光学機構
【課題】構造が簡単であり、制御動作も単純であって、回転部材を精度よく停止させることができる光学機構を提供する。
【解決手段】光学機構のチャージ機構10は、トーションバネ13によって付勢され、撮像光学系の光路上に入る進入位置と上記撮像光学系の光路上から退避する退避位置との間を往復する可動ミラー、または、撮像素子の露光時間を調節する機械式シャッタを付勢するバネのチャージを行うチャージレバー7と、回転を行う部材であって、チャージレバー7で行われた上記チャージおよび開放を行う部材であるカム4と、上記チャージ動作後の解放が行われる際に生じる運動エネルギーにより、上記カム4の一部、または、チャージレバー7の一部と係止を行ってカム4の惰性回転を抑制する係止レバー11とを有している。
【解決手段】光学機構のチャージ機構10は、トーションバネ13によって付勢され、撮像光学系の光路上に入る進入位置と上記撮像光学系の光路上から退避する退避位置との間を往復する可動ミラー、または、撮像素子の露光時間を調節する機械式シャッタを付勢するバネのチャージを行うチャージレバー7と、回転を行う部材であって、チャージレバー7で行われた上記チャージおよび開放を行う部材であるカム4と、上記チャージ動作後の解放が行われる際に生じる運動エネルギーにより、上記カム4の一部、または、チャージレバー7の一部と係止を行ってカム4の惰性回転を抑制する係止レバー11とを有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像光学系から取り込まれた被写体光束の状態を切り替えるための光学機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像光学系から取り込まれた被写体光束の状態を切り替えるための光学機構として、例えば、一眼レフレックスカメラには、上記撮像光学系の光路への進入位置(ダウン位置)と該光路からの退避位置(アップ位置)との間を往復する可動ミラー(メインミラー)を有する可動ミラー装置、および、光量調整、光路開閉の為のシャッタ装置が備えられている。可動ミラー装置、および、シャッタ装置は、その動作を行うためにチャージバネを有しており、動作に際して上記チャージバネをチャージするためのチャージ機構が必要である。
【0003】
図12は、従来のシャッタ装置とチャージ機構からなる光学機構の一例を示す斜視図であり、図12(A)は、チャージ後の状態、図12(B)は、チャージ状態を示している。なお、図12と後述する図13にて撮影光学系により取り込まれる被写体光束の光軸は、「O」で示される。
【0004】
図12に示すように上記シャッタ装置101は、シャッタ膜110を備えた機械式シャッタ装置であり、シャッタ膜110は、チャージ機構102によりシャッタ装置101に内蔵される請求項で言う第1のバネであるチャージバネ(図示せず)により付勢された状態で閉位置に駆動される。また、シャッタ装置101には電磁石(図示せず)が設けられており、チャージ状態にあるシャッタ膜110の開閉が制御される。
【0005】
チャージ機構102は、シャッタ装置101のシャッタレバー108を回動駆動して上記チャージバネのチャージを行うためのチャージレバー106を備えており、チャージレバー106は、駆動モータ103によりギヤ列を介して回転駆動されるカム105によってその回動位置が制御される。
【0006】
図12(A)に示すようにカム105の回転によりチャージレバー106のカムフォロア106aがカムトップ部105aに達すると、上記チャージバネがチャージ状態となる。その後、カム105がS1方向に回転してカムボトム部105bに達するとチャージレバー106は、図12(B)に示すチャージ完了位置に戻る。その後、上記電磁石の制御により上記チャージバネが解放され、シャッタ膜110の開閉がなされる。上記チャージ完了状態で正常の状態であれば、チャージレバー106とシャッタレバー108とは、僅かな隙間をもって離間している。なお、カム105の回転位相は、PI(フォトインタラプタ)111およびモータパルスエンコーダ(図示せず)によって検出され、駆動モータ103の回転制御がなされる。
【0007】
カム105がカムボトム部105bまで回転したとき、カム、ギヤ等の各構成部材の惰性により所定の範囲内に急停止せず、許容範囲(回転角度範囲)を超えてオーバーランした場合、カムフォロア106aがカム部に乗り上げることになる。この乗り上げ状態では、上述した隙間がなくなり、チャージレバー106でシャッタレバー108を押圧し、回動させる可能性がある。この押圧回動によって、シャッタ膜110の状態が変化し、その後に行われるシャッタ装置101の制御に不都合が生じる可能性がある。
【0008】
上述した不都合を生じさせないためには、カム105のカムボトム部105bの範囲を大きくして、カム105の許容範囲を広げることが考えられるが、これでは撮影シーケンス上のタイミングの遅れが生じ、例えば、連写を行う場合、1コマごとの撮影に所要時間が長くなり、高速化が困難になるといった問題が生じる。
【0009】
なお、従来の一眼レフレックスカメラにおける上記可動ミラー装置も上記シャッタ装置101の場合と同様にチャージ機構によりチャージ駆動される。図13は、上記従来の可動ミラー装置とチャージ機構からなる光学装置の一例を示す斜視図である。
【0010】
図13に示すように従来の可動ミラー装置201は、可動ミラー(メインミラー)211を備えており、該可動ミラー211は、請求項で言う第2のバネであるチャージバネ209およびダウン付勢バネ210を介して付勢される状態で第1の位置となる被写体光の光路に進入した進入位置P1と、第2の位置となる光路からの退避した退避位置P2とに回動可能に支持軸212により支持されている。ミラー装置側レバー208は、チャージ機構202の駆動モータ203を駆動源としてM1方向に回転するカム205によってチャージレバー206を介してM2方向に回動駆動される。ミラー装置側レバー208の回動によってチャージバネ209は、チャージされ、可動ミラー211が進入位置P1に回動駆動される。さらに、カム205が回転して、チャージレバー206がチャージ位置から解放位置に回動すると、チャージバネ209が解放され、可動ミラー211は、M3方向の退避位置P2に回動駆動される。このチャージ機構202においても上述したシャッタ装置用のチャージ機構102の場合と同様の駆動制御がなされ、カム205の停止動作について、同様の問題を有している。
【0011】
上述した従来のシャッタ装置、または、可動ミラー装置のチャージ機構による高速連写に対する問題を解決するために特許文献1,2,3が開示されている。
【0012】
特許文献1,2,3においては、チャージ駆動用のカムを機械的に素早く停止させるための係止部材を配し、上記カムを急停止させる構造が採用されている。
【0013】
詳しくは、特許文献1に開示されものでは、カム側に付勢された2つの係止部材が、上記カムのミラー進入位置、退避位置の作動点に設けられた係止溝に嵌まり、カムの回転を停止させる(特許文献1の図2参照)。停止後、上記カムと独立して回動できるようバネにより上記カムと同軸に備えられた突起を有する解除盤(特許文献1の図3参照)が、係止レバーを押し上げ、係止を解除する(特許文献1の図4参照)。
【0014】
特許文献2に開示されたものでは、トルク伝達経路とは別のギヤ上に設けられた係止受け部材が、チャージレバー上に設けられた係止部材と嵌合し、カムの回転を停止させる。その後、モータートルクを伝達し、上記係止受け部材が回動し、回動中心が遊びのある小判型の上記係止部材で押されることで、係止が解除される(特許文献2の図3参照)。
【0015】
特許文献3に開示されものでは、カムに対し逆側に付勢されており、係止解除部材を備え、その係止解除部材と別に備わる保持部材によって保持されている2つの係止部材が、上記カムのミラー進入位置、退避位置の作動点に設けられた係止溝に嵌まり、上記カムの回転を停止させる。上記係止部材がカムの係止溝に嵌ると略同時に上記係止解除部材のロックが外れる。しかし、上記カムに回転力が与えられている間は、上記係止部材が押し付けられているため、上記カムの停止が続く。上記カムが停止すると上記カムからの係止部材への押付力がなくなり、付勢力が摩擦に逆らって作用し、上記係止部材が上記カムの逆側に退避し、係止が解除される(特許文献3の図4,5参照)。
【特許文献1】特開2005−331698号公報
【特許文献2】特開2006−126389号公報
【特許文献3】特開2006−184717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述した特許文献1,2,3に開示されたチャージ機構においては、構造が複雑である。係止部材も複数のものが搭載され、小型化の妨げになっている。また、特許文献1,3のものでは、駆動モータを2回の駆動、停止させてより停止精度を上げるようになっており、制御動作が複雑である。
【0017】
本発明は、上述の不具合を解決するためになされたものであり、構造が簡単であり、制御動作も単純であって、回転部材を精度よく停止させることができる光学機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の請求項1に記載の光学機構は、第1のバネで付勢されているチャージ部材であって、撮像光学系の光路上に入る第一の位置と上記撮像光学系の光路上から退避する第二の位置との間を往復する可動ミラー、または、撮像素子の露光時間を調節する機械式シャッタを付勢する第2のバネのチャージを行うチャージ部材と、回転を行う部材であって、上記第1のバネのチャージ部材の上記チャージおよび解放を行う部材である回転部材と、上記第1のバネのチャージの開放が行われる際に生じる上記チャージ部材又は上記回転部材の運動エネルギーにより、上記回転部材の一部、または、上記チャージ部材の一部と係止を行って上記回転部材の惰性回転を抑制する係止部材とを有する。
【0019】
本発明の請求項2に記載の光学機構は、請求項1に記載の光学機構において、上記係止部材は、上記係止を行う際に動作する方向とは逆方向に付勢が行われており、上記係止が行われた後、上記付勢により上記係止が解除される。
【0020】
本発明の請求項3に記載の光学機構は、請求項1に記載の光学機構において、上記運動エネルギーは、上記第1のバネのチャージが解放される際の上記チャージ部材の動作速度の変化により生じる運動エネルギーである。
【0021】
本発明の請求項4に記載の光学機構は、請求項1に記載の光学機構において、上記運動エネルギーは、上記第1のバネのチャージが解放される際の上記回転部材の回転速度の変化により生じる運動エネルギーである。
【0022】
本発明の請求項5に記載の光学機構は、請求項1に記載の光学機構において、上記運動エネルギーは、上記第1のバネのチャージが解放される際に上記チャージ部材の一部と上記回転部材の一部とが衝突する衝突エネルギーである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、構造が簡単であって、制御動作も単純であり、回転部材を精度よく停止させることが可能な光学機構を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0025】
