説明

光学部品の洗浄方法および洗浄装置ならびに光学部品の洗浄後のスピン乾燥方法およびスピン乾燥装置ならびに光学部品保持部品

【課題】 ガーネットのような、磁気を帯びた或いは磁気を帯びる光学部品は従来の超音波洗浄・スピン乾燥による洗浄・乾燥では清浄にできず、超音波洗浄・スピン乾燥後の手拭きによるふき取り作業に頼らざるを得なかった。
【解決手段】 磁気を帯びた或いは磁気を帯びる光学部品と磁石を対向させて配置し、磁場中で超音波洗浄を行いスピン乾燥を行うことによって、磁気パーティクルのないきわめて清浄な光学部品を一度に大量に安価に得ることができるようになった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光通信に用いられるアイソレータに用いられるファラデー回転子用の結晶の例としてのガーネット(以下、単にガーネットともいう)のように磁気を帯びたあるいは磁気を帯びる光学部品を洗浄する洗浄方法および洗浄装置ならびに洗浄した後に被洗浄物に付着している洗浄液を除去するスピン乾燥装置およびスピン乾燥方法、ならびにそれらに用いることができる光学部品保持部品に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信では、アイソレータのファラデー回転子用の結晶の例としてのガーネット(以下、単にガーネットともいう)のように磁気を帯びたあるいは磁気を帯びる部品も用いられ、それらに対してもきわめて清浄な洗浄・乾燥が要求されている。
【0003】
通常、フィルター等のモジュールは、光ファイバーからモジュールに入力された光をたとえば多層膜フィルター等の光学部品に入力させて、透過、反射、分離、および屈折等の光学現象を利用することにより、モジュールの機能を実現させている。フィルター等の表面が汚れていると、光ファイバーからモジュールに入力された光が汚れたフィルターの表面で減衰したり乱反射したりして結合損失が増大したり、モジュールの機能を損なってしまうことがある。モジュールに用いる光学素子の表面の清浄度はモジュールの品質上きわめて重要で、洗浄・乾燥には多くの工夫がなされている。
【0004】
それにもかかわらず、従来は、たとえば3本の棒状の支持具で多数の光学部品を3方向から3点支持をしたり、光学部品を光学部品挿入部を有する光学部品保持部品(前記光学部品保持部品は、ケースと呼称するのが適切な場合もあるが、その場合も含めて、特に必要な場合を除き光学部品保持部品と総称する)に入れて保持したりして超音波洗浄装置で光学部品の汚れを落とし表面を清浄にして後、スピン乾燥装置で付着した洗浄液を除去していたが、光学部品の最大面の大きさが8mm角(すなわち、一辺の寸法が8mmの正方形)以下のような小さいものを洗浄する際には、従来の3点支持をする治具で光学部品を支持して洗浄すると、支持具で光学部品を確実に支持するには支持具の強度を保つために支持具をあまり細くすることができないために、超音波洗浄をするとき、光学部品の支持具の陰になった部分に超音波が効果的に当たらずに光学部品の汚れが残ってしまったり、従来の品物を保持する保持部品類を使用すると洗浄中や洗浄後の乾燥時に光学部品が欠落することがある上に、洗浄の仕上げ工程としてのいわゆる水切り工程、すなわち光学部品に付着した水分など洗浄液を除去する乾燥工程で、洗浄残液を完全に取り去ることが出来ず、そのままでは光学部品の汚れとして残ってしまい、正常なモジュールを構成するのに用いることができない光学部品が多発してしまうという大問題があった。
【0005】
そのため、実際には、光学部品をモジュールに実装するときに1個ずつ専用のピンセットなどで光学部品を持ち、その表面を溶剤を浸したクリーニングペーパーや綿棒などで拭き上げなければならなかった。
【0006】
この光学部品の拭き作業は、表面を清浄にする光学部品が非常に小さいため、光学部品を1個ずつピンセットで注意深くつかみ、有機溶剤等をつけたクリーニングペーパーで汚れを拭き取る作業は、非常に高度な熟練を要し、満足な品質特性を有するように光学部品を洗浄することが出来るようになるためには、少なくとも数ヶ月の訓練が必要であった。また、この拭き作業は作業効率が悪く、多層膜フィルターの例では1時間に20個程度しか清浄にすることが出来なかった。
【0007】
図14は、従来のスピン乾燥装置の要部をモデル的に示した図である。
【0008】
図14で、符号1301は従来のスピン乾燥装置、1302はスピン乾燥装置1301の外枠、1303はスピン乾燥装置1301を構成する回転させることが出来る回転板を有する回転体、1310〜1313は回転体1303の回転板に取り付けられたホルダで被乾燥物としての光学部品(以下、ワークとも称する)を保持した乾燥用の光学部品保持部品や光学部品保持部品を保持した保持枠(以下、クレードルともいう)(図示せず)を保持するためのホルダ、1310c、1311c、1312c、1313cはそれぞれホルダ1310〜1313の側壁、1310a,1310b,1311a,1311b,1312a,1312b,1313a,1313bはそれぞれ側壁1310c、1311c、1312c,1313cに設けられたクレードル設置用溝、1315は前記クレードルの位置決めのための支持棒、1316は回転方向を示す矢印、1320はスピン乾燥装置の蓋、1323は蓋1320に設けられた送風口、1322は送風口に取り付けられているフィルタである。
【0009】
図14で、ホルダ1310〜1313は回転体1303にネジなどで固定された状態で保持されている。
【0010】
図14のようなスピン乾燥装置で、洗浄したワークのスピン乾燥を行う際は、ワークを保持した光学部品保持部品を入れたクレードルを、クレードルに設けられた突起部(図23に図示)をホルダ1310〜1313のそれぞれのクレードル設置用溝1310a,1310b,1311a,1311b,1312a,1312b,1313a,1313bに挿入してホルダ1310〜1313のそれぞれに配置した後に、回転体1303をたとえば矢印1316の方向に回転させることによってスピン乾燥を行う。このとき、回転体に装着されたクレードルの底面は、図23のように、回転体の回転により与えられる遠心力に対してクレードルが最も安定に保持されるように、回転体の回転により与えられる遠心力の方向に直交するように前記ホルダに取り付けられるようになっている。
【0011】
図15は、ワークの3点支持による保持方法について説明する図である。
【0012】
図15で、符号1331は被乾燥物としてのワーク、1332〜1334はワーク1331を固定するための光学部品支持部品である。
【0013】
図15で光学部品支持部品1332および1334は、ワーク1331の側面の両辺のおおよそ中央にそれぞれ配置されており、光学部品支持部品1333は光学部品支持部品1332と1334を結ぶ線分の垂直2等分線近傍の光学部品側面に配置されている。
【0014】
図15において、ワーク1331を洗浄・乾燥する際には、ワークを固定するための光学部品支持部品1332〜1334の接触面積は可能な限り少ない方が良いとされている。
【0015】
図16〜図18は、図15の光学部品支持部品の例を説明するための図で、図16は1本の光学部品支持部品の斜視図、図17は図16の光学部品支持部品を図16の直線Y1−Y2で切った断面から斜めに見た図、図18は図16の光学部品支持部品がワークを保持している状態を説明するための図である。
【0016】
図16〜図18で、符号1340は従来の光学部品支持部品、1341は光学部品支持部品1340を構成する支柱、1342は支柱1341の端部に設けられたネジ、1343は光学部品支持部品1340を構成する支持板、1341a,1341bは支柱1341の溝に入れた支持板1343をカシメによって固定しているカシメ部分、1344は支持板1343に形成されたV字溝である。
【0017】
図16および図17に示した光学部品支持部品1340には支柱1341の先端部にネジ1342が設けられており、図示しないが、複数本の光学部品支持部品1340を支持部品取り付け枠に光学部品を保持するのに適当な間隔で固定できるように形成して洗浄・乾燥用の光学部品保持部品が構成されている。また、支持板1343はフッ素樹脂で形成されており、ある程度の弾力性を有しており、形状が図示の如くV字型の溝を有するノコギリの刃状に形成されている。
【0018】
図18で、ワーク1331は、水平方向の左右に2つとそれに直交する方向の1つの計3つの方向から3つの光学部品支持部品1340の支持板1343のV字形の溝部分によって支えられている。
【0019】
図16〜図18を用いて説明したような光学部品支持部品を用いてワーク1331を固定した場合、支持板1343のワークを支持する部分がV字型の溝形状に形成されているために、ワーク1331は3方の側面の稜線部分だけが支持板1343のV字型の溝に支持されており、支持板1343との接触面積が比較的小さいように固定される。
【0020】
しかし、図16〜図18を用いて説明したような光学部品支持部品1340の支持板1343は、フッ素樹脂で形成されていることなどから、一辺が10mm以上のあまり重くないワークしか固定することが出来ず、これ以下の小さいワークに関しては別の方法で保持しなければならなかった。
【0021】
図19および図20は光学部品支持部品の図16〜図18を用いて説明した例とは別の従来例を説明する図で、図19は1本の光学部品支持部品の斜視図、図20は図19の光学部品支持部品3本によってワークが固定されている状態を説明するための図である。
【0022】
図19および図20で、符号1350は光学部品支持部品、1351は光学部品支持部品1350を構成する支柱、1353は支柱1351に設けられたワークを固定するためのV字形の溝である。
【0023】
図19で、支柱1351は円柱形であり、直径はφ6mm〜10mmである。また、溝1353は一定の間隔で支柱1351に、支柱1351の長さ方向に切った断面がV字形の溝として設けられている。
【0024】
図20で、ワーク1331は支柱1351に形成された溝1353の部分にワーク1331の一部を入れることによって固定されている。この場合、図中のワーク1331の左右の辺は、中央より少し上の方を支持されている。
【0025】
図21は、ワーク1331が光学部品支持部品によって固定されているときのワークと光学部品支持部品との接触状態を説明するための図であり、図19の矢印1354の方向から見た図である。
【0026】
図21でワーク1331は、支柱1351に形成された溝1353が作る斜面に圧接することによって固定されている。
【0027】
図19および図20を用いて説明したような光学部品支持部品を用いてワークを固定した場合、支柱1351が円柱形に構成されているため、溝1353の部分も円柱形となっており、ワークとの接触面積が極めて少なくて済む。しかし、ワークの一辺が8mm以下である場合、図21からもわかるように支柱1351がワークに非常に近い位置にある状態でワークを固定することになるため、洗浄する際にワークに支柱1351の影の部分になる部分が生じ、超音波を効果的にワークに当てることが出来ず、洗浄自体がうまくいかないという欠点があった。
【0028】
