説明

光学ヘッド、光学ドライブ装置

【課題】
簡素な構成でオフセットが発生しないトラッキングエラー信号が生成可能な光学ヘッドおよび光学ドライブ装置を実現する手段を提供することを目的とする。
【解決手段】
光学ドライブ装置は、光ビームを出射する光源と、その光ビームを光ディスクへ集光する対物レンズと、光ディスクを反射した前記光ビームを前記光ディスクの半径方向に伸びる分割線と光ディスクのトラック方向に伸びる分割線とによって少なくとも4つの領域に分割する光信号生成素子と、その光信号生成素子によって分割された光ビームを受光する光検出器とを備え、4つの領域の上下または左右の面積が異なるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
光ディスクの再生または記録可能な光学ヘッド、光学ドライブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開平2−236827号公報(特許文献1)がある。この公報には、「回折要素の前端と後端で符号の異なる正負の信号を発生し、回折要素の長さに無関係に検出することができる回折トラック記録体の光学再生装置を提供する。長さが幅と等しい様な回折要素をも検出することができる。基体内に含まれた情報の反射による読出しの場合にも応用できる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−236827
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光ディスクでは、BD(Blu-ray Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)などが規格化されている。このような光ディスクを記録または再生する光学ヘッドでは、光源から、光ビームを出射し、その光ビームを対物レンズにより光ディスクに集光し、光ディスクで反射した光ビームを光検出器で検出し、検出した信号から光ディスクの再生信号、光ディスク上での光スポットと光ディスク内の案内溝(以下、トラックと記す)ずれを制御するトラックエラー信号(以下、TE信号と記す)、光ディスク上での光スポットの合焦点ずれを制御するフォーカスエラー信号(以下、FE信号と記す)などを生成している。光学ドライブ装置では、これらの信号を用い対物レンズの位置をアクチュエータにより制御することで、光スポットの位置を所定位置に照射させている。トラックエラー信号に基づく制御をトラッキング、フォーカスエラー信号に基づく制御をフォーカシングと記す。
【0005】
また、アクチュエータにより光ディスクの半径方向に対物レンズを移動させることを対物レンズシフトと記す。
【0006】
トラックエラー信号の生成には、特許文献1に記載したプッシュプル方式などがある。このプッシュプル方式は、対物レンズシフトさせたときにトラックエラー信号にオフセットが発生する点に課題がある。
【0007】
本発明では、簡素な構成で上記オフセットが発生しないトラッキングエラー信号が生成可能な光学ヘッドおよび光学ドライブ装置を実現する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、その一例として特許請求の範囲に記載の構成により達成できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、対物レンズシフトしてもオフセットのないトラックエラー信号が生成可能な安価な光学ヘッド、および光学ドライブ装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1における光学ヘッド1の概略構成図を示す。
【図2】実施例1における光信号生成素子9の概略構成図を示す。
【図3】実施例1における光検出器10の概略構成図を示す。
【図4(A)】実施例1における、対物レンズシフトの量が零の場合の光信号生成素子9と光信号生成素子9に入射する光ビーム50の関係を説明する概略構成図を示す。
【図4(B)】実施例1における、対物レンズシフトの量がδある場合の光信号生成素子9と光信号生成素子9に入射する光ビーム50の関係を説明する概略構成図を示す。
【図5】実施例1における対物レンズシフトの量が零のときのTE信号を説明する図を示す。
【図6】実施例1における対物レンズシフトの量がδあるときのTE信号を説明する図を示す。
【図7】実施例1における光学ドライブ装置70の概略構成図を示す。
【図8】実施例2における光検出器80の概略構成図を示す。
【図9】実施例3における光学ヘッド91の概略構成図を示す。
【図10】実施例3における光検出器93の概略構成図を示す。
【図11】実施例3における光検出器93と光検出器93に入射する光ビーム110の関係を説明する概略構成図を示す。
【図12】実施例4における光信号生成素子120の概略構成図を示す。
【図13】実施例5における光信号生成素子130の概略構成図を示す。
【図14】実施例6における光信号生成素子140の概略構成図を示す。
【図15】実施例6における光信号生成素子150の概略構成図を示す。
【図16】実施例6におけるTE信号振幅の対物レンズシフト特性をシミュレーションしたグラフを示す。
【図17】実施例6におけるオフトラック量の対物レンズシフト特性をシミュレーションしたグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図に示す実施例に基づいて詳細に説明するが、これによりこの本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0012】
本発明における実施例1について図を用い説明する。ここでは光学ヘッドと光学ドライブ装置を例に説明する。例えば、DVDまたはBDなどのいずれかの規格の光ディスクの記録または再生が可能な光学ヘッド、光学ドライブ装置に相当する。
【0013】
図1は、実施例1における光学ヘッド1の概略構成図を示す図である。光源2から光ビームが発散光として図中y方向に出射される。光ディスクの情報の記録または情報の再生を行うには、一般的に半導体レーザを用いるのが一般的であり、光源2は所定の波長で出射する半導体レーザに相当するものである。
【0014】
光源2から出射した光ビームは光ビームスプリッタ3に入射する。光ビームスプリッタ3は、入射した光ビームの所定光量を透過させ、その残りの光量を反射させる、すなわち光ビームを2本に分岐する光学素子である。このような機能は例えば、ハーフプリズム、偏光性プリズムなどで実現できる。
【0015】
光ビームスプリッタ3に入射した光ビームのうち透過した光ビームはコリメートレンズ4に進行し、反射した光ビームはフロントモニタ5へ進行する。コリメートレンズ4に進行した光ビームは略平行な光ビームに変換される。
【0016】
一般的に光源から出射する光ビームの光量は注入する電流に比例するが、その光量に対する電流は個別のオフセットが大きい、周辺温度により変化するなどの課題がある。光ディスクの再生、特に記録する際には光ディスクへ照射する光ビームの光量を正確に制御しなければならない。このため、光学ヘッド1は、光ビームスプリッタ3を反射し分岐された光ビームの光量をフロントモニタ5にて検出することで、光ディスク上の光量が所定値になるようフィードバック制御できる構成になっている。
【0017】
コリメートレンズ4で略平行に変換された光ビームは、対物レンズ6に入射し、光ディスク8の情報面に集光される。
【0018】
対物レンズ6はアクチュエータ7に搭載されており、少なくとも図中xとy方向に駆動させることができる。図1でxは光ディスク8の情報面にあるトラックと直交する方向、すなわち光ディスク8の半径方向を示し、yは光ディスクの情報面の法線方向を示し、zは情報面にあるトラックと平行な方向(以下、トラック方向と記す)に相当する。すなわち、x方向はトラックエラー信号による制御、および対物レンズシフトの駆動に用いられ、y方向はフォーカスエラー信号による制御に用いられる。
【0019】
光ディスク8で反射した光ビームは、対物レンズ6、コリメートレンズ4を進行し、光ビームスプリッタ3を反射したのち光信号生成素子9に入射する。光信号生成素子9は入射した光ビームを信号生成のために所定の領域毎に分割される。
【0020】
光信号生成素子9にて分割された光ビームは光検出器10の受光面にて検出される。
【0021】
光検出器10に導かれた光ビームは、光ディスク8の情報面に記録されている再生信号の生成と、トラックエラー信号やフォーカスエラー信号などの生成に使用される。
【0022】
