説明

光学薄膜シート

【課題】フラットパネル液晶ディスプレイに用いられる軽量な高拡散性の光学薄膜シートを提供する。
【解決手段】光学薄膜シートは、支持と、該支持体の少なくとも一面に形成された光拡散層とを含み、該光拡散層は、支持体の光入射面、発行面又は両面に、光拡散層として働くように凹凸構造を形成する。凹凸構造の形成は、スクリーン印刷や吹付け、エンボス加工で可能であるが、より好ましい方法は、凹凸構造を有する樹脂コーティング層を支持体表面に適用する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ(LCD)内に組込まれるバックライト要素に使用される光学薄膜シートに関する。該光学薄膜シートは高拡散性という光学特性を有することによりシートを透過した光を均一に分布させ、これにより所望の光学的効果を達成することができる。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルはそれ自身では発光できないため、光源として働くバックライトがLCDの機能発揮のための重要な構成要素であり、且つLCDの輝度を向上させるために極めて重要である。
【0003】
また、LCD製品はラップトップコンピュータ用LCDやLCDスクリーンからLCD TVにまで用途が拡大している。従って、十分な画像輝度や、広視野角、シャープな画像コントラスト、所望の製品寿命が考慮すべき重要な点である。これらの要件を満たすために、大型LCD TVにおける直下型バックライトの使用が技術の主流となっている。図1は直下型バックライトモジュールの模式図である。図1を参照すると、直下型バックライトモジュールは下部から上部に向かって順に、反射膜(11)、冷陰極ランプ(12)、拡散板(13)、拡散膜(14)、輝度向上膜(15)を含む。
【0004】
通常、直下型バックライトモジュール製品は高輝度を提供するものの、ランプの個数増加により明暗の縞が生じ易く、光の均一性に影響を及ぼす。従ってバックライトモジュールを設計する際には、拡散板を追加する必要がある。拡散板(厚さ約2mm)は通常、有機又は無機粒子を含有するポリカーボネート(PC)樹脂又はポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂から成り、その主な機能は、粒子を利用して、光が屈折率の異なる2種の媒体を通過する際に光を屈折・分散せしめることと、光源からの線状の光(line light)を平面状の光(plane light)に分布させることである。即ち、底部光源からの光は拡散板を透過する際に拡散し均一に分散して前面からの発光となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、フラットパネル液晶ディスプレイ(LCD)には軽薄短小サイズ化が要求されるが、拡散板は厚みがあり重く、且つ拡散板に用いられる材料による光吸収が避けられないため光の一部が有効利用されない。従って光源を効果的に用いることができない。更に、拡散板の製造プロセスは長時間を要し製造コストも比較的高く、モジュール設計には不利である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するため、本発明者らは鋭意研究を行った結果、現在光の均一化用のバックライトモジュールに使用されている拡散板に代えて、高拡散性という光学特性を有する光学薄膜シートを使用すれば、光均一性効果が達成され、且つ該光学薄膜シートは薄型軽量という利点を有し、簡単なプロセスによって高収率で製造できため上記問題点を効果的に解決することを見出した。
【0007】
本発明の主たる目的は、JIS K7136標準法により測定されるヘイズが98%以上である光学薄膜シートを提供することである。
【0008】
本発明の前述の又は他の目的、特徴及び利点の理解のため、添付図面に示した好ましい実施形態について以下説明する。
【0009】
前述の一般的記述と次の詳細な説明はいずれも例示的なものであり、別紙に請求する本発明を更に説明することを意図すると理解されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の光学薄膜シートは、支持体と、該支持体の少なくとも一面に形成された光拡散層とを含み、且つJIS K7136標準法により測定されるヘイズが98%以上である。
【0011】
