説明

光学検査装置のための読み取りヘッド

試料キャリヤに光を照射し、試料キャリヤから光を受けるための読み取りヘッドであって、試料キャリヤを受けるためのハウジングと、ハウジング内で試料キャリヤに対して固定された位置に取り付けられた光源アレイと、2つの異なる波長の実質的に単色性の光を発するための第一の発光ダイオード及び第二の発光ダイオードと、発光ダイオードと試料キャリヤとの間のハウジング中に取り付けられた光ガイドと、試料キャリヤから光を受けるように結合された光検出器と、を含む読み取りヘッドを提供する。読み取りヘッドはまた、所定の波長の励起光を試料キャリヤに送るための光源と、試料キャリヤと光検出器との間に配置され、励起光の通過を防ぐように適合された光フィルタと、を含む。読み取りヘッドは、蛍光分光分析及び反射分光分析の両方を試料キャリヤに対して実施することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、全体を引用例として本明細書に取り込む、2003年6月3日に出願された同時係属中の米国特許仮出願第60/475,288号(事件番号BYRK−27PR)に基づく優先権を主張する。
【0002】
開示の分野
本開示は、体液試料を光学的に検査するための装置及び方法に関し、具体的には、装置で使用するための読み取りヘッドに関する。さらに具体的には、本開示は、蛍光分光分析及び反射分光分析の両方を実施するための部品を含む読み取りヘッドに関する。
【0003】
開示の背景
様々な医学的診断目的にとって、反射分光器を使用して体液試料を分析して、たとえば人の尿又は血液の色を測定することが有用である。公知のとおり、分光分析は、吸収性種の吸光度と濃度との間の直線関係(ベールの法則)を使用して試料の含有量を測定する。未知の分析対象物濃度は、試料が吸収する光の量を計測し、ベールの法則を適用することによって測定することができる。分析対象物の吸光係数が未知であるならば、標準から導出した吸光度対濃度の検量線を使用することにより、未知の濃度を測定することができる。
【0004】
たとえば、イムノアッセイは、有機及び無機化合物を同定し、定量するための技術である。イムノアッセイは、標的化合物又は化合物のクラスと結合するように開発された抗体を使用する。抗体は標的化合物又は化合物の群に対して非常に特異的である場合があるため、また、イムノアッセイキットは比較的速やかかつ簡単に使えるため、この技術は広く使用されてきた。分析対象物の濃度は、高感度の比色反応の使用によって識別される。標的分析対象物の存在の決定は、未知の濃度の試料によって発された色を既知の濃度の分析対象物を含有する標準によって形成された色と比較することによって下される。分析対象物の濃度は、試料における色の強さによって測定される。濃度は、肉眼で概ね推定することもできるし、反射分光器によってより正確に測定することもできる。
【0005】
反射分光分析は、固体、液体又は気体から反射又は散乱した波長の関数としての光の分析である。従来の反射分光器は、非反応性の白いパッドの上に配置された液体試料、たとえば尿又は血液の色を、そのパッドに光を照射し、それぞれが可視光の異なる波長に関連する大きさを有する多数の反射率をパッドから読み取ることにより、測定することができる。そして、赤、緑、青及び赤外線の反射率信号の相対的な大きさに基づいてパッド上の試料の色を測定することができる。試薬パッドには、尿中の特定成分、たとえば白血球又は赤血球の存在に応答して変色を生じさせる様々な試薬を設けることができる。試薬ストリップは、たとえば10種以上の異なるタイプの試薬パッドを有することができる。イムノアッセイストリップ又はカセットはまた、他のタイプの液体試料、たとえば血液とで使用することもできる。
【0006】
本開示の譲受人に譲渡された米国特許第5,654,803号は、反射分光分析を使用して尿中の潜血の非溶血レベルを測定するための装置及び方法を開示している。この装置には、尿試料が配置された試薬パッドの複数の様々な部分に光を順次に照射するための光源と、試薬パッドから受けた光を検出し、試薬パッドの様々な部分の対応する一部分から受けた光に応答して複数の反射率信号を発するための検出器アレイとが設けられている。また、装置には、一つの反射率信号の大きさが別の反射率信号の大きさと実質的に異なるかどうかを決定するための手段が設けられている。体液試料が尿である場合、この能力は、装置が尿試料中の潜血の非溶血レベルの存在を検出することを可能にする。