以後、光源2から光ディスク8まで進行する光路のことを往路、光ディスク8から光検出器10まで進行する光路のことを復路と記述する。
【0023】
光信号生成素子9は、例えば往路と復路が共通する光路(光ビームスプリッタ3と対物レンズ6の間)に配置しても良い。この場合、往路の光ビームが分割されず、復路の光ビームだけが分割される偏光性を利用することで実現できる。偏光性を有する光学素子は無偏光性の部品と比べ高価であるため、光学ヘッド1のように光信号生成素子9は光ビームスプリッタ3と光検出器10の間に配置させることがコスト面からは望ましい。
【0024】
次に光信号生成素子9について説明する。図2に光信号生成素子9の概略構成図を示す。図は、光ビームスプリッタ3から光信号生成素子9を見た図である。図2でxは光信号生成素子9の法線方向、yは横方向、zは高さ方向を示しており、特に入射した光ビームの断面を想定した場合、光ディスク8の半径方向がy方向であり、トラック方向に相当するのがz方向である。すなわち、一点鎖線20は光ディスク8の半径方向、一点鎖線21はトラック方向に相当する。また、一点鎖線20と一点鎖線21の交点は、信号生成素子9の中心であることを想定している。
【0025】
すなわち、光学ヘッド1を組み立てるときには、一点鎖線20と一点鎖線21の交点と、信号生成素子9へ入射する光ビーム50の中心とを一致させるように信号生成素子9をy、z方向に調整することが望ましいといえる。
【0026】
さて、光信号生成素子9は、トラックエラー信号を生成するために入射した光ビームを所定の領域毎に光ビームを分割するものであり、ここでは、領域毎に格子溝の間隔、角度などの設定が異なる回折格子を想定した例で説明する。すなわち各領域に入射した光ビームは各々±1次回折光ビームに分割されることに相当する。
【0027】
光信号生成素子9は、領域A22、領域B23、領域C24、領域D25の4個の領域から構成されている。領域A22、領域B23と領域C24、領域D25とは一点鎖線21でy方向に分割させる。また、領域A22と領域B23は、一点鎖線20と平行な線でz方向に分割させる。領域A22と領域B23の境界は、一点鎖線20とは所定量だけ図中下側へ平行にオフセットさせる。また、領域C24と領域D25は、一点鎖線20と平行な線でz方向に分割させる。領域C24と領域D25の境界は、一点鎖線20とは所定量だけ図中上側へ平行にオフセットさせる。
【0028】
このとき、領域A22と領域B23の境界の一点鎖線20からのオフセットの量と、領域C24と領域D25の境界の一点鎖線20からのオフセットの量とを略同じにすることが望ましい。なお、オフセット量は、大きすぎても、小さすぎても後術する補正係数が大きくなり、光学ドライブ装置におけるシステム上の観点から望ましくない。オフセット量は、光信号生成素子9へ入射する光ビームの有効径の5〜35%程度に設定するのが望ましい。
【0029】
次に光検出器10について説明する。図3に光検出器10の概略構成図を示す。図は、光ビームスプリッタ3から光検出器10を見た図である。光検出器10は、受光面A30、受光面B31、受光面C32、受光面D33、受光面Fap34、受光面Fan35、受光面Fbp36、受光面Fbn37、受光面Fcp38、受光面Fcn39、受光面Fdp40、受光面Fdn41の12個から構成されている。光信号生成素子9の領域A22で分割された+1次回折光ビームを光ビームA+1、−1次回折光ビームを光ビームA−1とする。また他の領域も同様に記す。
【0030】
受光面A30は、光ビームA+1を受光する受光面である。受光面A30は光量に応じた電流を発生し、電流/電圧変換素子48を経て端子A42から光ビームの光量に応じた電圧を信号として出力する。受光面B31は、光ビームB+1を受光する受光面である。受光面B31は光量に応じた電流を発生し、電流/電圧変換素子48を経て端子B43から光ビームの光量に応じた電圧を信号として出力する。受光面C32は、光ビームC+1を受光する受光面である。受光面C32は光量に応じた電流を発生し、電流/電圧変換素子48を経て端子C44から光ビームの光量に応じた電圧を信号として出力する。受光面D33は、光ビームD+1を受光する受光面である。受光面D33は光量に応じた電流を発生し、電流/電圧変換素子48を経て端子D45から光ビームの光量に応じた電圧を信号として出力する。
【0031】
受光面Fap34と受光面Fan35は光ビームA−1を受光する受光面である。光ビームを領域毎に分割する場合、ナイフエッジ方式によるフォーカスエラー信号が生成可能になる。このため、光学ヘッド1では、ナイフエッジ方式によるフォーカスエラー信号を生成することを想定しており、受光面Fap34と受光面Fan35の境界は、いわゆる暗線に相当する。ナイフエッジ方式によるフォーカスエラー信号の生成に関しては、一般的な技術であるため詳細の説明は割愛する。
【0032】
受光面Fbp36と受光面Fbn37は光ビームB−1を受光する受光面であり、その境界も暗線となっている。受光面Fcp38と受光面Fcn39は光ビームC−1を受光する受光面であり、その境界も暗線となっている。受光面Fdp40と受光面Fdn41は光ビームD−1を受光する受光面であり、その境界も暗線となっている。
【0033】
受光面Fap34、受光面Fbp36、受光面Fcp38、受光面Fdp40は各々受光した光量に応じて電流を発生し、各結合点49で電流加算されたのち、電流/電圧変換素子48を経て端子Fp46から電圧を信号として出力する。受光面Fan35、受光面Fbn37、受光面Fcn39、受光面Fdn41は各々受光した光量に応じて電流を発生し、各結合点49で電流加算されたのち、電流/電圧変換素子48を経て端子Fn47から電圧を信号として出力する。
【0034】
また、回折格子で分割される±1次回折光ビームは、回折格子を素通りした光ビームに対して対称な関係になる。このため、受光面A30の中心と、受光面Fap34と受光面Fan35の中心とが、回折格子を素通りした光ビームに対して対称な関係になっている。他の受光面も同様の関係をしている。例えば、多層の光ディスクを再生する場合、多層の光ディスクで再生している情報面と異なる情報面から反射した光ビームが多層迷光として外乱になる課題がある。このような多層迷光を回避するため、受光面を多層迷光が受光面に入光しないように配置することが望ましい。
【0035】
次に光検出器10の信号から光学ドライブ装置で必要な信号を生成する演算について説明する。フォーカスエラー(FE)信号は式1、プッシュプル(PP)信号は式2、対物レンズシフトエラー(LE)信号は式3、トラックエラー(TE)信号は式4、再生(RF)信号は式5から生成する。
FE=(Fp−Fn) (式1)
PP=(A+B)−(C+D) (式2)
LE=(k×B+C)−(A+k×D) (式3)
TE=PP−k×LE (式4)
RF=(A+B+C+D) (式5)
上式において、Aなどは端子A42から出力された信号に相当する。他の信号も同様である。また、下記においてAなどは信号Aなどと記すこととする。上記のk、k、kは補正係数であり、これらの説明は後述する。
【0036】
なお、本実施例では、図3のように各信号の出力を結線するような構成としたが、もちろん結線しない等の構成にしてもなんら構わないが、上記のように結線することで、出力端子数の増加を抑制することができる。本実施例では光検出器10の受光面を図3のように配置したが、上記信号が得られる構成であれば、これに限定されるものでない。
【0037】
さて、図4から図6を用いTE信号の生成方法について説明する。
【0038】
図4は、光信号生成素子9と、光信号生成素子9に入射した光ビーム50の関係を示した概略図である。図4Aは、対物レンズシフトの量が零の場合、図4Bは対物レンズシフトの量がδある場合である。図は、図2同様光ビームスプリッタ3から光信号生成素子9を見た図である。
【0039】
光信号生成素子9に入射する光ビームの断面を光ビーム50で図示している。この光ビーム50には、光ディスク8のトラックによりプッシュプルの像が発生する。このプッシュプルが発生する領域をプッシュプル領域P51とプッシュプル領域N52で図示している。プッシュプル領域P51とプッシュプル領域N52は、光ディスク8にある光スポットが半径方向に移動すると逆位相で光量が明滅する領域である。
【0040】
対物レンズシフトの量が零の場合、上記したように一点鎖線20と一点鎖線21の交点と、光ビーム50の中心とは、図4Aに示したように一致している。対物レンズシフトの量がδある場合、光ビーム50の中心は、図4Bに示したように破線53へ光ディスク8の半径方向(図中y方向)へ移動する。
