説明

光干渉断層画像生成装置の制御装置、制御方法及び制御プログラム

【課題】被写体の所望の断層画像を高速に取得する。
【解決手段】OCT装置(光干渉断層画像生成装置)1のOCT制御装置100は、レーザ光に同期してガルバノミラー33を制御することで撮影を行うと共にディテクタ23の検出信号を変換したデータから被写体のOCT画像(光干渉断層画像)を生成する制御を行うものであって、被写体における光軸に垂直な方向のスキャン面の2次元画像として、レーザ光が照射された被写体の表面の情報と、当該被写体における光軸に沿った方向の情報とが合わさった画像であるオンファス画像を生成するオンファス画像生成手段151と、オンファス画像上にOCT画像の断層位置をライン状に描画して重畳する断層位置ライン生成手段154と、断層位置のラインに対する選択および移動の指示を受け付けラインの位置に基づいてOCT画像を生成する光干渉断層画像生成手段152とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光干渉断層画像生成装置に係り、特に、光干渉断層画像生成装置の制御装置、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光干渉断層画像生成装置(Optical Coherence Tomography:以下、OCT装置と称する)は、生体の分野では、眼球の角膜や網膜の断層計測等の眼科医療で応用されている。OCTは、生体組織に光を照射することで、非侵襲・非接触で診断を可能とする方式である。OCT以外の診断方式では、分解能200ミクロン以下のCT(Computed Tomography)、分解能800ミクロン以下のMRI(Magnetic Resonance Imaging)、分解能1000ミクロン以下のPET(Positron Emission Tomography)等が知られているが、OCTは、これらと比べて格段に優れた数〜数十ミクロンの分解能を実現し、解像度の高い高精細な画像を表示することが可能である。このOCTの方式は、TD(Time Domain)−OCT、FD(Frequency Domain)−OCTに大別され、後者のFD−OCTは、SD(Spectrum Domain)−OCTと、SS(Swept Source)−OCTとに分類されることが知られている。
【0003】
例えば、SS−OCTは、波長(波数)を連続的に掃引できるレーザ光源を使用し、検出器により取得したスペクトル情報をFFT(Fast Fourier Transform)処理し、光路長を特定する方式である。SS−OCTは、例えば歯科医療で普及しているX線撮影装置やCT装置等に比べ、解像度が高く、被ばくすることなくリアルタイムに計測が行える等の特徴がある。
また、歯科用のために、前記したTD−OCTが試されていたが、SS−OCTはTD−OCTに比べて、高感度かつ高速にデータを取得できることから、モーションアーチファクト(体動によるゴースト)に強いという特徴がある。
【0004】
OCT装置は、1枚の断層画像を得るのに被写体の正面へのレーザ照射方向(被写体の上下方向または深さ方向)に対してそれぞれ垂直な方向として、幅方向(被写体の左右方向)および奥行方向(被写体の前後方向)への2次元の機械的走査が必要であるため、撮像、ひいては診断に時間がかかるという問題が従来からある。
眼科用のOCT装置では、診断に用いる詳細な画像を撮影する前に、被写体の概略画像を取得する技術が知られている(特許文献1参照)。
特許文献1に記載の撮影装置は、OCT装置で実現した断面画像取得部と、正面画像を取得するための眼底カメラやSLO(Scanning Laser Ophthalmoscope)などによって実現される正面画像取得部とを備え、正面画像取得部が被写体の概略画像を取得するものである。この撮影装置は、被写体の概略画像である正面画像(眼底の表面画像)と、断面画像(断層画像)とを横に並べてGUI(Graphical User Interface)画面上に表示する。そして、詳細な撮影を行うべき被写体の撮影位置が概略画像(正面画像)において設定される。
【0005】
また、歯科の分野では、歯科光診断装置用ハンドピースにおいて、OCT手段を備え、歯部の光診断箇所を位置決めする手段が、カメラによる撮像方式で、内部に、表面画像取得用の撮像カメラを備えている(特許文献2参照)。よって、事前の位置決めにカメラ画像を用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−142428号公報