本発明の光学薄膜シートに用いられる支持体は、本発明の属する技術の分野における通常の技能を有する者に知られたガラスやプラスチック等の如何なる支持体でもよい。プラスチック支持体は特に限定されず、例えばポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、セルロースアセテート樹脂、ポリイミド樹脂、又はポリエステル樹脂であることができ、なかでもポリ(エチレンテレフタレート)やポリ(エチレンナフタレート)等のポリエステル樹脂が好ましい。支持体の好適な厚さは通常、所望の光学製品に必要な条件に応じて決定される。支持体が薄過ぎるとコーティングプロセス中にカールし易くなり、また支持体が厚過ぎると支持体の輝度が低下する。支持体の厚さは約16μm〜約250μmが好ましい。
【0012】
高い光拡散効果を達成するために、支持体の少なくとも一面に光拡散層を設ける。換言すれば、支持体の光入射面、発光面又は両面に、光拡散層として働くように凹凸構造を形成する。ASTM D523標準法によれば、光源が入射角60°で投射される場合、該光拡散層で測定されるグロスは10%未満である。凹凸構造の形成方法は特に限定されず、当業者によく知られた如何なる方法でもよく、例えばスクリーン印刷や吹付け、エンボス加工が挙げられる。より好ましい方法は、凹凸構造を有する樹脂コーティング層を支持体表面に適用する方法である。
【0013】
前記樹脂コーティング層は粒子と結合剤を含む。高い拡散効果を達成するために粒子の直径は約1μm〜20μmであることが好ましい。粒子の量は結合剤の重量に対して約100重量%〜約600重量%の範囲であることが好ましく、約150重量%〜約500重量%の範囲であることがより好ましい。粒子の量が結合剤の重量に対して100重量%より低い場合は望ましい拡散効果が得られず、粒子の量が600重量%より高い場合は、支持体表面の結合剤に粒子が固定されにくく、粒子の脱落を招くことになる。
【0014】
本発明に使用できる粒子は特に限定されず、有機粒子、無機粒子又はそれらの混合物であることができる。粒子の形状もまた特に限定されず、球状或いはダイヤモンド形状であることができる。
【0015】
本発明で使用される有機粒子は、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂及びそれらの混合物から成る群から選択することができる。
【0016】
本発明で使用される無機粒子は、酸化亜鉛、二酸化チタン、ジルコニア、酸化アルミニウム、硫化亜鉛、硫酸バリウム及びそれらの混合物から成る群から選択することができる。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、前記粒子は粒径が約1μm〜約10μmの範囲の有機粒子が好ましい。有機粒子は好ましくはシリコーン樹脂粒子である。
【0018】
本発明の好ましい一実施形態によれば、本発明の光学薄膜シートは、プラスチック支持体の少なくとも一面に、凹凸構造を有する樹脂コーティング層がコーティングされており、該樹脂コーティング層は有機粒子を含有し、且つ光学薄膜シートはJIS K7136標準法により測定されるヘイズが98%以上である。
【0019】
前記結合剤は特に限定されず、例えばアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、フルオロ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの混合物から成る群から選択することができ、なかでもアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの混合物が好ましい。本発明に使用される結合剤は、光を透過できるように無色透明であることが好ましい。
【0020】
プラスチック支持体の黄変を防ぐために、UV光吸収性無機物質を樹脂コーティング層に添加してもよく、該無機物質としては、例えば酸化亜鉛、酸化鉛、ジルコニア、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、又はそれらの混合物を挙げることができるがこれらに限定されず、なかでも二酸化チタン、ジルコニア、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、又はそれらの混合物が好ましい。前記無機物質の粒径は通常、約1nm〜約100nmの範囲であり、約20nm〜約50nmの範囲が好ましい。
【0021】
