説明

光学ユニットおよび撮像装置

【課題】3群構成の被写界深度が長いという利点を持ちつつも、MTFが高く、小型で明るい固定焦点のカメラに最適なレンズ素子を実現することが可能な光学ユニットおよび撮像装置を提供する。
【解決手段】光学ユニット100は、物体側から像面側に向かって順番に配置された、第1レンズ群110と、第2レンズ群120と、第3レンズ群130を有し、第1レンズ群110は、物体側から像面側に向かって順番に配置された、第1レンズエレメント111と、第1透明体112と、第2レンズエレメント113と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像機器に適用される光学ユニットおよび撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話やパーソナルコンピュータ(PC)等に搭載される撮像機器には、高解像度・ローコスト・小型化が強く求められている。
【0003】
CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子のセルピッチが劇的に小さくなり、光学系には通常光学系よりも光学収差、特に軸上色収差を抑えた高い結像性能が要求される。
また、価格要求に対して、ウエハー状にレンズを形成しコストを削減するという技術が知られている。
【0004】
これらの例としては、代表的なものに特許文献1に開示された技術が知られている。
ここで開示されているものは、ハイブリッド(HYBRID)方式と呼ばれる。
ハイブリッド方式では、ウエハー状のガラス板に多数個のレンズを形成すること、また、撮像素子ウエハーとこのレンズ素子をウエハー状態で張り合わせ、次に個片化して、同時に多数個のカメラモジュールを作製する。
【0005】
また、携帯電話やPC等に搭載される撮像機器に用いられる一般的な撮像レンズとしては、たとえば特許文献2に開示された技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US2006/0044450A1
【特許文献2】特開2008-134411号公報
【特許文献3】特開2007-1219079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したハイブリッド方式の利点は、ガラスウエハーにIRカットフィルタや絞りを形成することができ、従来のようにこれら別部品が不必要なこと、また、同時に多数個の完成品ができるので、1個あたりの組立工数が少なく、安価にできることである。
前者においては、別付けIRカットフィルタが不要なためレンズのバックフォーカスが短くてよいという利点もある。そのためより自由度の高い光学設計が可能である。
CIF,VGA等については撮像エリアが小さく、そのことにより、ウエハー状に多数形成されたレンズ素子のフォーカス位置のばらつきが、大きく問題とならず、有利である。
【0008】
ところが、上記ハイブリッド方式の不利な点は、3Mピクセル以上の高画素になってくると、撮像エリアが大きくなり、そのことにより上記レンズ素子のフォーカス位置のばらつきが大きくなる。その結果、撮像素子とレンズ素子をウエハー状態で張り合わされた場合、デフォーカスの不良が多発して、安価に作るという最初の目的が果たせなくなる。
【0009】
特許文献2に開示されたレンズの利点は、3枚構成で非球面を多用することで高い結像性能を得ていることと、レンズ投射形状が、円形状をしているために、スクリューバレル等に入れ、フォーカス調整をしやすいことである。
しかしながら、このレンズは、別部品としてIRカットフィルタが必要であり、また絞り等が別部品であるために、部品点数が多いという不利益がある。
【0010】
色収差が大きく性能的に限界があることが知られている。さらにここでの例を含め3群構成の小型レンズ素子は、第2レンズが大きくベンディングしており、それに伴い、ARコートが正確に蒸着できない、ゴーストの要因になりやすい等の不利益もある。
また、本例も含め、第3レンズが大きく球面形状から逸脱しており、それにより収差補正に限界が生じ、Fnoが2.4より明るくするのが難しい。
【0011】
また、4群構成の例としては、たとえば代表的なものに特許文献3に開示された技術が知られている。
この構成は、現在オートフォーカス付き(AF)のカメラモジュールで非常に広く採用されているが、被写界深度が短く、固定焦点(FF)の光学ユニットには向かない。
【0012】
図1は、現状の3群3枚レンズで1/4サイズ用レンズユニットを設計した場合の典型的なMTF特性を示す図である。
図2は、現状の4群4枚レンズで1/4サイズ用レンズユニットを設計した場合の典型的なMTF特性を示す図である。
【0013】
ここで示すように、前者はピークのMTFは低いが、フォーカス特性が非常になだらかでMTFが0になるフォーカスの範囲が100μmもある。
反面後者はピークのMTFは高いが、フォーカス特性が非常に急峻で、MTFが0になるフォーカスの範囲が50μmほどしかない。
前者はFFモジュールに最適で、後者はAFモジュールに最適である。
【0014】
現状の光学系の問題点は、光学特性を上げるために3群から4群にすると被写界深度が短くなるためFFに向かなくなることである。したがって、現在MTFが高く、明るく、被写界深度の長いFFに最適な光学解は存在しない。
【0015】
本発明は、3群構成の被写界深度が長いという利点を持ちつつも、MTFが高く、小型で明るい固定焦点のカメラに最適なレンズ素子を実現することが可能な光学ユニットおよび撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の観点の光学ユニットは、物体側から像面側に向かって順番に配置された、第1レンズ群と、第2レンズ群と、第3レンズ群と、を有し、上記第1レンズ群が、物体側から像面側に向かって順番に配置された、第1レンズエレメントと、第1透明体と、第2レンズエレメントと、を含む。
好適には、上記第1レンズエレメントと上記第2レンズエレメントがダブレットレンズを形成している。
【0017】
本発明の第2の観点の撮像装置は、撮像素子と、撮像素子に被写体像を結像する光学ユニットと、を有し、上記光学ユニットは、物体側から像面側に向かって順番に配置された、第1レンズ群と、第2レンズ群と、第3レンズ群と、を含み、上記第1レンズ群が、物体側から像面側に向かって順番に配置された、第1レンズエレメントと、第1透明体と、第2レンズエレメントと、を含む。
【0018】
本発明の第3の観点の撮像装置は、撮像素子と、撮像素子に被写体像を結像する光学ユニットと、を有し、上記光学ユニットは、物体側から像面側に向かって順番に配置された、第1レンズ群と、第2レンズ群と、第3レンズ群と、を含み、上記第1レンズ群が、物体側から像面側に向かって順番に配置された、第1レンズエレメントと、透明体と、第2レンズエレメントと、を含み、上記第1レンズエレメントと上記第2レンズエレメントがダブレットレンズを形成している。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、3群構成の被写界深度が長いという利点を持ちつつも、MTFが高く、小型で明るい固定焦点のカメラに最適なレンズ素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】現状の3群3枚レンズで1/4サイズ用レンズユニットを設計した場合の典型的なMTF特性を示す図である。
【図2】現状の4群4枚レンズで1/4サイズ用レンズユニットを設計した場合の典型的なMTF特性を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る撮像レンズの構成例を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る撮像レンズの各レンズ群を構成する各レンズ、基板、並びに撮像部を構成するカバーガラスに対して付与した面番号を示す図である。
【図5】実施例1において、球面収差、非点収差、および歪曲収差を示す収差図である。
【図6】実施例1の80lps/mmで見た、軸上から7割像高までのMTFのデフォーカス特性を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る撮像レンズの構成例を示す図である。
【図8】第2の実施形態に係る撮像レンズの各レンズ群を構成する各レンズ、基板、並びに撮像部を構成するカバーガラスに対して付与した面番号を示す図である。
【図9】実施例2において、球面収差、非点収差、および歪曲収差を示す収差図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る撮像レンズの構成例を示す図である。
【図11】第3の実施形態に係る撮像レンズの各レンズ群を構成する各レンズ、基板、並びに撮像部を構成するカバーガラスに対して付与した面番号を示す図である。
【図12】実施例3において、球面収差、非点収差、および歪曲収差を示す収差図である。
【図13】本発明の第4の実施形態に係る撮像レンズの構成例を示す図である。
【図14】実施例4において、球面収差、非点収差、および歪曲収差を示す収差図である。
【図15】実施例4の80lps/mmで見た、軸上から7割像高までのMTFのデフォーカス特性を示す図である。
【図16】本発明の第5の実施形態に係る撮像レンズの構成例を示す図である。
【図17】第5の実施形態に係る撮像レンズの各レンズ群を構成する各レンズ、基板、並びに撮像部を構成するカバーガラスに対して付与した面番号を示す図である。
【図18】実施例5において、球面収差、非点収差、および歪曲収差を示す収差図である。
【図19】本発明の第6の実施形態に係るウエハーレベルオプティクスを概念的に示す図である。
【図20】本実施形態に係る撮像レンズが採用される撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を添付図面に関連付けて説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施形態(光学ユニットを採用した撮像レンズの第1の構成例)
2.第2の実施形態(光学ユニットを採用した撮像レンズの第2の構成例)
3.第3の実施形態(光学ユニットを採用した撮像レンズの第3の構成例)
4.第4の実施形態(光学ユニットを採用した撮像レンズの第4の構成例)
5.第5の実施形態(光学ユニットを採用した撮像レンズの第5の構成例)
6.第6の実施形態(ウエハオプトの概念)
7.第7の実施形態(撮像装置の構成例)
【0022】
<1.第1の実施形態>
図3は、本発明の第1の実施形態に係る光学ユニットを採用した撮像レンズの構成例を示す図である。
【0023】
本第1の実施形態の撮像レンズ100は、図3に示すように、物体側OBJSから像面側に向かって順番に配置された、第1レンズ群110、第2レンズ群120、第3レンズ群130、および像面140を有する。
この撮像レンズ100は、単焦点レンズとして形成されている。そして、第1レンズ群110、第2レンズ群120、および第2レンズ群130により光学ユニットが形成される。
【0024】
第1の実施形態においては、第1レンズ群110は、透明体を挟んで配置された複数のレンズエレメントを含む接合体により形成されている。
第2レンズ群120は、ひとつの第3レンズエレメントのみで形成されている。
第3レンズ群130は、ひとつの第4レンズエレメントのみで形成されている。
【0025】
具体的には、第1レンズ群110は、ガラス基板上にレプリカレンズを上下に形成されている。
第1レンズ群110は、物体側OBJSから像面130側に向かって順番に配置された、第1レンズエレメント111、第1透明体112、および第2レンズエレメント113を含む接合体により形成されている。
ここで、第1レンズエレメント111は凸平形状でアッベ数が大きく、透明体(ガラス基板)112は、安価に製造するためにショット社のBK7相当のガラス板が使われ、第2レンズエレメント113は平凹レンズが形成される。
本第1の実施形態において、第1レンズエレメント111のアッベ数はたとえば57.3に設定され、第2レンズエレメント113のアッベ数は30に設定される。
また、絞りはガラス基板の物体側にクロム膜等の透過がほとんど無い物質をあらかじめ付けて実現される。
同様に、IRカットフィルタもガラス基板上に蒸着によってあらかじめ付着される。
これらのことにより、第1レンズ群110の中で色収差が補正され、また、全体の収差がとりやすいような構造もとることができる。
全体としては強い正のパワーを持ち、光学長が短くなることに大きく寄与する。
【0026】
第2レンズ群120は、第3レンズエレメント121のみで形成されている。
具体的には、第2レンズ群120は、たとえばアッベ数31のガラスモールドにより形成され、大きくベンディングしないで正のパワーを持つのが特徴である。
これは、特に第1レンズ群110と第3レンズ群130が収差補正に大きく寄与するために、第2レンズ群120がベンディングする必要がなくなったためである。
大きくベンディングしないために、ARコートが正確に施すことができ、ゴーストやフレアが出にくい。
プラスチックモールドレンズのみならず、ガラスモールドレンズや、インジェクションモールドの高耐熱レンズを使うことができる。
【0027】
第3レンズ群130は、第4レンズエレメント141のみで形成されている。
具体的には、第3レンズ群130はポリカーボネイトを材料とするプラスチックモールドレンズ、もしくは、耐熱性の樹脂により構成され、大きな負のパワーを持ち、入射面が大きく物体側にベンディングする。
この曲率中心が絞り近傍に来るために、非点収差とコマ収差を良く補正する。
また、形状が大きく球面形状からずれないために、像高による入射NAに対する非点収差の変化が少なく、明るいレンズが実現できる。
また、出射側面もおおよそ物体側にベンディングして、像側に凸形状を向けた形状になっており、ゴーストが出にくい構造になっている。
また、外周部に至るまでイメージャへの光線入射角が低く抑えられて、カメラの特性として望ましい性能が得られる。
これらのことにより、光学全長が短く、明るいレンズを実現されている。
【0028】
このように、第1レンズ群110は、レンズエレメントと透明体との接合体により形成され、第2レンズ群120および第3レンズ群130はレンズエレメントのみにより形成される。
したがって、撮像レンズ100は、全体としてレンズ面は、第1面L1S1、第2面L1S2、第3面L2S1、第4面L2S2、第5面L3S1、および第6面L3S2を有している。
第1面L1S1は第1レンズエレメント111の物体側面により形成され、第2面L1S2は第2レンズエレメント113の像面側面により形成される。
第3面L2S1は第3レンズエレメント121の物体側面により形成され、第4面L2S2は第3レンズエレメント121の像面側面により形成される。
第5面L3S1は第4レンズエレメント141の物体側面により形成され、第6面L3S2は第4レンズエレメント121の像面側面により形成される。
【0029】
単焦点レンズである撮像レンズ100において、像面140は、CCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子の撮像面(受像面)が配置されることを想定している。
図示しないカバーガラスは、第6面L3S2と像面140との間に配置される。第4面SF4と像面130との間には、樹脂またはガラスで形成されるカバーガラスや赤外カットフィルタやローパスフィルタなどの他、光学部材が配置されていてもよい。
なお、本実施形態では、図1において、左側が物体側(前方)であり、右側が像面側(後方)である。
そして、物体側から入射した光束は像面140上に結像される。
【0030】
以下、本実施形態の撮像レンズの構成とその作用について説明する。
なお、以下の説明では、透明体112を同じ符号を用いてガラス基板として表す場合がある。
【0031】
そして、単焦点レンズである本実施形態の撮像レンズ110は、以下の条件式(1)〜(11)を満足するように構成されている。
【0032】
条件式(1)は第2レンズ群120のベンディングに関する関係式である。
【0033】
[数1]
−10 ≦ qL2 ≦ −0.4 (1)
qL2 = (RL2S2+RL2S1) / (RL2S2−RL2S1)
ここで、RL2S1は第2レンズ群120の入力側面S1の曲率半径を、RL2S2は第2レンズ群120の出射側面S2の曲率半径を示している。
【0034】
条件式(1)において、下限を超えると、負のパワーが弱くなり、収差補正の能力が落ちて、明るく、小型なレンズに向かなくなる。また、上限を超えると両凸レンズに近くなり、第2レンズ群120の入射面の周辺部分で光線入射角が非常に大きくなり余分な非点収差とコマ収差が発生して、画面周辺の特性が劣化して商品性が無くなる。
【0035】
条件式(2)は第3レンズ130群の入射面(第3レンズ群の近軸量)に関する関係式である。本実施形態では、第3レンズ群130が負のパワーを持ち入射面の曲率半径が絞り近傍にあることによって、高い光学特性を持つことを特徴とする。
【0036】
[数2]
−3 ≦ RL3S1/f ≦ −0.2 (2)
ここで、RL3S1は第3レンズ群130の入射側面S1の曲率半径を、fはレンズ系の焦点距離を示している。
【0037】
条件式(2)において、下限を超えると、曲率半径が絞り近傍に来なくなり、収差補正の能力も落ちて明るく、小型なレンズに向かなくなる。上限を超えると、曲率が強くなりすぎて、逆に収差補正しすぎて、逆の収差を発生してしまい光学特性が劣化する。
【0038】
条件式(3)は第1レンズ群110の焦点距離fg1に関するものである。
【0039】
[数3]
0.5 ≦ fg1/f ≦ 1.5 (3)
【0040】
条件式(3)において、下限を超えると、第1群の正のパワーが強くなりすぎて、製造トレランスが悪くなり、安価なモジュールを目指す本発明の用途に向かない。上限を超えると正のパワーが弱くなり、レトロフォーカス形の光学系に近づく。そうすると光学長が伸びて、小型モジュールを目的とする本発明の用途に向かない。
【0041】
条件式(4)は第2レンズ群120の焦点距離fg2に関するものである。
【0042】
[数4]
0.5 ≦ fg2/f ≦ 50 (4)
【0043】
条件式(4)において、下限を超えると正のパワーが強くなりすぎて、製造トレランスが悪くなり、安価なモジュールを目指す本発明の用途に向かない。上限を超えるとパワーが弱くなり収差補正の能力が落ちて、明るく、小型なレンズに向かなくなる。
【0044】
条件式(5)は第3レンズ130群の焦点距離fg3に関するものである。
【0045】
[数5]
−5 ≦ fg3/f ≦ −0.3 (5)
【0046】
条件式(5)において、下限を超えるとパワーが弱くなり収差補正の能力が落ちて、明るく、小型なレンズに向かなくなる。上限を超えるとパワーが強くなりすぎて、逆に収差補正しすぎて、逆の収差を発生してしまい光学特性が劣化する。
【0047】
条件式(6)は画角に関するものである。
【0048】
[数6]
20 ≦ ω ≦ 40 (6)
ωは半画角を示す。
【0049】
条件式(6)において、下限を超えると画角が狭くなりすぎて望遠レンズのようになり、近くを良く撮像する、セルラー用途やパーソナルコンピュータ(PC)用カメラに向かない。上限を超えると高角レンズになりすぎて、自分取りを良く行う、セルラー用途やPCカメラに向かない。
【0050】
条件式(7)は第1レンズエレメント111のアッベ数νE1に関するものである。
【0051】
[数7]
45 ≦ νE1 ≦ 90 (7)
【0052】
条件式(7)において、下限を超えると色収差が大きくなり、高解像度に向かなくなる。上限を超えると、レンズ硝材が現実的でなくなる。
【0053】
条件式(8)は第2レンズエレメント113のアッベ数νE2に関するものである。
【0054】
[数8]
20 ≦ νE2 ≦ 60 (8)
【0055】
条件式(8)において、下限を超えると、レンズ硝材が現実的でなくなる。上限を超えると、色収差が大きくなり、高解像度に向かなくなる。
【0056】
条件式(9)はFナンバーFnoに関するものである。
【0057】
[数9]
1.0 ≦ Fno ≦ 3.0 (9)
【0058】
条件式(9)において、下限を超えるとイメージャへの入射時にイメージャ内部で蹴られが発生して、混色等の問題を引き起こし、カメラ性能が劣化する。上限を超えると暗いレンズになり、本発明の実施形態の目的に反する。
【0059】
条件式(10)はレンズ系の光学長TTに関するものである。
【0060】
[数10]
0.8 ≦ TT/f ≦ 1.5 (10)
【0061】
条件式(10)において、下限を超えると非常にコンパクトで望ましくなるが、レンズの形状が製造上難しい形状になってきて望ましくない。上限を超えるとモジュール自体が大きくなり、本発明の実施形態の目的に反する。
【0062】
条件式(11)はレンズ系のバックフォーカスBFに関するものである。
【0063】
[数11]
0.01 ≦ BF ≦ 0.6 (11)
【0064】
条件式(11)において、下限を超えると製造時に調整が出来なくなり問題となる。上限を超えるとレンズ設計上の制約になり、意味をなさない。
しかし、レンズ系と撮像素子の間に、何かの部品を入れる場合は、この限りではない。
【0065】
上記の条件式(1)〜(11)は、以下で取り扱う実施例1〜5に共通するものであり、必要に応じて適宜採用することで、個々の撮像素子または撮像装置に適したより好ましい結像性能とコンパクトな光学系が実現される。
【0066】
なお、レンズの非球面の形状は、物体側から像面側へ向かう方向を正とし、kを円錐係数、A、B、C、Dを非球面係数、rを中心曲率半径としたとき次式で表される。yは光軸からの光線の高さ、cは中心曲率半径rの逆数(1/r)をそれぞれ表している。
ただし、Xは非球面頂点に対する接平面からの距離を、Aは4次の非球面係数を、Bは6次の非球面係数を、Cは8次の非球面係数を、Dは10次の非球面係数をそれぞれ表している。
【0067】
【数12】