【0041】
上記した式2のPP信号を生成する演算は、図中領域A22と領域B23との加算信号と、領域C24と領域D25の加算信号との差に相当する。すなわちPP信号は、図中z方向に伸びる分割線を挟む左右の領域からの信号の差信号である。
【0042】
対物レンズシフトの量が零の場合、光ビーム50の図中z方向に伸びる分割線を挟む左右の面積が同じであるため、DC成分の光量の差は零となり、プッシュプル領域の明滅であるAC成分の光量の差が信号として得られる。なお、ここでDC成分とは、プッシュプルの明滅が無い一定の信号を指し、AC成分とは、プッシュプルの明滅による周期的な変動がある信号を指す。
【0043】
対物レンズシフトの量がδある場合、光ビーム50の図中z方向に伸びる分割線を挟む左右の領域面積に差が生じるため、DC成分の光量の差がオフセットとして発生する。プッシュプル領域の面積は対物レンズシフトの量が零の場合と変らないため、対物レンズシフトの量が零の場合と同じAC成分の信号が得られる。
【0044】
つまりPP信号は、DC成分については対物レンズシフトによりオフセットするが、AC成分については変化しない信号である。
【0045】
上記した式3のLE信号を生成する演算は、図中領域A22と領域D25との加算信号と、領域B22と領域C23の加算信号との差に相当する。すなわちLE信号は、図中上下の差から生成される。
【0046】
対物レンズシフトの量が零の場合、図4Aから見て分かるように領域A22にはプッシュプルP51があり、領域D25にはプッシュプル領域N52がある。プッシュプル領域P51とプッシュプル領域N52は、逆位相であることから、加算すると信号が打ち消される。
【0047】
領域A22にあるプッシュプル領域P51の面積は、領域D25にあるプッシュプル領域N52の面積よりも大きい。この面積の差を補正するのが、補正係数kである。すなわち、信号Aと信号Dに補正係数kを掛けたものとを加算した信号(A+k×D)は、AC成分が除去されたDC成分のみの信号になる。
【0048】
また同様に、図4Aから見て分かるように領域B23にはプッシュプル領域P51があり、領域C24にはプッシュプル領域N52がある。この領域B23にあるプッシュプルP51の面積は、領域C24にあるプッシュプル領域N52の面積よりも小さい。この面積の差を補正するのが、補正係数kである。すなわち、信号Bに補正係数kを掛けたものと信号Cとを加算した信号(k×B+C)は、AC成分が除去されたDC成分のみの信号になる。
【0049】
本実施例では、領域面積の小さい領域B23、領域D25からの信号が、領域面積の大きい領域A22、領域C24からの信号と信号強度において略同じ程度となるように補正係数k及びkを信号B、信号Dに掛けたが、これに限定されるものではなく、逆に信号A、信号Cに補正係数を掛けるようにしても構わない。また、補正係数k及びkは(A+k×D)及び(k×B+C)のAC成分が零となるように設定すれば、PP信号の振幅をそのままTE信号の振幅とすることができ、TE信号振幅を減少させることなく得られるという効果を奏するが、必ずしもこれに限定されるものではない。すなわち、最終的にTE信号のオフセットが除去できていればよいので、補正係数k及びkは完全にAC成分が零になるような補正係数でなくても構わない。
【0050】
式3にあるように、LE信号は、AC成分が除去された信号(k×B+C)と信号(A+k×D)の差で生成されるため、DC成分のみの信号になることが分かる。対物レンズシフトの量が零の場合、LE信号は、上下で対称なことから、DC成分の光量の差は零となる。このときのLE信号には、AC成分が無い。
【0051】
対物レンズシフトの量がδある場合、図4Bで見て分かるように領域A22と領域B23にあるプッシュプルP51の面積と領域C24と領域D25にあるプッシュプル領域N52の面積には図4Aと変化が無い。すなわち、対物レンズシフトの量がδある場合であってもLE信号はAC成分の無い状態が維持されることが分かる。また、領域A22と領域D25にある光ビーム50の面積は、領域B23と領域C24にある光ビーム50の面積に比べ小さくなる。すなわち、LE信号は上下の面積の差から、DC成分にオフセットが発生することになる。
【0052】
上記を整理すると、LE信号は、DC成分が対物レンズシフトでオフセットし、AC成分は除去されたまま変化が無い信号であるといえる。
【0053】
式4にあるように、TE信号は、PP信号とLE信号の差である。対物レンズシフトに関わらずTE信号のAC成分はPP信号のみに依存する。またDC成分は、対物レンズシフトによりPP信号とLE信号に各々オフセットとして発生するため、PP信号とLE信号のDC成分が対物レンズシフト量に依存して同じ変化の傾きとなるように補正係数kを設定することにより、対物レンズシフトしたときのオフセットが除去できる。つまりTE信号は対物レンズシフトによらず、PP信号のAC成分のみが得られるため、対物レンズシフトしてもオフセットのないTE信号が得られる。
【0054】
次に図5、図6で上記のTE信号を出力される信号で説明する。図5、図6は各信号を図示したもので、図5が対物レンズシフトの量が零の時(図4A)の信号を示し、図6が対物レンズシフトの量がδの時(図4B)を示したものである。図5、図6では、(a)が信号A56、信号B57、信号C58、信号D59、(b)が信号(A+B)60、信号(C+D)61、(c)が信号(A+k×D)63、信号(k×B+C)64、(d)がPP信号65、(e)がLE信号66、(f)はTE信号67を各々示したものである。また、各信号の横軸は、光ディスク8の半径方向を示し、縦軸は、各信号の大きさを示したものである。
【0055】
まず図5を用い対物レンズシフトの量が零のときの説明をする。図5(a)の信号A56と信号C58は上記したように光ビーム50の面積が等しいので、DC成分の大きさが同じである。またプッシュプル領域P51とプッシュプル領域N52の面積も等しいので、AC成分の振幅が同じで逆位相になっている。
【0056】
信号B57と信号D59は、上記したように光ビーム50の面積が等しいので、DC成分の大きさが同じである。信号A56や信号C58と比べると光ビーム50の面積が小さいため、信号B57と信号D59のDC成分の大きさは小さくなる。また信号B57と信号D59は、プッシュプル領域P51とプッシュプル領域N52の面積が同じであるため、AC成分の振幅が同じで逆位相になる。信号A56や信号C58と比べると、プッシュプル領域P51とプッシュプル領域N52の面積が各々小さいため、信号B57と信号D59のAC成分の振幅は小さい。信号A56と信号B57のAC成分は、同じプッシュプル領域P51から生成されるため同位相である。同様に、信号C58と信号D59のAC成分は、同じプッシュプル領域N52から生成されるため同位相になる。
【0057】
信号(A+B)60は、信号A56と信号B57を加算した信号であり、信号(C+D)61は、信号C58と信号D59を加算した信号である。これは、PP信号を生成する式2の構成要素である。信号(A+B)60と信号(C+D)61は、図5(b)に示すようにそれぞれDC成分が同じでありAC成分が逆位相の波形となる。
【0058】
信号(A+k×D)63は、信号A56と補正係数k倍した信号D59を加算した信号であり、信号(k×B+C)64は、補正係数k倍した信号B57と信号C58を加算した信号である。信号(A+k×D)63と信号(k×B+C)64は、AC成分が除去されるように補正係数を設定しているため、図5(c)に示すようにDC成分のみの信号となる。
【0059】
PP信号65は、信号(A+B)60と信号(C+D)61の差信号であり、図5(d)に示すようにDC成分が除去されて、AC成分が増幅された信号となる。
【0060】
LE信号66は、信号(A+k×D)63と信号(k×B+C)64の差信号であり、図5(e)に示すようにDC成分が除去された信号となる。
【0061】
TE信号67は、PP信号65とLE信号66の差信号であり、対物レンズシフトの量が零のときは、図5(f)に示すようにPP信号65と同じ信号になる。
【0062】
次に図6を用い対物レンズシフトの量がδのときの説明をする。上記したように信号A56と信号B57は対物レンズシフトの量がδあると光ビーム50の面積が減少するので、図6(a)に示すようにDC成分が小さくなる。またプッシュプル領域P51とプッシュプル領域N52の面積の変化が無いため、信号A56と信号B57のAC成分の変化は無い。
【0063】
