルムを1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬し、室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、更に100℃の温風で乾燥する方法等が挙げられるが、本発明ではこの条件、方法に限定されない。
アルカリ鹸化液としては特に限定されないが、水酸化ナトリウムの他に、例えば他に水酸化カリウムなどを用いることもできる。
アルカリ鹸化液の濃度は特に限定されないが、フィルムの面状とケン化性能の観点から、0.1規程〜10規程が好ましく、1.0〜8.0規程がより好ましく、1.0規程〜5.0規程が特に好ましい。
【0157】
(表面処理)
本発明の光学フィルム及び積層光学フィルムは、場合により表面処理を行うことによって、該フィルムと他の層(例えば、偏光子、下塗層及びバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸又はアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
【0158】
(機能層)
本発明の光学フィルム及び積層光学フィルムは、液晶表示装置の光学補償フィルムとして好ましく用いることができる。液晶表示装置が、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光子、及び該液晶セルと該偏光子との間に少なくとも一枚の本発明の光学フィルムを光学補償フィルムとして配置した構成であることが更に好ましい。これらの液晶表示装置としては、TN、IPS、FFS、FLC、AFLC、OCB、STN、ECB、VA及びHANモードの液晶表示装置が好ましく、TN、OCB、IPS、FSS及びVAモードの液晶表示装置がより好ましく、IPC及びFSSモードの液晶表示装置が更に好ましく、IPSモードの液晶表示装置が特に好ましい。
その際に、本発明の光学フィルムには各種の機能層を付与してもよい。機能層としては、例えば、帯電防止層、硬化樹脂層(透明ハードコート層)、反射防止層、易接着層、防眩層、光学異方性層、配向層、液晶層などである。これらの機能層及びその材料としては、界面活性剤、滑り剤、マット剤、帯電防止層、ハードコート層などが挙げられ、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて32頁〜45頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
【0159】
[偏光板]
本発明の光学フィルム及び積層光学フィルムは、偏光板用保護フィルムとして用いることもできる。この場合、液晶表示装置の光学補償フィルムと偏光板用保護フィルムとを兼ねることができる。偏光板用保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られた光学フィルム又は積層光学フィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、特開平6−118232号に記載されているような易接着加工を施してもよい。また前記のような表面処理を行ってもよい。
保護フィルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶セルを含む基板が配置されているが、本発明の光学フィルム又は積層光学フィルムを適用した偏光板用保護フィルムは、2枚の偏光板のいずれの保護フィルムとして用いることができるが、各偏光板の2枚の保護フィルムのうち、偏光子に対して液晶セル側に配置される保護フィルムとして用いられることが好ましい。
【0160】
(光学補償フィルム)
本発明の光学フィルム及び積層光学フィルムは、様々な用途で用いることができ、液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いると特に効果がある。なお、光学補償フィルムとは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償シートなどと同義である。光学補償フィルムは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。
【0161】
本発明の光学フィルム及び積層光学フィルムは、それ自体を光学補償フィルムとしてもよいし、光学補償フィルムの支持体として用いて、その上に光学異方性層を設けてもよい。IPSモードの液晶表示装置に用いる場合には、本発明の光学フィルム自体を光学補償フィルムとして用いるのが好ましい。光学異方性層は、本発明の光学フィルムが使用される液晶表示装置の液晶セルの光学性能や駆動方式に制限されず、光学補償フィルムとして要求される、どのような光学異方性層も併用することができる。併用される光学異方性層としては、液晶性化合物を含有する組成物から形成しても良いし、複屈折を持つポリマーフィルムから形成しても良い。前記液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性化合物又は棒状液晶性化合物が好ましい。
【0162】
(一般的な液晶表示装置の構成)
液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光板、及び必要に応じて該液晶セルと該偏光板との間に少なくとも一枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、更にガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
【0163】
(液晶表示装置の種類)
本発明の光学フィルム、積層光学フィルム、及び偏光板は、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FSS(Fringe Field Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)
、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、及びHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明の光学フィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
【0164】
(黒表示時に液晶層の液晶分子が該液晶層を挟持する基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置)
