説明

光学材料用樹脂組成物、光学材料用樹脂フィルム及びこれらを用いた光導波路

【課題】1310nmの波長において高透明性を有し、かつ高価なフッ素含有樹脂を用いない光学材料用樹脂組成物、該樹脂組成物を用いた光学材料用樹脂フィルム及びこれを用いた光導波路を提供すること。
【解決手段】(A)ベースポリマー、(B)光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤を含有し、(A)成分の繰り返し単位中及び(B)成分の骨格中に水酸基、アミノ基、カルボキシル基、及びフッ素基を含まず、(A)成分の繰り返し単位中及び(B)成分の骨格中のいずれかに芳香族炭化水素基を含み、(A)成分の繰り返し単位中及び(B)成分の骨格中のいずれかに脂肪族炭化水素基及び/又は脂環式炭化水素基を含み、脂肪族炭化水素基及び脂環式炭化水素基の合計と、芳香族炭化水素基の合計の割合が80:20〜5:95(モル比)の範囲内である光学材料用樹脂組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長1310nmにおいて透明性に優れた光学材料用樹脂組成物、光学材料用樹脂フィルム及びこれを用いた光導波路に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットやLAN(Local Area Network)の普及に伴う情報容量の増大に対応するため、幹線やアクセス系といった通信分野のみならず、ルータやサーバ装置内のボード間あるいはボード内の短距離信号伝送にも光信号を用いる光インターコネクション技術の開発が進められている。この場合の光伝送路としては、光ファイバーに比べ、配線の自由度が高く、かつ高密度化が可能な光導波路を用いることが望ましく、中でも、加工性や経済性に優れたポリマー材料を用いた光導波路が有望である。ポリマー光導波路は、ルータやサーバ装置内のボード間あるいはボード内の光信号伝送に用いられるため、電気配線板と共存する構造となる。このような光導波路材として、フッ素化ポリイミド(例えば特許文献1)、重水素化シリコーン樹脂(例えば非特許文献1)や、エポキシ樹脂(例えば非特許文献2)が提案されている。
【0003】
ところで、上記用途の光導波路は、フッ素や重水素など、高価な材料が用いられることが多いため、ポリマー材料の大きな魅力である経済性において優位に立てない場合が多い。また、光導波路において最も重要な特性である透明性において、1310nm付近には水酸基、アミノ基、カルボキシル基、脂肪族CH基の特性吸収が存在するため、これらの官能基数を制御することが重要な課題となっている。
【0004】
【特許文献1】特許第3085666号公報
【非特許文献1】IEEE Journal of Lightwave Technology、Vol.16、pp.1049-1055、1998
【非特許文献2】光学、31巻2号、pp.81-83、2002年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、1310nmの波長において高透明性を有し、かつ高価なフッ素含有樹脂を用いない光学材料用樹脂組成物、該樹脂組成物を用いた光学材料用樹脂フィルム及びこれを用いた光導波路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記問題点を解決すべく、鋭意検討した結果、(A)ベースポリマー、(B)光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤を含有する樹脂組成物であって、(A)成分の繰り返し単位骨格中及び(B)成分の骨格中に透明性を低下させる官能基及びフッ素原子を含まない光学材料用樹脂組成物を用いることで、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち本発明は、
(1)(A)ベースポリマー、(B)光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤を含有し、(A)成分の繰り返し単位中及び(B)成分の骨格中に水酸基、アミノ基、カルボキシル基、及びフッ素を含まず、(A)成分の繰り返し単位中及び(B)成分の骨格中のいずれかに芳香族炭化水素基を含み、(A)成分の繰り返し単位中及び(B)成分の骨格中のいずれかに脂肪族炭化水素基及び/又は脂環式炭化水素基を含み、脂肪族炭化水素基及び脂環式炭化水素基の合計と、芳香族炭化水素基の合計の割合が80:20〜5:95(モル比)の範囲内である光学材料用樹脂組成物、
(2)硬化物をコア又はコア及びクラッドとする光導波路とした場合に、波長1310nmの光伝播損失が0.5dB/cm以下である上記(1)に記載の光学材料用樹脂組成物、
