光学測定装置および光学測定方法
【課題】照明光源が発光した光を受光して光学測定を行うときに、照明光源に熱のダメージを与えることなく正確に光学測定を行うことを目的とする。
【解決手段】本発明の光学測定装置は、LED8に対して電源部7が駆動電流を供給することでLED8を発光させる発光部2と、LED8が発光した光Lを受光してLED8の光学測定を行う測光部5と、発光部2と測光部5との間を接続し、発光部2の発光タイミングと測光部5の測定タイミングとを同期させるためのトリガ信号trigを伝送するトリガ信号伝送部20と、を備えている。これにより、光学測定を正確に行うことができ、LED8に対して作用する熱のダメージを軽減することができる。
【解決手段】本発明の光学測定装置は、LED8に対して電源部7が駆動電流を供給することでLED8を発光させる発光部2と、LED8が発光した光Lを受光してLED8の光学測定を行う測光部5と、発光部2と測光部5との間を接続し、発光部2の発光タイミングと測光部5の測定タイミングとを同期させるためのトリガ信号trigを伝送するトリガ信号伝送部20と、を備えている。これにより、光学測定を正確に行うことができ、LED8に対して作用する熱のダメージを軽減することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明光源が発光した光を受光して照明光源の光学測定を行う光学測定装置および光学測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LED等の照明光源の光学特性は分光計を用いて測定が行われる。分光計は、照明光源が発光した光を分光し、分光した光を受光してスペクトルを検出している。この検出したスペクトルを用いてLEDの光学測定が行われる。具体的には、検出したスペクトルに基づいて、三刺激値や色度座標、光束、放射束、主波長、ピーク波長、半値全幅といった値を演算することで、LEDの光学特性を測定している。
【0003】
分光計を用いた光学測定を行う技術が特許文献1に開示されており、LEDに対して電源部から電流を供給して発光させる技術が特許文献2に開示されている。図10は分光計を用いてLEDの光学測定を行う従来の測定システムの一例を示している。この測定システム101は、電源部102とLED103と積分球104と光ファイバ105と測光部106とコンピュータ107とを備えて構成している。
【0004】
電源部102はコンピュータ107により駆動電流の値が設定されることで、LED103に対して駆動電流を出力する。LED103は駆動電流が供給されることで光Lを発光する。この光Lは積分球104に入射され、光ファイバ105に導光される。そして、光ファイバ105により導光された光Lが測光部106に入射する。
【0005】
測光部106は光学部111とAD変換部112と信号処理部113とを備えており、光Lを分光してスペクトルを検出している。光学部111は分光部114と検出部115とを有している。分光部114は光ファイバ105から導光された光Lを分光する。検出部115は分光された光Lを受光して光電変換を行い、電気信号を出力する(光学部出力)。
【0006】
AD変換部112はこの電気信号を入力して、アナログ信号からデジタル信号に変換する。信号処理部113は変換後のデジタル信号を入力して、波長軸の強度分布値(スペクトルデータ)を生成する。そして、生成したスペクトルデータをコンピュータ107に転送する。
【0007】
コンピュータ107は電源部102に対して駆動電流の値を設定すると共に、測光部106の信号処理部113から転送されたスペクトルデータに基づいて所定の演算(前述した三刺激値等の演算)を行う。この演算を行うことによりLED103の光学測定を行う。測定した結果は例えばコンピュータ107に接続される表示手段(ディスプレイ等)に表示する。
【0008】
図11は図10の構成におけるタイミングを示している。LED103は電源部102から駆動電流が供給されている間に発光する。LED103が光Lを発光する時間を発光時間ETとする。LED103が発光した光Lは積分球104および光ファイバ105を介して測光部106に入射される。そして、分光部114によって光Lが分光されて、検出部115により光Lの検出がされる。
【0009】
信号処理部113は検出部115から電気信号を読み出すタイミングを制御しており、読み出し開始と共に検出部115から電気信号がAD変換部112に読み出される。そして、AD変換部112でアナログ信号からデジタル信号に変換されて、スペクトルデータを得るための演算を行う。そして、スペクトルデータが生成された後にコンピュータ107にスペクトルデータが転送される。
【0010】
同図に示すように、測光部106は一定周期(測光周期CT)ごとに光Lの測定(測光)を行うようにしている。このように測光周期CTごとに繰り返して測光を行うことで、LED103の光学測定を行っている。測光は一定の時間(測光時間MT)の間に受光した光Lに基づいて行う。よって、測光周期CTごとに測光時間MTの時間の間だけ光Lの測定を行うことで、光学測定を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−288150号公報
【特許文献2】特開2009−076381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
LED103の光学測定は、測光時間MTの間に受光した光Lに基づいて行われる。よって、測光時間MTは全てLED103が発光した光Lを受光していなければならない。仮に、測光時間MTの途中で光Lが測光部106で受光されなくなると、検出部115が検出する光Lが不正確なものになる。よって、少なくとも測光時間MTの間は光Lを完全に受光するようにしなければならない。
【0013】
一方で、測光部106と電源部102とは単にコンピュータ107に接続されているだけであり、測光部106と電源部102とは独立に動作している。つまり、電源部102は独自にLED103を発光させており、測光部106は独自に光Lを測定している。
【0014】
従って、LED103と測光部106とはそれぞれ独立して動作を行っているため、LED103の発光タイミングと測光部106の測光タイミングとの間にずれを生じることがある。このタイミングのずれを生じることにより、測光部106の測光時間MTの途中で検出部115に光Lが受光されなくなる。このため、測定結果は不正確なものとなる。
【0015】
このために、LED103の発光時間ETを十分に長くする。発光時間ETを十分に長く確保すれば、タイミングのずれを生じたとしても、測光時間MTの途中で光Lが受光されなくなるという問題を回避できる。具体的には、測光周期CTと測光時間MTとを加算した時間よりも発光時間ETを長く(ET>MT+CT)することにより、測光時間MTの間で光Lを確実に受光させることができる。
【0016】
このとき、LED103は発光開始から経時的にチップ内の接合温度が上昇し、この温度上昇により発光する光Lのスペクトル特性が変動する。従って、LED103の発光時間ETが長くなるに応じて温度上昇も高くなり、スペクトル特性の変動も大きくなる。このスペクトル特性の変動が不定になると、LED103の光学測定の正確性が低下する。
【0017】
つまり、発光タイミングと測光タイミングとはそれぞれ独自のタイミングになっているため、LED103の発光を開始してから検出部115で光Lを検出するまでの時間が測定ごとに変化する。前述したように、測光は測光周期CTごとに繰り返し行われるため、それぞれの回の測光でスペクトル特性の変動幅が変化する。これにより、一定の再現性を持って光学測定を行うことができず、測定結果の正確性が失われる。
【0018】
また、LED103の発光時間ETを十分に長くすることにより、測光時間MTの全てにおいて光Lを確実に受光させている。LED103の発光時間ETが長くなると、極めて高い発熱を生じる。これにより、LED103に対して大きな熱ストレスが与えられ、ダメージが大きくなる。特に、LED103を照明等に用いる場合には、電源部102の定格電流が大きくなり、LED103は高出力になる。このときに、LED103の発光時間ETを長時間にすると、LED103に大きな熱ストレスが作用して、与えられるダメージが大きくなる。
【0019】
そこで、本発明は、照明光源が発光した光を受光して光学測定を行うときに、照明光源に熱のダメージを与えることなく正確に光学測定を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
以上の課題を解決するため、本発明の光学測定装置は、照明光源に対して電源部が駆動電流を供給することで前記照明光源を発光させる発光部と、前記照明光源が発光した光を受光して前記照明光源の光学測定を行う測光部と、前記発光部と前記測光部との間を接続し、前記発光部の発光タイミングと前記測光部の測定タイミングとを同期させるためのトリガ信号を伝送するトリガ信号伝送部と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
