説明

光導波路基板、および光電気混載基板

【目的】光導波路基板とプリント配線板との密着性を高めこれらを一体化した光電気混載板およびそれを構成する光導波路基板を提供することを目的とする。
【構成】コア部とハロゲン元素を含む第1樹脂からなるクラッド部とを備えた光導波路の少なくとも1面の表層に、第1樹脂と同種の樹脂を含み、かつハロゲン元素を含まない樹脂層を形成した光導波路基板であり、これらの光導波路基板が電気配線層と電気絶縁層とを有する電気配線基板に貼り合せられており、電気配線基板と光導波路基板の間にハロゲンを含まない前記樹脂層が介在している光電気混載基板である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信分野等で見られるような高周波信号や高速伝送処理を必要とする光導波路とそれを用いる光電気混載基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信分野の技術動向で見られるように、通信容量の増大と通信速度の高速化にともない、端末間での通信が電気信号通信から光信号通信へ置き換わりや、それに伴う光交換機や光インターコネクション装置等の周辺機器の研究開発が活発に行なわれている。このような背景の中、これまで光による信号のやり取りは、距離を必要とする端末間に限られていた。しかし、取り扱う情報の大容量化に伴い、これまで電気信号のみで取り扱うことができた端末内での処理においても、信号の遅延、クロストーク対策、インピーダンス整合、配線の細線化の限界に伴い、光バックプレーンや光導波路基板のような光信号を取り扱う部品の開発が注目されている。
【0003】
この光導波路基板の実装形態は、主に3つに分けることができ、1つは、フィルム状光導波路基板を中空状態にして、(1)プリント配線板上にある部品間を結ぶ実装形態をとるもの(特許文献1)、(2)プリント配線板の表面に光導波路基板を貼り合せた実装形態をとるもの(非特許文献1)、(3)プリント配線板内に光導波路基板を内層として取り入れた実装形態のもの(特許文献2)が提案されている。
【特許文献1】特開2004−206015
【特許文献2】特開2001−7463
【非特許文献1】電子情報通信学会論文誌VOL.J84−C 2001−9 727頁−735頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常の光導波路基板に用いられているコア及びクラッド材料は、通信に用いる光の波長帯域において透明性を持たせるため、フッ素化ポリイミドに代表されるように、ハロゲン化することがある。これらハロゲン化した樹脂の成形品は、前記の従来技術では、エポキシ等の接着剤を用いてプリント配線板に貼り合せても、その後にプリント配線板へ部品を実装する時の半田溶接のリフロー工程や、洗浄工程で用いられる超音波洗浄において、光導波路基板と接着層との間に剥離が発生するといった問題が発生した。本発明の課題は、上記問題を回避し、光導波路基板とプリント配線板との密着性を高めこれらを一体化した光電気混載板およびそれを構成する光導波路基板を提供することに有る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、コア部とハロゲン元素を含む第1樹脂からなるクラッド部とを備えた光導波路の少なくとも1面の表層に、第1樹脂と同種の樹脂を含み、かつハロゲン元素を含まない樹脂層を形成した光導波路基板である。
【0006】
ここでハロゲンを含まない前記樹脂が、エラストマーを含有する樹脂、熱可塑性樹脂熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを混合した樹脂のいずれかであることが密着性が向上し好ましい。さらには、ハロゲンを含まない前記樹脂が、熱可塑性ポリイミドであることが耐熱性を向上するので特に好ましい。また、前記ハロゲンを含む樹脂がフッ素化された樹脂であることが好ましい。
【0007】
また本発明は、これらの光導波路基板が電気配線層と電気絶縁層とを有する電気配線基板に貼り合せられており、電気配線基板と光導波路基板の間にハロゲンを含まない前記樹脂層が介在している光電気混載基板である。
ここで光導波路の形態は限定されないが、フィルム状あるいはシート状であることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、一般に他材料との密着性が低いハロゲンを含む樹脂を光導波路部に用いても、電気配線部との良好な密着状態が得られる光電気混載基板を作製できる。さらに半田リフローの際の耐熱性を向上させる事ができる。さらに接着層の選択幅が広がるので接着層を選択することにより接着時に低温プロセスで電気配線部との接着が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明において、クラッド部を構成する第1樹脂と、光導波路の少なくとも1面の表層に形成される樹脂層は同種の樹脂である。これは両樹脂が炭素−水素結合以外の同じ結合基を有することが好ましいことを意味する。例えば第1樹脂がポリイミド、ポリアミドイミドやポリエーテルイミド等であってイミド基を有するのものであれば、光導波路の少なくとも1面の表層に形成される樹脂層もイミド基を有するものであればよい。また第1樹脂がエポキシ基を有するものであれば、光導波路の少なくとも1面の表層に形成される樹脂層はエポキシ基を有すればよい。
次に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1と図2に、本発明の光導波路基板の実施形態を示す。
図1は、クラッド部2にコア部1が埋め込まれており、クラッド部2の表面に樹脂層3を備えた光導波路基板の断面である。ここではコア部は並列に3本設けている。樹脂層は図1(a)のように片面だけに設ける場合もあるし、図1(b)のように両面に設ける場合もある。
【0011】
