説明

光学顕微鏡、及び分光測定方法

【課題】高い分解能の測定を行うことができる光学顕微鏡、及び分光測定方法を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様にかかる分光測定装置は、レーザ光源10と、光ビームを集光して、試料22に入射させる対物レンズ21と、試料22上における光ビームのスポット位置を走査するY走査装置13と、試料22に入射された光ビームのうち、異なる波長となって試料22から対物レンズ21側に出射する出射光と光源10から前記試料に入射する光ビームとを分離するビームスプリッタ17と、ビームスプリッタ17により分離された出射光を波長に応じて空間的に分散させる分光器31と、分光器31で分散された出射光を検出する検出器32と、分光器31の入射側に配置され、出射光を分光器31側に通過させる複数のピンホール42が配列されたピンホールアレイ30を備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学顕微鏡、及び分光測定方法に関し、特に詳しくは試料に照射する光と異なる波長の光を検出する光学顕微鏡及び分光測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ラマン分光測定は、試料が気体、液体、結晶、無定形固体であることを問わず、温度は高温でも低温でも可能であり、測定において、真空などの特殊な測定雰囲気を必要としないという利点を持つ。さらに、試料の前処理を特に必要とせず、試料をそのままの状態で測定可能であるなどの長所があり、これらの長所を生かした測定が多くなされている。ラマン分光測定を利用することによって、分子を非染色で観測すること、及び半導体中の不純物を観測することができる。
【0003】
このようなラマン分光測定を行うため、分光器を用いたラマン顕微鏡が開示されている(特許文献1、特許文献2)。特許文献1の図1では、試料から発生したラマン散乱光が、分光器で分光されている。さらに、分光器の前に、入射スリットが設けられている。そして、試料のある1点から発生したラマン散乱光は、入射スリットのスポット状の領域を通過する。特許文献2の光学顕微鏡も同様に、入射スリットを有している。分光器に収差がない理想的な場合、試料のある1点から発生し、スポット状の領域を通過した光は、λ方向に分散されて、検出器の1行の画素列で検出される。この場合、試料のある1点から発生した、特定の波長のラマン散乱光は、検出器の受光面において、図13に示すような、光ビームのスポット81を形成する。図13では、特定の2波長のラマン散乱光を示している。
【0004】
しかしながら、分光器の光学系に非点収差がある場合、スポットがY方向に延びてしまう。すなわち、受光面において、スポットが分散方向と直交する方向に拡がってしまう。従って、図13に示すように、楕円形のスポット82が形成されてしまう。なお、スポット82は、検出器における入射スリットの像の長手方向に延びている。
【0005】
このような非点収差の問題を分光器の収差の補正によって、解決する技術が開示されている(非特許文献1)。例えば、Acton社製の分光器SpectraProシリーズにおいては、分光器の凹面鏡に球面ではなく、トロイダル面を持ったものを使用している。これにより、収差を補正することができる。あるいは、複数枚の凹面鏡を使用することで非点収差を補正する分光器が開示されている(特許文献3)。
【0006】
また、分光器の前段にファイババンドルを配置する多焦点共焦点顕分ラマン分光法が開示されている(非特許文献2)。この構成では、マイクロレンズアレイによって、光ビームをマルチビームとしている。そして、マルチビームが格子状のピンホールアレイを通過している。さらに、試料からのマルチビームが、格子状のピンホールアレイを介して、ファイババンドルに入射している。ファイババンドルの出射端を1列に配置している。そして、ファイババンドルから出射された光が、分光器に入射している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−179002号公報
【特許文献2】特開2010−54368号公報
【特許文献3】特開2007−121087号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】[平成23年2月25日検索]、インターネット http://www.roper.co.jp/Html/roper/tech_note/html/rp03.htm
【非特許文献2】Multifocus confocal Raman microspecroscopy for fast multimode vibrational imaging of living cells, Masanari Okuno and Hiro−o Hamaguchi, OPTICS LETTERS/Vol.35,No.24
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、これらの構成によっても、非点収差の補正は十分ではなく、例えば、焦点距離500mmの分光器において、スリット方向に、100μm程度の分解能の低下が生じてしまう。
【0010】
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、高い分解能での測定を行うことができる光学顕微鏡、及び分光測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様にかかる光学顕微鏡は、光源と、前記光源からの光ビームを集光して、試料に入射させる対物レンズと、前記試料に対する光ビームの位置を相対移動させて、前記試料上における前記光ビームのスポット位置を走査する走査手段と、前記試料に入射された光ビームのうち、異なる波長となって前記試料から前記対物レンズ側に出射する出射光と前記レーザ光源から前記試料に入射する光ビームとを分離する光分岐手段と、前記光分岐手段により分離された出射光を波長に応じて空間的に分散させる分光器と、アレイ状に配列された受光画素を有し、前記分光器で分散された出射光を検出する2次元アレイ光検出器と、前記分光器の入射側に配置され、集光された出射光を前記分光器側に通過させる複数の光通過部が前記分光器の分散方向と直交する方向に沿って配列された光制限手段と、を備えるものである。これにより、高い分解能での測定を短時間で行うことができる。
【0012】
本発明の第2の態様にかかる光学顕微鏡は、上記の光学顕微鏡であって、前記2次元アレイ光検出器の受光面において、前記複数の光通過部を通過した出射光が重ならないように、複数の前記光通過部が形成されているものである。これにより、分光器の光学系の非点収差の影響を低減することができるため、分解能を向上することができる。
【0013】
本発明の第3の態様にかかる光学顕微鏡は、上記の光学顕微鏡であって、前記分散方向と平行な方向において、前記光通過部の大きさが、可変であることを特徴とするものである。これにより、検出される光量を調整することができる。
【0014】
本発明の第4の態様にかかる光学顕微鏡は、上記の光学顕微鏡であって、複数の前記光通過部が、ピンホールが1列に並んだピンホールアレイによって形成されていることを特徴とするものである。これにより、簡便な構成で光の通過を制限することができる。
【0015】
本発明の第5の態様にかかる光学顕微鏡は、上記の光学顕微鏡であって、複数の前記光通過部による測定領域を同時に照明するよう、前記試料に入射する光ビームのスポットを複数形成するマルチビーム形成手段をさらに備えるものである。これにより、光源からの光を有効に利用することができ、測定を短時間で行うことができる。また、測定されない部分に光が照射されなくなることによって、試料の損傷を低減することができる。