本発明の光学フィルム及び積層光学フィルムは、黒表示時に液晶層の液晶分子が該液晶層を挟持する基板の表面に対して平行に配向する液晶セルを有する液晶表示装置の光学補償フィルムや光学補償フィルムの支持体としても有利に用いられる。このような液晶表示装置としては、IPSモードやFFSモードが例として挙げられる。これらの態様において本発明の光学フィルム及び積層光学フィルムを用いた積層フィルム、偏光板は該液晶表示装置の視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。
【0165】
上記液晶表示装置の具体的な構成としては、少なくとも、第1偏光子と、第1位相差領域と、第2位相差領域と、液晶層及び該液晶層を挟持する一対の基板を含む液晶セルと、第2偏光子とがこの順序で配置する態様が挙げられる。該態様において、前記第1位相差領域又は前記第2位相差領域のどちらか一方を、本発明の光学フィルムとすることが好ましい。また、第1位相差領域と第2位相差領域との全体を本発明の積層光学フィルムとすることも好ましい。
ここで、本発明の光学フィルム(セルロースエステルとアクリル樹脂を含む光学フィルム。本発明の積層光学フィルムにおける第2光学フィルム)が第2位相差領域であることが好ましい。
また、第1位相差領域が、前述の本発明の積層光学フィルムにおける第1光学フィルムであることが好ましく、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂の少なくとも1つ以上含むことがより好ましい。
【0166】
前記液晶セルと第2偏光子の間に、更に光学的等方性の光学フィルムを含むことがより好ましい。ここで、光学的等方性とは、具体的には、0nm≦Re≦10nmかつ0nmm≦Rth≦25nmであることを表す。好ましくは0nm≦Re≦5nmかつ0nm≦Rth≦10nmであり、更に好ましくは0nm≦Re≦3nmかつ0nm≦Rth≦5nmであることを表す。
光学的等方性の光学フィルムとしては、セルロースエステル、アクリル樹脂、シクロオレフィンポリマー樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂及びこれらの混合物、又はこれらの単量体構造を分子内に有する共重合体からなるフィルムが例として挙げられる。
また、バックライトは第1の偏光子側、第2の偏光子側のどちらに設置されていても良いが、第2の偏光子側に設置することがより好ましい。
【実施例】
【0167】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0168】
まず、実施例で使用したセルロースエステル、アクリル樹脂及びレターデーション発現剤について説明する。
【0169】
(セルロースエステル)
下記表1に記載のアシル基の種類、置換度及び質量平均分子量Mwの異なるセルロースエステルを使用した。
これらのセルロースエステルは、以下のように合成した。
セルロースに触媒として硫酸(セルロース100質量部に対し7.8質量部)を添加し、アシル置換基の原料となるカルボン酸を添加して40℃でアシル化反応を行った。この
時、カルボン酸の量を調整することでアセチル基及びプロピオニル基の置換度を調整した。またアシル化後に40℃で熟成を行った。更にこのセルロースエステルの低分子量成分をアセトンで洗浄し除去した。
【0170】
【表1】

【0171】
(アクリル樹脂)
下記に記載のアクリル樹脂を使用した。これらのアクリル樹脂は市販品や公知の合成方法により入手可能である。
AC−1(メチルメタクリレート(MMA)とメタクリレート(MA)との共重合体、MMA:MA=97:3(質量%)、質量平均分子量550000)
AC−2(メチルメタクリレート(MMA)とメタクリレート(MA)との共重合体、MMA:MA=97:3(質量%)、質量平均分子量1100000)
AC−3(メチルメタクリレート(MMA)とメタクリレート(MA)との共重合体、MMA:MA=40:60(質量%)、質量平均分子量100000)
AC−4(メチルメタクリレート(MMA)とメタクリレート(MA)との共重合体、MMA:MA=60:40(質量%)、質量平均分子量100000)
AC−5(デルペット80N(商品名)、旭化成ケミカルズ(株)製、質量平均分子量100000)
AC−6(ダイヤナールBR83(商品名)、三菱レイヨン(株)製、質量平均分子量40000)
AC−7(ダイナヤールBR85(商品名)、三菱レイヨン(株)製、質量平均分子量280000)
AC−8(ダイヤナールBR88(商品名)、三菱レイヨン(株)製、質量平均分子量480000)
上記市販のアクリル樹脂(AC−5〜AC−8)における分子中のMMA単位の割合は、いずれも90質量%以上99質量%以下であった。
【0172】
(レターデーション発現剤)
下記に記載のレターデーション発現剤を使用した。これらのレターデーション発現剤は公知の合成方法により入手可能である。
【0173】
【化5】

【0174】
(R−4:エステルオリゴマー)
テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとの重縮合体で、重縮合体の両末端が安息香酸により封止されたもの。質量平均分子量は800。
【0175】
(アクリル微粒子)
WO2009/081607の[0292]〜[0296]に記載の方法で3層構造アクリ
ル微粒子を合成し、使用した。
【0176】
(紫外線吸収剤)
下記に記載の紫外線吸収剤を使用した。
UV−1:チヌビン326(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
UV−2:チヌビン328(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
【0177】
(実施例1)
[光学フィルム101の作製]
(ドープ調製)
下記に記載の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、ドープを調製した。
(ドープ組成)
セルロースエステル、アクリル樹脂 合計100質量部(セルロースエステルとアクリル樹脂の比率(質量比)は表2記載)
レターデーション発現剤R−1 4.3質量部
ジクロロメタン 275.4質量部
エタノール 37.5質量部
【0178】
ドープの固形分濃度(セルロースエステル、アクリル樹脂、レターデーション発現剤の合計濃度)は25.0質量%であった。
【0179】
図1に示したようなバンド流延装置を用い、前記調製したドープを2000mm幅でステンレス製のエンドレスバンド(流延支持体)に流延ダイから均一に流延した。ドープ中の残留溶媒量が40質量%になった時点で流延支持体から高分子膜として剥離し、テンターにて積極的に延伸をせずに搬送し、乾燥ゾーンで130℃で乾燥を行った後、得られた未延伸フィルムの膜厚、Tgを測定した。この値を表2に示す。