(3)(A)ベースポリマーが、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、及びフッ素を含まない(メタ)アクリル樹脂である上記(1)又は(2)に記載の光学材料用樹脂組成物、
(4)(B)光重合性化合物がエチレン性不飽和基を有する上記(1)〜(3)のいずれかに記載の光学材料用樹脂組成物、
(5)(B)光重合性化合物が(メタ)アクリレートである上記(1)〜(4)のいずれかに記載の光学材料用樹脂組成物、
(6)(A)成分と(B)成分の総量に対して、(A)成分の含有量が10〜80質量%であり、(B)成分の含有量が20〜90質量%であり、かつ、(A)成分と(B)成分の総量100質量部に対して、(C)成分が0.1〜10質量部である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の光学材料用樹脂組成物、
(7)硬化物の屈折率が、波長1310nmにおいて1.50以上である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の光学材料用樹脂組成物、
(8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の樹脂組成物からなる光学材料用樹脂フィルム、及び
(9)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の樹脂組成物又は上記(8)に記載の光学材料用樹脂フィルムを、光導波路の下部クラッド、コア、及び上部クラッドの少なくとも1つに用いた光導波路、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の光学材料用樹脂組成物は、1310nmの波長において高い透明性を有し、該組成物からなる光学材料用樹脂フィルムによれば、1310nmの波長において高い透明性を有しかつ高精度な厚膜形成が可能である。またこの光学材料用樹脂組成物及び光学材料用樹脂フィルムを用いることによって、性能の優れた光導波路を安価にかつ生産性よく製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の光学材料用樹脂組成物は、(A)ベースポリマー、(B)光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤を含有し、波長1310nmの光の透過性が高いことを特徴とする。
1310nmの波長における透明性を高めるためには、(A)ベースポリマーの繰り返し単位中及び(B)光重合性化合物の骨格中に水酸基、アミノ基、カルボキシル基及びフッ素を含まず、(A)成分の繰り返し単位中及び(B)成分の骨格中のいずれかに芳香族炭化水素基を含み、(A)成分の繰り返し単位中及び(B)成分の骨格中のいずれかに脂肪族炭化水素基及び/又は脂環式炭化水素基を含み、脂肪族炭化水素基及び脂環式炭化水素基の合計(以下「脂肪族CH基」という。)と、芳香族炭化水素基の合計(以下「芳香族CH基」という。)の割合が80:20〜5:95(モル比)の範囲内であることを必須とする。また、経済性の観点から、高価なフッ素化合物を用いないことが好ましい。
【0009】
水酸基、アミノ基、カルボキシル基の1310nm付近の吸収は、水酸基については、1350〜1700nm付近に伸縮振動の第1倍音吸収が存在し、水素結合の有無によって吸収位置が大きく変動する。アミノ基については、1460〜1550nm付近に伸縮振動の第1倍音吸収が存在する。カルボキシル基については、水酸基と同様の位置に吸収が存在する。これらの吸収は、1310nmの吸収を増加させる原因となるため、樹脂骨格中にないことが望ましい。
また、CH基の1310nm付近の吸収は、芳香族CH基の場合、1130〜1140nm付近の伸縮振動の第2倍音吸収及び1410〜1420nm付近に伸縮と変角の結合音吸収が、それぞれシャープな吸収として存在する。一方、脂肪族CH基の場合、メチル、メチレン、メチン基によって若干の違いがあるものの、おおよそ1220nm付近の伸縮振動の第2倍音吸収及び1400nm付近の伸縮と変角の結合音吸収が、それぞれブロードな吸収として存在する。従って、1310nmの吸収を増大させる要因としては、脂肪族CH基による吸収のほうが芳香族CH基による吸収より大きくなる。
以上のことより、芳香族CH基を増やし、相対的に脂肪族CH基を減少させることが、1310nmの透明性向上に大きく寄与することがわかる。但し、芳香族CH基の割合を増加させすぎると、光重合性基の割合が減少し、十分な硬化反応が起こらない問題点が生ずる。芳香族CH基の割合としては、20%〜95%の範囲内であることが必要であり、好ましくは30%〜80%、さらに好ましくは35%〜70%である。すなわち、脂肪族炭化水素基及び脂環式炭化水素基の合計(脂肪族CH基)と、芳香族炭化水素基の合計(芳香族CH基)の割合が70:30〜20:80(モル比)の範囲内であることが好ましく、65:35〜30:70(モル比)の範囲内であることがさらに好ましい。
