説明

光学素子保持装置及び光学素子の製造方法

【課題】光学素子を研削・研磨加工する装置において、光学素子を容易に交換することができる光学素子保持装置等を提供する。
【解決手段】光学素子保持装置は、弾性部材2を介して光学素子1が支持される支持面10aを有する光学素子保持具10と、弾性部材を光学素子保持具に対して着脱自在に保持する弾性部材用真空系50とを備える。また、光学素子の製造方法は、弾性部材を介して光学素子を光学素子保持具に保持させる保持工程と、光学素子の加工面を加工工具に当接させる当接工程と、加工工具を回転及び揺動させることにより、加工面を研削・研磨加工する加工工程と、光学素子を加工工具から離す退避工程と、弾性部材を光学素子保持具に保持させた状態で光学素子を取り外す取り外し工程と、上記保持工程〜取り外し工程を所定回数繰り返した後で、光学素子保持具から弾性部材を取り外し、別の弾性部材と交換する弾性部材交換工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ等の光学素子の研削・研磨加工において当該光学素子を保持する光学素子保持装置、及び光学素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レンズ等の光学素子を研削・研磨加工する方法として、光学素子保持具と保持枠とによって光学素子を保持し、光学素子加工面に対応する曲率半径を有する加工砥石を光学素子加工面に当接させて加工砥石を回転させると共に、光学素子保持具に当接させたカンザシを水平方向に揺動させることにより、光学素子を従動させる方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
上述の特許文献1においては、光学素子保持具の台座の支持面と光学素子の受け面との間に弾性シートを介在させることにより、光学素子の受け面にスレ面等の不良現象が発生するのを防止している。この弾性シートは、台座の支持面に対して未接着の状態で使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−170853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような弾性シートは、光学素子を加工する度に交換する必要はなく、光学素子の加工形状が同一であれば、同一の弾性シートを継続して使用すると良い。しかしながら、光学素子の加工が終わって次の光学素子と交換する際に、光学素子保持具から光学素子を取り外すと、弾性シートも一緒に光学素子保持具から外れてしまう場合がある。そのため、光学素子の交換を手作業によって行わざるを得ず、光学素子の交換に時間がかかってしまうと共に、光学素子の連続加工や交換作業の自動化が困難となっていた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、光学素子を研削・研磨加工する装置において、光学素子を容易に交換することができる光学素子保持装置を提供することを目的とする。また、本発明は、そのような光学素子保持装置を用いた光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光学素子保持装置は、研削・研磨加工される光学素子を弾性部材に接触させて保持する光学素子保持装置において、前記弾性部材を介して前記光学素子を支持する支持面を有する光学素子保持具と、前記弾性部材を前記光学素子保持具に対して着脱自在に保持する弾性部材保持機構とを備えることを特徴とする。
【0008】
上記光学素子保持装置において、前記弾性部材保持機構は、前記弾性部材を前記支持面に向けて吸引する弾性部材保持用真空系と、前記弾性部材保持用真空系を制御することにより、前記弾性部材の吸引状態と非吸引状態とを切り替える制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
上記光学素子保持装置において、前記弾性部材保持機構は、前記弾性部材の端部よりも前記弾性部材の内周側に突出することにより前記弾性部材を支持するストッパと、前記ストッパを移動させることにより、前記弾性部材の支持状態と非支持状態とを切り替える駆動部とを備えることを特徴とする。
【0010】
上記光学素子保持装置において、前記光学素子を前記光学素子保持具に対して着脱自在に保持する光学素子保持機構を更に備えることを特徴とする。
【0011】
上記光学素子保持装置において、前記光学素子保持機構は、前記光学素子を前記支持面に向けて吸引する光学素子保持用真空系と、前記光学素子保持用真空系を制御することにより、前記光学素子の吸引状態と非吸引状態とを切り替える制御部とを備えることを特徴とする。
【0012】