【0007】
同じく本開示の譲受人に譲渡された米国特許第5,877,863号は、反射分光分析を使用して尿のような液体試料を検査するための光学検査装置を開示している。この装置は、試薬試験を実施することができるよう、対象の波長ごとに1個の発光ダイオードだけによって標的区域に実質的に均一に光を照射し、標的区域からの光を受けるための読み取りヘッドを含む。読み取りヘッドには、ハウジングと、ハウジングに対して固定された位置に取り付けられた第一及び第二の光源と、光源の一方だけが点灯しているとき、その光源からの実質的にすべての光を運んで標的区域に実質的に均一に光を照射する、各光源から光を受けるように取り付けられた導光体と、標的区域から光を受けるように結合された光検出器とが設けられている。第一及び第二の光源それぞれは、異なる波長の実質的に単色性の光を発するための1個の発光ダイオードのみからなる。
【0008】
蛍光分光分析は、一つの波長で吸収され、異なる波長で再放出された光の分析である(たとえば、蛍光は、試料に当てられる特定の波長を有する光、たとえば紫外線に応答して体液試料によって再放出される)。様々な医学的診断目的にとって、蛍光検出を使用して体液試料を分析して、たとえば患者の血液もしくは尿中のグルコースのレベルを測定する、又は患者の血液もしくは尿のpHレベルを測定することが有用である。たとえばSnyderらへの米国特許第6,232,609号は、グルコースモニタリングのための装置を開示している。このグルコースモニタは、水を含む試料に紫外線励起光を照射し、この光が、試料中に存在する水及びグルコースを誘発して、ラマン散乱光及びグルコース発光もしくは蛍光を含む戻り光を放出させる。戻り光をモニタリングし、予測回帰モデルを使用して処理して、試料中のグルコース濃度を測定する。予測回帰モデルは、グルコース濃度と、所定の励起光エネルギーにおける様々な波長バンド内の戻り光の強さ又は様々な励起エネルギーレベルにおける所定の波長バンド内の戻り光の強さとの間の非線形性を考慮する。励起光をレーザ励起光源から試料に誘導し、戻り光を試料からセンサに誘導するために光ファイバ導波管が使用されている。
【0009】
なおも望まれているものは、体液試料に対して試験を実施するための新規で改良された装置及び方法、特に、装置で使用するための読み取りヘッドである。好ましくは、読み取りヘッドは、蛍光分光分析及び反射分光分析の両方を実施するための部品を含む。
【0010】
開示の概要
本開示は、蛍光分光分析及び反射分光分析の両方を簡単かつ好都合な方法で実施することを可能にする、試料キャリヤ(たとえば、液体試料を有するストリップ又はカセット)に光を照射し、試料キャリヤから光を受けるための、診断機器のための新規で改良された読み取りヘッドの典型的な実施態様に関する。
【0011】
読み取りヘッドの一つの典型的な実施態様は、診断機器に組み込まれ、試料キャリヤを受けるための照射チャンバを含むハウジングと、ハウジング内で照射チャンバに対して固定された位置に取り付けられ、第一の波長の実質的に単色性の光を発するための第一の発光ダイオード及び第一の波長とは実質的に異なる第二の波長の実質的に単色性の光を発するための第二の発光ダイオードを含む光源のアレイと、発光ダイオードの一方だけが点灯しているとき、その一方の発光ダイオードからの実質的にすべての光を照射チャンバに運んで照射チャンバが実質的に均一に照射されるようにするための、各発光ダイオードから光を受けるようにハウジング中に取り付けられた導光体と、照射チャンバから光を受けるように結合された光検出器とを含む。読み取りヘッドのこれらの部品は、流体試料に対して反射分光分析を実施することを可能にする。
【0012】
読み取りヘッドはまた、所定の波長の励起光を照射チャンバに送るための蛍光励起光源と、照射チャンバと光検出器との間に配置され、蛍光励起光源からの励起光の通過を防ぐが、励起光の所定の波長と異なる波長を有する、照射チャンバ中の試料キャリヤから出た光の通過を許すように適合された光フィルタとを含む。読み取りヘッドのこれらの部品は、流体試料に対して蛍光分光分析を実施することを可能にする。
【0013】
