説明

光学用樹脂レンズ及び光学用樹脂材料の製造方法

本発明の目的は、長時間のレーザ照射またはその他の光エネルギ照射条件下でも光学特性が劣化しない高耐久性を示す光学用樹脂レンズ及び光学樹脂材料の製造方法を提供することである。ハロゲン化チタン及び一般式RnAlX3-n(式中、nは1<n≦2を表し、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子を表す。)で表される有機アルミニウムからなる触媒を用いてオレフィンを重合する工程を有する製造方法により得られる重合体を有すること特徴とする光学用樹脂レンズ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に情報記録装置に用いられる光学用樹脂レンズ及び光学用樹脂材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学的に透明なプラスチックはその軽量性、量産性の高さから光学製品に広く用いられている。カメラ、フィルム一体型カメラ(レンズ付きフィルム)、ビデオカメラ等の各種カメラ、CD、CD−ROM、CD−R、CD−RW、CD−Video、MO、DVD等の光ピックアップ装置、複写機及びプリンター等のOA機器といった各種機器等に使用される高性能光学用レンズには、これまでポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、シクロポリオレフィン(CO)等の透明熱可塑性樹脂を用いて射出成型されたプラスチックレンズ等がその光学系の一部または全部に使用されてきた。
【0003】
例えば、PMMA(ポリメチルメタクリレート)は光学異方性が小さくよく利用されている樹脂だが、屈折率が1.49と小さく、吸湿性が大きい、湿度変化による膨縮が大きい、耐熱性が比較的低い等という問題点があった。
【0004】
このような欠点を改善することを目的にメチルメタクリレートの側鎖に嵩高く、疎水性の置換基を有するメタクリレートモノマーを共重合する等の方法が数多く報告されているが、長時間レーザ光を照射した条件下で高精度や高安定性を求められるプラスチックレンズに使用するには、耐熱性の問題が残されていた。また、従来公知のPC(ポリカーボネート)は、屈折率が1.59と比較的大きく、吸湿性は比較的小さいという特性を有し、レンズ、光ディスク等に用いられているが、一方で、溶融粘度が高く、成型時に歪が残りやすい、またベンゼン環が分子配向を起こしやすく、成型時に光学異方性が生じやすいという問題点があった。
【0005】
この問題点を解決するために、分子量を小さくして溶融粘度を低下させて成型性を向上させたり、分子配向を軽減させる目的で、側鎖にベンゼン環を有するポリスチレンとのブロック共重合をしたり、側鎖にベンゼン環を有するモノマーを用いる等の方法が開示されている。
【0006】
しかし、成型樹脂の強度低下や相分離のために光学的な不均一性が生じやすかったり、流動性が改善されにくい等から必ずしも満足し得るものではなく、耐熱性が比較的高い樹脂であるが、成型体が複屈折を生じやすいので、高精度が要求されるプラスチックレンズには用いられていないのが現状である。
【0007】
また、骨格全体またはその一部に環状構造を有するシクロポリオレフィンは青色透過性を持つが、PC(ポリカーボネート)と比較して、光学異方性は小さいものの、高性能プラスチックレンズとして用いるには必ずしも満足できるものではなく、その改良が鋭意検討されている。
【特許文献1】特開平5−230148号公報
【特許文献2】特開2002−105131号公報
【特許文献3】特開2002−148401号公報
【特許文献4】特開平7−198901号公報
【特許文献5】特開平8−109249号公報
【特許文献6】特開平9−302077号公報
【特許文献7】特開平8−160222号公報
【特許文献8】特開平5−215902号公報
【特許文献9】特開平6−287230号公報。
【0008】
例えば、低複屈折、高耐熱性、高耐湿性を有するシクロポリオレフィン系重合体(例えば特許文献1参照。)や、シクロポリオレフィン系重合体を水素添加処理することにより、色相改善を目的として開発されたポリマー(例えば特許文献2参照。)、スチレンとブタジエンとのブロック共重合体の芳香環部分を含む不飽和結合を水素化した特定構造の共重合体が透明性、低複屈折性、機械的強度に優れ、大型で薄型のレンズの作製を可能にした樹脂(例えば特許文献3参照。)等、材料の改良がなされてきたが、PMMAよりも耐熱性の高い材料を使用しても、長時間レーザ光を照射すると、物性が損なわれるといった問題が依然未解決のまま残されていた。
【0009】
近年CD−R、DVDやMO等の光を使った高密度高速記録方式が盛んに研究され、実用化されている中で、光学系に求められる基準はさらに厳しくなっている。高速にディスクが回転する場合、光学性能がデータ書込及び読み出し精度に大きく響いてくる。また、高密度を求める場合にも、光学系の集光力とその安定性が記録密度に直接影響する。光学異方性が大きいと、焦点が1点に定まらず、高密度、高速どちらにとっても不利である。
【0010】
一方、VTRやデジタルスチルカメラ(DSC)等は、より高解像度を求めて研究が盛んに行われているが、これらにはCCD配列と撮影シーンの周波数の関係でモアレ縞を生じ、撮像に縞模様が現れる場合がある。この現象を防ぐためにローパスフィルタが用いられるが、これら撮像機器のプラスチックレンズにはPC(ポリカーボネート)を用いる場合が多く、レンズ自体の光学異方性が大きいため1枚のローパスフィルタでは縞模様を解消できず、2枚以上で対応せざるを得ないという問題点がある。
【0011】
ローパスフィルタは水晶を用いるため高価であり、これではコスト高となるという問題点がある。上記問題を解決するため光学異方性が小さく、かつ、屈折率が大きい素材としては、フルオレン骨格を含む樹脂または光学用レンズ(例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8及び特許文献9参照。)が挙げられる。しかしながら、光学性能の要求が厳しく、作製も難しい高密度高速記録用、あるいは撮像用等の高性能光学用レンズに適用した例はない。また、近年、これらの高性能レンズは小型軽量化の流れからどんどん小さくなっている。
【0012】
上記のような高性能光学用レンズを、成型法等を用いて樹脂を加工する場合、前記樹脂の注入部は圧力が集中するので、ひずみが起きやすく、特に小さいレンズを作る場合、面積の割合からそのひずみが光学面に影響を及ぼしやすく、その結果、内部応力が発生し、光学異方性を生じやすいという問題点がある。また、長時間のレーザ照射またはその他の光エネルギ照射条件下での温度が上がれば、レンズ中の白濁発生という問題点が顕著に現れるが、解決手段は提案されていないのが現状である。
【発明の開示】
【0013】
本発明の目的は、長時間のレーザ照射またはその他の光エネルギ照射条件下でも光学特性が劣化しない高耐久性を示す光学用樹脂レンズ及び光学樹脂材料の製造方法を提供することである。
【0014】
本発明の上記課題は、以下の構成により達成される。
【0015】
(1)ハロゲン化チタン及び一般式RnAlX3-n(式中、nは1<n≦2を表し、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子を表す。)で表される有機アルミニウムからなる触媒を用いてオレフィンを重合する工程を有する製造方法により得られる重合体を有すること特徴とする光学用樹脂レンズ。
【0016】
(2)ハロゲン化チタン及び一般式RnAlX3-n(式中、nは1<n≦2を表し、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子を表す。)で表される有機アルミニウムからなる触媒を用いオレフィンを重合してポリオレフィンを得る工程、及び該ポリオレフィンに水素添加する工程、とを有する製造方法により得られる重合体を有することを特徴とする光学用樹脂レンズ。
【0017】
(3)A)(a)ハロゲン化チタン、またはハロゲン化チタンとハロゲン化バナジンとの混合物を還元処理して得られる低原子価共晶体に、(b)下記一般式〔I〕〜〔III〕から選ばれる少なくとも1種の化合物、または該一般式〔I〕〜〔III〕から選ばれる少なくとも1種の化合物と有機アルミニウム化合物とを接触させて得られる化合物の全量を、一度に供給、混合、摩砕して得られる粉末状固体物質と、B)有機アルミニウム化合物との混合物とからなる触媒を用いて、オレフィンを重合する工程を有する製造方法により得られる重合体を有することを特徴とする光学用樹脂レンズ。

【0018】
〔上記一般式〔I〕〜〔III〕において、R1、R2及びR3は各々水素原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、置換されたアミノ基、アミノアルキル基または置換されたアミノアルキル基を表し、R1、R2及びR3は相互に結合して環を形成しても良い。〕
(4)A)(a)ハロゲン化チタン、またはハロゲン化チタンとハロゲン化バナジンとの混合物を還元処理して得られる低原子価共晶体に、(b)下記一般式〔I〕〜〔III〕から選ばれる少なくとも1種の化合物、または該一般式〔I〕〜〔III〕から選ばれる少なくとも1種の化合物と有機アルミニウム化合物とを接触させて得られる化合物の全量を、一度に供給、混合、摩砕して得られる粉末状固体物質と、B)有機アルミニウム化合物との混合物とからなる触媒を用いて、オレフィンを重合しポリオレフィンを得る工程、及び該ポリオレフィンに水素添加する工程、とを有する製造方法により得られる重合体を有することを特徴とする光学用樹脂レンズ。

【0019】
〔上記一般式〔I〕〜〔III〕において、R1、R2及びR3は各々水素原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、置換されたアミノ基、アミノアルキル基または置換されたアミノアルキル基を表し、R1、R2及びR3は相互に結合して環を形成しても良い。〕
(5)(a)有機アルミニウム化合物、(b)マグネシウム化合物とハロゲン化チタンとの反応生成物、(c)ルイス塩基とからなる触媒系で、成分(c)のルイス塩基として2級または3級炭素のアルコールの芳香族カルボン酸エステル〔0≦(c)/(a)<1/3(mol/mol)〕を使用し、オレフィンを重合する工程を有する製造方法により得られる重合体を有することを特徴とする光学用樹脂レンズ。
【0020】
(6)(a)有機アルミニウム化合物、(b)マグネシウム化合物とハロゲン化チタンとの反応生成物、(c)ルイス塩基とからなる触媒系で、成分(c)のルイス塩基として2級または3級炭素のアルコールの芳香族カルボン酸エステル〔0≦(c)/(a)<1/3(mol/mol)〕を使用し、オレフィンを重合しポリオレフィンを得る工程、及び該ポリオレフィンに水素添加する工程、とを有する製造方法により得られる重合体を有することを特徴とする光学用樹脂レンズ。
【0021】
(7)A)(a)一般式R1MgOR2(式中、R1及びR2は脂肪族または芳香族炭化水素基を表し、R1とR2は同一でも異なっていてもよい。)で表される有機マグネシウム化合物、(b)一般式R3(n-m)MXm(式中、Mは周期表3B、4Bまたは5B族元素を表し、R3は脂肪族または芳香族炭化水素基を、Xはハロゲン原子を表す。またnはMの原子価を、mは1以上の整数を表す。)で表されるハロゲン化物、及び(c)ハロゲン化チタン、とを接触反応させて得られるチタン含有固体触媒成分、及び、B)有機アルミニウム化合物を含む触媒系を使用して、オレフィンを重合する工程を有する製造方法により得られた重合体を有することを特徴とする光学用樹脂レンズ。
【0022】
(8)A)(a)一般式R1MgOR2(式中、R1及びR2は脂肪族または芳香族炭化水素基を表し、R1とR2は同一でも異なっていてもよい。)で表される有機マグネシウム化合物、(b)一般式R3(n-m)MXm(式中、Mは周期表3B、4Bまたは5B族元素を表し、R3は脂肪族または芳香族炭化水素基を、Xはハロゲン原子を表す。またnはMの原子価を、mは1以上の整数を表す。)で表されるハロゲン化物、及び(c)ハロゲン化チタンを接触反応させて得られるチタン含有固体触媒成分、及び、B)有機アルミニウム化合物を含む触媒系を使用して、オレフィンを重合してポリオレフィンを得る工程、及び該ポリオレフィンに水素添加する工程、とを有する製造方法により得られる重合体を有することを特徴とする光学用樹脂レンズ。
【0023】
(9)A)(a)少なくとも1種のシラノール又はポリシラノール、(b)少なくとも1種の一般式Mg(OR)n2-n(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、Xはハロゲン原子、nは0<n≦2の数を示す)で表される化合物、(c)少なくとも1種のハロゲン化チタン、及び(d)アミン、カルボン酸アミド、ホスフィン、リン酸エステル、リン酸アミド、ケトン及びカルボン酸エステルから選ばれた1種以上の電子供与化合物を0≦(d)/(b)<0.2(mol/mol)の関係で接触させて得られるチタン含有固体触媒成分、及び、B)有機アルミニウム化合物、とからなる触媒系を使用し、オレフィンを重合する工程を有する製造方法により得られる重合体を有することを特徴とする光学用樹脂レンズ。
【0024】
(10)A)(a)少なくとも1種のシラノール又はポリシラノール、(b)少なくとも1種の一般式Mg(OR)n2-n(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、Xはハロゲン原子、nは0<n≦2の数を示す)で表される化合物、(c)少なくとも1種のハロゲン化チタン、及び(d)アミン、カルボン酸アミド、ホスフィン、リン酸エステル、リン酸アミド、ケトン及びカルボン酸エステルから選ばれた1種以上の電子供与化合物を0≦(d)/(b)<0.2(mol/mol)の関係で接触させて得られるチタン含有固体触媒成分、及び、B)有機アルミニウム化合物、とからなる触媒系を使用し、オレフィンを重合しポリオレフィンをえる工程、及び該ポリオレフィンに水素添加する工程とを有する製造方法により得られる重合体を有することを特徴とする光学用樹脂レンズ。
【0025】
(11)A)(a)少なくとも1種のシラノール化合物、(b)少なくとも1種のグリニヤール化合物、(c)少なくとも1種のハロゲン化チタン及び(d)アミン、酸アミド、ホスフィン、リン酸エステル、リン酸アミド、ケトン及びカルボン酸エステルから選ばれた少なくとも1種の電子供与化合物とを、0≦(d)/(b)<0.1(mol/mol)の条件で接触させて得られるチタン含有固体触媒成分、及び、B)有機アルミニウム化合物、とからなる触媒系とを用いて、オレフィンを重合する工程を有する製造方法により得られる重合体を有することを特徴とする光学用樹脂レンズ。
【0026】
(12)A)(a)少なくとも1種のシラノール化合物、(b)少なくとも1種のグリニヤール化合物、(c)少なくとも1種のハロゲン化チタン及び(d)アミン、酸アミド、ホスフィン、リン酸エステル、リン酸アミド、ケトン及びカルボン酸エステルから選ばれた少なくとも1種の電子供与化合物とを、0≦(d)/(b)<0.1(mol/mol)の条件で接触させて得られるチタン含有固体触媒成分、及び、B)有機アルミニウム化合物、とからなる触媒系とを用いて、オレフィンを重合しポリオレフィンを得る工程、及び、該ポリオレフィンに水素添加する工程、とを有する製造方法により得られる重合体を有することを特徴とする光学用樹脂レンズ。
【0027】
(13)前記オレフィンが環状オレフィンを含有することを特徴とする前記第(1)項〜第(12)項の何れか1項に記載の光学用樹脂レンズ。
【0028】
(14)前記オレフィンが環状オレフィン及び非環状オレフィンを含有することを特徴とする前記第(13)項に記載の光学用樹脂レンズ。
【0029】
(15)前記重合体が可塑剤または酸化防止剤を含有することを特徴とする前記第(1)項〜第(14)項の何れか1項に記載の光学用樹脂レンズ。
【0030】
(16)少なくともブルーレーザを用いるピックアップ装置に用いられることを特徴とする前記第(1)項〜第15項の何れか1項に記載の光学用樹脂レンズ。
【0031】
(17)ハロゲン化チタン及び一般式RnAlX3-n(式中、nは1<n≦2を表し、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子を表す。)で表される有機アルミニウムからなる触媒を用いてオレフィンを重合する工程を有する光学用樹脂材料の製造方法。
【0032】
(18)ハロゲン化チタン及び一般式RnAlX3-n(式中、nは1<n≦2を表し、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子を表す。)で表される有機アルミニウムからなる触媒を用いオレフィンを重合してポリオレフィンを得る工程、及び該ポリオレフィンに水素添加する工程、とを有する光学用樹脂材料の製造方法。
【0033】
(19)A)(a)ハロゲン化チタン、またはハロゲン化チタンとハロゲン化バナジンとの混合物を還元処理して得られる低原子価共晶体に、(b)下記一般式〔I〕〜〔III〕から選ばれる少なくとも1種の化合物、または該一般式〔I〕〜〔III〕から選ばれる少なくとも1種の化合物と有機アルミニウム化合物とを接触させて得られる化合物の全量を、一度に供給、混合、摩砕して得られる粉末状固体物質と、B)有機アルミニウム化合物との混合物とからなる触媒を用いて、オレフィンを重合する工程を有する光学用樹脂材料の製造方法。

【0034】
〔上記一般式〔I〕〜〔III〕において、R1、R2及びR3は各々水素原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、置換されたアミノ基、アミノアルキル基または置換されたアミノアルキル基を表し、R1、R2及びR3は相互に結合して環を形成しても良い。〕
(20)A)(a)ハロゲン化チタン、またはハロゲン化チタンとハロゲン化バナジンとの混合物を還元処理して得られる低原子価共晶体に、(b)下記一般式〔I〕〜〔III〕から選ばれる少なくとも1種の化合物、または該一般式〔I〕〜〔III〕から選ばれる少なくとも1種の化合物と有機アルミニウム化合物とを接触させて得られる化合物の全量を、一度に供給、混合、摩砕して得られる粉末状固体物質と、B)有機アルミニウム化合物との混合物とからなる触媒を用いて、オレフィンを重合しポリオレフィンを得る工程、及び該ポリオレフィンに水素添加する工程、とを有する光学用樹脂材料の製造方法。

