説明

光学読取装置、光学読取装置の制御方法、及び、プログラム

【課題】光学読取装置が受光素子を線型に並べたリニアイメージセンサーを用いて読み取った画像を処理する場合に、意図しない画像の反転を防止できるようにする。
【解決手段】読取対象の記録媒体Sの搬送方向に直交する方向に受光素子を線状に配置したリニアイメージセンサー111A、112Aを有し、搬送される記録媒体Sをリニアイメージセンサー111A、112Aにより光学的に読み取って、リニアイメージセンサー111A、112Aの各受光素子の検出値を端から順に読み出して出力する光学読取部と、光学読取部が出力した検出値に基づいて読取画像データを生成し、生成した読取画像データに、リニアイメージセンサー111A、112Aが有する受光素子の読出し順と読取画像データの画素の並び順との関係を示す情報を付加して、他の装置へ送信するゲートアレイ45及びCPU40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体を搬送して媒体の表面を光学的に読み取る光学読取装置、この光学読取装置の制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート状の原稿を光学的に読み取るスキャナー装置等の光学読取装置において、受光素子を線型に並べたリニアイメージセンサーを用い、1ラインずつ読み取りを行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−79854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般にリニアイメージセンサーは、線型に並ぶ各受光素子の検出値を、一方の端から、或いは反対側の端から順に読み出す(出力する)ことができる。そして、光学読取装置ごとにいずれかに設定されていた。しかしながら、リニアイメージセンサーの出力値に基づいて画像を生成する処理や、生成された画像のデータを送信する処理では、どちらの方向から読み出されたのかを正確に特定しなければ、意図しない画像の反転が起きてしまうおそれがあった。このため、従来は、上述の光学読取装置に接続されたホストコンピューター等において、光学読取装置が備えるリニアイメージセンサーの読出方向に合わせた仕様のプログラムを用意し、リニアイメージセンサーの出力の仕様に従った処理しかできないようにしていた。
そこで、本発明の目的は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、光学読取装置が受光素子を線型に並べたリニアイメージセンサーを用いて読み取った画像を処理する場合に、意図しない画像の反転を防止できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、読取対象の媒体を搬送する搬送部と、前記媒体の搬送方向に直交する方向に受光素子を線状に配置したリニアイメージセンサーを有し、前記搬送部により搬送される前記媒体を前記リニアイメージセンサーにより光学的に検出し、前記リニアイメージセンサーの各受光素子の検出値をいずれか一方の端から順に読み出す光学読取部と、前記光学読取部が読み取った検出値に基づいて読取画像データを生成し、生成した読取画像データに、前記リニアイメージセンサーが有する受光素子の読出し順と読取画像データの画素の並び順との関係を示す情報を付加して、他の装置へ送信する画像処理部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、読取画像データに、リニアイメージセンサーが有する受光素子の並び順(読出し順)と読取画像データの画素の並び順との関係を示す情報を付加して他の装置に送信するので、この光学読取装置に接続された他の装置は、読取画像データに付加された情報に基づいて、読取画像データの各画素の並び順とリニアイメージセンサーの各受光素子の並び順が同方向か逆方向かを正確に特定できる。リニアイメージセンサーの線状に並んだ受光素子の一方の端から、或いは反対側の端からのいずれかから読み出しても対応できる。これにより、リニアイメージセンサーの読出し方向の仕様に合わせたプログラムを用いなくても、読取画像データを正確な向きで処理することができ、意図しない画像の反転等を防止できる。また、媒体の読取は、上面と下面のいずれか一方、または両面のいずれの場合でもよい。
【0006】
また、本発明は、上記の光学読取装置において、前記画像処理部は、前記光学読取部から出力された各受光素子の検出値をもとに各画素のデータを生成し、前記生成した各画素のデータを、前記リニアイメージセンサーの各受光素子の読出し順と同じ順序で、或いは、その逆の順序で出力する検出値処理部と、前記検出値処理部が出力した各画素のデータに基づいて前記読取画像データを生成する画像生成部と、を備えること、を特徴とする。
本発明によれば、光学読取部から出力された各受光素子の検出値をもとに各画素のデータを生成し、生成した各画素のデータを、リニアイメージセンサーの各受光素子の読出順と同じ順序で、或いは、その逆の順序で出力し、この出力された各画素のデータに基づいて読取画像データを生成するので、リニアイメージセンサーの各受光素子の読出順とは逆の順序で各画素を配置した読取画像データを生成できる。このため、リニアイメージセンサーの読出方向の仕様に制限されず、任意の方向で各画素のデータを並べて読取画像データを生成し、出力できる。
【0007】
また、本発明は、上記の光学読取装置において、前記光学読取部は、前記媒体の一方の面を読み取る第1読取部と、前記媒体の他方の面を読み取る第2読取部と、を前記搬送路の両側にそれぞれ配置して構成され、前記第1及び第2読取部の各々は前記リニアイメージセンサーを備え、前記画像処理部は、前記第1読取部の読取画像データには、前記第1読取部が有する前記リニアイメージセンサーの受光素子の読出し順と前記読取画像データの画素の並び順との関係を示す情報を付加し、前記第2読取部の読取画像データには、前記第2読取部が有する前記リニアイメージセンサーの受光素子の読出し順と前記読取画像データの画素の並び順との関係を示す情報を付加して前記他の装置へ送信すること、を特徴とする。
本発明によれば、読取対象の媒体の両面を第1及び第2読取部によって読み取る場合に、第1及び第2読取部の読取画像データの各々について、リニアイメージセンサーの受光素子の並び順(読出し順)と読取画像データの画素の並び順との関係を示す情報を付加して送信できるので、媒体の一方の面の読取画像データと他方の面の読取画像データにおいて、個別に各画素の並び順を設定できるので、例えば、セキュリティを考慮して一方の面のみ反転した画像を得ることが可能になるなど、読取画像データの処理や用途に適した様々な態様で上下両面の読取画像データを得ることができる。
【0008】
また、本発明は、上記の光学読取装置において、前記画像処理部が生成した読取画像データを記憶する記憶部を備え、前記画像処理部は、前記光学読取部の読取範囲内に設定された一または複数の領域を前記光学読取部によって読み取らせ、少なくともいずれか一つの前記領域の読み取りが終了すると、他の前記領域の読み取りが終了する前であっても、読み取りが終了した前記領域の読取画像を前記記憶部から読み出して前記他の装置へ送信すること、を特徴とする。
本発明によれば、読取範囲に設定された領域を光学的に読み取って読取画像データを記憶し、少なくともいずれか一つの領域の読み取りが終了すると、他に読み取りが終了していない領域があっても、読み取りが終了した領域の読取画像データを他の装置へ送信するので、全ての領域の読み取りが終了するまで送信を待つ必要がない。このため、読取画像データの送信に係る待ち時間を短縮して、高速化を図り、利便性の向上を図ることができる。また、読取画像データを記憶する記憶部の記憶容量が小さくても支障なく読み取りを行える。
【0009】
また、本発明は、上記の光学読取装置において、前記他の装置からの要求に応じて、前記画像読取部が前記リニアイメージセンサーの読出し方向を示す情報を、前記他の装置に送信する応答制御部を備えること、を特徴とする。
本発明によれば、光学読取装置に接続された他の装置がリニアイメージセンサーの検出値の読出方向に関する情報を容易に取得できるので、光学読取装置の読み取り画像データを処理する装置が、読出方向に適した正確な処理を行うことができ、意図しない画像の反転を防止できる。
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、読取対象の媒体を搬送する搬送部と、前記媒体の搬送方向に直交する方向に受光素子を線状に配置したリニアイメージセンサーを有し、前記搬送部により搬送される前記媒体を前記リニアイメージセンサーにより光学的に読み取って、前記リニアイメージセンサーの各受光素子の検出値をいずれか一方の端から順に読み出して出力する光学読取部と、を備えた光学読取装置を制御して、前記光学読取部が出力した検出値に基づいて読取画像データを生成し、生成した読取画像データに、前記リニアイメージセンサーが有する受光素子の並び順と読取画像データの画素の並び順との関係を示す情報を付加して、他の装置へ送信すること、を特徴とする。
本発明の制御方法を実行することにより、読取画像データに、リニアイメージセンサーが有する受光素子の並び順と読取画像データの画素の並び順との関係を示す情報を付加して他の装置に送信するので、この光学読取装置に接続された他の装置は、読取画像データに付加された情報に基づいて、読取画像データの各画素の並び順とリニアイメージセンサーの各受光素子の並び順が同方向か逆方向かを正確に特定できる。これにより、リニアイメージセンサーの仕様に合わせたプログラムを用いなくても、読取画像データを正確な向きで処理することができ、意図しない画像の反転等を防止できる。