図1は、本発明の第一の実施形態としての光学機構に組み込まれるチャージ機構の斜視図である。図2は、上記チャージ機構の各動作状態を示す模式図である。なお、構成部材の回転方向、または、回動方向は、他の実施形態の場合を含めて各斜視図の上側から見た平面上の回転方向で表すものとする。
【0026】
図1に示す本実施形態のチャージ機構10は、前述した図12のシャッタ装置101、または、図13の可動ミラー装置201とともに光学機構を構成するものである。従って、図12の従来のチャージ機構102、または、図13の従来のチャージ機構202に替えて本実施形態のチャージ機構1を組み込み、本実施形態の光学機構が構成される。シャッタ装置101,ミラー装置201の共通する構成部材については、図12,13の符号を適用する。
【0027】
チャージ機構10は、駆動モータ103によって時計回りの一方方向に回転駆動される従動ギヤ104に対して固定され、カム軸3に回転可能に支持される回転部材としてのカム4と、レバー支持軸8に回動可能に支持されるチャージ部材としてのチャージレバー7とからなる。カム軸3およびレバー支持軸8は、例えば、シャッタ装置101が組み込まれるミラーボックスに固着されている。
【0028】
カム4は、カムトップ部4aとカムボトム部4bを有するカム部を備えており、さらに、上面側に突出する係止受け部材であるカムピン4cを備えている。
【0029】
チャージレバー7は、カム4に当接、摺動するカムフォロア7aと、例えば、シャッタ装置101のシャッタレバー108(図12)に当接し、チャージ駆動する駆動ピン7bと、係止レバー支持ピン7dと、係止レバーストッパ7cとを備えており、上面部に係止部材である係止レバー11が係止レバー支持ピン7dにより回動可能な状態で装着されている。
【0030】
そして、チャージレバー7は、軸穴をレバー支持軸8に嵌入した状態で回動可能に支持されており、レバー支持軸8には請求項で言う第1のバネであるトーションバネ13が挿入され、チャージレバー7を時計回りに付勢している。従って、チャージレバー7のカムフォロア7aは、カム4の時計回りの回転にともなってカム4の外周カム部に当接しながら摺接する。なお、トーションバネ13のフック両端は、ミラーボックス側ストッパ9およびチャージレバー7に懸架されている。
【0031】
係止レバー11は、先端部に爪部が設けられており、係止レバー支持ピン7dに挿入されるトーションバネ12によって反時計回りに付勢されている。
【0032】
チャージレバー7がレバー支持軸8まわりの衝撃力(外力)を受けない状態では、係止レバー11は、反時計回りに回動移動して係止レバーストッパ7cに当接し、チャージレバー7の端部から後退した状態に保持される。しかし、後述するようにチャージレバー7が回動急停止してレバー支持軸8まわりの衝撃力を受けた場合、係止レバー11の上記爪部は、慣性力により時計回りに回動して、カム4側に突出し、カム4のカムピン4cと係止可能状態となる。後述するように該係止動作によりカム4の時計回りの回転を一時的に阻止される。
【0033】
上述した構成を有するチャージ機構10のチャージ動作について、図2を用いて説明する。以下、チャージ機構10を図12に示すシャッタ装置101をチャージ駆動する場合の動作として説明するが、図13に示す可動ミラー装置201のミラー装置側レバー208を介してチャージバネ209をチャージ駆動する場合の動作も同様である。
【0034】
チャージ機構10の各動作状態を示す模式図である図2のうち、図2(A)は、チャージレバーのカムフォロアがカムトップ位置に到達したチャージ状態を示し、図2(B)は、その後、上記カムフォロアがカムボトム部に到達した状態を示し、図2(C)は、直後、衝撃力を受け慣性力により係止レバーが回動を始めた状態を示す。図2(D)は、上記係止レバーが係止ピンと係止した状態を示し、図2(E)は、カムが停止して上記係止レバーが係止を解除した状態であって、次のチャージ動作の待ち状態を示している。
【0035】
チャージ機構10においては、シャッタ装置101の請求項で言う第2のバネであるシャッタ膜付勢用チャージバネ(図示せず)のチャージを行う場合、駆動モータ103によりギヤ列を介して従動ギヤ104とともにカム4が時計回りに回転駆動される。チャージレバー7のカムフォロア7aがカム4のカムボトム部4bからカムトップ部4aに到達し、シャッタレバー108を左方向に押し切ったとき、上記チャージバネのチャージ動作が終わる(図2(A))。このタイミングは、PI111により検出される。
【0036】
その後、所定の回転角度だけカム4が回転し、チャージレバー7のカムフォロア7aがカムボトム部4bに当接する(図2(B))。
【0037】
カムフォロア7aがカムボトム部4bに当接(衝突)したとき、チャージレバー7の回動速度が急変する。その運動エネルギーにより係止レバー11が衝撃力を受け慣性力により、時計回りに回動し、係止レバー11の爪部がチャージレバー7の側面に突出した状態となる(図2(C))。そこで、カム4のカムピン4cが係止レバー11の爪部の位置に到達し、係止状態となり、カム4のそれ以後の時計回りの惰性による回転が阻止され、急停止してチャージ動作が完了する(図2(D))。この状態でチャージレバー7の駆動ピン7bとシャッタレバー108との間は、僅かな隙間が保たれており、シャッタ装置101のシャッタ膜開閉動作に対してシャッタレバー108の位置が影響を与えることがない。
【0038】
上述した一連のチャージ動作の完了後、シャッタ装置101においては、カメラ制御部(図示せず)の指示によってシャッタ膜110の開閉制御が行われ、チャージバネの解放がなされる。なお、チャージ機構10が可動ミラー装置201に組み込まれた場合、上述したチャージ動作の完了の状態ではチャージバネが解放される。すなわち、図2(D)に示すチャージ動作完了の状態がチャージバネ209のチャージ解放状態に相当する。
【0039】
上述したカム4の急停止後、係止レバー11は、トーションバネ12の付勢力で反時計回りに後退回動して、爪部とカム4のカムピン4cとの係止は解放される(図2(E))。従って、継続して実行される再チャージ動作にそのままの状態で移行することができる。
【0040】
上述したように本実施形態のチャージ機構10を適用した光学機構は、チャージレバー7がカム4のカムボトム部4bに当接したときの慣性力を利用してカム4をカムボトム位相で急停止させることができる。従って、カム4のカムボトム部4bの回転角度の余裕分を減らすことが可能になり、カム4の1チャージ動作に要する回転時間を減じることができ、高速連写が可能となる。
【0041】
また、カム4のカムボトム部4bでの急停止後、係止レバー11は、トーションバネ12の付勢力を利用して係止レバー11をカムピン4cに対する非係止位置に後退させるので、係止状態解除のための複雑な機構部が不要であり、簡単なチャージ機構を構成することができる。
【0042】
次に本発明の第二の実施形態の光学機構に組み込まれるチャージ機構について、図3〜5を用いて説明する。
【0043】
図3は、本実施形態の光学機構に組み込まれるチャージ機構の斜視図である。図4は、上記チャージ機構のチャージレバー係止ピンまわりの拡大平面図である。図5は、上記チャージ機構の各動作状態図である。
【0044】
図3に示す本実施形態のチャージ機構10Aは、前記チャージ機構10と同様に前述した図12のシャッタ装置101、または、図13の可動ミラー装置201とともに光学機構を構成するものである。
【0045】
チャージ機構10Aは、駆動モータ103によりギヤ列を介して時計回りに回転駆動される従動ギヤ104上に固着されており、カム軸3に回転可能に支持される回転部材であるカム4Aと、レバー支持軸8に回動可能に支持されるチャージ部材としてのチャージレバー7Aとからなる。カム軸3およびレバー支持軸8は、例えば、シャッタ装置101が組み込まれるミラーボックスに固着されている。なお、第一の実施形態と同様の構成部材には同一符号を付して説明する。
【0046】
カム4Aは、カムトップ部4aとカムボトム部4bを有するカム部(図5)を備えており、さらに、上面側に係止受け部材である嵌入穴部材4Acを備えている。嵌入穴部材4Acには、後述するチャージレバー7Aの係止ピン11Aの先端部が嵌入可能である。
【0047】
チャージレバー7Aは、カム4Aに当接、摺動するカムフォロア7aと、例えば、シャッタ装置101のシャッタレバー108(図12)に当接し、チャージ駆動する駆動ピン7bと、スライド穴部材7Acとを備えており、レバー支持軸8に嵌入して回動可能に支持されている。そして、レバー支持軸8に挿入されているトーションバネ13によって時計回りに付勢されている。従って、カムフォロア7aは、カム4Aの時計回りの回転にともなってカム4Aの外周のカム部に当接しながら摺動する。なお、トーションバネ13のフック両端は、ミラーボックス側ストッパ9およびチャージレバー7Aに懸架されている。
【0048】
スライド穴部材7Acのスライド穴7Adには、係止部材である係止ピン11Aが摺動可能な状態で嵌入している。係止ピン11Aにはスライド穴7Adを貫通した後方部(図4の左側)に圧縮バネからなる付勢バネ12Aが挿入され、係止ピン11Aを退避方向である左方側に付勢している。また、係止ピン11Aの先端部は、スライド穴部材7Acから突出しており、後方への移動を規制する段部11Adが設けられている(図4)。
【0049】
チャージレバー7Aがレバー支持軸8まわりの衝撃力(外力)を受けない状態では、係止ピン11Aは、左方向(図4上)に移動してその先端部がチャージレバー7の端部から後退した状態に保持される。しかし、後述するようにチャージレバー7が回動急停止してレバー支持軸8まわりの衝撃力を受けた場合、係止ピン11Aの先端部は、慣性力により右方向(図4上)に移動して、カム4側に突出し、嵌入穴部材4Acに嵌入可能状態となる。該係止でカム4の時計回りの回転が一時的に阻止される。
【0050】
上述した構成を有するチャージ機構10Aのチャージ動作について、図5を用いて説明する。以下、チャージ機構10Aを図12に示すシャッタ装置101をチャージ駆動する場合の動作として説明するが、図13に示す可動ミラー装置201のミラー装置側レバー208を介してチャージバネ209をチャージ駆動する場合の動作も同様である。
【0051】
チャージ機構10Aの各動作状態を示す模式図である図5のうち、図5(A)は、チャージレバーのカムフォロアがカムトップ位置に到達したチャージ状態を示し、図5(B)は、その後、上記カムフォロアがカムボトム部に到達した状態を示し、図5(C)は、直後、係止ピンが係止穴部材に係止し、カムの回転が規制された状態を示し、図5(D)は、上記係止ピンの係止が解除された状態であって、次のチャージ動作の待ち状態を示している。
【0052】
チャージ機構10Aにおいては、シャッタ装置101のシャッタ膜付勢用のチャージバネ(図示せず)をチャージする場合、駆動モータ103によりギヤ列を介して従動ギヤ104とともにカム4Aが時計回りに回転駆動される。チャージレバー7Aのカムフォロア7aがカム4Aのカムボトム部4bからカムトップ部4aに到達し、シャッタレバー108を左方向に押し切ったとき、上記チャージバネのチャージ動作が終わる(図5(A))。このタイミングは、PI111により検出され、カメラ制御部に入力される。
【0053】