【0035】
〔上記一般式〔I〕〜〔III〕において、R1、R2及びR3は各々水素原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、置換されたアミノ基、アミノアルキル基または置換されたアミノアルキル基を表し、R1、R2及びR3は相互に結合して環を形成しても良い。〕
(21)(a)有機アルミニウム化合物、(b)マグネシウム化合物とハロゲン化チタンとの反応生成物、(c)ルイス塩基とからなる触媒系で、成分(c)のルイス塩基として2級または3級炭素のアルコールの芳香族カルボン酸エステル〔0≦(c)/(a)<1/3(mol/mol)〕を使用し、オレフィンを重合する工程を有する光学用樹脂材料の製造方法。
【0036】
(22)(a)有機アルミニウム化合物、(b)マグネシウム化合物とハロゲン化チタンとの反応生成物、(c)ルイス塩基とからなる触媒系で、成分(c)のルイス塩基として2級または3級炭素のアルコールの芳香族カルボン酸エステル〔0≦(c)/(a)<1/3(mol/mol)〕を使用し、オレフィンを重合しポリオレフィンを得る工程、及び該ポリオレフィンに水素添加する工程、とを有する光学用樹脂材料の製造方法。
【0037】
(23)A)(a)一般式R1MgOR2(式中、R1及びR2は脂肪族または芳香族炭化水素基を表し、R1とR2は同一でも異なっていてもよい。)で表される有機マグネシウム化合物、(b)一般式R3(n-m)MXm(式中、Mは周期表3B、4Bまたは5B族元素を表し、R3は脂肪族または芳香族炭化水素基を、Xはハロゲン原子を表す。またnはMの原子価を、mは1以上の整数を表す。)で表されるハロゲン化物、及び(c)ハロゲン化チタン、とを接触反応させて得られるチタン含有固体触媒成分、及び、B)有機アルミニウム化合物を含む触媒系を使用して、オレフィンを重合する工程を有する光学用樹脂材料の製造方法。
【0038】
(24)A)(a)一般式R1MgOR2(式中、R1及びR2は脂肪族または芳香族炭化水素基を表し、R1とR2は同一でも異なっていてもよい。)で表される有機マグネシウム化合物、(b)一般式R3(n-m)MXm(式中、Mは周期表3B、4Bまたは5B族元素を表し、R3は脂肪族または芳香族炭化水素基を、Xはハロゲン原子を表す。またnはMの原子価を、mは1以上の整数を表す。)で表されるハロゲン化物、及び(c)ハロゲン化チタンを接触反応させて得られるチタン含有固体触媒成分、及び、B)有機アルミニウム化合物を含む触媒系を使用して、オレフィンを重合してポリオレフィンを得る工程、及び該ポリオレフィンに水素添加する工程、とを有する光学用樹脂材料の製造方法。
【0039】
(25)A)(a)少なくとも1種のシラノール又はポリシラノール、(b)少なくとも1種の一般式Mg(OR)n2-n(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、Xはハロゲン原子、nは0<n≦2の数を示す)で表される化合物、(c)少なくとも1種のハロゲン化チタン、及び(d)アミン、カルボン酸アミド、ホスフィン、リン酸エステル、リン酸アミド、ケトン及びカルボン酸エステルから選ばれた1種以上の電子供与化合物を0≦(d)/(b)<0.2(mol/mol)の関係で接触させて得られるチタン含有固体触媒成分、及び、B)有機アルミニウム化合物、とからなる触媒系を使用し、オレフィンを重合する工程を有する光学用樹脂材料の製造方法。
【0040】
(26)A)(a)少なくとも1種のシラノール又はポリシラノール、(b)少なくとも1種の一般式Mg(OR)n2-n(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、Xはハロゲン原子、nは0<n≦2の数を示す)で表される化合物、(c)少なくとも1種のハロゲン化チタン、及び(d)アミン、カルボン酸アミド、ホスフィン、リン酸エステル、リン酸アミド、ケトン及びカルボン酸エステルから選ばれた1種以上の電子供与化合物を0≦(d)/(b)<0.2(mol/mol)の関係で接触させて得られるチタン含有固体触媒成分、及び、B)有機アルミニウム化合物、とからなる触媒系を使用し、オレフィンを重合しポリオレフィンをえる工程、及び該ポリオレフィンに水素添加する工程とを有する光学用樹脂材料の製造方法。
【0041】
(27)A)(a)少なくとも1種のシラノール化合物、(b)少なくとも1種のグリニヤール化合物、(c)少なくとも1種のハロゲン化チタン及び(d)アミン、酸アミド、ホスフィン、リン酸エステル、リン酸アミド、ケトン及びカルボン酸エステルから選ばれた少なくとも1種の電子供与化合物とを、0≦(d)/(b)<0.1(mol/mol)の条件で接触させて得られるチタン含有固体触媒成分、及び、B)有機アルミニウム化合物、とからなる触媒系とを用いて、オレフィンを重合する工程を有する光学用樹脂材料の製造方法。
【0042】
(28)A)(a)少なくとも1種のシラノール化合物、(b)少なくとも1種のグリニヤール化合物、(c)少なくとも1種のハロゲン化チタン及び(d)アミン、酸アミド、ホスフィン、リン酸エステル、リン酸アミド、ケトン及びカルボン酸エステルから選ばれた少なくとも1種の電子供与化合物とを、0≦(d)/(b)<0.1(mol/mol)の条件で接触させて得られるチタン含有固体触媒成分、及び、B)有機アルミニウム化合物、とからなる触媒系とを用いて、オレフィンを重合しポリオレフィンを得る工程、及び、該ポリオレフィンに水素添加する工程、とを有する光学用樹脂材料の製造方法。
【0043】
(29)前記オレフィンが環状オレフィンを含有することを特徴とする前記第(17)項〜第(28)項の何れか1項に記載の光学用樹脂材料の製造方法。
【0044】
(30)前記オレフィンが環状オレフィン及び非環状オレフィンを含有することを特徴とする前記第(28)項に記載の光学用樹脂材料の製造方法。
【0045】
(31)前記重合体に可塑剤または酸化防止剤を添加する工程を有することを特徴とする前記第(17)項〜第(30)項の何れか1項に記載の光学用樹脂材料の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は本発明の光学用樹脂レンズが対物レンズとして用いられている光ディスク用のピックアップ装置の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
本発明者は鋭意研究の結果、上述の製造方法により得られた重合体を用いることにより、長時間のレーザ照射またはその他の光エネルギ照射条件下でも光学特性が劣化しない高耐久性を示す光学用樹脂材料が得られることを見出し、更に前記光学用樹脂材料を用いることにより項耐久性を示す光学用樹脂レンズが得られることを見出した。
【0048】
また、本発明の効果をより発現するには、前記オレフィンが環状オレフィンを含有すること、前記オレフィンが環状オレフィン及び非環状オレフィンを含有すること、前記重合体が可塑剤または酸化防止剤を含有することが好ましい。
【0049】
以下本発明を詳細に説明する。
【0050】
ポリオレフィン類の重合は1953年にKarl Zieglerがリチウムやアルミニウム等の有機アルカリ金属を用い、10気圧程度の穏和な条件下においてエチレンを重合させることができるZiegler触媒を発見し、1954年にNattaがTiCl4を還元して結晶性のTiCl3とした後、アルキルアルミニウムと組み合せ結晶性のポリプロピレンの重合に成功してから精力的に研究が行われてきた。
【0051】
エチレンの重合は当初TiCl4をそのまま用いていたため、重合容器壁面へのポリマー付着やポリマー粒子の性状不良といった生産性悪化をもたらすという問題を抱えていた。その後の改良でTiCl4を還元して得られる不溶性のTiCl3を用いることで工業化に至ったが、重合活性が低くポリマー中に多量に残留する触媒成分を除去するための煩雑な脱灰工程を必要とした。またポリプロピレンでは立体規則性が不十分であったため、アタクチックポリマーを除去する工程も必要になる等、製造プロセスも煩雑でエネルギー多消費であった。1973年のオイルショックを境に電力、用役等の大幅高騰は製造プロセスの徹底的な簡素化や収率、選択性の大幅改良を必要不可欠とした。この命題解決に向けたアプローチとして1968年に三井石油化学はエチレンに極めて高い活性を示すMgCl2担持型Ti触媒を見出した。その後種々の高重合活性担体付オレフィン重合用触媒が種々提案されている。例えば、特開昭48−92489号には、ジフェニルシランジオールとグリニヤール化合物との反応生成物に、チタンまたはバナジウムのハロゲン化合物を反応させて得られる固体触媒をエチレンの重合に使用することが提案されている。また、特開昭46−34098号及び同47−42137号においてはマグネシウムのアルコレートとハロゲン化チタンとの反応生成物を、また特開昭45−9548号においてはマグネシウムの酸化化合物とハロゲン化チタンとの反応生成物をオレフィンの重合に使用することが提案されている。1975年には三井石油化学、Montedison社はMgCl2担持型Ti触媒に電子供与体を導入した触媒が、重合活性と立体規則性のいずれも高めることを見出し、プロピレンの立体規則性重合についても高活性化をもたらした。
【0052】
光学用樹脂レンズに用いられているシクロオレフィンの重合は、MoまたはWを触媒としたシクロブテン、シクロペンテンの開環メタセシス重合が1964年にNatta等により見出されて以来、1992年にGrubbs等により発表されたRuのビニルカルベン錯体等種々の高活性触媒が開発され、また高立体選択性の開発が行なわれてきた。しかし現在開環メタセシス重合を用いたポリマーが光学材料として利用されているが、本発明の目的である長時間のブルーレーザ照射またはその他の高光エネルギー照射条件下では、光学特性の劣化を示し、高耐久性を示す光学用樹脂レンズが得られていないのが現状である。
【0053】
そこで、本発明者等はそのような欠点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の触媒を使用して得られた重合体を用い、光学特性の耐久性が高い光学用樹脂レンズが得られるという知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0054】
本発明で使用することのできる触媒の1つは、ハロゲン化チタン及び一般式RnAlX3-n(式中、nは1<n≦2を表し、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子を表す。)で表される有機アルミニウムからなる。
【0055】
上述の触媒の各成分について説明する。
【0056】
(ハロゲン化チタン)
本発明に用いられるハロゲン化チタンとしては、一般式TiXn(式中、XはCl、Br、Iを、nは2〜4を表す。)で表される化合物が挙げられる。具体例としては四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン、三塩化チタン、二塩化チタン、またオキシ二塩化チタンのようなオキシジハロゲノチタン等が挙げられる。この中で、特に四塩化チタン、三塩化チタンが好ましい。三塩化チタンとしては例えば四塩化チタンを水素、アルミニウム等で還元したもの、まはた四塩化チタンを有機アルミニウムで還元して得られたものを用いることができる。また三塩化チタンと他の金属ハライドの固溶体または共晶体の型でも用いることができる。
【0057】
(有機アルミニウム化合物)
本発明の第2成分として使用される有機アルミニウム化合物は、一般式RnAlX3-n(式中、nは1、2を表し、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子を表す。)で表される。Rは炭化水素基を表し、炭素数が1〜18の直鎖または分岐アルキル基、脂環式炭化水素基または芳香族炭化水素基を含むものであってもよい。またXはCl、Br、Iで表されるハロゲンである。
【0058】
具体例としては、ジメチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミド、ジメチルアルミニウムアイオダイド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジエチルアルミニウムアイオダイド、ジ−n−プロピルアルミニウムクロリド、ジ−i−プロピルアルミニウムクロリド、ジ−n−ブチルアルミニウムクロリド、ジシクロヘキシルアルミニウムクロリド、ジフェニルアルミニウムクロリド等、また上記有機アルミニウムとメチルアルミニウムジクロリド、メチルアルミニウムジブロミド、メチルアルミニウムジアイオダイド、エチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミド、エチルアルミニウムジアイオダイド、n−プロピルアルミニウムジクロリド、n−プロピルアルミニウムジブロミド、n−プロピルアルミニウムジアイオダイド、シクロヘキシルアルミニウムジクロリド、シクロヘキシルアルミニウムジブロミド、シクロヘキシルアルミニウムジアイオダイド、メチルアルミニウムセスキクロリド、メチルアルミニウムセスキブロミド、メチルアルミニウムセスキアイオダイド、エチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド、エチルアルミニウムセスキアイオダイド等との混合物の形でも用いることができる。なお上記有機アルミニウム化合物は上記化合物に限定されるものではない。
【0059】
本発明で用いられる触媒成分のハロゲン化チタンと有機アルミニウムのモル比は10:1〜1:50の範囲から選ばれることが好ましく、2:1〜1:10の範囲が更に好ましい。
【0060】
本発明で使用することができる別の触媒は、A)(a)ハロゲン化チタン、またはハロゲン化チタンとハロゲン化バナジンとの混合物を還元処理して得られる低原子価共晶体に、(b)前記一般式〔I〕〜〔III〕から選ばれる少なくとも1種の化合物、または該一般式〔I〕〜〔III〕から選ばれる少なくとも1種の化合物と有機アルミニウム化合物とを接触させて得られる化合物とB)有機アルミニウム化合物との混合物とからなる。
【0061】
この触媒系に使用される各成分について、更に詳細に説明する。
【0062】
本発明で使用されるハロゲン化チタンとしては、例えば、四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン、三塩化チタン、二塩化チタン、またオキシ二塩化チタンのようなオキシジハロゲノチタン等が挙げられる。特に好ましいのは四塩化チタンである。
【0063】
本発明で使用されるハロゲン化バナジンとしては、例えば、四塩化バナジウム、四臭化バナジウムのような四ハロゲン化バナジウム、オキシ三塩化バナジウム、オキシ二塩化バナジウムのようなオキシハロゲン化物等が挙げられる。特に好ましいのは四塩化バナジウムである。重合する場合の組み合せとしては、四ハロゲン化チタンと四ハロゲン化バナジウムが好ましい。
【0064】
上記遷移金属(チタン、バナジウム)のハロゲン化物の混合割合は、ハロゲン化バナジウムがハロゲン化チタンの10モル%以下であることが好ましい。
【0065】
還元処理は、還元剤として金属アルミニウム、あるいは下記一般式〔IV〕で表される有機アルミニウム化合物等を使用して実施される。
【0066】
一般式〔IV〕
AlRn3-n
上記一般式〔IV〕において、Rは炭素数1〜14の炭化水素基を表し、Xはハロゲン元素を示す。またnは1〜3の整数を表す。
【0067】
有機アルミニウム化合物としては、例えば、上記一般式〔IV〕における炭化水素基がメチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、デシル、ドデシル等のアルキル基、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル等のアリル基、ベンジルのようなアラルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシル等のシクロアルキル基等であり、ハロゲン原子が塩素、臭素又はヨウ素であるような化合物であり、例えば、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノハライド、ジブチルアルミニウムモノハライド、エチルアルミニウムセスキハライド、あるいはこれらと類似のアルキルアルミニウムセスキハライド、あるいはこれらと類似のアルキルアルミニウム化合物を挙げることができる。
【0068】
これら金属アルミニウム、あるいは有機アルミニウム化合物の使用量は、前記遷移金属のハロゲン化物に対し、モル比で0.01〜10の範囲内が好ましく、特に好ましくは0.1〜1の範囲である。
【0069】
還元処理は、不活性ガス及び不活性溶媒の存在下に、チタン及び/またはバナジウムが最高原子価よりも低原子価の状態になるように行なわれ、その処理温度は高温であると重合活性の低下を招く恐れがあるため、低温が好ましく、一般的に100℃以下、特に0℃以下が好ましい。
【0070】
還元処理を行った後、未反応原料、溶媒を濾過、遠心分離、洗浄等の方法を適宜選択して実質的に完全に除去することが好ましい。
【0071】
上記のようにして調製された低原子価共晶体は、次いで、後述の混合及び摩砕処理に供されるが、混合及び摩砕処理を行なうに先立ち、あらかじめ加熱処理を施してもよい。加熱処理は、通常、不活性ガス雰囲気下で、180〜230℃の温度で1時間以上実施される。また、混合及び摩砕処理前に、あらかじめ上記低原子価共晶体を活性化摩砕しておいても良い。活性化摩砕処理の条件は、特に限定されるものではなく、従来α、β又はγ型三塩化チタンを加熱及び摩砕によりδ型の三塩化チタンに転位させる際に一般に採用されていた通常の活性化摩砕処理条件であれば良く、例えば、特公昭46−26921号及び特公昭46−26922号に記載さている活性化摩砕の条件を挙げることができる。
【0072】
本発明において、上述の低原子化共晶体として、市販品を使用することができ、例えば、「AA型三塩化チタン」として市販されている三塩化チタンは、本発明において定義された低原子価共晶体に含まれ、本発明において使用することができる。
【0073】
本発明においては、上記のようにして得られた低原子化共晶体(以下、これを(a)成分という)に、前記一般式〔I〕〜〔III〕から選ばれる少なくとも1種の化合物、または前記一般式〔I〕〜〔III〕から選ばれる少なくとも1種の化合物と有機アルミニウム化合物とを接触させて得られる物質(以下、これを(b)成分という)を一度に供給しながら混合、摩砕することによって得られる粉末状固体物質を触媒の第1成分(以下、これを(A)成分という)として使用することを骨子とする。
【0074】
前記一般式〔I〕〜〔III〕で表される化合物は、一般に有機ルイス塩基化合物として知られている。
【0075】
前記一般式〔I〕で表される化合物の具体的化合物としては、例えば、1級アミン、2級アミン、3級アミン、エチレンジアミン、ピペラジンのようなジアミン類、ピリジン、ピペラジンの如き環状アミン、キノリンの如き複素環芳香族化合物及びその誘導体を挙げることができる。
【0076】
また、前記一般式〔II〕で表される化合物の具体的化合物としては、例えば、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン及びそれらアルキル基またはアリール基の一部または全部がアミノ基又はアルコキシ基で置換された化合物等が挙げられる。
【0077】
また、前記一般式〔III〕で表される化合物の具体的化合物としては、例えば、トリアルキルホスフィンオキサイド、トリアリールホスフィンオキサイド及びそれらアルキル基またはアリール基の一部または全部がアミノ基又はアルコキシ基で置換された化合物等が挙げられる。
【0078】
また、これら有機ルイス塩基化合物と有機アルミニウム化合物とを接触させて得られる物質も使用できる。この際、使用される有機アルミニウム化合物としては、前記一般式〔IV〕で表される有機アルミニウム化合物が使用できるが、ジアルキルアルミニウムモノハライド、例えば、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリドなどが良好な結果を与える。
【0079】
接触時における有機ルイス塩基化合物と有機アルミニウム化合物との使用量は、モル比で前者:後者が0.5:1〜5:1までの範囲が好ましい。これら両化合物の接触は、不活性溶媒の存在下、または不存在下に単に混合することによって行なわれ、その際、温度、処理時間などに特に制限はないが、通常0〜100℃、好ましくは室温付近であり、接触時間は、通常1分〜1日程度であるが、10〜60分が好ましい。得られた生成物は、混合液をそのまま、あるいは必要に応じて分離、精製して使用する。
【0080】
本発明において、これらの有機ルイス塩基化合物、または有機ルイス塩基化合物と有機アルミニウム化合物とを接触させて得られる物質から選ばれた少なくとも1種を(b)成分として使用するものであり、その使用量は、(a)成分である前記遷移金属化合物に対して、モル比(b/a)で0.01〜1の範囲内から選択されることが好ましく、特に好ましくは0.05〜0.5の範囲である。
【0081】
(b)成分を(a)成分に添加する方法としては、所定摩砕時間にわたり全量を均等な速度で供給する方法、或いは均等分割して或いは0.3〜3倍の範囲で均等分割部分の量を変化させて供給する方法が挙げられる。
【0082】
両成分の混合、摩砕処理は、通常ボールミル或いは振動ミル等を使用して行なわれる。混合摩砕時間は、数時間〜数百時間であることが好ましく、更に好ましくは5〜50時間である。
【0083】
混合、摩砕温度は、通常−50〜100℃の範囲であれば良いが、−10〜50℃の範囲が好ましい。摩砕する間、摩砕温度を変化させることもでき、具体的には、例えば、摩砕時間の前半を比較的高温で、後半を比較的低温で行なうことが好ましい。
【0084】
混合摩砕は、通常アルゴン、窒素、メタン等の不活性ガス雰囲気中で行なわれる。他の不活性ガス、例えば、水蒸気、酸素、水素、アンモニア、ホスフィン、塩素、不飽和炭化水素或いは乾燥した不活性な無機物、例えばアルミナ、シリカ、食塩、塩化マグネシウム等を混合させることもでき、また常温で液体の飽和炭化水素を共存させることもできる。また、混合摩砕は、低原子化共晶体の活性摩砕と同時に行なっても良い。
【0085】
上記のようにして調製された粉末状固体物質は、そのまま後記の環状オレフィン共重合体の重合反応における触媒第1成分((A)成分)として供することができるが、混合摩砕前または混合摩砕時に加熱処理及び/又は活性化摩砕処理を行なっていない場合には、加熱処理及び/又は活性化摩砕処理を行なった後、触媒第1成分として使用することが好ましい。
【0086】
一方、本発明における触媒第2成分としては、下記一般式〔V〕または〔VI〕で表される有機アルミニウム化合物との混合物が使用される。

【0087】
上記一般式〔V〕において、Rは炭素数1〜12の炭化水素を表す。

【0088】
上記一般式〔VI〕において、Rは炭素数1〜12の炭化水素を表し、Xはハロゲン原子を表す。
【0089】
上記一般式〔V〕及び〔VI〕において、炭化水素基Rとしては、通常、炭素数1〜12のアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基、シクロアルキル基が使用される。また、Xのハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素が全く同時に使用される。具体的に例を挙げれば、トリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、又はこれらトリアルキルアルミニウムと、ジメチルアルミニウムモノクロリド、ジメチルアルミニウムモノブロミド、ジメチルアルミニウムモノアイオダイド、ジエチルアルミニウムモノクロリド、ジエチルアルミニウムモノブロミド、ジエチルアルミニウムモノアイオダイド、ジプロピルアルミニウムモノクロリド、ジプロピルアルミニウムモノブロミド等のジアルキルアルミニウムモノハライドとの混合物が挙げられる。
【0090】
本発明においては、上述した触媒第1成分((A)成分)と触媒第2成分((B)成分)とから本質的になる触媒系を使用して、オレフィン重合を行なうものであるが、上記2成分以外に、重合反応において第3成分(以下、これを(C)成分という)を用いても良い。このような第3成分((C)成分)としては、(A)成分を調製する際に原料(b)成分として挙げられたもの、すなわち前記〔I〕〜〔III〕で表される有機ルイス塩基化合物、前記一般式〔I〕〜〔III〕から選ばれる少なくとも1種の化合物と有機アルミニウム化合物とを接触させて得られる物質が特に好ましい。
【0091】
本発明において、第3成分として(b)成分として挙げられたものを2種以上混合して使用することもできる。
【0092】
本発明に係る触媒は、(A)成分と(B)成分及び所望により(C)成分を単に混合することによって調製され、(C)成分を用いる場合においてもその混合順序及び方法にも何ら特別制約はなく、3成分のうち2成分をまず混合した後、他の1成分を混合しても良い。なお(b)成分の1種以上を重合系中に逐次段階的に添加して使用することもできる。各成分の使用割合は任意で良いが、好ましくは(A)成分:(B)成分のモル比で1:0.1〜50特に好ましくは1:2〜20の範囲である。(C)成分を使用する場合には、好ましくは(A)成分:(C)成分のモル比1:0.01〜5特に好ましくは1:0.1〜2の範囲である。
【0093】
これらの方法において、上述の各成分は、純粋なものでもよく、また適宜希釈剤で希釈して用いても良い。希釈剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ドデカン、流動パラフィン等の飽和脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテルなどが挙げられる。
【0094】
本発明で用いられる別の触媒としては、(a)有機アルミニウム化合物、(b)マグネシウム化合物とハロゲン化チタンとの反応生成物、(c)ルイス塩基とからなる触媒系で、成分(c)のルイス塩基として2級または3級炭素のアルコールの芳香族カルボン酸エステルを、0≦(c)/(a)<1/3(mol/mol)の割合で有する触媒系である。
【0095】
成分(a)として用いられる有機アルミニウム化合物は、一般式RaAlX3-a(式中、Rは炭化水素基、Xは水素、ハロゲン原子又はアルコキシ基を示す。またaは0<n≦3を示す)で表される有機アルミニウム化合物が好ましく、具体例としては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジ−n−ヘキシルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジ−n−ヘキシルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、ジイソプロピルアルミニウムエトキサイド、ジイソブチルアルミニウムエトキサイド、ジ−n−ヘキシルアルミニウムエトキサイド、及びこれらの混合物を示すことができる。
【0096】
マグネシウム化合物とハロゲン化チタンの反応生成物からなる触媒成分(b)としては、各種方法で合成されたものを用いることができる。
【0097】
(1)無水ハロゲン化マグネシウムとルイス塩基とを共粉砕し、次いでハロゲン化チタンと反応させる
(2)無水ハロゲン化マグネシウムとハロゲン化チタンのルイス塩基との1:1付加錯体とを共粉砕する
(3)ハロゲン化マグネシウムの含水塩を焼成し、次いでハロゲン化チタンと反応させる
(4)グリニヤール試薬とアルコールの反応生成物とハロゲン化チタンを反応させる
(5)グリニヤール試薬とハロゲン化ケイ素化合物との反応生成物をエステルで処理し、ハロゲン化チタンと反応させる
(6)不活性溶媒中でハロゲン化炭化水素化合物とマグネシウムとを反応させて得られる沈殿生成物をルイス塩基で処理し、次にハロゲン化チタンと反応させる
(7)不活性溶媒中、少量エーテル類の存在下、ハロゲン化炭化水素とマグネシウムとを反応させて得られる沈殿性生物をアルコールとルイス塩基との混合物とで処理し、次いでハロゲン化チタンと反応させる。
【0098】
ここで用いられるマグネシウム化合物の組成はどんな組成でも構わないが、MgX2、MgRl2-l、又はMgYl2-l・αD(式中、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子、Yはアルコキシ基、Dはルイス塩基、αは0.01≦l≦2を示す)で示される組成の化合物が好ましい化合物である。
【0099】
ハロゲン化チタンとしては、例えば、四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン、三塩化チタン、二塩化チタン、またオキシ二塩化チタンのようなオキシジハロゲノチタン等が挙げられる。特に好ましいのは四塩化チタンである。
【0100】
触媒成分(c)として用いるアルコールの芳香族カルボン酸エステルは、下記に示す構造である。