本開示を実施するために考えられる最良の形態の単なる例として本開示の典型的な実施態様が示され、記載されている以下の詳細な説明から、本開示のさらなる態様及び利点が当業者に自明になるであろう。理解されるとおり、本開示は、他にも異なる実施態様が可能であり、そのいくつかの詳細は、いずれも本開示を逸することなく、様々な自明な点で改変を受けることができる。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に例示的とみなすべきであり、限定的とみなしてはならない。
【0014】
同じ参照符号を有する要素が同種の要素を表し、添付図面に参照される。
【0015】
典型的な実施態様の詳細な説明
図1は、医学的診断目的のために体液試料を光学的に検査するための装置の一部として使用するための、本開示にしたがって構成された新規で改良された読み取りヘッド200の典型的な実施態様を示す。
【0016】
図1の新規で改良された読み取りヘッド200は、光学検査装置に組み込むことができる。図1の新規で改良された読み取りヘッド200を説明する前に、まず、光学検査装置の典型的な実施態様に関する背景情報を提供するために、図2〜6に示す装置を説明する。図2は、体液試料のような液体試料を光学的に検査するための反射分光器100を示す。図2に示す特有の装置100は、米ニューヨーク州TarrytownのBayer社Diagnostics Divisionから市販されているCLINITEK(登録商標)50尿化学分析装置である。装置100は、本開示の譲受人に譲渡され、引用例として本明細書に取り込まれる米国特許第5,654,803号、第5,877,863号及び第5,945,341号でさらに詳細に記載されている。
【0017】
しかし、本開示の新規で改良された読み取りヘッドは、CLINITEK(登録商標)50尿化学分析装置以外の光学検査機器に組み込むこともできる。たとえば、本開示の新規で改良された読み取りヘッドは、Bayer社から市販されているCLINITEK STATUS(登録商標)化学分析装置に組み込まれることが予想される。CLINITEK STATUS(登録商標)化学分析装置の態様は、引用例として本明細書に取り込まれ、2003年6月3日に出願された特許仮出願第60/475,288号(事件番号BYRK−27PR)に基づく優先権を主張する、2004年4月9日に出願された、所有者が同じである同時係属中の米国特許出願第10/821,441号(事件番号BYRK−23)及び米国特許出願第_号(事件番号BYRK−003)に開示されている。
【0018】
図2に示す典型的な検査装置100は、ユーザ入力のための一体型キーボート102と、検査装置100の作動に関する様々なメッセージをユーザに表示するための視覚的表示装置106とを含む。検査装置100はまた、ハウジング107を有し、このハウジングには、支持トレー120を引き込ませることができる開口108が形成されている。図2に示すように、支持トレー120は、試薬カセット122の形態であってもよく、第一のタイプの液体試料キャリヤ又は取り出し可能なインサートを受けるように適合されている。
【0019】
試薬カセット122は、たとえば従来の方法で妊娠試験を実施するための使い捨てで
単一回使用のカセットであってもよい。試薬カセット122は、尿のような体液試料が中に配置される開口又はウェル124を有する。試薬カセット122の内部には、ウェル124中に配置された体液試料と反応することができる試薬ストリップ(図示せず)がある。試験の結果に依存して、試薬ストリップは色を変えることができ(たとえば、カラーストライプが現れる)、それは、試薬カセット122の窓128を介して試薬ストリップを見ることによって決定することができる。図示しないが、支持トレー120は、較正を容易にするため、その上面に配置された一定の色、たとえば白の較正チップを有することができる。本開示の新規で改良された読み取りヘッドはまた、蛍光粒子を標識として使用する側方流動イムノアッセイで使用することもできる。
【0020】
ひっくり返すと、支持トレー120は、試薬ストリップを含む試料キャリヤを受けるように適合されている。図3を参照すると、試薬ストリップ40は、多数の試薬パッド50が上に固定されている非反応性の細い基材41を有してもよい。各試薬パッド50は、それぞれの試薬を含浸させた比較的吸収性の材料で構成され、各試薬及び試薬パッド50が、実施される特定の試験に対応することができる。尿分析試験が実施される場合、たとえば、尿中の白血球の試験、尿のpH試験、血尿の試験などを尿分析試験に挙げることができる。各試薬パッド50が尿試料と接触すると、パッドは、使用される試薬及び尿試料の特性に依存して、時間とともに色を変える。試薬ストリップ40は、たとえば、米ニューヨーク州TarrytownのBayer社Diagnostics Divisionから市販されているMULTISTIX(登録商標)試薬ストリップであってもよい。