図2はクラッド部2の表面に露出する形でコア部1がうめこまれている光導波路基板の表面に樹脂層3が形成されたものである。図2(a)はコア部1が露出した面にコア部も覆うように樹脂層3を形成したもの、図2(b)は両面に樹脂層を形成したもの、図2(c)はコア層が露出した面と反対の面に樹脂層3が形成されたものである。これらは貼合わせる電気配線基板あるいは光導波路基板の構成によって使い分けられる。
【0012】
本実施形態の光導波路基板のコア部とクラッド部の作製方法は、特に指定するものではなく、コア部のパターニングのためには、直接露光法、直接描画法、RIE法(反応性イオンエッチィング法)、屈折率変化法(フォトブリーチィング法)、複製法(金型プレス成形法)、金型射出成形法等がある。加えて、コア及びクラッド部の材料も、混載基板に用いられる光信号の波長の光に対し透明性を有すれば特に指定するものではなく、ポリメタクリル酸メチル等のアクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリシロキサン、ポリシラン、ポリイミド樹脂(例えばフッ素化ポリイミド樹脂)等が上げられる。
【0013】
また、このコア部とクラッド部とからなる光導波路部の両側乃至は片側に、樹脂層を形成する作製方法は、特に指定するものでは無いが、形成する樹脂を溶媒に溶解した液を光導波路部の形成面にスピンコート等で塗工し乾燥し形成する方法や、前記希釈液を他フィルムに塗工し乾燥したものをラミネート乃至はプレスにより形成する方法などが上げられる。
【0014】
形成される樹脂は、光導波路部と接着性を有するハロゲンを含まない樹脂であれば特に指定するものではないが、60℃から300℃の温度範囲での加熱時に弾性率及び塑性率及び粘弾性が光導波路部と接着性を有するに必要な値にまで下がる樹脂乃至は熱可塑性樹脂であれば特に好ましく、例えば、ゴム状弾性を有するエラストマーを含有する樹脂や、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合系や、熱可塑性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリアミドイミドなどが上げられる。尚、これら樹脂を光導波路部の1面に形成する際に、形成する樹脂を溶媒に溶解した液の代わりに、その樹脂の硬化前や前駆体の状態で溶媒に溶解した液で、前記のような工法で形成される場合もある。
【0015】
エラストマーを含有する樹脂としてはエポキシ系が好ましく、エラストマーを含むエポキシ樹脂群について下記に例をあげる。
エポキシ樹脂の具体的なものとしては、2,2−ビス(4’−オキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン(ビスフェノールB)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールAD)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリフェノ−ル化合物のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;上記のようなポリフェノ−ル化合物のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂の臭素化物に相当する臭素化エポキシ樹脂;上記のようなポリフェノ−ル化合物の芳香核の水素化物のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、フロログリシン等の多価フェノール類のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;上記のような多価フェノール類のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂の臭素化物に相当する臭素化エポキシ樹脂;ノボラック型エポキシ樹脂;ノボラック型エポキシ樹脂の臭素化物に相当する臭素化エポキシ樹脂;ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド等の脂環族系エポキシ樹脂;フタル酸、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸等のポリカルボン酸のエステル縮合物のポリグリシジルエステル系エポキシ樹脂;テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルパラアミノフェノール、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン等からなるポリグリシジルアミン系エポキシ樹脂;メチルエピクロ型エポキシ樹脂などがあげられる。
【0016】
また、混合するエラストマーとしては、グッドリッチ社製のハイカーCTBN、ハイカーCTBNX、ハイカー1072、日本ゼオン社製のNIPOL1072、フランセーズ・グッドイヤー社製のケミガム550、スタンダード・フランズ社製のタイラック221Aおよびタイラック211A(いずれも商標)等があげられる。
熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合系としては、熱硬化性エポキシ樹脂と熱可塑性ポリイミド樹脂とを混合したものが好ましく、その樹脂群について下記に例をあげる。
混合する熱硬化性エポキシ樹脂の例として、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を含むものであれば特に限定されないが、例えばフェノールのグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂として、ビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、ビスフェノールFもしくはハロゲン化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンの縮合物、フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、ビスフェノールAノボラック樹脂のグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエン変成フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテル、ビフェニル型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0017】