【0101】
式中、R1はアルキル基、Zは水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はアミノ基を示す。具体的化合物としては、安息香酸イソプロピル、安息香酸−sec−ブチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸−tert−ブチル、p−アニス酸イソプロピル、p−アニス酸−sec−ブチル、p−アニス酸シクロヘキシル、p−アニス酸−tert−ブチル、o−アニス酸イソプロピル、o−アニス酸−sec−ブチル、o−アニス酸シクロヘキシル、o−アニス酸−tert−ブチル、p−トルイル酸イソプロピル、p−トルイル酸−sec−ブチル、p−トルイル酸シクロヘキシル、p−トルイル酸−tert−ブチル、N,N−ジメチル−p−アミノ安息香酸イソプロピル、N,N−ジメチル−p−アミノ安息香酸−sec−ブチル、N,N−ジメチル−p−アミノ安息香酸シクロヘキシル、N,N−ジメチル−p−アミノ安息香酸−tert−ブチル等を示すことができる。これら2級または3級炭素のアルコールのエステルは、1級炭素のアルコールのエステルに比較して、触媒活性を非常に高いレベルに維持することができる。
【0102】
これら触媒成分(a)〜(c)の用い方としては、
(1)成分(a)の有機アルミニウムと成分(c)のカルボン酸エステルとを予め混合した後、成分(b)の単体付触媒とを接触させる
(2)3成分(a)、(b)、(c)を同時に接触させる
(3)成分(a)と成分(b)を混合し、続いて成分(c)を添加する。
【0103】
等種々の方法がある。触媒成分(c)は、成分(a)の有機アルミニウム化合物のモル数の1/3未満、好ましくは1/10以下の範囲で使用される。また成分(a)の有機アルミニウム化合物は、溶媒を使用する場合には0.5〜100mmol/Lの濃度で使用される。
【0104】
本発明に係る触媒系を使用するオレフィンの重合反応は、チーグラー型触媒によるオレフィン重合反応と同様にして行なわれる。即ち、反応は全て実質的に酸素、水などを除去した状況で、気相もしくは適当な不活性溶媒中又は液化モノマー中での懸濁或いは溶液状態で行なわれる。溶媒又は分散剤としては、炭素数3〜20程度の不活性炭化水素を用いることができ、例えば、プロパン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエンなどを挙げることができる。
【0105】
本発明で用いることができる別の触媒としては、A)(a)一般式R1MgOR2(式中、R1及びR2は脂肪族または芳香族炭化水素基を表し、R1とR2は同一でも異なっていてもよい。)で表される有機マグネシウム化合物、(b)一般式R3(n-m)MXm(式中、Mは周期表3B、4Bまたは5B族元素を表し、R3は脂肪族または芳香族炭化水素基を、Xはハロゲン原子を表す。またnはMの原子価を、mは1以上の整数を表す。)で表されるハロゲン化物、及び(c)ハロゲン化チタン、とを接触反応させて得られるチタン含有固体触媒成分、及び、B)有機アルミニウム化合物を含む触媒系である。
【0106】
本発明で使用するチタン含有触媒成分は、少なくとも、(a)一般式R1MgOR2(式中、R1及びR2は脂肪族または芳香族炭化水素基を表し、R1とR2は同一でも異なっていてもよい。)で表される有機マグネシウム化合物、(b)一般式R3(n-m)MXm(式中、Mは周期表3B、4Bまたは5B族元素を表し、R3は脂肪族または芳香族炭化水素基を、Xはハロゲン原子を表す。またnはMの原子価を、mは1以上の整数を表す。)で表されるハロゲン化物、及び(c)チタン塩化物を接触することにより得られる。
【0107】
本発明で使用されるこれらの各成分について説明する。
【0108】
(a)有機マグネシウム化合物
本発明の触媒の成分に用いられる有機マグネシウム化合物は、一般式R1MgOR2(式中、R1及びR2は脂肪族または芳香族炭化水素基を表し、R1とR2は同一でも異なっていてもよい。)で表され、脂肪族または芳香族炭化水素溶媒に可溶な化合物が好ましい。該有機マグネシウム化合物はMethoden Der Organischen Chemie,Band XIII/2a,192〜196頁、1973年(Houben−Weyl)に記されているように、いくつかの方法によって製造することができる。該有機マグネシウム化合物の合成法の一例を挙げれば、次式に示すようにメチルシクロヘキサン溶媒中、金属マグネシウムとアルコール及びハロゲン化炭化水素とを接触させることによりほぼ定量的に得ることができる。
【0109】
2Mg+(CH32CHOH+2CH3(CH23Cl→CH3(CH2)MgOCH(CH32具体的にはR1及びR2としては炭素1〜20のアルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル基が挙げられる。特にエチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、デシル、ドデシル等のアルキル基、フェニル等のアリール基、ベンジル等のアラルキル基が好ましく、R1及びR2は同一であっても異なっていてもよい。
【0110】
(b)ハロゲン化物
本発明の触媒の成分に用いられるハロゲン化物は、一般式R3(n-m)MXm(式中、Mは周期表3B、4Bまたは5B族元素を表し、R3は脂肪族または芳香族炭化水素基を、Xはハロゲン原子を表す。またnはMの原子価を、mは1以上の整数を表す。)で表される。周期表3B、4Bまたは5B族元素はIUPACの無機化学命名法委員会1965年の規約に従う。Mとしてはホウ素、アルミニウム、炭素、ケイ素、スズ、リン等、R3としてはR1、R2で例示したものが挙げられる。具体例として、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三ヨウ化ホウ素等のハロゲン化ホウ素化合物、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等のハロゲン化アルミニウム化合物、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼン、塩化ベンジル、臭化ベンジル等のハロゲン化炭化水素、四塩化ケイ素、トリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン等のハロゲン化ケイ素化合物、四塩化スズ、四臭化スズ、四ヨウ化スズ、トリメチルクロロスタナン、ジメチルジクロロスタナン、メチルトリクロロスタナン、トリブチルクロロスタナン、フェニルトリクロロスタナン等のハロゲン化スズ化合物、及び窒素、リン等の塩化物、臭化物が挙げられる。特に塩化アルミニウム、エチルアルミニウムジクロリド等塩化アルミニウム化合物及び四塩化ケイ素、フェニルトリクロロシラン、フェニルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン等の塩素化ケイ素化合物が好ましい。なお、これらのハロゲン化物のうち2種以上を適宜組み合せて固体触媒成分の調製を行なうこともできる。
【0111】
また添加量は有機マグネシウム化合物のモル数の3倍モル以下が好ましく、更に好ましくは等モル以下である。
【0112】
(c)ハロゲン化チタン
本発明の触媒の成分に用いられるハロゲン化チタンとしては、例えば四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン、三塩化チタン、二塩化チタン、またオキシ二塩化チタンのようなオキシジハロゲノチタン等が挙げられる。特に好ましいのは四塩化チタンである。
【0113】
本発明において、上述した(a)、(b)及び(c)の3成分を適宜の順序に接触させて、チタン含有固体触媒成分を得る。例えば、(a)有機マグネシウム化合物と(b)ハロゲン化物とを接触反応させ、次いで(c)ハロゲン化チタンで処理する方法等、種々の方法によって得ることができる。
【0114】
これらの方法において、有機マグネシウム化合物、ハロゲン化物及びハロゲン化チタンは、純粋なものでもまた適宜希釈剤で希釈して用いてもよい。希釈剤としては、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ドデカン、流動パラフィン等の飽和脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル等が挙げられる。
【0115】
更に具体的に、チタン含有固体触媒の接触法について説明する。
【0116】
室温〜100℃付近で有機マグネシウム化合物及びハロゲン化物を接触し、次いで50〜200℃、好ましくは80〜150℃で数時間反応させる。次いでこの生成物をそのまま、あるいは減圧乾燥等により乾燥して粉末状態としたものに、ハロゲン化チタンを添加し、60〜160℃、好ましくは80〜150℃にて0.1時間以上、好ましくは0.5〜2時間接触反応する。次いで炭化水素溶媒を用いて十分に洗浄する。炭化水素溶媒としては、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ドデカン、流動パラフィン等の飽和脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素等が使用できる。
【0117】
これらの方法で使用される各成分量は、次の範囲から選ばれる。有機マグネシウム化合物1モル当り、ハロゲン化物0.1〜20モル、好ましくは0.5〜5モル、ハロゲン化チタン0.1〜50モル、好ましくは1〜30モル。
【0118】
かくして有機マグネシウム化合物、ハロゲン化物、ハロゲン化チタンを接触反応することによって、チタン含量0.1〜20質量%好ましくは0.1〜10質量%の淡褐色または淡黄褐色の固体を得ることができ、これを前記炭化水素溶媒で洗浄してオレフィンの重合に使用する。
【0119】
オレフィンの重合は、前記チタン含有固体触媒成分と有機アルミニウム化合物とを組み合せた触媒系を使用して行なう。有機アルミニウム化合物としては、例えば一般式AlR4kX13-k(式中R4は炭素数1〜8のアルキル基を表し、R4が2個以上である時は、それぞれ異なっていてもよい。kは1〜3の数、X1はハロゲン原子を示す)で表されるものが使用される。特に、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等トリアルキルアルミニウムが好ましい。有機アルミニウム化合物の使用量は、Ti 1グラム原子あたり1〜20モルの範囲から選ばれる。
【0120】
本発明で用いることができる更に別の触媒としては、A)(a)少なくとも1種のシラノール又はポリシラノール、(b)少なくとも1種の一般式Mg(OR)n2-n(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、Xはハロゲン原子、nは0<n≦2の数を示す)で表される化合物、(c)少なくとも1種のハロゲン化チタン、及び(d)アミン、カルボン酸アミド、ホスフィン、リン酸エステル、リン酸アミド、ケトン及びカルボン酸エステルから選ばれた1種以上の電子供与化合物を0≦(d)/(b)<0.2(mol/mol)の関係で接触させて得られるチタン含有固体触媒成分、及び、B)有機アルミニウム化合物、とからなる触媒系である。
【0121】
本発明で使用するチタン含有触媒成分は、(a)シラノール又はポリシラノール、(b)一般式Mg(OR)n2-n(式中、R、X、nは前記と同義)で表されるマグネシウム化合物、(c)ハロゲン化チタン、及び(d)電子供与性化合物を0≦(d)/(b)<0.2(mol/mol)の関係で接触することにより得られる。
【0122】
本発明で使用されるこれらの各成分について説明する。
【0123】
(a)シラノール又はポリシラノール
シラノールは、一般式R’mSi(OH)4-m(式中、R’は炭化水素基を表し、mは1〜3の整数を表す)を表す。
【0124】
シラノールは、例えば、次式に示すように対応するハロゲン化合物を加水分解することによって容易に合成することができる。
【0125】
65SiCl+H2O→C65SiOH+HCl
具体的にはR’としては、炭素数20までのアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、アラルキル、アルカリール及びシクロアラルキル基等が挙げられる。特に、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル等のアルキル基、フェニル等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基が好ましい、またmは1、2又は3を取り得る。しかし、一般にmが3のもの、及びmが2でR’がアリール基であるものが好ましい。
【0126】
一方、ポリシラノールも、対応する有機ハロシランを適当な条件下に加水分解することによって容易に得ることができる。例えば、一般式R’SiX3又はR’2SiX2(式中、R’は炭化水素基を表し、Xはハロゲン原子を表す)で示される有機トリハロシラン及び/又は有機ジハロシランの1種又は2種以上を、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンのような不活性炭化水素溶媒中、−50〜100℃、好ましくは−50〜20℃付近の温度で有機ハロシラン中のハロゲンに対し当量以上の水又はアルカリ水溶液と反応させ、次いで得られた溶液を洗液が中性になるまで水洗し、乾燥することによりポリシラノールの溶液を得ることができる。この際ポリシラノールの重合度は加水分解温度、アルカリ濃度により制御することができる。この溶液から溶媒を留去してポリシラノールを単離して用いてもよいが、溶液をそのまま用いてもよい。
【0127】
またポリシラノールは一般式R’2Si(OH)2(式中、R’は炭化水素基を表す)で表されるシラノールの1種又は2種以上を、望ましくはアルコール中でアルカリ存在下に50℃以上に加熱することで容易に目的とするポリシラノールを得ることができる。
【0128】
このようにして得られるポリシラノールは、その構造は種々のものがあり特定されない。例えば、有機ハロシランを原料として上記方法により製造した場合について述べると、有機トリハロシランの加水分解では、一般式(R’Si)x(OH)yz(式中、R’は炭化水素基、x、y、zはx、y≦2、z≦1の数を示す)で表されるポリシラノール有機ジハロシランの加水分解では、一般式HO(R’2SiO)oH又は(R’2SiO)p(式中、R’は炭化水素基、o、pは2以上の数を示す)で表されるポリシラノールがそれぞれ得られるが、有機トリハロシランと有機ジハロシランの混合物の加水分解では、上記一般式のポリシラノールが相互に脱水縮合してなる環状及び/又は鎖状ポリシラノールが誘導され、その構造は特定されない。
【0129】
しかし、本発明において用いられるポリシラノールは、シラノールR’2Si(OH)2又はR’Si(OH)3が縮合したシロキサン結合を有する化合物であり、その構造については、鎖状、環状、三次元網目構造などいずれであってもよいが、ヒドロキシル基含有量については、少なくとも一分子あたり1個以上のヒドロキシル基を有するものが用いられる。ポリシラノール中のヒドロキシル基含有量が4〜14mmol/gであることが好ましい。
【0130】
ポリシラノール、有機トリハロシラン有機ジハロシラン及びシラノールの前記一般式中のR’としては、炭素数20までのアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、アラルキル、アルカリール及びシクロアラルキル基等が挙げられる。特にメチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル等のアルキル基、フェニル等のアリール基、ベンジル等のアラルキル基が好ましい。なお、特にR’2SiX2で表される有機ジハロシラン及びR’2Si(OH)2で表されるシラノール原料としてポリシラノールを製造する場合には、R’がアルキル基であることが好ましい。
【0131】
以上説明したポリシラノールは必ずしも純粋なものを使用する必要はなく、2種以上の混合物であってもよい。なお、これらポリシラノールはグリニヤール化合物との反応に際しては、脱水、脱気して水分や酸素等を除去したものを使用することが好ましい。更に本発明において、シラノールとポリシラノールとの混合物を用いることができる。
【0132】
(b)マグネシウム化合物
マグネシウム化合物としては、一般式Mg(OR)n4-n(式中、Rは炭素1〜20の炭化水素基を表し、Xはハロゲン原子を表す。nは0<n≦2の数を示す)で表される。具体的には、Rとしては炭素数20までのアルキル、アリール、アラルキル基等が挙げられる。特に、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、ヘキシル等のアルキル基、フェニル等のアリール基、ベンジル等のアラルキル基が好ましい。また、Xとしては塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。このような化合物はグリニヤール化合物と対応するアルコールとにより容易に合成することができる。
【0133】
R”MgCl+ROH→ROMgCl+R”H
また、Mgメタルとアルコールから通常公知の方法で合成することができる。
【0134】
Mg+2ROH→Mg(OR)2+H2
なお以下において、上記一般式で表されるマグネシウム化合物を単に「マグネシウム化合物」と略称する。
【0135】
(c)ハロゲン化チタン
ハロゲン化チタンとしては、例えば、四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン、三塩化チタン、二塩化チタン、またオキシ二塩化チタンのようなオキシジハロゲノチタン等が挙げられる。特に好ましいのは四塩化チタンである。
【0136】
(d)電子供与性化合物
アミン及びカルボン酸アミドから選ばれた窒素含有化合物、ホスフィン、リン酸エステル及びリン酸アミドから選ばれたリン含有化合物、並びにケトン及びカルボン酸エステルから選ばれた酸素含有化合物が使用できる。なお、ここでいうカルボン酸エステルにおいては、カルボン酸残基の炭化水素基はアミノ基、アルコキシ基のような置換基を有していてもよい。そのような例としてはアミノ酸エステルが挙げられる。
【0137】
電子供与性化合物の具体例は、テトラメチルエチレンジアミン、テトラエチルエチレンジアミン、アセトアミド等の窒素含有有化合物、トリエチルリン酸エステル、トリブチルリン酸エステル、トリフェニルフォスフィン、トリフェニルホスファイト、トリエチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリス−ノニルフェニルホスファイト、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のリン含有化合物、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸フェニル、p−メトキシ安息香酸メチル、p−メトキシ安息香酸エチル、p−メトキシ安息香酸プロピル、m−メトキシ安息香酸ブチル、o−メトキシ安息香酸フェニル、p−エトキシ安息香酸メチル、o−エトキシ安息香酸エチル、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、クロトン酸エチル、クロトン酸プロピル、クロトン酸ブチル、ケイ皮酸エチル、ケイ皮酸プロピル、ケイ皮酸ブチル、ジメチルグリシンエチルエステル、ジメチルグリシンプロピルエステル、ジメチルグリシンブチルエステル、ジフェニルグリシンエチルエステル、ジフェニルグリシンプロピルエステル、ジフェニルグリシンブチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等の酸素含有化合物が挙げられる。特に、カルボン酸エステルが好ましい。
【0138】
また添加量はマグネシウム化合物のモル数の1/5未満が好ましく、更に好ましくは1/10以下である。
【0139】
本発明において、上述した(a)、(b)、(c)及び(d)の3成分を適宜の順序に接触させて、チタン含有固体触媒を得る。例えば、
イ)(d)電子供与性化合物の存在下に(a)シラノール又はポリシラノールと(b)マグネシウム化合物とを接触反応させ、次いで(c)ハロゲン化チタンで処理する方法
ロ)(a)シラノール又はポリシラノールと(b)マグネシウム化合物とを接触反応させて得られた生成物に、(d)電子供与性化合物を添加して処理し、次いで(c)ハロゲン化チタンで処理する方法
ハ)(a)シラノール又はポリシラノールと(b)マグネシウム化合物とを接触反応させて得られた生成物を(c)ハロゲン化チタンで処理し、次いで(d)電子供与性化合物で処理する方法
ニ)(a)シラノール又はポリシラノールと(b)マグネシウム化合物とを接触反応させて得られた生成物に、(d)電子供与性化合物と(c)ハロゲン化チタンとを混合して得られるもので処理する方法等、種々の方法によって得ることができる。
【0140】
これらの方法において、シラノール又はポリシラノオール、マグネシウム化合物、ハロゲン化チタン及び電子供与化合物は純粋なものでもよく、また適宜希釈剤で希釈して用いてもよい。希釈剤としては、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ドデカン、流動パラフィン等の飽和脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテルなどが挙げられる。
【0141】
更に具体的に、チタン含有固体触媒の接触法を上記イ)〜ニ)の場合について説明する。
【0142】
イ)電子供与性化合物に−50〜100℃、好ましくは室温以下で、シラノール又はポリシラノールとマグネシウム化合物を添加し、50〜200℃に昇温して数時間反応させる。次いで、この生成物そのまま、或いは減圧乾燥等により乾燥して粉末状態にしたものにハロゲン化チタンを添加し、60〜150℃、好ましくは80〜130℃にて0.1時間以上、好ましくは0.5〜1.0時間処理する。粉末状態としたものをハロゲン化チタンで処理した場合は、その処理物に炭化水素溶媒を添加して、固体を析出させる。炭化水素溶媒としては、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ドデカン、流動パラフィン等の飽和脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素等が使用できる。
【0143】
ロ)−50〜100℃、好ましくは室温以下でシラノール又はポリシラノールの懸濁液にマグネシウム化合物を添加するか、その逆の方法によって両者を接触させる。次いで、50〜200℃で数時間反応させる。室温に冷却後、電子供与性化合物を添加し、60〜200℃に昇温して、更に0.1時間以上処理する。その際、電子供与性化合物に希釈剤として、トルエン、キシレン、灯油等を用いれば、その沸点で処理できるので操作上便利であるが、電子供与性化合物を添加した後、希釈剤を留去し、乾燥させたものを上記温度にて処理することができる。次いで、この生成物を上記イ)と同様にしてハロゲン化チタンで処理する。
【0144】
ハ)上記ロ)と同様にして、シラノール又はポリシラノールとマグネシウム化合物とを接触させ、得られた生成物を上記イ)と同様にしてハロゲン化チタンで処理する。次いで、上記ロ)と同様にして、電子供与性化合物で処理する。
【0145】
ニ)上記ロ)と同様にして、シラノール又はポリシラノールとマグネシウム化合物とを接触させ、得られた生成物に電子供与性化合物とハロゲン化チタンとを混合して得られるものを添加し、60〜200℃に昇温して0.1時間以上処理する。これらの方法で使用される各成分量は、次の範囲から選ばれる。
【0146】
シラノール又はポリシラノール中の水酸基/マグネシウム化合物中のOR基=0.1〜10、好ましくは1〜2(モル比)、電子供与性化合物/マグネシウム化合物=0.2未満、好ましくは0.1以下(モル比)、ハロゲン化チタン/マグネシウム化合物=0.1〜50、好ましくは5〜30(モル比)である。
【0147】
かくして、シラノール又はポリシラノール、マグネシウム化合物、ハロゲン化チタン及び特定の化合物から選ばれた電子供与性化合物の各成分を接触反応することによってチタン含量0.1〜20質量%、好ましくは0.1〜10質量%の淡黄褐色の固体を得ることができる。これを前記炭化水素溶媒で洗浄してオレフィンの重合に使用する。
【0148】
オレフィンの重合は、前記チタン含有固体触媒成分と有機アルミニウム化合物とを組み合せた触媒系を使用して行なう。有機アルミニウム化合物としては、例えば、一般式AlR’”l3-l(式中R’”は炭素数1〜8のアルキル基を表し、R’”が2個以上である時は、それぞれ異なっていてもよい。lは1〜3の数、Xはハロゲン原子を示す)で表されるものが使用される。特に、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等トリアルキルアルミニウムが好ましい。有機アルミニウム化合物の使用量は、Ti1原子あたり1〜100モル、好ましくは1〜15モル、特に好ましくは2〜8モルの範囲から選ばれる。
【0149】
本発明で用いることができる更に別の触媒としては、A)(a)少なくとも1種のシラノール化合物、(b)少なくとも1種のグリニヤール化合物、(c)少なくとも1種のハロゲン化チタン及び(d)アミン、酸アミド、ホスフィン、リン酸エステル、リン酸アミド、ケトン及びカルボン酸エステルから選ばれた少なくとも1種の電子供与化合物とを、0≦(d)/(b)<0.1(mol/mol)の条件で接触させて得られるチタン含有固体触媒成分、及び、B)有機アルミニウム化合物、とからなる触媒系である。
【0150】
はじめに、本発明に係る(a)少なくとも1種のシラノール化合物、(b)少なくとも1種のグリニヤール化合物、(c)少なくとも1種のハロゲン化チタン及び(d)アミン、酸アミド、ホスフィン、リン酸エステル、リン酸アミド、ケトン及びカルボン酸エステルから選ばれた少なくとも1種の電子供与化合物とを、0≦(d)/(b)<0.1(mol/mol)の条件で接触させて得られるチタン含有固体触媒の各成分について説明する。
【0151】
(a)シラノール化合物
本発明に係るシラノール化合物は、下記一般式(I)で表すことができる。
【0152】
一般式(I)
nSi(OH)4-n
上記一般式(1)において、Rは炭化水素基を表し、nは1、2又は3を表す。
【0153】
シラノール化合物は、例えば、下式に示すように、対応するハロゲン化合物を加水分解することによって容易に合成することができる。
【0154】
65SiCl+H2O→C65SiOH+HCl
具体的には、Rとしては炭素数20までのアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、アラルキル、アルカリール及びシクロアラルキル等の各基が挙げられる。特に、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル等のアルキル基、フェニル等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基が好ましい。また、nは1、2又は3を取り得るが、シラノール化合物の安定性の観点からは、nが2又は3のものが好ましい。
【0155】
(b)グリニヤール化合物
本発明に係るグリニヤール化合物は、下記一般式(II)で表すことができる。
【0156】
一般式(II)
R′MgX
一般式(II)において、R′は炭化水素基を表し、Xはハロゲン原子を表す。
【0157】
具体的には、R′として炭素数20までのアルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。特に、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、ヘキシル等のアルキル基、フェニル等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基が好ましい。また、Xとしては、例えば、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
【0158】
これらグリニヤール化合物は、通常エーテル溶液又はエーテル付加体として使用される。エーテルとしては、例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオクチルエーテル等が挙げられる。
【0159】
(c)ハロゲン化チタン
ハロゲン化チタンとしては、例えば、四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン、三塩化チタン、二塩化チタン、オキシ二塩化チタンのようなオキシジハロゲノチタン等が挙げられる。特に好ましいのは、四塩化チタンである。
【0160】
(d)電子供与性化合物
アミン及び酸アミドから選ばれた窒素含有化合物、ホスフィン、リン酸エステル及びリン酸アミドから選ばれたリン含有化合物、並びにケトン及びカルボン酸エステルから選ばれた酸素含有化合物が使用できる。具体的には、テトラメチルエチレンジアミン、テトラエチルエチレンジアミン、アセトアミド等の窒素含有有化合物、トリエチルリン酸エステル、トリブチルリン酸エステル、トリフェニルフォスフィン、トリフェニルホスファイト、トリエチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリスーノニルフェニルホスファイト、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のリン含有化合物、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸フェニル、p−メトキシ安息香酸メチル、p−メトキシ安息香酸エチル、p−メトキシ安息香酸プロピル、m−メトキシ安息香酸ブチル、o−メトキシ安息香酸フェニル、p−エトキシ安息香酸メチル、o−エトキシ安息香酸エチル、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、クロトン酸エチル、クロトン酸プロピル、クロトン酸ブチル、ケイ皮酸エチル、ケイ皮酸プロピル、ケイ皮酸ブチル、ジメチルグリシンエチルエステル、ジメチルグリシンプロピルエステル、ジメチルグリシンブチルエステル、ジフェニルグリシンエチルエステル、ジフェニルグリシンプロピルエステル、ジフェニルグリシンブチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等の酸素含有化合物が挙げられる。特に、リン酸エステル、カルボン酸エステルが好ましい。
【0161】
また、添加量はグリニヤール化合物のモル数の1/10未満が好ましく、更に好ましくは1/20以下である。
【0162】
本発明において、上述した(a)、(b)、(c)及び(d)の4成分を適宜の順序に接触させて、チタン含有固体触媒を得る。
【0163】
例えば、
方法A:(d)電子供与性化合物の存在下で、(a)シラノール化合物と(b)グリニヤール化合物とを接触反応させ、次いで(c)ハロゲン化チタンで処理する方法
方法B:(a)シラノール化合物と(b)グリニヤール化合物とを接触反応させて得られた生成物に、(d)電子供与性化合物を添加して処理し、次いで(c)ハロゲン化チタンで処理する方法
方法C:(a)シラノール化合物と(b)グリニヤール化合物とを接触反応させて得られた生成物を、(c)ハロゲン化チタンで処理し、次いで(d)電子供与性化合物で処理する方法
等、種々の方法によって得ることができる。
【0164】
これらの各方法において、シラノール化合物、グリニヤール化合物及び電子供与性化合物は、純粋なものでもよく、また適宜希釈剤で希釈して用いても良い。希釈剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ドデカン、流動パラフィン等の飽和脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテルなどが挙げられる。
【0165】
更に、チタン含有固体触媒の接触法を上記方法A〜方法Cの場合について具体的に説明する。
【0166】
方法A:電子供与性化合物に、−50〜100℃、好ましくは室温以下で、シラノール化合物、グリニヤール化合物を添加し、50〜200℃、好ましくは50〜150℃、特に好ましくは70〜80℃に昇温して数時間反応させる。次いで、この生成物を常圧、或いは減圧乾燥等により乾燥して粉末状態にしたものにハロゲン化チタンを添加し、60〜150℃、好ましくは80〜130にて0.1時間以上、好ましくは0.5〜1.0時間処理する。粉末状態としたものをハロゲン化チタンで処理した場合は、その処理物に炭化水素溶媒を添加して、固体を析出させる。炭化水素溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ドデカン、流動パラフィン等の飽和脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素等が使用できる。
【0167】
方法B:−50〜100℃、好ましくは室温以下でシラノール化合物の懸濁液にグリニヤール化合物を添加するか、その逆の方法によって両者を接触させる。次いで、50〜200℃、好ましくは50〜150℃、特に好ましくは70〜80℃で数時間反応させる。室温に冷却した後、電子供与性化合物を添加し、60〜200℃に昇温して、更に0.1時間以上処理する。その際、電子供与性化合物に希釈剤として、例えば、トルエン、キシレン、灯油等を用いれば、その沸点で処理できるので操作上便利であるが、電子供与性化合物を添加した後、希釈剤を留去し、乾燥させたものを上記温度にて処理することができる。次いで、この生成物を上記方法Aと同様にして、ハロゲン化チタンで処理する。
【0168】
方法C:上記方法Bと同様にして、シラノール化合物とグリニヤール化合物とを接触させ、得られた生成物を上記方法Aと同様にしてハロゲン化チタンで処理する。次いで、上記方法Bと同様にして、電子供与性化合物で処理する。
【0169】
これらの方法で使用される各成分量は、次の範囲から選ばれる。
【0170】
シラノール化合物の水酸基/グリニヤール化合物のアルキル基=0.1〜10、好ましくは1〜2(モル比)
電子供与性化合物/グリニヤール化合物=0.1未満、好ましくは0.05以下(モル比)
ハロゲン化チタン/グリニヤール化合物=0.1〜50、好ましくは1〜20(モル比)
かくして、シラノール化合物、グリニヤール化合物、ハロゲン化チタン及び特定の化合物から選ばれた電子供与性化合物の各成分を接触反応することによって、チタン含量0.1〜20質量%、好ましくは0.1〜10質量%の淡黄褐色の固体を得ることができる。これを、前記炭化水素溶媒で洗浄してオレフィンの重合に使用する。
【0171】
オレフィンの重合は、前記チタン含有固体触媒成分と有機アルミニウム化合物とを組み合せた触媒系を使用して行なう。有機アルミニウム化合物としては、例えば、下記一般式(III)で表される化合物が好ましい。
【0172】
一般式(III)
AlR″m3-m
上記一般式(III)において、R″は炭素数1〜8のアルキル基を表し、R″が2個以上である時は、それぞれ異なっていても良い。mは1〜3の整数、Xはハロゲン原子を示す。
【0173】
具体的な化合物としては、特に、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等トリアルキルアルミニウムが好ましい。
【0174】
有機アルミニウム化合物の使用量は、Ti1原子あたり1〜100モル、好ましくは1〜15モル、特に好ましくは2〜8モルの範囲から選ばれる。
【0175】
本発明において、重合または共重合反応は、不活性炭化水素溶媒等の存在下で溶液重合、あるいはスラリー重合、そして溶媒不存在下での気相重合等種々の重合方法を取ことができる。また、重合法は連続式でもバッチ式でも可能である。更に、必要に応じて公知の第3成分を添加することもできる。
【0176】
重合体を構成する環状オレフィンとしては、下記一般式(1)または(2)で表される環状オレフィンが挙げられる。