また、上記と同様の方法で流延を行い、支持体から剥離した高分子膜の両端をクリップを有したテンターで固定して、幅方向(TD方向)及び搬送方向(MD方向)に延伸し、搬送しながら乾燥ゾーンで130℃で乾燥し、耳部をスリットして幅1500mm、膜厚49μmのフィルム101を得た。テンターで延伸を始めたときの高分子膜中の残留溶剤量は10質量%であった。延伸時の温度及び延伸倍率等の諸条件を下記表2に示す。
【0180】
[光学フィルム102〜163の作製]
フィルム102〜163の各フィルムのドープは、フィルム101のドープにおいて、セルロースエステルとアクリル樹脂の種類と比率、レターデーション発現剤の種類と添加量、固形分濃度を下記表2の記載のものに変更した。フィルム157のドープについては、更に、アクリル微粒子を5質量部加えた。フィルム158のドープにおいては紫外線吸収剤UV−1を0.50質量部、UV−2を1.00質量部添加し、フィルム159のドープにおいては紫外線吸収剤をUV−1を1.50質量部、UV−2を3.00質量部加えた。各ドープにおいて、ジクロロメタンとエタノールについては両者の比率がフィルム101のドープと同じ比率となり、かつ固形分濃度が表2に記載のものになるように量を調製して、フィルム102〜163のドープを作製した。
作製した各ドープを用いて、フィルム101と同様にしてフィルム102〜163を作製した。延伸時の温度及び延伸倍率等の諸条件を下記表2に示す
【0181】
[光学フィルム164、165の作製]
(ドープ調製)
下記に記載の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、ドープを調製した。
【0182】
[光学フィルム164]
(ドープ組成)
セルロースエステル、アクリル樹脂 合計100質量部(セルロースエステルとアクリル樹脂の比率(質量比)は表2記載)
ジクロロメタン 300質量部
エタノール 40質量部
【0183】
[光学フィルム165]
(ドープ組成)
セルロースエステル、アクリル樹脂 合計100質量部(セルロースエステルとアクリル樹脂の比率(質量比)は表2記載)
レターデーション発現剤R−4 10.0質量部
アクリル微粒子 5質量部
ジクロロメタン 300質量部
エタノール 40質量部
【0184】
図1に示したようなバンド流延装置を用い、前記調製したドープを2000mm幅でステンレス製のエンドレスバンド(流延支持体)に流延ダイから均一に流延した。ドープ中の残留溶媒量が40質量%になった時点で流延支持体から高分子膜として剥離し、テンターにて積極的に延伸をせずに搬送し、乾燥ゾーンで130℃で乾燥を行った後、得られた未延伸フィルムの膜厚、Tgを測定した。この値を表2に示す。
また、上記と同様の方法で流延を行い、支持体から剥離した高分子膜の両端をクリップを有したテンターで固定して、幅方向(TD方向)に延伸し、搬送ながら乾燥ゾーンで130℃で乾燥し、耳部をスリットして幅1500mmのフィルム164、165を得た。テンターで延伸を始めたときの高分子膜の残留溶剤量は10質量%であった。ここで、搬送方向(MD方向)については、ステンレスバンドと支持体の回転速度とテンターの運動速度の差により、積極的に延伸を行った。延伸時の温度及び延伸倍率等の諸条件を下記表2に示す。
【0185】
[光学フィルム166、167の作製]
(ドープ調製)
下記に記載の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、ドープを調製した。
【0186】
[光学フィルム166]
(ドープ組成)
セルロースエステルCA−16 100質量部
トリフェニルホスフェート 6.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート 4.9質量部
平均粒径16nmのシリカ粒子
(aerosil R972 日本アエロジル(株)製) 0.15質量部
ジクロロメタン 414.8質量部
メタノール 62.0質量部
【0187】
[光学フィルム167]
(ドープ組成)
セルロースエステルCA−16 100質量部
トリフェニルホスフェート 6.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート 4.9質量部
レターデーション発現剤R−1 1.0質量部
平均粒径16nmのシリカ粒子
(aerosil R972 日本アエロジル(株)製) 0.15質量部
ジクロロメタン 418.6質量部
メタノール 62.5質量部
【0188】
図1に示したようなバンド流延装置を用い、前記調製したドープを2000mm幅でステンレス製のエンドレスバンド(流延支持体)に流延ダイから均一に流延した。ドープ中の残留溶媒量が40質量%になった時点で流延支持体から高分子膜として剥離し、テンターにて積極的に延伸をせずに搬送し、乾燥ゾーンで130℃で乾燥し、耳部をスリットして幅1500mmのフィルム166、167を得た。
【0189】
(未延伸フィルムのTg)
各光学フィルムと同処方(ただし、延伸前までの処方)にて未延伸フィルムを作製し、該未延伸フィルムについて、そのガラス転移温度Tgを粘弾性測定装置(バイブロン:DVA−225(アイティー計測制御(株)製))を用いて測定した。測定値は下記表2に示す。フィルム101〜165の未延伸フィルムにおいては、測定されるガラス転移温度が1つであり、セルロースエステルとアクリル樹脂とが相溶状態にあることが確認された。同様に、該未延伸フィルムの延伸により得られるフィルム101〜165においてもセルロースエステルとアクリル樹脂とが相溶状態にあることが確認された。
【0190】
【表2】

【0191】
作製したフィルム101〜167について下記の物性測定と評価を行った。測定及び結果は下記表3に示す。
【0192】
(破断頻度)
フィルムの製造適正の指標として、フィルム作製時(高分子膜の製膜、延伸、乾燥時)の破断頻度を以下の基準で評価した。
○:フィルム作製時に破断はほとんど生じない。
△:フィルム作製時に破断がまれに生じることがある。
×:フィルム作製時に破断が頻繁に生じ、フィルム作製が困難であった。
【0193】
(面状)
クロスニコル配置の2枚の偏光板の間に作製したフィルムを配置し、偏光板を通して目視で観察し、以下の基準で評価した。
○:フィルム表面にダン状のムラが確認できない。
△:フィルム表面の端部にダン状のムラを確認した。
×:フィルム表面の全領域でダン状のムラを確認した。
【0194】
(機械強度)
作製したフィルムを、150mm(MD方向)×10mm(TD方向)に切り出し、25℃60%RHで2時間以上調湿し、フィルムを中心部で、フィルムの両面に対して、それぞれに1回ずつ折り曲げた時の破断頻度を機械強度の基準として評価した。
ここで、破断とはフィルムが2つに分離することを表す。
○:フィルム折り曲げ後に破断はほとんど生じない。
△:フィルム折り曲げ後に破断はまれに生じることがある。
×:フィルム折り曲げ後に破断が頻繁に生じる。
【0195】
(レターデーション値)
