説明

光学集光体

集光体は、第1の面と、第2の面と、前記第1の面と第2の面の間に設けられた集光面とを備え、前記集光面は、前記第1の面における入射放射線を前記第2の面に集光させる第1の側面を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集光体と、集光体を使用した無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、屋内及び屋外用途の光学無線通信システムを向上させるための研究が行なわれている。これは、光学的周波数帯域は、近距離通信の媒体として、無線と比べた場合に、重大な利点があるからである。特に、赤外線通信は、低コストで高帯域幅を実現でき、無線による干渉を受けず、自由に使用することができる周波数帯域を使用している。更に、赤外線構成要素は安価であり、小型で、消費電力も少ない。概して、屋内の光学無線通信システムは、人工光または日光のため、「雑音」環境下で作動している。多くの用途では、許容できる伝送ロスの範囲はわずかであり、その結果、送信機に高電力出力が必要となる。しかし、安全への考慮と消費電力の観点から、送信機の電力出力は限られる。本明細書で使用される「光学」には、可視光に加えて、赤外光及び紫外光も含むものとする。
【0003】
この赤外光を集光させる際、集光率を向上させるため、また、過度に長い受信機を使わずに広い集光域を提供するため、誘電性の完全内部反射型集光体を使用することが知られている。また、WO02/21734には、これらの集光体とともにフィルタを使用して、波長による識別を行ない、背景放射線の集光、検出を低減することが知られている。しかし、これらの受信機は、送信された赤外光と周波数が類似した背景放射線を識別排除することはできない。また、これらの集光体は回転対称であるため、入射面に基づいた識別を行なうことができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、これらの設計を改良することを目的とし、特に、偏光及び/又は入射面に基づいて背景放射線を更に識別排除することができる集光体及び/又は通信システムを提供することを目的とし、及び/又は、放射線を偏光させることができ、及び/又は、面が異なることによって異なる量の放射線を送信することのできる送信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様にかかる集光体は、第1の面と、第2の面と、前記第1の面と第2の面の間に設けられた集光面とを有する集光体であって、前記集光面は、前記第1の面における入射放射線を前記第2の面に集光させる第1の側面を有する。
【0006】
好ましくは、前記集光体は、前記第2の面に到達する放射線において、所定の方向に平面偏光された放射線割合が、前記第1の面における割合よりも高くなるように、入射放射線を偏光に基づいて選択的に集光するように構成されている。
【0007】
好ましくは、前記集光体は、前記第1及び第2の面を通過する光学通路に、好ましくは、沿って設けられた偏光フィルタを有している。更に好ましくは、前記偏光フィルタは、前記第2の面に隣接及び/又は近接しており、及び/又は、前記偏光フィルタは、前記第1の面に隣接しており、及び/又は、前記第1の面が、偏光フィルタを有している。
【0008】
好ましくは、前記第1の側面は、入射角が所定の受け入れ角以下である入射放射線のみを前記第2の面に集光するように設計されている。
【0009】
好ましくは、前記集光体は、前記第1及び第2の面の間に設けられ、前記第1の側面よりも少ない入射放射線を集光させるような形状の第2の側面を有する。更に好ましくは、前記第2の側面の前記所定の受け入れ角は、前記第1の側面の受け入れ角よりも小さい。
【0010】
好ましくは、前記第1の面は、大径及び小径を有し、前記大径は、前記小径よりも長いことを特徴とする。更に好ましくは、前記大径及び小径は実質的に垂直であり、及び/又は、前記大径は前記第1の側面によって区切られており、前記小径は前記第2の側面によって区切られている。
【0011】
好ましくは、前記第1の面は楕円形状であり、及び/又は、少なくとも一平面において凸形状であり、好ましくは前記第1の側面において凸形状である。
【0012】
好ましくは、前記集光面は凹曲部分を有し、前記第1の側面は前記凹曲部分内にあり、及び/又は、前記集光面は実質的にまっすぐあるいは平坦な部分を有し、好ましくは前記第2の側面は、前記実質的にまっすぐあるいは平坦な部分内にある。
