光学部品保持具
【課題】 小型の光学部品の超音波洗浄とスピン乾燥を、3点支持や中央部に貫通孔を有する光学部品保持具で行っていたが、スピン乾燥だけではシミや汚れができてしまい、高度の熟練を要する手拭き作業に頼らざるを得なかった。また、複数種類の形状寸法の異なる光学部品を1つの光学部品保持具で保持して超音波洗浄・スピン乾燥をすることができず、多数の光学部品保持具を必要としていた。
【解決手段】 複数の光学部品保持部を、その一方の寸法を可変にした可変光学部品保持部にするとともに、周縁部が2段構造の光学部品保持具の外側の周縁部に、内側から外側に通じる溝を設け、光学部品載置部は光学部品を固定しないで自由に動けるように保持して洗浄・乾燥を行うようにして課題を解決した。
【解決手段】 複数の光学部品保持部を、その一方の寸法を可変にした可変光学部品保持部にするとともに、周縁部が2段構造の光学部品保持具の外側の周縁部に、内側から外側に通じる溝を設け、光学部品載置部は光学部品を固定しないで自由に動けるように保持して洗浄・乾燥を行うようにして課題を解決した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学部品の洗浄や洗浄した後に被洗浄物に付着している洗浄液を除去する乾燥のいずれかまたは双方に用いることができる光学部品保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信では、光アイソレーター、サーキュレーター、WDM、フィルター等の様々なモジュールが使用されるが これらのモジュールには水晶、方解石等の結晶や多層膜フィルター等が組み込まれている。
【0003】
通常、アイソレータ、フィルター等のモジュールは、たとえば光ファイバーからモジュールに入力された光を、たとえば多層膜フィルター等に入力させて、透過、反射、分離、および屈折等の光学現象を利用することにより、モジュールの機能を実現させている。フィルター等の表面が汚れていると、光ファイバーからモジュールに入力された光が汚れたフィルター等の表面で減衰したり乱反射したりして結合損失が増大したり、モジュールの機能を損なってしまうことがある。モジュールに用いる光学部品の表面の清浄度はモジュールの品質上きわめて重要である。
【0004】
このため、これらの光学部品の洗浄には多くの工夫が施されてきた。
【0005】
従来は、たとえば3本の棒状の支持部品で多数の光学部品を3方向から3点支持(以下、支持を保持ともいう)をしたり、光学部品を光学部品挿入部を有する光学部品保持具(前記光学部品保持具は、ケースと呼称するのが適切な場合もあるが、以下、そのような場合も、そして、前記のような3点支持をするように棒状の支持部品を組み合わせて構成した保持部品も、特に必要な場合を除き光学部品保持具とも称する)で保持して超音波洗浄機で光学部品の汚れを落とし、光学部品の表面を清浄にして後、スピン乾燥機で付着した洗浄液を除去しようとしていた。しかし、光学部品の最大面の大きさが8mm角(すなわち、一辺の寸法が8mmの正方形)以下のような小さいものを洗浄する際には、従来の3点支持をする治具で光学部品を支持して洗浄すると、支持部品で光学部品を確実に支持するには支持部品の強度を保つために支持部品をあまり細くすることができないため、超音波洗浄するときに、光学部品の支持部品の陰になった部分に超音波が効果的に当たらずに光学部品の汚れが残ってしまったり、洗浄中や洗浄後の乾燥時に光学部品が欠落することがある上に、洗浄の仕上げ工程としてのいわゆる水切り工程、すなわち光学部品に付着した洗浄液を除去する乾燥工程で、洗浄残液を完全に取り去ることが出来ず、そのままでは光学部品の汚れとして残ってしまい、正常なモジュールを構成するのに用いることができない光学部品が多発してしまうという大問題があった。
【0006】
そのため、実際には、光学部品をモジュールに実装するときに、あるいは洗浄後に、1個ずつ専用のピンセットなどで光学部品を持ち、その表面を溶剤を浸したクリーニングペーパーや綿棒などで拭き上げる拭き作業に頼らざるを得なかった。
【0007】
この光学部品の拭き作業は、光学部品を1個ずつピンセットで注意深くつかみ、純水や有機溶剤等をつけたクリーニングペーパーや綿棒で汚れを拭き取る作業で、一辺が11mmぐらいの大きな光学部品の場合でも高度な熟練を要する難しい時間のかかる作業であるが、特に、表面を清浄にする光学部品の大きさが1mm角前後のように小さい場合には、非常に高度な熟練を要し、満足な品質特性を有するように光学部品を清浄にすることが出来るようになるためには、少なくとも数ヶ月の訓練が必要であった。この拭き作業は作業効率が悪く、多層膜フィルタの例では、1時間に20個程度しか清浄にすることが出来なかった。
【0008】
光学部品の洗浄においては、洗浄液中で光学部品に付着している汚れを除去する工程は当然重要な洗浄工程であるが、洗浄工程のあとに光学部品に付着している洗浄液(超純水も含めて洗浄液または洗剤という)を除去する乾燥工程も洗浄の重要な工程である。
【0009】
図12は、この乾燥工程に使用される従来のスピン乾燥機の要部をモデル的に示した図である。
【0010】
図12で、符号1301は従来のスピン乾燥装置、1302はスピン乾燥装置1301の外枠、1303はスピン乾燥装置1301を構成する回転させることが出来る回転板を有する回転体、1310〜1313は回転体1303の回転板に取り付けられたホルダで被乾燥物としての光学部品(以下、ワークとも称する)を保持した乾燥用の光学部品保持具や光学部品保持具を保持した保持枠(以下、クレードルともいう)(たとえば、図21,図22に図示)を保持するためのホルダ、1310c、1311c、1312c、1313cはそれぞれホルダ1310〜1313の側壁、1310a,1310b,1311a,1311b,1312a,1312b,1313a,1313bはそれぞれ側壁1310c、1311c、1312c,1313cに設けられたクレードル設置用溝、1315は前記クレードルの位置決めのための支持棒、1316は回転方向を示す矢印、1320はスピン乾燥装置の蓋、1323は蓋1320に設けられた送風口、1322は送風口に取り付けられているフィルタである。
【0011】
図12で、ホルダ1310〜1313は回転体1303にネジなどで固定された状態で保持されている。
【0012】
図12のようなスピン乾燥装置で、洗浄したワークのスピン乾燥を行う際は、ワークを保持した光学部品保持具を入れたクレードルを、クレードルに設けられた突起部(図22に図示)をホルダ1310〜1313のそれぞれのクレードル設置用溝1310a,1310b,1311a,1311b,1312a,1312b,1313a,1313bに挿入してホルダ1310〜1313のそれぞれに配置した後に、回転体1303をたとえば矢印1316の方向に回転させることによってスピン乾燥を行う。このとき、回転体に装着されたクレードルの底面は、図22のように、回転体の回転により与えられる遠心力に対してクレードルが最も安定に保持されるように、回転体の回転により与えられる遠心力の方向に直交するように前記ホルダに取り付けられるようになっている。
【0013】
ワークの3点支持による保持方法については、たとえば、特開平6−208093(以下、特許文献1という)にも記載されており、その細部についてはあまり詳細でないが、図と文章からおおむね知ることができる。
【0014】
図13〜図16は、ワークの3点支持による保持方法について説明する図で、特許文献1と完全に同じではないが、本発明の発明者等の分類では同種の技術思想に基づくワークの3点支持による保持方法ということができるもので、現在光学部品の洗浄・乾燥に使用されているものである。
【0015】
図13は、ワークの3点支持による保持方法について説明する図である。
【0016】
図13で、符号1331は被乾燥物としてのワーク、1332〜1334はワーク1331を固定するための光学部品支持部品である。
【0017】
図13で光学部品支持部品1332および1334は、ワーク1331の側面の両辺のおおよそ中央にそれぞれ配置されており、光学部品支持部品1333は光学部品支持部品1332と1334を結ぶ線分の垂直2等分線近傍の光学部品側面に配置されている。
【0018】
図13において、ワーク1331を洗浄・乾燥する際には、ワークを固定するための光学部品支持部品1332〜1334の接触面積が可能な限り少ない方が良いとされている。
【0019】
図14〜図16は、図13の光学部品支持部品の例を説明するための図で、図14は1本の光学部品支持部品の斜視図、図15は図14の光学部品支持部品を図14の直線Y1−Y2で切った断面から斜めに見た図、図16は図14の光学部品支持部品がワークを保持している状態を説明するための図である。
【0020】
図14〜図16で、符号1340は従来の光学部品支持部品、1341は光学部品支持部品1340を構成する支柱、1342は支柱1341の端部に設けられたネジ、1343は光学部品支持部品1340を構成する支持板、1341a,1341bは支柱1341の溝に入れた支持板1343をカシメによって固定しているカシメ部分、1344は支持板1343に形成されたV字溝である。
【0021】
図14および図15に示した光学部品支持部品1340には支柱1341の先端部にネジ1342が設けられており、図示しないが、複数本の光学部品支持部品1340を支持部品取り付け枠に光学部品を保持するのに適当な間隔で固定できるように形成して洗浄・乾燥用の光学部品保持具が構成されている。また、支持板1343はフッ素樹脂で形成されており、ある程度の弾力性を有しており、形状が図示の如くV字型の溝を有するノコギリの刃状に形成されている。前記V字型の溝は、同一形状・寸法の溝が、同一光学部品保持具として使用する全ての支柱1341の長手方向の同じ位置に設けられている。
【0022】
図16で、ワーク1331は、水平方向の左右に2つとそれに直交する方向の1つの計3つの方向から3つの光学部品支持部品1340の支持板1343のV字形の溝部分によって支えられている。
【0023】
図14〜図16を用いて説明したような光学部品支持部品を用いてワーク1331を固定した場合、支持板1343のワークを支持する部分がV字型の溝形状に形成されているために、ワーク1331は3方の側面の稜線部分だけが支持板1343のV字型の溝に支持されており、支持板1343との接触面積が比較的小さいように緩く固定される。
【0024】
しかし、図14〜図16を用いて説明したような光学部品支持部品1340の支持板1343は、フッ素樹脂であるテトラフルオロエチレン(たとえば、商標名、テフロン)で形成されていることなどから、一辺が10mm以上のあまり重くないワークしか固定することが出来ず、これ以下の小さいワークに関しては別の方法で保持しなければならなかった。
【0025】
図17および図18は光学部品支持部品の図14〜図16を用いて説明した例とは別の従来例を説明する図で、特許文献1とは異なる例である。
【0026】
図17は1本の光学部品支持部品の斜視図、図18は図17の光学部品支持部品3本によってワークが固定(緩く固定)されている状態を説明するための図である。
【0027】
図17および図18で、符号1350は光学部品支持部品、1351は光学部品支持部品1350を構成する支柱、1353は支柱1351に設けられたワークを固定するためのV字形の溝である。
【0028】
図17で、支柱1351は円柱形であり、直径は6mm〜10mmである。また、溝1353は同一形状・寸法の溝が一定の間隔で支柱1351に、支柱1351の長さ方向に切った断面がV字形の溝として設けられている。
【0029】
図18で、ワーク1331は支柱1351に形成された溝1353の部分にワーク1331の一部を入れることによって緩く固定されている。この場合、図中のワーク1331の左右の辺は、中央より少し上の方を支持されている。この緩く固定されているという状態は、ワークをピンセットなどで注意して持ち、たとえば、3点支持の光学部品支持部品として組み上げられた3本の支柱1351に形成された溝1353の部分にワーク1331の一部を入れて保持したとき、ワークを超音波洗浄したり、スピン乾燥したりしたときに、ワークが溝1353の部分から抜け出すことはないが、ワークをピンセットなどで持って溝1353の部分から取り出したり、ワークを溝1353の部分に挿入したりすることが出来る程度に固定されているという意味である。以下、3点支持の記述において、特に断らない場合には、このような緩く固定することを、単に、固定するあるいは束縛するともいう。図16と図18に示した保持の状態も、この緩く固定した状態である。
【0030】
図19は、ワーク1331が光学部品支持部品によって固定されているときのワークと光学部品支持部品との接触状態を説明するための図であり、図18の矢印1354の方向から見た図である。
【0031】
図19でワーク1331は、支柱1351に形成された溝1353が作る斜面に接することによって緩く固定されている。
【0032】
図17および図18を用いて説明したような光学部品支持部品を用いてワークを固定した場合、支柱1351が円柱形に構成されているため、溝1353の部分も円柱形となっており、ワークとの接触面積が極めて少なくて済む。しかし、ワークの一辺が8mm以下である場合、図19からもわかるように支柱1351がワークに非常に近い位置にある状態でワークを固定することになるため、洗浄する際にワークに支柱1351の影の部分になる部分が生じ、超音波を効果的にワークに当てることが出来ず、洗浄自体がうまくいかないという欠点があった。
【0033】
支持板1343をカシメによって固定する支柱1341や溝1353が形成された支柱1351は、機械加工によって1本ずつ加工されているのが現状である。支柱の材料としてはステンレス鋼や、加工によって溝をつけた金属に樹脂をコーティングしたものが多く用いられている。樹脂だけでつくった支柱は、強度に問題があり、溝を付けた金属や溝を付けた金属に樹脂をコートしたものが主に用いられていた。
【0034】
以上説明したように、従来は、ワークが小さい場合は光学部品支持部品によってワークを固定できなかったり、固定できた場合でもワークを効果的に洗浄することが出来ないという大きな問題があった。
【0035】
そのため、小さなワークを洗浄・乾燥する際には、通常、ワークを図20で後述するような洗浄治具に収納した後に、洗浄治具をクレードルなどに入れて、前記のようにスピン乾燥装置に装着して洗浄・乾燥する方法が採られている。
【0036】
図20は、従来の洗浄・乾燥用の光学部品保持具の斜視図である。
【0037】
図20で、符号1355は従来の洗浄・乾燥用の光学部品保持具、1356はワークを入れるための光学部品挿入部である。光学部品挿入部1356は穴状になっており、穴の底部の周縁部にはそこに挿入した光学部品を保持するための光学部品載置枠1356aが設けられており、その内側に洗浄液を通過させるための貫通孔1356bが設けられている。この貫通孔1356bの直径はワークより十分小さく、光学部品載置枠1356aの中央部に設けられている。
【0038】
図20からも推察できるように、光学部品保持具1355の基本的な技術思想は、光学部品を3点支持のように緩く固定せずに光学部品載置枠1356aに載置し、洗浄・乾燥中に光学部品の特に重要なところである光学面の重要部分を貫通孔1356bのところで周囲のものと非接触に保つことができるように考慮しているところにある。
【0039】
図20のような洗浄・乾燥用の光学部品保持具を用いて洗浄と乾燥を行うときは、光学部品挿入部にワークを入れて、光学部品保持具ごとクレードルなどに入れて洗浄装置やスピン乾燥装置の所定位置に載置する。
【0040】
図21は、洗浄や乾燥工程において用いられているクレードルについて説明する図である。図21中の(A)はクレードルを上方から見た図、(B)はクレードルを手前から見た図、(C)はクレードルを右側方から見た図で、点線801〜804でそれらの対応する位置関係を示してある。
【0041】
図21で、符号800はクレードル、811〜814はクレードルの側壁、820と821は側壁812と813の下部につけられているピン、830はクレードル800をもつときに用いる取っ手部分、852〜855はそれぞれ側壁811〜814の内側の下方(すなわち、クレードルの底部)に設けられた支柱、851は洗浄・乾燥用の光学部品保持具を載置する載置部で支柱852〜854に固定されている。クレードル800は、たとえばステンレス鋼製のものを用いることができる。
【0042】
図21で、光学部品を保持した洗浄・乾燥用の光学部品保持具をクレードル800に入れて洗浄した光学部品のスピン乾燥を行う場合、洗浄・乾燥用の光学部品保持具を載置部851の上に載置して、クレードルをスピン乾燥装置に装着する。載置部851は、これに限定されないが、クレードルの下方、たとえばピン820,821の位置よりわずかに上に形成しておき、平行平板の洗浄・乾燥用の光学部品保持具を用いる場合は、スピン乾燥装置の回転体に装着した状態のクレードルの底面と載置部851と平行平板の洗浄・乾燥用の光学部品保持具の表面と裏面がすべて平行になるように形成しておくと取扱上好都合である。
【0043】
図22は従来のスピン乾燥装置を説明するための断面図である。
【0044】
図22において、符号1010はスピン乾燥装置の回転体、1011は回転体1010を回転させるときの回転軸、1012a,1012b,1013a,1013bは回転体1010と回転軸1011を連結・固定する固定ネジ、1014,1015は乾燥するワークを入れて保持する洗浄・乾燥用の光学部品保持具、1016,1017はワークを載置し保持する洗浄・乾燥用の光学部品保持具1014,1015を載置するクレードル、1018a,1019aはクレードルの突起部を保持するホルダ、1020は回転体の上部枠、1018b、1019bはホルダ1018a,1019aに設けられたクレードル吊り下げ用の溝、1018,1019はクレードルの突起部でホルダ1018a,1019aの溝1018b、1019bに入れてホルダ1018a,1019aにクレードル1016,1017を保持する連結ピン,1021〜1024は回転体1010の回転時にクレードルを支えるためにホルダ1018a,1019aに取り付けられている支持棒、1370は回転板である。
【0045】
図22で、クレードル1016,1017は、洗浄・乾燥用の光学部品保持具の上面部分1014a,1015aが(洗浄・乾燥用の光学部品保持具が平行平板のときは、同様に、前記クレードルの底面も)、回転軸1011の回転中心となる中心軸線A1−A2にそれぞれ平行になるように、かつ、洗浄・乾燥用の光学部品保持具の上面部分1014a,1015aの中央における前記中心軸線A1−A2を中心とする仮想の円筒の外側面の接平面(図示せず)にそれぞれ平行になるように、さらに、回転体1010の中心軸線であるA1−A2に対して対称に配置されており、洗浄・乾燥用の光学部品保持具に載置した洗浄後の光学部品を、回転軸1011を中心にして回転体全体を回転させることによって洗浄した光学部品に残った洗浄液を除去して光学部品を乾燥させるようになっている。