【0010】
ここで用いる(A)ベースポリマーはフィルム等の硬化物を形成する場合に、その強度を確保するためのものであり、透明性を確保するために繰り返し単位中に水酸基、アミノ基、カルボキシル基を含まない、非フッ素樹脂である。これらの樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリルエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/(メタ)アクリレート共重合体、ポリシアヌレート、脂環式樹脂等、あるいはこれらの誘導体などが挙げられる。これらのベースポリマーは1種単独でも、また2種以上を混合して用いてもよい。これらの樹脂は、後に詳述する(B)光重合性化合物との相溶性が、該フィルムの透明性を確保するために重要であるが、この点からは、繰り返し単位中に水酸基、アミノ基、カルボキシル基及びフッ素を含まない(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
なお、ここで(メタ)アクリル樹脂とはアクリル樹脂及びメタクリル樹脂を意味する。
【0011】
(A)ベースポリマーの分子量については、ルータやサーバ装置内のボード間あるいはボード内の光信号伝送用光導波路等に要求される50μm程度の厚膜のフィルムでも形成を可能とするため、数平均分子量で5000以上であることが好ましく、さらに10000以上が好ましく、特に30000以上であることが好ましい。分子量の上限については、特に制限はないが、(B)光重合成化合物との相溶性や露光現像性の観点から、1000000以下であることが好ましく、さらには500000以下、特には200000以下であることが好ましい。
(A)ベースポリマーの配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量に対して、10〜80質量%とすることが好ましい。この配合量が、10質量%以上であるとフィルムを形成する場合に、膜厚50μm以上の厚膜フィルムでも容易に製造することが可能であり、一方、80質量%以下であると、光硬化反応が十分に進行する。以上の観点から、(A)ベースポリマーの配合量は、20〜70質量%とすることがさらに好ましい。
【0012】
次に、本発明における(B)光重合性化合物は、紫外線等の活性エネルギー線の照射によって重合するもので、透明性を確保するために、骨格中に水酸基、アミノ基、カルボキシル基を含まない、非フッ素樹脂であることが必要である。光に対する反応性の観点から、分子内にエチレン性不飽和基を有する化合物であることが好ましい。具体的には、(メタ)アクリレート、ハロゲン化ビニリデン、ビニルエーテル、ビニルピリジン、ビニルフェノール等が挙げられるが、これらのうち透明性と耐熱性の観点から、(メタ)アクリレートが好ましい。(メタ)アクリレートとしては、1官能性のもの、2官能性のもの、3官能性のもののいずれをも用いることができる。なお、ここで(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートを意味する。
【0013】
1官能性(メタ)アクリレートとしては、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−テトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等がある。
【0014】
また、2官能性(メタ)アクリレートとしては、エトキシ化2−メチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート等がある。
【0015】
さらに、3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0016】
(B)光重合性化合物は、1種の化合物を単独で、又は2種以上の化合物を混合して使用することができるが、上記2官能性以上の(メタ)アクリレートを用いた場合、重合により生じた3次元網目構造中にベースポリマーを絡み込んで硬化することができるため、(B)成分として少なくとも1つは2官能性以上の重合性化合物を用いるのが好ましい。