さらに、所定の回転角度だけカム4Aが回転し、チャージレバー7Aのカムフォロア7aがカムボトム部4bに当接する(図5(B))。
【0054】
カムフォロア7aがカムボトム部4bに当接(衝突)したとき、チャージレバー7Aの運動エネルギーにより係止ピン11Aが衝撃力を受けて慣性力により右方向(カム側)に突出し、先端部がカム4Aの嵌入穴部材4Acの穴部に嵌入して係止状態となる。カム4Aのそれ以後の時計回りの惰性による回転が阻止され、急停止してチャージ動作が完了する(図5(C))。なお、カム4Aの嵌入穴部材4Acの穴部の大きさは、嵌入タイミングのズレを吸収するために係止ピン11Aの先端部に対して周方向に余裕のある寸法とすることが好ましい。
【0055】
なお、上記カム4Aの急停止後、係止ピン11Aは、付勢バネ12Aの付勢力で左方向に後退移動して、係止ピン先端部とカム4の嵌入穴部材4Acとの係止は解放される(図5(D))。従って、継続して実行される再チャージ動作にそのままの状態で移行することができる。
【0056】
上述した一連のチャージ動作に伴うシャッタ装置101側、または、可動ミラー装置201側の動作は、前記第一の実施形態の場合と同様である。
【0057】
上述したように本実施形態のチャージ機構10Aを適用した光学機構においても、第一の実施形態の光学機構と同様の効果を奏し、カム4Aのカムボトム部4bの回転角度の余裕分を減らすことが可能になり、カム4Aの1チャージ動作に要する回転時間を減じることができ、高速連写が可能となる。また、係止状態解除のための複雑な機構部が不要であり、簡単なチャージ機構を構成することができる。
【0058】
次に上述した第二の実施形態のチャージ機構10Aにおけるカム4Aに配される嵌入穴部材4Acに対する変形例について、図6の本変形例を適用したチャージ機構の斜視図を用いて説明する。
【0059】
図6に示すように本変形例を適用したチャージ機構10AAのカム4AAには、第二実装形態における嵌入穴部材4Acに替えて対向する2本のカムピン4AAcが配されている。
【0060】
チャージ機構10AAにおけるチャージ動作にて、カム4Aが回転し、チャージレバー7Aのカムフォロア7aがカムボトム部4bに当接したとき、係止ピン11Aが衝撃力を受けて慣性力により右方向(カム側)に突出すると、係止ピン先端部がカム4A側の2本のカムピン4AAcの間に嵌入して係止状態となり、カム4AAのそれ以後の時計回りの回転が規制され、急停止してチャージ動作が完了する。なお、カム4AAのカムピン4AAcの間隔は、嵌入タイミングのズレを吸収するために係止ピン11Aの先端部の幅に対して周方向に余裕のある寸法とすることが好ましい。
【0061】
本変形例を適用したチャージ機構10AAによれば、カム4AA側の構造がさらに簡単になる。
【0062】
次に本発明の第三の実施形態の光学機構に組み込まれるチャージ機構について、図7,8を用いて説明する。
【0063】
図7は、本実施形態の光学機構に組み込まれるチャージ機構の斜視図である。図8は、上記チャージ機構の各動作状態を示す模式図である。
【0064】
本実施形態のチャージ機構10Bは、前述した図12のシャッタ装置101、または、図13の可動ミラー装置201とともに光学機構を構成する。従って、図12のチャージ機構102、または、図13のチャージ機構202に替えて本実施形態のチャージ機構1を組み込み、本実施形態の光学機構が構成される。なお、シャッタ装置101,ミラー装置201の共通する構成部材については、図11,12の符号を適用する。
【0065】
チャージ機構10Bは、駆動モータ103によりギヤ列を介して時計回りの一方方向に回転駆動される従動ギヤ104上に固着され、カム軸3に回転可能に支持される回転部材であるカム4Bと、レバー支持軸8に回動可能に支持されるチャージ部材としてのチャージレバー7Bとからなる。カム軸3およびレバー支持軸8は、例えば、シャッタ装置101が組み込まれるミラーボックスに固着されている。
【0066】
カム4Bは、カムトップ部4aとカムボトム部4bを有するカム部を備えており、さらに、カム軸3の軸心上の上面側に突出するレバー支持ピン4Bd、および、ストッパピン4Beを備えている。レバー支持ピン4Bdには、係止部材である係止レバー11Bが回動可能に嵌入している。係止レバー11Bには先端部に爪部が設けられており、さらに、レバー支持ピン4Bdに挿入されるトーションバネ12Bにより反時計回りに付勢され、後述する衝撃力が作用しない状態では、ストッパピン4Beに当接した退避位置に位置している(図8(A))。
【0067】
チャージレバー7Bは、カム4Bに当接、摺動するカムフォロア7aと、例えば、シャッタ装置101のシャッタレバー108(図12)に当接し、チャージ駆動する駆動ピン7bと、係止受け部材である係合ピン7Beとを備えており、レバー支持軸8に嵌入し、回動可能に支持されている。レバー支持軸8にはトーションバネ13が挿入され、該トーションバネ13のフック両端は、ミラーボックス側ストッパ9およびチャージレバー7Bに懸架され、チャージレバー7Bを時計回りに付勢している。従って、チャージレバー7Bのカムフォロア7aは、カム4Bの時計回りの回転にともなってカム4の外周のカム部に当接しながら摺動する。
【0068】
連続回転時、または、停止時、カム4Bがカム軸3まわりの衝撃力(外力)を受けない状態では、係止レバー11Bは、カム4Bに対して相対的に反時計回りに回動移動してストッパピン4Beに当接した退避位置に保持される(図8(A))。しかし、後述するようにカム4Bが急停止して係止レバー11Bが運動エネルギーによりカム軸3まわりの衝撃力を受けた場合、係止レバー11Bは、慣性力によりカム4Bに対して相対的に時計回りに回動する。この回動位置は、チャージレバー7Bの係合ピン7Beと係止可能な位置である。係止レバー11Bは、カム4Bが完全停止した後、上記係止可能な位置から上述した退避位置に戻る。
【0069】
上述した構成を有するチャージ機構10Bのチャージ動作について、図8を用いて説明する。以下、チャージ機構10Bを図12に示すシャッタ装置101をチャージ駆動する場合の動作として説明するが、図13に示す可動ミラー装置201のチャージバネ209をチャージ駆動する場合の動作も同様である。
【0070】
チャージ機構10Bの各動作状態を示す模式図である図8のうち、図8(A)は、チャージレバーのカムフォロアがカムトップ位置に到達したチャージ状態を示し、図8(B)は、その後、上記カムフォロアがカムボトム部に到達した状態を示し、図8(C)は、直後、上記係止レバーが回動してカムピンと係止した状態を示し、図8(D)は、カムが停止して上記係止レバーが係止を解除した状態であって、次のチャージ動作の待ち状態を示している。
【0071】
チャージ機構10Bおいては、シャッタ装置101のシャッタ膜付勢用のチャージバネ(図示せず)をチャージする場合、駆動モータ103によりギヤ列を介して従動ギヤ104とともにカム4が時計回りに回転駆動される。チャージレバー7Bのカムフォロア7aがカム4Bのカムボトム部4bからカムトップ部4aに到達し、シャッタレバー108を左方向に押し切ったとき、上記チャージバネのチャージ動作が終わる(図8(A))。このタイミングは、PI111により検出され、カメラ制御部に入力される。
【0072】
さらに、所定の回転角度だけカム4Bが回転し、チャージレバー7Bのカムフォロア7aがカムボトム部4bに当接する(図8(B))。
【0073】
駆動モータ103の急停止によって、そのときの運動エネルギーにより係止レバー11Bが衝撃力を受け慣性力により、時計回りに回動し、係止レバー11Bの爪部がチャージレバー7Bの係合ピン7Beに係合する(図8(C))。上記係合によってカム4Bのそれ以後の時計回りの回転が規制され、完全停止してチャージ動作が完了する。
【0074】
上述した一連のチャージ動作の完了後、シャッタ装置101においては、カメラ制御部(図示せず)の指示によってシャッタ膜110の開閉制御が行われ、チャージバネの解放がなされる。可動ミラー装置201に組み込まれた場合、上記チャージ動作の完了でチャージバネが解放される。
【0075】
なお、上記カム4Bの急停止後、係止レバー11Bは、トーションバネ12Bの付勢力で反時計回りに後退回動して、係止レバー爪部と係合ピン7Beとの係止は解放される(図8(D))。従って、継続して実行される再チャージ動作にそのままの状態で移行することができる。
【0076】
上述した一連のチャージ動作に伴うシャッタ装置101側、または、可動ミラー装置201側の動作は、前記第一の実施形態の場合と同様である。
【0077】
上述したように本実施形態のチャージ機構10Bを適用した光学機構は、カム4Bのチャージ終了後の急停止時に係止レバー11Bが受ける慣性力によって係止レバー11Bを回動駆動してチャージレバー7Bの係合ピン7Beに係合させカム4Bをカムボトム位相で急停止させることができるようにした。従って、カム4Bのカムボトム部4bの回転角度の余裕分を減らすことが可能になり、カム4Bの一回毎のチャージ動作に要する回転時間を減じることができ、高速連写が可能となる。
【0078】
また、カム4Bのカムボトム位相での急停止後、係止レバー11Bは、トーションバネ12Bの付勢力を利用して係合ピン7Beに対する非係止位置に後退するので、係止状態解除のための複雑な機構部が不要であり、簡単なチャージ機構を構成することができる。
【0079】
なお、上述したチャージ機構10Bにおいては、係止レバー11Bは、カム軸3の中心上に配されるレバー支持ピン4Bdによって回動可能に支持されている。このレバー支持ピンをカム軸3の中心から偏った位置に配する構造を採用することも可能であり、この場合、カム4Bの回転規制を効率よく行うことができる。
【0080】
次に上述した第三の実施形態のチャージ機構10Bにおけるカム4Aに配される係止レバー11Bに対する変形例について、図9の本変形例を適用したチャージ機構の斜視図を用いて説明する。
【0081】
本変形例を適用したチャージ機構10BBにおいては、カム4B上に配される係止レバー11Bに対して図9に示すように爪部とは別に突部11BBaが設けられた係止レバー11BBを適用する。一方、チャージレバー7BBに突部11BBaに当接可能な当接部材7BBfを配する。
【0082】
チャージレバー7BBがカム4Bのカムボトム部4bに当接したとき、当接部材7BBfで係止レバー11BBの突部11BBaが弾かれ、時計回りに回動する。その回動により係止レバー11BBの爪部がチャージレバー7BBの係合ピン7Beに係合し、カム4Bの時計回りの回転を規制し、急停止させることができる。
【0083】
本変形例を適用したチャージ機構10BBによれば、特にカム4Bのカムボトム部4bに当接したときの係止レバー11BBの確実な回動動作が得られ、カム4Bをカムボトム位相で確実に停止させることができる。
【0084】
次に本発明の第四の実施形態の光学機構に組み込まれるチャージ機構について、図10,11を用いて説明する。
【0085】
図10は、本実施形態の光学機構に組み込まれるチャージ機構の斜視図である。図11は、上記チャージ機構の各動作状態を示す断面図である。
【0086】
図10に示す本実施形態のチャージ機構10Cは、前記チャージ機構10と同様に前述した図12のシャッタ装置101、または、図13の可動ミラー装置201とともに光学機構を構成する。