【0046】
しかし、本発明の発明者等の調査の結果、図20と図22を用いて説明したような従来の乾燥方法では、洗浄液の残りをワークから完全に除去することが出来ないうえに、スピン乾燥装置の回転を止めると、残った洗浄液がワークを濡らしてしまうことが多く、それが多層膜フィルターなどのワークにシミなどを作ってしまうため、良好な洗浄・乾燥が出来なかった。
【0047】
そのため、従来は残った水分を除去するために多層膜フィルターなどのワークをピンセットで注意深くつまみ、クリーニングペーパーや綿棒などで水分を拭き取る手作業を必要としていた。
【0048】
図23および図24は従来の光学部品の洗浄・乾燥方法における残留洗浄液のふき取り方法について説明するための模式図である。
【0049】
図23および図24において、符号400はワーク、501は綿棒、502,503は綿棒501の端部、504は綿棒の動く方向を示す矢印、510はハンドラップ、511は有機溶剤、512はハンドラップの皿部、513はピンセット、514は管である。 図23で、ハンドラップ510の内部には有機溶剤511が入っており、皿部512をたとえば綿棒501の端部502もしくは503で押し下げると、有機溶剤511は管514を毛管現象によって皿部512まで上がり、綿棒501の端部502もしくは503に適量の有機溶剤511を付けることが出来る。
【0050】
図24で、ワーク400をピンセット513によってつまみ、有機溶剤をしみこませた綿棒501の端部502もしくは503を矢印504の方向へ動かしながら、ワーク400の光学面401と402を拭いて清浄にすることが出来る。
【0051】
また、綿棒501に有機溶剤を付けないでワーク400をふき、水分をワーク400から除去することも出来る。
【0052】
図23および図24を用いて説明したような洗浄・乾燥方法は、図12〜図22を用いて説明したような方法では洗浄・乾燥出来ないものの洗浄・乾燥に用いられることが多い。しかし、一辺が8mm以下のように小さなワーク、たとえば、光通信に通常用いられている光学面が1.4mm角の薄いフィルタのような場合、ワークが非常に小さくて、これをピンセットで掴みながら水分をふき取ったりする作業は非常に困難な作業である。
【0053】
この拭き作業は、非常に高度な熟練を要し、満足した品質特性を得るためには、数ヶ月の作業者トレーニングが必要であった。そして、この拭き作業を収得した作業者が行った場合でも、作業効率が悪く、高々20個/時間の多層膜フィルターしか清浄にすることが出来なかった。
【0054】
従来の洗浄・乾燥用の光学部品保持具の図20に示した例とは異なる例が、特開2000−249466(以下,特許文献2という)に記載されている。特許文献2には,パレットに設けられたすり鉢状の貫通穴に光学部品を入れて乾燥を行うことが記載されている(特許文献2の図1〜図3参照)。そして、特許文献2の図2,図5〜図7には前記穴に蓋を取り付けた断面図が記載されており,前記蓋には,適当にあけられた穴が設けられている。この蓋の穴に関しては,空気をすり鉢状貫通穴に流すこと以外の特別の作用は記載されていない。
【0055】
本発明の発明者らは,特許文献2のような光学部品保持具を用いて前記と同様な洗浄と乾燥を行ったが、良好な洗浄および乾燥を行うことができず、手拭き作業が不可欠であった。さらに,光学部品によっては損傷を生じてしまい,光学部品の着脱がしにくいなど、大きな問題があることがわかった。
【0056】
本発明の発明者等の調査の結果、従来の光学部品保持具を用いて洗浄された光学部品の乾燥を行うに当たり、乾燥方法を種々変えてみたが、真に好ましい洗浄・乾燥を行うには、光学部品保持具の改善が不可欠であることがわかった。
【0057】
また、寸法・材質などの異なる光学部品を超音波洗浄し、スピン乾燥するには、寸法・材質などの異なる光学部品毎に、それぞれの光学部品の寸法・材質などに合った従来の光学部品保持具を用いて洗浄・乾燥を行わなければならず、一度に洗浄・乾燥する各一種類の光学部品の数が少ない場合には、各光学部品の専有面積のムダが多くなり、洗浄・乾燥工程の作業コストが高くなるばかりでなく、多種類の光学部品保持具を用いるためのコストも高くなるという大きな問題を有していた。
【0058】
【特許文献1】特開平6−208093
【特許文献2】特開2000−249466
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0059】
以上説明したように、長時間の作業者トレーニングが不可欠で高度な熟練を要する拭き作業を不可欠とせず、一度に多数の光学部品を乾燥することが出来て、しかも一度に多種類の光学部品を乾燥することが出来、光学部品としての性能を満足に発揮することができるような清浄な光学面を有する光学部品を量産出来る乾燥用の光学部品保持具の実現が強く望まれていた。
【0060】
本発明はこのような点に鑑みて成されたものであり、本発明の目的の一つは、長時間の作業者トレーニングが必要で高度な熟練を要する手拭き作業を不可欠とせず、小型の光学部品の場合でも、一度に多数の洗浄後の光学部品を良好な状態に乾燥することが可能で、しかも一度に多種類の洗浄後の光学部品を1つの光学部品保持具で良好な状態に乾燥することも可能で、取扱い易い乾燥に適した光学部品保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0061】
本発明は前記の課題を解決せんとしてなされたものである。
【0062】
請求項1に記載の本発明の光学部品保持具は、光学部品の洗浄と洗浄した光学部品のスピン乾燥の少なくとも一方に使用することができる光学部品保持具で、前記光学部品保持具は、前記光学部品保持具の表側に表側周縁部とその内側にある光学部品保持部形成部を有しており、前記表側周縁部には、表側外側周縁部とその内側に隣接して形成されている表側内側周縁部の2種類の周縁部が形成されているとともに、前記表側外側周縁部と前記表側内側周縁部が前記光学部品保持具の表側表面に垂直な方向における高さの異なる2段形状(以下、表側2段形状ともいう)になっており、前記表側2段形状は、当該光学部品保持具の表面から裏面に向かう方向を高さの低い方向と定義して、前記表側外側周縁部が前記表側内側周縁部よりも高さが低く形成されており、前記光学部品保持部形成部には、被洗浄物あるいは被乾燥物としての光学部品を載置して保持することができる光学部品保持部を複数個有しており、複数の前記光学部品保持部は、そこに保持される光学部品を載置することができる光学部品載置部を有しているとともに、それぞれ隣にある他の光学部品保持部と互いに区別される仕切部を有しており、前記光学部品載置部には前記光学部品載置部の表側すなわち前記光学部品を載置する側から前記光学部品を載置する側とは反対側(以下、光学部品保持具の裏側ともいう)まで貫通して形成されているとともにその開口部が前記光学部品載置部の一方の端部から他方の端部まで形成されている貫通孔が少なくとも3つ形成されており、前記貫通孔の少なくとも3つの貫通孔のうちの2つは、前記光学部品載置部において、各貫通孔の開口部が細長い形状をしているとともに、前記貫通孔の開口部の細長い方の一辺の全体が前記光学部品載置部の対向する両端部のうちのいずれかの端部にそれぞれ接して形成されており、少なくとも1つの前記光学部品保持部が、光学部品保持部の少なくとも一方向の寸法を変えることができる光学部品保持部(以下、可変光学部品保持部ともいう)として形成されており、前記可変光学部品保持部の少なくとも一方向の寸法を変える手段が着脱可能な仕切部(以下、可変仕切部ともいう)による手段であり、前記光学部品保持具の裏側の裏側周縁部は高さの異なる裏側外側周縁部とその内側に隣接して形成されている裏側内側周縁部の2段形状(以下、裏側2段形状ともいう)になっており、前記裏側2段形状は、高さの定義を前記表側2段形状の場合と同じとして、前記裏側外側周縁部が前記裏側内側周縁部よりも高さが低く、すなわち、前記光学部品保持具の裏面において前記裏側外側周縁部から前記裏側内側周縁部が窪んでいるように形成されており、前記裏側内側周縁部の内側に前記光学部品保持部の貫通孔が形成されており、前記表側内側周縁部は前記裏側内側周縁部の内側に挿入することが出来る形状と寸法に形成されており、異なる2つの前記光学部品保持具を、一方の前記光学部品保持具の前記表側内側周縁部を他方の前記光学部品保持具の前記裏側内側周縁部に対向させて、前記一方の光学部品保持具の前記表側内側周縁部に形成されている凸部を前記他方の光学部品保持具の前記裏側内側周縁部に形成されている裏面凹部にはめ込んで接続することができる構造になっており、前記光学部品保持部が形成されている位置よりも外側にある前記表側内側周縁部には、細長い開口部を有し、前記表側内側周縁部から前記裏側内側周縁部に貫通している貫通孔(以下、内側周縁部貫通孔ともいう)が複数個形成されていることを特徴とする光学部品保持具である。
【0063】
請求項2に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項1に記載の光学部品保持具において、前記表側内側周縁部に複数のピン状の凸部と前記ピン状の凸部をはめ込むことができる複数の穴などの凹部(以下、表面凹部ともいう)が形成されており、前記光学部品保持具の表面の前記凸部が形成されている位置の裏面には、前記ピン状の凸部をはめ込むことができる穴などの凹部(以下、裏面凹部ともいう)が形成されており、前記表面の凸部をその裏側に形成されている前記裏面凹部にはめ込んで、2枚の前記光学部品保持具を重ねて結合させることができる構造になっていることを特徴とする光学部品保持具である。
【0064】
請求項3に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項2に記載の光学部品保持具において、異なる2つの前記光学部品保持具を、一方の前記光学部品保持具の光学部品保持部が形成されている表側を上側にして、他方の前記光学部品保持具は光学部品保持部が形成されている表側を下側にして、2つの前記光学部品保持具を重ね合わせたときに、前記一方の光学部品保持具の前記表側内側周縁部に形成されている凸部を前記他方の光学部品保持具の前記表側内側周縁部に形成されている表面凹部にはめ込んで、接続することができる構造になっていることを特徴とする光学部品保持具である。
【0065】
請求項4に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項1〜3のいずれかに記載の光学部品保持具において、2つの前記光学部品保持具を重ね合わせたときに、少なくとも一方の光学部品保持具の前記光学部品保持部形成部の表面あるいはその裏面と前記他方の光学部品保持具の前記光学部品保持部形成部の表面との間に0.1〜0.5mmのギャップができる構造になっていることを特徴とする光学部品保持具である。
【0066】
請求項5に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項1〜4のいずれかに記載の光学部品保持具において、少なくとも1つの前記可変光学部品保持部の、前記光学部品載置部の上方から見た輪郭形状が四角形であることを特徴とする光学部品保持具である。
【0067】
請求項6に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項1〜5のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記光学部品保持部の上方から見た前記光学部品保持具は、その一方の方向(以下、縦方向ともいう)に、前記可変光学部品保持部が、固定されている仕切部(以下、固定仕切部ともいう)によって仕切られて、複数列配置されており、前記可変光学部品保持部は、前記光学部品保持具の縦方向におおむね直交する方向(以下、横方向ともいう)に前記可変仕切部を移動して配置することができる構造になっていることを特徴とする光学部品保持具である。
【0068】
請求項7に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項1〜6のいずれかに記載の光学部品保持具において、光学部品保持部の前記仕切部には前記可変仕切部を圧入して装着することができる取付部(以下、可変仕切部取付部ともいう)が設けられていることを特徴とする光学部品保持具である。
【0069】
請求項8に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項1〜7のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記光学部品保持部形成部が平行平板状であることを特徴とする光学部品保持具である。
【0070】
請求項9に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項1〜8のいずれかに記載の光学部品保持具において、少なくとも3つの前記貫通孔が、前記可変仕切部に平行な方向に、当該光学部品載置部の一端から他端に至る開口部を有するように形成されていることを特徴とする光学部品保持具である。
【0071】
請求項10に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項1〜9のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記光学部品保持部の全ての貫通孔の光学部品載置部表面における開口部が互いに平行に形成されていることを特徴とする光学部品保持具である。
【0072】
請求項11に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項1〜10のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記貫通孔が光学部品載置部表面から光学部品保持具の裏側まで、おおむね一様な貫通孔であることを特徴とする光学部品保持具である。
【0073】
請求項12に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項1〜11のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記可変仕切部の前記可変仕切部取付部に装着する部分には、前記可変仕切部取付部に挿入することが出来る凸部(以下、係合凸部ともいう)が設けられていることを特徴とする光学部品保持具である。
【0074】
請求項13に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項12に記載の光学部品保持具において、前記係合凸部の前記可変仕切部取付部に装着する部分の外形が円筒の側面の一部を有する形状であることを特徴とする光学部品保持具である。
【0075】
請求項14に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項12に記載の光学部品保持具において、前記係合凸部の前記可変仕切部取付部に装着する部分の外形が球面の一部であることを特徴とする光学部品保持具である。
【0076】
請求項15に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項1〜14のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記可変仕切部の前記光学部品保持部の底部に当接する部分の形状が、光学部品保持部の底部の前記可変仕切部の底部に当接する部分の形状と同じ形状であることを特徴とする光学部品保持具である。
【0077】
請求項16に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項1〜15のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記裏側外側周縁部の少なくとも一部に前記裏側外側周縁部の内側すなわち前記裏側内側周縁部から前記裏側外側周縁部の外側に達するように形成された溝(以下、裏側外側周縁部溝ともいう)が形成されており、前記裏側外側周縁部溝の深さは当該裏側内側周縁部の表面よりも浅くないことを特徴とする光学部品保持具である。
【0078】
請求項17に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項16に記載の光学部品保持具において、前記光学部品保持具を表側表面から見た輪郭形状が、隅の切欠部の有無などの細部構造を除いておおむね四角形であることを特徴とする光学部品保持具である。
【0079】
請求項18に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項17に記載の光学部品保持具において、前記裏側外側周縁部溝が前記裏側外側周縁部の四隅に形成されていることを特徴とする光学部品保持具である。
【0080】
請求項19に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項1〜18のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記光学部品保持具が樹脂の一体成形技術を用いて形成されていることを特徴とする光学部品保持具である。
【0081】
請求項20に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項19に記載の光学部品保持具において、前記樹脂がABSであることを特徴とする光学部品保持具である。
【0082】
請求項21に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項19に記載の光学部品保持具において、前記樹脂がポリアセタール樹脂であることを特徴とする光学部品保持具である。
【0083】
請求項22に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項19に記載の光学部品保持具において、前記樹脂がポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂であることを特徴とする光学部品保持具である。
【発明の効果】
【0084】
以上説明したように、本発明の光学部品保持具をスピン乾燥に使用することにより、従来は手拭き工程を使わなければ到底乾燥することができなかった洗浄後の小型の光学部品のスピン乾燥を、手拭き工程を不可欠とせずに、寸法などが異なる光学部品を含めて、一度に大量に短時間で、高い品質で乾燥することができるようになり、さらに、複数種類の光学部品の洗浄・乾燥を一つの光学部品保持具でできるようにもなった。
【0085】
そして、本発明の光学部品保持具を用いた洗浄・乾燥によって、極めて高品質な清浄な光学面を有する光学部品の製造歩留まりを大幅に向上させることができ、製造コストを大幅に低減することができるようになった。
【0086】