以上説明したように、従来は、ワークが小さい場合は光学部品支持部品によってワークを固定できなかったり、固定できた場合でもワークを効果的に洗浄することが出来ないという大きな問題があった。
【0029】
そのため、小さなワークを洗浄・乾燥する際には、通常、ワークを洗浄治具に収納した後に、洗浄治具をクレードルなどに入れて、前記のようにスピン乾燥装置に装着して洗浄・乾燥する方法が採られている。
【0030】
図22は、従来の洗浄・乾燥用の光学部品保持部品の斜視図である。
【0031】
図22で、符号1355は従来の洗浄・乾燥用の光学部品保持部品、1356はワークを入れるための光学部品挿入部である。光学部品挿入部1356は穴状になっており、穴の底部の周辺部にはそこに挿入した光学部品を保持するための光学部品載置枠1356aが設けられており、その内側に洗浄液を通過させるための貫通孔1356bが設けられている。この貫通孔1356bの直径はワークより十分小さく、光学部品載置枠1356aの中央部に設けられている。
【0032】
図22のような洗浄・乾燥用の光学部品保持部品を用いて洗浄・乾燥を行うときは、光学部品挿入部にワークを入れて、光学部品保持部品ごとクレードルなどに入れて洗浄装置やスピン乾燥装置の所定位置に載置する。
【0033】
図23は従来のスピン乾燥装置を説明するための断面図である。
【0034】
図23において、符号1010はスピン乾燥装置の回転体、1011は回転体1010を回転させるときの回転軸、1012a,1012b,1013a,1013bは回転体1010と回転軸1011を連結・固定する固定ネジ、1014,1015は乾燥するワークを入れて保持する洗浄・乾燥用の光学部品保持部品、1016,1017はワークを載置し保持する洗浄・乾燥用の光学部品保持部品1014,1015を載置するクレードル、1018a,1019aはクレードルの突起部を保持するホルダ、1020は回転体の上部枠、1018b、1019bはホルダ1018a,1019aに設けられたクレードル吊り下げ用の溝、1018,1019はクレードルの突起部でホルダ1018a,1019aの溝1018b、1019bに入れてホルダ1018a,1019aにクレードル1016,1017を保持する連結ピン,1021〜1024は回転体1010の回転時にクレードルを支えるためにホルダ1018a,1019aに取り付けられている支持棒、1370は回転板である。
【0035】
図23で、クレードル1016,1017は、洗浄・乾燥用の光学部品保持部品の上面部分1014a,1015aが(洗浄・乾燥用の光学部品保持部品が平行平板のときは、同様に、前記クレードルの底面も)、回転軸1011の回転中心となる中心軸線A1−A2にそれぞれ平行になるように、かつ、洗浄・乾燥用の光学部品保持部品の上面部分1014a,1015aの中央における前記中心軸線A1−A2を中心とする仮想の円筒の外側面の接平面(図示せず)にそれぞれ平行になるように、さらに、回転体1010の中心軸線であるA1−A2に対して対称に配置されており、洗浄・乾燥用の光学部品保持部品に載置した洗浄後の光学部品を、回転軸1011を中心にして回転体全体を回転させることによって洗浄した光学部品に残った洗浄液を除去して光学部品を乾燥させるようになっている。
【0036】
図24は、従来の光学部品のスピン乾燥方法を説明する模式的断面図で、図23のスピン乾燥装置に、光学部品を載置した図22の洗浄・乾燥用の光学部品保持部品をとりつけて乾燥する状態を説明する図である。
【0037】
図24において、符号1041〜1045はスピン乾燥後に残った純水などの洗浄液、1049は被乾燥物である光学部品から洗浄液が除去される(以下、洗浄液が切れるともいう)方向を示す矢印、1046は洗浄・乾燥用の光学部品保持部品ならびにワークにかかる遠心力の方向を示す矢印、1047は洗浄・乾燥されるワークとしての光学部品、1048は洗浄・乾燥用の光学部品保持部品に取り付ける蓋、1048aは蓋1048に設けられた穴である。
【0038】
図24で、乾燥されるワーク1047は光学部品挿入部1356の光学部品載置枠1356aに載置されており、ワーク1047を保持している光学部品挿入部1356は洗浄・乾燥用の光学部品保持部品とともに矢印1046の方向に遠心力がかかるように回転される。この場合、回転中における光学部品保持部品1355の内側表面(回転の中心軸側の表面)と光学部品挿入部1356の光学部品載置枠1356aに載置されているワークとしての光学部品1047の内側表面(回転の中心軸側の表面)は平行になっており、それら両表面は回転軸1011の回転中心となる中心軸線A1−A2にそれぞれ平行になっているとともに矢印1046で示した遠心力の方向に直交している。
【0039】
スピン乾燥時には、回転体1010の回転によって、洗浄したときにワーク1047に付着した洗浄液としての水分は、矢印1046の方向に働く遠心力によって、矢印1049の方向に貫通孔1356bを通って除去されていく。
【0040】
前記のように、光学部品には、アイソレータに用いられるファラデー回転子用の結晶の例としてのガーネット(以下、単にガーネットともいう)のような磁気を帯びたあるいは磁気を帯びる部品もある。
【0041】
このファラデー回転子としてのガーネットは、板状に形成され、切断・研磨され、要求される仕様に合わせて板の寸法が決められるが、一般的に、仕上がった厚みは0.4mm程度である。ウエハーの状態では、一辺の寸法が10.5〜11.5mmの四角形に切断された大きさが主流を占めている。
【0042】
このファラデー回転子として用いられる代表的な結晶の例としてのガーネットは、その加工工程で、ウエハーの状態で、ウエハーの両側に反射防止膜を形成するが、良い品質の反射防止膜を形成するためには、反射防止膜を蒸着する前にウエハーの表面に付着しているゴミやシミを洗浄等により完全に除去することが極めて重要なことである。
【0043】
良質のガーネットを歩留まり良く安価に提供するには、多数のガーネットウエハーを超音波を用いた洗浄装置によって同時に洗浄することができれば理想的である。
【0044】
しかし、このガーネットは、欠けやすい性質を有している。たとえば、磁気を帯びたガーネットを洗浄する場合、ガーネットウエハーを従来の方法で洗浄用の治具に取り付け、超音波を用いた洗浄装置によってアルカリ洗剤や超純水を用いて洗浄すると、洗浄前についていたゴミは完全に除去されても、新たに、磁性体の細かな粒子(以下、パーティクルともいう)が多数付着してしまい、そのまま反射防止膜を蒸着すると、パーティクルの上に蒸着が施されているため、その部分のみが何らかの理由により脱落して反射防止膜が欠落してしまうという大きな問題があった。
【0045】
本発明の発明者らによる調査の結果、この洗浄中にウエハーの表面に付着するパーティクルの数は、ウエハーをきれいにしようとして超音波洗浄を繰り返せば繰り返すほど多くなり、超音波洗浄槽内の洗剤を取りかえてもその傾向が変わらないことがわかった。そのため、このガーネットの洗浄は、超音波洗浄装置を用いた洗浄工程で仕上げることができず、手で拭き取る拭き作業に頼っているのが現状である。
【0046】
この光学部品の拭き作業は、光学部品を1個ずつピンセットで注意深くつかみ、有機溶剤等をつけたクリーニングペーパーや綿棒で汚れを拭き取る作業で、一辺が11mmぐらいの大きな光学部品の場合でも高度な熟練を要する難しい時間のかかる作業であるが、特に、表面を清浄にする光学部品が1mm角前後の非常に小さい場合には、非常に高度な熟練を要し、満足な品質特性を有するように光学部品を洗浄することが出来るようになるためには、少なくとも数ヶ月の訓練が必要であった。この拭き作業は作業効率が悪く、一辺が11mm程度の大きな光学部品をパーティクルがほとんどないように拭きあげる作業では、1時間に3〜5枚程度しか清浄にすることが出来なかった。
【0047】
図25〜図27は、磁気を帯びたガーネットの、従来の光学部品保持治具を用いた洗浄の問題点について説明する図である。符号1331aは、被洗浄光学部品としての厚みが0.4mmで一辺の寸法が10.5mmの四角形に切断されたガーネットウエハー、1350aは光学部品保持治具、1350bは保持枠である。
【0048】
図25は、図19〜図21で説明した光学部品支持部品1350を被洗浄物である光学部品1331の大きさに適した間隔に保持枠1350bに取り付け、光学部品支持部品1350の溝1353に光学部品1331を装着して後、装着した光学部品1331が洗浄・乾燥工程中に脱落しないような状態に各光学部品支持部品1350の間隔を微調整して保持枠1350bに固定した状態の従来の光学部品保持治具1350aを示す図で、図26は、図25の光学部品保持治具を真上から見たものを拡大した平面図、図27は、光学部品保持治具に装着したガーネットウエハーの配置を説明する図で、光学部品支持部品を省略し、ガーネットウエハーのみを示した図である。
【0049】
図25〜図27は、洗浄液の超音波による振動がガーネットウエハーに効果的に当たるように、光学部品支持部品1350に設けられている溝1353に一つおきにガーネットウエハー1331aを装着したものである。
【0050】
前記の寸法形状の光学部品を従来の方法で超音波洗浄によって洗浄する場合、図25に示したような3点支持による保持方法によって光学部品を光学部品保持治具1350aに装着して、アルカリ洗剤中での超音波洗浄と超純水中での超音波洗浄を適宜繰り返し、スピン乾燥によって乾燥するという一連の洗浄工程でガーネットウエハーを洗浄する。
【0051】
本発明の発明者らは、ワークとして、従来は超音波洗浄で洗浄することは無理と考えられている前記のような形状と寸法のガーネットウエハーを光学部品保持治具1350aに装着して超音波洗浄することができないかどうかを調べるため、ガーネットウエハーを図25〜図27の光学部品保持治具1350aに装着し、洗剤と超音波の条件を種々変えて実験してみた。
【0052】
図28は、洗剤としてアルカリ洗剤を用いた洗浄槽と、超純水を用いた洗浄槽とで、それぞれ、超音波の周波数を変えて繰り返し洗浄し、スピン乾燥機で乾燥した結果を暗視野顕微鏡で撮影し、白と黒を反転させて示した写真である。 図28で、符号1331bはガーネットウエハー1331aに付着した前記のパーティクル、1331cはガーネットのパーティクル1331bのない部分である。
【0053】
図28から、ガーネットに非常に多くのパーティクル1331bが付着しているのがわかる。そして、ガーネットウエハーの周囲の支柱1351に形成された溝1353に支持されていた角の部分には何カ所かの欠けが生じていた。
【0054】
図28のパーティクル1331bの成分等を調べた結果、パーティクル1331bはガーネットと同じ成分を有していた。前記のように、ガーネットウエハーは欠けやすい性質を有しており、そのため、支柱1351に形成された溝1353の表面とガーネットウエハーの接触部分が超音波洗浄中に振動してぶつかり合い、ガーネットウエハーの角の部分が欠けてパーティクルになったものと推定される。
【0055】
ガーネットウエハー1331aに付着したパーティクル1331bの数を少なくしようとして、繰り返し洗浄したところ、洗浄の回数を増やすにしたがってパーティクル1331bの数が増えてしまい、治具を種々代えてもパーティクル1331bの数を実用レベルまで減らすことはできなかった。