【0087】
チャージ機構10Cは、駆動モータ103によりギヤ列を介して時計回りの一方方向に回転駆動される従動ギヤ104C上に固着され、カム軸3に回転可能に支持される回転部材としてのカム4Cと、レバー支持軸8に回動可能に支持されるチャージ部材としてのチャージレバー7Cとからなる。カム軸3およびレバー支持軸8は、例えば、シャッタ装置101が組み込まれるミラーボックスに固着されている。なお、第一の実施形態と同様の構成部材には同一符号を付して説明する。
【0088】
従動ギヤ104Cは、ギヤ本体上面部であって、後述するカム4Cのカムボトム部4Cb近傍位置に係止受け部である係合穴104Caを備えている。
【0089】
カム4Cは、カムトップ部4aとカムボトム部4Cbを有するカム部を備えており、カムボトム部4Cbは、下方向(従動ギヤ側)に向けてカム軸側に傾斜する円錐斜面からなるカムボトム面で形成される。
【0090】
チャージレバー7Cは、カムフォロア部材11Cと、例えば、シャッタ装置101のシャッタレバー108(図12)に当接し、チャージ駆動する駆動ピン7bとを備えており、レバー支持軸8に嵌入して回動可能に支持されている。さらに、レバー支持軸8に挿入されるトーションバネ13によって時計回りに付勢されている。
【0091】
カムフォロア部材11Cは、軸部材11Ccに固着されており、チャージレバー7Cの下面側にあってカム4Cのカム面に摺接するカムフォロア部11Caと、カムフォロア部11Caよりも小径の係止部を形成する係止ピン部11Cbとを備えている。軸部材11Ccは、チャージレバー7Cに対してレバー支持軸8と平行方向に摺動可能に支持され、付勢バネ12Cによって上方向に付勢されている。
【0092】
チャージレバー7Cのカムフォロア部11Caがカム4Cのカム面上を摺動しているときは、カムフォロア部材11Cは、付勢バネ12Cの付勢力でチャージレバー7Cに対して上方に位置している。チャージレバー7Cのカムフォロア部11Caがカムトップ部4aからカムボトム部4Cbに向けて摺接しながら急激に移動し、下方向の斜面からなるカムボトム部4Cbに当接したとき、カムフォロア部材11Cが下方向の衝撃力(運動エネルギ)を受けて慣性力により下方に移動し、係止ピン部11Cbが従動ギヤ104の係合穴104Caに一時的に嵌合する。この嵌合によってカム4Cに回転規制力が作用し、急停止する。カム4C停止後、カムフォロア部材11Cは、付勢バネ12Cの付勢力で上方に移動し、係止ピン部11Cbの係合が解放される。
【0093】
上述した構成を有するチャージ機構10Cのチャージ動作について、図10を用いて説明する。以下、チャージ機構10Cを図12に示すシャッタ装置101をチャージ駆動する場合の動作として説明するが、図13に示す可動ミラー装置201のミラー装置側レバー208を介してチャージバネ209をチャージ駆動する場合の動作も同様である。
【0094】
チャージ機構10Cの各動作状態を示す断面図である図11のうち、図11(A)は、チャージレバーのカムフォロア部材がカムトップ位置に到達したチャージ状態を示し、図11(B)は、続いて上記カムフォロア部材がカムボトム部に到達した状態を示し、図11(C)は、直後、カムフォロア部材の係止ピンが従動ギヤの係合穴に嵌入した状態であって、カムの回転が規制された状態を示し、図11(D)は、上記係止ピンの係止が解除された状態であって、次のチャージ動作の待ち状態を示している。
【0095】
チャージ機構10Cにおいては、シャッタ装置101のシャッタ膜付勢用チャージバネ(図示せず)をチャージする場合、駆動モータ103によりギヤ列を介して従動ギヤ104Cとともにカム4Cが時計回りに回転駆動される。チャージレバー7Cのカムフォロア部材11Cがカム4Cのカムトップ部4aに到達し、シャッタレバー108を左方向に押し切ったとき、上記チャージバネのチャージ動作が終わる(図11(A))。このタイミングは、PI111により検出され、カメラ制御部に入力される。
【0096】
さらに、所定の回転角度だけカム4Cが回転し、カムフォロア部材11Cのカムフォロア部11Caがカムボトム部4Cbに当接する(図11(B))。ここで、駆動モータ103にブレーキが掛けられる。このときのカム回転位置は、図示しないモータ回転検出用エンコーダで検出され、カメラ制御部に入力される。
【0097】
カムフォロア部11Caがカムボトム部4Cbに当接(衝突)したとき、チャージレバー7Cの運動エネルギーによりカムフォロア部材11Cがカムボトム部4Cbの斜面部にて下方向の衝撃力を受けて移動し、係止ピン部11Cbが従動ギヤ104Cの嵌入穴部104Caに嵌入して係止状態となる。カム4Cのそれ以後の時計回りの回転が規制され、急停止してチャージ動作が完了する(図11(C))。なお、従動ギヤ104Cの嵌入穴部104Caの大きさは、嵌入タイミングのズレを吸収するために係止ピン11Cbに対して余裕のある寸法とすることが好ましい。あるいは、嵌入穴部104Ca、係止ピン11Cbがテーパ形状であることが好ましい。
【0098】
なお、上記カム4Cの急停止後、カムフォロア部材11Cは、付勢バネ12Cの付勢力で上方向に移動して、係止ピン部11Cbと従動ギヤ104Cの嵌入穴部104Caとの嵌入状態は解放される(図11(D))。従って、継続して実行される再チャージ動作にそのままの状態で移行することができる。
【0099】
上述した一連のチャージ動作に伴うシャッタ装置101側、または、可動ミラー装置201側の動作は、前記第一の実施形態の場合と同様である。
【0100】
上述したように本実施形態のチャージ機構10Cを適用した光学機構においても、第一の実施形態の光学機構と同様の効果を奏し、カム4Cのカムボトム部4Cbの回転角度の余裕分を減らすことが可能になり、カム4Cの一チャージ動作に要する回転時間を減じ、高速連写が可能となる。また、カム4Cの停止後、カムフォロア部材11Cは、付勢バネ12Cの付勢力で上方に移動し、係止ピン部11Cbの係止状態が解除されるので、係止解除のための複雑な機構部が不要であり、簡単なチャージ機構を構成することができる。
【0101】
この発明は、上記各実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記各実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
【産業上の利用可能性】
【0102】
上述のように本発明の光学機構は、構造が簡単であり、制御動作も単純であって、回転部材を精度よく停止させることができる光学機構として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の第一の実施形態である光学機構に組み込まれるチャージ機構の斜視図である。
【図2】上記チャージ機構の各動作状態を示す模式図であって、図2(A)は、チャージレバーのカムフォロアがカムトップ位置に到達したチャージ状態を示し、図2(B)は、その後、上記カムフォロアがカムボトム部に到達した状態を示し、図2(C)は、直後、衝撃力により係止レバーが回動を始めた状態を示し、図2(D)は、上記係止レバーが係止ピンと係止した状態を示し、図2(E)は、カムが停止して上記係止レバーが係止を解除した状態であって、次のチャージ動作の待ち状態を示している。
【図3】本発明の第二の実施形態である光学機構に組み込まれるチャージ機構の斜視図である。
【図4】上記チャージ機構のチャージレバー係止ピンまわりの拡大平面図である。
【図5】上記チャージ機構の各動作状態図であって、図5(A)は、チャージレバーのカムフォロアがカムトップ位置に到達したチャージ状態を示し、図5(B)は、その後、上記カムフォロアがカムボトム部に到達した状態を示し、図5(C)は、直後、係止ピンが係止穴部材に係止し、カムの回転が規制された状態を示し、図5(D)は、上記係止ピンの係止が解除された状態であって、次のチャージ動作の待ち状態を示している。
【図6】図3の光学系機構におけるカムの嵌入穴部材に対する変形例を適用したチャージ機構の斜視図である。
【図7】本発明の第三の実施形態である光学機構に組み込まれるチャージ機構の斜視図である。
【図8】上記チャージ機構の各動作状態を示す模式図であって、図8(A)は、チャージレバーのカムフォロアがカムトップ位置に到達したチャージ状態を示し、図8(B)は、図8(A)の状態の後、上記カムフォロアがカムボトム部に到達した状態を示し、図8(C)は、直後、上記係止レバーが回動してカムピンと係止した状態を示し、図8(D)は、カムが停止して上記係止レバーが係止を解除した状態であって、次のチャージ動作の待ち状態を示している。
【図9】図7の光学機構のカムに配される係止レバーに対する変形例を適用したチャージ機構の斜視図である。
【図10】本発明の第四の実施形態である光学機構に組み込まれるチャージ機構の斜視図である。
【図11】図10のチャージ機構の各動作状態を示す断面図であって、図11(A)は、チャージレバーのカムフォロア部材がカムトップ位置に到達したチャージ状態を示し、図11(B)は、その後、上記カムフォロア部材がカムボトム部に到達した状態を示し、図11(C)は、直後、カムフォロア部材の係止ピンが従動ギヤの係合穴に嵌入した状態であって、カムの回転が規制された状態を示し、図11(D)は、上記係止ピンの係止が解除された状態であって、次のチャージ動作の待ち状態を示している。
【図12】従来のシャッタ装置とチャージ機構からなる光学機構の一例を示す斜視図である。
【図13】従来の可動ミラー装置とチャージ機構からなる光学装置の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0104】
4,4A,4AA,4B,4C
…カム(回転部材)
7,7A,7B,7BB,7C
…チャージレバー(チャージ部材)
11,11B,11BB
…係止レバー(係止部材)
11A…係止ピン(係止部材)
11Cb…係止ピン部(係止部材)
13 …トーションバネ(第1のバネ)
209…チャージバネ(第2のバネ)
110…シャッタ膜(機械式シャッタ)
211…可動ミラー
P1 …進入位置(第1の位置)
P2 …退避位置(第2の位置)
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像光学系から取り込まれた被写体光束の状態を切り替えるための光学機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像光学系から取り込まれた被写体光束の状態を切り替えるための光学機構として、例えば、一眼レフレックスカメラには、上記撮像光学系の光路への進入位置(ダウン位置)と該光路からの退避位置(アップ位置)との間を往復する可動ミラー(メインミラー)を有する可動ミラー装置、および、光量調整、光路開閉の為のシャッタ装置が備えられている。可動ミラー装置、および、シャッタ装置は、その動作を行うためにチャージバネを有しており、動作に際して上記チャージバネをチャージするためのチャージ機構が必要である。
【0003】
図12は、従来のシャッタ装置とチャージ機構からなる光学機構の一例を示す斜視図であり、図12(A)は、チャージ後の状態、図12(B)は、チャージ状態を示している。なお、図12と後述する図13にて撮影光学系により取り込まれる被写体光束の光軸は、「O」で示される。