【特許文献2】実用新案登録第3118718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のOCT装置は、断層画像と、断層位置が分かる画像とを並べて表示できるが、断層位置が分かる画像において利用者が所望の断層位置を指定して、その指定した断層位置の断層画像を、断層位置が分かる画像と共に並べて表示することができなかった。また、撮影された被写体の断層位置が分かる画像として、被写体の表面画像や正面画像を単純に用いる場合、診断に用いる詳細な画像を測定する撮影(本撮影)で取得する画像は断層画像であるにも関わらず、事前に取得する画像が表面画像であるため、診断に用いる所望の断層画像を取得できるまでに時間がかかるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、被写体の所望の断層画像を高速に取得することができる光干渉断層画像生成装置の制御装置、制御方法及び制御プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明に係る光干渉断層画像生成装置の制御装置は、被写体にレーザ光を周期的に照射する光源と前記被写体の内部情報を検出する検出器とを含む光学ユニットと、前記レーザ光を2次元走査する走査機構を含み前記光学ユニットからのレーザ光を前記被写体に導くと共に前記被写体で反射した光を前記光学ユニットに導くプローブと、前記レーザ光に同期して前記走査機構を制御することで撮影を行うと共に前記検出器の検出信号を変換したデータから前記被写体の光干渉断層画像を生成する制御を行う制御装置および前記光干渉断層画像を表示する表示装置を含む制御ユニットと、を備える光干渉断層画像生成装置の前記制御装置であって、外部からの入力に基づいて、予め定められた撮影モードの撮影を行う撮影制御手段と、撮影により取得された前記検出信号を画像処理する画像処理手段と、を備え、前記画像処理手段が、前記被写体における光軸に垂直な方向のスキャン面の2次元画像として、前記レーザ光が照射された前記被写体の表面の情報と、当該被写体における光軸に沿った方向の情報とが合わさった画像であるオンファス画像を生成するオンファス画像生成手段と、前記表示装置に表示される前記オンファス画像上に前記光干渉断層画像の断層位置をライン状に描画して重畳する断層位置ライン生成手段と、前記表示装置に表示された断層位置のラインに対する選択および移動の指示を受け付け、選択および移動されたラインの情報に基づいて、前記検出器の検出信号を変換したデータから前記光干渉断層画像を生成する光干渉断層画像生成手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、光干渉断層画像生成装置の制御装置は、画像処理手段のオンファス画像生成手段によって、スキャン面の2次元画像として、被写体の表面の情報と、当該被写体における光軸に沿った方向の情報とが合わさった画像であるオンファス画像を生成する。このオンファス画像は、OCTで検出した信号を画像処理して取得したデータとして、被写体の外表面の情報だけではなく、内部情報も利用して生成されている。したがって、オンファス画像を測定や診断に用いることができる。また、光干渉断層画像生成装置の制御装置は、画像処理手段の断層位置ライン生成手段によって、オンファス画像に対して光干渉断層画像の断層位置をライン状に描画して重畳する。これにより、オンファス画像を、断層位置が分かる画像として利用することができる。また、光干渉断層画像生成装置の制御装置は、画像処理手段の光干渉断層画像生成手段によって、表示された断層位置のラインに対する選択および移動の指示を受け付け、ラインで指定された断層位置の光干渉断層画像を生成する。ここで、ラインに対する選択および移動の指示は、利用者がGUI画面上でポインティングデバイス等により行う。また、かかる構成によれば、光干渉断層画像生成装置において、断層位置が分かる画像を取得する専用のカメラ等の部材を設ける必要が無い。そのため、例えばプローブ内にCCDカメラやCMOSカメラ等を設ける必要が無いので、プローブを小型化することができる。
【0011】
また、本発明に係る光干渉断層画像生成装置の制御装置は、前記オンファス画像生成手段が、前記オンファス画像を生成する過程で、前記被写体の3D画像を生成し、前記断層位置ライン生成手段が、前記オンファス画像上に表示されたラインに同期して前記表示装置に表示される前記被写体の3D画像上に前記光干渉断層画像の断層位置をライン状に描画して重畳し、前記光干渉断層画像生成手段が、前記表示装置に表示された3D画像において、前記断層位置のラインに対する選択および移動の指示を受け付け、選択および移動されたラインの情報に基づいて、前記検出器の検出信号を変換したデータから前記光干渉断層画像を生成し、前記3D画像を切り欠いて露出させた当該3D画像の前記ラインに沿った断層面上に重畳することが好ましい。
【0012】
かかる構成によれば、光干渉断層画像生成装置の制御装置は、オンファス画像上の断層位置を示すラインに同期させて3D画像にも同様なラインを表示させる。そして、制御装置は、3D画像上のラインが移動されると、移動先の断層位置での断層像を生成し、3D画像上に視認可能に表示する。つまり、被写体の3D画像の一部を切り欠いて露出させた断面に光干渉断層画像を表示させる。したがって、表示された光干渉断層画像が、被写体のどの部位のどの断層面の画像であるのかを利用者が直感的に把握することができるようになり、操作性が向上する。
【0013】
また、本発明に係る光干渉断層画像生成装置の制御装置は、前記画像処理手段が、前記被写体を撮影したときの前記検出器の検出信号を変換したデータとして記憶手段に保存された前記データから、前記被写体の3D画像をレンダリングにより作成するレンダリング手段をさらに備えることが好ましい。
【0014】
かかる構成によれば、光干渉断層画像生成装置の制御装置は、断層位置が分かる画像であるオンファス画像と、光干渉断層画像とに加えて、被写体の3D画像を表示装置に表示させることができる。したがって、表示された光干渉断層画像が、被写体のどの部位のどの断層面の画像であるのかを利用者が直感的に把握することができるようになり、操作性が向上する。