【0016】
本発明の第6の態様にかかる光学顕微鏡は、上記の光学顕微鏡であって、前記マルチビーム形成手段が、複数の前記光ビームのスポットを1列に配列することを特徴とするものである。これにより、光を効率よく利用することができる。
【0017】
本発明の第7の態様にかかる光学顕微鏡は、上記の光学顕微鏡であって、前記走査手段が、前記光源から前記光分岐手段までの光路中に配置され、前記光制限手段における出射光の位置が前記光通過部の配列方向に変化するよう、前記光源からの光ビームを第1の方向に偏向させる第1の走査装置と、前記光分岐手段から前記試料までの光路中に配置され、前記試料上における前記光ビームのスポット位置を、前記第1の方向と異なる第2の方向に走査する第2の走査装置と、を備えるものである。これにより、測定時間を短縮することができる。
【0018】
本発明の第8の態様にかかる光学顕微鏡は、上記の光学顕微鏡であって、前記走査手段が、前記試料に対する光ビームの位置を相対移動させて、前記試料上における前記光ビームのスポット位置を走査する第3の走査装置をさらに備え、前記第3の走査装置の走査によって、前記光通過部の測定領域と前記光ビームのスポットとが前記試料上で前記第1の方向に移動することを特徴とするものである。これにより、所望の領域を測定することができる。
【0019】
本発明の第9の態様にかかる光学顕微鏡は、上記の光学顕微鏡であって、前記光源からの光ビームをライン状の光に変換する光変換手段をさらに備え、前記光通過部の配列方向に対応する方向に沿ったライン状の光が前記試料に入射しているものである。これにより、配列方向における走査を不要とすることが可能となる。
【0020】
本発明の第10の態様にかかる分光測定方法は、光源からの光ビームを集光して、試料に入射させ、前記試料に対する光ビームの位置を相対移動させて、前記試料上における前記光ビームのスポット位置を走査し、前記試料に入射された光ビームのうち、異なる波長となって前記試料から前記対物レンズ側に出射する出射光と前記レーザ光源から前記試料に入射する光ビームとを分離し、前記光ビームから分離された前記出射光を集光し、前記集光された出射光を通過させる複数の光通過部が配列された光制限手段に入射させ、前記光通過部を通過した出射光を、波長に応じて前記光通過部の配列方向と直交する方向に分散させ、アレイ状に配列された受光画素を有する2次元アレイ光検出器で、分散された出射光を検出するものである。これにより、高い分解能での測定を短時間で行うことができる。
【0021】
本発明の第11の態様にかかる分光測定方法は、上記の分光測定方法であって、前記2次元アレイ光検出器の受光面において、前記複数の光通過部を通過した出射光が重ならないように、複数の前記光通過部が形成されているものである。これにより、分光器の光学系の非点収差の影響を低減することができるため、分解能を向上することができる。
【0022】
本発明の第12の態様にかかる分光測定方法は、上記の分光測定方法であって、前記分散方向と平行な方向において、前記光通過部の大きさが、可変であることを特徴とするものである。これにより、検出される光量を調整することができる。
【0023】
本発明の第13の態様にかかる分光測定方法は、上記の分光測定方法であって、複数の前記光通過部が、ピンホールが1列に並んだピンホールアレイによって形成されていることを特徴とするものである。これにより、簡便な構成で光の通過を制限することができる。
【0024】
本発明の第14の態様にかかる分光測定方法は、上記の分光測定方法であって、前記試料に入射する光ビームのスポットを複数形成して、複数の前記光通過部による測定領域を同時に照明するものである。これにより、光源からの光を有効に利用することができ、測定を短時間で行うことができる。また、測定されない部分に光が照射されなくなることによって、試料の損傷を低減することができる。
【0025】
本発明の第15の態様にかかる分光測定方法は、上記の分光測定方法であって、前記試料上における複数の前記光ビームのスポットが1列に配列されていることを特徴とするものである。これにより、光を効率よく利用することができる。
【0026】
本発明の第16の態様にかかる分光測定方法は、上記の分光測定方法であって、前記試料上のライン状の領域を測定するように、前記試料上の光ビームのスポット位置を第1の方向に走査して、前記ライン状の領域に対する測定を行った後、前記試料上における前記光ビームのスポット位置を第2の方向に走査するものである。これにより、測定時間を短縮することができる。
【0027】
本発明の第17の態様にかかる分光測定方法は、上記の分光測定方法であって、前記試料上の光ビームのスポット位置を第1の方向に走査する際において、前記光源からの光ビームをデスキャンさせずに、第1の方向に偏向させた後、前記試料における前記光通過部の測定領域を前記第1の方向に移動させるものである。これにより、所望の領域を測定することができる。
【0028】
本発明の第18の態様にかかる分光測定方法は、上記の分光測定方法であって、前記光源からの光ビームをライン状の光に変換し、前記光通過部の配列方向に対応する方向に沿ったライン状の光が前記試料に入射しているものである。これにより、配列方向における走査を不要とすることが可能となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、高い分解能での測定を行うことができる光学顕微鏡、及び分光測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施の形態1にかかる光学顕微鏡の構成を示す図である。
【図2】分光器の入射側に設けられたピンホールアレイを示す図である。
【図3】ピンホールアレイのピンホールと、受光面の光スポットとの関係を説明するための図である。
【図4】ピンホールアレイのピンホールによる、試料上の測定領域を示す平面図である。
【図5】ピンホールのサイズを変更したピンホールアレイを示す平面図である。
【図6】ピンホールのサイズを可変とする第1の構成を示す平面図である。
【図7】ピンホールのサイズを可変とする第2の構成を示す平面図である。
【図8】ピンホールのサイズを可変とする第3の構成を示す平面図である。
【図9】本発明の実施の形態2にかかる光学顕微鏡の構成を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態3にかかる光学顕微鏡の構成を示す図である。
【図11】マイクロレンズアレイの構成を示す斜視図である。
【図12】マイクロレンズアレイによって、複数のスポットを形成する様子を示す図である。
【図13】検出器の受光面上で、非点収差によりスポットが拡がる様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
実施の形態1
以下に、本発明を適用可能な実施の形態が説明される。以下の説明は、本発明の実施形態を説明するものであり、本発明が以下の実施形態に限定されるものではない。説明の明確化のため、以下の記載は、適宜、省略及び簡略化がなされている。又、当業者であれば、以下の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能であろう。尚、各図において同一の符号を付されたものは同様の要素を示しており、適宜、説明が省略される。
【0032】
発明の実施の形態1.
