説明

光導波路コアの製造方法、光導波路の製造方法、光導波路、及び光電気複合配線板

【課題】所定の角度をなす傾斜端面を有する光導波路コアを効率的に製造できる方法を提供することを目的とする。
【解決手段】基板上に形成されたクラッド層の表面に、感光性材料からなるコア材料層を形成するコア材料層形成工程と、コア材料層表面に、屈折率が1より高い高屈折率物質を密着させるように被覆する高屈折率物質被覆工程と、高屈折率物質の被覆されている側からクラッド層表面に対して所定の傾斜角度から露光光を照射することにより、コア材料層に対して、コア部を形成するための所定形状のパターン露光をする露光工程と、露光工程により露光されたコア材料層表面から高屈折率物質を除去する高屈折率物質除去工程と、高屈折率物質除去工程により前記高屈折率物質が除去された後のコア材料層を現像することにより、傾斜端面を有するコア部を形成する現像工程とを備える光導波路の製造方法を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路コアの製造方法、光導波路の製造方法、前記光導波路の製造方法により製造された光導波路、及び前記光導波路を備える光電気複合配線板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今の各種情報処理機器内における信号高速化に付随する高周波ノイズや、伝送帯域不足の問題を解決するものとして光導波路を内蔵したプリント基板である光電気複合配線板が注目されている。
【0003】
このような光電気複合配線板においては、光を所望の角度に曲げて、例えば、光導波路から光を入出力すること等を目的として、光を反射可能な傾斜端面を有する光導波路コアを備える光導波路が形成されている。このような傾斜端面を有する光導波路コアを製造する方法としては、例えば、非特許文献1に記載の方法等が挙げられる。
【0004】
下記非特許文献1には、光導波路コアを製造する方法として、光導波路コアを形成する工程と、前記光導波路コアを回転刃等により加工することにより、前記光導波路コアにミラー用の傾斜端面を形成する工程と、前記傾斜端面の反射効率を向上させるために、前記傾斜端面上に金属で皮膜してミラーを形成する工程とを備える方法等が記載されている。
【0005】
非特許文献2には、光導波路コアを形成した後、エキシマレーザを45°の方向から照射してアブレーションすることにより、ミラー用の45°傾斜端面を形成する方法が記載されている。
【0006】
また、下記特許文献1には、感光性材料層に選択的に光を照射し、前記感光性材料を変質させ構造を形成する製造工程を含む製造方法において、前記製造方法が、前記光を基板に対して特定の角度で入射させて構造を形成する製造工程を含む製造方法が記載されている。具体的には、例えば、コアコーティング、45°露光、現像の順で行うことによって、45°ミラーを持つ導波路を形成できる旨が記載されている。
【0007】
非特許文献1及び非特許文献2によれば、上述した製造方法によって、傾斜端面を有する光導波路コアを形成できる旨が開示されている。
【0008】
一方、傾斜端面を有する光導波路コアを製造する方法としては、傾斜端面を形成できるだけではなく、傾斜端面を有する光導波路コアを製造するための製造工程を少なくすることによって、製造効率を高めることが求められている。そして、製造工程を少なくすることによって、製造コストを低く抑えることも求められている。
【0009】
非特許文献1及び非特許文献2に記載の方法では、光導波路コアを形成した後に、切削加工等を施すことによって、傾斜端面を形成する。すなわち、光導波路コアの形成と傾斜端面の形成とを別個に行うものであり、これらを同時に行うものよりは製造効率が低く、製造コストが高くなる傾向があった。
【0010】
そこで、特許文献1によれば、露光時の光を基板に対して特定の角度で入射させることによって、光導波路コアの形成と傾斜端面の形成とを同時に行える旨が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−279687号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】松下電工技報、Vol.54、No.3「光・電気複合フレキシブルプリント配線板」(2006年9月発行)
【非特許文献2】塩田剛史、鈴木健司、「エキシマレーザ加工により高分子光導波路に形成された45度マイクロミラー」、エレクトロニクス実装学会誌、Vol.7、No.7、p.607−612(2004年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1に記載のように、基板に対して傾斜させて露光時の光を入射させる際、コア材料層の屈折率が大きいと、コア材料層との界面に存在する空気等の屈折率と大きく離れることになるので、所定の角度の傾斜端面、例えば、45°ミラー用の傾斜面等を形成するためには、露光時の光を基板に対する角度を小さくしなければならない。露光時の光を基板に対する角度を小さくした場合、光がコア材料層表面で反射してしまい、所定の角度の傾斜端面を形成することができない場合があった。また、傾斜端面を形成できる場合であっても、傾斜端面の表面の平滑性が低くなる傾向があった。さらに、コア材料層の屈折率が空気の屈折率と大きく離れていると、露光時の光をクラッド層や基板に対する角度として、光の全反射を起こさない角度の範囲が狭くなり、よって、形成できる光導波路における傾斜端面の角度範囲が狭いことになるという問題があった。すなわち、所定の角度の傾斜端面を形成できない場合もあった。
【0014】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、所定の角度をなす傾斜端面を有する光導波路コアを、効率的に製造することができる光導波路コアの製造方法を提供することを目的とする。また、傾斜端面を有する光導波路コアを備える光導波路の製造方法、前記製造方法により製造された光導波路、及び前記光導波路を備える光電気複合配線板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の光導波路コアの製造方法は、傾斜端面を有する光導波路コアの製造方法であって、基板上に形成されたクラッド層の表面に、感光性材料からなるコア材料層を形成するコア材料層形成工程と、前記コア材料層表面に、屈折率が1より高い高屈折率物質を密着させるように被覆する高屈折率物質被覆工程と、前記高屈折率物質の被覆されている側から前記クラッド層表面に対して所定の傾斜角度から露光光を照射することにより、前記コア材料層に対して、コア部を形成するための所定形状のパターン露光をする露光工程と、前記露光工程により露光されたコア材料層表面から前記高屈折率物質を除去する高屈折率物質除去工程と、前記高屈折率物質除去工程により前記高屈折率物質が除去された後のコア材料層を現像することにより、傾斜端面を有するコア部を形成する現像工程とを備えることを特徴とするものである。
【0016】
また、前記コア材料層形成工程が、前記クラッド層の表面上に、前記感光性材料からなる感光性フィルムを貼り付ける工程であることが好ましい。
【0017】
また、前記コア材料層形成工程が、前記感光性フィルムを用いる場合、前記高屈折率物質が、液体であって、前記高屈折率物質被覆工程が、前記コア材料層を前記高屈折率物質に浸漬させる工程であることが好ましい。
【0018】
また、前記高屈折率物質が、前記クラッド層表面に対する傾斜面を有する構造体であって、前記高屈折率物質被覆工程が、前記コア材料層に前記構造体を密着させる工程であることが好ましい。
【0019】
また、前記露光光が、前記クラッド層表面に対する角度が異なる、少なくとも2種以上の光からなることが好ましい。
【0020】
また、前記感光性材料が、ビスフェノール型エポキシ樹脂と光カチオン硬化剤とを含有する樹脂組成物であることが好ましい。
【0021】
また、本発明の光導波路の製造方法は、傾斜端面を有する光導波路コアを備える光導波路の製造方法であって、基板上に形成された第1クラッド層の表面に、感光性材料からなるコア材料層を形成するコア材料層形成工程と、前記コア材料層表面に、屈折率が1より高い高屈折率物質を密着させるように被覆する高屈折率物質被覆工程と、前記高屈折率物質の被覆されている側から前記第1クラッド層表面に対して所定の傾斜角度から露光光を照射することにより、前記コア材料層に対して、コア部を形成するための所定形状のパターン露光をする露光工程と、前記露光工程により露光されたコア材料層表面から前記高屈折率物質を除去する高屈折率物質除去工程と、前記高屈折率物質除去工程により前記高屈折率物質が除去された後のコア材料層を現像することにより、傾斜端面を有するコア部を形成する現像工程と、前記コア部を埋設するように第2クラッド層を形成するクラッド層形成工程とを備えることを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明の光導波路は、前記光導波路の製造方法によって得られたことを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明の光電気複合配線板は、前記光導波路を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、所定の角度をなす傾斜端面を有する光導波路コアを、効率的に製造することができる光導波路コアの製造方法を提供することができる。また、傾斜端面を有する光導波路を備える光導波路の製造方法、前記製造方法により製造された光導波路、及び前記光導波路を備える光電気複合配線板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光導波路の製造方法を説明するための概略図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る光導波路の製造方法を説明するための概略図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る光導波路の製造方法を説明するための概略図である。
【図4】実施例1における光導波路の製造方法を説明するための模式図である。