【0056】
さらに、図22のような洗浄・乾燥治具にガーネットを入れて洗浄しても、前記パーティクルの付着を防ぐことができなかった。
【0057】
このような事情はガーネットを用いたファラデー回転子のメーカーでは大きな問題になっており、未だ解決されておらず、ガーネットの洗浄作業から手拭き作業を省くことができないとされているのが現状である。
【0058】
図29および図30は従来の光学部品の洗浄・乾燥方法における残留洗浄液のふき取り方法について説明するための模式図である。
【0059】
図29および図30において、符号400はワーク、501は綿棒、502,503は綿棒501の端部、504は綿棒の動く方向を示す矢印、510はハンドラップ、511は有機溶剤、512はハンドラップの皿部、513はピンセット、514は管である。 図29で、ハンドラップ510の内部には有機溶剤511が入っており、皿部512をたとえば綿棒501の端部502もしくは503で押し下げると、有機溶剤511は管514を毛管現象によって皿部512まで上がり、綿棒501の端部502もしくは503に適量の有機溶剤511を付けることが出来る。
【0060】
図30で、ワーク400をピンセット513によってつまみ、有機溶剤をしみこませた綿棒501の端部502もしくは503を矢印504の方向へ動かしながら、ワーク400の光学面401と402を拭いて清浄にすることが出来る。
【0061】
また、綿棒501に有機溶剤を付けないでワーク400をふき、水分をワーク400から除去することも出来る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0062】
以上説明したように、磁気を帯びた光学部品の洗浄は、洗浄前に光学部品についていた非磁性の汚れを洗剤等により除去できた場合でも、磁性体の付着物の除去は難しく、しかも、たとえば超音波洗浄を行うと、洗浄中に光学部品自体が欠けて小さなパーティクルを発生させ、それが被洗浄物の光学部品に付着してしまうような場合には、超音波洗浄機による洗浄ができず、手作業の拭き作業に頼らざるを得なかった。
【0063】
付着したパーティクルが微粉で数も多いとき、ワークをピンセットでつかみクリーニングペーパーで汚れを拭き取る作業は、非常に高度な熟練を要し、満足した品質特性を得るためには、数ヶ月の作業者トレーニングが必要であった。また、この拭き作業を収得しても作業効率が悪く、一辺が11mm程度の大きな光学部品をパーティクルがほとんどないように拭きあげる作業では、1時間に高々3〜5枚程度しか清浄にすることが出来なかった。
【0064】
本発明はこのような点に鑑みて成されたものであり、本発明の目的の一つは、長時間の作業者トレーニングが必要で高度な熟練を要する拭き作業を不可欠とせずに、一度に多数の磁気を帯びたガーネットのような光学部品を、アイソレータなどのモジュールに使用した際にモジュールとしての機能を満足に発揮できるような良好な状態に洗浄することができる洗浄方法および洗浄システムならびに洗浄に用いることができる光学部品保持治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0065】
本発明は前記の課題を解決せんとしてなされたものである。
【0066】
本発明は、いくつかの顕著な特徴を有するものである。本発明の特に顕著な特徴の一つは、磁気を帯びた或いは磁気を帯びる光学部品の超音波洗浄を磁場中で行うところにある。
【0067】
以下、本発明の特徴を具体的に説明する。
【0068】
課題を解決するためになされた本発明の例としての第1の発明(以下、発明1ともいう)としての発明は光学部品の洗浄方法に関する発明で、光学部品を洗浄する洗浄工程の中にアルカリ溶液や水などの洗剤中で被洗浄物としての光学部品に超音波を当てて洗浄する洗浄工程を含む光学部品の洗浄装置において、被洗浄物の光学部品を当該被洗浄物の光学部品の光学面の位置で500G(ガウス)以上の磁束密度の磁場の中に配置した状態で、前記洗剤中で被洗浄物の光学部品に超音波を当てて被洗浄物の光学部品を洗浄することを特徴とする光学部品の洗浄方法である。
【0069】
本発明の例としての発明1を展開してなされた第2の発明(以下、発明2ともいう)は、発明1に記載の光学部品の洗浄方法において、光学部品を洗浄する洗浄工程の中にアルカリ溶液や水などの洗剤中で被洗浄物としての光学部品に超音波を当てて洗浄する洗浄工程を含む光学部品の洗浄方法において、前記光学部品の少なくとも1つの光学面に磁石または複数の磁石を配置して形成した磁石合板を対向させて配置して洗浄することを特徴とする光学部品の洗浄方法である。
【0070】
本発明の例としての発明2を展開してなされた第3の発明(以下、発明3ともいう)は、発明2に記載の発明は、請求項106に記載の光学部品の洗浄方法において、少なくとも一部の前記磁石または磁石合板に配置された少なくとも一部の磁石として、2−17系サマリウムコバルト(Sm2Co17)磁石、1−5系サマリウムコバルト(SmCo5)磁石、ネオジウムと鉄とボロンを含む磁石の内の少なくとも1つを有していることを特徴とする光学部品の洗浄方法である。
【0071】
本発明の例としての発明2または3を展開してなされた第4の発明(以下、発明4ともいう)は、発明2または3に記載の光学部品の洗浄方法において、少なくとも1つの前記磁石または磁石合板が非磁性体のカバーで被われており、少なくとも1つのカバーが着脱可能に装着されていることを特徴とする光学部品の洗浄方法である。
【0072】
本発明の例としての発明2〜4のいずれかを展開してなされた第5の発明(以下、発明5ともいう)は、発明2〜4のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄方法において、前記磁石または磁石合板が平板状であるとともに当該被洗浄物の光学部品の光学面に対向している面の最大寸法が当該光学面の最大寸法以上であることを特徴とする光学部品の洗浄方法である。
【0073】
本発明の例としての発明2〜5のいずれかを展開してなされた第6の発明(以下、発明6ともいう)は、発明2〜5のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄方法において、前記磁石または磁石合板が平板状であるとともに、被洗浄物として対向して配置されている当該光学部品の光学面に平行に配置されていることを特徴とする光学部品の洗浄方法である。
【0074】
本発明の例としての発明2〜6のいずれかを展開してなされた第7の発明(以下、発明7ともいう)は、発明2〜6のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄方法において、前記磁石または磁石合板が、磁力線が被洗浄物として配置されている当該光学部品の少なくとも一つの光学面を通過するように配置されていることを特徴とする光学部品の洗浄方法である。
【0075】
本発明の例としての発明2〜7のいずれかを展開してなされた第8の発明(以下、発明8ともいう)は、発明2〜7のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄方法において、前記磁石または磁石合板が、磁力線が被洗浄物として配置されている当該光学部品の少なくとも一つの光学面の近傍で当該光学面に平行な成分を有するように配置されていることを特徴とする光学部品の洗浄方法である。
【0076】
本発明の例としての発明2〜8のいずれかを展開してなされた第9の発明(以下、発明9ともいう)は、発明2〜8のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄方法において、被洗浄物としての光学部品の少なくとも一つの光学面とその直近に配置されている前記磁石または磁石合板の前記光学面に対向する面の間の距離が5mm以内であることを特徴とする光学部品の洗浄方法である。
【0077】
本発明の例としての発明9を展開してなされた第10の発明(以下、発明10ともいう)は、発明9に記載の光学部品の洗浄方法において、被洗浄物としての光学部品の少なくとも一つの光学面とその直近に配置されている前記磁石または磁石合板の前記光学面に対向する面の間の距離が4mm以内であることを特徴とする光学部品の洗浄方法である。
【0078】
本発明の例としての発明2〜10のいずれかを展開してなされた第11の発明(以下、発明11ともいう)は、発明2〜11のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄方法において、前記磁石または磁石合板の表面における磁束密度が2500G以上であることを特徴とする光学部品の洗浄方法である。
【0079】
本発明の例としての発明2〜11のいずれかを展開してなされた第12の発明(以下、発明12ともいう)は、発明2〜11のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄方法において、前記磁石または磁石合板が、被洗浄物として配置されている当該光学部品の少なくとも一つの光学面の近傍における磁束密度が1000G以上になるように配置されていることを特徴とする光学部品の洗浄方法である。
【0080】
本発明の例としての発明2〜12のいずれかを展開してなされた第13の発明(以下、発明13ともいう)は、発明2〜12のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄方法において、少なくとの一部の前記磁石または磁石合板と被洗浄物として配置されている当該光学部品が少なくとも一つの方向において交互に配置されていることを特徴とする光学部品の洗浄方法である。
【0081】
課題を解決するためになされた本発明の例としての第14の発明(以下、発明14ともいう)としての発明は、光学部品を洗浄する洗浄工程の中にアルカリ溶液や水などの洗剤中で被洗浄物としての光学部品に超音波を当てて洗浄する洗浄工程を含む光学部品の洗浄装置に関する発明で、被洗浄物の光学部品を当該被洗浄物の光学部品の光学面の位置で500G(ガウス)以上の磁束密度の磁場の中に配置した状態で、前記洗剤中で被洗浄物の光学部品に超音波を当てて被洗浄物の光学部品を洗浄することを特徴とする光学部品の洗浄装置である。
【0082】
課題を解決するためになされた本発明の例としての第15の発明(以下、発明15ともいう)としての発明は、光学部品を洗浄する洗浄工程の中にアルカリ溶液や水などの洗剤中で被洗浄物としての光学部品に超音波を当てて洗浄する洗浄工程を含む光学部品の洗浄装置において、前記光学部品の少なくとも1つの光学面に磁石または複数の磁石を配置して形成した磁石合板を対向させて配置して洗浄することを特徴とする光学部品の洗浄装置である。
【0083】
本発明の例としての発明15を展開してなされた第16の発明(以下、発明16ともいう)は、発明15に記載の光学部品の洗浄装置において、少なくとも一部の前記磁石または磁石合板に配置された少なくとも一部の磁石として、2−17系サマリウムコバルト(Sm2Co17)磁石、1−5系サマリウムコバルト(SmCo5)磁石、ネオジウムと鉄とボロンを含む磁石の内の少なくとも1つを有していることを特徴とする光学部品の洗浄装置である。