【0021】
再び図2を参照すると、検査工程中、支持トレー120は、図2に示す外に延びた位置と、トレー120が検査装置100のハウジング107の中かつハウジングに含まれた読み取りヘッドの中へと内側に引き込まれる光学検査位置との間で動かされる。
【0022】
図4及び5は、検査装置100の読み取りヘッド10の典型的な実施態様を示す。図示する典型的な実施態様では、読み取りヘッド10は、従来の方法でつなぎ合わせることができる上ハウジング部12、中間ハウジング部14及び下ハウジング部16から形成されたハウジングを有する。ハウジング部12、14、16は、ハウジングに入射する逸れた光線を実質的に吸収するための黒いプラスチックを含む射出成形部品であってもよい。
【0023】
発光ダイオード(LED)20の形態で光源が、下ハウジング部16に形成された棚状部22に支持されている。各LED20は、赤色の光、緑色の光、青色の光及び赤外線に対応する、異なる波長の単色性放射線を発するように設計されている。発される光の波長は、約400ナノメートル(青色の光の場合)から約1,000ナノメートル(赤外線の場合)まで異なることができる。各LED20は、LED20と起動回路(図示せず)との間に接続された複数のワイヤ24を介して選択的にオン及びオフに切り換えることができる。読み取りヘッド10は、さらなる波長を提供するさらなるLEDを備えることもできる。CLINITEK STATUS(登録商標)尿化学分析装置は6個のLEDを含み、一方、CLINITEK(登録商標)50尿化学分析装置は4個のLEDを含む。
【0024】
LED20は、LED20からの光が中へと放射される導光体26の入口端26aに非常に近いところに直接隣接して配置されている。図5に示すように、導光体26は、比較的長く実質的に平面的な部分26bと、導光体26の出口端26dに向かって下にカーブする部分26cとを有している。読み取りヘッド10の一部分の上断面図である図4に示すように、導光体26は、導光体26の入口端26aから出口端26dまで外向きに広がる1対のカーブした側面26e、26fを有している。
【0025】
透明なプラスチック、たとえばアクリル樹脂又はポリカーボネートで構成された射出成形部品であることができる導光体26は、その入口端26aから入る実質的にすべての光を内部全反射によってその出口端26dまで導く。内部反射光が入口26aと出口26dとの間で導光体26から出てしまうことを防ぐため、場合によっては、導光体26の外部が、銀のような高反射コーティングで被覆されていてもよい。
【0026】
導光体26は、下ハウジング部16内で、導光体26の下、その入口端26aに近い地点に配置された1対の支持体28と、導光体26の下、その出口端26dに近い地点に配置された複数の支持体30とによって支持されている。支持体28、30は、下ハウジング部16と一体に形成されていてもよい。図4に示すように、導光体26は、傾斜した1対のガイド壁32、34の間に配置されている。
【0027】
図5に示すように、光は、矢印46によって示すように、導光体26の出口端26dから、照射チャンバ44中の支持体42に配置された試薬ストリップ40に向けて発される。支持体42は、ハウジング部12、14、16に対して動くことができない。試薬ストリップ40からの光は、下ハウジング部16に形成された長方形の開口54を矢印56によって示す方向に通過して、上ハウジング部12の左上隅に固定されたミラー要素58に向かう。ミラー要素58は、円筒鏡60及び円筒鏡60に接続された1対の取り付けタブ62で構成されている。高反射材料で被覆された湾曲部60を有するプラスチック射出成形部品であってもよいミラー要素58は、概ね、図5に示す開口54の長さだけ延びている(CLINITEK STATUS(登録商標)尿化学分析装置は平面鏡を含む)。円筒鏡60は、矢印68によって示すように、試薬ストリップ40からそれ自体に入射した光を、中間ハウジング部14に形成された正方形の開口64に通し、中間ハウジング部14によって支持されたレンズ66に反射する。レンズ66の一方の側は平面を有し、レンズ66の他方の側は凸状に湾曲した(非球)面を有している。レンズ66を透過した光は、矢印72によって示すように、光検出器アレイ70に伝送される。