上記光学素子保持装置において、前記光学素子保持機構は、前記光学素子の加工面とは異なる面において前記光学素子を挟持する挟持部材と、前記挟持部材を移動させることにより、前記光学素子の挟持状態と非挟持状態とを切り替える駆動部とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る光学素子の製造方法は、光学素子を弾性部材に接触させて保持しながら研削・研磨加工を行う光学素子の製造方法において、前記弾性部材を介して前記光学素子を光学素子保持具に保持させる保持工程と、前記光学素子の加工面を加工工具に当接させる当接工程と、前記加工工具を回転及び揺動させることにより、前記加工面を研削・研磨加工する加工工程と、前記光学素子を前記加工工具から離す退避工程と、前記弾性部材を前記光学素子保持具に保持させた状態で前記光学素子を取り外す取り外し工程と、前記保持工程と、前記当接工程と、前記加工工程と、前記退避工程と、前記取り外し工程とを所定回数繰り返した後で、前記光学素子保持具から前記弾性部材を取り外し、別の弾性部材と交換する弾性部材交換工程とを含むことを特徴とする。
【0014】
上記光学素子の製造方法において、前記保持工程は、前記弾性部材と前記光学素子を支持する支持面との間に、滑り現象を生じさせる第2の部材を介在させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光学素子保持具に対して弾性部材を着脱自在に保持する弾性部材保持機構により、弾性部材を光学素子保持具の側に保持した状態で光学素子を取り外すことができるので、光学素子の交換を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る光学素子保持装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、図1に示す光学素子保持装置をA−A部分で切断した場合における断面図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態1に係る光学素子の製造方法を示すフローチャートである。
【図4A】図4Aは、光学素子を光学素子保持具に保持させる工程を示す図である。
【図4B】図4Bは、光学素子を光学素子保持具に保持させた状態を示す図である。
【図4C】図4Cは、光学素子加工面を加工工具に当接させる工程を示す図である。
【図4D】図4Dは、光学素子加工面を加工工具に当接させた状態を示す図である。
【図4E】図4Eは、光学素子を加工する工程を示す図である。
【図4F】図4Fは、光学素子を加工工具から離す工程を示す図である。
【図4G】図4Gは、光学素子を加工工具から離した状態を示す図である。
【図4H】図4Hは、光学素子を光学素子保持具から取り外す工程を示す図である。
【図5A】図5Aは、弾性部材及び滑り部材を取り外す工程を示す図である。
【図5B】図5Bは、弾性部材及び滑り部材を取り外した状態を示す図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態2に係る光学素子保持装置の構成を示す図である。
【図7A】図7Aは、光学素子を光学素子保持具に保持させる工程を示す図である。
【図7B】図7Bは、光学素子を光学素子保持具に保持させた状態を示す図である。
【図7C】図7Cは、光学素子加工面を加工工具に当接させる工程を示す図である。
【図7D】図7Dは、光学素子加工面を加工工具に当接させた状態を示す図である。
【図7E】図7Eは、光学素子を加工する工程を示す図である。
【図7F】図7Fは、光学素子を加工工具から離す工程を示す図である。
【図7G】図7Gは、光学素子を加工工具から離した状態を示す図である。
【図7H】図7Hは、光学素子を光学素子保持具から取り外す工程を示す図である。
【図8A】図8Aは、弾性部材及び滑り部材を取り外す工程を示す図である。
【図8B】図8Bは、弾性部材及び滑り部材を取り外した状態を示す図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態3に係る光学素子保持装置の構成を示す図である。
【図10A】図10Aは、光学素子を光学素子保持具に保持させる工程を示す図である。
【図10B】図10Bは、光学素子を光学素子保持具に保持させた状態を示す図である。
【図10C】図10Cは、光学素子加工面を加工工具に当接させる工程を示す図である。
【図10D】図10Dは、光学素子加工面を加工工具に当接させた状態を示す図である。
【図10E】図10Eは、光学素子を加工する工程を示す図である。
【図10F】図10Fは、光学素子を加工工具から離す工程を示す図である。
【図10G】図10Gは、光学素子を加工工具から離した状態を示す図である。
【図10H】図10Hは、光学素子を光学素子保持具から取り外す工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係る光学素子保持装置及び光学素子の製造方法を詳細に説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。図面は模式的なものであり、各部の寸法の関係や比率は、現実と異なることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る光学素子保持装置の構成を示す図である。図1に示す光学素子保持装置100は、弾性部材2及び滑り部材3を介して光学素子1を支持する支持面10aを有する光学素子保持具10と、光学素子保持具10を回転可能に支持する外枠20及び内枠30と、光学素子1を光学素子保持具10に対して着脱自在に保持する光学素子保持機構としての光学素子用真空系40と、弾性部材2及び滑り部材3を光学素子保持具10に対して着脱自在に保持する弾性部材保持機構としての弾性部材用真空系50と、これら光学素子用真空系40及び弾性部材用真空系50の動作を制御する真空系制御部57とを備える。