【0084】
本発明の例としての発明15または16を展開してなされた第17の発明(以下、発明17ともいう)は、発明15または16に記載の光学部品の洗浄装置において、少なくとも1つの前記磁石または磁石合板が非磁性体のカバーで被われており、少なくとも1つのカバーが着脱可能に装着されていることを特徴とする光学部品の洗浄装置である。
【0085】
本発明の例としての発明15〜17のいずれかを展開してなされた第18の発明(以下、発明18ともいう)は、発明15〜17のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄装置において、前記磁石または磁石合板が平板状であるとともに当該被洗浄物の光学部品の光学面に対向している面の最大寸法が当該光学面の最大寸法以上であることを特徴とする光学部品の洗浄装置である。
【0086】
本発明の例としての発明15〜18のいずれかを展開してなされた第19の発明(以下、発明19ともいう)は、発明15〜18のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄装置において、前記磁石または磁石合板が平板状であるとともに、被洗浄物として対向して配置されている当該光学部品の光学面を前記磁石または磁石合板に平行に配置して洗浄することを特徴とする光学部品の洗浄装置である。
【0087】
本発明の例としての発明15〜19のいずれかを展開してなされた第20の発明(以下、発明20ともいう)は、発明15〜19のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄装置において、前記磁石または磁石合板からの磁力線が被洗浄物として配置されている当該光学部品の少なくとも一つの光学面を通過するように光学部品を配置するようになっていることを特徴とする光学部品の洗浄装置である。
【0088】
本発明の例としての発明15〜20のいずれかを展開してなされた第21の発明(以下、発明21ともいう)は、発明15〜20のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄装置において、前記磁石または磁石合板からの磁力線が被洗浄物として配置されている当該光学部品の少なくとも一つの光学面の近傍で当該光学面に平行な成分を有するように光学部品を配置するようになっていることを特徴とする光学部品の洗浄装置である。
【0089】
本発明の例としての発明15〜21のいずれかを展開してなされた第22の発明(以下、発明22ともいう)は、発明15〜21のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄装置において、被洗浄物としての光学部品の少なくとも一つの光学面とその直近に配置されている前記磁石または磁石合板の前記光学面に対向する面の距離が5mm以内になるように光学部品を配置するようになっていることを特徴とする光学部品の洗浄装置である。
【0090】
本発明の例としての発明22を展開してなされた第23の発明(以下、発明23ともいう)は、発明22に記載の光学部品の洗浄装置において、被洗浄物としての光学部品の少なくとも一つの光学面とその直近に配置されている前記磁石または磁石合板の間隔が4mm以内であることを特徴とする光学部品の洗浄装置である。
【0091】
本発明の例としての発明15〜23のいずれかを展開してなされた第24の発明(以下、発明24ともいう)は、発明15〜23のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄装置において、前記磁石または磁石合板の表面における磁束密度が2500G以上であることを特徴とする光学部品の洗浄装置である。
【0092】
本発明の例としての発明15〜24のいずれかを展開してなされた第25の発明(以下、発明25ともいう)は、発明15〜24のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄装置において、前記磁石または磁石合板が、被洗浄物として配置されている当該光学部品の少なくとも一つの光学面の近傍における磁束密度が1000G以上になるように配置するようになっていることを特徴とする光学部品の洗浄装置である。
【0093】
本発明の例としての発明15〜25のいずれかを展開してなされた第26の発明(以下、発明26ともいう)は、発明15〜25のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄装置において、少なくとの一部の前記磁石または磁石合板と被洗浄物として配置されている当該光学部品が少なくとも一つの方向において交互に配置されていることを特徴とする光学部品の洗浄装置である。
【0094】
課題を解決するためになされた本発明の例としての第27の発明(以下、発明27ともいう)としての発明は、光学部品を洗浄する洗浄工程や洗浄した光学部品を乾燥する乾燥工程に用いることができる光学部品保持部品に関する発明で、前記光学部品保持部品は、前記光学部品の少なくとも1つの光学面に磁石または複数の磁石を配置して形成した磁石合板を対向させて配置することができる光学部品保持部と、磁石保持部と磁石合板保持部のいずれかまたは双方を有していることを特徴とする光学部品保持部品である。
【0095】
本発明の例としての発明27を展開してなされた第28の発明(以下、発明28ともいう)は、発明27に記載の光学部品保持部品において、前記光学部品保持部品に複数対の磁石または磁石合板が装着されており、少なくとも1対の前記磁石または磁石合板の間に少なくとも1つの被洗浄光学部品装着部を有していることを特徴とする光学部品保持部品である。
【0096】
本発明の例としての発明27または28を展開してなされた第29の発明(以下、発明29ともいう)は、発明27または28に記載の光学部品保持部品において、少なくとも一部の前記磁石または磁石合板に配置される少なくとも一部の磁石として、2−17系サマリウムコバルト(Sm2Co17)磁石、1−5系サマリウムコバルト(SmCo5)磁石、ネオジウムと鉄とボロンを含む磁石の内の少なくとも1つを有していることを特徴とする光学部品保持部品である。
【0097】
本発明の例としての発明27〜29のいずれかを展開してなされた第30の発明(以下、発明30ともいう)は、発明27〜29のいずれか1項に記載の光学部品保持部品において、少なくとも1つの前記磁石または磁石合板が非磁性体のカバーで被われており、少なくとも1つのカバーが着脱可能に装着されていることを特徴とする光学部品保持部品である。
【0098】
本発明の例としての発明27〜30のいずれかを展開してなされた第31の発明(以下、発明31ともいう)は、発明27〜30のいずれか1項に記載の光学部品保持部品において、前記磁石または磁石合板が平板状であるとともに当該被洗浄物の光学部品の光学面に対向している面の最大寸法が当該光学面の最大寸法以上であることを特徴とする光学部品保持部品である。
【0099】
本発明の例としての発明27〜31のいずれかを展開してなされた第32の発明(以下、発明32ともいう)は、発明27〜31のいずれか1項に記載の光学部品保持部品において、前記磁石または磁石合板が平板状であるとともに、それに対向して配置する当該光学部品の光学面を前記磁石または磁石合板に平行に配置することを特徴とする光学部品保持部品である。
【0100】
本発明の例としての発明27〜32のいずれかを展開してなされた第33の発明(以下、発明33ともいう)は、発明27〜32のいずれか1項に記載の光学部品保持部品において、少なくとも一部の前記磁石または磁石合板が、前記磁石または磁石合板からの磁力線が被洗浄物として配置されている当該光学部品の少なくとも一つの光学面を通過するように配置されていることを特徴とする光学部品保持部品である。
【0101】
本発明の例としての発明27〜33のいずれかを展開してなされた第34の発明(以下、発明34ともいう)は、発明27〜33のいずれか1項に記載の光学部品保持部品において、少なくとも一部の前記磁石または磁石合板が、前記磁石または磁石合板からの磁力線が被洗浄物として配置されている当該光学部品の少なくとも一つの光学面の近傍で当該光学面に平行な成分を有するように配置されていることを特徴とする光学部品保持部品である。
【0102】
本発明の例としての発明27〜34のいずれかを展開してなされた第35の発明(以下、発明35ともいう)は、発明27〜34のいずれか1項に記載の光学部品保持部品において、被洗浄物としての光学部品の少なくとも一つの光学面とその直近に配置されている前記磁石または磁石合板の前記光学面に対向する面の距離が5mm以内になるように光学部品を配置するようになっていることを特徴とする光学部品保持部品である。
【0103】
本発明の例としての発明35を展開してなされた第36の発明(以下、発明36ともいう)は、発明27に記載の光学部品保持部品において、被洗浄物としての光学部品の少なくとも一つの光学面とその直近に配置されている前記磁石または磁石合板の間隔が4mm以内であることを特徴とする光学部品保持部品である。
【0104】
本発明の例としての発明27〜36のいずれかを展開してなされた第37の発明(以下、発明37ともいう)は、発明27〜36のいずれか1項に記載の光学部品保持部品において、前記磁石または磁石合板の表面における磁束密度が2500G以上であることを特徴とする光学部品保持部品である。
【0105】
本発明の例としての発明27〜37のいずれかを展開してなされた第38の発明(以下、発明38ともいう)は、発明27〜37のいずれか1項に記載の光学部品保持部品において、前記磁石または磁石合板が、被洗浄物として配置されている当該光学部品の少なくとも一つの光学面の近傍における磁束密度が500G以上になるように配置するようになっていることを特徴とする光学部品保持部品である。
【0106】
本発明の例としての発明27〜38のいずれかを展開してなされた第39の発明(以下、発明31ともいう)は、発明27〜38のいずれか1項に記載の光学部品保持部品において、少なくとの一部の前記磁石または磁石合板と被洗浄物として配置されている当該光学部品が少なくとも一つの方向において交互に配置されるようになっていることを特徴とする光学部品保持部品である。
【発明の効果】
【0107】
以上説明したように、本発明によって、従来は手拭き工程を使わなければ到底洗浄・乾燥することができなかったガーネットのような磁気を帯びた或いは磁気を帯びる脆い光学部品の洗浄・乾燥を一度に大量に高い歩留まりで行うことが可能になった。そのため、その後工程である蒸着等の品質と歩留まりも大きく向上し、製品コストも大きく低減された。
【0108】
以上のように、本発明は工業上多大な効果を発揮するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0109】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の例について説明する。なお、説明に用いる各図は本発明の例を理解できる程度に各構成成分の寸法、形状、配置関係などを概略的に示してある。そして本発明の説明の都合上、部分的に拡大率を変えて図示する場合もあり、本発明の例の説明に用いる図は、必ずしも実施例などの実物や記述と相似形でない場合もある。また、各図において、同様な構成成分については同一の番号を付けて示し、重複する説明を省略することもある。