【0013】
好ましくは、前記第1の側面は、好ましくは完全内部反射するように設計されている。
【0014】
好ましくは、前記第1の面及び/又は前記集光体は回転非対称であり、及び/又は、中心平面に対して対称である。
【0015】
好ましくは、前記偏光フィルタは、小軸方向、及び/又は前記第1の側面を含む平面に垂直な方向に偏光された放射線をフィルタする。
【0016】
好ましくは、前記集光体の前記集光面に沿った断面図は、回転非対称であり、更に好ましくは、楕円形状又は実質的に長方形である。
【0017】
好ましくは、前記集光体は、狭帯域フィルタを有する。
【0018】
好ましくは、前記集光体は、光透過性材料からなる本体部を有し、前記本体部は、前記第1の面、第2の面、集光面によって区切られている。更に好ましくは、前記本体部は着色され、光学フィルタとして機能する。
【0019】
好ましくは、前記第2の面は反射防止コーティングを有する。
【0020】
好ましくは、本発明にかかる通信受信機は、本発明にかかる集光体と、前記第2の面に隣接した光検出器を有する通信受信機であって、前記光検出器は、前記第2の面に到達した入射放射線を検出し、放射線を検出したことを示す信号を出力する。
【0021】
好ましくは、本発明にかかる通信送信機は、本発明にかかる集光体と、前記第2の面に隣接し、前記第2の面から放射線を放射する放射源を有し、前記第1の側面は、前記第2の面から放射された放射線を前記第1の面に拡散させ、放射線は、前記第1の面から送信される。更に好ましくは、前記送信機は、前記第1の面を離れる放射された放射線において、所定の方向に平面偏光された放射線割合が、前記放射源により放射された放射線における割合よりも高くなるように、放射された放射線を偏光に基づいて選択的に送信するように構成されている。更に好ましくは、前記送信機は、前記第1と第2の面の間に設けられた第2の側面を有し、前記第2の側面は、前記第1の側面よりも少ない放射された放射線を拡散させるような形状である。
【0022】
好ましくは、本発明にかかる通信システムは、本発明にかかる集光体又は受信機と、放射線放射源を有する通信システムであって、前記集光体及び/又は受信機は、前記放射源から放射された放射線を受信する。更に好ましくは、前記放射源から放射された放射線は偏光されており、更に好ましくは、前記放射源から放射された放射線は、前記偏光フィルタによってフィルタされる方向と垂直な方向に偏光されており、及び/又は、前記大径の方向又は前記第1の側面を含む平面の方向に偏光されており、及び/又は、放射された放射線は、前記大径又は前記集光体の前記第1の側面を含む平面と実質的に同一平面である。
【0023】
好ましくは、前記通信システムは、第2通信受信機を有し、前記第2通信受信機は、第2受信機の偏光フィルタが、放射された放射線を除去するように方向付けられており、第2集光体からの信号を、第1集光体からの信号から差し引くことにより、全てを含んだ信号から背景放射線を除去する。
【0024】
好ましくは、前記放射線放射源は、本発明にかかる放射線送信機の一部を有し、及び/又は形成する。
【0025】
好ましくは、前記放射された放射線は、赤外線領域にある。
【0026】
本発明の第2の態様にかかる無線通信システム用光学トランシーバーは、光透過性本体を有し、前記光透過性本体は、第1と第2の端部と、前記第1と第2の端部の間に設けられた反射面を有し、前記反射面は、前記本体内を通過する放射線を前記第1又は第2の端部に(完全内部)反射させ、前記第1と第2の端部の間に、前記本体内を通過する放射線を偏光させる光学偏光フィルタが設けられている。好ましくは、前記第1の端部の表面面積は、前記第2の端部よりも大きく、前記反射面は、前記本体内を前記第2の端部から前記第1の端部へと通過する放射線が集光され、前記第1の端部から前記第2の端部へと通過する放射線が拡散される形状であり、及び/又は、前記第1の端部は大径/寸法及び小径を有し、前記大径は前記小径よりも長く、前記大径に沿った視野角が前記小径に沿った視野角よりも大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を例示する。
【0028】
図1に示すように、集光体10は、好ましくは、赤外光に対して透過性を示す誘電性材料12より主になる、誘電性の完全内部反射型集光体(DITRC-dielectric totally internally reflecting concentrator)である。誘電体12は、高屈折率を有し、例えば、パースペックス又はクラウンガラスであってもよい。詳細に説明する実施の形態では、低コストで高帯域幅を提供できるという理由から、赤外放射線が使用されている。しかし、他の実施の形態では、可視光、紫外等、他の電磁放射線を使用してもよい。