【0015】
また、本発明に係る光干渉断層画像生成装置の制御装置は、前記撮影制御手段が、前記被写体の内部情報を測定するために前記走査機構に前記被写体の撮影対象範囲を所定ピッチで走査させる測定指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を開始し、前記所定ピッチに応じた撮影時間で撮影を終了する第1撮影制御手段と、前記走査機構に前記撮影対象範囲を前記所定ピッチよりも粗いピッチで走査させるプレビュー指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を開始し、前記プレビュー指示を解除する指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を終了する第2撮影制御手段と、を備えることが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、光干渉断層画像生成装置の制御装置は、第1撮影制御手段によって、測定指示の入力を受け付けたときに、被写体の撮影を開始し、走査機構が所定ピッチで走査して取得した検出信号を画像処理手段によって画像処理することによって、所定の解像度で被写体の光干渉断層画像を表示装置に表示する。このとき、走査機構の走査ピッチに応じた撮影時間で撮影を終了するので、撮影終了後には表示装置に光干渉断層画像の静止画が表示されることになる。また、光干渉断層画像生成装置の制御装置は、第2撮影制御手段によって、プレビュー指示の入力を受け付けたときに、被写体の撮影を開始し、走査機構が所定ピッチより粗いピッチで走査して取得した検出信号を画像処理手段によって画像処理することで、前記所定の解像度よりも低解像度で被写体の光干渉断層画像を表示装置に表示する。このとき、プレビュー指示により表示させる光干渉断層画像は、測定指示により表示させる光干渉断層画像よりも粗いピッチで走査された検出信号を用いるので、高速に表示することができる。また、低解像度の光干渉断層画像は、プレビュー指示を解除する指示の入力を受け付けるまで、撮影および画像処理を続行するので、撮影された光干渉断層画像をリアルタイムの動画として表示することができる。なお、被写体における光軸に沿った方向については解像度に変わりはない。
【0017】
また、本発明に係る光干渉断層画像生成装置の制御装置は、前記プレビュー指示および撮影指示の入力を受け付ける構成において、前記制御ユニットが、前記撮影制御手段に対して有線または無線で通信可能に接続されたフットコントローラを備え、前記フットコントローラが、第1のスイッチおよび第2のスイッチを有し、利用者が足で前記第1のスイッチまたは前記第2のスイッチを操作したときに当該いずれかのスイッチに対応して第1のスイッチ信号または第2のスイッチ信号を前記撮影制御手段に対して通知し、前記第2撮影制御手段が、前記フットコントローラから前記第1のスイッチ信号の入力を受け付けたときに、前記プレビュー指示の入力を受け付けたと判別し、前記第2のスイッチ信号の入力を受け付けたときに前記プレビュー指示を解除する指示の入力を受け付けたと判別し、前記第1撮影制御手段が、前記フットコントローラから前記第2のスイッチ信号の入力を受け付けたときに、前記測定指示の入力を受け付けたと判別することが好ましい。
【0018】
かかる構成によれば、光干渉断層画像生成装置の制御装置は、利用者がフットコントローラの第1のスイッチを足で操作したときに第2撮影制御手段によって、プレビュー指示の入力を受け付けたと判別する。また、利用者がフットコントローラの第2のスイッチを足で操作したときに、第1撮影制御手段によって、プレビュー指示を解除して測定指示の入力を受け付けたと判別する。これにより、利用者が、撮影時に診断プローブ部を患者に対して当接させる際に、両手が塞がっていたとしても、フットコントローラを足で踏むことで、プレビュー指示を入力したり、測定指示を入力したりすることができる。したがって、操作性が向上する。
【0019】
また、本発明に係る光干渉断層画像生成装置の制御方法は、被写体にレーザ光を周期的に照射する光源と前記被写体の内部情報を検出する検出器とを含む光学ユニットと、前記レーザ光を2次元走査する走査機構を含み前記光学ユニットからのレーザ光を前記被写体に導くと共に前記被写体で反射した光を前記光学ユニットに導くプローブと、前記レーザ光に同期して前記走査機構を制御することで撮影を行うと共に前記検出器の検出信号を変換したデータから前記被写体の光干渉断層画像を生成する制御を行う制御装置および前記光干渉断層画像を表示する表示装置を含む制御ユニットと、を備える光干渉断層画像生成装置の制御方法であって、前記制御装置が、外部からの入力に基づいて、予め定められた撮影モードの撮影を行う工程と、撮影により取得された前記検出信号を画像処理する画像処理工程とを含んで実行し、前記画像処理工程が、前記被写体における光軸に垂直な方向のスキャン面の2次元画像として、前記レーザ光が照射された前記被写体の表面の情報と、当該被写体における光軸に沿った方向の情報とが合わさった画像であるオンファス画像を生成するオンファス画像生成ステップと、前記表示装置に表示される前記オンファス画像上に前記光干渉断層画像の断層位置をライン状に描画して重畳する断層位置ライン生成ステップと、前記表示装置に表示された断層位置のラインに対する選択および移動の指示を受け付け、選択および移動されたラインの情報に基づいて、前記検出器の検出信号を変換したデータから前記光干渉断層画像を生成する光干渉断層画像生成ステップと、を有することを特徴とする。