【0068】
図4は、本第1の実施形態に係る撮像レンズの各レンズ群を構成する各レンズ、基板、並びに撮像部を構成するカバーガラスに対して付与した面番号を示す図である。
【0069】
具体的には、第1レンズエレメント111の物体側面(凸面)に第1番、第1レンズエレメント111の像面側面と透明体の物体側面との境界面(接合面)に第2番の面番号が付与されている。
透明体112の像面側面と第2レンズエレメント113の物体側面との境界面(接合面)に第3番の面番号が付与されている。
第2レンズエレメント113の像面側面に第4番の面番号が付与されている。
第3レンズエレメント121の物体側面に第5番、第3レンズエレメント121の像面側面に第6番の面番号が付与されている。
第4レンズエレメント131の物体側面に第7番、第4レンズエレメント131の像面側面に第8番の面番号が付与されている。
【0070】
また、図4に示すように、本実施形態の撮像レンズ100において、第1レンズエレメント111の物体側面(第1番)1の中心曲率半径はR1に設定される。
第1レンズエレメント111の像面側面と透明体112の物体側面との境界面(接合面)2の中心曲率半径はR2に設定される。
透明体112の像面側面と第2レンズエレメント113の物体側面との境界面(接合面)3の中心曲率半径はR3に設定される。
第2レンズエレメント113の像面側面4の中心曲率半径はR4に設定される。
第3レンズエレメント121の物体側面5の中心曲率半径はR5に、第3レンズエレメント121の像面側面6の中心曲率半径はR6に設定される。
第4レンズエレメント131の物体側面7の中心曲率半径はR7に、第4レンズエレメント131の像面側面8の中心曲率半径はR8に設定される。
なお、面2,3の中心曲率半径R2,R3は無限(INFINITY)である。
【0071】
また、図4に示すように、第1レンズエレメント111の厚さとなる面1と面2間の光軸OX上の距離がd1に、透明体112の厚さとなる面2と面3間の光軸OX上の距離がd2に設定される。
第2レンズエレメント113の厚さとなる面3と面4間の光軸OX上の距離がd3、第2レンズエレメント113の像面側面4と第3レンズエレメント121の物体側面5間の光軸OX上の距離がd4に設定される。
第3レンズエレメント121の厚さとなる面5と面6間の光軸OX上の距離がd5に、第3レンズエレメント121の像面側面6と第4レンズエレメント131の像面側面7間の光軸OX上の距離がd6に設定される。
第4レンズエレメント131の厚さとなる面7と面8間の光軸OX上の距離がd7に、第4レンズエレメント131の像面側面8と像面140間の距離がd8に設定される。
【0072】
以下に、撮像レンズの具体的な数値による実施例1を示す。なお、実施例1においては、撮像レンズ100の各レンズエレメントガラス基板(透明体)、撮像部を構成する撮像面130に対して、図4に示すような面番号が付与されている。
【0073】
[実施例1]
表1、表2、表3、および表4に実施例1の各数値が示されている。実施例1の各数値は図1の撮像レンズ100に対応している。
実施例1は、1/4サイズ、1.4μmピッチの5メガピクセル(Mage pixel)CMOSイメージャ用の設計例である。
【0074】
表1は、実施例1における撮像レンズの各面番号に対応した各レンズエレメント、ガラス基板(透明体)等の曲率半径(R:mm),間隔(d:mm)、屈折率(nd)、および分散値(νd)を示している。
【0075】
【表1】

