説明

光学絞り装置、およびプロジェクタ

【課題】入射光束の光軸方向の厚み寸法を低減できる光学絞り装置、およびプロジェクタを提供する。
【解決手段】光学絞り装置5を構成する電磁アクチュエータ58は、電磁コイル581と永久磁石582とを備える。絞りリング56は、複数の遮光羽根52と係合するリング本体561と、永久磁石582をリング本体561に接続する可動子接続部562とを備える。ベース板51は、ベース板本体511と、ベース板本体511に対して絞りリング56から離間する方向にずれた位置に位置付けた状態で電磁コイル581をベース板本体511に接続する固定子接続部512とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学絞り装置、およびプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラ等において、光軸上に形成された開口の面積を、光軸に直交する面内にて移動自在な複数の遮光羽根により変化させる光量調節装置が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の光量調節装置は、光束を通過可能とする開口部を有する地板と、地板に対して回転可能とする複数の光量調節羽根と、通電されるリング形状のコイルと、コイルへの通電により励磁されるリング形状の第1のステータおよび第2のステータと、複数の光量調節羽根と係合し回転可能に構成されたリング形状のマグネット等を備える。
そして、コイルへの通電状態を変更して第1のステータおよび第2のステータの磁極部をN極またはS極に励磁することで、前記磁極部に対向するマグネットの着磁部に磁力を作用させ、マグネットを所定方向に回転させる。マグネットの回転に応じて複数の光量調節羽根も回転し、光量調節羽根による開口径を変化させる。
【0003】
【特許文献1】特開2004−48874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の光量調節装置では、コイルは、第1のステータおよび第2のステータの間に固定される。また、マグネットは、コイルの内側に配設され、第1のステータおよび第2のステータの間に回転可能に取り付けられる。そして、地板に対して第1のステータが固定される。すなわち、複数の光量調節羽根と、地板と、第1のステータと、コイルおよびマグネットと、第2のステータとが入射光束の光軸方向に積層配置されている。
このように、各構成部材が積層配置された場合には、複数の光量調節羽根の厚み寸法、地板の厚み寸法、第1のステータの厚み寸法、コイルおよびマグネットの厚み寸法、第2のステータの厚み寸法が光量調節装置全体における入射光束の光軸方向の厚み寸法に反映され、光量調節装置における入射光束の光軸方向の厚み寸法が増大してしまう、という問題がある。
【0005】
本発明の目的は、入射光束の光軸方向の厚み寸法を低減できる光学絞り装置、およびプロジェクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光学絞り装置は、入射した光束の光量を調整する光学絞り装置であって、前記光束の光軸に直交する平面に沿って延出し前記光束を通過可能とする開口部を有するベース板と、前記ベース板における前記開口部周縁部分に前記光束の光軸に直交する平面に沿って回動可能にそれぞれ取り付けられ回動することで前記開口部を介して前記光束を通過可能とする開口面積を変更して前記光束の光量を調整する複数の遮光羽根と、前記複数の遮光羽根を前記ベース板に対して回動可能に軸支する複数の回動軸と、前記ベース板に対して移動自在に取り付けられ前記複数の遮光羽根と係合し前記ベース板に対して移動することで前記複数の遮光羽根をそれぞれ回動させる羽根回動板と、前記羽根回動板を前記ベース板に対して移動させる回動板駆動装置とを備え、前記ベース板、前記複数の遮光羽根、および前記羽根回動板は、前記光束の光軸に沿って積層配置され、前記回動板駆動装置は、前記ベース板および前記羽根回動板の間に介在配置され、固定子と、前記固定子に対して移動自在とする可動子とを備え、電気的なエネルギを機械的なエネルギに変換して前記可動子を前記固定子に対して移動させ、前記羽根回動板は、前記複数の遮光羽根と係合する羽根回動板本体と、前記可動子を前記羽根回動板本体に接続するための可動子接続部とを備え、前記ベース板は、前記開口部を有するベース板本体と、前記ベース板本体に対して前記羽根回動板から離間する方向にずれた位置に前記固定子を位置付け前記固定子を前記ベース板本体に接続するための固定子接続部とを備えていることを特徴とする。
【0007】
ここで、回動板駆動装置としては、種々の構成を利用でき、例えば、電磁アクチュエータや、その他の駆動方式(静電、圧電、油圧、空気圧、あるいは熱等)のアクチュエータ等を採用できる。
また、複数の回動軸は、ベース板と一体化された構成としてもよく、ベース板と別体とする構成としてもよい。
本発明では、光学絞り装置は、ベース板と、複数の遮光羽根と、複数の回動軸と、羽根回動板と、回動板駆動装置とを備える。これらのうち、ベース板、複数の遮光羽根、および羽根回動板が入射光束の光軸に沿って積層配置される。回動板駆動装置は、ベース板と羽根回動板との間に介在配置される。そして、回動板駆動装置の可動子は、可動子接続部により羽根回動板本体に対して接続される。また、回動板駆動装置の固定子は、固定子接続部によりベース板本体に対して羽根回動板から離間する方向にずれた位置に位置付けられた状態でベース板本体に対して接続される。このことにより、光学絞り装置を組み立てた状態で可動子および可動子接続部の少なくとも一部が固定子側に突出した場合であっても、固定子が固定子接続部によりベース板本体に対して羽根回動板から離間する方向にずれた位置に位置付けられているので、可動子および可動子接続部の少なくとも一部が固定子やベース板本体に機械的に干渉しない構成を実現できる。このため、回動板駆動装置の厚み寸法によらず、ベース板本体の厚み寸法、複数の遮光羽根の厚み寸法、および羽根回動板本体の厚み寸法のみが、光学絞り装置全体における入射光束の光軸方向の厚み寸法に反映される。したがって、光学絞り装置の入射光束の光軸方向の厚み寸法を低減できる。
【0008】
本発明の光学絞り装置では、前記ベース板本体には当該光学絞り装置を組み立てた状態でかつ、前記ベース板に対して前記羽根回動板を移動させた際に、前記ベース板本体と前記可動子および前記可動子接続部とを機械的に干渉しない状態とする切り欠きが形成されていることが好ましい。
本発明では、ベース板本体には切り欠きが形成されているので、光学絞り装置を組み立てた状態では、可動子および可動子接続部の少なくとも一部が切り欠きを介して固定子側に突出する。このため、可動子および可動子接続部の少なくとも一部がベース板本体に機械的に干渉しない構成を簡単な構造で実現できる。
【0009】
本発明の光学絞り装置では、前記回動板駆動装置は、電磁アクチュエータで構成されていることが好ましい。
本発明によれば、回動板駆動装置が電磁アクチュエータで構成されているので、例えば、他の駆動方式(静電、圧電、油圧、空気圧、あるいは熱等)のアクチュエータと比較して、以下の効果がある。
すなわち、低電圧駆動が可能となり、光学絞り装置の低消費電力化を図れる。
また、比較的に小さい大きさの領域で比較的に大きい力を出せ、羽根回動板を円滑に移動させ、複数の遮光羽根を円滑に回動させることができる。
さらに、高湿度等の悪い環境下でも使用でき、光学絞り装置の長寿命化を図れる。
さらにまた、駆動応答特性が良好であり、複数の遮光羽根を高速応答させて円滑に回動させることができる。
【0010】
本発明の光学絞り装置では、前記固定子は、磁束を発生させる永久磁石を備え、前記可動子は、電流が通流され前記永久磁石からの磁束と前記電流との相互作用による電磁力によって前記永久磁石に対して移動可能とするコイルを備えていることが好ましい。