本発明の実施の形態にかかる光学顕微鏡について図1を用いて説明する。図1は本実施の形態にかかる光学顕微鏡の光学系の構成を模式的に示す図である。光学顕微鏡100は、試料22を観察するための構成として、レーザ光源10と、ビームエキスパンダ11と、Y走査装置13と、レンズ14と、絞り15と、レンズ16と、ビームスプリッタ17と、X走査ミラー18と、レンズ19と、レンズ20と、対物レンズ21と、ステージ23と、レンズ24と、分光器31と、検出器32と、ステージ駆動装置35と、処理装置36とを備えている。また、分光器31は入射側にピンホールアレイ30を備えている。
【0033】
光学顕微鏡100はラマン顕微鏡であり、レーザ光源10からの光ビームを試料22に入射させ、試料22からのラマン散乱光を検出器32で検出する。さらに、ラマン散乱光を分光器31で分光するため、ラマンスペクトルを測定することができる。光学顕微鏡100では、XY方向(水平方向)及びZ方向(鉛直方向)に走査することができるため、3次元のラマンスペクトルイメージを測定することができる。
【0034】
まず、光学顕微鏡100の全体構成について図1を参照して説明する。レーザ光源10は単色のレーザ光を出射する。使用するレーザ光源10に付いては、特に限定されるものではないが、高スペクトル分解能を得るためには挟線幅の光源が望ましい。レーザ光源10からの光ビームはビームエキスパンダ11によって拡大され、Y走査装置13に入射する。Y走査装置13は、例えば、音響光学素子や、ガルバノミラーであり、入射した光ビームの出射角を変化させて、光ビームを偏向させる。これにより、試料22上で光ビームの入射位置がY方向に沿って変化する。すなわち、Y走査装置13は、光ビームをY方向に走査する。なお、Y走査装置13での偏向角は、処理装置36からの電気信号によって制御される。Y走査装置13で偏向された光ビームはレンズ14で屈折され、絞り15に入射する。なお、レンズ14は絞り15の面上に光ビームを集光する。絞り15は、例えば円状の開口を有し、外側の光ビームを遮光する。すなわち、開口から外れた光ビームの通過を制限する。
【0035】
絞り15を透過した光ビームは、レンズ16で屈折され、ビームスプリッタ17に入射する。ビームスプリッタ17は、例えば、ダイクロイックミラーであり、レーザ波長の光を試料22の方向に反射する。ダイクロイックミラーとしては、Semrock社製のエッジフィルタを用いることができる。ビームスプリッタ17により反射された光は、X走査ミラー18に入射する。X走査ミラー18は、例えば、ガルバノミラーであり、反射面の角度が変化することによって、光ビームを偏向させる。すなわち、光軸に対するX走査ミラー18の反射面の傾斜角度が変化するため、光ビームの出射角を変化させることができる。試料22上で、試料22上で光ビームの入射位置がX方向に沿って変化する。これにより、光ビームをX方向に走査することができる。なお、X走査ミラー18での偏向角は、処理装置36からの電気信号によって制御される。また、X方向とY方向とは互いに直交する方向であるため、X走査ミラー18及びY走査装置13によってXY方向に走査することにより、試料22上において2次元領域を走査することができる。
【0036】
X走査ミラー18によって走査された光ビームは、レンズ19、及びレンズ20で屈折され、対物レンズ21に入射する。対物レンズ21は、光ビームを集光して、試料22上に入射する。すなわち、対物レンズ21は、試料22上に光ビームを集光して、試料22を照明する。これにより、試料22のスポット状の領域が照明される。対物レンズ21には、例えば、ニコン製アポクロマート NA 1.2 x60を用いることができる。
【0037】
試料22に入射した入射光の一部はラマン散乱される。試料22に入射した入射光のうち、ラマン散乱により対物レンズ21側に出射した光を出射光とする。すなわち、ラマン散乱光のうち、対物レンズ21に入射したものを出射光とする。ラマン散乱された出射光は入射光とは異なる波長となっている。すなわち、ラマンシフトによって出射光は入射光の振動数からずれて散乱される。この出射光のスペクトルがラマンスペクトルとなる。したがって、出射光のスペクトルを測定することにより、試料22中に含まれる物質の化学構造及び物理的状態を特定することができる。すなわち、ラマンスペクトルには、試料22を構成する物質の振動の情報が含まれるため、出射光を分光器31で分光して検出することにより、試料22中の物質を特定することができる。そして、入射光の焦点位置をXYZ方向にスキャンして試料22の全面又は一部の領域からの出射光のスペクトルを測定することにより、ラマンスペクトルの3次元測定を行うことができる。測定したラマンスペクトルのうち、特定の波長に注目することにより、特定の物質の3次元空間分布の測定も可能となる。具体的には、試料22を生体細胞とした場合の細胞中の核酸や脂質の空間分布、あるいはスクロースやポリスチレン球の空間分布を測定することができる。
【0038】
なお、試料22はステージ23の上に載置されている。ステージ23は、例えば、XYZステージである。このステージ23はステージ駆動装置35によって、駆動される。ステージ駆動装置35がステージ23をXY方向に駆動することによって、試料22の任意の位置を照明することができる。また、ステージ駆動装置35がステージをZ方向に駆動することによって、対物レンズ21と試料22との距離を変化させることができる。従って、対物レンズ21の焦点位置を光軸方向に沿って変化させることができる。本発明にかかる光学顕微鏡100は、後述するようにレーザコンフォーカル顕微鏡を構成しているため、焦点位置を変化させることによって、Z方向の走査が可能となる。すなわち、Z方向にステージを移動させることによって、試料22の断層画像を撮像することができる。試料22のZ方向の任意の高さからのラマン散乱光の検出することができ、3次元のラマンスペクトルイメージの測定が可能になる。処理装置36はステージ駆動装置35に対して制御信号を入力し、ステージ23の駆動を制御する。
【0039】
ステージ23上に載置された試料22でラマン散乱され、対物レンズ21に入射した出射光は、入射光と同じ光路上を伝播していく。すなわち、対物レンズ21により屈折され、レンズ20及びレンズ19で屈折されて、X走査ミラー18に入射する。X走査ミラー18は、入射した出射光をビームスプリッタ17の方向に反射する。このとき、出射光は、X走査ミラー18によってデスキャンされる。すなわち、出射光は、X走査ミラー18で反射されることによって、出射光は、レーザ光源10からX走査ミラー18に入射した入射光の進行方向と反対方向に伝播する。また、試料22からのレーリー散乱光もラマン散乱光と同じ光路で伝播していく。
【0040】
X走査ミラー18によって、反射された出射光は、ビームスプリッタ17に入射する。ビームスプリッタ17は、例えば、ダイクロイックミラーであり、試料22からの出射光と、レーザ光源10から試料22に入射する入射光とを波長に基づいて分岐する。すなわち、ビームスプリッタ17は、その反射面が入射光の光軸に対して傾いて設けられている。試料22からの出射光がビームスプリッタ17を透過することによって、試料22からの出射光の光軸が、レーザ光源10から試料22に入射する入射光の光軸と異なるものとなる。よって、試料22からの出射光を、レーザ光源10から試料22に入射する入射光から分離することができる。
【0041】
さらに、ダイクロイックミラーであるビームスプリッタ17は、レーザ光源10の波長の光を反射して、ラマン散乱光を透過するような、特性を有している。従って、レーザ光源10の波長を持つ試料22からのレーリー散乱光は、ビームスプリッタ17で反射され、ラマン散乱光は、ビームスプリッタ17を透過する。すなわち、ダイクロイックミラーをビームスプリッタ17として用いることによって、レーリー散乱光とラマン散乱光との波長に差に基づいてレーリー散乱光を除去することができる。さらに、レーザ光源10からのレーザ光のほとんどはビームスプリッタ17で反射され、試料22に向かう。これにより、レーザ光のロスを低減することができ、効率よくラマン散乱光のみを検出することができる。なお、ダイクロイックミラーの反射特性は、測定するスペクトルの範囲に応じて決定すればよい。ここで、ビームスプリッタ17は、試料22とY走査装置13との間に配置されている。従って、ビームスプリッタ17は、Y走査装置13によってデスキャンされる前の出射光と、レーザ光源10からの光ビームとを分離する。