【0019】
光学素子1は例えばレンズであり、光学素子保持具10によって支持された状態で加工面1aに研削・研磨加工が施される。
【0020】
弾性部材2は、研削・研磨加工中に光学素子1の受け面1bに当接され、受け面1bに加わる衝撃を緩和させてスレ面等の不良が発生するのを防止するシート状の部材である。滑り部材3は、弾性部材2及び支持面10aとの間で滑り現象を生じさせることによって保持抵抗を低減するシート状の部材である。なお、滑り部材3は省略しても良い。この場合、弾性部材2は、弾性部材2と支持面10aとの間で滑り現象を生じさせて保持抵抗を低減する。
【0021】
弾性部材2の中心部には、貫通孔2aが形成されている。また、滑り部材3の中心部には貫通孔3aが形成され、この貫通孔3aを囲むように4つの貫通孔3bが形成されている。これらの貫通孔3bは、後述する真空引き用溝51に連通する位置に形成される。
【0022】
光学素子保持具10の下端部には、弾性部材2、滑り部材3、及び光学素子1の一部を内側に収容する凹状の収容部10bが設けられる。また、光学素子保持具10の上端部には、光学素子保持具ストッパ10cがねじ込みにより固定される。光学素子保持具ストッパ10cは、光学素子保持具10が内枠30から脱落するのを防止する。
【0023】
外枠20の内側には、ロータリージョイント21が取り付けられる。ロータリージョイント21は、後述する真空引き用パイプ42を外枠20に対して回転可能に保持すると共に、後述する真空室43と真空室53とを隔絶させる。
【0024】
内枠30は、その上端部を外枠20の下端部にねじ込むことにより、外枠20と嵌合される。また、内枠30は、その内側に配置された第1のベアリング31a及び第2のベアリング31bを介して、光学素子保持具10を保持する。第1のベアリング31aと第2のベアリング31bとの間には、内枠30の内壁に当接された第1のカラー(継ぎ輪)32aと、光学素子保持具10に当接された第2のカラー32bとが設けられる。ベアリング止め具33は、ねじ込みにより内枠30の下端部に取り付けられ、第1のベアリング31aを固定する。このような構造により、光学素子保持具10が外枠20及び内枠30に対して回転可能な状態となる。
【0025】
光学素子用真空系40は、光学素子1を支持面10aに向けて吸引する。光学素子用真空系40は、光学素子保持具10の中央部に形成された真空引き用孔部41と、真空引き用孔部41に嵌め込まれた真空引き用パイプ42と、外枠20に形成された真空室43と、外枠20の中央部に形成された真空引き用孔部44と、真空引き用孔部44と接続された光学素子用真空ポンプ45とによって構成される。これらの真空引き用孔部41〜真空引き用孔部44は連通されている。真空室43は、外枠20の内壁面と、ロータリージョイント21の上端面とによって画定される。光学素子用真空ポンプ45としては、加圧減圧両用のものを用いると良い。
【0026】
真空引き用孔部41の位置は、滑り部材3に形成された貫通孔3a及び弾性部材2に形成された貫通孔2aの位置と対応している。そのため、光学素子用真空ポンプ45を作動させた場合、真空引き用孔部44、真空室43、真空引き用パイプ42、真空引き用孔部41、貫通孔3a、及び貫通孔2aを介して、光学素子1が吸引される(吸引状態)。それにより、光学素子1が、弾性部材2及び滑り部材3を介して支持面10aに吸着保持される。一方、光学素子用真空系40を開放し、又は光学素子用真空ポンプ45により加圧すると、光学素子1が保持されない状態(非保持状態、非吸引状態)となる。なお、図1は、光学素子1が吸着保持されている状態を示している。
【0027】
一方、弾性部材用真空系50は、弾性部材2を支持面10aに向けて吸引する。弾性部材用真空系50は、光学素子保持具10に形成された真空引き用溝51及び真空引き用孔部52と、外枠20に形成された真空室53及び真空引き用孔部54と、真空引き用孔部54と接続された弾性部材用真空ポンプ55と、樹脂ワッシャ56とによって構成される。これらの真空引き用溝51〜真空引き用孔部54は連通されている。真空室53は、外枠20の内壁面と、ロータリージョイント21の下端面と、光学素子保持具10の上端面と、光学素子保持具ストッパ10cの上端面とによって画定される。樹脂ワッシャ56は、外枠20の内壁面と、内枠30の上端面と、光学素子保持具ストッパ10cの下端面とによって画定される空間に、固定されない状態で配置される。弾性部材用真空ポンプ55を作動させて真空室53を負圧(大気圧より低い)にすると、樹脂ワッシャ56がこの空間の上部に貼り付き、外枠20の内壁と光学素子保持具ストッパ10cとの間の空隙を閉塞する。それにより、真空室53及び真空引き用孔部52が減圧される。弾性部材用真空ポンプ55としては、加圧減圧両用のものを用いると良い。
【0028】
