説明

光学装置、電子機器、光学装置の製造方法

【課題】堅牢で、収容する液体の封止性の劣化を防ぐことが可能な光学装置を提供すること。
【解決手段】照明装置3は、治具160により液体レンズ素子2とホルダ80とを保持固定し、光源ユニット70をホルダ80内に保持することによって得られる。治具160は、主板161において液体レンズ素子2に係合し、突出部163においてホルダ80に係合する。また、治具160は、互いに対向して配置された液体レンズ素子2及びホルダ80をZ軸方向にて挟圧しつつ、4面方向から周囲を包囲するようにして液体レンズ素子2及びホルダ80を保持する。上記構成によれば、治具160が液体レンズ素子2及びホルダ80をZ軸方向にて挟圧するので、複数の治具で照明装置3を保持する構成に比較して、照明装置3の堅牢性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロウェッティング現象を利用した光学装置、電子機器及び光学装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロウェッティング現象を利用した光学装置としての液体レンズ装置として、互いに対向して配置された一対のレンズ部材と環状の本体基板とにより形成された液室に、液体が封止されて構成された装置が知られている(例えば、特許文献1。)。
【0003】
特許文献1に記載の液体レンズ装置は、複数の締め付けユニットを備え、この複数の締め付けユニットにより、一対のレンズ部材と本体基板とが互いに固定されている。より詳細には、液体を封止する際、上部締め付けユニットが、本体基板における下部レンズ部材に対向する部位の複数の個所に係合し、上部レンズ部材を本体基板に固定する。一方、下部締め付けユニットは、本体基板における上部レンズ部材に対向する部位の複数の個所に係合し、下部レンズ部材を本体基板に固定する。ここで、上部締め付けユニットと下部締め付けユニットとが外周方向において交互に本体基板に係合されることで、一対のレンズ部材と本体基板とにより形成された液室に、液体が封止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−519970号公報(段落[0051]―[0052]、図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の液体レンズ装置は、複数の締め付けユニットがそれぞれ本体基板に取り付けられる。このため、液体封止に必要な力が本体基板に集中する。この締め付けユニットはそれぞれ本体基板の複数の個所に係合されるので、締め付けユニットの係合部の形状等によっては本体基板の一部の領域に局部的に応力が集中し、本体基板の破損等を招くおそれがある。
【0006】
また、液体レンズ装置は、液体が封止される際、温度変化や衝撃等によって液室の内圧が変化することがある。このような外乱の影響を受けると、液体レンズ装置における封止性が劣化するおそれがある。この封止性の劣化を低減させるための手段として、液体を封止する際に液室の内圧を調整することが考えられるが、複数の締め付けユニットを本体基板に取り付ける際に内圧を調整することは、技術的困難が伴う。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、堅牢で、収容する液体の封止性の劣化を防ぐことが可能な光学装置及び電子機器を提供することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、収容する液体の封止性の劣化を防ぐことが可能な光学装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る光学装置は、第1の本体と、第2の本体と、第3の本体と、レンズ面と、治具とを有する。
第1の本体は、第1の方向に平行な一対の第1の周縁部と、前記第1の周縁部に設けられた第1の係合部とを有し、光入射側を構成し、光透過可能である。
第2の本体は、前記第1の方向に平行な第2の周縁部と、前記第2の周縁部に設けられた第2の係合部とを有し、光出射側を構成し、光透過可能である。
第3の本体は、前記第1の本体と前記第2の本体との間に、前記第1の方向と直交する第2の方向に積層され、前記第1の本体と前記第2の本体との間で液室を形成する。
レンズ面は、前記液室の内部に封止された屈折率の異なる複数の液体の界面により形成され、電気的に変形可能である。
治具は、前記第1の係合部に係合する第3の係合部と、前記第2の係合部に係合する第4の係合部と、前記第3の係合部と前記第4の係合部とを相互に連結し、前記第1の係合部及び第2の係合部を前記第3の係合部及び第4の係合部との係合位置へガイドするガイド面を有する連結部とを有する。治具は、前記第3の係合部及び前記第4の係合部で互いに積層された前記第1の本体、前記第2の本体及び前記第3の本体を前記第2の方向に挟圧する。
【0010】
本発明の一形態によれば、治具は、互いに積層され、内部にレンズ面を有する第1の本体、第2の本体及び第3の本体を第2の方向(積層方向)にて挟圧する。ここで、挟圧を行う第3の係合部及び第4の係合部は、互いに連結されている。この構成によれば、複数の治具が必要とされず、複数の治具で内部にレンズ面を有する第1の本体、第2の本体及び第3の本体を第2の方向(積層方向)に挟圧する構成に比較して、光学装置の堅牢性が向上する。
また、第1の周縁部に設けられた第1の係合部と係合する第3の係合部と、第2の周縁部に設けられた第2の係合部と係合する第4の係合部とは、第1の方向にて互いに平行である。この構成によれば、互いに積層された各本体を、連結部のガイド面によりガイドしつつ移動させれば、第1の係合部及び第2の係合部が、第3の係合部及び第4の係合部とそれぞれ係合し、第1の本体、第2の本体及び第3の本体が治具により挟圧される。従って、複数の治具が必要とされない構造にも拘らず、係合用の螺子等を準備する必要がないので、部品点数を削減し、コストを低下することができる。
【0011】
前記第1の本体は、前記液室の一壁面を構成する基板と、光源を収納可能なホルダとを有してもよい。
前記第1の周縁部は、前記ホルダに設けられてもよい。
【0012】
本発明の一形態によれば、基板とホルダとを有する第1の本体、第2の本体及び第3の本体が、ホルダ及び本体において治具に係合され第2の方向(積層方向)に挟圧される。従って、内部にレンズ面を有する基板、第2の本体及び第3の本体と、ホルダとを挟圧するにあたり、複数の治具が必要とされない。これにより、光学装置の総合的な部品点数を削減し、コストを低下することができる。
【0013】
前記第1の係合部は、前記第3の係合部に対して、第1の方向に係合する第1の係合領域と、第2の方向に係合する第2の係合領域とを有してもよい。
前記第1の係合部及び前記第3の係合部は、前記第1の方向及び前記第2の方向に位置決めされてもよい。
【0014】
本発明の一形態によれば、第1の係合部と第3の係合部とが第1の方向及び第2の方向に係合するので、光学装置の安全性及び堅牢性がさらに向上する。
【0015】
前記ホルダは、前記基板に当接する当接面を有してもよい。
前記第1の周縁部は、前記ホルダの前記当接面に表裏対向する面に含まれてもよい。
【0016】
本発明の一形態によれば、ホルダに設けられた第1の係合部が、液室の一壁面を構成する基板が位置する面と平行な面上に位置する。従って、ホルダの第1の係合部と、治具の第3の係合部との係合が、この面上で行われるので、互いに積層された第1の本体、第2の本体及び第3の本体をさらに堅牢に挟圧することができる。
【0017】
前記第1の本体は、前記液室の一壁面を構成する基板であってもよい。
前記第1の周縁部は、前記基板の前記液室を構成する面に表裏対向する面に含まれてもよい。
【0018】
本発明の一形態によれば、基板に設けられた第1の係合部が、液室の一壁面を構成する基板が位置する面と平行な面上に位置する。従って、この第1の係合部と、治具の第3の係合部との係合が、この面上で行われるので、互いに積層された第1の本体、第2の本体及び第3の本体をさらに堅牢に挟圧することができる。
