説明

光学材料用成形体

【課題】液晶表示装置等に用いた場合に、光弾性係数の絶対値が小さく、成形安定性に優れる光学材料用成形体を提供する。
【解決手段】アクリル系化合物25重量%以上85重量%以下、芳香族ビニル系化合物10重量%以上50重量%以下、六員環酸無水物5重量%以上25重量%以下からなるアクリル系樹脂 100重量部(a)と紫外線吸収剤 0.1重量部以上10重量部以下(b)及び熱安定剤 0.1重量部以上10重量部以下 (c)とを含む樹脂組成物を特定の割合で重量%配合することを特徴とする光学材料用成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学特性に優れた光学材料用成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ディスプレイ市場の拡大に伴い、より画像を鮮明に見たいという要求が高まっており、単なる透明材料ではなく、より高度な光学特性が付与された光学材料が求められている。
現在、表示素子として広く用いられている液晶ディスプレイにおいては、液晶を構成する液晶素子や偏光板を構成する偏光子が紫外線により劣化するため、液晶や偏光板近傍に用いられる光学フィルムには紫外線吸収能が要求される。また、高分子は分子主鎖方向とそれに垂直方向とで屈折率が異なるために複屈折を生じる。用途によっては、この複屈折を厳密にコントロールすることが求められており、液晶の偏光板に用いられる保護フィルムの場合は、全光線透過率が同じであっても複屈折がより小さい高分子材料成形体が必要とされる。この用途ではセルローストリアセテート、ポリ乳酸のフィルムを偏光板保護フィルムに検討した例が知られており(特許文献1参照)、セルローストリアセテートが代表的な材料として挙げられる。一方、液晶ディスプレイにおいて偏光板により偏光された光を円偏光にかえる機能を持つ1/4波長板等の位相差フィルムには、高分子材料成形体に意識的に複屈折を生じさせることで機能を付与しており、ポリカーボネート等が代表的な材料として挙げられる。
【0003】
近年、液晶ディスプレイの大型化に伴い、それに必要な高分子光学材料成形品が大型化するにつれて、外力の偏りによって生じる複屈折の分布を小さくするために、外力による複屈折の変化、即ち光弾性係数の小さい材料が求められている。しかし、現在光学フィルムとして一般的に用いられているセルロースアセテートやポリカーボネートは、光弾性係数が大きくこれらの要求に対しては満足のゆくものではない。
【0004】
そこでこれらに代わる光弾性係数の小さい複屈折性光学材料が切望されている。アクリル系樹脂に添加剤を併用し光学特性を制御した技術として、グルタル酸無水物単位を含有するガラス転移温度が120℃以上のアクリル系樹脂に低分子化合物を添加し複屈折を制御したことが示されている(特許文献2参照)。しかし、光弾性係数については示唆されておらず、光弾性係数の絶対値が小さく、さらなる成形加工性が向上した光学材料が求められている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−82223号公報
【特許文献2】特開2006−241197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、光弾性係数の絶対値が小さく、成形安定性に優れる光学材料用成形体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは前記課題に対して鋭意検討を行った結果、特定の組成比からなるアクリル系樹脂(a)と紫外線吸収剤(b)及び熱安定性剤(c)とを含む樹脂組成物を、特定の割合で配合して製造することにより、光弾性係数の絶対値が小さく、成形安定性に優れた光学材料用成形体を提供できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
即ち本発明は、
(1)アクリル系化合物単位25質量%以上85質量%以下、芳香族ビニル系化合物単位10質量%以上50質量%以下、六員環酸無水物単位5質量%以上25質量%以下からなるアクリル系樹脂(a)と、
紫外線吸収剤(b)及び熱安定剤(c)と、を含む樹脂組成物からなる少なくとも一方向に延伸された光学材料用成形体であって、
前記アクリル系樹脂(a)100質量部に対して、前記紫外線吸収剤(b)が0.1質量部以上10質量部以下、及び前記熱安定剤(c)が0.1質量部以上10質量部以下である光学材料用成形体
(2)前記六員環酸無水物単位が、式[1]で表される六員環酸無水物単位である(1)に記載の光学材料用成形体
式[1]
【化1】

(式中、R1、R2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
(3)光弾性係数の絶対値が3.0×10-12/Pa以下である(1)又は(2)に記載の光学材料用成形体