本発明によれば、固定子に永久磁石を用い、可動子にコイルを用いているので、例えば、逆に、固定子にコイルを用い、可動子に永久磁石を用いた構成と比較して、可動子の軽量化を図れ、すなわち、羽根回動板を円滑に移動させることができる。
また、電磁力によって永久磁石に対してコイルを移動させる構成としているので、従来のような励磁させるステータ等の部材を不要とし、電磁アクチュエータの構成を簡素化して光学絞り装置の軽量化を図れる。
【0011】
本発明の光学絞り装置では、前記固定子は、電流が通流されるコイルを備え、前記可動子は、磁束を発生させ前記コイルに通流される電流と前記磁束との相互作用による電磁力によって前記コイルに対して移動可能とする永久磁石を備えていることが好ましい。
本発明によれば、固定子にコイルを用い、可動子に永久磁石を用いているので、例えば、逆に、固定子に永久磁石を用い、可動子にコイルを用いた構成と比較して、コイルが固定された状態となるので、コイルと電磁アクチュエータを駆動させる制御装置との配線を容易に実施できる。
また、電磁力によってコイルに対して永久磁石を移動させる構成としているので、従来のような励磁させるステータ等の部材を不要とし、電磁アクチュエータの構成を簡素化して光学絞り装置の軽量化を図れる。
【0012】
本発明の光学絞り装置では、前記可動子接続部は、前記複数の遮光羽根と熱的に絶縁されていることが好ましい。
ここで、可動子接続部は、羽根回動板本体に一体形成された構成を採用してもよく、あるいは、羽根回動板本体と別体とする構成としてもよい。
ところで、上述した光学絞り装置を、例えば、プロジェクタに搭載し、光源装置から射出された光束の光量を調整する光学絞り装置として採用した場合には、以下の問題がある。
光源装置から射出された光束を遮光羽根により遮光すると、遮光羽根は、高温化(例えば、200℃以上)する。そして、羽根回動板を例えば、熱伝導性を有する金属製部材で構成した場合には、遮光羽根の熱が羽根回動板に伝達され、さらに、永久磁石に伝達される。永久磁石に熱が伝達された場合には、永久磁石からの磁束密度に温度変動が生じ、電磁アクチュエータの動作が不安定となってしまう。
本発明では、可動子接続部が複数の遮光羽根と熱的に絶縁されているので、遮光羽根の熱が永久磁石に伝達されることを回避でき、電磁アクチュエータの動作を良好に維持できる。
【0013】
本発明の光学絞り装置では、前記可動子接続部は、前記羽根回動板本体に一体形成されていることが好ましい。
ここで、羽根回動板としては、例えば、合成樹脂等の熱伝導率の低い材料を採用できる。
本発明によれば、可動子接続部が羽根回動板本体に一体形成されているので、例えば、合成樹脂等を成形加工により羽根回動板を形成でき、羽根回動板の製造を容易に実施できる。
【0014】
本発明のプロジェクタは、光源装置と、前記光源装置から射出された光束を変調する光変調装置と、前記光変調装置にて変調された光束を拡大投射する投射光学装置とを備えたプロジェクタであって、上述した光学絞り装置を備え、前記光学絞り装置は、前記光源装置から射出され前記光変調装置に至る光束の光路中に配設され、前記光源装置から前記光変調装置に照射される光束の光量を調整することを特徴とする。
本発明によれば、プロジェクタは、上述した光学絞り装置を備えているので、上述した光学絞り装置と同様の作用・効果を享受できる。
また、入射光束の光軸方向の厚み寸法を低減できる光学絞り装置を備えているので、プロジェクタ内部において、近接配置された光学部品間に光学絞り装置を容易に配設することができ、プロジェクタのレイアウトの自由度を向上できる。
さらに、光学絞り装置により光源から光変調装置に照射される光束の光量を調整することができるので、例えば、画像の輝度に応じて光学絞り装置を制御して全体的に暗い場面の場合には光量を低減し、全体的に明るい場面の場合には光量を増加させることで、高コントラスト比の投影画像を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
〔プロジェクタの構成〕
図1は、プロジェクタ1の概略構成を模式的に示す図である。
プロジェクタ1は、光源から射出される光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、形成した光学像をスクリーン(図示略)上に拡大投射するものである。このプロジェクタ1は、図1に示すように、外装筺体2と、投射光学装置としての投射レンズ3と、光学ユニット4等を備える。
なお、図1において、図示は省略するが、外装筺体2内において、投射レンズ3および光学ユニット4以外の空間には、プロジェクタ1内部を冷却する冷却ファン等で構成される冷却ユニット、プロジェクタ1内部の各構成部材に電力を供給する電源ユニット、およびプロジェクタ1全体を制御する制御装置等が配置されるものとする。
【0016】
外装筺体2は、合成樹脂等から構成され、図1に示すように、投射レンズ3および光学ユニット4を内部に収納配置する全体略直方体状に形成されている。この外装筺体2は、図示は省略するが、プロジェクタ1の天面、前面、背面、および側面をそれぞれ構成するアッパーケースと、プロジェクタ1の底面、前面、および背面をそれぞれ構成するロアーケースとで構成され、前記アッパーケースおよび前記ロアーケースは互いにねじ等で固定されている。
なお、外装筺体2は、合成樹脂等に限らず、その他の材料にて形成してもよく、例えば、金属等により構成してもよい。
【0017】
光学ユニット4は、前記制御装置による制御の下、光源から射出された光束を、光学的に処理して画像情報に対応した光学像(カラー画像)を形成するユニットである。この光学ユニット4は、図1に示すように、外装筺体2の背面に沿って延出するとともに、外装筺体2の側面に沿って延出する平面視略L字形状を有している。なお、この光学ユニット4の詳細な構成については、後述する。
投射レンズ3は、光学ユニット4にて形成された光学像(カラー画像)を図示しないスクリーン上に拡大投射する。この投射レンズ3は、筒状の鏡筒内に複数のレンズが収納された組レンズとして構成されている。
【0018】
〔光学ユニットの詳細な構成〕
光学ユニット4は、図1に示すように、照明光学装置41と、色分離光学装置42と、リレー光学装置43と、光学装置44と、光学絞り装置5と、これら装置41〜44,5を内部に収納配置するとともに、投射レンズ3を所定位置で支持固定する光学部品用筐体45とを備える。
照明光学装置41は、光学装置44を構成する後述する液晶パネルの画像形成領域をほぼ均一に照明するための光学系である。この照明光学装置41は、図1に示すように、光源装置411と、第1レンズアレイ412と、第2レンズアレイ413と、偏光変換素子414と、重畳レンズ415とを備える。
【0019】
光源装置411は、図1に示すように、放射状の光線を射出する光源ランプ416と、この光源ランプ416から射出された放射光を反射し所定位置に収束させるリフレクタ417と、リフレクタ417にて収束される光束を照明光軸Aに対して平行化する平行化凹レンズ418とを備える。光源ランプ416としては、ハロゲンランプやメタルハライドランプ、高圧水銀ランプが多用される。また、リフレクタ417としては、回転楕円面を有する楕円面リフレクタで構成されているが、回転放物面を有する放物面リフレクタで構成してもよい。この場合には、平行化凹レンズ418を省略した構成とする。
【0020】
第1レンズアレイ412は、光軸方向から見て略矩形状の輪郭を有する小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。各小レンズは、光源装置411から射出される光束を、複数の部分光束に分割している。