【0019】
本発明の一形態に係る光学装置の製造方法は、光透過可能な第1の本体と、光透過可能な第2の本体と、第3の本体とを、前記第3の本体が前記第1の本体と前記第2の本体との間に配置されるように積層して、前記第1の本体と前記第2の本体との間で液室を形成することを含む。
前記液室の内部に、屈折率の異なる複数の液体を封止して、界面に電気的に変形可能なレンズ面が形成される。
互いに積層された前記第1の本体、前記第2の本体及び前記第3の本体が、前記積層方向に直交する方向にて治具に挿入される。
前記治具により、互いに積層された前記第1の本体、前記第2の本体及び前記第3の本体が、前記積層方向に挟圧される。
【0020】
本発明の一形態によれば、互いに積層された各本体を、連結部のガイド面によりガイドしつつ移動させれば、第1及び第2の係合部が、第3及び第4の係合部とそれぞれ係合し、第1の本体、第2の本体及び第3の本体が治具により挟圧される。この方法によれば、第1の本体、第2の本体及び第3の本体の治具への係合が、これら各本体が連結部のガイド面で移動することにより実現されるので、組立作業を容易とすることができる。
【0021】
本発明の一形態に係る電子機器は、筐体と、前記筐体に収納される光学装置とを具備する。
光学装置は、第1の本体と、第2の本体と、第3の本体と、レンズ面と、治具とを有する。
第1の本体は、第1の方向に平行な一対の第1の周縁部と、前記第1の周縁部に設けられた第1の係合部とを有し、光入射側を構成し、光透過可能である。
第2の本体は、前記第1の方向に平行な第2の周縁部と、前記第2の周縁部に設けられた第2の係合部とを有し、光出射側を構成し、光透過可能である。
第3の本体は、前記第1の本体と前記第2の本体との間に、前記第1の方向と直交する第2の方向に積層され、前記第1の本体と前記第2の本体との間で液室を形成する。
レンズ面は、前記液室の内部に封止された屈折率の異なる複数の液体の界面により形成され、電気的に変形可能である。
治具は、前記第1の係合部に係合する第3の係合部と、前記第2の係合部に係合する第4の係合部と、前記第3の係合部と前記第4の係合部とを相互に連結し、前記第1の係合部及び第2の係合部を前記第3の係合部及び第4の係合部との係合位置へガイドするガイド面を有する連結部とを有する。治具は、前記第3の係合部及び前記第4の係合部で互いに積層された前記第1の本体、前記第2の本体及び前記第3の本体を前記第2の方向に挟圧する。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明の液体光学装置によれば、堅牢で、収容する液体の封止性の劣化を防ぐことができる。
【0023】
本発明の光学装置の製造方法によれば、収容する液体の封止性の劣化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る液体レンズ装置を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線から見た液体レンズ装置を示す断面図である。
【図3】液体レンズ素子を示す分解斜視図である。
【図4】治具を示す斜視図である。
【図5】液体レンズ装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図6】第3の基板を示す概略図である。
【図7】第3の基板に電極層を形成した様子を示す概略図である。
【図8】第3の基板に第2の基板を収納した様子を示す概略図である。
【図9】第3の基板及び第2の基板に絶縁層を形成した様子を示す概略図である。
【図10】キャビティ内に第1の液体を充填した様子を示す概略図である。
【図11】キャビティ内に第2の液体を注入した様子を示す概略図である。
【図12】液体レンズ素子にクランプを配置した様子を示す概略図である。
【図13】治具の変形例を示す斜視図である。
【図14】治具の他の変形例を示す斜視図である。
【図15】治具の他の変形例を示す斜視図である。
【図16】本発明の第2の実施形態に係る照明装置を示す斜視図である。
【図17】図16のB−B線から見た照明装置を示す断面図である。
【図18】照明装置を示す分解斜視図である。
【図19】照明装置の変形例を示す斜視図である。
【図20】図19に示す照明装置の部分拡大斜視図である。
【図21】図19に示す照明装置の製造方法を示す斜視図である。
【図22】照明装置を備えた電子機器を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0026】
<第1の実施形態>
本実施形態では、光学装置として、液体レンズ装置を一例に挙げて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る液体レンズ装置1を示す斜視図である。図2は、図1のA−A線から見た液体レンズ装置1を示す断面図である。
【0027】
これらの図に示すように、液体レンズ装置1は、例えば長手矩形状である液体レンズ素子2と、この液体レンズ素子2を収納する治具60とを有する。液体レンズ装置1は、この治具60により液体レンズ素子2が固定されることによって得られ、デジタルスチルカメラ等の電子機器に用いられるフラッシュ装置用の可変焦点レンズ装置である。
【0028】
なお、以下の説明において、長手矩形状である液体レンズ素子2の長手方向を「X軸方向」と呼ぶことがある(第1の方向)。長手矩形状である液体レンズ素子2の短手方向を「Y軸方向」と呼ぶことがある。液体レンズ素子2を構成する各基板(後述する。)の積層方向を「Z軸方向」と呼ぶことがある(第2の方向)。
【0029】
[液体レンズ素子2の構成]
図3は、液体レンズ素子2を示す分解斜視図である。
液体レンズ素子2は、エレクトロウェッティング効果による光学特性を発現することが可能なレンズ素子である。液体レンズ素子2は、第1の基板10(第1の本体、基板)と、第2の基板20(第2の本体)と、第3の基板30(第3の本体)とを有する。液体レンズ素子2は、内部に液体を収容可能な液室40と、この液室40に収容される第1の液体41と、第2の液体42とをさらに有する。
【0030】
第1の基板10は、液体レンズ素子2への入射光の経路を構成する、光透過可能な基板である。第1の基板10は、液室40の一面を構成する第1の主面部14と、これに表裏対向する第2の主面部15とを有する。第1の主面部14には、第1の液体41と接触可能な配線(図示せず。)が形成される。第1の基板10の長手方向(X軸方向)の端部には、端子装着部12が設けられる。端子装着部12には、第1の主面部14に設けられた配線を外部電源(図示せず。)と接続するための端子11aが装着される。上記端部に対向する端部の両隅には、テーパ部13,13が設けられている。
【0031】
上述のように、液体レンズ素子2は治具60に収納される。ここで、第1の基板10において、第2の主面部15の周縁部の領域15a(第1の周縁部、第1の係合部)は、治具60に係合する領域となる。なお、この係合については後に説明する。
【0032】
第2の基板20は、液体レンズ素子2からの出射光の経路を構成する、光透過可能な基板である。第2の基板20は、液室40の一面を構成する第1の主面部22と、これに表裏対向し、液体レンズ素子2の正面側を構成する第2の主面部23とを有する。この第2の基板20には、第1の基板10のテーパ部13,13に対応した位置にテーパ部21,21が設けられている。第2の基板20のY軸方向幅は、第1の基板10のY軸方向幅より小さく形成される。
【0033】
第2の基板20において、第2の主面部23の周縁部の領域23a(第2の周縁部、第2の係合部)は、治具60に係合する領域となる。なお、この係合については後に詳細に説明する。
【0034】