【0076】
表2は、実施例1における非球面を含む第1レンズエレメント111の面1、第2レンズエレメント113の面4、第3レンズエレメント121の面5、並びに第3レンズエレメント121の面6の4次、6次、8次、10次の非球面係数を示す。
さらに、第4レンズエレメント131の面7、並びに第4レンズエレメント131の面6の4次、6次、8次、10次の非球面係数を示す。
表2において、Kは円錐定数を、Aは4次の非球面係数を、Bは6次の非球面係数を、Cは8次の非球面係数を、Dは10次の非球面係数をそれぞれ表している。
【0077】
【表2】

【0078】
表3は、実施例1における撮像レンズ100の焦点距離f、開口数F、半画角ω、レンズ長Hが具体的に示されている。
ここで、焦点距離fは3.64[mm]に、開口数Fは2.1に、半画角ωは31.5degに、レンズ長Hは4.37[mm]に設定されている。
【0079】
【表3】

【0080】
表4は、実施例1においては、上記各条件式(1)〜(11)を満足することを示す。
【0081】
【表4】

【0082】
表4に示すように、実施例1では、第2レンズ群120のベンディングファクターqL2が−0.9に設定され、条件式(1)で規定される条件を満足している。
第3レンズ130群の入射面(第3レンズ群の近軸量)RL3S1/fが−0.31に設定され、条件式(2)で規定される条件を満足している。
第1レンズ群110の焦点距離fg1が1.02に設定され、条件式(3)で規定される条件を満足している。
第2レンズ群120の合成焦点距離fg2が0.93に設定され、条件式(4)で規定される条件を満足している。
第4レンズ群130の合成焦点距離fg3が−0.56に設定され、条件式(5)で規定される条件を満足している。
半画角ωが31.5に設定され、条件式(6)で規定される条件を満足している。
第1レンズエレメント111のアッベ数νE1が57.3に設定され、条件式(7)で規定される条件を満足している。
第2レンズエレメント113のアッベ数νE2が30に設定され、条件式(8)で規定される条件を満足している。
レンズ系のFナンバーFnoが2.1に設定され、条件式(9)で規定される条件を満足している。
レンズ系の光学長TTが1.20に設定され、条件式(10)で規定される条件を満足している。
レンズ系のバックフォーカス長FBが0.3に設定され、条件式(11)で規定される条件を満足している。
【0083】
図5は、実施例1において、球面収差(色収差)、非点収差、および歪曲収差を示す収差図である。図5(A)が球面収差(色収差)、図5(B)が非点収差を、図5(C)が歪曲収差をそれぞれ示している。
図5からわかるように、実施例1によれば、球面、非点、歪曲の諸収差が良好に補正され、結像性能に優れた光学ユニットを含む撮像レンズが得られる。
【0084】
図6は、実施例1の80lps/mmで見た、軸上から7割像高までのMTFのデフォーカス特性を示す図である。
また、前述したように図1には、同じく現状の3群3枚設計の80lps/mmで見た、軸上から7割像高までのMTFのデフォーカス特性を示している。図2には、同じく現状の4群4枚設計80lps/mmで見た、軸上から7割像高までのMTFのデフォーカス特性を示す。これらは、実施例1と同様の条件で設計したものである。
【0085】
これらを、MTFが0になるデフォーカスの範囲という尺度で見てみると、実施例1が80μm、3群3枚Fno2.9が100μm、4群4枚Fno2.9が80μmである。
通常被写界深度は、焦点距離が同じならば、Fnoに反比例する。
たとえば、4群4枚Fno2.9は、もし仮にFno2.1にすると80μm×2.1/2.9=58μmの被写界深度になる。
ところが、本実施例では、Fno2.1でも被写界深度が80μm取れており、かつ、高いMTFを保っており、より実用に適した明るいレンズであることがわかる。
【0086】
<2.第2の実施形態>
図7は、本発明の第2の実施形態に係る撮像レンズの構成例を示す図である。
【0087】
図7に示す第2の実施形態に係る撮像レンズ100Aは、第2レンズ群120Aが第1レンズ群と同様に、第3レンズエレメント121A、第2透明体122、第4レンズエレメント123の接合体により形成されている。
そして、第3レンズ群130Aは、第5レンズエレメント132により形成されている。
【0088】
撮像レンズ100Aにおいて、各レンズ群は次のように構成される。
第1レンズ群100Aは、凸平形状でたとえばアッベ数53.1の第1レンズエレメント111がBK7相当のガラス板の物体側に貼り付けられており、アッベ数30で平凹形状の第2レンズエレメント113が反対側に貼り付けられている。
ここで絞りは、ガラス基板の物体側にクロム膜等の透過がほとんど無い物質をあらかじめ付けて実現される。
同様に、IRカットフィルタもガラス基板上に蒸着によってあらかじめ付着される。
これらのことにより、第1レンズ群110Aの中で色収差が補正され、また、全体の収差がとりやすいような構造もとることができる。全体としては強い正のパワーを持ち、光学長が短くなることに大きく寄与する。
【0089】
第2レンズ群120Aは、ガラス基板を使うハイブリッド(HYBRID)方式のレンズで形成され、BK7相当のガラス基板の前後に、たとえばアッベ数30の第3レンズエレメント121Aが貼り付けられている。
大きくベンディングしないで正のパワーを持つのが特徴である。
これは、特に第1レンズ群110Aと第3レンズ群130Aが収差補正に大きく寄与するために、第2レンズ群120Aがベンディングする必要がなくなったためである。
大きくベンディングしないために、ARコートが正確に施すことができ、ゴーストやフレアが出にくい。
また、レンズの厚みを薄くでき、製造上作りやすくなり、メリットとなる。
【0090】
第3レンズ群130Aはポリカーボネイトを材料とするプラスチックモールドレンズ、もしくは、耐熱性の樹脂により構成され、大きな負のパワーを持ち、入射面が大きく物体側にベンディングする。
この曲率中心が絞り近傍に来るために、非点収差とコマ収差を良く補正する。
また、形状が大きく球面形状からずれないために、像高による入射NAに対する非点収差の変化が少なく、明るいレンズが実現できる。
また、出射側面もおおよそ物体側にベンディングして、像側に凸形状を向けた形状になっており、ゴーストが出にくい構造になっている。また、外周部に至るまでイメージャへの光線入射角が低く抑えられて、カメラの特性として望ましい性能が得られる。
これらのことにより、本第2の実施形態は、第1の実施形態と同様に光学全長が短く、実用に適した明るいレンズを実現できる。
【0091】
図8は、本第2の実施形態に係る撮像レンズの各レンズ群を構成する各レンズ、基板、並びに撮像部を構成するカバーガラスに対して付与した面番号を示す図である。
【0092】
具体的には、第1レンズエレメント111の物体側面(凸面)に第1番、第1レンズエレメント111の像面側面と透明体の物体側面との境界面(接合面)に第2番の面番号が付与されている。
透明体112の像面側面と第2レンズエレメント113の物体側面との境界面(接合面)に第3番の面番号が付与されている。
第2レンズエレメント113の像面側面に第4番の面番号が付与されている。
第3レンズエレメント121Aの物体側面に第5番、第3レンズエレメント121Aの像面側面と第2透明体122の物体側面との境界面(接合面)に第6番の面番号が付与されている。
第2透明体122の像面側面と第4レンズエレメント123の物体側面との境界面(接合面)に第7番の面番号が付与されている。
第4レンズエレメント123の像面側面に第8番の面番号が付与されている。
第5レンズエレメント132の物体側面に第9番、第5レンズエレメント132の像面側面に第10番の面番号が付与されている。
【0093】
また、図8に示すように、本実施形態の撮像レンズ100Aにおいて、第1レンズエレメント111の物体側面(第1番)1の中心曲率半径はR1に設定される。
第1レンズエレメント111の像面側面と透明体112の物体側面との境界面(接合面)2の中心曲率半径はR2に設定される。
透明体112の像面側面と第2レンズエレメント113の物体側面との境界面(接合面)3の中心曲率半径はR3に設定される。
第2レンズエレメント113の像面側面4の中心曲率半径はR4に設定される。
第3レンズエレメント121Aの物体側面(第5番)1の中心曲率半径はR5に設定される。
第3レンズエレメント121Aの像面側面と第2透明体122の物体側面との境界面(接合面)6の中心曲率半径はR6に設定される。
第2透明体122の像面側面と第4レンズエレメント123の物体側面との境界面(接合面)7の中心曲率半径はR7に設定される。
第4レンズエレメント123の像面側面8の中心曲率半径はR8に設定される。
第5レンズエレメント132の物体側面9の中心曲率半径はR9に、第5レンズエレメント132の像面側面10の中心曲率半径はR10に設定される。
なお、面2,3,6,7の中心曲率半径R2,R3、R6、R7は無限(INFINITY)である。
【0094】
また、図8示すように、第1レンズエレメント111の厚さとなる面1と面2間の光軸OX上の距離がd1に、透明体112の厚さとなる面2と面3間の光軸OX上の距離がd2に設定される。
第2レンズエレメント113の厚さとなる面3と面4間の光軸OX上の距離がd3、第2レンズエレメント113の像面側面4と第3レンズエレメント121Aの物体側面5間の光軸OX上の距離がd4に設定される。
第3レンズエレメント121Aの厚さとなる面5と面6間の光軸OX上の距離がd5に、第2透明体122の厚さとなる面6と面7間の光軸OX上の距離がd6に設定される。
第4レンズエレメント123の厚さとなる面7と面8間の光軸OX上の距離がd7、第4レンズエレメント123の像面側面8と第5レンズエレメント132の物体側面9間の光軸OX上の距離がd8に設定される。
第5レンズエレメント132の厚さとなる面9と面10間の光軸OX上の距離がd9に、第5レンズエレメント132の像面側面10と像面140間の距離がd10に設定される。
【0095】
以下に、撮像レンズの具体的な数値による実施例2を示す。なお、実施例2においては、撮像レンズ100Aの各レンズエレメントガラス基板(透明体)、撮像部を構成する撮像面140に対して、図8に示すような面番号が付与されている。
【0096】
[実施例2]
表5、表6、表7、および表8に実施例2の各数値が示されている。実施例2の各数値は図7の撮像レンズ100Aに対応している。
実施例2は、1/4サイズ、1.4μmピッチの5メガピクセル(Mage pixel)CMOSイメージャ用の設計例である。
【0097】
表5は、実施例2における撮像レンズの各面番号に対応した各レンズエレメント、ガラス基板(透明体)等の曲率半径(R:mm),間隔(d:mm)、屈折率(nd)、および分散値(νd)を示している。
【0098】
【表5】