【0029】
集光体10は、凸状にカーブした第1の面14と、凹状にカーブした側面16と、実質的に平面状の第2の面18を有する。本実施の形態では、集光体10は、側面16が回転対称である従来型の形状をしており、集光体10と第2の面18の断面が、図1の描かれた頁の平面に対して垂直な円形である。
【0030】
第2の面18と第1の面14の間には、偏光フィルタ22が設けられている。偏光フィルタ22は、偏光フィルタの屈折率を当該フィルタの両側の屈折率に整合させるための屈折率整合膜24、26に挟まれて設けられている。一方の整合層26は、検出面18に隣接している。
【0031】
集光体10は、平面偏光された赤外放射線を放射する特定赤外源からの放射線を受信するために使用することができる。偏光フィルタは、赤外源に垂直に偏光している光を除去し、特定赤外源からの放射線の検出を制限することなく、背景放射線の検出量を低減するものが選択される。
【0032】
図2aに示す赤外検出器などの光検出器20は、第2の面18に隣接して設けてもよい。これにより、光検出器20が第2の面18として機能することができる。集光体10と光検出器20が一体となって、情報を有する赤外放射線を赤外源から受信、検出することのできる通信受信機を形成する。
【0033】
図2aに、入射光線が集光体10から光検出器20へ屈折する様子を示す。2つの直行平行光線R1、R2は、第1の面14を通過し、光線R1'、R2'として、お互いに向かって屈折する。光線R1'、R2'は、実際に偏光フィルタ22周辺で交差し、ほぼ同一の点Aにおいて第2の面18に到達する。点Aに到達したこの放射線は、次に光検出器20によって検出され、代表信号が作成される。光線R1、R2が、受信に適した方向に対して完全に直行する方向に平面偏光されていた場合、この放射線はフィルタ22によって除去され、点Aに到達することはない。
【0034】
2つの平行光線R3、R4は、第1の面14に受け入れ角αで入射する。光線R3、R4は、第1の面14を通過する際、光線R3'、R4'として、互いに近づくように屈折する。光線R3'、R4'は、完全内部反射型の側面16に、それぞれ点B、Cにおいて到達し、光線R3''、R4''として反射され、第2の面18上の点D、Eに到達する。点Eは、第2の面18の最端部である。必然的に、受け入れ角αより大きい角度で入射した光線はすべて、第2の面18に到達することはできず、側面16から出て行くため、検出されることはない。
【0035】
あるいは、放射線放射源21(この場合、赤外光放射ダイオード)を第2の面18に隣接して設けてもよい。集光体10と放射源21が一体となって、情報を有する赤外放射線を送信できる通信送信機を形成する。送信された放射線は、偏光フィルタ22によって平面偏光されるため、本発明にかかる通信受信機に対応する特定放射線源のような通信送信機を使用することができる。
【0036】
図2bに、集光体10が通信送信機として使用される場合の、送信された光線が放射源21から集光体10内で屈折される様子を示す。このように使用すると、集光体10は光を集光するのではなく、制御された方法で光を拡散させる。
【0037】
第1の送信された光線T1は、放射源21から第2の面18を通り、完全内部反射型の側面16に、点Fにおいて到達する。次に、光線T1'として反射され、第1の面14上の点Gに到達する。第1の面14において、光線T1'は、光線T1''として屈折し、集光体10外へ進む。
【0038】
送信された光線T2は、側面16に衝突せず、第1の面14を直接通過するような角度で放射され、第1の面14において、光線T2'として屈折する。
【0039】
光線T3は、点Hにおいて第1の面14を直接通過する。光線T3は点Hにおいて第1の面14に垂直であるため、屈折せず、そのかわり、放射源21を出たのと同じ角度で集光体10外へ送信され続ける。
【0040】
集光体10の3D形状は、2Dケースの最適な形状をみつけ、その2D形状を対称軸を中心にして回転させることによって設計される。
【0041】
第1の面14は、球体又は放物体、双曲体等の円錐曲線体の一部であり、側面16の傾斜は完全内部反射の条件に基づいて決定される。また、平面状の干渉フィルタを使用する場合に、第2の面への光の入射角が一定の値を超えないようにするなどの、他の補足的な条件の設計を考慮に入れることも可能である。