【図5】実施例2における光導波路の製造方法を説明するための模式図である。
【図6】実施例3における光導波路の製造方法を説明するための模式図である。
【図7】比較例における光導波路の製造方法を説明するための模式図である。
【図8】実施例3及び比較例において得られた光導波路コアの傾斜端面をSEMを用いて観察したときのSEM写真である。
【図9】実施例4における光導波路の製造方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0027】
本発明に係る光導波路コアの製造方法は、傾斜端面を有する光導波路コアの製造方法であって、基板上に形成されたクラッド層の表面に、感光性材料からなるコア材料層を形成するコア材料層形成工程と、前記コア材料層表面に、屈折率が1より高い高屈折率物質を密着させるように被覆する高屈折率物質被覆工程と、前記高屈折率物質の被覆されている側から前記クラッド層表面に対して所定の傾斜角度から露光光を照射することにより、前記コア材料層に対して、コア部を形成するための所定形状のパターン露光をする露光工程と、前記露光工程により露光されたコア材料層表面から前記高屈折率物質を除去する高屈折率物質除去工程と、前記高屈折率物質除去工程により前記高屈折率物質が除去された後のコア材料層を現像することにより、傾斜端面を有するコア部を形成する現像工程とを備えることを特徴とするものである。また、本発明に係る光導波路の製造方法は、前記光導波路コアの製造方法に、前記コア部を埋設するように第2クラッド層を形成するクラッド層形成工程とを備えるものである。
【0028】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る光導波路の製造方法を説明するための概略図である。図1(a)は、第1実施形態における露光工程を示す概略断面図であり、図1(b)は、第1実施形態における現像工程を示す概略断面図であり、図1(c)は、形成された光導波路を示す概略断面図であり、図1(d)は、第1実施形態における露光工程における露光光の進行方向を説明するための概略図であり、図1(a)における楕円Aで示す部分を拡大したものである。
【0029】
本発明の第1実施形態に係る光導波路の製造方法としては、図1(a)に示すように、第1クラッド層12を備えた基材11の、前記第1クラッド層12上にコア材料層13を形成した後、高屈折率物質15で被覆された状態で、そのコア材料層13に対して露光する。
【0030】
具体的には、まず、基材11の表面に第1クラッド層12を形成する。
【0031】
前記基材11としては、各種有機基材や無機基材が特に限定なく用いられる。有機基材の具体例としては、エポキシ基材、アクリル基材、ポリカーボネート基材、及びポリイミド基材等が挙げられる。また、無機基材としては、シリコン基材やガラス基材等が挙げられる。また、基材上に予め回路が形成されたプリント回路基材のようなものであってもよい。
【0032】
前記第1クラッド層12の形成方法としては、前記基材11の表面に、前記第1クラッド層12を形成するための所定の屈折率を有する硬化性樹脂材料からなる樹脂フィルムを貼り合せた後、硬化させる方法や、前記第1クラッド層12を形成するための液状の硬化性樹脂材料を塗布した後、硬化させる方法や、前記第1クラッド層12を形成するための硬化性樹脂材料のワニスを塗布した後、硬化させる方法等が挙げられる。なお、前記第1クラッド層12を形成させる際には、密着性を高めるために、予め、前記基材11の表面にプラズマ処理等を施しておくことが好ましい。
【0033】
前記第1クラッド層12を形成するための硬化性樹脂材料としては、後に形成されるコア部16の材料よりも導波光の伝送波長における屈折率が低くなるようなものが用いられる。その伝送波長における屈折率としては、例えば、1.5〜1.55程度のものが挙げられる。このような硬化性樹脂材料の種類としては、上記のような屈折率を有する、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂等が挙げられる。
【0034】
前記第1クラッド層12の厚みは、特に限定されないが、例えば、5〜15μm程度であることが好ましい。
【0035】
前記第1クラッド層12を形成する具体的な方法としては、例えば、前記第1クラッド層12を形成するために樹脂フィルムを貼り合せた後、硬化させる方法や、前記第1クラッド層12を形成するための、液状の硬化性樹脂材料、又は、硬化性樹脂材料のワニスを塗布した後、硬化させる方法等が用いられる。
【0036】
前記第1クラッド層12を形成するために樹脂フィルムを貼り合せた後、硬化させる具体的な方法としては、例えば、以下のような方法が用いられる。まず、前記基材11表面に硬化性樹脂からなる樹脂フィルムを重ねるように載置した後、加熱プレスにより貼り合せる、又は、前記基材11表面に硬化性樹脂からなる樹脂フィルムを、透明性の接着剤により貼り合わせる。そして、貼り合せられた樹脂フィルムに光を照射すること、又は、加熱することにより硬化させる。
【0037】
また、前記第1クラッド層12を形成するための、液状の硬化性樹脂材料、または、硬化性樹脂材料のワニスを塗布した後、硬化させる具体的な方法としては、例えば、以下のような方法が用いられる。まず、前記基材11表面に液状の硬化性樹脂材料又は硬化性樹脂材料のワニスを、スピンコート法、バーコート法、又は、ディップコート法等を用いて塗布させる。そして、塗布された液状の硬化性樹脂材料又は硬化性樹脂材料のワニスに光を照射すること、又は、加熱することにより硬化させる。
【0038】
次に、図1(a)に示すように、形成された前記第1クラッド層12の外表面に、感光性材料からなるコア材料層13を形成する。
【0039】
前記コア材料層13の形成方法としては、前記第1クラッド層12の外表面に、前記コア材料層13を形成するための所定の屈折率を有する感光性高分子材料からなる樹脂フィルム(感光性フィルム)を貼り合せる方法や、前記コア材料層13を形成するための液状の感光性高分子材料を塗布する方法や、前記コア材料層13を形成するための感光性高分子材料のワニスを塗布した後、乾燥させる方法等が挙げられる。なお、前記コア材料層13を形成させる際にも、前記第1クラッド層12の外表面を活性化させて密着性を高めるために、予め、プラズマ処理等を施しておくことが好ましい。
【0040】
ここで、感光性とは光を照射することによって変質する性質を指す。変質とは、硬化、軟化、特定溶剤に対する溶解性の変化、又は、屈折率の変化等が挙げられる。光(露光光)としては、紫外線に代表されるエネルギー線であるが、これに限られるものではない。前記コア材料層13の材料特性に応じて他波長の光を用いてもよい。
【0041】
前記感光性高分子材料からなる樹脂フィルム(感光性フィルム)としては、半硬化状態の感光性高分子材料をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等に塗布して得られるドライフィルム等が挙げられる。なお、このようなドライフィルムは、通常、保護フィルムにより保護されている。
【0042】
前記コア材料層13を形成するための感光性高分子材料としては、前記第1クラッド層12の材料よりも導波光の伝送波長における屈折率が高いものが用いられる。その伝送波長における屈折率としては、例えば、1.55〜1.6程度のものが挙げられる。
【0043】
前記コア材料層13を形成するための感光性高分子材料の種類としては、上記のような屈折率を有する、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂等を樹脂成分とする感光性材料が挙げられる。これらの中でも特に、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、前記コア材料層13を形成するための感光性高分子材料としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂と光カチオン硬化剤とを含有する樹脂組成物が、耐熱性の高い導波路が得られるために、プリント基板等と複合化することができる点から好ましい。なお、前記コア材料層13と前記第1クラッド層12との接着性の観点から、前記コア材料層13を形成するための感光性高分子材料は、前記第1クラッド層12を形成するための硬化性樹脂材料と同系統のものであることが好ましい。
【0044】
前記コア材料層13の厚みは、特に限定されないが、例えば、20〜100μm程度であることが好ましい。
【0045】
前記コア材料層13を形成する具体的な方法としては、例えば、前記コア材料層13を形成するために樹脂フィルムを貼り合せる方法や、前記コア材料層13を形成するための、液状の硬化性樹脂材料、又は、硬化性樹脂材料のワニスを塗布する方法等が用いられる。
【0046】
前記コア材料層13を形成するために樹脂フィルムを貼り合せる具体的な方法としては、例えば、前記第1クラッド層12の外表面に硬化性樹脂からなる樹脂フィルムを重ねるように載置した後、加熱プレスにより貼り合せる、又は、前記第1クラッド層12の外表面に硬化性樹脂からなる樹脂フィルムを、透明性の接着剤により貼り合わせる。
【0047】
また、前記コア材料層13を形成するための液状の硬化性樹脂材料、又は、硬化性樹脂材料のワニスを塗布する方法の具体的な方法としては、前記第1クラッド層12の外表面に液状の硬化性樹脂材料又は硬化性樹脂材料のワニスを、スピンコート法、バーコート法、又は、ディップコート法等を用いて塗布した後、必要に応じて乾燥させる。
【0048】
前記コア材料層13を選択的に露光して硬化等させる前に、前記コア材料層13に熱処理を施してもよい。そうすることにより、前記コア材料層13の表面の凹凸、気泡、ボイド等を消失させて平滑になる。熱処理温度は、前記コア材料層13の表面の凹凸、気泡、ボイド等が消失して平滑になるような粘度になる温度が好ましく、前記コア材料層13を形成する硬化性樹脂材料の種類によって適宜選択される。また、熱処理時間としては、10〜30分間程度であることが、上記効果が充分に得られる点から好ましい。なお、熱処理の手段は特に限定されず、所定の温度に設定したオーブン中で処理する方法やホットプレートで加熱する等の方法が用いられる。
【0049】
