光学素子及び光学素子アレイ、並びに読取ヘッド
【課題】読取ヘッドの製造コストの低減と小型化を図る
【解決手段】光学素子15は、光学ブロック20と、この光学ブロック20の第1,第2曲面23,25の表面に形成された第1反射膜21及び第2反射膜22と、補償光学ブロック18aから構成される。第1反射膜21が形成された第1曲面23は、P偏光を透過し、S偏光を反射する。光源部13aからP偏光の照明光が第1曲面23の外面に入射し、これが透過して対物面24から原稿11に照射される。原稿11からの物体光が対物面24から第1曲面23に入射する。物体光のうちP偏光の正反射光は、第1曲面23を透過し、S偏光となる拡散反射光が第2曲面25に向けて反射される。反射光は、第2反射膜22が形成された第2曲面25で反射されて射出面26から光学ブロック20の外部に射出されて結像する。
【解決手段】光学素子15は、光学ブロック20と、この光学ブロック20の第1,第2曲面23,25の表面に形成された第1反射膜21及び第2反射膜22と、補償光学ブロック18aから構成される。第1反射膜21が形成された第1曲面23は、P偏光を透過し、S偏光を反射する。光源部13aからP偏光の照明光が第1曲面23の外面に入射し、これが透過して対物面24から原稿11に照射される。原稿11からの物体光が対物面24から第1曲面23に入射する。物体光のうちP偏光の正反射光は、第1曲面23を透過し、S偏光となる拡散反射光が第2曲面25に向けて反射される。反射光は、第2反射膜22が形成された第2曲面25で反射されて射出面26から光学ブロック20の外部に射出されて結像する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子及び光学素子アレイ、並びに読取ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スキャナーや、複写機、ファクシミリ等の読取ヘッドでは、読み取り対象の原稿に照明光を照射し、その反射光を結像光学系を介して、多数の受光素子からなる受光素子アレイで受光することにより原稿を読み取っている。結像光学系は、原稿の像を受光素子アレイ上に結像する。結像光学系としては、多数のロッドレンズを並べたロッドレンズアレイが広く利用されている。ロッドレンズは、径方向の屈折率分布によって結像作用を有する棒状のレンズである。
【0003】
また、反射面が対向するように配された一対の凹面鏡アレイによって構成された結像光学系も知られている(例えば、特許文献1を参照)。この特許文献1の結像光学系では、各凹面鏡アレイは、複数の凹面鏡を並べたものであり、物体からの光を一方の凹面鏡で反射させて他方の凹面鏡に入射し、この他方の凹面鏡で物体と反対方向に反射させて物体像を結像させている。
【0004】
物体からの反射光を受光する場合、例えば反射原稿を読み取る場合には、その原稿に対して照明光を照射する必要がある。原稿で照明光が正反射された反射光を受光素子が受光した場合には、読み取った原稿像に光源が写り込んだものとなり不鮮明な像となる。また、正反射光によりハレーションが発生してコントラストが低下してしまうことがある。このため、一般的には、結像光学系を原稿の法線方向に配し、この法線に対して適当な角度を持った方向から原稿に照明光を照射し、正反射光が結像光学系や受光素子に入射しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−62227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のようなロッドレンズアレイを用いた読取ヘッドは、ロッドレンズ自体が高価であり、製造コストを上昇させる要因になっていた。また、上記のように斜め方向から原稿に照明光を照射する場合には、照明光を結像光学系の読み取り位置に入射させる必要があるため、光源の位置が制約される他、結像光学系と原稿との間に十分な間隔を設ける必要があった。このため、読取ヘッドやこれが内蔵されるスキャナー等の機器の小型化の妨げとなっていた。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであって、低コスト化、小型化に有利な光学素子、及び光学素子アレイ,並びに読取ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、本発明の光学素子は、物体を照明する照明光の光源に対向し曲面形状にされた第1曲面、この第1曲面から照明光の照射方向に設けられて物体に対面し、前記照明光を物体に向けて射出するとともに、物体で反射された物体光が入射する対物面、物体側に前記対物面と隣接して設けられ曲面形状にされた第2曲面、及び前記光源側に設けられ前記第1曲面に隣接した射出面を有する透明な光学ブロックと、前記対物面から入射した前記物体からの物体光を前記第2曲面に向けて反射するように前記第1曲面上に形成され、前記光源からの照射光及び前記物体からの物体光のうちの特定の直線偏光成分を透過し他の偏光成分を反射する第1反射膜と、前記第2曲面上に形成され、前記第1反射膜からの物体光を反射して前記射出面から射出することにより、前記光学ブロックの外側の所定位置に物体像を結像させる第2反射膜とを備えたものである。
【0009】
前記第1及び第2曲面は、同一の面形状とし点対称に配置することが好ましい。また、前記物体からの物体光が、前記第1反射膜が形成された前記第1曲面から前記第2反射膜が形成された前記第2曲面までの間は平行光となってブロック内を通過し、前記第1曲面と前記第2曲面との反射による相互の収差が相殺されることが好ましい。さらに、前記第1及び第2曲面を、非球面とすることも好ましい。
【0010】
また、前記光源と前記第1曲面との間に配された補償光学ブロックを備え、この補償光学ブロックは、前記光学ブロックと同じ屈折率であるとともに、前記対物面に平行にされ前記光源からの照明光が入射される入射平面と、前記第1曲面に沿った曲面とされた前記第1曲面に対向した射出対向面とを有し、前記第1曲面による屈折効果を相殺することが好ましい。前記入射平面には、平行光とされた照明光を垂直に入射するのがよい。
【0011】
また、本発明の光学素子アレイは、上記の光学素子を複数個配列することにより、複数の前記第1,第2凹面鏡をそれぞれライン状に配列したものである。
【0012】
隣接した前記各光学ブロックの間に配される遮光部材を有することが好ましい。
【0013】
また、本発明の光学素子アレイは、物体を照明する照明光の光源に対向し曲面形状にされた第1曲面、この第1曲面から照明光の照射方向に設けられて物体に対面し、前記照明光を物体に向けて射出するとともに、物体で反射された物体光が入射する対物面、物体側に前記対物面と隣接して設けられ曲面形状にされた第2曲面、及び前記光源側に設けられ前記第1曲面に隣接した射出面からなる4面を1組の面としてそれぞれが有する複数の透明な光学ブロックが一体に形成され、同じ種類の面がそれぞれライン状として配列されたアレイブロックと、前記対物面から入射した前記物体からの物体光を同じ組の前記第2曲面に向けて反射するように前記各第1曲面上に形成され、前記光源からの照射光及び前記物体からの物体光のうちの特定の直線偏光成分を透過し他の偏光成分を反射する複数の第1反射膜と、前記各第2曲面上に形成され、同じ組の前記第1反射膜からの物体光を反射して前記射出面から射出することにより、前記光学アレイブロックの外側の所定位置に物体像を結像させる第2反射膜とを備えるものである。
【0014】
光源と前記各第1曲面との間にそれぞれ配された複数の補償光学ブロックを備え、前記各補償光学ブロックは、前記光学ブロックと同じ屈折率であるとともに、前記対物面に平行にされ、前記光源からの照明光が入射される入射平面と、前記第1曲面に沿った曲面とされ、前記第1曲面に対向した射出対向面とを有し、前記第1曲面による屈折効果を相殺することが好ましい。前記入射平面には、平行光とされた照明光を垂直に入射するのがよい。さらに、前記複数の補償光学ブロックを一体に形成することも好ましい。
【0015】