【0042】
集光体10は、反射された光線が入射の最大値を超えないようにするなどの方法で設計することができる。この場合、この設計は位相保存法に基づいている。これによって、出ていこうとしている極度の光線は、側面16により反射された後、新たな波面を形成する、したがって、反射光は、所定の最大角α以内のみ存在することとなる。
【0043】
あるいは、この設計は所定の最大角αを有する必要はなく、この制約のない最大集光法に基づいてもよい。
【0044】
側面の座標は、公開特許出願WO02/217234に記載されているように、放射線入射の集光をα以下の角度に最適化することによって、あるいは、放射線の集光を、例えば「Xiachui Ning、Roland Winston、Joseph O'Gallagher 著『誘電性完全内部反射集光体』(Applied Optics Vol 26 No.2 January 15、1987)。」に記載されているような、最大集光法を使用し、角αとは関係なく最適化することによって、分析的に計算することができる。
【0045】
実施の形態によっては、小さなサイズで最大限の集光を実現するために、誘電体12は屈折率をできる限り高いものを選択してもよい。高屈折率は、高い幾何学的集光を更に生じさせる。
【0046】
図3に、第2の実施の形態である集光体110を示す。集光体110の部材で集光体10の部材と実質的に同様のものは、対応する集光体10の部材の参照番号に100を加えた参照番号で示されている。
【0047】
集光体110は、平面状の偏光フィルタ22にかえて、第1の面14上に偏光フィルタ123を有している。集光体110には、唯一の整合層である整合層126が設けられている。整合層126は、誘電材料112と光検出器20の屈折率を整合させる。なお、偏光フィルタを、集光体の正面に、集光体から離して設けることができる。したがって、集光体の第1の面に接触していない平面状の偏光フィルタを設けることができる。
【0048】
集光体10又は110は、更に狭帯域フィルタを有してもよい(光検出器20の近傍又は第1の面14上)。この場合、形状は位相保存法を使用して設計するのが好ましく、また、フィルタは多くの場合入射角に強く依存するため、受け入れ角αはフィルタ用に適したものが選択される。このような光学フィルタを使用することで、所望の供給源からの放射線の波長と著しく異なる波長の放射線を除去することができ、背景放射線を更に識別排除することができる。
【0049】
このような波長による識別は、誘電体12又は112に着色された光学材料を使用することでも行なうことができる。誘電体12又は112は、可視光の透過を低減するために着色することができる。また、光検出器20は、より長い波長の赤外放射線に影響されないという望ましい特性を有しているという点から、シリコンを有してもよい。このような構成の全体としての反応を図4に示す。図4において、シリコン光検出器20の反応特性40が、着色された誘電体12の反応42と重ね合わせて示されている。実際、着色された誘電体12又は112は、赤外長波長フィルタとして機能する。
【0050】
光検出器は、1000 nm よりも短い波長のみに反応し、長波長フィルタは約600 nm よりも長い波長を通過させ、図4の陰影領域42に示すように、400 nmの最大光学帯域幅となることが分かる。エリア41は、光検出器とフィルタの反応が正確にオーバーラップしない部分を表す。
【0051】
誘電体12又は112は、着色されたプラスチック又はガラス、又はGaAs基板で作製することができる。このような着色された誘電体の透過特性は、光の入射角とは実質的に関係がないため、集光体の形状を設計する際、光の入射角を考慮する必要はなく、最大集光法を使用することができる。
【0052】
図5a、5b、8に、第3の実施の形態である集光体210を示す。集光体210のトップダウン図は、図1に示す集光体10の断面と実質的に同様である。第1の面214は凸状であり、側面216は凹状にカーブしており、その形状は、側面16と同様に、所定の角度範囲内の放射線を最大限集光できるように設計されている。これにより、横平面x、yの光入射は、集光体10の光入射と同一の方法で集光される。
【0053】