本発明の光学薄膜シートに使用される、凹凸構造を有するコーティング層は、当業者に知られた添加剤を更に含有することができ、例えばレベリング剤や安定化剤、硬化剤、蛍光輝度向上剤、UV吸収剤を挙げることができるがこれらに限定されない。
【0022】
本発明に使用して分子間化学結合により結合剤と架橋形成し得る硬化剤は当業者によく知られており、ポリイソシアネート等を挙げることができるがこれに限定されない。
【0023】
本発明に使用できる蛍光輝度向上剤は特に限定されず当業者には明らかであり、有機物質或いは無機物質であることができ、有機物質としてはベンゾオキサゾール類やベンゾイミダゾール類、ジフェニルエチレンビストリアジン類等を挙げることができるがそれらに限定されず、無機物質としては硫化亜鉛等を挙げることできるがそれらに限定されない。
【0024】
本発明に使用できるUV吸収剤は当業者によく知られており、例えばベンゾトリアゾール類、ベンゾトリアジン類、ベンゾフェノン類又はサリチル酸誘導体を挙げることができる。
【0025】
本発明の好ましい一実施形態によれば、本発明の光学薄膜シートは、ポリエステル樹脂支持体の少なくとも一面に、凹凸構造を有する樹脂コーティング層がコーティングされたものであって、樹脂コーティング層は有機粒子、結合剤及び無機物質を含み、有機粒子は直径が約1μm〜約10μmの範囲であると共にその量が結合剤の重量に対して約100重量%〜約600重量%の範囲であり、好ましくは150重量%〜500重量%であり、光学薄膜シートはJIS K7136標準法により測定されるヘイズが99%以上である。前記無機物質は、二酸化チタン、ジルコニア、酸化アルミニウム、酸化亜鉛又はそれらの混合物が好ましく、光学薄膜シートはJIS K7136標準法により測定される全光透過率が60%以上であることが好ましい。
【0026】
本発明の光学薄膜シートに使用される樹脂コーティング層の好適な厚さは通常、所望の光学製品に必要な条件によって決まり、通常約1μm〜約50μmであり、約1μm〜約20μmが好ましい。
【0027】
光学製品の光学特性は、ヘイズ(Hz)、全光透過率(Tt)、拡散光透過率(Td)及び平行光透過率(Tp)の各値によって直接表すことができ、ここでTt=Td+Tp、Hz=Td/Tt(%)である。一般に、全光透過率は光学製品の透過率特性を表し、ヘイズは光学製品の拡散特性を表す。本発明の光学薄膜シートは高透過率と高拡散性を有する。JIS K7136標準法によれば、本発明光学薄膜シートの全光透過率は60%以上であり、80%超が好ましく、本発明光学薄膜シートヘイズは98%以上であり、99%超が好ましい。
【0028】
本発明の光学薄膜シートは、高温耐性、接着防止性、帯電防止性及び高ヘイズ値という光学特性を有し、ディスプレイのバックライトモジュールに拡散シートとして使用できる。本発明光学薄膜シートは高い拡散特性を有するので、該光学薄膜シートを通過する際に光が均一に拡散され明暗の縞がなくなった均一な光が提供される。
【0029】
モジュールの製造コストを効果的に低減し且つ他の膜(例えば、輝度向上膜や拡散膜)を利用する必要性を低下させるために、本発明はまた、他の膜の機能を有する複合型光学薄膜シートを提供する。この複合型光学薄膜シートは本発明の光学薄膜シートを含み、任意的に支持体の他の面を任意の形状として任意の機能をもたせることができる。例えば、該面を平坦或いはつや消し面として、輝度を向上させたり光を分散させたりするために使用することができる。例えば、集光のための輝度向上層を支持体の反対の面にコーティングすることができ、これにより光拡散と輝度向上の両機能を支持体に付与して、放射光の方向性(directional property)を改善すると共に前面における輝度を向上させる。前記輝度向上層は微細構造を有しているのが好ましく、例えば、規則的又は不規則的プリズムパターンや丸みを帯びたプリズムパターン(rounded prism pattern)、立体角パターン(solid angle pattern)、ビーズパターン(bead pattern)、レンティキュラーパターン(lenticular pattern)の形状とすることができるがこれらに限定されない。好ましくはプリズムパターンである。或いは、拡散機能を有する拡散層を支持体の反対の面にコーティングすることができ、光の屈折角を変えると共に輝度を向上させることができる。前記拡散層は、約1μm〜約50μmの範囲の種々の直径を有する一種以上の散乱粒子を含むことができる。散乱粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状或いはダイヤモンド状であることができる。散乱粒子は、有機粒子、無機粒子又はそれらの混合物であることができ、有機粒子及び無機粒子としては前述の物質を挙げることができる。