信号C58と信号D59は、対物レンズシフトの量がδあると光ビーム50の面積が増加するので、図6(a)に示すようにDC成分の大きさが大きくなる。また、プッシュプル領域P51とプッシュプル領域N52の面積には変化が無いため、信号C58と信号D59のAC成分も変化は無い。
【0064】
信号(A+B)60は、信号A56と信号B57のDC成分が減少するので、図6(b)に示すようにDC成分が小さくなる。逆に信号(C+D)61は、信号C58と信号D59が増加するため、DC成分が大きくなる。信号(A+B)60と信号(C+D)61は、共にAC成分には変化が無い。
【0065】
信号(A+k×D)63は、信号A56のDC成分の減少より信号D59の補正係数k倍されたDC成分の増加の方が大きいため、図6(c)に示すようにDC成分が増加することになる。逆に信号(k×B+C)64は、信号C58のDC成分の増加よりも信号B57の補正係数k倍されたDC成分の減少の方が大きいため、DC成分が減少することになる。
【0066】
PP信号65は、信号(A+B)60と信号(C+D)61のDC成分に差があるため、図6(d)に示すようにオフセットが発生する。このときAC成分には変化が無い。
【0067】
LE信号66は、信号(A+k×D)63と信号(k×B+C)64のDC成分に差があるため、オフセットが発生する。
【0068】
TE信号67は、PP信号65とLE信号66のオフセットが同じになるようにkを設定することで、対物レンズシフトの量がδあっても、図6(f)に示すように図5(f)と同じ信号となる。すなわちTE信号は、対物レンズシフトしてもオフセットがない波形になると言える。
【0069】
以上説明した本実施例におけるTE信号の生成方法では、光信号生成素子9のように領域を設定することで、対物レンズシフトがあってもオフセットのないTE信号が得られる。
【0070】
次に光学ヘッド1を搭載した光学ドライブ装置70について説明する。図7は光学ドライブ装置70の概略構成のブロック図を示したものである。光学ドライブ装置70には、デバイスブロック68と回路ブロック79がある。
【0071】
まず、デバイスブロック68について説明する。デバイスブロック68には、光ディスク8がスピンドル78に固定されており、そのスピンドル78は光ディスク8を回転させる機能を有する。また光学ドライブ装置70内には、ガイドバー71があり、光学ヘッド1はそのガイドバー71に沿って、光ディスク8の所定半径位置にアクセスすることができる。
【0072】
次に回路ブロック79について説明する。パソコンなどの情報家電装置などから光学ドライブ装置70に光ディスク8の情報を再生するという指令があると、光学ドライブ装置70内のコントロール回路76にその指令が伝達される。指令を受けたコントロール回路76は、スピンドル駆動回路77を制御し、スピンドル78を駆動し光ディスク8の回転を開始する。
【0073】
次にコントロール回路76は光源制御回路75を制御し、光源2から光ビームを再生の光量で点灯させる。
【0074】
次にコントロール回路76はアクチュエータ駆動回路74を制御し、アクチュエータ7を光ディスク8の法線方向に駆動させる。光学ヘッド1の光検出器10から検出された信号は信号生成回路72に送られ、式1に従ってFE信号が生成される。コントロール回路76はそのFE信号を用い、アクチュエータ駆動回路74を制御し、光ディスク8の所定情報面へフォーカシングを行う。
【0075】
フォーカシングしたのち、コントロール回路76は信号生成回路72を制御し式2、3、4に従ってPP信号、LE信号、TE信号が生成させる。まず、コントロール回路76はPP信号のオフセットが零になるように、アクチュエータ駆動回路74を制御しアクチュエータ7を光ディスク8の半径方向に移動させる。これは対物レンズシフトに相当する。
【0076】
通常の光学ヘッドでは、組み立て誤差により、図4Aのように光ビーム50の中心と光信号生成素子9の一点鎖線20と一点鎖線21の交点を完全に一致させることは出来ない。このため、光学ドライブ装置70において、PP信号のオフセットが零になるように対物レンズシフトすることで、その組み立て誤差のうち、図4のy方向の誤差を補正することができる。
【0077】
次にコントロール回路76は、LE信号のAC成分が最小となるように補正係数調整回路69を制御し、補正係数k、kを調整する。補正係数k、kを個別に調整することで、光信号生成素子9の組み立て誤差のうち図4のz方向の誤差を補償することができる。 これは、z方向に光信号生成素子9がずれると、例えば、領域A22と領域D25にあるプッシュプル領域P51とプッシュプル領域N52の面積比が変化することになる。しかし面積比が変化したとしても補正係数を調整することで、残留するAC成分が除去できる。これは光信号生成素子9のz方向の組み立て誤差を補償することに相当する。
【0078】
次にコントロール回路76はアクチュエータ駆動回路74を制御しアクチュエータ7を光ディスク8の半径方向に周期動作させる。この時、PP信号とLE信号のオフセットをモニタし、そのオフセット量が略同じになるように補正係数調整回路69を制御し、補正係数kを調整する。
【0079】
上記の処理を行うことで、光信号生成素子9の組み立て誤差を光学ドライブ装置70で吸収することができ、良好なTE信号が得られる。
【0080】
次にコントロール回路76はアクチュエータ駆動回路74を制御し、アクチュエータ7の周期動作を停止し、得られたTE信号を用い、光ディスク8の所定トラックへトラッキングを行う。
【0081】
トラッキングしたのち、コントロール回路76は、信号生成回路72から式5に従いRF信号を生成する。このRF信号は再生性能(例えばジッタや信号振幅)が最良になるようにフォーカスや対物レンズ6のチルトなどを調整することが望ましい。
【0082】
コントロール回路76は得られたRF信号をパソコンなどの情報家電装置などに送り再生の指示を完了させる。
【0083】
上記のように光学ドライブ装置70の回路ブロック79でデバイスブロック68を制御することで、所望の再生情報を獲ることができる。
【0084】
また、コントロール回路76は必要に応じて所定の半径位置に光学ヘッド1をガイドバー71に沿って移動させる機能も有する。
【0085】
また、コントロール回路76はフロントモニタ5から得られる信号をフロントモニタ制御回路73で常にモニタし、光源2から出射される光ビームの光量が所定値になるように光源制御回路75を制御する機能も有する。
【0086】
また、コントロール回路76は光ディスクへ情報を記録する指令を受けたとき、上記再生のときと同様にトラッキングを行ったあと、光源制御回路75を駆動し、光源2から出射される光ビームの光量を制御し光ディスクへ情報を記録する機能も有する。
【0087】
光学ドライブ装置70の実施例を説明したが、信号生成回路72が搭載されていれば、これに限定されるものではない。
【0088】
以上のように、本発明によれば、光ディスクから対物レンズシフトがあってもオフセットが除去されたTE信号を生成できる光学ヘッド及び光学ドライブ装置を提供できる。
【0089】
なお光信号生成素子9は回折格子の例で説明したが、もちろん回折格子に限定されるものではなく、光ビームの領域を図と同様の目的で分割する光学素子であればなんら構わない。また、光検出器自体を本実施例の光信号生成素子と同様に分割して、上記光信号生成素子の機能を光検出器に持たせても構わない。この場合には、光信号検出素子を省くことができるので、コストを抑制することができる。
【実施例2】
【0090】
本発明における実施例2について図を用い説明する。ここでは実施例1の光検出器10の変形例について説明する。実施例2における光検出器80は、回路構成が光検出器10と異なる。光検出器80の光検出器10と異なる点について説明する。
【0091】
図8に光検出器80の概略構成図を示す。図は、図3同様光ビームスプリッタ3から光検出器80を見た図である。また、光検出器10と同じ要素については同じ符号を付与している。
【0092】
光検出器80は、光検出器10と同じ受光面から構成されている。同じ点についての説明は割愛する。
【0093】
受光面B31は、光ビームB+1を受光する受光面である。受光面B31は光量に応じた電流を発生し、電流/電圧変換素子48、分岐点85を経て端子B43から光ビームの光量に応じた電圧を信号として出力する。分岐点85は同じ信号を2本に分岐する点である。分岐点85で分岐された信号は、係数回路81を経て補正係数k倍され端子kB83から光ビームの光量に応じて補正係数k倍された電圧を信号として出力する。