作製したフィルムを、25℃60%RHで2時間以上調湿し、複屈折測定装置(KOBRA 21ADH、王子計測器(株)製)を用いて、25℃60%RHでの波長590nmにおけるRe値及びRth値を測定し、更にその値に基づいてNzを求めた。測定は得られたフィルムについて、幅方向中心部の1点にて行ったが、任意の点で測定を行っても
良い。
【0196】
(Rthのばらつき)
フィルムの幅方向100mm間隔で10点、長手方向(搬送方向)100mm間隔で7点を測定点として、それぞれの測定点におけるRthを複屈折測定装置(KOBRA 21ADH、王子計測器(株)製)にて測定した。100mm間隔で隣接する測定点間のRthの差分を求め、最も大きな差分を以下の基準で評価した。
A:差分が1.5nm以下
B:差分が1.5nmより大きく、2.0nm以下
C:差分が2.0nmより大きく、3.0nm以下
D:差分が3.0nmより大きい
【0197】
(ヘイズ)
ヘイズの測定は、各フィルムから40mm×80mmの試料を切り出し、以下の測定により全ヘイズ(H)、内部ヘイズ(Hi)を測定した。
1)フィルムの全ヘイズ(H)は、JIS K−7136に従って、ヘイズメーターNDH2000(日本電色工業(株))を用いて測定した。
2)フィルムの表面及び裏面に流動パラフィンを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATAUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板と得られたフィルムを光学的に密着し、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間に流動パラフィンのみを挟んで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出した。
【0198】
(熱変形)
フィルムを80℃DRY(5%RH以下)環境下で24時間経時前後での幅方向(TD方向)の寸法変化{(経時前の寸法)−(経時後の寸法)/(経時前の寸法)×100(%)}の絶対値を測定し、以下の基準で評価した。
A:寸法変化が0.15%以下
B:寸法変化が0.15%より大きく、0.30%以下
C:寸法変化が0.30%より大きく、0.50%以下
D:寸法変化が0.50%より大きい
【0199】
【表3】

【0200】
アクリル樹脂比率が本発明の範囲より大きいフィルム127は、光学発現性が不足しており、更に製造時の破断が生じやすく、機械強度が弱く、熱変形が生じやすい等の問題を有しており、光学フィルムには適さない。これはアクリル樹脂の特徴が強く現れていることが原因である。
【0201】
フィルム164、165は、セルロースエステルとアクリル樹脂の比率は本発明の範囲内であるが、光学発現性が不十分である。
【0202】
セルロースエステルの置換基及び置換度違いのフィルム138〜151を比較する。
プロピオニル置換度が小さいCA−9を用いたフィルム140と全置換度が小さいCA−10を用いたフィルム142は、他のフィルムと比較して全ヘイズ、内部ヘイズが大きい。全ヘイズ、内部ヘイズについては、全置換度が高く、また炭素数3〜7のアシル基の置換度も大きいセルロースエステル樹脂のほうが、アクリル樹脂の相溶性が高く、本発明の範囲の中でも優れた特性を有することが分かる。
更にセルロースアセテートプロピオネートで、プロピオニル置換度が2.56のCA−1を使用したフィルム138と、プロピオニル置換度が2.10のCA−8を使用したフィルム139とを比較すると、フィルム138の全ヘイズ、内部ヘイズの方が小さいことより、プロピオニル置換度が大きく、アセチル置換度が小さいセルロースエステル樹脂が、本発明の光学フィルムにより適することが分かる。
【0203】
セルロースエステルの分子量違いのフィルム138、143〜148を比較すると、分子量が本発明の範囲外であるCA−2を使用したフィルム148のみが製造時の破断頻度が大きく、機械強度が不足していることが分かる。
また分子量が320000であるCA−7を使用したフィルム143はヘイズが最も大きく、次に分子量が270000であるCA−6を使用したフィルム144が大きい。分子量が250000より大きい領域で分子量が増加すると、ヘイズが増加することが分かる。
【0204】
アクリル樹脂違いのフィルム138、152〜158を比較すると、分子量が本発明の範囲外であるAC―6を使用したフィルム152のみが製造時の破断頻度が大きく、機械強度が不足していることが分かる。
【0205】
また、MMA比率が異なるフィルム138、157、158を比較すると、MMA比率が90%以上99%未満であるAC−5を使用したフィルム138が最も全ヘイズ、内部ヘイズが小さく、次にMMA比率が60%であるAC−4を使用したフィルム158が小さく、MMA比率が40%であるAC−3を使用したフィルム157が最も大きい。
これは、MMA比率が大きいほどセルロースエステルとアクリル樹脂の相溶性が高いことによる。
【0206】
レターデーション発現剤違いのフィルム138、163を比較すると、円盤状化合物を使用したフィルム138と、液晶性化合物を使用したフィルム163は、軸ばらつき、Re、Rthばらつきの観点で円盤状化合物を使用したフィルム138が優れる。
円盤状化合物は、液晶性化合物と比較して、延伸時の温度や応力のムラや高温高湿時経時間での環境変化により、配向が影響を受け難いことが原因と推定している。
【0207】
延伸温度違いのフィルム138、159を比較すると、延伸温度が未延伸フィルムのTg±30℃の範囲内に入っているフィルム138が、Tg+40℃のフィルム159よりもRe、Rthバラツキが小さい。
延伸温度がTg+30℃よりも大きいと、フィルムが軟化して延伸されやすくなり、フィルム内の応力分布の影響が大きくなると推測される。反対にTg−30℃より小さいと、分子の運動性が低い状態で延伸することになり、延伸時に破断が生じやすくなる。また、Re、Rthばらつきが小さいフィルムは視野角特性も優れる。
【0208】
TD及びMD延伸を積極的に行っていないフィルム105、128、166、167は他のフィルムと比較して面状に劣ることより、TD及びMDに積極的に延伸を行うことが好ましいことが分かる。これは、延伸により支持体での乾燥時及び剥ぎ取り時に発生したムラが引き伸ばされ、目立たなくなるからであると推測される。
【0209】
(実施例2)
[光学的等方性セルロースアシレートフィルム201]
下記に示すドープ組成になるように各成分を混合し、加熱しながら充分に攪拌して各成分を溶解し、ドープを調製した。得られたドープを、バンド流延機を用いて流延した。残留溶媒量26質量%で剥ぎ取り後に、140℃で40分間乾燥させ、厚み40μmのセルロースアシレートフィルム201を作製した。セルロースアシレートフィルム201の光学特性を測定したところ、Re=1.0nm、Rth=3.0nmであった。
【0210】