この光学測定装置は、発光部と測光部との間を直接接続してトリガ信号を伝送することで、両者を同期させている。これにより、発光タイミングと測光タイミングとを同期させて、タイミングのずれを生じないようにしている。このため、正確な光学測定を行うことができ、照明光源に対する熱のダメージを軽減することができる。
【0022】
また、前記発光部は、前記電源部と前記照明光源との間を結ぶ電流路に前記駆動電流が流れたことを検出したときに前記トリガ信号を前記測光部に対して伝送する電流検出部を備えていることを特徴とする。電流路に電流が流れたことを検出して、これをトリガ信号とすることで、電源部の構成を変更することなく、簡単な部品を追加するだけで発光タイミングと測光タイミングとを同期させることができる。
【0023】
また、前記電源部は、前記照明光源に対して前記駆動電流の出力を開始したときに前記トリガ信号を前記測光部に対して出力するトリガ出力部を備えたことを特徴とする。電源部にトリガ出力部を設けてトリガ信号を出力することで、発光タイミングと測光タイミングとを同期させることができる。
【0024】
また、それぞれ前記照明光源が発光した光を異なる波長に分光して、分光された光を測定する複数の前記測光部を備え、全ての前記測光部に対して前記トリガ信号を出力して前記発光部の発光タイミングと全ての前記測光部の測定タイミングとを同期させていることを特徴とする。発光部から全ての測光部に対してトリガ信号を出力することで、発光タイミングと全ての測光部の測光タイミングとを同期させることができる。
【0025】
また、前記測光部が測定を行う時間の間だけ前記発光部が発光した光を前記測光部に入射させ、前記測定時間以外のときには前記測光部に対して入射させない制御を行うシャッタ手段を前記測光部よりも前記光の入射側に備えたことを特徴とする。光を測光部に透過させる制御を行うシャッタ手段にトリガ信号を入力することで、発光タイミングと測光タイミングとを同期させることができる。
【0026】
また、前記測光部が測定を行う周期をCT、この測光部が測定を行う測定時間をMT、前記照明光源が発光する時間をETとしたときに、この時間ETを「MT≦ET<MT+CT」としたことを特徴とする。これにより、発光時間ETを短くすることができ、照明光源に対する熱のダメージを抑制することができる。
【0027】
また、前記時間ETを「ET=MT」としたことを特徴とする。発光時間ETを測光時間MTと一致させることで、発光時間ETを最短にすることができる。これにより、照明光源に対する熱のダメージを最小化することができるようになる。
【0028】
また、本発明の光学測定方法は、照明光源に対して電源部が駆動電流を供給することで前記照明光源を設けた発光部から発光された光を受光して前記照明光源の光学測定を行う測光部が測光を行うときに、前記発光部と前記測光部との間でトリガ信号を伝送することで前記発光部の発光タイミングと前記測光部の測定タイミングとを同期させていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、発光部と測光部との間をトリガ信号伝送部で直接的に接続して、両者の間でトリガ信号を伝送させている。これにより、発光タイミングと測光タイミングとを同期させることができ、スペクトル特性の変動の影響を抑制して正確な光学測定を行うことができる。且つ、発光時間を短くできることから、照明光源に作用する熱によるダメージを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施形態における測定システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1の構成の動作を示すタイミングチャートである。
【図3】変形例1における測定システムの構成を示すブロック図である。
【図4】変形例2における測定システムの構成を示すブロック図である。
【図5】図4の構成の動作を示すタイミングチャートである。
【図6】変形例3における測定システムの構成を示すブロック図である。
【図7】変形例4における測定システムの構成を示すブロック図である。
【図8】図7の構成の動作を示すタイミングチャートである。
【図9】変形例5における測定システムの構成を示すブロック図である。
【図10】従来の測定システムの構成を示すブロック図である。
【図11】図10の構成の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下では、照明光源にLEDを適用し、LEDの光学測定を行う場合について示しているが、照明光源としてはLED以外を適用してもよい。また、LEDからの光を分光して測定しているが、分光を行わないで測定(単一波長の光の光学測定)を行うようにしてもよい。
【0032】
図1はLEDの光学測定を行う測定システム1を示している。この測定システム1は発光部2と積分球3と光ファイバ4と測光部5とコンピュータ6と備えて構成している。また、発光部2と測光部5との間はトリガ信号伝送部20により接続されている。発光部2は電源部7とLED8と電流路9と電流検出部10とを備えて構成しており、LED8から光Lを発光する側となっている。
【0033】
電源部7はLED8を駆動するための駆動電流を電流路9に出力する。電源部7の駆動電流の値はコンピュータ6によって設定がされる。なお、コンピュータ6を用いることなく、電源部7に予め電流値を設定しておくものであってもよい。LED8は電源部7から供給される駆動電流に基づいて発光する照明光源である。発光した光Lは積分球3に入射される。電源部7とLED8との間の電流路9には電流検出部10を設けている。この電流検出部10は電流路9に流れる駆動電流を検出し、駆動電流を検出したときにはそのことを示すトリガ信号trigを出力する。
【0034】
電流検出部10は電流を検出するための任意の手段を用いることができる。この電流検出部10としては、電流路9の一部にコイルを形成して、当該コイルにより発生される起電力を検出することにより電流検出を行ってもよい。また、電流路9に抵抗を設けて、この抵抗の両端の電位を検出することにより電流検出を行ってもよい。要は、電流路9に電流が流れたことを検出する任意の手段を適用することができる。
【0035】
積分球3はLED8が発光した光Lを入射して、光ファイバ4に導光する。そして、光ファイバ4により導光された光Lが測光部5に入力される。積分球3および光ファイバ4は測定システム1から省略してもよい。ただし、光Lを損失することなく発光部2から測光部5に導くことができることから、積分球3および光ファイバ4を設けることが望ましい。
【0036】
測光部5は光Lの測定(測光)を行っており、例えば分光計を測定部5として適用できる。この測光部5は、光学部11とAD変換部12と信号処理部13とタイミング制御部14とを備えて構成しており、光Lを測定する側となっている。光学部11は光Lを光学的に検出しており、分光部15と検出部16とを備えている。分光部15は光ファイバ4を導光された光Lを異なる波長に分光する。このために、分光部15としては回折格子等を用いることができる。
【0037】
分光部15により分光された光Lは検出部16に入射する。検出部16は光センサであり、入射した光Lを光電変換して電気信号に変換する。この電気信号はAD変換部12に出力される(光学部出力)。検出部16が出力する電気信号はアナログ信号であり、AD変換部12はアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0038】
AD変換部12がデジタル信号に変換した電気信号は信号処理部13に入力される。信号処理部13はオフセットやゲイン、感度といった補正(1次補正)演算を電気信号に対して行う。この補正演算を行うことで、光Lのスペクトルを示すスペクトルデータが生成される。このスペクトルデータはコンピュータ6に対して転送される。
【0039】
タイミング制御部14はトリガ信号伝送部20を介して発光部2の電流検出部10と接続されており、電流検出部10からトリガ信号trigを入力する。そして、タイミング制御部14は、トリガ信号trigのタイミングに基づいて光学部11とAD変換部12と信号処理部13とのタイミング制御を行う。
【0040】
コンピュータ6は信号処理部13が転送したスペクトルデータを入力して、このスペクトルデータに基づいて、三刺激値や色度座標、光束、放射束、主波長、ピーク波長、半値全幅といった値を得るための種々の演算を行う。これらの演算を行うことにより、LED8の光学特性が測定される。
【0041】
従って、コンピュータ6は信号処理部13から転送されたスペクトルデータに対して所定の演算処理を行い、また電源部7に対して駆動電流の値を設定している。コンピュータ6はCPUで動作するソフトウェアの制御により演算処理或いは駆動電流の設定を行っており、発光部2および測光部5に対して格別なタイミング制御は行っていない。
【0042】
発光部2と測光部5との間はトリガ信号伝送部20により直接的に接続されている。トリガ信号伝送部20はケーブル等により1ビットのトリガ信号trigを伝送できるものであればよい。
【0043】
次に、動作について説明する。図2は図1の構成のタイミングを示している。まず、コンピュータ6は予め電源部7に対して駆動電流の値を設定しておく。そして、設定された値に基づいて、電源部7は駆動電流を出力する。これにより、電流路9に駆動電流が流れる。