(4)前記紫外線吸収剤(b)がベンゾトリアゾール系化合物又はベンゾトリアジン系化合物であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の光学材料用成形体
(5)前記熱安定剤(c)がヒンダードフェノール系酸化防止剤又はリン系加工安定剤である(1)〜(4)のいずれかに記載の光学材料用成形体
(6)少なくとも一方向の延伸倍率が0.1%以上300%以下である(1)〜(5)のいずれかに記載の光学材料用成形体
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の光学材料用成形体からなる偏光板保護フィルム
(8)(1)〜(6)のいずれかに記載の光学材料用成形体からなる位相差フィルム
(9)アクリル系化合物単位25質量%以上85質量%以下、芳香族ビニル系化合物単位10質量%以上50質量%以下、六員環酸無水物単位5質量%以上25質量%以下からなるアクリル系樹脂(a)に、紫外線吸収剤(b)及び熱安定剤(c)を添加し、樹脂組成物を得る工程と、
前記樹脂組成物を、少なくとも一方向に延伸させる工程と、を含む光学材料用成形体の製造方法であって、
前記アクリル系樹脂(a)100質量部に対して、前記紫外線吸収剤(b)が0.1質量部以上10質量部以下、及び前記熱安定剤(c)が0.1質量部以上10質量部以下である製造方法
を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、光弾性係数の絶対値が小さく、成形安定性に優れた光学材料用成形体を提供することができる。
また、液晶表示装置等に用いた場合、光弾性係数の絶対値が小さいために色再現性、画面の均一性、コントラストに優れる光学材料用成形体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を、望ましい実施の形態とともに詳細に説明するが、本発明はこれらの態様に限定されるものではない。
【0011】
本発明の光学材料用成形体は、アクリル系樹脂(a)と、紫外線吸収剤(b)及び熱安定剤(c)とを含む樹脂組成物からなる少なくとも一方向に延伸された光学材料用成形体である。
【0012】
本発明で用いるアクリル系樹脂(a)は、アクリル系化合物単位と芳香族ビニル系化合物単位、六員環酸無水物単位からなる共重合体である。
【0013】
アクリル系化合物単位としては、メタクリル系単量体やアクリル系単量体等に由来する単位が挙げられ、メタクリル系単量体やアクリル系単量体((メタ)アクリル系単量体)としては、メタクリル酸、アクリル酸、及びこれらの誘導体をいい、好ましくはメタクリル酸、メタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルである。
【0014】
メタクリル酸エステルの具体例としては、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、及びメタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル等が挙げられ、代表的なものはメタクリル酸メチルである。
【0015】
アクリル酸エステルの具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、及びアクリル酸フェニル等が挙げられる。
【0016】
上記(メタ)アクリル系単量体は一種又は二種以上組み合わせて使用することもできる。
【0017】
メタクリル酸を含有する場合は、アクリル系樹脂(a)中2質量%以上20質量%以下が好ましく、2質量%以上15質量%以下がより好ましく、3質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。
【0018】
芳香族ビニル系化合物単位としては、スチレン系化合物単量体やイソプロペニルベンゼン系化合物単量体等に由来する単位が挙げられる。
【0019】
スチレン系化合物単量体の具体例としては、スチレンの他、例えば、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、p−エチルスチレン、m−エチルスチレン、о−エチルスチレン、及びp−tert−ブチルスチレン等のアルキル置換スチレン類等;1,1−ジフェニルエチレン等が挙げられ、代表的なものはスチレンである。
【0020】
イソプロペニルベンゼン系化合物単量体の具体例としては、例えば、イソプロペニルベンセン(α−メチルスチレン)、イソプロペニルトルエン、イソプロペニルエチルベンゼン、イソプロペニルプロピルベンゼン、イソプロペニルブチルベンゼン、イソプロペニルペンチルベンゼン、イソプロペニルヘキシルベンゼン、及びイソプロペニルオクチルベンゼン等のアルキル置換イソプロペニルベンゼン類等が挙げられ、代表的なものはイソプロペニルベンゼンである。
【0021】
上記スチレン系化合物単量体やイソプロペニルベンゼン系化合物単量体等は、一種又は二種以上組み合わせて使用することもできる。
【0022】