【0110】
図13は、洗浄や乾燥工程において用いるクレードルについて説明する図である。図13中の(A)はクレードルを上方から見た図、(B)はクレードルを手前から見た図、(C)はクレードルを右側方から見た図で、点線801〜804でそれらの対応する位置関係を示してある。
【0111】
図13で、符号800はクレードル、811〜814はクレードルの側壁、820と821は側壁812と813の下部につけられているピン、830はクレードル800をもつときに用いる取っ手部分、852〜855はそれぞれ側壁811〜814の内側の下方(すなわち、クレードルの底部)に設けられた支柱、851は洗浄・乾燥用の光学部品保持部品を載置する載置部で支柱852〜854に固定されている。クレードル800は、たとえばステンレス鋼製のものを用いることができる。
【0112】
図13で、光学部品を保持した洗浄・乾燥用の光学部品保持部品をクレードル800に入れて洗浄した光学部品のスピン乾燥を行う場合、洗浄・乾燥用の光学部品保持部品を載置部851の上に載置して、クレードルをスピン乾燥装置に装着する。載置部851は、これに限定されないが、クレードルの下方、たとえばピン820,821の位置よりわずかに上に形成しておき、平行平板の洗浄・乾燥用の光学部品保持部品を用いる場合は、スピン乾燥装置の回転体に装着した状態のクレードルの底面と載置部851と平行平板の洗浄・乾燥用の光学部品保持部品の表面と裏面がすべて平行になるように形成しておくと取扱上好都合である。
【0113】
ファラデー回転子に使用するガーネットは、通常はウエハーの状態でウエハーの両面に反射防止膜を蒸着してファラデー回転子に加工されて用いられるが、この反射防止膜を蒸着するにあたって、ウエハーの反射防止膜を蒸着する面から、その表面に付着しているゴミやシミを洗浄により除去することが重要である。
【0114】
しかし、前記のように、磁気を帯びたガーネットウエハーの場合は、従来のアルカリ洗剤や超純水による超音波洗浄では、非磁性の付着物を完全に洗浄することができているにもかかわらず、多数のガーネットの微粉であるパーティクルが付着してしまい、しかも、洗剤や超音波の条件などを如何に選択しても、また、洗剤を一回ごとに新しいものに取りかえても、このパーティクルのないガーネットウエハーを得ることができなかった。
【0115】
図1、図2は、前記パーティクルをほぼ完全に残さずに洗浄することができる本発明の洗浄原理を説明する図で、超音波洗浄槽の洗剤中に、被洗浄光学部品としてのガーネットウエハーの清浄に洗浄する光学面と磁石を対向して配置した例を示す図である。図中、ガーネットウエハーと磁石を保持している光学部品保持部品ならびに保持枠を省略して図示していない。
【0116】
図1、図2で、符号51は被洗浄光学部品としてのガーネットウエハー、51aと51bはガーネットウエハー51の光学面、53〜56は磁石、53a,54a,55a,56aはそれぞれ磁石53〜56のガーネットウエハー51の光学面51aまたは51bに対向して配置された表面である。各磁石に記したNとSはそれぞれ磁石のN極側とS極側を示しており、d2〜d5はそれぞれ図示の光学面と磁石の表面の間隔を示している。
【0117】
図1では、ガーネットウエハー51の光学面51aと磁石53のN極側の表面53aが間隔d2で対向して配置されており、ガーネットウエハー51の光学面51bと磁石54のS極側の表面54aが間隔d3で対向して配置されており、図2では、ガーネットウエハー51の光学面51aと磁石55のN極側の表面55aが間隔d4で対向して配置されており、ガーネットウエハー51の光学面51bと磁石56のN極側の表面56aが間隔d5で対向して配置されている。
【0118】
図25〜図27を用いて説明した3点支持の保持治具のような光学部品保持部品を、光学部品支持部品の溝の間隔などを種々変えて作成し、図1、図2のようにガーネットウエハー51と磁石53〜56の当該磁石を配置して、アルカリ洗剤中と超純水中で超音波洗浄を適宜繰り返し、スピン乾燥による乾燥を行って後、図28の場合と同様な暗視野顕微鏡を用いて、光学面のパーティクルの存在など清浄さを調べた。洗浄条件としては、超音波の有無、超音波洗浄の超音波の振動数、前記間隔d2〜d5の当該間隔などを種々変えて、洗浄結果を調べた。
【0119】
各磁石のガーネットウエハー51に対向する面は、ガーネットウエハー51の磁石に対向する面とおおむね同じ大きさと形状にして洗浄を行った。
【0120】
その結果は以下のようであった。
【0121】
第1の洗浄例として、洗浄工程に超音波を用いないで洗浄した場合は、前記パーティクルの存在有無を問題にするまでもなく、従来から洗浄の対象になっていた磁性の付着物以外の汚れを落とすことができず、ガーネットウエハー51の光学面の有効な洗浄ができなかった。
【0122】
第2の洗浄例として、洗浄工程で、ガーネットウエハー51の光学面に磁石を対向して配置せずに超音波洗浄を行い、通常の汚れを落として後、図1、図2のようにガーネットウエハー51と磁石53〜56の当該磁石を配置して、空気中、アルカリ洗剤中、超純水中で、超音波を用いずに所定時間放置して、乾燥後の光学面の前記パーティクルの存在を調べた結果、通常の汚れを落とすことはできたが、光学面に多くのパーティクルが付着した状態であった。
【0123】
第3の洗浄例として、図1、図2のようにガーネットウエハー51と磁石52〜56の当該磁石を配置して、アルカリ洗剤中で第1回目の超音波洗浄を行い、続いて超純水中で第2回目の超音波洗浄を行い、続いてアルカリ洗剤中で第3回目の超音波洗浄を行い、続いて超純水中で第4回目の超音波洗浄を行って、後述のスピン乾燥機によって乾燥し、乾燥後の光学面の前記パーティクルの存在を調べた結果、通常の汚れを落とすことができ、さらに、磁石を対向して配置して洗浄した光学面の付着パーティクルの数を大幅に減少されることができた。
【0124】
第3の洗浄例において、磁石の表面における磁束密度と当該前記間隔d2〜d5を種々変えて実験をした結果、光学面の表面における磁束密度をある程度以上にしないと、効果的なパーティクルの除去を行うことができないことがわかった。
【0125】
そこで、磁石として、断面の寸法が1.3mm角の棒状の磁石2−17系のサマリウムコバルト磁石を用いて図3に図示のような磁石棒の集合(以下、磁石合板ともいう)を構成して、第3の洗浄例と同様の洗浄実験を種々行い、洗浄結果を調査した。
【0126】
図3は前記磁石合板を説明する図で、符号57は磁石合板、57b1と57b2は磁化されにくいステンレスSUS316L製のカバー板、57aはカバー板57b1の表面すなわち磁石合板57の表面、57c1〜57c5は2−17系サマリウムコバルト(Sm2Co17)磁石棒、57d1〜57d3は磁石棒の間隔である。磁石棒57c1〜57c5の配置状態を示すため、カバー板57b1は一部を取り除いて示してある。各磁石棒57c1〜57c5等の磁化の方向は、カバー板57b1の方向がN極またはS極に、カバー板57b2の方向がS極またはN極になるように着磁されている。したがって、磁石合板57はカバー板57b1とカバー板57b2が両極の磁石と等価に構成されている。
【0127】
図4は、図3の磁石合板とガーネットウエハー51を、図1あるいは図2のように対向させて、図示していない光学部品支持部品に支持して、洗浄工程ならびに乾燥工程に使う光学部品保持部品に保持した状態の一部を、前記光学部品保持部品を省略して示した図である。図中、符号58,59は磁石合板、58a,59aはそれぞれ磁石合板58,59のガーネットウエハー51の表面51a,51bに対向して配置された表面である。
【0128】
磁石合板58,59は、表面58a,59aにおける磁束密度が5390G(ガウス)で、表面から距離1mm離れた位置における磁束密度が4042G、表面から距離2mm離れた位置における磁束密度が2695G、表面から距離3mm離れた位置における磁束密度が2156G、表面から距離4mm離れた位置における磁束密度が1348Gである。したがって、磁石合板58,59の表面58a,59aとガーネットウエハー51の表面51a,51bとの距離を変えて、ガーネットウエハー51の表面51a,51bにおける磁束密度を変えることができる。
【0129】
図1、図2の各磁石の代わりに、各磁石の磁極と同様な磁極を有する前記のような磁石合板を用いて、間隔d2〜d5の当該間隔を種々に変えて洗浄の実験を行った。
【0130】
実験の結果、光学面と磁石表面の間隔d2〜d5は、光学面近傍の磁束密度が1000G以上になるような近接した間隔にすることが好ましいことがわかった。そして、ガーネットウエハー51の表面51a,51bのいずれか一方の表面を特に前記パーティクルが少ないきれいな面にしたいときと、ガーネットウエハー51の表面51a,51bの両方の表面を前記パーティクルが少ないきれいな面にしたいときとで磁極の配置を変えることが好ましいといえることがわかった。
【0131】
図5と図6は本発明の洗浄方法における磁極の配置状態の例を示す図で、図5はガーネットウエハー51の表面51a,51bの両方の表面を前記パーティクルが少ないきれいな面にしたいときの好ましい磁極の配置状態の例を示す図で、図6はガーネットウエハー51の表面51a,51bのいずれか一方の表面を特に前記パーティクルが少ないきれいな面にしたいときの好ましい磁極の配置状態の例を示す図である。
【0132】
図5と図6で、符号60〜65は磁石合板、a1〜a10は各磁石合板の表面とそれに対向して配置されているガーネットウエハー51の表面の間隔、b1は磁石合板64と磁石合板65の隣接側の表面の間隔で、図中のNとSは各磁石合板の表面に表れる磁極がN極かS極かを表している。
【0133】
図5において、間隔a1〜a6を等しい値にして各磁石合板の各磁極の表れる表面と各ガーネットウエハーの表面(光学面)を平行に配置し、各ガーネットウエハーの両表面(光学面)を2枚の磁石合板のN極とN極の間またはS極とS極の間に位置するようにすなわち各ガーネットウエハーの位置におけるその両側からの磁力線が反発になるように配置し、洗浄実験を行ったところ、間隔a1〜a6の値を4mm以下にしたときに極めて優れた洗浄結果を得ることができた。
【0134】
図6において、各磁石合板の各磁極の表れる表面と各ガーネットウエハーの表面(光学面)を平行に配置し、各ガーネットウエハーの両表面(光学面)を2枚の磁石合板のN極とS極の間に位置するように、すなわち各ガーネットウエハーの位置におけるその両側からの磁力線が当該ガーネットウエハーを通過するように配置し、間隔a1〜a6の値を4mm以下に、間隔b1を6mm以上にしたときに極めて優れた洗浄結果を得ることができた。
【0135】
ガーネットウエハーに反射防止膜を蒸着する場合、まずガーネットウエハーを洗浄し、一方の洗浄したきれいな光学面に反射防止膜を蒸着し、つぎに一方の光学面に反射防止膜が蒸着されているガーネットウエハーを再び洗浄して、他方の光学面をきれいな面に洗浄してからそこに反射防止膜を蒸着すると、ガーネットウエハーの両側に信頼性の高い良好な反射防止膜を蒸着することができることが知られている。このような目的のためには、図6のようにガーネットウエハーと磁石合板を配置して洗浄を行うと効果的である。