【0042】
ビームスプリッタ17を透過した出射光は、レンズ24で屈折されて分光器31の入射側に設けられたピンホールアレイ30に入射する。このとき、レンズ24はピンホールアレイ30上に出射光を集光している。すなわち、レンズ24は、ピンホールアレイ30上に試料22の照明された領域の拡大像を結像している。ピンホールアレイ30には複数のピンホールが設けられている。このピンホールは、Y方向に対応する方向に沿って1列に配列している。すなわち、ピンホールアレイ30のピンホールは試料22上におけるY走査装置13の走査方向(Y方向)に対応する方向に沿って配列している。
【0043】
レンズ24は出射光を屈折させて、ピンホールアレイ30上に結像する。ここで、試料22面上において入射光はスポット状に結像されているため、ピンホールアレイ30上において出射光はスポット状に集光される。ピンホールアレイ30のピンホールの配列方向とY走査装置13の走査方向とを一致させる。出射光は、Y走査装置13によってデスキャンされずに、ビームスプリッタ17に入射している。このため、Y走査装置13で走査すると、ピンホールアレイ30上で光ビームのスポット位置がピンホールの配列方向に移動する。試料22上でY方向に走査された光がピンホールアレイ30のピンホールが配列された箇所に結像するように配置する。換言するとピンホールアレイ30と試料22とは互いに共役な関係となるよう配置される。
【0044】
したがって、ラマン顕微鏡はコンフォーカル光学系として構成される。すなわち、絞り15と試料22面上とが互いに共役な関係となるように配置され、試料22面上とピンホールアレイ30とが互いに共役な関係となるように配置されている。絞り15が設けられたXY平面及び試料22面上において、入射光がスポット状に集光される。そして、試料22から散乱して出射した出射光はピンホールアレイ30上でスポット状に集光される。ピンホールアレイ30はY方向に沿った配列されたピンホールを有しており、ピンホールに入射した出射光のみを検出器32側に透過させる。レーザ光源10から試料22までの照明光学系及び試料22から検出器32まで観察光学系をこのような結像光学系とすることにより、共焦点ラマン顕微鏡とすることができる。これにより、Z方向の分解能の高い測定を行うことができる。そして、ステージ23をZ方向に移動することにより、試料22の任意の高さからのラマン散乱光を他の高さからのラマン散乱光から分離して検出することができる。
【0045】
このピンホールアレイ30を通過した出射光は、分光器31の本体に入射する。分光器31は、回折格子(グレーティング)やプリズムなどの分光素子を備えており、ピンホールアレイ30から入射した出射光をその波長に応じて空間的に分散させる。反射型回折格子を用いた分光器31の場合、さらにピンホールアレイ30からの出射光を分光素子までに導く凹面ミラーと、分光素子によって分光された出射光を検出器32まで導く凹面ミラーなどの光学系が設けられている。もちろん、上記以外の構成を有する分光器31を用いてもよい。出射光は分光器31によってピンホールアレイ30の配列方向と垂直な方向に分散される。すなわち、分光器31は、ピンホールの配列方向と垂直な方向に出射光を波長分散する。分光器31により分光された出射光は検出器32に入射する。検出器32は受光素子がマトリクス状に配列されたエリアセンサである。具体的には、検出器32は画素がアレイ状に配置された2次元CCDカメラなどの2次元アレイ光検出器である。
【0046】
検出器32には、例えば、冷却CCDを用いることができる。具体的には、検出器32として、プリンストン・インスツルメンツ社製1340×400画素の電子冷却CCD(冷却温度−80℃)を用いることができる。また、検出器32にイメージインテンシファイアを取り付けることも可能である。検出器32の画素は、ピンホールアレイ30に対応する方向に沿って配置されている。したがって、検出器32の画素の一方の配列方向はピンホールの配列方向と一致し、他方の配列方向は、分光器31の分散方向と一致する。検出器32のピンホールの配列方向に対応する方向がY方向となり、配列方向と垂直な方向、すなわち、分光器31によって出射光が分散される方向がX方向となる。
【0047】
検出器32は各画素で受光した出射光の光強度に応じた検出信号を処理装置36に出力する。処理装置36は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)などの情報処理装置であり、検出器32からの検出信号をメモリなどに記憶していく。そして、検出結果に所定の処理を行い、モニターに表示する。さらに、処理装置36は、Y走査装置13及びX走査ミラー18の走査や、ステージ23の駆動を制御している。ここで、検出器32のX方向は出射光の波長(振動数)に対応している。すなわち、X方向に配列されている画素列において、一端の画素は長波長(低振動数)の出射光を検出し、他端の画素は短波長(高振動数)の出射光を検出する。このように、検出器32のX方向における光強度の分布はラマンスペクトルの分布を示すことになる。
【0048】
Y走査装置13が、レーザ光をY方向にスキャンすることで、ライン状の領域を照明することができる。そして、Y走査装置13の走査周期を、検出器32の1フレームに比べて十分早くする。これにより、試料22上における複数のスポットからの出射光を一度に測定することができる。試料22上における複数のスポットからの出射光が検出器32の1フレームで検出される。よって、測定時間を短縮することができる。さらに、試料22において、レーザ光が点状のスポットを形成するように、対物レンズ21がレーザ光を集光している。これにより、空間分解能を向上することができる。
【0049】
上記のように、分光器31の入射側には、ピンホールアレイ30が配置されている。ピンホールアレイ30のピンホールが試料上の測定領域を規定する。ここで、ピンホールアレイ30の構成について、図2を用いて説明する。図2は、ピンホールアレイ30の構成を示すXY平面図である。ピンホールアレイ30は、複数のピンホール42が設けられた遮光板40を有している。例えば、遮光板40に貫通孔、あるいは透明パターン等を設けることで、ピンホール42が形成される。ここでは、6個のピンホール42が一列に配置されている。また、Y方向に配列されたピンホール42は、等間隔に配列されている。ピンホール42に入射した出射光のみ、検出器32側に通過する。ピンホール42の間の領域に入射した出射光は、遮光板40で遮光される。ピンホール42は、出射光を通過させる光通過部となり、ピンホール42以外の領域は、遮光部となる。
【0050】
ピンホール42の配列方向は、上記の通り、Y走査装置13の走査方向に対応している。Y走査装置13によって光ビームをY方向に走査する。すると、ピンホールアレイ30上において、出射光のスポットがピンホール42の配列方向に移動する。ここで、ピンホール42が配列されている領域をアレイ部41とする。通常の分光器の入射スリットの幅が、このアレイ部41の幅となる。従って、分光器31の波長分解能は、アレイ部41の幅に依存している。なお、光通過部となるピンホール42は、物理的に穴が開いた構成に限らず、透明な材質のみから形成される構成であっても良い。
【0051】
次に、ピンホールアレイ30と、検出器32の受光面との関係について、図3を用いて説明する。図3(a)は、ピンホールアレイ30を示し、図3(b)は、検出器32の受光面32aを模式的に示している。さらに、図3(a)では、ピンホールアレイ30のピンホール42を識別するために、上から一番目のピンホール42をピンホール42aとし、2番目のピンホール42をピンホール42bとし、3番目のピンホール42をピンホール42cとしている。