【0094】
受光面D33は、光ビームD+1を受光する受光面である。受光面D33は光量に応じた電流を発生し、電流/電圧変換素子48、分岐点85を経て端子D45から光ビームの光量に応じた電圧を信号として出力する。分岐点85で分岐された信号は、係数回路82を経て補正係数k倍され端子kD84から光ビームの光量に応じて補正係数k倍された電圧を信号として出力する。
【0095】
上記のように光検出器80で式2に必要な信号(k×B)と信号(k×D)とを生成している。このように必要な信号を光検出器から出力することで、信号生成処理回路の構成を安易にすることができる。光検出器80の構成とすることで、これまでDVDやCDなどで用いられている光学ドライブ装置と互換性が取れるメリットが得られる。
【0096】
また、係数回路81、82は、各々外部から増幅比が調整できる構成にすることで、上記した光信号生成素子9の組み立て誤差のうち図4のz方向の誤差を補正することができる。
【実施例3】
【0097】
本発明における実施例3について図を用い説明する。ここでは実施例1の光学ヘッド1の変形例について説明する。実施例3における光学ヘッド91は、光学ヘッド1の光信号生成素子9と光検出器10の2個の光学部品を変更した点が異なる。
【0098】
図9は、実施例3における光学ヘッド91の概略構成図を示す図である。光学ヘッド1とは、検出レンズ92と光検出器93を搭載した点が異なる。以降異なる点のみ説明する。
【0099】
実施例1で説明したのと同様に、光ディスク8で反射した光ビームは、光ビームスプリッタ3まで到達する。光ディスク8で反射した光ビームは、光ビームスプリッタ3を反射したのち検出レンズ92を経て光検出器93の受光面にて検出される。
【0100】
検出レンズ92は入射した光ビームにy−z面135度方向の非点収差を付与する光学素子で、非点収差方式によるFE信号を生成するために配備したものである。このような光学素子は、シリンドリカルレンズなどで実現できる。
【0101】
図10に光検出器93の概略構成図を示す。図は、光ビームスプリッタ3から光検出器93を見た図である。
【0102】
光検出器93は、受光面A94、受光面Ab95、受光面B96、受光面C97、受光面Cd98、受光面D99の6個から構成されている。
【0103】
受光面A94、受光面Ab95、受光面B96、受光面C97、受光面Cd98、受光面D99は各々光量に応じた電流を発生し、各々電流/電圧変換素子48を経て端子A100、端子Ab101、端子B102、端子C103、端子Cd104、端子D105から光ビームの光量に応じた電圧を信号として出力する。
【0104】
次に光検出器93の信号から光学ドライブ装置で必要な信号を生成する演算について説明する。FE信号は式6、PP信号は式7、LE信号は式8、TE信号は式9、RF信号は式10から生成する。
FE=(A+C)−(Ab+B+Cd+D) (式6)
PP=(A+Ab+B)−(C+Cd+D) (式7)
LE=(k×B+C+Cd)−(A+Ab+k×D) (式8)
TE=PP−k×LE (式9)
RF=(A+Ab+B+C+Cd+D) (式10)
上式において、Aなどは端子A100から出力された信号に相当する。他の信号も同様である。また、下記においてAなどは信号Aなどと記すこととする。
【0105】
上記のk、k、kは補正係数であり、これらは実施例1で説明したものと同じ機能である。本実施例では、面積の小さい受光面B96、受光面D99からの信号が、面積の大きい受光面A94とAb95、受光面C97とCd98からの信号と信号強度において略同じ程度となるように補正係数k及びkを信号B、信号Dに掛けたが、これに限定されるものではなく、逆に信号(A+Ab)、信号(C+Cd)に補正係数を掛けるようにしても構わない。また、補正係数k及びkは(A+Ab+k×D)及び(k×B+C+Cd)のAC成分が零となるように設定すれば、PP信号の振幅をそのままTE信号の振幅とすることができ、TE信号振幅を減少させることなく得られるという効果を奏するが、必ずしもこれに限定されるものではない。すなわち、最終的にTE信号のオフセットが除去できていればよいので、補正係数k及びkは完全にAC成分が零になるような補正係数でなくても構わない。
【0106】
非点収差方式によるFE信号の生成は公知のため、詳細の説明は割愛する。非点収差方式によるFE信号の生成には、対角成分の差を出力することから生成できるものである。このため、式6は、対角の成分である信号(A+C)と信号(Ab+B+Cd+D)の差から構成されている。
【0107】
次に図11を用いてTE信号の生成について説明する。図11は、光検出器93と、光検出器へ入射した光ビーム110の関係を示した概略図である。図は、図10同様光ビームスプリッタ3から光検出器93を見た図である。
【0108】
光検出器93に入射する光ビームの断面を光ビーム110で図示している。この光ビーム110には、光ディスク8のトラックで発生するプッシュプルの像が発生する。このプッシュプルが発生する領域をプッシュプル領域P111とプッシュプル領域N112で図示した。プッシュプル領域P111とプッシュプル領域N112は、光ディスク8にある光スポットが半径方向に移動すると逆位相で光量が明滅する領域である。
【0109】
図中135度方向の非点収差を付与された光ビームは、図中135度を示す破線106に対して線対称な像を形成するため、実施例1の光ビーム50に比べプッシュプル領域P111が図中上側、プッシュプル領域N112が図中下側になっている。また同じ理由で一点鎖線107が光ディスク8の半径方向に相当し、一点鎖線108が光ディスク8のトラック方向に相当する方向となっている。
【0110】
また、一点鎖線107と一点鎖線108の交点は、光検出器93の中心であることを想定している。このため、光学ヘッドを組み立てるときには一点鎖線107と一点鎖線108との交点と、光検出器93へ入射する光ビーム110の中心とが一致するように光検出器93を調整すると良い。
【0111】
さて、光検出器93に入射する光ビーム110の非点収差による像の変化を鑑みれば、受光面A94と受光面Ab95を合成した領域は領域A22、受光面B96の領域は領域B23、受光面C97と受光面Cd98を合成した領域は領域C24、受光面D99の領域は領域D25に相当することが分かる。すなわち、実施例1で説明したように、光学ヘッド91から得られる信号においても安定したTE信号が生成できると言える。
【0112】
光検出器は、受光面を含むチップサイズに依存して価格が概ね決まる。光検出器93は、光検出器10と比べ光信号生成素子9により光ビームを幾何光学的に分割しないため受光面のチップサイズを小さくすることができ、部品を安価にできる効果が期待される。
【0113】
以上説明したように、光学ヘッド91では、安定したTE信号が生成でき、安価な光検出器を使用することが出来る。
【0114】
なお、図10において光検出器93は、各信号の出力を結線せずに出力する構成としたが、もちろん必要に応じて結線するなどして出力端子を新たに設けてもなんら構わない。
【実施例4】
【0115】
本発明における実施例4について図を用い説明する。ここでは実施例1の光信号生成素子9の変形例について説明する。実施例4における光信号生成素子120は、領域の分割が光信号生成素子9と異なる。以降、光信号生成素子120の光信号生成素子9と異なる点について説明する。
【0116】
図12に光信号生成素子120の概略構成図を示す。図は、図3同様光ビームスプリッタ3から光信号生成素子120を見た図である。また、図4Aと同じように光信号生成素子120に入射する光ビーム50を図示している。また、一点鎖線20は、光ディスク8の半径方向、一点鎖線21はトラック方向に相当する。また、一点鎖線20と一点鎖線21の交点は、信号生成素子120の中心であることを想定している。
【0117】
すなわち、光学ヘッド1を組み立てるときには、一点鎖線20と一点鎖線21の交点と、信号生成素子120へ入射する光ビーム50の中心とを一致させるように信号生成素子120をy、z方向に調整することが望ましい。
【0118】
さて、光信号生成素子120は、TE信号を生成するために入射した光ビームを所定の領域毎に光ビームを分割するものであり、ここでは、領域毎に格子溝の設定が異なる回折格子を想定した例で説明する。もちろん回折格子に限定されるものではない。
【0119】
各領域に入射した光ビームは各々±1次回折光ビームに分割される。光信号生成素子120は、領域A121、領域B122、領域C123、領域D124の4個の領域から構成されている。