[セルロースアシレートフィルム201用ドープ]
セルロースアシレート 100質量部
(アセチル置換度2.86、平均重合度310)
アクリル酸メチル単重合体 20.0質量部
(質量平均分子量5000、残留モノマー含有量3.2質量%)
UV−1 1.2質量部
(チヌビン326 チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)
平均粒径16nmのシリカ粒子
(aerosil R972 日本アエロジル(株)製) 0.14質量部
ジクロロメタン 422質量部
メタノール 63質量部
【0211】
[セルロースアシレートフィルム202]
下記に示すドープ組成になるように各成分を混合し、加熱しながら充分に攪拌して各成分を溶解し、ドープを調製した。得られたドープを、バンド流延機を用いて流延した。残留溶媒量26質量%で剥ぎ取り後に、140℃で40分間乾燥させ、厚み40μmのセルロースアシレートフィルム202を作製した。セルロースアシレートフィルム202の光学特性を測定したところ、Re=1.5nm、Rth=29.8nmであった。
【0212】
[セルロースアシレートフィルム202用ドープ]
セルロースアシレート 100質量部
(アセチル置換度2.86、平均重合度310)
トリフェニルフォスフェート 10.0質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 5.0質量部
UV−1 1.2質量部
(チヌビン326 チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)
平均粒径16nmのシリカ粒子
(aerosil R972 日本アエロジル(株)製) 0.14質量部
ジクロロメタン 405質量部
メタノール 60質量部
【0213】
[アクリルフィルム203]
公知の方法で、Re=2nm、Rth=−2nm、厚み40μmのポリメチルメタクリレート(PMMA)フィルムを用意した。
【0214】
[COPフィルム204]
公知の方法で、Re=2nm、Rth=6nm、厚み40μmのシクロオレフィンポリマー(COP)フィルムを用意した。
【0215】
[光学補償フィルムD−1、D−2]
[光学補償フィルムD−1、D−2の作製]
厚さ80μm、Reが120nmのポリカーボネートフィルムの両面に、一軸延伸ポリエステルフィルム製の熱収縮性フィルムをその遅相軸が直交するようにアクリル系粘着層を介して接着し、これを160℃に加熱して熱収縮性フィルムを収縮させながら延伸装置を用いて、幅方向の長さをそれぞれ収縮前の92%にした後、熱収縮性のフィルムを剥がして、フィルムD−1を得た。同様にして、幅方向の長さを収縮前の88%にした後に熱収縮性のフィルムを剥がして、フィルムD−2を得た。これらの光学特性を測定したところ、D−1はReが160nm、Rthが−40nmで、Nzが0.25であり、D−2はReが150nm、Rthが−60nmで、Nzが0.10であった。
【0216】
[光学補償フィルムD−3]
[光学補償フィルムD−3の作製]
<支持体の作製>
ポリカーボネートのペレットをメチレンクロライドに溶解し、金属製のバンド上に流延し、続いて乾燥することにより厚さ80μmのポリカーボネートフィルムを得た。このフイルムを170℃の温度条件で長手方向(搬送方向)に5.5%の一軸延伸を行い、光学フィルムD−3用支持体を得た。この光学特性を測定したところ、Reが80nm、Rthが80nmで、Nzが1.5であった。
<液晶層の作製>
上記支持体上に市販の垂直配向膜(JALS−204R、日本合成ゴム(株)製)をメチルエチルケトンで1:1に希釈したのち、ワイヤーバーコーターで2.4ml/m2塗布した。直ちに、120℃の温風で120秒乾燥し、垂直配向膜を形成した。
次に、下記の棒状液晶化合物3.8g、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)0.06g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.02g、下記の空気界面側垂直配向剤0.002gを9.2gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を調製した。この溶液を前記配向膜を形成した前記支持体の配向膜側に、#3.0の番手のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、100℃の恒温槽中で2分間加熱し、棒状液晶化合物を配向させた。次に、80℃で120W/cm高圧水銀灯により、20秒間UV照射し棒状液晶化合物を架橋して、その後、室温まで放冷して液晶層を作製した。支持体と液晶層が積層された光学補償フィルムD−3の光学特性を測定したところ、Reが80nm、Rthが−70nmで、Nzが−0.38であった。
【0217】
【化6】

【0218】
【化7】

【0219】
ここで光学補償フィルムD−3の光学特性の値から支持体の光学特性の値を差し引くことより算出された液晶層光学特性の値はRe=0nm、Rth=−150nmであることより、棒状液晶が略垂直に配向していることが確認された。
【0220】
[偏光板の作製]
(光学補償フィルムD−1〜D−3、光学フィルム109、119、123、127、134、164、167を用いた光学補償側偏光板)
1)フィルムの鹸化
市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)を、55℃に保った1.5mol/LのNaOH水溶液(鹸化液)に2分間浸漬した後、フィルムを水洗し、その後、25℃の0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒浸漬した後、更に水洗浴を30秒流水下に通して、フィルムを中性の状態にした。そして、エアナイフによる水切りを3回繰り返し、水を落とした後に70℃の乾燥ゾーンに15秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理したフィルムを作製した。
2)偏光子の作製
特開2001−141926号公報の実施例1に従い、延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて厚み20μmの偏光子を作製した。
3)貼り合わせ
この偏光子の一方の面にアクリル接着剤を用いて、第1位相差領域として作製した光学補償フィルムD−2を貼合し、更にこの上にアクリル接着剤を用いて、第2位相差領域として作製したフィルム109を貼合した。偏光子の他方の面にポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記鹸化した市販のセルローストリアセテートフィルムを貼り付け、70℃で10分以上乾燥して、光学補償フィルムD−2及びフィルム109を用いた光学補償側偏光板301を作製した。