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、読取対象の媒体を搬送する搬送部と、前記媒体の搬送方向に直交する方向に受光素子を線状に配置したリニアイメージセンサーを有し、前記搬送部により搬送される前記媒体を前記リニアイメージセンサーにより光学的に検出し、前記リニアイメージセンサーの各受光素子の検出値をいずれか一方の端から順に読み出す光学読取部と、を備えた光学読取装置を制御する制御部が実行可能なプログラムであって、前記制御部により、前記光学読取部が読み取った検出値に基づいて読取画像データを生成し、生成した読取画像データに、前記リニアイメージセンサーが有する受光素子の読出し順と読取画像データの画素の並び順との関係を示す情報を付加して、他の装置へ送信すること、を特徴とする。
本発明のプログラムを実行することにより、制御部が、読取画像データに、リニアイメージセンサーが有する受光素子の並び順(読出し順)と読取画像データの画素の並び順との関係を示す情報を付加して他の装置に送信するので、この光学読取装置に接続された他の装置は、読取画像データに付加された情報に基づいて、読取画像データの各画素の並び順とリニアイメージセンサーの各受光素子の読出し順が同方向か逆方向かを正確に特定できる。これにより、リニアイメージセンサーの仕様に合わせたプログラムを用いなくても、読取画像データを正確な向きで処理することができ、意図しない画像の反転等を防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光学読取装置に接続された他の装置がリニアイメージセンサーの検出値の読出方向を正確に特定し、読取画像データを正確な向きで処理することができ、意図しない画像の反転等を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態におけるドットインパクトプリンターの外観斜視図である。
【図2】プリンター本体を示す斜視図である。
【図3】プリンター本体の側断面図である。
【図4】ドットインパクトプリンターの機能的構成を示すブロック図である。
【図5】読取対象となる媒体の一例を示す図である。
【図6】リニアイメージセンサーの読出方向を説明する図である。
【図7】光学読取装置を用いた読取動作を説明する図である。
【図8】光学読取装置を用いた読取動作を説明する図である。
【図9】読取画像データのデータ構成を模式的に示す図である。
【図10】ドットインパクトプリンターの動作を示すフローチャートである。
【図11】ドットインパクトプリンターの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るドットインパクトプリンターの外観を示す正面斜視図である。図2は、プリンター本体11を示す外観斜視図である。図3は、図1のドットインパクトプリンター10を示す側断面図である。
図1に示すドットインパクトプリンター10は、記録ヘッド18(図3参照)が備える複数の記録ワイヤーを、リボンカートリッジ(図示略)から繰り出したインクリボン(図示略)を介して記録媒体Sに押し付け、この記録媒体Sの記録面上にドットを形成することにより、文字を含む画像を記録する。ドットインパクトプリンター10は、光学読取装置110(図3参照)を備え、光学読取装置としても機能し、記録媒体Sの表面に表示された文字や記号、画像等を光学的に読み取ることができる。
【0015】
ドットインパクトプリンター10で使用可能な記録媒体S(媒体)としては、所定長さに切断されたカット媒体と、複数枚が連接された連続紙とが挙げられる。カット媒体としては、例えば単票紙や単票複写紙などの他、通帳や葉書、封筒などがあり、連続紙には連続複写紙やミシン目などで連接されたファンフォールド紙を含む。本実施形態では、記録媒体Sとして、金融機関等が発行する小切手または手形(以下、総称して小切手という)や、金融機関等が発行する通帳が使用される。小切手は、磁気インクによって、その表面の一部の領域MAに使用者の口座番号や当該小切手のシリアル番号等のMICR(Magnetic Ink Character Recognition)情報が印刷された単票紙である。通帳は、複数枚の記録用紙が綴じられた冊子形態となっており、この冊子を開いた内側の面が記録面となっている。通帳の裏表紙に相当する面の後部には、磁気ストライプが設けられている。
なお、以下の説明では、矩形の記録媒体Sの4辺のうち、ドットインパクトプリンター10へ向かって差し込まれる側の辺を先端とし、この先端と対向する側の辺を後端とする。
【0016】
ドットインパクトプリンター10は、図1に示すように、外装体としての上部カバー12、上部ケース13及び下部ケース14を備え、上部ケース13及び下部ケース14の前面には、記録媒体Sを挿入及び排出する手差口15が開口している。一方、上部ケース13及び下部ケース14の背面には記録媒体Sを排出する排出口20が開口している。ドットインパクトプリンター10により処理された記録媒体Sを手差口15から排出するか、或いは排出口20から排出するかは、後述するホストコンピューター200からドットインパクトプリンター10に対して送信されるコマンドにより設定できる。手差口15が開口した側、すなわち図3中の左側をフロント(前)側とし、排出口20が開口した側、すなわち図3中の右側をリア(後)側とする。
ドットインパクトプリンター10は、図2に示すように、上記の外装体に覆われるプリンター本体11を有している。プリンター本体11は、下本体部11Aと、この下本体部11Aの後端部に軸11Cで支持される上本体部(図示略)とを備えている。上本体部は、上本体部の左側面に設置されている開閉レバー(図示略)の操作によって回転可能であり、上本体部を回転させるとプリンター本体11の内部が露出する。
【0017】
図2及び図3に示すように、プリンター本体11は、ベースフレーム16と、このベースフレーム16の両端に固定される一対の右サイドフレーム17A及び左サイドフレーム17Bとを備える。両サイドフレーム17A、17Bの外側には、上本体部の両サイドフレーム(図示略)があり、その間にキャリッジガイド軸31が架け渡されると共に、両サイドフレーム17A、17B間に平坦面形状の前方媒体案内24及び後方媒体案内25が固定して設けられる。これらの前方媒体案内24と後方媒体案内25との間に、平面形状のプラテン21が配置され、このプラテン21の上方には、プラテン21に対向するように記録ヘッド18が配置されている。
記録ヘッド18は、キャリッジガイド軸31に摺動自在に挿通されるキャリッジ19に搭載されている。キャリッジ19は、当該キャリッジ19を駆動するキャリッジ駆動モーター56(図4)の正転又は逆転により、タイミングベルト(図示略)を介して駆動され、キャリッジガイド軸31に案内されて往復移動される。キャリッジ19は、図1中符号Xで示す方向、すなわち、キャリッジガイド軸31の軸方向及びプラテン21の長手方向と一致する主走査方向に、上本体部両サイドフレームの間で往復走査される。なお、キャリッジ19の主走査方向Xに直交する方向、すなわち図1中符号Yで示す方向を副走査方向とする。
【0018】
キャリッジ19に搭載される記録ヘッド18は、キャリッジ19と共に走行される間に、その先端面においてプラテン21に対向するワイヤー突出部(図示略)から記録ワイヤーを突出させてインクリボンに打ち当て、プラテン21と記録ヘッド18との間に搬送される記録媒体Sにインクリボンのインクを付着させて、記録媒体Sに文字を含む画像を記録する。インクリボンは、上記の本体フレーム又はキャリッジ19に装着されるリボンカートリッジ(図示略)内に折り畳まれて収納され、キャリッジ19の走査に伴って繰り出される。また、記録ヘッド18の後方側には、図3に示すように、プラテン21の上方に位置するように媒体幅センサー55が配設される。媒体幅センサー55は、キャリッジ19に搭載されてキャリッジ19とともにプラテン21上を走査され、記録媒体Sの側端の位置や記録媒体Sの幅を求めるために使用される。
【0019】
プラテン21は、図2、図3に示すように、キャリッジ19の走行方向に延在して平面形状に形成され、付勢ばね180により記録ヘッド18に向けて付勢され、かつ弾性支持されている。付勢ばね180は圧縮コイルばねであり、この付勢ばね180の付勢力により、記録ヘッド18の記録動作時における記録ワイヤーの突出力が支持される。また、プラテン21は、記録媒体Sの搬送中にこの記録媒体Sの厚さが変化した場合、又はプリンター本体11に厚さの異なる記録媒体Sが搬入された場合に、付勢ばね180の付勢力に抗して、記録ヘッド18の先端により押圧されて記録ヘッド18から離れる方向に移動する。これにより、記録媒体の厚さにかかわらず、記録ヘッド18の先端と記録媒体Sの記録面との間のギャップが一定に確保される。
【0020】
プリンター本体11は、図3に示すように、記録媒体Sを搬送する媒体搬送機構(搬送部)100と、この媒体搬送機構100で搬送される記録媒体Sの先端が突き当てられて当該記録媒体Sを整列させる整列機構28と、小切手に設けられたMICR情報の読み取りや、通帳に設けられた磁気ストライプに対して磁気情報の読み取り又は書き込みを行う磁気ヘッド34を備えた磁気データ読書部29と、この磁気データ読書部29の磁気ヘッド34がMICR情報の読み取りを含む磁気情報処理の実行時に、記録媒体Sの浮き上がりを抑制すべく、記録媒体Sを上から押える媒体押え部30と、を有している。
【0021】
媒体搬送機構100は、図2、図3に示すように、プラテン21、第1駆動ローラー22A、第1従動ローラー22B、第2駆動ローラー23A、第2従動ローラー23B、第3駆動ローラー124A、第3従動ローラー124B、前方媒体案内24、後方媒体案内25、媒体搬送モーター26及び駆動輪列部27を備えて構成されている。媒体搬送機構100は、前方媒体案内24及び後方媒体案内25上に、各ローラーを介して記録媒体Sを搬送する搬送路Pを構成し、前方媒体案内24及び後方媒体案内25の上面が搬送路Pの搬送面PAとなっている。