また、本発明の読取ヘッドは、上記光学素子アレイと、前記光源を有し各第1凹面鏡のそれぞれに照明光を入射する照明装置と、前記射出面にそれぞれ対向して設けられた複数の受光素子からなるラインセンサとを備えたものである。前記照明装置は、前記特定の直線偏光成分からなる照明光を照射することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、光学素子を安価に作製できるので、光学素子アレイ、あるいは読取ヘッドの製造コストを低減することができる。また、光学ブロックの対物面から照明光を照射し、その対物面に物体で反射された物体光を入射させるので、結像光学系である光学素子を物体に近接して配置することができ、光学素子を搭載した装置の小型化を図ることができる。また、第1曲面に形成した第1反射膜が特定の直線偏光成分を透過し他の成分を反射するようにしたから、物体には、特定の直線偏光成分の照明光が照射され、それの正反射光が第1曲面で反射されることなく透過するので、光源の写り込みがなく、またハレーション等の発生を防止できるため画質のよい像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の読取ヘッドの概略を示す斜視図である。
【図2】1個の光学素子とそれに対応する光源部及び受光素子からなる読取モジュールの構成を示す分解斜視図である。
【図3】読取モジュールの光学系を示す説明図である。
【図4】光学素子アレイの構成を示す分解斜視図である。
【図5】各光学ブロックの側面に遮光膜を一体に形成した例を示す説明図である。
【図6】1個の光学アレイブロックを用いて光学素子アレイを構成した例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1において、読取ヘッド10は、スキャナーや、ファクシミリ、複写機等に内蔵されて原稿11の光学的な読み取りを行う。読取ヘッド10は、光学素子アレイ12と、照明装置13と、ラインセンサ14とを有する。この読取ヘッド10は、照明装置13からの照明光で原稿11を照明し、原稿11からの反射光(以下、物体光という)を光学素子アレイ12を介してラインセンサ14で受光することにより、原稿11を1ラインずつ読み取って電気的な信号に変換する。1ラインは、主走査方向(原稿11の幅方向:矢印M方向)に並ぶ多数の画素からなる。
【0019】
原稿11は、搬送機構(図示省略)により、主走査方向と直交する副走査方向(矢印S方向)に搬送される。この搬送の際に、原稿11が1ライン分搬送されるごとに読取ヘッド10による1ラインの読み取りを行う。原稿11を搬送する代りに、原稿11に対して読取ヘッド10を副走査方向に移動させてもよい。
【0020】
光学素子アレイ12の下方に原稿11が配され、光学素子アレイ12の上方に照明装置13及びラインセンサ14が配されている。なお、これらの配置は、各部相互の相対的な位置関係が同じであれば他の配置でもよい。例えば、光学素子アレイ12の上方に原稿11を、下方に照明装置13及びラインセンサ14を配してもよい、また、光学素子アレイ12を上下方向に長く配置し、光学素子アレイ12を挟んでその各側方に原稿11、照明装置13とラインセンサ14をそれぞれ配してもよい。
【0021】
光学素子アレイ12は、複数の光学素子15を主走査方向に1列に並べて一体化したものである。光学素子15は、結像光学系を構成しており、光学素子アレイ12とすることにより、主走査方向に伸びるラインの像を結像する。また、光学素子アレイ12は、各光学素子15の間に遮光板16(図4参照)が設けられている。
【0022】
照明装置13は、詳細を後述するように、光学素子アレイ12を通して原稿11を照明する。この照明装置13は、光学素子15ごとに設けられた複数の光源部13aから構成されている。照明装置13の直下には、光学素子アレイ12の一部を構成する補償光学部18が配されている。補償光学部18は、複数の補償光学ブロック18aから構成される。ラインセンサ14は、多数の受光素子14a(図2参照)を主走査方向に1列に配列したものであり、1個の光学素子15に対して複数の受光素子14aが対応している。
【0023】
なお、図1では、11個の光学素子15からなる光学素子アレイ12を描いてあるが、実際にはより多くの光学素子15が設けられている。また、光源として複数の光源部13aを用いているが、例えば主走査方向に長いランプを用いてもよい。
【0024】
図2及び図3において、光学素子15は、光学ブロック20と、この光学ブロック20の表面に一体に形成された第1反射膜21及び第2反射膜22と、補償光学ブロック18aとから構成される。光学ブロック20は、略六角柱形状に形成されており、その略六角形状をした一対の側面20aを主走査方向に向けた姿勢とされ、その他の6面のうちの2面(第1曲面23,射出面26)が光源部13a側に隣接して設けられ、他の2面(対物面24,第2曲面25)が原稿11側に隣接して設けられており、第1曲面23から対物面24に至る部分が光源部13aと原稿11との間に配されている。光学ブロック20は、透明な材料で作製されている。この透明な材料としては、ガラスやプラスチックを用いることができる。なお、図3では、補償光学ブロック18a、光学ブロック20の各面における照明光、物体光の屈折を省略して描いてある。
【0025】
光学ブロック20の第1曲面23は、光源部13aの下方に配されている。この第1曲面23は、外側に凸状の曲面形状に形成されている。この第1曲面23の表面に、詳細を後述する第1反射膜21を形成することにより、第1曲面23を光学ブロック20の内部側に凹面を向けた凹面鏡及び偏向ビームスプリッタとして機能させる。対物面24は、第1曲面23の下方、すなわち第1曲面23から照明光の照射方向に設けられて原稿11に対面する。この対物面24は、光源部13aによる照明光の照射方向と垂直な平面とされ、原稿11と平行になっている。
【0026】
第2曲面25は、対物面24と同様に原稿11側に配されている。この第2曲面25は、対物面24よりも副走査方向下流側に配されることで、照明光の照射方向と直交するずらし方向において、対物面24からずれた位置に設けられている。第2曲面25は、第1曲面23と同様に外側に凸状の曲面形状に形成されており、その表面に第2反射膜22を形成することにより、光学ブロック20の内部側に凹面を向けた凹面鏡として機能する。射出面26は、第1曲面23と同様に光源側で、第1曲面23よりも搬送方向下流側に配されることにより、対物面24のずらし方向と同じ方向にずらした位置に配され第2曲面25の上方に位置している。この射出面26は、光源部13aによる照明光の照射方向と垂直な平面となっている。
【0027】
この例においては、上記のように各面23〜26が配される光学ブロック20は、光源部13a側の第1曲面23,射出面26と、原稿11側の対物面24,第2曲面25とが相互に、主走査方向の軸回りに回転対称な配置になっている。なお、必ずしも回転対称としなくてもよい。
【0028】
第1反射膜21は、第1曲面23の表面に、例えば光学膜を蒸着することによって形成される。第1曲面23の凹面鏡としての凹面形状は、それ自体の曲面形状によって決めることができる。第1反射膜21が形成された第1曲面23には、光源部13aからの照明光が外面(凸面)側に入射するとともに、対物面24から光学ブロック20内に入射する原稿11からの物体光が凹面(内面)側に入射する。この原稿11からの物体光に対して、第1反射膜21が形成された第1曲面23は凹面鏡として機能する。
【0029】
また、上記の第1反射膜21は、光源部13aからの照射光を透過させ、また原稿11からの物体光のうちの正反射光を除去するために、入射する光のうちの特定の直線偏光成分を透過し、残りの偏光成分を反射するように形成されている。したがって、第1反射膜21が形成された第1曲面23は、偏光ビームスプリッタとしても機能する。
【0030】
この例では、第1反射膜21は、入射する光のP偏光を透過しS偏光を反射するように形成されている。これにより、P偏光とされた照明光を第1曲面23から光学ブロック20の内部に入射させて対物面24から原稿11に照明光を照射すると同時に、物体光のうちの正反射光(P偏光)を透過して除去し、拡散反射したS偏光を第2曲面25に向けて反射して結像に供する。なお、正反射光は、入射した光の偏光状態が保存され、拡散反射光は、偏光状態が保存されないことを利用している。