次に、図1(a)に示すように、前記コア材料層13表面に、屈折率が1より高い高屈折率物質を密着させるように被覆した後、フォトマスク14を介して、前記コア材料層13に対して露光光を照射して、前記コア材料層13に対して所定形状のパターン露光を行う。ここでの露光は、図1(d)に示すように、前記第1クラッド層12表面の垂直方向から露光光を照射するのではなく、前記第1クラッド層12表面の垂直方向と、前記コア材料層13中を通過する露光光の進行方向とがなす角θ1が、所定の角度、例えば、45°ミラーを形成する場合には、45°となるように、斜めに照射する傾斜露光である。より具体的には、露光光を、前記第1クラッド層12表面の垂直方向に対してなす角θ0が、前記角θ1が、所定の角度となるように傾斜露光させる。
【0050】
また、前記コア材料層13を露光する際、前記コア材料層13表面に、屈折率が1より高い高屈折率物質を密着させるように被覆した状態で、露光が行われる。そうすることによって、前記コア材料層13の表面で露光光が全反射せずに、前記コア材料層13中に露光光が入射される角度範囲が広くなる。
【0051】
上記事項を詳細に説明すると以下のようになる。
【0052】
前記コア材料層13の、露光光の入射側表面上に存在するものの、ここでは高屈折率物質15の屈折率をn0とし、前記コア材料層13の屈折率をn1としたときの、露光光が前記コア材料層13中に入射するとき、下記式(1)が成立する。
【0053】
n0Sinθ0=n1Sinθ1 (1)
ここで、n0が1.33とすると、露光光が前記コア材料層13中に入射する条件として、下記式(2)が成立する。
【0054】
0≦θ1≦Sin−1(1.33/n1) (2)
そして、n1が1.4〜1.6であるとすると、露光光が前記コア材料層13中に入射する条件として、下記式(3)が成立する。
【0055】
0≦θ1≦約56〜72° (3)
これに対して、前記コア材料層13が前記高屈折率物質15で被覆されていない場合、前記コア材料層13の、露光光の入射側表面上に存在するものが空気である場合、n0が1であり、n1が1.4〜1.6であるとすると、露光光が前記コア材料層13中に入射する条件として、下記式(4)が成立する。
【0056】
0≦θ1≦約37〜46° (4)
上述したように、屈折率が1より高い高屈折率物質15で前記コア材料層13を被覆した状態で、露光を行うと、前記コア材料層13の表面で露光光が全反射せずに、前記コア材料層13中に露光光が入射される角度範囲が広くなる。よって、前記クラッド層13表面の垂直方向に対して所定の角度、例えば、45°をなすように、前記コア材料層中に露光光を通過させることができる。そして、屈折率が1より高い高屈折率物質15で前記コア材料層13を被覆した状態ではなく、例えば、空気中で露光を行うと、前記コア材料層13の屈折率n1を調整しなければ、所定の角度、例えば、45°ミラー用の傾斜端面を形成することができなくなる場合がある。また、前記コア材料層の屈折率n1を調整して、傾斜端面を形成することができたとしても、傾斜端面表面の平滑性が低下する傾向がある。このことは、仮に露光光が入射できたとしても、反射される露光光が多くなり、露光が不充分になることによると考えられる。
【0057】
以上のことから、前記コア材料層13表面に、屈折率が1より高い高屈折率物質を密着させるように被覆した状態で、露光を行うことによって、所定の角度をなす傾斜端面、例えば、45°ミラー用の傾斜面等を有する光導波路のコア部を製造するための露光を容易に行うことができる。さらに、平滑な傾斜端面が得られる。このことは、露光光が充分に入射できることによると考えられる。
【0058】
前記高屈折率物質15としては、前記コア材料層13を侵食しない、例えば、前記コア材料層13と反応したり、前記コア材料層13を溶解したりしないもの等であれば、限定なく使用できる。具体的には、屈折率が1より高い液体や、後述するような、前記第1クラッド層12表面に対する傾斜面を有する構造体(屈折率が1より高い樹脂フィルム)等が挙げられる。
【0059】
そして、前記高屈折率物質15を被覆する方法としては、例えば、前記下部クラッド層12表面に形成された前記コア材料層13を、屈折率が1より高い液体に浸漬させる方法、前記コア材料層13上に、屈折率が1より高い液体を塗布する方法等が用いられる。
【0060】
また、前記高屈折率物質15の屈折率としては、前記コア材料層13の屈折率との差が、0.3以下であることが好ましい。前記高屈折率物質15の屈折率と前記コア材料層13の屈折率との差が大きすぎると、上記のような露光光が入射できる角度範囲を広げる効果を充分に発揮できなくなる。
【0061】
そして、前記高屈折率物質15は、前記コア材料層13を密着するように被覆していなければならず、例えば、前記コア材料層13と前記高屈折率物質15との間に、空気の層等が介在されていると、上記のような露光光が入射できる角度範囲を広げる効果を充分に発揮できなくなる。このことから、前記高屈折率物質15は、液体であることが好ましく、例えば、水、エタノール等のアルコール、シリコーンオイル等のオイル等が好ましく用いられる。
【0062】
また、前記高屈折率物質15として、液体を用いる場合、前記下部クラッド層12表面に形成された前記コア材料層13を、屈折率が1より高い液体に浸漬させる方法が、容易に行うことができ、好ましく用いられる。このような場合、前記コア材料層13として、上述した感光性フィルム(ドライフィルム)を用いたものが、前記コア材料層13の侵食を抑制できる点から好ましい。
【0063】
また、前記露光は、上記のような傾斜露光であって、前記フォトマスク14を介して、感光性材料を光により変質(硬化等)させうる波長の光を必要な光量で露光する方法であれば、特に限定なく用いることができる。また、前記フォトマスク14を前記コア材料層13の表面に接触するように載置して露光するコンタクト露光や、前記コア材料層13の外表面に接触しないように所定の間隔を保持した状態で露光する投影型露光等の、何れの露光方法を用いてもよい。
【0064】
また、露光条件としては、感光性材料の種類に応じて適宜選択されるが、例えば、前記露光光として、365nm程度の紫外光を用い、500〜2500mJとなるように露光する条件等が選ばれる。
【0065】
そして、前記露光後に、熱による後キュアを行うことも硬化を確実にする点から有効である。後キュアの条件としては、温度80〜160℃程度、時間20〜120分間程度が好ましい。しかしながら、特にこの範囲に限られるものでは無く、感光性材料によって最適化することが重要であることは言うまでもない。
【0066】
そして、前記露光が行われた後に、前記高屈折率物質15を露光後の前記コア材料層13から除去する。前記高屈折率物質15を除去する方法としては、特に限定されないが、例えば、液体の前記高屈折率物質15の浸漬させていた場合、液体の前記高屈折率物質15から、前記コア材料層13を備えたものを取り出し、必要に応じて、液体を拭き取ったり、乾燥させる方法等が挙げられる。また、前記高屈折率物質15として、樹脂フィルムを用いていた場合、樹脂フィルムを前記コア材料層13から剥離する方法等が挙げられる。
【0067】
次に、現像工程を行うことにより、図1(b)に示すような、コア部16を形成する。前記コア部16には、上記のような傾斜露光が施されているので、特別な現像処理を行うことなく、通常の現像処理を行うことによって、傾斜端面17が形成される。
【0068】
前記現像処理としては、前記コア材料層13の感光性材料がポジ形の場合には、露光されなかった部分、ネガ型の場合には、露光された部分を現像液で洗い流すことにより、不要な部分を除去する工程である。前記現像液としては、例えば、アセトンやイソプロピルアルコール、トルエン、エチレングリコール、又は、これらを所定割合で混合させたもの等が挙げられる。さらに、例えば、特開2007−292964号公報で開示されているような水系の現像液も好ましく用いられうる。現像方法としてはスプレーにより現像液を噴射する方法や超音波洗浄を利用する方法等が挙げられる。
【0069】
上記のようにして形成された傾斜端面17は、そのままミラーとして用いてもよいが、前記傾斜端面17の反射率を高めるために、公知の蒸着法やスパッタ法、ナノペースト法等の方法を用いて、前記傾斜端面17の表面に金属や誘電体多層膜等からなる反射膜を形成することが好ましい。このような反射膜を形成することにより、全反射では不可能な特定の方向に対する反射を行うこともできるものとなる。
【0070】
また、上記のようにして形成された傾斜端面17は、そのままミラーとして用いてもよいが、前記傾斜端面17の反射率を高めるために、前記傾斜端面17の表面に対して平滑化処理を施して用いてもよい。このような平滑化処理により、より反射率の高いミラーとして用いられる傾斜端面が得られる。平滑化処理の具体例としては、赤外線レーザ等の各種エネルギー線を照射して表面を溶融させる方法が好ましく用いられる。エネルギー線の照射は、非接触式に比べて装置が簡単で接触のさせ方によるばらつきもなく、またエネルギー線の照射範囲を制限することにより目的とする傾斜端面のみを処理することができる。なお、赤外線レーザは、取り扱いが容易でありながら、高密度のエネルギーを供与することができ、特に被照射面の分子振動を生じさせることにより、効率よく傾斜端面を熱溶融させることができる。高分子においては、通常、波長10μm近傍に分子振動による吸収があるために、波長10μm近傍の炭酸ガスレーザは特に有効であり、またコストも低い。
【0071】
また、上記のエネルギー線の照射のほか、樹脂のコーティングで平滑性を上げるようにしてもよい。この場合に用いられる樹脂は、コアもしくはクラッドの形成に用いられたものと同様のものであり、屈折率が近似するものをコーティング用に適するように希釈したものが好ましく用いられる。このような場合には、下地との物性値(熱膨張率など)の適合性に優れ、また、屈折率も同等であることから、光学特性を劣化させることがない。また、希釈したものを用いることにより、コーティング作業性を良好に保つことができる。さらに必要最小限の量だけコーティングすることができるために、傾斜端面を充分に平坦化することができる。
【0072】