本構成では、第1駆動ローラー22A、第1従動ローラー22Bは、プラテン21及び記録ヘッド18に対してプリンター本体11のフロント側に配置され、第2駆動ローラー23A、第2従動ローラー23B及び第3駆動ローラー124A、第3従動ローラー124Bは、プラテン21及び記録ヘッド18に対してプリンター本体11のリア側に順次配置されている。
【0022】
第1駆動ローラー22Aと第1従動ローラー22Bとは、上下方向に配置されて対をなし、第2駆動ローラー23Aと第2従動ローラー23Bとは、上下方向に配置されて対をなし、第3駆動ローラー124Aと第3従動ローラー124Bとは、上下方向に配置されて対をなす。
第1駆動ローラー22A、第2駆動ローラー23A及び第3駆動ローラー124Aは、媒体搬送モーター26及び駆動輪列部27によって回転駆動される駆動ローラーであり、第1従動ローラー22B、第2従動ローラー23B及び第3従動ローラー124Bは、それぞれ第1駆動ローラー22A、第2駆動ローラー23A、及び、第3駆動ローラー124A側に所定の押圧力でばね42A、42B、42Cによりばね付勢されている従動ローラーである。これによって、第1駆動ローラー22Aと第1従動ローラー22Bとが互いに反対方向に回転駆動され、第2駆動ローラー23Aと第2従動ローラー23Bとが互いに反対方向に回転駆動され、第3駆動ローラー124Aと第3従動ローラー124Bとが互いに反対方向に回転駆動される。
【0023】
駆動輪列部27は、図2に示すように、右サイドフレーム17Aの外側に配置される。この駆動輪列部27は、正転又は逆転可能な媒体搬送モーター26の駆動軸に回転一体に固定されたモーターピニオン51を備える。このモーターピニオン51からの駆動力が、減速ギア52を介して第2駆動ローラー23Aの第2ローラー軸33に取り付けられた第2駆動ギア53Bへ伝達され、更に、この第2駆動ギア53Bから中間ギア54を介して第1駆動ローラー22Aの第1ローラー軸32に取り付けられた第1駆動ギア53Aに伝達される。また、第2駆動ローラー23Aの第2ローラー軸33の回転力が、例えば、駆動ベルト(図示略)によって第3駆動ローラー124Aの第3ローラー軸134に伝達される。これにより、図3に示す第1駆動ローラー22A、第2駆動ローラー23A、及び、第3駆動ローラー124Aが同一方向に回転して、記録媒体Sをプリンター本体11内に搬送可能とする。つまり、図3に示す第1駆動ローラー22A、第2駆動ローラー23A、及び、第3駆動ローラー124Aは、媒体搬送モーター26が正転している場合、副走査方向に沿って、図中符号Aで示すようにプリンター本体11内に記録媒体Sを搬送し、媒体搬送モーター26が逆転している場合、図中符号Bで示すように、プリンター本体11内から排出する方向に記録媒体Sを搬送する。
【0024】
整列機構28は、記録ヘッド18による記録媒体Sへの記録や、光学読取装置110による記録媒体Sの表面の読み取りを行う前に、この記録媒体Sを整列するものである。整列機構28は、第1駆動ローラー22A及び第1従動ローラー22Bと記録ヘッド18及びプラテン21との間に、主走査方向に並べて設けられ、搬送路P内に突出する複数の整列板38と、整列板38を駆動する整列モーター58(図4)とを備え、これら整列板38に記録媒体Sの先端部を突き当てることで記録媒体Sの向き整列させることができる。
【0025】
プリンター本体11は、図2に示すように、搬送路Pにおける整列板38の上流側近傍に、これら整列板38に突き当てられた記録媒体Sの有無を検知する複数の整列センサー39を備える。整列センサー39は、それぞれ搬送路Pを挟んで対向する発光部(LED等)と受光部(フォトトランジスター等)とを備える光透過型のセンサーであり、主走査方向に並べて配設されている。複数の整列センサー39のうち記録媒体Sの先端を検出したセンサーの数及び配置により、整列機構28による整列後の記録媒体Sの搬送方向に対する傾きが、許容範囲内あるか否かを判定できる。
また、ドットインパクトプリンター10は、媒体搬送モーター26の駆動制御、キャリッジ19の走行制御、記録ヘッド18の記録ワイヤーによる記録動作の制御、光学読取装置110の読取動作の制御等、ドットインパクトプリンター10の全体を制御する制御部として、例えばプリンター本体11の後側の下方に、制御基板部(図示略)を備えている。
【0026】
プリンター本体11において、第1駆動ローラー22Aのフロント側には、搬送路Pへの記録媒体Sの挿入を検知する複数の媒体端センサー47が並設されている。これら媒体端センサー47は、搬送路Pに向けて光を発する発光部と、その反射光を検出する受光部とを備えた光反射型センサーであり、手差口15から挿入された記録媒体Sを検出する。なお、媒体端センサー47は搬送路Pを挟んで対向するように発光部と受光部とを配した光透過型センサーであっても良い。本構成では、すべての媒体端センサー47の受光部が、受光した状態から、いずれか1つの媒体端センサー47で受光が遮られた場合には、記録媒体Sが搬送路P内に挿入されたと判断される。
【0027】
また、プリンター本体11は、図3に示すように、記録媒体Sの表面に表示された文字、記号または画像等を読み取る光学読取装置110(光学読取部)を備える。この光学読取装置110は、記録媒体Sの上面側に印刷等で表示されている情報を読み取る第1スキャナー(第1読取部)111と、この第1スキャナー111に対向配置され、当該記録媒体Sの下面側に印刷等で表示されている情報を読み取る第2スキャナー(第2読取部)112とを備える。通常、記録媒体Sは、MICR情報が印刷されている面が下面になるよう、手差口15から挿入される。
第1スキャナー111及び第2スキャナー112は、第2駆動ローラー23Aと第3駆動ローラー124Aとの間に配置され、搬送路Pを搬送中の記録媒体Sの情報を連続的に読み取る光学イメージセンサーである。
【0028】
第1スキャナー111及び第2スキャナー112は、例えば、CIS(Contact Image Sensor)型の画像読取センサーであり、記録媒体Sに密着する平坦なカバーガラス140,150と、これらカバーガラス140,150を保持する本体ケース141,151とをそれぞれ備える。これら本体ケース141,151の内側には、LED等の光源から出力される光を記録媒体Sの読み取り領域に対して照射する照射部(図示略)と、後述するように主走査方向(X方向)に延設されたリニアイメージセンサー111A、112A(図6)と、リニアイメージセンサー111A、112Aの検出値を上記制御基板部に出力する出力部(図示略)とがそれぞれ収容されている。本実施形態では、第1スキャナー111及び第2スキャナー112はCISを備えたものに限らず、CCD(Charge Coupled Device)を備えたものであってもよい。また、第2スキャナー112は、図2に示すように、プラテン21と略平行にドットインパクトプリンター10の幅方向に延在して長手形状に構成される本体ケース151及びカバーガラス150を備え、この本体ケース151は、カバーガラス150の上面(ガラス面)が後方媒体案内25に形成された開口を通じて搬送路Pに露出するように配置されている。第1スキャナー111は、図3に示すように、カバーガラス140の下面(ガラス面)が、上記カバーガラス150の上面に対向するように第2スキャナー112の上方に設けられ、幅方向においても第2スキャナー112と略同一の長さの長手形状に形成されている。
【0029】
第1スキャナー111の上部には付勢部材113が設けられ、第1スキャナー111は、付勢部材113によって後方媒体案内25の記録媒体Sに対して近接するように付勢されている。また、付勢部材113は、第1スキャナー111を幅方向に渡って略均一な力で第2スキャナー112側に押し付けている。ここで、付勢部材113としては、コイルばねや板ばね、或いは、エラストマー製のクッション部材等を使用することができる。カバーガラス140、150のガラス面間には、所定の厚さの記録媒体が入り込み可能な間隔が設けられており、記録媒体Sを読み取る際には、搬送された記録媒体Sによって第1スキャナー111が上方に押し退けられ、付勢部材113が縮むことによりカバーガラス140、150間を記録媒体Sが通過可能となる。すなわち、光学読取装置110では、付勢部材113によって付勢された第1スキャナー111によって記録媒体Sを第2スキャナー112側に押し付けることで、記録媒体Sとカバーガラス140、150のガラス面とを確実に密着させて、読み取り品質を向上させている。
【0030】
第1スキャナー111及び第2スキャナー112は、後述するように、リニアイメージセンサー111A、112A(図6)を、それぞれ備えている。リニアイメージセンサー111A、112Aは、ドットインパクトプリンター10の主走査方向に受光素子を線状に並べて構成され、第1スキャナー111及び第2スキャナー112は、リニアイメージセンサー111A、112Aを用いて、主走査方向に延びるライン状に読み取りを行う。
リニアイメージセンサー111A、112Aは、主走査方向における記録ヘッド18の印字可能範囲の幅よりも長く、ドットインパクトプリンター10が印刷可能な全ての記録媒体よりも広い幅であるため、光学読取装置110は、ドットインパクトプリンター10で使用する全ての記録媒体Sの全面を読み取ることができる。
第1スキャナー111と第2スキャナー112とは、図3に示すように搬送路Pを挟んで対向して配設されているが、第1スキャナー111が備えるリニアイメージセンサー111A(図6)と、第2スキャナー112が備えるリニアイメージセンサー112A(図6)とは、記録媒体Sの搬送方向において5mm程度オフセットされている。この構成により、互いの光源からの光が他方のリニアイメージセンサーに与える影響を解消でき、より高い読取品質が得られる。