ここで、第1の基板10及び第2の基板20は、ガラス、セラミックス、アクリル樹脂等の透明度が高い素材で形成すればよい。これにより、入射光あるいは出射光強度の透過損失を低減することが可能である。第1の基板10及び第2の基板20は、平板状に形成されてもよいし、光学特性によっては主面部15,23が表面にそれぞれレンズ面を有するように形成してもよい。また、強度を向上させるために周縁に例えばリブ構造の枠を設けてもよい。
【0035】
第3の基板30は、第1の基板10と第2の基板20との間に積層され、第1の基板10と第2の基板20との間で、液室(後に説明する。)を形成する。
第3の基板30は、互いに表裏対向する、第1の基板10に当接する第1の主面部31と、第2の基板20に当接する第2の主面部32とを有する。第3の基板30には、さらに、第1の主面部31と第2の主面部32とを貫通する開口33aを構成する側壁33が設けられている。開口33aは、例えば長方形状を有し、アレイ状に、すなわち互いに平行に複数形成されたものである。
【0036】
第3の基板30の側壁33の表面には電極層34が設けられ、この電極層34の上層には、絶縁層35が設けられる。電極層34は、液体レンズ素子2を外部電源と接続可能とするための電極を構成する。絶縁層35は、電圧印加時に電極層34と第1の液体41との電気的接触を回避する。
【0037】
第3の基板30の第1の主面部31には、複数の開口33aを囲うようにして、環状の溝部36が形成されている。この溝部36には、弾性を有する環状の弾性部材50が収納される。この弾性部材50は、第3の基板30と第1の基板10とを互いに液密に封止するための部材である。この環状の溝部36の外周には、略環状の突出部37が設けられている。この突出部37の先端を構成する面には、第1の基板10が当接載置される。第3の基板30は、平面視したときの形状が第1の基板10と略等しく、そのため、第1の基板10の側面と、第3の基板30の側面とが同一平面上に位置するように、第1の基板10が第3の基板30の突出部37の先端に載置される。また、突出部37には内圧調整用の切欠き部37aが設けられている。
【0038】
第3の基板30の第2の主面部32には、凹部を構成する略環状の突出部38が設けられている。この突出部38により構成される凹部には、第1の基板10よりもY軸方向幅が小さく形成された第2の基板20が当接収納される。突出部38のZ軸方向高さは第2の基板20の厚さと等しく、第2の基板20がこの凹部に収納されるとき、第2の基板20の第2の主面部23と突出部38の先端の面とが同一平面上に位置する。
【0039】
第3の基板30の長手方向一端に位置する端部には、端子装着部39aが設けられる。端子装着部39aには、電極層34を外部電源と接続するための端子11bが装着される。端子装着部39aには、端子11bに設けられた開口に係合可能な係合部39bを設けてもよい。端子装着部39aは、第1の基板10の端子装着部12に干渉しない位置に設けられる。この端子装着部39aには、電極層34と接続される配線が形成されている。第3の基板30の上記一端辺に対向する端部の両隅には、テーパ部39,39が設けられている。
【0040】
ここで、第3の基板30は、樹脂を金型成型することにより形成された物を使用すればよい。これに代えて、金属、ガラス、セラミックス等の材料により形成された物を使用してもよい。あるいは、金属部品と樹脂とを一体化させるインサート成型のように、複数の材料により第3の基板30を形成してもよい。
【0041】
弾性部材50は、エラストマー、合成樹脂等の材料から形成される。
電極層34はスパッタリング、蒸着、めっき等の方法により形成された、酸化スズ、ITO(Indium Tin Oxide)等からなる薄膜である。
絶縁層35は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等により形成されたパリレン(パラキシリレン系樹脂)、無機材料等からなる撥水性を有する薄膜である。
【0042】
なお、第3の基板30には、複数の開口33aが互いに平行にすなわちアレイ状に形成されているが、これに限定されず、開口33aは1つであってもよい。また、開口33aの形状は、図示した長方形状のほか、円形、多角形、環状等のいずれでもよい。
【0043】
これら第1の基板10と、第3の基板30と、第2の基板20とは、光入射側から光出射側へと、この順に互いに積層される。より詳細には、第1の基板10は、溝部36に収納された弾性部材50を介して第3の基板30の第1の主面部31に当接載置されている。一方、第2の基板20は、第3の基板30の第2の主面部32に設けられた略環状の突出部38に当接収納されて互いに接合されている。これにより、第1の基板10の第1の主面部14と、第3の基板30に設けられた開口33aの側壁33と、第2の基板20の第1の主面部22とによって液室40が構成される。
【0044】
液室40には、第1の液体41及び第2の液体42が互いに分離して封止される。
【0045】
第1の液体41は、導電性あるいは有極性の透明な液体である。第1の液体41として、例えば塩化リチウム水溶液(3.36wt%、絶対屈折率1.34)を用いることができる。これに代えて、純水、電解液、アルコール類、常温溶融塩等を用いることも可能である。
【0046】
第2の液体42は、絶縁性の透明な非水系液体であり、第1の液体41より大きい絶対屈折率を有する。第2の液体42として、炭化水素、疎水性シリコーンオイル、フッ素系材料等を用いることが可能である。なお、以下の説明において、第1の液体41及び第2の液体42を総称して液体43と呼ぶ。
【0047】
第1の液体41と第2の液体42との界面には、第1の液体41と第2の液体42との間の界面張力と、各第1の液体41及び第2の液体42と絶縁層35との間の界面張力により、例えば曲面状の2液界面44(レンズ面)が形成される。この液体43に光が入射すると、この光は、第1の液体41より第2の液体42の絶対屈折率が大きいことにより生じるレンズ効果を受け、2液界面44にて屈折する。
【0048】
ここで、第1の基板10に形成された配線及び電極層34に外部電源により電圧を印加すると、第1の液体41及び電極層34に電荷が蓄積する。この電荷が引き合うことによって、第1の液体41と、電極層34の上層である絶縁層35の間の界面張力が変化し、2液界面44の形状が変化する(エレクトロウェッティング効果)。この液体レンズ素子2によれば、第1の液体41及び第2の液体42の絶対屈折率が異なるため、電圧印加時と非印加時とで異なる光学特性が発現する。
【0049】
より具体的には、電極層34に電圧を印加すると、絶縁層35の周辺に電荷が蓄積し、第1の液体41の、絶縁層35に対する親和性が高くなる。この結果、2液界面44は第2の基板20に対して凸となり、光を収斂させることが可能となる。
【0050】
[治具60の構成]
次に、上記のように構成された液体レンズ素子2を収納する治具60について説明する。
【0051】
図4は、治具60を示す斜視図である。
同図に示すように、治具60は、主板61と、側板62と、突出部63とを有する。治具60は、例えば金属、合成樹脂等からなる。治具60は、例えば、プレス成形法によって金属板を所定形状に打ち抜き、箱型に折り曲げることで形成される。
【0052】
主板61は、矩形環状の平板部材であり、X軸方向及びY軸方向において液体レンズ素子2と略等しい外周を有する。主板61の内側に設けられた開口は、液体レンズ素子2を通過する光が通過可能な光通過領域64を構成する。光通過領域64は、第3の基板30の複数の開口33aと略等しい形状を有する。
【0053】
主板61には、光通過領域64とY軸方向で隣り合って、部位65が設けられる。第1の基板10の端子装着部12に装着された端子11a及び第3の基板30の端子装着部39aに装着された端子11bは、第2の基板20上に配置される。部位65は、この第2の基板20に係る圧力を受けて、第2の基板20を支持する。
【0054】
主板61の光通過領域64の外周に位置する部位64a(第4の係合部)には、液体レンズ素子2の第2の基板20の領域23a(第2の周縁部、第2の係合部)が係合する。領域23aは、具体的には上記部位64aに当接する領域となる。