【0099】
表6は、実施例2における非球面を含む第1レンズエレメント111の面1、第2レンズエレメント113の面4、第3レンズエレメント121Aの面5、並びに第4レンズエレメント123の面8の4次、6次、8次、10次の非球面係数を示す。
さらに、第5レンズエレメント132の面9、並びに第5レンズエレメント132の面10の4次、6次、8次、10次の非球面係数を示す。
表6において、Kは円錐定数を、Aは4次の非球面係数を、Bは6次の非球面係数を、Cは8次の非球面係数を、Dは10次の非球面係数をそれぞれ表している。
【0100】
【表6】

【0101】
表7は、実施例2における撮像レンズ100の焦点距離f、開口数F、半画角ω、レンズ長Hが具体的に示されている。
ここで、焦点距離fは3.65[mm]に、開口数Fは2.1に、半画角ωは31.6degに、レンズ長Hは4.32[mm]に設定されている。
【0102】
【表7】

【0103】
表8は、実施例2においては、上記各条件式(1)〜(11)を満足することを示す。
【0104】
【表8】

【0105】
表8に示すように、実施例2では、第2レンズ群120のベンディングファクターqL2が−0.67に設定され、条件式(1)で規定される条件を満足している。
第3レンズ130群の入射面(第3レンズ群の近軸量)RL3S1/fが−0.34に設定され、条件式(2)で規定される条件を満足している。
第1レンズ群110の焦点距離fg1が1.04に設定され、条件式(3)で規定される条件を満足している。
第2レンズ群120の合成焦点距離fg2が1.12に設定され、条件式(4)で規定される条件を満足している。
第4レンズ群130の合成焦点距離fg3が−0.65に設定され、条件式(5)で規定される条件を満足している。
半画角ωが31.6に設定され、条件式(6)で規定される条件を満足している。
第1レンズエレメント111のアッベ数νE1が53.1に設定され、条件式(7)で規定される条件を満足している。
第2レンズエレメント113のアッベ数νE2が30に設定され、条件式(8)で規定される条件を満足している。
レンズ系のFナンバーFnoが2.1に設定され、条件式(9)で規定される条件を満足している。
レンズ系の光学長TTが1.18に設定され、条件式(10)で規定される条件を満足している。
レンズ系のバックフォーカス長FBが0.25に設定され、条件式(11)で規定される条件を満足している。
【0106】
図9は、実施例2において、球面収差(色収差)、非点収差、および歪曲収差を示す収差図である。図9(A)が球面収差(色収差)、図9(B)が非点収差を、図9(C)が歪曲収差をそれぞれ示している。
図9からわかるように、実施例2によれば、球面、非点、歪曲の諸収差が良好に補正され、結像性能に優れた光学ユニットを含む撮像レンズが得られる。
【0107】
<3.第3の実施形態>
図10は、本発明の第3の実施形態に係る撮像レンズの構成例を示す図である。
【0108】
図10に示す第3の実施形態に係る撮像レンズ100Bは、第2レンズ群120Aが第1レンズ群と同様に、第3レンズエレメント121B、第2透明体122B、第4レンズエレメント123Bの接合体により形成されている。
同様に、第3レンズ群130Bが第1および第2レンズ群と同様に、第5レンズエレメント133、第3透明体134、第6レンズエレメント135の接合体により形成されている。
【0109】
撮像レンズ100Bにおいて、各レンズ群は次のように構成される。
第1レンズ群110Bは、凸平形状でたとえばアッベ数53.1の第1レンズエレメント111がBK7相当のガラス板の物体側に貼り付けられており、アッベ数30で平凹形状の第2レンズエレメント113が反対側に貼り付けられている。
ここで絞りは、ガラス基板の物体側にクロム膜等の透過がほとんど無い物質をあらかじめ付けて実現される。
同様に、IRカットフィルタもガラス基板上に蒸着によってあらかじめ付着される。
これらのことにより第1レンズ群110の中で色収差が補正され、また、全体の収差がとりやすいような構造もとることができる。
全体としては強い正のパワーを持ち、光学長が短くなることに大きく寄与する。
【0110】
第2レンズ群120Bは、ガラス基板を使うハイブリッド(HYBRID)方式のレンズで形成され、BK7相当のガラス基板の前後にたとえばアッベ数30のレンズエレメントが貼り付けられている。
大きくベンディングしないで正のパワーを持つのが特徴である。
これは、特に第1レンズ群110と第3レンズ群130Bが収差補正に大きく寄与するために、第2レンズ群120Bがベンディングする必要がなくなったためである。
大きくベンディングしないために、ARコートが正確に施すことができ、ゴーストやフレアが出にくい。
また、レンズの厚みを薄くでき、製造上作りやすくなり、メリットとなる。
【0111】
第3レンズ群130Bもハイブリッド(HYBRID)方式のレンズで形成され、おおよそ凹平形状のたとえばアッベ数30.0の第5レンズエレメント133がBK7相当のガラス板の物体側に貼り付けられている。第3レンズ群130Bでは、アッベ数30でおおよそ平凸形状の第6レンズエレメント135が反対側に貼り付けられている。
大きな負のパワーを持ち、入射面が大きく物体側にベンディングする。
この曲率中心が絞り近傍に来るために、非点収差とコマ収差を良く補正する。
また、形状が大きく球面形状からずれないために、像高による入射NAに対する非点収差の変化が少なく、明るいレンズが実現できる。
また、出射側面もおおよそ物体側にベンディングして、像側に凸形状を向けた形状になっており、ゴーストが出にくい構造になっている。
また、外周部に至るまでイメージャへの光線入射角が低く抑えられて、カメラの特性として望ましい性能が得られる。
これらのことにより、第1および第2の実施形態と同様に光学全長が短く、実用に適した明るいレンズを実現できる。
【0112】
このように3群ともハイブリッド(HYBRID)方式で構成して、ウエハー状で接合した場合、切断が難しい。
取り個数が、第3レンズ群の大きさで決まってしまうため、第1レンズ群と第2レンズ群に開きスペースが多くなり、効率が良くない。
また、第3レンズ群はウエハー厚みに対してレンズ厚みのほうがはるかに厚く、製造上ウエハーが反るといった問題が発生したり、面制度を正確に出すのが難しいといった問題がある。
したがって、第1の実施形態や第2の実施形態のタイプが望ましい。しかしながら、3群ともハイブリッド(HYBRID)方式で作製し、第1レンズ群と第2レンズ群のみウエハー状で接着して、個片化して、単独で個片化した第3群と個々に接着しても良い。
【0113】
図11は、本第3の実施形態に係る撮像レンズの各レンズ群を構成する各レンズ、基板、並びに撮像部を構成するカバーガラスに対して付与した面番号を示す図である。
【0114】
具体的には、第1レンズエレメント111の物体側面(凸面)に第1番、第1レンズエレメント111の像面側面と透明体の物体側面との境界面(接合面)に第2番の面番号が付与されている。
透明体112の像面側面と第2レンズエレメント113の物体側面との境界面(接合面)に第3番の面番号が付与されている。
第2レンズエレメント113の像面側面に第4番の面番号が付与されている。
第3レンズエレメント121Bの物体側面に第5番、第3レンズエレメント121Bの像面側面と第2透明体122Bの物体側面との境界面(接合面)に第6番の面番号が付与されている。
第2透明体122Bの像面側面と第4レンズエレメント123Bの物体側面との境界面(接合面)に第7番の面番号が付与されている。
第4レンズエレメント123Bの像面側面に第8番の面番号が付与されている。
第5レンズエレメント133の物体側面に第9番、第5レンズエレメント133の像面側面と第3透明体134の物体側面との境界面(接合面)に第10番の面番号が付与されている。
第3透明体134の像面側面と第6レンズエレメント145の物体側面との境界面(接合面)に第11番の面番号が付与されている。
第6レンズエレメント135の像面側面に第12番の面番号が付与されている。
【0115】
また、図11に示すように、本実施形態の撮像レンズ100Bにおいて、第1レンズエレメント111の物体側面(第1番)1の中心曲率半径はR1に設定される。
第1レンズエレメント111の像面側面と透明体112の物体側面との境界面(接合面)2の中心曲率半径はR2に設定される。
透明体112の像面側面と第2レンズエレメント113の物体側面との境界面(接合面)3の中心曲率半径はR3に設定される。
第2レンズエレメント113の像面側面(凹面)4の中心曲率半径はR4に設定される。
第3レンズエレメント121Bの物体側面(第5番)1の中心曲率半径はR5に設定される。
第3レンズエレメント121Bの像面側面と第2透明体122Bの物体側面との境界面(接合面)6の中心曲率半径はR6に設定される。
第2透明体122Bの像面側面と第4レンズエレメント123Bの物体側面との境界面(接合面)7の中心曲率半径はR7に設定される。
第4レンズエレメント123Bの像面側面8の中心曲率半径はR8に設定される。
第5レンズエレメント133の物体側面9の中心曲率半径はR9に設定される。
第5レンズエレメント133の像面側面と第3透明体134の物体側面との境界面(接合面)10の中心曲率半径はR10に設定される。
第3透明体134の像面側面と第6レンズエレメント135の物体側面との境界面(接合面)11の中心曲率半径はR11に設定される。
第6レンズエレメント135の像面側面12の中心曲率半径はR12に設定される。
なお、面2,3,6,7,10,11の中心曲率半径R2,R3,R6,R7,R10,R11は無限(INFINITY)である。
【0116】
また、図11示すように、第1レンズエレメント111の厚さとなる面1と面2間の光軸OX上の距離がd1に、透明体112の厚さとなる面2と面3間の光軸OX上の距離がd2に設定される。
第2レンズエレメント113の厚さとなる面3と面4間の光軸OX上の距離がd3、第2レンズエレメント113の像面側面4と第3レンズエレメント121Bの物体側面5間の光軸OX上の距離がd4に設定される。
第3レンズエレメント121Bの厚さとなる面5と面6間の光軸OX上の距離がd5に、第2透明体122Bの厚さとなる面6と面7間の光軸OX上の距離がd6に設定される。
第4レンズエレメント123Bの厚さとなる面7と面8間の光軸OX上の距離がd7、第4レンズエレメント123Bの像面側面8と第5レンズエレメント133の物体側面9間の光軸OX上の距離がd8に設定される。
第5レンズエレメント133の厚さとなる面9と面10間の光軸OX上の距離がd9に、第3透明体13の厚さとなる面10と面11間の光軸OX上の距離がd10に設定される。
第6レンズエレメント135の厚さとなる面11と面12間の光軸OX上の距離がd11、第6レンズエレメント135の像面側面12と像面140間の距離がd12に設定される。
【0117】
以下に、撮像レンズの具体的な数値による実施例3を示す。なお、実施例3においては、撮像レンズ100Bの各レンズエレメントガラス基板(透明体)、撮像部を構成する撮像面140に対して、図11に示すような面番号が付与されている。
【0118】
[実施例3]
表9、表10、表11、および表12に実施例3の各数値が示されている。実施例3の各数値は図10の撮像レンズ100Bに対応している。
実施例3は、1/4サイズ、1.4μmピッチの5メガピクセル(Mage pixel)CMOSイメージャ用の設計例である。
【0119】
表9は、実施例3における撮像レンズの各面番号に対応した各レンズエレメント、ガラス基板(透明体)等の曲率半径(R:mm),間隔(d:mm)、屈折率(nd)、および分散値(νd)を示している。
【0120】
【表9】