第2レンズアレイ413は、第1レンズアレイ412と略同様な構成を有しており、小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。この第2レンズアレイ413は、重畳レンズ415とともに、第1レンズアレイ412の各小レンズの像を光学装置44の後述する液晶パネルの画像形成領域に結像させる機能を有している。
【0021】
偏光変換素子414は、第2レンズアレイ413と重畳レンズ415との間に配置され、第2レンズアレイ413からの光を略1種類の偏光光に変換するものである。
具体的に、偏光変換素子414によって略1種類の偏光光に変換された各部分光は、重畳レンズ415によって最終的に光学装置44の後述する液晶パネルの画像形成領域にほぼ重畳される。偏光光を変調するタイプの液晶パネルを用いたプロジェクタでは、1種類の偏光光しか利用できないため、ランダムな偏光光を発する光源装置411からの光の略半分を利用できない。このため、偏光変換素子414を用いることで、光源装置411からの射出光を略1種類の偏光光に変換し、光学装置44での光の利用効率を高めている。
【0022】
色分離光学装置42は、図1に示すように、2枚のダイクロイックミラー421,422と、反射ミラー423とを備え、ダイクロイックミラー421,422により照明光学装置41から射出された複数の部分光束を赤、緑、青の3色の色光に分離する機能を有している。
リレー光学装置43は、入射側レンズ431、リレーレンズ433、および反射ミラー432,434を備え、色分離光学装置42で分離された色光を赤色光用の液晶パネルまで導く機能を有している。
【0023】
この際、色分離光学装置42のダイクロイックミラー421では、照明光学装置41から射出された光束の赤色光成分と緑色光成分とが透過するとともに、青色光成分が反射する。ダイクロイックミラー421によって反射した青色光は、反射ミラー423で反射し、フィールドレンズ419を通って青色光用の液晶パネルに達する。このフィールドレンズ419は、第2レンズアレイ413から射出された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の緑色光および赤色光用の液晶パネルの光入射側に設けられたフィールドレンズ419も同様である。
【0024】
ダイクロイックミラー421を透過した赤色光と緑色光のうちで、緑色光はダイクロイックミラー422によって反射し、フィールドレンズ419を通って緑色光用の液晶パネルに達する。一方、赤色光はダイクロイックミラー422を透過してリレー光学装置43を通り、さらにフィールドレンズ419を通って赤色光用の液晶パネルに達する。なお、赤色光にリレー光学装置43が用いられているのは、赤色光の光路の長さが他の色光の光路の長さよりも長いため、光の拡散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ431に入射した部分光束をそのまま、フィールドレンズ419に伝えるためである。なお、リレー光学装置43には、3つの色光のうち赤色光を通す構成としたが、これに限らず、例えば、青色光を通す構成としてもよい。
【0025】
光学装置44は、光変調装置としての3つの液晶パネル441(赤色光用の液晶パネルを441R、緑色光用の液晶パネルを441G、青色光用の液晶パネルを441Bとする)と、3つの入射側偏光板442と、3つの射出側偏光板443と、クロスダイクロイックプリズム444とを備える。
3つの入射側偏光板442は、図1に示すように、各フィールドレンズ419の光路後段にそれぞれ配置される。これら入射側偏光板442は、偏光変換素子414で偏光方向が略一方向に揃えられた各色光が入射され、入射された光束のうち、偏光変換素子414で揃えられた光束の偏光方位と略同一方向の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収するものである。これら入射側偏光板442は、図示は省略するが、サファイアあるいは水晶等の透光性基板上に偏光膜が貼付された構成を有している。
【0026】
3つの液晶パネル441は、図1に示すように、各入射側偏光板442の光路後段にそれぞれ配置される。これら液晶パネル441は、図示は省略するが、一対の透明なガラス基板に電気光学物質である液晶が密閉封入された構成を有し、前記制御装置から出力される駆動信号に応じて、所定の画素位置の前記液晶の配向状態が制御され、各入射側偏光板442から射出された偏光光束の偏光方位をそれぞれ変調する。
3つの射出側偏光板443は、図1に示すように、各液晶パネル441の光路後段にそれぞれ配置される。これら射出側偏光板443は、入射側偏光板442と略同様の構成を有し、図示は省略するが、透光性基板上に偏光膜が貼付された構成を有している。なお、射出側偏光板443を構成する前記偏光膜は、光束を透過する透過軸が、入射側偏光板442にて光束を透過する透過軸に略直交するように配置される。
【0027】
クロスダイクロイックプリズム444は、射出側偏光板443の光路後段に配置され、各射出側偏光板443から射出された色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光学素子である。このクロスダイクロイックプリズム444は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、2つの誘電体多層膜が形成されている。これら誘電体多層膜は、液晶パネル441R,441Bから射出され各射出側偏光板443を介した各色光を反射し、液晶パネル441Gから射出され射出側偏光板443を介した色光を透過する。このようにして、各液晶パネル441にて変調された各色光が合成されてカラー画像が形成される。
【0028】
光学絞り装置5は、図1に示すように、第1レンズアレイ412と第2レンズアレイ413との間に配設され、前記制御装置による制御の下、後述する複数の遮光羽根が回動することで光束を透過可能とする開口面積を変更して光源装置411から射出され第1レンズアレイ412を介した光束の光量を調整するものである。
なお、光学絞り装置5の具体的な構成については、後述する。
【0029】
〔光学絞り装置の構成〕
図2および図3は、光学絞り装置5の概略構成を示す図である。具体的に、図2は、光学絞り装置5を光束射出側(第2レンズアレイ413側)から見た斜視図である。図3は、光学絞り装置5を光束射出側(第2レンズアレイ413側)から見た分解斜視図である。
光学絞り装置5は、図2または図3に示すように、ベース板51と、4つの遮光羽根52と、4つの回動軸53(図3)と、羽根押え部材54と、4つのコイルばね55(図3)と、羽根回動板としての絞りリング56(図3)と、リング押え部材57(図3)と、回動板駆動装置としての電磁アクチュエータ58(図3)と、位置センサ59とを備える。
【0030】
ベース板51は、光学絞り装置5全体を支持して光学部品用筐体45内部に固定する部分である。このベース板51は、図3に示すように、ベース板本体511と、固定子接続部512とを備える。
図4は、ベース板本体511を光束入射側(第1レンズアレイ412側)から見た斜視図である。
ベース板本体511は、図2ないし図4に示すように、入射する光束の光軸に直交する平面に沿って延出する平面視略矩形形状を有する金属製の板体から構成されている。
このベース板本体511において、平面視略中央部分には、図3または図4に示すように、第1レンズアレイ412から射出された光束を通過可能とする平面視円形状の開口部5111が形成されている。
また、このベース板本体511において、光束射出側端面には、図3に示すように、該ベース板51の四隅位置近傍に平面視円形状の凹部5112(光束射出側から見て右上方側の凹部から時計回りに5112A,5112B,5112C,5112Dとする)がそれぞれ形成されている。そして、これら凹部5112は、4つの回動軸53の一方の端部側をそれぞれ固定するとともに、4つの遮光羽根52の後述する軸受け部を遊嵌状態でそれぞれ配置する。