【0055】
側板62(62a,62b,62c)(連結部)は、部位65を除いた主板61の周縁部からZ軸方向に突出するようにして設けられた3つの平板状の部位(62a,62b,62c)を有する。
【0056】
側板62a,62bは互いに等しい長方形状を有し、主板61のX軸方向における周縁部に互いに対向するよう平行に設けられる。側板62のZ軸方向長さは、液体レンズ素子2のZ軸方向(積層方向)高さと略等しい。
【0057】
それぞれ主板61の面方向に対して直交するZ軸方向に突出するように設けられた側板62a,62bの内面は、レンズ素子2を治具60に収納する際のガイド面として機能する。
【0058】
側板62cは、主板61の長手方向にて部位65に対向する周縁部に設けられる。側板62cは、側板62a,62bに対して直交する方向で隣り合い、側板62a,62bを空間的に連結する。
【0059】
突出部63(63a,63b,63c)は、主板61の光通過領域64の外周に位置する部位64aと略等しい外周を有し、主板61の位置する平面に対して平行な平面に配置される。突出部63は、具体的には、側板62の、主板61と連続する端部に対向した端部から、主板61に面対向するように突出して設けられる。突出部63は、側板62a,62b,62cの突出先端の部位から、それぞれ直交する方向に突出するようにして設けられた3つの平板状の部位(63a,63b,63c)を有する。突出部63a,63bは、それぞれ側板62a,62bに連続して設けられる。この突出部63a,63bの突出の先端部は、空間をあけて、主板31に平行な面上で互いに対向する。突出部63cは、側板62cに連続して設けられ、突出部63a,63bに対してX軸とY軸とがなす平面上で隣り合う。これら突出部63a,63b,63cの突出先端を構成する部位により囲われる領域は、液体レンズ素子2を通過する光が通過可能な光通過領域66を構成する。この光通過領域66は、主板61の開口により構成される光通過領域64に対向する。
【0060】
突出部63a,63b,63c(第3の係合部)には、液体レンズ素子2の第1の基板10の領域15a(第1の周縁部、第1の係合部)が係合する。領域15aは、具体的には上記部位突出部63a,63b,63cに当接する領域となる。
【0061】
突出部63cにY軸方向に対向する面は、開放端67となっている。この開放端67は、液体レンズ素子2を治具60内に収納する際の挿入口として機能する。
【0062】
[液体レンズ素子2の治具60への収納]
液体レンズ装置1は、上述のように、この治具60に上記液体レンズ素子2が収納されて得られたものである。ここで、液体レンズ素子2は治具60に次のように収納される。
【0063】
液体レンズ素子2を、挿入口としての開放端67から治具60に挿入し、X軸方向にスライドする。このとき液体レンズ素子2は、各テーパ部13,21,29が設けられた部位を挿入先端として治具60に挿入される。この際、液体レンズ素子2の第2の基板20において、第2の主面部23の周縁部の領域23aが治具60の主板61に接触する。また、第1の基板10において、第2の主面部15の周縁部の領域15aが突出部63に接触する。
【0064】
このように開放端67から治具60に挿入された液体レンズ素子2は、ガイド面としての治具60の側板62a,62bの内面によりガイドされ、治具60内をX軸方向にさらにスライドされる。液体レンズ素子2の挿入先端が治具60のX軸方向端部に位置する側板62cに当接すると、スライドが終了する。
【0065】
ここで、治具60の主板61における光通過領域64の外周に位置する部位64a(第4の係合部)に対して、液体レンズ素子2の第2の基板20における第2の主面部23の周縁部の領域23a(第2の周縁部、第2の係合部)が係合する。なお、この主板61の部位64aには、第3の基板30の突出部38も係合している。
【0066】
また、治具60の突出部63(第3の係合部)に対して、液体レンズ素子2の第1の基板10における第2の主面部15の周縁部の領域15a(第1の周縁部、第1の係合部)が係合する。
【0067】
ここで、第1の基板10と第3の基板30との間に設けられた環状の弾性部材50は、これら基板10,30の間で圧縮され、その反発力により液室40を密閉する。これと同時に、弾性部材50の反発力により、治具60が液体レンズ素子2をZ軸方向に挟圧する。この結果、液体レンズ素子2が治具60に対して固定される。
【0068】
これにより、液体レンズ素子2が治具60から離脱することなく、治具60に確実に固定された液体レンズ装置1が得られる。この液体レンズ装置1では、液体レンズ素子2の第2の基板20が、治具60の光通過領域64から露出するので、液体レンズ装置1内に収容された液体43の2液界面44(レンズ面)に、第2の基板20を介して光が入射可能である。
【0069】
本実施形態の液体レンズ装置1によれば、単一の治具60のみで液体レンズ素子2を保持固定する。治具60は、主板61において液体レンズ素子2の第2の基板20に係合し、突出部63において液体レンズ素子2の第1の基板10に係合する。
これにより、治具60は、互いに積層された各基板10,30,20をZ軸方向で挟圧しつつ、互いに対向する主板61及び突出部63と、これらを連結する側板62により構成される4面方向から周面を包囲するように、液体レンズ素子2を保持する。
上記構成によれば、治具60が液体レンズ素子2をZ軸方向にて挟圧するので、複数の治具で液体レンズ素子2の表裏の基板を保持する構成に比較して、液体レンズ装置1の堅牢性が向上する。
さらに、治具60がガラス等からなる第1の基板10及び第2の基板20に直接係合しないので、第1の基板10及び第2の基板20の一部の領域に局部的に応力が集中し難い。これにより、第1の基板10及び第2の基板20が傷つき難く、液体レンズ装置1の安全性を向上させることができる。
【0070】
また、本実施形態の液体レンズ装置1によれば、第1の基板10と第2の基板20とは、弾性部材50の反発力を受け、治具60に挟圧されて固定される。
この弾性部材50の反発力により、治具60が単一の部材であるにも拘らず、液体レンズ素子2を治具60に確実に固定することができる。
また、弾性部材50は、液体43を液室40内に封止するための部材である。このため、液体43の封止と、液体レンズ素子2の保持固定とが単一の部材で実現されるので、組立作業が極めて容易となる。さらに、固定用の螺子等を準備する必要がないので、部品点数を削減し、コストを低下することができる。
【0071】
[液体レンズ装置1の製造方法]
次に、液体レンズ装置1の製造方法を説明する。
図5は、液体レンズ装置1の製造方法を示すフローチャートである。図6〜図13は、液体レンズ装置1の製造方法における各製造工程を示す概略図である。
【0072】
樹脂等の材料を金型成型等することにより、図6に示す第3の基板30を作成する(ステップS101)。ここで、第3の基板30は、互いに表裏対向する第1の主面部31と第2の主面部32とを貫通する複数の開口33aを構成する側壁33が設けられる。第1の主面部31には、複数の開口33aを囲うようにして、環状の溝部36が形成される。この環状の溝部36の外周には、内圧調整用の切欠き部37a(図3に示す。)を有する略環状の突出部37が設けられる。第2の主面部32には、凹部を構成する略環状の突出部38が設けられる。
【0073】
図7に示すように、側壁33の表面に、スパッタリング、蒸着、めっき等の方法により、電極層34を形成する(ステップS102)。これに代えて、電極板を接着することにより電極層34を形成してもよい。電極層34は、少なくとも後に封止される液体43が接触する領域に形成すればよい。また、必要であれば、反射性を向上させるために、第2の主面部32に、アルミ系、アルミシリコン系、銀系等の材料により反射膜を形成してもよい。この反射膜と電極層34とは一体的に形成してもよい。
【0074】