【0044】
電流検出部10は電流路9に駆動電流が流れたことを検出する。例えば、コイルの起電力や抵抗の両端の電位差等を検出して、駆動電流が流れたことを検出する。駆動電流を検出することにより、電流検出部10はトリガ信号trigを発生させる。また、電流路9に駆動電流が流れることにより、LED8に駆動電流が供給されて、LED8は発光する。
【0045】
LED8に駆動電流が供給されるタイミングは電流検出部10が駆動電流を検出するタイミングと同じであり、つまりトリガ信号trigを発生するタイミングと同じになる。ただし、LED8に駆動電流が供給されてから、LED8が実際に発光を行うまでには微小時間を要し、駆動電流が流れてから僅かに遅れてLED8が発光を行う(LED出力)。
【0046】
電源部7は駆動電流を一定の時間だけ出力する。よって、駆動電流が供給されなくなったときにLED8は発光を停止する。このときに、LED8が発光している時間を発光時間ETとする。LED8が発光した光Lは積分球3および光ファイバ4を介して測光部5に入射し、分光部15で分光される。そして、分光された光Lが検出部16によって検出される。
【0047】
光Lが検出部16で検出されるよりも前に、電流検出部10が発生したトリガ信号trigが測光部5のタイミング制御部14に入力される。タイミング制御部14はこのトリガ信号trigを入力したときから一定の遅延時間LTの経過後に測光(光Lの測定)を開始するように制御を行う。
【0048】
LED8が発光した光Lが検出部16で受光されるまでの間には一定の時間(遅延時間LT)を要する。そこで、タイミング制御部14はトリガ信号trigを入力してから遅延時間LTの経過後に光Lの受光を開始するように検出部16を制御する。例えば、測光部5に電子シャッタ等のシャッタ手段が設けられている場合には、トリガ信号trigを入力してから遅延時間LTの経過後に電子シャッタを閉状態から開状態にする。これにより、光Lが光学部11に入力されるようになる。
【0049】
従って、LED8が発光した光Lは、光学部11の検出部16に入力される。これにより、測光が開始される。測光は一定時間(測光時間MT)の間に検出部16に受光された光Lに基づいて行われる。よって、測光時間MTの間は検出部16に光Lが受光されるようにする。このために、電子シャッタを開状態にしてから測光時間MTの経過後に閉状態にする。これにより、測光が終了する。
【0050】
測光部5の測光は一定周期(測光周期CT)ごとに繰り返し行われる。よって、測光時間MTが終了したときから測光周期CT後に再び測光時間MTを発生させるようにしている。この測光の繰り返しを行うことで、LED8の光学測定を行う。この繰り返し回数は任意に設定することができる。
【0051】
タイミング制御部14は測光時間MTが終了したタイミングで、検出部16に電気信号を出力させるように制御を行う(読み出し開始)。これにより、電気信号がAD変換部12に入力される(光学部出力)。そして、AD変換部12でアナログ信号からデジタル信号に変換される。変換後のデジタル信号が信号処理部13に出力されて、補正演算が行われる。
【0052】
これにより、スペクトルデータが生成されて、生成されたスペクトルデータがコンピュータ6に転送される(通信)。そして、コンピュータ6はスペクトルデータに基づいて、前述した三刺激値等の種々の演算を行う。これにより、LED8の光学測定が行われる。
【0053】
電流検出部10は電流路9に駆動電流が流れたことを検出したときに、トリガ信号trigを発生して、トリガ信号伝送部20を介してトリガ信号を測光部5に出力している。電流路9に駆動電流が流れたときにLED8は発光する。つまり、トリガ信号trigはLED8の発光タイミングを示している。
【0054】
このトリガ信号trigを測光部5のタイミング制御部14に入力させている。そして、トリガ信号trigに基づいて、検出部16の測定時間MTを制御している。つまり、トリガ信号trigを用いて、測光部5が測定を行う測光タイミングと発光部2の発光タイミングとを同期させている。
【0055】
これにより、LED8が発光したタイミングに対して同期したタイミングで測光部5は測光を行うことができる。このため、LED8が発光してから常に一定のタイミングで測光を行うことができる。これにより、LED8が発光を開始してから生じる温度上昇によってスペクトル特性が変動したとしても、常に一定の変動量となる。このため、LED8の光学測定の正確性を確保することができる。つまり、繰り返して行う測光を一定の再現性で行うことができる。
【0056】
また、発光タイミングは測光タイミングに同期しているため、発光時間ETを短くすることができる。従来技術では、測光周期CTと測光時間MTとを加算した時間よりも発光時間ETを長くすることで(ET>CT+MT)、測光時間MTの間の全ての時間に光Lを受光させていた。
【0057】
本実施形態では、トリガ信号trigを用いて発光タイミングと測光タイミングとを同期させているため、発光時間ETを過剰に長くする必要がない。発光時間ETは発光時間ET以上の時間とすることで、測光時間MTの間の全ての時間に光Lを受光させることができる。これにより、正確な光学測定が可能になる。
【0058】
図2では、測光時間MTと遅延時間LTとを加算した時間よりも僅かに長い時間を発光時間ETとしている。これにより、LED8が発光した光Lを全て完全に測光することができ、発光時間ETを短い時間とすることができる。発光時間ETを短い時間にすることにより、LED8の発熱量を抑制することができる。これにより、LED8に対する熱ストレスを抑制することができる。
【0059】
また、発光時間ETと測光時間MTとを一致させてもよい。つまり、発光を開始したタイミングよりも遅延時間LTの分だけ遅れて測光を開始し、発光を終了したタイミングよりも遅延時間LTの分だけ遅れて測光を終了すれば、LED8が発光した光Lを全て完全に受光することができる。これにより、発光時間ETを最短時間とすることができ、LED8に対する熱のダメージを最小限にすることができる。
【0060】
従って、発光時間ETは最短で測光時間MTと同じ時間になる。また、発光タイミングと測光タイミングとを同期させているため、発光時間ETは測光周期CTと測光時間MTとを加算した時間(=CT+MT)よりも短くすることができる。よって、発光時間ETは「MT≦ET<CT+MT」として設定でき、発光時間ETを最短にする場合には「ET=MT」として設定する。なお、実際には、僅かなタイミングのずれを許容するために、「ET>MT」としている。
【0061】
また、前述したように、遅延時間LTを設けることで、駆動電流を出力してから検出部16が光Lを受光するまでのタイムラグを是正している。このタイムラグを遅延時間LTとして遅らせていることから、より正確なタイミングの同期を行うことができるようになる。
【0062】
なお、図1の構成では、信号処理部13がコンピュータ6にスペクトルデータを転送するようにしていたが、測光部5の内部で三刺激値等の値を演算して光学測定を行うようにしてもよい。この場合には、コンピュータ6は単に電源部7の駆動電流の設定を行うだけであり、この駆動電流も予め設定可能になっているため、コンピュータ6を省略することもできる。
【0063】
次に、変形例1について説明する。図3は変形例1の構成を示しており、図1の実施形態の構成の電流検出部10を設けていないが、新たに電源部7にトリガ出力部21を設けている。トリガ出力部21はトリガ信号trigを出力するための部位であり、電源部7が電流路9に駆動電流を出力したこと(電源部7が駆動したこと)を検出して、トリガ信号trigを出力する。
【0064】
従って、電源部7には駆動電流を出力したと同時にトリガ出力部21からトリガ信号trigを出力させる。この変形例1によっても、前述した実施形態と同様にトリガ信号trigにより発光タイミングと測光タイミングとが同期する。よって、LED8の光学測定を正確に行うことができ、且つLED8に対する熱のダメージを軽減することができる。
【0065】
なお、電源部7が駆動電流を出力するタイミング(駆動するタイミング)は任意に設定できるが、コンピュータ6が電源部7に駆動電流の値を設定したときに、電源部7が駆動電流の出力を開始することができる。従って、トリガ出力部21は駆動電流の値が設定されたことを検出してトリガ信号trigを出力するようにする。
【0066】
変形例1では電源部7に新たにトリガ出力部21を設ける必要がある。このために、トリガ出力部21を搭載した新たな電源部7を用意するか、既に使用している電源部7に対して新たにトリガ出力部21の回路を追加する必要がある。この点、前述した実施形態の場合は、電源部7には変更がない。つまり、電源部7を新たに用意する必要もなく、新たな回路を電源部7に追加する必要がない。
【0067】
つまり、前述した実施形態では単に電流路9に電流検出部10を設けているだけである。電流検出部10はコイルや抵抗といった簡単な部品を追加するだけでよい。従って、極めて簡単な構成を追加するだけで、以前から使用していた電源部7をそのまま使用することができる。また、他の用途に使用されていた電源部7を流用することができる。そして、発光タイミングと測光タイミングとを同期させることができるため、正確な光学測定を行うことができ、LED8に対する熱のダメージを軽減できる。