六員環酸無水物単位としては、その構造中に五又は六員環を有する単位であればいかなる単位であってもよく、不飽和カルボン酸単量体及び、必要に応じて不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体の分子内又は分子間環化反応によって得られる化合物等に由来する単位が挙げられる。六員環構造の酸無水物単位を生成するための不飽和カルボン酸単量体の具体例としては、例えば、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及び桂皮酸等が挙げられ、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体の具体例としては、例えば、メタクリル酸メチル及びアクリル酸メチル等が挙げられる。
上記不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体は一種又は二種以上組み合わせて使用することもできる。
【0023】
六員環酸無水物単位としては、式[1]で表される六員環酸無水物単位であることが好ましい。
式[1]
【化1】

(式中、R1、R2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
【0024】
耐熱性、光弾性係数の観点から、アクリル系樹脂(a)中のアクリル系化合物単位が25質量%以上85質量%以下、芳香族ビニル系化合物単位が10質量%以上50質量%以下、六員環酸無水物単位が5質量%以上25質量%以下である。
好ましくは、アクリル系樹脂(a)中のアクリル系化合物単位が40質量%以上75質量%以下、芳香族ビニル系化合物単位が15質量%以上40質量%以下、六員環酸無水物単位が10質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは、アクリル系樹脂(a)中のアクリル系化合物単位が45質量%以上68質量%以下、芳香族ビニル系化合物単位が20質量%以上37質量%以下、六員環酸無水物単位が12質量%以上18質量%以下である。
【0025】
アクリル系樹脂(a)を製造する方法としては、例えばキャスト重合、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、及びアニオン重合等の一般に行われている重合方法を用いることができる。中でも、光学用途としては不都合な微小異物の混入を低減することが可能であるため、懸濁剤や乳化剤を用いない塊状重合や溶液重合が好ましい。
溶液重合を行う場合には、単量体の混合物をトルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素の溶媒に溶解して調製した溶液を用いることができる。塊状重合により重合させる場合には、通常行われるように加熱により生じる遊離ラジカルや電離性放射線照射により重合を開始させることができる。
【0026】
重合反応に用いられる開始剤としては、ラジカル重合において用いられる任意の開始剤を使用することができ、例えば、アゾビスイソブチルニトリル等のアゾ化合物等;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物等を用いることができる。
90℃以上の高温下で重合を行う場合には、溶液重合が一般的であるので、開始剤としては、10時間半減期温度が80℃以上で、かつ用いる有機溶媒に可溶である過酸化物、アゾビス開始剤等を用いることが好ましい。具体的には、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、シクロヘキサンパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、及び2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等を挙げることができる。これらの開始剤は、例えば、全体のモノマー100質量%に対して、0.005〜5質量%の範囲で用いることが好ましい。
【0027】
重合反応に必要に応じて用いられる分子量調節剤としては、ラジカル重合において一般に用いられる任意のものが使用でき、例えば、ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、及びチオグリコール酸2−エチルヘキシル等のメルカプタン化合物等が挙げられる。
【0028】
六員環酸無水物単位を含むアクリル系樹脂(a)は、例えば、特公平02−26641号公報、特開2006−265543号公報、特開2006−274069号公報、特開2006−274071号公報、特開2006−283013号公報に記載の方法を参照して、製造することができる。
アクリル系樹脂(a)の収率・性能向上を目的として、重合条件を調整することが好ましい。このような重合条件の調整としては、例えば、重合時の熱履歴を抑えて熱的処理時間を短くすること、重合時に重合系内に存在する酸素量を低減すること、低分子量物の脱揮時の真空度を高くすること等が挙げられる。
【0029】