【0004】
図12に示すように上記シャッタ装置101は、シャッタ膜110を備えた機械式シャッタ装置であり、シャッタ膜110は、チャージ機構102によりシャッタ装置101に内蔵される請求項で言う第1のバネであるチャージバネ(図示せず)により付勢された状態で閉位置に駆動される。また、シャッタ装置101には電磁石(図示せず)が設けられており、チャージ状態にあるシャッタ膜110の開閉が制御される。
【0005】
チャージ機構102は、シャッタ装置101のシャッタレバー108を回動駆動して上記チャージバネのチャージを行うためのチャージレバー106を備えており、チャージレバー106は、駆動モータ103によりギヤ列を介して回転駆動されるカム105によってその回動位置が制御される。
【0006】
図12(A)に示すようにカム105の回転によりチャージレバー106のカムフォロア106aがカムトップ部105aに達すると、上記チャージバネがチャージ状態となる。その後、カム105がS1方向に回転してカムボトム部105bに達するとチャージレバー106は、図12(B)に示すチャージ完了位置に戻る。その後、上記電磁石の制御により上記チャージバネが解放され、シャッタ膜110の開閉がなされる。上記チャージ完了状態で正常の状態であれば、チャージレバー106とシャッタレバー108とは、僅かな隙間をもって離間している。なお、カム105の回転位相は、PI(フォトインタラプタ)111およびモータパルスエンコーダ(図示せず)によって検出され、駆動モータ103の回転制御がなされる。
【0007】
カム105がカムボトム部105bまで回転したとき、カム、ギヤ等の各構成部材の惰性により所定の範囲内に急停止せず、許容範囲(回転角度範囲)を超えてオーバーランした場合、カムフォロア106aがカム部に乗り上げることになる。この乗り上げ状態では、上述した隙間がなくなり、チャージレバー106でシャッタレバー108を押圧し、回動させる可能性がある。この押圧回動によって、シャッタ膜110の状態が変化し、その後に行われるシャッタ装置101の制御に不都合が生じる可能性がある。
【0008】
上述した不都合を生じさせないためには、カム105のカムボトム部105bの範囲を大きくして、カム105の許容範囲を広げることが考えられるが、これでは撮影シーケンス上のタイミングの遅れが生じ、例えば、連写を行う場合、1コマごとの撮影に所要時間が長くなり、高速化が困難になるといった問題が生じる。
【0009】
なお、従来の一眼レフレックスカメラにおける上記可動ミラー装置も上記シャッタ装置101の場合と同様にチャージ機構によりチャージ駆動される。図13は、上記従来の可動ミラー装置とチャージ機構からなる光学装置の一例を示す斜視図である。
【0010】
図13に示すように従来の可動ミラー装置201は、可動ミラー(メインミラー)211を備えており、該可動ミラー211は、請求項で言う第2のバネであるチャージバネ209およびダウン付勢バネ210を介して付勢される状態で第1の位置となる被写体光の光路に進入した進入位置P1と、第2の位置となる光路からの退避した退避位置P2とに回動可能に支持軸212により支持されている。ミラー装置側レバー208は、チャージ機構202の駆動モータ203を駆動源としてM1方向に回転するカム205によってチャージレバー206を介してM2方向に回動駆動される。ミラー装置側レバー208の回動によってチャージバネ209は、チャージされ、可動ミラー211が進入位置P1に回動駆動される。さらに、カム205が回転して、チャージレバー206がチャージ位置から解放位置に回動すると、チャージバネ209が解放され、可動ミラー211は、M3方向の退避位置P2に回動駆動される。このチャージ機構202においても上述したシャッタ装置用のチャージ機構102の場合と同様の駆動制御がなされ、カム205の停止動作について、同様の問題を有している。
【0011】
上述した従来のシャッタ装置、または、可動ミラー装置のチャージ機構による高速連写に対する問題を解決するために特許文献1,2,3が開示されている。
【0012】
特許文献1,2,3においては、チャージ駆動用のカムを機械的に素早く停止させるための係止部材を配し、上記カムを急停止させる構造が採用されている。
【0013】
詳しくは、特許文献1に開示されものでは、カム側に付勢された2つの係止部材が、上記カムのミラー進入位置、退避位置の作動点に設けられた係止溝に嵌まり、カムの回転を停止させる(特許文献1の図2参照)。停止後、上記カムと独立して回動できるようバネにより上記カムと同軸に備えられた突起を有する解除盤(特許文献1の図3参照)が、係止レバーを押し上げ、係止を解除する(特許文献1の図4参照)。
【0014】
特許文献2に開示されたものでは、トルク伝達経路とは別のギヤ上に設けられた係止受け部材が、チャージレバー上に設けられた係止部材と嵌合し、カムの回転を停止させる。その後、モータートルクを伝達し、上記係止受け部材が回動し、回動中心が遊びのある小判型の上記係止部材で押されることで、係止が解除される(特許文献2の図3参照)。
【0015】
特許文献3に開示されものでは、カムに対し逆側に付勢されており、係止解除部材を備え、その係止解除部材と別に備わる保持部材によって保持されている2つの係止部材が、上記カムのミラー進入位置、退避位置の作動点に設けられた係止溝に嵌まり、上記カムの回転を停止させる。上記係止部材がカムの係止溝に嵌ると略同時に上記係止解除部材のロックが外れる。しかし、上記カムに回転力が与えられている間は、上記係止部材が押し付けられているため、上記カムの停止が続く。上記カムが停止すると上記カムからの係止部材への押付力がなくなり、付勢力が摩擦に逆らって作用し、上記係止部材が上記カムの逆側に退避し、係止が解除される(特許文献3の図4,5参照)。
【特許文献1】特開2005−331698号公報
【特許文献2】特開2006−126389号公報
【特許文献3】特開2006−184717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述した特許文献1,2,3に開示されたチャージ機構においては、構造が複雑である。係止部材も複数のものが搭載され、小型化の妨げになっている。また、特許文献1,3のものでは、駆動モータを2回の駆動、停止させてより停止精度を上げるようになっており、制御動作が複雑である。
【0017】
本発明は、上述の不具合を解決するためになされたものであり、構造が簡単であり、制御動作も単純であって、回転部材を精度よく停止させることができる光学機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の請求項1に記載の光学機構は、第1のバネで付勢されているチャージ部材であって、撮像光学系の光路上に入る第一の位置と上記撮像光学系の光路上から退避する第二の位置との間を往復する可動ミラー、または、撮像素子の露光時間を調節する機械式シャッタを付勢する第2のバネのチャージを行うチャージ部材と、回転を行う部材であって、上記第1のバネのチャージ部材の上記チャージおよび解放を行う部材である回転部材と、上記第1のバネのチャージの開放が行われる際に生じる上記チャージ部材又は上記回転部材の運動エネルギーにより、上記回転部材の一部、または、上記チャージ部材の一部と係止を行って上記回転部材の惰性回転を抑制する係止部材とを有する。
【0019】
本発明の請求項2に記載の光学機構は、請求項1に記載の光学機構において、上記係止部材は、上記係止を行う際に動作する方向とは逆方向に付勢が行われており、上記係止が行われた後、上記付勢により上記係止が解除される。
【0020】
本発明の請求項3に記載の光学機構は、請求項1に記載の光学機構において、上記運動エネルギーは、上記第1のバネのチャージが解放される際の上記チャージ部材の動作速度の変化により生じる運動エネルギーである。
【0021】
本発明の請求項4に記載の光学機構は、請求項1に記載の光学機構において、上記運動エネルギーは、上記第1のバネのチャージが解放される際の上記回転部材の回転速度の変化により生じる運動エネルギーである。
【0022】
本発明の請求項5に記載の光学機構は、請求項1に記載の光学機構において、上記運動エネルギーは、上記第1のバネのチャージが解放される際に上記チャージ部材の一部と上記回転部材の一部とが衝突する衝突エネルギーである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、構造が簡単であって、制御動作も単純であり、回転部材を精度よく停止させることが可能な光学機構を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0025】
図1は、本発明の第一の実施形態としての光学機構に組み込まれるチャージ機構の斜視図である。図2は、上記チャージ機構の各動作状態を示す模式図である。なお、構成部材の回転方向、または、回動方向は、他の実施形態の場合を含めて各斜視図の上側から見た平面上の回転方向で表すものとする。
【0026】
図1に示す本実施形態のチャージ機構10は、前述した図12のシャッタ装置101、または、図13の可動ミラー装置201とともに光学機構を構成するものである。従って、図12の従来のチャージ機構102、または、図13の従来のチャージ機構202に替えて本実施形態のチャージ機構1を組み込み、本実施形態の光学機構が構成される。シャッタ装置101,ミラー装置201の共通する構成部材については、図12,13の符号を適用する。
【0027】
チャージ機構10は、駆動モータ103によって時計回りの一方方向に回転駆動される従動ギヤ104に対して固定され、カム軸3に回転可能に支持される回転部材としてのカム4と、レバー支持軸8に回動可能に支持されるチャージ部材としてのチャージレバー7とからなる。カム軸3およびレバー支持軸8は、例えば、シャッタ装置101が組み込まれるミラーボックスに固着されている。
【0028】
カム4は、カムトップ部4aとカムボトム部4bを有するカム部を備えており、さらに、上面側に突出する係止受け部材であるカムピン4cを備えている。
【0029】
チャージレバー7は、カム4に当接、摺動するカムフォロア7aと、例えば、シャッタ装置101のシャッタレバー108(図12)に当接し、チャージ駆動する駆動ピン7bと、係止レバー支持ピン7dと、係止レバーストッパ7cとを備えており、上面部に係止部材である係止レバー11が係止レバー支持ピン7dにより回動可能な状態で装着されている。
【0030】
そして、チャージレバー7は、軸穴をレバー支持軸8に嵌入した状態で回動可能に支持されており、レバー支持軸8には請求項で言う第1のバネであるトーションバネ13が挿入され、チャージレバー7を時計回りに付勢している。従って、チャージレバー7のカムフォロア7aは、カム4の時計回りの回転にともなってカム4の外周カム部に当接しながら摺接する。なお、トーションバネ13のフック両端は、ミラーボックス側ストッパ9およびチャージレバー7に懸架されている。
【0031】
係止レバー11は、先端部に爪部が設けられており、係止レバー支持ピン7dに挿入されるトーションバネ12によって反時計回りに付勢されている。
【0032】