【0031】
第2反射膜22は、第2曲面25の表面に例えば金属材料を蒸着することにより形成されている。第2曲面25自体の曲面形状により凹面鏡としての凹面形状決めることができる。第2反射膜22が形成された第2曲面25は、第1反射膜21が形成された第1曲面23からの物体光を上方に向けて反射して射出面26から光学ブロック20の外部に射出して結像させる。
【0032】
なお、以下の説明では、第1反射膜21が形成されていることを前提として、第1曲面23が上記のように凹面鏡となり、また偏光ビームスプリッタとして機能するものとして説明する。同様に、第2反射膜22が形成されていることを前提として、第2曲面25が上記のように凹面鏡として機能するものとして説明する。
【0033】
第1,第2曲面23,25は、いずれも球面鏡と面形状となっており、それぞれの光軸が一致しないように曲面の向きが決められた軸ずらしの配置になっている。第1曲面23と第2曲面25は、同一の面形状であり、これらは相互に点対称な配置としてある。これにより、軸外しの凹面鏡により生じる非点対称収差を打ち消している。また、物体光が第1曲面23から第2曲面25までの間は平行光となって光学ブロック20内を通過するようにされており、第1曲面23と第2曲面25との反射による相互の収差が相殺されるようにしてある。なお、第1曲面23から第2曲面25までの間で平行光ではない状態で光学ブロック20内を通過するように構成することもできる。
【0034】
第1,第2曲面23,25の組み合わせにより、等倍投影の光学系を構成しており、主走査方向については正立像を形成する。隣接した各光学素子15は、原稿11の読み取り範囲が互いに一部重複する。上述のように主走査方向では正立像を結像することにより、隣接した各光学素子15によって読み取られる原稿11上の同一部分は、結像面の同じ位置に結像する。
【0035】
第1曲面23の上方に、照明光を出力する光源部13aが配される。光源部13aは、例えば、LED(発光ダイオード)などの光源27と、パラボラミラー28と、光学フィルタ29とを有する。光源27は、例えば白色の光を出力する。パラボラミラー28は、光源27からの光を平行光とする。光学フィルタ29は、平行光とされた照明光のうちのS偏光をカットしてP偏光だけを第1曲面23に入射させる。第1曲面23に入射した照明光は、それを透過し光学ブロック20の内部を通って対物面24から原稿11に照射される。
【0036】
上記のように原稿11からの物体光が入射する対物面24から原稿11に照明光を照射する構成としているため、光学素子15と原稿11とを近接させることができ、読取ヘッド10の小型化に有利である。
【0037】
なお、特定の直線偏光成分の照明光は、偏光板や偏光変換素子などの周知の光学素子を用いて生成することができる。例えば、上記光学フィルタ29に代えて、入射する光のランダムな偏光方向を一定の偏光方向にそろえる偏光変換素子を用い、第1曲面23に対してP偏光となるように照明光の偏光方向をそろえてもよい。このように偏光変換素子を用いれば光量損失を少なくすることができる。また、光学フィルタ29を用いずに、偏光方向がランダムな照明光を第1曲面23に入射してもよい。この場合には、第1曲面23の偏光ビームスプリッタの機能により、P偏光だけを光学ブロック20の内部に入射させて、原稿11を照明することができる。
【0038】
光源部13aと第1曲面23との間に、補償光学ブロック18aが配される。補償光学ブロック18aは、光学ブロック20と同じ屈折率とされている。このため、補償光学ブロック18aは、例えば光学ブロック20と同じ材料で作製されている。補償光学ブロック18aは、その上面31が平面とされており、光源部13aからの平行光とされた照明光が上面31に垂直に入射する。第1曲面23に対面する補償光学ブロック18aの底面32は、第1曲面23に沿った曲面とされている。第1曲面23が外側に凸状の面形状となっているので、底面32は凹状の面形状にされている。なお、上面31が入射平面であり、底面32が射出対向面となっている。
【0039】
底面32が上記のような面形状とされた補償光学ブロック18aを配することにより、照明光に対する第1曲面23の屈折効果を補償光学ブロック18aの屈折効果で相殺している。第1曲面23の屈折効果としては、平行光の照明光を収束する効果と、照明光を偏向する効果がある。収束が生じると、原稿11に対する照明範囲が狭くり、また偏向が生じると例えば第1曲面23から入射した照明光が第2曲面25に向かって進むなどの不具合が発生する。なお、底面32を第1曲面23(第1反射膜)に密着させて配してもよい。
【0040】
射出面26の上方に、ラインセンサ14の複数の受光素子14aが配される。各受光素子14aは、第1曲面23、第2曲面25で反射されて射出面26から射出される物体光を受光する。受光素子14aは、第2曲面25の結像面上に配されている。これにより、結像された1ライン分の原稿11の像がラインセンサ14によって電気的な信号に変換される。
【0041】
1個の光学素子15と、それに対応する光源部13a,各受光素子14aとによって、読取モジュールが構成されている。この読取モジュールを増減することにより、読取ヘッド10の読み取り幅を設定することができ、各種の読み取り幅に容易に対応させることができる。
【0042】
図4に示すように、上記のように構成される複数個の光学素子15を1列に並べて連結して一体化することにより光学素子アレイ12が形成されている。すなわち、光学素子アレイ12は、互いに同じ姿勢で側面20aを対向させるようにして、隣接する各光学素子15を連結させている。隣接する光学ブロック20の各側面20aの間には、遮光部材としての遮光板16が挟み込まれている。この遮光板16は、側面20aを覆うことにより、光学素子15に入射した照明光や原稿11からの物体光がその側面20aから射出されて隣接した他の光学素子15の側面20aからその光学ブロック20内に入射することを防止している。なお、図4では、補償光学部18を省略してある。
【0043】
遮光板16としては、光学ブロック20内での迷光の発生を避けるために、反射率が低く入射する光を吸収することが好ましい。なお、光学素子アレイ12の両端の側面20aにも遮光板16を設けてある。
【0044】
なお、複数個の光学素子15を1列に並べて光学素子アレイ12を構成する場合、各光学ブロック20の間に遮光板16を挟んだ状態で、両端から複数の光学ブロック20を挟持することによって1列に並べた状態に保持してもよい。また、接着剤等を用いて光学ブロック20同士を固定してもよい。さらに、遮光板16に代えて、例えば第1曲面23側あるいは対物面側に絞り等を設け、光学ブロック20内に入射した光が他の光学ブロック20内に入射しないようにすることもできる。
【0045】
上記の読取ヘッド10により原稿11の読み取りを行う場合には、照明装置13をオンとしてから読み取るべき原稿11を搬送機構によって副走査方向に送る。照明装置13がオンとなると、各光源部13aからの照明光は、それぞれ対応する補償光学ブロック18aを通って第1曲面23に入射する。第1曲面23に入射する照明光は、パラボラミラー28により平行光とされるとともに光学フィルタ29によってP偏向とされている。したがって、光源部13aからの照明光は、第1曲面23を透過して光学ブロック20内に入射する。このように光学ブロック20内に第1曲面23から照明光が入射するときには、その第1曲面23によって屈折が生じるが、照明光は補償光学ブロック18aの底面32によって屈折されているため、それらの屈折効果が相殺され、照明光は収束・偏向されることなく光学ブロック20内に入射する。
【0046】
上記のようにして光学ブロック20内に入射した照明光は、その内部を通って対物面24から射出されて原稿11に照射される。照明光が原稿11に照射されて、その原稿11で照明光が反射した物体光は、対物面24から光学ブロック20内に入射し、その内部を通って第1曲面23に入射する。ここで、原稿11で照明光が反射するときには、正反射光は、入射する光の偏光状態が保存されている。したがって、物体光のうちの正反射光はP偏光のままであり、第1曲面23を透過するため、第2曲面25に向けて反射されることはない。一方、拡散反射する光は、偏光状態が保存されない。このため、物体光のうちの拡散反射光はS偏光が含まれ、そのS偏光が第1曲面23によって反射される。