【0052】
ピンホール42aを通過した出射光は、受光面32aの領域Aに入射する。領域Aは、X方向を長手方向とする帯状の領域であり、Y方向にNピクセルの幅を有している。なお、ピンホール42aを通過した出射光は、分光器31によって、X方向(波長方向)に分散されている。従って、受光面32a上におけるX方向の位置は、ラマン散乱光である出射光の波長に応じている。同様に、ピンホール42bを通過した出射光は、受光面32aの領域Bに入射し、ピンホール42cを通過した出射光は、受光面32aの領域Cに入射する。領域B、領域Cは、領域Aと同様に、X方向に延びた帯状の領域であり、Y方向にNピクセルの幅を有している。領域Aと領域Bと領域Cは、重ならないように配置されている。ここでは、領域Aと領域Bが隣接するように配置されている。同様に、領域Cと領域Bが隣接するように配置されている。もちろん、残りのピンホール42を通過した出射光についても、同様に別々の帯状領域に入射する。
【0053】
レンズ24の非点収差等がある場合、出射光がY方向に拡がって、受光面32aに到達する。すなわち、受光面32aでのスポット50が、Y方向に拡がる。しかしながら、領域Aがある一定の幅(ここではNピクセル)を持っている。従って、ピンホール42aを通過した出射光は、受光面32a上で領域Aからはみ出すことはない。換言すると、ピンホール42aを通過した出射光が隣の領域Bに入射しない。ピンホール42aを通過した出射光を検出する場合、領域Aに含まれる幅Nピクセル分の信号を合算して読み出す。これにより、ピンホール42aを通過した出射光のラマンスペクトルを得ることができる。
【0054】
同様に、ピンホール42bを通過した出射光は、受光面32a上で領域Bからはみ出すことはない。すなわち、ピンホール42bを通過した出射光は、受光面32a上で領域Aや領域Cに入射しない。従って、ピンホール42bを通過した出射光は、受光面32a上において、他のピンホールを通過した出射光から、分離して検出される。他のピンホールも同様であるため、隣り合ったピンホール42からの出射光は異なる帯状領域に入射する。
【0055】
なお、ピンホール42の間隔は、帯状領域が重ならないように設定する。すなわち、非点収差やピンホールの大きさに応じて、ピンホール間隔を決定すればよい。このようにすることで、隣接するピンホール42からの出射光が、受光面において重なるのを防ぐことができる。
【0056】
本実施の形態において、レーザ光を高速にY走査することで、試料22のライン状の領域を照明している。そして、1回の露光で、ライン状の領域における複数の測定領域が一度に測定される。さらに、本実施の形態では、Y走査装置13とは異なる走査装置が、Y方向において、レーザ光のスポットと試料22と相対的に移動させる。例えば、ステージ23を別の走査装置として用いている。
ここで、試料22における光スポットの動作を図4に示す。図4(a)は、1回の測定で測定される測定領域を示す図である。図4(b)は次の1回の測定で測定される測定領域を示す図である。図4(c)は複数回の測定で測定される測定領域をまとめて示す図である。なお、測定領域とは、ピンホールアレイ30上のピンホール42に投影される試料22上の領域である。従って、測定領域からの出射光が、ピンホール42を通過して、分光測定される。
【0057】
図4(a)に示すような走査幅でY走査装置13によるY走査を行った場合、測定領域51a〜測定領域51fの測定を行うことができる。測定領域51a〜測定領域51fは、Y方向に沿って点在している。すなわち、測定領域51a〜測定領域51fは、一定の間隔を隔てて、配列されている。測定領域51a〜測定領域51fは、ピンホール42に対応する領域である。具体的には、測定領域51aで発生したラマン散乱光は、図3で示したピンホール42aを通過する。同様に、測定領域51bを通過したラマン散乱光は、ピンホール42bを通過する。従って、1ラインのY走査を行った場合、点在する測定領域51a〜測定領域51fの測定しか行うことができない。換言すると、Y走査装置13による走査では、測定領域51a〜測定領域51fの以外箇所からの出射光は、ピンホール42を通過することができない。Y走査装置13によって走査させたとしても、測定領域51a〜測定領域51fの間の箇所からの出射光は、ピンホール42の間に入射して、遮光板40で遮光される。
【0058】
そこで、ステージ23が、Y方向において、レーザ光のスポットと試料22と相対的に移動させる。図4(a)において、ステージ23が試料22を矢印方向(+Y方向)に、1測定領域分だけずらすと、測定領域51a〜51fが相対移動して、図4(b)に示すようになる。なお、図4(b)において、点線で示す丸は、図4(a)における測定領域を示している。このように、1測定領域分だけ、測定領域51a〜測定領域51fをずらすことで、試料22の別の箇所を測定することができる。すなわち、図4(b)に示す照明状態で照明すると、図4(a)に示す照明状態では測定されていなかった箇所を測定することができる。ステージ23を駆動することで、別の箇所を測定することができる。
【0059】
このようにしてY走査装置13とは別の走査装置で、試料22上における光スポットとの位置を変化させる。そして、スポットを測定領域ずつ移動していく。こうすることで、図4(c)に示すように、ライン領域52を測定することができる。具体的には、Y走査装置13が1ライン分のY走査をして、測定を行う。その後、別の走査装置によって、試料22の測定領域を1測定領域分、Y方向に移動させる。これを繰り返すことで、複数の測定領域51の集合によって、ライン領域52全体を測定することができる。すなわち、スポット状の測定領域51の測定を複数回行うことによって、1ライン分の測定を行うことができる。もちろん、ステージによるY走査は、1測定領域分でなくても良い。
【0060】
そして、ライン領域52の測定が終了したら、X走査ミラー18がX走査をする。ここでは、1ラインの幅だけ、レーザ光のスポットをずらす。X走査ミラー18は、試料22からビームスプリッタ17までの光路中に配置されている。このため、出射光がデスキャンされる。X走査ミラー18による走査により、試料22上で、レーザ光のスポットがずれたとしても、ピンホールアレイ30でのスポット位置は変化しない。すなわち、X走査ミラー18による走査位置によらず、出射光は、ピンホールアレイ30のアレイ部41に入射する。よって、X走査ミラー18に走査によって、隣のラインを照明することができる。もちろん、X走査ミラー18ではなくステージ23によって、X走査を行っても良い。
【0061】
なお、上記の説明では、ステージ23によって、測定領域をY方向にずらしたが、別のスキャナで、ずらしてもよい。例えば、ビームスプリッタ17とX走査ミラー18の間に、Y走査装置13とは異なるY走査装置を配置しても良い。この構成については、実施の形態2で説明する。また、試料22上での測定間隔(図4(a)においては測定領域51a〜51fの間隔)が、測定目的に対して十分小さい場合、Y走査装置13以外の走査手段による走査は不要である。
【0062】
次に、ピンホールアレイ30のピンホール42のサイズを可変とする構成に付いて説明する。例えば、試料22からの出射光が弱い場合、ピンホール42のサイズを大きくする。こうすることで、検出器32での検出光量を増やすことができる。このとき、アレイ部41の幅と直交する方向、すなわちX方向に、ピンホール42を拡げる。すなわち、図5に示すように、例えば、ピンホール42をX方向が長手方向である長穴とする。これにより、ピンホール42を通過した出射光が受光面32a上において、重なったり、隣のピンホール同士が連結されてしまったりするのを防ぐことができる。
【0063】