【0068】
次に、変形例2について説明する。図4は変形例2の測定システム1を示している。この測定システム1は、複数の測光部を有している。ここでは、第1測光部31と第2測光部32と第3測光部33との3つの測光部を有している。勿論、測光部の個数は2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。第1測光部31と第2測光部32と第3測光部33との構成は図1で示した測光部5と同じ構成になっている。
【0069】
また、積分球3には3つの光ファイバ34、35、36が接続されており、LED8が発光した光Lを第1測光部31、第2測光部32、第3測光部33に導光している。第1測光部31と第2測光部32と第3測光部33とはそれぞれ入射した光Lを分光しており、それぞれ異なる波長のスペクトルを検出している。これにより、広範囲の波長のスペクトルデータを測定することができる。
【0070】
このとき、第1測光部31と第2測光部32と第3測光部33とは同じタイミングで発光された光Lを測光しなければならない。異なるタイミングの光Lを測光すると、光学測定が不正確になるためである。従って、あるタイミングでLED8が発光した光Lを全ての測光部(第1測光部31、第2測光部32および第3測光部33)が測光するように制御する。
【0071】
このために、電流検出部10が出力したトリガ信号trigを全ての測光部に入力させている。これにより、発光部2の発光タイミングに全ての測光部の測光タイミングを同期させることができる。このため、全ての測光部は同じタイミングで測光を行うことができ、且つそのタイミングは発光タイミングに同期する。これにより、広範囲の波長のスペクトルデータを測定することができると共に、正確な光学測定を行うことができ、且つLED8に対する熱のダメージを抑制できる。
【0072】
図5は図4の測定システム1のタイミングを示しており、第1測光部31と第2測光部32と第3測光部33との測光タイミングを全て同じタイミングとすることができる。且つ、そのタイミングはLED8の発光タイミングと同期している。これにより、全ての測光部の測光タイミングと発光タイミングとが同期することで、前記の効果を得ている。
【0073】
なお、図4の構成では、電流検出部10がトリガ信号trigを出力しているが、変形例1と同様に電源部7に設けたトリガ出力部21からトリガ信号trigを出力させるようにしてもよい。
【0074】
次に、変形例3について説明する。図6に示す変形例3の測定システム1は、図1の実施形態の電流検出部10を備えていないが、測光部5に新たにトリガ出力部37を追加し、電源部7に新たにトリガ入力部38を追加している。そして、トリガ信号伝送部20を介してトリガ出力部37がトリガ入力部38にトリガ信号trigを出力している。
【0075】
前述した実施形態では発光部2から測光部5に対してトリガ信号を出力していたが、本変形例3のように測光部5にトリガ出力部37を設けてもよい。このトリガ出力部37がトリガ信号trigを出力することで、発光部2の発光タイミングを測光部5の測光タイミングに同期させることができる。この場合も、正確な光学測定を行うことができ、且つLED8の熱のダメージを軽減できる。
【0076】
次に、変形例4について説明する。図7は変形例4の測定システム1を示しており、図6の変形例3の構成に新たに音響光学スイッチ(図中でAOスイッチ)40を設けている。音響光学スイッチ40は光スイッチであり、光ファイバ4を導光される光Lのオン(透過)とオフ(遮断)とを制御している。これにより、光Lは一定周期の光パルスになる。
【0077】
そして、音響光学スイッチ40はトリガ出力部37が出力したトリガ信号trigを入力して、このトリガ信号trigに同期したタイミングでオン・オフ動作を行う。図8はそのタイミングを示している。この図に示すように、トリガ信号trigが入力されてから遅延時間LTの経過後に測光時間MTの時間だけ光Lを透過させるように制御を行う。また、この測光時間MT以外の時間は光Lを透過させないように制御する。
【0078】
これにより、測光時間MTの時間の間だけ光Lが透過して検出部16で光Lが検出される。これにより、測光時間MTの時間分だけ検出器16に光Lを検出させている。つまり、測光時間MTの時間分の露光を行っている。これにより、光Lの測光を正確に行うことができるようになる。
【0079】
測光部5に電子シャッタ等のシャッタ手段を有している場合には、当該シャッタ手段を制御して、測光時間MTの時間分だけ開状態にして、それ以外の時間を閉状態にすることで、測光を行うことができる。このとき、測光部5にシャッタ手段が備えられていない場合、或いは積極的に省略している場合がある。
【0080】
このために、測光部5よりも光Lの入射側に音響光学スイッチ40を配置している。そして、音響光学スイッチ40にトリガ信号trigを入力させていることで、測光タイミングを発光タイミングに同期させている。音響光学スイッチ40は電子シャッタと同様の機能を有しているものであり、音響光学スイッチ40に代えて電子シャッタを設けてもよい。
【0081】
つまり、音響光学スイッチ40や電子シャッタ等のシャッタ手段(光Lを透過または遮断する制御を行う手段)を測光部5から独立させた構成とした場合でも、測光タイミングと発光タイミングとを同期させることができる。これにより、正確な光学測定を行うことができ、且つ熱のダメージを軽減できる。
【0082】
次に、変形例5について説明する。図9は変形例5の測定システム1を示しており、図1の実施形態に変形例4で説明した音響光学スイッチ40を追加している。そして、電流検出部10が出力するトリガ信号trigを音響光学スイッチ40に入力させている。これにより、音響光学スイッチ40のオン・オフ動作をトリガ信号trigに同期させることができる。
【0083】
音響光学スイッチ40は測光部5の測光タイミングを規定しており、これをトリガ信号trigに同期させることで、発光部2の発光タイミングと測光部5の測光タイミングとを同期させることができる。変形例4では測光部5が出力するトリガ信号trigに音響光学スイッチ40および発光部2を同期させていたが、変形例5のように発光部2が出力するトリガ信号trigに音響光学スイッチ40および測光部5を同期させることもできる。これによっても、正確な光学測定を行うことができ、且つ熱のダメージを軽減することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 測定システム
2 発光部
5 測光部
6 コンピュータ
7 電源部
8 LED
9 電流路
10 電流検出部
11 光学部
14 タイミング制御部
15 分光部
16 検出部
20 トリガ信号伝送部
21 トリガ出力部
40 音響光学スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明光源が発光した光を受光して照明光源の光学測定を行う光学測定装置および光学測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LED等の照明光源の光学特性は分光計を用いて測定が行われる。分光計は、照明光源が発光した光を分光し、分光した光を受光してスペクトルを検出している。この検出したスペクトルを用いてLEDの光学測定が行われる。具体的には、検出したスペクトルに基づいて、三刺激値や色度座標、光束、放射束、主波長、ピーク波長、半値全幅といった値を演算することで、LEDの光学特性を測定している。
【0003】
分光計を用いた光学測定を行う技術が特許文献1に開示されており、LEDに対して電源部から電流を供給して発光させる技術が特許文献2に開示されている。図10は分光計を用いてLEDの光学測定を行う従来の測定システムの一例を示している。この測定システム101は、電源部102とLED103と積分球104と光ファイバ105と測光部106とコンピュータ107とを備えて構成している。
【0004】
電源部102はコンピュータ107により駆動電流の値が設定されることで、LED103に対して駆動電流を出力する。LED103は駆動電流が供給されることで光Lを発光する。この光Lは積分球104に入射され、光ファイバ105に導光される。そして、光ファイバ105により導光された光Lが測光部106に入射する。
【0005】
測光部106は光学部111とAD変換部112と信号処理部113とを備えており、光Lを分光してスペクトルを検出している。光学部111は分光部114と検出部115とを有している。分光部114は光ファイバ105から導光された光Lを分光する。検出部115は分光された光Lを受光して光電変換を行い、電気信号を出力する(光学部出力)。
【0006】
AD変換部112はこの電気信号を入力して、アナログ信号からデジタル信号に変換する。信号処理部113は変換後のデジタル信号を入力して、波長軸の強度分布値(スペクトルデータ)を生成する。そして、生成したスペクトルデータをコンピュータ107に転送する。
【0007】