【0121】
表10は、実施例3における非球面を含む第1レンズエレメント111の面1、第2レンズエレメント113の面4、第3レンズエレメント121Bの面5、並びに第4レンズエレメント123Bの面8の4次、6次、8次、10次の非球面係数を示す。
さらに、第5レンズエレメント133の面9、並びに第6レンズエレメント135の面12の4次、6次、8次、10次の非球面係数を示す。
表10において、Kは円錐定数を、Aは4次の非球面係数を、Bは6次の非球面係数を、Cは8次の非球面係数を、Dは10次の非球面係数をそれぞれ表している。
【0122】
【表10】

【0123】
表11は、実施例3における撮像レンズ100Bの焦点距離f、開口数F、半画角ω、レンズ長Hが具体的に示されている。
ここで、焦点距離fは3.67[mm]に、開口数Fは2.1に、半画角ωは31.4degに、レンズ長Hは4.35[mm]に設定されている。
【0124】
【表11】

【0125】
表12は、実施例3においては、上記各条件式(1)〜(11)を満足することを示す。
【0126】
【表12】

【0127】
表12に示すように、実施例3では、第2レンズ群120のベンディングファクターqL2が−3.03に設定され、条件式(1)で規定される条件を満足している。
第3レンズ130群の入射面(第3レンズ群の近軸量)RL3S1/fが−0.39に設定され、条件式(2)で規定される条件を満足している。
第1レンズ群110の焦点距離fg1が0.93に設定され、条件式(3)で規定される条件を満足している。
第2レンズ群120の合成焦点距離fg2が1.12に設定され、条件式(4)で規定される条件を満足している。
第4レンズ群130の合成焦点距離fg3が−0.66に設定され、条件式(5)で規定される条件を満足している。
半画角ωが31.4に設定され、条件式(6)で規定される条件を満足している。
第1レンズエレメント111のアッベ数νE1が53.1に設定され、条件式(7)で規定される条件を満足している。
第2レンズエレメント113のアッベ数νE2が30に設定され、条件式(8)で規定される条件を満足している。
レンズ系のFナンバーFnoが2.1に設定され、条件式(9)で規定される条件を満足している。
レンズ系の光学長TTが1.18に設定され、条件式(10)で規定される条件を満足している。
レンズ系のバックフォーカス長FBが0.21に設定され、条件式(11)で規定される条件を満足している。
【0128】
図12は、実施例3において、球面収差(色収差)、非点収差、および歪曲収差を示す収差図である。図12(A)が球面収差(色収差)、図12(B)が非点収差を、図12(C)が歪曲収差をそれぞれ示している。
図12からわかるように、実施例3によれば、球面、非点、歪曲の諸収差が良好に補正され、結像性能に優れた光学ユニットを含む撮像レンズが得られる。
【0129】
<4.第4の実施形態>
図13は、本発明の第4の実施形態に係る撮像レンズの構成例を示す図である。
【0130】
図13に示す第4の実施形態に係る撮像レンズ100Cは、基本的に第1の実施形態に係る撮像レンズ110と同様の構成を有し、以下に実施例4として示すように、各構成要素のパラメータ等の設定値が異なる。
【0131】
撮像レンズ100Cにおいて、各レンズ群は次のように構成される。
第1レンズ群110Cは、凸平形状でたとえばアッベ数57.3の第1レンズエレメント111がBK7相当のガラス板の物体側に貼り付けられており、アッベ数30で平凹形状の第2レンズエレメント113が反対側に貼り付けられている。
ここで絞りは、ガラス基板の物体側にクロム膜等の透過がほとんど無い物質をあらかじめ付けて実現される。
同様に、IRカットフィルタもガラス基板上に蒸着によってあらかじめ付着される。
これらのことにより、第1レンズ群110Cの中で色収差が補正され、また、全体の収差がとりやすいような構造もとることができる。
全体としては強い正のパワーを持ち、光学長が短くなることに大きく寄与する。
【0132】
第2レンズ群120Cは、たとえばアッベ数30のポリカーボネイトを材料とするプラスチックモールドレンズにより構成され、大きくベンディングしないで正のパワーを持つのが特徴である。
これは、特に第1レンズ群と第3レンズ群が収差補正に大きく寄与するために、第2レンズ群120Cがベンディングする必要がなくなったためである。
大きくベンディングしないために、ARコートが正確に施すことができ、ゴーストやフレアが出にくい。プラスチックモールドレンズのみならず、ガラスモールドレンズや、インジェクションモールドの高耐熱レンズを使うことができる。
【0133】
第3レンズ群130Cは、たとえばアッベ数30のポリカーボネイトを材料とするプラスチックモールドレンズ、もしくは、耐熱性の樹脂により構成され、大きな負のパワーを持ち、入射面が大きく物体側にベンディングする。
この曲率中心が絞り近傍に来るために、非点収差とコマ収差を良く補正する。
また、形状が大きく球面形状からずれないために、像高による入射NAに対する非点収差の変化が少なく、明るいレンズが実現できる。
また、出射側面もおおよそ物体側にベンディングして、像側に凸形状を向けた形状になっており、ゴーストが出にくい構造になっている。
また、外周部に至るまでイメージャへの光線入射角が低く抑えられて、カメラの特性として望ましい性能が得られる。
【0134】
以下に、撮像レンズの具体的な数値による実施例4を示す。なお、実施例4においては、撮像レンズ100Cの各レンズエレメントガラス基板(透明体)、撮像部を構成する撮像面140に対して、図2に示すような面番号が付与されている。
【0135】
[実施例4]
表13、表14、表15、および表16に実施例4の各数値が示されている。実施例4の各数値は図13の撮像レンズ100Cに対応している。
実施例4は、1/4サイズ、1.4μmピッチの5メガピクセル(Mage pixel)CMOSイメージャ用の設計例である。
【0136】
表13は、実施例4における撮像レンズの各面番号に対応した各レンズエレメント、ガラス基板(透明体)等の曲率半径(R:mm),間隔(d:mm)、屈折率(nd)、および分散値(νd)を示している。
【0137】
【表13】

【0138】
表14は、実施例4における非球面を含む第1レンズエレメント111の面1、第2レンズエレメント113の面4、第3レンズエレメント121の面5、並びに第3レンズエレメント121の面6の4次、6次、8次、10次の非球面係数を示す。
さらに、第4レンズエレメント131の面7、並びに第4レンズエレメント131の面8の4次、6次、8次、10次の非球面係数を示す。
表14において、Kは円錐定数を、Aは4次の非球面係数を、Bは6次の非球面係数を、Cは8次の非球面係数を、Dは10次の非球面係数をそれぞれ表している。
【0139】
【表14】