ピンホール42のサイズを調整するための構成について、図6〜図8を用いて説明する。図6〜図8は、それぞれピンホール42のサイズ調整を行うための構成を示す平面図である。まず、図6に示す第1の構成では、第1プレート45と第2プレート46とが、ピンホールアレイ30を構成している。ここで、第1プレート45は、櫛歯状の遮光板であり、X方向に沿った透過パターン48を有している。透過パターン48は、X方向を長手方向とする長方形である。透過パターン48の数が、ピンホールアレイ30のピンホール42の数に対応する。第2プレート46は、矩形状の遮光板である。第1プレート45と第2プレート46は略同じ外形サイズを有している。
【0064】
そして、図6(a)に示す状態から、第2プレート46を矢印の方向に移動させる。これにより、図6(b)に示すように、第1プレート45が第2プレート46と重なり合う。すると、透過パターン48の一部が、第2プレート46によって遮光される。従って、第2プレート46と重ならない部分の透過パターン48によって、アレイ部41が形成される。そして、第1プレート45と第2プレート46の相対位置をX方向に変化させると、アレイ部41の幅を変えることができる。すなわち、第1プレート45、及び第2プレート46の一方、又は両方を移動させると、第2プレート46が透過パターン48を覆う面積が変化する。第1プレート45と第2プレート46の両方を動かすことによって、開口の中心位置が変わらないようにすることが望ましい。第2プレート46が透過パターン48を覆う面積が変化することにより、アレイ部41の幅を変えることができ、分光器31に入射する出射光のスポットサイズを変えることができる。よって、測定に十分な光量を得ることができる。
【0065】
図7に、ピンホール42のサイズ調整を行うための第2の構成を示す。図7では、第1プレート45と、第2プレート46と、第3プレート47とが、ピンホールアレイ30を構成している。第1プレート45は、ストライプ状の透過パターン48を有する遮光板である。透過パターン48は、X方向を長手方向とする長方形である。第2プレート46と第3プレート47は、矩形状の遮光板である。そして、図7(a)に示すように、第2プレート46と第3プレート47を第1プレート45の両側に配置する。第2プレート46と第3プレート47は、幅可変スリットとして機能する。第2プレート46と第3プレート47の間隔を近づけると、図7(b)に示すようになる。第2プレート46と第3プレート47の間隔に応じて、第2プレート46と第3プレート47が透過パターン48を覆う面積が変化する。これにより、アレイ部41の幅を変えることができ、分光器31に入射する出射光のスポットサイズを変えることができる。よって、測定に十分な光量を得ることができる。なお、第2の構成において、図6に示した第1の構成のように、櫛歯型の遮光板からなる第1プレート45を用いてもよい。
【0066】
図8に示す第3の構成では、様々な大きさの透過パターン48が形成されている。サイズの違う透過パターン48を多数設ける。アレイ部41を形成するため、Y方向の1列には、同じ大きさの透過パターン48を配置する。また、Y方向を長手方向とするスリットとなる透過パターン48aを用意している。さらに、Y方向に単一のピンホールしかない透過パターン48bを用意している。加えて、透過パターン48、透過パターン48a、透過パターン48bのそれぞれには、幅の異なるものを3種類用意している。
【0067】
このように、1枚の第1プレート45に、X方向の幅が異なる透過パターン48、48a、48bを形成する。第1プレート45をX方向に移動させると、スリット、ピンホールの幅を段階的に変えることができる。分光器31に入射する出射光のスポットサイズを変えることができる。これにより、測定に十分な光量を得ることができる。また、第3の構成において、単一のピンホールとなる透過パターン48を用いることで、Y走査装置13を止めて、試料22の1点を測定する場合に、空間分解能を向上することができる。スリットとなる透過パターン48を用いることで、測定時間を短縮することができる。さらに、単一のピンホール、スリット、ピンホールアレイを切り替えて、測定することも可能である。
また、幅の異なる透過パターン48をY方向に並べ、第1プレート45をY方向に移動させることで、幅を変えてもよい。この構成とすると、幅を変えるための第1プレートの移動量は大きくなるが、切り替えによって開口位置がX方向にずれてしまい、測定波長の誤差となってしまうことを防ぐことができる。
【0068】
上記の第1〜第3の構成では、Y方向におけるピンホール42のサイズを一定としたまま、X方向のサイズを変えることができる。なお、第1〜第3の構成で示した第1プレート45は、例えば、リソグラフィー法を用いて製作することができる。具体的には、ガラス基板等の透明基板に、クロムなどの遮光膜を形成する。そして、リソグラフィー法で、遮光膜をパターニングする。これにより、所定の形状のパターンを形成することができる。あるいは金属薄板をレーザ加工やエッチング加工、電鋳加工することなどによって製作することも可能である。
【0069】
本実施の形態では、スリットではなく、ピンホールアレイ30を用いた共焦点光学系を採用している。このため、空間分解能を向上することができる。検出器32の受光面32aにおいて、ピンホール42を通過した出射光が互いに重ならないように、複数のピンホール42を形成することが好ましい。具体的には、複数のピンホールからの信号が重ならないような幅に設定する。実際にはピンホールからの信号は有限の大きさとならないので、例えば、幅Nピクセル内に1つのピンホールからの信号の90%以上が含まれるように、幅を設定することが好ましい
これにより、分光器31の光学系に非点収差があり、ピンホール42を通過した出射光が拡がる場合でも、高い分解能での測定が可能となる。すなわち、分光器31の光学系の非点収差の影響を低減することができ、分解能を向上することができる。複数のスポットからの出射光を一度に測定できるため、測定時間を短縮することができる。また、ピンホールアレイ30のピンホールの大きさを調整可能としてもよい。こうすることで、測定に十分な光量を得ることができる。また、ピンホール42の大きさは、必要な分解能と、測定に必要な光量に応じて決定すればよい。また、X走査ミラー18よりもレーザ光源10側に配置されたY走査装置13の他に、別のY走査手段を設ける。こうすることで、ライン領域52全体を測定することができる。
【0070】
また、1列にピンホール42が並んだピンホールアレイ30を用いることで、簡便な構成で光の通過を制限することができる。例えば、非特許文献2のように格子状のピンホールアレイ及びファイババンドルを用いる構成では、格子状のファイババンドルをライン状に並び変える必要がある。ピンホールアレイ30を用いる構成では、ファイババンドルの並べ替えなどの作業を省略することができる。ピンホールアレイ30が、ビームスプリッタ17から分光器31までの光路中に配置されている。すなわち、レーザ光源10からの光が直接ピンホールアレイ30に入射せずに、ビームスプリッタ17で分離されたラマン散乱光がピンホールアレイ30に入射する。これにより、ピンホールアレイ30から散乱された照明光が分光器31に入射するのを防ぐことができる。
さらに、特許文献1に記載されているように、シリンドリカルレンズ等によって、Y方向に光を広げた後、Y走査装置13によって走査してもよい。あるいは、特開2006−258990号公報に記載されているように、シリンドリカルレンズによって、Y方向に光を拡げて、試料23のライン状の領域を照明しても良い。例えば、1枚のシリンドリカルレンズで、ライン状のフォーカスを絞り15の面に形成する。そして、ライン状の光を試料22に投影する。このように、ライン状の光に変換する手段を設けることで、Y走査装置13を省略することが可能となる。非特許文献2のようにマイクロレンズアレイを使用するマルチフォーカス照明の構成に比べると、Y走査装置13あるいはシリンドリカルレンズによるライン照明の構成は、より調整が簡単である。
【0071】
実施の形態2.