図8に示すように、第2の基板20を、第3の基板30の第2の主面部32に設けられた略環状の突出部38に収納し、接合する(ステップS103)。より具体的には、第2の基板20の第1の主面部22が第3の基板30の第2の主面部32に電極層34を介して当接し、側面部が第2の主面部32に設けられた突出部38に電極層34を介して当接する。この状態で、第2の基板20を第3の基板30に接合する。これにより、第3の基板30に設けられた開口33aの側壁33と、第2の基板20の第1の主面部22とによって、液体43を収容可能なキャビティ48が形成される。
【0075】
なお、接合は、例えば接着剤による接着、拡散接合、超音波溶着、熱圧着等の液体漏れの生じない方法で行えばよい。これに代えて、弾性部材(図示せず。)を介してかしめ、螺子止め等することにより、第3の基板30に第2の基板20を機械的に固定してもよい。あるいは、透明樹脂の金型成型により形成する等により、第3の基板30と第2の基板20とを一体的に形成してもよい。
【0076】
図9に示すように、互いに接合された第3の基板30及び第2の基板20に、CVD法等により、撥水性を有する絶縁層35を形成する(ステップS104)。絶縁層35は、第2の基板20の第2の主面部23を除いた全面に形成される。
【0077】
図10に示すように、互いに接合され絶縁層35が形成された第3の基板30及び第2の基板20を、第1の液体41が満たされた槽47に沈め、槽47内のクランプ45b上に載置する。これにより、キャビティ48内に第1の液体41が充填される(ステップS105)。例えば、このクランプ45bは、Z軸方向にバネ性を有する物を用いる。
【0078】
図11に示すように、第1の液体41で満たされたキャビティ48内に、第2の液体42を所望の量だけ注入する(ステップS106)。ここで、上述のように、絶縁層35は撥水性を有するから、絶縁層35に対して、第1の液体41の親和性に比較して、第2の液体42の親和性の方が高い。このため、第2の液体42は、絶縁層35の撥水性に応じてキャビティ48の壁面に濡れ広がる。
【0079】
続いて、第3の基板30に、弾性部材50及び第1の基板10を配置する。より詳細には、第3の基板30の第1の主面部31に設けられた環状の溝部36に弾性を有する弾性部材50を収納し、この弾性部材50上に、第1の基板10を載置する。
【0080】
図12(A)に示すように、第1の基板10上にクランプ45bに対向してクランプ45aを配置する。クランプ45aも、クランプ45bと同様に、Z軸方向にバネ性を有する。このクランプ45a,45bにより弾性部材50を圧縮しつつ第1の基板10を加圧固定する。ここで、弾性部材50を所望の度合いで圧縮することにより、液室40の封止性を調整する。
【0081】
このとき、第3の基板30の切欠き部37aに液抜きピン(図示せず)を挿入する。液抜きピンを用いて液室40内に密封される第1の液体41の量を調整し、液室40の内圧を調整する(ステップS107)。液室40が所望の内圧になったところで液抜きピンを抜き取ると、所望のレンズ特性を有する液体レンズ素子2が得られる。
【0082】
図12(B)に示すように、クランプ45a,45bにより第1の基板10を加圧した状態で液体レンズ素子2に治具60を取り付ける(ステップS108)。具体的には、クランプ45a,45bにより所望の厚さに固定されている液体レンズ素子2に対して、開放端67から治具60を挿入し、この治具60をX軸方向にスライドする。このとき、治具60の主板61及び突出部63a,63bの開放端67側の端部が、クランプ45b,45aにそれぞれ当接する。このとき、治具60の主板61及び突出部63a,63bが、クランプ45a,45bを、そのバネ性によりZ軸方向に押し広げる。その結果、治具60の主板61は、クランプ45bと第2の基板20との間に入り込む。同様に、治具60の突出部63a,63bも、クランプ45aと第1の基板10との間に入り込む。これにより、弾性部材50の反発力を受け、主板61が第2の基板20に圧接し、突出部63が第1の基板10に圧接する。これにより、液体レンズ素子2が治具60から離脱することなく、治具60に確実に固定された液体レンズ装置1が得られる。
【0083】
これにより、クランプ45a,45bにより加圧固定され調整された液体レンズ素子2の内圧及び厚さを維持したまま、液体レンズ素子2を治具60に収納することができ、所望のレンズ特性を有する液体レンズ装置1が得られる。
【0084】
最後に、得られた液体レンズ装置1からクランプ45a,45bを取り外し、液体レンズ装置1を槽47から取り出して洗浄する。
【0085】
なお、本実施形態ではZ軸方向にバネ性を有するクランプ45a,45bを用いたが、これに限定されない。例えば、球状のクランプを用いれば、液体レンズ素子2に対する接触領域が小さくなるため、クランプと治具60との干渉を抑制することができ、有益である。
【0086】
また、上記順序に代えて、クランプ45a,45bにより加圧された状態の液体レンズ素子2を槽47から取り出して洗浄した後に液体レンズ素子2を治具60に収納することで、液体レンズ装置1を得てもよい。
【0087】
本実施形態の液体レンズ装置1の製造方法によれば、ステップS107において、クランプ45により弾性部材50を所望の度合いで圧縮することにより、液室40の封止性を調整する。これとともに、液抜きピンを用いて液室40内に密封される第1の液体41の量を調整し、液室40の内圧を調整する。
この製造方法によれば、液体43の封止性を調整する際に液室40の内圧を調整することができるので、所望の内圧を保ちつつ、良好な封止性を実現することができる。
また、治具60により挟圧される前の液体レンズ素子2を槽47から取り出さずに、槽47内で内圧調整を行う。これにより、液体43の封止の際に、槽47内外での温度変化や外圧変化等の影響を受け難いので、これに伴う液室40の内圧の変化が発生し難い。これにより、液体43の封止性の劣化を低減させることができる。
【0088】
本実施形態の液体レンズ装置1の製造方法によれば、ステップS108において、治具60がクランプ45b,45aを、そのバネ性によりZ軸方向に押し広げる。その結果、治具60は、クランプ45a,45bと液体レンズ素子2との間に入り込む。これにより、弾性部材50の反発力を受け、主板61が第2の基板20に圧接し、突出部63が第1の基板10に圧接する。
この製造方法によれば、クランプ45a,45bにより加圧固定され調整された液体レンズ素子2の内圧及び厚さを維持したまま、液体レンズ素子2を治具60に収納することができる。
この製造方法によれば、さらに、弾性部材50の反発力により、液体レンズ素子2が治具60により固定され、同時に、液体43が液体レンズ素子2の液室40内に確実に封止される。
これにより、液体レンズ素子2の保持固定が、液体レンズ素子2の治具60への挿入により実現されるので、螺子等を用いる必要がなく、組立作業が容易となる。
【0089】
[変形例]
液体レンズ素子2を治具60に固定するための構成は上述の構成に限定されず、液体レンズ素子2及び治具60を次のように形成してもよい。
【0090】
例えば、治具60の側板62a,62bの所望の位置に切欠きを設け、この切欠きに対応した第3の基板30の部位に、この切欠きと係合可能な係止部材を設けてもよい。この係止部材は、液体レンズ素子2の挿入方向に直交する方向における断面積が挿入方向に向かって徐々に大きくなるような傾斜を持ったものとすればよい。液体レンズ素子2の第3の基板30の係止部材が治具60の切欠きに係合することにより、液体レンズ素子2が治具60から抜け落ち難くなる。なお、治具60の切欠きは、係合の際、液体レンズ素子2に局所的に圧力がかからないように、また、弾性部材50が反発力を発現可能となるように、第3の基板30の係止部材に対して所望の遊びを持たせればよい。
【0091】
あるいは、図13の治具60aに示すように、突出部63cが設けられた端部に長手方向に対向する他端部で、突出部63a,63bを連結する突出部63dを設けてもよい。