さらに、本発明の光学部品保持具は、搬送に有利な構造になっており、乾燥後にコンパクトに耐衝撃性のパッケージをして、清浄な光学部品の搬送にも用いることができるという大きな利点を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0087】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の例について説明する。なお、説明に用いる各図は本発明の例を理解できる程度に各構成成分の寸法、形状、配置関係などを概略的に示してある。そして本発明の説明の都合上、部分的に拡大率を変えて図示する場合もあり、本発明の例の説明に用いる図は、必ずしも実施例などの実物や記述と相似形でない場合もある。また、各図において、同様な構成成分については同一の番号を付けて示し、重複する説明を省略することもある。
【0088】
図1〜図11は本発明の実施の形態例としての、可変仕切部を用いた可変光学部品保持部を有する光学部品保持具250を説明する図でである。
【0089】
図1は光学部品保持具250を光学部品を光学部品保持部に挿入する側すなわち表側から見て光学部品保持具250の構成を説明する図、図2は、光学部品保持具250を光学部品を光学部品保持部に挿入する側とは反対側すなわち裏側から見て光学部品保持具250の構成を説明する図で、図1のB1−B2を軸に裏返した状態の図である。
【0090】
図1と図2で、符号250は本発明の実施の形態例としての光学部品保持具、251は基板、251aは基板251の表側、201a1は表側外側周縁部、201a2は表側内側周縁部、201a3は光学部品保持部形成部、251bは基板251の裏側、201b1は裏側外側周縁部、201b2は裏側内側周縁部、201b3は光学部品保持部形成部の裏側、203b1〜203b4は基板裏側のコーナー部に設けられた裏側外側周縁部溝、204は基板251の表面の表側内側周縁部201a2のコーナー部に設けられた穴などの表面凹部、204bは表面凹部204の基板裏面側、205は基板251の表面の表側内側周縁部201a2のコーナー部に設けられたピン状の凸部、205bは基板表面の凸部205の裏側である基板裏面に形成された穴などの裏面凹部、206aは基板251の表面251aの光学部品保持部形成部201a3の範囲を示す線(図1では破線で、また後述の図3、図5,図6では実線で示してある)、206bは基板251の裏面251bにおける光学部品保持部形成部の裏側201b3の範囲を示す線(図2では破線で示してある)、207a〜207lは内側周縁部貫通孔である。
【0091】
図3は光学部品保持部形成部201a3の平面図、図4は図3のB3−B4の位置の断面図、図5は光学部品保持具の部分拡大図で可変仕切部取付部260に可変仕切部256を取り付けた状態の平面図、図6は光学部品保持具の部分拡大図で可変仕切部取付部260に可変仕切部を取り付けていない状態の平面図、図7と図8は光学部品保持具250のコーナー部の部分拡大断面図である。
【0092】
図3〜図8で、符号204aは表面凹部の周縁部、205b1は裏面凹部205bの周縁部、252,252a,252b,252cは可変光学部品保持部、252f,252gは光学部品載置部のたとえば可変仕切部取付部260に可変仕切部256を取り付けたときに、その可変仕切部256に直交する方向の周縁部、254a〜254dは光学部品載置部の島部(以下、島部それぞれをあるいはそれらを総称して島部254ともいう)、254e〜254gは可変仕切部取付位置に形成されている島部、255a〜255eは光学部品載置部の貫通孔(以下、貫通孔それぞれをあるいはそれらを総称して貫通孔255ともいう)、256は可変仕切部、260は可変仕切部取付部である。
【0093】
光学部品保持具250は、その表側すなわち表面251aに、図1のように、表側周縁部とその内側にある光学部品保持部形成部201a3を有しており、前記表側周縁部には、表側外側周縁部201a1とその内側に隣接して形成されている表側内側周縁部201a2の2種類の周縁部が形成されているとともに、表側外側周縁部201a1と表側内側周縁部201a2が光学部品保持具の表側表面に垂直な方向における高さの異なる2段形状(表側2段形状)になっており、前記表側2段形状は、前記のように当該光学部品保持具の表面から裏面に向かう方向を高さの低い方向と定義して、表側外側周縁部201a1が表側内側周縁部201a2よりも高さが低く形成されている。
【0094】
光学部品保持具250を側面から見た形状は、表側内側周縁部201a2と光学部品保持部形成部201a3が表側外側周縁部201a1から突出した形状に形成されている。表側内側周縁部201a2と光学部品保持部形成部201a3の部分は平行平板になっている。この形状は、複数の光学部品保持具を重ねて使用するときに、条件を設定しやすく、洗浄・乾燥品質を高めることができ、量産において大きな効果を発揮するものである。
【0095】
光学部品保持具250を真上から見た形状は、輪郭が四角形で、表側外側周縁部201a1とその内側に隣接して形成されている表側内側周縁部201a2とその内側に隣接して形成されている光学部品保持部形成部201a3の輪郭も四角形である。
【0096】
光学部品保持具250の輪郭の四角形と光学部品保持部形成部201a3の輪郭の四角形はいずれも正方形にすることが特に好ましく、同形状・寸法の光学部品保持具250を複数枚重ねて用いる場合に好適である。
【0097】
光学部品保持具250の表側内側周縁部201a2の内側の光学部品保持部形成部201a3には、複数の光学部品保持部が形成されており、それぞれ隣にある他の光学部品保持部と互いに区別される仕切部を有している。
【0098】
光学部品保持部形成部201a3に形成されている複数の光学部品保持部は、後述するように、被洗浄物あるいは被乾燥物としての光学部品を載置して保持することができる可変光学部品保持部を複数個有り、可変光学部品保持部は、そこに保持される光学部品を載置することができる光学部品載置部を有しており、前記光学部品載置部には前記光学部品載置部の表側すなわち光学部品を載置する側から光学部品を載置する側とは反対側すなわち光学部品保持具の裏側まで貫通して形成されている貫通孔が少なくとも3つ形成されている。
【0099】
表側内側周縁部201a2の各辺には、細長い開口部を有する内側周縁部貫通孔207a〜207lが図1と図2のように形成されている。この内側周縁部貫通孔207a〜207lの開口部は、長方形の両端部に半円を継ぎ足したような形状の、細長い形状に形成されている。
【0100】
内側周縁部貫通孔207a〜207lは表側内側周縁部201a2からその裏側の裏側内側周縁部201b2まで一様な断面で貫通して形成されている。
【0101】
表側内側周縁部201a2には複数の(この場合は2本の)ピン状の凸部205と前記ピン状の凸部をはめ込むことができる複数の(この場合は2個の)穴などの凹部すなわち表面凹部204が形成されている。2本のピン状の凸部205ならびに2個の表面凹部204はそれぞれ表側内側周縁部201a2の対角線上にあるコーナー部に形成されている。
【0102】
光学部品保持具250の裏側の裏側周縁部は高さの異なる裏側外側周縁部201b1とその内側に隣接して形成されている裏側内側周縁部201b2の2段形状(裏側2段形状)になっており、前記裏側2段形状は、高さの定義を前記表側2段形状の場合と同じとして、裏側外側周縁部201b1が裏側内側周縁部201b2よりも高さが低く、すなわち、光学部品保持具250を図2のように裏返した状態で、光学部品保持具の裏側すなわち裏面251bにおいて裏側外側周縁部201b1から裏側内側周縁部201b2が窪んでいるように形成されており、裏側内側周縁部201b2の内側に光学部品保持部の貫通孔が形成されている。
【0103】
光学部品保持具250の表面のピン状の凸部205が形成されている位置の裏面には、前記ピン状の凸部をはめ込むことができる穴などの凹部すなわち裏面凹部205bが形成されており、もう一枚の光学部品保持具250の表面の凸部205を裏面凹部205bにはめ込んで、2枚の光学部品保持具250を重ねて結合させることができる構造になっている。
【0104】
すなわち、同一形状寸法の2つの光学部品保持具250を、その表側を同じ方向にして重ねたとき、一方の光学部品保持具の表側内側周縁部を他方の光学部品保持具の裏側内側周縁部の内側に挿入することが出来る形状と寸法に形成されており、2つの前記光学部品保持具を、一方の光学部品保持具の表側内側周縁部を他方の光学部品保持具の裏側内側周縁部に対向させて、一方の光学部品保持具の表側内側周縁部のコーナー部に形成されている凸部205を他方の光学部品保持具の裏側内側周縁部に形成されている裏面凹部205bにはめ込んで接続することができる構造になっている。
【0105】
このとき、表面凹部204の周縁部204aと裏面凹部205bの周縁部205b1の後述する構造とその作用によって、2枚の重ねられた光学部品保持具250のうちの一方の光学部品保持具250の裏側の、表側内側周縁部201a2および光学部品保持部形成部201a3が形成されている部分の裏側と他方の光学部品保持具250の表側内側周縁部201a2および光学部品保持部形成部201a3との間に適当なギャップが形成され、スピン乾燥時の洗浄液除去効果を一層高めることができる。
【0106】
光学部品保持具を複数枚重ねる用い方における前記2つの基板の間のギャップ(間隔)の好適な例として、前記ギャップを0.1〜0.5mmにしたときに、極めて良好な光学部品の洗浄・乾燥を行うことができた。前記2つの基板の間のギャップを0.1mm以上にすると本発明者等のスピン乾燥における水切れ効果が大きく好ましいが、前記ギャップを0.5mmよりも大きくすると、ワークの形状・寸法によっては、ギャップからワークが飛び出してしまう恐れがあり、0.1〜0.5mmは特に好ましいギャップである。
【0107】
光学部品保持具250の裏面251bには、裏側外側周縁部201b1の少なくとも一部に、図2のように、裏側外側周縁部201b1の内側の裏側内側周縁部から裏側外側周縁部の外側に達するように形成された溝である裏側外側周縁部溝203b1〜203b4が形成されており、裏側外側周縁部溝の深さは当該裏側内側周縁部の表面よりも浅くないように形成されており、スピン乾燥時の洗浄液除去効果を高めている。
【0108】
裏側外側周縁部溝203b1〜203b4は裏側外側周縁部201b1の四隅に図2に示したように形成されている。
【0109】
図1,図2に示した光学部品保持具250は正方形の輪郭形状を有しており、隅に切欠部を有している。
【0110】
光学部品保持具250は、図3のように、可変光学部品保持部252が基板251の表側251aに凹部として7列、基板251の表側251aの縦方向に形成されている。各列の可変光学部品保持部252は、図のように、横方向の6カ所に各一対の可変仕切部取付部260を有しており、必要な位置の可変仕切部取付部260に可変仕切部256を取り付けて、必要な大きさの光学部品保持部を形成することができるようになっている。
【0111】
可変光学部品保持部252の横方向の端部とその直近の可変仕切部取付部260の間で形成される光学部品保持部あるいは隣り合った2つの可変仕切部取付部260の間で形成される光学部品保持部がこの例の場合の最小の大きさの光学部品保持部となり、この最小の大きさの光学部品保持部を、この例の場合、単位光学部品保持部と称することにする。
【0112】
図3の例では、各列の可変光学部品保持部252で、図の右側から2番目と3番目の可変仕切部取付部260に可変仕切部256を取り付けて、各列の可変光学部品保持部252を、2つの単位光学部品保持部を横方向に連結した状態の可変光学部品保持部252a、1つの単位光学部品保持部から成る可変光学部品保持部252b、4つの単位光学部品保持部を横方向に連結した状態の可変光学部品保持部252cの3種類の光学部品保持部に分割している。各列の可変光学部品保持部252a,252b,252cの光学部品載置部の形状は同じ形状で、そこに載置された光学部品が各単位光学部品保持部間の境で傷が付かない形状になっている。
【0113】
各列の可変光学部品保持部252a,252b,252cにはそれぞれの寸法に適した光学部品を挿入して、超音波洗浄とスピン乾燥を行うことができる。
【0114】
図3に示した可変仕切部256は、7列の可変光学部品保持部252すべてを一つの可変仕切部で仕切ることができるように形成されているが、本発明は、もちろんこれに狭く限定されるものではなく、たとえば、1列の可変光学部品保持部252だけを仕切ることができる長さの可変仕切部として形成しても良い。このようにすることで、横方向寸法が単位光学部品保持部の任意の整数倍の光学部品保持部を、各列に任意に形成することができる。また、複数列の可変光学部品保持部252を一つの可変仕切部で仕切ることができるように形成した可変仕切部を形成しておき、これを用いて、あるいは複数種類の可変仕切部を適宜組み合わせて用いて、前記と同様にして必要な寸法の光学部品保持部を形成することができる。このような可変光学部品保持部を有する光学部品保持具は、多種少量品種の光学部品の効率の良い洗浄・乾燥を行うことができ、また、同じ光学部品保持具を同一種類の多数の光学部品の量産における洗浄・乾燥に用いることもできる。
【0115】
図3〜図6に示したように、各光学部品載置部には、可変光学部品保持部の縦方向に平行な開口部を有する複数の貫通孔とその間に島部が形成されている。前記島部は、各単位光学部品保持部の光学部品載置部を形成している島部254a〜254dと、各単位光学部品保持部の間の可変仕切部を装着したときにその下に位置する島部254e〜254gの2種類があり、各島部254a〜254dならびに254e〜254gはそれぞれ互いに平行に形成されている。
【0116】
光学部品載置部の貫通孔255a〜255eの開口部は、互いに平行に形成されている。
【0117】
光学部品載置部の貫通孔255a〜255eは、長方形の開口部を有する細長い形状の開口部の貫通孔である。
【0118】
光学部品載置部の貫通孔255a〜255eは、図示のように四角形の光学部品保持部の光学部品載置部の、互いに対向する周縁部(たとえば、図3に符号252fと252gで示した辺)の間に、一方の周縁部(端部)から他方の周縁部に至るまで連続した開口部を有して形成されている。貫通孔255aと貫通孔255eは、符号252fと252gで示した光学部品載置部の前記互いに対向する周縁部とは別の互いに対向する周縁部(たとえば、可変仕切部取付部260に可変仕切部256を取り付けたときに、その可変仕切部256に平行な周縁部)に、その細長い形状の開口部の細長い方の1辺が接するように形成されている。この場合、実際には貫通孔255aの一部は可変仕切部の下に入り込むように形成されることもあるが、本発明では、本発明の技術思想からも明らかなように、その場合の貫通孔255aは、上方から見て可変仕切部に接するところまでを貫通孔255aと定義することにし、貫通孔の可変仕切部の下に入り込む部分は、貫通孔255aと一体化された別の貫通孔と定義することにする。
【0119】
貫通孔255a〜255eの断面の形状は、光学部品載置部の表面から裏面までおおむね一様な断面に形成されている。
【0120】
光学部品載置部の貫通孔のこれらの特徴は、スピン乾燥における洗浄残液除去効果に極めて良好な結果をもたらすものである。
【0121】
図5は可変仕切部取付部260に可変仕切部256を取り付けた状態の光学部品保持具の部分拡大図で、各貫通孔と各島部が交互に互いに平行に形成されており、可変仕切部が各貫通孔と各島部に平行に形成されている。
【0122】
図6は可変仕切部取付部260に可変仕切部256を取り付けていない状態の光学部品保持具の部分拡大図で、各貫通孔と各島部が交互に互いに平行に形成されている。
【0123】
図7と図8は光学部品保持具250のコーナー部の部分拡大断面図である。
【0124】
表面凹部204の周縁部204aはその周りの符号204a2で示した部分よりも所定寸法だけ突出して形成されている。符号204a2で示した部分は、平行平板状の表側内側周縁部201a2および光学部品保持部形成部201a3と同じ高さに形成されている。
【0125】
裏面凹部205bの周縁部205b1はその周りの符号205b2で示した部分よりも所定寸法だけ突出して形成されている。符号205b2で示した部分は、平行平板状の裏側内側周縁部201b2および光学部品保持部形成部の裏側202bと同じ高さに形成されている。
【0126】
表面凹部204の周縁部204aの符号204a2で示した部分からの突出量(寸法)と裏面凹部205bの周縁部205b1の符号205b2で示した部分からの突出量(寸法とは同じ寸法である。
【0127】
前記のように、表面凹部204と表面の凸部205が2対ずつ、表側内側周縁部201a2のコーナー部にそれぞれ対角線状に形成されており、同一形状・寸法の光学部品保持具250を2枚、前記のように、一方の光学部品保持具250の裏側を他方の光学部品保持具250の表側に重ねたときに、凸部205が裏面凹部205bに入って2枚の光学部品保持具250が少し持ち上げられない限り、簡単にはずれないようになっている。このとき、裏面凹部205bの周縁部205b1と基板の表面および裏面凹部205bの周縁部205b1と基板の裏面の高さの差によって、重ねられた2枚の光学部品保持具の間に前記所定のギャップが保たれるようになっている。
【0128】
また、本発明の光学部品保持具を複数重ねて用いるときの各光学部品保持具の間に形成させるギャップの作り方は、前記の例に狭く限定されず、種々のバリエーションを可能とするものである。
【0129】
図9〜図11は可変仕切部の係合凸部の例を説明する図で、図9は可変仕切部の端部近傍を、光学部品保持具に取り付けたときの上方から見た平面図、図10は可変仕切部の端部近傍を図9の矢印256eの方向から見た側面図、図11は可変仕切部の端部近傍の側面図で図10の例とは別の例を説明する図である。図9で,図の上方の線を直線で示してあるが、部分的に切り取った線で、端面を意味するのではない。
【0130】
図9〜図11で、符号256aは可変仕切部を構成する仕切板、256bは基板251に設けられた可変仕切部取付部260に可変仕切部256を取り付ける係合凸部、256b1は球状の係合凸部、256b2は円筒状の係合凸部、256cは可変仕切部を構成する仕切板の上面、256dは可変仕切部を構成する仕切板の下面である。
【0131】
図10の側面図は、可変仕切部256が平板状の仕切り板256aの係合凸部として半球状の係合凸部256b1を設けた板で構成されている例である。その上面256c、すなわち、可変仕切部取付部260に可変仕切部256を取り付けたときに、光学部品保持部の上側になる表面は平面状に形成されており、下面256dは、光学部品載置部の形状と同じ形状に形成されている。そして、可変仕切部256を可変仕切部取付部260に取り付けたときに、可変仕切部256の下面256dの下に大きな隙間ができて、そこから被洗浄・乾燥物である光学部品が向け出さないように、各寸法が決められている。
【0132】