コンピュータ107は電源部102に対して駆動電流の値を設定すると共に、測光部106の信号処理部113から転送されたスペクトルデータに基づいて所定の演算(前述した三刺激値等の演算)を行う。この演算を行うことによりLED103の光学測定を行う。測定した結果は例えばコンピュータ107に接続される表示手段(ディスプレイ等)に表示する。
【0008】
図11は図10の構成におけるタイミングを示している。LED103は電源部102から駆動電流が供給されている間に発光する。LED103が光Lを発光する時間を発光時間ETとする。LED103が発光した光Lは積分球104および光ファイバ105を介して測光部106に入射される。そして、分光部114によって光Lが分光されて、検出部115により光Lの検出がされる。
【0009】
信号処理部113は検出部115から電気信号を読み出すタイミングを制御しており、読み出し開始と共に検出部115から電気信号がAD変換部112に読み出される。そして、AD変換部112でアナログ信号からデジタル信号に変換されて、スペクトルデータを得るための演算を行う。そして、スペクトルデータが生成された後にコンピュータ107にスペクトルデータが転送される。
【0010】
同図に示すように、測光部106は一定周期(測光周期CT)ごとに光Lの測定(測光)を行うようにしている。このように測光周期CTごとに繰り返して測光を行うことで、LED103の光学測定を行っている。測光は一定の時間(測光時間MT)の間に受光した光Lに基づいて行う。よって、測光周期CTごとに測光時間MTの時間の間だけ光Lの測定を行うことで、光学測定を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−288150号公報
【特許文献2】特開2009−076381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
LED103の光学測定は、測光時間MTの間に受光した光Lに基づいて行われる。よって、測光時間MTは全てLED103が発光した光Lを受光していなければならない。仮に、測光時間MTの途中で光Lが測光部106で受光されなくなると、検出部115が検出する光Lが不正確なものになる。よって、少なくとも測光時間MTの間は光Lを完全に受光するようにしなければならない。
【0013】
一方で、測光部106と電源部102とは単にコンピュータ107に接続されているだけであり、測光部106と電源部102とは独立に動作している。つまり、電源部102は独自にLED103を発光させており、測光部106は独自に光Lを測定している。
【0014】
従って、LED103と測光部106とはそれぞれ独立して動作を行っているため、LED103の発光タイミングと測光部106の測光タイミングとの間にずれを生じることがある。このタイミングのずれを生じることにより、測光部106の測光時間MTの途中で検出部115に光Lが受光されなくなる。このため、測定結果は不正確なものとなる。
【0015】
このために、LED103の発光時間ETを十分に長くする。発光時間ETを十分に長く確保すれば、タイミングのずれを生じたとしても、測光時間MTの途中で光Lが受光されなくなるという問題を回避できる。具体的には、測光周期CTと測光時間MTとを加算した時間よりも発光時間ETを長く(ET>MT+CT)することにより、測光時間MTの間で光Lを確実に受光させることができる。
【0016】
このとき、LED103は発光開始から経時的にチップ内の接合温度が上昇し、この温度上昇により発光する光Lのスペクトル特性が変動する。従って、LED103の発光時間ETが長くなるに応じて温度上昇も高くなり、スペクトル特性の変動も大きくなる。このスペクトル特性の変動が不定になると、LED103の光学測定の正確性が低下する。
【0017】
つまり、発光タイミングと測光タイミングとはそれぞれ独自のタイミングになっているため、LED103の発光を開始してから検出部115で光Lを検出するまでの時間が測定ごとに変化する。前述したように、測光は測光周期CTごとに繰り返し行われるため、それぞれの回の測光でスペクトル特性の変動幅が変化する。これにより、一定の再現性を持って光学測定を行うことができず、測定結果の正確性が失われる。
【0018】
また、LED103の発光時間ETを十分に長くすることにより、測光時間MTの全てにおいて光Lを確実に受光させている。LED103の発光時間ETが長くなると、極めて高い発熱を生じる。これにより、LED103に対して大きな熱ストレスが与えられ、ダメージが大きくなる。特に、LED103を照明等に用いる場合には、電源部102の定格電流が大きくなり、LED103は高出力になる。このときに、LED103の発光時間ETを長時間にすると、LED103に大きな熱ストレスが作用して、与えられるダメージが大きくなる。
【0019】
そこで、本発明は、照明光源が発光した光を受光して光学測定を行うときに、照明光源に熱のダメージを与えることなく正確に光学測定を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
以上の課題を解決するため、本発明の光学測定装置は、照明光源に対して電源部が駆動電流を供給することで前記照明光源を発光させる発光部と、前記照明光源が発光した光を受光して前記照明光源の光学測定を行う測光部と、前記発光部と前記測光部との間を接続し、前記発光部の発光タイミングと前記測光部の測定タイミングとを同期させるためのトリガ信号を伝送するトリガ信号伝送部と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
この光学測定装置は、発光部と測光部との間を直接接続してトリガ信号を伝送することで、両者を同期させている。これにより、発光タイミングと測光タイミングとを同期させて、タイミングのずれを生じないようにしている。このため、正確な光学測定を行うことができ、照明光源に対する熱のダメージを軽減することができる。
【0022】
また、前記発光部は、前記電源部と前記照明光源との間を結ぶ電流路に前記駆動電流が流れたことを検出したときに前記トリガ信号を前記測光部に対して伝送する電流検出部を備えていることを特徴とする。電流路に電流が流れたことを検出して、これをトリガ信号とすることで、電源部の構成を変更することなく、簡単な部品を追加するだけで発光タイミングと測光タイミングとを同期させることができる。
【0023】
また、前記電源部は、前記照明光源に対して前記駆動電流の出力を開始したときに前記トリガ信号を前記測光部に対して出力するトリガ出力部を備えたことを特徴とする。電源部にトリガ出力部を設けてトリガ信号を出力することで、発光タイミングと測光タイミングとを同期させることができる。
【0024】
また、それぞれ前記照明光源が発光した光を異なる波長に分光して、分光された光を測定する複数の前記測光部を備え、全ての前記測光部に対して前記トリガ信号を出力して前記発光部の発光タイミングと全ての前記測光部の測定タイミングとを同期させていることを特徴とする。発光部から全ての測光部に対してトリガ信号を出力することで、発光タイミングと全ての測光部の測光タイミングとを同期させることができる。
【0025】
また、前記測光部が測定を行う時間の間だけ前記発光部が発光した光を前記測光部に入射させ、前記測定時間以外のときには前記測光部に対して入射させない制御を行うシャッタ手段を前記測光部よりも前記光の入射側に備えたことを特徴とする。光を測光部に透過させる制御を行うシャッタ手段にトリガ信号を入力することで、発光タイミングと測光タイミングとを同期させることができる。
【0026】
また、前記測光部が測定を行う周期をCT、この測光部が測定を行う測定時間をMT、前記照明光源が発光する時間をETとしたときに、この時間ETを「MT≦ET<MT+CT」としたことを特徴とする。これにより、発光時間ETを短くすることができ、照明光源に対する熱のダメージを抑制することができる。
【0027】
また、前記時間ETを「ET=MT」としたことを特徴とする。発光時間ETを測光時間MTと一致させることで、発光時間ETを最短にすることができる。これにより、照明光源に対する熱のダメージを最小化することができるようになる。
【0028】
また、本発明の光学測定方法は、照明光源に対して電源部が駆動電流を供給することで前記照明光源を設けた発光部から発光された光を受光して前記照明光源の光学測定を行う測光部が測光を行うときに、前記発光部と前記測光部との間でトリガ信号を伝送することで前記発光部の発光タイミングと前記測光部の測定タイミングとを同期させていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、発光部と測光部との間をトリガ信号伝送部で直接的に接続して、両者の間でトリガ信号を伝送させている。これにより、発光タイミングと測光タイミングとを同期させることができ、スペクトル特性の変動の影響を抑制して正確な光学測定を行うことができる。且つ、発光時間を短くできることから、照明光源に作用する熱によるダメージを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施形態における測定システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1の構成の動作を示すタイミングチャートである。