また、熱可塑性ポリイミド樹脂の例としては、下記の例にあげるテトラカルボン酸無水物と芳香族ジアミンの組み合わせで合成される樹脂があげられる。
【0018】
テトラカルボン酸無水物の例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フエナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、チオフエン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシクロヘキサン二無水物、p−フェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビス(エキソ−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物)スルホン、ビシクロ−(2,2,2)−オクト(7)−エン2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフイド二無水物、1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、1,3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物等があげられ、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0019】
芳香族ジアミンの例としては、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン等の脂肪族ジアミン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、4,4’−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフイド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフイド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフイド、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2’−(3,4’−ジアミノジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−(3,4’−ジアミノジフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、3,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、4,4’−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフエノキシ)フエニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフイド、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルフイド、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジエチルアニリン)、o−トリジンスルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4−メチレン−ビス(2,6−ジイソプロピルアニリン)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,1−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)シクロヘキサン等があげられ、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0020】
また、上記エポキシ樹脂とポリイミドの配合比は、ポリイミド100重量部に対してエポキシ樹脂1〜200重量部、好ましくは5〜100重量部の範囲である。
【0021】
単独で用いられる熱可塑性樹脂の例としては、アクリル酸変性オレフィン樹脂、マレイン酸変性オレフィン樹脂、塩化変性オレフィン樹脂(CPP、CPE)、シラン変性オレフィン樹脂、イオノマー樹脂、ナイロン変性オレフィン樹脂、エポキシ変性樹脂、エチレンビニールアルコール樹脂(EVOH)、エチレンビニールアセテート樹脂、ホットメルト接着樹脂等があげられ、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0022】
単独で用いる熱可塑性ポリイミドの例としては、下記の例にあげるテトラカルボン酸無水物と芳香族ジアミンの組み合わせで合成される樹脂があげられる。
【0023】
テトラカルボン酸無水物の例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)、p−フェニレンジフタル酸無水物等のテトラカルボン酸二無水物等があげられ、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0024】