図10に示したように、可変仕切部256の下面256dの、半球状の係合凸部256bの位置の下の形状は、可変仕切部取付部260の形状に合わせて平坦に形成されている。
【0133】
可変仕切部256の係合凸部256bは、平板状の仕切り板256aの両側面に等間隔に形成されており、両側の係合凸部256bの頂点間の寸法は、それを取り付ける可変仕切部取付部260の幅よりもわずかに大きく形成されている。
【0134】
図11は、可変仕切部の係合凸部の他の例を説明する側面図である。
【0135】
図11のように、係合凸部256b2は、円筒の上と下に半球を取り付けた状態のものを両半球を上下にして縦方向に2分割した形状をしている。
【0136】
可変仕切部の係合凸部の形状は、取り付けやすく、不用意に外れにくいことが寛容であり、前記球状や円筒状や長円を回転したような形状は条件に好適なものである。
【0137】
可変仕切部256は可変仕切部取付部260に軽く圧入して装着できることが好ましく、装着したら洗浄・乾燥工程で外れないことが重要である。しかも、着脱が容易なことが好ましい。この観点から、半球面状の係合凸部256b1や円筒面状の係合凸部256b2は好適である。
【0138】
図1〜図11を用いて説明した光学部品保持具に各種類の光学部品を複数個保持して、超音波洗浄とスピン乾燥を行ったところ、従来のように手拭き作業に頼ることなく、量産レベルでの、シミのない、極めて良好な洗浄・乾燥結果を得た。このような光学部品の洗浄・乾燥は、従来は手拭き作業に頼らざるを得なかったもので、光学部品が小型の場合は特に難航していたものである。
【0139】
図1〜図11を用いて説明した光学部品保持具は樹脂を用いて一体成形したものを用いることができ、光学部品の洗浄・乾燥の品質を高めることができ、作業コストを安くすることができるのみならず、光学部品保持具の製造コストを安くすることができる。
【0140】
前記樹脂の好ましい例として、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ABS樹脂、ポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂をあげることができる。これらの樹脂は、スピン乾燥効果を高めることができ、前2者は製造コストが安く、ポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂
は効果であるが、精度を高めることができる。
【0141】
光学部品保持部の外周部は、そこに入れて洗浄や乾燥を行う光学部品の載置部に載置される部分の最大寸法よりも、10%以上大きく形成しておくと、洗浄・乾燥時に光学部品が適宜動いて、たとえばスピン乾燥時に貫通孔の開口部を塞がないようになり水切れ効果を妨げないように作用するなど、適切な状態で洗浄や乾燥が行われ、洗浄・乾燥効果を一層高めることができる。なお、前記10%以上大きくとは、10%程度大きいのが特に良いという意味ではない。
【0142】
以上、図面を参照しながら本発明の実施の形態例を説明したが、本発明はこれに狭く限定されるものではなく、多くのバリエーションを可能とするものである。
【産業上の利用可能性】
【0143】
以上説明したように、本発明により、従来は手拭き工程を使わなければ到底乾燥することができなかった洗浄後の小型の光学部品のスピン乾燥を、手拭き工程を不可避とせずに、一度に大量に短時間で高い品質で乾燥することができるようになり、また、多種類の光学部品を一つの光学部品保持具に混在させて保持して同時に洗浄・乾燥を行うこともできるようになった。
【0144】
さらに、本発明の光学部品保持具は、洗浄と乾燥を一環工程で行うことができるとともに、乾燥後にコンパクトにパッケージして、清浄な光学部品の搬送にも用いることができるという大きな利点を有するものである。
【0145】
本発明は光通信分野に限らず、カメラ業界、携帯電話業界、眼鏡業界など工業上広い範囲で多大な効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の実施の形態例としての光学部品保持具の表側の構成を説明する図である。
【図2】本発明の実施の形態例としての光学部品保持具の裏側の構成を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態例としての光学部品保持具の光学部品保持部形成部の平面図である。
【図4】本発明の実施の形態例としての光学部品保持具の、図3におけるB3−B4の位置の断面図である。
【図5】本発明の実施の形態例としての光学部品保持具の部分拡大図で、可変仕切部取付部に可変仕切部を取り付けた状態の平面図である。
【図6】本発明の実施の形態例としての光学部品保持具の部分拡大図で、可変仕切部取付部に可変仕切部を取り付けていない状態の平面図である。
【図7】本発明の実施の形態例としての光学部品保持具のコーナー部の部分拡大断面図である。
【図8】本発明の実施の形態例としての光学部品保持具のコーナー部の部分拡大断面図である。
【図9】本発明の実施の形態例としての光学部品保持具の可変仕切部の係合凸部の例を説明する平面図である。
【図10】本発明の実施の形態例としての光学部品保持具の可変仕切部の係合凸部の例を説明する側面図である。
【図11】本発明の実施の形態例としての光学部品保持具の可変仕切部の係合凸部の例を説明する側面図である。
【図12】従来のスピン乾燥装置の要部をモデル的に示した斜視図である。
【図13】ワークの3点支持による保持方法について説明する図である。
【図14】光学部品支持部品の例を説明するための図で、光学部品支持部品1本の斜視図である。
【図15】図14の光学部品支持部品を直線Y1−Y2の位置で切った断面から斜めに見た図である。
【図16】図14の光学部品支持部品3本でワークを保持している状態を説明するための図である。
【図17】光学部品支持部品の例を説明するための図で、光学部品支持部品一本の斜視図である。
【図18】図17の光学部品支持部品3本でワークを保持している状態を説明する図である。
【図19】ワークと支持部品の接触状態を説明するための図である。
【図20】従来の洗浄・乾燥用の光学部品保持具の斜視図である。
【図21】クレードルについて説明する図である。図中、(A)はクレードルを上方から見た図、(B)はクレードルを手前から見た図、(C)はクレードルを右側方から見た図である。
【図22】従来のスピン乾燥装置を説明するための断面図である。
【図23】従来の光学部品の洗浄・乾燥方法における残留洗浄液の手拭き作業を説明する図である。
【図24】従来の光学部品の洗浄・乾燥方法における残留洗浄液の手拭き作業を説明する図である。
【符号の説明】
【0147】
201a1:表側外側周縁部
201a2:表側内側周縁部
201a3:光学部品保持部形成部
201b1:裏側外側周縁部
201b2:裏側内側周縁部
201b3:光学部品保持部形成部の裏側
203b1〜203b4:裏側外側周縁部溝
204:表面凹部
204a:表面凹部の周縁部
204b:表面凹部の基板裏面側
205:基板表面のピン状の凸部
205b:基板表面の凸部の裏側の裏面凹部
205b1:裏面凹部の周縁部
206a:光学部品保持部形成部の範囲を示す線
206b:光学部品保持部形成部の裏側の範囲を示す線
207a〜207l:内側周縁部貫通孔
250,1014,1015,1355:光学部品保持具
251:基板
251a:基板の表側
251b:基板の裏側
252,252a,252b,252c:可変光学部品保持部
252f,252g:光学部品載置部の可変仕切部に直交する方向の周縁部
254,254a〜254d:光学部品載置部の島部
254e〜254g:可変仕切部取付部の底部に形成されている島部
255,255a〜255e,1356b:貫通孔
256:可変仕切部
256a:可変仕切部を構成する仕切板
256b,256b1,256b2:可変仕切部に設けられた係合凸部
256c:可変仕切部を構成する仕切板の上面
256d:可変仕切部を構成する仕切板の下面
260:可変仕切部取付部
400,1331:ワーク(光学部品)
501:綿棒
502,503:綿棒の端部
504,1316:矢印
510:ハンドラップ
511:有機溶剤
512:皿部
513:ピンセット
514:管
800,1016,1017:クレードル
830:取っ手部分
1010,1303:回転体
1011:回転軸
1012a,1012b,1013a,1013b:固定ネジ
1020:上部枠
1018,1019:連結ピン
1018a,1019a,1310〜1313:ホルダ
1018b,1019b:溝
1021〜1024,1315:支持棒
1301:スピン乾燥装置
1370:回転板
1310c、1311c、1312c、1313c:側壁
1310a,1310b,1311a,1311b,1312a,1312b,1313a,1313b:クレードル設置用溝
1332〜1334,1340,1350:光学部品支持部品(光学部品支持棒)
1356:光学部品挿入部
1356a:光学部品載置枠
【技術分野】
【0001】
本発明は光学部品の洗浄や洗浄した後に被洗浄物に付着している洗浄液を除去する乾燥のいずれかまたは双方に用いることができる光学部品保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信では、光アイソレーター、サーキュレーター、WDM、フィルター等の様々なモジュールが使用されるが これらのモジュールには水晶、方解石等の結晶や多層膜フィルター等が組み込まれている。
【0003】
通常、アイソレータ、フィルター等のモジュールは、たとえば光ファイバーからモジュールに入力された光を、たとえば多層膜フィルター等に入力させて、透過、反射、分離、および屈折等の光学現象を利用することにより、モジュールの機能を実現させている。フィルター等の表面が汚れていると、光ファイバーからモジュールに入力された光が汚れたフィルター等の表面で減衰したり乱反射したりして結合損失が増大したり、モジュールの機能を損なってしまうことがある。モジュールに用いる光学部品の表面の清浄度はモジュールの品質上きわめて重要である。
【0004】
このため、これらの光学部品の洗浄には多くの工夫が施されてきた。
【0005】
従来は、たとえば3本の棒状の支持部品で多数の光学部品を3方向から3点支持(以下、支持を保持ともいう)をしたり、光学部品を光学部品挿入部を有する光学部品保持具(前記光学部品保持具は、ケースと呼称するのが適切な場合もあるが、以下、そのような場合も、そして、前記のような3点支持をするように棒状の支持部品を組み合わせて構成した保持部品も、特に必要な場合を除き光学部品保持具とも称する)で保持して超音波洗浄機で光学部品の汚れを落とし、光学部品の表面を清浄にして後、スピン乾燥機で付着した洗浄液を除去しようとしていた。しかし、光学部品の最大面の大きさが8mm角(すなわち、一辺の寸法が8mmの正方形)以下のような小さいものを洗浄する際には、従来の3点支持をする治具で光学部品を支持して洗浄すると、支持部品で光学部品を確実に支持するには支持部品の強度を保つために支持部品をあまり細くすることができないため、超音波洗浄するときに、光学部品の支持部品の陰になった部分に超音波が効果的に当たらずに光学部品の汚れが残ってしまったり、洗浄中や洗浄後の乾燥時に光学部品が欠落することがある上に、洗浄の仕上げ工程としてのいわゆる水切り工程、すなわち光学部品に付着した洗浄液を除去する乾燥工程で、洗浄残液を完全に取り去ることが出来ず、そのままでは光学部品の汚れとして残ってしまい、正常なモジュールを構成するのに用いることができない光学部品が多発してしまうという大問題があった。
【0006】
そのため、実際には、光学部品をモジュールに実装するときに、あるいは洗浄後に、1個ずつ専用のピンセットなどで光学部品を持ち、その表面を溶剤を浸したクリーニングペーパーや綿棒などで拭き上げる拭き作業に頼らざるを得なかった。
【0007】
この光学部品の拭き作業は、光学部品を1個ずつピンセットで注意深くつかみ、純水や有機溶剤等をつけたクリーニングペーパーや綿棒で汚れを拭き取る作業で、一辺が11mmぐらいの大きな光学部品の場合でも高度な熟練を要する難しい時間のかかる作業であるが、特に、表面を清浄にする光学部品の大きさが1mm角前後のように小さい場合には、非常に高度な熟練を要し、満足な品質特性を有するように光学部品を清浄にすることが出来るようになるためには、少なくとも数ヶ月の訓練が必要であった。この拭き作業は作業効率が悪く、多層膜フィルタの例では、1時間に20個程度しか清浄にすることが出来なかった。
【0008】
光学部品の洗浄においては、洗浄液中で光学部品に付着している汚れを除去する工程は当然重要な洗浄工程であるが、洗浄工程のあとに光学部品に付着している洗浄液(超純水も含めて洗浄液または洗剤という)を除去する乾燥工程も洗浄の重要な工程である。
【0009】
図12は、この乾燥工程に使用される従来のスピン乾燥機の要部をモデル的に示した図である。
【0010】
図12で、符号1301は従来のスピン乾燥装置、1302はスピン乾燥装置1301の外枠、1303はスピン乾燥装置1301を構成する回転させることが出来る回転板を有する回転体、1310〜1313は回転体1303の回転板に取り付けられたホルダで被乾燥物としての光学部品(以下、ワークとも称する)を保持した乾燥用の光学部品保持具や光学部品保持具を保持した保持枠(以下、クレードルともいう)(たとえば、図21,図22に図示)を保持するためのホルダ、1310c、1311c、1312c、1313cはそれぞれホルダ1310〜1313の側壁、1310a,1310b,1311a,1311b,1312a,1312b,1313a,1313bはそれぞれ側壁1310c、1311c、1312c,1313cに設けられたクレードル設置用溝、1315は前記クレードルの位置決めのための支持棒、1316は回転方向を示す矢印、1320はスピン乾燥装置の蓋、1323は蓋1320に設けられた送風口、1322は送風口に取り付けられているフィルタである。
【0011】
図12で、ホルダ1310〜1313は回転体1303にネジなどで固定された状態で保持されている。
【0012】
図12のようなスピン乾燥装置で、洗浄したワークのスピン乾燥を行う際は、ワークを保持した光学部品保持具を入れたクレードルを、クレードルに設けられた突起部(図22に図示)をホルダ1310〜1313のそれぞれのクレードル設置用溝1310a,1310b,1311a,1311b,1312a,1312b,1313a,1313bに挿入してホルダ1310〜1313のそれぞれに配置した後に、回転体1303をたとえば矢印1316の方向に回転させることによってスピン乾燥を行う。このとき、回転体に装着されたクレードルの底面は、図22のように、回転体の回転により与えられる遠心力に対してクレードルが最も安定に保持されるように、回転体の回転により与えられる遠心力の方向に直交するように前記ホルダに取り付けられるようになっている。
【0013】
ワークの3点支持による保持方法については、たとえば、特開平6−208093(以下、特許文献1という)にも記載されており、その細部についてはあまり詳細でないが、図と文章からおおむね知ることができる。
【0014】
図13〜図16は、ワークの3点支持による保持方法について説明する図で、特許文献1と完全に同じではないが、本発明の発明者等の分類では同種の技術思想に基づくワークの3点支持による保持方法ということができるもので、現在光学部品の洗浄・乾燥に使用されているものである。
【0015】
図13は、ワークの3点支持による保持方法について説明する図である。
【0016】
図13で、符号1331は被乾燥物としてのワーク、1332〜1334はワーク1331を固定するための光学部品支持部品である。
【0017】
図13で光学部品支持部品1332および1334は、ワーク1331の側面の両辺のおおよそ中央にそれぞれ配置されており、光学部品支持部品1333は光学部品支持部品1332と1334を結ぶ線分の垂直2等分線近傍の光学部品側面に配置されている。
【0018】
図13において、ワーク1331を洗浄・乾燥する際には、ワークを固定するための光学部品支持部品1332〜1334の接触面積が可能な限り少ない方が良いとされている。
【0019】
図14〜図16は、図13の光学部品支持部品の例を説明するための図で、図14は1本の光学部品支持部品の斜視図、図15は図14の光学部品支持部品を図14の直線Y1−Y2で切った断面から斜めに見た図、図16は図14の光学部品支持部品がワークを保持している状態を説明するための図である。
【0020】
図14〜図16で、符号1340は従来の光学部品支持部品、1341は光学部品支持部品1340を構成する支柱、1342は支柱1341の端部に設けられたネジ、1343は光学部品支持部品1340を構成する支持板、1341a,1341bは支柱1341の溝に入れた支持板1343をカシメによって固定しているカシメ部分、1344は支持板1343に形成されたV字溝である。
【0021】
図14および図15に示した光学部品支持部品1340には支柱1341の先端部にネジ1342が設けられており、図示しないが、複数本の光学部品支持部品1340を支持部品取り付け枠に光学部品を保持するのに適当な間隔で固定できるように形成して洗浄・乾燥用の光学部品保持具が構成されている。また、支持板1343はフッ素樹脂で形成されており、ある程度の弾力性を有しており、形状が図示の如くV字型の溝を有するノコギリの刃状に形成されている。前記V字型の溝は、同一形状・寸法の溝が、同一光学部品保持具として使用する全ての支柱1341の長手方向の同じ位置に設けられている。
【0022】
図16で、ワーク1331は、水平方向の左右に2つとそれに直交する方向の1つの計3つの方向から3つの光学部品支持部品1340の支持板1343のV字形の溝部分によって支えられている。
【0023】
図14〜図16を用いて説明したような光学部品支持部品を用いてワーク1331を固定した場合、支持板1343のワークを支持する部分がV字型の溝形状に形成されているために、ワーク1331は3方の側面の稜線部分だけが支持板1343のV字型の溝に支持されており、支持板1343との接触面積が比較的小さいように緩く固定される。
【0024】
しかし、図14〜図16を用いて説明したような光学部品支持部品1340の支持板1343は、フッ素樹脂であるテトラフルオロエチレン(たとえば、商標名、テフロン)で形成されていることなどから、一辺が10mm以上のあまり重くないワークしか固定することが出来ず、これ以下の小さいワークに関しては別の方法で保持しなければならなかった。
【0025】
図17および図18は光学部品支持部品の図14〜図16を用いて説明した例とは別の従来例を説明する図で、特許文献1とは異なる例である。
【0026】
図17は1本の光学部品支持部品の斜視図、図18は図17の光学部品支持部品3本によってワークが固定(緩く固定)されている状態を説明するための図である。
【0027】