【0047】
第1曲面23で反射された物体光は、光学ブロック20の内部を通って第2曲面25に向う。このときに、第1曲面23からの物体光は、第1曲面23の凹面鏡の作用により、平行光とされる。そして、その反射された物体光は、第2曲面25で上方に反射されて、射出面26から光学ブロック20の外部に射出され、ラインセンサ14上に結像する。これにより原稿11の1ライン分の像がラインセンサ14上に形成され、その像が電気的な信号に変換されて出力される。
【0048】
このようにして1ラインの読み取りが完了して原稿11が副走査方向に1ライン分搬送されると、次の1ラインの読み取りが同様にして行われる。以降、原稿11が1ライン分搬送されるごとに、同様にして原稿11の1ラインの読み取りが行われて、原稿11の全面の読み取りが行われる。
【0049】
上記のようにして得られる原稿11の像は、第1曲面23が正反射光を透過させてラインセンサ14に入射しないから、光源の写り込みが発生せず、またコントラストの高い像となっている。
【0050】
図5は、各光学ブロック20の側面20aに遮光部材としての遮光膜41を形成し、隣接する各光学ブロック20の遮光膜41同士を密着させることで光学素子アレイ12としたものである。遮光膜41は、側面20aに光を吸収する光学膜を蒸着することにより形成される。これによれば、遮光膜41と光学ブロック20とを一体化することができ、光学素子アレイ12の組み立てが容易になる。
【0051】
図6は、1つのアレイブロックを用いて光学素子アレイを構成する例を示すものである。主走査方向に長くされたアレイブロック45には、それぞれ複数の第1曲面23,対物面24,第2曲面25,射出面26が主走査方向に配列されて形成されている。各第1曲面23にはそれぞれ第1反射膜21が、各第2曲面25にはそれぞれ第2反射膜22が形成される。すなわち、アレイブロックは、第1曲面23,対物面24,第2曲面25,射出面26の4つの面を1組の面として有する複数の透明な光学ブロックを、同じ種類の面がそれぞれライン状に配列されるように並べた形状に作製されたものである。これにより、1個のアレイブロック45を用いて複数の光学素子15を一体に配列した光学素子アレイ12となる。
【0052】
なお、複数個の光学素子15を1列に並べる場合と同様にアレイブロック内に遮光部材を設けるのも好ましい。また、アレイブロック内に遮光部材を設ける代りに絞りなどを設けてもよい。上記アレイブロック45と同様にして、複数の補償光学ブロックを一体なものとして補償光学部18を作製してもよい。
【0053】
上記の各実施形態では、光学ブロック、光学アレイブロックの対物面及び射出面を平面にしているが、これらを球面あるいは非球面として、収差を補正するなどしてもよい。また、第1,第2曲面を非球面として収差を補正してもよい。さらに、各光学素子によって得られる各像の収差が小さくなるように、光学素子の幅(主走査方向の長さ)を適宜調整することもできる。
【0054】
上記では光学素子を複数配列した光学素子アレイを用いた読取ヘッドについて説明したが、1つの光学素子を主走査方向に移動させることで1ラインを読み取るように構成することもできる。また、結像の対象を原稿としているが、原稿に限らず、照明光を照射して物体光を結像することができる物体であれば結像の対象にすることができる。さらに、ラインセンサに代えて感光ドラムを配置し、原稿の像に応じた帯電状態にすることもできる。
【符号の説明】
【0055】
10 読取ヘッド
12 光学素子アレイ
13 照明装置
14 ラインセンサ
15 光学素子
18a 補償光学ブロック
20 光学ブロック
21 第1反射膜
22 第2反射膜
23 第1曲面
24 対物面
25 第2曲面
26 射出面
45 アレイブロック
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子及び光学素子アレイ、並びに読取ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スキャナーや、複写機、ファクシミリ等の読取ヘッドでは、読み取り対象の原稿に照明光を照射し、その反射光を結像光学系を介して、多数の受光素子からなる受光素子アレイで受光することにより原稿を読み取っている。結像光学系は、原稿の像を受光素子アレイ上に結像する。結像光学系としては、多数のロッドレンズを並べたロッドレンズアレイが広く利用されている。ロッドレンズは、径方向の屈折率分布によって結像作用を有する棒状のレンズである。
【0003】
また、反射面が対向するように配された一対の凹面鏡アレイによって構成された結像光学系も知られている(例えば、特許文献1を参照)。この特許文献1の結像光学系では、各凹面鏡アレイは、複数の凹面鏡を並べたものであり、物体からの光を一方の凹面鏡で反射させて他方の凹面鏡に入射し、この他方の凹面鏡で物体と反対方向に反射させて物体像を結像させている。
【0004】
物体からの反射光を受光する場合、例えば反射原稿を読み取る場合には、その原稿に対して照明光を照射する必要がある。原稿で照明光が正反射された反射光を受光素子が受光した場合には、読み取った原稿像に光源が写り込んだものとなり不鮮明な像となる。また、正反射光によりハレーションが発生してコントラストが低下してしまうことがある。このため、一般的には、結像光学系を原稿の法線方向に配し、この法線に対して適当な角度を持った方向から原稿に照明光を照射し、正反射光が結像光学系や受光素子に入射しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−62227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のようなロッドレンズアレイを用いた読取ヘッドは、ロッドレンズ自体が高価であり、製造コストを上昇させる要因になっていた。また、上記のように斜め方向から原稿に照明光を照射する場合には、照明光を結像光学系の読み取り位置に入射させる必要があるため、光源の位置が制約される他、結像光学系と原稿との間に十分な間隔を設ける必要があった。このため、読取ヘッドやこれが内蔵されるスキャナー等の機器の小型化の妨げとなっていた。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであって、低コスト化、小型化に有利な光学素子、及び光学素子アレイ,並びに読取ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、本発明の光学素子は、物体を照明する照明光の光源に対向し曲面形状にされた第1曲面、この第1曲面から照明光の照射方向に設けられて物体に対面し、前記照明光を物体に向けて射出するとともに、物体で反射された物体光が入射する対物面、物体側に前記対物面と隣接して設けられ曲面形状にされた第2曲面、及び前記光源側に設けられ前記第1曲面に隣接した射出面を有する透明な光学ブロックと、前記対物面から入射した前記物体からの物体光を前記第2曲面に向けて反射するように前記第1曲面上に形成され、前記光源からの照射光及び前記物体からの物体光のうちの特定の直線偏光成分を透過し他の偏光成分を反射する第1反射膜と、前記第2曲面上に形成され、前記第1反射膜からの物体光を反射して前記射出面から射出することにより、前記光学ブロックの外側の所定位置に物体像を結像させる第2反射膜とを備えたものである。
【0009】
前記第1及び第2曲面は、同一の面形状とし点対称に配置することが好ましい。また、前記物体からの物体光が、前記第1反射膜が形成された前記第1曲面から前記第2反射膜が形成された前記第2曲面までの間は平行光となってブロック内を通過し、前記第1曲面と前記第2曲面との反射による相互の収差が相殺されることが好ましい。さらに、前記第1及び第2曲面を、非球面とすることも好ましい。
【0010】
また、前記光源と前記第1曲面との間に配された補償光学ブロックを備え、この補償光学ブロックは、前記光学ブロックと同じ屈折率であるとともに、前記対物面に平行にされ前記光源からの照明光が入射される入射平面と、前記第1曲面に沿った曲面とされた前記第1曲面に対向した射出対向面とを有し、前記第1曲面による屈折効果を相殺することが好ましい。前記入射平面には、平行光とされた照明光を垂直に入射するのがよい。