前記(B)光重合性化合物の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量に対して、20〜90質量%とすることが好ましい。この配合量が、20質量%以上であると、ベースポリマーを絡み込んで硬化させることが容易にでき、一方、90質量%以下であると、厚膜のフィルムを容易に形成することできる。以上の観点から、(B)光重合性化合物の配合量は30〜80質量%とすることがさらに好ましい。
【0017】
また、(A)ベースポリマーの繰り返し単位の骨格中及び(B)光重合性化合物の骨格中の水素のうち、透明性の観点から、芳香族炭素に結合した水素の割合が、全体で25%以上存在することが好ましく、さらに好ましくは30%以上、特に好ましくは40%以上である。
【0018】
本発明における(C)成分の光重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等の芳香族ケトン;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のフォスフィンオキサイド類;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物などが挙げられる。
また、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体において、2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は同一で対称な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。また、ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、コア層及びクラッド層の透明性を向上させる観点からは、上記化合物のうち、芳香族ケトン及びフォスフィンオキサイド類が好ましい。
【0019】
前記(C)重合開始剤の配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、0.1〜10質量部とすることが好ましい。この配合量が0.1質量部以上であると、光感度が十分であり、一方10質量部以下であれば、露光時に感光性樹脂組成物の表層での吸収が増大することがなく、内部の光硬化が十分となる。さらに、重合開始剤自身の光吸収の影響により伝搬損失が増大することもなく好適である。以上の観点から、(C)重合開始剤の配合量は、0.2〜5質量部とすることがさらに好ましい。
【0020】
本発明の光学材料用樹脂組成物は、好適な有機溶剤を用いて希釈し、光学材料用樹脂ワニスとして使用してもよい。ここで用いる有機溶剤としては、該樹脂組成物を溶解し得るものであれば特に限定されず、例えば、アセトン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
上記に示した有機溶剤は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。樹脂ワニス中の固形分濃度は、通常20〜90質量%であることが好ましい。
【0021】
本発明の光学材料用樹脂組成物は、光導波路のコア又はコア及びクラッドとして使用する場合には、その硬化物の1310nmにおける光伝搬損失が0.5dB/cm以下であることが好ましい。ここで光伝搬損失は、プリズムカプラ式光学特性測定装置(SAIRON TECHNOLOGY社製、SPA-4000)にて測定した値によるものである。
また、本発明の光学材料用樹脂組成物は、波長1310nmの光において、その硬化物の屈折率が1.50以上であることが好ましく、1.55以上であることがより好ましい。屈折率が1.50以上であると材料の選択幅が広がる点で有利である。
【0022】
本発明の光学材料用樹脂フィルムは、(A)〜(C)成分を含有する樹脂組成物を溶媒に溶解した前記樹脂ワニスを用い、これを基材に塗布し、溶媒を除去することにより容易に製造することができる。
本発明の光学材料用樹脂フィルムの厚みについては特に限定されないが、乾燥後の厚みで、通常は10μm〜100μmである。10μm以上であると、受発光素子又は光ファイバーとの結合トレランスが拡大できるという利点があり、100μm以下であると、受発光素子又は光ファイバーとの結合効率が向上するという利点がある。以上の観点から、該フィルムの厚みは、さらに30μm〜70μmの範囲であることが好ましい。
【0023】
以下、本発明の光学材料用樹脂フィルムを最も好適な用途である光導波路形成用樹脂フィルムとして用いた場合の適用例について詳細に説明する。