【図3】変形例1における測定システムの構成を示すブロック図である。
【図4】変形例2における測定システムの構成を示すブロック図である。
【図5】図4の構成の動作を示すタイミングチャートである。
【図6】変形例3における測定システムの構成を示すブロック図である。
【図7】変形例4における測定システムの構成を示すブロック図である。
【図8】図7の構成の動作を示すタイミングチャートである。
【図9】変形例5における測定システムの構成を示すブロック図である。
【図10】従来の測定システムの構成を示すブロック図である。
【図11】図10の構成の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下では、照明光源にLEDを適用し、LEDの光学測定を行う場合について示しているが、照明光源としてはLED以外を適用してもよい。また、LEDからの光を分光して測定しているが、分光を行わないで測定(単一波長の光の光学測定)を行うようにしてもよい。
【0032】
図1はLEDの光学測定を行う測定システム1を示している。この測定システム1は発光部2と積分球3と光ファイバ4と測光部5とコンピュータ6と備えて構成している。また、発光部2と測光部5との間はトリガ信号伝送部20により接続されている。発光部2は電源部7とLED8と電流路9と電流検出部10とを備えて構成しており、LED8から光Lを発光する側となっている。
【0033】
電源部7はLED8を駆動するための駆動電流を電流路9に出力する。電源部7の駆動電流の値はコンピュータ6によって設定がされる。なお、コンピュータ6を用いることなく、電源部7に予め電流値を設定しておくものであってもよい。LED8は電源部7から供給される駆動電流に基づいて発光する照明光源である。発光した光Lは積分球3に入射される。電源部7とLED8との間の電流路9には電流検出部10を設けている。この電流検出部10は電流路9に流れる駆動電流を検出し、駆動電流を検出したときにはそのことを示すトリガ信号trigを出力する。
【0034】
電流検出部10は電流を検出するための任意の手段を用いることができる。この電流検出部10としては、電流路9の一部にコイルを形成して、当該コイルにより発生される起電力を検出することにより電流検出を行ってもよい。また、電流路9に抵抗を設けて、この抵抗の両端の電位を検出することにより電流検出を行ってもよい。要は、電流路9に電流が流れたことを検出する任意の手段を適用することができる。
【0035】
積分球3はLED8が発光した光Lを入射して、光ファイバ4に導光する。そして、光ファイバ4により導光された光Lが測光部5に入力される。積分球3および光ファイバ4は測定システム1から省略してもよい。ただし、光Lを損失することなく発光部2から測光部5に導くことができることから、積分球3および光ファイバ4を設けることが望ましい。
【0036】
測光部5は光Lの測定(測光)を行っており、例えば分光計を測定部5として適用できる。この測光部5は、光学部11とAD変換部12と信号処理部13とタイミング制御部14とを備えて構成しており、光Lを測定する側となっている。光学部11は光Lを光学的に検出しており、分光部15と検出部16とを備えている。分光部15は光ファイバ4を導光された光Lを異なる波長に分光する。このために、分光部15としては回折格子等を用いることができる。
【0037】
分光部15により分光された光Lは検出部16に入射する。検出部16は光センサであり、入射した光Lを光電変換して電気信号に変換する。この電気信号はAD変換部12に出力される(光学部出力)。検出部16が出力する電気信号はアナログ信号であり、AD変換部12はアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0038】
AD変換部12がデジタル信号に変換した電気信号は信号処理部13に入力される。信号処理部13はオフセットやゲイン、感度といった補正(1次補正)演算を電気信号に対して行う。この補正演算を行うことで、光Lのスペクトルを示すスペクトルデータが生成される。このスペクトルデータはコンピュータ6に対して転送される。
【0039】
タイミング制御部14はトリガ信号伝送部20を介して発光部2の電流検出部10と接続されており、電流検出部10からトリガ信号trigを入力する。そして、タイミング制御部14は、トリガ信号trigのタイミングに基づいて光学部11とAD変換部12と信号処理部13とのタイミング制御を行う。
【0040】
コンピュータ6は信号処理部13が転送したスペクトルデータを入力して、このスペクトルデータに基づいて、三刺激値や色度座標、光束、放射束、主波長、ピーク波長、半値全幅といった値を得るための種々の演算を行う。これらの演算を行うことにより、LED8の光学特性が測定される。
【0041】
従って、コンピュータ6は信号処理部13から転送されたスペクトルデータに対して所定の演算処理を行い、また電源部7に対して駆動電流の値を設定している。コンピュータ6はCPUで動作するソフトウェアの制御により演算処理或いは駆動電流の設定を行っており、発光部2および測光部5に対して格別なタイミング制御は行っていない。
【0042】
発光部2と測光部5との間はトリガ信号伝送部20により直接的に接続されている。トリガ信号伝送部20はケーブル等により1ビットのトリガ信号trigを伝送できるものであればよい。
【0043】
次に、動作について説明する。図2は図1の構成のタイミングを示している。まず、コンピュータ6は予め電源部7に対して駆動電流の値を設定しておく。そして、設定された値に基づいて、電源部7は駆動電流を出力する。これにより、電流路9に駆動電流が流れる。
【0044】
電流検出部10は電流路9に駆動電流が流れたことを検出する。例えば、コイルの起電力や抵抗の両端の電位差等を検出して、駆動電流が流れたことを検出する。駆動電流を検出することにより、電流検出部10はトリガ信号trigを発生させる。また、電流路9に駆動電流が流れることにより、LED8に駆動電流が供給されて、LED8は発光する。
【0045】
LED8に駆動電流が供給されるタイミングは電流検出部10が駆動電流を検出するタイミングと同じであり、つまりトリガ信号trigを発生するタイミングと同じになる。ただし、LED8に駆動電流が供給されてから、LED8が実際に発光を行うまでには微小時間を要し、駆動電流が流れてから僅かに遅れてLED8が発光を行う(LED出力)。
【0046】
電源部7は駆動電流を一定の時間だけ出力する。よって、駆動電流が供給されなくなったときにLED8は発光を停止する。このときに、LED8が発光している時間を発光時間ETとする。LED8が発光した光Lは積分球3および光ファイバ4を介して測光部5に入射し、分光部15で分光される。そして、分光された光Lが検出部16によって検出される。
【0047】
光Lが検出部16で検出されるよりも前に、電流検出部10が発生したトリガ信号trigが測光部5のタイミング制御部14に入力される。タイミング制御部14はこのトリガ信号trigを入力したときから一定の遅延時間LTの経過後に測光(光Lの測定)を開始するように制御を行う。
【0048】
LED8が発光した光Lが検出部16で受光されるまでの間には一定の時間(遅延時間LT)を要する。そこで、タイミング制御部14はトリガ信号trigを入力してから遅延時間LTの経過後に光Lの受光を開始するように検出部16を制御する。例えば、測光部5に電子シャッタ等のシャッタ手段が設けられている場合には、トリガ信号trigを入力してから遅延時間LTの経過後に電子シャッタを閉状態から開状態にする。これにより、光Lが光学部11に入力されるようになる。
【0049】
従って、LED8が発光した光Lは、光学部11の検出部16に入力される。これにより、測光が開始される。測光は一定時間(測光時間MT)の間に検出部16に受光された光Lに基づいて行われる。よって、測光時間MTの間は検出部16に光Lが受光されるようにする。このために、電子シャッタを開状態にしてから測光時間MTの経過後に閉状態にする。これにより、測光が終了する。
【0050】
測光部5の測光は一定周期(測光周期CT)ごとに繰り返し行われる。よって、測光時間MTが終了したときから測光周期CT後に再び測光時間MTを発生させるようにしている。この測光の繰り返しを行うことで、LED8の光学測定を行う。この繰り返し回数は任意に設定することができる。
【0051】
タイミング制御部14は測光時間MTが終了したタイミングで、検出部16に電気信号を出力させるように制御を行う(読み出し開始)。これにより、電気信号がAD変換部12に入力される(光学部出力)。そして、AD変換部12でアナログ信号からデジタル信号に変換される。変換後のデジタル信号が信号処理部13に出力されて、補正演算が行われる。
【0052】
これにより、スペクトルデータが生成されて、生成されたスペクトルデータがコンピュータ6に転送される(通信)。そして、コンピュータ6はスペクトルデータに基づいて、前述した三刺激値等の種々の演算を行う。これにより、LED8の光学測定が行われる。
【0053】