【0020】
かかる手順によれば、光干渉断層画像生成装置の制御方法は、画像処理工程のオンファス画像生成ステップにて、スキャン面の2次元画像として、被写体の表面の情報と、当該被写体における光軸に沿った方向の情報とが合わさった画像であるオンファス画像を生成する。そして、断層位置ライン生成ステップにて、オンファス画像に対して光干渉断層画像の断層位置をライン状に描画して重畳する。そして、光干渉断層画像生成ステップにて、表示されたラインに対する選択および移動の指示を受け付け、ラインで指定された断層位置の光干渉断層画像を生成する。ここで、オンファス画像は、単純な表面画像や正面画像とは異なって、被写体の外表面の情報だけではなく内部情報も利用して生成されているので、測定や診断に用いることができる。また、ラインに対する選択および移動の指示は、利用者がGUI画面上でポインティングデバイス等により行うことができる。したがって、利用者は、オンファス画像上に重畳されたラインを選択および移動することで、所望の断層位置を指定することができる。これにより、利用者は、被写体の断層面の画像として所望の断層面を早く見つけることができ、その情報を用いて、高解像度の所望の断層画像を高速に取得することができる。
【0021】
また、本発明に係る光干渉断層画像生成装置制御プログラムは、前記光干渉断層画像生成装置の制御装置の各手段として、コンピュータを機能させるためのプログラムである。このように構成されることにより、このプログラムをインストールされたコンピュータは、このプログラムに基づいた各機能を実現することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、光干渉断層画像生成装置の制御装置は、被写体の所望の断層画像を高速に取得することができる。また、本発明によれば、利用者にとって、操作性が向上し、かつ、表示装置の画面に表示された光干渉断層画像の断層位置が把握し易くなる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る光干渉断層画像生成装置の外観図であって、(a)は単関節アーム型、(b)は多関節アーム型をそれぞれ示している。
【図2】本発明の実施形態に係る光干渉断層画像生成装置のユニット構成を模式的に示す構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係るOCT制御装置の機能を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る光干渉断層画像生成装置による撮影の説明図であって、(a)は収録エリアの種類を示す図、(b)は診断プローブの内部におけるレーザ光の光路の概略図をそれぞれ示している。
【図5】本発明の実施形態に係るOCT制御装置によるOCT画像の生成処理の説明図である。
【図6】本発明の実施形態に係るOCT制御装置がOCT画像を表示するための演算処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係るOCT制御装置がオンファス画像を表示するための演算処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係るOCT制御装置による画像処理のタイミングチャートの一例であって、(a)は光源出力の走査トリガ、(b)はDA変換回路出力の開始トリガ、(c)および(d)はガルバノミラー制御回路によるXおよびY方向のアナログ出力電圧、(e)はOCT画像を生成するためのクロックをそれぞれ示している。
【図9】本発明の実施形態に係るOCT制御装置のプレビュー撮影で取得された画像情報の画面表示例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係るOCT制御装置の本撮影で取得された画像情報の画面表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の装置を実施するための形態(以下「実施形態」という)について詳細に説明する。以下では、1.OCT装置の構成の概要、2.OCT制御装置の構成、3.OCT制御装置の動作、4.表示装置の画面表示例の各章に分けて詳述する。
【0025】
[1.OCT装置の構成の概要]
OCT装置(光干渉断層画像生成装置)の構成の概要について、OCT装置によって撮影する被写体を、歯科の患者の診断対象の歯牙であるものとして図1および図2を参照して説明する。図1および図2に示すように、OCT装置1は、光学ユニット部(光学ユニット)10と、診断プローブ部(プローブ)30と、制御ユニット部(制御ユニット)50と、を主に備える。
【0026】
<光学ユニット部>
光学ユニット部(光学ユニット)10は、一般的な光コヒーレンストモグラフィの各方式が適用可能な光源、光学系、検出部を備えている。図2に示すように、光学ユニット部10は、サンプル(被写体)Sにレーザ光を周期的に照射する光源11と、サンプルSの内部情報を検出するディテクタ(検出器)23と、光源11とディテクタ23との間の光路中に設けられた光ファイバや各種光学部品等を備えている。