図17および図18で、符号1350は光学部品支持部品、1351は光学部品支持部品1350を構成する支柱、1353は支柱1351に設けられたワークを固定するためのV字形の溝である。
【0028】
図17で、支柱1351は円柱形であり、直径は6mm〜10mmである。また、溝1353は同一形状・寸法の溝が一定の間隔で支柱1351に、支柱1351の長さ方向に切った断面がV字形の溝として設けられている。
【0029】
図18で、ワーク1331は支柱1351に形成された溝1353の部分にワーク1331の一部を入れることによって緩く固定されている。この場合、図中のワーク1331の左右の辺は、中央より少し上の方を支持されている。この緩く固定されているという状態は、ワークをピンセットなどで注意して持ち、たとえば、3点支持の光学部品支持部品として組み上げられた3本の支柱1351に形成された溝1353の部分にワーク1331の一部を入れて保持したとき、ワークを超音波洗浄したり、スピン乾燥したりしたときに、ワークが溝1353の部分から抜け出すことはないが、ワークをピンセットなどで持って溝1353の部分から取り出したり、ワークを溝1353の部分に挿入したりすることが出来る程度に固定されているという意味である。以下、3点支持の記述において、特に断らない場合には、このような緩く固定することを、単に、固定するあるいは束縛するともいう。図16と図18に示した保持の状態も、この緩く固定した状態である。
【0030】
図19は、ワーク1331が光学部品支持部品によって固定されているときのワークと光学部品支持部品との接触状態を説明するための図であり、図18の矢印1354の方向から見た図である。
【0031】
図19でワーク1331は、支柱1351に形成された溝1353が作る斜面に接することによって緩く固定されている。
【0032】
図17および図18を用いて説明したような光学部品支持部品を用いてワークを固定した場合、支柱1351が円柱形に構成されているため、溝1353の部分も円柱形となっており、ワークとの接触面積が極めて少なくて済む。しかし、ワークの一辺が8mm以下である場合、図19からもわかるように支柱1351がワークに非常に近い位置にある状態でワークを固定することになるため、洗浄する際にワークに支柱1351の影の部分になる部分が生じ、超音波を効果的にワークに当てることが出来ず、洗浄自体がうまくいかないという欠点があった。
【0033】
支持板1343をカシメによって固定する支柱1341や溝1353が形成された支柱1351は、機械加工によって1本ずつ加工されているのが現状である。支柱の材料としてはステンレス鋼や、加工によって溝をつけた金属に樹脂をコーティングしたものが多く用いられている。樹脂だけでつくった支柱は、強度に問題があり、溝を付けた金属や溝を付けた金属に樹脂をコートしたものが主に用いられていた。
【0034】
以上説明したように、従来は、ワークが小さい場合は光学部品支持部品によってワークを固定できなかったり、固定できた場合でもワークを効果的に洗浄することが出来ないという大きな問題があった。
【0035】
そのため、小さなワークを洗浄・乾燥する際には、通常、ワークを図20で後述するような洗浄治具に収納した後に、洗浄治具をクレードルなどに入れて、前記のようにスピン乾燥装置に装着して洗浄・乾燥する方法が採られている。
【0036】
図20は、従来の洗浄・乾燥用の光学部品保持具の斜視図である。
【0037】
図20で、符号1355は従来の洗浄・乾燥用の光学部品保持具、1356はワークを入れるための光学部品挿入部である。光学部品挿入部1356は穴状になっており、穴の底部の周縁部にはそこに挿入した光学部品を保持するための光学部品載置枠1356aが設けられており、その内側に洗浄液を通過させるための貫通孔1356bが設けられている。この貫通孔1356bの直径はワークより十分小さく、光学部品載置枠1356aの中央部に設けられている。
【0038】
図20からも推察できるように、光学部品保持具1355の基本的な技術思想は、光学部品を3点支持のように緩く固定せずに光学部品載置枠1356aに載置し、洗浄・乾燥中に光学部品の特に重要なところである光学面の重要部分を貫通孔1356bのところで周囲のものと非接触に保つことができるように考慮しているところにある。
【0039】
図20のような洗浄・乾燥用の光学部品保持具を用いて洗浄と乾燥を行うときは、光学部品挿入部にワークを入れて、光学部品保持具ごとクレードルなどに入れて洗浄装置やスピン乾燥装置の所定位置に載置する。
【0040】
図21は、洗浄や乾燥工程において用いられているクレードルについて説明する図である。図21中の(A)はクレードルを上方から見た図、(B)はクレードルを手前から見た図、(C)はクレードルを右側方から見た図で、点線801〜804でそれらの対応する位置関係を示してある。
【0041】
図21で、符号800はクレードル、811〜814はクレードルの側壁、820と821は側壁812と813の下部につけられているピン、830はクレードル800をもつときに用いる取っ手部分、852〜855はそれぞれ側壁811〜814の内側の下方(すなわち、クレードルの底部)に設けられた支柱、851は洗浄・乾燥用の光学部品保持具を載置する載置部で支柱852〜854に固定されている。クレードル800は、たとえばステンレス鋼製のものを用いることができる。
【0042】
図21で、光学部品を保持した洗浄・乾燥用の光学部品保持具をクレードル800に入れて洗浄した光学部品のスピン乾燥を行う場合、洗浄・乾燥用の光学部品保持具を載置部851の上に載置して、クレードルをスピン乾燥装置に装着する。載置部851は、これに限定されないが、クレードルの下方、たとえばピン820,821の位置よりわずかに上に形成しておき、平行平板の洗浄・乾燥用の光学部品保持具を用いる場合は、スピン乾燥装置の回転体に装着した状態のクレードルの底面と載置部851と平行平板の洗浄・乾燥用の光学部品保持具の表面と裏面がすべて平行になるように形成しておくと取扱上好都合である。
【0043】
図22は従来のスピン乾燥装置を説明するための断面図である。
【0044】
図22において、符号1010はスピン乾燥装置の回転体、1011は回転体1010を回転させるときの回転軸、1012a,1012b,1013a,1013bは回転体1010と回転軸1011を連結・固定する固定ネジ、1014,1015は乾燥するワークを入れて保持する洗浄・乾燥用の光学部品保持具、1016,1017はワークを載置し保持する洗浄・乾燥用の光学部品保持具1014,1015を載置するクレードル、1018a,1019aはクレードルの突起部を保持するホルダ、1020は回転体の上部枠、1018b、1019bはホルダ1018a,1019aに設けられたクレードル吊り下げ用の溝、1018,1019はクレードルの突起部でホルダ1018a,1019aの溝1018b、1019bに入れてホルダ1018a,1019aにクレードル1016,1017を保持する連結ピン,1021〜1024は回転体1010の回転時にクレードルを支えるためにホルダ1018a,1019aに取り付けられている支持棒、1370は回転板である。
【0045】
図22で、クレードル1016,1017は、洗浄・乾燥用の光学部品保持具の上面部分1014a,1015aが(洗浄・乾燥用の光学部品保持具が平行平板のときは、同様に、前記クレードルの底面も)、回転軸1011の回転中心となる中心軸線A1−A2にそれぞれ平行になるように、かつ、洗浄・乾燥用の光学部品保持具の上面部分1014a,1015aの中央における前記中心軸線A1−A2を中心とする仮想の円筒の外側面の接平面(図示せず)にそれぞれ平行になるように、さらに、回転体1010の中心軸線であるA1−A2に対して対称に配置されており、洗浄・乾燥用の光学部品保持具に載置した洗浄後の光学部品を、回転軸1011を中心にして回転体全体を回転させることによって洗浄した光学部品に残った洗浄液を除去して光学部品を乾燥させるようになっている。
【0046】
しかし、本発明の発明者等の調査の結果、図20と図22を用いて説明したような従来の乾燥方法では、洗浄液の残りをワークから完全に除去することが出来ないうえに、スピン乾燥装置の回転を止めると、残った洗浄液がワークを濡らしてしまうことが多く、それが多層膜フィルターなどのワークにシミなどを作ってしまうため、良好な洗浄・乾燥が出来なかった。
【0047】
そのため、従来は残った水分を除去するために多層膜フィルターなどのワークをピンセットで注意深くつまみ、クリーニングペーパーや綿棒などで水分を拭き取る手作業を必要としていた。
【0048】
図23および図24は従来の光学部品の洗浄・乾燥方法における残留洗浄液のふき取り方法について説明するための模式図である。
【0049】
図23および図24において、符号400はワーク、501は綿棒、502,503は綿棒501の端部、504は綿棒の動く方向を示す矢印、510はハンドラップ、511は有機溶剤、512はハンドラップの皿部、513はピンセット、514は管である。 図23で、ハンドラップ510の内部には有機溶剤511が入っており、皿部512をたとえば綿棒501の端部502もしくは503で押し下げると、有機溶剤511は管514を毛管現象によって皿部512まで上がり、綿棒501の端部502もしくは503に適量の有機溶剤511を付けることが出来る。
【0050】
図24で、ワーク400をピンセット513によってつまみ、有機溶剤をしみこませた綿棒501の端部502もしくは503を矢印504の方向へ動かしながら、ワーク400の光学面401と402を拭いて清浄にすることが出来る。
【0051】
また、綿棒501に有機溶剤を付けないでワーク400をふき、水分をワーク400から除去することも出来る。
【0052】
図23および図24を用いて説明したような洗浄・乾燥方法は、図12〜図22を用いて説明したような方法では洗浄・乾燥出来ないものの洗浄・乾燥に用いられることが多い。しかし、一辺が8mm以下のように小さなワーク、たとえば、光通信に通常用いられている光学面が1.4mm角の薄いフィルタのような場合、ワークが非常に小さくて、これをピンセットで掴みながら水分をふき取ったりする作業は非常に困難な作業である。
【0053】
この拭き作業は、非常に高度な熟練を要し、満足した品質特性を得るためには、数ヶ月の作業者トレーニングが必要であった。そして、この拭き作業を収得した作業者が行った場合でも、作業効率が悪く、高々20個/時間の多層膜フィルターしか清浄にすることが出来なかった。
【0054】
従来の洗浄・乾燥用の光学部品保持具の図20に示した例とは異なる例が、特開2000−249466(以下,特許文献2という)に記載されている。特許文献2には,パレットに設けられたすり鉢状の貫通穴に光学部品を入れて乾燥を行うことが記載されている(特許文献2の図1〜図3参照)。そして、特許文献2の図2,図5〜図7には前記穴に蓋を取り付けた断面図が記載されており,前記蓋には,適当にあけられた穴が設けられている。この蓋の穴に関しては,空気をすり鉢状貫通穴に流すこと以外の特別の作用は記載されていない。
【0055】
本発明の発明者らは,特許文献2のような光学部品保持具を用いて前記と同様な洗浄と乾燥を行ったが、良好な洗浄および乾燥を行うことができず、手拭き作業が不可欠であった。さらに,光学部品によっては損傷を生じてしまい,光学部品の着脱がしにくいなど、大きな問題があることがわかった。
【0056】
本発明の発明者等の調査の結果、従来の光学部品保持具を用いて洗浄された光学部品の乾燥を行うに当たり、乾燥方法を種々変えてみたが、真に好ましい洗浄・乾燥を行うには、光学部品保持具の改善が不可欠であることがわかった。
【0057】
また、寸法・材質などの異なる光学部品を超音波洗浄し、スピン乾燥するには、寸法・材質などの異なる光学部品毎に、それぞれの光学部品の寸法・材質などに合った従来の光学部品保持具を用いて洗浄・乾燥を行わなければならず、一度に洗浄・乾燥する各一種類の光学部品の数が少ない場合には、各光学部品の専有面積のムダが多くなり、洗浄・乾燥工程の作業コストが高くなるばかりでなく、多種類の光学部品保持具を用いるためのコストも高くなるという大きな問題を有していた。
【0058】
【特許文献1】特開平6−208093
【特許文献2】特開2000−249466
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0059】
以上説明したように、長時間の作業者トレーニングが不可欠で高度な熟練を要する拭き作業を不可欠とせず、一度に多数の光学部品を乾燥することが出来て、しかも一度に多種類の光学部品を乾燥することが出来、光学部品としての性能を満足に発揮することができるような清浄な光学面を有する光学部品を量産出来る乾燥用の光学部品保持具の実現が強く望まれていた。
【0060】
本発明はこのような点に鑑みて成されたものであり、本発明の目的の一つは、長時間の作業者トレーニングが必要で高度な熟練を要する手拭き作業を不可欠とせず、小型の光学部品の場合でも、一度に多数の洗浄後の光学部品を良好な状態に乾燥することが可能で、しかも一度に多種類の洗浄後の光学部品を1つの光学部品保持具で良好な状態に乾燥することも可能で、取扱い易い乾燥に適した光学部品保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0061】
本発明は前記の課題を解決せんとしてなされたものである。
【0062】
請求項1に記載の本発明の光学部品保持具は、光学部品の洗浄と洗浄した光学部品のスピン乾燥の少なくとも一方に使用することができる光学部品保持具で、前記光学部品保持具は、前記光学部品保持具の表側に表側周縁部とその内側にある光学部品保持部形成部を有しており、前記表側周縁部には、表側外側周縁部とその内側に隣接して形成されている表側内側周縁部の2種類の周縁部が形成されているとともに、前記表側外側周縁部と前記表側内側周縁部が前記光学部品保持具の表側表面に垂直な方向における高さの異なる2段形状(以下、表側2段形状ともいう)になっており、前記表側2段形状は、当該光学部品保持具の表面から裏面に向かう方向を高さの低い方向と定義して、前記表側外側周縁部が前記表側内側周縁部よりも高さが低く形成されており、前記光学部品保持部形成部には、被洗浄物あるいは被乾燥物としての光学部品を載置して保持することができる光学部品保持部を複数個有しており、複数の前記光学部品保持部は、そこに保持される光学部品を載置することができる光学部品載置部を有しているとともに、それぞれ隣にある他の光学部品保持部と互いに区別される仕切部を有しており、前記光学部品載置部には前記光学部品載置部の表側すなわち前記光学部品を載置する側から前記光学部品を載置する側とは反対側(以下、光学部品保持具の裏側ともいう)まで貫通して形成されているとともにその開口部が前記光学部品載置部の一方の端部から他方の端部まで形成されている貫通孔が少なくとも3つ形成されており、前記貫通孔の少なくとも3つの貫通孔のうちの2つは、前記光学部品載置部において、各貫通孔の開口部が細長い形状をしているとともに、前記貫通孔の開口部の細長い方の一辺の全体が前記光学部品載置部の対向する両端部のうちのいずれかの端部にそれぞれ接して形成されており、少なくとも1つの前記光学部品保持部が、光学部品保持部の少なくとも一方向の寸法を変えることができる光学部品保持部(以下、可変光学部品保持部ともいう)として形成されており、前記可変光学部品保持部の少なくとも一方向の寸法を変える手段が着脱可能な仕切部(以下、可変仕切部ともいう)による手段であり、前記光学部品保持具の裏側の裏側周縁部は高さの異なる裏側外側周縁部とその内側に隣接して形成されている裏側内側周縁部の2段形状(以下、裏側2段形状ともいう)になっており、前記裏側2段形状は、高さの定義を前記表側2段形状の場合と同じとして、前記裏側外側周縁部が前記裏側内側周縁部よりも高さが低く、すなわち、前記光学部品保持具の裏面において前記裏側外側周縁部から前記裏側内側周縁部が窪んでいるように形成されており、前記裏側内側周縁部の内側に前記光学部品保持部の貫通孔が形成されており、前記表側内側周縁部は前記裏側内側周縁部の内側に挿入することが出来る形状と寸法に形成されており、異なる2つの前記光学部品保持具を、一方の前記光学部品保持具の前記表側内側周縁部を他方の前記光学部品保持具の前記裏側内側周縁部に対向させて、前記一方の光学部品保持具の前記表側内側周縁部に形成されている凸部を前記他方の光学部品保持具の前記裏側内側周縁部に形成されている裏面凹部にはめ込んで接続することができる構造になっており、前記光学部品保持部が形成されている位置よりも外側にある前記表側内側周縁部には、細長い開口部を有し、前記表側内側周縁部から前記裏側内側周縁部に貫通している貫通孔(以下、内側周縁部貫通孔ともいう)が複数個形成されていることを特徴とする光学部品保持具である。
【0063】
請求項2に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項1に記載の光学部品保持具において、前記表側内側周縁部に複数のピン状の凸部と前記ピン状の凸部をはめ込むことができる複数の穴などの凹部(以下、表面凹部ともいう)が形成されており、前記光学部品保持具の表面の前記凸部が形成されている位置の裏面には、前記ピン状の凸部をはめ込むことができる穴などの凹部(以下、裏面凹部ともいう)が形成されており、前記表面の凸部をその裏側に形成されている前記裏面凹部にはめ込んで、2枚の前記光学部品保持具を重ねて結合させることができる構造になっていることを特徴とする光学部品保持具である。
【0064】
請求項3に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項2に記載の光学部品保持具において、異なる2つの前記光学部品保持具を、一方の前記光学部品保持具の光学部品保持部が形成されている表側を上側にして、他方の前記光学部品保持具は光学部品保持部が形成されている表側を下側にして、2つの前記光学部品保持具を重ね合わせたときに、前記一方の光学部品保持具の前記表側内側周縁部に形成されている凸部を前記他方の光学部品保持具の前記表側内側周縁部に形成されている表面凹部にはめ込んで、接続することができる構造になっていることを特徴とする光学部品保持具である。
【0065】
請求項4に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項1〜3のいずれかに記載の光学部品保持具において、2つの前記光学部品保持具を重ね合わせたときに、少なくとも一方の光学部品保持具の前記光学部品保持部形成部の表面あるいはその裏面と前記他方の光学部品保持具の前記光学部品保持部形成部の表面との間に0.1〜0.5mmのギャップができる構造になっていることを特徴とする光学部品保持具である。
【0066】
請求項5に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項1〜4のいずれかに記載の光学部品保持具において、少なくとも1つの前記可変光学部品保持部の、前記光学部品載置部の上方から見た輪郭形状が四角形であることを特徴とする光学部品保持具である。