芳香族ジアミンの例としては、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルN−フェニルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、 3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,4’−ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、ビス[4− (3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4 −(4−アミノフェニキシ)フェニル]メタン、1,1 −ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノ キシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4 −(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ) フェニル]ブタン、2,2−ビス[3−(3−アミノフ ェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノ フェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェ ノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ) フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキ シ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノ フェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、 ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニ ル]エーテル、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3 −アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’ −ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジ フェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4, 4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベン ジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス [4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4− アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α −ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジ ル]ベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド等があげられ、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0025】
(第2の実施形態)
図5は3枚の電気配線基板20と2枚の光導波路基板21が互い違いに貼り合せられた積層体の縦断面を示している。各光導波路基板はコア部1がクラッド部2に埋め込まれており、光導波路基板の両面に予め設けられていた樹脂層3を介して電気配線基板20と貼り合せられている。電気配線基板は電気絶縁層5とパターニングされた電気配線層4が積層されている。2層にまたがる電気配線層同士の必要な箇所にはビアホール6が形成されて導通がとられている。電気配線基板には半田バンプ10を介して面発光レーザなどの面発光光源あるいはフォトダイオードなどの受光素子および動作させるドライバ用LSIとその他制御用のLSIが実装されたパッケージ9が実装されている。最表層にある電気配線層には、配線の保護のためソルダーレジスト13乃至はカバーレイフィルムが形成されている。
【0026】
これらの発光素子または受光素子と光導波路基板のコアとは、電気配線基板および光導波路基板を打ち抜いて形成されているスルーホール15の中に設けられ、45度の鏡面が形成されている光ピン11を通して光結合する。すなわち光信号は、パッケージ9から光ピン11を介しコア部1を通して、反対側に設けられた光ピンを介して受講素子側のパッケージに伝えられる。電気信号は、パッケージから半田バンプを介し電気配線層を通して、他の実装部品に伝えられる。一方、電気絶縁層や光導波路基板を介した電気配線層間の電気的接続は、層間ビアホールやスルーホールを通して行なう。
【0027】
尚、パッケージを基板に接続している半田バンプについては、特にこの接続方法だけではなく、金バンプ等の別材料のバンプによる接続形態や、通常のLSIパッケージで使用されているリード乃至ピン乃至ボールを介しての接続形態がある。
【0028】
図3(a)は、3枚の電気配線基板20と2枚の光導波路基板21が互いに貼り合せられた積層体の横断面を示している。図3(b)は、3枚の光導波路基板のうち2枚はいずれかの表面に予め設けられていた1層の樹脂層3を介して互いに貼り合わせられている。そしてそれぞれ上下の電気配線基板とスルーホール(図示せず)に設けられた光ピン(図示せず)によって光結合している。
【0029】
この光電気混載基板の作製方法は、第1の実施形態で説明した光導波路基板の樹脂層側に、電気配線基板または他の光導波路基板貼り合せて作製する。貼り合せ方法には、ラミネート法乃至はプレス法がある。特に真空ラミネート法乃至は真空プレス法で貼り合せれば、電気配線基板との密着性が向上したり、電気配線基板の電気配線層の凹凸への樹脂層の埋め込み状態が向上する。電気配線基板と光導波路基板との間に介在する樹脂層が1層の場合は、電気配線基板,光導波路基板の少なくともクラッド部、樹脂層を構成するの基本材料が同一である事が好ましい。例えば電気配線基板がエポキシ系であれば、クラッド部、樹脂層もエポキシ系を用いる事が好ましい。特に好ましい態様は電気配線基板がポリイミドを用いたフレキシブル基板あるいはリジッド基板であって、光導波路基板の少なくともクラッド部およびその表面の樹脂層がポリイミドであることが好ましい。光導波路基板と電気配線基板とが1層の樹脂層で強固な密着性が得られ、かつ従来よりも高い温度にも耐えるので部品実装の際に、より高温の半田リフローを採用することができる。