集光体210の断面は、回転対称であるかわりに、縦z方向に実質的に一定である。集光体210は、実質的に平面状の上面及び下面250を有し、また、図5bに最もよく示すように、第1の面214も縦z方向に実質的にフラットである。したがって、縦平面x、z の光入射は、図5bに示す実質的に長方形の形状によって受信される。このような長方形は、縦平面x、z の光入射を集光しない。一つには、放射線を受信する受信端252は検出端254よりも著しく大きくはないため、狭い視界においてのみ放射線が集光される。二つ目には、上面及び下面の形状は、ごく狭い範囲の角度の放射線のみを内部反射させるため、放射線が第2の側面218に到達するまでに複数回反射されなければならない。
【0054】
集光体210は、その形状のために、縦平面x、z からよりも横平面x、y から、はるかに多くの光入射を集光、検出する。これは、所望の供給源からの入射赤外放射線や対応する光学アラインメントが横平面x、yであるような状況で使用した場合に有利となる。この集光体はまた、縦平面x、z を90度回転させたものを選ぶという選択化を行なうために使用することができる。
【0055】
この非対称の設計と放射線の受信は、集光体10及び110において説明したタイプの偏光フィルタ22又は123の使用により補完される。背景放射線は、多くの場合、誘電表面からの反射の影響によって入射面に垂直な方向に偏光又は一部偏光される。したがって、非対称集光体210によって集光された背景放射線のほとんどは横平面であるため、その多くは縦平面に偏光される。縦偏光された放射線を除去する偏光フィルタを使用することによって、第2の面218に到達する背景放射線をかなりの割合で防止することができる。検出が望まれる情報は横平面で送信することができるが、この情報が偏光フィルタによる影響を受けず、広範囲の領域で集光されるように、横偏光することが好ましい。
【0056】
図6a及び6bに、本発明の第4の実施の形態である、同じく非対称の集光体310を示す。トップダウン形状は、集光体210と実質的に同一であり、同じく図8に示している。側面316は側面216と実質的に同一であるが、第1の面314は、側面316の部分よりも中心356の部分において高くなっている。図6bに示す、x、z 平面で中心を通る断面は、集光体210との著しい相違点を示している。第1の面314は、縦z方向に凸状であり、受信端は受信端354よりも著しく高くなっている(但し、図8に示す横幅Wよりはかなり小さい)。これにより、横y方向よりはかなり小さいが、縦z方向における領域の範囲が広くなる。
【0057】
中心356における上面及び下面350は、凹状にカーブしているため、面250よりも広範囲の角度の放射線を内部反射させることができる。しかし、WO02/21734に記載の工程では最適化させることができないため、側面316ほど多くの放射線を第2の面318に反射させることはできない。
【0058】
集光体310は集光体210よりも広範囲の領域を有しながらも、縦y、z 平面からよりも、横 x、y 平面からの放射線を多く集光する。本実施の形態は、集光体210と同様に使用することができ、同様に偏光フィルタの使用が適している。集光体310は特に、所望の供給源からの情報の入射面が正確に横平面となることを必ずしも保証できないような状況で有効である。また、集光体310においては、求められる光学アラインメントの正確さがより緩和される。
【0059】
図7a、7b、7cに、第5の実施の形態である集光体410を示す。集光体410は、z、y平面における楕円形状の断面と、楕円形状の第1の面414を有している。この楕円の最大径460は横方向に存在し、最小径462は縦方向に存在する。この集光体のトップダウン図も図8に示されている。最大径460における側面416aの形状は側面216及び316と実質的に同じである。
【0060】
図7bに示された、最小径462を通る、集光体410のx、z平面垂直断面は、図6bに示す集光体310の対応する断面と実質的に同様である。側面416bの形状の設計は、最小径462部分ではほとんど最適化されておらず、縦平面から第2の面418に反射される放射線が最も少ない。側面416は、径の変化にしたがって、横平面から縦平面へ徐々に変化しており、これにしたがって、第2の面418に反射されて到達する放射線の量が両端面で確実に増加する。
【0061】
図9に、本発明にかかる第6の実施の形態である、同じく非対称の集光体510を示す。集光体510は、集光体210と同様である。第1の面514は、凸状であるが、側面516、517は、実質的に水平で、お互いに向かって傾斜している。これによって、集光体510は、第1の面514と第2の面516の間で徐々に縮小している。