【0120】
領域A121、領域B122と領域C123、領域D124とは一点鎖線21でy方向に分割させる。
【0121】
また、領域A121、領域C123と領域B122、領域D124は、一点鎖線20と平行な線でz方向に分割させる。上下の境界は、一点鎖線20とは所定量だけ図中下側へ平行にオフセットさせる。もちろん、図中上側にオフセットさせても良い。
【0122】
光信号生成素子120は、図12で示したように領域C123と領域D124とを図中上下方向に反転させた点が光信号生成素子9と異なる。
【0123】
領域A121で分割された光ビームから生成される信号を信号A、領域B122で分割された光ビームから生成される信号を信号B、領域C123で分割された光ビームから生成される信号を信号C、領域D124で分割された光ビームから生成される信号を信号Dとすれば、PP信号、LE信号、TE信号は前記した式2、式3、式4から各々生成できる。領域分割のとり方は異なるものの実施例1で説明したのと同様のメカニズムでオフセットの無い良好なTE信号が生成することができる。
【0124】
さて、光信号生成素子120は分割した領域に対称性があるため、図中上下に光信号生成素子120がずれた場合であっても、領域A121と領域D124および領域B122と領域C123にあるプッシュプル領域P51とプッシュプル領域N52の面積比の関係が維持される。このため、式3の補正係数kと補正係数kを統一することが可能となる。つまり実施例1で説明したように光学ドライブ装置において、補正係数kと補正係数kとを個別に調整する必要が無いため、光学ドライブ装置のセットアップ時間を短縮することができる。
【0125】
以上説明したように、光信号生成素子120を用いる場合、光信号生成素子9を用いる場合と同様に安定したTE信号が生成でき、光信号生成素子9を用いる場合よりも光学ドライブ装置のセットアップ時間を短縮することができる。
【0126】
なお、光信号生成素子120を用いた場合の光検出器は光検出器10とはFEを生成する受光面の信号出力構成が異なるため、ナイフエッジ方式による原理に基づき結線の仕方を変更することで実現できる。
【実施例5】
【0127】
本発明における実施例5について図を用い説明する。ここでも実施例1の光信号生成素子9の変形例について説明する。実施例5における光信号生成素子130は、領域の分割が光信号生成素子9と異なる。以降、光信号生成素子130の光信号生成素子9と異なる点について説明する。
【0128】
図13に光信号生成素子130の概略構成図を示す。図は、図3同様光ビームスプリッタ3から光信号生成素子130を見た図である。また、図4Aと同じように光信号生成素子130に入射する光ビーム50を図示している。また、一点鎖線20は、光ディスク8の半径方向、一点鎖線21はトラック方向に相当する。また、一点鎖線20と一点鎖線21の交点は、信号生成素子130の中心であることを想定している。
【0129】
すなわち、光学ヘッド1を組み立てるときには、一点鎖線20と一点鎖線21の交点と、信号生成素子130へ入射する光ビーム50の中心とを一致させるように信号生成素子130をy、z方向に調整することが望ましい。
【0130】
さて、光信号生成素子130は、TE信号を生成するために入射した光ビームを領域毎に光ビームを分割するものであり、ここでは、領域毎に格子溝の設定が異なる回折格子を想定した例で説明する。もちろん回折格子に限定されるものではない。
【0131】
各領域に入射した光ビームは各々±1次回折光ビームに分割される。光信号生成素子130は、領域A131、領域Be132、領域Bf133、領域Ce135、領域Cf136、領域D134の6個の領域から構成されている。
【0132】
領域A121、領域Be132、領域Bf133と領域Ce135、領域Cf136、領域D124とは一点鎖線21でy方向に分割させる。
【0133】
また、領域A131、領域D134と領域Be132、領域Ce135とは一点鎖線20と平行な線でz方向に分割させる。その上下の境界は、一点鎖線20とは所定量だけ図中上側へ平行にオフセットさせる。
【0134】
また、領域A131、領域D134と領域Bf133、領域Cf136とは一点鎖線20と平行な線でz方向に分割させる。その上下の境界は、一点鎖線20とは所定量だけ図中下側へ平行にオフセットさせる。
【0135】
光信号生成素子130は、光信号生成素子9とは領域の分割を4個から6個にした点が異なる。
【0136】
さて、領域A131で分割された光ビームから生成される信号を信号A、領域Be132で分割された光ビームから生成される信号を信号Be、領域Bf133で分割された光ビームから生成される信号を信号Bf、領域Ce135で分割された光ビームから生成される信号を信号Ce、領域Cf136で分割された光ビームから生成される信号を信号Cf、領域D134で分割された光ビームから生成される信号を信号Dとすると、PP信号は式11、LE信号は式12、TE信号は式13から生成することができる。
PP=(A+Be+Bf)−(Ce+Cf+D) (式11)
LE=(k×(Be+Bf)+D)−(A+k×(Ce+Cf)) (式12)
TE=PP−k×LE (式13)
上式において、Aなどは信号Aに相当する。信号Aと信号Beと信号Bfは、光信号生成素子9の領域A22と領域B23に相当する領域であり、信号Ceと信号Cfと信号Dは、光信号生成素子9の領域C24と領域D25に相当する領域であるため、式11のPP信号は式2と同じ信号になる。
【0137】
また、LE信号は、信号Aと補正係数倍した信号Ceと信号Cfの加算信号が要素の1個である。AC成分が逆位相である点を鑑み、領域A131にあるプッシュプル領域P51の面積と、領域Ce135と領域Cf136にあるプッシュプル領域N52の面積とが等しくなるように補正係数kを設定することで、信号(A+k×(Ce+Cf))のAC成分を除去することができる。
【0138】
また、LE信号は、信号Dと補正係数倍した信号Beと信号Bfの加算信号も要素の1個である。AC成分が逆位相である点を鑑み、領域D134にあるプッシュプル領域N52の面積と、領域Be132と領域Bf133にあるプッシュプル領域P51の面積とが等しくなるように補正係数kを設定することで、信号(k×(Be+Bf)+D)のAC成分を除去することができる。図からわかるように補正係数は同じ値となる。つまりLE信号は、実施例1と同様AC成分のない信号が得られることが分かる。すなわち実施例1で説明したのと同様のメカニズムでオフセットの無い良好なTE信号が生成することができる。
【0139】
また、光信号生成素子130の領域は光信号生成素子120同様対称性があるため、式12のように1個の補正係数kのみで良い。このため、光信号生成素子130においても光学ドライブ装置のセットアップ時間を短縮できる。
【0140】
以上説明したように、光信号生成素子130を用いる場合、安定したTE信号が生成でき、光学ドライブ装置のセットアップ時間を短縮することができる。
【0141】
なお、光信号生成素子130を用いた場合の光検出器は光検出器10とは受光面の信号出力構成が異なるため、少なくともTE信号を生成するため式11、式12、式13に必要な信号を出力できるような光検出器に変更すると良い。
【実施例6】
【0142】
本発明における実施例6について図を用い説明する。ここでは実施例4の光信号生成素子120の変形例について説明する。
【0143】
光ディスクを反射した光ビームのプッシュプル領域Pとプッシュプル領域Nの面積は、光ディスクのトラック間隔に依存しているものである。このため、実施例6では、トラック間隔の広い光ディスクに対応した光信号生成素子140について説明する。なおトラック間隔の広い光ディスクとは、例えば、CDやDVD−RAMなどである。
【0144】
図14に光信号生成素子140の概略構成図を示す。図は、図3同様光ビームスプリッタ3から光信号生成素子140を見た図である。また、光信号生成素子140に入射するトラック間隔の広い光ディスクから反射した光ビーム146を図示している。また、一点鎖線20は、光ディスクの半径方向、一点鎖線21はトラック方向に相当する。また、一点鎖線20と一点鎖線21の交点は、信号生成素子140の中心であることを想定している。
【0145】
すなわち、光学ヘッド1に組み立てるときには、一点鎖線20と一点鎖線21の交点と、信号生成素子140へ入射する光ビーム146の中心とを一致させるように信号生成素子140をy、z方向に調整することが望ましい。
【0146】