【0028】
上ハウジング部12の側壁74に固定された検出器アレイ70は、従来の検出器アレイ、たとえば、Texas Instrumentsから市販されている、一つの水平な列に並べられた256個の光検出器で構成されたTSL 1402又はCLINITEK STATUS(登録商標)尿化学分析装置で使用されている検出器2048個のアレイであるSony ILX511を含むことができる。
【0029】
作動中、LED20の1個だけが一度に点灯し、その1個のLED20によって提供される照射は、検出器アレイ70が、上記試薬試験を満足に実施するのに十分な光を試薬ストリップ40から検出することを可能にする程度に試薬ストリップ40に均一に光を照射するのに十分である。アレイ70中の個々の光検出器それぞれは、試薬ストリップ40の長手沿いの特定の点から光を感知する。たとえば、一番下の試薬パッド50からの光を検出するためには、検出器アレイ70の対応する端部にある多数の光検出器が起動されることになる。アレイ70中のすべての検出器を起動することによって、すべての試薬パッド50からの光を同時に検出してもよい。
【0030】
円筒鏡60の断面形状はカーブしており、検出器アレイ70中の各光検出器が、直線的な断面形状を有するミラーを使用した場合よりも試薬ストリップ40の広い部分から光を検出するようにしている。しかし、読み取りヘッド10の特有の設計に依存して、円筒状にカーブしたミラー60の代わりに直線的なミラーを使用してもよい。代替設計では、ミラー要素58を省略し、開口54の真上に検出器70を配置してもよい。
【0031】
図4を参照すると、導光体26は、その入口端26aが比較的小さな幅を有し、その出口端26dが比較的大きな幅を有するように広げられている。導光体26が広がるということは、1)LED20の1個からの光を、出口端26dの長さに対応する比較的大きな長さに沿って広げさせ、2)LED20の1個によって発された光線を、その一部を導光体26内で様々な角度に内部反射させることによって無秩序化し、それにより、試薬ストリップ40が位置する標的区域でより均一な照射を提供するように作用する。機能2)に関して、広がる側壁を有する導光体では、一つの光線を壁から様々な角度で(すなわち、光線が入口から出口まで通過すると、側壁に対して連続的に浅くなる入射角度で)反射させることができ、それによって光線の無秩序性及び照射の均一性を高めることができることが理解されるであろう。
【0032】
図示する典型的な実施態様では、LED20は、レンズレスLED、たとえば表面実装LEDを含む。従来のLEDは通常、LEDの発光部品を覆うレンズを備えるが、レンズレスLEDは、はるかに低い指向度を示すことにより、よりランバート光源的に作用する。図6は、従来のレンズレスLED20の構造を示す。図6を参照すると、各LED20が、中に形成された空洞82を有する基材80を一般に含み、発光構造84が空洞82内に配置され、空洞82又は発光構造84を覆うレンズがないことが示されている。
【0033】
再び図1を参照すると、本開示は、医学的診断目的のために体液試料を光学的に検査するための装置(たとえば図2の装置100)の一部として使用するための新規で改良された読み取りヘッド200を提供する。図1の読み取りヘッド200は図4及び5の読み取りヘッド10に類似しており、同種の要素は、同じ参照番号の前に「2」を付けた参照番号によって示す。しかし、図1の読み取りヘッド200は、体液試料に対し、反射分光分析に加えて蛍光分光分析をも実施するように適合されている。
【0034】
図1には、読み取りヘッド200の端部だけが示されている。図1には示さないが、読み取りヘッド200もまた、図4及び5の読み取りヘッド10と同様に、LED、レンズ及び検出器アレイを含む。しかし、LEDに加えて、図1の読み取りヘッド200はさらに、紫外線光源302を含み、紫外線光源302からの光を読み取りヘッド200の照射チャンバ244に送り込むための開口304を有する紫外線光源チャンバ300を含む。図示するように、チャンバ300の内部は、チャンバのプラスチック壁を紫外線崩壊から保護するために金属箔306でライニングされていてもよい。読み取りヘッド200はまた、検出器アレイが試薬ストリップ40のパッド50によって発された発光波長だけを検出するよう、光源302の励起波長が検出器アレイによって検出されることを防ぐため、紫外線フィルタ308を光路256中に含む。