【0011】
また、本発明の光学素子アレイは、上記の光学素子を複数個配列することにより、複数の前記第1,第2凹面鏡をそれぞれライン状に配列したものである。
【0012】
隣接した前記各光学ブロックの間に配される遮光部材を有することが好ましい。
【0013】
また、本発明の光学素子アレイは、物体を照明する照明光の光源に対向し曲面形状にされた第1曲面、この第1曲面から照明光の照射方向に設けられて物体に対面し、前記照明光を物体に向けて射出するとともに、物体で反射された物体光が入射する対物面、物体側に前記対物面と隣接して設けられ曲面形状にされた第2曲面、及び前記光源側に設けられ前記第1曲面に隣接した射出面からなる4面を1組の面としてそれぞれが有する複数の透明な光学ブロックが一体に形成され、同じ種類の面がそれぞれライン状として配列されたアレイブロックと、前記対物面から入射した前記物体からの物体光を同じ組の前記第2曲面に向けて反射するように前記各第1曲面上に形成され、前記光源からの照射光及び前記物体からの物体光のうちの特定の直線偏光成分を透過し他の偏光成分を反射する複数の第1反射膜と、前記各第2曲面上に形成され、同じ組の前記第1反射膜からの物体光を反射して前記射出面から射出することにより、前記光学アレイブロックの外側の所定位置に物体像を結像させる第2反射膜とを備えるものである。
【0014】
光源と前記各第1曲面との間にそれぞれ配された複数の補償光学ブロックを備え、前記各補償光学ブロックは、前記光学ブロックと同じ屈折率であるとともに、前記対物面に平行にされ、前記光源からの照明光が入射される入射平面と、前記第1曲面に沿った曲面とされ、前記第1曲面に対向した射出対向面とを有し、前記第1曲面による屈折効果を相殺することが好ましい。前記入射平面には、平行光とされた照明光を垂直に入射するのがよい。さらに、前記複数の補償光学ブロックを一体に形成することも好ましい。
【0015】
また、本発明の読取ヘッドは、上記光学素子アレイと、前記光源を有し各第1凹面鏡のそれぞれに照明光を入射する照明装置と、前記射出面にそれぞれ対向して設けられた複数の受光素子からなるラインセンサとを備えたものである。前記照明装置は、前記特定の直線偏光成分からなる照明光を照射することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、光学素子を安価に作製できるので、光学素子アレイ、あるいは読取ヘッドの製造コストを低減することができる。また、光学ブロックの対物面から照明光を照射し、その対物面に物体で反射された物体光を入射させるので、結像光学系である光学素子を物体に近接して配置することができ、光学素子を搭載した装置の小型化を図ることができる。また、第1曲面に形成した第1反射膜が特定の直線偏光成分を透過し他の成分を反射するようにしたから、物体には、特定の直線偏光成分の照明光が照射され、それの正反射光が第1曲面で反射されることなく透過するので、光源の写り込みがなく、またハレーション等の発生を防止できるため画質のよい像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の読取ヘッドの概略を示す斜視図である。
【図2】1個の光学素子とそれに対応する光源部及び受光素子からなる読取モジュールの構成を示す分解斜視図である。
【図3】読取モジュールの光学系を示す説明図である。
【図4】光学素子アレイの構成を示す分解斜視図である。
【図5】各光学ブロックの側面に遮光膜を一体に形成した例を示す説明図である。
【図6】1個の光学アレイブロックを用いて光学素子アレイを構成した例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1において、読取ヘッド10は、スキャナーや、ファクシミリ、複写機等に内蔵されて原稿11の光学的な読み取りを行う。読取ヘッド10は、光学素子アレイ12と、照明装置13と、ラインセンサ14とを有する。この読取ヘッド10は、照明装置13からの照明光で原稿11を照明し、原稿11からの反射光(以下、物体光という)を光学素子アレイ12を介してラインセンサ14で受光することにより、原稿11を1ラインずつ読み取って電気的な信号に変換する。1ラインは、主走査方向(原稿11の幅方向:矢印M方向)に並ぶ多数の画素からなる。
【0019】
原稿11は、搬送機構(図示省略)により、主走査方向と直交する副走査方向(矢印S方向)に搬送される。この搬送の際に、原稿11が1ライン分搬送されるごとに読取ヘッド10による1ラインの読み取りを行う。原稿11を搬送する代りに、原稿11に対して読取ヘッド10を副走査方向に移動させてもよい。
【0020】
光学素子アレイ12の下方に原稿11が配され、光学素子アレイ12の上方に照明装置13及びラインセンサ14が配されている。なお、これらの配置は、各部相互の相対的な位置関係が同じであれば他の配置でもよい。例えば、光学素子アレイ12の上方に原稿11を、下方に照明装置13及びラインセンサ14を配してもよい、また、光学素子アレイ12を上下方向に長く配置し、光学素子アレイ12を挟んでその各側方に原稿11、照明装置13とラインセンサ14をそれぞれ配してもよい。
【0021】
光学素子アレイ12は、複数の光学素子15を主走査方向に1列に並べて一体化したものである。光学素子15は、結像光学系を構成しており、光学素子アレイ12とすることにより、主走査方向に伸びるラインの像を結像する。また、光学素子アレイ12は、各光学素子15の間に遮光板16(図4参照)が設けられている。
【0022】
照明装置13は、詳細を後述するように、光学素子アレイ12を通して原稿11を照明する。この照明装置13は、光学素子15ごとに設けられた複数の光源部13aから構成されている。照明装置13の直下には、光学素子アレイ12の一部を構成する補償光学部18が配されている。補償光学部18は、複数の補償光学ブロック18aから構成される。ラインセンサ14は、多数の受光素子14a(図2参照)を主走査方向に1列に配列したものであり、1個の光学素子15に対して複数の受光素子14aが対応している。
【0023】
なお、図1では、11個の光学素子15からなる光学素子アレイ12を描いてあるが、実際にはより多くの光学素子15が設けられている。また、光源として複数の光源部13aを用いているが、例えば主走査方向に長いランプを用いてもよい。
【0024】
図2及び図3において、光学素子15は、光学ブロック20と、この光学ブロック20の表面に一体に形成された第1反射膜21及び第2反射膜22と、補償光学ブロック18aとから構成される。光学ブロック20は、略六角柱形状に形成されており、その略六角形状をした一対の側面20aを主走査方向に向けた姿勢とされ、その他の6面のうちの2面(第1曲面23,射出面26)が光源部13a側に隣接して設けられ、他の2面(対物面24,第2曲面25)が原稿11側に隣接して設けられており、第1曲面23から対物面24に至る部分が光源部13aと原稿11との間に配されている。光学ブロック20は、透明な材料で作製されている。この透明な材料としては、ガラスやプラスチックを用いることができる。なお、図3では、補償光学ブロック18a、光学ブロック20の各面における照明光、物体光の屈折を省略して描いてある。
【0025】
光学ブロック20の第1曲面23は、光源部13aの下方に配されている。この第1曲面23は、外側に凸状の曲面形状に形成されている。この第1曲面23の表面に、詳細を後述する第1反射膜21を形成することにより、第1曲面23を光学ブロック20の内部側に凹面を向けた凹面鏡及び偏向ビームスプリッタとして機能させる。対物面24は、第1曲面23の下方、すなわち第1曲面23から照明光の照射方向に設けられて原稿11に対面する。この対物面24は、光源部13aによる照明光の照射方向と垂直な平面とされ、原稿11と平行になっている。
【0026】