【0136】
洗浄用の光学部品保持部品における図5と図6に示したようなガーネットウエハーと磁石合板を配置は、ガーネットウエハーの洗浄目的によって使い分けることができる。
【0137】
さらに、磁石合板のガーネットウエハーの被洗浄面である光学面に対向して配置される面の大きさは、前記ガーネットウエハーの被洗浄面である光学面よりも小さくしないことが特に好ましい。
【0138】
つぎに、磁石合板についてさらに詳細に説明する。
【0139】
図7〜図10は、前記磁石合板の例について説明する図である。図7は磁石合板のカバー板の外側から見た図で、カバー板の下に配置されている磁石棒を破線で示している。図8は図7の磁石合板のX11−X12の位置の断面図、図9は図7のカバー板70b1の磁石棒を取り付ける側の平面図、図10はカバー板70b1の図9のX13−X14の位置の断面図である。図中、符号70は磁石合板、70b1と70b2は磁化されにくいステンレスSUS316L製で作成されたカバー板、70aはカバー板70b1の表面すなわち磁石合板70の表面、70c1〜70c3は焼結技術で作成された2−17系サマリウムコバルト(Sm2Co17)磁石棒、70d1〜70d3は各磁石棒の間隔、70b11はカバー板70b1に形成された磁石棒を挿入する凹部、70b12はカバー板70b1に形成された磁石棒を挿入する隣り合った凹部の間に形成された凸部、70nは空隙、w1とw2はカバー板70b1の縦と横の寸法、w3は凹部70b11の幅寸法、w4は凸部70b12の幅寸法、w5は断面が正方形の磁石棒の断面の一辺の寸法、t1は磁石合板70の厚み、t2はカバー板70b1の凸部70b12の部分の厚み、t3はカバー板70b1の凹部70b11の部分の厚み、L1は磁石棒の長さ、70mは磁石棒の磁化の方向を示す矢印である。カバー板70b1の凹部70b11は、一例としてハーフエッチングによって形成することにより、量産の歩留まり良く、安価に作製することができる。
【0140】
カバー板70b2もカバー板70b1と同様の構造に作成されている。
【0141】
図9、図10のような構造のカバー板70b1の各凹部70b11とカバー板70b2の凹部の間に磁石棒をそれぞれ配置し、磁石棒をカバー板70b1とカバー板70b2にたとえばエポキシ樹脂で接着して磁石合板70の構成に形成して後、矢印70nの方向にN極とS極が形成されるように磁石棒を有する磁石合板70を着磁することによって、カバー板70b1側とカバー板70b2側にN極とS極を有する磁石合板が作成される。
【0142】
一辺が10.5〜11.5mmのガーネットウエハーを前記パーティクルの付着がほとんどないレベルに洗浄する光学部品を構成するのに好ましい前記各寸法の例は、w1とw2が13.1mm、w3が1.6mm、w4が0.4mm、w5が1.5mm、t1が1.7mm、t2が0.3mm、t3が0.15mmである。このような寸法のカバー板70b1の凹部70b11に装着する磁石棒の断面の寸法は、前記の1.3mmのものが好ましい。
【0143】
カバー板70b1の凸部70b12の部分の厚みt2は0.3〜2.0mm、カバー板70b1の凹部70b11の部分から凸部70b12の部分の突き出ている部分の寸法は、0.1〜0.5mmにすることが好ましい。凹部70b11の部分から凸部70b12の部分の突き出ている部分の寸法が0.1mm以下の場合、磁石棒の安定をさせにくく、0.5mm以上の場合、凹部の底部が狭くなってしまうことがあり、量産歩留まりを良くするには、前記の範囲の寸法が好ましい。
【0144】
また、カバー板70b1の凸部70b12の幅寸法w4は、狭い方が強くて均一な磁場を形成する磁石合板を得ることができるが、このための好ましい寸法は0.1〜1.3mmである。
【0145】
前記各数値は、特にガーネットウエハーを洗浄する場合に作業性が良く、既存の設備を応用しやすいと言う利点を有している。
【0146】
図11は、本発明の洗浄方法に用いる光学部品保持部品に図6に示したようにガーネットウエハーと磁石合板を配置して洗浄したガーネットウエハーの磁石合板に対向して配置した光学面を、図28の場合と同様の条件で暗視野顕微鏡で撮影し、白と黒を反転させて示した写真である。図11で、符号51cは、ガーネットウエハー51の、前記ガーネットウエハーの欠けによって生じたパーティクルのない部分である。洗浄の条件は、アルカリ洗剤中で比較的高い第1の周波数の超音波を用いて超音波洗浄し、続いて超純水中で比較的高い第1の周波数の超音波を用いて超音波洗浄し、続いてアルカリ洗剤中で比較的低い第2の周波数の超音波を用いて超音波洗浄し、続いて超純水中で比較的低い第2の周波数の超音波を用いて超音波洗浄を行うという、従来よりも洗浄回数の少ない洗浄工程で洗浄し、後述のようなスピン乾燥方法によって乾燥する乾燥工程を用いた。
【0147】
図11と図28にはそれぞれ300μmを示すスケールが記入されているが、このスケールを同じにした場合、図28には従来の洗浄方法による洗浄でどうしても除去できなかった極めて多くのガーネットのパーティクル1331bが付着していたのに対して、図11にはガーネットのパーティクルの付着が全く見られないことがわかる。
【0148】
図12は、本発明の洗浄方法、洗浄装置に用いることができる光学部品保持部品に、被洗浄物の光学部品としての前記ガーネットウエハーと磁石合板を対向して配置した状態を示す平面図である。
【0149】
図12で、符号80は光学部品保持部品、81,82は保持枠、82aは保持枠82の一部、83,84は光学部品支持部品、86は磁石合板、87は被洗浄物としてのガーネットウエハー、88は光学部品支持部品83,84に形成されている第1の溝、89は光学部品支持部品83,84に形成されている第2の溝、83a、84aは光学部品支持部品83,84の取り付け部である。
【0150】
光学部品支持部品83,84に形成されている第1の溝88は磁石合板86を挿入する溝で、光学部品支持部品83,84に形成されている第2の溝89はガーネットウエハー87を挿入する溝である。
【0151】
光学部品保持部品80へのガーネットウエハー87と磁石合板86の装着方法は次の如くである。まず、光学部品支持部品83を保持枠82の穴に挿入して,取り付け部83aのネジを軽く締めて仮止めし、光学部品支持部品84を保持枠81の穴に挿入して,取り付け部84aのネジを軽く締めて仮止めしておき、磁石合板86を必要箇所の前記第2の溝に挿入して光学部品支持部品83,84の位置を磁石合板86を確実に固定するように位置決めしてから、取り付け部83a,84aのネジを締めて、磁石合板のついた光学部品保持部品80を構成する。
【0152】
つぎに、このように磁石合板を取り付けた光学部品保持部品80の前記第1の溝に挿入してガーネットウエハー87を挿入して、前記第1の溝のV溝でガーネットウエハー87を保持する。ガーネットウエハー87は第1の溝のV溝によって、曲げストレスがかからないように軽く保持されている。
【0153】
各磁石合板のN極とS極の向きは、洗浄の目的によって、たとえば、図1、図2、図4〜図6に示したいずれかの向きとなるように配置する。
【0154】
また、事情に応じて、光学部品の一方の側の面だけに磁石を対向配置して洗浄を行うこともできる。
【0155】
このように、磁石合板86を有する光学部品保持部品80にガーネットウエハー87を装着して、前記のような超音波洗浄を行い、後述のスピン乾燥を行うことにより、手拭き作業に頼ることなく、従来は全く期待できなかった超音波洗浄によって極めてきれいに洗浄された光学面を有するガーネットウエハーを得ることができる。
【0156】
超音波洗浄によるこのようなきれいなガーネットウエハーの洗浄結果は、従来では全く得られたことがなかった。従来は、ガーネットウエハーの洗浄は前記のように超音波洗浄では無理で手拭き作業に頼らざるを得ないと思われていたことと比較すると、本発明の洗浄方法、その方法を用いた洗浄装置が、従来とは全く異なる技術思想による新規の洗浄方法と洗浄装置であり、その効果が極めて顕著であることが明らかである。そして、本発明の洗浄方法で用いる、光学部品の被洗浄面と磁石または磁石合板などの磁極面とを対向させて配置する光学部品保持部品も洗浄用の治具として新規のものであることは前記の説明から明らかである。
【0157】
次に、本発明の洗浄方法において、ガーネットウエハーの超音波洗浄が可能な理由について説明する。
【0158】
衆知のように、ガーネットウエハーを超音波洗浄すると、超音波によって、ガーネットウエハーの支持部に限らずガーネットウエハーの外周部を中心にきわめて微少な欠けが生じ、磁性を帯びた多数の微粉末を生じる。この微粉末は磁力により引きつけられ、ガーネットウエハーの表面に付着する。
【0159】
洗剤中でガーネットウエハーの表面に付着した前記微粉末は、強力な磁石を単に近づけただけでは簡単には除去することができない。しかし、アルカリ洗剤や超純水の中で適切な条件の超音波をあてると、ガーネットウエハーの表面に付着した前記微粉末が超音波の作用によりガーネットウエハーの表面から瞬間的に浮き上がり、その瞬間にガーネットウエハーよりも強力な磁石あるいは磁石合板のような磁極面に動かされてガーネットウエハーの表面から除去されるものと推定される。この磁極面の作用力は、前記微粉末にまんべんなく作用するため、一定時間超音波洗浄を行っているうちに、ガーネットウエハーの表面から前記微粉末を除去することができるものと推定される。
【0160】
以上の本発明の実施の形態例では、磁石あるいは磁石合板に用いる磁石として、コストや取扱いなどいくつかの利点により、特に好ましい例として、2−17系サマリウムコバルト磁石を例にとって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、前記磁石としては、1−5系サマリウムコバルト磁石を用いることもでき、あるいは、ネオジウム・鉄・ボロン磁石を用いることもできるなど、種々の磁石を用いることができる。前記磁石としては、磁石表面に接触して測定したときの磁束密度が2500G以上のものが好ましく、前記2−17系サマリウムコバルト磁石のように5000G以上の磁石が特に好ましい。ネオジウム・鉄・ボロン磁石は前記2−17系サマリウムコバルト磁石よりもさらに強い磁束密度を得ることができるが、衆知のように、錆びるおそれがあるため、一般に行われているように、防錆コーティングを行って使用するか、樹脂を利用して成形したものをさらに防錆コーティングを行って使用することが好ましい。
【0161】
また、前記実施の形態例では、被洗浄物の光学部品の光学面に磁石あるいは磁石合板を対向させて配置し、清浄にしたい光学面の表面近傍に磁場を形成した状態で洗浄したが、光学面に磁石あるいは磁石合板を対向させて配置して磁場を形成するかわりに、他の手段で形成した磁場中に光学部品を配置して洗浄することもできる。
【0162】
光学面の近傍における磁束密度が1000G以上にすることが好ましいが、被洗浄物によっては、500G以上の磁束密度で洗浄効果をあげることもできる。
【0163】