【0177】
式中、nは0または1であり、mは0または正の整数であり、kは0または1である。なおkが1の場合には、kを用いて表される環は6員環となり、kが0の場合にはこの環は5員環となる。
【0178】
1〜R18ならびにRa及びRbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基である。ここで、ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
【0179】
また、炭化水素基としては、通常、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または芳香族炭化水素基が挙げられる。より具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基及びオクタデシル基等が挙げられる。これらアルキル基はハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0180】
シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基が挙げられ、芳香族炭化水素基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。さらに上記一般式(1)において、R15とR16とが、R17とR18とが、R15とR17とが、R16とR18とが、R15とR18とが、あるいはR16とR17とがそれぞれ結合して(互いに共同して)、単環または多環の基を形成していてもよく、しかもこのようにして形成された単環または多環が二重結合を有していてもよい。ここで形成される単環または多環としては、具体的に以下のようなものが挙げられる。

【0181】
なお上記例示において、1または2の番号を付した炭素原子は、前記一般式(1)においてそれぞれR15(R16)またはR17(R18)結合している炭素原子を表す。
【0182】
また、R15とR16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよい。このようなアルキリデン基は、通常は炭素原子数2〜20のアルキリデン基であり、このようなアルキリデン基の具体的な例としては、エチリデン基、プロピリデン基及びイソプロピリデン基が挙げられる。

【0183】
式中、p及びqはそれぞれ独立に、0または正の整数であり、r及びsはそれぞれ独立に、0、1または2である。また、R21〜R39はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基またはアルコキシ基である。
【0184】
ここでハロゲン原子は、上記一般式(1)中のハロゲン原子と同じである。また炭化水素基としては、通常、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または芳香族炭化水素基が挙げられる。より具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基及びオクタデシル基等が挙げられる。これらアルキル基はハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0185】
シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基が挙げられ、芳香族炭化水素基としては、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
【0186】
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。ここで、R29及びR30が結合している炭素原子と、R33が結合している炭素原子またはR31が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよい。すなわち、上記二個の炭素原子がアルキレン基を介して結合している場合には、R29とR33とが、または、R30とR31とが互いに共同して、メチレン基(−CH2−)、エチレン基(−CH2CH2−)またはプロピレン基(−CH2CH2CH2−)の内のいずれかのアルキレン基を形成している。
【0187】
さらに、r=s=0のとき、R35とR32またはR35とR39とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。具体的には、r=s=0のとき、R35とR32とにより形成される以下のような芳香族環が挙げられる。

【0188】
ここで、qは一般式(2)におけるqと同じである。上記のような一般式(1)または(2)表される環状オレフィンとしては、具体的には、ビシクロ−2−ヘプテン誘導体(ビシクロヘプト−2−エン誘導体)、トリシクロ−3−デセン誘導体、トリシクロ−3−ウンデセン誘導体、テトラシクロ−3−ドデセン誘導体、ペンタシクロ−4−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン誘導体、ペンタシクロ−3−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロ−3−ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロ−4−ヘキサデセン誘導体、ヘキサシクロ−4−ヘプタデセン誘導体、ヘプタシクロ−5−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ−4−エイコセン誘導体、ヘプタシクロ−5−ヘンエイコセン誘導体、オクタシクロ−5−ドコセン誘導体、ノナシクロ−5−ペンタコセン誘導体、ノナシクロ−6−ヘキサコセン誘導体、シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン誘導体、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセン誘導体等が挙げられる。
【0189】
以下に上記のような一般式(1)または(2)で表される環状オレフィンのより具体的な例を示す。

【0190】

【0191】

【0192】

【0193】

【0194】

【0195】

【0196】

【0197】

【0198】

【0199】

【0200】

【0201】

【0202】

【0203】

【0204】

【0205】

【0206】

【0207】

【0208】

【0209】

【0210】

【0211】
重合体を構成する非環状オレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の直鎖状α−オレフィン;4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン等の分岐状α−オレフィン等が挙げられる。好ましくは、炭素原子数が2〜20のα−オレフィンが好ましい。このような直鎖状または分岐状のα−オレフィンは置換基で置換されていてもよく、また1種単独、あるいは2種以上組合わせて用いることができる。
【0212】
置換基としては、種々のものが挙げられ特に制限はないが、代表的なものとしてアルキル、アリール、アニリノ、アシルアミノ、スルホンアミド、アルキルチオ、アリールチオ、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキニル、複素環、アルコキシ、アリールオキシ、複素環オキシ、シロキシ、アミノ、アルキルアミノ、イミド、ウレイド、スルファモイルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、複素環チオ、チオウレイド、ヒドロキシル及びメルカプトの各基、並びにスピロ化合物残基、有橋炭化水素化合物残基、スルホニル、スルフィニル、スルホニルオキシ、スルファモイル、ホスホリル、カルバモイル、アシル、アシルオキシ、オキシカルボニル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、ハロゲン置換アルコキシ、ハロゲン置換アリールオキシ、ピロリル、テトラゾリル等の各基及びハロゲン原子等が挙げられる。
【0213】
上記上記アルキル基としては炭素数1〜32のものが好ましく、直鎖でも分岐でもよい。アリール基としてはフェニル基が好ましい。
【0214】
アシルアミノ基としては、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基;スルホンアミド基としては、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基;アルキルチオ基、アリールチオ基におけるアルキル成分、アリール成分は上記のアルキル基、アリール基が挙げられる。
【0215】
アルケニル基としては炭素数2〜23のもの、シクロアルキル基としては炭素数3〜12、特に5〜7のものが好ましく、アルケニル基は直鎖でも分岐でもよい。シクロアルケニル基としては炭素数3〜12、特に5〜7のものが好ましい。
【0216】
ウレイド基としてはアルキルウレイド基、アリールウレイド基;スルファモイルアミノ基としてはアルキルスルファモイルアミノ基、アリールスルファモイルアミノ基;複素環基としては5〜7員のものが好ましく、具体的には2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル等;飽和複素環としては5〜7員のものが好ましく、具体的にはテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル等;複素環オキシ基としては5〜7員の複素環を有するものが好ましく、例えば3,4,5,6−テトラヒドロピラニル−2−オキシ、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ等;複素環チオ基としては5〜7員の複素環チオ基が好ましく、例えば2−ピリジルチオ、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジフェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ等;シロキシ基としてはトリメチルシロキシ、トリエチルシロキシ、ジメチルブチルシロキシ等;イミド基としては琥珀酸イミド、3−ヘプタデシル琥珀酸イミド、フタルイミド、グルタルイミド等;スピロ化合物残基としてはスピロ[3.3]ヘプタン−1−イル等;有橋炭化水素化合物残基としてはビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル、トリシクロ[3.3.1.13.7]デカン−1−イル、7,7−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル等が挙げられる。
【0217】
スルホニル基としては、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ハロゲン置換アルキルスルホニル基、ハロゲン置換アリールスルホニル基等;スルフィニル基としては、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基等;スルホニルオキシ基としては、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基等;スルファモイル基としては、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル等;ホスホリル基としては、アルコキシホスホリル基、アリールオキシホスホリル基、アルキルホスホリル基、アリールホスホリル基等;カルバモイル基としては、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基等;アシル基としては、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基等;アシルオキシ基としては、アルキルカルボニルオキシ基等;オキシカルボニル基としては、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基等;ハロゲン置換アルコキシ基としてはα−ハロゲン置換アルコキシ基等;ハロゲン置換アリールオキシ基としては、テトラフルオロアリールオキシ基、ペンタフルオロアリールオキシ基等;ピロリル基としては1−ピロリル等;テトラゾリル基としては1−テトラゾリル等の各基が挙げられる。
【0218】
上記置換基の他に、トリフルオロメチル、ヘプタフルオロ−i−プロピル、ノニルフルオロ−t−ブチル等の各基や、テトラフルオロアリール基、ペンタフルオロアリール基等も好ましく用いられる。更に、これらの置換基は、他の置換基で置換されてもよい。
【0219】
本発明の重合体中の非環状モノマー含有量は成形性の観点から20質量%以上であることが好ましく、25〜90質量%であることがより好ましく、30〜85質量%であることがさらに好ましい。
【0220】
本発明の重合体のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは80〜250℃、より好ましくは90〜220℃、最も好ましくは100〜200℃の範囲である。数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算値で、好ましくは10,000〜1,000,000、より好ましくは20,000〜500,000、最も好ましくは50,000〜300,000の範囲である。分子量分布は、上記Mnと、同様にGPCで測定されるポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)で表したときに、好ましくは2.0以下である。
【0221】
Mw/Mnが大き過ぎると、成形体の機械的強度や耐熱性が低下する。特に機械的強度、耐熱性、成形加工性を向上させるには、Mw/Mnが1.8以下がより好ましく、1.6以下が特に好ましい。
【0222】
重合時の温度は、90〜300℃までの範囲で行なうことができるが、90℃より低温領域では重合活性の著しい低下を招き、また300℃を超えると高分子量重合体が得られない等の理由から通常90℃〜250℃で重合を行なうことが好ましい。圧力は0.1〜10MPaの範囲から選ばれる。また、重合体帯域に水素を存在させることによって、生成する重合体の分子量を容易に調整することができる。
【0223】
本発明のオレフィン系樹脂は、1成分の環状モノマーから合成された高分子でもよいが、好適には2成分以上の環状モノマー、あるいは環状モノマーと非環状モノマーを用いて合成された重合体が選ばれる。この重合体については、100成分以上のモノマーを用いて製造してもよいが生産効率重合安定性からモノマーの混合は10成分以下が好ましい。更に好ましいのは、5成分以下である。
【0224】
また、得られた重合体は、結晶性高分子でも非晶性高分子でもかまわないが、好ましくは非晶性高分子がよい。
【0225】
本発明の重合体(ポリオレフィン)の炭素−炭素不飽和結合(芳香環含む)を水素添加する方法には、公知の方法を用いることができるが、中でも、水素添加率を高くし、かつ水素添加反応と同時に起こる重合体鎖切断反応を少なくするためには、有機溶媒中、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム及びレニウムから選ばれる少なくとも1つの金属を含む触媒を用いて水素添加反応を行なうのが好ましい。水素化触媒は、不均一触媒、均一触媒のいずれも使用可能である。不均一系触媒は、金属または金属化合物のままで、または適当な担体に担持して用いることができる。担体としては、例えば、活性炭、シリカ、アルミナ、炭化カルシウム、チタニア、マグネシア、ジルコニア、ケイソウ土、炭化珪素等が挙げられ、触媒の担持量は、触媒合計質量に対する金属含有量で、通常0.01〜80質量%、好ましくは0.05〜60質量%の範囲である。均一系触媒は、ニッケル、コバルト、チタンまたは鉄化合物と有機金属化合物(例えば、有機アルミニウム化合物、有機リチウム化合物)とを組み合わせた触媒、またはロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、レニウム等の有機金属錯体触媒を用いることができる。これらの水素添加触媒は、それぞれ単独で、あるいは2種類以上組み合わせて使用することができ、その使用量は、重合体100質量部に対して、通常、0.01〜100質量部、好ましくは0.05〜50質量部、より好ましくは0.1〜30質量部である。
【0226】
水素添加反応温度は、通常0〜300℃の温度であり、好ましくは室温〜250℃、特に好ましくは50〜200℃の温度範囲である。
【0227】
また、水素圧力は、通常0.1〜30MPa、好ましくは1〜20MPa、より好ましくは2〜15MPaである。得られた水素添加物の水素添加率は、耐熱性や耐候性の観点から、1H−NMRによる測定において、主鎖の炭素−炭素不飽和結合の通常90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上である。水素化率が低いと、得られる重合体の透過率、低複屈折性、熱安定性等の光学特性が低下する。
【0228】
本発明の重合体の水素添加反応において用いられる溶媒としては、本発明の重合体を溶解し溶媒自体が水素添加されないものであればどのようなものでもよく、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、デカリン等の脂肪族環状炭化水素、メチレンジクロリド、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、テトラクロロエタン、クロルベンゼン、トリクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられ、これらは2種以上混合して使用してもよい。
【0229】
本発明の重合体水素添加物の製造は、重合体溶液から重合体水素添加物を単離した後、再度溶媒に溶解しても可能であるが、単離することなく、上記有機金属錯体と有機アルミニウム化合物からなる水素添加触媒を加えることにより水素添加反応を行う方法を採用することもできる。水素添加反応の終了後、公知の方法により重合体に残存する水素添加触媒を除去することができる。例えば、吸着剤による吸着法、良溶媒による溶液に乳酸等の有機酸と貧溶媒と水とを添加し、この系を常温下あるいは加温下において抽出除去する方法、更には良溶媒による溶液または重合体スラリーを窒素または水素ガスの雰囲気下でトリメチレンジアミン、アニリン、ピリジン、エタンジアミド、水酸化ナトリウム等の塩基性化合物で接触処理した後に、あるいは接触処理と同時に酢酸、クエン酸、安息香酸、塩酸等の酸性化合物を接触処理した後、洗浄除去する方法等が挙げられる。
【0230】
重合体水素添加物溶液から重合体水素化物の回収法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、撹拌下の貧溶媒中に反応溶液を排出し重合体水素化物を凝固させ濾過法、遠心分離法、デカンテーション法等により回収する方法、反応溶液中にスチームを吹き込んで重合体水素化物を析出させるスチームストリッピング法、反応溶液から溶媒を加熱等により直接除去する方法等が挙げられる。
【0231】
本発明の水素添加方法を用いると水素添加率は90%以上が容易に達成でき、95%以上、特に99%以上とすることが可能であり、そうして得られる重合体水素添加物は容易に酸化されることがなく、優れた重合体水素添加物となる。
【0232】
(樹脂組成物の調製方法)
本発明に係る重合体を用いた樹脂組成物の調製方法について説明する。
【0233】
樹脂組成物は、成型する工程(成型プロセス)の前に特定の加工処理をすることが好ましく、加工処理の段階で通常樹脂に添加される可塑剤、酸化防止剤、その他の添加剤を加えてもよい。
【0234】
樹脂組成物の調製方法としては、混練プロセスまたは混合物を溶媒に溶解、溶媒除去、乾燥を経て組成物を得るプロセス等が好ましい調製方法として挙げられるが、更に好ましい調製方法は混練プロセスである。また、混練プロセスとして、通常の樹脂の配合に用いるプロセスを用いることができる。例えば、ロール、バンバリーミキサ、二軸混練機、ニーダールーダ等を用いることができるが、好ましくは、バンバリーミキサ、二軸混練機、ニーダールーダ等が挙げられる。樹脂の酸化を防ぐ目的で、密閉系で混練り可能な装置が好適に使用され、さらに好ましくは、窒素やアルゴン等の不活性ガス化で混練プロセスを行うことが望ましい。
【0235】
(光学用樹脂レンズの作製方法)
本発明の光学用樹脂レンズの作製方法について説明する。
【0236】
本発明の光学用樹脂レンズは、まず、樹脂組成物(樹脂単独の場合もあれば、樹脂と添加剤との混合物の場合もある)を調製し、次いで、得られた樹脂組成物を成型する工程を含む。
【0237】
本発明に係る樹脂組成物の成型物は、前記樹脂組成物からなる成型材料を成型して得られる。成型方法としては、格別制限されるものはないが、低複屈折性、機械強度、寸法精度等の特性に優れた成型物を得るためには溶融成型が好ましい。溶融成型法としては、例えば、市販のプレス成型、市販の押し出し成型、市販の射出成型等が挙げられるが、射出成型が成型性、生産性の観点から好ましい。成型条件は使用目的、または成型方法により適宜選択されるが、例えば射出成型における樹脂組成物(樹脂単独の場合または樹脂と添加物との混合物の両方がある)の温度は、成型時に適度な流動性を樹脂に付与して成型品のヒケやひずみを防止し、樹脂の熱分解によるシルバーストリークの発生を防止し、更に、成型物の黄変を効果的に防止する観点から150〜400℃の範囲が好ましく、更に好ましくは200〜350℃の範囲であり、特に好ましくは200〜330℃の範囲である。
【0238】
本発明に係る成型物は、球状、棒状、板状、円柱状、筒状、チューブ状、繊維状、フィルムまたはシート形状等種々の形態で使用することができ、また、低複屈折性、透明性、機械強度、耐熱性、低吸水性に優れるため、本発明の光学用樹脂レンズとして用いられるが、その他の光学部品としても好適である
(光学用樹脂レンズ)
本発明の光学用樹脂レンズは、上記の作製方法により得られるが、光学部品への具体的な適用例としては、以下のようである。
【0239】
例えば、光学レンズや光学プリズムとしては、カメラの撮像系レンズ;顕微鏡、内視鏡、望遠鏡レンズ等のレンズ;眼鏡レンズ等の全光線透過型レンズ;CD、CD−ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)等の光ディスクのピックアップレンズ;レーザビームプリンターのfθレンズ、センサー用レンズ等のレーザ走査系レンズ;カメラのファインダー系のプリズムレンズ等が挙げられる。
【0240】
光ディスク用途としては、CD、CD−ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)等が挙げられる。その他の光学用途としては、液晶ディスプレイ等の導光板;偏光フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム等の光学フィルム;光拡散板;光カード;液晶表示素子基板等が挙げられる。
【0241】
これらの中でも、低複屈折性が要求されるピックアップレンズやレーザ走査系レンズとして好適であり、特にブルーレーザを用いるピックアップ装置のピックアップレンズに最も好適に用いられる。
【0242】
本発明に係る樹脂組成物の調製時や樹脂組成物の成型工程においては、必要に応じて各種添加剤(配合剤ともいう)を添加することができる。添加剤については、格別限定はないが、酸化防止剤、熱安定剤、耐光安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤等の安定剤;滑剤、可塑剤等の樹脂改質剤;軟質重合体、アルコール性化合物等の白濁防止剤;染料や顔料等の着色剤;帯電防止剤、難燃剤、フィラー等が挙げられる。これらの配合剤は、単独で、あるいは2種以上を組み合せて用いることができ、その配合量は本発明に記載の効果を損なわない範囲で適宜選択される。
【0243】
(可塑剤)
可塑剤としては、特に限定はないが、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤等を挙げることができる。
【0244】
リン酸エステル系可塑剤では、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系可塑剤では、例えば、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジフェニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等、トリメリット酸系可塑剤では、例えば、トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテート、トリエチルトリメリテート等、ピロメリット酸エステル系可塑剤では、例えば、テトラブチルピロメリテート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロメリテート等、グリコレート系可塑剤では、例えば、トリアセチン、トリブチリン、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等、クエン酸エステル系可塑剤では、例えば、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート等を挙げることができる。
【0245】
(酸化防止剤)
本発明に用いられる酸化防止剤について説明する。
【0246】
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤を配合することにより、透明性、耐熱性等を低下させることなく、成型時の酸化劣化等によるレンズの着色や強度低下を防止できる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、本発明に係る重合体100質量部に対して好ましくは0.001〜5質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
【0247】
フェノール系酸化防止剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート等の特開昭63−179953号公報や特開平1−168643号公報に記載されるアクリレート系化合物;オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニルプロピオネート))メタン[すなわち、ペンタエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート))]、トリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)等のアルキル置換フェノール系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン基含有フェノール系化合物;等が挙げられる。
【0248】
リン系酸化防止剤としては、一般の樹脂工業で通常使用される物であれば格別な限定はなく、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のモノホスファイト系化合物;4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4′イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)等のジホスファイト系化合物等が挙げられる。これらの中でも、モノホスファイト系化合物が好ましく、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等が特に好ましい。
【0249】
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3′−チオジプロピピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。
【0250】
(耐光安定剤)
本発明に用いられる耐光安定剤について説明する。
【0251】
耐光安定剤としては、ベンゾフェノン系耐光安定剤、ベンゾトリアゾール系耐光安定剤、ヒンダードアミン系耐光安定剤等が挙げられるが、本発明においては、レンズの透明性、耐着色性等の観点から、ヒンダードアミン系耐光安定剤を用いるのが好ましい。ヒンダードアミン系耐光安定剤(以下、HALSと記す。)の中でも、THFを溶媒として用いたGPCにより測定したポリスチレン換算のMnが1000〜10000であるものが好ましく、2000〜5000であるものがより好ましく、2800〜3800であるものが特に好ましい。Mnが小さ過ぎると、該HALSをブロック重合体に加熱溶融混練して配合する際に、揮発のため所定量を配合できなかったり、射出成型等の加熱溶融成型時に発泡やシルバーストリークが生じる等、加工安定性が低下する。また、ランプを点灯させた状態でレンズを長時間使用する場合に、レンズから揮発性成分がガスとなって発生する。逆にMnが大き過ぎると、ブロック重合体への分散性が低下して、レンズの透明性が低下し、耐光性改良の効果が低減する。したがって、本発明においては、HALSのMnを上記範囲とすることにより加工安定性、低ガス発生性、透明性に優れたレンズが得られる。
【0252】
このようなHALSの具体例としては、N,N′,N″,N″′−テトラキス−〔4,6−ビス− {ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ}−トリアジン−2−イル〕−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、1,6−ヘキサンジアミン−N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)とモルフォリン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの重縮合物、ポリ〔(6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕−ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕等の、ピペリジン環がトリアジン骨格を介して複数結合した高分子量HALS;コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物等の、ピペリジン環がエステル結合を介して結合した高分子量HALS等が挙げられる。
【0253】
これらの中でも、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物等のMnが2,000〜5,000のものが好ましい。
【0254】
本発明に係る樹脂に対する上記配合量は、重合体100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.02〜15質量部、特に好ましくは0.05〜10質量部である。添加量が少な過ぎると耐光性の改良効果が十分に得られず、屋外で長時間使用する場合等に着色が生じる。一方、HALSの配合量が多過ぎると、その一部がガスとなって発生したり、樹脂への分散性が低下して、レンズの透明性が低下する。
【0255】
また、本発明に係る樹脂組成物に、さらに最も低いガラス転移温度が30℃以下である化合物を配合することにより、透明性、耐熱性、機械的強度等の諸特性を低下させることなく、長時間の高温高湿度環境下での白濁を防止できる。