【0027】
ここで、光学ユニット部10の概略を説明する。
光源11から射出された光は、光分割手段であるカップラ12により、計測光と参照光とに分けられる。計測光は、サンプルアーム13のサーキュレータ14から診断プローブ部30に入射する。この計測光は、診断プローブ部30のシャッタ31が開状態において、コリメータレンズ32、ガルバノミラー(走査機構)33を経て集光レンズ34によってサンプルSに集光され、そこで散乱、反射した後に再び集光レンズ34、ガルバノミラー33、コリメータレンズ32を経てサンプルアーム13のサーキュレータ14に戻る。戻ってきた計測光はカップラ16を介してディテクタ23に入力する。
【0028】
一方、カップラ12により分離された参照光は、レファレンスアーム17のサーキュレータ18からコリメータレンズ19を経て集光レンズ20によってレファレンスミラー21に集光され、そこで反射した後に再び集光レンズ20、コリメータレンズ19を経てサーキュレータ18に戻る。戻ってきた参照光はカップラ16を介してディテクタ23に入力する。つまり、カップラ16が、サンプルSで散乱、反射して戻ってきた計測光と、レファレンスミラー21で反射した参照光とを合波するので、合波により干渉した光(干渉光)をディテクタ23がサンプルSの内部情報として検出することができる。なお、サンプルアーム13の偏光コントローラ15、および、レファレンスアーム17の偏光コントローラ22は、それぞれ、診断プローブ部30を含むOCT装置1内部に生じた偏光を、より偏光の少ない状態に戻すために設置されている。
【0029】
光源11としては、例えばSS−OCT方式用のレーザ光源を用いることができる。
この場合、光源11は、例えば、中心波長1310nm、掃引波長幅100nm、掃引速度50kHz、可干渉距離(コヒーレント長)が14mmの性能のものが好ましい。ここで、可干渉距離とは、パワースペクトルの減衰が6dBとなるときの距離に相当する。なお、可干渉距離は10mm以上48mm未満の高コヒーレントなものが好ましいが、これに限定されるものではない。被写体が例えば臼歯の場合、その深さ方向(光軸方向)のより深い位置のデータまで取得できることが好ましく、10mm以上あれば、歯牙特有のもの(う蝕等)を撮影することが可能だからである。また、48mm以上の可干渉距離を有する光源を搭載するOCT装置は理論上可能であるが、この光源は波数(波長)を階段状に掃引するというSS−OCT方式であるため、掃引速度や分解能などを含めた総合的性能をこの光源に求めると、光源自体の製作が困難になるため可干渉距離を48mm未満とするのが現実的である。
【0030】
<診断プローブ部>
診断プローブ部(プローブ)30は、レーザ光を2次元走査するガルバノミラー(走査機構)33を含み、光学ユニット部10からのレーザ光をサンプルSに導くと共に、サンプルSで反射した光を光学ユニット部10に導くものである。
【0031】
診断プローブ部30は、ケーブル60(図1参照)により、光学ユニット部10および制御ユニット部50に接続されている。ケーブル60は、光学ユニット部10に接続された光ファイバと、制御ユニット部50に接続された通信線とを内蔵している。
【0032】
撮影中以外のときには、診断プローブ部30を、図1(a)に示すように、OCT装置1の上部に配置された表示装置54の下部側から水平方向に延伸した単関節アーム70の先端のホルダに保持させておく。これにより、収納時には、長いケーブル60であってもケーブルを捻じったりすることなく収納し、収納スペースを低減することができる。
【0033】
一方、撮影時には、利用者は、診断プローブ部30を単関節アーム70のホルダから外して把持し、手振れ防止等のため診断プローブ部30を患者に対して当接させる。このとき利用者の両手が塞がっていたとしても撮影開始ボタンを操作するために、制御ユニット部50に有線または無線で通信可能に接続されたフットコントローラ80(図1参照)を用いることもできる。
【0034】
図1(b)に示すOCT装置1Aは、撮影中以外のときには、診断プローブ部30を、OCT装置1Aの上部に配置された表示装置54の上部側から水平方向に延伸した多関節アーム70Aの先端のホルダに保持させておくことができるようにした点以外は、図1(a)に示すOCT装置1と同様なものである。多関節アーム70Aは、単関節アーム70に比べて、基端から先端のホルダまでの長さが長く、床からより高い位置に配置されている。そのため、ケーブル60の垂れ下がりが低減できる。このようにケーブル60が床に着かないメリットとして、衛生的である点が挙げられる。また、これにより、操作性を向上させ、垂れ下がったケーブル60を誤って踏んだりすることを防止できる。
【0035】
診断プローブ部30に設けられたガルバノミラー33としては、詳細には、図4(b)に示すように、X方向ガルバノミラー33Xと、Y方向ガルバノミラー33Yとが設けられている。光源11から照射されたレーザ光は、X方向ガルバノミラー33Xと、Y方向ガルバノミラー33Yとを介してサンプルS(図2参照、以下同様)に照射され、診断プローブ部30のノズル先端(図4(b)において左端)が正対するサンプルS表面から内部に進む深さ方向(A方向)の内部情報をディテクタ23が取得する。後記するように1回のスキャンで1152ポイントからなるA方向のデータ(以下、Aラインデータという)を取得し、その後の周波数解析の画像処理(FFT処理)を行い、A方向のデータのFFT処理結果として1024点の各データ(以下、Aライン(1024点FFT)と表記する)を取得する。