図2は、図1に示す光学素子保持装置100をA−A部分で切断した場合における断面図である。図2に示すように、真空引き用溝51は、光学素子保持具10の中央部を中心とする円環状に形成される。また、真空引き用孔部52は、真空引き用溝51に連通される。それにより、真空引き用孔部52が減圧されると、滑り部材3の4つの貫通孔3bを介して、弾性部材2が光学素子保持具10に吸引される(吸引状態)。それにより、弾性部材2及び滑り部材3が支持面10aに保持される。一方、弾性部材用真空系50を開放し、又は弾性部材用真空ポンプ55により加圧すると、弾性部材2及び滑り部材3が保持されない状態(非保持状態、非吸引状態)となる。なお、図1は、弾性部材2及び滑り部材3の保持状態を示している。
【0029】
真空系制御部57は、光学素子用真空系40を制御することにより、光学素子1の吸引状態と非吸引状態とを切り替えると共に、弾性部材用真空系50を制御することにより、弾性部材2の吸引状態と非吸引状態とを切り替える。
【0030】
次に、実施の形態1に係る光学素子の製造方法について、図3及び図4A〜図4Hを参照しながら説明する。図3は、本実施の形態に係る光学素子の製造方法を示すフローチャートである。また、図4A〜図4Hは、本実施の形態に係る光学素子の製造方法の各工程を示す模式図である。
【0031】
まず、工程S1において、弾性部材2及び滑り部材3を介して、研磨・研削を行う光学素子材料(以下、単に「光学素子」という)1を光学素子保持具10に保持させる。このとき、図4Aに示すように、予め弾性部材用真空ポンプ55を作動させて弾性部材用真空系50の真空引きを行い、弾性部材2及び滑り部材3を支持面10aに保持しておく。なお、このとき、光学素子用真空系40は開放され、又は光学素子用真空ポンプ45により加圧された状態となっている。この状態で、図示しない光学素子用ローディング装置又は手作業により、光学素子1の受け面1bを弾性部材2の下面に当接させる。続いて、光学素子用真空ポンプ45を作動させて光学素子用真空系40を減圧すると、光学素子1が吸引され、図4Bに示すように、弾性部材2及び滑り部材3を介して光学素子保持具10に吸着保持される。
【0032】
続く工程S2において、図4Cに示すように、図示しないローディング装置により外枠20を下降させ、光学素子1の加工面1aを研削・研磨用の加工工具4に当接させる。その後、図4Dに示すように、光学素子用真空系40及び弾性部材用真空系50を開放し、又は光学素子用真空ポンプ45及び弾性部材用真空ポンプ55により加圧して、光学素子1、弾性部材2、及び滑り部材3を非保持状態にする。
【0033】
工程S3において、図4Eに示すように、加工工具4を回転及び揺動させることにより、光学素子1を加工する。このとき、光学素子1、弾性部材2、滑り部材3、及び光学素子保持具10は、加工工具4の回転運動に従動して回転する。また、このとき、上述したように、光学素子1は非保持状態となっているので、これらの回転運動は阻害されない。
【0034】
工程S4において、図4Fに示すように、光学素子用真空ポンプ45及び弾性部材用真空ポンプ55を作動させて光学素子用真空系40及び弾性部材用真空系50の真空引きを行い、光学素子1、弾性部材2、及び滑り部材3を光学素子保持具10に吸着保持する。続いて、図4Gに示すように、図示しないローディング装置により外枠20を上昇させて、光学素子1を加工工具4から離す(即ち、退避させる)。
【0035】
工程S5において、図4Hに示すように、弾性部材2及び滑り部材3を光学素子保持具10に吸着保持したまま、光学素子用真空系40を開放し、又は光学素子用真空ポンプ45により加圧して、光学素子1を光学素子保持具10から取り外す。このとき、図示しない光学素子用ローディング装置又は作業者の手により、光学素子1を支えておく。
【0036】
この後、光学素子1を交換し、次の光学素子1に対して工程S1〜S5を繰り返すことにより光学素子の加工を順次行って、複数の光学素子を製造する。
【0037】
次に、弾性部材2及び滑り部材3を交換する工程について、図5A及び図5Bを参照しながら説明する。光学素子の研削・研磨加工において、弾性部材2及び滑り部材3を所定回数使用した後や、加工形状の異なる光学素子の加工を開始する際には、以下に説明するように、弾性部材2及び滑り部材3が交換される。
【0038】
まず、図5Aに示すように、弾性部材用真空系50を開放し、又は弾性部材用真空ポンプ55により加圧することにより、弾性部材2及び滑り部材3を非保持状態にして、これらを脱落させる(図5B)。その後、別の弾性部材2及び滑り部材3を光学素子保持具10の支持面10aに当接させた状態で、弾性部材用真空ポンプ55を作動させて弾性部材用真空系50を真空引きすることにより、弾性部材2及び滑り部材3が支持面10aに吸着保持される。
【0039】
以上説明したように、実施の形態1によれば、弾性部材2及び滑り部材3を光学素子保持具10側に吸着保持したまま、光学素子の着脱を行うことができる。従って、光学素子1の交換作業時間を短縮し、容易且つ効率良く交換作業を行うことが可能となる。また、所望のタイミングで弾性部材2及び滑り部材3を交換することも可能である。
【0040】
また、実施の形態1によれば、真空系を利用することで、光学素子1の交換作業や弾性部材2及び滑り部材3の交換作業を自動化することができるので、光学素子の加工速度をトータルで向上させることが可能となる。
【0041】