【0031】
第1スキャナー111及び第2スキャナー112は、それぞれ、R、G、Bの光源を備え、モノクロ(2値、16階調、256階調)及びフルカラーの読み取りが可能である。また、第1スキャナー111及び第2スキャナー112の読取解像度は、例えば、200dpi(ドット/インチ)、300dpi、600dpiの3段階に設定可能である。記録媒体Sの搬送方向(副走査方向)における読取ライン数は、主走査方向における読取解像度に合わせて設定され、読み取り時の記録媒体Sの搬送速度は読取解像度と、リニアイメージセンサー111A、112Aの検出値の処理速度等の仕様に合わせて調整される。
本実施形態では、リニアイメージセンサー111A、112Aは、画素密度が600dot/inchでフルカラーの読み取りが可能である。
【0032】
図4は、ドットインパクトプリンター10の制御系の構成を示すブロック図である。
この図4に示す各部は、制御基板(図示略)に実装されたハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。
ドットインパクトプリンター10は、制御プログラムに基づいてドットインパクトプリンター10の全体を制御する制御部としてのCPU40、CPU40によりEEPROM42から読み出された制御プログラムやデータ等を一時的に記憶するRAM41、CPU40により実行される制御プラグラムや処理されるデータ等を記憶したEEPROM42、ドットインパクトプリンター10を制御するホストコンピューター200との間で情報を送受信する際のデータ形式を変換するインターフェイス(I/F)43、各種センサー類に接続されたゲートアレイ(G/A)45、各種モーターを駆動するモータードライバー46、及び、ヘッドを駆動するヘッドドライバー48を備え、これらの各部はバス49を介して接続されている。
RAM41は、記憶部として機能し、光学読取装置110が読み取った読取画像データを一時的に記憶する画像バッファー(図示略)を形成する。
【0033】
ゲートアレイ45には、整列センサー39、媒体端センサー47、媒体幅センサー55、第1スキャナー111、及び、第2スキャナー112が接続されている。ゲートアレイ45は、整列センサー39、媒体端センサー47及び媒体幅センサー55から入力されるアナログ電圧を量子化してデジタルデータとし、CPU40に出力する。第1スキャナー111及び第2スキャナー112は、記録媒体Sの表面をリニアイメージセンサー111A、112A(図6)により光学的に読み取り、リニアイメージセンサー111A、112Aの検出値(電圧)を受光素子110A毎に読み出してゲートアレイ45に供給する。ゲートアレイ45は、検出値処理部として機能し、第1スキャナー111及び第2スキャナー112から供給されたアナログ電圧を量子化して、画素毎のデジタルデータを並べたデータとしてCPU40に出力する。
モータードライバー46は、媒体搬送モーター26、キャリッジ駆動モーター56、磁気ヘッド駆動モーター57、及び整列モーター58に接続され、これら各モーターに駆動電流や駆動パルスを供給して、これらのモーターを動作させる。なお、モータードライバー46には、整列板38(図3)を動作させる整列モーター58(図4)等が接続されていてもよい。
媒体端センサー47は、記録ヘッド18及び磁気ヘッド34に接続され、記録ヘッド18に対して駆動電流を供給することによって記録ワイヤーを突出させる一方、磁気ヘッド34に対して読取/書込用の駆動電流を出力するとともに、磁気データの読み取りを行う場合には、磁気ヘッド34の検出電圧(アナログ電圧)を検出し、デジタルデータとしてCPU40に出力する。
【0034】
CPU40は、EEPROM42に格納された制御プログラムに基づいて、ゲートアレイ45、モータードライバー46及びヘッドドライバー48を介して、各種センサーの検知状態を取得するとともに各モーターを駆動して記録媒体Sを搬送し、各ヘッドを駆動することにより、記録媒体Sへの記録を実行する。
また、CPU40は、媒体搬送機構100により記録媒体Sを搬送し、ゲートアレイ45によって第1スキャナー111及び第2スキャナー112によって記録媒体Sの表面を読み取る。この読取の実行中、CPU40は、画像生成部として機能し、ゲートアレイ45から入力されるデータをもとに、必要に応じて補完演算等を行い、予め設定された画素数の1ライン分の読取画像データを生成し、生成した1ライン分の読取画像データを結合して読取画像データを生成するとともに、この読取画像データを、順次RAM41内に設けられた画像バッファー(図示略)に一時的に記憶させる。そして、CPU40は、この画像バッファー(図示略)に記憶された画像データを読み出して、インターフェイス43を介してホストコンピューター200へ送信する。
【0035】
図5は、ドットインパクトプリンター10により処理される記録媒体Sの一具体例として、小切手を示す図である。図5(A)は表の面を示し、図5(B)は裏の面を示す。
小切手形状の記録媒体Sは横長の長方形であり、一方の長辺を先端としてドットインパクトプリンター10に挿入され、図中矢印で示すように短辺方向に搬送される。ここで、記録媒体Sの長辺方向の長さ(幅)をLx、短辺方向の長さ(高さ)をLyとする。
図5(A)に示すように、記録媒体Sの表面には、小切手の通し番号が印刷されており、振出日、金額、宛先、振出人の住所氏名、署名等が記入または印字される欄が設けられ、さらに、左下の領域MAにはMICR文字が印刷または印字されている。また、図5(B)に示すように、記録媒体Sの裏面には、発行元金融機関名と口座番号等が記入または印字される欄が設けられている。また、記録媒体Sの裏面には、小切手の通し番号が印刷されている場合もある。
【0036】
この図5に示す記録媒体Sは、図5(A)に示す表の面がドットインパクトプリンター10の内部で下を向き、図5(B)に示す裏の面が上を向くように手差口15から挿入されるので、図5(A)の表面が下面に相当し、第2スキャナー112によって読み取られ、図5(B)の裏面は上面となって第1スキャナー111により読み取られる。また、磁気ヘッド34は、図5(A)の領域MAのMICR文字を読み取る。
第1スキャナー111の読取範囲Rは、記録媒体Sのサイズに対応して、図5(B)中に破線で示すように、記録媒体Sの幅Lx及び高さLyより一回り大きく設定されている。読取範囲Rの幅及び高さは、記録媒体Sの幅Lx及び高さLyに読取マージンを加えたサイズとなっており、読取マージンの大きさは、例えば数ミリメートル程度である。このため、第1スキャナー111は、記録媒体Sの裏の面全体を光学的に読み取ることが可能である。
同様に、第2スキャナー112の読取範囲Rは、記録媒体Sのサイズに対応して、図5(A)中に破線で示すように記録媒体Sの幅Lx及び高さLyより一回り大きく設定されている。本実施形態では、第2スキャナー112の読取範囲Rの幅及び高さは、第1スキャナー111の読取範囲Rと同寸であり、記録媒体Sの幅Lx及び高さLyに読取マージンを加えたサイズとなっている。このため、第2スキャナー112は、記録媒体Sの表の面全体を光学的に読み取ることが可能である。
ドットインパクトプリンター10は、記録媒体Sを、その短辺方向に沿って正方向または逆方向に搬送しながら光学読取装置110によって読み取る。読み取り時の搬送方向は、読取対象の部分を最も短い搬送距離で読み取りを完了できるように、自動的に決定される。
【0037】
ドットインパクトプリンター10には、ホストコンピューター200からインターフェイス43を介してコマンドが送信され、このコマンドによって読取対象の記録媒体Sのサイズ(Lx、Ly)が指定される。CPU40は、ホストコンピューター200から受信したコマンドに基づいて記録媒体Sのサイズを特定し、読取範囲Rを設定する。ここで、ホストコンピューター200から送信されるコマンドには、記録媒体Sにおける領域MAの位置を示す情報も含まれる。領域MAの位置は、例えば、記録媒体Sの短辺からの距離Dxと、長辺からの距離Dyとによって指定される。このコマンドに基づいて、CPU40は、モータードライバー46及びヘッドドライバー48を制御し、磁気ヘッド駆動モーター57を駆動するとともに磁気ヘッド34による読み取りを実行させる。
【0038】
ホストコンピューター200からドットインパクトプリンター10に送信されるコマンドは、設定コマンド、スキャン(読み取り)開始コマンド、排紙コマンドがある。設定コマンドは、光学読取装置110における読取解像度、読取面(上面、下面)毎の読取の要否、スキャン方向、カラー種別(カラースキャンかモノクロスキャンか)、モノクロスキャンを行う場合の階調、モノクロスキャンを行う場合のLED発光色、読取範囲Rの一部のみを読み取る場合の読取対象のエリア(エリアの開始位置および終了位置)、等を指定するコマンドである。ここで、エリアの開始位置および終了位置の座標は、例えば読取範囲Rの先端の左端を原点とした座標で表現される。設定コマンドを受信したCPU40は、この設定コマンドにより指定された値を設定値として取得する。
【0039】
スキャン開始コマンドは、ドットインパクトプリンター10に対して読取動作の開始を指示するコマンドである。このスキャン開始コマンドは、実行する読取動作として、読取範囲Rの全体を読み取る全体読取、或いは、設定コマンドにより指定された読取対象のエリアを読み取る指定エリア読取(一部読取)を指定する情報を含む。スキャン開始コマンドを受信したCPU40は、ゲートアレイ45及びモータードライバー46を制御して、光学読取装置110による読み取りを開始する。