【0030】
本発明の好ましい一実施形態における本発明光学薄膜シートを図2に示す。該シートにおいて支持体(1)の一面は、粒子(3)と無機物質(4)とを含有する光拡散層(2)を含む。図3及び図4はそれぞれ、本発明に係る複合型光学薄膜シートの模式図である。図3及び図4に示されるように、複合型光学薄膜シートは本発明の光学薄膜シートに加え、散乱粒子(6)を含有する拡散層(5)、又は輝度向上層(7)を含む。
【0031】
次の実施例は本発明を更に説明することを意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。当業者であれば容易に達成するであろう如何なる変更や改変も、明細書の開示内容及び添付請求項の範囲に包含される。
【実施例】
【0032】
実施例1−1
アクリル樹脂[Eterac 7363−ts−50、エターナル社](固形分:約50%)21.0gをプラスチックボトルに添加した。次いで、メチルエチルケトン15.0g、トルエン15.0g、平均粒径2μmのシリコーン樹脂粉末[Tospearl 120E、GE東芝シリコーン]24gを高速攪拌下で順次添加した。最後に硬化剤[Desmodur 3390、バイエル社](固形分:約75%)2.0gを添加して、固形分約46%、総重量約77.0gのコーティングを得た。このコーティングを、RDSペインティングスティック#12を用いてPET支持体[T680E100、三菱]の光入射面に塗布し、次いで120℃で1分間乾燥させて約7μmのコーティング膜を得、透明材料輝度試験を行った。結果を表1に示す。
【0033】
実施例1−2
アクリル樹脂[Eterac 7363−ts−50、エターナル社](固形分:約50%)21.0gをプラスチックボトルに添加した。次いで、メチルエチルケトン18.0g、トルエン18.0g、平均粒径2μmのシリコーン樹脂粉末[Tospearl 120E、GE東芝シリコーン]36gを高速攪拌下で順次添加した。最後に硬化剤[Desmodur 3390、バイエル社](固形分:約75%)2.0gを添加して、固形分約49%、総重量約95.0gのコーティングを得た。このコーティングを、RDSペインティングスティック#12を用いてPET支持体[T680E100、三菱]の光入射面に塗布し、次いで120℃で1分間乾燥させて約7μmのコーティング膜を得、透明材料輝度試験を行った。結果を表1に示す。
【0034】
実施例1−3
実施例1−1のコーティングを、RDSペインティングスティック#12を用いてPET支持体[T680E100、三菱]の両面に塗布し、次いで120℃で1分間乾燥させて総厚約14μmのコーティング膜を得、透明材料輝度試験を行った。結果を表1に示す。
【0035】
比較例1−1
アクリル樹脂[Eterac 7363−ts−50、エターナル社](固形分:約50%)21.0gをプラスチックボトルに添加した。次いで、メチルエチルケトン6.0g、トルエン6.0g、1〜100nm二酸化チタン溶液(固形分:約50%)48gを高速攪拌下で順次添加した。最後に硬化剤[Desmodur 3390、バイエル社](固形分:約75%)2.0gを添加して、固形分約42%、総重量約111.0gのコーティングを得た。このコーティングを、RDSペインティングスティック#12を用いてPET支持体[T680E100、三菱製]の光入射面に塗布し、次いで120℃で1分間乾燥させて約7μmのコーティング膜を得、透明材料輝度試験を行った。結果を表1に示す。
【0036】
試験方法
透明材料輝度試験:NDH 5000Wヘイズメーター(日本電色工業株式会社)を用い、JIS K7136標準法によりヘイズ(Hz)と全光透過率(Tt)を測定した。
【0037】
【表1】

【0038】
実施例2−1
実施例1−1のコーティング膜を7日間放置した後、耐候性試験に付した。結果を表2に示す。
【0039】
実施例2−2
実施例1−2のコーティング膜を7日間放置した後、耐候性試験に付した。結果を表2に示す。
【0040】
実施例2−3