さらに、光学素子1と支持面10aとの間に弾性部材2を介在させることにより、光学素子1の受け面1bに加わる衝撃を緩和し、スレ面の発生を抑制することができる。一方、弾性部材2と支持面10aとの間に滑り部材3を介在させることにより、光学素子1の動きを阻害する抵抗を低減させ、光学素子1の加工面1aの面精度を良好にすることができる。従って、実施の形態1に係る光学素子保持装置を適用することにより、弾性部材2及び滑り部材3を利用して実現される高精度、高品質の光学素子を連続して加工することが可能となる。
【0042】
さらに、実施の形態1によれば、真空系の作用により弾性部材2及び滑り部材3を光学素子保持具10から着脱するので、弾性部材2及び滑り部材3は、少なくとも弾性部材用真空系50によって吸引可能な形状及び大きさを有していれば良い。従って、弾性部材2及び滑り部材3の形状や大きさの自由度を増すことができる。
【0043】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る光学素子保持装置について説明する。図6は、実施の形態2に係る光学素子保持装置の構成を示す断面図である。
図6に示す光学素子保持装置200は、弾性部材2及び滑り部材5を介して光学素子1を支持する支持面11aを有する光学素子保持具11と、光学素子保持具11を回転可能に支持する外枠25及び内枠30と、光学素子1を光学素子保持具11に対して着脱自在に保持する光学素子保持機構としての真空系60と、真空系60の動作を制御する真空系制御部66と、弾性部材2及び滑り部材5を光学素子保持具11に対して着脱自在に保持する弾性部材保持機構としての弾性部材ストッパ70、弾性部材ストッパ駆動部71、及び駆動制御部72とを備える。
【0044】
実施の形態2において、弾性部材2及び滑り部材5には、その中央部に貫通孔2a及び5aがそれぞれ形成される。なお、弾性部材2及び滑り部材5の作用については、実施の形態1において説明した弾性部材2及び滑り部材3と同様である。
【0045】
光学素子保持具11の下端部には、弾性部材2、滑り部材5、及び光学素子1の一部を内側に収容する凹状の収容部11bが設けられる。また、光学素子保持具11の上端部には、光学素子保持具ストッパ11cがねじ込みにより固定される。光学素子保持具ストッパ11cは、光学素子保持具11が内枠30から脱落するのを防止する。
【0046】
内枠30は、その上端部を外枠25の下端部にねじ込むことにより、外枠25と嵌合される。なお、内枠30〜ベアリング止め具33の構造及び作用については、実施の形態1において説明したものと同様である。
【0047】
真空系60は、光学素子1を支持面11aに向けて吸引する。真空系60は、光学素子保持具11の中央部に形成された真空引き用孔部61と、外枠25に形成された真空室62及び真空引き用孔部63と、樹脂ワッシャ64と、真空引き用孔部63と接続された真空ポンプ65とによって構成される。真空ポンプ65としては、加圧減圧両用のものを用いると良い。これらの真空引き用孔部61〜真空引き用孔部63は連通されている。真空室62は、外枠25の内壁面と、光学素子保持具11の上端面と、光学素子保持具ストッパ11cの上端面とによって画定される。樹脂ワッシャ64は、外枠25の内壁面と、内枠30の上端面と、光学素子保持具ストッパ11cの下端面とによって画定される空間に、固定されない状態で配置される。真空ポンプ65を作動させて真空室62を負圧にすると、樹脂ワッシャ64がこの空間の上部に貼り付き、外枠25の内壁と光学素子保持具ストッパ11cとの間の空隙を閉塞する。それにより、真空室62及び真空引き用孔部61が減圧されて、光学素子1が吸着保持される(吸引状態)。一方、真空系60を開放し、又は真空ポンプ65により加圧すると、光学素子1が非保持状態(非吸引状態)となる。真空系制御部66は、このような真空系60を制御することにより、光学素子1の吸引状態と非吸引状態とを切り替える。
【0048】
弾性部材ストッパ70は、固定部70a及び突出部70bを含む。固定部70aは、ねじ込み又はボルト締結により、収容部11bを囲む枠部11dに取り付けられる。突出部70bは、内周方向又は外周方向に移動可能な状態で固定部70aに取り付けられる。突出部70bは、少なくとも2箇所、好ましくは3箇所以上に設けられる。これらの突出部70bは、枠部11dよりも内周側に突出した位置にあるとき、弾性部材2及び滑り部材3の端部を下側から支持してこれらの脱落を防止する。弾性部材ストッパ駆動部71は、突出部70bを内周方向又は外周方向に移動させることにより、弾性部材2及び滑り部材3の支持状態と非支持状態とを切り替える。駆動制御部72は、弾性部材ストッパ駆動部71の動作を制御する。
【0049】
次に、実施の形態2に係る光学素子の製造方法について、図7A〜図7Hを参照しながら説明する。図7A〜図7Hは、本実施の形態に係る光学素子の製造方法の各工程を示す模式図である。なお、本実施の形態に係る光学素子の製造方法のフローチャートについては、図3に示すものと同様である。
【0050】
まず、工程S1において、弾性部材2及び滑り部材5を介して、光学素子1を光学素子保持具11に保持させる。このとき、図7Aに示すように、弾性部材ストッパ70の突出部70bを内側に突出させて、弾性部材2及び滑り部材5の脱落を防止しておく。この状態で、図示しない光学素子用ローディング装置又は手作業により、光学素子1の受け面1bを弾性部材2の下面に当接させる。続いて、真空ポンプ65を作動させて真空系60を減圧すると、光学素子1が吸引され、図7Bに示すように、弾性部材2及び滑り部材5を介して光学素子保持具11に吸着保持される。