実施例
〔共重合体及び水素添加物の合成〕
以下、本発明の共重合体及び水素添加物の代表的合成例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0256】
なお、得られた共重合体及び水素添加物の物性値は、以下の方法により測定した。
【0257】
平均分子量(Mn):GPCを使用し、得られた共重合体及び水素添加物をクロロホルムに溶解し、TOSOH製HLC−8220GPC、TSKgelSuperHM−Mカラムを使用し、40℃において流量0.6ml/minでポリスチレンスタンダードによって分子量を較正した。
【0258】
ガラス転移温度(Tg):島津製作所製DSC−50により、窒素中10℃/分の昇温速度で、10mgの共重合体及び水素添加物の粉末を測定し、JIS−K−7121に規定の方法に従いガラス転移温度を求めた。
【0259】
水素添加率:共重合体の水素添加物の粉末を重水素化クロロホルムに溶解し、400MHz1H−NMRを用いてδ=4.5〜6.0ppmの主鎖の炭素−炭素間二重結合に帰属するピークが、水素添加反応によって減少する大きさを算出した。
実施例1
合成例1−1
エチレン・ノルボルネン共重合体[A−1]の合成:本発明
減圧乾燥及び窒素置換した15Lのオートクレーブに、常温でノルボルネン887g(9.42mol)、シクロヘキサン777ml、ジエチルアルミニウムクロリド1.12g(9.33mmol)を加え、続いて攪拌下にエチレンを600kPaまで加圧した後、脱圧し、この加圧脱圧操作を3回繰り返した。その後、系内をエチレンで150kPaに加圧し、昇温を開始し150℃に到達させた。その後エチレンにて内圧が600kPaとなるように加圧した。15分間攪拌した後、ストウフェ−社製AA型三塩化チタン436.5mgを系内に添加することによって、エチレンとノルボルネンとの共重合を開始させた。重合中、エチレンを連続的に供給することにより内圧を600kPaに保持した。60分後、重合反応をイソプロピルアルコールを添加することにより停止した。脱圧後、ポリマー溶液を取り出し、水1Lに対して濃塩酸5mlを添加した水溶液と1:1の割合で用いて洗浄し触媒残渣を水相に移行させた。この接触混合溶液を静置した後、水相を分離除去しさらに蒸留水で2回水洗し、重合液相を油水分離した。次いで油水分離された重合液相を3倍量のアセトンと強攪拌下に接触させ、共重合体を析出させた後、アセトンで充分に洗浄し固体部(共重合体)を濾過により採取した。窒素流通下、130℃、47kPaで12時間乾燥した。
【0260】
以上のようにして得られたエチレン・ノルボルネン共重合体[A−1]の収量は305g、GPCで測定した数平均分子量Mnは117200、Mw/Mnは1.84でありガラス転移点(Tg)は137℃、ノルボルネン含量は48.6mol%であった。
【0261】
合成例1−2
ノルボルネン・1−ヘキセン共重合体[B−1]の合成:本発明
減圧乾燥及び窒素置換した15Lのオートクレーブに、常温でノルボルネン887g(9.42mol)、1−ヘキセン1178ml(9.42mol)、シクロヘキサン777ml、ジエチルアルミニウムクロリド1.12g(9.33mmol)を加え、続いて攪拌下に窒素を600kPaまで加圧した後、脱圧し、この加圧脱圧操作を3回繰り返した。その後、系内を窒素で150kPaに加圧し、昇温を開始し100℃に到達させた。その後窒素にて内圧が600kPaとなるように加圧した。15分間攪拌した後、ストウフェ−社製AA型三塩化チタン436.5mgを系内に添加することによって、ノルボルネンと1−ヘキセンとの共重合を開始させた。重合中、窒素を連続的に供給することにより内圧を600kPaに保持した。60分後、重合反応をイソプロピルアルコールを添加することにより停止した。脱圧後、ポリマー溶液を取り出し、水1Lに対して濃塩酸5mlを添加した水溶液と1:1の割合で用いて洗浄し触媒残渣を水相に移行させた。この接触混合溶液を静置した後、水相を分離除去しさらに蒸留水で2回水洗し、重合液相を油水分離した。次いで油水分離された重合液相を3倍量のアセトンと強攪拌下に接触させ、共重合体を析出させた後、アセトンで充分に洗浄し固体部(共重合体)を濾過により採取した。窒素流通下、130℃、47kPaで12時間乾燥した。
【0262】
以上のようにして得られたノルボルネン・1−ヘキセン共重合体[B−1]の収量は289g、GPCで測定した数平均分子量Mnは83400、Mw/Mnは1.73でありガラス転移点(Tg)は127℃、ノルボルネン含量は54.7mol%であった。
【0263】
比較合成例1−1
エチレン・ノルボルネン共重合体[C−1]の合成:比較例
合成例1−1において、エチルアルミニウムジクロリド1.18g(9.33mmol)を系内に添加する以外は同様に行なった。エチレン・ノルボルネン共重合体[C−1]の収量は256g、GPCで測定した数平均分子量Mnは80300、Mw/Mnは1.62でありガラス転移点(Tg)は121℃、ノルボルネン含量は42.9mol%であった。
【0264】
合成例1−3
炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体の合成:本発明
25Lのオートクレーブに合成例1で得られた共重合体粉末[A−1]250.0gを乾燥テトラヒドロフラン(13.5L)に溶解して、水素添加触媒として予め調製したジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(200mg、0.21mmol)とトリエチルアルミニウム(125mg、1.06mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(1.5L)溶液を加え、水素圧8.5MPa、165℃で5時間水素添加反応を行った後、温度を室温まで戻し水素ガスを放出した。
【0265】
この共重合体水素添加物溶液を撹拌下のメタノール(50L)液中に加えて共重合体水素添加物を析出させ、濾別分離後真空乾燥を行うことにより白色粉末状の共重合体水素添加物[A−2]を得た。得られた共重合体水素添加物の1H−NMRから算出した水素添加率は主鎖のオレフィンのプロトンに帰属するピークが認められず、その水素添加率は100%であり、GPCで測定した数平均分子量Mnは102500、Mw/Mnは1.73であり、DSCで測定したガラス転移温度は133℃であった。
【0266】
合成例1−4
炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体の合成:本発明
合成例1−3において合成例1−1で得られた共重合体粉末[A−1]の代わりに、合成例2で得られた共重合体粉末[B−1]を用いた以外は同様に行ない白色粉末状の共重合体水素添加物[B−2]を得た。
【0267】
1H−NMRから算出した水素添加率は主鎖のオレフィンのプロトンに帰属するピークが認められず、その水素添加率は100%であり、GPCで測定した数平均分子量Mnは87100、Mw/Mnは1.72であり、DSCで測定したガラス転移温度は127℃であった。
【0268】
比較合成例1−2
炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体の合成:比較例
合成例3において合成例1−1で得られた共重合体粉末[A−1]の代わりに、比較合成例1−1で得られた共重合体粉末[C−1]を用いた以外は同様に行ない白色粉末状の共重合体水素添加物[C−2]を得た。
【0269】
1H−NMRから算出した水素添加率は主鎖のオレフィンのプロトンに帰属するピークが認められず、その水素添加率は100%であり、GPCで測定した数平均分子量Mnは77600、Mw/Mnは1.60であり、DSCで測定したガラス転移温度は118℃であった。
【0270】
本発明の光学用樹脂レンズの用途の一例として、光ディスク用のピックアップ装置に用いる対物レンズとして用いられる例を図1を用いて説明する。
【0271】
本形態では、使用波長が405nmのいわゆるブルーレーザ光源を用いた「高密度な光ディスク」をターゲットとしている。この光ディスクの保護基板厚は0.1mmであり、記憶容量は約30GBである。
【0272】
図1は、本発明に用いられる光ピックアップ装置の一例を示す模式図である。
【0273】
光ピックアップ装置1において、レーザダイオード(LD)2は、光源であり、波長λが405nmのブルーレーザが用いられるが、波長が390〜420nmである範囲のものを適宜採用することができる。
【0274】
ビームスプリッタ(BS)3はLD2から入射する光源を対物光学素子(OBL)4の方向へ透過させるが、光ディスク(光情報記録媒体)5からの反射光(戻り光)について、センサーレンズ(SL)6を経て受光センサー(PD)7に集光させる機能を有する。
【0275】
LD2から出射された光束は、コリメータ(COL)8に入射し、これによって無限平行光にコリメートされたのち、ビームスプリッタ(BS)3を介して対物レンズOBL4に入射する。そして光ディスク(光情報記録媒体)5の保護基板5aを介して情報記録面5b上に集光スポットを形成する。ついで情報記録面5b上で反射したのち、同じ経路をたどって、1/4波長板(Q)9によって偏光方向を変えられ、BS3によって進路を曲げられ、センサーレンズ(SL)6を経てセンサー(PD)7に集光する。このセンサーによって光電変換され、電気的な信号となる。
【0276】
なお対物光学素子OBL4は、樹脂によって射出成型された単玉の光学用樹脂レンズである。そしてその入射面側に絞り(AP)10が設けられており、光束径が定められる。ここでは入射光束は3mm径に絞られる。そして、アクチュエータ(AC)11によって、フォーカシングやトラッキングが行われる。
【0277】
なお、光情報記録媒体の保護基板厚、さらにピットの大きさにより、対物光学素子OBL4に要求される開口数も異なる。ここでは、高密度な、光ディスク(光情報記録媒体)5の開口数は0.85としている。
【0278】
実施例1−1
〔光学用樹脂レンズの作製〕
(光学用樹脂レンズ1−1):本発明
合成例1−1で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体[A−1]200gをポリラボシステム(英弘精機(株))を用いて窒素雰囲気下190℃、10分間混練を行った。前記と同一条件で10バッチ混練を行った材料を作製し、粉砕した。粉砕された材料を用いてインライン射出成型機により、型締圧力50t、金型温度120℃、射出圧力69.0MPaで射出成型を行い、直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0279】
(光学用樹脂レンズ1−2):本発明
合成例1−2で得られたノルボルネン・1−ヘキセン共重合体[B−1]を用いた以外は光学用樹脂レンズ1の作製と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0280】
(光学用樹脂レンズ1−3):比較例
比較合成例1−1で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体[C−1]を用いた以外は光学用樹脂レンズ1−1の作製と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0281】
〔光学用樹脂レンズの耐久性評価〕
上記で得られた本発明の光学用樹脂レンズ1−1及び1−2、比較の光学用樹脂レンズ1−3を、図1に示すような光ピックアップ装置の対物レンズとして用い、60℃の雰囲気下、15mWの青色レーザ光(波長405nm)を500時間連、2000時間連続照射した時の各々の連続照射後のレンズの白濁の度合いを目視観察し、下記のようにランク評価した。評価の結果を表1に示す。
【0282】
○:白濁発生等が全くない(実用可)
△:僅かに白濁発生が観察される(実用可)
×:白濁発生等が明らかに観察される(実用不可)
【0283】
【表1】

【0284】
表1から、本発明の光学用樹脂レンズ1−1及び1−2は、比較のレンズ1−3に比べて耐久性に優れていることが明らかである。
【0285】
実施例1−2
〔光学用樹脂レンズの作製〕
(光学用樹脂レンズ1−4):本発明
合成例1−3で得られた共重合体水素添加物[A−2]を用いた以外は光学用樹脂レンズ1−1の作製と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0286】
(光学用樹脂レンズ1−5):本発明
合成例3で得られた共重合体水素添加物[B−2]を用いた以外は光学用樹脂レンズ1−1の作製と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0287】
(光学用樹脂レンズ1−6):比較例
比較合成例1−2で得られた共重合体水素添加物[C−2]を用いた以外は光学用樹脂レンズ1−1の作製と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0288】
〔光学用樹脂レンズの耐久性評価〕
上記で得られた本発明の光学用樹脂レンズ1−4及び1−5、比較の光学用樹脂レンズ1−6を、実施例1−1と同様に評価した。得られた結果を表2に示す。
【0289】
【表2】

【0290】
表2から、本発明の光学用樹脂レンズ1−4及び1−5は、比較のレンズ1−6に比べて耐久性に優れていることが明らかである。
【0291】
実施例1−3
〔光学用樹脂レンズの作製〕
(光学用樹脂レンズ1−7):本発明
合成例1−1で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体[A−1]を実施例1−1の光学用樹脂レンズ1−1の作製と同様な方法で得た粉砕物により、インライン射出成型機で、型締圧力50t、金型温度120℃、射出圧力67.0MPaで射出成型を行った。このとき樹脂フィード量100gに対し0.5gのイルガノックス1010(チバスペシャリティケミカルズ社製、フェノール系酸化防止剤)を添加しながら直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0292】
(光学用樹脂レンズ1−8):本発明
合成例1−2で得られたノルボルネン・1−ヘキセン共重合体[B−1]を用いた以外は光学用樹脂レンズ1−7と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0293】
(光学用樹脂レンズ1−9):比較例
比較合成例1−1で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体[C−1]を用いた以外は光学用樹脂レンズ1−7の作製と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0294】
(光学用樹脂レンズ1−10):本発明
合成例1−3で得られた共重合体水素添加物[A−2]を用いた以外は光学用樹脂レンズ1−7と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0295】
(光学用樹脂レンズ1−11):本発明
合成例1−4で得られた共重合体水素添加物[B−2]を用いた以外は光学用樹脂レンズ1−7と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0296】
(光学用樹脂レンズ1−12):比較例
比較合成例1−2で得られた共重合体水素添加物[C−2]を用いた以外は光学用樹脂レンズ1−7の作製と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0297】
〔光学用樹脂レンズの耐久性評価〕
上記で得られた本発明の光学用樹脂レンズ1−7、1−8、1−10及び1−11、比較の光学用樹脂レンズ1−9及び1−12を、実施例1−1と同様に評価した。得られた結果を表3に示す。
【0298】
【表3】

【0299】
表3から、本発明の光学用樹脂レンズ1−7、1−8、1−10及び1−11は、比較のレンズ1−9及び1−12に比べて耐久性に優れていることが明らかである。
実施例2
〔触媒成分の調製〕
〈触媒第1成分Aの調製:本発明〉
市販のAA型三塩化チタン20gに、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPTA)3.0g(16.7mmol)を一度に添加し、アルゴン雰囲気下、室温で20時間ボールミルで混合、摩砕して、触媒第1成分Aを得た。
【0300】
〈触媒第1成分Bの調製:本発明〉
上記触媒第1成分Aの調製において、HMPTAに代えて、トリn−ブチルホスフィン(TNBP)を3.4g(16.8mmol)用いた以外は同様にして、触媒第1成分Bを得た。
【0301】
〈触媒第1成分Cの調製:本発明〉
上記触媒第1成分Aの調製において、HMPTAに代えて、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)を1.8g(15.5mmol)用いた以外は同様にして、触媒第1成分Cを得た。
【0302】
〈触媒第1成分Dの調製:比較例〉
上記触媒第1成分Aの調製において、HMPTAに代えて、ベンゾフェノンを2.9g(16.0mmol)用いた以外は同様にして、触媒第1成分Dを得た。
【0303】
〔共重合体及び水素添加物の合成〕
(合成例2−1:エチレン・ノルボルネン共重合体A−1の合成(本発明))
減圧乾燥及び窒素置換した15リットルのオートクレーブに、常温でノルボルネン887g(9.42mol)、シクロヘキサン777ml、トリイソブチルアルミニウム1.78g(8.98mmol)加え、続いて攪拌下でエチレンを588kPaまで加圧した後脱圧し、この加圧及び脱圧操作を3回繰り返した。その後、系内をエチレンで147kPaに加圧し、昇温を開始し80℃に到達させた。その後エチレンにて内圧が588kPaとなるように加圧した。15分間攪拌した後、上記調製した触媒第1成分Aの449.0mgを系内に添加することによって、エチレンとノルボルネンとの共重合を開始させた。重合中、エチレンを連続的に供給することにより内圧を、588kPaに保持した。60分後、重合反応をイソプロピルアルコールを添加することにより停止した。脱圧後、ポリマー溶液を取り出し、水1リットルに対して濃塩酸5mlを添加した水溶液と1:1の割合で用いて洗浄し、触媒残渣を水相に移行させた。この接触混合溶液を静置した後、水相を分離除去し、更に蒸留水で2回水洗し、重合液相を油水分離した。次いで、油水分離された重合液相を3倍量のアセトンと強攪拌下に接触させ、共重合体を析出させた後、アセトンで充分に洗浄し固体部(共重合体)を濾過により採取した。窒素流通下、130℃、46.6kPaで12時間乾燥した。
【0304】
以上のようにして得られたエチレン・ノルボルネン共重合体A−1の収量は291g、GPCで測定した数平均分子量Mnは98,200、Mw/Mnは1.81であり、ガラス転移点(Tg)は132℃、ノルボルネン含量は47.3mol%であった。
【0305】
(合成例2−2:ノルボルネン・1−ヘキセン共重合体B−1の合成(本発明))
減圧乾燥及び窒素置換した15リットルのオートクレーブに、常温でノルボルネンの887g(9.42mol)、1−ヘキセンの1178ml(9.42mol)、シクロヘキサン777ml、トリイソブチルアルミニウム1.78g(8.98mmol)加え、続いて攪拌下に窒素を588kPaまで加圧した後脱圧し、この加圧及び脱圧操作を3回繰り返した。その後、系内を窒素で147kPaに加圧し、昇温を開始し100℃に到達させた。その後窒素にて内圧が588kPaとなるように加圧した。15分間攪拌した後、上記調製した触媒第1成分Bの449.2mgを系内に添加することによって、ノルボルネンと1−ヘキセンとの共重合を開始させた。重合中、窒素を連続的に供給することにより内圧を588kPaに保持した。60分後、重合反応をイソプロピルアルコールを添加することにより停止した。脱圧後、ポリマー溶液を取り出し、水1リットルに対して濃塩酸5mlを添加した水溶液と1:1の割合で用いて洗浄し、触媒残渣を水相に移行させた。この接触混合溶液を静置した後、水相を分離除去し更に蒸留水で2回水洗し、重合液相を油水分離した。次いで、油水分離された重合液相を3倍量のアセトンと強攪拌下に接触させ、共重合体を析出させた後、アセトンで充分に洗浄し固体部(共重合体)を濾過により採取した。窒素流通下、130℃、46.6kPaで12時間乾燥した。
【0306】
以上のようにして得られたノルボルネン・1−ヘキセン共重合体B−1の収量は278g、GPCで測定した数平均分子量Mnは89,700、Mw/Mnは1.91であり、ガラス転移点(Tg)は125℃、ノルボルネン含量は58.1mol%であった。
【0307】
(合成例2−3:エチレン・ノルボルネン共重合体C−1の合成(本発明))
上記合成例2−1において、触媒第1成分Aに代えて、上記調製した触媒第1成分Cの449.0mgを用いた以外は同様にして、エチレン・ノルボルネン共重合体C−1を得た。このエチレン・ノルボルネン共重合体C−1の収量は283g、GPCで測定した数平均分子量Mnは87,200、Mw/Mnは1.72であり、ガラス転移点(Tg)は130℃、ノルボルネン含量は48.6mol%であった。
【0308】
(合成例2−4:エチレン・ノルボルネン共重合体D−1の合成(比較例))
上記合成例2−1において、触媒第1成分Aに代えて、上記調製した触媒第1成分Dの449.1mgを用いた以外は同様にして、エチレン・ノルボルネン共重合体D−1を得た。このエチレン・ノルボルネン共重合体D−1の収量は268g、GPCで測定した数平均分子量Mnは84,500、Mw/Mnは1.78であり、ガラス転移点(Tg)は129℃、ノルボルネン含量は46.1mol%であった。
【0309】
(合成例2−5:炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体A−2の合成(本発明))
25リットルのオートクレーブに、上記合成例2−1で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体A−1の250.0gを、乾燥テトラヒドロフラン(13.5L)に溶解して、水素添加触媒として予め調製したジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(200mg、0.21mmol)とトリエチルアルミニウム(125mg、1.06mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(1.5L)溶液を加え、水素圧8.5MPa、165℃で5時間水素添加反応を行った後、温度を室温まで戻し水素ガスを放出した。
【0310】
この共重合体水素添加物溶液を、撹拌下のメタノール(50L)液中に加えて共重合体水素添加物を析出させ、濾別分離後真空乾燥を行うことにより白色粉末状の炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体A−2を得た。得られた炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体A−2の1H−NMRから算出した水素添加率は、主鎖のオレフィンのプロトンに帰属するピークが認められず、その水素添加率は100%であり、GPCで測定した数平均分子量Mnは94,200、Mw/Mnは1.71であり、DSCで測定したガラス転移温度は131℃であった。
【0311】
(合成例2−6:炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体B−2の合成(本発明))
上記合成例2−5において、合成例2−1で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体A−1に代えて、合成例2−2で得られたノルボルネン・1−ヘキセン共重合体B−1を用いた以外は同様にして、白色粉末状の炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体B−2を得た。
【0312】
この炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体B−2は、1H−NMRから算出した水素添加率は主鎖のオレフィンのプロトンに帰属するピークが認められず、その水素添加率は100%であり、GPCで測定した数平均分子量Mnは83,700、Mw/Mnは1.86であり、DSCで測定したガラス転移温度は120℃であった。
【0313】
(合成例2−7:炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体C−2の合成(比較例))
上記合成例2−5において、合成例2−1で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体A−1に代えて、合成例2−3で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体C−1を用いた以外は同様にして白色粉末状の炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体C−2を得た。
【0314】
この炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体C−2は、1H−NMRから算出した水素添加率は主鎖のオレフィンのプロトンに帰属するピークが認められず、その水素添加率は100%であり、GPCで測定した数平均分子量Mnは80,300、Mw/Mnは1.67であり、DSCで測定したガラス転移温度は127℃であった。
【0315】
(合成例2−8:炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体D−2の合成(比較例))
上記合成例2−5において、合成例2−1で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体A−1に代えて、合成例2−4で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体D−1を用いた以外は同様にして白色粉末状の炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体D−2を得た。
【0316】
この炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体D−2は、1H−NMRから算出した水素添加率は主鎖のオレフィンのプロトンに帰属するピークが認められず、その水素添加率は100%であり、GPCで測定した数平均分子量Mnは82,900、Mw/Mnは1.64であり、DSCで測定したガラス転移温度は125℃であった。
【0317】
実施例2−1
《光学用樹脂レンズの作製》
〔光学用樹脂レンズ2−1の作製:本発明〕
上記合成例2−1で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体A−1の200gを、ポリラボシステム(英弘精機(株)製)を用いて、窒素雰囲気下190℃で10分間混練を行った。上記と同一条件で10バッチの混練を行った材料を作製し、粉砕した。粉砕された材料を用いて、インライン射出成型機により、型締圧力490kN、金型温度120℃、射出圧力69.0MPaで射出成型を行い、直径1cmの光学用樹脂レンズ2−1を20個作製した。
【0318】
〔光学用樹脂レンズ2−2の作製:本発明〕
上記光学用樹脂レンズ2−1の作製において、エチレン・ノルボルネン共重合体A−1に代えて、合成例2−2で得られたノルボルネン・1−ヘキセン共重合体B−1を用いた以外は同様にして、直径1cmの光学用樹脂レンズ2−2を20個作製した。
【0319】
〔光学用樹脂レンズ2−3の作製:本発明〕
上記光学用樹脂レンズ2−1の作製において、エチレン・ノルボルネン共重合体A−1に代えて、合成例2−3で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体C−1を用いた以外は同様にして、直径1cmの光学用樹脂レンズ2−3を20個作製した。
【0320】
〔光学用樹脂レンズ2−4の作製:比較例〕
上記光学用樹脂レンズ2−1の作製において、エチレン・ノルボルネン共重合体A−1に代えて、合成例2−4で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体D−1を用いた以外は同様にして、直径1cmの光学用樹脂レンズ2−4を20個作製した。
【0321】
《光学用樹脂レンズの耐久性評価》
上記作製した光学用樹脂レンズ2−1〜2−4の各々を、図1に示す光ピックアップ装置の対物レンズとして用い、60℃の雰囲気下、15mWの青色レーザ光(波長405nm)を500時間連続照射、2000時間連続照射した時の各々の連続照射後のレンズの白濁の度合いを目視観察し、下記の基準にしたがって耐久性の評価を行った。
【0322】
○:白濁発生等が全くなく、実用上許容の範囲にある
△:僅かに白濁発生が観察されるが、実用上許容の範囲にある
×:白濁発生等が明らかに観察され、実用上不可である
以上により得られた評価結果を、表4に示す。
【0323】
【表4】

【0324】
表4に記載の結果より明らかなように、比較の光学用樹脂レンズ2−4に比べて、本発明の光学用樹脂レンズ2−1〜2−3は優れた耐久性を示すことが明らかである。
【0325】
実施例2−2
《光学用樹脂レンズの作製》
〔光学用樹脂レンズ2−5の作製:本発明〕
実施例2−1に記載の光学用樹脂レンズ2−1の作製において、エチレン・ノルボルネン共重合体A−1に代えて、前記合成例5で得られた炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体A−2を用いた以外は同様にして、直径1cmの光学用樹脂レンズ2−5を20個作製した。
【0326】
〔光学用樹脂レンズ2−6の作製:本発明〕
上記光学用樹脂レンズ2−5の作製において、炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体A−2に代えて、前記合成例2−6で得られた炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体B−2を用いた以外は同様にして、直径1cmの光学用樹脂レンズ2−6を20個作製した。
【0327】
〔光学用樹脂レンズ2−7の作製:本発明〕
上記光学用樹脂レンズ2−5の作製において、炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体A−2に代えて、前記合成例2−7で得られた炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体C−2を用いた以外は同様にして、直径1cmの光学用樹脂レンズ2−7を20個作製した。
【0328】
〔光学用樹脂レンズ2−8の作製:比較例〕
上記光学用樹脂レンズ2−5の作製において、炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体A−2に代えて、前記合成例2−8で得られた炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体D−2を用いた以外は同様にして、直径1cmの光学用樹脂レンズ2−8を20個作製した。
【0329】
《光学用樹脂レンズの耐久性評価》
上記作製した光学用樹脂レンズ2−5〜2−8の各々を、実施例2−1に記載の方法と同様にして耐久性の評価を行い、得られた結果を表5に示す。
【0330】
【表5】