アクリル系樹脂(a)は、ブロックポリマーであってもランダムポリマーであってもよく、耐熱性や剛性やリサイクル性の観点では、統計的ランダムポリマーであることが好ましい。
【0030】
アクリル系樹脂(a)の分子量分布範囲は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.6〜4.0の範囲にあることが好ましい。より好ましくは、1.7〜3.7であり、さらに好ましくは1.8〜3.5の範囲である。Mw/Mnが、1.6より小さいと、樹脂のフィルム加工性と機械物性のバランスが悪くなる。一方、Mw/Mnが4.0より大きくなると、溶融流動性が悪くなり、加工性が悪くなる。
Mw/Mnの制御方法としては、例えば連続重合法により反応器内の撹拌羽根の回転数を制御することにより1.6〜2.3の範囲のアクリル系樹脂(a)を得ることができる。また、高分子量体成分を溶液又は溶融ブレンドすることによってMw/Mnを2.0〜4.0の間に制御できる。
本発明でいう重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算によって求めた値のことである。
GPCにより測定した重量平均分子量(Mw)は、好ましくは5万〜50万、より好ましくは10〜35万、さらに好ましくは15〜30万である。重量平均分子量が50万以下のアクリル系樹脂(a)を用いることで、押出し延伸加工に十分な流動性が得られ、溶融押出、延伸成膜が大きな支障がなく行え、また重量平均分子量が5万以上のアクリル系樹脂(a)を用いることで、延伸安定性とフィルムに十分な配向度を与えることができる。
【0031】
紫外線吸収剤(b)としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾトリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、フェノール系化合物、オキサゾール系化合物、マロン酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物、ラクトン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、及びベンズオキサジノン系化合物等が挙げられ、好ましくはベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾトリアジン系化合物である。これらを単独で用いても、2種以上併用して用いても構わない。
【0032】
紫外線吸収剤(b)は、20℃における蒸気圧(P)が1.0×10-4Pa以下である場合に成形加工性に優れる。好ましい範囲は蒸気圧(P)が1.0×10-6Pa以下であり、より好ましい範囲は蒸気圧(P)が1.0×10-8Pa以下である。成形加工性に優れるとは、例えば、フィルム成形時に、低分子化合物のロールへの付着が少ないこと等を示す。例えば、低分子化合物がロールへ付着すると、光学材料用成形体表面へロールを介して低分子化合物が付着し、光学材料用成形体の外観、光学特性を悪化させるため、光学材料として好ましくないものとなる。
紫外線吸収剤(b)は、融点(Tm)が80℃以上である場合に成形加工性に優れる。好ましい範囲は融点(Tm)が130℃以上であり、より好ましい範囲は融点(Tm)が160℃以上である。
紫外線吸収剤(b)は、23℃から260℃まで20℃/minの速度で昇温した場合の紫外線吸収剤(b)の重量減少率が50%以下である場合に成形加工性に優れる。好ましい範囲は重量減少率が15%以下であり、より好ましい範囲は重量減少率が2%以下である。
【0033】
本発明の光学材料用成形体は、380nmにおける分光透過率が5%以下、かつ400nmにおける分光透過率が65%以上であることが好ましい。紫外領域である380nmの分光透過率が低いほど偏光子や液晶素子の劣化を防ぎ、可視領域である400nm分光透過率が高いほど色再現性に優れるため、光学フィルムとして好ましく用いることができる。この範囲内に設計するには、紫外線吸収剤(b)の量が、アクリル系樹脂(a)100質量部に対し、0.1質量部以上10質量部以下であることが必要である。0.1質量部より多いと、380nmにおける分光透過率が小さくなり、10質量部より少ないと光弾性係数の増加が小さく、成形加工性、機械強度も向上する。紫外線吸収剤(b)の量の好ましい範囲は、0.3質量部以上8質量部以下、より好ましい範囲は0.5質量部以上5質量部以下である。
紫外線吸収剤(b)の量は、核磁気共鳴装置(NMR)によりプロトンNMRを測定し、ピークシグナルの積分値の比から求める方法や、良溶媒を用い樹脂から抽出後、ガスクロマトグラフ(GC)で測定する方法等により定量できる。
【0034】