第2曲面25は、対物面24と同様に原稿11側に配されている。この第2曲面25は、対物面24よりも副走査方向下流側に配されることで、照明光の照射方向と直交するずらし方向において、対物面24からずれた位置に設けられている。第2曲面25は、第1曲面23と同様に外側に凸状の曲面形状に形成されており、その表面に第2反射膜22を形成することにより、光学ブロック20の内部側に凹面を向けた凹面鏡として機能する。射出面26は、第1曲面23と同様に光源側で、第1曲面23よりも搬送方向下流側に配されることにより、対物面24のずらし方向と同じ方向にずらした位置に配され第2曲面25の上方に位置している。この射出面26は、光源部13aによる照明光の照射方向と垂直な平面となっている。
【0027】
この例においては、上記のように各面23〜26が配される光学ブロック20は、光源部13a側の第1曲面23,射出面26と、原稿11側の対物面24,第2曲面25とが相互に、主走査方向の軸回りに回転対称な配置になっている。なお、必ずしも回転対称としなくてもよい。
【0028】
第1反射膜21は、第1曲面23の表面に、例えば光学膜を蒸着することによって形成される。第1曲面23の凹面鏡としての凹面形状は、それ自体の曲面形状によって決めることができる。第1反射膜21が形成された第1曲面23には、光源部13aからの照明光が外面(凸面)側に入射するとともに、対物面24から光学ブロック20内に入射する原稿11からの物体光が凹面(内面)側に入射する。この原稿11からの物体光に対して、第1反射膜21が形成された第1曲面23は凹面鏡として機能する。
【0029】
また、上記の第1反射膜21は、光源部13aからの照射光を透過させ、また原稿11からの物体光のうちの正反射光を除去するために、入射する光のうちの特定の直線偏光成分を透過し、残りの偏光成分を反射するように形成されている。したがって、第1反射膜21が形成された第1曲面23は、偏光ビームスプリッタとしても機能する。
【0030】
この例では、第1反射膜21は、入射する光のP偏光を透過しS偏光を反射するように形成されている。これにより、P偏光とされた照明光を第1曲面23から光学ブロック20の内部に入射させて対物面24から原稿11に照明光を照射すると同時に、物体光のうちの正反射光(P偏光)を透過して除去し、拡散反射したS偏光を第2曲面25に向けて反射して結像に供する。なお、正反射光は、入射した光の偏光状態が保存され、拡散反射光は、偏光状態が保存されないことを利用している。
【0031】
第2反射膜22は、第2曲面25の表面に例えば金属材料を蒸着することにより形成されている。第2曲面25自体の曲面形状により凹面鏡としての凹面形状決めることができる。第2反射膜22が形成された第2曲面25は、第1反射膜21が形成された第1曲面23からの物体光を上方に向けて反射して射出面26から光学ブロック20の外部に射出して結像させる。
【0032】
なお、以下の説明では、第1反射膜21が形成されていることを前提として、第1曲面23が上記のように凹面鏡となり、また偏光ビームスプリッタとして機能するものとして説明する。同様に、第2反射膜22が形成されていることを前提として、第2曲面25が上記のように凹面鏡として機能するものとして説明する。
【0033】
第1,第2曲面23,25は、いずれも球面鏡と面形状となっており、それぞれの光軸が一致しないように曲面の向きが決められた軸ずらしの配置になっている。第1曲面23と第2曲面25は、同一の面形状であり、これらは相互に点対称な配置としてある。これにより、軸外しの凹面鏡により生じる非点対称収差を打ち消している。また、物体光が第1曲面23から第2曲面25までの間は平行光となって光学ブロック20内を通過するようにされており、第1曲面23と第2曲面25との反射による相互の収差が相殺されるようにしてある。なお、第1曲面23から第2曲面25までの間で平行光ではない状態で光学ブロック20内を通過するように構成することもできる。
【0034】
第1,第2曲面23,25の組み合わせにより、等倍投影の光学系を構成しており、主走査方向については正立像を形成する。隣接した各光学素子15は、原稿11の読み取り範囲が互いに一部重複する。上述のように主走査方向では正立像を結像することにより、隣接した各光学素子15によって読み取られる原稿11上の同一部分は、結像面の同じ位置に結像する。
【0035】
第1曲面23の上方に、照明光を出力する光源部13aが配される。光源部13aは、例えば、LED(発光ダイオード)などの光源27と、パラボラミラー28と、光学フィルタ29とを有する。光源27は、例えば白色の光を出力する。パラボラミラー28は、光源27からの光を平行光とする。光学フィルタ29は、平行光とされた照明光のうちのS偏光をカットしてP偏光だけを第1曲面23に入射させる。第1曲面23に入射した照明光は、それを透過し光学ブロック20の内部を通って対物面24から原稿11に照射される。
【0036】
上記のように原稿11からの物体光が入射する対物面24から原稿11に照明光を照射する構成としているため、光学素子15と原稿11とを近接させることができ、読取ヘッド10の小型化に有利である。
【0037】
なお、特定の直線偏光成分の照明光は、偏光板や偏光変換素子などの周知の光学素子を用いて生成することができる。例えば、上記光学フィルタ29に代えて、入射する光のランダムな偏光方向を一定の偏光方向にそろえる偏光変換素子を用い、第1曲面23に対してP偏光となるように照明光の偏光方向をそろえてもよい。このように偏光変換素子を用いれば光量損失を少なくすることができる。また、光学フィルタ29を用いずに、偏光方向がランダムな照明光を第1曲面23に入射してもよい。この場合には、第1曲面23の偏光ビームスプリッタの機能により、P偏光だけを光学ブロック20の内部に入射させて、原稿11を照明することができる。
【0038】
光源部13aと第1曲面23との間に、補償光学ブロック18aが配される。補償光学ブロック18aは、光学ブロック20と同じ屈折率とされている。このため、補償光学ブロック18aは、例えば光学ブロック20と同じ材料で作製されている。補償光学ブロック18aは、その上面31が平面とされており、光源部13aからの平行光とされた照明光が上面31に垂直に入射する。第1曲面23に対面する補償光学ブロック18aの底面32は、第1曲面23に沿った曲面とされている。第1曲面23が外側に凸状の面形状となっているので、底面32は凹状の面形状にされている。なお、上面31が入射平面であり、底面32が射出対向面となっている。
【0039】
底面32が上記のような面形状とされた補償光学ブロック18aを配することにより、照明光に対する第1曲面23の屈折効果を補償光学ブロック18aの屈折効果で相殺している。第1曲面23の屈折効果としては、平行光の照明光を収束する効果と、照明光を偏向する効果がある。収束が生じると、原稿11に対する照明範囲が狭くり、また偏向が生じると例えば第1曲面23から入射した照明光が第2曲面25に向かって進むなどの不具合が発生する。なお、底面32を第1曲面23(第1反射膜)に密着させて配してもよい。
【0040】
射出面26の上方に、ラインセンサ14の複数の受光素子14aが配される。各受光素子14aは、第1曲面23、第2曲面25で反射されて射出面26から射出される物体光を受光する。受光素子14aは、第2曲面25の結像面上に配されている。これにより、結像された1ライン分の原稿11の像がラインセンサ14によって電気的な信号に変換される。
【0041】
1個の光学素子15と、それに対応する光源部13a,各受光素子14aとによって、読取モジュールが構成されている。この読取モジュールを増減することにより、読取ヘッド10の読み取り幅を設定することができ、各種の読み取り幅に容易に対応させることができる。
【0042】
図4に示すように、上記のように構成される複数個の光学素子15を1列に並べて連結して一体化することにより光学素子アレイ12が形成されている。すなわち、光学素子アレイ12は、互いに同じ姿勢で側面20aを対向させるようにして、隣接する各光学素子15を連結させている。隣接する光学ブロック20の各側面20aの間には、遮光部材としての遮光板16が挟み込まれている。この遮光板16は、側面20aを覆うことにより、光学素子15に入射した照明光や原稿11からの物体光がその側面20aから射出されて隣接した他の光学素子15の側面20aからその光学ブロック20内に入射することを防止している。なお、図4では、補償光学部18を省略してある。