【0331】
表5に記載の結果より明らかなように、比較の光学用樹脂レンズ2−8に比べて、本発明の光学用樹脂レンズ2−5〜2−7は優れた耐久性を示すことが明らかである。
【0332】
実施例2−3
《光学用樹脂レンズの作製》
〔光学用樹脂レンズ2−9の作製〕
前記合成例2−1で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体A−1を、実施例2−1に記載の光学用樹脂レンズ2−1の作製と同様な方法で調製して粉砕物とし、インライン射出成型機で、型締圧力490kN、金型温度120℃、射出圧力67.0MPaで射出成型を行った。このとき、樹脂フィード量100gに対し、0.5gのイルガノックス1010(チバ・ガイギー社製、フェノール系酸化防止剤)を添加しながら、直径1cmの光学用樹脂レンズ2−7を20個作製した。
【0333】
〔光学用樹脂レンズ2−10〜2−16の作製〕
上記光学用樹脂レンズ2−7の作製において、エチレン・ノルボルネン共重合体A−1に代えて、前記合成例2−2で得られたノルボルネン・1−ヘキセン共重合体B−1、合成例2−3で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体C−1、合成例2−4で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体D−1、合成例2−5で得られた炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体A−2、合成例2−6で得られた炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体B−2、合成例2−7で得られた炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体C−2、合成例2−8で得られた炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体D−2にそれぞれ変更した以外は同様にして、光学用樹脂レンズ2−10〜2−16を作製した。
【0334】
《光学用樹脂レンズの耐久性評価》
上記作製した光学用樹脂レンズ2−9〜2−16の各々を、実施例2−1に記載の方法と同様にして耐久性の評価を行い、得られた結果を表6に示す。
【0335】
【表6】

【0336】
表6に記載の結果より明らかなように、比較の光学用樹脂レンズ2−12、2−16に比べて、本発明の光学用樹脂レンズ2−9〜2−11、2−13〜2−15はそれぞれ優れた耐久性を示すことが明らかである。
実施例3
〔触媒成分(b)の調製〕
フラスコ内で削り状のマグネシウム12.2gを減圧乾燥させ、次いで脱水n−ヘプタン800ml、ヨウ素0.02g、n−ブチルクロリド10mlを加え、加熱撹拌を行なった。反応が開始した時点で、n−ブチルクロリド47.5mlを還流下、約80分間で滴下した。滴下終了後6時間還流を続け、その後未反応マグネシウムと生成白色粉末とを分離し、続いて濾過、乾燥によりマグネシウムとn−ブチルクロリドの反応生成物を単離した。この白色粉末5.8gをn−ヘプタン50ml中へ懸濁させ、ジエチルエーテル5.8mlとn−ヘプタン50mlの混合溶液を加え、約25℃で1時間反応させた。反応終了後、溶媒をグラスフィルターにより炉別し、0℃に冷却下に四塩化チタン20mlを加え、四塩化チタンの沸点で2時間反応させた。この反応生成物をn−ヘプタン100mlで四回洗浄し、続いて減圧乾燥を行うことにより固体触媒成分(b)を得た。この触媒はTi、Mg及びClをそれぞれ1.7、20.5、67.8質量%含有していた。
【0337】
〔合成例3−1〕エチレン・ノルボルネン共重合体の合成[A−1];本発明
減圧乾燥および窒素置換した15Lのオートクレーブに、常温でノルボルネン887g(9.42mol)、シクロヘキサン777ml、触媒成分(a)としてトリエチルアルミニウム6.10g(53.5mmol)、触媒成分(c)として安息香酸イソプロピル1.46g(8.91mmol)を加え、続いて攪拌下にエチレンを0.588MPaGまで加圧した後、脱圧し、この加圧脱圧操作を3回繰り返した。その後、系内をエチレンで0.147MPaGに加圧し、昇温を開始し80℃に到達させた。その後、エチレンにて内圧が0.588MPaGとなるように加圧した。15分間攪拌した後、上記で調製した触媒成分(b)178.2mgを系内に添加することによって、エチレンとノルボルネンとの共重合を開始させた。重合中、エチレンを連続的に供給することにより、内圧を0.588MPaGに保持した。60分後、重合反応をイソプロピルアルコールを添加することにより停止した。脱圧後、ポリマー溶液を取り出し、水1Lに対して濃塩酸5mlを添加した水溶液と1:1の割合で用いて洗浄し、触媒残渣を水相に移行させた。この接触混合溶液を静置した後、水相を分離除去し、更に蒸留水で2回水洗し、重合液相を油水分離した。次いで、油水分離された重合液相を3倍量のアセトンと強攪拌下に接触させ、重合体を析出させた後、アセトンで充分に洗浄し、固体部(共重合体)を濾過により採取した。窒素流通下、130℃、4.67×104Paで12時間乾燥した。
【0338】
以上のようにして得られたエチレン・ノルボルネン共重合体[A−1]の収量は335g、GPCで測定した数平均分子量Mnは118500、Mw/Mnは1.72であり、ガラス転移点(Tg)は136℃、ノルボルネン含量は48.2mol%であった。
【0339】
〔合成例3−2〕ノルボルネン・1−ヘキセン共重合体[B−1]の合成;本発明
減圧乾燥および窒素置換した15Lのオートクレーブに、常温でノルボルネン887g(9.42mol)、1−ヘキセン1178ml(9.42mol)、シクロヘキサン777ml、触媒成分(a)としてトリエチルアルミニウム6.11g(53.5mmol)、触媒成分(c)としてp−アニス酸シクロヘキシル2.09g(8.91mmol)
を加え、続いて攪拌下に窒素を0.588MPaGまで加圧した後、脱圧し、この加圧脱圧操作を3回繰り返した。その後、系内を窒素で0.147MPaGに加圧し、昇温を開始し100℃に到達させた。その後窒素にて内圧が0.588MPaGとなるように加圧した。15分間攪拌した後、上記で調製した触媒成分(b)178.2mgを系内に添加することによって、ノルボルネンと1−ヘキセンとの共重合を開始させた。重合中、窒素を連続的に供給することにより内圧を0.588MPaGに保持した。60分後、重合反応をイソプロピルアルコールを添加することにより停止した。脱圧後、ポリマー溶液を取り出し、水1Lに対して濃塩酸5mlを添加した水溶液と1:1の割合で用いて洗浄し、触媒残渣を水相に移行させた。この接触混合溶液を静置した後、水相を分離除去し、更に蒸留水で2回水洗し、重合液相を油水分離した。次いで、油水分離された重合液相を3倍量のアセトンと強攪拌下に接触させ、重合体を析出させた後、アセトンで充分に洗浄し、固体部(共重合体)を濾過により採取した。窒素流通下、130℃、4.67×104Paで12時間乾燥した。
【0340】
以上のようにして得られたノルボルネン・1−ヘキセン共重合体[B−1]の収量は312g、GPCで測定した数平均分子量Mnは106300、Mw/Mnは1.83であり、ガラス転移点(Tg)は131℃、ノルボルネン含量は61.3mol%であった。
【0341】
〔合成例3−3〕エチレン・ノルボルネン共重合体の合成[C−1];本発明
〔合成例3−1〕において、触媒成分(c)を系内に添加しない以外は同様に行なった。エチレン・ノルボルネン共重合体[C−1]の収量は342g、GPCで測定した数平均分子量Mnは113700、Mw/Mnは1.87であり、ガラス転移点(Tg)は133℃、ノルボルネン含量は48.2mol%であった。
【0342】
〔合成例3−4〕エチレン・ノルボルネン共重合体[D−1]の合成;比較例
〔合成例3−1〕において、触媒成分(c)として安息香酸イソプロピル4.39g(26.7mmol)を系内に添加する以外は同様に行なった。エチレン・ノルボルネン共重合体[D−1]の収量は306g、GPCで測定した数平均分子量Mnは111900、Mw/Mnは1.91であり、ガラス転移点(Tg)は138℃、ノルボルネン含量は47.9mol%であった。
【0343】
〔合成例3−5〕炭素−炭素二重結合を水素化した重合体の合成;本発明
25Lのオートクレーブに〔合成例3−1〕で得られた共重合体粉末[A−1]250.0gを乾燥テトラヒドロフラン(13.5L)に溶解して、水素添加触媒として予め調製したジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(200mg、0.21mmol)とトリエチルアルミニウム(125mg、1.06mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(1.5L)溶液を加え、水素圧8.5MPaG、165℃で5時間水素添加反応を行った後、温度を室温まで戻し水素ガスを放出した。
【0344】
この共重合体水素添加物溶液を撹拌下のメタノール(50L)液中に加えて共重合体水素添加物を析出させ、濾別分離後真空乾燥を行うことにより白色粉末状の共重合体水素添加物[A−2]を得た。得られた共重合体水素添加物の1H−NMRから算出した水素添加率は、主鎖のオレフィンのプロトンに帰属するピークが認められず、その水素添加率は100%であり、GPCで測定した数平均分子量Mnは109400、Mw/Mnは1.71であり、DSCで測定したガラス転移温度は132℃であった。
【0345】
〔合成例3−6〕炭素−炭素二重結合を水素化した重合体の合成;本発明
〔合成例3−5〕において、〔合成例3−1〕で得られた共重合体粉末[A−1]の代わりに、〔合成例3−2〕で得られた共重合体粉末[B−1]を用いた以外は同様に行い、白色粉末状の共重合体水素添加物[B−2]を得た。
【0346】
1H−NMRから算出した水素添加率は主鎖のオレフィンのプロトンに帰属するピークが認められず、その水素添加率は100%であり、GPCで測定した数平均分子量Mnは100700、Mw/Mnは1.78であり、DSCで測定したガラス転移温度は125℃であった。
【0347】
〔合成例3−7〕炭素−炭素二重結合を水素化した重合体の合成;本発明
〔合成例3−5〕において、〔合成例3−1〕で得られた共重合体粉末[A−1]の代わりに、〔合成例3−3〕で得られた共重合体粉末[C−1]を用いた以外は同様に行い、白色粉末状の共重合体水素添加物[C−2]を得た。
【0348】
1H−NMRから算出した水素添加率は主鎖のオレフィンのプロトンに帰属するピークが認められず、その水素添加率は100%であり、GPCで測定した数平均分子量Mnは111600、Mw/Mnは1.82であり、DSCで測定したガラス転移温度は128℃であった。
【0349】
〔合成例3−8〕炭素−炭素二重結合を水素化した重合体の合成;比較例
〔合成例3−5〕において、〔合成例3−1〕で得られた共重合体粉末[A−1]の代わりに、〔合成例3−4〕で得られた共重合体粉末[D−1]を用いた以外は同様に行い、白色粉末状の共重合体水素添加物[D−2]を得た。
【0350】
1H−NMRから算出した水素添加率は主鎖のオレフィンのプロトンに帰属するピークが認められず、その水素添加率は100%であり、GPCで測定した数平均分子量Mnは108700、Mw/Mnは1.84であり、DSCで測定したガラス転移温度は134℃であった。
【0351】
実施例3−1
《光学用樹脂レンズ3−1の作製》:本発明
〔合成例3−1〕で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体[A−1]200gを、ポリラボシステム(英弘精機(株))を用いて窒素雰囲気下190℃、10分間混練を行った。前記と同一条件で10バッチ混練を行った材料を作製し、粉砕した。粉砕された材料を用いてインライン射出成型機により、型締圧力50t、金型温度120℃、射出圧力69.0MPaで射出成型を行い、直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0352】
《光学用樹脂レンズ3−2の作製》:本発明
〔合成例3−2〕で得られたノルボルネン・1−ヘキセン共重合体[B−1]を用いた以外は、光学用樹脂レンズ3−1の作製と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0353】
《光学用樹脂レンズ3−3の作製》:本発明
〔合成例3−3〕で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体[C−1]を用いた以外は、光学用樹脂レンズ3−1の作製と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0354】
《光学用樹脂レンズ3−4の作製》:比較例
〔合成例3−4〕で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体[D−1]を用いた以外は、光学用樹脂レンズ3−1の作製と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0355】
《レンズの耐久性評価》
光学異方性については、目視観察でも評価可能である。
【0356】
上記で得られた本発明の光学用樹脂レンズ3−1、3−2及び3−3、比較の光学用樹脂レンズ3−4の各々を図1に示すような光ピックアップ装置の対物レンズとして用い、60℃の雰囲気下、15mWのブルーレーザ光(波長405nm)を500時間連続照射、2000時間連続照射した時の各々の連続照射後のレンズの白濁の度合いを目視観察し、下記のようにランク評価した。得られた結果を以下の表7に示す。
【0357】
【表7】

【0358】
○:白濁発生等が全くない(実用可)
△:僅かに白濁発生が観察される(実用可)
×:白濁発生等が明らかに観察される(実用不可)
上記表7から、比較のレンズ3−4に比べて、本発明の光学用樹脂レンズ3−1、3−2及び3−3は優れた耐久性を示すことが明らかである。
【0359】
実施例3−2
《光学用樹脂レンズ3−5の作製》:本発明
〔合成例3−5〕で得られた共重合体水素添加物[A−2]を用いた以外は、光学用樹脂レンズ3−1の作製と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0360】
《光学用樹脂レンズ3−6の作製》:本発明
〔合成例3−6〕で得られた共重合体水素添加物[B−2]を用いた以外は、光学用樹脂レンズ3−1の作製と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0361】
《光学用樹脂レンズ3−7の作製》:本発明
〔合成例3−7〕で得られた共重合体水素添加物[C−2]を用いた以外は、光学用樹脂レンズ3−1の作製と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0362】
《光学用樹脂レンズ3−8の作製》:比較例
〔合成例3−8〕で得られた共重合体水素添加物[D−2]を用いた以外は、光学用樹脂レンズ3−1の作製と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0363】
《レンズの耐久性評価》
光学異方性については、目視観察でも評価可能である。上記で得られた本発明の光学用樹脂レンズ3−5、3−6及び3−7、比較の光学用樹脂レンズ3−8の各々を、実施例3−1のレンズの耐久性評価と同様な方法により、レンズの白濁の度合いを目視観察し、下記のようにランク評価した。得られた結果を以下の表8に示す。
【0364】
【表8】

【0365】
○:白濁発生等が全くない(実用可)
△:僅かに白濁発生が観察される(実用可)
×:白濁発生等が明らかに観察される(実用不可)
上記表8から、比較のレンズ3−8に比べて、本発明の光学用樹脂レンズ3−5、3−6及び3−7は優れた耐久性を示すことが明らかである。
【0366】
実施例3−3
《光学用樹脂レンズ3−9の作製》:本発明
〔合成例3−1〕で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体[A−1]を、実施例3−1の光学用樹脂レンズ3−1の作製と同様な方法で得た粉砕物により、インライン射出成型機で、型締圧力50t、金型温度120℃、射出圧力67.0MPaで射出成型を行った。このとき樹脂フィード量100gに対し、0.5gのイルガノックス1010(チバ・ガイギー製、フェノール系酸化防止剤)を添加しながら直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0367】
同様な方法により、〔合成例3−2〕で得られたノルボルネン・1−ヘキセン共重合体[B−1]、〔合成例3−3〕で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体[C−1]及び〔合成例3−4〕で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体[D−1]を用い、光学用樹脂レンズ3−10(本発明)、光学用樹脂レンズ3−11(本発明)及び光学用樹脂レンズ3−12(比較例)を作製した。更に、〔合成例3−5〕で得られた共重合体水素添加物[A−2]、〔合成例3−6〕で得られた共重合体水素添加物[B−2]、〔合成例3−7〕で得られた共重合体水素添加物[C−2]及び〔合成例3−8〕で得られた共重合体水素添加物[D−2]を用い、光学用樹脂レンズ3−13(本発明)、光学用樹脂レンズ3−14(本発明)、光学用樹脂レンズ3−15(本発明)及び光学用樹脂レンズ3−16(比較例)を作製した。
【0368】
《レンズの耐久性評価》
光学異方性については、目視観察でも評価可能である。上記で得られた本発明の光学用樹脂レンズ3−9、3−10、3−11、3−13、3−14及び3−15、比較のレンズ3−12、3−16の各々を、実施例3−1のレンズの耐久性評価と同様な方法により、レンズの白濁の度合いを目視観察し、下記のようにランク評価した。得られた結果を以下に示す。
【0369】
【表9】

【0370】
○:白濁発生等が全くない(実用可)
△:僅かに白濁発生が観察される(実用可)
×:白濁発生等が明らかに観察される(実用不可)
上記表9から、比較のレンズ3−12、3−16に比べて、本発明の光学用樹脂レンズ3−9、3−10、3−11、3−13、3−14、3−15は優れた耐久性を示すことが明らかである。
実施例4
(n−ブチルマグネシウム−1−プロポキシドの合成)
乾燥窒素で置換した300mlのフラスコに金属マグネシウム粉末8g及びメチルシクロヘキサン100mlを仕込み、還流温度下で撹拌した。次いで1−プロピルアルコール6.6g(110mmol)及び塩化n−ブチル10.2g(110mmol)の混合物を10分で滴下し、同一条件で30分撹拌した。更に同一条件下で、塩化n−ブチル10.2g(110mmol)を10分で滴下し、2時間の撹拌を行なって反応を完結させた。反応完結後、室温で未反応の金属マグネシウム及び塩化マグネシウムをグラスフィルターを用いて分離、除去して、n−ブチルマグネシウム−1−プロポキシドがメチルシクロヘキサンの1.06mol/l溶液[1]として得られた。
【0371】
(チタン含有固体触媒成分の調製4−1):本発明
上記調製したメチルシクロヘキサン溶液[1]9.4ml(10mmol)を乾燥窒素置換した200mlフラスコに仕込み、室温下で撹拌しながら四塩化ケイ素10mmolを徐々に滴下し、同条件下に30分間撹拌したが、反応液は無色透明の均一溶液であった。次いで100℃に昇温して1時間の撹拌を行なったところ、昇温時に白濁し沈殿が表れた。室温まで昇温後、溶媒を減圧下で留去し、乾燥することによって白色粉末を得た。次いで白色粉末に四塩化チタン200mmolを加え130℃に昇温し、同温度で1時間反応した後室温に冷却し、上澄み液を分離し、沈殿をn−ヘプタン100mlで4回洗浄して淡褐色の固体[A]を得た。得られた固体のチタン含有量は2.7質量%であった。
【0372】
(チタン含有固体触媒成分の調製4−2):比較例
チタン含有固体触媒成分の調製4−1において、四塩化ケイ素10mmol添加時にエチルベンゾエートも同時に2mmol添加した以外は同様にして、チタン含量2.8質量%の触媒成分[B]を得た。
【0373】
合成例4−1
エチレン・ノルボルネン共重合体[A−1]の合成:本発明
減圧乾燥及び窒素置換した15Lのオートクレーブに、常温でノルボルネン887g(9.42mol)、シクロヘキサン777ml、トリエチルアルミニウム411.0mg(3.60mmol)、安息香酸エチル84.6mg(0.56mmol)加え、続いて攪拌下にエチレンを600kPaまで加圧した後、脱圧し、この加圧脱圧操作を3回繰り返した。その後、系内をエチレンで150kPaに加圧し、昇温を開始し80℃に到達させた。その後エチレンにて内圧が600kPaとなるように加圧した。15分間攪拌した後、チタン含有固体触媒成分の調製1で調製した触媒成分〔A〕443.0mgを系内に添加することによって、エチレンとノルボルネンとの共重合を開始させた。重合中、エチレンを連続的に供給することにより内圧を600kPaに保持した。60分後、重合反応をイソプロピルアルコールを添加することにより停止した。脱圧後、ポリマー溶液を取り出し、水1Lに対して濃塩酸5mlを添加した水溶液と1:1の割合で用いて洗浄し触媒残渣を水相に移行させた。この接触混合溶液を静置した後、水相を分離除去しさらに蒸留水で2回水洗し、重合液相を油水分離した。次いで油水分離された重合液相を3倍量のアセトンと強攪拌下に接触させ、重合体を析出させた後、アセトンで充分に洗浄し固体部(共重合体)を濾過により採取した。窒素流通下、130℃、47kPaで12時間乾燥した。
【0374】
以上のようにして得られたエチレン・ノルボルネン共重合体[A−1]の収量は294g、GPCで測定した数平均分子量Mnは86300、Mw/Mnは1.91でありガラス転移点(Tg)は130℃、ノルボルネン含量は42.9mol%であった。
【0375】
合成例4−2
ノルボルネン・1−ヘキセン共重合体[B−1]の合成:本発明
減圧乾燥及び窒素置換した15Lのオートクレーブに、常温でノルボルネン887g(9.42mol)、1−ヘキセン1178ml(9.42mol)、シクロヘキサン777ml、トリエチルアルミニウム410.0mg(3.59mmol)、安息香酸エチル85.0mg(0.56mmol)加え、続いて攪拌下に窒素を600kPaまで加圧した後、脱圧し、この加圧脱圧操作を3回繰り返した。その後、系内を窒素で150kPaに加圧し、昇温を開始し100℃に到達させた。その後窒素にて内圧が600kPaとなるように加圧した。15分間攪拌した後、チタン含有固体触媒成分の調製1で調製した触媒成分〔A〕443.0mgを系内に添加することによって、ノルボルネンと1−ヘキセンとの共重合を開始させた。重合中、窒素を連続的に供給することにより内圧を600kPaに保持した。60分後、重合反応をイソプロピルアルコールを添加することにより停止した。脱圧後、ポリマー溶液を取り出し、水1Lに対して濃塩酸5mlを添加した水溶液と1:1の割合で用いて洗浄し触媒残渣を水相に移行させた。この接触混合溶液を静置した後、水相を分離除去しさらに蒸留水で2回水洗し、重合液相を油水分離した。次いで油水分離された重合液相を3倍量のアセトンと強攪拌下に接触させ、重合体を析出させた後、アセトンで充分に洗浄し固体部(共重合体)を濾過により採取した。窒素流通下、130℃、47kPaで12時間乾燥した。
【0376】
以上のようにして得られたノルボルネン・1−ヘキセン共重合体[B−1]の収量は285g、GPCで測定した数平均分子量Mnは79100、Mw/Mnは1.76でありガラス転移点(Tg)は127℃、ノルボルネン含量は58.5mol%であった。
【0377】
比較合成例4−1
エチレン・ノルボルネン共重合体[C−1]の合成:比較例
合成例4−1において、チタン含有固体触媒成分の調製4−2で調製した触媒成分[B]442.6mgを系内に添加する以外は同様に行なった。エチレン・ノルボルネン共重合体[C−1]の収量は311g、GPCで測定した数平均分子量Mnは96400、Mw/Mnは1.87でありガラス転移点(Tg)は123℃、ノルボルネン含量は41.8mol%であった。
【0378】
合成例4−3
炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体の合成:本発明
25Lのオートクレーブに合成例1で得られた共重合体粉末[A−1]250.0gを乾燥テトラヒドロフラン(13.5L)に溶解して、水素添加触媒として予め調製したジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(200mg、0.21mmol)とトリエチルアルミニウム(125mg、1.06mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(1.5L)溶液を加え、水素圧8.5MPa、165℃で5時間水素添加反応を行った後、温度を室温まで戻し水素ガスを放出した。
【0379】
この開環メタセシス重合体水素添加物溶液を撹拌下のメタノール(50L)液中に加えて共重合体水素添加物を析出させ、濾別分離後真空乾燥を行うことにより白色粉末状の共重合体水素添加物[A−2]を得た。得られた共重合体水素添加物の1H−NMRから算出した水素添加率は主鎖のオレフィンのプロトンに帰属するピークが認められず、その水素添加率は100%であり、GPCで測定した数平均分子量Mnは84700、Mw/Mnは1.83であり、DSCで測定したガラス転移温度は127℃であった。
【0380】
合成例4−4
炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体の合成:本発明
合成例4−3において合成例1で得られた共重合体粉末[A−1]の代わりに、合成例2で得られた共重合体粉末[B−1]を用いた以外は同様に行ない白色粉末状の共重合体水素添加物[B−2]を得た。
【0381】
1H−NMRから算出した水素添加率は主鎖のオレフィンのプロトンに帰属するピークが認められず、その水素添加率は100%であり、GPCで測定した数平均分子量Mnは81300、Mw/Mnは1.65であり、DSCで測定したガラス転移温度は122℃であった。
【0382】
比較合成例4−2
炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体の合成:比較例
合成例4−3において合成例4−1で得られた共重合体粉末[A−1]の代わりに、比較合成例4−1で得られた共重合体粉末[C−1]を用いた以外は同様に行ない白色粉末状の共重合体水素添加物[C−2]を得た。
【0383】
1H−NMRから算出した水素添加率は主鎖のオレフィンのプロトンに帰属するピークが認められず、その水素添加率は100%であり、GPCで測定した数平均分子量Mnは94700、Mw/Mnは1.77であり、DSCで測定したガラス転移温度は117℃であった。
【0384】
実施例4−1
〔光学用樹脂レンズの作製〕
(光学用樹脂レンズ4−1):本発明
合成例4−1で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体[A−1]200gをポリラボシステム(英弘精機(株))を用いて窒素雰囲気下190℃、10分間混練を行った。前記と同一条件で10バッチ混練を行った材料を作製し、粉砕した。粉砕された材料を用いてインライン射出成型機により、型締圧力50t、金型温度120℃、射出圧力69.0MPaで射出成型を行い、直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0385】
(光学用樹脂レンズ2):本発明
合成例4−2で得られたノルボルネン・1−ヘキセン共重合体[B−1]を用いた以外は光学用樹脂レンズ4−1の作製と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0386】
(光学用樹脂レンズ4−3):比較例
比較合成例4−1で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体[C−1]を用いた以外は光学用樹脂レンズ4−1の作製と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0387】
〔光学用樹脂レンズの耐久性評価〕
上記で得られた本発明の光学用樹脂レンズ4−1及び4−2、比較の光学用樹脂レンズ4−3を、図1に示すような光ピックアップ装置の対物レンズとして用い、60℃の雰囲気下、15mWの青色レーザ光(波長405nm)を500時間連、2000時間連続照射した時の各々の連続照射後のレンズの白濁の度合いを目視観察し、下記のようにランク評価した。評価の結果を表10に示す。
【0388】
○:白濁発生等が全くない(実用可)
△:僅かに白濁発生が観察される(実用可)
×:白濁発生等が明らかに観察される(実用不可)
【0389】
【表10】