【0031】
以下では、説明の便宜上、図3または図4に示すように、ベース板本体511において、開口部5111周縁の領域を、凹部5112Aを含む上側の第1領域RA、凹部5112Bを含む光束射出側から見て右側の第2領域RB、凹部5112Cを含む下側の第3領域RC、および凹部5112Dを含む光束射出側から見て左側の第4領域RDとする。
【0032】
さらに、このベース板本体511において、光束射出側端面の各領域RA〜RDには、図3に示すように、各凹部5112に近接した位置に、各凹部5112(各回動軸53)を中心とする平面視円弧形状を有する第1突条部5113Aが各凹部5112を囲うようにそれぞれ形成されている。これら第1突条部5113Aは、光学絞り装置5を組み立てた状態で、各遮光羽根52を構成する後述する各羽根板の板面にそれぞれ当接する部分である。
ここで、具体的な図示は省略するが、各第1突条部5113Aのうち、対角位置にある各領域RA,RCに形成された各第1突条部5113Aの各高さ寸法が同一に設定されている。同様に、対角位置にある各領域RB,RDに形成された各第1突条部5113Aの各高さ寸法が同一に設定されている。そして、各領域RA,RCに形成された第1突条部5113Aの各高さ寸法に対して、各領域RB,RDに形成された第1突条部5113Aの各高さ寸法が所定寸法、大きくなるように設定されている。
【0033】
さらにまた、このベース板本体511において、光束射出側端面の各領域RA〜RDには、図3に示すように、各凹部5112から離間した位置に、各凹部5112(各回動軸53)を中心とする平面視円弧形状を有する第2突条部5113Bがそれぞれ形成されている。これら第2突条部5113Bは、光学絞り装置5を組み立てた状態で、上述した第1突条部5113Aと同様に、各遮光羽根52を構成する後述する各羽根板の板面にそれぞれ当接する部分である。なお、各第2突条部5113Bの高さ寸法は、上述した各第1突条部5113Aと同様に設定されている。
【0034】
また、このベース板本体511において、各領域RA〜RDには、図3または図4に示すように、各凹部5112に近接した位置に、光束射出側端面および光束入射側端面を貫通し、各凹部5112(各回動軸53)を中心とする平面視円弧形状を有するトラック孔5114がそれぞれ形成されている。これらトラック孔5114は、光学絞り装置5を組み立てた状態で、各遮光羽根52の後述するピン状部がそれぞれ挿通され、各ピン状部の移動時に各ピン状部と機械的に干渉しないように形成された逃げ孔である。
【0035】
さらに、このベース板本体511において、光束射出側端面の各領域RA〜RDには、図3に示すように、羽根押え部材54を取り付けるための取付用孔5115Aがそれぞれ形成されている。これら取付用孔5115Aは、ベース板本体511に各遮光羽根52が設置され各遮光羽根52が回動した場合であっても、各遮光羽根52と機械的に干渉しない位置にそれぞれ形成されている。
【0036】
さらにまた、このベース板本体511において、上方端部側には、図3または図4に示すように、開口部5111の中心軸(入射光束の光軸)を中心とする平面視円弧形状の切り欠きとしての円弧状孔5116が形成されている。
この円弧状孔5116は、光学絞り装置5を組み立てた状態で、電磁アクチュエータ58の後述する可動子、および絞りリング56の後述する可動子接続部の一部を挿通可能とし、絞りリング56が回動した場合であっても、前記可動子および前記可動子接続部の一部と機械的に干渉しない逃げ孔である。
また、この円弧状孔5116の周縁部分の光束射出側端面には、図3に示すように、固定子接続部512を取り付けるための2つの位置決め突起5115Bおよび2つの取付用孔5115Cが形成されている。
【0037】
また、このベース板本体511において、光束入射側端面には、図4に示すように、開口部5111周縁から光束入射側に向けて突出する平面視円形枠状のリング支持部5117が形成されている。このリング支持部5117は、絞りリング56の後述する円孔に遊嵌状態で嵌合する部分である。
このリング支持部5117の周縁部分には、図4に示すように、平面視円形状の凹部5118が形成されている。また、この凹部5118は、上方側がベース板本体511の上端縁にかけて延出するように形成されている。そして、この凹部5118は、絞りリング56が設置され、開口部5111の略中心軸(入射光束の光軸)を中心として絞りリング56を回動可能に支持する部分であり、絞りリング56の外形形状に対応した形状を有している。
【0038】
さらに、このベース板本体511において、光束入射側端面の各領域RA〜RDには、図4に示すように、凹部5118の周縁部分に、リング押え部材57を取り付けるための取付用孔5115Dがそれぞれ形成されている。これら取付用孔5115Dは、ベース板本体511に絞りリング56を介してリング押え部材57が取り付けられ絞りリング56が回動した場合であっても、絞りリング56と機械的に干渉しない位置にそれぞれ形成されている。
【0039】
さらにまた、このベース板本体511において、光束射出側端面の下方側、および光束入射側端面の上方側には、該ベース板本体511の面外方向に突出し、光学部品用筐体45内部に固定するための固定部5110がそれぞれ形成されている。すなわち、これら固定部5110を介してベース板本体511を光学部品用筐体45内部に固定することで、光学絞り装置5全体が光学部品用筐体45内部に固定される。
【0040】
固定子接続部512は、電磁アクチュエータ58の後述する固定子をベース板本体511に接続する部材である。この固定子接続部512は、図3に示すように、平面視略矩形状の板体から構成され、ベース板本体511の光束射出側端面に円弧状孔5116を覆うように取り付けられる。
この固定子接続部512において、光束射出側端面には、具体的な図示は省略するが、電磁アクチュエータ58の後述する固定子である電磁コイルの形状に対応して平面視略円形状の凹部が形成されている。この凹部は、前記電磁コイルを収納配置する部分である。
また、この固定子接続部512には、図3に示すように、前記凹部の略中心に位置し、光束射出側端面および光束入射側端面を貫通する平面視矩形状の貫通孔5121が形成されている。
【0041】
さらに、この固定子接続部512において、四隅角部分には、図3に示すように、ベース板本体511の2つの位置決め突起5115Bおよび2つの取付用孔5115Cに対応して、2つの位置決め用孔5112Aおよび2つの取付用孔5122Bがそれぞれ形成されている。そして、固定子接続部512は、前記電磁コイルを前記凹部に収納配置した状態で、ベース板本体511の2つの位置決め突起5115Bに2つの位置決め用孔5122Aを嵌合させることで位置決めされ、固定ねじ5Aを2つの取付用孔5122Bに挿通しベース板本体511の2つの取付用孔5115Cに螺合することで、ベース板本体511に固定される。
このように固定子接続部512をベース板本体511に固定した状態では、固定子接続部512の前記凹部に収納配置された前記電磁コイルは、ベース板本体511から光束射出側(絞りリング56から離間する側)にオフセットした位置に配置される。
【0042】
さらにまた、この固定子接続部512において、貫通孔5121の周縁部分には、図3に示すように、位置センサ59を位置決めするための2つの位置決め用突起5123と、位置センサ59を固定するための2つの固定用孔5124とが形成されている。
【0043】