アクリル樹脂[Eterac 7363−ts−50、エターナル社](固形分:約50%)21.0gをプラスチックボトルに添加した。次いで、メチルエチルケトン38.0g、トルエン38.0g、平均粒径2μmのシリコーン樹脂粉末[Tospearl 120E、GE東芝シリコーン]24g、1〜100nm二酸化チタン/酸化亜鉛溶液(固形分:約50%)48gを高速攪拌下で順次添加した。最後に硬化剤[Desmodur 3390、バイエル社](固形分:約75%)2.0gを添加して、固形分約35%、総重量約171.0gのコーティングを得た。このコーティングを、RDSペインティングスティック#12を用いてPET支持体[T680E100、三菱]の光入射面に塗布し、次いで120℃で1分間乾燥させて約7μmのコーティング膜を得た。得られたコーティング膜を7日間放置した後、耐候性試験に付した。結果を表2に示す。更に、可視紫外光の透過スペクトルを得、これを図5に示す。
【0041】
実施例2−4
アクリル樹脂[Eterac 7363−ts−50、エターナル社](固形分:約50%)21.0gをプラスチックボトルに添加した。次いで、メチルエチルケトン18.0g、トルエン18.0g、平均粒径2μmのシリコーン樹脂粉末[Tospearl 120E、GE東芝シリコーン]36g、1〜100nm二酸化チタン/酸化アルミニウム/ジルコニア溶液(固形分:約50%)48gを高速攪拌下で順次添加した。最後に硬化剤[Desmodur 3390、バイエル社](固形分:約75%)2.0gを添加して、固形分約49%、総重量約143.0gのコーティングを得た。このコーティングを、RDSペインティングスティック#12を用いてPET支持体[T680E100、三菱]に塗布し、次いで120℃で1分間乾燥させて約7μmのコーティング膜を得た。得られたコーティング膜を7日間放置した後、耐候性試験に付した。結果を表2に示す。
【0042】
試験方法
耐候性試験:QUVウェザリングテスター(Q−パネル社)を用いてコーティング膜を照射し、色差メーターColorQuest XE(HUNTERLAB社)を用いて黄変指数(YI)の変化を測定した。耐候性試験における主波長は313nmとした。
【0043】
可視紫外光透過率試験:ラムダ650S可視紫外分光光度計(パーキンエルマー社)を用いて透過率を測定した。試験波長を300nm〜800nmとし、検出器として60mm積分球を採用した。
【0044】
【表2】

【0045】
実施例3
コーティングAの調製:
アクリル樹脂[Eterac 7363−ts−50、エターナル社](固形分:約50%)21.0gをプラスチックボトルに添加した。次いで、メチルエチルケトン38.0g、トルエン38.0g、平均粒径2μmのシリコーン樹脂粉末[Tospearl 120E、GE東芝シリコーン]24g、1〜100nm二酸化チタン/ジルコニア/酸化アルミニウム/酸化亜鉛溶液(固形分:約50%)48gを高速攪拌下で順次添加した。最後に硬化剤[Desmodur 3390、バイエル社](固形分:約75%)2.0gを添加して、固形分約35%、総重量約171.0gのコーティングを得た。
【0046】
実施例3−1
得られたコーティングを、RDSペインティングスティック#20を用いてPET支持体[T680E100、三菱]に塗布し、次いで120℃で1分間乾燥させて約14μmのコーティング膜を得、透明材料輝度試験を行った。結果を表3に示す。
【0047】
実施例3−2
コーティングAを、RDSペインティングスティック#18を用いてPET支持体[T680E100、三菱]に塗布し、次いで120℃で1分間乾燥させて約12μmのコーティング膜を得、透明材料輝度試験を行った。結果を表3に示す。
【0048】
実施例3−3
コーティングAを、RDSペインティングスティック#16を用いてPET支持体[T680E100、三菱]に塗布し、次いで120℃で1分間乾燥させて約10μmのコーティング膜を得、透明材料輝度試験を行った。結果を表3に示す。
【0049】
実施例3−4
コーティングAを、RDSペインティングスティック#14を用いてPET支持体[T680E100、三菱]に塗布し、次いで120℃で1分間乾燥させて約8μmのコーティング膜を得、透明材料輝度試験を行った。結果を表3に示す。
【0050】
比較例3−1
厚さ2mmの市販拡散プレート(PC−8311、帝人ケミカルズ)を透明材料輝度試験に付した。試験結果を表3に示す。
【0051】
比較例3−2
厚さ2mmの市販拡散プレート(PC−8391、帝人ケミカルズ)を透明材料輝度試験に付した。結果を表3に示す。
【0052】
比較例3−3
厚さ2mmの市販拡散プレート(703、チ メイ社(Chi Mei Company))を透明材料輝度試験に付した。結果を表3に示す。