【0140】
表15は、実施例4における撮像レンズ100Bの焦点距離f、開口数F、半画角ω、レンズ長Hが具体的に示されている。
ここで、焦点距離fは3.61[mm]に、開口数Fは2.9に、半画角ωは31.4degに、レンズ長Hは4.00[mm]に設定されている。
【0141】
【表15】

【0142】
表16は、実施例4においては、上記各条件式(1)〜(11)を満足することを示す。
【0143】
【表16】

【0144】
表16に示すように、実施例4では、第2レンズ群120のベンディングファクターqL2が−0.91に設定され、条件式(1)で規定される条件を満足している。
第3レンズ130群の入射面(第3レンズ群の近軸量)RL3S1/fが−0.31に設定され、条件式(2)で規定される条件を満足している。
第1レンズ群110の焦点距離fg1が0.93に設定され、条件式(3)で規定される条件を満足している。
第2レンズ群120の合成焦点距離fg2が1.29に設定され、条件式(4)で規定される条件を満足している。
第4レンズ群130の合成焦点距離fg3が−0.60に設定され、条件式(5)で規定される条件を満足している。
半画角ωが31.4に設定され、条件式(6)で規定される条件を満足している。
第1レンズエレメント111のアッベ数νE1が57.3に設定され、条件式(7)で規定される条件を満足している。
第2レンズエレメント113のアッベ数νE2が30に設定され、条件式(8)で規定される条件を満足している。
レンズ系のFナンバーFnoが2.9に設定され、条件式(9)で規定される条件を満足している。
レンズ系の光学長TTが1.108に設定され、条件式(10)で規定される条件を満足している。
レンズ系のバックフォーカス長FBが0.3に設定され、条件式(11)で規定される条件を満足している。
【0145】
図14は、実施例4において、球面収差(色収差)、非点収差、および歪曲収差を示す収差図である。図14(A)が球面収差(色収差)、図14(B)が非点収差を、図14(C)が歪曲収差をそれぞれ示している。
図14からわかるように、実施例3によれば、球面、非点、歪曲の諸収差が良好に補正され、結像性能に優れた光学ユニットを含む撮像レンズが得られる。
【0146】
図15は、実施例4の80lps/mmで見た、軸上から7割像高までのMTFのデフォーカス特性を示す図である。
ここで分かるように、3群3枚の図1と同等以上の被写界深度を有し、3群3枚の光学全長が4.4mmであるのに対し、本発明の実施形態は光学全長が4.0mmと短い。
これにより、本発明の実施形態では、被写界深度が長く、光学全長が短い光学ユニットに適応できることが分かる。
【0147】
<5.第5の実施形態>
図16は、本発明の第5の実施形態に係る撮像レンズの構成例を示す図である。
【0148】
図16に示す第5の実施形態に係る撮像レンズ100Dは、第1レンズ群110Dの構成が他の実施形態と異なる。
第1レンズ群110Dは、第1レンズエレメント111D、第2レンズエレメント112D、透明体113D、および第3レンズエレメント114の接合体により形成されている。
第2レンズ群120Dは、ひとつの第4レンズエレメント121Dにより形成されている。
第3レンズ群130Dは、ひとつの第5レンズエレメント131Dにより形成されている。
【0149】
撮像レンズ100Dにおいて、各レンズ群は次のように構成される。
第1レンズ群110Dは、両凸形状でたとえばアッベ数57.3の第1レンズエレメント111Dと凹平形状でアッベ数30.0の第2レンズエレメント113DがBK7相当のガラス板の物体側に貼り付けられている。
平凹形状でアッベ数30.0の第3レンズエレメント114が反対側に貼り付けられている。
ここで絞りは、ガラス基板の物体側にクロム膜等の透過がほとんど無い物質をあらかじめ付けて実現される。
同様に、IRカットフィルタもガラス基板上に蒸着によってあらかじめ付着される。
ここでは、第1レンズエレメント111Dが両凸で大きいアッベ数のもので構成し、第2レンズエレメント112Dは凹平形状で第1レンズエレメントより小さいアッベ数のもので形成される。
そして、両者でダブレット構造を構成して、単一構造より、より色収差が消される構造になっている。
これらのことにより、第1レンズ群110Dの中で色収差が補正され、また、全体の収差がとりやすいような構造もとることができる。全体としては強い正のパワーを持ち、光学長が短くなることに大きく寄与する。
【0150】
第2レンズ群120Dは、たとえばアッベ数31のガラスモールドにより構成され、大きくベンディングしないで正のパワーを持つのが特徴である。
これは、特に第1レンズ群と第3レンズ群が収差補正に大きく寄与するために、第2レンズ群120Dがベンディングする必要がなくなったためである。
大きくベンディングしないために、ARコートが正確に施すことができ、ゴーストやフレアが出にくい。プラスチックモールドレンズのみならず、ガラスモールドレンズや、インジェクションモールドの高耐熱レンズを使うことができる。
【0151】
第3レンズ群30Dは、ポリカーボネイトを材料とするプラスチックモールドレンズ、もしくは、耐熱性の樹脂により構成され、大きな負のパワーを持ち、入射面が大きく物体側にベンディングする。
この曲率中心が絞り近傍に来るために、非点収差とコマ収差を良く補正する。
また、形状が大きく球面形状からずれないために、像高による入射NAに対する非点収差の変化が少なく、明るいレンズが実現できる。
また、出射側面もおおよそ物体側にベンディングして、像側に凸形状を向けた形状になっており、ゴーストが出にくい構造になっている。
また、外周部に至るまでイメージャへの光線入射角が低く抑えられて、カメラの特性として望ましい性能が得られる。
これらのことにより、光学全長が短く、明るいレンズを実現できる。
たとえば、実施例1においては軸上色収差が13.7μmであるのに対し、本例では9.0μmまで抑えている。
このように、本発明の実施形態により通常の光学系で3枚レンズ構成の解像度を有する非常に明るいFno2.0の5メガピクセル帯のカメラモジュールができるが、さらに高性能にするには入射側第1レンズ群110Dをダブレットにすることが有用である。
これにより、通常の光学系で4枚構成の解像度に相当する性能を有し同時に非常に明るいFno2.0のレンズを実現できる。
【0152】
図17は、本第5の実施形態に係る撮像レンズの各レンズ群を構成する各レンズ、基板、並びに撮像部を構成するカバーガラスに対して付与した面番号を示す図である。
【0153】
具体的には、第1レンズエレメント111Dの物体側面(凸面)に第1番、第1レンズエレメント111Dの像面側面と第2レンズエレメント112Dの物体側面との境界面(接合面)に第2番の面番号が付与されている。
第2レンズエレメント112Dの像面側面と透明体113Dの物体側面との境界面(接合面)に第3番の面番号が付与されている。
透明体113Dの像面側面と第3レンズエレメント114Dの物体側面との境界面(接合面)に第4番の面番号が付与されている。
第3レンズエレメント114Dの像面側面(凹面)に第5番の面番号が付与されている。
第4レンズエレメント121Dの物体側面(凹面)に第6番、第4レンズエレメント121Dの像面側面に第7番の面番号が付与されている。
第5レンズエレメント131Dの物体側面(凹面)に第8番、第5レンズエレメント131Dの像面側面に第9番の面番号が付与されている。
【0154】
また、図17に示すように、本実施形態の撮像レンズ100Dにおいて、第1レンズエレメント111Dの物体側面(第1番)1の中心曲率半径はR1に設定される。
第1レンズエレメント111Dの像面側面と第2レンズエレメント112Dの物体側面との境界面(接合面)2の中心曲率半径はR2に設定される。
第2レンズエレメント112Dの像面側面と透明体113Dの物体側面との境界面(接合面)3の中心曲率半径はR3に設定される。
透明体113Dの像面側面と第3レンズエレメント114Dの物体側面との境界面(接合面)4の中心曲率半径はR4に設定される。
第3レンズエレメント114Dの像面側面(凹面)5の中心曲率半径はR5に設定される。
第4レンズエレメント121Dの物体側面(凹面)6の中心曲率半径はR6に、第3レンズエレメント121Dの像面側面7の中心曲率半径はR7に設定される。
第5レンズエレメント131Dの物体側面(凹面)8の中心曲率半径はR8に、第5レンズエレメント131Dの像面側面9の中心曲率半径はR9に設定される。
なお、面3,4の中心曲率半径R3,R4は無限(INFINITY)である。
【0155】
また、図17に示すように、第1レンズエレメント111Dの厚さとなる面1と面2間の光軸OX上の距離がd1に、第2レンズエレメント112Dの厚さとなる面2と面3間の光軸OX上の距離がd2に設定される。
透明体113Dの厚さとなる面3と面4間の光軸OX上の距離がd3に設定される。
第3レンズエレメント114Dの厚さとなる面4と面5間の光軸OX上の距離がd4、第3レンズエレメント114Dの像面側面5と第4レンズエレメント121Dの物体側面6間の光軸OX上の距離がd5に設定される。
第4レンズエレメント121Dの厚さとなる面6と面7間の光軸OX上の距離がd6に、第4レンズエレメント121Dの像面側面7と第5レンズエレメント131Dの像面側面8間の光軸OX上の距離がd7に設定される。
第5レンズエレメント131Dの厚さとなる面8と面9間の光軸OX上の距離がd8に、第5レンズエレメント131Dの像面側面9と像面140間の距離がd9に設定される。
【0156】
以下に、撮像レンズの具体的な数値による実施例5を示す。なお、実施例5においては、撮像レンズ100Fの各レンズエレメントガラス基板(透明体)、撮像部を構成する撮像面140に対して、図17に示すような面番号が付与されている。
【0157】
[実施例5]
表17、表18、表19、および表306に実施例5の各数値が示されている。実施例5の各数値は図16の撮像レンズ100Dに対応している。
実施例4は、1/4サイズ、1.4μmピッチの5メガピクセル(Mage pixel)CMOSイメージャ用の設計例である。
【0158】
表17は、実施例5における撮像レンズの各面番号に対応した各レンズエレメント、ガラス基板(透明体)等の曲率半径(R:mm),間隔(d:mm)、屈折率(nd)、および分散値(νd)を示している。
【0159】
【表17】