4つの遮光羽根52は、金属製部材から構成され、図3に示すように、ベース板本体511の光束射出側端面における各領域RA〜RDにおいて、4つの回動軸53を介して各凹部5112に、入射する光束の光軸に直交する平面に沿って回動可能にそれぞれ軸支され、回動することで光束を透過可能とする開口面積を変更して第1レンズアレイ412から射出される光束の光量を調整する。なお、以下では、各領域RA〜RDに配置される遮光羽根52をそれぞれ、52A〜52Dとする。
これら遮光羽根52は、同一形状を有し、図3に示すように、羽根板521と、軸受け部522と、ピン状部523とでそれぞれ構成されている。
【0044】
羽根板521は、図3に示すように、端縁が曲線状に形成された平面視略L字形状を有し、入射光束を遮光する金属製の板体で構成される。そして、各羽根板521は、光学絞り装置5を組み立てた状態では、各羽根板521における各L字形状の内側部分が開口部5111内側に向き、開口部5111を囲うように配置される。また、各羽根板521は、光学絞り装置5を組み立てた状態では、各板面が入射する光束の光軸に直交するように配置される。
【0045】
軸受け部522は、羽根板521におけるL字形状の一端側に一体的に設けられ、羽根板521を回動可能とする回動軸53の軸受けである。
この軸受け部522は、具体的な図示は省略するが、羽根板521の光束入射側端面から光束入射側に突出し、回動軸53を挿通可能とする略円筒形状を有している。すなわち、軸受け部522における光束の光軸方向の厚み寸法は、羽根板521における光束の光軸方向の厚み寸法よりも大きく形成されている。そして、軸受け部522は、回動軸53が挿通された状態で回動軸53に対して回動可能とし、回動軸53に対して回動することで、羽根板521を回動させる。このように各羽根板521が回動することで、各羽根板521における各L字形状の内側端縁で形成される光束を通過可能とする開口の開口面積が変更される。
【0046】
そして、光学絞り装置5を組み立てた状態では、軸受け部522に回動軸53が挿通されるとともに、軸受け部522の光束入射側端面がベース板本体511の凹部5112の底部分に当接する。
また、羽根板521は、軸受け部522に対して略垂直となるように構成され、光学絞り装置5を組み立てた状態では、軸受け部522に挿通される回動軸53に対して略垂直となる。すなわち、各羽根板521は、光学絞り装置5を組み立てた状態では、ベース板本体511の板面に略平行な状態となる。
なお、各羽根板521は、軸受け部522に対して略垂直となる構成に限らず、各遮光羽根52の回動時に各羽根板521同士が接触しなければ、軸受け部522に対して略垂直以外の角度を有する構成を採用してもよい。すなわち、各遮光羽根52の回動時に各羽根板521同士が接触しなければ、各羽根板521がベース板本体511の板面に平行な平面に対して所定角度傾斜している構成を採用してもよい。
【0047】
ここで、軸受け部522が当接するベース板本体511の各凹部5112の底部分の高さ寸法は、具体的な図示は省略するが、光学絞り装置5を組み立てた状態、すなわち、各遮光羽根52の各軸受け部522の光束入射側端面が各凹部5112の底部分に当接した状態で、隣接する各羽根板521間に所定寸法の隙間が形成されているように設定されている。
具体的に、各凹部5112A〜5112Dのうち、対角位置にある凹部5112A,5112Cの底部分の高さ寸法は、同一寸法で形成されている。対角位置にある凹部5112B,5112Dの底部分の高さ寸法も同様に、同一寸法で形成されている。そして、各凹部5112A,5112Cの底部分の高さ寸法は、各凹部5112B,5112Dの底部分の高さ寸法よりも所定寸法、大きく設定されている。このような構成により、光学絞り装置5を組み立てた状態、すなわち、各遮光羽根52の各軸受け部522の光束入射側端面が各凹部5112の底部分に当接した状態では、各遮光羽根52A〜52Dにおいて、ベース板本体511からの各羽根板521の高さ位置が異なるものとなる。
すなわち、対角位置にある各遮光羽根52の各羽根板521がベース板本体511から同一の高さ位置に位置付けられ、隣接する各遮光羽根52の各羽根板521がベース板本体511から異なる高さ位置に位置付けられている。このように設定することで、隣接する各羽根板521間に所定寸法の隙間を形成し、各羽根板521を回動させた際に、各羽根板521同士が機械的に干渉することを回避している。
【0048】
ピン状部523は、軸受け部522の近傍であって、軸受け部522に対して羽根板521の他端側に設けられ、絞りリング56と係合し絞りリング56からの押圧力を受ける部分である。
このピン状部523は、図3に示すように、羽根板521の光束入射側端面から光束入射側に突出する。そして、ピン状部523は、光学絞り装置5を組み立てた状態では、図3に示すように、ベース板本体511のトラック孔5114に挿通され、トラック孔5114を介してベース板本体511の光束入射側端面から突出し、絞りリング56の後述する長孔と係合する。
【0049】
4つの回動軸53は、略円柱形状を有する金属製部材から構成され、ベース板本体511および羽根押え部材54間に固定され、各遮光羽根52を回動可能に軸支する部分である。
羽根押え部材54は、図3に示すように、固定子接続部512と組み合わせることでベース板本体511と略同様の外形形状となり平面視略矩形形状を有し、合成樹脂製の板体から構成され、各遮光羽根52を回動可能にベース板51に対して押圧する部分である。
この羽根押え部材54において、平面視略中央部分には、図2または図3に示すように、ベース板本体511の開口部5111と同様の、第1レンズアレイ412から射出された光束を透過可能とする平面視円形状の開口部541が形成されている。
また、この羽根押え部材54には、図2または図3に示すように、ベース板本体511の各凹部5112に対応した位置に、光束射出側端面および光束入射側端面を貫通して、回動軸53の他方の端部を嵌合固定する軸固定孔542がそれぞれ形成されている。
【0050】
さらに、この羽根押え部材54には、図2または図3に示すように、ベース板本体511の各取付用孔5115Aに対応した位置に、光束射出側端面および光束入射側端面を貫通した取付用孔543がそれぞれ形成されている。そして、各取付用孔543を介して固定ねじ5Bを挿通し、固定ねじ5Bを各取付用孔5115Aに螺合することで、ベース板本体511に対して各遮光羽根52を押圧した状態で羽根押え部材54が固定される。
【0051】
4つのコイルばね55は、図3に示すように、各回動軸53を挿通可能とし、各回動軸53の他方の端部側を挿通した状態で各遮光羽根52と羽根押え部材54の間に配設され、一端側が各遮光羽根52の光束射出側(軸受け部522近傍)に当接し、他端側が羽根押え部材54の光束入射側端面(軸固定孔542周縁部分)に当接する。そして、各コイルばね55は、ベース板本体511に対して羽根押え部材54を取り付けた際に、各遮光羽根52をベース板本体511に向けて付勢し、各遮光羽根52の各軸受け部522をベース板本体511の凹部5112の底部分に当接させる。
【0052】
絞りリング56は、ベース板本体511の凹部5118に回動可能に設置され、凹部5118に設置された状態で各遮光羽根52の各ピン状部523と係合し、回動することで各ピン状部523を押圧し、各遮光羽根52の各羽根板521を、各回動軸53を中心として回動させる。この絞りリング56は、合成樹脂から構成され、図3に示すように、羽根回動板本体としてのリング本体561と、可動子接続部562とが一体的に形成されたものである。
リング本体561は、ベース板本体511のリング支持部5117を挿通可能とする円孔5611を有し平面視円形枠状の板体で構成される。
このリング本体561には、図3に示すように、ベース板本体511の各トラック孔5114に対応した位置に、各トラック孔5114から突出した各ピン状部523を挿通可能とし、開口部5111の略中心軸を中心とする円周方向と交差する方向に略直線状に延びる長孔5612がそれぞれ形成されている。