また、排紙コマンドは、読み取りが終了した後で、記録媒体Sを手差口15または排出口20から排出するよう指示するためのコマンドであり、排紙を指示する情報と、排紙方向(手差口15か排出口20か)を指定する情報を含む。排紙コマンドを受信したCPU40は、この排紙コマンドにより指定された側から記録媒体Sを排出する。
【0040】
図6は、第1スキャナー111及び第2スキャナー112が備えるリニアイメージセンサー111A、112Aの検出値の読出方向を説明する図である。なお、第1スキャナー111が備えるリニアイメージセンサー111Aと、第2スキャナー112が備えるリニアイメージセンサー112Aとは同一のものであるため、図6にはリニアイメージセンサー111Aの構成を示す。
図6に示すように、リニアイメージセンサー111Aは、記録媒体Sの搬送方向に直交する向きに延設され、直線状に列をなして並ぶ多数の受光素子110Aを備えている。リニアイメージセンサー111Aは、具体的にはCMOSイメージセンサーであり、受光素子110Aは、CMOSの個々のセルである。図6の例では、256個の受光素子が並べて配置され、主走査方向における0桁側の端を位置「0」とし、反対側の端を位置「255」とする。
【0041】
第1スキャナー111は、リニアイメージセンサー111Aの多数の受光素子110Aの検出値(電荷)を、一方の端の受光素子110Aから順に、順次送り出すように出力する。受光素子110Aの検出値の出力順序は、リニアイメージセンサー111Aの両端のどちらを先にしても行うことができ、例えば図6に示すように、符号Aで示す順方向に記録媒体Sを搬送する場合の左側(0桁側)を先頭にして、位置0から位置255まで検出値をゲートアレイ45に出力してもよい。この出力順は、第1スキャナー111とゲートアレイ45との結線状態等や第1スキャナー111の仕様により決定される。
【0042】
リニアイメージセンサー111Aが出力した検出値(電荷)は、ゲートアレイ45に入力される。ゲートアレイ45は、具体的にはFPGA(Field Programmable Gate Array)として構成され、リニアイメージセンサー111Aから入力された画素毎の電荷を量子化して、各画素のデータを生成し、内蔵するデータ保持部45Aに格納する。
ゲートアレイ45は、第1スキャナー111から入力された各受光素子の検出値から各画素のデータを生成し、生成した各画素のデータを生成順にデータ保持部45Aに格納する。そして、ゲートアレイ45は、データ保持部45Aに格納したデータを、その格納順または逆の順序で出力する。ゲートアレイ45がデータ保持部45Aのデータを出力する順序は、CPU40の制御により正逆方向を切り替えて設定可能である。つまり、ゲートアレイ45は、CPU40の制御に従って、リニアイメージセンサー111Aにおける各受光素子の並び順と同じ方向で各画素のデータを配置したデータと、その逆順で各画素のデータを配置したデータとを、切り替えて出力できる。
【0043】
続いて、記録媒体Sを正方向に搬送する場合と、逆方向に搬送する場合に分けて、ドットインパクトプリンター10による読取動作について説明する。
図7は、ドットインパクトプリンター10による読取動作のうち、特に、正方向の読取動作を示す図である。図7(A)はスキャン方向を示し、図7(B)は全体読取の動作を模式的に示す図であり、図7(C)は指定エリア読取の動作を模式的に示す図である。
【0044】
ドットインパクトプリンター10が順方向(図3中の符号A)に読み取りを行う場合、記録媒体Sがドットインパクトプリンター10のフロント側(図3の左)からリア側(図3の右)に向かって搬送される間に、光学読取装置110を通過して、第1スキャナー111及び第2スキャナー112により読み取りが行われる。
この場合、図7(A)に示すように読取範囲Rの先端(図中上端)から後端(図中下端)にかけて読み取りが行われる。また、第1スキャナー111及び第2スキャナー112が読み取った1ラインの読取画像は、読取範囲Rの左端(矢印の元)から右端(矢印の先)の順に1ライン毎に、ゲートアレイ45を介して出力される。従って、読取範囲Rの先端の左端が読取開始位置、後端の右端が終了位置となる。
【0045】
CPU40は、ホストコンピューター200から送信されるコマンドに従って、全体読み取りを行う場合、図7(B)に示すように、読取範囲Rをスキャン方向(副走査方向)に所定長さ毎に分割する。ここで、分割された各々の部分をブロックと呼ぶ。第1スキャナー111の読取範囲Rと第2スキャナー112の読取範囲Rは、それぞれ所定長さ毎に複数のブロックに分割され、各ブロックには、スキャン方向の先頭から順に、上下面に交互に番号が付される。具体的には、上面の読取範囲Rの先頭がブロック1、下面の読取範囲Rの先頭がブロック2、以下、スキャン方向に沿ってブロック3、4、…、8と番号が付される。後端のブロックの長さは、読取範囲Rの長さを所定長さで割った余りの長さとなる。
【0046】
各々のブロックは、第1スキャナー111及び第2スキャナー112の読取画像をホストコンピューター200に送信する処理の単位となる。つまり、CPU40は、RAM41の画像バッファー(図示略)に、一つのブロック分の読取画像データが記憶された場合に、この一ブロック分の読取画像データをホストコンピューター200に送信する。上記の所定長さ、すなわち搬送方向(スキャン方向)のブロックの長さは、RAM41に設けられる画像バッファー(図示略)の容量に応じて決定される。例えば、画像バッファーが、最大解像度(600dpi)、フルカラーの読取画像データを300ライン分記憶する容量を有している場合、ブロックの長さは300ライン以下の適切な長さに設定される。
【0047】
全体読取の実行時、CPU40は、モータードライバー46を制御して媒体搬送モーター26を回転させ、記録媒体Sを所定速度で搬送しながら、ゲートアレイ45を制御して第1スキャナー111及び第2スキャナー112の光源を発光させるとともにリニアイメージセンサー111A、112Aの検出値に基づいて読取画像データを生成し、読取画像データを1ラインずつRAM41の画像バッファーに記憶させる。
【0048】
CPU40は、読取範囲Rの全体が第1スキャナー111及び第2スキャナー112によって読み取られるまで記録媒体Sの搬送を中断させることなく上記動作を継続し、この動作中にいずれかのブロックの読み取りが終了して、RAM41の画像バッファーに一ブロック分の読取画像データが記憶された場合には、この一ブロック分の読取画像データを画像バッファーから読み出してホストコンピューター200に送信し、送信が終了した読取画像データを画像バッファーから消去する。読取画像データが消去されることで再び画像バッファーに大きな空き領域が生じ、その後の読取画像データを記憶できる。
CPU40は、一つのブロックの読み取りが終了する毎に、上記のように読取画像データをホストコンピューター200に送信する。各ブロックの読取画像データを送信する順序は、読み取りが終了した順であり、ブロックの番号順とは限らない。
【0049】
また、CPU40は、ホストコンピューター200から受信したコマンドに従って指定エリア読取を行う場合、図7(C)に示すように、読取範囲Rに設定コマンドで指定された読取対象のエリアを配置する。図7(C)の例では上面の読取範囲RにエリアA1、A2が配置され、下面の読取範囲RにエリアA3が配置される。
CPU40は、配置された読取対象のエリアに合わせてブロックを配置する。ここで、CPU40は、配置されたエリアのスキャン方向の長さが、上述したブロックの長さより短い場合には、一つのエリアを一つのブロックとする。このブロックの先端と後端はエリアの先端と後端に一致する。エリアの長さが上記の所定長さより長い場合、CPU40は、読取対象のエリアをスキャン方向の先頭側から所定長さ毎に分割する。図7(C)の例ではエリアA1、A3が所定長さを超えているので、エリアA1はブロック1、3に分割され、エリアA3はブロック2、4に分割される。ブロックの番号は、全体読取の場合と同様に、ブロックの先端の位置の順に、かつ上下面に交互に付与される。
なお、読取対象の複数のエリアが読取範囲Rの幅方向に並んでいて、スキャン方向において重なっている場合には、これら重なった全てのエリアがひとまとまりのブロックとされる。この、ひとまとまりのブロックのスキャン方向の長さが、ブロックの長さの上限を超えている場合には、スキャン方向に複数のブロックに分割される。
【0050】
そして、CPU40は、読取範囲RのエリアA1〜A3の読み取りを開始する。CPU40は、全てのエリアが第1スキャナー111及び第2スキャナー112によって読み取られるまで記録媒体Sの搬送を中断させることなく、ゲートアレイ45及びモータードライバー46を制御して読取動作を継続し、この動作中にいずれかの上面あるいは下面のいずれかのブロックの読み取りが終了して、RAM41の画像バッファーに一ブロック分の読取画像データが記憶された場合には、この一ブロック分の読取画像データを画像バッファーから読み出してホストコンピューター200に送信し、送信が終了した読取画像データを画像バッファーから消去する。この場合の送信順は全体読取と同様に読み取りが終了したブロックの順であり、ブロックの番号順とは限らない。
【0051】
ホストコンピューター200は、ドットインパクトプリンター10から送信された読取画像データを受信して、ヘッダー等の情報に基づきブロック毎に読取画像を再構成する。さらに、ホストコンピューター200は、ドットインパクトプリンター10に送信した設定コマンドで全体読取を指定した場合は、上面、下面の各々についてブロックを結合して読取範囲R全体の読取画像データを生成する。また、ホストコンピューター200は、設定コマンドで指定エリア読取を指定した場合は、一つのエリアが複数のブロックに分割された場合はこれらのブロックを結合し、一つのエリアが一つのブロックを構成する場合は、そのブロックの読取画像データをそのまま使用して、エリア毎の読取画像データを生成する。