そして、最後に、図1(c)に示すように、前記現像工程により形成されたコア部16を埋設するように、第2クラッド層(上部クラッド層)18を形成することにより、光導波路19が形成される。
【0073】
前記第2クラッド層18の形成方法としては、前記コア部16を埋設するように、前記第2クラッド層18を形成するための液状の硬化性樹脂材料を塗布した後、光、熱等で硬化させる方法や、前記第2クラッド層18を形成するための硬化性樹脂材料のワニスを塗布した後、光、熱等で硬化させる方法や、前記第2クラッド層18を形成するための硬化性樹脂材料からなる樹脂フィルムを貼り合せた後、光、熱等で硬化させる方法、等が挙げられる。
【0074】
前記第2クラッド層18を形成するための硬化性樹脂材料としては、前記コア部16の材料よりも導波光の伝送波長における屈折率が低くなるような硬化性樹脂材料であれば、特に限定なく用いられ、通常は、前記第1クラッド層12を形成した材料と同様の種類の硬化性樹脂材料が用いられる。
【0075】
また、前記第2クラッド層18の厚みとしては、特に限定されないが、前記コア部16の上に前記第1クラッド層12と同程度の厚みであることが好ましい。
【0076】
上記のような工程を経て、図1(c)に示すような光導波路19が形成される。
【0077】
形成された光導波路19は、感光性材料から成るコア部16とこれを被覆するクラッド層(前記第1クラッド層12及び前記第2クラッド層18)によって形成されたものであり、前記コア部16はクラッド層よりも屈折率が高く、内部を伝搬する光を全反射によってコア内に閉じこめるものである。このような光導波路19は、主としてマルチモード導波路として形成される。前記光導波路19の前記コア部16のサイズは、例えば、20〜100μmの矩形形状、コア部を含む層の厚みを除いた下部の第1クラッド層12及び上部の第2クラッド層18の厚みはそれぞれ5〜15μm、コア部とクラッド層との屈折率差は0.5〜3%程度が適当であるがこれに限られるものではない。
【0078】
[第2実施形態]
次に、本発明の第1実施形態である光導波路の製造方法において用いられる露光光として、角度の異なる2種の光を用いた場合について説明する。本発明の第1実施形態である光導波路の製造方法と対応する部分には、同一の参照符号を付し、重複部分については詳細な説明を省略する。
【0079】
図2は、本発明の第2実施形態に係る光導波路の製造方法を説明するための概略図である。図2(a)は、第2実施形態における露光工程を示す概略断面図であり、図2(b)は、第2実施形態における現像工程を示す概略断面図であり、図2(c)は、形成された光導波路を示す概略断面図である。
【0080】
本発明の第2実施形態に係る光導波路の製造方法としては、前記第1実施形態と同様、図2(a)に示すように、第1クラッド層12を備えた基材11の、前記第1クラッド層12上にコア材料層13を形成した後、高屈折率物質15で被覆された状態で、そのコア材料層13に対して露光する。
【0081】
具体的には、まず、基材11の表面に第1クラッド層12を形成する。次に、形成された前記第1クラッド層12の外表面に、感光性材料からなるコア材料層13を形成する。
【0082】
そして、図2(a)に示すように、フォトマスク14を介して、前記コア材料層13に対して露光光を照射して、前記コア材料層13に対して所定形状のパターン露光を行う。その際、露光光として、角度の異なる2種の光を用いる。そうすることによって、所定の角度をなす、2面の傾斜端面を有する光導波路のコア部を製造するための露光を行うことができる。
【0083】
そして、前記露光工程が行われた後に、現像工程を行うことにより、図2(b)に示すような、コア部16を形成する。前記コア部16には、上記のような傾斜露光が施されているので、特別な現像処理を行うことなく、通常の現像処理を行うことによって、2面の傾斜端面17が形成される。
【0084】
そして、最後に、図2(c)に示すように、前記現像工程により形成されたコア部16を埋設するように、第2クラッド層(上部クラッド層)18を形成することにより、光導波路19が形成される。
【0085】
[第3実施形態]
次に、本発明の第2実施形態である光導波路の製造方法において用いられる高屈折率物質が、前記クラッド層表面に対する傾斜面を有する構造体であって、前記高屈折率物質被覆工程が、前記コア材料層に前記構造体を密着させる工程である場合について説明する。本発明の第1実施形態や第2実施形態である光導波路の製造方法と対応する部分には、同一の参照符号を付し、重複部分については詳細な説明を省略する。
【0086】
図3は、本発明の第3実施形態に係る光導波路の製造方法を説明するための概略図である。図3(a)は、第3実施形態における高屈折率物質被覆工程を示す概略断面図であり、図3(b)は、第3実施形態における露光工程を示す概略断面図であり、図3(c)は、第3実施形態における現像工程を示す概略断面図であり、図3(d)は、形成された光導波路を示す概略断面図である。
【0087】
本発明の第3実施形態に係る光導波路の製造方法としては、図3(a)に示すように、第1クラッド層12を備えた基材11の、前記第1クラッド層12上にコア材料層13を形成する。そして、前記コア材料層13に高屈折率物質31を密着させるように被覆する。
【0088】
ここでの高屈折率物質31としては、図3(a)に示すように、前記コア材料層13に平行であって、前記コア材料層13に密着させるための密着面31bだけではなく、前記第1クラッド層12表面に対する傾斜面31aを有するものである。そして、前記傾斜面31aは、前記高屈折率物質31内に前記露光光を入射させる面であり、前記密着面31bは、前記高屈折率物質31から前記コア材料層13に向かって前記露光光を出射させる面である。つまり、ここでの高屈折率物質31は、入射面31aと出射面31bとを備える構造体である。
【0089】
また、前記傾斜面31aの傾斜角度、前記密着面31bとのなす角θ3,θ4が、前記露光光が前記入射面31aに対して略垂直になるような角度であることが好ましい。すなわち、露光光の傾斜角度に応じて、前記高屈折率物質31として、角θ3,θ4を変更した構造体を用いることが好ましい。前記高屈折率物質31としての構造体としては、上記の構成のものであれば、特に限定されないが、例えば、石英製のものや樹脂製のもの等が挙げられる。また、前記高屈折率物質31としての構造体の屈折率としては、前記コア材料層13の屈折率との差が小さいことが好ましく、具体的には、その差が、0.3以下であることが好ましい。そうすることによって、前記第1クラッド層12表面に対して所定の傾斜角度から露光光を照射する露光において、露光光を前記構造体31の傾斜面31aから入射させることによって、前記高屈折率物質31の表面での露光光の反射を抑制できるだけではなく、前記コア材料層13表面での反射も抑制できる。
【0090】
そして、図3(b)に示すように、前記高屈折率物質15で被覆された状態で、前記フォトマスク14を介して、前記コア材料層13に対して露光して、前記コア材料層13に対して所定形状のパターン露光を行う。その際、前記コア材料層13と前記フォトマスク14との間、及び前記フォトマスク14と前記高屈折率物質31との間に、液体の高屈折率物質、例えば、水を介在させておくことが好ましい。そうすることによって、前記コア材料層13と前記フォトマスク14との間や前記フォトマスク14と前記高屈折率物質31との間に空気が介在することを容易に抑制することができる。よって、所定の角度をなす傾斜端面を有する光導波路コアを、より効率的に製造することができる。前記コア材料層13と前記フォトマスク14との間、及び前記フォトマスク14と前記高屈折率物質31との間に、液体の高屈折率物質(水)を介在させる方法としては、例えば、前記コア材料層13上に、水を塗布した後に、前記フォトマスク14を載置し、さらに、その載置されたフォトマスク14上に、水を塗布した後に、前記高屈折率物質31を載置する方法等が挙げられる。
【0091】
また、図3(b)に示すように、上記第2実施形態と同様、露光光として、角度の異なる2種の光を用いる。そうすることによって、所定の角度をなす、2面の傾斜端面を有する光導波路のコア部を製造するための露光を行うことができる。なお、1種の光を用いても、1面の傾斜端面を有する光導波路のコア部を製造するための露光を行うことができる。
【0092】
そして、前記露光工程が行われた後に、現像工程を行うことにより、図3(c)に示すような、コア部16を形成する。前記コア部16には、上記のような傾斜露光が施されているので、特別な現像処理を行うことなく、通常の現像処理を行うことによって、2面の傾斜端面17が形成される。
【0093】
そして、最後に、図3(d)に示すように、前記現像工程により形成されたコア部16を埋設するように、第2クラッド層(上部クラッド層)18を形成することにより、光導波路19が形成される。
【0094】
次に、第1実施形態乃至第3実施形態において、パターン露光を行う露光行程で用いるための露光装置について説明する。露光装置としては、少なくとも基板に対するエネルギー線の相対照射方向を変更できる機構を備えていれば使用できる。相対照射方向の変更は、エネルギー線自身の向きを変更してもよいし、基板の傾きを変更しても構わない。露光時には、マスクとの位置決めや、高屈折率物質の基板への密着が必要となる場合がある。その場合、前者に対しては、少なくとも精度10μm以内で位置決めができる機構が設けられていることが望ましい。また、後者に対しては、液体中で基板固定できる機構が設けられていることが好ましい。固形状の高屈折率物質を密着させてもよいが、その場合は、基板をセットした後に、自動的に基板上へ位置決めして密着させることのできる機構が設けられていることが望ましい。照射パワーとしては、5〜15mW程度を有する装置が望ましい。また、複数のエネルギー線照射口が設けられていれば、一度に複数の向きの違うミラーを形成することができるので、より好ましい。向きの異なる複数の照射口を備える装置としては、例えば、フレキシブルなライトガイドが複数設けられている装置が挙げられる。
【0095】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明の範囲は実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0096】