チャージレバー7がレバー支持軸8まわりの衝撃力(外力)を受けない状態では、係止レバー11は、反時計回りに回動移動して係止レバーストッパ7cに当接し、チャージレバー7の端部から後退した状態に保持される。しかし、後述するようにチャージレバー7が回動急停止してレバー支持軸8まわりの衝撃力を受けた場合、係止レバー11の上記爪部は、慣性力により時計回りに回動して、カム4側に突出し、カム4のカムピン4cと係止可能状態となる。後述するように該係止動作によりカム4の時計回りの回転を一時的に阻止される。
【0033】
上述した構成を有するチャージ機構10のチャージ動作について、図2を用いて説明する。以下、チャージ機構10を図12に示すシャッタ装置101をチャージ駆動する場合の動作として説明するが、図13に示す可動ミラー装置201のミラー装置側レバー208を介してチャージバネ209をチャージ駆動する場合の動作も同様である。
【0034】
チャージ機構10の各動作状態を示す模式図である図2のうち、図2(A)は、チャージレバーのカムフォロアがカムトップ位置に到達したチャージ状態を示し、図2(B)は、その後、上記カムフォロアがカムボトム部に到達した状態を示し、図2(C)は、直後、衝撃力を受け慣性力により係止レバーが回動を始めた状態を示す。図2(D)は、上記係止レバーが係止ピンと係止した状態を示し、図2(E)は、カムが停止して上記係止レバーが係止を解除した状態であって、次のチャージ動作の待ち状態を示している。
【0035】
チャージ機構10においては、シャッタ装置101の請求項で言う第2のバネであるシャッタ膜付勢用チャージバネ(図示せず)のチャージを行う場合、駆動モータ103によりギヤ列を介して従動ギヤ104とともにカム4が時計回りに回転駆動される。チャージレバー7のカムフォロア7aがカム4のカムボトム部4bからカムトップ部4aに到達し、シャッタレバー108を左方向に押し切ったとき、上記チャージバネのチャージ動作が終わる(図2(A))。このタイミングは、PI111により検出される。
【0036】
その後、所定の回転角度だけカム4が回転し、チャージレバー7のカムフォロア7aがカムボトム部4bに当接する(図2(B))。
【0037】
カムフォロア7aがカムボトム部4bに当接(衝突)したとき、チャージレバー7の回動速度が急変する。その運動エネルギーにより係止レバー11が衝撃力を受け慣性力により、時計回りに回動し、係止レバー11の爪部がチャージレバー7の側面に突出した状態となる(図2(C))。そこで、カム4のカムピン4cが係止レバー11の爪部の位置に到達し、係止状態となり、カム4のそれ以後の時計回りの惰性による回転が阻止され、急停止してチャージ動作が完了する(図2(D))。この状態でチャージレバー7の駆動ピン7bとシャッタレバー108との間は、僅かな隙間が保たれており、シャッタ装置101のシャッタ膜開閉動作に対してシャッタレバー108の位置が影響を与えることがない。
【0038】
上述した一連のチャージ動作の完了後、シャッタ装置101においては、カメラ制御部(図示せず)の指示によってシャッタ膜110の開閉制御が行われ、チャージバネの解放がなされる。なお、チャージ機構10が可動ミラー装置201に組み込まれた場合、上述したチャージ動作の完了の状態ではチャージバネが解放される。すなわち、図2(D)に示すチャージ動作完了の状態がチャージバネ209のチャージ解放状態に相当する。
【0039】
上述したカム4の急停止後、係止レバー11は、トーションバネ12の付勢力で反時計回りに後退回動して、爪部とカム4のカムピン4cとの係止は解放される(図2(E))。従って、継続して実行される再チャージ動作にそのままの状態で移行することができる。
【0040】
上述したように本実施形態のチャージ機構10を適用した光学機構は、チャージレバー7がカム4のカムボトム部4bに当接したときの慣性力を利用してカム4をカムボトム位相で急停止させることができる。従って、カム4のカムボトム部4bの回転角度の余裕分を減らすことが可能になり、カム4の1チャージ動作に要する回転時間を減じることができ、高速連写が可能となる。
【0041】
また、カム4のカムボトム部4bでの急停止後、係止レバー11は、トーションバネ12の付勢力を利用して係止レバー11をカムピン4cに対する非係止位置に後退させるので、係止状態解除のための複雑な機構部が不要であり、簡単なチャージ機構を構成することができる。
【0042】
次に本発明の第二の実施形態の光学機構に組み込まれるチャージ機構について、図3〜5を用いて説明する。
【0043】
図3は、本実施形態の光学機構に組み込まれるチャージ機構の斜視図である。図4は、上記チャージ機構のチャージレバー係止ピンまわりの拡大平面図である。図5は、上記チャージ機構の各動作状態図である。
【0044】
図3に示す本実施形態のチャージ機構10Aは、前記チャージ機構10と同様に前述した図12のシャッタ装置101、または、図13の可動ミラー装置201とともに光学機構を構成するものである。
【0045】
チャージ機構10Aは、駆動モータ103によりギヤ列を介して時計回りに回転駆動される従動ギヤ104上に固着されており、カム軸3に回転可能に支持される回転部材であるカム4Aと、レバー支持軸8に回動可能に支持されるチャージ部材としてのチャージレバー7Aとからなる。カム軸3およびレバー支持軸8は、例えば、シャッタ装置101が組み込まれるミラーボックスに固着されている。なお、第一の実施形態と同様の構成部材には同一符号を付して説明する。
【0046】
カム4Aは、カムトップ部4aとカムボトム部4bを有するカム部(図5)を備えており、さらに、上面側に係止受け部材である嵌入穴部材4Acを備えている。嵌入穴部材4Acには、後述するチャージレバー7Aの係止ピン11Aの先端部が嵌入可能である。
【0047】
チャージレバー7Aは、カム4Aに当接、摺動するカムフォロア7aと、例えば、シャッタ装置101のシャッタレバー108(図12)に当接し、チャージ駆動する駆動ピン7bと、スライド穴部材7Acとを備えており、レバー支持軸8に嵌入して回動可能に支持されている。そして、レバー支持軸8に挿入されているトーションバネ13によって時計回りに付勢されている。従って、カムフォロア7aは、カム4Aの時計回りの回転にともなってカム4Aの外周のカム部に当接しながら摺動する。なお、トーションバネ13のフック両端は、ミラーボックス側ストッパ9およびチャージレバー7Aに懸架されている。
【0048】
スライド穴部材7Acのスライド穴7Adには、係止部材である係止ピン11Aが摺動可能な状態で嵌入している。係止ピン11Aにはスライド穴7Adを貫通した後方部(図4の左側)に圧縮バネからなる付勢バネ12Aが挿入され、係止ピン11Aを退避方向である左方側に付勢している。また、係止ピン11Aの先端部は、スライド穴部材7Acから突出しており、後方への移動を規制する段部11Adが設けられている(図4)。
【0049】
チャージレバー7Aがレバー支持軸8まわりの衝撃力(外力)を受けない状態では、係止ピン11Aは、左方向(図4上)に移動してその先端部がチャージレバー7の端部から後退した状態に保持される。しかし、後述するようにチャージレバー7が回動急停止してレバー支持軸8まわりの衝撃力を受けた場合、係止ピン11Aの先端部は、慣性力により右方向(図4上)に移動して、カム4側に突出し、嵌入穴部材4Acに嵌入可能状態となる。該係止でカム4の時計回りの回転が一時的に阻止される。
【0050】
上述した構成を有するチャージ機構10Aのチャージ動作について、図5を用いて説明する。以下、チャージ機構10Aを図12に示すシャッタ装置101をチャージ駆動する場合の動作として説明するが、図13に示す可動ミラー装置201のミラー装置側レバー208を介してチャージバネ209をチャージ駆動する場合の動作も同様である。
【0051】
チャージ機構10Aの各動作状態を示す模式図である図5のうち、図5(A)は、チャージレバーのカムフォロアがカムトップ位置に到達したチャージ状態を示し、図5(B)は、その後、上記カムフォロアがカムボトム部に到達した状態を示し、図5(C)は、直後、係止ピンが係止穴部材に係止し、カムの回転が規制された状態を示し、図5(D)は、上記係止ピンの係止が解除された状態であって、次のチャージ動作の待ち状態を示している。
【0052】
チャージ機構10Aにおいては、シャッタ装置101のシャッタ膜付勢用のチャージバネ(図示せず)をチャージする場合、駆動モータ103によりギヤ列を介して従動ギヤ104とともにカム4Aが時計回りに回転駆動される。チャージレバー7Aのカムフォロア7aがカム4Aのカムボトム部4bからカムトップ部4aに到達し、シャッタレバー108を左方向に押し切ったとき、上記チャージバネのチャージ動作が終わる(図5(A))。このタイミングは、PI111により検出され、カメラ制御部に入力される。
【0053】
さらに、所定の回転角度だけカム4Aが回転し、チャージレバー7Aのカムフォロア7aがカムボトム部4bに当接する(図5(B))。
【0054】
カムフォロア7aがカムボトム部4bに当接(衝突)したとき、チャージレバー7Aの運動エネルギーにより係止ピン11Aが衝撃力を受けて慣性力により右方向(カム側)に突出し、先端部がカム4Aの嵌入穴部材4Acの穴部に嵌入して係止状態となる。カム4Aのそれ以後の時計回りの惰性による回転が阻止され、急停止してチャージ動作が完了する(図5(C))。なお、カム4Aの嵌入穴部材4Acの穴部の大きさは、嵌入タイミングのズレを吸収するために係止ピン11Aの先端部に対して周方向に余裕のある寸法とすることが好ましい。
【0055】
なお、上記カム4Aの急停止後、係止ピン11Aは、付勢バネ12Aの付勢力で左方向に後退移動して、係止ピン先端部とカム4の嵌入穴部材4Acとの係止は解放される(図5(D))。従って、継続して実行される再チャージ動作にそのままの状態で移行することができる。
【0056】
上述した一連のチャージ動作に伴うシャッタ装置101側、または、可動ミラー装置201側の動作は、前記第一の実施形態の場合と同様である。
【0057】
上述したように本実施形態のチャージ機構10Aを適用した光学機構においても、第一の実施形態の光学機構と同様の効果を奏し、カム4Aのカムボトム部4bの回転角度の余裕分を減らすことが可能になり、カム4Aの1チャージ動作に要する回転時間を減じることができ、高速連写が可能となる。また、係止状態解除のための複雑な機構部が不要であり、簡単なチャージ機構を構成することができる。
【0058】
次に上述した第二の実施形態のチャージ機構10Aにおけるカム4Aに配される嵌入穴部材4Acに対する変形例について、図6の本変形例を適用したチャージ機構の斜視図を用いて説明する。
【0059】
図6に示すように本変形例を適用したチャージ機構10AAのカム4AAには、第二実装形態における嵌入穴部材4Acに替えて対向する2本のカムピン4AAcが配されている。
【0060】
チャージ機構10AAにおけるチャージ動作にて、カム4Aが回転し、チャージレバー7Aのカムフォロア7aがカムボトム部4bに当接したとき、係止ピン11Aが衝撃力を受けて慣性力により右方向(カム側)に突出すると、係止ピン先端部がカム4A側の2本のカムピン4AAcの間に嵌入して係止状態となり、カム4AAのそれ以後の時計回りの回転が規制され、急停止してチャージ動作が完了する。なお、カム4AAのカムピン4AAcの間隔は、嵌入タイミングのズレを吸収するために係止ピン11Aの先端部の幅に対して周方向に余裕のある寸法とすることが好ましい。