熱安定剤(c)としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤又はリン系加工安定剤等の酸化防止剤等が挙げられ、好ましくはヒンダードフェノール系酸化防止剤である。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、ペンタエリスリトールテラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N'−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド]、3,3',3'',5,5',5''−ヘキサ−tert−ブチル−a,a',a''−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリン)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミン)フェノール等が挙げられ、より好ましくは、ペンタエリスリトールテラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]である。
フィルムの成形熱安定性を向上させるためには、熱安定剤(c)の量が、アクリル系樹脂(a)100質量部に対し、0.1質量部以上10質量部以下であることが必要である。0.1質量部より多いとフィルム成形時に溶融流動性が向上し成形性が安定化し、10質量部より少ないと透明性、機械的強度が安定する。熱安定剤(c)の量の好ましい範囲は、0.3質量部以上8質量部以下、より好ましい範囲は0.5質量部以上5質量部以下である。
【0035】
本発明における「光弾性係数」とは、外力による複屈折の変化の生じやすさを表す係数で、下式により定義される。
R[/Pa]=Δn/σR
ここで、σRは伸張応力[Pa]、Δnは応力付加時の複屈折であり、Δnは下式により定義される。
Δn=n1−n2
ここで、n1は伸張方向と平行な方向の屈折率、n2は伸張方向と垂直な方向の屈折率である。
光弾性係数の値がゼロに近いほど外力による複屈折の変化が小さいことを示している。光弾性係数の絶対値は3.0×10-12/Pa以下であることが好ましく、1.0×10-12/Pa以下であることがより好ましい。光弾性係数がこの範囲内であれば、応力による複屈折の変化が少ないため、液晶表示装置等に使用した場合にコントラストや画面の均一性に優れる。本発明においては、紫外線吸収剤(b)の量と延伸倍率を好ましい範囲に設計すると、光弾性係数の絶対値を好ましい範囲に制御できる。
【0036】
本発明の光学材料用成形体には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の重合体を混合することができる。このような重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、並びにポリアセタール等の熱可塑性樹脂、及びフェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、並びにエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
【0037】
また、本発明の光学材料用成形体には、本発明の目的を損なわない範囲内で、各種目的に応じて任意の添加剤を配合することができる。添加剤の種類は、樹脂やゴム状重合体の配合に一般的に用いられるものであれば特に制限はない。二酸化珪素等の無機充填剤、酸化鉄等の顔料、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロアミド等の滑剤、離型剤、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、パラフィン、有機ポリシロキサン、ミネラルオイル等の軟化剤・可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤、着色剤、その他添加剤或いはこれらの混合物等が挙げられる。
【0038】
本発明における光学材料用成形体の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法が利用できる。例えば単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、各種ニーダー等の溶融混練機を用いて樹脂組成物を製造することができる。本発明の光学材料用成形体の形態がフィルム又はシートである場合は、その後、Tダイ、円形ダイ等が装着された押出機等を用いて、未延伸フィルムまたはシートを押し出し成形することにより製造することができる。押し出し成形により成形品を得る場合は、事前にアクリル系樹脂(aと紫外線吸収剤(b)、熱安定剤(c)を溶融混錬した材料を用いることもできれば、押し出し成形時に溶融混錬を経て成形することもできる。
【0039】