はじめに、本実施例で用いた光硬化性樹脂シートの製造方法について説明する。
【0097】
(下部クラッド層用光硬化性樹脂シートAの製造)
ポリプロピレングリコールグリシジルエーテル(東都化成(株)製「PG207」)7質量部、液状の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「YX8000」)25質量部、固形の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「YL7170」)20質量部、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物(ダイセル化学工業(株)製「EHPE3150」)8質量部、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート1006FS」)2質量部、フェノキシ樹脂(東都化成(株)製「YP50」)20質量部、光カチオン硬化開始剤((株)アデカ製「SP170」)0.5質量部、熱カチオン硬化開始剤(三新化学工業(株)製「SI−150L」)0.5質量部、表面調整剤(DIC(株)製「F470」)0.1質量部の各配合成分を、トルエン30質量部、MEK70質量部の溶剤に溶解し、孔径1μmのメンブランフィルタで濾過した後、減圧脱泡することによって、エポキシ樹脂ワニスを調製した。このエポキシ樹脂ワニスを厚み50μmのPETフィルムの上にバーコーターで塗工し、80℃で10分間、一次乾燥をしたあと、120℃で10分間、二次乾燥をした。最後に保護フィルムとして35μmのOPPフィルムで被覆した。このようにして得られた下部クラッド用光硬化性樹脂シートAは、膜厚10μmであり、波長579nmの光に対する屈折率は1.54であった。
【0098】
(コア部用光硬化性樹脂シートBの製造)
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC(株)製「エピクロン850S」)42質量部、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「エピコート1006FS」)55質量部、フェノキシ樹脂(東都化成(株)製「YP50」)3質量部、光カチオン硬化開始剤((株)アデカ製「SP170」)1質量部、表面調整剤(DIC(株)製「F470」)0.1質量部の各配合成分を、トルエン24質量部、MEK56質量部の溶剤に溶解し、孔径1μmのメンブランフィルタで濾過した後、減圧脱泡することによって、エポキシ樹脂ワニスを調整した。このエポキシ樹脂ワニスを上述した「光硬化性樹脂シートAの製造」と同様にしてフィルム化した。このようにして得られたコア部用光硬化性樹脂シートBは、膜厚40μmであり、波長579nmの光に対する屈折率は1.59であった。また、850nmにおける透過率は0.06dB/cmと高い透明性を有していた。
【0099】
(上部クラッド層用光硬化性樹脂シートCの製造)
エポキシ樹脂ワニスの塗布厚みを変えた以外は、「光硬化性樹脂シートAの製造」と同様にしてフィルム化することにより上部クラッド用光硬化性樹脂シートCを得た。このようにして得られた光硬化性樹脂シートCは、膜厚50μmであり、波長579nmの光に対する屈折率は1.54であった。
【0100】
(実施例1)
図4を参照して光導波路を製造する方法について説明する。なお、図4は、実施例1における光導波路の製造方法を説明するための模式図である。
【0101】
図4(a)に示すような、140mm×120mmのUV透過性ポリカーボネート樹脂からなる仮基板(基材)11に、下部クラッド層用光硬化性樹脂シートAを真空ラミネーター「V−130」で60℃、0.2MPaの条件でラミネートした。そして、光硬化性樹脂シートAの表面を超高圧水銀灯で2J/cmの条件で紫外光を照射し、さらに150℃で30分間熱処理することにより、図4(b)に示すような、下部クラッド層12が形成された。そして、形成された下部クラッド層12の表面に酸素プラズマ処理を施した。
【0102】
次に、図4(c)に示すように、下部クラッド層12の表面に、コア部用光硬化性樹脂シートBを真空ラミネーター「V−130」で60℃、0.2MPaの条件でラミネートすることにより、コア材料層13を形成した。
【0103】
そして、図4(d)に示すように、幅40μm、長さ120mmの直線パターンのスリットを有するフォトマスク14を、フォトマスク14のアライメントマークとコア材料層13の表面に形成したアライメントマークとを重ね合わせることにより位置決めを行って載置した後、この状態のものを、水(高屈折率物質)15の中に浸漬させた。その後、照射光が略平行光になるように調整された超高圧水銀灯で3J/cmの光量で紫外光をコア材料層13のスリットに対応する部分を光硬化させた。その際、超高圧水銀灯から照射される略平行光が、コア材料層13に対して、17°をなす角度(第1クラッド層12表面の垂直方向に対してなす角θ0が73°)となるように照射した。
【0104】
次に、140℃で2分間熱処理を行ない、さらに現像液として55℃に調整した水系フラックス洗浄剤(荒川化学工業(株)製「パインアルファST−100SX」)を用いて現像処理することによって、コア材料層13の未露光部分(未硬化部分)を溶解除去し、さらに水で仕上げ洗浄してエアブローした後、100℃で10分間乾燥することによって、図4(e)に示すように、傾斜端面17を有するコア部16を形成した。傾斜端面17の、下部クラッド層12の表面に対してなす角は、レーザ顕微鏡で測定したところ、38°(第1クラッド層12表面の垂直方向に対してなす角が52°)であった。
【0105】
次に、図4(f)に示すように、傾斜端面17が形成された領域のみが開口されたメタルマスクでマスキングして傾斜端面17の表面に1000Å厚の金を真空蒸着することにより、マイクロミラー20が得られた。
【0106】
次に、図4(g)に示すように、下部クラッド層12及びコア部16を被覆するようにして、上部クラッド層用光硬化性樹脂シートCを真空ラミネーター「V−130」で80℃、0.3MPaの条件でラミネートした。
【0107】
そして、図4(h)に示すように、ラミネートされた上部クラッド層用光硬化性樹脂シートCの表面に、さらに、電気回路が予め形成された基板21(パナソニック電工(株)製の両面銅張積層板R1766の片面をエッチオフし、片面に回路形成したもの)を位置合わせし、真空ラミネーター「V−130」でラミネートした。その後、仮基板11側から超高圧水銀灯で2J/cmの光量で露光し、さらに140℃1時間熱処理することにより、上部クラッド層18を形成するとともに、上部クラッド層18と電気回路が予め形成された基板21とを接着した。そうすることによって、図4(h)に示すように、下部クラッド層12とコア部16と上部クラッド層18とからなる光導波路19が形成された。
【0108】
次に、図4(i)に示すように、仮基板11を剥離した。そして、基板22(パナソニック電工(株)製の両面銅張積層板R1766の片面をエッチオフしたもの)を接着剤層23を介して貼り合わせた。そして、スルーホール加工を施し、銅メッキ処理し、エッチングすることにより所定パターンの回路を形成した。そして、ソルダーレジストを形成後、金メッキ処理、シルク印刷を行い電気回路の形成をした。そして、光入出部24をルータ加工によって開口した。その後、図4(j)に示すように、マイクロミラー20が形成されていない側の端部を、コア部16が露出するまで光学研磨することによって、光電複合配線板30が得られた。なお、光電複合配線板30において、光導波路19に入射して出射される導波光の光路を図4(j)中に矢印で示す。
【0109】
形成された光導波路について、以下に示す評価を行った。
【0110】
(導波路損失測定)
光導波路の一方の端部(入射側端部)に、コア径10μmのNAO.21の光ファイバの端部を、マッチングオイル(シリコーンオイル)を介して、接続した。そして、他方の端部(出力側端部)に、コア径200μmのNAO.4の光ファイバの端部を、マッチングオイルを介して、接続した。LED光源からの光を、入力側端部に接続された光ファイバを介して、光導波路19に入射させた。そして、光導波路19からの出射光を、出力側端部に接続された光ファイバを介してパワーメータに入射させ、その出射光の光量P1を測定した。
【0111】
一方、入力側端部に接続された光ファイバと出力側端部に接続された光ファイバとを光導波路19を介さずに直接接続した場合における、出力側端部に接続された光ファイバからの出射光の光量P0を、上記と同様、測定した。
【0112】
そして、下記式(5)により、光導波路の挿入損失L1を求め、この挿入損失L1を光導波路長で割った値を、導波路損失とした。
【0113】
L1=−10log(P1/P0) (5)
(ミラー損失測定)
上記導波路損失測定と同様にして、まず、挿入損失L1を測定した。その後、マイクロミラー部分を切断し、端部を研磨することによって、両端に光導波路が露出したものを作製した。その両端に光導波路が露出したものを、上記導波路損失測定と同様にして、光導波路のみの挿入損失L2を測定した。そして、L1とL2との差分を、ミラー損失とした。入力側と出力側とに2つマイクロミラーがある場合は、得られた値を2で割ることによって、マイクロミラー1つあたりのミラー損失とした。
【0114】
実施例1で得られた光導波路について、上記評価を行うと、導波路損失が0.08dB/cmであり、ミラー損失が0.8dBであった。
【0115】
以上より、本実施例によれば、光導波路を形成する際に、ミラー用の傾斜端面が同時に形成でき、すなわち、光導波路を形成するための工程とは別の工程を用いることなく、損失の小さい、傾斜端面を有する光導波路を形成できることがわかった。
【0116】
(実施例2)
図5を参照して光電複合配線板を製造する方法について説明する。なお、図5は、実施例2における光導波路の製造方法を説明するための模式図である。
【0117】
厚み25μmのポリイミドフィルムの両面に厚み12μmの銅箔を積層したフレキシブル両面銅張積層板(パナソニック電工(株)製「FELIOS(R−F775)」)の片面の銅箔にパターニングを施して電気回路41を形成した。一方、他の片面の全面の銅箔はエッチングにより除去した。このようにして、130mm×130mmの外形サイズのフレキシブルプリント配線板(FPC)である、図5(a)に示すようなFPC40を作製した。