【0067】
請求項6に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項1〜5のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記光学部品保持部の上方から見た前記光学部品保持具は、その一方の方向(以下、縦方向ともいう)に、前記可変光学部品保持部が、固定されている仕切部(以下、固定仕切部ともいう)によって仕切られて、複数列配置されており、前記可変光学部品保持部は、前記光学部品保持具の縦方向におおむね直交する方向(以下、横方向ともいう)に前記可変仕切部を移動して配置することができる構造になっていることを特徴とする光学部品保持具である。
【0068】
請求項7に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項1〜6のいずれかに記載の光学部品保持具において、光学部品保持部の前記仕切部には前記可変仕切部を圧入して装着することができる取付部(以下、可変仕切部取付部ともいう)が設けられていることを特徴とする光学部品保持具である。
【0069】
請求項8に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項1〜7のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記光学部品保持部形成部が平行平板状であることを特徴とする光学部品保持具である。
【0070】
請求項9に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項1〜8のいずれかに記載の光学部品保持具において、少なくとも3つの前記貫通孔が、前記可変仕切部に平行な方向に、当該光学部品載置部の一端から他端に至る開口部を有するように形成されていることを特徴とする光学部品保持具である。
【0071】
請求項10に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項1〜9のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記光学部品保持部の全ての貫通孔の光学部品載置部表面における開口部が互いに平行に形成されていることを特徴とする光学部品保持具である。
【0072】
請求項11に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項1〜10のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記貫通孔が光学部品載置部表面から光学部品保持具の裏側まで、おおむね一様な貫通孔であることを特徴とする光学部品保持具である。
【0073】
請求項12に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項1〜11のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記可変仕切部の前記可変仕切部取付部に装着する部分には、前記可変仕切部取付部に挿入することが出来る凸部(以下、係合凸部ともいう)が設けられていることを特徴とする光学部品保持具である。
【0074】
請求項13に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項12に記載の光学部品保持具において、前記係合凸部の前記可変仕切部取付部に装着する部分の外形が円筒の側面の一部を有する形状であることを特徴とする光学部品保持具である。
【0075】
請求項14に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項12に記載の光学部品保持具において、前記係合凸部の前記可変仕切部取付部に装着する部分の外形が球面の一部であることを特徴とする光学部品保持具である。
【0076】
請求項15に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項1〜14のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記可変仕切部の前記光学部品保持部の底部に当接する部分の形状が、光学部品保持部の底部の前記可変仕切部の底部に当接する部分の形状と同じ形状であることを特徴とする光学部品保持具である。
【0077】
請求項16に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項1〜15のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記裏側外側周縁部の少なくとも一部に前記裏側外側周縁部の内側すなわち前記裏側内側周縁部から前記裏側外側周縁部の外側に達するように形成された溝(以下、裏側外側周縁部溝ともいう)が形成されており、前記裏側外側周縁部溝の深さは当該裏側内側周縁部の表面よりも浅くないことを特徴とする光学部品保持具である。
【0078】
請求項17に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項16に記載の光学部品保持具において、前記光学部品保持具を表側表面から見た輪郭形状が、隅の切欠部の有無などの細部構造を除いておおむね四角形であることを特徴とする光学部品保持具である。
【0079】
請求項18に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項17に記載の光学部品保持具において、前記裏側外側周縁部溝が前記裏側外側周縁部の四隅に形成されていることを特徴とする光学部品保持具である。
【0080】
請求項19に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項1〜18のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記光学部品保持具が樹脂の一体成形技術を用いて形成されていることを特徴とする光学部品保持具である。
【0081】
請求項20に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項19に記載の光学部品保持具において、前記樹脂がABSであることを特徴とする光学部品保持具である。
【0082】
請求項21に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項19に記載の光学部品保持具において、前記樹脂がポリアセタール樹脂であることを特徴とする光学部品保持具である。
【0083】
請求項22に記載の本発明の光学部品保持具は、請求項19に記載の光学部品保持具において、前記樹脂がポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂であることを特徴とする光学部品保持具である。
【発明の効果】
【0084】
以上説明したように、本発明の光学部品保持具をスピン乾燥に使用することにより、従来は手拭き工程を使わなければ到底乾燥することができなかった洗浄後の小型の光学部品のスピン乾燥を、手拭き工程を不可欠とせずに、寸法などが異なる光学部品を含めて、一度に大量に短時間で、高い品質で乾燥することができるようになり、さらに、複数種類の光学部品の洗浄・乾燥を一つの光学部品保持具でできるようにもなった。
【0085】
そして、本発明の光学部品保持具を用いた洗浄・乾燥によって、極めて高品質な清浄な光学面を有する光学部品の製造歩留まりを大幅に向上させることができ、製造コストを大幅に低減することができるようになった。
【0086】
さらに、本発明の光学部品保持具は、搬送に有利な構造になっており、乾燥後にコンパクトに耐衝撃性のパッケージをして、清浄な光学部品の搬送にも用いることができるという大きな利点を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0087】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の例について説明する。なお、説明に用いる各図は本発明の例を理解できる程度に各構成成分の寸法、形状、配置関係などを概略的に示してある。そして本発明の説明の都合上、部分的に拡大率を変えて図示する場合もあり、本発明の例の説明に用いる図は、必ずしも実施例などの実物や記述と相似形でない場合もある。また、各図において、同様な構成成分については同一の番号を付けて示し、重複する説明を省略することもある。
【0088】
図1〜図11は本発明の実施の形態例としての、可変仕切部を用いた可変光学部品保持部を有する光学部品保持具250を説明する図でである。
【0089】
図1は光学部品保持具250を光学部品を光学部品保持部に挿入する側すなわち表側から見て光学部品保持具250の構成を説明する図、図2は、光学部品保持具250を光学部品を光学部品保持部に挿入する側とは反対側すなわち裏側から見て光学部品保持具250の構成を説明する図で、図1のB1−B2を軸に裏返した状態の図である。
【0090】
図1と図2で、符号250は本発明の実施の形態例としての光学部品保持具、251は基板、251aは基板251の表側、201a1は表側外側周縁部、201a2は表側内側周縁部、201a3は光学部品保持部形成部、251bは基板251の裏側、201b1は裏側外側周縁部、201b2は裏側内側周縁部、201b3は光学部品保持部形成部の裏側、203b1〜203b4は基板裏側のコーナー部に設けられた裏側外側周縁部溝、204は基板251の表面の表側内側周縁部201a2のコーナー部に設けられた穴などの表面凹部、204bは表面凹部204の基板裏面側、205は基板251の表面の表側内側周縁部201a2のコーナー部に設けられたピン状の凸部、205bは基板表面の凸部205の裏側である基板裏面に形成された穴などの裏面凹部、206aは基板251の表面251aの光学部品保持部形成部201a3の範囲を示す線(図1では破線で、また後述の図3、図5,図6では実線で示してある)、206bは基板251の裏面251bにおける光学部品保持部形成部の裏側201b3の範囲を示す線(図2では破線で示してある)、207a〜207lは内側周縁部貫通孔である。
【0091】
図3は光学部品保持部形成部201a3の平面図、図4は図3のB3−B4の位置の断面図、図5は光学部品保持具の部分拡大図で可変仕切部取付部260に可変仕切部256を取り付けた状態の平面図、図6は光学部品保持具の部分拡大図で可変仕切部取付部260に可変仕切部を取り付けていない状態の平面図、図7と図8は光学部品保持具250のコーナー部の部分拡大断面図である。
【0092】
図3〜図8で、符号204aは表面凹部の周縁部、205b1は裏面凹部205bの周縁部、252,252a,252b,252cは可変光学部品保持部、252f,252gは光学部品載置部のたとえば可変仕切部取付部260に可変仕切部256を取り付けたときに、その可変仕切部256に直交する方向の周縁部、254a〜254dは光学部品載置部の島部(以下、島部それぞれをあるいはそれらを総称して島部254ともいう)、254e〜254gは可変仕切部取付位置に形成されている島部、255a〜255eは光学部品載置部の貫通孔(以下、貫通孔それぞれをあるいはそれらを総称して貫通孔255ともいう)、256は可変仕切部、260は可変仕切部取付部である。
【0093】
光学部品保持具250は、その表側すなわち表面251aに、図1のように、表側周縁部とその内側にある光学部品保持部形成部201a3を有しており、前記表側周縁部には、表側外側周縁部201a1とその内側に隣接して形成されている表側内側周縁部201a2の2種類の周縁部が形成されているとともに、表側外側周縁部201a1と表側内側周縁部201a2が光学部品保持具の表側表面に垂直な方向における高さの異なる2段形状(表側2段形状)になっており、前記表側2段形状は、前記のように当該光学部品保持具の表面から裏面に向かう方向を高さの低い方向と定義して、表側外側周縁部201a1が表側内側周縁部201a2よりも高さが低く形成されている。
【0094】
光学部品保持具250を側面から見た形状は、表側内側周縁部201a2と光学部品保持部形成部201a3が表側外側周縁部201a1から突出した形状に形成されている。表側内側周縁部201a2と光学部品保持部形成部201a3の部分は平行平板になっている。この形状は、複数の光学部品保持具を重ねて使用するときに、条件を設定しやすく、洗浄・乾燥品質を高めることができ、量産において大きな効果を発揮するものである。
【0095】
光学部品保持具250を真上から見た形状は、輪郭が四角形で、表側外側周縁部201a1とその内側に隣接して形成されている表側内側周縁部201a2とその内側に隣接して形成されている光学部品保持部形成部201a3の輪郭も四角形である。
【0096】
光学部品保持具250の輪郭の四角形と光学部品保持部形成部201a3の輪郭の四角形はいずれも正方形にすることが特に好ましく、同形状・寸法の光学部品保持具250を複数枚重ねて用いる場合に好適である。
【0097】
光学部品保持具250の表側内側周縁部201a2の内側の光学部品保持部形成部201a3には、複数の光学部品保持部が形成されており、それぞれ隣にある他の光学部品保持部と互いに区別される仕切部を有している。
【0098】
光学部品保持部形成部201a3に形成されている複数の光学部品保持部は、後述するように、被洗浄物あるいは被乾燥物としての光学部品を載置して保持することができる可変光学部品保持部を複数個有り、可変光学部品保持部は、そこに保持される光学部品を載置することができる光学部品載置部を有しており、前記光学部品載置部には前記光学部品載置部の表側すなわち光学部品を載置する側から光学部品を載置する側とは反対側すなわち光学部品保持具の裏側まで貫通して形成されている貫通孔が少なくとも3つ形成されている。
【0099】
表側内側周縁部201a2の各辺には、細長い開口部を有する内側周縁部貫通孔207a〜207lが図1と図2のように形成されている。この内側周縁部貫通孔207a〜207lの開口部は、長方形の両端部に半円を継ぎ足したような形状の、細長い形状に形成されている。
【0100】
内側周縁部貫通孔207a〜207lは表側内側周縁部201a2からその裏側の裏側内側周縁部201b2まで一様な断面で貫通して形成されている。
【0101】
表側内側周縁部201a2には複数の(この場合は2本の)ピン状の凸部205と前記ピン状の凸部をはめ込むことができる複数の(この場合は2個の)穴などの凹部すなわち表面凹部204が形成されている。2本のピン状の凸部205ならびに2個の表面凹部204はそれぞれ表側内側周縁部201a2の対角線上にあるコーナー部に形成されている。
【0102】
光学部品保持具250の裏側の裏側周縁部は高さの異なる裏側外側周縁部201b1とその内側に隣接して形成されている裏側内側周縁部201b2の2段形状(裏側2段形状)になっており、前記裏側2段形状は、高さの定義を前記表側2段形状の場合と同じとして、裏側外側周縁部201b1が裏側内側周縁部201b2よりも高さが低く、すなわち、光学部品保持具250を図2のように裏返した状態で、光学部品保持具の裏側すなわち裏面251bにおいて裏側外側周縁部201b1から裏側内側周縁部201b2が窪んでいるように形成されており、裏側内側周縁部201b2の内側に光学部品保持部の貫通孔が形成されている。
【0103】
光学部品保持具250の表面のピン状の凸部205が形成されている位置の裏面には、前記ピン状の凸部をはめ込むことができる穴などの凹部すなわち裏面凹部205bが形成されており、もう一枚の光学部品保持具250の表面の凸部205を裏面凹部205bにはめ込んで、2枚の光学部品保持具250を重ねて結合させることができる構造になっている。
【0104】
すなわち、同一形状寸法の2つの光学部品保持具250を、その表側を同じ方向にして重ねたとき、一方の光学部品保持具の表側内側周縁部を他方の光学部品保持具の裏側内側周縁部の内側に挿入することが出来る形状と寸法に形成されており、2つの前記光学部品保持具を、一方の光学部品保持具の表側内側周縁部を他方の光学部品保持具の裏側内側周縁部に対向させて、一方の光学部品保持具の表側内側周縁部のコーナー部に形成されている凸部205を他方の光学部品保持具の裏側内側周縁部に形成されている裏面凹部205bにはめ込んで接続することができる構造になっている。
【0105】
このとき、表面凹部204の周縁部204aと裏面凹部205bの周縁部205b1の後述する構造とその作用によって、2枚の重ねられた光学部品保持具250のうちの一方の光学部品保持具250の裏側の、表側内側周縁部201a2および光学部品保持部形成部201a3が形成されている部分の裏側と他方の光学部品保持具250の表側内側周縁部201a2および光学部品保持部形成部201a3との間に適当なギャップが形成され、スピン乾燥時の洗浄液除去効果を一層高めることができる。
【0106】
光学部品保持具を複数枚重ねる用い方における前記2つの基板の間のギャップ(間隔)の好適な例として、前記ギャップを0.1〜0.5mmにしたときに、極めて良好な光学部品の洗浄・乾燥を行うことができた。前記2つの基板の間のギャップを0.1mm以上にすると本発明者等のスピン乾燥における水切れ効果が大きく好ましいが、前記ギャップを0.5mmよりも大きくすると、ワークの形状・寸法によっては、ギャップからワークが飛び出してしまう恐れがあり、0.1〜0.5mmは特に好ましいギャップである。
【0107】
光学部品保持具250の裏面251bには、裏側外側周縁部201b1の少なくとも一部に、図2のように、裏側外側周縁部201b1の内側の裏側内側周縁部から裏側外側周縁部の外側に達するように形成された溝である裏側外側周縁部溝203b1〜203b4が形成されており、裏側外側周縁部溝の深さは当該裏側内側周縁部の表面よりも浅くないように形成されており、スピン乾燥時の洗浄液除去効果を高めている。
【0108】
裏側外側周縁部溝203b1〜203b4は裏側外側周縁部201b1の四隅に図2に示したように形成されている。
【0109】
図1,図2に示した光学部品保持具250は正方形の輪郭形状を有しており、隅に切欠部を有している。
【0110】
光学部品保持具250は、図3のように、可変光学部品保持部252が基板251の表側251aに凹部として7列、基板251の表側251aの縦方向に形成されている。各列の可変光学部品保持部252は、図のように、横方向の6カ所に各一対の可変仕切部取付部260を有しており、必要な位置の可変仕切部取付部260に可変仕切部256を取り付けて、必要な大きさの光学部品保持部を形成することができるようになっている。
【0111】
可変光学部品保持部252の横方向の端部とその直近の可変仕切部取付部260の間で形成される光学部品保持部あるいは隣り合った2つの可変仕切部取付部260の間で形成される光学部品保持部がこの例の場合の最小の大きさの光学部品保持部となり、この最小の大きさの光学部品保持部を、この例の場合、単位光学部品保持部と称することにする。