本発明の光導波路形成用樹脂フィルムの製造過程で用いる基材は、光導波路形成用フィルムを支持する支持体であって、その材料については特に限定されないが、後に光導波路形成用フィルムを剥離することが容易であり、かつ、耐熱性及び耐溶剤性を有するとの観点から、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが好適に挙げられる。該基材の厚みは、5〜50μmの範囲であることが好ましい。5μm以上であると、支持体としての強度が得やすいという利点があり、50μm以下であると、パターン形成時のマスクとのギャップが小さくなり、より微細なパターンが形成できるという利点がある。以上の観点から、該基材の厚みは10〜40μmの範囲であることがより好ましく、20〜30μmであることが特に好ましい。
このようにして得られた基材上に設けられた光導波路形成用フィルムは、例えばロール状に巻き取ることによって容易に貯蔵することができる。また、必要に応じて、光導波路形成用フィルムの上に保護フィルムを設けることもできる。なお、上記基材及び保護フィルムは、後に光導波路形成用フィルムの剥離を容易とするため、帯電防止処理等が施されていてもよい。
【0024】
本発明の光導波路形成用樹脂フィルムは、光導波路の下部クラッド、コア、及び上部クラッドとして使用することができ、これらのうち少なくとも1つに用いることが好ましい。
以下、該樹脂フィルムを用いて光導波路を形成するための製造手法について詳述する。その方法としては、例えば、基材から剥離された下部クラッドフィルムを、保護フィルムが存在する場合には、保護フィルムを除去後、基板上に加熱しながら圧着することにより積層する方法などが挙げられる。ここで、密着性及び追従性の見地から減圧下で積層することが好ましい。
該樹脂フィルムの加熱温度は50〜130℃とすることが好ましく、圧着圧力は、0.1〜1.0MPa程度(1〜10kgf/cm2程度)とすることが好ましいが、これらの条件には特に制限はない。
次いで、下部クラッドフィルムを光又は加熱により硬化し、下部クラッドフィルムより屈折率の高いコアフィルムを同様な方法で積層する。このようにして積層した樹脂フィルムは、アートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線が画像状に照射される。活性光線の光源としては、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射する公知の光源が挙げられる。また、他にも写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射するものも用いることができる。
【0025】
次いで、露光後、ウエット現像、ドライ現像等で未露光部を除去して現像し、コアパターンを製造する。ウエット現像の場合は、有機溶剤、アルカリ性水溶液、水系現像液等の前記樹脂フィルムの組成に対応した現像液を用いて、例えば、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により現像する。
現像液としては、有機溶剤、アルカリ性水溶液等の安全かつ安定であり、操作性が良好なものが好ましく用いられる。前記有機溶剤系現像液としては、例えば、1,1,1−トリクロロエタン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。これらの有機溶剤は、引火防止のため、1〜20質量%の範囲で水を添加してもよい。
【0026】
上記アルカリ性水溶液の塩基としては、例えば、リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等の水酸化アルカリ、リチウム、ナトリウム、カリウム若しくはアンモニウムの炭酸塩又は重炭酸塩等の炭酸アルカリ、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩などが用いられる。また、現像に用いるアルカリ性水溶液としては、例えば、0.1〜5質量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%水酸化ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%四ホウ酸ナトリウムの希薄溶液等が好ましく挙げられる。
また、現像に用いるアルカリ性水溶液のpHは9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光性樹脂組成物の層の現像性に合わせて調節される。また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混入させてもよい。
【0027】
上記水系現像液としては、水又はアルカリ水溶液と一種以上の有機溶剤とからなる。ここでアルカリ物質としては、前記物質以外に、例えば、ホウ砂、メタケイ酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ジアミノプロパノール−2−モルホリン等が挙げられる。