本発明における光学材料用成形体は、未延伸成形体を少なくとも一方向に延伸することにより得られる。延伸方法は特に制限されるものではなく、機械的流れ方向(MD)に縦一軸延伸、機械的流れ方向に直行する方向(TD)に横一軸延伸する方法等が利用できる。例えば、工業的には、ロール延伸又はテンター延伸による一軸延伸法、ロール延伸とテンター延伸の組み合わせによる逐次2軸延伸法、テンター延伸による同時2軸延伸法、チューブラー延伸による2軸延伸法等によって延伸フィルムを製造することができる。延伸倍率は、少なくとも一方向に0.1%以上300%以下であることが好ましい。より好ましくは、1%以上200%以下であり、さらに好ましくは10%を超えて130%を超えない範囲である。この範囲に設計することにより、光弾性係数、機械強度において好ましい延伸成形体が得られる。
本発明における光学材料用成形体の厚さは300μm以下であり、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上である。
【0040】
本発明においては、アクリル系樹脂(a)と紫外線吸収剤(b)の組成、延伸倍率及び光学材料用成形体の厚みを好ましい範囲内に設計することにより、平面レタデーション(Re)を制御することができる。
平面レタデーション(Re)は下式により定義されるものである。
Re=(nx−ny)×d
(式中、nx、ny:平面の主屈折率、d:厚み)
本発明の光学材料用成形体からなる偏光板保護フィルムとする場合には、光学材料用成形体のReの絶対値は、好ましくは0nm以上50nm以下であり、より好ましくは30nm以下、さらに好ましくは10nm以下、とりわけ好ましくは5nm以下である。
本発明の光学材料用成形体からなる1/4波長板とする場合には、光学材料用成形体のReの絶対値は、好ましくは100nm以上180nm以下、より好ましくは120nm以上160nm以下、さらに好ましくは130nm以上150nm以下である。
【0041】
延伸倍率は、得られた延伸フィルムをガラス転移温度よりも20℃以上高い温度で収縮させ以下の関係式から延伸倍率を決定できる。
延伸倍率(%)=[(収縮前の長さ/収縮後の長さ)−1]×100
また、ガラス転移温度はDSC法や粘弾性法により求めることができる。
【0042】
また、本発明は、アクリル系樹脂(a)と、紫外線吸収剤(b)及び熱安定剤(c)とを含む樹脂組成物からなる少なくとも一方向に延伸された光学材料用成形体の製造方法にも関する。
本発明の光学材料用成形体の製造方法は、アクリル系化合物単位25質量%以上85質量%以下、芳香族ビニル系化合物単位10質量%以上50質量%以下、六員環酸無水物単位5質量%以上25質量%以下からなるアクリル系樹脂(a)に、紫外線吸収剤(b)及び熱安定剤(c)を添加し、樹脂組成物を得る工程と、前記樹脂組成物を、少なくとも一方向に延伸させる工程とを含む光学材料用成形体の製造方法である。
本発明の製造方法により得られる光学材料用成形体は、アクリル系樹脂(a)100質量部に対して、紫外線吸収剤(b)が0.1質量部以上10質量部以下、及び熱安定剤(c)が0.1質量部以上10質量部以下で樹脂組成物を得て製造されるので、光弾性係数の絶対値が小さく、成形安定性に優れた光学材料用成形体である。
[実施例]
【0043】
次に実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
実施例で用いた評価方法について述べる。
<評価方法>
(1)光弾性係数(CR)の測定
測定光の経路に引張装置(井元製作所製)を配置し、試験片に伸張応力をかけながらその複屈折をRets−RFI(大塚電子製)を用いて測定した。伸張時の歪速度は0.3%/分(チャック間:30mm、チャック移動速度0.1mm/分)、試験片幅は10mmとした。25℃、試験片の0〜0.5%の歪範囲における複屈折の絶対値(|Δn|)をy軸、伸張応力(σR)をx軸としてプロットし、最小二乗近似により線形領域の直線の傾きを求め、光弾性係数の絶対値(|CR|)を計算した。
(2)平面レタデーション(Re)の測定
大塚電子(株)社製複屈折測定装置RETS−100を用いて、回転検光子法により25℃における平面レタデーション(Re)を測定した。
(3)分光透過率
日立製作所製U−3310を用いて分光スペクトルを測定し、380nmにおける透過率を求めた。
(4)ガラス転移温度(Tg)測定
DSC−7型(パーキン・エルマー社製)を用い、室温から200℃までの昇温測定において、昇温速度20℃/分で原反フィルムサンプル重量8.0〜10mgのTgを測定した。
(5)フィルム膜厚の測定
マイクロメーター(ミツトヨ製)を用いて各延伸フィルムの中央部を測定した。
(6)フィルム成形評価法
◎:溶融粘度が低下し低温加工が可能になり、成形性が非常に良好である。
○:溶融粘度が低下し低温加工が可能になり、成形性が良好である。
△:溶融粘度が上昇し高温加工でないと成形性が安定化しない。
【0044】
(1)アクリル系樹脂(a)
(原料I)アクリル系樹脂(メタクリル酸メチル−スチレン−メタクリル酸−六員環酸無
水物)の調製