【0036】
ここで、X方向およびY方向とは、診断プローブ部30のノズル先端(図4(b)において左端)が正対するサンプルSの表面(図4(a)参照)において横方向(X軸方向、図4(a)における左右方向)および縦方向(Y軸方向、図4(a)における上下方向)に対応する。
【0037】
X方向ガルバノミラー33Xは、コリメータレンズ32側に設けられている。X方向ガルバノミラー33Xは、ミラー面(A−V平面)を、A方向を軸としてモータ駆動により回転するものである。このとき、取得されるデータの方向は、サンプルSの表面において横方向(X軸方向)のデータであり、B方向のデータとなる。仮にガルバノミラーの動作回転角が例えば−3°〜+3°で128ポイントのB方向のデータが必要な場合、後記するように158ポイントのB方向のデータ(以下、Bラインデータという)を取得する。
【0038】
Y方向ガルバノミラー33Yは、集光レンズ34側に設けられ、ミラー面(B−V平面)を、B方向を軸としてモータ駆動により回転するものである。このとき、取得されるデータの方向は、サンプルSの表面において縦方向(Y軸方向)のデータであり、V方向のデータ(以下、Vラインデータという)となる。
【0039】
<制御ユニット部>
制御ユニット部(制御ユニット)50は、図2に示すように、AD変換回路51と、DA変換回路52と、ガルバノミラー制御回路53と、表示装置54と、OCT制御装置100とを備える。
【0040】
AD変換回路51は、ディテクタ(検出器)23のアナログ出力信号をデジタル信号に変換するものである。本実施形態では、AD変換回路51は、光源11であるレーザ出力装置から出力されるトリガ(trigger)に同期して信号の収得を開始し、同じくレーザ出力装置から出力されるクロック信号ckのタイミングに合わせて、ディテクタ(検出器)23のアナログ出力信号を収得し、デジタル信号に変換する。このデジタル信号は、OCT制御装置100に入力する。
【0041】
DA変換回路52は、OCT制御装置100のデジタル出力信号をアナログ信号に変換するものである。本実施形態では、DA変換回路52は、光源11であるレーザ出力装置から出力されるトリガ(trigger)に同期して、OCT制御装置100のデジタル信号をアナログ信号に変換する。このアナログ信号は、ガルバノミラー制御回路53に入力する。
【0042】
ガルバノミラー制御回路53は、診断プローブ部30のガルバノミラー33を制御するドライバである。ガルバノミラー制御回路53は、OCT制御装置100のアナログ出力信号に基づいて、光源11から出照されるレーザの出力周期に同期して、X方向ガルバノミラー33XまたはY方向ガルバノミラー33Yのモータを駆動または停止させるモータ駆動信号を出力する。
【0043】
ガルバノミラー制御回路53は、X方向ガルバノミラー33Xの軸を回転させてミラー面の角度を変更する処理と、Y方向ガルバノミラー33Yの軸を回転させてミラー面の角度を変更する処理と、を異なるタイミングで行う。ガルバノミラー制御回路53のこれらの処理を、単に、ガルバノミラーX,Y軸変更と呼ぶ。ガルバノミラーX,Y軸変更を行うタイミングの例については後記する。
【0044】
表示装置54は、OCT制御装置100によって生成される光干渉断層画像(以下、OCT画像という)を表示するものである。表示装置54は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、EL(Electronic Luminescence)、CRT(Cathode Ray Tube)、PDP(Plasma Display Panel)等から構成される。
【0045】
OCT制御装置100は、OCT装置1の制御装置であって、レーザ光に同期してガルバノミラー33を制御することで撮影を行うと共に、ディテクタ23の検出信号を変換したデータからサンプルSのOCT画像を生成する制御を行うものである。
【0046】
[2.OCT制御装置の構成]
OCT制御装置100は、図3に示すように、入出力手段110と、記憶手段120と、演算手段130と、を備えたコンピュータと、このコンピュータにインストールされたプログラムとから構成される。
【0047】
入出力手段110は、外部との各種情報の送受信を行うインタフェースである。
記憶手段120は、上記プログラム等の予め記憶したデータ、マウス等の入力装置Mから入力された患者個人情報122、演算手段130による演算処理結果(例えば画像情報123)、その他の各種情報を記憶するために、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等のメモリやハードディスク等を備える。
【0048】
演算手段130は、例えばCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等から構成され、撮影制御手段140と、画像処理手段150と、ファイル作成処理手段160とを備える。
【0049】
撮影制御手段140は、外部からの入力に基づいて、予め定められた撮影モードの撮影を行うものであって、第1撮影制御手段141と、第2撮影制御手段142と、走査エリア選択制御手段143と、を備える。