【0061】
本変形例を適用したチャージ機構10AAによれば、カム4AA側の構造がさらに簡単になる。
【0062】
次に本発明の第三の実施形態の光学機構に組み込まれるチャージ機構について、図7,8を用いて説明する。
【0063】
図7は、本実施形態の光学機構に組み込まれるチャージ機構の斜視図である。図8は、上記チャージ機構の各動作状態を示す模式図である。
【0064】
本実施形態のチャージ機構10Bは、前述した図12のシャッタ装置101、または、図13の可動ミラー装置201とともに光学機構を構成する。従って、図12のチャージ機構102、または、図13のチャージ機構202に替えて本実施形態のチャージ機構1を組み込み、本実施形態の光学機構が構成される。なお、シャッタ装置101,ミラー装置201の共通する構成部材については、図11,12の符号を適用する。
【0065】
チャージ機構10Bは、駆動モータ103によりギヤ列を介して時計回りの一方方向に回転駆動される従動ギヤ104上に固着され、カム軸3に回転可能に支持される回転部材であるカム4Bと、レバー支持軸8に回動可能に支持されるチャージ部材としてのチャージレバー7Bとからなる。カム軸3およびレバー支持軸8は、例えば、シャッタ装置101が組み込まれるミラーボックスに固着されている。
【0066】
カム4Bは、カムトップ部4aとカムボトム部4bを有するカム部を備えており、さらに、カム軸3の軸心上の上面側に突出するレバー支持ピン4Bd、および、ストッパピン4Beを備えている。レバー支持ピン4Bdには、係止部材である係止レバー11Bが回動可能に嵌入している。係止レバー11Bには先端部に爪部が設けられており、さらに、レバー支持ピン4Bdに挿入されるトーションバネ12Bにより反時計回りに付勢され、後述する衝撃力が作用しない状態では、ストッパピン4Beに当接した退避位置に位置している(図8(A))。
【0067】
チャージレバー7Bは、カム4Bに当接、摺動するカムフォロア7aと、例えば、シャッタ装置101のシャッタレバー108(図12)に当接し、チャージ駆動する駆動ピン7bと、係止受け部材である係合ピン7Beとを備えており、レバー支持軸8に嵌入し、回動可能に支持されている。レバー支持軸8にはトーションバネ13が挿入され、該トーションバネ13のフック両端は、ミラーボックス側ストッパ9およびチャージレバー7Bに懸架され、チャージレバー7Bを時計回りに付勢している。従って、チャージレバー7Bのカムフォロア7aは、カム4Bの時計回りの回転にともなってカム4の外周のカム部に当接しながら摺動する。
【0068】
連続回転時、または、停止時、カム4Bがカム軸3まわりの衝撃力(外力)を受けない状態では、係止レバー11Bは、カム4Bに対して相対的に反時計回りに回動移動してストッパピン4Beに当接した退避位置に保持される(図8(A))。しかし、後述するようにカム4Bが急停止して係止レバー11Bが運動エネルギーによりカム軸3まわりの衝撃力を受けた場合、係止レバー11Bは、慣性力によりカム4Bに対して相対的に時計回りに回動する。この回動位置は、チャージレバー7Bの係合ピン7Beと係止可能な位置である。係止レバー11Bは、カム4Bが完全停止した後、上記係止可能な位置から上述した退避位置に戻る。
【0069】
上述した構成を有するチャージ機構10Bのチャージ動作について、図8を用いて説明する。以下、チャージ機構10Bを図12に示すシャッタ装置101をチャージ駆動する場合の動作として説明するが、図13に示す可動ミラー装置201のチャージバネ209をチャージ駆動する場合の動作も同様である。
【0070】
チャージ機構10Bの各動作状態を示す模式図である図8のうち、図8(A)は、チャージレバーのカムフォロアがカムトップ位置に到達したチャージ状態を示し、図8(B)は、その後、上記カムフォロアがカムボトム部に到達した状態を示し、図8(C)は、直後、上記係止レバーが回動してカムピンと係止した状態を示し、図8(D)は、カムが停止して上記係止レバーが係止を解除した状態であって、次のチャージ動作の待ち状態を示している。
【0071】
チャージ機構10Bおいては、シャッタ装置101のシャッタ膜付勢用のチャージバネ(図示せず)をチャージする場合、駆動モータ103によりギヤ列を介して従動ギヤ104とともにカム4が時計回りに回転駆動される。チャージレバー7Bのカムフォロア7aがカム4Bのカムボトム部4bからカムトップ部4aに到達し、シャッタレバー108を左方向に押し切ったとき、上記チャージバネのチャージ動作が終わる(図8(A))。このタイミングは、PI111により検出され、カメラ制御部に入力される。
【0072】
さらに、所定の回転角度だけカム4Bが回転し、チャージレバー7Bのカムフォロア7aがカムボトム部4bに当接する(図8(B))。
【0073】
駆動モータ103の急停止によって、そのときの運動エネルギーにより係止レバー11Bが衝撃力を受け慣性力により、時計回りに回動し、係止レバー11Bの爪部がチャージレバー7Bの係合ピン7Beに係合する(図8(C))。上記係合によってカム4Bのそれ以後の時計回りの回転が規制され、完全停止してチャージ動作が完了する。
【0074】
上述した一連のチャージ動作の完了後、シャッタ装置101においては、カメラ制御部(図示せず)の指示によってシャッタ膜110の開閉制御が行われ、チャージバネの解放がなされる。可動ミラー装置201に組み込まれた場合、上記チャージ動作の完了でチャージバネが解放される。
【0075】
なお、上記カム4Bの急停止後、係止レバー11Bは、トーションバネ12Bの付勢力で反時計回りに後退回動して、係止レバー爪部と係合ピン7Beとの係止は解放される(図8(D))。従って、継続して実行される再チャージ動作にそのままの状態で移行することができる。
【0076】
上述した一連のチャージ動作に伴うシャッタ装置101側、または、可動ミラー装置201側の動作は、前記第一の実施形態の場合と同様である。
【0077】
上述したように本実施形態のチャージ機構10Bを適用した光学機構は、カム4Bのチャージ終了後の急停止時に係止レバー11Bが受ける慣性力によって係止レバー11Bを回動駆動してチャージレバー7Bの係合ピン7Beに係合させカム4Bをカムボトム位相で急停止させることができるようにした。従って、カム4Bのカムボトム部4bの回転角度の余裕分を減らすことが可能になり、カム4Bの一回毎のチャージ動作に要する回転時間を減じることができ、高速連写が可能となる。
【0078】
また、カム4Bのカムボトム位相での急停止後、係止レバー11Bは、トーションバネ12Bの付勢力を利用して係合ピン7Beに対する非係止位置に後退するので、係止状態解除のための複雑な機構部が不要であり、簡単なチャージ機構を構成することができる。
【0079】
なお、上述したチャージ機構10Bにおいては、係止レバー11Bは、カム軸3の中心上に配されるレバー支持ピン4Bdによって回動可能に支持されている。このレバー支持ピンをカム軸3の中心から偏った位置に配する構造を採用することも可能であり、この場合、カム4Bの回転規制を効率よく行うことができる。
【0080】
次に上述した第三の実施形態のチャージ機構10Bにおけるカム4Aに配される係止レバー11Bに対する変形例について、図9の本変形例を適用したチャージ機構の斜視図を用いて説明する。
【0081】
本変形例を適用したチャージ機構10BBにおいては、カム4B上に配される係止レバー11Bに対して図9に示すように爪部とは別に突部11BBaが設けられた係止レバー11BBを適用する。一方、チャージレバー7BBに突部11BBaに当接可能な当接部材7BBfを配する。
【0082】
チャージレバー7BBがカム4Bのカムボトム部4bに当接したとき、当接部材7BBfで係止レバー11BBの突部11BBaが弾かれ、時計回りに回動する。その回動により係止レバー11BBの爪部がチャージレバー7BBの係合ピン7Beに係合し、カム4Bの時計回りの回転を規制し、急停止させることができる。
【0083】
本変形例を適用したチャージ機構10BBによれば、特にカム4Bのカムボトム部4bに当接したときの係止レバー11BBの確実な回動動作が得られ、カム4Bをカムボトム位相で確実に停止させることができる。
【0084】
次に本発明の第四の実施形態の光学機構に組み込まれるチャージ機構について、図10,11を用いて説明する。
【0085】
図10は、本実施形態の光学機構に組み込まれるチャージ機構の斜視図である。図11は、上記チャージ機構の各動作状態を示す断面図である。
【0086】
図10に示す本実施形態のチャージ機構10Cは、前記チャージ機構10と同様に前述した図12のシャッタ装置101、または、図13の可動ミラー装置201とともに光学機構を構成する。
【0087】
チャージ機構10Cは、駆動モータ103によりギヤ列を介して時計回りの一方方向に回転駆動される従動ギヤ104C上に固着され、カム軸3に回転可能に支持される回転部材としてのカム4Cと、レバー支持軸8に回動可能に支持されるチャージ部材としてのチャージレバー7Cとからなる。カム軸3およびレバー支持軸8は、例えば、シャッタ装置101が組み込まれるミラーボックスに固着されている。なお、第一の実施形態と同様の構成部材には同一符号を付して説明する。
【0088】
従動ギヤ104Cは、ギヤ本体上面部であって、後述するカム4Cのカムボトム部4Cb近傍位置に係止受け部である係合穴104Caを備えている。
【0089】
カム4Cは、カムトップ部4aとカムボトム部4Cbを有するカム部を備えており、カムボトム部4Cbは、下方向(従動ギヤ側)に向けてカム軸側に傾斜する円錐斜面からなるカムボトム面で形成される。
【0090】
チャージレバー7Cは、カムフォロア部材11Cと、例えば、シャッタ装置101のシャッタレバー108(図12)に当接し、チャージ駆動する駆動ピン7bとを備えており、レバー支持軸8に嵌入して回動可能に支持されている。さらに、レバー支持軸8に挿入されるトーションバネ13によって時計回りに付勢されている。
【0091】
カムフォロア部材11Cは、軸部材11Ccに固着されており、チャージレバー7Cの下面側にあってカム4Cのカム面に摺接するカムフォロア部11Caと、カムフォロア部11Caよりも小径の係止部を形成する係止ピン部11Cbとを備えている。軸部材11Ccは、チャージレバー7Cに対してレバー支持軸8と平行方向に摺動可能に支持され、付勢バネ12Cによって上方向に付勢されている。
【0092】
チャージレバー7Cのカムフォロア部11Caがカム4Cのカム面上を摺動しているときは、カムフォロア部材11Cは、付勢バネ12Cの付勢力でチャージレバー7Cに対して上方に位置している。チャージレバー7Cのカムフォロア部11Caがカムトップ部4aからカムボトム部4Cbに向けて摺接しながら急激に移動し、下方向の斜面からなるカムボトム部4Cbに当接したとき、カムフォロア部材11Cが下方向の衝撃力(運動エネルギ)を受けて慣性力により下方に移動し、係止ピン部11Cbが従動ギヤ104の係合穴104Caに一時的に嵌合する。この嵌合によってカム4Cに回転規制力が作用し、急停止する。カム4C停止後、カムフォロア部材11Cは、付勢バネ12Cの付勢力で上方に移動し、係止ピン部11Cbの係合が解放される。
【0093】