光学補償フィルムD−1〜D−3、及び光学フィルム119、123、127、134、164、167についても表4に記載の構成となるように、同様の方法で光学補償側偏光板302〜308、310を作製した。
また、この偏光子の一方の面にアクリル接着剤を用いて、第1位相差層として作製したフィルム134にコロナ処理を施したのち貼合し、更にこの上にアクリル接着剤を用いて、第2位相差層として作製した光学補償フィルムD−2を貼合した。偏光子の他方の面にポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記鹸化した市販のセルローストリアセテートフィルムを貼り付け、70℃で10分以上乾燥して、フィルム134及び光学補償フィルムD−2及びを用いた光学補償側偏光板309を作製した。
ここで、偏光子の透過軸と光学フィルム109、119、123、127、134、164、167の搬送方向とが直交するように、つまり偏光子の透過軸とフィルムの遅相軸とが平行又は直交となるように配置した。偏光子の透過軸と光学補償フィルムD−1〜D−3の遅相軸は直交するように配置した。偏光子の透過軸と市販のセルローストリアセテートフィルムの遅相軸とは直交するように配置した。
【0221】
(光学フィルム164、201〜204を用いた対向側偏光板)
1)フィルムの鹸化
光学フィルム201、202、市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)を、55℃に保った1.5mol/LのNaOH水溶液(鹸化液)に2分間浸漬した後、フィルムを水洗し、その後、25℃の0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒浸漬した後、更に水洗浴を30秒流水下に通して、フィルムを中性の状態にした。そして、エアナイフによる水切りを3回繰り返し、水を落とした後に70℃の乾燥ゾーンに15秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理したフィルムを作製した。
2)偏光子の作製
特開2001−141926号公報の実施例1に従い、延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて厚み20μmの偏光子を作製した。
3)貼り合わせ
この偏光子の一方の面にポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記鹸化したフィルム201、202を、偏光子の他方の面に上記鹸化した市販のセルローストリアセテートフィルムを貼り付け、70℃で10分以上乾燥して、フィルム201、202を用いた対向側偏光板401、402を作製した。
また、この偏光子の一方の面にアクリル接着剤を用いて、用意したフィルム203、204を貼合し、偏光子の他方の面にポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記鹸化した市販のセルローストリアセテートフィルムを貼り付け、70℃で10分以上乾燥して、フィルム203、204を用いた対向側偏光板403、404を作製した。
更に、この偏光子の一方の面にアクリル接着剤を用いて、光学フィルム164にコロナ処理を施したのち貼合し、偏光子の他方の面にポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記鹸化した市販のセルローストリアセテートフィルムを貼り付け、70℃で10分以上乾燥して、光学フィルム164を用いた対向側偏光板405を作製した。
ここで、偏光子の透過軸とフィルム201〜204、光学164の搬送方向とが直交するように、つまり偏光子の透過軸と各フィルムの遅相軸とが平行又は直交となるように配置した。偏光子の透過軸と市販のセルローストリアセテートフィルムの遅相軸とは直交するように配置した。
【0222】
[IPSモード液晶セルの作製]
図2に示す構成の液晶セルを作製した。図2中、1は液晶素子画素領域、2は画素電極、3は表示電極、4はラビング方向、5a、5bは黒表示時の液晶化合物のダイレクター、及び6a、6bは白表示時の液晶化合物のダイレクターである。具体的には、一枚のガラス基板上に、図2に示す様に、隣接する電極間の距離が20μmとなるように電極(図2中、2及び3)を配設し、その上にポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を行なった。図2中に示す方向4に、ラビング処理を行なった。別に用意した一枚のガラス基板の一方の表面にポリイミド膜を設け、ラビング処理を行なって配向膜とした。二枚のガラス基板を、配向膜同士を対向させて、基板の間隔(ギャップ;d)を3.9μmとし、二枚のガラス基板のラビング方向が反平行となるようにして重ねて貼り合わせ、次いで屈折率異方性(Δn)が0.0769及び誘電率異方性(Δε)が正の4.5であるネマティック液晶組成物を封入した。液晶層のd・Δnの値は300nmであった。
【0223】
上記のIPSモード液晶セルの上側偏光板(視認側)に光学補償側偏光板301〜310を、第1及び第2位相差領域側が偏光子に対して液晶セル側となるように設置した。また、下側偏光板(バックライト側)に、対向側偏光板401〜405を、フィルム164、201〜205(対向フィルムとよぶ)が偏光子に対して液晶セル側となるように設置した。ここで、下側偏光子の透過軸と液晶セルの遅相軸が直交するように、上側偏光板及び下側偏光板は粘着剤を介して液晶セルに貼りつけた。上側偏光板と下側偏光板とは、上側偏光板の透過軸と下側偏光板の透過軸が直交するようにクロスニコル配置とした。
実装を行った液晶表示装置の構成を表4に示す。
【0224】
以上のようにして作製した液晶表示装置の表示特性、80℃加熱後の黒表示ムラ、湿度変化時の黒表示ムラ、高温高湿環境経時後の黒表示ムラを評価した。評価結果は表5に示す。
各補償方式での評価は、同一方式内における相対評価で行った。
【0225】
(表示特性(視野角特性))
上記で作製した液晶表示装置について、以下のようにして表示特性を評価した。
作製した液晶表示装置で黒表示を行い、斜めから目視にて観察し、色・明るさの好ましさを、下記基準により5段階で評価した。
◎:斜め方向の色、明るさが十分小さい。
○:斜め方向の色、明るさとも気にならない。
○△:斜め方向の色がやや気になるが、明るさは気にならない。
△:斜め方向の色、明るさはやや気になる。
×:斜め方向の色・明るさが目立つ。
【0226】
(80℃加熱後の黒表示ムラ)
液晶表示装置を80℃10%RH以下で48時間経過させた後、25℃60%RHの環境下で24時間調湿した後に点灯をさせ、黒表示時の色ムラの程度を目視で観測し、以下の基準により4段階で評価した。
◎:色ムラは観測されなかった。