メタクリル酸メチル35wt%、スチレン25wt%、メタクリル酸20wt%、メタキシレン20wt%、パーヘキサC(1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン)50ppm、n−オクチルメルカプタン1500ppmからなる混合液を調製し、これを1.5L/hrの速度で連続して内容量3Lのジャケット付き、完全混合反応器に供給して、125℃の温度で重合を行った。さらに、重合液を260℃に設定した高温脱気装置へ連続して供給し、2時間滞留、脱気環化させ未反応物の除去及び六員環酸無水物の生成を行った。このアクリル系樹脂の中和滴定、IRスペクトル、13CNMRによる組成分析結果は、メタクリル酸メチル単位45wt%、スチレン単位30wt%、六員環酸無水物単位18wt%、メタクリル酸単位7wt%であった。得られたアクリル系樹脂のメルトフローレート値(ASTM−D1238;230℃、3.8kg荷重)は、1.1g/10分であり、Tg=135℃であった。
【0045】
(原料II)アクリル系樹脂(メタクリル酸メチル−α-メチルスチレン−メタクリル酸−六員環酸無水物)の調製
メタクリル酸メチル48wt%、α-メチルスチレン6wt%、メタクリル酸6wt%、t−ブタノール40wt%、1,1−ジ−tert−ブチルパ−オキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン500ppm、n−オクチルメルカプタン200ppmからなる混合液を調製し、これを1.5L/hrの速度で連続して内容量3Lのジャケット付き、完全混合反応器に供給して、125℃の温度で重合を行った。さらに、重合液を260℃に設定した高温脱気装置へ連続して供給し、2時間滞留、脱気環化させ未反応物の除去及び六員環無水物の生成を行った。この重合体の中和滴定、IRスペクトル、13CNMRによる組成分析結果は、メタクリル酸メチル単位80wt%、α−メチルスチレン単位11wt%、六員環酸無水物単位6wt%、メタクリル酸単位3wt%であった。得られたアクリル系樹脂のメルトフローレート値(ASTM−D1238;230℃、3.8kg荷重)は、1.5g/10分であり、Tg=132℃であった。
【0046】
(2)紫外線吸収剤(b)
ベンゾトリアゾール系化合物である旭電化(株)社製アデカスタブLA−31(融点(
Tm):195℃)を用いた。理学電気(株)社製ThermoPlus TG8120
を用いて、23℃から260℃まで20℃/minの速度で昇温した場合の重量減少率を
測定したところ、0.03%であった。
【0047】
(3)熱安定剤(c)
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製のIRGANOX1010(白色粉末、融点(Tm):110−125℃、蒸気圧:1.3×10-10Pa(20℃))を用いた。
【0048】
[実施例1〜4及び比較例1、2]
プラスチック工学研究所製Tダイ装着押し出し機(BT−30−C−36−L型/幅400mmTダイ装着/リップ厚0.8mm)を用いて、スクリュー回転数、押し出し機のシリンダー内樹脂温度、Tダイの温度を調整し押出し成形をすることにより未延伸フィルムを得た。フィルムの流れ(押し出し方向)をMD方向、MD方向に垂直な方向をTD方向とした。実施例1〜4においては、各樹脂とLA−31及びIRGANOX1010をドライブレンドし、押出し成形を行った。
次に、得られた未延伸フィルムの縦(MD方向)一軸延伸を、市金工業社製ロール式縦延伸機を用いて行った。目標とする設定延伸倍率にするために二つのロール(低速側ロール/高速側ロール)の回転速度を変えてロール間で延伸を行った。引き続き、得られた縦一軸延伸フィルムの横(TD方向)延伸を、市金工業社製テンター延伸機を用いて行った。目標とする設定延伸倍率にするために流れ速度2m/分で、テンターチャック間の距離を変えて延伸を行った。配合、成形条件、フィルム光学特性を表1に示した。
[実施例1]
【0049】
原料Iに対し、LA−31(1.5重量部)、IRGANOX1010(1.0重量部)を混
合し、原反フィルムを作成した。その後、MD方向に100%、TD方向に100%延伸を行い、二軸延伸フィルムを得た。
[実施例2]
【0050】
原料Iに対し、LA−31(1.0重量部)、IRGANOX1010(0.5重量部)を混
合し、原反フィルムを作成した。その後、MD方向に100%の延伸を行い、一軸延伸フィルムを得た。
[実施例3]
【0051】
原料IIに対し、LA−31(1.5重量部)、IRGANOX1010(1.0重量部)を混合し、原反フィルムを作成した。その後、MD方向に50%、TD方向に50%延伸を行い、二軸延伸フィルムを得た。
[実施例4]
【0052】
原料IIに対し、LA−31(1.0重量部)、IRGANOX1010(0.5重量部)を混合し、原反フィルムを作成した。その後、MD方向に100%の延伸を行い、一軸延伸フィルムを得た。
【0053】
(比較例1)
LA−31及びIRGANOX1010を混合しなかった以外は、実施例1と同様に行った。
【0054】
(比較例2)
LA−31及びIRGANOX1010を混合しなかった以外は、実施例3と同様に行った。