【0051】
続く工程S2において、図7Cに示すように、図示しないローディング装置により外枠25を下降させて、光学素子1の加工面1aを研削・研磨用の加工工具4に当接させる。その後、図7Dに示すように、真空系60を開放し、又は真空ポンプ65によって加圧して、光学素子1を非保持状態にする。それと同時に、光学素子1と支持面11aとの間に挟持されていた弾性部材2及び滑り部材5も開放される。
【0052】
工程S3において、図7Eに示すように、加工工具4を回転及び揺動させることにより、光学素子1を加工する。このとき、光学素子1、弾性部材2、滑り部材5、及び光学素子保持具11は、加工工具4の回転運動に従動して回転する。また、このとき、上述したように光学素子1は非保持状態となっているので、回転運動は阻害されない。
【0053】
工程S4において、図7Fに示すように、真空ポンプ65を作動させて真空系60を真空引きし、弾性部材2及び滑り部材5を介して光学素子1を光学素子保持具11に吸着保持する。続いて、図7Gに示すように、図示しないローディング装置により外枠25を上昇させて、光学素子1を加工工具4から離す。
【0054】
工程S5において、図7Hに示すように、突出部70bを枠部11dよりも内側に突出させた状態のまま(即ち、弾性部材2及び滑り部材5を支持した状態のまま)真空系60を開放し、又は真空ポンプ65により加圧して、光学素子1を光学素子保持具11から取り外す。このとき、図示しない光学素子用ローディング装置又は作業者の手により、光学素子1を支えておく。
【0055】
この後、光学素子1を交換し、次の光学素子1に対して工程S1〜S5を繰り返すことにより光学素子の加工を順次行って、複数の光学素子を製造する。
【0056】
次に、弾性部材2及び滑り部材5を交換する工程について、図8A及び図8Bを参照しながら説明する。
まず、図8Aに示すように、弾性部材ストッパ駆動部71によって突出部70bを外周方向に移動させることにより、弾性部材2及び滑り部材5を非支持状態にして、これらを脱落させる(図8B)。その後、別の弾性部材2及び滑り部材5を、図示しないローディング装置又は作業者の手により光学素子保持具11の内側に保持し、突出部70bを内周方向の内側に移動させる。それにより、弾性部材2及び滑り部材5が突出部70bに支持され、収容部11b内に保持される。
【0057】
以上説明した実施の形態2によれば、簡単な構成により、光学素子保持具11に対し、弾性部材2及び滑り部材5を自在に着脱することができる。従って、光学素子の交換作業を容易且つ効率良く行うことが可能となると共に、所望のタイミングで弾性部材2及び滑り部材5を交換することも可能となる。また、突出部70bに弾性部材ストッパ駆動部71を設けることにより、光学素子の加工を連続して行う自動機への適用も可能となる。それにより、弾性部材2及び滑り部材5を利用して実現される高精度、高品質の光学素子の加工速度を向上させることが可能となる。
【0058】
なお、弾性部材ストッパを固定式で構成することも可能である。この場合には、弾性部材2及び滑り部材5を手作業で交換すれば良い。
【0059】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3に係る光学素子保持装置について説明する。図9は、実施の形態3に係る光学素子保持装置の構成を示す断面図である。
図9に示す光学素子保持装置300は、弾性部材6及び滑り部材7を介して光学素子1を支持する支持面12aを有する光学素子保持具12と、光学素子保持具12を回転可能に支持する外枠27及び内枠30と、弾性部材6及び滑り部材7を光学素子保持具12に対して着脱自在に保持する弾性部材保持機構としての弾性部材ストッパ70と、光学素子1を光学素子保持具12に対して着脱自在に保持する光学素子保持機構としての光学素子挟持部80とを備える。なお、弾性部材6及び滑り部材7の作用については、実施の形態1において説明した弾性部材2及び滑り部材3と同様である。
【0060】
光学素子保持具12の下端部には、弾性部材6、滑り部材7、及び光学素子1の一部を内側に収容する凹状の収容部12bが設けられる。また、光学素子保持具12の上端部には、光学素子保持具ストッパ12cがねじ込みにより固定される。光学素子保持具ストッパ12cは、光学素子保持具12が内枠30から脱落するのを防止する。さらに、収容部12bを囲む枠部12dには、弾性部材ストッパ70が取り付けられる。弾性部材ストッパ70の構造及び動作については、実施の形態2において説明したものと同様である。
【0061】
内枠30は、その上端部を外枠27の下端部にねじ込むことにより、外枠27と嵌合される。なお、内枠30〜ベアリング止め具33の構造及び作用については、実施の形態1において説明したものと同様である。
【0062】
光学素子挟持部80は、光学素子ストッパ81と、光学素子ストッパ81の先端に接着されたストッパ弾性部材82と、光学素子ストッパ81を支持する光学素子ストッパ支え83と、スペーサ84を介して光学素子ストッパ支え83を光学素子保持具12に締結するネジ85と、光学素子ストッパ81を駆動する光学素子ストッパ駆動部86と、光学素子ストッパ駆動部86の動作を制御する駆動制御部87とを備える。この内、光学素子ストッパ81〜ネジ85は、光学素子保持具12の少なくとも2箇所、好ましくは3箇所以上に設けられる。