【0062】
集光体510の断面は、z方向に向かって、実質的に一定である。上面及び下面550は、集光体210と同様に実質的に平面であり、第2の面518と第1の面514のz方向における長さがy方向における幅よりもかなり大きいため、550間の相対距離はより大きい。したがって、集光体510は、集光体210よりもz、y平面における視野角が大きいが、この平面で第2の面516に集光された光は、広い領域に分散されるため、強度が小さい。
【0063】
実施の形態110、210、310、410、510は、集光のために使用することができ、また、図2aに示すように、光検出器と通信受信機とともに使用してもよい。又は、これら実施の形態はすべて、図2bに示す通信送信機としての放射源21とともに使用することができる。上記説明は、ほぼ、異なる平面における集光についてであったが、これは光を放射する場合の拡散にも同様に応用できる。非対称の集光体210、310、410、510は、例えば、縦平面より送信されるよりも多くの光を横平面より送信し、又は、光の分散される領域が横平面よりも縦平面において広くなるようにするなど、拡散を制御するために使用することができる。
【0064】
集光体10、110、210、301、410、又は510を有する通信受信機と通信送信機をともに使用して、通信システムを形成することができる。セットアップの際、受信機は、送信機から放射された偏光が、受信機の偏光フィルタ22によって妨害されないように方向付けすることができる。
【0065】
このようなシステムを集光体310のような集光体とともに使用した場合、送信機は、光が特定の平面においてより広い角で送信されるように方向付けし、受信機は、当該特定の平面において送信された光を受信するような選択化をするように方向付けすることができる。
【0066】
このような、偏光送信機と偏光受信機との組み合わせにより、背景照明の防止をかなり高い割合で実現することができる。これは以下の理由による。第一に、情報を伴って放射、及び検出された放射線は、同一平面にある。第二に、両垂直平面において、当然、同一量の背景照明(屋内、屋外照明などの人工のもの)が分布するからである。
【0067】
図10には、二つの集光体210が示されており、一つは横に配置され、もう一つは縦に配置されている。両方とも、集光体210の方向付けに垂直な方向に偏光された放射線をフィルタする偏光集光体を有している。
【0068】
集光体210を通って光学的に送信される信号の送信源500は、特定の情報を横偏光において送信しかつ特定の情報を縦偏光において送信してもよい。この場合、上記2つの集光体210からの信号は、相関があってもよい。この方法は、背景照明信号の一般的方法による排除としては、有意な効果が見られる。
【0069】
送信源はまた、情報信号δを横又は縦偏光で、好ましくは集光体210からのみ送信して、信号δのほとんどを一つの平面とすることができる。
【0070】
上記の2つの集光体210が受信に使用される場合、一つの集光体は送信された情報信号δを、若干の背景放射線とともに受信し、もう一方の集光体は、背景放射線のみを受信し、送信された情報信号δは、偏光フィルタ222によって除去される。
【0071】
背景照明のどのような調整(主に周波数に関連した強度調整)も、いずれの平面においても、ほぼ等しい。これは、受信した信号の一方から他方を減算すると、情報信号となることを意味している。
【0072】
すなわち、([A+δ]−A)=δとなる。式中、情報信号をδ、上記2つのチャネルからの背景信号分をAとする。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明にかかる集光体のトップダウン断面図である。
【図2】aは、図1における集光体を有する受信機のトップダウン断面図に、放射 線を例示したものである。bは、図1における集光体を有する受信機のトップダウン断面図に、放射された放射線を例示したものである。
【図3】本発明にかかる受信機の第2の態様のトップダウン断面図に、放射線を例 示したものである。
【図4】着色された誘電性材料の透過曲線を、シリコン系光検出器の典型的反応性 に重ね合わせたグラフである。
【図5】aは、本発明の第3の実施の形態にかかる集光体の正面斜視図である。b は、aにおける集光体の側面図である。
【図6】a及びbは、それぞれ、本発明の第4の実施の形態にかかる集光体の正面 斜視図及び側面図である。
【図7】a及びbは、それぞれ、本発明の第5の実施の形態にかかる集光体の正面 斜視図及び側面図である。cは、a及びcにおける集光体の後方斜視図である。