本実施の形態にかかる光学顕微鏡、及び分光測定方法について、図9を用いて説明する。本実施の形態では、実施の形態1で示したステージ23によるY走査の代わりに、ガルバノミラー等のY走査ミラーを用いている。本実施の形態では、Y走査ミラーを、X走査ミラーに近接させて配置している。
【0072】
本発明の実施の形態にかかる光学顕微鏡について図9を用いて説明する。図1は本実施の形態にかかる光学顕微鏡100の光学系の構成を模式的に示す図である。光学顕微鏡100は、試料124を観察するための構成として、レーザ光源110と、ビームエキスパンダ111とレーザラインフィルタ112、Y走査装置140、リレーレンズ114、リレーレンズ115、リレーレンズ117、リレーレンズ118、エッジフィルタ119、X走査装置120、リレーレンズ121、チューブレンズ122、対物レンズ123、結像レンズ126、ミラー127、分光器131、ステージ160と、を有している。Y走査装置140は、高速スキャナ113と低速スキャナ116とを含んでいる。高速スキャナ113と低速スキャナ116は、ガルバノミラー等の走査ミラーであり、光ビームを偏向する。
【0073】
レーザ光源110、ビームエキスパンダ111、高速スキャナ113、リレーレンズ117、リレーレンズ118、エッジフィルタ119、X走査装置120、リレーレンズ121、チューブレンズ122、対物レンズ123、ステージ160、結像レンズ126は、それぞれ実施の形態1で示した、レーザ光源10、ビームエキスパンダ11、レンズ14、レンズ16、ビームスプリッタ17、X走査ミラー18、レンズ19、レンズ20、対物レンズ21、ステージ23、レンズ24と同様であるため説明を省略する。また、他の基本的構成についても、特開2010−54368号公報の図5と同様であるため説明を省略する。
【0074】
本実施の形態では、分光器131がピンホールアレイ130を有している。ピンホールアレイ130は、実施の形態1で示したピンホールアレイ30と同様のものである。高速スキャナ113は、実施の形態1のY走査装置13と同様に、ライン領域を照明する。本実施の形態では、さらに、X走査装置120とエッジフィルタ119の間に、低速スキャナ116が配置されている。低速スキャナ116は、実施の形態1で示したステージ23の代わりに、Y走査を行う。これにより、レーザ光とその出射光が、Y方向に走査される。低速スキャナ116は、出射光をデスキャンしている。これにより、ライン領域全体を照明することができる。よって、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0075】
実施の形態3.
実施の形態1、2では、Y走査装置13又は高速スキャナ113の走査によって、スポットを走査している。このとき、ライン領域の等間隔の点が測定される。すなわち、ステージ23や、低速スキャナ116を走査しない限り、測定領域の間の領域は、照明されているが、測定されない。そのため、照明光の大部分が有効に利用されないことがある。また、同じ品質のデータを得るために、試料に照射される光の光量が増加する。このため、光に照射によっては、試料が受けるダメージが増えてしまう。
【0076】
そこで、本実施の形態では、照明系を変更している。具体的にはマイクロレンズアレイを用いて、マルチビームを形成している。この構成について、図10〜図12を用いて説明する。図10では、図1に示した構成の、Y走査装置13、レンズ14の代わりに、シリンドリカルレンズ62、63と、マイクロレンズアレイ60が使用されている。図11は、マイクロレンズアレイ60の構成を示す斜視図である。図12は、マイクロレンズアレイ60によって、複数のスポット照明が形成される様子を示す図である。なお、光学顕微鏡100の基本的構成については、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0077】
シリンドリカルレンズ62、63は、レーザ光をライン状の平行光に変換する。一対のシリンドリカルレンズ62、63は、紙面と垂直なY方向に拡がったライン状の平行光70を形成する(図12参照)。ライン状の平行光70は、光軸と平行に伝播して、マイクロレンズアレイ60に入射する。マイクロレンズアレイ60は、図11に示すように、Y方向に配列された複数のレンズ61を有している。マイクロレンズアレイ60の各レンズ61は、入射したレーザ光を集光する。マイクロレンズアレイ60の複数のレンズ61は、絞り15の置かれる位置に複数のスポット照明71a〜71fを形成する(図12参照)。これにより、複数のスポットを形成するためのマルチビームを生成することができる。これらのスポット照明71a〜71fが、レンズ16、レンズ19、レンズ20、対物レンズ21によって、試料22に投影される。従って、試料22上における複数のスポットを同時に照明することができる。
【0078】
そして、試料22上でのスポット照明の間隔を、ピンホールアレイ30によって形成される測定領域51a〜51fの間隔と一致させる。これにより、レーザ光が入射した箇所からの出射光が、ピンホールアレイ30のピンホール42を通過する。例えば、マイクロレンズアレイ60が形成したスポット照明が試料22に入射すると、照明光71aが投影された試料22の領域からの出射光が、ピンホール42aに入射する。他のスポット71b〜71fについても、それぞれピンホール42を通過する。よって、ピンホールアレイ30による複数の測定領域51a〜51fを同時に照明することができる。
【0079】
マイクロレンズアレイ60による複数の照明スポットを、ピンホールアレイ30の測定領域と一致させている。これにより、レーザ光を有効に利用することができる。さらに、測定されない部分に光が照射されなくなるため試料22のダメージを低減することができる。さらに、光を効率よく利用することができる。また、実施の形態1と同様に、スポット状の領域を照明している。そして、スポット状の領域からの出射光が、ピンホールアレイ30を介して検出される。従って、共焦点光学系を介して、測定が行われる。これにより、スリットによる共焦点効果のみを使用している従来構成に比べて、Y方向、及びZ方向の空間分解能を向上することができる。
【0080】
なお、シリンドリカルレンズ62、63の代わりに、アナモフィックプリズムを用いて、ライン状の平行光70を形成しても良い。このように、一対のシリンドリカルレンズ62,63、又はアナモフィックプリズムを用いることで、レンズ61が並んだ方向に、ビームを拡げることができる。また、1列に並んだ複数のスポット照明を形成する素子として、回折光学素子とレンズの組み合わせを用いても良い。すなわち、試料22上において、複数のスポットを形成するマルチビーム形成手段は特に限定されるものではない。
【0081】
上記の光学顕微鏡によって、ラマンスペクトルを測定することができる。なお、上述の説明では、ラマン散乱光を分光測定する光学顕微鏡100について説明したが、本発明はこれに限られるものでない。入射光のレーザ波長と異なる波長で試料から出射する出射光を検出する分光測定装置であればよい。例えば、励起光によって励起される蛍光を検出する分光測定装置や、赤外吸収を検出する分光測定装置であってもよい。これらの分光測定装置でも、短時間で、スペクトルの測定を行うことができる。
【符号の説明】
【0082】
10 レーザ光源
11 ビームエキスパンダ
13 Y走査装置
14 レンズ
15 絞り
16 レンズ
17 ビームスプリッタ
18 X走査ミラー
19 レンズ