この構成によれば、突出部63が環状となるので治具60aの堅牢性が向上し、液体レンズ装置1が外乱の影響を受けたときに変形等しにくくなる。
【0092】
あるいは、図14の治具60bに示すように、長手方向端部に位置する突出部63cを設けず、長手状の突出部63a,63bのみにより突出部63を構成してもよい。
この構成によれば、突出部63cが設けられないので、液体レンズ素子2を治具60bにスライド挿入する際、突出部63cがクランプ45a及び液体レンズ素子2に干渉するおそれがなくなり、第1の基板10の組み立て性を向上させることができる。
【0093】
あるいは、図15の治具60cに示すように、突出部63を突出部63a,63bだけにより構成して、さらに、主板61を環状とせずにこの突出部63a,63bにそれぞれ対向する部位のみにより構成してもよい。この治具60cは、液体レンズ素子2を治具60cに対して3軸方向に位置決めしながらスライド挿入を行うことのできる最小限の部位により構成される。
従って、この治具60cによれば、液体レンズ素子2の保持性を低減させることなく軽量化を図ることができる。さらに、クランプ45a,45bにより液体レンズ素子2を加圧した状態で治具60cを取り付ける際に、クランプ45a,45bと治具60cとの干渉を抑制することができる。
【0094】
<第2の実施形態>
本実施形態では、光学装置として、照明装置を一例に挙げて説明する。
これ以降の説明では、上記実施形態に係る光学装置の部材や機能等について同様のものは同様の参照符号を付した上で説明を簡略化または省略し、異なる点を中心に説明する。
【0095】
[照明装置3の構成]
図16は、本発明の第2の実施形態に係る照明装置3を示す斜視図である。図17は、図16のB−B線から見た照明装置3を示す断面図である。図18は、照明装置3を示す分解斜視図である。
【0096】
これらの図に示すように、照明装置3は、液体レンズ素子2と、光源ユニット70と、光源ユニット70を保持するホルダ80と、治具160とを有する。照明装置3は、治具160により液体レンズ素子2とホルダ80とを保持固定し、光源ユニット70をホルダ80内に収納することによって得られる装置である。
【0097】
液体レンズ素子2は、上記実施形態に係る液体レンズ素子2と同様のレンズ素子である。
【0098】
光源ユニット70は、光源71と、集光部材72とが、筐体73により一体的に保持固定されたものである。
【0099】
光源71として、キセノン管等の線状光源が用いられるが、LED(Light Emitting Diode)等の点状光源(発光素子)を用いてもよい。光源71の両端部には、端子74,74が設けられ、この端子74,74にはフレキシブル基板75が接続される。なお、このフレキシブル基板75は、集光部材72にトリガー電圧を印加するための端子79及び液体レンズ素子2に装着される端子11a,11bにも接続される。
【0100】
集光部材72は、内面が鏡面加工された金属板等からなり、光源71が発する光を液体レンズ素子2の光軸方向(Z軸方向)に反射させて開放端に向かう方向へ集光することが可能に形成される。例えば、集光部材72は、内面側に光源71が配置され、この光源71を中心としてYZ平面上の一方向に向けて放物線状に延在して先端の領域に開放端を形成する互いに対向する2つの放物曲面部76,76を有する。なお、集光部材72に代えて、透明体内部を空気層との界面で全反射を繰り返して光を伝搬させるライトガイドのような光学部材を用いることも可能である。
【0101】
筐体73は、集光部材72が、光源71が発した光を集光し、この光を反射及び集光させることが可能となるように、光源71と集光部材72とを一体的に保持固定する。筐体73の互いに対向する一対の外壁には、係止部材77,77が設けられる。係止部材77,77は、集光部材72の開放端から光源71へと向かう方向(Y軸方向)における断面積が徐々に大きくなるような傾斜を持つように形成される。筐体73には、さらに、集光部材72にトリガー電圧を印加するための端子79を導出するための開口78が設けられる。光源71と集光部材72とが筐体73により一体的に保持固定されることで、光源ユニット70が得られる。
【0102】
ホルダ80(第1の本体)は、液体レンズ素子2とともに治具160に保持固定される。ホルダ80は、以下の構成を有し、内部に光源ユニット70を着脱可能に保持する。
【0103】
ホルダ80は、例えば略直方体状であり、この略直方体の互いに対向する2面が開放された、中空の第1の部位81を有する。ホルダ80の互いに対向する開放端のうち、一方の開放端には集光部材72の開放端が配置され、他方の開放端は光源ユニット70を装着する際に用いられる。第1の部位81の互いに対向する一対の長手方向に延在する側壁には、筐体73の係止部材77,77が係合可能な切欠き86,86がそれぞれ設けられている。係止部材77,77が切欠き86,86に係合することにより、光源ユニット70が不用意に離脱することなく、第1の部位81に確実に固定される。
【0104】
第1の部位81の、集光部材72の開放端が配置される端部には、第2の部位82が設けられる。第2の部位82は、ホルダ80を液体レンズ素子2に固定する際、液体レンズ素子2の第1の基板10に当接する当接面を、一面にて構成する部位である。第2の部位82は、第1の基板10の主面部14,15と等しい形状を有する。すなわち、第2の部位82には、第1の基板10のテーパ部13,13に対応したテーパ部84,84が設けられている。第2の部位82は、内側に開口が設けられた環状に形成され、この開口は、光源71が発光し、集光部材72が集光した光が通過可能な光通過領域83を構成する。第2の部位82の、液体レンズ素子2に対向する側の面には、光通過領域83を囲うようにして環状の溝部87が設けられる。この溝部87には、環状の弾性部材51が収納される。
【0105】
第1の部位81の、第2の部位82のテーパ部84,84に対向する端部には、第1の基板10の端子装着部12に対応する端子装着部89が設けられる。第2の部位82の、溝部87が設けられた面と表裏対向する面には、係止部材88が設けられる。係止部材88は、ホルダ88を治具160に固定するために用いられる。この係止部材88は、第2の部位82から突出し、端子装着部89へと向かう方向における断面積が徐々に大きくなるような傾斜を持つように形成される。
【0106】
治具160は、液体レンズ素子2と、ホルダ80とを保持固定する部材である。
治具160は、上記実施形態の治具60に比較して、側板162の幅をわずかに大きくし、突出部163の所定の位置に切欠き167を設けたものである。より詳細には、治具160の側板162の幅は、治具60の側板より、ホルダ80の第2の部位82の厚さ分だけ大きい。また、治具160の突出部163に設けられた切欠き167は、ホルダ80の第2の部位82の係止部材88に係合可能である。
【0107】
筐体73、ホルダ80及び治具160は、例えば金属、合成樹脂等により形成すればよい。
【0108】
照明装置3は、上述のように、治具160により液体レンズ素子2とホルダ80とを保持固定し、光源ユニット70をホルダ80内に保持することによって得られる装置である。ここで、液体レンズ素子2及びホルダ80は次のように収納される。
【0109】
液体レンズ素子2及びホルダ80を、挿入口としての開放端から治具160に挿入し、X軸方向にスライドする。このとき液体レンズ素子2は、各テーパ部13,21,29,84が設けられた部位を挿入先端として治具160に挿入される。この際、液体レンズ素子2の第2の基板20において、第2の主面部23の周縁部の領域23aが治具160の主板161に接触する。また、ホルダ80の第2の部位82における第1の基板10に当接する当接面に表裏対向する領域が突出部163に接触する。
【0110】
このように治具160に挿入された液体レンズ素子2及びホルダ80は、ガイド面としての治具160の側板162a,162bの内面によりガイドされ、治具160内をX軸方向にさらにスライドされる。液体レンズ素子2及びホルダ80の挿入先端が治具160のX軸方向端部に位置する側板162cに当接すると、スライドが終了する。