【0055】
実施例1〜4においては、アクリル系樹脂、LA−31、IRGANOX1010の特定の組成比で配合することにより、光弾性係数の絶対値が小さく、フィルムの成形安定性に優れた樹脂組成物が得られた。また、延伸加工を制御することにより、実施例1、3では、平面レタデーションが小さく偏光板保護フィルムが得られた。さらに、実施例2、4では、平面レタデーションがλ/4(nm)付近であり、位相差フィルムに適している。
比較例1では、LA−31を混合していないため、380nmの分光透過性が89%であり、IRGANOX1010を混合していないため、フィルム成形時、250℃以上でないとフィルム成形が安定化しなかった。
また、比較例2では、LA−31を混合していないため、光弾性係数の絶対値が3.0×10―12/Paより大きくなり、IRGANOX1010を混合していないため、フィルム成形時、250℃以上でないとフィルム成形が安定化しなかった。
【0056】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の光学材料用成形体は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等のディスプレイに用いられる導光板、拡散板、偏光板保護フィルム、1/4波長板、1/2波長板、視野角制御フィルム、液晶光学補償フィルム等の位相差フィルム、ディスプレイ前面板、ディスプレイ基盤、レンズ、タッチパネル等、また、太陽電池に用いられる透明基盤等への利用可能性を有する。その他にも、光通信システム、光交換システム、光計測システムの分野において、導波路、レンズ、光ファイバー、光ファイバーの被覆材料、LEDのレンズ、レンズカバー等にも利用することができる。本発明の光学材料用成形体は、例えば反射防止処理、透明導電処理、電磁波遮蔽処理、ガスバリア処理等の表面機能化処理をすることもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル系化合物単位25質量%以上85質量%以下、芳香族ビニル系化合物単位10質量%以上50質量%以下、六員環酸無水物単位5質量%以上25質量%以下からなるアクリル系樹脂(a)と、
紫外線吸収剤(b)及び熱安定剤(c)と、を含む樹脂組成物からなる少なくとも一方向に延伸された光学材料用成形体であって、
前記アクリル系樹脂(a)100質量部に対して、前記紫外線吸収剤(b)が0.1質量部以上10質量部以下、及び前記熱安定剤(c)が0.1質量部以上10質量部以下である光学材料用成形体。
【請求項2】
前記六員環酸無水物単位が、式[1]で表される六員環酸無水物単位である請求項1に記載の光学材料用成形体。
式[1]
【化1】

(式中、R1、R2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
【請求項3】
光弾性係数の絶対値が3.0×10-12/Pa以下である請求項1又は2に記載の光学材料用成形体。
【請求項4】
前記紫外線吸収剤(b)がベンゾトリアゾール系化合物又はベンゾトリアジン系化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学材料用成形体。
【請求項5】
前記熱安定剤(c)がヒンダードフェノール系酸化防止剤又はリン系加工安定剤である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学材料用成形体。
【請求項6】
少なくとも一方向の延伸倍率が0.1%以上300%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学材料用成形体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学材料用成形体からなる偏光板保護フィルム。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学材料用成形体からなる位相差フィルム。
【請求項9】
アクリル系化合物単位25質量%以上85質量%以下、芳香族ビニル系化合物単位10質量%以上50質量%以下、六員環酸無水物単位5質量%以上25質量%以下からなるアクリル系樹脂(a)に、紫外線吸収剤(b)及び熱安定剤(c)を添加し、樹脂組成物を得る工程と、
前記樹脂組成物を、少なくとも一方向に延伸させる工程と、を含む光学材料用成形体の製造方法であって、
前記アクリル系樹脂(a)100質量部に対して、前記紫外線吸収剤(b)が0.1質量部以上10質量部以下、及び前記熱安定剤(c)が0.1質量部以上10質量部以下である製造方法。

【公開番号】特開2008−291136(P2008−291136A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−138909(P2007−138909)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】