20 レンズ
21 対物レンズ
22 試料
23 ステージ
24 レンズ
25 絞り
26 レンズ
27 フィルタ
28 フィルタ
29 フィルタ駆動装置
30 ピンホールアレイ
31 分光器
32 検出器
32a 受光面
35 ステージ駆動装置、
36 処理装置
40 遮光プレート
41 アレイ部
42 ピンホール
45 第1プレート
46 第2プレート
47 第3プレート
48 透過パターン
50 スポット
51 スポット
51a〜51e スポット
52 ライン領域
60 マイクロレンズアレイ
61 レンズ
70 ライン状の平行光
71a〜71e スポット
81 スポット
82 スポット
100 光学顕微鏡
110 レーザ光源
111 ビームエキスパンダ、
112 レーザラインフィルタ
113 高速スキャナ
114 リレーレンズ
115 リレーレンズ
116 低速スキャナ
117 リレーレンズ
118 リレーレンズ
119 エッジフィルタ
120 X走査装置
121 リレーレンズ
122 チューブレンズ
123 対物レンズ
126 結像レンズ
127 ミラー
131 分光器
140 Y走査装置
160 ステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源からの光ビームを集光して、試料に入射させる対物レンズと、
前記試料に対する光ビームの位置を相対移動させて、前記試料上における前記光ビームのスポット位置を走査する走査手段と、
前記試料に入射された光ビームのうち、異なる波長となって前記試料から前記対物レンズ側に出射する出射光と前記レーザ光源から前記試料に入射する光ビームとを分離する光分岐手段と、
前記光分岐手段により分離された出射光を波長に応じて空間的に分散させる分光器と、
アレイ状に配列された受光画素を有し、前記分光器で分散された出射光を検出する2次元アレイ光検出器と、
前記分光器の入射側に配置され、集光された出射光を前記分光器側に通過させる複数の光通過部が前記分光器の分散方向と直交する方向に沿って配列された光制限手段と、
を備える光学顕微鏡。
【請求項2】
前記2次元アレイ光検出器の受光面において、前記複数の光通過部を通過した出射光が重ならないように、複数の前記光通過部が形成されている請求項1に記載の光学顕微鏡。
【請求項3】
前記分散方向と平行な方向において、前記光通過部の大きさが、可変であることを特徴とする請求項1、又は2に記載の光学顕微鏡。
【請求項4】
複数の前記光通過部が、ピンホールが1列に並んだピンホールアレイによって形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学顕微鏡。
【請求項5】
複数の前記光通過部による測定領域を同時に照明するよう、前記試料に入射する光ビームのスポットを複数形成するマルチビーム形成手段をさらに備える請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学顕微鏡。
【請求項6】
前記マルチビーム形成手段が、複数の前記光ビームのスポットを1列に配列することを特徴とする請求項3に記載の光学顕微鏡。
【請求項7】
前記走査手段が、
前記光源から前記光分岐手段までの光路中に配置され、前記光制限手段における出射光の位置が前記光通過部の配列方向に変化するよう、前記光源からの光ビームを第1の方向に偏向させる第1の走査装置と、
前記光分岐手段から前記試料までの光路中に配置され、前記試料上における前記光ビームのスポット位置を、前記第1の方向と異なる第2の方向に走査する第2の走査装置と、
を備える請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光学顕微鏡。
【請求項8】
前記走査手段が、
前記試料に対する光ビームの位置を相対移動させて、前記試料上における前記光ビームのスポット位置を走査する第3の走査装置をさらに備え、
前記第3の走査装置の走査によって、前記光通過部の測定領域と前記光ビームのスポットとが前記試料上で前記第1の方向に移動することを特徴とする請求項7に記載の光学顕微鏡。
【請求項9】
前記光源からの光ビームをライン状の光に変換する光変換手段をさらに備え、
前記光通過部の配列方向に対応する方向に沿ったライン状の光が前記試料に入射している請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学顕微鏡。
【請求項10】
光源からの光ビームを集光して、試料に入射させ、
前記試料に対する光ビームの位置を相対移動させて、前記試料上における前記光ビームのスポット位置を走査し、
前記試料に入射された光ビームのうち、異なる波長となって前記試料から前記対物レンズ側に出射する出射光と前記レーザ光源から前記試料に入射する光ビームとを分離し、
前記光ビームから分離された前記出射光を集光し、
前記集光された出射光を通過させる複数の光通過部が配列された光制限手段に入射させ、
前記光通過部を通過した出射光を、波長に応じて前記光通過部の配列方向と直交する方向に分散させ、
アレイ状に配列された受光画素を有する2次元アレイ光検出器で、分散された出射光を検出する分光測定方法。
【請求項11】
前記2次元アレイ光検出器の受光面において、前記複数の光通過部を通過した出射光が重ならないように、複数の前記光通過部が形成されている請求項10に記載の分光測定方法。
【請求項12】
前記分散方向と平行な方向において、前記光通過部の大きさが、可変であることを特徴とする請求項10、又は11に記載の分光測定方法。
【請求項13】
複数の前記光通過部が、ピンホールが1列に並んだピンホールアレイによって形成されていることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の分光測定方法。
【請求項14】
前記試料に入射する光ビームのスポットを複数形成して、複数の前記光通過部による測定領域を同時に照明する請求項10乃至13のいずれか1項に記載の分光測定方法。
【請求項15】
前記試料上における複数の前記光ビームのスポットが1列に配列されていることを特徴とする請求項14に記載の分光測定方法。
【請求項16】
前記試料上のライン状の領域を測定するように、前記試料上の光ビームのスポット位置を第1の方向に走査して、
前記ライン状の領域に対する測定を行った後、前記試料上における前記光ビームのスポット位置を第2の方向に走査する請求項10乃至15のいずれか1項に記載の分光測定方法。
【請求項17】
前記試料上の光ビームのスポット位置を第1の方向に走査する際において、
前記光源からの光ビームをデスキャンさせずに、第1の方向に偏向させた後、前記試料における前記光通過部の測定領域を前記第1の方向に移動させる請求項16に記載の分光測定方法。
【請求項18】
前記光源からの光ビームをライン状の光に変換し、
前記光通過部の配列方向に対応する方向に沿ったライン状の光が前記試料に入射している請求項10乃至13のいずれか1項に記載の分光測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−189891(P2012−189891A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54538(P2011−54538)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(503138134)ナノフォトン株式会社 (19)
【Fターム(参考)】