【図8】図5、6、7における集光体の上面図である。
【図9】本発明の第6の実施の形態にかかる集光体の斜視図である。
【図10】図5における集光体を2つ有する、本発明にかかる通信システムの模式図 である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と、第2の面と、前記第1の面と第2の面の間に設けられた集光面とを備え、
前記集光面は、前記第1の面における入射放射線を前記第2の面に集光させる第1の側面を備え、
これによって、前記第2の面に到達する放射線において、所定の方向に平面偏光された放射線割合が、前記第1の面における割合よりも高くなるように、入射放射線を偏光に基づいて選択的に集光するように構成されている集光体。
【請求項2】
前記第1及び第2の面を通過する光学通路に沿って設けられた偏光フィルタを備える、請求項1に記載した集光体。
【請求項3】
前記偏光フィルタが、前記第2の面に隣接及び/又は近接している請求項2に記載した集光体。
【請求項4】
前記偏光フィルタは、前記第1の面に隣接しており、及び/又は、前記第1の面が、偏光フィルタを備える、請求項3に記載した集光体。
【請求項5】
第1の面と、第2の面と、前記第1の面と第2の面の間に設けられた集光面とを備え、
前記集光面は、前記第1の面における入射放射線を前記第2の面に集光させる第1の側面を備える集光体。
【請求項6】
前記第1の側面は、入射角が所定の受け入れ角以下である入射放射線のみを前記第2の面に集光するように設計されている、請求項1〜5のいずれかに記載した集光体。
【請求項7】
前記第1及び第2の面の間に設けられた第2の側面を備え、
第2の側面は、前記第1の側面よりも少ない入射放射線を集光させるような形状である、請求項1〜6のいずれかに記載した集光体。
【請求項8】
前記第2の側面の前記所定の受け入れ角は、前記第1の側面の受け入れ角よりも小さい、請求項6又は7に記載した集光体。
【請求項9】
前記第1の面は、大径及び小径を有し、前記大径は、前記小径よりも長い、請求項1〜8に記載したいずれかの集光体。
【請求項10】
前記大径及び小径は実質的に垂直である、請求項9に記載した集光体。
【請求項11】
前記大径は前記第1の側面によって区切られている、請求項9又は10に記載した集光体。
【請求項12】
前記小径は前記第2の側面によって区切られている、請求項9、10、又は11に記載した集光体。
【請求項13】
前記第1の面は楕円形状である、請求項1〜12のいずれかに記載した集光体。
【請求項14】
前記第1の面は、少なくとも一平面において凸形状であり、好ましくは前記第1の側面においても凸形状である、請求項1〜13のいずれかに記載した集光体。
【請求項15】
前記集光面は凹曲部を有し、
前記第1の側面は前記凹曲部内にある、請求項1〜14のいずれかに記載した集光体。
【請求項16】
前記集光面は実質的にまっすぐあるいは平坦な部分を有し、
前記第2の側面は、前記実質的にまっすぐあるいは平坦な部分内にある、請求項7,8,9,13のいずれかの請求項に記載した集光体。
【請求項17】
前記第1の側面は、完全内部反射するように設計されている、請求項1〜16のいずれかに記載した集光体。
【請求項18】
前記第1の面及び/又は該集光体は回転非対称である、請求項1〜17のいずれかに記載した集光体。
【請求項19】
前記第1の面及び/又は該集光体は、中心平面を中心として対称である、請求項1〜18のいずれかに記載した集光体。
【請求項20】
前記偏光フィルタは、小軸方向、及び/又は前記第1の側面を含む平面に垂直な方向に偏光された放射線をフィルタする、請求項7〜18のいずれかに記載した集光体。
【請求項21】
該集光体の前記集光面に沿った断面図は、回転非対称である、請求項1〜20のいずれかに記載した集光体。
【請求項22】
前記集光面に沿った断面図が、楕円形状又は実質的に長方形であることを特徴とする、請求項1〜21のいずれかに記載した集光体。
【請求項23】
狭帯域フィルタを備える、請求項1〜22のいずれかに記載した集光体。
【請求項24】
光透過性材料からなる本体部を備え、
前記本体部は、前記第1の面、前記第2の面、前記集光面によって区切られていることを特徴とする、請求項1〜23のいずれかに記載した集光体。
【請求項25】
前記本体部の材料は着色され、光学フィルタとして機能する、請求項24に記載した集光体。
【請求項26】