上述した構成を有するチャージ機構10Cのチャージ動作について、図10を用いて説明する。以下、チャージ機構10Cを図12に示すシャッタ装置101をチャージ駆動する場合の動作として説明するが、図13に示す可動ミラー装置201のミラー装置側レバー208を介してチャージバネ209をチャージ駆動する場合の動作も同様である。
【0094】
チャージ機構10Cの各動作状態を示す断面図である図11のうち、図11(A)は、チャージレバーのカムフォロア部材がカムトップ位置に到達したチャージ状態を示し、図11(B)は、続いて上記カムフォロア部材がカムボトム部に到達した状態を示し、図11(C)は、直後、カムフォロア部材の係止ピンが従動ギヤの係合穴に嵌入した状態であって、カムの回転が規制された状態を示し、図11(D)は、上記係止ピンの係止が解除された状態であって、次のチャージ動作の待ち状態を示している。
【0095】
チャージ機構10Cにおいては、シャッタ装置101のシャッタ膜付勢用チャージバネ(図示せず)をチャージする場合、駆動モータ103によりギヤ列を介して従動ギヤ104Cとともにカム4Cが時計回りに回転駆動される。チャージレバー7Cのカムフォロア部材11Cがカム4Cのカムトップ部4aに到達し、シャッタレバー108を左方向に押し切ったとき、上記チャージバネのチャージ動作が終わる(図11(A))。このタイミングは、PI111により検出され、カメラ制御部に入力される。
【0096】
さらに、所定の回転角度だけカム4Cが回転し、カムフォロア部材11Cのカムフォロア部11Caがカムボトム部4Cbに当接する(図11(B))。ここで、駆動モータ103にブレーキが掛けられる。このときのカム回転位置は、図示しないモータ回転検出用エンコーダで検出され、カメラ制御部に入力される。
【0097】
カムフォロア部11Caがカムボトム部4Cbに当接(衝突)したとき、チャージレバー7Cの運動エネルギーによりカムフォロア部材11Cがカムボトム部4Cbの斜面部にて下方向の衝撃力を受けて移動し、係止ピン部11Cbが従動ギヤ104Cの嵌入穴部104Caに嵌入して係止状態となる。カム4Cのそれ以後の時計回りの回転が規制され、急停止してチャージ動作が完了する(図11(C))。なお、従動ギヤ104Cの嵌入穴部104Caの大きさは、嵌入タイミングのズレを吸収するために係止ピン11Cbに対して余裕のある寸法とすることが好ましい。あるいは、嵌入穴部104Ca、係止ピン11Cbがテーパ形状であることが好ましい。
【0098】
なお、上記カム4Cの急停止後、カムフォロア部材11Cは、付勢バネ12Cの付勢力で上方向に移動して、係止ピン部11Cbと従動ギヤ104Cの嵌入穴部104Caとの嵌入状態は解放される(図11(D))。従って、継続して実行される再チャージ動作にそのままの状態で移行することができる。
【0099】
上述した一連のチャージ動作に伴うシャッタ装置101側、または、可動ミラー装置201側の動作は、前記第一の実施形態の場合と同様である。
【0100】
上述したように本実施形態のチャージ機構10Cを適用した光学機構においても、第一の実施形態の光学機構と同様の効果を奏し、カム4Cのカムボトム部4Cbの回転角度の余裕分を減らすことが可能になり、カム4Cの一チャージ動作に要する回転時間を減じ、高速連写が可能となる。また、カム4Cの停止後、カムフォロア部材11Cは、付勢バネ12Cの付勢力で上方に移動し、係止ピン部11Cbの係止状態が解除されるので、係止解除のための複雑な機構部が不要であり、簡単なチャージ機構を構成することができる。
【0101】
この発明は、上記各実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記各実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
【産業上の利用可能性】
【0102】
上述のように本発明の光学機構は、構造が簡単であり、制御動作も単純であって、回転部材を精度よく停止させることができる光学機構として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の第一の実施形態である光学機構に組み込まれるチャージ機構の斜視図である。
【図2】上記チャージ機構の各動作状態を示す模式図であって、図2(A)は、チャージレバーのカムフォロアがカムトップ位置に到達したチャージ状態を示し、図2(B)は、その後、上記カムフォロアがカムボトム部に到達した状態を示し、図2(C)は、直後、衝撃力により係止レバーが回動を始めた状態を示し、図2(D)は、上記係止レバーが係止ピンと係止した状態を示し、図2(E)は、カムが停止して上記係止レバーが係止を解除した状態であって、次のチャージ動作の待ち状態を示している。
【図3】本発明の第二の実施形態である光学機構に組み込まれるチャージ機構の斜視図である。
【図4】上記チャージ機構のチャージレバー係止ピンまわりの拡大平面図である。
【図5】上記チャージ機構の各動作状態図であって、図5(A)は、チャージレバーのカムフォロアがカムトップ位置に到達したチャージ状態を示し、図5(B)は、その後、上記カムフォロアがカムボトム部に到達した状態を示し、図5(C)は、直後、係止ピンが係止穴部材に係止し、カムの回転が規制された状態を示し、図5(D)は、上記係止ピンの係止が解除された状態であって、次のチャージ動作の待ち状態を示している。
【図6】図3の光学系機構におけるカムの嵌入穴部材に対する変形例を適用したチャージ機構の斜視図である。
【図7】本発明の第三の実施形態である光学機構に組み込まれるチャージ機構の斜視図である。
【図8】上記チャージ機構の各動作状態を示す模式図であって、図8(A)は、チャージレバーのカムフォロアがカムトップ位置に到達したチャージ状態を示し、図8(B)は、図8(A)の状態の後、上記カムフォロアがカムボトム部に到達した状態を示し、図8(C)は、直後、上記係止レバーが回動してカムピンと係止した状態を示し、図8(D)は、カムが停止して上記係止レバーが係止を解除した状態であって、次のチャージ動作の待ち状態を示している。
【図9】図7の光学機構のカムに配される係止レバーに対する変形例を適用したチャージ機構の斜視図である。
【図10】本発明の第四の実施形態である光学機構に組み込まれるチャージ機構の斜視図である。
【図11】図10のチャージ機構の各動作状態を示す断面図であって、図11(A)は、チャージレバーのカムフォロア部材がカムトップ位置に到達したチャージ状態を示し、図11(B)は、その後、上記カムフォロア部材がカムボトム部に到達した状態を示し、図11(C)は、直後、カムフォロア部材の係止ピンが従動ギヤの係合穴に嵌入した状態であって、カムの回転が規制された状態を示し、図11(D)は、上記係止ピンの係止が解除された状態であって、次のチャージ動作の待ち状態を示している。
【図12】従来のシャッタ装置とチャージ機構からなる光学機構の一例を示す斜視図である。
【図13】従来の可動ミラー装置とチャージ機構からなる光学装置の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0104】
4,4A,4AA,4B,4C
…カム(回転部材)
7,7A,7B,7BB,7C
…チャージレバー(チャージ部材)
11,11B,11BB
…係止レバー(係止部材)
11A…係止ピン(係止部材)
11Cb…係止ピン部(係止部材)
13 …トーションバネ(第1のバネ)
209…チャージバネ(第2のバネ)
110…シャッタ膜(機械式シャッタ)
211…可動ミラー
P1 …進入位置(第1の位置)
P2 …退避位置(第2の位置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のバネで付勢されているチャージ部材であって、撮像光学系の光路上に入る第1の位置と上記撮像光学系の光路上から退避する第2の位置との間を往復する可動ミラー、または、撮像素子の露光時間を調節する機械式シャッタを付勢する第2のバネのチャージを行うチャージ部材と、
回転を行う部材であって、上記第1のバネのチャージおよび開放を行う部材である回転部材と、
上記第1のバネのチャージの解放が行われる際に生じる上記チャージ部材又は上記回転部材の運動エネルギーにより、上記回転部材の一部、または、上記チャージ部材の一部と係止を行って上記回転部材の惰性回転を抑制する係止部材と、
を有することを特徴とする光学機構。
【請求項2】
上記係止部材は、上記係止を行う際に動作する方向とは逆方向に付勢が行われており、上記係止が行われた後、上記付勢により上記係止が解除されることを特徴とする請求項1に記載の光学機構。
【請求項3】
上記運動エネルギーは、上記第1のバネのチャージが解放される際の上記チャージ部材の動作速度の変化により生じる運動エネルギーであることを特徴とする請求項1に記載の光学機構。
【請求項4】
上記運動エネルギーは、上記第1のバネのチャージが解放される際の上記回転部材の回転速度の変化により生じる運動エネルギーであることを特徴とする請求項1に記載の光学機構。
【請求項5】
上記運動エネルギーは、上記第1のバネのチャージが解放される際に上記チャージ部材の一部と上記回転部材の一部とが衝突する衝突エネルギーであることを特徴とする請求項1に記載の光学機構。
【請求項1】
第1のバネで付勢されているチャージ部材であって、撮像光学系の光路上に入る第1の位置と上記撮像光学系の光路上から退避する第2の位置との間を往復する可動ミラー、または、撮像素子の露光時間を調節する機械式シャッタを付勢する第2のバネのチャージを行うチャージ部材と、
回転を行う部材であって、上記第1のバネのチャージおよび開放を行う部材である回転部材と、
上記第1のバネのチャージの解放が行われる際に生じる上記チャージ部材又は上記回転部材の運動エネルギーにより、上記回転部材の一部、または、上記チャージ部材の一部と係止を行って上記回転部材の惰性回転を抑制する係止部材と、
を有することを特徴とする光学機構。
【請求項2】
上記係止部材は、上記係止を行う際に動作する方向とは逆方向に付勢が行われており、上記係止が行われた後、上記付勢により上記係止が解除されることを特徴とする請求項1に記載の光学機構。
【請求項3】
上記運動エネルギーは、上記第1のバネのチャージが解放される際の上記チャージ部材の動作速度の変化により生じる運動エネルギーであることを特徴とする請求項1に記載の光学機構。
【請求項4】
上記運動エネルギーは、上記第1のバネのチャージが解放される際の上記回転部材の回転速度の変化により生じる運動エネルギーであることを特徴とする請求項1に記載の光学機構。
【請求項5】
上記運動エネルギーは、上記第1のバネのチャージが解放される際に上記チャージ部材の一部と上記回転部材の一部とが衝突する衝突エネルギーであることを特徴とする請求項1に記載の光学機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−122518(P2010−122518A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297040(P2008−297040)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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