【0063】
光学素子ストッパ81は、ストッパ弾性部材82を介して、光学素子1の側面(加工面1aとは異なる面)を複数方向から挟持する挟持部材である。各ストッパ弾性部材82の先端面、即ち、光学素子1の側面との接触面は、光学素子1と同様の曲率となるように形成される。それにより、光学素子1は、側面に密着した複数のストッパ弾性部材82により、安定的に保持される。
【0064】
光学素子ストッパ支え83には、光学素子ストッパ81を貫通させる孔部83aが設けられる。このような構造により、光学素子ストッパ81は、内周方向又は外周方向に移動可能な状態で保持される。
【0065】
光学素子ストッパ駆動部86は、光学素子ストッパ81を内周方向に移動させることにより光学素子1を挟持し、光学素子ストッパ81を外周方向に移動させることにより光学素子1を開放する。また、光学素子1が挟持されている間、光学素子ストッパ駆動部86は、光学素子ストッパ81に内周方向の力を印加し続ける。駆動制御部87は、このような光学素子ストッパ駆動部86の動作を制御することにより、光学素子1の挟持状態と非挟持状態(開放状態)とを切り替える。
【0066】
次に、実施の形態3に係る光学素子の製造方法について、図10A〜図10Hを参照しながら説明する。図10A〜図10Hは、本実施の形態に係る光学素子の製造方法の各工程を示す模式図である。なお、本実施の形態に係る光学素子の製造方法のフローチャートについては、図3に示すものと同様である。
【0067】
まず、工程S1において、図10Aに示すように、弾性部材ストッパ70に弾性部材6及び滑り部材7を保持させた状態で、図示しない光学素子用ローディング装置又は手作業により、光学素子1の受け面1bを弾性部材6の下面に当接させる。続いて、光学素子ストッパ81を内周方向に移動させることにより、図10Bに示すように、ストッパ弾性部材82を介して光学素子1を挟持する。
【0068】
続く工程S2において、図10Cに示すように、図示しないローディング装置により外枠27を下降させて、光学素子1の加工面1aを研削・研磨用の加工工具4に当接させる。その後、図10Dに示すように、光学素子ストッパ81を外周方向に移動させることにより、光学素子1を非挟持状態にする。
【0069】
工程S3において、図10Eに示すように、加工工具4を回転及び揺動させることにより、光学素子1を加工する。このとき、光学素子1、弾性部材6、滑り部材7、及び光学素子保持具12は、加工工具4の回転運動に従動して回転する。また、このとき、上述したように光学素子1は非挟持状態となっているので、回転運動は阻害されない。
【0070】
工程S4において、図10Fに示すように、光学素子ストッパ81を内周方向に移動させることにより、ストッパ弾性部材82を介して光学素子1を挟持する。続いて、図10Gに示すように、図示しないローディング装置により外枠27を上昇させて、光学素子1を加工工具4から離す。
【0071】
工程S5において、図10Hに示すように、弾性部材ストッパ70で弾性部材6及び滑り部材7を保持した状態のまま、光学素子ストッパ81を外周方向に移動させることにより、光学素子1を非挟持状態にする。このとき、図示しない光学素子用ローディング装置又は作業者の手により、光学素子1を支えておく。
【0072】
この後、光学素子1を交換し、次の光学素子1に対して工程S1〜S5を繰り返すことにより光学素子の加工を順次行って、複数の光学素子を製造する。
なお、弾性部材6及び滑り部材7を交換する工程については、実施の形態2において説明したものと同様である。
【0073】
以上説明した実施の形態3によれば、大掛かりな構成を要することなく、光学素子1、弾性部材6、及び滑り部材7を光学素子保持具12に対して自在に着脱することができる。従って、光学素子の交換作業を容易且つ効率良く行うことが可能となると共に、所望のタイミングで弾性部材6及び滑り部材7を交換することも可能となる。また、光学素子ストッパ81に光学素子ストッパ駆動部86を設けることにより、光学素子の加工を連続して行う自動機への適用も可能となる。それにより、弾性部材6及び滑り部材7を利用して実現される高精度、高品質の光学素子の加工速度を向上させることが可能となる。
【0074】
以上説明した実施の形態1〜3は、光学素子を上方から保持する光学素子保持具だけでなく、光学素子を下方から支持する方式(即ち、光学素子保持具に光学素子を載置する方式)の光学素子保持具にも適用することができる。このような方式の場合、通常、光学素子を上方に持ち上げて光学素子を取り外すが、その際に、弾性部材や滑り部材が光学素子に貼りついて光学素子保持具から外れてしまうことがある。そのような光学素子保持具に、実施の形態1〜3において説明したものと同様の弾性部材保持機構を設けることにより、弾性部材及び滑り部材を光学素子保持具側に保持したまま光学素子を取り外すことができ、且つ、所望のタイミングで弾性部材及び滑り部材を取り外すことができるようになる。従って、光学素子や弾性部材及び滑り部材の交換作業を容易且つ効率良く行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0075】