○:表示面の半分以下の面積で弱い色ムラが観測された。
△:表示面の半分を超える面積で弱い色ムラ又は半分以下の面積で強い色ムラが観測された。
×:表示面の半分を超える面積で強い色ムラが観測された。
【0227】
(湿度変化時の黒表示ムラ)
液晶表示装置を25℃80%RHで24時間調湿した後、25℃10%RHの環境下で点灯をさせ、2時間後の黒表示時の色ムラの程度を目視で観測し、以下の基準により4段階で評価した。
◎:色ムラは観測されなかった。
○:表示面の半分以下の面積で弱い色ムラが観測された。
△:表示面の半分を超える面積で弱い色ムラ又は半分以下の面積で強い色ムラが観測された。
×:表示面の半分を超える面積で強い色ムラが観測された。
【0228】
(高温高湿環境経時後の黒表示ムラ)
液晶表示装置を60℃90%RHで48時間経過させた後、25℃60%RHの環境下で24時間調湿した後で点灯をさせ、黒表示時の色ムラの程度を目視で観測し、以下の基準により4段階で評価した。
◎:色ムラは観測されなかった。
○:表示面の半分以下の面積で弱い色ムラが観測された。
△:表示面の半分を超える面積で弱い色ムラ又は半分以下の面積で強い色ムラが観測された。
×:表示面の半分を超える面積で強い色ムラが観測された。
【0229】
【表4】

【0230】
【表5】

【0231】
表5より、本発明のフィルムを使用したディスプレイ1〜3、7〜13は表示特性、80℃加熱後の黒表示ムラ、湿度変化時の黒表示ムラ、高温高湿環境経時後の周辺ムラに優れることが分かる。
ここで、ディスプレイ1〜5を比較すると、第2位相差領域がセルロースエステルとアクリル樹脂を含むフィルムであり、該フィルムの光学特性(Re及びRth)が、本発明の光学特性範囲である場合に表示性能が優れることが分かる。また、ディスプレイ4のようにアクリル樹脂の含有量が本発明の範囲以上の場合は、光学発現性が小さく表示性能が劣っていた。
更に、ディスプレイ3、4、6、14を比較すると、第2位相差領域で、セルロースエステルとアクリル樹脂の質量比率が本発明範囲内である場合には、80℃加熱後の黒表示ムラ、湿度変化時の黒表示ムラ、高温高湿環境経時後の周辺ムラに優れることが分かる。これは、本発明のセルロースエステル樹脂とアクリル樹脂の質量比率が本発明範囲内である場合にアクリル樹脂による耐湿性とセルロースエステル樹脂の発現性が両立可能である領域であることを示している。特にディスプレイ6、14のようにセルロースエステルが本発明の範囲以上の場合は、湿度依存性(湿度変化時の黒表示ムラ)、高温高湿環境耐久性(高温高湿環境経時後の黒表示ムラ)等の湿度安定性が劣っていた。
ディスプレイ3、7、8を比較すると、第2位相差領域に使用した本発明のフィルムは134、対向フィルムは201で同じであるが、組み合わせる第1位相差領域の光学補償フィルムD−1〜D−3により表示特性に差異が確認された。光学補償フィルムの光学特性としては、第1位相差領域としてNz値が0に近いD−2を用いたディスプレイ3が最も好ましく、また液晶性分子を垂直配向させて固定化した層を含むD−3を使用したディスプレイ8よりも、熱可塑性樹脂を用いたディスプレイ3、7の方が熱耐久性(80℃加熱後の黒表示ムラ)、高温高湿環境耐久等の熱安定性に優れることが確認された。
ディスプレイ3、9〜12を比較すると、第2位相差領域に使用した本発明のフィルムは134、第1位相差領域の光学補償フィルムD−2で同じであるが、対向フィルムとしては光学的等方性であることが表示性能の観点で好ましいことが確認された。また対向フィルムにより80℃加熱後の黒表示ムラ、湿度変化時の黒表示ムラ、高温高湿環境経時後の周辺ムラに差異が確認され、アクリル樹脂、COP樹脂、及びセルロールエステルとアクリル樹脂の混合によるフィルムは湿度依存性、高温高湿環境耐久性等の湿度安定性が特に優れており、好ましいことが確認された。
ディスプレイ3と13を比較すると、共に本発明の要件を満たし、優れた特性を有するが、本発明のセルロースエステルとアクリル樹脂を含む光学フィルムを第2位相差領域として使用した方がより表示特性に優れることが確認された。
【0232】
上記で使用した以外の実施例記載のフィルムについても同様に実装を行って評価したところ、表示特性、80℃加熱後の黒表示ムラ、湿度変化時の黒表示ムラ、高温高湿環境経時後の黒表示ムラが比較例のフィルムよりも優れることが確認された。
【0233】
また、上記IPSモード液晶セルの上側偏光板(視認側)と下側偏光板(バックライト側)の配置を前記ディスプレイ3〜6と反対にした場合についても液晶表示装置の構成を表6に、評価結果を表7に記載しておく。
【0234】
【表6】

【0235】
【表7】

【0236】
この結果より、上側偏光板(視認側)と下側偏光板(バックライト側)の配置を反対にした構成の液晶表示装置でも、本発明のセルロースエステルとアクリル樹脂を含む光学フィルムを使用したディスプレイは表示特性に優れることが確認された。
ただし、ディスプレイ3と15の比較より、上側偏光板に本発明のセルロースエステルとアクリル樹脂を含む光学フィルムを含む光学補償側偏光板を配置した方が表示性能は良好であった。
表3、5、7に示されるように、本発明の光学フィルムは、生産性が良好で、光学発現性に優れ、面状が良く、耐久性が高く、透明性に優れており、これを用いることより表示ムラが改善された、黒表示時に液晶層の液晶分子が基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置が得られる。
【符号の説明】
【0237】
20 フィルム製造ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板間に液晶層を有する液晶セルを備え、黒表示時に前記液晶層の液晶分子が前記基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置に用いる光学フィルムであって、
セルロースエステルとアクリル樹脂とを相溶状態で含み、
前記セルロースエステルの質量平均分子量が75000以上であり、前記アクリル樹脂の質量平均分子量が80000以上であり、前記セルロースエステルと前記アクリル樹脂との質量比が70:30〜5:95であり、
下記式(I)及び(II)で定義されるRe及びRthが、波長590nmにおいて下記式(III)及び(IV)を満たす、光学フィルム。
式(I) Re=(nx−ny)×d
式(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式(III) 0nm≦Re≦10nm
式(IV) Rth≧30nm
式中、nxは前記光学フィルムのフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは前記フィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzは前記光学フィルムの厚み方向の屈折率であり、dは前記光学フィルムの厚さ(nm)である。