以上、欠けやすくて磁気を帯びた光学部品の例としてのガーネットウエハーを良好な反射防止膜を蒸着することができる状態に超音波洗浄によって洗浄することができる本発明の洗浄方法、洗浄装置、それに用いることができる光学部品保持部品について、その実施の形態例を説明した。
【0164】
磁気を帯びた光学部品でも、このような本発明によって、極めて良好な清浄面を有する光学部品を、高い信頼性をもって、一度に大量に、確実に乾燥することができる。
【0165】
以上、図面を参照しながら本発明の実施の形態例を説明したが、本発明はこれに狭く限定されるものではなく、多くのバリエーションを可能とするものである。
【産業上の利用可能性】
【0166】
以上説明したように、本発明により、従来は手拭き工程を使わなければ到底洗浄・乾燥することができなかったガーネットのような磁気を帯びた脆い部品の超音波・スピン乾燥を、手拭き工程を不可避とせずに、一度に大量に短時間で高い品質で乾燥することがすることができるようになったことにより、光通信分野を始め、磁気を帯びた小型の光学部品を使用する分野で、部品コストの大幅な低減が可能となった。
【0167】
以上のように、本発明は工業上多大な効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】本発明の洗浄原理を説明する図で、被洗浄光学部品としてのガーネットウエハーの光学面と磁石の配置の例を説明する図である。
【図2】本発明の洗浄原理を説明する図で、被洗浄光学部品としてのガーネットウエハーの光学面と磁石の配置の例を説明する図である。
【図3】本発明の洗浄に用いることができる磁石合板を説明する図である。
【図4】磁石合板とガーネットウエハー51を対向させて光学部品保持部品に保持した状態を、前記光学部品保持部品を省略して示した図である。
【図5】本発明の洗浄方法における磁極の配置状態の例を示す図である。
【図6】本発明の洗浄方法における磁極の配置状態の例を示す図である。
【図7】本発明の洗浄方法に用いる磁石合板の例をカバー板の外側から見た図である。
【図8】磁石合板の図7のX11−X12の位置の断面図である。
【図9】磁石合板のカバー板の磁石棒を取り付ける側の平面図である。
【図10】図9のカバー板のX13−X14の位置の断面図である。
【図11】本発明の洗浄方法によって洗浄したガーネットウエハーの光学面を、暗視野顕微鏡で撮影し、白と黒を反転させて示した写真である。
【図12】本発明の洗浄方法、洗浄装置に用いることができる光学部品保持部品に、被洗浄物のガーネットウエハーと磁石合板を対向して配置した状態を示す平面図である。
【図13】クレードルについて説明する図である。図中、(A)はクレードルを上方から見た図、(B)はクレードルを手前から見た図、(C)はクレードルを右側方から見た図である。
【図14】従来のスピン乾燥装置の要部をモデル的に示した斜視図である。
【図15】ワークの3点支持による保持方法について説明する図である。
【図16】光学部品支持部品の例を説明するための図で、光学部品支持部品1本の斜視図である。
【図17】図16の光学部品支持部品を直線Y1−Y2の位置で切った断面から斜めに見た図である。
【図18】図16の光学部品支持部品3本でワークを保持している状態を説明するための図である。
【図19】光学部品支持部品の例を説明するための図で、光学部品支持部品一本の斜視図である。
【図20】図19の光学部品支持部品3本でワークを保持している状態を説明する図である。
【図21】ワークと支持部品の接触状態を説明するための図である。
【図22】従来の洗浄・乾燥用の光学部品保持部品の斜視図である。
【図23】従来のスピン乾燥装置を説明するための断面図である。
【図24】従来のスピン乾燥方法を説明する模式的断面図である。
【図25】従来の光学部品保持部品を用いた洗浄方法について説明する斜視図である。
【図26】従来の光学部品保持部品を用いた洗浄方法について説明する平面図である。
【図27】従来の光学部品保持部品を用いた洗浄方法について説明する図である。
【図28】従来の洗浄方法によって洗浄したガーネットウエハーの光学面を、暗視野顕微鏡で撮影し、白と黒を反転させて示した写真である。
【図29】従来の光学部品の洗浄・乾燥方法における残留洗浄液の手拭き作業を説明する図である。
【図30】従来の光学部品の洗浄・乾燥方法における残留洗浄液の手拭き作業を説明する図である。
【符号の説明】
【0169】
1,300,1301:スピン乾燥装置
3,303,1010,1303:回転体
3a:上板
3b,1370:回転板
4,800,1016,1017:クレードル
4a,830:取っ手部分
4b:ピン
4c:クレードルの底面
5:回転機構
8,100,301a,301b,302a,302b,1014,1015,1355:洗浄・乾燥用の光学部品保持部品
8a:光学部品保持部品8の内側面
8b:YZ’交線
8c:XY交線
10〜13,1018a,1019a,1310〜1313:ホルダ
10a,10b,12a,12b,1018b,1019b:溝
15,15a〜15d,1021〜1024,1315:支持棒
16,310,504,1316,1046,1049:矢印
20:スピン乾燥装置のカバー
21a,21b,21c:イオナイザ
22:フィルタ
23:穴部
51,87,1331a:ガーネットウエハー
51a,51b,130a,130b:光学面
51c,1331c:ガーネットのパーティクルのない部分
53〜56:磁石
53a,54a,55a,56a:被洗浄光学面に対向して配置された磁石の表面
57〜65,70,86:磁石合板
57a,58a,59a,70a:磁石合板の表面
57b1,57b2,70b1,70b2:カバー板
57c1〜57c5,70c1〜70c3:磁石棒
57d1〜57d3,70d1〜70d3:磁石棒の間隔
70b11:カバー板の磁石棒を挿入する凹部
70b12:凸部
70N:空隙
70m:矢印
80,1350a:光学部品保持部品
81,82,1350b:保持枠
82a:保持枠82の一部
83,84,1332〜1334,1340,1350:光学部品支持部品
83a、84a:光学部品支持部品の取り付け部
88:光学部品支持部品に形成されている第1の溝
89:光学部品支持部品に形成されている第2の溝
101:基板
102,1356:光学部品挿入部
102a,121:開口部
102b:テーパ形成部
102c:胴部
103a,103b,103c,103d,103e,103f,103g,103h,103i:ピン、またはピン用の穴、またはネジ穴、またはネジ部
104,105,105a,105b,1356b:貫通孔
106:底部
122:内壁
123:内壁と底部の境界線
124:洗浄・乾燥用の光学部品保持部品の基板の表面
125:光学部品保持部品の基板の裏面
130,400,1047,1331:ワーク(光学部品)
131,1048:蓋
132,1048a:穴
135,1041〜1045:洗浄液
140:遠心力の方向を示す矢印
160:光学部品挿入部の底面上部
304,305:保持具
311:点
316:X軸
317:Y軸
501:綿棒
502,503:端部
510:ハンドラップ
511:有機溶剤
512:皿部
513:ピンセット
514:管
1011:回転軸
1012a,1012b,1013a,1013b:固定ネジ
1020:上部枠
1018,1019:連結ピン
1310c、1311c、1312c、1313c:側壁
1310a,1310b,1311a,1311b,1312a,1312b,1313a,1313b:クレードル設置用溝
1332〜1334,1340,1350:光学部品支持部品
1356a:光学部品載置枠
a1〜a10,b1,d2〜d5:間隔
D102:深さ
L1:長さ
N:磁極のN極
S:磁極のS極
t1〜t3:厚み
w1〜w5:寸法
W102:内径
θa〜θh,θ1〜θ4,θ(XY),θ(YZ’):角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部品を洗浄する洗浄工程の中にアルカリ溶液や水などの洗剤中で被洗浄物としての光学部品に超音波を当てて洗浄する洗浄工程を含む光学部品の洗浄装置において、被洗浄物の光学部品を当該被洗浄物の光学部品の光学面の位置で500G(ガウス)以上の磁束密度の磁場の中に配置した状態で、前記洗剤中で被洗浄物の光学部品に超音波を当てて被洗浄物の光学部品を洗浄することを特徴とする光学部品の洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学部品の洗浄方法において、光学部品を洗浄する洗浄工程の中にアルカリ溶液や水などの洗剤中で被洗浄物としての光学部品に超音波を当てて洗浄する洗浄工程を含む光学部品の洗浄方法において、前記光学部品の少なくとも1つの光学面に磁石または複数の磁石を配置して形成した磁石合板を対向させて配置して洗浄することを特徴とする光学部品の洗浄方法。
【請求項3】
請求項2に記載の光学部品の洗浄方法において、少なくとも一部の前記磁石または磁石合板に配置された少なくとも一部の磁石として、2−17系サマリウムコバルト(Sm2Co17)磁石、1−5系サマリウムコバルト(SmCo5)磁石、ネオジウムと鉄とボロンを含む磁石の内の少なくとも1つを有していることを特徴とする光学部品の洗浄方法。
【請求項4】
請求項3に記載の光学部品の洗浄方法において、少なくとも1つの前記磁石または磁石合板が非磁性体のカバーで被われており、少なくとも1つのカバーが着脱可能に装着されていることを特徴とする光学部品の洗浄方法。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄方法において、前記磁石または磁石合板が平板状であるとともに当該被洗浄物の光学部品の光学面に対向している面の最大寸法が当該光学面の最大寸法以上であることを特徴とする光学部品の洗浄方法。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄方法において、前記磁石または磁石合板が平板状であるとともに、被洗浄物として対向して配置されている当該光学部品の光学面に平行に配置されていることを特徴とする光学部品の洗浄方法。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄方法において、前記磁石または磁石合板が、磁力線が被洗浄物として配置されている当該光学部品の少なくとも一つの光学面を通過するように配置されていることを特徴とする光学部品の洗浄方法。
【請求項8】
請求項2〜7のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄方法において、前記磁石または磁石合板が、磁力線が被洗浄物として配置されている当該光学部品の少なくとも一つの光学面の近傍で当該光学面に平行な成分を有するように配置されていることを特徴とする光学部品の洗浄方法。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄方法において、被洗浄物としての光学部品の少なくとも一つの光学面とその直近に配置されている前記磁石または磁石合板の前記光学面に対向する面の間の距離が5mm以内であることを特徴とする光学部品の洗浄方法。