【0030】
光導波路基板の面に設ける樹脂層を二層とすることは好ましい態様である。電気配線基板や光導波路に配線パターン等により凹凸がある場合、その凹凸を埋めるためには樹脂層の厚さは凹凸の高さ以上が必要である。樹脂層に溶液系から得られるポリイミド系材料を用いる場合、ポリイミド樹脂溶液あるいは前駆体であるポリアミド酸溶液は一般的に塗布溶液の樹脂濃度が30%以下と低いため、光導波路フィルム上に例えば20μm以上の樹脂を形成することが難しい場合がある。そのようなとき、樹脂層であるポリイミド層は数μmにしておき、20μmの凹凸を埋め込むために比較的厚い層が得やすいエポキシ系の接着層をポリイミド層の上に形成することで光導波路と電気配線板が接合できる。このように二種類の層を用いることで、様々の大きさの凹凸を持った光導波路および電気配線板を接合可能となる。
【0031】
図4は、電気配線部と光導波路部との間の樹脂層が2層の場合の断面図である。すなわち電気配線基板20と光配線基板21は予め光配線基板の表面に形成されたハロゲンを含まない樹脂層3と接着層8の2層を介して接合されている。図4(a)は、電気配線基板20と光導波路基板21が互いに交互に積層されたもの、図4(b)は、2つの光配線基板はハロゲンを含まない1層の樹脂層3で接合され、その上下にハロゲンを含まない樹脂層3と接着層8の2層の樹脂層を介して電気配線基板が接合されている。
ここで樹脂層3が形成された光導波路基板と電気配線部との間に形成される接着層8の形成方法には、間接貼り合せ方法と直接貼り合せ方法がある。間接貼り合せ方法とは、一旦、光導波路基板乃至は電気配線部に接着層を形成し、その後ラミネート乃至はプレスにより貼り合せる方法である。この場合の接着層形成方法には、光導波路基板乃至は電気配線部へスピンコート法等の塗工及び乾燥により直接形成する方法や、ポリエステルフィルム等の支持体に接着樹脂を塗工し乾燥した後、光導波路基板乃至は電気配線部へラミネート法やプレス法により間接形成する方法がある。
【0032】
また、直接貼り合せ方法とは、接着層となる貼り合せ前の第2の樹脂層単体にタックが無くフィルムの様に取り扱える場合に、光導波路基板と電気配線部との間に第2の樹脂層を挟み、ラミネート乃至はプレスにより貼り合せる方法である。
これら貼り合せ方法で用いられる接着層となる樹脂は、塗工時に、予め各々の工法で成形されるに必要な粘弾性特性を持つように溶媒に溶解した液状態、乃至はその樹脂の硬化前や前駆体の状態で溶媒に溶解しさせた液状態で用いられる。
【0033】
更に、この樹脂層が複数層ある場合は、前記樹脂層の形成後、同様に必要な層数分の形成を、前記樹脂層の形成方法と同様な方法で形成すればよい。
【0034】
尚、本実施形態で用いられているラミネート法とプレス法が真空ラミネート法乃至は真空プレス法であれば、電気配線部との密着性や、電気配線部の電気配線層の凹凸への樹脂層の埋め込みが特に良好となる。
【0035】
表1及び表2に示すように各種のサンプルを作成して評価を行なった。各部の作成方法と評価方法を説明する。
【0036】
A:光導波路基板の作製
A-1ポリイミド系光導波路(実施例1〜10)の作成方法。光導波路の材料として、光透過性の高い樹脂フッ素化ポリイミドを用いた。まず、5インチシリコンウェハ上に2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)と2,2−ビス(トリフルオロメチル)−4, 4' −ジアミノビフェニル(TFDB)から形成されるポリイミドを上下のクラッド層として、6FDAと4, 4' −オキシジアニリン(ODA)と6FDA/TFDBから形成される共重合ポリイミド(6FDA/TFDB組成=60%)をコア層として、公知のフォトリソグラフィとドライエッチング技術により光導波路フィルムを形成した。その後、この光導波路が形成されたシリコンウェハを5wt%のフッ酸水溶液中に浸漬させ、シリコンウェハから光導波路を剥し、フィルム光導波路部を作製した。フィルム導波路の厚みは80μmとした。
【0037】
A-2 エポキシ系光導波路(実施例11)の作成方法。まず、5インチシリコンウェハ上に50nmの厚みの酸化シリコン膜を形成しておく。NTTアドバンステクノロジ社より市販されている光導波路用紫外線硬化型エポキシ樹脂を用意した。硬化後で、波長589nmの屈折率が1.50のものと1.48となる含フッ素エポキシ樹脂である。二種類のエポキシ樹脂を用いて、公知の紫外線露光、現像技術によって光導波路を作製した。その後、この光導波路が形成されたシリコンウェハを5wt%のフッ酸水溶液中に浸漬させ、シリコンウェハから光導波路を剥し、フィルム光導波路部を作製した。フィルム導波路の厚みは80μmとした。
【0038】
A'-1 光導波路の表面に樹脂層としてLARC−TPIを用いたものは光導波路部の両側に、DMACを溶媒として熱可塑性ポリイミド樹脂(LARC−TPI)をスピンコートにより塗布し260℃で硬化し、光導波路部の両側に樹脂層を持つ光導波路基板を作製した。このときの樹脂層の厚みは3μmから30μmまで変えた。
【0039】
A'-2 樹脂層として別の熱可塑性ポリイミドとしてオキシジフタル酸ニ無水物(ODPA)とアミノフェノキシベンゼン(APB)からなるポリイミドを用いる場合は、DMACを溶媒としてスピンコートにより塗布し260℃で硬化し、光導波路部の両側に樹脂層を持つ光導波路基板を作製した。このときの樹脂層の厚みは3μmから30μmまで変えた。
【0040】
A'-3 樹脂層としてエポキシ系を用いる場合は、エポキシ系の接着剤(三井化学株式会社製AH−357)を光導波路基板面にスピンコートで塗布し100℃で乾燥させた。樹脂層の厚みは、3μmとした。
【0041】
B:光導波路基板と電気配線部との間の樹脂層の形成