【0035】
多くの物質は、紫外線が露光されると蛍光を発する(より高い波長でエネルギーを再放出する)。本開示の読み取りヘッド200の使用中、光源302からの紫外線励起光は、矢印310によって示すように、試薬ストリップ40のパッド50に当てられる。そして、試薬ストリップ40のパッド50からの発光は、光路256中の紫外線フィルタ308を通過し、ミラー260で反射され、光路268に沿って検出器アレイに送られる。検出器アレイによって受けられる発光の波長及び強さの測定を利用して、光源302で励起される試料の性質を測定することができる。たとえば、発光の波長及び強さを使用して、血液試料中のグルコースの量を測定することができる。たとえば、Snyderらへの米国特許第6,232,609号は、紫外線励起を使用し、発光の波長及び強さをモニタリングしてグルコースレベルをモニタリングする、グルコースモニタリングのための装置を開示している。
【0036】
本開示の一つの典型的な実施態様によると、検出器アレイは、戻り光をモニタリングし、発光の特性を区別するグルコース濃度に対応する戻り光の強さを示す電気信号を発する。検出器アレイに接続されたプロセッサが、予測モデルを使用して電気信号を処理して、試料中のグルコース濃度を測定する。予測モデルの適当な例は、Snyderらへの米国特許第6,232,609号で示されている。
【0037】
本開示のもう一つの典型的な実施態様によると、光源302は、364ナノメートル、405ナノメートル及び436ナノメートルのライン出力ならびに330〜385ナノメートルの広帯域出力を有する黒い蛍光灯を含む。あるいはまた、光源は、紫外線光源チャンバ300中又は導光体26の入力端で他のLED20に隣接して配置された紫外線LEDを含むこともできる。紫外線LEDは、たとえば370ナノメートル又は400ナノメートルの出力を有することができる。紫外線LEDのための導光体26は、ガラス製又は石英製である。加えて、蛍光を誘発するために、光輝度緑色LEDを適当なフィルタとともに使用することができる。将来のLEDはより広範囲のUV波長を包含し、また、より多くの蛍光染料又はマーカが開発されると期待されるであろう。
【0038】
前記を考慮すると、本開示の多数のさらなる改変及び代替態様が当業者には自明であろう。本記載は、例を示すだけのものとみなされるべきであり、本開示を実施する最良の形態を当業者に教示する目的のものである。本開示の本質を逸することなく装置及び方法の詳細を実質的に変更することができ、また、請求の範囲に該当するすべての改変の独占的使用が留保される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】医学的診断光学検査装置の一部として使用するための、体液試料に対して蛍光分光分析及び反射分光分析の両方を実施するように適合された、本開示にしたがって構成された読み取りヘッドの典型的な実施態様の一部分の側断面図である。
【図2】体液試料の様々な試験を実施するために使用することができる光学検査装置の典型的な実施態様の斜視図である。
【図3】図2の装置で使用するための試薬ストリップの典型的な実施態様の斜視図である。
【図4】図2の光学検査装置の一部として使用するための、図2の装置が体液試料に対して反射分光分析を実施することを可能にするように適合された、読み取りヘッドの典型的な実施態様の上断面図である。
【図5】図4の読み取りヘッドの側断面図である。
【図6】図4の読み取りヘッドの発光ダイオードアレイの断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料キャリヤに光を照射し、試料キャリヤから光を受けるための診断機器のための読み取りヘッドであって、
診断機器に組み込まれるように適合され、試料キャリヤを受けるための照射チャンバを含むハウジングと、
ハウジング内で照射チャンバに対して固定された位置に取り付けられ、第一の波長の実質的に単色性の光を発するための第一の発光ダイオード及び第一の波長と実質的に異なる第二の波長の実質的に単色性の光を発するための第二の発光ダイオードを含む反射光源のアレイと、