前記第2の面上に反射防止コーティングされた、請求項1〜25のいずれかに記載した集光体。
【請求項27】
請求項1〜26のいずれかに記載した集光体と、前記第2の面に隣接した光検出器を備え、
前記光検出器は、前記第2の面に到達した入射放射線を検出し、放射線を検出したことを示す信号を出力する、通信受信機。
【請求項28】
請求項1〜26のいずれかに記載した集光体と、前記第2の面に隣接し、前記第2の面から放射線を放射する放射源を備え、
それによって、前記第1の側面は、前記第2の面から放射された放射線を前記第1の面に拡散させ、放射線が前記第1の面から送信される、通信送信機。
【請求項29】
前記第1の面を離れる放射された放射線中における所定の方向に平面偏光された放射線割合が、前記放射源により放射された放射線における割合よりも高くなるように、放射された放射線を偏光に基づいて選択的に送信するように構成されている、請求項28に記載した送信機。
【請求項30】
前記第1と第2の面の間に設けられた第2の側面とを備え、
前記第2の側面は、前記第1の側面よりも少ない放射された放射線を拡散させるような形状であることを特徴とする、請求項28又は29に記載した送信機。
【請求項31】
請求項1〜27に記載したいずれかの集光体又は受信機と、放射線放射源とを備え、
前記集光体/受信機は、前記放射源から放射された放射線を受信することを特徴とする、通信システム。
【請求項32】
前記放射源から放射された放射線が偏光されている、請求項31に記載した通信システム。
【請求項33】
前記放射源から放射された放射線が、前記偏光フィルタによってフィルタされる方向と垂直な方向に偏光されており、及び/又は、前記大径の方向又は前記第1の側面を含む平面の方向に偏光されている、請求項32に記載した通信システム。
【請求項34】
前記放射源から放射された放射線が、前記大径又は前記集光体の前記第1の側面を含む平面と、
実質的に同一平面に存在する、請求項32又は33に記載した通信システム。
【請求項35】
放射された放射線を除去するように向けられた偏光フィルタを有する第2通信受信機を備え、
それによって、第2集光体からの信号を、第1集光体からの信号から差し引くことにより、全てを含んだ信号から背景放射線を除去する、
請求項33又は34に記載した通信システム。
【請求項36】
前記放射線放射源は、請求項27〜29に記載したいずれかの放射線送信機の一部を有する及び/又は形成することを特徴とする、請求項30〜35に記載したいずれかの通信システム。
【請求項37】
前記放射された放射線は、赤外線領域にあることを特徴とする、請求項30〜36のいずれかに記載した通信システム。
【請求項38】
光透過性本体を備え、
前記光透過性本体は、第1と第2の端部と、前記第1と第2の端部の間に設けられた反射面とを備え、
前記反射面は、前記本体内を通過する放射線を前記第1又は第2の端部へ完全内部反射させ、
前記第1と第2の端部の間に、前記本体内を通過する放射線を偏光させる光学偏光フィルタが設けられている、無線通信システム用光学トランシーバー装置。
【請求項39】
前記第1の端部の表面面積は、前記第2の端部よりも大きく、
前記反射面は、前記本体内を前記第2の端部から前記第1の端部へと通過する放射線が集光され、第1の端部から前記第2の端部へと通過する放射線が拡散される形状である、請求項38に記載した光学トランシーバー装置。
【請求項40】
前記第1の端部は大径及び小径を有し、
前記大径は前記小径よりも長く、
前記大径に沿った視野角が前記小径に沿った視野角よりも大きい、請求項38又は39に記載した光学トランシーバー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−523856(P2006−523856A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506098(P2006−506098)
【出願日】平成16年4月7日(2004.4.7)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001522
【国際公開番号】WO2004/090601
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(503183422)ユニバーシティー オブ ワーウィック (2)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF WARWICK
【Fターム(参考)】