現像液のpHは、レジストの現像が充分にできる範囲でできるだけ小さくすることが好ましく、pH8〜12とすることが好ましく、pH9〜10とすることがより好ましい。
上記有機溶剤としては、例えば、三アセトンアルコール、アセトン、酢酸エチル、炭素数1〜4のアルコキシ基をもつアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。有機溶剤の濃度は、通常、2〜90質量%とすることが好ましく、その温度は、現像性にあわせて調整することができる。また、水系現像液中には、界面活性剤、消泡剤等を少量混入することもできる。
【0028】
また、必要に応じて2種類以上の現像方法を併用してもよい。現像の方式としては、例えば、ディップ方式、パドル方式、高圧スプレー方式等のスプレー方式、ブラッシング、スラッピング等が挙げられる。
現像後の処理として、必要に応じて60〜250℃程度の加熱又は0.1〜1000mJ/cm2程度の露光を行うことによりコアパターンをさらに硬化して用いてもよい。
次いで、コアフィルムより屈折率の低い上部クラッドフィルムを同様の方法で積層し、光導波路を作製する。
【実施例】
【0029】
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
【0030】
実施例1
ポリメチルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリペット」)25質量部とビスフェノールA型ジアクリレート(新中村化学(株)製、商品名「ABE−300」)75質量部を溶剤であるトルエン50質量部に溶解させ、これに光開始剤(東京化成工業(株)製、2,2-ビス(2-クロロフェニル)-4,4',5,5'-テトラフェニル1,2'-ビイミダゾール、同社製、4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、及び同社製2-メルカプトベンゾイミダゾールからなる3元系光ラジカル発生剤、質量比6:1:2)を2質量部加え、樹脂組成物(樹脂ワニス)を用意した。これをPETフィルム(東洋紡績(株)製、「A4100」)上にアプリケーター(ヨシミツ精機(株)製、「YBA-4」)を用い塗布し、80℃、10分、その後100℃、10分の条件にて乾燥して溶剤を揮発させ、光導波路形成用樹脂フィルムを得た。このときのフィルムの厚さはアプリケーターの間隙(ギャップ)を調節することで5μmから100μmの間で任意に調整可能であり、本実施例では12μmとした。
【0031】
該光導波路形成用樹脂フィルムを、熱酸化膜(厚さ1μm)付きシリコンウェハ(厚さ1mm)上に、真空加圧式ラミネータ((株)名機製作所製、MVLP−500)を用い、圧力0.4MPa、温度60℃の条件で積層した。これにメタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)社製、「アイドルフィン3000」)の紫外線を1J/cm2照射し、樹脂を光硬化させ、PETフィルムを剥がした後、さらに120℃、1時間の条件でポストベークを行い、スラブ光導波路(コア厚12μm)を得た。このときのスラブ光導波路(コア)の屈折率を、Metricon社製プリズムカプラ(Model2020)を用い測定(測定波長1310nm)したところ、1.527であった。
【0032】
伝搬損失をプリズムカプラ式光学特性測定装置(SAIRON TECHNOLOGY社製、SPA-4000)にて測定した結果(測定波長;1310nm、nD=1.56のマッチングオイル使用)、伝搬損失は、0.4dB/cmであった。本発明の光導波路形成用樹脂フィルムが低損失であることがわかる。なお、本実施例においては、熱酸化膜が下部クラッドの役割を果たし、空気が上部クラッドの役割を果たすものである。
また、アプリケーターのギャップを変え、厚さ50μmの導波路形成用樹脂フィルムを同様な方法で作製し、マスクパターンを用いて露光後、トルエンにて現像(室温、90秒、振動揺動)し、パターン形成を行ったところ、線幅50μmの光導波路が作製できることが確認された。
【0033】
実施例2
ポリメチルメタクリレートに代えてポリアリレート((株)ユニチカ製、商品名「U−100」)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光導波路形成用樹脂フィルムを得た。フィルムの厚さは12μmとした。
該光導波路形成用樹脂フィルムを、実施例1に記載したのと同様にして、スラブ光導波路(コア厚12μm)を得た。このときのスラブ光導波路(コア)の屈折率は、測定波長1310nmにおいて1.555であった。