【0050】
第1撮影制御手段141は、サンプルSの内部情報を測定するためにガルバノミラー33にサンプルSの撮影対象範囲を所定ピッチで走査させる測定指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を開始し、当該所定ピッチに応じた撮影時間で撮影を終了する制御を行うものである。この第1撮影制御手段141は、画像処理手段150に対して、撮影により取得された検出信号を画像処理させる。この測定指示に基づいて、ガルバノミラー33が所定ピッチで走査して取得した検出信号を画像処理手段150によって画像処理することによって、所定の解像度でサンプルSの光干渉断層画像を表示装置54に表示することができる。この測定指示で動作するモードは、予め定められた撮影モードの1つである。
【0051】
本実施形態では、この撮影モードに、光源11の掃引速度50kHzのときに、一例として、200測定、300測定、400測定の3つの測定モードを備えることとした。
200測定時には、サンプルSの表面に対応した、200×200ピクセルのポイントにてAラインデータを取得し、その画像情報を表示させる。
300測定時には、サンプルSの表面に対応した、300×300ピクセルのポイントにてAラインデータを取得し、その画像情報を表示させる。
400測定時には、サンプルSの表面に対応した、400×400ピクセルのポイントにてAラインデータを取得し、その画像情報を表示させる。
ここで、いずれかの測定モードの撮影により取得された検出信号は、画像処理手段150で画像処理される。
【0052】
第2撮影制御手段142は、ガルバノミラー33に撮影対象範囲を前記所定ピッチよりも粗いピッチで走査させるプレビュー指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を開始し、プレビュー指示を解除する指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を終了する制御を行うものである。この第2撮影制御手段142は、画像処理手段150に対して、撮影により取得された検出信号を画像処理させる。このプレビュー指示に基づいて、ガルバノミラー33が前記所定ピッチよりも粗いピッチで走査して取得した検出信号を画像処理手段150によって画像処理することによって、前記所定の解像度よりも低い解像度でサンプルSの光干渉断層画像を表示装置54に表示することができる。なお、プレビュー指示により表示する低解像度の画像は、サンプルSにおける光軸に沿った方向(A方向のデータ)については、測定モードの解像度と同じである。このプレビュー指示で動作するモードは、予め定められた撮影モードの1つである。
【0053】
以下では、このモードをプレビューモードという。
本実施形態では、プレビューモードは、光源11の掃引速度50kHzのときに、サンプルSの表面に対応した、例えば128×128ピクセルのポイントにてAラインデータを取得し、その画像情報を表示させる。また、本実施形態では、プレビューモードは、前記した測定指示でいずれかの測定モードになるときに終了するものとする。つまり、プレビュー指示を解除する指示は、測定指示が兼用している。
【0054】
詳細は後記するが、本実施形態では、GUI画面上の操作ボタン「Preview」(図9参照)、または、操作ボタン「Measure」(図9参照)をマウス等の入力装置Mでクリックすることで、プレビュー指示または測定指示を撮影制御手段140に入力することができる。
【0055】
また、本実施形態では、制御ユニット部50に有線または無線で通信可能に接続されたフットコントローラ80から、プレビュー指示または測定指示を撮影制御手段140に入力することもできるように構成した。具体的には、フットコントローラ80は、第1のスイッチおよび第2のスイッチを有し、利用者が足で第1のスイッチまたは第2のスイッチを操作したときに当該いずれかのスイッチに対応して第1のスイッチ信号または第2のスイッチ信号を撮影制御手段140に対して通知する。これにより、第2撮影制御手段142は、フットコントローラ80から第1のスイッチ信号の入力を受け付けたときに、プレビュー指示の入力を受け付けたと判別し、第2のスイッチ信号の入力を受け付けたときにプレビュー指示を解除する指示の入力を受け付けたと判別する。また、第1撮影制御手段141は、フットコントローラ80から第2のスイッチ信号の入力を受け付けたときに、測定指示の入力を受け付けたと判別する。本撮影時には、利用者は、手振れ防止等のため診断プローブ部30を患者に対して当接させる必要があるが、フットコントローラ80の制御をこのように行うことで、利用者の両手が塞がっていたとしても、フットコントローラ80を足で踏むことで、プレビュー指示を入力したり、測定指示を入力したりすることができる。
【0056】
フットコントローラ80は、例えば、足で操作するオン/オフ切り替え可能なペダル(一般的なフットスイッチ)を第1および第2のスイッチにそれぞれ対応して2つ並列に配置された並列方式のものでもよいし、足で操作する1つのペダル(フットスイッチ)で第1のスイッチよび第2のスイッチを兼用する2段階踏込方式のものでもよい。
並列方式の場合、利用者は、プレビュー指示と測定指示との各操作に応じて、フットスイッチを踏み込む。