【0043】
遮光板16としては、光学ブロック20内での迷光の発生を避けるために、反射率が低く入射する光を吸収することが好ましい。なお、光学素子アレイ12の両端の側面20aにも遮光板16を設けてある。
【0044】
なお、複数個の光学素子15を1列に並べて光学素子アレイ12を構成する場合、各光学ブロック20の間に遮光板16を挟んだ状態で、両端から複数の光学ブロック20を挟持することによって1列に並べた状態に保持してもよい。また、接着剤等を用いて光学ブロック20同士を固定してもよい。さらに、遮光板16に代えて、例えば第1曲面23側あるいは対物面側に絞り等を設け、光学ブロック20内に入射した光が他の光学ブロック20内に入射しないようにすることもできる。
【0045】
上記の読取ヘッド10により原稿11の読み取りを行う場合には、照明装置13をオンとしてから読み取るべき原稿11を搬送機構によって副走査方向に送る。照明装置13がオンとなると、各光源部13aからの照明光は、それぞれ対応する補償光学ブロック18aを通って第1曲面23に入射する。第1曲面23に入射する照明光は、パラボラミラー28により平行光とされるとともに光学フィルタ29によってP偏向とされている。したがって、光源部13aからの照明光は、第1曲面23を透過して光学ブロック20内に入射する。このように光学ブロック20内に第1曲面23から照明光が入射するときには、その第1曲面23によって屈折が生じるが、照明光は補償光学ブロック18aの底面32によって屈折されているため、それらの屈折効果が相殺され、照明光は収束・偏向されることなく光学ブロック20内に入射する。
【0046】
上記のようにして光学ブロック20内に入射した照明光は、その内部を通って対物面24から射出されて原稿11に照射される。照明光が原稿11に照射されて、その原稿11で照明光が反射した物体光は、対物面24から光学ブロック20内に入射し、その内部を通って第1曲面23に入射する。ここで、原稿11で照明光が反射するときには、正反射光は、入射する光の偏光状態が保存されている。したがって、物体光のうちの正反射光はP偏光のままであり、第1曲面23を透過するため、第2曲面25に向けて反射されることはない。一方、拡散反射する光は、偏光状態が保存されない。このため、物体光のうちの拡散反射光はS偏光が含まれ、そのS偏光が第1曲面23によって反射される。
【0047】
第1曲面23で反射された物体光は、光学ブロック20の内部を通って第2曲面25に向う。このときに、第1曲面23からの物体光は、第1曲面23の凹面鏡の作用により、平行光とされる。そして、その反射された物体光は、第2曲面25で上方に反射されて、射出面26から光学ブロック20の外部に射出され、ラインセンサ14上に結像する。これにより原稿11の1ライン分の像がラインセンサ14上に形成され、その像が電気的な信号に変換されて出力される。
【0048】
このようにして1ラインの読み取りが完了して原稿11が副走査方向に1ライン分搬送されると、次の1ラインの読み取りが同様にして行われる。以降、原稿11が1ライン分搬送されるごとに、同様にして原稿11の1ラインの読み取りが行われて、原稿11の全面の読み取りが行われる。
【0049】
上記のようにして得られる原稿11の像は、第1曲面23が正反射光を透過させてラインセンサ14に入射しないから、光源の写り込みが発生せず、またコントラストの高い像となっている。
【0050】
図5は、各光学ブロック20の側面20aに遮光部材としての遮光膜41を形成し、隣接する各光学ブロック20の遮光膜41同士を密着させることで光学素子アレイ12としたものである。遮光膜41は、側面20aに光を吸収する光学膜を蒸着することにより形成される。これによれば、遮光膜41と光学ブロック20とを一体化することができ、光学素子アレイ12の組み立てが容易になる。
【0051】
図6は、1つのアレイブロックを用いて光学素子アレイを構成する例を示すものである。主走査方向に長くされたアレイブロック45には、それぞれ複数の第1曲面23,対物面24,第2曲面25,射出面26が主走査方向に配列されて形成されている。各第1曲面23にはそれぞれ第1反射膜21が、各第2曲面25にはそれぞれ第2反射膜22が形成される。すなわち、アレイブロックは、第1曲面23,対物面24,第2曲面25,射出面26の4つの面を1組の面として有する複数の透明な光学ブロックを、同じ種類の面がそれぞれライン状に配列されるように並べた形状に作製されたものである。これにより、1個のアレイブロック45を用いて複数の光学素子15を一体に配列した光学素子アレイ12となる。
【0052】
なお、複数個の光学素子15を1列に並べる場合と同様にアレイブロック内に遮光部材を設けるのも好ましい。また、アレイブロック内に遮光部材を設ける代りに絞りなどを設けてもよい。上記アレイブロック45と同様にして、複数の補償光学ブロックを一体なものとして補償光学部18を作製してもよい。
【0053】
上記の各実施形態では、光学ブロック、光学アレイブロックの対物面及び射出面を平面にしているが、これらを球面あるいは非球面として、収差を補正するなどしてもよい。また、第1,第2曲面を非球面として収差を補正してもよい。さらに、各光学素子によって得られる各像の収差が小さくなるように、光学素子の幅(主走査方向の長さ)を適宜調整することもできる。
【0054】
上記では光学素子を複数配列した光学素子アレイを用いた読取ヘッドについて説明したが、1つの光学素子を主走査方向に移動させることで1ラインを読み取るように構成することもできる。また、結像の対象を原稿としているが、原稿に限らず、照明光を照射して物体光を結像することができる物体であれば結像の対象にすることができる。さらに、ラインセンサに代えて感光ドラムを配置し、原稿の像に応じた帯電状態にすることもできる。
【符号の説明】
【0055】
10 読取ヘッド
12 光学素子アレイ
13 照明装置
14 ラインセンサ
15 光学素子
18a 補償光学ブロック
20 光学ブロック
21 第1反射膜
22 第2反射膜
23 第1曲面
24 対物面
25 第2曲面
26 射出面
45 アレイブロック
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を照明する照明光の光源に対向し曲面形状にされた第1曲面、この第1曲面から照明光の照射方向に設けられて物体に対面し、前記照明光を物体に向けて射出するとともに、物体で反射された物体光が入射する対物面、物体側に前記対物面と隣接して設けられ曲面形状にされた第2曲面、及び前記光源側に設けられ前記第1曲面に隣接した射出面を有する透明な光学ブロックと、
前記対物面から入射した前記物体からの物体光を前記第2曲面に向けて反射するように前記第1曲面上に形成され、前記光源からの照射光及び前記物体からの物体光のうちの特定の直線偏光成分を透過し他の偏光成分を反射する第1反射膜と、
前記第2曲面上に形成され、前記第1反射膜からの物体光を反射して前記射出面から射出することにより、前記光学ブロックの外側の所定位置に物体像を結像させる第2反射膜とを備えたことを特徴とする光学素子。
【請求項2】
前記第1及び第2曲面は、同一の面形状とされるとともに点対称に配置されていることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
【請求項3】
前記物体からの物体光は、前記第1反射膜が形成された前記第1曲面から前記第2反射膜が形成された前記第2曲面までの間は平行光となってブロック内を通過し、前記第1曲面と前記第2曲面との反射による相互の収差が相殺されることを特徴とする請求項2記載の光学素子。
【請求項4】
前記第1及び第2曲面は、非球面とされていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項5】
前記光源と前記第1曲面との間に配された補償光学ブロックを備え、この補償光学ブロックは、前記光学ブロックと同じ屈折率であるとともに、前記対物面に平行にされ前記光源からの照明光が入射される入射平面と、前記第1曲面に沿った曲面とされた前記第1曲面に対向した射出対向面とを有し、前記第1曲面による屈折効果を相殺することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項6】