伝搬損失をプリズムカプラ式光学特性測定装置(SAIRON TECHNOLOGY社製、SPA-4000)にて測定した結果(測定波長;1310nm、nD=1.60のマッチングオイル使用)、伝搬損失は0.5dB/cmであった。本発明の光導波路形成用樹脂フィルムが低損失であることがわかる。
また、アプリケーターのギャップを変え、厚さ50μmの光導波路形成用樹脂フィルムを同様な方法で作製し、マスクパターンを用いて露光後、テトラヒドロフランにて現像(室温、120秒、振動揺動)し、パターン形成を行ったところ、線幅50μmの光導波路が作製できることが確認された。
【0034】
実施例3
ビスフェノールA型ジアクリレートに代えてフルオレン型ジアクリレート(新中村化学(株)製、商品名「A−BPEF」)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光導波路形成用樹脂フィルムを得た。フィルムの厚さは12μmとした。
該光導波路形成用樹脂フィルムを、実施例1に記載したのと同様にして、スラブ光導波路(コア厚12μm)を得た。このときのスラブ光導波路(コア)の屈折率は、測定波長1310nmにおいて1.569であった。伝搬損失をプリズムカプラ式光学特性測定装置(SAIRON TECHNOLOGY社製、SPA-4000)にて測定した結果(測定波長;1310nm、nD=1.56のマッチングオイル使用)、伝搬損失は、0.4dB/cmであった。本発明の光導波路形成用樹脂フィルムが低損失であることがわかる。
また、アプリケーターのギャップを変え、厚さ50μmの光導波路形成用樹脂フィルムを同様な方法で作製し、マスクパターンを用いて露光後、トルエンにて現像(室温、90秒、振動揺動)し、パターン形成を行ったところ、線幅50μmの光導波路が作製できることが確認された。
【0035】
実施例4
ポリメチルメタクリレートに代えてポリエーテルスルホン(BASF(株)製、商品名「Ultrason E6020」)を60質量部、ビスフェノールA型ジアクリレートに代えてフルオレン型ジアクリレート(新中村化学(株)製、商品名「A−BPEF」)を40質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光導波路形成用樹脂フィルムを得た。フィルムの厚さは12μmとした。
該光導波路形成用樹脂フィルムを、実施例1に記載したのと同様にして、スラブ光導波路(コア厚12μm)を得た。このときのスラブ光導波路(コア)の屈折率は、測定波長1310nmにおいて1.589であった。伝搬損失をプリズムカプラ式光学特性測定装置(SAIRON TECHNOLOGY社製、SPA-4000)にて測定した結果(測定波長;1310nm、nD=1.56のマッチングオイル使用)、伝搬損失は、0.4dB/cmであった。本発明の光導波路形成用樹脂フィルムが低損失であることがわかる。
また、アプリケーターのギャップを変え、厚さ50μmの光導波路形成用樹脂フィルムを同様な方法で作製し、マスクパターンを用いて露光後、N,N−ジメチルアセトアミドにて現像(室温、90秒、振動揺動)し、パターン形成を行ったところ、線幅50μmの光導波路が作製できることが確認された。
【0036】
比較例1
ビスフェノールA型ジアクリレートに代えて2−ヒドロキシエチルアクリレート(共栄社化学(株)製、商品名「ライトエステルHOA」)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光導波路形成用樹脂フィルムを得た。フィルムの厚さは12μmとした。
該光導波路形成用樹脂フィルムを、実施例1に記載したのと同様にして、スラブ光導波路(コア厚12μm)を得た。このときのスラブ光導波路(コア)の屈折率は、測定波長1310nmにおいて1.501であった。伝搬損失をプリズムカプラ式光学特性測定装置(SAIRON TECHNOLOGY社製、SPA-4000)にて測定した結果(測定波長;1310nm、nD=1.56のマッチングオイル使用)、伝搬損失は、0.7dB/cmであった。
【0037】
比較例2
ポリメチルメタクリレートに代えてフェノキシ樹脂(東都化成(株)製、商品名「YP−50」を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光導波路形成用樹脂フィルムを得た。フィルムの厚さは12μmとした。
該光導波路形成用樹脂フィルムを、実施例1に記載したのと同様にして、スラブ光導波路(コア厚12μm)を得た。このときのスラブ光導波路(コア)の屈折率は、測定波長1310nmにおいて1.501であった。伝搬損失をプリズムカプラ式光学特性測定装置(SAIRON TECHNOLOGY社製、SPA-4000)にて測定した結果(測定波長;1310nm、nD=1.56のマッチングオイル使用)、伝搬損失は、0.6dB/cmであった。