なお、前記したようにトラック間隔の広い光ディスクにおいては、光ビーム146で示したようにプッシュプル領域P147とプッシュプル領域N148の面積が光ビーム50と比べ大きくなる。
【0147】
さて、光信号生成素子140は、TE信号を生成するために入射した光ビームを領域毎に光ビームを分割するものであり、ここでは、領域毎に格子溝の設定が異なる回折格子を想定した例で説明する。もちろん回折格子に限定されるものではない。
【0148】
各領域に入射した光ビームは各々±1次回折光ビームに分割される。光信号生成素子140は、領域A141、領域B142、領域C143、領域D144、領域E145の5個の領域から構成されている。光信号生成素子120との違いは、領域E145を設けた点である。
【0149】
光信号生成素子140では、図のように一転鎖線21を含む領域E145を設けている。また、領域A141、領域C143と領域B142、領域D144は、一点鎖線20と平行な線でz方向に分割させる。上下の境界は、一点鎖線20とは所定量だけ図中下側へ平行にオフセットさせる。
【0150】
ここで、領域A141で分割された光ビームから生成される信号を信号A、領域B142で分割された光ビームから生成される信号を信号B、領域C143で分割された光ビームから生成される信号を信号C、領域D144で分割された光ビームから生成される信号を信号Dとすれば、前記した式2、式3、式4からPP信号、LE信号、TE信号を生成すれば、実施例1で説明したのと同様のメカニズムでオフセットの無い良好なTE信号が生成することができる。
【0151】
対物レンズシフトしたとき光ビーム146は図中y方向に移動する。領域E145を設けたことで、領域A141にプッシュプル領域N148が対物レンズシフトしても入射しないようにしている。これは、対物レンズシフトしたときのTE信号の性能が確保されるように工夫した点である。
【0152】
また、同様の目的で、図15に示すような光信号生成素子150のような構成であっても良い。領域E145のように一点鎖線21と平行な方向に完全に分離せず、領域E155のように一部に設けても同じ効果が得られる。
【0153】
また、領域E145や領域E155の光ビームはRF信号を生成するため、光検出器は、領域E145や領域E155の光ビームを受光する受光面を設けるようにすることが望ましい。
【0154】
次に光信号生成素子140を用いたときに得られるTE信号の性能について説明する。
【0155】
図16はDVD−RとDVD−RAMから得られるTE信号振幅の対物レンズシフト特性をシミュレーションしたグラフである。
【0156】
横軸は、対物レンズシフトの量で、縦軸はTE信号の振幅であり、その振幅は対物レンズシフトの量が零のときで規格化したものである。
【0157】
DVDの規格では、DVD−Rはトラックピッチが0.74μm、DVD−RAMはトラックピッチが1.23μmである。DVD−Rはトラックピッチが狭い光ディスクであり、DVD−RAMはトラックピッチが広い光ディスクとして知られている。
【0158】
シミュレーションの条件は、光源の波長が660nm、対物レンズの有効直径が2.8mm、NAが0.65、光信号生成素子140の領域E145の図中横幅は入射する光ビームの有効径の16%、領域A141と領域B142の境界と一点鎖線20のオフセット量を入射する光ビームの有効径の20%とした。
【0159】
有効直径2.8mmの対物レンズはノートパソコンに用いられる薄型の光学ヘッドで一般的に用いられているものを想定したものである。また、領域E145の幅は対物レンズシフトの量が±0.45mmしたときであっても性能が確保されるように設定したものである。対物レンズの有効直径である2.8mmと対物レンズシフト量0.45mmの比が約16%に相当する。
【0160】
上記の境界のオフセット量は、対物レンズの有効径の5〜35%程度の範囲であれば良く、一例に20%の結果で説明する。
【0161】
図16のグラフでは、破線170がDVD−Rの特性を示し、実線171がDVD−RAMの特性を示している。どちらも対物レンズシフトの量が±0.45mmの範囲で振幅が0.6ないし1.2の範囲にあることが分かる。通常の光学ドライブ装置では、対物レンズシフトの量が±0.3mmの範囲で振幅が0.6ないし1.2の範囲にあれば良い。このため、十分広い対物レンズシフトの範囲で良好な性能が得られているといえる。
【0162】
図17はDVD−RとDVD−RAMから得られるオフトラック量の対物レンズシフト特性をシミュレーションしたグラフである。図17は図16と同じ条件でシミュレーションした結果である。オフトラック量とは、TE信号の振幅中心とトラック位置の誤差を示したものであり、対物レンズシフトしたときの残留オフセット量の指標である。
【0163】
横軸は、対物レンズシフトの量で、縦軸はオフトラック量をトラックピッチで規格化したものである。破線180がDVD−Rの特性を示し、実線181がDVD−RAMの特性を示している。
【0164】
グラフよりどちらも対物レンズシフトの量が±0.45mmの範囲でオフトラック量が±0.1の範囲にあることが分かる。通常の光学ドライブ装置では、レンズシフトの量が±0.3mmの範囲でオフトラック量が±0.1の範囲にあれば良い。このため、十分広い対物レンズシフトの範囲で良好な性能が得られているといえる。
【0165】
以上説明したように、領域E145を設けた光信号生成素子140を用いることで、トラックピッチの狭い、広いに関わらず、良好なTE信号が得られる。
【0166】
以上説明したように、本発明の光学ドライブ装置では、図4、図11及び図12に記載されているように、本願の光学ヘッドは、光ビームを出射する光源2と、前記光ビームを光ディスクへ集光する対物レンズ6と、前記光ディスクを反射した前記光ビームを、前記光ディスクの半径方向に伸びる分割線と、前記光ディスクのトラック方向に伸びる分割線とによって、少なくとも4つの領域に分割する光信号生成素子9と、この光信号生成素子9によって分割された光ビームを受光する光検出器10とを備えており、光信号生成素子9は、光ディスクの半径方向に伸びた分割線によってトラック方向に分割された領域の面積が異なっている。
ここで上記4つの領域とは、光ビームA+1、光ビームB+1、光ビームC+1、光ビームD+1を受光する領域、すなわち領域A30、領域B31、領域C32、領域D33である。この4個の光ビームは、上下または左右の面積が異なっている。例えば、光信号生成素子9の上下の面積、すなわち領域A22と領域B23の面積が異なっている。また、例えば光領域生成素子120の上下の面積、すなわち領域A121と領域B122の面積がことなっている。また、光信号生成素子9の左右の面積、すなわち領域A22と領域D25の面積が異なっている。
【0167】
また、図4及び図11の光学ヘッドは、上記4つの領域が、該4つの領域の中心点に対して点対称に配置されている光信号生成素子を備えている。図4における中心点は一点鎖線20と一点鎖線21の交点であり、図11における中心点は一点鎖線107と一点鎖線108の交点である。
【0168】
また、図12の光学ヘッドは、上記4つの領域が、前記トラック方向に伸びる4つの領域の中心線21に対して線対称に配置されている光信号生成素子を備えている。
【0169】
また、図11の光学ヘッドは、光ディスクの半径方向に3分割されており、かつ前記光ディスクのトラック方向に2分割されている光信号生成素子を備えている。
【0170】
また、図13の光学ヘッドは、光ディスクの半径に伸びる2本の略平行な分割線によって前記光ディスクのトラック方向に3分割されており、かつ前記光ディスクの半径方向に2分割されている光信号生成素子を備えている。
【0171】
また、図14及び15の光学ヘッドは、4つの領域のうちのトラック方法に伸びる分割線を挟む少なくとも2つの領域の間に第五の領域として領域E145、155を有している。
【0172】
また、図14及び15の光学ヘッドは、光ディスクのトラック方向に伸びる分割線の延長線と、光ディスクの半径方向に伸びる中心線の延長線との交点を含む領域に第五の領域として領域E145、155を有している。
【0173】
以下、これらの素子からの信号を用いた演算について説明する。
【0174】