【0053】
比較例3−4
厚さ2mmの市販拡散プレート(DSX70、旭化成ケミカルズ)を透明材料輝度試験に付した。結果を表3に示す。
【0054】
【表3】

【0055】
実施例1−1及び実施例1−2の結果から明らかなように、支持体表面に適用する樹脂コーティング層の有機粒子数を増加させることによりヘイズを増大させることができ、より良好な光拡散効果が達成されることが分かる。
【0056】
実施例1−1及び実施例1−3の結果から明らかなように、支持体の両面に樹脂コーティング層を設けると、コーティング層の厚さが増し、有機粒子数が増加して、強力な光源を効果的に遮ると共により良好な拡散効果が達成されることが分かる。
【0057】
実施例1−1及び比較例1−1の結果から明らかなように、凹凸構造を有さないコーティング層は有機粒子がないためヘイズが低く、所望の光拡散効果を示さない。
【0058】
実施例2−1、実施例2−3、実施例2−2及び実施例2−4の結果から明らかなように、支持体表面に適用した樹脂コーティング層がUV光吸収性無機物質を含有すると、樹脂コーティング層は良好な抗黄変性を有することからUV光耐性を付与することができる。図5から明らかなように、この樹脂コーティング層は380nmより短波長のUV光の透過率が5%未満であり、波長400nm〜780nmの可視光の透過率が90%超であることから、UV光を吸収できることが分かる。
【0059】
実施例3−1と比較例3−1〜3−4を比較すると明らかなように、本発明の光学薄膜シートは市販の光学薄膜シートに比べヘイズが高く、従って本発明の光学薄膜シートは均一な輝度を達成する比較的高い拡散特性を有する。
【0060】
実施例3−1と比較例3−1、実施例3−2と比較例3−2、実施例3−3と比較例3−3、及び実施例3−4と比較例3−4をそれぞれ比較すると明らかなように、本発明光学薄膜シートのヘイズが市販光学薄膜シートと同等又はより高い場合、本発明光学薄膜シートは全光透過率が比較的高く、従ってより高い輝度を提供することが分かる。
【0061】
実施例3−1と比較例3−1、実施例3−2と比較例3−2、実施例3−3と比較例3−3、及び実施例3−4と比較例3−4をそれぞれ比較すると明らかなように、本発明光学薄膜シートのヘイズは市販光学薄膜シートより高いが、その厚さは市販光学薄膜シートの10分の1に過ぎない。よって本発明の光学薄膜シートを用いれば、得られるモジュールの厚さ及び重量が大幅に低減され、従って本発明の光学薄膜シートは産業上の利用性を有する。
【0062】
本発明の光学薄膜シートは高い光拡散特性を有し、均一な輝度を達成するために使用できる。更に、本発明の光学薄膜シートは薄型軽量であり、バックライトモジュールにこれまで使用されてきた拡散プレートに取って代わることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】直下型バックライトモジュールの模式図である。
【図2】本発明に係る光学薄膜シートの模式図である。
【図3】本発明に係る複合型光学薄膜シートの模式図である。
【図4】本発明に係る他の複合型光学薄膜シートの模式図である。
【図5】実施例2−3の可視紫外光の透過率スペクトルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、該支持体の少なくとも一面に形成された光拡散層とを含む光学薄膜シートであって、JIS K7136標準法により測定されるヘイズが98%以上である光学薄膜シート。
【請求項2】
光拡散層は凹凸構造を有する、請求項1に記載の光学薄膜シート。
【請求項3】
凹凸構造は、支持体表面に樹脂コーティングを塗布することにより形成される、請求項2に記載の光学薄膜シート。
【請求項4】
樹脂コーティングは直径1μm〜20μmの範囲の粒子を含む、請求項3に記載の光学薄膜シート。
【請求項5】
粒子は有機粒子、無機粒子又はそれらの混合物である、請求項4に記載の光学薄膜シート。
【請求項6】
有機粒子は、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項5に記載の光学薄膜シート。
【請求項7】
無機粒子は、酸化亜鉛、二酸化チタン、ジルコニア、酸化アルミニウム、硫化亜鉛、硫酸バリウム及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項5に記載の光学薄膜シート。
【請求項8】