【請求項2】
前記セルロースエステルのアシル基の総置換度が2.00〜3.00であり、炭素数3〜7のアシル基の置換度が1.20〜3.00である請求項1に記載の光学フィルム。
【請求項3】
前記光学フィルムのフィルム面内において、100mm間隔の2点におけるRthの差分が3.0nm以内である請求項1又は2に記載の光学フィルム。
【請求項4】
全ヘイズ値が0.30%以下であり、内部ヘイズ値が0.10%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【請求項5】
前記光学フィルムがレターデーション発現剤を含み、該レターデーション発現剤が円盤状化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【請求項6】
一対の基板間に液晶層を有する液晶セルを備え、黒表示時に前記液晶層の液晶分子が前記基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置に用い、セルロースエステルとアクリル樹脂とを相溶状態で含む光学フィルムの製造方法であって、
前記セルロースエステルと前記アクリル樹脂との質量比が70:30〜5:95である高分子膜を製膜する工程と、
前記高分子膜の搬送方向と直交する幅方向に前記高分子膜を延伸する工程とを含み、
前記セルロースエステルの質量平均分子量が75000以上であり、前記アクリル樹脂の質量平均分子量が80000以上であり、
前記光学フィルムの下記式(I)及び(II)で定義されるRe及びRthが、波長590nmにおいて下記式(III)及び(IV)を満たす、光学フィルムの製造方法。
式(I) Re=(nx−ny)×d
式(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式(III) 0nm≦Re≦10nm
式(IV) Rth≧30nm
式中、nxは前記光学フィルムのフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyは前記フィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzは前記光学フィルムの厚み方向の屈折率であり、dは前記光学フィルムの厚さ(nm)である。
【請求項7】
前記高分子膜の延伸が、乾燥後の未延伸の高分子膜のTgに対してTg±30℃の温度範囲で行われる請求項6に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項8】
前記アクリル樹脂が、メチルメタクリレート由来の繰り返し単位を50質量%以上含有し、質量平均分子量が500000以下である請求項6又は7に記載の光学フィルムの製
造方法。
【請求項9】
前記セルロースエステルがアセチル基及びプロピオニル基を含み、
前記セルロースエステルのアシル基の総置換度が2.00〜3.00であり、炭素数3〜7のアシル基の置換度が1.20〜3.00であり、
前記セルロースエステルの質量平均分子量が250000以下である請求項6〜8のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項10】
前記光学フィルムがレターデーション発現剤を含み、該レターデーション発現剤が円盤状化合物である請求項6〜9のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項11】
下記で定義されるNz値が0.5以下である光学フィルムと、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルムとが積層された、積層光学フィルム。
Nz=Rth/Re+0.5
ここで、Reはフィルムの面内レターデーション(nm)であり、Rthはフィルムの厚み方向のレターデーション(nm)である。
【請求項12】
前記Nz値が0.5以下である光学フィルムが、熱可塑性樹脂を含む請求項11に記載の積層光学フィルム。
【請求項13】
前記熱可塑性樹脂が、アクリル樹脂、スチレン樹脂、及びポリカーボネート樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項12に記載の積層光学フィルム。
【請求項14】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルム又は請求項11〜13のいずれか1項に記載の積層光学フィルムを少なくとも1枚含む偏光板。
【請求項15】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルム、請求項11〜13のいずれか1項に記載の積層光学フィルム、又は請求項14に記載の偏光板を少なくとも1枚含む液晶表示装置。
【請求項16】
少なくとも、第1偏光子と、第1位相差領域と、第2位相差領域と、液晶層及び該液晶層を挟持する一対の基板を含む液晶セルと、第2偏光子とがこの順序で配置され、黒表示時に前記液晶層の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置であって、
前記第1位相差領域及び前記第2位相差領域の一方が、下記で定義されるNz値が0.5以下である光学フィルムであり、他方が、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルムである液晶表示装置。
Nz=Rth/Re+0.5
ここで、Reはフィルムの面内レターデーション(nm)であり、Rthはフィルムの厚み方向のレターデーション(nm)である。
【請求項17】
前記第2位相差領域が請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルムである請求項16に記載の液晶表示装置。
【請求項18】
前記第1位相差領域が、熱可塑性樹脂を含む光学フィルムである請求項16又は17に記載の積層光学フィルム。
【請求項19】
前記熱か組成樹脂が、アクリル樹脂、スチレン樹脂、及びポリカーボネート樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項18に記載の液晶表示装置。
【請求項20】
前記液晶セルと第2偏光子の間に、更に光学的等方性の光学フィルムを含む請求項16〜19のいずれか1項に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−29553(P2013−29553A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163678(P2011−163678)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】