【0053】
可動子接続部562は、図3に示すように、リング本体561の外周縁からリング本体561の板面に沿って外側に延出し、電磁アクチュエータ58の後述する可動子をリング本体561に接続する部分である。そして、可動子接続部562は、光学絞り装置5を組み立てた状態では、図3に示すように、ベース板本体511の上方端部側に対向するように配置される。
この可動子接続部562は、図3に示すように、ベース板本体511の円弧状孔5116の形状に対応し、光束射出側に向けて突出する平面視略矩形枠形状の突出部5621が形成されている。この突出部5621は、その内部において、電磁アクチュエータ58の後述する可動子である永久磁石を収納配置する部分である。そして、光学絞り装置5を組み立てた状態では、突出部5621内部に収納配置された前記永久磁石、および突出部5621の一部がベース板本体511の円弧状孔5116に挿通される。
ここで、突出部5621における絞りリング56の回動方向(入射光束の光軸を中心とする回動方向)の長さ寸法は、ベース板本体511の円弧状孔5116における絞りリング56の回動方向の長さ寸法よりも小さく設定されている。このため、絞りリング56を回動させた場合であっても、円弧状孔5116と突出部5621とが機械的に干渉しないように構成されている。
【0054】
そして、光学絞り装置5を組み立てた状態で、絞りリング56が回動することで、リング本体561の各長孔5612が開口部5111の略中心軸を中心とする円周方向と交差する方向に略直線状に延びるように形成されているので、各長孔5612の端縁にて各遮光羽根52の各ピン状部523が押圧され、各ピン状部523が各長孔5612に沿って移動する。また、各ピン状部523は、各長孔5612に沿って移動する際、ベース板51の各トラック孔5114に機械的に干渉することなく、ベース板51の各凹部5112(各回動軸53)を中心として回動するように移動する。そして、各ピン状部523の移動により、各遮光羽根52の各羽根板521が各回動軸53を中心として回動する。
【0055】
リング押え部材57は、図3に示すように、ベース板本体511と略同様の外形形状で平面視略矩形形状を有し、金属製の板体から構成され、絞りリング56を回動可能にベース板51に対して押圧する部分である。
このリング押え部材57において、平面視略中央部分には、図3に示すように、ベース板本体511の開口部5111と同様の、第1レンズアレイ412から射出された光束を透過可能とする平面視円形状の開口部571が形成されている。
また、このリング押え部材57には、図3に示すように、ベース板本体511の各トラック孔5114に対応した位置に、各トラック孔5114と同様のトラック孔572が形成されている。これらトラック孔572は、各トラック孔5114と同様に、光学絞り装置5を組み立てた状態で、各遮光羽根52の各ピン状部523が挿通され、各ピン状部523の移動時に各ピン状部523と機械的に干渉しないように形成された逃げ孔である。
【0056】
さらに、このリング押え部材57には、図3に示すように、ベース板本体511の取付用孔5115Dに対応した位置に、光束射出側端面および光束入射側端面を貫通した取付用孔573が形成されている。そして、各取付用孔573を介して固定ねじ5Cを挿通し、固定ねじ5Cを各取付用孔5115Dに螺合することで、ベース板本体511に対して絞りリング56を押圧した状態でリング押え部材57が固定される。
【0057】
図5は、電磁アクチュエータ58および位置センサ59の構造を模式的に示す図である。
電磁アクチュエータ58は、図3または図5に示すように、固定子としての電磁コイル581と、可動子としての永久磁石582とを備え、前記制御装置による制御の下、電気的なエネルギを機械的なエネルギに変換して電磁コイル581に対して永久磁石582を移動させることで、絞りリング56を回動させるものである。
電磁コイル581は、図3に示すように、リング形状を有し、コイル軸が入射光束の光軸に略平行するように固定子接続部512の前記凹部に収納配置される。
【0058】
永久磁石582は、図3または図5に示すように、第1磁石部5821(図5)と第2磁石部5822(図5)とが一体化された構成を有し、絞りリング56の可動子接続部562の突出部5621内側に嵌合固定される。
第1磁石部5821は、図5に示すように、可動子接続部562側をN極とし、可動子接続部562側と離間する側(電磁コイル581と対向する側)をS極とするように突出部5621内側に嵌合固定される。
第2磁石部5822は、図5に示すように、第1磁石部5821と逆に、可動子接続部562側をS極とし、可動子接続部562から離間する側(電磁コイル581と対向する側)をN極とするように突出部5621内側に嵌合固定される。
【0059】
そして、前記制御装置は、電磁コイル581と電気的に接続され、電磁コイル581に正通電あるいは逆通電を実施し、永久磁石582からの磁束と該磁束に略直交する電磁コイル581に通流される電流(図3中、電磁コイル581における上下方向に延びる部分に通流される電流)との相互作用による電磁力の方向を変更する。そして、電磁力により、永久磁石582を、図5(A)、(C)に示す終端位置や、図5(B)に示す中立位置に移動させる。永久磁石582の移動に応じて、絞りリング56が回動し、該絞りリング56の回動に連動して各遮光羽根52が回動し、第1レンズアレイ412から射出された光束の光量が調整される。
【0060】
位置センサ59は、固定子接続部512に取り付けられ、電磁コイル581に対する永久磁石582の位置を検出する。より具体的に、位置センサ59は、電磁コイル581に対する永久磁石582の位置を検出することで、絞りリング56の回動位置、すなわち、各遮光羽根52の回動位置を検出する。位置センサ59は、検出した位置に応じた信号を前記制御装置に出力する。そして、前記制御装置は、位置センサ59にて検出された各遮光羽根52の回動位置を認識し、上述したように電磁コイル581に正通電あるいは逆通電を実施して、所定位置に各遮光羽根52を回動させる。
この位置センサ59は、図3または図5に示すように、位置センサ本体591(図5)と、位置センサ本体591が実装される回路基板592(図3)とを備える。
位置センサ本体591は、図5に示すように、位置センサ59が固定子接続部512に取り付けられた状態で、電磁コイル581の内部でコイル軸に略一致する位置に配置される。すなわち、光学絞り装置5を組み立てた状態では、位置センサ本体591は、図5に示すように、永久磁石582に対向する位置に配設される。そして、この位置センサ本体591は、ホール効果を利用したホール素子で構成され、永久磁石582による磁場の強さを検出し、電磁コイル581に対する永久磁石582の位置を検出する。
【0061】
回路基板592は、平面視略矩形形状を有し、位置センサ本体591が実装されるとともに該位置センサ本体591を電磁コイル581の内部でコイル軸に略一致する位置に取り付ける。そして、回路基板592は、前記制御装置と電気的に接続し、位置センサ本体591にて検出された位置に応じた信号を前記制御装置に出力する。
この回路基板592において、上下両端縁には、図3に示すように、固定子接続部512の位置決め用突起5123に対応した位置に、上下方向に延びる切り欠き5921がそれぞれ形成されている。
また、この回路基板592において、下方側の各角隅部分には、図3に示すように、固定子接続部512の固定用孔5124に対応して、固定用孔5922がそれぞれ形成されている。
そして、一対の切り欠き5921に2つの位置決め用突起5123を貫通するように回路基板592を固定子接続部512に当接させることで、固定子接続部512に対して回路基板592が位置決めされる。また、この状態において、各固定用孔5922に固定ねじ5Dを挿通し、固定ねじ5Dを各固定用孔5124に螺合することで、固定子接続部512に対して回路基板592が固定される。