前記入射平面には、平行光とされた照明光が垂直に入射されることを特徴とする請求項5記載の光学素子。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の前記光学素子を複数個配列することにより、複数の前記第1,第2凹面鏡をそれぞれライン状に配列したことを特徴とする光学素子アレイ。
【請求項8】
隣接した前記各光学ブロックの間に配される遮光部材を有することを特徴とする請求項7記載の光学素子アレイ。
【請求項9】
物体を照明する照明光の光源に対向し曲面形状にされた第1曲面、この第1曲面から照明光の照射方向に設けられて物体に対面し、前記照明光を物体に向けて射出するとともに、物体で反射された物体光が入射する対物面、物体側に前記対物面と隣接して設けられ曲面形状にされた第2曲面、及び前記光源側に設けられ前記第1曲面に隣接した射出面からなる4面を1組の面としてそれぞれが有する複数の透明な光学ブロックが一体に形成され、同じ種類の面がそれぞれライン状として配列されたアレイブロックと、
前記対物面から入射した前記物体からの物体光を同じ組の前記第2曲面に向けて反射するように前記各第1曲面上に形成され、前記光源からの照射光及び前記物体からの物体光のうちの特定の直線偏光成分を透過し他の偏光成分を反射する複数の第1反射膜と、
前記各第2曲面上に形成され、同じ組の前記第1反射膜からの物体光を反射して前記射出面から射出することにより、前記アレイブロックの外側の所定位置に物体像を結像させる第2反射膜とを備えたことを特徴とする光学素子アレイ。
【請求項10】
前記光源と前記各第1曲面との間にそれぞれ配された複数の補償光学ブロックを備え、前記各補償光学ブロックは、前記光学ブロックと同じ屈折率であるとともに、前記対物面に平行にされ、前記光源からの照明光が入射される入射平面と、前記第1曲面に沿った曲面とされ、前記第1曲面に対向した射出対向面とを有し、前記第1曲面による屈折効果を相殺することを特徴とする請求項9記載の光学素子アレイ。
【請求項11】
前記入射平面には、平行光とされた照明光が垂直に入射されることを特徴とする請求項10記載の光学素子。
【請求項12】
前記複数の補償光学ブロックは一体に形成されていることを特徴とする請求項10または11記載の光学素子アレイ。
【請求項13】
請求項5ないし12のいずれか1項に記載の光学素子アレイと、
前記光源を有し前記各第1曲面のそれぞれに照明光を入射する照明装置と、
前記射出面にそれぞれ対向して設けられた複数の受光素子からなるラインセンサとを備えたことを特徴とする読取ヘッド。
【請求項14】
前記照明装置は、前記特定の直線偏光成分からなる照明光を照射することを特徴とする請求項13記載の読取ヘッド。
【請求項1】
物体を照明する照明光の光源に対向し曲面形状にされた第1曲面、この第1曲面から照明光の照射方向に設けられて物体に対面し、前記照明光を物体に向けて射出するとともに、物体で反射された物体光が入射する対物面、物体側に前記対物面と隣接して設けられ曲面形状にされた第2曲面、及び前記光源側に設けられ前記第1曲面に隣接した射出面を有する透明な光学ブロックと、
前記対物面から入射した前記物体からの物体光を前記第2曲面に向けて反射するように前記第1曲面上に形成され、前記光源からの照射光及び前記物体からの物体光のうちの特定の直線偏光成分を透過し他の偏光成分を反射する第1反射膜と、
前記第2曲面上に形成され、前記第1反射膜からの物体光を反射して前記射出面から射出することにより、前記光学ブロックの外側の所定位置に物体像を結像させる第2反射膜とを備えたことを特徴とする光学素子。
【請求項2】
前記第1及び第2曲面は、同一の面形状とされるとともに点対称に配置されていることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
【請求項3】
前記物体からの物体光は、前記第1反射膜が形成された前記第1曲面から前記第2反射膜が形成された前記第2曲面までの間は平行光となってブロック内を通過し、前記第1曲面と前記第2曲面との反射による相互の収差が相殺されることを特徴とする請求項2記載の光学素子。
【請求項4】
前記第1及び第2曲面は、非球面とされていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項5】
前記光源と前記第1曲面との間に配された補償光学ブロックを備え、この補償光学ブロックは、前記光学ブロックと同じ屈折率であるとともに、前記対物面に平行にされ前記光源からの照明光が入射される入射平面と、前記第1曲面に沿った曲面とされた前記第1曲面に対向した射出対向面とを有し、前記第1曲面による屈折効果を相殺することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光学素子。
【請求項6】
前記入射平面には、平行光とされた照明光が垂直に入射されることを特徴とする請求項5記載の光学素子。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の前記光学素子を複数個配列することにより、複数の前記第1,第2凹面鏡をそれぞれライン状に配列したことを特徴とする光学素子アレイ。
【請求項8】
隣接した前記各光学ブロックの間に配される遮光部材を有することを特徴とする請求項7記載の光学素子アレイ。
【請求項9】
物体を照明する照明光の光源に対向し曲面形状にされた第1曲面、この第1曲面から照明光の照射方向に設けられて物体に対面し、前記照明光を物体に向けて射出するとともに、物体で反射された物体光が入射する対物面、物体側に前記対物面と隣接して設けられ曲面形状にされた第2曲面、及び前記光源側に設けられ前記第1曲面に隣接した射出面からなる4面を1組の面としてそれぞれが有する複数の透明な光学ブロックが一体に形成され、同じ種類の面がそれぞれライン状として配列されたアレイブロックと、
前記対物面から入射した前記物体からの物体光を同じ組の前記第2曲面に向けて反射するように前記各第1曲面上に形成され、前記光源からの照射光及び前記物体からの物体光のうちの特定の直線偏光成分を透過し他の偏光成分を反射する複数の第1反射膜と、
前記各第2曲面上に形成され、同じ組の前記第1反射膜からの物体光を反射して前記射出面から射出することにより、前記アレイブロックの外側の所定位置に物体像を結像させる第2反射膜とを備えたことを特徴とする光学素子アレイ。
【請求項10】
前記光源と前記各第1曲面との間にそれぞれ配された複数の補償光学ブロックを備え、前記各補償光学ブロックは、前記光学ブロックと同じ屈折率であるとともに、前記対物面に平行にされ、前記光源からの照明光が入射される入射平面と、前記第1曲面に沿った曲面とされ、前記第1曲面に対向した射出対向面とを有し、前記第1曲面による屈折効果を相殺することを特徴とする請求項9記載の光学素子アレイ。
【請求項11】
前記入射平面には、平行光とされた照明光が垂直に入射されることを特徴とする請求項10記載の光学素子。
【請求項12】
前記複数の補償光学ブロックは一体に形成されていることを特徴とする請求項10または11記載の光学素子アレイ。
【請求項13】
請求項5ないし12のいずれか1項に記載の光学素子アレイと、
前記光源を有し前記各第1曲面のそれぞれに照明光を入射する照明装置と、
前記射出面にそれぞれ対向して設けられた複数の受光素子からなるラインセンサとを備えたことを特徴とする読取ヘッド。
【請求項14】
前記照明装置は、前記特定の直線偏光成分からなる照明光を照射することを特徴とする請求項13記載の読取ヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2013−76927(P2013−76927A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217828(P2011−217828)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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