【0052】
図8は、ドットインパクトプリンター10による読取動作のうち、特に、逆方向の読取動作を示す図である。図8(A)はスキャン方向を示し、図8(B)は全体読取の動作を模式的に示す図であり、図8(C)は指定エリア読取の動作を模式的に示す図である。
ドットインパクトプリンター10が逆方向の読み取りを行う場合、記録媒体Sがドットインパクトプリンター10のリア側からフロント側に向かって搬送される間に、光学読取装置110を通過して、第1スキャナー111及び第2スキャナー112により読み取りが行われる。この場合、図8(A)に示すように読取範囲Rの後端(図中下端)から先端(図中上端)にかけて読み取りが行われる。第1スキャナー111及び第2スキャナー112が読み取った1ラインの読取画像は、読取範囲Rの左端から順に、ゲートアレイ45を介して出力されるので、読取範囲Rの後端の左端が読取開始位置、先端の右端が終了位置となる。
【0053】
逆方向に全体読取を行う場合には、図8(B)に示すように、読取範囲Rが後端からブロックに分割される。この場合のブロックの番号は、読み取り時に先頭となる側から順に、表裏交互に付与される。そのほかの動作は順方向の全体読取と同様である。
また、逆方向に指定エリア読取を行う場合、図8(C)に示すように、ホストコンピューター200から受信した設定コマンドに従って読取対象のエリアが配置され、続いて、スキャン方向の先頭である読取範囲Rの後端側から、ブロックが配置される。また、ブロックの長さの上限を超えるエリアは、読取範囲Rの後端側を基準として所定長さ毎に分割される。その他の動作は順方向の指定エリア読取と同様である。
逆方向に読み取られた読取画像データは、順方向の読取画像データとは上下が逆になっている。このため、ドットインパクトプリンター10のCPU40が、読取画像データを反転させてからホストコンピューター200に送信する処理を行ってもよいが、設定コマンドを送信したホストコンピューター200はスキャン方向に関する情報を持っているので、この情報に基づいて、ホストコンピューター200が読取画像データの上下を反転させる処理を行ってもよい。
【0054】
図9は、ドットインパクトプリンター10がホストコンピューター200に送信する読取画像データのデータ構成を模式的に示す図である。
ドットインパクトプリンター10のCPU40は、第1スキャナー111及び第2スキャナー112によって読み取った読取画像データを、図9(B)に示すパケットに成形して、図9(A)に示すヘッダーと、図9(C)に示すフッターとを付加して送信する。
図9(B)に示すパケットは、先頭にSOH符号が付され、末尾にNULデータが付され、さらに、読取画像データ本体の前にヘッダー部が付加されている。このヘッダー部は、記録媒体Sにおいて当該パケットの読取画像データが対応するエリアの番号、記録媒体Sの上面か下面かを示す面の情報、読み取り中の記録媒体Sの搬送方向が順方向か逆方向かを示す情報、及び、データ並び順を示す情報が含まれている。データ並び順とは、読取画像データの各ラインのデータが、リニアイメージセンサー111A、112Aのどちらを先頭にしたデータかを示す情報である。
例えば、読取画像データの各ラインの右端が、リニアイメージセンサー111Aの左端(主走査方向の0桁位置)に対応する場合、データ並び順は「正像」を示す値である。この場合、読取画像データは、記録媒体Sの上面を通常の向きで読み取った画像となっている。これに対し、読取画像データの各ラインの左端が、リニアイメージセンサー111Aの左端(0桁位置)に対応する場合、データ並び順は「鏡像」を示す値に設定される。この場合、読取画像データは、記録媒体Sの上面を通常の向きで読み取った画像を、左右反転させた画像となっている。
【0055】
従って、図9(B)に示すパケットを受信したホストコンピューター200は、データ並び順に基づいて、パケット中の読取画像データを処理することで、記録媒体Sの正像及び鏡像を得ることができる。すなわち、データ並び順が正像を示す値である場合、ホストコンピューター200は、このパケットの読取画像データをそのまま組み立てれば、記録媒体Sの上面を読み取った画像(正像)が得られ、これを左右反転させれば鏡像が得られる。また、データ並び順が鏡像を示す値である場合、ホストコンピューター200は、このパケットの読取画像データを左右反転させれば正像が得られる。
【0056】
また、図9(B)に示すパケットに先だって、CPU40は、送信しようとするデータの種類を示す識別コードを含んだヘッダー(図9(A))を送信し、一連の読取画像データを含む図9(B)のパケットを送信した後には、読み取り結果を示す情報を含むフッター(図9(C))を送信する。
【0057】
なお、図9(B)に示すブロックのヘッダー部に、上記の他の情報を含ませることも勿論可能である。
例えば、CPU40は、読取画像データのデータ量が大きい場合には、一つの読取画像データを分割して、図9(B)に示すブロックを複数生成して送信することも可能であり、この場合、分割された読取画像データをホストコンピューター200において結合するための情報をヘッダー部に含めてもよい。
また、例えば、図7及び図8に示したように記録媒体Sの読み取り対象範囲を複数のブロックに分割した場合の読み取ったブロックのサイズ、ブロックの番号、データ長等の情報を、図9(B)に示すブロックのヘッダー部に含ませてもよい。
また、図7(C)及び図8(C)に示すように指定エリア読取を行った場合には、ヘッダー部に、読取画像データが対応するエリアの番号、エリアの開始位置及び終了位置の座標等の情報を含めてもよい。一つのエリアが複数のブロックに分割された場合には、各エリアを構成するブロックを結合するための情報を含めてもよい。さらに、複数のエリアが一つのブロックに含まれる場合、このブロックの読取画像データをエリア毎に切り分けて、エリア毎にホストコンピューター200に送信してもよい。
【0058】
また、ドットインパクトプリンター10は、ホストコンピューター200に対して読取画像データを送信するときだけでなく、ホストコンピューター200から送信されるコマンドに応答して、データ並び順の情報を送信する。
すなわち、CPU40は、応答制御部として機能し、ホストコンピューター200から送信されるステータス要求コマンドを受信した場合、このコマンドに応答して、ドットインパクトプリンター10の動作状態を示すステータス通知(図9(D))を送信する。この図9(D)に示すステータス通知には、データ並び順が、面の情報とともに含まれている。このため、図9(D)に示すステータス通知により、記録媒体Sの上面を読み取った読取画像データが正像か鏡像かを示す情報及び/又はリニアイメージセンサー111A、112Aの読み出し方向を示す情報と、記録媒体Sの下面の読取画像データが正像か鏡像かを示す情報とをホストコンピューター200に送信できる。従って、記録媒体Sの上面の読取画像データと下面の読取画像データとを個別に、正像としたり鏡像としたりすることができる。
【0059】
図10は、本実施形態に係るドットインパクトプリンター10の動作を示すフローチャートである。
ドットインパクトプリンター10のCPU40は、まず、記録媒体Sが手差口15に挿入され、媒体端センサー47によって記録媒体Sの先端が検出されると(ステップS1;Yes)、整列板38を記録媒体Sの搬送路P内に突出させると共に、媒体搬送モーター26を動作させて記録媒体Sを整列させる(ステップS2)。
【0060】
次いで、CPU40は、検出した記録媒体Sが小切手であるか、或いは通帳であるかを判別する(ステップS3)。ここで、CPU40は、ホストコンピューター200から送信される情報を取得し、この情報に基づいて記録媒体Sの種類を判別してもよいし、或いは、媒体端センサー47や媒体幅センサー55を用いて記録媒体Sの先端や側端の位置を検出し、この位置やサイズに基づいて記録媒体Sの種類を判別してもよい。また、媒体端センサー47や媒体幅センサー55を用いて検出した記録媒体Sの先端や側端の位置に基づき、磁気ヘッド34によりMICR情報の読み取りを試行し、この読み取りの試行によりMICR情報が領域MAに有るか否かを判定することで、記録媒体Sの種類を判別してもよい。本実施形態では、CPU40は、ホストコンピューター200から、記録媒体Sの種類(小切手又は通帳)を特定するための情報と、記録媒体Sが小切手である場合には、例えば、小切手のサイズに関する情報と、領域MAの位置に関する情報と、搬送距離に関する情報を取得し、これらの情報に基づいて小切手か通帳かを判別する。
【0061】
記録媒体Sが小切手でない場合(ステップS3;No)、CPU40は、例えば記録媒体Sが通帳であると判別して、通帳に設けられた磁気ストライプの読み取りを行うため、記録媒体Sを磁気ヘッド34により読取可能な位置まで搬送して、磁気ヘッド34によって磁気ストライプの読取及び/または書込を実行する(ステップS4)。さらに、CPU40は、記録媒体Sを記録ヘッド18の位置まで搬送して記録ヘッド18によって記録面への記録を実行し(ステップS5)、この記録媒体Sを手差口15から排出して(ステップS6)、動作を終了する。
【0062】
記録媒体Sが小切手である場合(ステップS3;Yes)、CPU40は、ホストコンピューター200から、MICR情報の読み取り命令を受信したか否かを判定する(ステップS7)。そして、CPU40は、MICR情報の読み取り命令を受信したと判定した場合(ステップS7;Yes)には、整列板38を搬送路Pから退避させると共に、少なくとも記録媒体Sの先端が媒体幅センサー55の直下に達するまで記録媒体Sを媒体搬送機構100により搬送させた後、キャリッジ駆動モーター56(図5)を駆動してキャリッジ19を主走査方向に走査し、媒体幅センサー55からの出力信号及びキャリッジ19の主走査方向の位置に基づいて記録媒体Sの幅方向の位置を検出する(ステップS8)。さらに、CPU40は、記録媒体Sを媒体搬送機構100により搬送させながら媒体端センサー47の出力信号を監視し、記録媒体Sの後端位置を検出する(ステップS9)。