【0062】
以上説明したように、本実施形態では、電磁アクチュエータ58の永久磁石582は、可動子接続部562によりリング本体561に対して接続される。また、電磁アクチュエータ58の電磁コイル581は、固定子接続部512によりベース板本体511に対して絞りリング56から離間する方向にオフセットした位置に位置付けられた状態でベース板本体511に対して接続される。そして、ベース板本体511には、円弧状孔5116が形成されており、光学絞り装置5を組み立てた状態では、永久磁石582および可動子接続部562の突出部5621の一部が円弧状孔5116を介して挿通され電磁コイル581側に突出する。このことにより、電磁アクチュエータ58の厚み寸法によらず、ベース板本体511の厚み寸法、複数の遮光羽根52の厚み寸法、およびリング本体561の厚み寸法等のみが、光学絞り装置5全体における入射光束の光軸方向の厚み寸法に反映される。このため、光学絞り装置5の入射光束の光軸方向の厚み寸法を低減できる。
【0063】
ここで、回動板駆動装置として、電磁アクチュエータ58を採用しているので、例えば、他の駆動方式(静電、圧電、油圧、空気圧、あるいは熱等)のアクチュエータと比較して、以下の効果がある。
すなわち、低電圧駆動が可能となり、光学絞り装置5の低消費電力化を図れる。
また、比較的に小さい大きさの領域で比較的に大きい力を出せ、絞りリング56を円滑に回動させ、遮光羽根52を円滑に回動させることができる。
さらに、高湿度等の悪い環境下でも使用でき、光学絞り装置5の長寿命化を図れる。
さらにまた、駆動応答特性が良好であり、遮光羽根52を高速応答させて円滑に回動させることができる。
【0064】
また、電磁アクチュエータ58は、固定子に電磁コイル581を用い、可動子に永久磁石582を用いているので、例えば、逆に固定子に永久磁石を用い、可動子に電磁コイルを用いた構成と比較して、電磁コイル581が固定された状態となるので、電磁コイル581と電磁アクチュエータ58を駆動させる前記制御装置との配線を容易に実施できる。
さらに、電磁力によって電磁コイル581に対して永久磁石582を移動させる構成としているので、従来のような励磁させるステータ等の部材を不要とし、電磁アクチュエータ58の構成を簡素化して光学絞り装置5の軽量化を図れる。
【0065】
ところで、光源装置411から射出された光束を遮光羽根52により遮光すると、遮光羽根52は、高温化(例えば、200℃以上)する。そして、絞りリング56を例えば、熱伝導性を有する金属製部材で構成した場合には、遮光羽根52の熱が絞りリング56に伝達され、さらに、永久磁石582に伝達される。永久磁石582に熱が伝達された場合には、永久磁石582からの磁束密度に温度変動が生じ、電磁アクチュエータ58の動作が不安定となってしまう。
これに対して、本実施形態では、絞りリング56が合成樹脂で構成され、すなわち、可動子接続部562が遮光羽根52と熱的に絶縁されているので、遮光羽根52の熱が永久磁石582に伝達されることを回避でき、電磁アクチュエータ58の動作を良好に維持できる。
また、可動子接続部562がリング本体561に一体形成されているので、合成樹脂等を成形加工により絞りリング56を形成でき、絞りリング56の製造を容易に実施できる。
【0066】
そして、入射光束の光軸方向の厚み寸法を低減できる光学絞り装置5を備えているので、プロジェクタ1内部において、近接配置された光学部品間、すなわち、第1レンズアレイ412および第2レンズアレイ413等の狭い空間内に光学絞り装置5を容易に配設することができ、プロジェクタ1のレイアウトの自由度を向上できる。
また、光学絞り装置5により光源装置411から液晶パネル441に照射される光束の光量を調整することができるので、例えば、画像の輝度に応じて光学絞り装置5を制御して全体的に暗い場面の場合には光量を低減し、全体的に明るい場面の場合には光量を増加させることで、高コントラスト比の投影画像を実現できる。
【0067】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、回動板駆動装置として、電磁アクチュエータ58を採用したが、これに限らず、その他の駆動方式(静電、圧電、油圧、空気圧、あるいは熱等)のアクチュエータを採用しても構わない。
前記実施形態では、複数の回動軸53は、ベース板51と別体で構成されていたが、これに限らず、ベース板51と一体化された構成を採用してもよい。
前記実施形態では、切り欠きとして円弧状孔5116を採用したが、これに限らず、その他の形状の孔や切り欠きを採用してもよい。
【0068】
前記実施形態では、電磁アクチュエータ58の構成として、固定子に電磁コイル581を用い、可動子に永久磁石582を用いていたが、これに限らず、逆に、固定子に永久磁石582を用い、可動子に電磁コイル581を用いた構成を採用しても構わない。このような構成では、前記実施形態と比較して、可動子の軽量化を図れ、すなわち、絞りリング56を円滑に回動させることができる。このような構成を採用した場合には、固定子接続部512とベース板本体511とを熱的に絶縁させることが好ましい。すなわち、ベース板本体511に生じた熱を固定子接続部512に取り付けた永久磁石に伝達させない構成とすることが好ましい。
前記実施形態では、電磁アクチュエータ58として、電磁力により固定子に対して可動子を移動させる構成を採用したが、これに限らず、励磁させるステータ等の部材を採用して、磁力により固定子に対して可動子を移動させる構成を採用してもよい。
また、前記実施形態において、電磁コイル581の形状、永久磁石582の形状および構成は、前記実施形態で説明したものに限らず、その他の形状や構成を採用してもよい。
【0069】
前記実施形態では、可動子接続部562は、リング本体561に一体形成された構成としていたが、これに限らず、可動子接続部とリング本体とを別体で構成し、ねじ等の接続部材により可動子接続部およびリング本体を接続する構成を採用しても構わない。この際、リング本体の材料としては、合成樹脂に限らず、熱伝導性を有する例えば金属製部材で構成してもよい。すなわち、可動子接続部と遮光羽根52とを熱的に絶縁可能な構成であればよい。
【0070】
前記実施形態では、軸受け部522が当接するベース板本体511の各凹部5112の底部分の高さ寸法を異なるように設定して、隣接する各羽根板521間に所定寸法の隙間を形成している。しかしながら、このような構造に限らず、その他の構造で隣接する羽根板521を光束の光軸方向に所定間隔、離間した状態に設定しても構わない。
【0071】
前記実施形態では、各遮光羽根52の各軸受け部522の光束入射側端面をベース板本体511に形成された各凹部5112の底部分に当接するように構成していたが、これに限らず、羽根押え部材54にそれぞれ凹部を形成し、各軸受け部522の光束射出側端面を前記凹部の底部分に当接するように構成しても構わない。
前記実施形態では、遮光羽根52を4つで構成していたが、これに限らず、2つや3つで構成してもよく、あるいは、5つ以上で構成しても構わない。
【0072】
前記実施形態では、各遮光羽根52A,52Cを構成する各羽根板521が光束の光軸方向の同一位置に位置付けられている。また、各遮光羽根52B,52Dを構成する各羽根板521が光束の光軸方向の同一位置に位置付けられている。そして、各遮光羽根52A,52Cを構成する各羽根板521と、各遮光羽根52B,52Dを構成する各羽根板521とが、光束の光軸方向の異なる位置に位置付けられている。以上の構成に限らず、各遮光羽根52A〜52Dを構成する各羽根板521が光束の光軸方向の異なる位置にそれぞれ位置付けられる構成を採用しても構わない。