【0118】
次に、図5(b)に示すように、ガラス板42(140mm×140mm×厚み2mm)の全面に再剥離タイプ両面粘着テープ43(寺岡製作所(株)製「No.7692」)の強粘着面を、加圧式真空ラミネーター(ニチゴー・モートン(株)製「V−130」)を用いて60℃、0.2MPaの条件でラミネートした。そして、両面粘着テープ43の弱粘着面には、FPC40の電気回路41を形成した面をラミネートすることにより、ガラス板42にFPC40を仮接着した。そして、FPC40の電気回路41を形成していない側の表面に、下部クラッド層用光硬化性樹脂シートAを、真空ラミネーター「V−130」でラミネートした。
【0119】
そして、下部クラッド層用光硬化性樹脂シートAの表面を超高圧水銀灯で2J/cmの光量で紫外光を照射した後に150℃で30分間熱処理することにより、図5(c)に示すように、下部クラッド層12が形成された。そして、形成された下部クラッド層12の表面に酸素プラズマ処理を施した。
【0120】
次に、図5(d)に示すように、下部クラッド層12の表面にコア部用光硬化性樹脂シートBを、真空ラミネーター「V−130」でラミネートして、コア材料層13を形成した。
【0121】
そして、図5(e)に示すように、幅40μm、長さ120mmの直線パターンのスリットを有するフォトマスク14を、フォトマスク14のアライメントマークとコア材料層13の表面に形成したアライメントマークとを重ね合わせることにより位置決めを行って載置した後、この状態のものを、水15の中に浸漬させた。
【0122】
その後、図5(f)に示すように、照射光が略平行光になるように調整された超高圧水銀灯で3J/cmの光量で紫外光をコア材料層13のスリットに対応する部分を光硬化させた。その際、超高圧水銀灯から照射される略平行光としては、コア材料層13に対して、32°をなす角度(第1クラッド層12表面の垂直方向に対してなす角θ0が58°)となるように照射した光と、−32°をなす角度(第1クラッド層12表面の垂直方向に対してなす角θ0が−58°)となるように照射した光とを用いた。
【0123】
次に、140℃で2分間熱処理を行ない、さらに現像液として55℃に調整した水系フラックス洗浄剤(荒川化学工業(株)製「パインアルファST−100SX」)を用いて現像処理することによって、コア材料層13の未露光部分(未硬化部分)を溶解除去し、さらに水で仕上げ洗浄してエアブローした後、100℃で10分間乾燥することによって、図5(g)に示すように、傾斜端面17を2面有するコア部16を形成した。傾斜端面17の、下部クラッド層12の表面に対してなす角は、レーザ顕微鏡で測定したところ、44°と−44°であった。なお、第1クラッド層12表面の垂直方向に対してなす角としては、46°と−46°であった。
【0124】
次に、図5(h)に示すように、傾斜端面17が形成された領域のみが開口されたメタルマスクでマスキングして傾斜端面17の表面に1000Å厚の金を真空蒸着することにより、マイクロミラー20が得られた。
【0125】
次に、図5(i)に示すように、下部クラッド層12及びコア部16を被覆するようにして、上部クラッド層用光硬化性樹脂シートCを真空ラミネーター「V−130」で80℃、0.3MPaの条件でラミネートした。そして、120℃で30分間熱処理した後、超高圧水銀灯で2J/cmの条件で紫外光をラミネートされた上部クラッド層用光硬化性樹脂シートCに照射し、さらに150℃で30分間熱処理することにより、上部クラッド層18が形成された。そして、形成された上部クラッド層18の表面に酸素プラズマ処理を施した。
【0126】
次に、図5(j)に示すように、上部クラッド層18の表面に、カバーレイフィルム44を真空ラミネーター「V−130」で120℃、0.3MPaの条件でラミネートした後、160℃で1時間加熱して硬化させた。なお、カバーレイフィルム44としては、パナソニック電工(株)製の厚み125μm、接着層15μm厚のポリイミド製フィルム「ハロゲンフリーカバーレイフィルムR−CAES」を用いた。
【0127】
そして、図5(k)に示すように、両面粘着テープ43の弱粘着面からガラス板42を剥離し、光入出部45をルータ加工によって開口することによって下部クラッド層12と上部クラッド層18から形成されたクラッド層内にコア部16が埋入されて形成される光導波路19が形成された光電複合配線板50が得られた。なお、光電複合配線板50において、光導波路に入射して出射される導波光の光路を図5(k)中に矢印で示した。
【0128】
実施例2で得られた光導波路について、上記評価を行うと、導波路損失が0.08dB/cmであり、ミラー損失が0.7dBであった。
【0129】
以上より、本実施例によれば、光導波路を形成する際に、ミラー用の傾斜端面が同時に形成でき、すなわち、光導波路を形成するための工程とは別の工程を用いることなく、損失の小さい、傾斜端面を有する光導波路を形成できることがわかった。
【0130】
(実施例3)
図6を参照して光導波路を製造する方法について説明する。なお、図6は、実施例3における光導波路の製造方法を説明するための模式図である。
【0131】
図6(a)に示すような、140mm×120mmのUV透過性ポリカーボネート樹脂からなる仮基板11に、下部クラッド層用光硬化性樹脂シートAを真空ラミネーター「V−130」で60℃、0.2MPaの条件でラミネートした。そして、光硬化性樹脂シートAの表面を超高圧水銀灯で2J/cmの条件で紫外光を照射し、さらに150℃で30分間熱処理することにより、図6(b)に示すような、下部クラッド層12が形成された。そして、形成された下部クラッド層12の表面に酸素プラズマ処理を施した。
【0132】
次に、図6(c)に示すように、下部クラッド層12の表面に、コア部用光硬化性樹脂シートBを真空ラミネーター「V−130」で60℃、0.2MPaの条件でラミネートすることにより、コア材料層13を形成した。
【0133】
そして、図6(d)に示すように、幅40μm、長さ120mmの直線パターンのスリットを有するフォトマスク14を、フォトマスク14のアライメントマークとコア材料層13の表面に形成したアライメントマークとを重ね合わせることにより位置決めを行って載置した後、この状態のものを、水15の中に浸漬させた。その後、照射光が略平行光になるように調整された超高圧水銀灯で3J/cmの光量で紫外光をコア材料層13のスリットに対応する部分を光硬化させた。その際、超高圧水銀灯から照射される略平行光が、コア材料層13に対して、75°をなす角度(第1クラッド層12表面の垂直方向に対してなす角θ0が15°)となるように照射した。
【0134】
次に、140℃で2分間熱処理を行ない、さらに現像液として55℃に調整した水系フラックス洗浄剤(荒川化学工業(株)製「パインアルファST−100SX」)を用いて現像処理することによって、コア材料層13の未露光部分(未硬化部分)を溶解除去し、さらに水で仕上げ洗浄してエアブローした後、100℃で10分間乾燥することによって、図6(e)に示すように、傾斜端面17を有するコア部16を形成した。傾斜端面17の、下部クラッド層12の表面に対してなす角は、レーザ顕微鏡で測定したところ、67°(第1クラッド層12表面の垂直方向に対してなす角が13°)であった。
【0135】
また、形成されたコア部16の傾斜端面17を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。そのときのSEM写真を図8(a)に示す。
【0136】
次に、下部クラッド層12及びコア部16を被覆するようにして、上部クラッド層用光硬化性樹脂シートCを真空ラミネーター「V−130」で80℃、0.3MPaの条件でラミネートした。そして、ラミネートされた上部クラッド層用光硬化性樹脂シートCの表面に、さらに、電気回路が予め形成された基板51(パナソニック電工(株)製の両面銅張積層板R1766の片面をエッチオフし、片面に回路形成したもの)を位置合わせし、真空ラミネーター「V−130」でラミネートした。その後、仮基板11側から超高圧水銀灯で2J/cmの光量で露光し、さらに140℃1時間熱処理することにより、上部クラッド層18を形成するとともに、上部クラッド層18と電気回路が予め形成された基板51とを接着した。次に、仮基板11を剥離した。そうすることによって、図6(f)に示すように、下部クラッド層12とコア部16と上部クラッド層18とからなる光導波路19が形成された。
【0137】
次に、図6(g)に示すように、光導波路19の両側端部を、コア部16が露出するまで光学研磨した。なお、得られた光導波路19に入射して出射される導波光の光路を図6(g)中に矢印で示す。
【0138】
(比較例)
図7を参照して光導波路を製造する方法について説明する。なお、図7は、比較例における光導波路の製造方法を説明するための模式図である。比較例は、露光時に空気中で行うこと以外、実施例3と同様であるが、具体的には、以下のようなものである。
【0139】
図7(a)に示すような、140mm×120mmのUV透過性ポリカーボネート樹脂からなる仮基板11に、下部クラッド層用光硬化性樹脂シートAを真空ラミネーター「V−130」で60℃、0.2MPaの条件でラミネートした。そして、光硬化性樹脂シートAの表面を超高圧水銀灯で2J/cmの条件で紫外光を照射し、さらに150℃で30分間熱処理することにより、図7(b)に示すような、下部クラッド層12が形成された。そして、形成された下部クラッド層12の表面に酸素プラズマ処理を施した。
【0140】
次に、図7(c)に示すように、下部クラッド層12の表面に、コア部用光硬化性樹脂シートBを真空ラミネーター「V−130」で60℃、0.2MPaの条件でラミネートすることにより、コア材料層13を形成した。
【0141】