【0160】
表18は、実施例5における非球面を含む第1レンズエレメント111の面1、第3レンズエレメント114Dの面5、第4レンズエレメント121Dの面6、並びに第4レンズエレメント121Dの面7の4次、6次、8次、10次の非球面係数を示す。
さらに、第5レンズエレメント131Dの面8、並びに第5レンズエレメント131Dの面9の4次、6次、8次、10次の非球面係数を示す。
表18において、Kは円錐定数を、Aは4次の非球面係数を、Bは6次の非球面係数を、Cは8次の非球面係数を、Dは10次の非球面係数をそれぞれ表している。
【0161】
【表18】

【0162】
表19は、実施例5における撮像レンズ100Bの焦点距離f、開口数F、半画角ω、レンズ長Hが具体的に示されている。
ここで、焦点距離fは3.66[mm]に、開口数Fは2.1に、半画角ωは33.6degに、レンズ長Hは4.31[mm]に設定されている。
【0163】
【表19】

【0164】
表20は、実施例5においては、上記各条件式(1)〜(11)を満足することを示す。
【0165】
【表20】

【0166】
表20に示すように、実施例5では、第2レンズ群120のベンディングファクターqL2が−0.96に設定され、条件式(1)で規定される条件を満足している。
第3レンズ130群の入射面(第3レンズ群の近軸量)RL3S1/fが−0.40に設定され、条件式(2)で規定される条件を満足している。
第1レンズ群110の焦点距離fg1が0.98に設定され、条件式(3)で規定される条件を満足している。
第2レンズ群120の合成焦点距離fg2が1.27に設定され、条件式(4)で規定される条件を満足している。
第4レンズ群130の合成焦点距離fg3が−0.59に設定され、条件式(5)で規定される条件を満足している。
半画角ωが33.6に設定され、条件式(6)で規定される条件を満足している。
第1レンズエレメント111のアッベ数νE1が57.3に設定され、条件式(7)で規定される条件を満足している。
第2レンズエレメント113のアッベ数νE2が30に設定され、条件式(8)で規定される条件を満足している。
レンズ系のFナンバーFnoが2.1に設定され、条件式(9)で規定される条件を満足している。
レンズ系の光学長TTが1.18に設定され、条件式(10)で規定される条件を満足している。
レンズ系のバックフォーカス長FBが0.3に設定され、条件式(11)で規定される条件を満足している。
【0167】
図18は、実施例5において、球面収差(色収差)、非点収差、および歪曲収差を示す収差図である。図18(A)が球面収差(色収差)、図18(B)が非点収差を、図18(C)が歪曲収差をそれぞれ示している。
図18からわかるように、実施例3によれば、球面、非点、歪曲の諸収差が良好に補正され、結像性能に優れた光学ユニットを含む撮像レンズが得られる。
【0168】
<6.第6の実施形態>
図19は、本発明の第6の実施形態に係るウエハーレベルオプティクスを概念的に示す図である。
【0169】
ガラス基板210上にレプリカレンズを上下に多数個形成し、第1群220(110)とする。第2群230(120)も同様に構成する。
次にこれらを個々に切断する。
また、単一の硝材をレンズにしたものを第3群240(130)とし、ここに切断した、第1群220、第2群230の塊と第3群240を接着して、レンズを組み立てる。
【0170】
以上詳細に説明した本実施形態に係る光学ユニットは、基本的に以下の特徴をもって形成することができる。
前述したように、条件式(1)〜(11)は、第1から第4の実施形態(実施例1〜4)に共通するものであり、必要に応じて適宜採用することで、個々の撮像素子または撮像装置に適したより好ましい結像性能とコンパクトな光学系が実現される。
上述したように、本実施形態の光学ユニットは、基本的に第1レンズ群110と、第2レンズ群120と、第3レンズ群130により構成される。
【0171】
第1レンズ群は、ガラス基板上にレプリカレンズを上下に形成されており、物体側から像面側に向かって順番に配置された、第1レンズエレメントと、第1透明基板と、第2レンズエレメントを含む。
透明基板は、安価に製造するためにショット社のBK7相当のガラス板が使われ、このガラス基板にクロム膜等の遮光手段を施し絞りにする。
このため、通常の成型品やシートと違い厚みがほとんど無視できる程度なのでこの厚みで発生するゴーストやフレアがなく、周辺光量落ちもない。また、IRカットフィルタもガラス基板に付着させる。
これにより、通常レンズ素子と撮像素子の間に入れるIRカットフィルタが不必要になるので、バックフォーカスを短くできて、これにより光学設計の自由度が上がり、光学諸特性のより良い設計ができる。
また、これら2つの部品がガラス基板に付着できることにより、部品点数が少なく安価で信頼性の高い素子にできる。
さらに、第1レンズエレメントと第2レンズエレメントは、異なるレンズ材料を使うことができ、従来の3群レンズ素子よりより光学特性に優れた光学素子が作製できる。
また、第1レンズエレメントをガラス基板上に形成することにより、第1レンズエレメント下に絞りを施した場合、既存のガラスモールドレンズやプラスチックモールドレンズで構成した場合より、有効光学系の最外部を薄くできる。
これによっても光学特性を高めることができる。
また、さらに第1レンズエレメントをダブレットレンズにして色収差をさらに小さくして、さらに高解像度にすることも可能である。
【0172】
第2レンズ群は、大きくベンディングしていないのが特徴である。
これは、特に第1レンズ群と第3レンズ群が収差補正に大きく寄与するために、第2レンズ群がベンディングする必要がなくなったためである。
大きくベンディングしないために、ARコートが正確に施すことができ、ゴーストやフレアが出にくい。プラスチックモールドレンズのみならず、ガラスモールドレンズや、インジェクションモールドの高耐熱レンズを使うことができる。
また、ガラス基板を使うHYBRIDタイプも使用可能で、ここにおいても、ベンディングが少ないと、レンズの厚みが薄くでき、製造上作りやすくなり、メリットとなる。
【0173】
第3レンズ群は、大きな負のパワーを持ち、入射面が大きく物体側にベンディングする。この曲率中心が絞り近傍に来るために、非点収差とコマ収差を良く補正する。
また、形状が大きく球面形状からずれないために、像高による入射NAに対する非点収差の変化が少なく、明るいレンズが実現できる。
また、出射側面もおおよそ物体側にベンディングして、像側に凸形状を向けた形状になっており、ゴーストが出にくい構造になっている。
また、外周部に至るまでイメージャへの光線入射角が低く抑えられて、カメラの特性として望ましい性能が得られる。
【0174】
群を単位としてみた場合、パワー配置が、正正負の構成をとり、収差をよく補正して、かつ、光路長を短くできる。
ここで、第1レンズ群はハイブリッド(HYBRID)方式のレンズのため、第1エレメントと第2エレメントで別な材料で構成することが可能であり、第1レンズ群のみで色収差をとれる。
次に、第2レンズ群を正のパワー、第3レンズ群を負のパワーで、両者アッベ数30近傍の硝材で構成できる。
また、第3レンズ群は、従来例のように大きく球面形状から外れることがなく、明るくしても、像高による収差の変化がより少なく、より明るいレンズにできる。
【0175】
本発明の実施形態の主たる目的は、特に明るく、高解像度、小型で固定焦点(FF)レンズに最適な光学ユニットを提供することである。
一般的に、3群3枚の従来レンズは、被写界深度が深くFFレンズに最適であることが知られている。
しかし、Fnoを明るくしていくと急激にMTFが劣化して、Fno2.4程度が限界である。さらに光学特性を上げるには4群4枚レンズを採用することが考えられるが、4群4枚レンズは被写界深度が狭く、FFレンズで採用するのは難しい。
本実施形態では、これらの不具合点を克服するのが可能で、3群3枚レンズのように被写界深度が長いがFnoを2.1以下まで明るくできて、高いMTFを確保することが可能である。もちろん暗いレンズでも使用可能である。
【0176】
3群ともハイブリッド(HYBRID)方式のレンズで構成、または、ハイブリッド(HYBRID方式)とキャスティング(Casting)方式の混合で、3群ともウエハー状で製造も可能である。
なお、むしろ本実施形態では、第1レンズ群をウエハー状で作り、個片化してから第2レンズ群と第3レンズ群と組み立てる。
もしくは、第1レンズ群と第2レンズ群をウエハー状で作り個片化してから第3レンズ群と組み立てる、等の手法の法が有力な組み立て方法として採用することが可能である。
なぜなら、3群構成を使う高画素なカメラモジュールでは、ウエハー状で多数個同時に作っても、個々のデフォーカスのばらつきが大きく、個片化後に撮像素子と組み合わせることになり、ウエハー状で最終形を完成させる必要が薄い。
それよりも、第1レンズ群の取り個数を上げるために、1群は、ウエハー状で作り個片化後組み立てたり、SAG量の大きい第3レンズ群は、個々にモールド(Mold)レンズで作製して、製造難易度を下げて、全体を最適化したほうが安価にできる。
【0177】
以下に、組み合わせ可能な構成の概略を列記する。
・ HYBRID + ( mold or casting ) + ( mold or casting )
・ HYBRID + HYBRID + ( mold or casting )
・ HYBRID + HYBRID + HYBIRD
・ HYBRID + ( mold or casting ) + HYBRID
(ここでmoldレンズは、レプリカレンズであってもいい)
(また、HYBRIDは中にダブレット構造レンズを含む場合もある)
【0178】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態によれば、上記ハイブリッド(Hybrid)方式ウエハーオプトと通常のモールド製法により作られたレンズで構成した光学ユニットの両方の利点を併せ持つ。
絞りを第1レンズ群のガラス基板に付着することができ、部品点数を削減でき、安くできる。また、外付け部品のように絞り部に厚みを持たないため、ゴースト要因と周辺光量落ちがなくより光学特性が良くなる。
第1レンズ群のエッジの厚みを薄くできる。光学特性を良くできる。
IRカットフィルタも第1レンズ群のガラス基板に付着することができ、部品点数を削減でき、安くできる。また、外付けIRカットフィルタが要らないために、バックフォーカスを短くすることができ、レンズ設計自由度が上がり、より光学特性が優れたユニットができる。
第1レンズ群にハイブリッド(HYBRID)方式のウエハーオプトを用いるため、表裏でアッベ数の違う材質を使うことができる。
【0179】
どのレンズも球面形状から大きくずれないために、Fnoを明るい側にできる。
第3レンズ群の入射面の曲率が絞り近傍に来るために、非点収差とコマ収差を良く補正する。また、表面形状がうねっておらず、これにより明るくなっても、像高により収差の変化が少なくFnoを明るい側にできる。