【0111】
ここで、治具160の主板161の光通過領域164の外周に位置する部位164a(第4の係合部)に対して、液体レンズ素子2の第2の基板20における第2の主面部23の周縁部の領域23a(第2の周縁部、第2の係合部)が係合する。なお、この主板161の部位164aには、第3の基板30の突出部38も係合している。
また、治具160の突出部163(第3の係合部)に対して、ホルダ80の第2の部位82における第1の基板10に当接する当接面に表裏対向する領域(第1の周縁部、第1の係合部)が係合する。
【0112】
ここで、第1の基板10と第3の基板30との間に設けられた環状の弾性部材50は、これら基板10,30の間で圧縮され、その反発力により液室40を密閉する。これと同時に、弾性部材50の反発力により、治具160が液体レンズ素子2及びホルダ80をZ軸方向に挟圧する。
【0113】
また、ホルダ80と第1の基板10との間に設けられた環状の弾性部材51は、これらホルダ80と第1の基板10との間で圧縮され、その反発力により、液体レンズ素子2の第2の基板20が主板161に圧接し、ホルダ80の第2の部位82が突出部163に圧接する。この結果、液体レンズ素子2及びホルダ80が治具160に対して固定される。
【0114】
これにより、液体レンズ素子2及びホルダ80が治具160から離脱することなく、治具160に確実に固定された照明装置3が得られる。
【0115】
この照明装置3では、液体レンズ素子2の第2の基板20が、治具160の光通過領域164から露出するので、液体レンズ装置1内に収容された液体43の2液界面44(レンズ面)に、第2の基板20を介して光が入射可能である。また、ホルダ80に保持された光源ユニット70の光源71が、光通過領域83を介して液体レンズ素子2に対向する。これにより、光源71が発光し、集光部材72が集光した光が、液体レンズ素子2へと入射可能となる。
【0116】
本実施形態の照明装置3によれば、単一の治具160のみで液体レンズ素子2及びホルダ80を保持固定する。治具160は、主板161において液体レンズ素子2に係合し、突出部163においてホルダ80に係合する。これにより、総合的な部材点数が削減される。
また、治具160は、互いに対向して配置された液体レンズ素子2及びホルダ80をZ軸方向にて挟圧しつつ、4面方向から周囲を包囲するようにして液体レンズ素子2及びホルダ80を保持する。
上記構成によれば、治具160が液体レンズ素子2及びホルダ80をZ軸方向にて挟圧するので、複数の治具で照明装置3を保持する構成に比較して、照明装置3の堅牢性が向上する。
さらに、治具160がガラス等からなる第1の基板10及び第2の基板20に直接係合しないので、第1の基板10及び第2の基板20の一部の領域に局部的に応力が集中し難い。これにより、第1の基板10及び第2の基板20が傷つき難く、照明装置3の安全性を向上させることができる。
【0117】
本実施形態の照明装置3によれば、液体レンズ素子2とホルダ80とは、弾性部材51の反発力を受け、治具160に挟圧されて固定される。
この弾性部材51の反発力により、治具160が単一の部材であるにも拘らず、液体レンズ素子2及びホルダ80を治具160に確実に固定することができる。
【0118】
[照明装置3の製造方法]
次に、照明装置3の製造方法を説明する。
上記実施形態で説明したステップS101〜ステップS107の工程を行い、液体レンズ素子2を得る。
【0119】
液体レンズ素子2とホルダ80とを、第1の基板10とホルダ80の第2の部位82の当接面とが互いに対向するように組み合わせ、これらを治具160に開放側からX軸方向にて挿入する。このとき液体レンズ素子2とホルダ80とは、各テーパ部13,21,29,84が設けられた部位が挿入方向先端となるように治具160に挿入される。ここで、液体レンズ素子2の第2の基板20の第2の主面部23は、治具160の主板161に接触し、ホルダ80の第2の部位82は、突出部163に接触する。
【0120】
このように治具160に挿入された液体レンズ素子2及びホルダ80は、治具160の側板162a,162bの内面(ガイド面)によりガイドされてさらにスライドされる。突出部163に設けられた切欠き167が、ホルダ80の係止部材88を乗り越え、係合し、スライドが終了する。この際、液体レンズ素子2及びホルダ80の各テーパ部13,21,29,84が設けられた部位が側板162cに当接する。これら各テーパ部13,21,29,84は、治具160の各側板162がそれぞれ連結する部位に位置する。従って、治具160の各側板162がそれぞれ連結する部位の内面部と、収納される液体レンズ素子2及びホルダ80の端部とが互いに干渉することなく、各外周面が治具160の内周面と当接する。
【0121】
液体レンズ素子2及びホルダ80を治具160に収納すると、弾性部材50がわずかに反発する。この反発力を受け、第1の基板10がホルダ80に圧接する。同様に、弾性部材51がわずかに反発する。この反発力を受け、ホルダ80が治具160の突出部63に圧接する。これらの反発力を受け、第2の基板20もまた、治具160の主板161に圧接する。これにより、液体レンズ素子2及びホルダ80が治具160に挟圧され、治具160から離脱することなく、確実に固定される。
【0122】
光源71と集光部材72とが筐体73により一体的に保持固定して得られる光源ユニット70を、ホルダ80に収納すると、照明装置3が得られる。
【0123】
本実施形態の照明装置3の製造方法によれば、液体レンズ素子2及びホルダ80を治具160に収納すると、弾性部材50,51が反発力を発現する。この弾性部材50,51の反発力を受け、液体レンズ素子2とホルダ80とが治具160に圧接する。
この製造方法によれば、弾性部材50,51の反発力により、液体レンズ素子2及びホルダ80が治具160により固定され、同時に、液体43が液体レンズ素子2の液室40内に確実に封止される。
これにより、液体レンズ素子2及びホルダ80の保持固定と、液体43の封止とが単一の工程で実現されるので、組立作業が簡略化される。さらに、固定に螺子等を用いないので、組立作業が極めて容易となる。
【0124】
[変形例]
液体レンズ素子2及びホルダ80を治具160に固定するための構成は上述の構成に限定されない。
【0125】
図19は、照明装置3の変形例としての照明装置3aを示す斜視図である。
同図に示すように、照明装置3aは、照明装置3のホルダ80及び治具160を変形させた物である。
【0126】
図20は、図19に示す照明装置3aの部分拡大斜視図である。
本図は、治具260の係合部263と、ホルダ180の係合部185との係合を示す説明図であり、図を分かりやすくするため、係合部263,185の係合が解除された状態を示している。
【0127】
これらの図に示すように、照明装置3aの治具260には、上記治具160に比較して、突出部163が設けられず、側板262の高さが基板のZ軸方向において小さく形成されている。側板262の端部に、X軸方向に所定の間隔を空けて、L字形を有する係合部263(第3の係合部)が設けられる。
【0128】
より詳細には、係合部263は、側板262の端部から連続して突出する部位263aと、この部位263aの突出先端から側板262に対して平行に延在する部位263bとを有する。
【0129】
照明装置3aのホルダ180は、第2の部位182の側面(第1の周縁部)に、上記係合部263に係合可能な係合部185(第1の係合部)が設けられている。係合部185は、係合部263に略点対称なL字形を有し、係合部263の配置間隔に対応した所定の間隔を空けて配置されている。
【0130】
より詳細には、係合部185は、側板262の端部と、部位263aと、部位263bとにより形成される凹状の領域Cに挿入されて係合する部位185aと、この部位185aの先端に連続し、部位263bの先端に当接係合する部位185bとを有する。