【0073】
前記実施形態では、絞りリング56が合成樹脂から構成されていたが、その材料は特に限定されず、熱伝導率が低い材料であれば、いずれの材料を採用しても構わない。羽根押え部材54も同様である。
【0074】
前記実施形態では、光学絞り装置5は、第1レンズアレイ412と第2レンズアレイ413との間に配設されていたが、これに限らず、光源装置411から射出され各液晶パネル441に至る光束の光路中であれば、いずれの位置に配設しても構わない。
前記実施形態では、3つの液晶パネル441を用いたプロジェクタ1を説明したが、これに限らない。例えば、1つの液晶パネルのみを用いたプロジェクタ、2つの液晶パネルを用いたプロジェクタ、あるいは、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクタにも適用可能である。
前記実施形態では、光学ユニット4は、平面視略L字状の形状を有していたが、その他の形状を採用してもよく、例えば、平面視略U字状の形状としてもよい。
前記実施形態では、スクリーンを観察する方向から投射を行うフロントタイプのプロジェクタの例のみを説明したが、本発明では、スクリーンを観察する方向とは反対側から投射を行うリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
【0075】
前記実施形態では、光変調装置として透過型の液晶パネル441を採用していたが、これに限らず、反射型の液晶パネル、ディジタル・マイクロミラー・デバイス(テキサス・インスツルメント社の商標)、光の回折現象を利用したGLV(Grating Light Valve)デバイス(Silicon Light Machines社の商標)等を採用してもよい。
前記実施形態では、光学絞り装置5をプロジェクタ1に搭載した構成を説明したが、光学絞り装置5は、プロジェクタ1に限らず、その他の光学機器、例えば、カメラ等に搭載した構成を採用しても構わない。また、光学絞り装置5をカメラに搭載した場合には、絞り装置として用いる構成の他、レンズシャッタ等として用いても構わない。
【0076】
本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の光学絞り装置は、入射光束の光軸方向の厚み寸法を低減できるため、プレゼンテーションやホームシアタに用いられるプロジェクタの光学絞り装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本実施形態におけるプロジェクタの概略構成を模式的に示す図。
【図2】前記実施形態における光学絞り装置の概略構成を示す図。
【図3】前記実施形態における光学絞り装置の概略構成を示す図。
【図4】前記実施形態におけるベース板本体を光束入射側から見た斜視図。
【図5】前記実施形態における電磁アクチュエータおよび位置センサの構造を模式的に示す図。
【符号の説明】
【0079】
1・・・プロジェクタ、3・・・投射レンズ(投射光学装置)、5・・・光学絞り装置、51・・・ベース板、52・・・遮光羽根、53・・・回動軸、56・・・絞りリング(羽根回動板)、58・・・電磁アクチュエータ(回動板駆動装置)、411・・・光源装置、441・・・液晶パネル、561・・・リング本体(羽根回動板本体)、562・・・可動子接続部、581・・・電磁コイル(固定子)、582・・・永久磁石(可動子)、511・・・ベース板本体、512・・・固定子接続部、5111・・・開口部、5116・・・円弧状孔(切り欠き)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光束の光量を調整する光学絞り装置であって、
前記光束の光軸に直交する平面に沿って延出し前記光束を通過可能とする開口部を有するベース板と、前記ベース板における前記開口部周縁部分に前記光束の光軸に直交する平面に沿って回動可能にそれぞれ取り付けられ回動することで前記開口部を介して前記光束を通過可能とする開口面積を変更して前記光束の光量を調整する複数の遮光羽根と、前記複数の遮光羽根を前記ベース板に対して回動可能に軸支する複数の回動軸と、前記ベース板に対して移動自在に取り付けられ前記複数の遮光羽根と係合し前記ベース板に対して移動することで前記複数の遮光羽根をそれぞれ回動させる羽根回動板と、前記羽根回動板を前記ベース板に対して移動させる回動板駆動装置とを備え、
前記ベース板、前記複数の遮光羽根、および前記羽根回動板は、前記光束の光軸に沿って積層配置され、
前記回動板駆動装置は、前記ベース板および前記羽根回動板の間に介在配置され、固定子と、前記固定子に対して移動自在とする可動子とを備え、電気的なエネルギを機械的なエネルギに変換して前記可動子を前記固定子に対して移動させ、
前記羽根回動板は、前記複数の遮光羽根と係合する羽根回動板本体と、前記可動子を前記羽根回動板本体に接続するための可動子接続部とを備え、
前記ベース板は、前記開口部を有するベース板本体と、前記ベース板本体に対して前記羽根回動板から離間する方向にずれた位置に前記固定子を位置付け前記固定子を前記ベース板本体に接続するための固定子接続部とを備えていることを特徴とする光学絞り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学絞り装置において、
前記ベース板本体には、当該光学絞り装置を組み立てた状態でかつ、前記ベース板に対して前記羽根回動板を移動させた際に、前記ベース板本体と前記可動子および前記可動子接続部とを機械的に干渉しない状態とする切り欠きが形成されていることを特徴とする光学絞り装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光学絞り装置において、
前記回動板駆動装置は、電磁アクチュエータで構成されていることを特徴とする光学絞り装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光学絞り装置において、
前記固定子は、磁束を発生させる永久磁石を備え、
前記可動子は、電流が通流され前記永久磁石からの磁束と前記電流との相互作用による電磁力によって前記永久磁石に対して移動可能とするコイルを備えていることを特徴とする光学絞り装置。
【請求項5】
請求項3に記載の光学絞り装置において、
前記固定子は、電流が通流されるコイルを備え、
前記可動子は、磁束を発生させ前記コイルに通流される電流と前記磁束との相互作用による電磁力によって前記コイルに対して移動可能とする永久磁石を備えていることを特徴とする光学絞り装置。
【請求項6】
請求項5に記載の光学絞り装置において、
前記可動子接続部は、前記複数の遮光羽根と熱的に絶縁されていることを特徴とする光学絞り装置。
【請求項7】
請求項6に記載の光学絞り装置において、
前記可動子接続部は、前記羽根回動板本体に一体形成されていることを特徴とする光学絞り装置。
【請求項8】
光源装置と、前記光源装置から射出された光束を変調する光変調装置と、前記光変調装置にて変調された光束を拡大投射する投射光学装置とを備えたプロジェクタであって、
請求項1から請求項7のいずれかに記載の光学絞り装置を備え、
前記光学絞り装置は、前記光源装置から射出され前記光変調装置に至る光束の光路中に配設され、前記光源装置から前記光変調装置に照射される光束の光量を調整することを特徴とするプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−114405(P2007−114405A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−304733(P2005−304733)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】