【0390】
表10から、本発明の光学用樹脂レンズ4−1及び4−2は、比較のレンズ4−3に比べて耐久性に優れていることが明らかである。
【0391】
実施例4−2
〔光学用樹脂レンズの作製〕
(光学用樹脂レンズ4−4):本発明
合成例4−3で得られた共重合体水素添加物[A−2]を用いた以外は光学用樹脂レンズ4−1の作製と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0392】
(光学用樹脂レンズ4−5):本発明
合成例4−3で得られた共重合体水素添加物[B−2]を用いた以外は光学用樹脂レンズ4−1の作製と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0393】
(光学用樹脂レンズ4−6):比較例
比較合成例4−2で得られた共重合体水素添加物[C−2]を用いた以外は光学用樹脂レンズ4−1の作製と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0394】
〔光学用樹脂レンズの耐久性評価〕
上記で得られた本発明の光学用樹脂レンズ4−4及び4−5、比較の光学用樹脂レンズ4−6を、実施例4−1と同様に評価した。得られた結果を表11に示す。
【0395】
【表11】

【0396】
表11から、本発明の光学用樹脂レンズ4−4及び4−5は、比較のレンズ4−6に比べて耐久性に優れていることが明らかである。
【0397】
実施例4−3
〔光学用樹脂レンズの作製〕
(光学用樹脂レンズ4−7):本発明
合成例4−1で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体[A−1]を実施例4−1の光学用樹脂レンズ4−1の作製と同様な方法で得た粉砕物により、インライン射出成型機で、型締圧力50t、金型温度120℃、射出圧力67.0MPaで射出成型を行った。このとき樹脂フィード量100gに対し0.5gのイルガノックス1010(チバスペシャリティケミカルズ社製、フェノール系酸化防止剤)を添加しながら直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0398】
(光学用樹脂レンズ4−8):本発明
合成例2で得られたノルボルネン・1−ヘキセン共重合体[B−1]を用いた以外は光学用樹脂レンズ4−7と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0399】
(光学用樹脂レンズ4−9):比較例
比較合成例4−1で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体[C−1]を用いた以外は光学用樹脂レンズ4−7の作製と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0400】
(光学用樹脂レンズ4−10):本発明
合成例4−3で得られた共重合体水素添加物[A−2]を用いた以外は光学用樹脂レンズ4−7と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0401】
(光学用樹脂レンズ4−11):本発明
合成例4−4で得られた共重合体水素添加物[B−2]を用いた以外は光学用樹脂レンズ4−7と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0402】
(光学用樹脂レンズ4−12):比較例
比較合成例4−2で得られた共重合体水素添加物[C−2]を用いた以外は光学用樹脂レンズ4−7の作製と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0403】
〔光学用樹脂レンズの耐久性評価〕
上記で得られた本発明の光学用樹脂レンズ4−7、4−8、4−10及び4−11、比較の光学用樹脂レンズ4−9及び4−12を、実施例4−1と同様に評価した。得られた結果を表12に示す。
【0404】
【表12】

【0405】
表12から、本発明の光学用樹脂レンズ4−7、4−8、4−10及び4−11は、比較のレンズ4−9及び4−12に比べて耐久性に優れていることが明らかである。
実施例5
(1)マグネシウム化合物の調製
乾燥窒素で置換した容器500mlの四ツ口フラスコに、トルエン100ml及び3.5mol/Lの濃度の塩化−n−ブチルマグネシウム(n−C49MgCl)のジ−n−ブチルエーテル溶液20.2mlを仕込み、これにi−ブチルアルコール6.5ml(70mmol)を25℃に保ちながら、撹拌下に滴下した。i−ブチルアルコール/n−C49MgClモル比は1.0である。添加終了後25℃で1時間撹拌を続けた。この反応生成物をヘプタン150mlで5回洗浄を行なった後、減圧下でヘプタンを留去し、乾燥を行ない白色の固体粉末[1]を得た。この固体の分析をしたところ、組成はほぼi−C49OMgClであった。
【0406】
(2)ポリシラノールの調製
容器1000mlの四ツ口フラスコに、ヘプタン500ml及びフェニルシラントリクロリド50g(236mmol)を仕込み、これに3.25mol/Lの濃度のカセイソーダ水溶液100mlを20℃で強撹拌下に滴下した。添加終了後20℃で1時間撹拌し、次いで水100mlで3回洗浄した。内容物を濾過し、減圧下で乾燥を行なって白色の粉末[2]27.3gを得た。OH基含有量は10.1mmol/gであった。
【0407】
(3)チタン含有固体触媒成分の調製5−1
乾燥窒素で置換した容器500mlの四ツ口フラスコに、トルエン100ml、上記マグネシウム化合物の調製で得られた白色の固体粉末[1]、9.39g(70mmol)
及び上記ポリシラノールの調製で得られた白色の粉末[2]、7.0g(OH基として70mmol)を仕込んだ。撹拌下80℃に昇温し、同温度で1.5時間反応を行なった。次いでトルエンを留去し、減圧下180℃で1時間加熱処理を行なった。次いで、0.5mol/Lの濃度のエチルベンゾエートのトルエン溶液14mlを仕込み、110℃で1時間撹拌を続けた。次いで反応生成物からトルエンを減圧下で留去し、乾燥を行なって白色の固体粉末[3]を得た。
【0408】
次いで、四塩化チタン154ml(1.4mol)を仕込んだ。撹拌下130℃に昇温し、同温度で0.5時間撹拌を続けた。反応生成物をヘプタンで洗浄液中に塩素の存在が認められなくなるまで洗浄を繰り返し、淡黄褐色のチタン含有固体触媒成分[A]を得た。得られた固体チタン含有量は2.3質量%であった。
【0409】
(4)チタン含有固体触媒成分の調製5−2
上記(3)チタン含有固体触媒成分の調製5−1において、エチルベンゾエートを添加使用しない以外は同様に行なって、チタン含量2.2質量%の触媒成分[B]を得た。
【0410】
(5)チタン含有固体触媒成分の調製5−3
上記(3)チタン含有固体触媒成分の調製5−1において、エチルベンゾエートのトルエン溶液を35ml添加した以外は同様に行なって、チタン含量2.8質量%の触媒成分[C]を得た。
【0411】
〔合成例5−1〕エチレン・ノルボルネン共重合体の合成[A−1];本発明
減圧乾燥および窒素置換した15Lのオートクレーブに、常温でノルボルネン887g(9.42mol)、シクロヘキサン777ml、トリエチルアルミニウム173.9mg(1.52mmol)加え、続いて攪拌下にエチレンを0.588MPaGまで加圧した後、脱圧し、この加圧脱圧操作を3回繰り返した。その後、系内をエチレンで0.147MPaGに加圧し、昇温を開始し80℃に到達させた。その後エチレンにて内圧が0.588MPaGとなるように加圧した。15分間攪拌した後、「チタン含有固体触媒成分の調製1」で調製した触媒成分A、317.1mg(0.152mmol)を系内に添加することによって、エチレンとノルボルネンとの共重合を開始させた。Al/Tiのモル比は10であった。重合中、エチレンを連続的に供給することにより内圧を0.588MPaGに保持した。60分後、重合反応をイソプロピルアルコールを添加することにより停止した。脱圧後、ポリマー溶液を取り出し、水1Lに対して濃塩酸5mlを添加した水溶液と1:1の割合で用いて洗浄し触媒残渣を水相に移行させた。この接触混合溶液を静置した後、水相を分離除去し更に蒸留水で2回水洗し、重合液相を油水分離した。次いで、油水分離された重合液相を3倍量のアセトンと強攪拌下に接触させ、重合体を析出させた後、アセトンで充分に洗浄し固体部(共重合体)を濾過により採取した。窒素流通下、130℃、4.67×104Paで12時間乾燥した。
【0412】
以上のようにして得られたエチレン・ノルボルネン共重合体[A−1]の収量は280g、GPCで測定した数平均分子量Mnは78600、Mw/Mnは1.78であり、ガラス転移点(Tg)は132℃、ノルボルネン含量は45.3mol%であった。
【0413】
〔合成例5−2〕ノルボルネン・1−ヘキセン共重合体[B−1]の合成;本発明
減圧乾燥および窒素置換した15Lのオートクレーブに、常温でノルボルネン887g(9.42mol)、1−ヘキセン1178ml(9.42mol)、シクロヘキサン777ml、トリエチルアルミニウム173.9mg(1.52mmol)加え、続いて攪拌下に窒素を0.588MPaGまで加圧した後、脱圧し、この加圧脱圧操作を3回繰り返した。その後、系内を窒素で0.147MPaGに加圧し、昇温を開始し100℃に到達させた。その後窒素にて内圧が0.588MPaGとなるように加圧した。15分間攪拌した後、「チタン含有固体触媒成分の調製2」で調製した触媒成分B、317.1mg(0.152mmol)を系内に添加することによって、ノルボルネンと1−ヘキセンとの共重合を開始させた。Al/Tiのモル比は10であった。重合中、窒素を連続的に供給することにより内圧を0.588MPaGに保持した。60分後、重合反応をイソプロピルアルコールを添加することにより停止した。脱圧後、ポリマー溶液を取り出し、水1Lに対して濃塩酸5mlを添加した水溶液と1:1の割合で用いて洗浄し、触媒残渣を水相に移行させた。この接触混合溶液を静置した後、水相を分離除去し更に蒸留水で2回水洗し、重合液相を油水分離した。次いで油水分離された重合液相を3倍量のアセトンと強攪拌下に接触させ、重合体を析出させた後、アセトンで充分に洗浄し固体部(共重合体)を濾過により採取した。窒素流通下、130℃、4.67×104Paで12時間乾燥した。
【0414】
以上のようにして得られたノルボルネン・1−ヘキセン共重合体[B−1]の収量は265g、GPCで測定した数平均分子量Mnは64300、Mw/Mnは1.86であり、ガラス転移点(Tg)は125℃、ノルボルネン含量は65.3mol%であった。
【0415】
〔合成例5−3〕エチレン・ノルボルネン共重合体[C−1]の合成;比較例
〔合成例5−1〕において、「チタン含有固体触媒成分の調製5−3」で調製した触媒成分C、317.1mg(0.152mmol)を系内に添加する以外は同様に行なった。エチレン・ノルボルネン共重合体[C−1]の収量は329g、GPCで測定した数平均分子量Mnは96400、Mw/Mnは1.91であり、ガラス転移点(Tg)は139℃、ノルボルネン含量は47.2mol%であった。
【0416】
〔合成例5−4〕炭素−炭素二重結合を水素化した重合体の合成;本発明
25Lのオートクレーブに〔合成例1〕で得られた共重合体粉末[A−1]250.0gを乾燥テトラヒドロフラン(13.5L)に溶解して、水素添加触媒として予め調製したジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(200mg、0.21mmol)とトリエチルアルミニウム(125mg、1.06mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(1.5L)溶液を加え、水素圧8.5MPaG、165℃で5時間水素添加反応を行った後、温度を室温まで戻し水素ガスを放出した。
【0417】
この共重合体水素添加物溶液を、撹拌下のメタノール(50L)液中に加えて共重合体水素添加物を析出させ、濾別分離後真空乾燥を行うことにより白色粉末状の共重合体水素添加物[A−2]を得た。得られた共重合体水素添加物の1H−NMRから算出した水素添加率は、主鎖のオレフィンのプロトンに帰属するピークが認められず、その水素添加率は100%であり、GPCで測定した数平均分子量Mnは76700、Mw/Mnは1.71であり、DSCで測定したガラス転移温度は129℃であった。
【0418】
〔合成例5−5〕炭素−炭素二重結合を水素化した重合体の合成;本発明
〔合成例5−4〕において、〔合成例5−1〕で得られた共重合体粉末[A−1]の代わりに、〔合成例5−2〕で得られた共重合体粉末[B−1]を用いた以外は同様に行ない、白色粉末状の共重合体水素添加物[B−2]を得た。
【0419】
1H−NMRから算出した水素添加率は、主鎖のオレフィンのプロトンに帰属するピークが認められず、その水素添加率は100%であり、GPCで測定した数平均分子量Mnは62800、Mw/Mnは1.78であり、DSCで測定したガラス転移温度は122℃であった。
【0420】
〔合成例5−6〕共重合体の合成;比較例
〔合成例5−4〕において、〔合成例5−1〕で得られた共重合体粉末[A−1]の代わりに、〔合成例5−3〕で得られた共重合体粉末[C−1]を用いた以外は同様に行ない、白色粉末状の共重合体水素添加物[C−2]を得た。
【0421】
1H−NMRから算出した水素添加率は、主鎖のオレフィンのプロトンに帰属するピークが認められず、その水素添加率は100%であり、GPCで測定した数平均分子量Mnは94400、Mw/Mnは1.87であり、DSCで測定したガラス転移温度は136℃であった。
【0422】
実施例5−1
《光学用樹脂レンズ5−1の作製》:本発明
〔合成例5−1〕で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体[A−1]200gを、ポリラボシステム(英弘精機(株))を用いて窒素雰囲気下190℃、10分間混練を行った。前記と同一条件で10バッチ混練を行った材料を作製し、粉砕した。粉砕された材料を用いてインライン射出成型機により、型締圧力50t、金型温度120℃、射出圧力69.0MPaで射出成型を行い、直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0423】
《光学用樹脂レンズ5−2の作製》:本発明
〔合成例5−2〕で得られたノルボルネン・1−ヘキセン共重合体[B−1]を用いた以外は、光学用樹脂レンズ5−1の作製と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0424】
《光学用樹脂レンズ5−3の作製》:比較例
〔合成例5−3〕で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体[C−1]を用いた以外は、光学用樹脂レンズ5−1の作製と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0425】
《レンズの耐久性評価》
光学異方性については、目視観察でも評価可能である。上記で得られた本発明の光学用樹脂レンズ5−1及び5−2、比較の光学用樹脂レンズ5−3の各々を、図1に示すような光ピックアップ装置の対物レンズとして用い、60℃の雰囲気下、15mWのブルーレーザ光(波長405nm)を500時間連続照射、2000時間連続照射した時の各々の連続照射後のレンズの白濁の度合いを目視観察し、下記のようにランク評価した。得られた結果を以下の表13に示す。
【0426】
【表13】

【0427】
○:白濁発生等が全くない(実用可)
△:僅かに白濁発生が観察される(実用可)
×:白濁発生等が明らかに観察される(実用不可)
上記表13から、比較のレンズ5−3に比べて、本発明の光学用樹脂レンズ5−1及び5−2は優れた耐久性を示すことが明らかである。
【0428】
実施例5−2
《光学用樹脂レンズ5−4の作製》:本発明
〔合成例5−4〕で得られた共重合体水素添加物[A−2]を用いた以外は、光学用樹脂レンズ5−4の作製と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0429】
《光学用樹脂レンズ5−5の作製》:本発明
〔合成例5−5〕で得られた共重合体水素添加物[B−2]を用いた以外は、光学用樹脂レンズ5−4の作製と同様な方法で直径1cmのレンズを20個作製した。
【0430】
《光学用樹脂レンズ5−6の作製》:比較例
〔合成例5−6〕で得られた共重合体水素添加物[C−2]を用いた以外は、光学用樹脂レンズ5−4の作製と同様な方法で直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0431】
《レンズの耐久性評価》
光学異方性については、目視観察でも評価可能である。上記で得られた本発明の光学用樹脂レンズ5−4及び5−5、比較の光学用樹脂レンズ5−6の各々を、実施例5−1のレンズの耐久性評価と同様な方法により、レンズの白濁の度合いを目視観察し、下記のようにランク評価した。得られた結果を以下の表14に示す。
【0432】
【表14】

【0433】
○:白濁発生等が全くない(実用可)
△:僅かに白濁発生が観察される(実用可)
×:白濁発生等が明らかに観察される(実用不可)
上記表14から、比較のレンズ5−6に比べて、本発明の光学用樹脂レンズ5−4及び5−5は優れた耐久性を示すことが明らかである。
【0434】
実施例5−3
《光学用樹脂レンズ5−7の作製》:本発明
〔合成例5−1〕で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体[A−1]を、実施例5−1の光学用樹脂レンズ5−1の作製と同様な方法で得た粉砕物により、インライン射出成型機で、型締圧力50t、金型温度120℃、射出圧力67.0MPaで射出成型を行った。このとき樹脂フィード量100gに対し、0.5gのイルガノックス1010(チバ・ガイギー製、フェノール系酸化防止剤)を添加しながら直徑1cmのレンズを20個作製した。
【0435】
同様な方法により、〔合成例5−2〕で得られたノルボルネン・1−ヘキセン共重合体[B−1]及び〔合成例5−3〕で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体[C−1]を用い、光学用樹脂レンズ5−8(本発明)、5−9(比較例)を作製した。
【0436】
更に、〔合成例5−4〕で得られた共重合体水素添加物[A−2]、〔合成例5〕で得られた共重合体水素添加物[B−2]及び〔合成例5−6〕で得られた共重合体水素添加物[C−2]を用い、光学用樹脂レンズ5−7の作製と同様な方法により、光学用樹脂レンズ5−10(本発明)、5−11(本発明)及び5−12(比較例)を作製した。
【0437】
《レンズの耐久性評価》
光学異方性については、目視観察でも評価可能である。上記で得られた本発明の光学用樹脂レンズ5−7及び5−8、比較の光学用樹脂レンズ5−9の各々を、実施例5−1のレンズの耐久性評価と同様な方法により、レンズの白濁の度合いを目視観察し、下記のようにランク評価した。得られた結果を以下の表15に示す。
【0438】
【表15】

【0439】
○:白濁発生等が全くない(実用可)
×:白濁発生等が明らかに観察される(実用不可)
上記表15から、比較のレンズ5−9、5−12に比べて、本発明の光学用樹脂レンズ5−7、5−8、5−10、5−11は優れた耐久性を示すことが明らかである。
実施例6
〔チタン含有固体触媒成分の合成例〕
(チタン含有固体触媒成分の調製6−1:本発明)
乾燥窒素置換した500mlフラスコにジフェニルシランジオール40mmolとトルエンを仕込み、これに3.2mmol/mlの塩化−n−ブチルマグネシウムのジ−n−ブチルエーテル溶液25mlを25℃にて十分撹拌下にゆっくり添加した。添加終了後25℃、1時間撹拌し、次いで70℃に昇温して更に1時間撹拌を続けた。25℃に冷却後、1.0mmol/mlの安息香酸エチルのトルエン溶液6mlを十分撹拌下に添加した。添加終了後、110℃に昇温し、1.5時間撹拌を続けた。得られた白色粉末に四塩化チタンの800mmolを加え130℃に昇温した。昇温途中より黒褐色の粘ちょうで半溶解状態となった。130℃で0.5時間撹拌処理を行ない、次いでn−ヘプタン200mlを加えたところ、多量の沈殿が生成した。上澄み液を分離し、沈殿をn−ヘプタン200mlで5回洗浄して淡黄褐色のチタン含有固体触媒成分Aを得た。得られたチタン含有固体触媒成分Aのチタン含有量は5.2質量%であった。
【0440】
(チタン含有固体触媒成分の調製6−2:本発明)
上記チタン含有固体触媒成分の調製6−1において、エチルベンゾエートを添加しない以外は同様に行なって、チタン含量が5.8質量%のチタン含有固体触媒成分Bを得た。
【0441】
(チタン含有固体触媒成分の調製6−3:比較例)
上記チタン含有固体触媒成分の調製6−1において、エチルベンゾエートのトルエン溶液を20ml添加した以外は同様に行なって、チタン含量が5.0質量%のチタン含有固体触媒成分Cを得た。
【0442】
〔共重合体及び水素添加物の合成〕
(合成例6−1:エチレン・ノルボルネン共重合体A−1の合成(本発明))
減圧乾燥及び窒素置換した15リットルのオートクレーブに、常温でノルボルネン887g(9.42mol)、シクロヘキサン777ml、トリエチルアルミニウム220.4mg(1.93mmol)加え、続いて攪拌下にエチレンを588kPaまで加圧した後、脱圧し、この加圧脱圧操作を3回繰り返した。その後、系内をエチレンで147kPaに加圧し、昇温を開始し80℃に到達させた。その後エチレンにて内圧が588kPaとなるように加圧した。15分間攪拌した後、チタン含有固体触媒成分の調製1で調製したチタン含有固体触媒成分Aの344.5mgを系内に添加することによって、エチレンとノルボルネンとの共重合を開始させた。重合中、エチレンを連続的に供給することにより内圧を、588kPaに保持した。60分後、重合反応をイソプロピルアルコールを添加することにより停止した。脱圧後、ポリマー溶液を取り出し、水1リットルに対して濃塩酸5mlを添加した水溶液と1:1の割合で用いて洗浄し、触媒残渣を水相に移行させた。この接触混合溶液を静置した後、水相を分離除去し、更に蒸留水で2回水洗し、重合液相を油水分離した。次いで、油水分離された重合液相を3倍量のアセトンと強攪拌下に接触させ、共重合体を析出させた後、アセトンで充分に洗浄し固体部(共重合体)を濾過により採取した。窒素流通下、130℃、350mmHgで12時間乾燥した。
【0443】
以上のようにして得られたエチレン・ノルボルネン共重合体A−1の収量は273g、GPCで測定した数平均分子量Mnは105,100、Mw/Mnは1.79であり、ガラス転移点(Tg)は131℃、ノルボルネン含量は45.3mol%であった。
【0444】
(合成例6−2:ノルボルネン・1−ヘキセン共重合体B−1の合成(本発明))
減圧乾燥及び窒素置換した15リットルのオートクレーブに、常温でノルボルネンの887g(9.42mol)、1−ヘキセンの1178ml(9.42mol)、シクロヘキサン777ml、トリエチルアルミニウム220.9mg(1.93mmol)加え、続いて攪拌下に窒素を588kPaまで加圧した後、脱圧し、この加圧脱圧操作を3回繰り返した。その後、系内を窒素で147kPaに加圧し、昇温を開始し100℃に到達させた。その後窒素にて内圧が588kPaとなるように加圧した。15分間攪拌した後、チタン含有固体触媒成分の調製2で調製したチタン含有固体触媒成分Bの350.0mgを系内に添加することによって、ノルボルネンと1−ヘキセンとの共重合を開始させた。重合中、窒素を連続的に供給することにより内圧を588kPaに保持した。60分後、重合反応をイソプロピルアルコールを添加することにより停止した。脱圧後、ポリマー溶液を取り出し、水1リットルに対して濃塩酸5mlを添加した水溶液と1:1の割合で用いて洗浄し触媒残渣を水相に移行させた。この接触混合溶液を静置した後、水相を分離除去し更に蒸留水で2回水洗し、重合液相を油水分離した。次いで、油水分離された重合液相を3倍量のアセトンと強攪拌下に接触させ、共重合体を析出させた後、アセトンで充分に洗浄し固体部(共重合体)を濾過により採取した。窒素流通下、130℃、350mmHgで12時間乾燥した。
【0445】
以上のようにして得られたノルボルネン・1−ヘキセン共重合体B−1の収量は266g、GPCで測定した数平均分子量Mnは83,900、Mw/Mnは1.94であり、ガラス転移点(Tg)は124℃、ノルボルネン含量は60.2mol%であった。
【0446】
(合成例6−3:エチレン・ノルボルネン共重合体C−1の合成(比較例))
上記合成例6−1において、チタン含有固体触媒成分の調製6−1で調製したチタン含有固体触媒成分Aの221.3mg(1.94mmol)を系内に添加する以外は同様に行なってエチレン・ノルボルネン共重合体C−1を得た。エチレン・ノルボルネン共重合体C−1の収量は296g、GPCで測定した数平均分子量Mnは112,400、Mw/Mnは1.84であり、ガラス転移点(Tg)は134℃、ノルボルネン含量は48.6mol%であった。
【0447】
(合成例6−4:炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体A−2の合成(本発明))
25リットルのオートクレーブに、上記合成例1で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体A−1の250.0gを、乾燥テトラヒドロフラン(13.5L)に溶解して、水素添加触媒として予め調製したジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(200mg、0.21mmol)とトリエチルアルミニウム(125mg、1.06mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(1.5L)溶液を加え、水素圧8.5MPa、165℃で5時間水素添加反応を行った後、温度を室温まで戻し水素ガスを放出した。
【0448】
この共重合体水素添加物溶液を、撹拌下のメタノール(50L)液中に加えて共重合体水素添加物を析出させ、濾別分離後真空乾燥を行うことにより白色粉末状の炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体A−2を得た。得られた炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体A−2の1H−NMRから算出した水素添加率は、主鎖のオレフィンのプロトンに帰属するピークが認められず、その水素添加率は100%であり、GPCで測定した数平均分子量Mnは98,700、Mw/Mnは1.69であり、DSCで測定したガラス転移温度は128℃であった。
【0449】
(合成例6−5:炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体B−2の合成(本発明))
上記合成例6−4において、合成例6−1で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体A−1に代えて、合成例6−2で得られたノルボルネン・1−ヘキセン共重合体B−1を用いた以外は同様にして、白色粉末状の炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体B−2を得た。
【0450】
この炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体B−2は、1H−NMRから算出した水素添加率は主鎖のオレフィンのプロトンに帰属するピークが認められず、その水素添加率は100%であり、GPCで測定した数平均分子量Mnは82,500、Mw/Mnは1.83であり、DSCで測定したガラス転移温度は119℃であった。
【0451】
(合成例6−6:炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体C−2の合成(比較例))
上記合成例6−4において、合成例6−1で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体A−1に代えて、合成例6−3で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体C−1を用いた以外は同様にして白色粉末状の炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体C−2を得た。
【0452】
この炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体C−2は、1H−NMRから算出した水素添加率は主鎖のオレフィンのプロトンに帰属するピークが認められず、その水素添加率は100%であり、GPCで測定した数平均分子量Mnは103,700、Mw/Mnは1.71であり、DSCで測定したガラス転移温度は124℃であった。
【0453】
実施例6−1
《光学用樹脂レンズの作製》
〔光学用樹脂レンズ6−1の作製:本発明〕
上記合成例6−1で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体A−1の200gを、ポリラボシステム(英弘精機(株)製)を用いて、窒素雰囲気下190℃で10分間混練を行った。上記と同一条件で10バッチの混練を行った材料を作製し、粉砕した。粉砕された材料を用いて、インライン射出成型機により、型締圧力490kN、金型温度120℃、射出圧力69.0MPaで射出成型を行い、直径1cmの光学用樹脂レンズ6−1を20個作製した。
【0454】
〔光学用樹脂レンズ6−2の作製:本発明〕
上記光学用樹脂レンズ6−1の作製において、エチレン・ノルボルネン共重合体A−1に代えて、合成例6−2で得られたノルボルネン・1−ヘキセン共重合体B−1を用いた以外は同様にして、直径1cmの光学用樹脂レンズ6−2を20個作製した。
【0455】
〔光学用樹脂レンズ6−3の作製:比較例〕
上記光学用樹脂レンズ6−1の作製において、エチレン・ノルボルネン共重合体A−1に代えて、合成例6−3で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体C−1を用いた以外は同様にして、直径1cmの光学用樹脂レンズ6−3を20個作製した。
【0456】
《光学用樹脂レンズの耐久性評価》
上記作製した光学用樹脂レンズ6−1〜6−3の各々を、図1に示す光ピックアップ装置の対物レンズとして用い、60℃の雰囲気下、15mWの青色レーザ光(波長405nm)を500時間連続照射、2000時間連続照射した時の各々の連続照射後のレンズの白濁の度合いを目視観察し、下記の基準にしたがって耐久性の評価を行った。
【0457】
○:白濁発生等が全くなく、実用上許容の範囲にある
△:僅かに白濁発生が観察されるが、実用上許容の範囲にある
×:白濁発生等が明らかに観察され、実用上不可である
以上により得られた評価結果を、表16に示す。
【0458】
【表16】