【請求項10】
請求項9に記載の光学部品の洗浄方法において、被洗浄物としての光学部品の少なくとも一つの光学面とその直近に配置されている前記磁石または磁石合板の前記光学面に対向する面の間の距離が4mm以内であることを特徴とする光学部品の洗浄方法。
【請求項11】
請求項2〜10のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄方法において、前記磁石または磁石合板の表面における磁束密度が2500G以上であることを特徴とする光学部品の洗浄方法。
【請求項12】
請求項2〜11のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄方法において、前記磁石または磁石合板が、被洗浄物として配置されている当該光学部品の少なくとも一つの光学面の近傍における磁束密度が1000G以上になるように配置されていることを特徴とする光学部品の洗浄方法。
【請求項13】
請求項2〜12のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄方法において、少なくとの一部の前記磁石または磁石合板と被洗浄物として配置されている当該光学部品が少なくとも一つの方向において交互に配置されていることを特徴とする光学部品の洗浄方法。
【請求項14】
光学部品を洗浄する洗浄工程の中にアルカリ溶液や水などの洗剤中で被洗浄物としての光学部品に超音波を当てて洗浄する洗浄工程を含む光学部品の洗浄装置において、被洗浄物の光学部品を当該被洗浄物の光学部品の光学面の位置で500G(ガウス)以上の磁束密度の磁場の中に配置した状態で、前記洗剤中で被洗浄物の光学部品に超音波を当てて被洗浄物の光学部品を洗浄することを特徴とする光学部品の洗浄装置。
【請求項15】
光学部品を洗浄する洗浄工程の中にアルカリ溶液や水などの洗剤中で被洗浄物としての光学部品に超音波を当てて洗浄する洗浄工程を含む光学部品の洗浄装置において、前記光学部品の少なくとも1つの光学面に磁石または複数の磁石を配置して形成した磁石合板を対向させて配置して洗浄することを特徴とする光学部品の洗浄装置。
【請求項16】
請求項15に記載の光学部品の洗浄装置において、少なくとも一部の前記磁石または磁石合板に配置された少なくとも一部の磁石として、2−17系サマリウムコバルト(Sm2Co17)磁石、1−5系サマリウムコバルト(SmCo5)磁石、ネオジウムと鉄とボロンを含む磁石の内の少なくとも1つを有していることを特徴とする光学部品の洗浄装置。
【請求項17】
請求項15または16に記載の光学部品の洗浄装置において、少なくとも1つの前記磁石または磁石合板が非磁性体のカバーで被われており、少なくとも1つのカバーが着脱可能に装着されていることを特徴とする光学部品の洗浄装置。
【請求項18】
請求項15〜17のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄装置において、前記磁石または磁石合板が平板状であるとともに当該被洗浄物の光学部品の光学面に対向している面の最大寸法が当該光学面の最大寸法以上であることを特徴とする光学部品の洗浄装置。
【請求項19】
請求項15〜18のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄装置において、前記磁石または磁石合板が平板状であるとともに、被洗浄物として対向して配置されている当該光学部品の光学面を前記磁石または磁石合板に平行に配置して洗浄することを特徴とする光学部品の洗浄装置。
【請求項20】
請求項15〜19のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄装置において、前記磁石または磁石合板からの磁力線が被洗浄物として配置されている当該光学部品の少なくとも一つの光学面を通過するように光学部品を配置するようになっていることを特徴とする光学部品の洗浄装置。
【請求項21】
請求項15〜20のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄装置において、前記磁石または磁石合板からの磁力線が被洗浄物として配置されている当該光学部品の少なくとも一つの光学面の近傍で当該光学面に平行な成分を有するように光学部品を配置するようになっていることを特徴とする光学部品の洗浄装置。
【請求項22】
請求項15〜21のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄装置において、被洗浄物としての光学部品の少なくとも一つの光学面とその直近に配置されている前記磁石または磁石合板の前記光学面に対向する面の距離が5mm以内になるように光学部品を配置するようになっていることを特徴とする光学部品の洗浄装置。
【請求項23】
請求項22に記載の光学部品の洗浄装置において、被洗浄物としての光学部品の少なくとも一つの光学面とその直近に配置されている前記磁石または磁石合板の間隔が4mm以内であることを特徴とする光学部品の洗浄装置。
【請求項24】
請求項15〜23のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄装置において、前記磁石または磁石合板の表面における磁束密度が2500G以上であることを特徴とする光学部品の洗浄装置。
【請求項25】
請求項15〜24のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄装置において、前記磁石または磁石合板が、被洗浄物として配置されている当該光学部品の少なくとも一つの光学面の近傍における磁束密度が1000G以上になるように配置するようになっていることを特徴とする光学部品の洗浄装置。
【請求項26】
請求項15〜25のいずれか1項に記載の光学部品の洗浄装置において、少なくとの一部の前記磁石または磁石合板と被洗浄物として配置されている当該光学部品が少なくとも一つの方向において交互に配置されていることを特徴とする光学部品の洗浄装置。
【請求項27】
光学部品を洗浄する洗浄工程や洗浄した光学部品を乾燥する乾燥工程に用いることができる光学部品保持部品において、前記光学部品保持部品は、前記光学部品の少なくとも1つの光学面に磁石または複数の磁石を配置して形成した磁石合板を対向させて配置することができる光学部品保持部と、磁石保持部と磁石合板保持部のいずれかまたは双方を有していることを特徴とする光学部品保持部品。
【請求項28】
請求項27に記載の光学部品保持部品において、前記光学部品保持部品に複数対の磁石または磁石合板が装着されており、少なくとも1対の前記磁石または磁石合板の間に少なくとも1つの被洗浄光学部品装着部を有していることを特徴とする光学部品保持部品。
【請求項29】
請求項27または28に記載の光学部品保持部品において、少なくとも一部の前記磁石または磁石合板に配置される少なくとも一部の磁石として、2−17系サマリウムコバルト(Sm2Co17)磁石、1−5系サマリウムコバルト(SmCo5)磁石、ネオジウムと鉄とボロンを含む磁石の内の少なくとも1つを有していることを特徴とする光学部品保持部品。
【請求項30】
請求項27〜29のいずれか1項に記載の光学部品保持部品において、少なくとも1つの前記磁石または磁石合板が非磁性体のカバーで被われており、少なくとも1つのカバーが着脱可能に装着されていることを特徴とする光学部品保持部品。
【請求項31】
請求項27〜30のいずれか1項に記載の光学部品保持部品において、前記磁石または磁石合板が平板状であるとともに当該被洗浄物の光学部品の光学面に対向している面の最大寸法が当該光学面の最大寸法以上であることを特徴とする光学部品保持部品。
【請求項32】
請求項27〜31のいずれか1項に記載の光学部品保持部品において、前記磁石または磁石合板が平板状であるとともに、それに対向して配置する当該光学部品の光学面を前記磁石または磁石合板に平行に配置することを特徴とする光学部品保持部品。
【請求項33】
請求項27〜32のいずれか1項に記載の光学部品保持部品において、少なくとも一部の前記磁石または磁石合板が、前記磁石または磁石合板からの磁力線が被洗浄物として配置されている当該光学部品の少なくとも一つの光学面を通過するように配置されていることを特徴とする光学部品保持部品。
【請求項34】
請求項27〜33のいずれか1項に記載の光学部品保持部品において、少なくとも一部の前記磁石または磁石合板が、前記磁石または磁石合板からの磁力線が被洗浄物として配置されている当該光学部品の少なくとも一つの光学面の近傍で当該光学面に平行な成分を有するように配置されていることを特徴とする光学部品保持部品。
【請求項35】
請求項27〜34のいずれか1項に記載の光学部品保持部品において、被洗浄物としての光学部品の少なくとも一つの光学面とその直近に配置されている前記磁石または磁石合板の前記光学面に対向する面の距離が5mm以内になるように光学部品を配置するようになっていることを特徴とする光学部品保持部品。
【請求項36】
請求項35に記載の光学部品保持部品において、被洗浄物としての光学部品の少なくとも一つの光学面とその直近に配置されている前記磁石または磁石合板の間隔が4mm以内であることを特徴とする光学部品保持部品。
【請求項37】
請求項27〜36のいずれか1項に記載の光学部品保持部品において、前記磁石または磁石合板の表面における磁束密度が2500G以上であることを特徴とする光学部品保持部品。
【請求項38】
請求項27〜37のいずれか1項に記載の光学部品保持部品において、前記磁石または磁石合板が、被洗浄物として配置されている当該光学部品の少なくとも一つの光学面の近傍における磁束密度が500G以上になるように配置するようになっていることを特徴とする光学部品保持部品。
【請求項39】
請求項27〜38のいずれか1項に記載の光学部品保持部品において、少なくとの一部の前記磁石または磁石合板と被洗浄物として配置されている当該光学部品が少なくとも一つの方向において交互に配置されるようになっていることを特徴とする光学部品保持部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図29】
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【図30】
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【図11】
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【図28】
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【公開番号】特開2007−121992(P2007−121992A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−97919(P2006−97919)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(501392361)株式会社 オプトクエスト (24)
【出願人】(595065264)日本精管有限会社 (7)
【Fターム(参考)】