そして、図7(d)に示すように、幅40μm、長さ120mmの直線パターンのスリットを有するフォトマスク14を、フォトマスク14のアライメントマークとコア材料層13の表面に形成したアライメントマークとを重ね合わせることにより位置決めを行って載置した。その後、照射光が略平行光になるように調整された超高圧水銀灯で3J/cmの光量で紫外光をコア材料層13のスリットに対応する部分を光硬化させた。その際、超高圧水銀灯から照射される略平行光が、コア材料層13に対して、75°をなす角度(第1クラッド層12表面の垂直方向に対してなす角θ0が15°)となるように照射した。
【0142】
次に、140℃で2分間熱処理を行ない、さらに現像液として55℃に調整した水系フラックス洗浄剤(荒川化学工業(株)製「パインアルファST−100SX」)を用いて現像処理することによって、コア材料層13の未露光部分(未硬化部分)を溶解除去し、さらに水で仕上げ洗浄してエアブローした後、100℃で10分間乾燥することによって、図7(e)に示すように、傾斜端面17を有するコア部16を形成した。傾斜端面17の、下部クラッド層12の表面に対してなす角は、レーザ顕微鏡で測定したところ、80°(第1クラッド層12表面の垂直方向に対してなす角が10°)であった。
【0143】
また、形成されたコア部16の傾斜端面17を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。そのときのSEM写真を図8(b)に示す。
【0144】
次に、下部クラッド層12及びコア部16を被覆するようにして、上部クラッド層用光硬化性樹脂シートCを真空ラミネーター「V−130」で80℃、0.3MPaの条件でラミネートした。そして、ラミネートされた上部クラッド層用光硬化性樹脂シートCの表面に、さらに、電気回路が予め形成された基板51(パナソニック電工(株)製の両面銅張積層板R1766の片面をエッチオフし、片面に回路形成したもの)を位置合わせし、真空ラミネーター「V−130」でラミネートした。その後、仮基板11側から超高圧水銀灯で2J/cmの光量で露光し、さらに140℃1時間熱処理することにより、上部クラッド層18を形成するとともに、上部クラッド層18と電気回路が予め形成された基板51とを接着した。次に、仮基板11を剥離した。そうすることによって、図7(f)に示すように、下部クラッド層12とコア部16と上部クラッド層18とからなる光導波路19が形成された。
【0145】
次に、図7(g)に示すように、光導波路19の両側端部を、コア部16が露出するまで光学研磨した。なお、得られた光導波路19に入射して出射される導波光の光路を図7(g)中に矢印で示す。
【0146】
実施例3は、比較例と比較すると、露光時に照射する光の、コア材料層13に対する角度が同じにもかかわらず、実施例3で形成されたコア部16の傾斜端面17の、下部クラッド層12の表面に対してなす角のほうが大きかった。このことから、水中で露光したほうが、形成できる傾斜端面17の、下部クラッド層12の表面に対する角度範囲が広くなることがわかった。さらに、図8からわかるように、形成されたコア部16の傾斜端面17が、実施例3のほうが、比較例より平滑であることがわかった。
【0147】
また、前記実施例3及び比較例で得られた各光導波路19について、上記導波路損失測定を行ったところ、実施例3では、0.08dB/cmであるのに対して、比較例では、0.15dB/cmであった。このことから、水中で露光したほうが、導波路損失も改善されることがわかった。
【0148】
(実施例4)
図9を参照して光電複合配線板を製造する方法について説明する。なお、図9は、実施例4における光導波路の製造方法を説明するための模式図である。
【0149】
厚み25μmのポリイミドフィルムの両面に厚み12μmの銅箔を積層したフレキシブル両面銅張積層板(パナソニック電工(株)製「FELIOS(R−F775)」)の片面の銅箔にパターニングを施して電気回路41を形成した。一方、他の片面の全面の銅箔はエッチングにより除去した。このようにして、130mm×130mmの外形サイズのフレキシブルプリント配線板(FPC)である、図9(a)に示すようなFPC40を作製した。
【0150】
次に、図9(b)に示すように、ガラス板42(140mm×140mm×厚み2mm)の全面に再剥離タイプ両面粘着テープ43(寺岡製作所(株)製「No.7692」)の強粘着面を、加圧式真空ラミネーター(ニチゴー・モートン(株)製「V−130」)を用いて60℃、0.2MPaの条件でラミネートした。そして、両面粘着テープ43の弱粘着面には、FPC40の電気回路41を形成した面をラミネートすることにより、ガラス板42にFPC40を仮接着した。そして、FPC40の電気回路41を形成していない側の表面に、下部クラッド層用光硬化性樹脂シートAを、真空ラミネーター「V−130」でラミネートした。
【0151】
そして、下部クラッド層用光硬化性樹脂シートAの表面を超高圧水銀灯で2J/cmの光量で紫外光を照射した後に150℃で30分間熱処理することにより、図9(c)に示すように、下部クラッド層12が形成された。そして、形成された下部クラッド層12の表面に酸素プラズマ処理を施した。
【0152】
次に、図9(d)に示すように、下部クラッド層12の表面にコア部用光硬化性樹脂シートBを、真空ラミネーター「V−130」でラミネートして、コア材料層13を形成した。
【0153】
そして、図9(e)に示すように、コア材料層13上に、フォトマスク14、高屈折率物質である構造体31の順で載置した。具体的には、まず、コア材料層13上に、水を塗布した。その後、幅40μm、長さ120mmの直線パターンのスリットを有するフォトマスク14を、フォトマスク14のアライメントマークとコア材料層13の表面に形成したアライメントマークとを重ね合わせることにより位置決めを行って載置した後、このフォトマスク14上に、水を塗布した。そして、水が塗布されたフォトマスク14上に、構造体31を載置した。ここでの構造体31は、屈折率1.46の石英ガラスからなるものであって、傾斜面の傾斜角度θ3及びθ4が139°であるものを用いた。
【0154】
その後、図9(f)に示すように、照射光が略平行光になるように調整された超高圧水銀灯で3J/cmの光量で紫外光を、前記構造体31の傾斜面に略垂直となるように照射し、コア材料層13のスリットに対応する部分を光硬化させた。その際、超高圧水銀灯から照射される略平行光としては、コア材料層13に対して、39°をなす角度(第1クラッド層12表面の垂直方向に対してなす角θ0が51°)となるように照射した光と、−39°をなす角度(第1クラッド層12表面の垂直方向に対してなす角θ0が−51°)となるように照射した光とを用いた。
【0155】
次に、140℃で2分間熱処理を行ない、さらに現像液として55℃に調整した水系フラックス洗浄剤(荒川化学工業(株)製「パインアルファST−100SX」)を用いて現像処理することによって、コア材料層13の未露光部分(未硬化部分)を溶解除去し、さらに水で仕上げ洗浄してエアブローした後、100℃で10分間乾燥することによって、図9(g)に示すように、傾斜端面17を2面有するコア部16を形成した。傾斜端面17の、下部クラッド層12の表面に対してなす角は、レーザ顕微鏡で測定したところ、45°と−45°であった。なお、第1クラッド層12表面の垂直方向に対してなす角としては、45°と−45°であった。
【0156】
次に、図9(h)に示すように、傾斜端面17が形成された領域のみが開口されたメタルマスクでマスキングして傾斜端面17の表面に1000Å厚の金を真空蒸着することにより、マイクロミラー20が得られた。
【0157】
次に、図9(i)に示すように、下部クラッド層12及びコア部16を被覆するようにして、上部クラッド層用光硬化性樹脂シートCを真空ラミネーター「V−130」で80℃、0.3MPaの条件でラミネートした。そして、120℃で30分間熱処理した後、超高圧水銀灯で2J/cmの条件で紫外光をラミネートされた上部クラッド層用光硬化性樹脂シートCに照射し、さらに150℃で30分間熱処理することにより、上部クラッド層18が形成された。そして、形成された上部クラッド層18の表面に酸素プラズマ処理を施した。
【0158】
次に、図9(j)に示すように、上部クラッド層18の表面に、カバーレイフィルム44を真空ラミネーター「V−130」で120℃、0.3MPaの条件でラミネートした後、160℃で1時間加熱して硬化させた。なお、カバーレイフィルム44としては、パナソニック電工(株)製の厚み125μm、接着層15μm厚のポリイミド製フィルム「ハロゲンフリーカバーレイフィルムR−CAES」を用いた。
【0159】
そして、図9(k)に示すように、両面粘着テープ43の弱粘着面からガラス板42を剥離し、光入出部45をルータ加工によって開口することによって下部クラッド層12と上部クラッド層18から形成されたクラッド層内にコア部16が埋入されて形成される光導波路19が形成された光電複合配線板50が得られた。なお、光電複合配線板50において、光導波路に入射して出射される導波光の光路を図9(k)中に矢印で示した。
【0160】
実施例4で得られた光導波路について、上記評価を行うと、導波路損失が0.08dB/cmであり、ミラー損失が0.6dBであった。
【0161】
以上より、本実施例によれば、光導波路を形成する際に、ミラー用の傾斜端面が同時に形成でき、すなわち、光導波路を形成するための工程とは別の工程を用いることなく、損失の小さい、傾斜端面を有する光導波路を形成できることがわかった。
【0162】
以上説明されたように、本発明の光導波路コアの製造方法は、傾斜端面を有する光導波路コアの製造方法であって、基板上に形成されたクラッド層の表面に、感光性材料からなるコア材料層を形成するコア材料層形成工程と、前記コア材料層表面に、屈折率が1より高い高屈折率物質を密着させるように被覆する高屈折率物質被覆工程と、前記高屈折率物質の被覆されている側から前記クラッド層表面に対して所定の傾斜角度から露光光を照射することにより、前記コア材料層に対して、コア部を形成するための所定形状のパターン露光をする露光工程と、前記露光工程により露光されたコア材料層表面から前記高屈折率物質を除去する高屈折率物質除去工程と、前記高屈折率物質除去工程により前記高屈折率物質が除去された後のコア材料層を現像することにより、傾斜端面を有するコア部を形成する現像工程とを備えることを特徴とするものである。
【0163】