第3レンズ群の出射面がおおよそ像面に対して凸形状をしているため、像面(イメージャ)の反射がこの面で反射しても結像することがなく、ゴーストにならない。
また、外周でイメージャへの入射光の入射角が大きくならず、望ましいカメラ特性を有する。
【0180】
第2レンズ群のベンディングが深くベンディングしないのでARコートを正確に付加できゴースト要因にならない。
また、ガラスモールドが使える。温特を止めることができる。
群単位では正正負のパワー構成をとり、第1レンズ群内において、正のパワーでアッベ数の大きい第1エレメント、また、負のパワーでアッベ数の小さい第2エレメントで色補正を行う。そして、第2レンズ群が正のパワー、第3レンズ群が負のパワーをとりおおよそ同じアッベ数の硝材を使い色収差を出さないように構成可能である。また、最後に負のパワーのレンズ系が来るため、光路長を短くできる。
【0181】
投影面積に大きく寄与する第3レンズ群をモールドレンズで構成できるために、投影形状が円形状にでき、個片化してモジュール面積が小さい。
また、この場合スクリュー鏡筒に入れて通常設備でフォーカス調整ができて、通常のコストの安い製造プロセスで製造できる。
第3レンズ群を後で組み立てる場合、第1レンズ群をウエハー内で隙間なく埋めることができ、取り個数を増やせる。これによって全体として安くできる。
3群構成より明るく、4群構成より被写界深度が深いという利点がある。
同等のFnoの場合、3群3枚と同等以上の被写界深度を有し光学全長を短くできる。
これらにより、小型で明るく結像特性に優れた被写界深度の深いレンズ素子が安価に作れる。特に、固定焦点光学系に最適で、アクチュエーター無しで広い被写界深度を持つため、携帯電話、車載等の高い信頼性を求められる商品にも最適で、さまざまな分野で利用可能である。
さらに、高性能にするには入射側第1レンズをダブレットにすることが有用であり、これにより、より色収差を小さくした光学系を構成でき、非常に明るく、かつ、通常の光学系で4枚構成に相当する解像度を実現できる。
【0182】
以上説明したような特徴を有する撮像レンズ100,100A,100B,100C,100Dは、CCDやCMOSセンサ等の撮像素子を用いたデジタルカメラ、特に、携帯電話等の小型電子機器に搭載されるカメラ用レンズとして適用可能である。
【0183】
<7.第7の実施形態>
図20は、本実施形態に係る光学ユニットを含む撮像レンズが採用される撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【0184】
本撮像装置300は、図20に示すように、本実施形態に係る撮像レンズ100,100A,100B,100C、100Dが適用される光学系310、およびCCDやCMOSイメージセンサ(固体撮像素子)が適用可能な撮像デバイス320を有する。
光学系310は、撮像デバイス320の画素領域を含む撮像面に入射光を導き、被写体像を結像する。
撮像装置300は、さらに、撮像デバイス320を駆動する駆動回路(DRV)330、および撮像デバイス320の出力信号を処理する信号処理回路(PRC)340を有する。
【0185】
駆動回路330は、撮像デバイス320内の回路を駆動するスタートパルスやクロックパルスを含む各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータ(図示せず)を有し、所定のタイミング信号で撮像デバイス320を駆動する。
【0186】
また、信号処理回路340は、撮像デバイス320の出力信号に対して所定の信号処理を施す。
信号処理回路340で処理された画像信号は、たとえばメモリなどの記録媒体に記録される。記録媒体に記録された画像情報は、プリンタなどによってハードコピーされる。また、信号処理回路340で処理された画像信号を液晶ディスプレイ等からなるモニターに動画として映し出される。
【0187】
上述したように、デジタルスチルカメラ等の撮像装置において、光学系310として、先述した撮像レンズ100,100A、100B,100C、100Dを搭載することで、低消費電力で、高精度なカメラが実現できる。
【符号の説明】
【0188】
100,100A〜100D・・・撮像レンズ、110,110A〜110D・・・第1レンズ群、120,120A〜120D・・・第2レンズ群、130,130A〜130D・・・第3レンズ群、300・・・撮像装置、310・・・光学系、320・・・撮像デバイス、330・・・駆動回路(DRV)、340・・・信号処理回路(PRC)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像面側に向かって順番に配置された、
第1レンズ群と、
第2レンズ群と、
第3レンズ群と、を有し、
上記第1レンズ群が、物体側から像面側に向かって順番に配置された、
第1レンズエレメントと、
第1透明体と、
第2レンズエレメントと、を含む
光学ユニット。
【請求項2】
上記第2レンズ群のベンディングファクターqL2が下記の条件式を満足する
請求項1記載の光学ユニット。
−10 ≦ qL2 ≦ −0.4 (1)
qL2 = (RL2S2+RL2S1) / (RL2S2−RL2S1)
RL2S1 :第2レンズ群の入力側面S1の曲率半径
RL2S2 :第2レンズ群の出射側面S2の曲率半径
【請求項3】
上記第3レンズ群の近軸量が下記の条件式を満足し、かつ面形状が凹形状を含む
請求項1または2記載の光学ユニット。
−3 ≦ RL3S1/f ≦ −0.2 (2)
RL3S1 : 第3レンズ群の入射側面S1の曲率半径
f :レンズ系の焦点距離
【請求項4】
上記第3レンズ群のレンズ厚みが外周にいくにつれて単調増加する
請求項1から3のいずれか一に記載の光学ユニット。
【請求項5】
少なくとも上記第3レンズ群が、
個別またはウエハー状で成型された後に個片化して、組み立てられることによって形成されている
請求項1から4のいずれか一に記載の光学ユニット。
【請求項6】
上記第1レンズ群が、物体側から像面側に向かって順番に配置された、
第1レンズエレメントと、
第1透明体と、
第2レンズエレメントと、を含んだハイブリッド方式のレンズで形成され、
上記第2レンズ群と上記第3レンズ群が、
レンズ硝材を一体成型したキャスティングまたはモールドによるレンズで形成されている
請求項1から5のいずれか一に記載の光学ユニット。
【請求項7】
上記第1レンズ群が、物体側から像面側に向かって順番に配置された、
第1レンズエレメントと、
第1透明体と、第2レンズエレメントを含んだハイブリッド方式のレンズで形成され、
上記第2レンズ群が、物体側から像面側に向かって順番に配置された、
第3レンズエレメントと、
第2透明体と、
第4レンズエレメントと、を含むハイブリッド方式のレンズで形成され、
上記第3レンズ群が、
レンズ硝材を一体成型したキャスティングもしくはモールドによるレンズで形成されている
請求項1から5のいずれか一に記載の光学ユニット。
【請求項8】
上記第1レンズ群が、物体側から像面側に向かって順番に配置された、
第1レンズエレメントと、
第1透明体と、
第2レンズエレメントを含んだハイブリッド方式のレンズで形成され、
上記第2レンズは、物体側から像面側に向かって順番に配置された、
第3レンズエレメントと、
第2透明体と、
第4レンズエレメントと、を含むハイブリッド方式のレンズで形成され、
上記第3レンズ群は、物体側から像面側に向かって順番に配置された、
第5レンズエレメントと、
第3透明体と、
第6レンズエレメントを含んだハイブリッド方式のレンズで形成されている
請求項1から5のいずれか一に記載の光学ユニット。
【請求項9】
上記第1レンズ群の焦点距離fg1、上記第2レンズ群の焦点距離fg2、および上記第3レンズ群の焦点距離fg3が下記の条件式を満足する
請求項1から8のいずれか一に記載の光学ユニット。
0.5 ≦ fg1/f ≦ 1.5 (3)
0.5 ≦ fg2/f ≦ 50 (4)
−5 ≦ fg3/f ≦ −0.3 (5)
f : 全体の焦点距離
【請求項10】
画角が下記の条件式を満足する
請求項1から9のいずれか一に記載の光学ユニット。
20 ≦ ω ≦ 40 (6)
ω :半画角
【請求項11】
上記第1レンズエレメントのアッベ数νE1および第2レンズエレメントのアッベ数νE2が下記の条件式を満足する
請求項1から10のいずれか一に記載の光学ユニット。
45 ≦ νE1 ≦ 90 (7)
20 ≦ νE2 ≦ 60 (8)
νE1:第1レンズエレメントのアッベ数
νE2:第2レンズエレメントのアッベ数
【請求項12】
レンズ系のFナンバーが下記の条件式を満足する
請求項1から11のいずれか一に記載の光学ユニット。
1.0 ≦ Fno ≦ 3.0 (9)
【請求項13】
レンズ系の光学長TTが下記の条件式を満足する
請求項1から12のいずれか一に記載の光学ユニット。
0.8 ≦ TT/f ≦ 1.5 (10)
f : 全体の焦点距離
【請求項14】
レンズ系のバックフォーカスBFが下記の条件式を満足する
請求項1から13のいずれか一に記載の光学ユニット。
0.01 ≦ BF ≦ 0.6 (11)
【請求項15】
上記第1レンズエレメントと上記第2レンズエレメントがダブレットレンズを形成している
請求項1から14のいずれか一に記載の光学ユニット。
光学ユニット。
【請求項16】
ダブレットを形成する第1レンズエレメントが両凸形状で第2レンズエレメントが凹平形状である
請求項15記載の光学ユニット。
【請求項17】
第1レンズエレメントのアッベ数が第2レンズエレメントのアッベ数より大きい
請求項16記載の光学ユニット。
【請求項18】
撮像素子と、
撮像素子に被写体像を結像する光学ユニットと、を有し、
上記光学ユニットは、
物体側から像面側に向かって順番に配置された、
第1レンズ群と、
第2レンズ群と、
第3レンズ群と、を含み、
上記第1レンズ群が、物体側から像面側に向かって順番に配置された、
第1レンズエレメントと、
第1透明体と、
第2レンズエレメントと、を含む
撮像装置。
【請求項19】
撮像素子と、
撮像素子に被写体像を結像する光学ユニットと、を有し、
上記光学ユニットは、
物体側から像面側に向かって順番に配置された、
第1レンズ群と、
第2レンズ群と、
第3レンズ群と、を含み、
上記第1レンズ群が、物体側から像面側に向かって順番に配置された、
第1レンズエレメントと、
透明体と、
第2レンズエレメントと、を含み、
上記第1レンズエレメントと上記第2レンズエレメントがダブレットレンズを形成している
撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−203313(P2011−203313A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67968(P2010−67968)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】