【0112】
図3の例では、各列の可変光学部品保持部252で、図の右側から2番目と3番目の可変仕切部取付部260に可変仕切部256を取り付けて、各列の可変光学部品保持部252を、2つの単位光学部品保持部を横方向に連結した状態の可変光学部品保持部252a、1つの単位光学部品保持部から成る可変光学部品保持部252b、4つの単位光学部品保持部を横方向に連結した状態の可変光学部品保持部252cの3種類の光学部品保持部に分割している。各列の可変光学部品保持部252a,252b,252cの光学部品載置部の形状は同じ形状で、そこに載置された光学部品が各単位光学部品保持部間の境で傷が付かない形状になっている。
【0113】
各列の可変光学部品保持部252a,252b,252cにはそれぞれの寸法に適した光学部品を挿入して、超音波洗浄とスピン乾燥を行うことができる。
【0114】
図3に示した可変仕切部256は、7列の可変光学部品保持部252すべてを一つの可変仕切部で仕切ることができるように形成されているが、本発明は、もちろんこれに狭く限定されるものではなく、たとえば、1列の可変光学部品保持部252だけを仕切ることができる長さの可変仕切部として形成しても良い。このようにすることで、横方向寸法が単位光学部品保持部の任意の整数倍の光学部品保持部を、各列に任意に形成することができる。また、複数列の可変光学部品保持部252を一つの可変仕切部で仕切ることができるように形成した可変仕切部を形成しておき、これを用いて、あるいは複数種類の可変仕切部を適宜組み合わせて用いて、前記と同様にして必要な寸法の光学部品保持部を形成することができる。このような可変光学部品保持部を有する光学部品保持具は、多種少量品種の光学部品の効率の良い洗浄・乾燥を行うことができ、また、同じ光学部品保持具を同一種類の多数の光学部品の量産における洗浄・乾燥に用いることもできる。
【0115】
図3〜図6に示したように、各光学部品載置部には、可変光学部品保持部の縦方向に平行な開口部を有する複数の貫通孔とその間に島部が形成されている。前記島部は、各単位光学部品保持部の光学部品載置部を形成している島部254a〜254dと、各単位光学部品保持部の間の可変仕切部を装着したときにその下に位置する島部254e〜254gの2種類があり、各島部254a〜254dならびに254e〜254gはそれぞれ互いに平行に形成されている。
【0116】
光学部品載置部の貫通孔255a〜255eの開口部は、互いに平行に形成されている。
【0117】
光学部品載置部の貫通孔255a〜255eは、長方形の開口部を有する細長い形状の開口部の貫通孔である。
【0118】
光学部品載置部の貫通孔255a〜255eは、図示のように四角形の光学部品保持部の光学部品載置部の、互いに対向する周縁部(たとえば、図3に符号252fと252gで示した辺)の間に、一方の周縁部(端部)から他方の周縁部に至るまで連続した開口部を有して形成されている。貫通孔255aと貫通孔255eは、符号252fと252gで示した光学部品載置部の前記互いに対向する周縁部とは別の互いに対向する周縁部(たとえば、可変仕切部取付部260に可変仕切部256を取り付けたときに、その可変仕切部256に平行な周縁部)に、その細長い形状の開口部の細長い方の1辺が接するように形成されている。この場合、実際には貫通孔255aの一部は可変仕切部の下に入り込むように形成されることもあるが、本発明では、本発明の技術思想からも明らかなように、その場合の貫通孔255aは、上方から見て可変仕切部に接するところまでを貫通孔255aと定義することにし、貫通孔の可変仕切部の下に入り込む部分は、貫通孔255aと一体化された別の貫通孔と定義することにする。
【0119】
貫通孔255a〜255eの断面の形状は、光学部品載置部の表面から裏面までおおむね一様な断面に形成されている。
【0120】
光学部品載置部の貫通孔のこれらの特徴は、スピン乾燥における洗浄残液除去効果に極めて良好な結果をもたらすものである。
【0121】
図5は可変仕切部取付部260に可変仕切部256を取り付けた状態の光学部品保持具の部分拡大図で、各貫通孔と各島部が交互に互いに平行に形成されており、可変仕切部が各貫通孔と各島部に平行に形成されている。
【0122】
図6は可変仕切部取付部260に可変仕切部256を取り付けていない状態の光学部品保持具の部分拡大図で、各貫通孔と各島部が交互に互いに平行に形成されている。
【0123】
図7と図8は光学部品保持具250のコーナー部の部分拡大断面図である。
【0124】
表面凹部204の周縁部204aはその周りの符号204a2で示した部分よりも所定寸法だけ突出して形成されている。符号204a2で示した部分は、平行平板状の表側内側周縁部201a2および光学部品保持部形成部201a3と同じ高さに形成されている。
【0125】
裏面凹部205bの周縁部205b1はその周りの符号205b2で示した部分よりも所定寸法だけ突出して形成されている。符号205b2で示した部分は、平行平板状の裏側内側周縁部201b2および光学部品保持部形成部の裏側202bと同じ高さに形成されている。
【0126】
表面凹部204の周縁部204aの符号204a2で示した部分からの突出量(寸法)と裏面凹部205bの周縁部205b1の符号205b2で示した部分からの突出量(寸法とは同じ寸法である。
【0127】
前記のように、表面凹部204と表面の凸部205が2対ずつ、表側内側周縁部201a2のコーナー部にそれぞれ対角線状に形成されており、同一形状・寸法の光学部品保持具250を2枚、前記のように、一方の光学部品保持具250の裏側を他方の光学部品保持具250の表側に重ねたときに、凸部205が裏面凹部205bに入って2枚の光学部品保持具250が少し持ち上げられない限り、簡単にはずれないようになっている。このとき、裏面凹部205bの周縁部205b1と基板の表面および裏面凹部205bの周縁部205b1と基板の裏面の高さの差によって、重ねられた2枚の光学部品保持具の間に前記所定のギャップが保たれるようになっている。
【0128】
また、本発明の光学部品保持具を複数重ねて用いるときの各光学部品保持具の間に形成させるギャップの作り方は、前記の例に狭く限定されず、種々のバリエーションを可能とするものである。
【0129】
図9〜図11は可変仕切部の係合凸部の例を説明する図で、図9は可変仕切部の端部近傍を、光学部品保持具に取り付けたときの上方から見た平面図、図10は可変仕切部の端部近傍を図9の矢印256eの方向から見た側面図、図11は可変仕切部の端部近傍の側面図で図10の例とは別の例を説明する図である。図9で,図の上方の線を直線で示してあるが、部分的に切り取った線で、端面を意味するのではない。
【0130】
図9〜図11で、符号256aは可変仕切部を構成する仕切板、256bは基板251に設けられた可変仕切部取付部260に可変仕切部256を取り付ける係合凸部、256b1は球状の係合凸部、256b2は円筒状の係合凸部、256cは可変仕切部を構成する仕切板の上面、256dは可変仕切部を構成する仕切板の下面である。
【0131】
図10の側面図は、可変仕切部256が平板状の仕切り板256aの係合凸部として半球状の係合凸部256b1を設けた板で構成されている例である。その上面256c、すなわち、可変仕切部取付部260に可変仕切部256を取り付けたときに、光学部品保持部の上側になる表面は平面状に形成されており、下面256dは、光学部品載置部の形状と同じ形状に形成されている。そして、可変仕切部256を可変仕切部取付部260に取り付けたときに、可変仕切部256の下面256dの下に大きな隙間ができて、そこから被洗浄・乾燥物である光学部品が向け出さないように、各寸法が決められている。
【0132】
図10に示したように、可変仕切部256の下面256dの、半球状の係合凸部256bの位置の下の形状は、可変仕切部取付部260の形状に合わせて平坦に形成されている。
【0133】
可変仕切部256の係合凸部256bは、平板状の仕切り板256aの両側面に等間隔に形成されており、両側の係合凸部256bの頂点間の寸法は、それを取り付ける可変仕切部取付部260の幅よりもわずかに大きく形成されている。
【0134】
図11は、可変仕切部の係合凸部の他の例を説明する側面図である。
【0135】
図11のように、係合凸部256b2は、円筒の上と下に半球を取り付けた状態のものを両半球を上下にして縦方向に2分割した形状をしている。
【0136】
可変仕切部の係合凸部の形状は、取り付けやすく、不用意に外れにくいことが寛容であり、前記球状や円筒状や長円を回転したような形状は条件に好適なものである。
【0137】
可変仕切部256は可変仕切部取付部260に軽く圧入して装着できることが好ましく、装着したら洗浄・乾燥工程で外れないことが重要である。しかも、着脱が容易なことが好ましい。この観点から、半球面状の係合凸部256b1や円筒面状の係合凸部256b2は好適である。
【0138】
図1〜図11を用いて説明した光学部品保持具に各種類の光学部品を複数個保持して、超音波洗浄とスピン乾燥を行ったところ、従来のように手拭き作業に頼ることなく、量産レベルでの、シミのない、極めて良好な洗浄・乾燥結果を得た。このような光学部品の洗浄・乾燥は、従来は手拭き作業に頼らざるを得なかったもので、光学部品が小型の場合は特に難航していたものである。
【0139】
図1〜図11を用いて説明した光学部品保持具は樹脂を用いて一体成形したものを用いることができ、光学部品の洗浄・乾燥の品質を高めることができ、作業コストを安くすることができるのみならず、光学部品保持具の製造コストを安くすることができる。
【0140】
前記樹脂の好ましい例として、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ABS樹脂、ポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂をあげることができる。これらの樹脂は、スピン乾燥効果を高めることができ、前2者は製造コストが安く、ポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂
は効果であるが、精度を高めることができる。
【0141】
光学部品保持部の外周部は、そこに入れて洗浄や乾燥を行う光学部品の載置部に載置される部分の最大寸法よりも、10%以上大きく形成しておくと、洗浄・乾燥時に光学部品が適宜動いて、たとえばスピン乾燥時に貫通孔の開口部を塞がないようになり水切れ効果を妨げないように作用するなど、適切な状態で洗浄や乾燥が行われ、洗浄・乾燥効果を一層高めることができる。なお、前記10%以上大きくとは、10%程度大きいのが特に良いという意味ではない。
【0142】
以上、図面を参照しながら本発明の実施の形態例を説明したが、本発明はこれに狭く限定されるものではなく、多くのバリエーションを可能とするものである。
【産業上の利用可能性】
【0143】
以上説明したように、本発明により、従来は手拭き工程を使わなければ到底乾燥することができなかった洗浄後の小型の光学部品のスピン乾燥を、手拭き工程を不可避とせずに、一度に大量に短時間で高い品質で乾燥することができるようになり、また、多種類の光学部品を一つの光学部品保持具に混在させて保持して同時に洗浄・乾燥を行うこともできるようになった。
【0144】
さらに、本発明の光学部品保持具は、洗浄と乾燥を一環工程で行うことができるとともに、乾燥後にコンパクトにパッケージして、清浄な光学部品の搬送にも用いることができるという大きな利点を有するものである。
【0145】
本発明は光通信分野に限らず、カメラ業界、携帯電話業界、眼鏡業界など工業上広い範囲で多大な効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の実施の形態例としての光学部品保持具の表側の構成を説明する図である。
【図2】本発明の実施の形態例としての光学部品保持具の裏側の構成を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態例としての光学部品保持具の光学部品保持部形成部の平面図である。
【図4】本発明の実施の形態例としての光学部品保持具の、図3におけるB3−B4の位置の断面図である。
【図5】本発明の実施の形態例としての光学部品保持具の部分拡大図で、可変仕切部取付部に可変仕切部を取り付けた状態の平面図である。
【図6】本発明の実施の形態例としての光学部品保持具の部分拡大図で、可変仕切部取付部に可変仕切部を取り付けていない状態の平面図である。
【図7】本発明の実施の形態例としての光学部品保持具のコーナー部の部分拡大断面図である。
【図8】本発明の実施の形態例としての光学部品保持具のコーナー部の部分拡大断面図である。
【図9】本発明の実施の形態例としての光学部品保持具の可変仕切部の係合凸部の例を説明する平面図である。
【図10】本発明の実施の形態例としての光学部品保持具の可変仕切部の係合凸部の例を説明する側面図である。
【図11】本発明の実施の形態例としての光学部品保持具の可変仕切部の係合凸部の例を説明する側面図である。
【図12】従来のスピン乾燥装置の要部をモデル的に示した斜視図である。
【図13】ワークの3点支持による保持方法について説明する図である。
【図14】光学部品支持部品の例を説明するための図で、光学部品支持部品1本の斜視図である。
【図15】図14の光学部品支持部品を直線Y1−Y2の位置で切った断面から斜めに見た図である。
【図16】図14の光学部品支持部品3本でワークを保持している状態を説明するための図である。
【図17】光学部品支持部品の例を説明するための図で、光学部品支持部品一本の斜視図である。
【図18】図17の光学部品支持部品3本でワークを保持している状態を説明する図である。
【図19】ワークと支持部品の接触状態を説明するための図である。
【図20】従来の洗浄・乾燥用の光学部品保持具の斜視図である。
【図21】クレードルについて説明する図である。図中、(A)はクレードルを上方から見た図、(B)はクレードルを手前から見た図、(C)はクレードルを右側方から見た図である。
【図22】従来のスピン乾燥装置を説明するための断面図である。
【図23】従来の光学部品の洗浄・乾燥方法における残留洗浄液の手拭き作業を説明する図である。
【図24】従来の光学部品の洗浄・乾燥方法における残留洗浄液の手拭き作業を説明する図である。
【符号の説明】
【0147】
201a1:表側外側周縁部
201a2:表側内側周縁部
201a3:光学部品保持部形成部
201b1:裏側外側周縁部
201b2:裏側内側周縁部
201b3:光学部品保持部形成部の裏側
203b1〜203b4:裏側外側周縁部溝
204:表面凹部
204a:表面凹部の周縁部
204b:表面凹部の基板裏面側
205:基板表面のピン状の凸部
205b:基板表面の凸部の裏側の裏面凹部
205b1:裏面凹部の周縁部
206a:光学部品保持部形成部の範囲を示す線
206b:光学部品保持部形成部の裏側の範囲を示す線
207a〜207l:内側周縁部貫通孔
250,1014,1015,1355:光学部品保持具
251:基板
251a:基板の表側
251b:基板の裏側
252,252a,252b,252c:可変光学部品保持部
252f,252g:光学部品載置部の可変仕切部に直交する方向の周縁部
254,254a〜254d:光学部品載置部の島部
254e〜254g:可変仕切部取付部の底部に形成されている島部
255,255a〜255e,1356b:貫通孔
256:可変仕切部
256a:可変仕切部を構成する仕切板
256b,256b1,256b2:可変仕切部に設けられた係合凸部
256c:可変仕切部を構成する仕切板の上面
256d:可変仕切部を構成する仕切板の下面
260:可変仕切部取付部
400,1331:ワーク(光学部品)
501:綿棒
502,503:綿棒の端部
504,1316:矢印
510:ハンドラップ
511:有機溶剤
512:皿部
513:ピンセット
514:管
800,1016,1017:クレードル
830:取っ手部分
1010,1303:回転体
1011:回転軸
1012a,1012b,1013a,1013b:固定ネジ
1020:上部枠
1018,1019:連結ピン
1018a,1019a,1310〜1313:ホルダ
1018b,1019b:溝
1021〜1024,1315:支持棒
1301:スピン乾燥装置
1370:回転板
1310c、1311c、1312c、1313c:側壁
1310a,1310b,1311a,1311b,1312a,1312b,1313a,1313b:クレードル設置用溝
1332〜1334,1340,1350:光学部品支持部品(光学部品支持棒)
1356:光学部品挿入部
1356a:光学部品載置枠
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部品の洗浄と洗浄した光学部品のスピン乾燥の少なくとも一方に使用することができる光学部品保持具において、前記光学部品保持具は、前記光学部品保持具の表側に表側周縁部とその内側にある光学部品保持部形成部を有しており、前記表側周縁部には、表側外側周縁部とその内側に隣接して形成されている表側内側周縁部の2種類の周縁部が形成されているとともに、前記表側外側周縁部と前記表側内側周縁部が前記光学部品保持具の表側表面に垂直な方向における高さの異なる2段形状(以下、表側2段形状ともいう)になっており、前記表側2段形状は、当該光学部品保持具の表面から裏面に向かう方向を高さの低い方向と定義して、前記表側外側周縁部が前記表側内側周縁部よりも高さが低く形成されており、前記光学部品保持部形成部には、被洗浄物あるいは被乾燥物としての光学部品を載置して保持することができる光学部品保持部を複数個有しており、複数の前記光学部品保持部は、そこに保持される光学部品を載置することができる光学部品載置部を有しているとともに、それぞれ隣にある他の光学部品保持部と互いに区別される仕切部を有しており、前記光学部品載置部には前記光学部品載置部の表側すなわち前記光学部品を載置する側から前記光学部品を載置する側とは反対側(以下、光学部品保持具の裏側ともいう)まで貫通して形成されているとともにその開口部が前記光学部品載置部の一方の端部から他方の端部まで形成されている貫通孔が少なくとも3つ形成されており、前記貫通孔の少なくとも3つの貫通孔のうちの2つは、前記光学部品載置部において、各貫通孔の開口部が細長い形状をしているとともに、前記貫通孔の開口部の細長い方の一辺の全体が前記光学部品載置部の対向する両端部のうちのいずれかの端部にそれぞれ接して形成されており、少なくとも1つの前記光学部品保持部が、光学部品保持部の少なくとも一方向の寸法を変えることができる光学部品保持部(以下、可変光学部品保持部ともいう)として形成されており、前記可変光学部品保持部の少なくとも一方向の寸法を変える手段が着脱可能な仕切部(以下、可変仕切部ともいう)による手段であり、前記光学部品保持具の裏側の裏側周縁部は高さの異なる裏側外側周縁部とその内側に隣接して形成されている裏側内側周縁部の2段形状(以下、裏側2段形状ともいう)になっており、前記裏側2段形状は、高さの定義を前記表側2段形状の場合と同じとして、前記裏側外側周縁部が前記裏側内側周縁部よりも高さが低く、すなわち、前記光学部品保持具の裏面において前記裏側外側周縁部から前記裏側内側周縁部が窪んでいるように形成されており、前記裏側内側周縁部の内側に前記光学部品保持部の貫通孔が形成されており、前記表側内側周縁部は前記裏側内側周縁部の内側に挿入することが出来る形状と寸法に形成されており、異なる2つの前記光学部品保持具を、一方の前記光学部品保持具の前記表側内側周縁部を他方の前記光学部品保持具の前記裏側内側周縁部に対向させて、前記一方の光学部品保持具の前記表側内側周縁部に形成されている凸部を前記他方の光学部品保持具の前記裏側内側周縁部に形成されている裏面凹部にはめ込んで接続することができる構造になっており、前記光学部品保持部が形成されている位置よりも外側にある前記表側内側周縁部には、細長い開口部を有し、前記表側内側周縁部から前記裏側内側周縁部に貫通している貫通孔(以下、内側周縁部貫通孔ともいう)が複数個形成されていることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項2】