【0038】
比較例3
ポリメチルメタクリレートを50質量部、ビスフェノールA型ジアクリレートを50質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光導波路形成用樹脂フィルムを得た。フィルムの厚さは12μmとした。
該光導波路形成用樹脂フィルムを、実施例1に記載したのと同様にして、スラブ光導波路(コア厚12μm)を得た。このときのスラブ光導波路(コア)の屈折率は、測定波長1310nmにおいて1.511であった。伝搬損失をプリズムカプラ式光学特性測定装置(SAIRON TECHNOLOGY社製、SPA-4000)にて測定した結果(測定波長;1310nm、nD=1.56のマッチングオイル使用)、伝搬損失は、0.6dB/cmであった。
【0039】
第1表に、各実施例及び比較例で用いた化合物の(A)ベースポリマー及び(B)光重合性化合物中の官能基、芳香族炭素に結合した水素の割合、伝播損失についてまとめた。
【0040】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の光学用樹脂組成物及び該樹脂組成物からなる光学用樹脂フィルムは1310nmでの透明性に優れ、例えば、光導波路、レンズ、光学用封止材、光学用接着剤、導光板、回折格子などとして用いることができ、特に光導波路用の樹脂組成物又は樹脂フィルムとして好適に用いることができる。また、その他コーティング材、レジスト等にも使用することができる。
光導波路用の樹脂フィルムとして用いた場合には、高い透明性を有し、かつ高精度な厚膜形成が可能である。従って、本発明のフィルムを光導波路の下部クラッド、コア、及び上部クラッドの少なくとも1つに用いることによって、性能の優れた光導波路を得ることができる。また、本発明によれば、大面積のフィルムを製造することが可能であり、生産性よく光導波路を製造することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ベースポリマー、(B)光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤を含有し、(A)成分の繰り返し単位中及び(B)成分の骨格中に水酸基、アミノ基、カルボキシル基、及びフッ素を含まず、(A)成分の繰り返し単位中及び(B)成分の骨格中のいずれかに芳香族炭化水素基を含み、(A)成分の繰り返し単位中及び(B)成分の骨格中のいずれかに脂肪族炭化水素基及び/又は脂環式炭化水素基を含み、脂肪族炭化水素基及び脂環式炭化水素基の合計と、芳香族炭化水素基の合計の割合が80:20〜5:95(モル比)の範囲内である光学材料用樹脂組成物。
【請求項2】
硬化物をコア又はコア及びクラッドとする光導波路とした場合に、波長1310nmの光伝播損失が0.5dB/cm以下である請求項1に記載の光学材料用樹脂組成物。
【請求項3】
(A)ベースポリマーが、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、及びフッ素を含まない(メタ)アクリル樹脂である請求項1又は2に記載の光学材料用樹脂組成物。
【請求項4】
(B)光重合性化合物がエチレン性不飽和基を有する請求項1〜3のいずれかに記載の光学材料用樹脂組成物。
【請求項5】
(B)光重合性化合物が(メタ)アクリレートである請求項1〜4のいずれかに記載の光学材料用樹脂組成物。
【請求項6】
(A)成分と(B)成分の総量に対して、(A)成分の含有量が10〜80質量%であり、(B)成分の含有量が20〜90質量%であり、かつ、(A)成分と(B)成分の総量100質量部に対して、(C)成分が0.1〜10質量部である請求項1〜5のいずれかに記載の光学材料用樹脂組成物。
【請求項7】
硬化物の屈折率が、波長1310nmにおいて1.50以上である請求項1〜6のいずれかに記載の光学材料用樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物からなる光学材料用樹脂フィルム。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物又は請求項8に記載の光学材料用樹脂フィルムを、光導波路の下部クラッド、コア、及び上部クラッドの少なくとも1つに用いた光導波路。

【公開番号】特開2009−51917(P2009−51917A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219058(P2007−219058)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】