1 光学素子
1a 加工面
1b 受け面
2、6 弾性部材
2a、3a、3b、5a 貫通孔
3、5、7 滑り部材
4 加工工具
10、11、12 光学素子保持具
10a、11a、12a 支持面
10b、11b、12b 収容部
10c、11c、12c 光学素子保持具ストッパ
11d、12d 枠部
20、25、27 外枠
21 ロータリージョイント
30 内枠
31a、31b ベアリング
32a、32b カラー
33 ベアリング止め具
40 光学素子用真空系
41、44、52、54、61、63 真空引き用孔部
42 真空引き用パイプ
43、53、62 真空室
45、55、65 真空ポンプ
50 弾性部材用真空系
51 真空引き用溝
56、64 樹脂ワッシャ
57、66 真空系制御部
60 真空系
70 弾性部材ストッパ
70a 固定部
70b 突出部
71 弾性部材ストッパ駆動部
72、87 駆動制御部
80 光学素子挟持部
81 光学素子ストッパ
82 ストッパ弾性部材
83 光学素子ストッパ支え
83a 孔部
84 スペーサ
85 ネジ
86 光学素子ストッパ駆動部
100、200、300 光学素子保持装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
研削・研磨加工される光学素子を弾性部材に接触させて保持する光学素子保持装置において、
前記弾性部材を介して前記光学素子を支持する支持面を有する光学素子保持具と、
前記弾性部材を前記光学素子保持具に対して着脱自在に保持する弾性部材保持機構と、
を備えることを特徴とする光学素子保持装置。
【請求項2】
前記弾性部材保持機構は、
前記弾性部材を前記支持面に向けて吸引する弾性部材保持用真空系と、
前記弾性部材保持用真空系を制御することにより、前記弾性部材の吸引状態と非吸引状態とを切り替える制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の光学素子保持装置。
【請求項3】
前記弾性部材保持機構は、
前記弾性部材の端部よりも前記弾性部材の内周側に突出することにより前記弾性部材を支持するストッパと、
前記ストッパを移動させることにより、前記弾性部材の支持状態と非支持状態とを切り替える駆動部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の光学素子保持装置。
【請求項4】
前記光学素子を前記光学素子保持具に対して着脱自在に保持する光学素子保持機構を更に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学素子保持装置。
【請求項5】
前記光学素子保持機構は、
前記光学素子を前記支持面に向けて吸引する光学素子保持用真空系と、
前記光学素子保持用真空系を制御することにより、前記光学素子の吸引状態と非吸引状態とを切り替える制御部と、
を備えることを特徴とする請求項4に記載の光学素子保持装置。
【請求項6】
前記光学素子保持機構は、
前記光学素子の加工面とは異なる面において前記光学素子を挟持する挟持部材と、
前記挟持部材を移動させることにより、前記光学素子の挟持状態と非挟持状態とを切り替える駆動部と、
を備えることを特徴とする請求項4に記載の光学素子保持装置。
【請求項7】
光学素子を弾性部材に接触させて保持しながら研削・研磨加工を行う光学素子の製造方法において、
前記弾性部材を介して前記光学素子を光学素子保持具に保持させる保持工程と、
前記光学素子の加工面を加工工具に当接させる当接工程と、
前記加工工具を回転及び揺動させることにより、前記加工面を研削・研磨加工する加工工程と、
前記光学素子を前記加工工具から離す退避工程と、
前記弾性部材を前記光学素子保持具に保持させた状態で前記光学素子を取り外す取り外し工程と、
前記保持工程と、前記当接工程と、前記加工工程と、前記退避工程と、前記取り外し工程とを所定回数繰り返した後で、前記光学素子保持具から前記弾性部材を取り外し、別の弾性部材と交換する弾性部材交換工程と、
を含むことを特徴とする光学素子の製造方法。
【請求項8】
前記保持工程は、前記弾性部材と前記光学素子を支持する支持面との間に、滑り現象を生じさせる第2の部材を介在させることを特徴とする請求項7に記載の光学素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図7H】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図10G】
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【図10H】
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【公開番号】特開2012−81538(P2012−81538A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228313(P2010−228313)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】