電流検出部10は電流路9に駆動電流が流れたことを検出したときに、トリガ信号trigを発生して、トリガ信号伝送部20を介してトリガ信号を測光部5に出力している。電流路9に駆動電流が流れたときにLED8は発光する。つまり、トリガ信号trigはLED8の発光タイミングを示している。
【0054】
このトリガ信号trigを測光部5のタイミング制御部14に入力させている。そして、トリガ信号trigに基づいて、検出部16の測定時間MTを制御している。つまり、トリガ信号trigを用いて、測光部5が測定を行う測光タイミングと発光部2の発光タイミングとを同期させている。
【0055】
これにより、LED8が発光したタイミングに対して同期したタイミングで測光部5は測光を行うことができる。このため、LED8が発光してから常に一定のタイミングで測光を行うことができる。これにより、LED8が発光を開始してから生じる温度上昇によってスペクトル特性が変動したとしても、常に一定の変動量となる。このため、LED8の光学測定の正確性を確保することができる。つまり、繰り返して行う測光を一定の再現性で行うことができる。
【0056】
また、発光タイミングは測光タイミングに同期しているため、発光時間ETを短くすることができる。従来技術では、測光周期CTと測光時間MTとを加算した時間よりも発光時間ETを長くすることで(ET>CT+MT)、測光時間MTの間の全ての時間に光Lを受光させていた。
【0057】
本実施形態では、トリガ信号trigを用いて発光タイミングと測光タイミングとを同期させているため、発光時間ETを過剰に長くする必要がない。発光時間ETは発光時間ET以上の時間とすることで、測光時間MTの間の全ての時間に光Lを受光させることができる。これにより、正確な光学測定が可能になる。
【0058】
図2では、測光時間MTと遅延時間LTとを加算した時間よりも僅かに長い時間を発光時間ETとしている。これにより、LED8が発光した光Lを全て完全に測光することができ、発光時間ETを短い時間とすることができる。発光時間ETを短い時間にすることにより、LED8の発熱量を抑制することができる。これにより、LED8に対する熱ストレスを抑制することができる。
【0059】
また、発光時間ETと測光時間MTとを一致させてもよい。つまり、発光を開始したタイミングよりも遅延時間LTの分だけ遅れて測光を開始し、発光を終了したタイミングよりも遅延時間LTの分だけ遅れて測光を終了すれば、LED8が発光した光Lを全て完全に受光することができる。これにより、発光時間ETを最短時間とすることができ、LED8に対する熱のダメージを最小限にすることができる。
【0060】
従って、発光時間ETは最短で測光時間MTと同じ時間になる。また、発光タイミングと測光タイミングとを同期させているため、発光時間ETは測光周期CTと測光時間MTとを加算した時間(=CT+MT)よりも短くすることができる。よって、発光時間ETは「MT≦ET<CT+MT」として設定でき、発光時間ETを最短にする場合には「ET=MT」として設定する。なお、実際には、僅かなタイミングのずれを許容するために、「ET>MT」としている。
【0061】
また、前述したように、遅延時間LTを設けることで、駆動電流を出力してから検出部16が光Lを受光するまでのタイムラグを是正している。このタイムラグを遅延時間LTとして遅らせていることから、より正確なタイミングの同期を行うことができるようになる。
【0062】
なお、図1の構成では、信号処理部13がコンピュータ6にスペクトルデータを転送するようにしていたが、測光部5の内部で三刺激値等の値を演算して光学測定を行うようにしてもよい。この場合には、コンピュータ6は単に電源部7の駆動電流の設定を行うだけであり、この駆動電流も予め設定可能になっているため、コンピュータ6を省略することもできる。
【0063】
次に、変形例1について説明する。図3は変形例1の構成を示しており、図1の実施形態の構成の電流検出部10を設けていないが、新たに電源部7にトリガ出力部21を設けている。トリガ出力部21はトリガ信号trigを出力するための部位であり、電源部7が電流路9に駆動電流を出力したこと(電源部7が駆動したこと)を検出して、トリガ信号trigを出力する。
【0064】
従って、電源部7には駆動電流を出力したと同時にトリガ出力部21からトリガ信号trigを出力させる。この変形例1によっても、前述した実施形態と同様にトリガ信号trigにより発光タイミングと測光タイミングとが同期する。よって、LED8の光学測定を正確に行うことができ、且つLED8に対する熱のダメージを軽減することができる。
【0065】
なお、電源部7が駆動電流を出力するタイミング(駆動するタイミング)は任意に設定できるが、コンピュータ6が電源部7に駆動電流の値を設定したときに、電源部7が駆動電流の出力を開始することができる。従って、トリガ出力部21は駆動電流の値が設定されたことを検出してトリガ信号trigを出力するようにする。
【0066】
変形例1では電源部7に新たにトリガ出力部21を設ける必要がある。このために、トリガ出力部21を搭載した新たな電源部7を用意するか、既に使用している電源部7に対して新たにトリガ出力部21の回路を追加する必要がある。この点、前述した実施形態の場合は、電源部7には変更がない。つまり、電源部7を新たに用意する必要もなく、新たな回路を電源部7に追加する必要がない。
【0067】
つまり、前述した実施形態では単に電流路9に電流検出部10を設けているだけである。電流検出部10はコイルや抵抗といった簡単な部品を追加するだけでよい。従って、極めて簡単な構成を追加するだけで、以前から使用していた電源部7をそのまま使用することができる。また、他の用途に使用されていた電源部7を流用することができる。そして、発光タイミングと測光タイミングとを同期させることができるため、正確な光学測定を行うことができ、LED8に対する熱のダメージを軽減できる。
【0068】
次に、変形例2について説明する。図4は変形例2の測定システム1を示している。この測定システム1は、複数の測光部を有している。ここでは、第1測光部31と第2測光部32と第3測光部33との3つの測光部を有している。勿論、測光部の個数は2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。第1測光部31と第2測光部32と第3測光部33との構成は図1で示した測光部5と同じ構成になっている。
【0069】
また、積分球3には3つの光ファイバ34、35、36が接続されており、LED8が発光した光Lを第1測光部31、第2測光部32、第3測光部33に導光している。第1測光部31と第2測光部32と第3測光部33とはそれぞれ入射した光Lを分光しており、それぞれ異なる波長のスペクトルを検出している。これにより、広範囲の波長のスペクトルデータを測定することができる。
【0070】
このとき、第1測光部31と第2測光部32と第3測光部33とは同じタイミングで発光された光Lを測光しなければならない。異なるタイミングの光Lを測光すると、光学測定が不正確になるためである。従って、あるタイミングでLED8が発光した光Lを全ての測光部(第1測光部31、第2測光部32および第3測光部33)が測光するように制御する。
【0071】
このために、電流検出部10が出力したトリガ信号trigを全ての測光部に入力させている。これにより、発光部2の発光タイミングに全ての測光部の測光タイミングを同期させることができる。このため、全ての測光部は同じタイミングで測光を行うことができ、且つそのタイミングは発光タイミングに同期する。これにより、広範囲の波長のスペクトルデータを測定することができると共に、正確な光学測定を行うことができ、且つLED8に対する熱のダメージを抑制できる。
【0072】
図5は図4の測定システム1のタイミングを示しており、第1測光部31と第2測光部32と第3測光部33との測光タイミングを全て同じタイミングとすることができる。且つ、そのタイミングはLED8の発光タイミングと同期している。これにより、全ての測光部の測光タイミングと発光タイミングとが同期することで、前記の効果を得ている。
【0073】
なお、図4の構成では、電流検出部10がトリガ信号trigを出力しているが、変形例1と同様に電源部7に設けたトリガ出力部21からトリガ信号trigを出力させるようにしてもよい。
【0074】
次に、変形例3について説明する。図6に示す変形例3の測定システム1は、図1の実施形態の電流検出部10を備えていないが、測光部5に新たにトリガ出力部37を追加し、電源部7に新たにトリガ入力部38を追加している。そして、トリガ信号伝送部20を介してトリガ出力部37がトリガ入力部38にトリガ信号trigを出力している。
【0075】
前述した実施形態では発光部2から測光部5に対してトリガ信号を出力していたが、本変形例3のように測光部5にトリガ出力部37を設けてもよい。このトリガ出力部37がトリガ信号trigを出力することで、発光部2の発光タイミングを測光部5の測光タイミングに同期させることができる。この場合も、正確な光学測定を行うことができ、且つLED8の熱のダメージを軽減できる。
【0076】