B-1 エポキシ系の接着剤(三井化学株式会社製AH−357)を、ペットフィルム(東洋紡績株式会社製M5001)に、アプリケータで塗工し100℃〜150℃で乾燥する。次に、乾燥した樹脂フィルムを用いて、光導波路基板に100℃でラミネートし、光導波路基板と電気配線部との間の樹脂層を光導波路基板の両面に形成した。これにより得られたエポキシ樹脂層の厚みは、25μmとした。
【0042】
B-2 エポキシ系の接着剤として、NTTアドバンステクノロジ社より市販されている光部品用熱硬化性エポキシ樹脂をディップコータにより光導波路基板の両面に塗布した。
【0043】
C:[光電気混載基板の作製]
C-1 エポキシ系接着剤層を形成した先の光導波路基板と、予め回路形成されたポリイミド系フレキシブルプリント配線板(三井化学株式会社製NEX−231R(25H))を、プレスにより貼り合せた。このときのプレス条件は、プレス温度が140℃から250℃、プレス圧力が1MPaから10MPa、時間が15分から3時間であった。
【0044】
C-2 接着層を用いない場合(実施例7、8)は、C-1で用いたのと同じポリイミド系フレキしプリント配線板を用い、プレスにより貼り合せをして作成した。プレス条件は、プレス温度が300 ℃、プレス圧力は1MPa、時間は60分であった。
【0045】
C-3 エポキシ基板(FR-4)と光導波路基板をプレスにより貼りあわせた。プレス条件はプレス温度が170 ℃、プレス圧力は3MPa、時間は70分であった。
【0046】
D:サンプルの作製方法と評価方法
光導波路基板の両側にフレキシブルプリント配線板を貼り合せ作製した光電気混載基板の性能比較方法について、下記に記す。
・ 光伝送損失:カットバック法により波長850nmでの光伝送損失を測定した。
・ 線膨張係数:プリント配線板の銅箔を形成していない絶縁層をダミーの電気配線基板として、これを光導波路基板の両側に貼り合せたサンプルを、TMAで測定した(昇温速度5℃/分、荷重49mN)。
・ 内層ピール強度:JIS C 5016-1994に準じた銅箔ピール試験と同様に、光導波路基板間乃至は電気配線部と光導波路基板間の引き剥がし試験を実施した。
・ 半田耐熱性:JIS C 5016-1994に準ずる。
・ 埋め込み状態の観察:200〜500倍の顕微鏡で、サンプルの断面観察を実施した。
【0047】
(実施例と評価結果)
上記の電気配線基板,光導波炉基板,樹脂層を各種組み合わせた各実施例とその結果を表1と表2にまとめる。本発明によると、内層ピール強度や半田耐熱性で見られる、光導波路基板間乃至は電気配線部と光導波路基板間の密着性が向上していることがわかる。また半田耐熱性を詳細に調べるために、280℃10秒、300℃10秒のテストをしたところ、実施例1から実施例5までのサンプルは膨れがないことが分かった。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
ODPA:オキシジフタル酸ニ無水物
APB:アミノフェノキシベンゼン
DMAC:ジメチルアセトアミド
半田耐熱性:両面銅箔有りサンプル 合格:膨れなし 不合格:膨れ有り
埋め込み状態の観察(外観検査 ) ○:気泡無し ×:気泡有り
表中の空欄は該当無し
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、光通信分野等で見られるような高周波信号や高速伝送処理を必要とするデバイスに用いられ、光導波路部と電気配線部とを必要とする光電気混載基板に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明である光導波路基板を示す断面図である。
【図2】本発明である光導波路基板の別の形態を示す断面図である。
【図3】本発明である光電気混載基板の実施形態を示す横断面図である。
【図4】本発明である光電気混載基板の実施形態を示す断面図である。
【図5】第1実施形態の光電気混載基板に部品実装して作製したモジュール基板を示す断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 コア部、 2 クラッド部、 3 樹脂層(熱可塑性樹脂)
4 銅配線、 5 電気絶縁層、 6 層間ビアホール
7 層間ビアホール乃至はスルーホール、 8 接着層
9 パッケージ、 10 半田バンプ、 11 光ピン
12 スルーホール乃至は層間ビアホール、 13 ソルダーレジスト
15 スルーホール、 20 電気配線基板、 21 光導波路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア部とハロゲン元素を含む第1樹脂からなるクラッド部とを備えた光導波路の少なくとも1面の表層に、第1樹脂と同種の樹脂を含み、かつハロゲン元素を含まない樹脂層を形成した光導波路基板。
【請求項2】
ハロゲンを含まない前記樹脂が、エラストマーを含有する樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを混合した樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の光導波路基板。
【請求項3】
ハロゲンを含まない前記樹脂が、熱可塑性ポリイミドであることを特徴とする請求項2に記載の光導波路基板。
【請求項4】
前記ハロゲンを含む樹脂がフッ素化された樹脂であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光導波路基板。
【請求項5】
電気配線層と電気絶縁層とを有する電気配線基板と請求項1から請求項4のいずれかの光導波路基板が貼り合せられており、電気配線基板と光導波路基板の間にハロゲンを含まない前記樹脂層が介在していることを特徴とする光電気混載基板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−84488(P2006−84488A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−266185(P2004−266185)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】