【0063】
次に、CPU40は、領域MAを磁気ヘッド34によって読み取り可能となる位置まで、記録媒体Sを媒体搬送機構100により搬送し(ステップS10)、モータードライバー46を制御して磁気ヘッド駆動モーター57を動作させ、磁気ヘッド34により、領域MAに表示されたMICR文字の読み取りを実行させる(ステップS11)。磁気ヘッド34によって読み取られた情報(MICR情報)は、ゲートアレイ45によってデジタル化され、CPU40は、このデジタルデータを取得し(ステップS12)、このデータに基づいて文字情報を解析し、テキスト情報に変換する(ステップS13)。ここで、解析不能な文字が、予め設定された数を超えて存在したか、あるいは予め設定された数の範囲内であり解析成功であったかを判別し(ステップS14)、設定された数を超える解析不能な文字が存在した場合には(ステップS14;No)、エラーを出力して記録媒体Sを排出し(ステップS15)、動作を終了する。ステップS15では、ドットインパクトプリンター10自体が備える表示部等によりエラー発生を報知してもよいし、ホストコンピューター200に対してエラー発生を示す情報を送信してもよく、その両方を行ってもよい。
【0064】
一方、解析不能文字の数が設定された数を超えない場合で解析成功したとき(ステップS14;Yes)、CPU40は、光学読取装置110によるスキャンを実行して読取画像データをホストコンピューター200に送信し(ステップS16)、ホストコンピューター200から裏書き印刷の実行命令を受信するまで待機し(ステップS17)、裏書き印刷の実行命令を受信した場合は(ステップS17;Yes)、媒体搬送モーター26を逆転させ、記録媒体Sを記録ヘッド18の下まで搬送すると共に、キャリッジ駆動モーター56及び記録ヘッド18を駆動し、記録媒体Sの裏面に処理済みを示す裏書き印刷を行う(ステップS18)。そして、裏書き印刷が終了すると、CPU40は、媒体搬送モーター26を更に回転させ、記録媒体Sを手差口15または排出口20から排出する。
【0065】
図11は、ドットインパクトプリンター10が実行する読取動作を示すフローチャートであり、図10のステップS16に示した動作をより詳細に示している。
CPU40は、ホストコンピューター200から送信される設定コマンドを受信して(ステップS21)、この設定コマンドにより指定された各種設定内容を取得する(ステップS22)。ここで、CPU40は、設定コマンドにより読取対象のエリアが指定されたか否かを判別し(ステップS23)、エリアの指定がない場合は(ステップS23;No)、設定コマンドにより指定されたスキャン方向に基づいて、読取範囲Rの全体を読み取るために基準となるブロックの位置を取得する(ステップS24)。読取範囲Rの全体読取を行う場合のブロックの位置は、例えばEEPROM42に記憶されている。
また、設定コマンドにより読取対象のエリアが指定された場合(ステップS23;Yes)、CPU40は、エリアの番号と各エリアの開始位置及び終了位置の座標を取得し(ステップS24)、エリアを読取範囲Rに配置するとともに、設定コマンドにより指定されたスキャン方向に基づいて、エリアに適したブロックの位置を決定する(ステップS26)。
【0066】
ブロック位置を取得または決定した後、CPU40は、ホストコンピューター200からスキャン開始コマンドを受信するまで待機し(ステップS27)、スキャン開始コマンドを受信すると(ステップS27;Yes)、設定コマンドにより指定されたスキャン方向、全体読取か指定エリア読取か、指定エリア読取の場合は指定されたエリアの位置、及び、記録媒体Sの現在の位置に基づいて、媒体搬送機構100によって記録媒体Sを光学読取装置110のスキャン開始位置まで搬送し(ステップS28)、記録媒体Sを搬送しながら第1スキャナー111及び第2スキャナー112による読み取りを実行する(ステップS29)。この読み取りの実行中、CPU40は、読み取りが終了したブロックの有無を判別し(ステップS30)、読み取りが終了したブロックがあれば(ステップS30;Yes)、そのブロックの読取画像データをRAM41の画像バッファーから読み出してホストコンピューター200へ転送する処理を開始し(ステップS31)、転送が終了したら画像バッファー内の当該ブロックの読取画像データを削除する。CPU40は、全てのブロックの読み取りが終了したか否かを判別し(ステップS32)、読み取りが終了していないブロックがあれば(ステップS32;No)、ステップS29に戻って読取動作を継続し、新たに読み取りが終了したブロックがあれば、そのブロックの読取画像データを転送する。
そして、表裏両面の読取範囲Rにおける全てのブロックの読み取りが終了すると(ステップS32;Yes)、読取動作を終了する。
【0067】
なお、上述したように第1スキャナー111のリニアイメージセンサー111Aと第2スキャナー112のリニアイメージセンサー112Aとはオフセットして配置されており、本実施形態では、リニアイメージセンサー111Aがフロント側に5mm寄っている。このため、順方向にスキャンを行う場合、上面の読取範囲Rは下面の読取範囲Rよりも先に読み取りが完了し、逆方向にスキャンを行う場合には、下面の読取範囲Rが上面の読取範囲Rよりも先に読み取り終了となる。
【0068】
以上のように、本発明を適用した実施形態に係るドットインパクトプリンター10によれば、読取対象の記録媒体Sを搬送する媒体搬送機構100と、記録媒体Sの搬送方向に直交する方向に受光素子を線状に配置したリニアイメージセンサー111A、112Aを有し、媒体搬送機構100により搬送される記録媒体Sの表面をリニアイメージセンサー111A、112Aにより光学的に検出し、リニアイメージセンサー111A、112Aの各受光素子の検出値をいずれか一方の端から順に読み出す光学読取装置110と、光学読取装置110が読み取った検出値に基づいて読取画像データを生成し、生成した読取画像データに、リニアイメージセンサー111A、112Aが有する受光素子の読み出し順と読取画像データの画素の並び順との関係を示す情報を付加して、ホストコンピューター200へ送信するので、ドットインパクトプリンター10に接続されたホストコンピューター200は、読取画像データに付加された情報に基づいて、読取画像データの各画素の並び順(読み出し順)とリニアイメージセンサー111A、112Aの各受光素子の並び順が同方向か逆方向か、すなわち、送信された読取画像データが正像か鏡像かを正確に特定できる。リニアイメージセンサー111A、112Aの線状に並んだ受光素子の一方の端から、或いは反対側の端からのどちらから読み出しても対応できる。これにより、リニアイメージセンサー111A、112Aの仕様に合わせたプログラムを用いなくても、読取画像データを正確な向きで処理することができ、意図しない画像の反転等を防止できる。また、記録媒体Sの読み取りは、上面と下面のいずれか一方、または両面のどちらでも本発明を適用して実行可能である。
【0069】
また、ゲートアレイ45は、光学読取装置110から出力された各受光素子の検出値をもとに各画素のデータを生成してデータ保持部45Aに記憶し、このデータ保持部45Aに記憶した各画素のデータを、リニアイメージセンサー111A、112Aの各受光素子の検出値の読み出し順と同じ順序で、或いは、その逆の順序で出力し、CPU40は、ゲートアレイ45が出力した各画素のデータに基づいて読取画像データを生成する。このため、ゲートアレイ45の設定状態により、光学読取装置110により読み出された各受光素子の検出値の読み出し順と同順または逆順で各画素のデータを配置した読取画像データを生成できる。従って、リニアイメージセンサー111A、112Aの読み出し方向の仕様に制限されず、正像及び鏡像の読取画像データを自在に生成し、出力できる。
【0070】
また、光学読取装置110は、記録媒体Sの一方の面を読み取る第1スキャナー111と、記録媒体Sの他方の面を読み取る第2スキャナー112と、を搬送路の両側にそれぞれ配置して構成され、第1及び第2スキャナー112の各々はリニアイメージセンサー111A、112Aを備え、第1スキャナー111の読取画像データには、第1スキャナー111が有するリニアイメージセンサー111Aの受光素子の読出し順と読取画像データの画素の並び順との関係を示す情報を付加し、第2スキャナー112の読取画像データには、第2スキャナー112が有するリニアイメージセンサー112Aの受光素子の読出し順と読取画像データの画素の並び順との関係を示す情報を付加してホストコンピューター200へ送信する。これにより、記録媒体Sの上面の読取画像データと、記録媒体Sの下面の読取画像データのそれぞれについて、個別に各画素の並び順を設定し、例えば正像か鏡像かを示す情報を付加してホストコンピューター200に送信できる。例えば、セキュリティを考慮して一方の面のみ反転した画像を得ることが可能になるなど、読取画像データの処理や用途に適した様々な態様で上下両面の読取画像データを得ることができる。
【0071】
さらに、ドットインパクトプリンター10は、光学読取装置110の読取範囲Rに設定されたブロックを光学読取装置110によって読み取らせ、少なくともいずれか一つのブロックの読み取りが終了すると、他のブロックの読み取りが終了する前であっても、読み取りが終了したブロックの読取画像データをRAM41の画像バッファーから読み出して送信するので、全てのブロックの読み取りが終了するまで送信を待つことがなく、読取画像データの送信に係る待ち時間を短縮できる。これにより、読取処理全体の高速化を図り、利便性の向上を図ることができる。また、RAM41の画像バッファーは、少なくともブロック分の読取画像データを記憶する容量があればよく、読取範囲R全体の読取画像データを記憶する場合に比べて、記憶容量が小さくてもよい。