請求項1に記載の光学薄膜シートにおいて、凹凸構造を有する樹脂コーティング層がコーティングされた少なくとも一面を有するプラスチック支持体を含み、該樹脂コーティング層は有機粒子を含み、且つJIS K7136標準法により測定されるヘイズが98%以上である光学薄膜シート。
【請求項9】
プラスチック支持体は、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリセルロースアセテート樹脂、ポリイミド樹脂及びポリエステル樹脂から成る群から選択される、請求項8に記載の光学薄膜シート。
【請求項10】
有機粒子は直径が1μm〜20μmの範囲である、請求項8に記載の光学薄膜シート。
【請求項11】
有機粒子は、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項8に記載の光学薄膜シート。
【請求項12】
コーティング層は無機物質を更に含む、請求項8に記載の光学薄膜シート。
【請求項13】
無機物質は、酸化亜鉛、酸化鉛、ジルコニア、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項12に記載の光学薄膜シート。
【請求項14】
ポリエステル樹脂支持体の少なくとも一面に、凹凸構造を有する樹脂コーティング層がコーティングされた光学薄膜シートであって、該樹脂コーティング層は有機粒子、結合剤及び無機物質を含み、該有機粒子は直径が約1μm〜約10μmであると共にその量が結合剤の重量に対して100〜600重量%であり、且つJIS K7136標準法により測定されるヘイズが99%以上である光学薄膜シート。
【請求項15】
JIS K7136標準法により測定される光学薄膜シートの全光透過率が60%以上である、請求項14に記載の光学薄膜シート。
【請求項16】
ポリエステル樹脂は、ポリ(エチレンテレフタレート)又はポリ(エチレンナフタレート)である、請求項14に記載の光学薄膜シート。
【請求項17】
無機物質は、二酸化チタン、ジルコニア、酸化アルミニウム、酸化亜鉛及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項14に記載の光学薄膜シート。
【請求項18】
有機粒子はシリコーン樹脂粒子である、請求項14に記載の光学薄膜シート。
【請求項19】
結合剤は、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、フルオロ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項14に記載の光学薄膜シート。
【請求項20】
粒子の量は結合剤の重量に対して150〜500重量%である、請求項14に記載の光学薄膜シート。
【請求項21】
樹脂コーティング層は厚さが1μm〜50μmである、請求項14に記載の光学薄膜シート。
【請求項22】
樹脂コーティング層は厚さが1μm〜20μmである、請求項21に記載の光学薄膜シート。
【請求項23】
請求項1に記載の光学薄膜シートを含む複合型光学薄膜シートであって、支持体の他の面が、輝度を向上させることができる輝度向上層を有する複合型光学薄膜シート。
【請求項24】
輝度向上層は微細構造を有する、請求項23に記載の光学薄膜シート。
【請求項25】
微細構造は、規則的又は不規則的プリズムパターン、丸みを帯びたプリズムパターン、立体角パターン、ビーズパターン及びレンティキュラーパターンから成る群から選択される、請求項24に記載の光学薄膜シート。
【請求項26】
請求項1に記載の光学薄膜シートを含む複合型光学薄膜シートであって、支持体の他の面が、光を拡散することができる拡散層を有する複合型光学薄膜シート。
【請求項27】
拡散層は、1μm〜50μmの範囲の種々の直径を有する一種以上の散乱粒子を含む、請求項26に記載の光学薄膜シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−206674(P2007−206674A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−315054(P2006−315054)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(598170187)エターナル ケミカル シーオー.,エルティーディー. (13)
【氏名又は名称原語表記】ETERNAL CHEMICAL CO.,LTD.
【Fターム(参考)】