【0459】
表16に記載の結果より明らかなように、比較の光学用樹脂レンズ6−3に比べて、本発明の光学用樹脂レンズ6−1及び6−2は優れた耐久性を示すことが明らかである。
【0460】
実施例6−2
《光学用樹脂レンズの作製》
〔光学用樹脂レンズ6−4の作製:本発明〕
実施例6−1に記載の光学用樹脂レンズ6−1の作製において、エチレン・ノルボルネン共重合体A−1に代えて、前記合成例6−4で得られた炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体A−2を用いた以外は同様にして、直径1cmの光学用樹脂レンズ6−4を20個作製した。
【0461】
〔光学用樹脂レンズ6−5の作製:本発明〕
上記光学用樹脂レンズ6−4の作製において、炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体A−2に代えて、前記合成例6−5で得られた炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体B−2を用いた以外は同様にして、直径1cmの光学用樹脂レンズ6−5を20個作製した。
【0462】
〔光学用樹脂レンズ6−6の作製:比較例〕
上記光学用樹脂レンズ6−4の作製において、炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体A−2に代えて、前記合成例6−6で得られた炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体C−2を用いた以外は同様にして、直径1cmの光学用樹脂レンズ6−6を20個作製した。
【0463】
《光学用樹脂レンズの耐久性評価》
上記作製した光学用樹脂レンズ6−4〜6−6の各々を、実施例6−1に記載の方法と同様にして耐久性の評価を行い、得られた結果を表17に示す。
【0464】
【表17】

【0465】
表17に記載の結果より明らかなように、比較の光学用樹脂レンズ6−6に比べて、本発明の光学用樹脂レンズ6−4及び6−5は優れた耐久性を示すことが明らかである。
【0466】
実施例6−3
《光学用樹脂レンズの作製》
〔光学用樹脂レンズ6−7の作製〕
前記合成例6−1で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体A−1を、実施例6−1に記載の光学用樹脂レンズ6−1の作製と同様な方法で調製して粉砕物とし、インライン射出成型機で、型締圧力490kN、金型温度120℃、射出圧力67.0MPaで射出成型を行った。このとき、樹脂フィード量100gに対し、0.5gのイルガノックス1010(チバ・ガイギー社製、フェノール系酸化防止剤)を添加しながら、直径1cmの光学用樹脂レンズ6−7を20個作製した。
【0467】
〔光学用樹脂レンズ6−8〜6−12の作製〕
上記光学用樹脂レンズ6−7の作製において、エチレン・ノルボルネン共重合体A−1に代えて、前記合成例6−2で得られたノルボルネン・1−ヘキセン共重合体B−1、合成例6−3で得られたエチレン・ノルボルネン共重合体C−1、合成例6−4で得られた炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体A−2、合成例6−5で得られた炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体B−2、合成例6−6で得られた炭素−炭素二重結合を水素化した共重合体C−2にそれぞれ変更した以外は同様にして、光学用樹脂レンズ6−8〜6−12を作製した。
【0468】
《光学用樹脂レンズの耐久性評価》
上記作製した光学用樹脂レンズ6−7〜6−12の各々を、実施例6−1に記載の方法と同様にして耐久性の評価を行い、得られた結果を表18に示す。
【0469】
【表18】

【0470】
表18に記載の結果より明らかなように、比較の光学用樹脂レンズ6−9、6−12に比べて、本発明の光学用樹脂レンズ6−7、6−8、6−10、6−11はそれぞれ優れた耐久性を示すことが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0471】
本発明により、長時間のレーザ照射またはその他の光エネルギ照射条件下でも光学特性が劣化しない高耐久性を示す光学用樹脂レンズ、及び光学用樹脂材料の製造方法を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲン化チタン及び一般式RnAlX3-n(式中、nは1<n≦2を表し、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子を表す。)で表される有機アルミニウムからなる触媒を用いてオレフィンを重合する工程を有する製造方法により得られる重合体を有すること特徴とする光学用樹脂レンズ。
【請求項2】
ハロゲン化チタン及び一般式RnAlX3-n(式中、nは1<n≦2を表し、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子を表す。)で表される有機アルミニウムからなる触媒を用いオレフィンを重合してポリオレフィンを得る工程、及び該ポリオレフィンに水素添加する工程、とを有する製造方法により得られる重合体を有することを特徴とする光学用樹脂レンズ。
【請求項3】
A)(a)ハロゲン化チタン、またはハロゲン化チタンとハロゲン化バナジンとの混合物を還元処理して得られる低原子価共晶体に、(b)下記一般式〔I〕〜〔III〕から選ばれる少なくとも1種の化合物、または該一般式〔I〕〜〔III〕から選ばれる少なくとも1種の化合物と有機アルミニウム化合物とを接触させて得られる化合物の全量を、一度に供給、混合、摩砕して得られる粉末状固体物質と、B)有機アルミニウム化合物との混合物とからなる触媒を用いて、オレフィンを重合する工程を有する製造方法により得られる重合体を有することを特徴とする光学用樹脂レンズ。

〔上記一般式〔I〕〜〔III〕において、R1、R2及びR3は各々水素原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、置換されたアミノ基、アミノアルキル基または置換されたアミノアルキル基を表し、R1、R2及びR3は相互に結合して環を形成しても良い。〕
【請求項4】
A)(a)ハロゲン化チタン、またはハロゲン化チタンとハロゲン化バナジンとの混合物を還元処理して得られる低原子価共晶体に、(b)下記一般式〔I〕〜〔III〕から選ばれる少なくとも1種の化合物、または該一般式〔I〕〜〔III〕から選ばれる少なくとも1種の化合物と有機アルミニウム化合物とを接触させて得られる化合物の全量を、一度に供給、混合、摩砕して得られる粉末状固体物質と、B)有機アルミニウム化合物との混合物とからなる触媒を用いて、オレフィンを重合しポリオレフィンを得る工程、及び該ポリオレフィンに水素添加する工程、とを有する製造方法により得られる重合体を有することを特徴とする光学用樹脂レンズ。


〔上記一般式〔I〕〜〔III〕において、R1、R2及びR3は各々水素原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、置換されたアミノ基、アミノアルキル基または置換されたアミノアルキル基を表し、R1、R2及びR3は相互に結合して環を形成しても良い。〕
【請求項5】
(a)有機アルミニウム化合物、(b)マグネシウム化合物とハロゲン化チタンとの反応生成物、(c)ルイス塩基とからなる触媒系で、成分(c)のルイス塩基として2級または3級炭素のアルコールの芳香族カルボン酸エステルを、0≦(c)/(a)<1/3(mol/mol)の割合で有する触媒系を用いて、オレフィンを重合する工程を有する製造方法により得られる重合体を有することを特徴とする光学用樹脂レンズ。
【請求項6】
(a)有機アルミニウム化合物、(b)マグネシウム化合物とハロゲン化チタンとの反応生成物、(c)ルイス塩基とからなる触媒系で、成分(c)のルイス塩基として2級または3級炭素のアルコールの芳香族カルボン酸エステルを、0≦(c)/(a)<1/3(mol/mol)の割合で有する触媒系を用いて、オレフィンを重合しポリオレフィンを得る工程、及び該ポリオレフィンに水素添加する工程、とを有する製造方法により得られる重合体を有することを特徴とする光学用樹脂レンズ。
【請求項7】
A)(a)一般式R1MgOR2(式中、R1及びR2は脂肪族または芳香族炭化水素基を表し、R1とR2は同一でも異なっていてもよい。)で表される有機マグネシウム化合物、(b)一般式R3(n-m)MXm(式中、Mは周期表3B、4Bまたは5B族元素を表し、R3は脂肪族または芳香族炭化水素基を、Xはハロゲン原子を表す。またnはMの原子価を、mは1以上の整数を表す。)で表されるハロゲン化物、及び(c)ハロゲン化チタン、とを接触反応させて得られるチタン含有固体触媒成分、及び、B)有機アルミニウム化合物を含む触媒系を使用して、オレフィンを重合する工程を有する製造方法により得られた重合体を有することを特徴とする光学用樹脂レンズ。
【請求項8】
A)(a)一般式R1MgOR2(式中、R1及びR2は脂肪族または芳香族炭化水素基を表し、R1とR2は同一でも異なっていてもよい。)で表される有機マグネシウム化合物、(b)一般式R3(n-m)MXm(式中、Mは周期表3B、4Bまたは5B族元素を表し、R3は脂肪族または芳香族炭化水素基を、Xはハロゲン原子を表す。またnはMの原子価を、mは1以上の整数を表す。)で表されるハロゲン化物、及び(c)ハロゲン化チタンを接触反応させて得られるチタン含有固体触媒成分、及び、B)有機アルミニウム化合物を含む触媒系を使用して、オレフィンを重合してポリオレフィンを得る工程、及び該ポリオレフィンに水素添加する工程、とを有する製造方法により得られる重合体を有することを特徴とする光学用樹脂レンズ。
【請求項9】
A)(a)少なくとも1種のシラノール又はポリシラノール、(b)少なくとも1種の一般式Mg(OR)n2-n(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、Xはハロゲン原子、nは0<n≦2の数を示す)で表される化合物、(c)少なくとも1種のハロゲン化チタン、及び(d)アミン、カルボン酸アミド、ホスフィン、リン酸エステル、リン酸アミド、ケトン及びカルボン酸エステルから選ばれた1種以上の電子供与化合物を0≦(d)/(b)<0.2(mol/mol)の関係で接触させて得られるチタン含有固体触媒成分、及び、B)有機アルミニウム化合物、とからなる触媒系を使用し、オレフィンを重合する工程を有する製造方法により得られる重合体を有することを特徴とする光学用樹脂レンズ。
【請求項10】
A)(a)少なくとも1種のシラノール又はポリシラノール、(b)少なくとも1種の一般式Mg(OR)n2-n(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、Xはハロゲン原子、nは0<n≦2の数を示す)で表される化合物、(c)少なくとも1種のハロゲン化チタン、及び(d)アミン、カルボン酸アミド、ホスフィン、リン酸エステル、リン酸アミド、ケトン及びカルボン酸エステルから選ばれた1種以上の電子供与化合物を0≦(d)/(b)<0.2(mol/mol)の関係で接触させて得られるチタン含有固体触媒成分、及び、B)有機アルミニウム化合物、とからなる触媒系を使用し、オレフィンを重合しポリオレフィンをえる工程、及び該ポリオレフィンに水素添加する工程とを有する製造方法により得られる重合体を有することを特徴とする光学用樹脂レンズ。
【請求項11】
A)(a)少なくとも1種のシラノール化合物、(b)少なくとも1種のグリニヤール化合物、(c)少なくとも1種のハロゲン化チタン及び(d)アミン、酸アミド、ホスフィン、リン酸エステル、リン酸アミド、ケトン及びカルボン酸エステルから選ばれた少なくとも1種の電子供与化合物とを、0≦(d)/(b)<0.1(mol/mol)の条件で接触させて得られるチタン含有固体触媒成分、及び、B)有機アルミニウム化合物、とからなる触媒系とを用いて、オレフィンを重合する工程を有する製造方法により得られる重合体を有することを特徴とする光学用樹脂レンズ。
【請求項12】
A)(a)少なくとも1種のシラノール化合物、(b)少なくとも1種のグリニヤール化合物、(c)少なくとも1種のハロゲン化チタン及び(d)アミン、酸アミド、ホスフィン、リン酸エステル、リン酸アミド、ケトン及びカルボン酸エステルから選ばれた少なくとも1種の電子供与化合物とを、0≦(d)/(b)<0.1(mol/mol)の条件で接触させて得られるチタン含有固体触媒成分、及び、B)有機アルミニウム化合物、とからなる触媒系とを用いて、オレフィンを重合しポリオレフィンを得る工程、及び、該ポリオレフィンに水素添加する工程、とを有する製造方法により得られる重合体を有することを特徴とする光学用樹脂レンズ。
【請求項13】
前記オレフィンが環状オレフィンを含有することを特徴とする特許請求の範囲第1項〜第12項の何れか1項に記載の光学用樹脂レンズ。
【請求項14】
前記オレフィンが環状オレフィン及び非環状オレフィンを含有することを特徴とする特許請求の範囲第13項に記載の光学用樹脂レンズ。
【請求項15】
前記重合体が可塑剤または酸化防止剤を含有することを特徴とする特許請求の範囲第1項〜第12項のいずれか1項に記載の光学用樹脂レンズ。
【請求項16】
少なくともブルーレーザを用いるピックアップ装置に用いられることを特徴とする特許請求の範囲第1項〜第12項のいずれか1項に記載の光学用樹脂レンズ。
【請求項17】
ハロゲン化チタン及び一般式RnAlX3-n(式中、nは1<n≦2を表し、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子を表す。)で表される有機アルミニウムからなる触媒を用いてオレフィンを重合する工程を有する光学用樹脂材料の製造方法。
【請求項18】
ハロゲン化チタン及び一般式RnAlX3-n(式中、nは1<n≦2を表し、Rは炭化水素基、Xはハロゲン原子を表す。)で表される有機アルミニウムからなる触媒を用いオレフィンを重合してポリオレフィンを得る工程、及び該ポリオレフィンに水素添加する工程、とを有する光学用樹脂材料の製造方法。
【請求項19】
A)(a)ハロゲン化チタン、またはハロゲン化チタンとハロゲン化バナジンとの混合物を還元処理して得られる低原子価共晶体に、(b)下記一般式〔I〕〜〔III〕から選ばれる少なくとも1種の化合物、または該一般式〔I〕〜〔III〕から選ばれる少なくとも1種の化合物と有機アルミニウム化合物とを接触させて得られる化合物の全量を、一度に供給、混合、摩砕して得られる粉末状固体物質と、B)有機アルミニウム化合物との混合物とからなる触媒を用いて、オレフィンを重合する工程を有する光学用樹脂材料の製造方法。


〔上記一般式〔I〕〜〔III〕において、R1、R2及びR3は各々水素原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、置換されたアミノ基、アミノアルキル基または置換されたアミノアルキル基を表し、R1、R2及びR3は相互に結合して環を形成しても良い。〕
【請求項20】
A)(a)ハロゲン化チタン、またはハロゲン化チタンとハロゲン化バナジンとの混合物を還元処理して得られる低原子価共晶体に、(b)下記一般式〔I〕〜〔III〕から選ばれる少なくとも1種の化合物、または該一般式〔I〕〜〔III〕から選ばれる少なくとも1種の化合物と有機アルミニウム化合物とを接触させて得られる化合物の全量を、一度に供給、混合、摩砕して得られる粉末状固体物質と、B)有機アルミニウム化合物との混合物とからなる触媒を用いて、オレフィンを重合しポリオレフィンを得る工程、及び該ポリオレフィンに水素添加する工程、とを有する光学用樹脂材料の製造方法。


〔上記一般式〔I〕〜〔III〕において、R1、R2及びR3は各々水素原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、置換されたアミノ基、アミノアルキル基または置換されたアミノアルキル基を表し、R1、R2及びR3は相互に結合して環を形成しても良い。〕
【請求項21】
(a)有機アルミニウム化合物、(b)マグネシウム化合物とハロゲン化チタンとの反応生成物、(c)ルイス塩基とからなる触媒系で、成分(c)のルイス塩基として2級または3級炭素のアルコールの芳香族カルボン酸エステル〔0≦(c)/(a)<1/3(mol/mol)〕を使用し、オレフィンを重合する工程を有する光学用樹脂材料の製造方法。
【請求項22】
(a)有機アルミニウム化合物、(b)マグネシウム化合物とハロゲン化チタンとの反応生成物、(c)ルイス塩基とからなる触媒系で、成分(c)のルイス塩基として2級または3級炭素のアルコールの芳香族カルボン酸エステル〔0≦(c)/(a)<1/3(mol/mol)〕を使用し、オレフィンを重合しポリオレフィンを得る工程、及び該ポリオレフィンに水素添加する工程、とを有する光学用樹脂材料の製造方法。
【請求項23】
A)(a)一般式R1MgOR2(式中、R1及びR2は脂肪族または芳香族炭化水素基を表し、R1とR2は同一でも異なっていてもよい。)で表される有機マグネシウム化合物、(b)一般式R3(n-m)MXm(式中、Mは周期表3B、4Bまたは5B族元素を表し、R3は脂肪族または芳香族炭化水素基を、Xはハロゲン原子を表す。またnはMの原子価を、mは1以上の整数を表す。)で表されるハロゲン化物、及び(c)ハロゲン化チタン、とを接触反応させて得られるチタン含有固体触媒成分、及び、B)有機アルミニウム化合物を含む触媒系を使用して、オレフィンを重合する工程を有する光学用樹脂材料の製造方法。
【請求項24】
A)(a)一般式R1MgOR2(式中、R1及びR2は脂肪族または芳香族炭化水素基を表し、R1とR2は同一でも異なっていてもよい。)で表される有機マグネシウム化合物、(b)一般式R3(n-m)MXm(式中、Mは周期表3B、4Bまたは5B族元素を表し、R3は脂肪族または芳香族炭化水素基を、Xはハロゲン原子を表す。またnはMの原子価を、mは1以上の整数を表す。)で表されるハロゲン化物、及び(c)ハロゲン化チタンを接触反応させて得られるチタン含有固体触媒成分、及び、B)有機アルミニウム化合物を含む触媒系を使用して、オレフィンを重合してポリオレフィンを得る工程、及び該ポリオレフィンに水素添加する工程、とを有する光学用樹脂材料の製造方法。
【請求項25】
A)(a)少なくとも1種のシラノール又はポリシラノール、(b)少なくとも1種の一般式Mg(OR)n2-n(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、Xはハロゲン原子、nは0<n≦2の数を示す)で表される化合物、(c)少なくとも1種のハロゲン化チタン、及び(d)アミン、カルボン酸アミド、ホスフィン、リン酸エステル、リン酸アミド、ケトン及びカルボン酸エステルから選ばれた1種以上の電子供与化合物を0≦(d)/(b)<0.2(mol/mol)の関係で接触させて得られるチタン含有固体触媒成分、及び、B)有機アルミニウム化合物、とからなる触媒系を使用し、オレフィンを重合する工程を有する光学用樹脂材料の製造方法。
【請求項26】
A)(a)少なくとも1種のシラノール又はポリシラノール、(b)少なくとも1種の一般式Mg(OR)n2-n(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、Xはハロゲン原子、nは0<n≦2の数を示す)で表される化合物、(c)少なくとも1種のハロゲン化チタン、及び(d)アミン、カルボン酸アミド、ホスフィン、リン酸エステル、リン酸アミド、ケトン及びカルボン酸エステルから選ばれた1種以上の電子供与化合物を0≦(d)/(b)<0.2(mol/mol)の関係で接触させて得られるチタン含有固体触媒成分、及び、B)有機アルミニウム化合物、とからなる触媒系を使用し、オレフィンを重合しポリオレフィンをえる工程、及び該ポリオレフィンに水素添加する工程とを有する光学用樹脂材料の製造方法。
【請求項27】
A)(a)少なくとも1種のシラノール化合物、(b)少なくとも1種のグリニヤール化合物、(c)少なくとも1種のハロゲン化チタン及び(d)アミン、酸アミド、ホスフィン、リン酸エステル、リン酸アミド、ケトン及びカルボン酸エステルから選ばれた少なくとも1種の電子供与化合物とを、0≦(d)/(b)<0.1(mol/mol)の条件で接触させて得られるチタン含有固体触媒成分、及び、B)有機アルミニウム化合物、とからなる触媒系とを用いて、オレフィンを重合する工程を有する光学用樹脂材料の製造方法。
【請求項28】
A)(a)少なくとも1種のシラノール化合物、(b)少なくとも1種のグリニヤール化合物、(c)少なくとも1種のハロゲン化チタン及び(d)アミン、酸アミド、ホスフィン、リン酸エステル、リン酸アミド、ケトン及びカルボン酸エステルから選ばれた少なくとも1種の電子供与化合物とを、0≦(d)/(b)<0.1(mol/mol)の条件で接触させて得られるチタン含有固体触媒成分、及び、B)有機アルミニウム化合物、とからなる触媒系とを用いて、オレフィンを重合しポリオレフィンを得る工程、及び、該ポリオレフィンに水素添加する工程、とを有する光学用樹脂材料の製造方法。
【請求項29】
前記オレフィンが環状オレフィンを含有することを特徴とする特許請求の範囲第17項〜第28項の何れか1項に記載の光学用樹脂材料の製造方法。
【請求項30】
前記オレフィンが環状オレフィン及び非環状オレフィンを含有することを特徴とする特許請求の範囲第29項に記載の光学用樹脂材料の製造方法。
【請求項31】
前記重合体に可塑剤または酸化防止剤を添加する工程を有することを特徴とする特許請求の範囲第17項〜第28項の何れか1項に記載の光学用樹脂材料の製造方法。

【図1】
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【国際公開番号】WO2005/081019
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【発行日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−510191(P2006−510191)
【国際出願番号】PCT/JP2005/002155
【国際出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】