【0131】
ここで、係合部185は、部位185aの挿入方向に互いに平行な面領域185c,185c(第2の係合領域)で、治具260の側板262の端部及び部位263bに係合する。これにより、係合部185は、Z軸方向において、治具260に対して位置決めされる。
【0132】
また、係合部185は、部位185a,185bが係合部263に対向する面領域185d,185d(第1の係合領域)で、治具260の部位263a,263bに対して噛み合うように係合する。これにより、係合部185は、X軸方向において、治具260に対して位置決めされる。
【0133】
照明装置3aは、このようにホルダ180の係合部185が治具260の係合部263にX軸方向及びZ軸方向に係合することで、液体レンズ素子2及びホルダ180が治具260に挟圧されたものである。
【0134】
この照明装置3aは、図21に示すように製造される。
まず、治具260の所定の位置に、液体レンズ素子2を配置する。
【0135】
続いて、係合部185が、治具260の隣り合う係合部263同士の間の、係合部263が設けられていない領域に位置するように、ホルダ180を液体レンズ素子2の積層方向より治具260に落とし込む。
【0136】
続いて、ホルダ180をX軸方向(図中矢印方向)にスライドさせて、係合部185の部位185aを、側板262の端部と、部位263aと、部位263bとにより形成される凹形の領域Cに挿入して、係合部185を治具260の係合部263に積層方向及び長手方向にて係合させる。これにより、液体レンズ素子2及びホルダ180が、治具260に挟圧される。
【0137】
この構成を有する照明装置3aによれば、上記照明装置3に比較して、スライド距離が小さくなる。これにより、液体レンズ素子2の第1の基板10等がさらに傷つき難く、照明装置3の安全性及び堅牢性を向上させることができるとともに、組立作業がさらに容易となる。
【0138】
[電子機器]
図22は、照明装置3を備えた電子機器として、デジタルスチルカメラ90を示す斜視図である。
デジタルスチルカメラ90の筐体91内には、フラッシュ装置としての照明装置3が収納される。照明装置3は、光出射側を構成する第2の基板20がデジタルスチルカメラ90の正面側に位置するように設けられる。
【0139】
本発明に係る実施形態は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態が考えられる。
【0140】
例えば、第2の実施形態では筐体73とホルダ80とを別部材としたが、これに限定されず、例えば樹脂を金型成型等することにより、これら筐体73とホルダ80とを一体的に形成してもよい。
【0141】
電子機器としてデジタルスチルカメラを例に挙げた。しかし、これに限定されず、電子機器としては、携帯電話その他の電化製品等が挙げられる。
【符号の説明】
【0142】
1…液体レンズ装置
2…液体レンズ素子
3,3a…照明装置
10…第1の基板
20…第2の基板
30…第3の基板
34…電極層
35…絶縁層
40…液室
41…第1の液体
42…第2の液体
43…液体
44…液界面
50,51…弾性部材
60,160,260…治具
64,66,83…光通過領域
70…光源ユニット
80,180…ホルダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に平行な一対の第1の周縁部と、前記第1の周縁部に設けられた第1の係合部とを有し、光入射側を構成する光透過可能な第1の本体と、
前記第1の方向に平行な第2の周縁部と、前記第2の周縁部に設けられた第2の係合部とを有し、光出射側を構成する光透過可能な第2の本体と、
前記第1の本体と前記第2の本体との間に、前記第1の方向と直交する第2の方向に積層され、前記第1の本体と前記第2の本体との間で液室を形成する第3の本体と、
前記液室の内部に封止された屈折率の異なる複数の液体の界面により形成され、電気的に変形可能なレンズ面と、
前記第1の係合部に係合する第3の係合部と、前記第2の係合部に係合する第4の係合部と、前記第3の係合部と前記第4の係合部とを相互に連結し、前記第1の係合部及び第2の係合部を前記第3の係合部及び第4の係合部との係合位置へガイドするガイド面を有する連結部とを有し、前記第3の係合部及び前記第4の係合部で、互いに積層された前記第1の本体、前記第2の本体及び前記第3の本体を前記第2の方向に挟圧する治具と
を具備する光学装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学装置であって、
前記第1の本体は、前記液室の一壁面を構成する基板と、光源を収納可能なホルダとを有し、
前記第1の周縁部は、前記ホルダに設けられる
光学装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光学装置であって、
前記第1の係合部は、前記第3の係合部に対して、第1の方向に係合する第1の係合領域と、第2の方向に係合する第2の係合領域とを有し、
前記第1の係合部及び前記第3の係合部は、前記第1の方向及び前記第2の方向に位置決めされる
光学装置。
【請求項4】
請求項2に記載の光学装置であって、
前記ホルダは、前記基板に当接する当接面を有し、
前記第1の周縁部は、前記ホルダの前記当接面に表裏対向する面に含まれる
光学装置。
【請求項5】
請求項1に記載の光学装置であって、
前記第1の本体は、前記液室の一壁面を構成する基板であり、
前記第1の周縁部は、前記基板の前記液室を構成する面に表裏対向する面に含まれる
光学装置。
【請求項6】
光透過可能な第1の本体と、光透過可能な第2の本体と、第3の本体とを、前記第3の本体が前記第1の本体と前記第2の本体との間に配置されるように積層して、前記第1の本体と前記第2の本体との間で液室を形成し、
前記液室の内部に、屈折率の異なる複数の液体を封止して、界面に電気的に変形可能なレンズ面を形成し、
互いに積層された前記第1の本体、前記第2の本体及び前記第3の本体を、前記積層方向に直交する方向にて治具に挿入し、
前記治具が、互いに積層された前記第1の本体、前記第2の本体及び前記第3の本体を、前記積層方向に挟圧する
光学装置の製造方法。
【請求項7】
筐体と、
前記筐体に収納される光学装置とを具備し、
前記光学装置は、
第1の方向に平行な一対の第1の周縁部と、前記第1の周縁部に設けられた第1の係合部とを有し、光入射側を構成する光透過可能な第1の本体と、
前記第1の方向に平行な第2の周縁部と、前記第2の周縁部に設けられた第2の係合部とを有し、光出射側を構成する光透過可能な第2の本体と、
前記第1の本体と前記第2の本体との間に、前記第1の方向と直交する第2の方向に積層され、前記第1の本体と前記第2の本体との間で液室を形成する第3の本体と、
前記液室の内部に封止された屈折率の異なる複数の液体の界面により形成され、電気的に変形可能なレンズ面と、
前記第1の係合部に係合する第3の係合部と、前記第2の係合部に係合する第4の係合部と、前記第3の係合部と前記第4の係合部とを相互に連結し、前記第1の係合部及び第2の係合部を前記第3の係合部及び第4の係合部との係合位置へガイドするガイド面を有する連結部とを有し、前記第3の係合部及び前記第4の係合部で、互いに積層された前記第1の本体、前記第2の本体及び前記第3の本体を前記第2の方向に挟圧する治具とを有する
電子機器。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図2】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−256511(P2010−256511A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104880(P2009−104880)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】