請求項1に記載の光学部品保持具において、前記表側内側周縁部に複数のピン状の凸部と前記ピン状の凸部をはめ込むことができる複数の穴などの凹部(以下、表面凹部ともいう)が形成されており、前記光学部品保持具の表面の前記凸部が形成されている位置の裏面には、前記ピン状の凸部をはめ込むことができる穴などの凹部(以下、裏面凹部ともいう)が形成されており、前記表面の凸部をその裏側に形成されている前記裏面凹部にはめ込んで、2枚の前記光学部品保持具を重ねて結合させることができる構造になっていることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項3】
請求項2に記載の光学部品保持具において、異なる2つの前記光学部品保持具を、一方の前記光学部品保持具の光学部品保持部が形成されている表側を上側にして、他方の前記光学部品保持具は光学部品保持部が形成されている表側を下側にして、2つの前記光学部品保持具を重ね合わせたときに、前記一方の光学部品保持具の前記表側内側周縁部に形成されている凸部を前記他方の光学部品保持具の前記表側内側周縁部に形成されている表面凹部にはめ込んで、接続することができる構造になっていることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の光学部品保持具において、2つの前記光学部品保持具を重ね合わせたときに、少なくとも一方の光学部品保持具の前記光学部品保持部形成部の表面あるいはその裏面と前記他方の光学部品保持具の前記光学部品保持部形成部の表面との間に0.1〜0.5mmのギャップができる構造になっていることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の光学部品保持具において、少なくとも1つの前記可変光学部品保持部の、前記光学部品載置部の上方から見た輪郭形状が四角形であることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記光学部品保持部の上方から見た前記光学部品保持具は、その一方の方向(以下、縦方向ともいう)に、前記可変光学部品保持部が、固定されている仕切部(以下、固定仕切部ともいう)によって仕切られて、複数列配置されており、前記可変光学部品保持部は、前記光学部品保持具の縦方向におおむね直交する方向(以下、横方向ともいう)に前記可変仕切部を移動して配置することができる構造になっていることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の光学部品保持具において、光学部品保持部の前記仕切部には前記可変仕切部を圧入して装着することができる取付部(以下、可変仕切部取付部ともいう)が設けられていることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記光学部品保持部形成部が平行平板状であることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の光学部品保持具において、少なくとも3つの前記貫通孔が、前記可変仕切部に平行な方向に、当該光学部品載置部の一端から他端に至る開口部を有するように形成されていることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記光学部品保持部の全ての貫通孔の光学部品載置部表面における開口部が互いに平行に形成されていることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記貫通孔が光学部品載置部表面から光学部品保持具の裏側まで、おおむね一様な貫通孔であることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記可変仕切部の前記可変仕切部取付部に装着する部分には、前記可変仕切部取付部に挿入することが出来る凸部(以下、係合凸部ともいう)が設けられていることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項13】
請求項12に記載の光学部品保持具において、前記係合凸部の前記可変仕切部取付部に装着する部分の外形が円筒の側面の一部を有する形状であることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項14】
請求項12に記載の光学部品保持具において、前記係合凸部の前記可変仕切部取付部に装着する部分の外形が球面の一部であることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記可変仕切部の前記光学部品保持部の底部に当接する部分の形状が、光学部品保持部の底部の前記可変仕切部の底部に当接する部分の形状と同じ形状であることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記裏側外側周縁部の少なくとも一部に前記裏側外側周縁部の内側すなわち前記裏側内側周縁部から前記裏側外側周縁部の外側に達するように形成された溝(以下、裏側外側周縁部溝ともいう)が形成されており、前記裏側外側周縁部溝の深さは当該裏側内側周縁部の表面よりも浅くないことを特徴とする光学部品保持具。
【請求項17】
請求項16に記載の光学部品保持具において、前記光学部品保持具を表側表面から見た輪郭形状が、隅の切欠部の有無などの細部構造を除いておおむね四角形であることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項18】
請求項17に記載の光学部品保持具において、前記裏側外側周縁部溝が前記裏側外側周縁部の四隅に形成されていることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記光学部品保持具が樹脂の一体成形技術を用いて形成されていることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項20】
請求項19に記載の光学部品保持具において、前記樹脂がABSであることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項21】
請求項19に記載の光学部品保持具において、前記樹脂がポリアセタール樹脂であることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項22】
請求項19に記載の光学部品保持具において、前記樹脂がポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂であることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項1】
光学部品の洗浄と洗浄した光学部品のスピン乾燥の少なくとも一方に使用することができる光学部品保持具において、前記光学部品保持具は、前記光学部品保持具の表側に表側周縁部とその内側にある光学部品保持部形成部を有しており、前記表側周縁部には、表側外側周縁部とその内側に隣接して形成されている表側内側周縁部の2種類の周縁部が形成されているとともに、前記表側外側周縁部と前記表側内側周縁部が前記光学部品保持具の表側表面に垂直な方向における高さの異なる2段形状(以下、表側2段形状ともいう)になっており、前記表側2段形状は、当該光学部品保持具の表面から裏面に向かう方向を高さの低い方向と定義して、前記表側外側周縁部が前記表側内側周縁部よりも高さが低く形成されており、前記光学部品保持部形成部には、被洗浄物あるいは被乾燥物としての光学部品を載置して保持することができる光学部品保持部を複数個有しており、複数の前記光学部品保持部は、そこに保持される光学部品を載置することができる光学部品載置部を有しているとともに、それぞれ隣にある他の光学部品保持部と互いに区別される仕切部を有しており、前記光学部品載置部には前記光学部品載置部の表側すなわち前記光学部品を載置する側から前記光学部品を載置する側とは反対側(以下、光学部品保持具の裏側ともいう)まで貫通して形成されているとともにその開口部が前記光学部品載置部の一方の端部から他方の端部まで形成されている貫通孔が少なくとも3つ形成されており、前記貫通孔の少なくとも3つの貫通孔のうちの2つは、前記光学部品載置部において、各貫通孔の開口部が細長い形状をしているとともに、前記貫通孔の開口部の細長い方の一辺の全体が前記光学部品載置部の対向する両端部のうちのいずれかの端部にそれぞれ接して形成されており、少なくとも1つの前記光学部品保持部が、光学部品保持部の少なくとも一方向の寸法を変えることができる光学部品保持部(以下、可変光学部品保持部ともいう)として形成されており、前記可変光学部品保持部の少なくとも一方向の寸法を変える手段が着脱可能な仕切部(以下、可変仕切部ともいう)による手段であり、前記光学部品保持具の裏側の裏側周縁部は高さの異なる裏側外側周縁部とその内側に隣接して形成されている裏側内側周縁部の2段形状(以下、裏側2段形状ともいう)になっており、前記裏側2段形状は、高さの定義を前記表側2段形状の場合と同じとして、前記裏側外側周縁部が前記裏側内側周縁部よりも高さが低く、すなわち、前記光学部品保持具の裏面において前記裏側外側周縁部から前記裏側内側周縁部が窪んでいるように形成されており、前記裏側内側周縁部の内側に前記光学部品保持部の貫通孔が形成されており、前記表側内側周縁部は前記裏側内側周縁部の内側に挿入することが出来る形状と寸法に形成されており、異なる2つの前記光学部品保持具を、一方の前記光学部品保持具の前記表側内側周縁部を他方の前記光学部品保持具の前記裏側内側周縁部に対向させて、前記一方の光学部品保持具の前記表側内側周縁部に形成されている凸部を前記他方の光学部品保持具の前記裏側内側周縁部に形成されている裏面凹部にはめ込んで接続することができる構造になっており、前記光学部品保持部が形成されている位置よりも外側にある前記表側内側周縁部には、細長い開口部を有し、前記表側内側周縁部から前記裏側内側周縁部に貫通している貫通孔(以下、内側周縁部貫通孔ともいう)が複数個形成されていることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項2】
請求項1に記載の光学部品保持具において、前記表側内側周縁部に複数のピン状の凸部と前記ピン状の凸部をはめ込むことができる複数の穴などの凹部(以下、表面凹部ともいう)が形成されており、前記光学部品保持具の表面の前記凸部が形成されている位置の裏面には、前記ピン状の凸部をはめ込むことができる穴などの凹部(以下、裏面凹部ともいう)が形成されており、前記表面の凸部をその裏側に形成されている前記裏面凹部にはめ込んで、2枚の前記光学部品保持具を重ねて結合させることができる構造になっていることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項3】
請求項2に記載の光学部品保持具において、異なる2つの前記光学部品保持具を、一方の前記光学部品保持具の光学部品保持部が形成されている表側を上側にして、他方の前記光学部品保持具は光学部品保持部が形成されている表側を下側にして、2つの前記光学部品保持具を重ね合わせたときに、前記一方の光学部品保持具の前記表側内側周縁部に形成されている凸部を前記他方の光学部品保持具の前記表側内側周縁部に形成されている表面凹部にはめ込んで、接続することができる構造になっていることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の光学部品保持具において、2つの前記光学部品保持具を重ね合わせたときに、少なくとも一方の光学部品保持具の前記光学部品保持部形成部の表面あるいはその裏面と前記他方の光学部品保持具の前記光学部品保持部形成部の表面との間に0.1〜0.5mmのギャップができる構造になっていることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の光学部品保持具において、少なくとも1つの前記可変光学部品保持部の、前記光学部品載置部の上方から見た輪郭形状が四角形であることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記光学部品保持部の上方から見た前記光学部品保持具は、その一方の方向(以下、縦方向ともいう)に、前記可変光学部品保持部が、固定されている仕切部(以下、固定仕切部ともいう)によって仕切られて、複数列配置されており、前記可変光学部品保持部は、前記光学部品保持具の縦方向におおむね直交する方向(以下、横方向ともいう)に前記可変仕切部を移動して配置することができる構造になっていることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の光学部品保持具において、光学部品保持部の前記仕切部には前記可変仕切部を圧入して装着することができる取付部(以下、可変仕切部取付部ともいう)が設けられていることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記光学部品保持部形成部が平行平板状であることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の光学部品保持具において、少なくとも3つの前記貫通孔が、前記可変仕切部に平行な方向に、当該光学部品載置部の一端から他端に至る開口部を有するように形成されていることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記光学部品保持部の全ての貫通孔の光学部品載置部表面における開口部が互いに平行に形成されていることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記貫通孔が光学部品載置部表面から光学部品保持具の裏側まで、おおむね一様な貫通孔であることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記可変仕切部の前記可変仕切部取付部に装着する部分には、前記可変仕切部取付部に挿入することが出来る凸部(以下、係合凸部ともいう)が設けられていることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項13】
請求項12に記載の光学部品保持具において、前記係合凸部の前記可変仕切部取付部に装着する部分の外形が円筒の側面の一部を有する形状であることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項14】
請求項12に記載の光学部品保持具において、前記係合凸部の前記可変仕切部取付部に装着する部分の外形が球面の一部であることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記可変仕切部の前記光学部品保持部の底部に当接する部分の形状が、光学部品保持部の底部の前記可変仕切部の底部に当接する部分の形状と同じ形状であることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記裏側外側周縁部の少なくとも一部に前記裏側外側周縁部の内側すなわち前記裏側内側周縁部から前記裏側外側周縁部の外側に達するように形成された溝(以下、裏側外側周縁部溝ともいう)が形成されており、前記裏側外側周縁部溝の深さは当該裏側内側周縁部の表面よりも浅くないことを特徴とする光学部品保持具。
【請求項17】
請求項16に記載の光学部品保持具において、前記光学部品保持具を表側表面から見た輪郭形状が、隅の切欠部の有無などの細部構造を除いておおむね四角形であることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項18】
請求項17に記載の光学部品保持具において、前記裏側外側周縁部溝が前記裏側外側周縁部の四隅に形成されていることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれかに記載の光学部品保持具において、前記光学部品保持具が樹脂の一体成形技術を用いて形成されていることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項20】
請求項19に記載の光学部品保持具において、前記樹脂がABSであることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項21】
請求項19に記載の光学部品保持具において、前記樹脂がポリアセタール樹脂であることを特徴とする光学部品保持具。
【請求項22】
請求項19に記載の光学部品保持具において、前記樹脂がポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂であることを特徴とする光学部品保持具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2006−61771(P2006−61771A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−244701(P2004−244701)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(501392361)株式会社 オプトクエスト (24)
【出願人】(595065264)日本精管有限会社 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(501392361)株式会社 オプトクエスト (24)
【出願人】(595065264)日本精管有限会社 (7)
【Fターム(参考)】
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