次に、変形例4について説明する。図7は変形例4の測定システム1を示しており、図6の変形例3の構成に新たに音響光学スイッチ(図中でAOスイッチ)40を設けている。音響光学スイッチ40は光スイッチであり、光ファイバ4を導光される光Lのオン(透過)とオフ(遮断)とを制御している。これにより、光Lは一定周期の光パルスになる。
【0077】
そして、音響光学スイッチ40はトリガ出力部37が出力したトリガ信号trigを入力して、このトリガ信号trigに同期したタイミングでオン・オフ動作を行う。図8はそのタイミングを示している。この図に示すように、トリガ信号trigが入力されてから遅延時間LTの経過後に測光時間MTの時間だけ光Lを透過させるように制御を行う。また、この測光時間MT以外の時間は光Lを透過させないように制御する。
【0078】
これにより、測光時間MTの時間の間だけ光Lが透過して検出部16で光Lが検出される。これにより、測光時間MTの時間分だけ検出器16に光Lを検出させている。つまり、測光時間MTの時間分の露光を行っている。これにより、光Lの測光を正確に行うことができるようになる。
【0079】
測光部5に電子シャッタ等のシャッタ手段を有している場合には、当該シャッタ手段を制御して、測光時間MTの時間分だけ開状態にして、それ以外の時間を閉状態にすることで、測光を行うことができる。このとき、測光部5にシャッタ手段が備えられていない場合、或いは積極的に省略している場合がある。
【0080】
このために、測光部5よりも光Lの入射側に音響光学スイッチ40を配置している。そして、音響光学スイッチ40にトリガ信号trigを入力させていることで、測光タイミングを発光タイミングに同期させている。音響光学スイッチ40は電子シャッタと同様の機能を有しているものであり、音響光学スイッチ40に代えて電子シャッタを設けてもよい。
【0081】
つまり、音響光学スイッチ40や電子シャッタ等のシャッタ手段(光Lを透過または遮断する制御を行う手段)を測光部5から独立させた構成とした場合でも、測光タイミングと発光タイミングとを同期させることができる。これにより、正確な光学測定を行うことができ、且つ熱のダメージを軽減できる。
【0082】
次に、変形例5について説明する。図9は変形例5の測定システム1を示しており、図1の実施形態に変形例4で説明した音響光学スイッチ40を追加している。そして、電流検出部10が出力するトリガ信号trigを音響光学スイッチ40に入力させている。これにより、音響光学スイッチ40のオン・オフ動作をトリガ信号trigに同期させることができる。
【0083】
音響光学スイッチ40は測光部5の測光タイミングを規定しており、これをトリガ信号trigに同期させることで、発光部2の発光タイミングと測光部5の測光タイミングとを同期させることができる。変形例4では測光部5が出力するトリガ信号trigに音響光学スイッチ40および発光部2を同期させていたが、変形例5のように発光部2が出力するトリガ信号trigに音響光学スイッチ40および測光部5を同期させることもできる。これによっても、正確な光学測定を行うことができ、且つ熱のダメージを軽減することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 測定システム
2 発光部
5 測光部
6 コンピュータ
7 電源部
8 LED
9 電流路
10 電流検出部
11 光学部
14 タイミング制御部
15 分光部
16 検出部
20 トリガ信号伝送部
21 トリガ出力部
40 音響光学スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光源に対して電源部が駆動電流を供給することで前記照明光源を発光させる発光部と、
前記照明光源が発光した光を受光して前記照明光源の光学測定を行う測光部と、
前記発光部と前記測光部との間を接続し、前記発光部の発光タイミングと前記測光部の測定タイミングとを同期させるためのトリガ信号を伝送するトリガ信号伝送部と、
を備えたことを特徴とする光学測定装置。
【請求項2】
前記発光部は、前記電源部と前記照明光源との間を結ぶ電流路に前記駆動電流が流れたことを検出したときに前記トリガ信号を前記測光部に対して伝送する電流検出部を備えていること
を特徴とする請求項1記載の光学測定装置。
【請求項3】
前記電源部は、前記照明光源に対して前記駆動電流の出力を開始したときに前記トリガ信号を前記測光部に対して出力するトリガ出力部を備えたこと
を特徴とする請求項1記載の光学測定装置。
【請求項4】
それぞれ前記照明光源が発光した光を異なる波長に分光して、分光された光を測定する複数の前記測光部を備え、
全ての前記測光部に対して前記トリガ信号を出力して前記発光部の発光タイミングと全ての前記測光部の測定タイミングとを同期させていること
を特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の光学測定装置。
【請求項5】
前記測光部が測定を行う時間の間だけ前記発光部が発光した光を前記測光部に入射させ、前記測定時間以外のときには前記測光部に対して入射させない制御を行うシャッタ手段を前記測光部よりも前記光の入射側に備えたこと
を特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の光学測定装置。
【請求項6】
前記測光部が測定を行う周期をCT、この測光部が測定を行う測定時間をMT、前記照明光源が発光する時間をETとしたときに、この時間ETを
「MT≦ET<MT+CT」としたこと
を特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の光学測定装置。
【請求項7】
前記時間ETを「ET=MT」としたこと
を特徴とする請求項6記載の光学測定装置。
【請求項8】
照明光源に対して電源部が駆動電流を供給することで前記照明光源を設けた発光部から発光された光を受光して前記照明光源の光学測定を行う測光部が測光を行うときに、
前記発光部と前記測光部との間でトリガ信号を伝送することで前記発光部の発光タイミングと前記測光部の測定タイミングとを同期させていること
を特徴とする光学測定方法。
【請求項1】
照明光源に対して電源部が駆動電流を供給することで前記照明光源を発光させる発光部と、
前記照明光源が発光した光を受光して前記照明光源の光学測定を行う測光部と、
前記発光部と前記測光部との間を接続し、前記発光部の発光タイミングと前記測光部の測定タイミングとを同期させるためのトリガ信号を伝送するトリガ信号伝送部と、
を備えたことを特徴とする光学測定装置。
【請求項2】
前記発光部は、前記電源部と前記照明光源との間を結ぶ電流路に前記駆動電流が流れたことを検出したときに前記トリガ信号を前記測光部に対して伝送する電流検出部を備えていること
を特徴とする請求項1記載の光学測定装置。
【請求項3】
前記電源部は、前記照明光源に対して前記駆動電流の出力を開始したときに前記トリガ信号を前記測光部に対して出力するトリガ出力部を備えたこと
を特徴とする請求項1記載の光学測定装置。
【請求項4】
それぞれ前記照明光源が発光した光を異なる波長に分光して、分光された光を測定する複数の前記測光部を備え、
全ての前記測光部に対して前記トリガ信号を出力して前記発光部の発光タイミングと全ての前記測光部の測定タイミングとを同期させていること
を特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の光学測定装置。
【請求項5】
前記測光部が測定を行う時間の間だけ前記発光部が発光した光を前記測光部に入射させ、前記測定時間以外のときには前記測光部に対して入射させない制御を行うシャッタ手段を前記測光部よりも前記光の入射側に備えたこと
を特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の光学測定装置。
【請求項6】
前記測光部が測定を行う周期をCT、この測光部が測定を行う測定時間をMT、前記照明光源が発光する時間をETとしたときに、この時間ETを
「MT≦ET<MT+CT」としたこと
を特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の光学測定装置。
【請求項7】
前記時間ETを「ET=MT」としたこと
を特徴とする請求項6記載の光学測定装置。
【請求項8】
照明光源に対して電源部が駆動電流を供給することで前記照明光源を設けた発光部から発光された光を受光して前記照明光源の光学測定を行う測光部が測光を行うときに、
前記発光部と前記測光部との間でトリガ信号を伝送することで前記発光部の発光タイミングと前記測光部の測定タイミングとを同期させていること
を特徴とする光学測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−177550(P2012−177550A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39115(P2011−39115)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】
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