発光ダイオードの一方だけが点灯しているとき、その一方の発光ダイオードからの実質的にすべての光を照射チャンバに運んで照射チャンバが実質的に均一に照射を受けるようにするための、発光ダイオードそれぞれから光を受けるようにハウジング中に取り付けられた導光体と、
照射チャンバから光を受けるように結合された光検出器と、
ハウジング中に配置され、所定の波長の励起光を照射チャンバに送るように配置された蛍光励起光源と、
照射チャンバと光検出器との間に配置され、蛍光励起光源からの励起光の通過を防ぐが、励起光の所定の波長と異なる波長を有する、照射チャンバ中の試料キャリヤから出た光の通過を許すように適合された光フィルタと
を含む読み取りヘッド。
【請求項2】
蛍光励起光源が紫外線光源を含む、請求項1記載の読み取りヘッド。
【請求項3】
紫外線光源が、364ナノメートル、405ナノメートル及び436ナノメートルのライン出力ならびに330〜385ナノメートルの広帯域出力を有する黒い蛍光灯を含む、請求項2記載の読み取りヘッド。
【請求項4】
黒い蛍光灯がハウジングの紫外線光源チャンバ中に配置され、紫外線光源チャンバが金属箔でライニングされている、請求項3記載の読み取りヘッド。
【請求項5】
光検出器と光フィルタとの間にミラーが配置されている、請求項1記載の読み取りヘッド。
【請求項6】
レンズが、光検出器と光フィルタとの間に配置され、光を光検出器に合焦させるように適合されている、請求項1記載の読み取りヘッド。
【請求項7】
請求項1記載の読み取りヘッドを含み、光検出器に接続され、光検出器からの電気信号を処理して、読み取りヘッドの照射チャンバに受けられた試料キャリヤ上の試料の物理的性質を測定するようにプログラムされたプロセッサをさらに含む診断機器。
【請求項8】
プロセッサが、予測モデルを使用して物理的性質を測定するようにプログラムされている、請求項7記載の診断機器。
【請求項9】
導光体が、入口に隣接する地点で比較的小さな幅を有し、出口に隣接する地点で比較的大きな幅を有するダイバージング導光体を含む、請求項1記載の読み取りヘッド。
【請求項10】
試料キャリヤに光を照射し、試料キャリヤから光を受けるための診断機器のための読み取りヘッドであって、
診断機器に組み込まれるように適合され、試料キャリヤを受け、支持するように適合されたハウジングと、
ハウジング内で試料キャリヤに対して固定された位置に取り付けられた発光ダイオードを含む反射光源と、
発光ダイオードから光を受けるようにハウジング中に取り付けられ、発光ダイオードからの実質的にすべての光を試料キャリヤに運んで試料キャリヤが実質的に均一に照射を受けるようにするように適合され、入口に隣接する地点で比較的小さな幅を有し、出口に隣接する地点で比較的大きな幅を有するダイバージング導光体と、
試料キャリヤから光を受けるように結合された光検出器と、
所定の波長の励起光を試料キャリヤに送るための蛍光励起光源と、
試料キャリヤと光検出器との間に配置され、蛍光励起光源からの励起光の通過を防ぐが、励起光の所定の波長と異なる波長を有する、試料キャリヤから出た光の通過を許すように適合された光フィルタと
を含む読み取りヘッド。
【請求項11】
蛍光励起光源が紫外線光源を含む、請求項10記載の読み取りヘッド。
【請求項12】
紫外線光源が、364ナノメートル、405ナノメートル及び436ナノメートルのライン出力ならびに330〜385ナノメートルの広帯域出力を有する黒い蛍光灯を含む、請求項11記載の読み取りヘッド。
【請求項13】
光検出器と光フィルタとの間にミラーが配置されている、請求項10記載の読み取りヘッド。
【請求項14】
レンズが、光検出器と光フィルタとの間に配置され、光を光検出器に合焦させるように適合されている、請求項10記載の読み取りヘッド。
【請求項15】
請求項10記載の読み取りヘッドを含み、光検出器に接続され、光検出器からの電気信号を処理して、読み取りヘッドに受けられた試料キャリヤ上の試料の物理的性質を測定するようにプログラムされたプロセッサをさらに含む診断機器。
【請求項16】
プロセッサが、予測モデルを使用して物理的性質を測定するようにプログラムされている、請求項15記載の診断機器。
【請求項17】
試料キャリヤに光を照射し、試料キャリヤから光を受けるための診断機器のための読み取りヘッドであって、