【0072】
また、ドットインパクトプリンター10は、ホストコンピューター200からのステータス要求に応じて、リニアイメージセンサー111A、112Aの読み出し方向を示す情報を含むステータス通知をホストコンピューター200に送信するので、ホストコンピューター200は、第1スキャナー111及び第2スキャナー112におけるデータ並び順を容易に取得し、読出方向に適した正確な処理を行うことができ、意図しない画像の反転を防止できる。
【0073】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、整列機構28、記録ヘッド18、及び光学読取装置110の順に記録媒体Sの搬送路P上に並べて配設された構成を例に挙げて説明下が、本発明はこれに限定されるものではなく、これら各装置の配置は任意であり、例えば光学読取装置110を最も手差口15寄りに配置してもよい。
また、上記実施形態では、ドットインパクトプリンター10に搭載された制御基板(図示略)に実装された制御部が、図4の機能ブロックに示す機能を有し、ドットインパクトプリンター10の各部を制御する構成を例に挙げて説明したが、例えば、ドットインパクトプリンター10に外部接続された装置が、図4に示す各機能部として機能し、ドットインパクトプリンター10の動作を制御する構成としてもよい。さらに、図4に示した各機能ブロックは、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現されるものであって、具体的なハードウェアの実装形態やソフトウェアの仕様等は任意であり、その他の細部構成についても任意に変更可能である。
【0074】
また、以上の実施形態では、第1スキャナー111及び第2スキャナー112は、RGBの光源を利用してモノクロ及びカラースキャンが可能な構成として説明したが、例えば、赤外光を発する光源を用いて赤外線による読み取りを行う構成としてもよい。磁気インクは、通常のインクに比較して、赤外線の吸収率が高いので、赤外線を用いることにより、磁気インクによって印刷された文字のみを取り込むことができ、領域MAのMICR情報を光学的に効率よく読み取り可能となることが期待できる。
【0075】
さらに、以上の実施形態では、磁気ヘッド34による読み取りを、第1スキャナー111及び第2スキャナー112による読み取りに先行して実行するようにしたが、第1スキャナー111及び第2スキャナー112による読み取りを、磁気ヘッド34による読み取りに先行して行うようにしてもよい。その場合、OCR処理の結果に基づいて、MICR情報が記録されている領域MAを特定し、特定結果に基づいて磁気ヘッド34による読み取りを実行するようにしてもよい。また、赤外線を用いて読み取りを行う場合には、MICR情報が記録されている範囲を簡易に特定することができるので、その結果に基づいて磁気ヘッド34による読み取り範囲を行うことができる。
【0076】
また、上記実施の形態では、記録媒体Sを水平に搬送するフラットベッド型の装置に本発明を適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、小切手などの帳票形態の記録媒体Sを立てた状態で搬送する搬送路を備えた装置に適用することも勿論可能である。また、上記実施形態では、光学読取装置110を備えたドットインパクトプリンター10を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、インクジェット式のプリンターや、サーマルプリンター、レーザープリンター等に、光学読取装置110に相当する光学読取部を設けた構成としても良い。さらに、独立したプリンターとして使用される機器に限らず、他の機器(ATM(Automated Teller Machine)やCD(Cash Dispenser)等)に組み込まれた装置に、光学読取装置110に相当する光学読取部を設けたものであってもよい。
さらに、紙等の記録媒体に文字や画像を記録する装置に一体として光学読取装置110を設けた構成に限らず、本発明は、例えば、独立したスキャナー装置や複写機を含む多様な機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0077】
10…ドットインパクトプリンター(光学読取装置)、15…手差口、18…記録ヘッド、20…排出口、29…磁気データ読書部、40…CPU(画像生成部、応答制御部)、41…RAM(記憶部)、43…インターフェイス、45…ゲートアレイ(検出値処理部)、100…媒体搬送機構(搬送部)、110…光学読取装置(光学読取部)、111…第1スキャナー(第1読取部)、112…第2スキャナー(第2読取部)、111A、112A…リニアイメージセンサー、200…ホストコンピューター(他の装置)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象の媒体を搬送する搬送部と、
前記媒体の搬送方向に直交する方向に受光素子を線状に配置したリニアイメージセンサーを有し、前記搬送部により搬送される前記媒体を前記リニアイメージセンサーにより光学的に検出し、前記リニアイメージセンサーの各受光素子の検出値をいずれか一方の端から順に読み出す光学読取部と、
前記光学読取部が読み取った検出値に基づいて読取画像データを生成し、生成した読取画像データに、前記リニアイメージセンサーが有する受光素子の読出し順と読取画像データの画素の並び順との関係を示す情報を付加して、他の装置へ送信する画像処理部と、
を備えることを特徴とする光学読取装置。
【請求項2】
前記画像処理部は、前記光学読取部から出力された各受光素子の検出値をもとに各画素のデータを生成し、前記生成した各画素のデータを、前記リニアイメージセンサーの各受光素子の読出し順と同じ順序で、或いは、その逆の順序で出力する検出値処理部と、
前記検出値処理部が出力した各画素のデータに基づいて前記読取画像データを生成する画像生成部と、を備えること、
を特徴とする請求項1記載の光学読取装置。
【請求項3】
前記光学読取部は、前記媒体の一方の面を読み取る第1読取部と、前記媒体の他方の面を読み取る第2読取部と、を前記搬送路の両側にそれぞれ配置して構成され、前記第1及び第2読取部の各々は前記リニアイメージセンサーを備え、
前記画像処理部は、前記第1読取部の読取画像データには、前記第1読取部が有する前記リニアイメージセンサーの受光素子の読出し順と前記読取画像データの画素の並び順との関係を示す情報を付加し、前記第2読取部の読取画像データには、前記第2読取部が有する前記リニアイメージセンサーの受光素子の読出し順と前記読取画像データの画素の並び順との関係を示す情報を付加して前記他の装置へ送信すること、
を特徴とする請求項1または2記載の光学読取装置。
【請求項4】
前記画像処理部が生成した読取画像データを記憶する記憶部を備え、
前記画像処理部は、前記光学読取部の読取範囲内に設定された一または複数の領域を前記光学読取部によって読み取らせ、少なくともいずれか一つの前記領域の読み取りが終了すると、他の前記領域の読み取りが終了する前であっても、読み取りが終了した前記領域の読取画像を前記記憶部から読み出して前記他の装置へ送信すること、
を特徴とする請求項1から3にいずれかに記載の光学読取装置。
【請求項5】
前記他の装置からの要求に応じて、前記リニアイメージセンサーの受光素子の読出し方向を示す情報を、前記他の装置に送信する応答制御部を備えること、
を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光学読取装置。
【請求項6】
読取対象の媒体を搬送する搬送部と、前記媒体の搬送方向に直交する方向に受光素子を線状に配置したリニアイメージセンサーを有し、前記搬送部により搬送される前記媒体を前記リニアイメージセンサーにより光学的に読み取って、前記リニアイメージセンサーの各受光素子の検出値をいずれか一方の端から順に読み出して出力する光学読取部と、を備えた光学読取装置を制御して、
前記光学読取部が出力した検出値に基づいて読取画像データを生成し、生成した読取画像データに、前記リニアイメージセンサーが有する受光素子の並び順と読取画像データの画素の並び順との関係を示す情報を付加して、他の装置へ送信すること、
を特徴とする光学読取装置の制御方法。
【請求項7】
読取対象の媒体を搬送する搬送部と、前記媒体の搬送方向に直交する方向に受光素子を線状に配置したリニアイメージセンサーを有し、前記搬送部により搬送される前記媒体を前記リニアイメージセンサーにより光学的に検出し、前記リニアイメージセンサーの各受光素子の検出値をいずれか一方の端から順に読み出す光学読取部と、を備えた光学読取装置を制御する制御部が実行可能なプログラムであって、
前記制御部により、前記光学読取部が読み取った検出値に基づいて読取画像データを生成し、生成した読取画像データに、前記リニアイメージセンサーが有する受光素子の読出し順と読取画像データの画素の並び順との関係を示す情報を付加して、他の装置へ送信すること、
を特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−146833(P2011−146833A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4569(P2010−4569)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】