図4の光学ヘッドは、4つの領域のうちの2つの領域であってトラック方法に伸びる分割線を挟む2つの領域A22、B23からの信号を用いた和信号を第一の和信号とし、2つの領域A22、B23と中心点に対して点対称な位置に配置された2つの領域D25, C24からの信号を用いた和信号を第二の和信号とし、第一の和信号と第二の和信号を少なくとも使用してトラッキング制御信号を生成する。さらに、この第一の和信号は、4つの領域のうちの2つの領域であってトラック方向に伸びる分割線を挟む2つの領域からの信号の一方に第一の補正係数を掛けたものと他方の信号との和信号(A+k×D)であり、第二の和信号は、第一の和信号の生成に使用した2つの領域と中心点に対して点対称な位置に配置された2つの領域からの信号の一方に第二の補正係数を掛けたものと他方の信号との和信号(k×B+C)である。
【0175】
図12の光学ヘッドは、4つの領域のうちの2つの領域であってトラック方法に伸びる分割線を挟む領域であって対角線上に位置する2つの領域A121、D124からの信号を用いた和信号を第一の和信号とし、対角線とは異なる対角線上に位置する2つの領域B122、C120からの信号を用いた和信号を第二の和信号とし、第一の和信号と第二の和信号とを少なくとも使用してトラッキング制御信号を生成する。
【0176】
また、この第一の和信号は、4つの領域のうちの2つの領域であってトラック方法に伸びる分割線を挟む領域であって対角線上に位置する2つの領域からの信号の一方に補正係数を掛けたものと他方の信号との和信号(A+k×D)であり、第二の和信号は、上記対角線とは異なる対角線上に位置する2つの領域からの信号の一方に補正係数を掛けたものと他方の信号との和信号(k×B+C)である。
【0177】
図14及び15の光学ヘッドは、第五の領域である領域Eからの信号を用いずに、上記4つの領域からの信号を用いてトラッキング信号を生成する。
【0178】
また、トラックエラー信号は、プッシュプル領域からのPP信号と、差信号に補正係数を掛けたものとの差信号を少なくとも使用することにより生成される。
【0179】
また、上記いずれの実施例における光信号生成素子も、必ずしも独立して構成される必要はなく、光検出器の一部として構成されていてもよい。即ち、各実施例において光信号生成素子を備える必要はなく、同様の機能を光検出器が果たせばよい。これにより、光信号生成素子を省略することができ、コストを削減することができる。
【0180】
また、上記いずれかの光学ヘッドを備えることにより、安価な構成でオフセットが発生しないトラッキングエラー信号が生成可能な光学ドライブ装置を実現する手段を提供することができる。
【符号の説明】
【0181】
1・・・光学ヘッド
2・・・光源
3・・・ビームスプリッタ
4・・・コリメートレンズ
5・・・フロントモニタ
6・・・対物レンズ
7・・・アクチュエータ
8・・・光ディスク
9・・・光信号生成素子
10・・・光検出器
48・・・電流/電圧変換素子
49・・・結合点
50・・・光ビーム
51・・・プッシュプル領域P
52・・・プッシュプル領域N
68・・・デバイスブロック
70・・・光学ドライブ装置
71・・・ガイドバー
72・・・信号生成回路
73・・・フロントモニタ制御回路
74・・・アクチュエータ駆動回路
75・・・光源制御回路
76・・・コントロール回路
77・・・スピンドルモータ駆動回路
78・・・スピンドルモータ
79・・・回路ブロック
92・・・検出レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを出射する光源と、
前記光ビームを光ディスクへ集光する対物レンズと、
前記光ディスクを反射した前記光ビームを、前記光ディスクの半径方向に伸びる分割線と、前記光ディスクのトラック方向に伸びる分割線とによって、少なくとも4つの領域に分割する光信号生成素子と、
前記光信号生成素子によって分割された光ビームを受光する光検出器と、
を備え、
前記光信号生成素子は、前記光ディスクの半径方向に伸びた分割線によって前記トラック方向に分割された領域の面積が異なることを特徴とする光学ヘッド。
【請求項2】
請求項1記載の光学ヘッドであって、
前記4つの領域は、該4つの領域の中心点に対して点対称に配置されていることを特徴とする光学ヘッド。
【請求項3】
請求項1記載の光学ヘッドであって、
前記4つの領域は、前記トラック方向に伸びる前記4つの領域の中心線に対して線対称に配置されていることを特徴とする光学ヘッド。
【請求項4】
請求項2記載の光学ヘッドであって、
前記光信号生成素子は、前記光ディスクの半径方向に3分割されており、かつ前記光ディスクのトラック方向に2分割されていることを特徴とする光学ヘッド。
【請求項5】
請求項2記載の光学ヘッドであって、
前記光信号生成素子は、前記光ディスクの半径に伸びる2本の略平行な分割線によって前記光ディスクのトラック方向に3分割されており、かつ前記光ディスクの半径方向に2分割されていることを特徴とする光学ヘッド。
【請求項6】
請求項3記載の光学ヘッドであって、
更に、前記4つの領域のうちのトラック方法に伸びる分割線を挟む少なくとも2つの領域の間に第五の領域を有することを特徴とする光学ヘッド。
【請求項7】
請求項3記載の光学ヘッドであって、
更に、前記光ディスクのトラック方向に伸びる分割線の延長線と、前記光ディスクの半径方向に伸びる中心線の延長線との交点を含む領域に第五の領域を有することを特徴とする光学ヘッド。
【請求項8】
請求項2記載の光学ヘッドであって、
前記4つの領域のうちの2つの領域であってトラック方法に伸びる分割線を挟む2つの領域からの信号を用いた和信号を第一の和信号とし、
前記2つの領域と前記中心点に対して点対称な位置に配置された2つの領域からの信号を用いた和信号を第二の和信号とし、
前記第一の和信号と前記第二の和信号を少なくとも使用してトラッキング制御信号を生成することを特徴とする光学ヘッド。
【請求項9】
請求項8に記載の光学ヘッドであって、
前記第一の和信号は、前記4つの領域のうちの2つの領域であってトラック方向に伸びる分割線を挟む2つの領域からの信号の一方に第一の補正係数を掛けたものと、他方の信号との和信号であり、
前記第二の和信号は、前記第一の和信号の生成に使用した2つの領域と前記中心点に対して点対称な位置に配置された2つの領域からの信号の一方に第二の補正係数を掛けたものと、他方の信号との和信号であることを特徴とする光学ヘッド。
【請求項10】
請求項3又は6又は7に記載の光学ヘッドであって、
前記4つの領域のうちの2つの領域であってトラック方法に伸びる分割線を挟む領域であって対角線上に位置する2つの領域からの信号を用いた和信号を第一の和信号とし、
前記対角線とは異なる対角線上に位置する2つの領域からの信号を用いた和信号を第二の和信号とし、
前記第一の和信号と前記第二の和信号とを少なくとも使用してトラッキング制御信号を生成することを特徴とする光学ヘッド。
【請求項11】
請求項3又は6又は7記載の光学ヘッドであって、
前記第一の和信号は、前記4つの領域のうちの2つの領域であってトラック方法に伸びる分割線を挟む領域であって対角線上に位置する2つの領域からの信号の一方に補正係数を掛けたものと、他方の信号との和信号であり、
前記第二の和信号は、前記対角線とは異なる対角線上に位置する2つの領域からの信号の一方に補正係数を掛けたものと、他方の信号との和信号であることを特徴とする光学ヘッド。
【請求項12】
請求項9又は10記載の光学ヘッドであって、
前記トラッキング信号は、第五の領域からの信号を用いずに生成されることを特徴とする光学ヘッド。
【請求項13】
請求項9又は11記載の光学ヘッドであって、
前記プッシュプル領域からのプッシュプル信号と、前記差信号に補正係数を掛けたものとの差信号を少なくとも使用することによりトラックエラー信号を生成することを特徴とする光学ヘッド。
【請求項14】
請求項1記載の光学ヘッドであって、
前記光信号生成素子は、前記光検出器の一部として構成されていることを特徴とする光ピック。
【請求項15】
請求項1乃至14記載の光学ヘッドを備えることを特徴とする光学ドライブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(A)】
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【図4(B)】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−238367(P2012−238367A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107840(P2011−107840)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000153535)株式会社日立メディアエレクトロニクス (452)
【Fターム(参考)】