このような構成によれば、光導波路コアを製造する際に、感光性材料からなるコア材料層を、クラッド層の表面上に形成し、前記コア材料層表面に高屈折率物質を密着させるように被覆した後、前記高屈折率物質の被覆されている側から前記クラッド層表面に対して所定の傾斜角度から露光光を照射することにより、前記コア材料層に対して、コア部を形成するための所定形状のパターン露光をする。その後、前記高屈折率物質を除去し、現像する。そうすることによって、コア部が形成されると同時に、前記コア部に、所定の角度をなす傾斜端面が形成される。
【0164】
そして、前記露光を行う際、前記コア材料層表面に前記高屈折率物質を密着させるように被覆した状態で行うので、コア材料層と高屈折率物質との屈折率の差が、コア材料層と空気との屈折率の差より小さくなる。よって、コア材料層の表面で露光光が全反射せずに、前記コア材料層中に露光光が入射される角度範囲が広くなるので、前記クラッド層表面の垂直方向に対して所定の角度、例えば、45°をなすように、前記コア材料層中に露光光を通過させることができ、所定の角度をなす傾斜端面、例えば、45°ミラー用の傾斜面等を有する光導波路コアを製造することができる。さらに、露光時に、前記コア材料層表面に前記高屈折率物質を密着させるように被覆しているので、前記コア材料層と前記高屈折率物質との間に、空気等が介在することがなく、上記のような、前記コア材料層中に露光光が入射される角度範囲が広くなるという効果を充分に発揮できる。
【0165】
以上のことから、所定の角度をなす傾斜端面を有する光導波路コアを、効率的に製造することができる。
【0166】
また、前記コア材料層形成工程が、前記クラッド層の表面上に、前記感光性材料からなる感光性フィルムを貼り付ける工程であることが好ましい。このような構成によれば、前記コア材料層形成工程を容易に行うことができるので、所定の角度をなす傾斜端面を有する光導波路コアを、より効率的に製造することができる。
【0167】
また、前記コア材料層形成工程が、前記感光性フィルムを用いる場合、前記高屈折率物質が、液体であって、前記高屈折率物質被覆工程が、前記コア材料層を前記高屈折率物質に浸漬させる工程であることが好ましい。このような構成によれば、まず、前記高屈折率物質が、液体であっても、前記コア材料層が前記感光性フィルムであれば、前記コア材料層が前記高屈折率物質による侵食を抑制できる。そして、前記コア材料層と前記高屈折率物質との間に空気が介在することを、前記コア材料層を前記高屈折率物質に浸漬するだけで容易に抑制することができる。よって、所定の角度をなす傾斜端面を有する光導波路コアを、より効率的に製造することができる。
【0168】
また、前記高屈折率物質が、前記クラッド層表面に対する傾斜面を有する構造体であって、前記高屈折率物質被覆工程が、前記コア材料層に前記構造体を密着させる工程であることが好ましい。このような構成によれば、前記クラッド層表面に対して所定の傾斜角度から露光光を照射する露光において、露光光を前記構造体の傾斜面から入射させることによって、前記高屈折率物質の表面での露光光の反射を抑制できる。よって、前記高屈折率物質の屈折率を高め、前記コア材料層との屈折率の差を非常に小さくしても、前記高屈折率物質中に露光光が好適に入射される。さらに、前記コア材料層との屈折率の差を小さくした場合、コア材料層表面での反射も抑制できる。
【0169】
以上より、所定の角度をなす傾斜端面を有する光導波路コアを、より効率的に製造することができる。
【0170】
また、前記露光光が、前記クラッド層表面に対する角度が異なる、少なくとも2種以上の光からなることが好ましい。このような構成によれば、形成する傾斜端面として、前記クラッド層表面の垂直方向に対する角度が異なる、少なくとも2面以上の傾斜端面が形成できる。
【0171】
また、前記感光性材料が、ビスフェノール型エポキシ樹脂と光カチオン硬化剤とを含有する樹脂組成物であることが好ましい。このような構成によれば、前記露光工程によって、前記感光性材料が容易に硬化するので、所定の角度をなす傾斜端面を有する光導波路コアを、より効率的に製造することができる。また、耐熱性の高い光導波路コアが製造され、さらに、プリント基板等と複合化しやすくなる。
【0172】
また、本発明の光導波路の製造方法は、傾斜端面を有する光導波路コアを備える光導波路の製造方法であって、基板上に形成された第1クラッド層の表面に、感光性材料からなるコア材料層を形成するコア材料層形成工程と、前記コア材料層表面に、屈折率が1より高い高屈折率物質を密着させるように被覆する高屈折率物質被覆工程と、前記高屈折率物質の被覆されている側から前記第1クラッド層表面に対して所定の傾斜角度から露光光を照射することにより、前記コア材料層に対して、コア部を形成するための所定形状のパターン露光をする露光工程と、前記露光工程により露光されたコア材料層表面から前記高屈折率物質を除去する高屈折率物質除去工程と、前記高屈折率物質除去工程により前記高屈折率物質が除去された後のコア材料層を現像することにより、傾斜端面を有するコア部を形成する現像工程と、前記コア部を埋設するように第2クラッド層を形成するクラッド層形成工程とを備えることを特徴とするものである。
【0173】
このような構成によれば、所定の角度をなす傾斜端面を有する光導波路コアを効率的に製造することができ、よって、そのような光導波路コアを備える光導波路を効率的に製造することができる。
【0174】
また、本発明の光導波路は、前記光導波路の製造方法によって得られたことを特徴とするものである。このような構成によれば、所定の角度をなす傾斜端面を有する光導波路コアを備えるので、光を入出力可能なものが得られる。また、前記傾斜端面としては、平滑性の高いものが得られる。
【0175】
また、本発明の光電気複合配線板は、前記光導波路を備えることを特徴とするものである。このような構成によれば、所定の角度をなす傾斜端面を有する光導波路コアを備え、光を入出力可能な光導波路を備える光電気複合配線板が得られる。よって、光導波路と電気回路とを備える光電気複合配線板が得られる。
【符号の説明】
【0176】
11 基材(仮基板)
12 第1クラッド層(下部クラッド層)
13 コア材料層
14 フォトマスク
15 高屈折率物質
16 コア部
17 傾斜端面
18 第2クラッド層(上部クラッド層)
19 光導波路
20 マイクロミラー
21,22,51 基板
23 接着剤層
24,45 光入出部
30,50 光電複合配線板
31 高屈折率物質(構造体)
41 電気回路
42 ガラス板
43 両面粘着テープ
44 カバーレイフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜端面を有する光導波路コアの製造方法であって、
基板上に形成されたクラッド層の表面に、感光性材料からなるコア材料層を形成するコア材料層形成工程と、
前記コア材料層表面に、屈折率が1より高い高屈折率物質を密着させるように被覆する高屈折率物質被覆工程と、
前記高屈折率物質の被覆されている側から前記クラッド層表面に対して所定の傾斜角度から露光光を照射することにより、前記コア材料層に対して、コア部を形成するための所定形状のパターン露光をする露光工程と、
前記露光工程により露光されたコア材料層表面から前記高屈折率物質を除去する高屈折率物質除去工程と、
前記高屈折率物質除去工程により前記高屈折率物質が除去された後のコア材料層を現像することにより、傾斜端面を有するコア部を形成する現像工程とを備えることを特徴とする光導波路コアの製造方法。
【請求項2】
前記コア材料層形成工程が、前記クラッド層の表面上に、前記感光性材料からなる感光性フィルムを貼り付ける工程である請求項1に記載の光導波路コアの製造方法。
【請求項3】
前記高屈折率物質が、液体であって、
前記高屈折率物質被覆工程が、前記コア材料層を前記高屈折率物質に浸漬させる工程である請求項2に記載の光導波路コアの製造方法。
【請求項4】
前記高屈折率物質が、前記クラッド層表面に対する傾斜面を有する構造体であって、
前記高屈折率物質被覆工程が、前記コア材料層に前記構造体を密着させる工程である請求項1又は請求項2に記載の光導波路コアの製造方法。
【請求項5】
前記露光光が、前記クラッド層表面に対する角度が異なる、少なくとも2種以上の光からなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の光導波路コアの製造方法。
【請求項6】
前記感光性材料が、ビスフェノール型エポキシ樹脂と光カチオン硬化剤とを含有する樹脂組成物である請求項1〜5のいずれか1項に記載の光導波路コアの製造方法。
【請求項7】
傾斜端面を有する光導波路コアを備える光導波路の製造方法であって、
基板上に形成された第1クラッド層の表面に、感光性材料からなるコア材料層を形成するコア材料層形成工程と、
前記コア材料層表面に、屈折率が1より高い高屈折率物質を密着させるように被覆する高屈折率物質被覆工程と、
前記高屈折率物質の被覆されている側から前記第1クラッド層表面に対して所定の傾斜角度から露光光を照射することにより、前記コア材料層に対して、コア部を形成するための所定形状のパターン露光をする露光工程と、
前記露光工程により露光されたコア材料層表面から前記高屈折率物質を除去する高屈折率物質除去工程と、
前記高屈折率物質除去工程により前記高屈折率物質が除去された後のコア材料層を現像することにより、傾斜端面を有するコア部を形成する現像工程と、
前記コア部を埋設するように第2クラッド層を形成するクラッド層形成工程とを備えることを特徴とする光導波路の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の光導波路の製造方法によって得られたことを特徴とする光導波路。
【請求項9】
請求項8に記載の光導波路を備えることを特徴とする光電気複合配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−256877(P2010−256877A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70130(P2010−70130)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】