診断機器に組み込まれるように適合され、試料キャリヤを受けるための照射チャンバを含むハウジングと、
ハウジング内で照射チャンバに対して固定された位置に取り付けられたレンズレス発光ダイオードを含む反射光源と、
レンズレス発光ダイオードからの光を照射チャンバ中の試料キャリヤに運ぶための、レンズレス発光ダイオードに対して固定された位置に取り付けられた導光体と、
試料キャリヤから光を受けるように結合された光検出器と、
所定の波長の励起光を照射チャンバに送るための、ハウジング中に配置された蛍光励起光源と、
照射チャンバと光検出器との間に配置され、蛍光励起光源からの励起光の通過を防ぐが、励起光の所定の波長と異なる波長を有する、照射チャンバ中の試料キャリヤから出た光の通過を許すように適合された光フィルタと
を含む読み取りヘッド。
【請求項18】
蛍光励起光源が紫外線光源を含む、請求項17記載の読み取りヘッド。
【請求項19】
紫外線光源が、364ナノメートル、405ナノメートル及び436ナノメートルのライン出力ならびに330〜385ナノメートルの広帯域出力を有する黒い蛍光灯を含む、請求項18記載の読み取りヘッド。
【請求項20】
紫外線光源が、ハウジングの、金属箔でライニングされたチャンバの中に配置されている、請求項18記載の読み取りヘッド。
【請求項21】
光検出器と光フィルタとの間にミラーが配置されている、請求項17記載の読み取りヘッド。
【請求項22】
レンズが、光検出器と光フィルタとの間に配置され、光を光検出器に合焦させるように適合されている、請求項17記載の読み取りヘッド。
【請求項23】
請求項17記載の読み取りヘッドを含み、光検出器に接続され、光検出器からの電気信号を処理して、読み取りヘッドの照射チャンバに受けられた試料キャリヤ上の試料の物理的性質を測定するようにプログラムされたプロセッサをさらに含む診断機器。
【請求項24】
プロセッサが、予測モデルを使用して物理的性質を測定するようにプログラムされている、請求項23記載の診断機器。
【請求項25】
導光体が、入口に隣接する地点で比較的小さな幅を有し、出口に隣接する地点で比較的大きな幅を有するダイバージング導光体を含む、請求項17記載の読み取りヘッド。
【請求項26】
物理的性質がグルコース濃度を含む、請求項23記載の診断機器。
【請求項27】
物理的性質がグルコース濃度を含む、請求項15記載の診断機器。
【請求項28】
物理的性質がグルコース濃度を含む、請求項7記載の診断機器。
【請求項29】
紫外線光源が発光ダイオードを含む、請求項18記載の読み取りヘッド。
【請求項30】
発光ダイオードが高輝度緑色発光ダイオードを含む、請求項29記載の読み取りヘッド。
【請求項31】
紫外線発光ダイオードが反射光源の隣に配置され、導光体がガラス又は石英を含む、請求項29記載の読み取りヘッド。
【請求項32】
紫外線光源が発光ダイオードを含む、請求項11記載の読み取りヘッド。
【請求項33】
発光ダイオードが高輝度緑色発光ダイオードを含む、請求項32記載の読み取りヘッド。
【請求項34】
紫外線発光ダイオードが反射光源の隣に配置され、導光体がガラス又は石英を含む、請求項32記載の読み取りヘッド。
【請求項35】
紫外線光源が発光ダイオードを含む、請求項2記載の読み取りヘッド。
【請求項36】
発光ダイオードが高輝度緑色発光ダイオードを含む、請求項35記載の読み取りヘッド。
【請求項37】
紫外線発光ダイオードが反射光源の隣に配置され、導光体がガラス又は石英を含む、請求項35記載の読み取りヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−526778(P2006−526778A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509092(P2006−509092)
【出願日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/018233
【国際公開番号】WO2004/109263
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(503106111)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (154)
【Fターム(参考)】