2段階踏込方式の場合、利用者は、フットスイッチを1段階踏み込んだときに当該踏み込みに対応した第1のスイッチ信号が撮影制御手段140に対して通知される。また、利用者が、1段階目よりも深く踏み込んだときに第2のスイッチ信号が撮影制御手段140に対して通知される。以下では、フットコントローラ80は、2段階踏込方式であるものとして説明する。
【0057】
走査エリア選択制御手段143は、サンプルSの撮影対象範囲として、予め定められた広さの異なる複数のエリアの中から利用者によって選択されたエリアの入力を受け付け、受け付けたエリアにしたがってガルバノミラー33で走査する範囲を選択する制御を行うものである。この走査エリア選択制御手段143は、光源11から出照されるレーザの出力周期に同期した制御信号(アナログ信号)をガルバノミラー制御回路53に出力する。
【0058】
図4(a)に示す例では、ガルバノミラー33で走査する範囲として、サンプルSの表面が最も狭い範囲(S:small)、中くらいの範囲(M:middle)、最も広い範囲(L:large)の3段階から選択できることとした。この場合、X方向ガルバノミラー33XおよびY方向ガルバノミラー33Yの動作回転角が例えば−1°〜+1°の範囲、−2°〜+2°の範囲、−3°〜+3°の範囲のように設定することで、SMLの3段階の収録エリアを指定することができる。最も狭い範囲に対応したS撮影によれば、最も広い範囲に対応したL撮影のときに取得する画像よりも高解像度の画像を取得することができる。例えば、前記した400測定時(400×400ピクセルのポイント)の測定モードを選択した場合、走査エリアが最も狭い範囲Sでは動作回転角−1°〜+1°の範囲で400×400ピクセルの撮影となる。この400測定時の測定モードにおいて、走査エリアが最も広い範囲Lを選択した場合、動作回転角−3°〜+3°の範囲で400×400ピクセルの撮影となる。つまり、最も狭い範囲Sの場合、最も広い範囲Lに比較して単位面積当たりのピクセル数が多くなり、高分解能の画像を得ることができる。したがって最も広い範囲Lで撮影して、被写体における関心領域の狙いを定めてから、最も狭い範囲Sで絞り込むことで、狙った関心領域をより高解像度で表示することが可能となる。
【0059】
画像処理手段150は、撮影により取得された検出信号を画像処理するものである。
画像処理手段150は、サンプルSを撮影して取得したデータから、サンプルSにおける光軸に沿った方向の断層面のOCT画像と、サンプルSの光軸に垂直な方向のスキャン面の2次元画像と、サンプルSの3D画像と、をそれぞれ生成し、生成した各画像を当該サンプルSの画像情報として表示装置54の1画面表示において表示させる制御を行う。このために、画像処理手段150は、図3に示すように、オンファス画像生成手段151と、OCT画像生成手段152と、レンダリング手段153と、断層位置ライン生成手段154と、を備える。
【0060】
オンファス画像生成手段151は、サンプルSにおける光軸に垂直な方向(B方向、V方向)のスキャン面の2次元画像として、レーザ光が照射されたサンプルSの表面の情報と、サンプルSにおける光軸に沿った方向(A方向)の情報とが合わさった画像であるオンファス画像を生成するものである。
本実施形態では、オンファス画像生成手段151は、サンプルSを撮影して取得したサンプルSにおける光軸に沿った方向のそれぞれのデータ(後記するAラインデータ)で示される強度を平均化した値を、ガルバノミラー33で走査する2次元方向に対してそれぞれ求めることで、オンファス画像を生成することとした。生成されたオンファス画像は表示装置54に表示される。オンファス画像を生成する処理の流れについては後記する。なお、後記するように、オンファス画像を生成する過程で、サンプルSの3D画像が生成される。
【0061】
OCT画像生成手段152は、サンプルSを撮影して取得したデータから、サンプルSにおける光軸に沿った方向の断層面のOCT画像(光干渉断層画像)を生成するものである。生成されたOCT画像は表示装置54に表示される。OCT画像を生成する処理の流れについては後記する。
【0062】
レンダリング手段153は、撮影後に記憶手段120に保存されたデータから、指定されたサンプルSの3D画像をレンダリングにより作成し、表示装置54に表示させる。
断層位置ライン生成手段154は、表示装置54に表示されるオンファス画像上にOCT画像の断層位置をライン状に描画して重畳するものである。
本実施形態では、OCT画像生成手段152は、断層位置ライン生成手段154で生成された断層位置のライン901(図9中央の下側の画面参照)に対する選択および移動の指示を受け付け、選択および移動されたラインの情報に基づいて、ディテクタ23の検出信号を変換したデータからOCT画像(図9中央の上側の画面参照)を生成する。
【0063】
また、本実施形態では、断層位置ライン生成手段154は、オンファス画像上に表示されたライン901(図9中央の下側の画面参照)に同期して表示装置54に表示されるサンプルSの3D画像上にOCT画像の断層位置をライン状に描画して重畳することとした(図9左側の画面参照)。
OCT画像生成手段152は、表示装置54に表示された3D画像において、断層位置のライン901に対する選択および移動の指示を受け付け、選択および移動されたラインの情報に基づいて、ディテクタ23の検出信号を変換したデータからOCT画像を生成し、3D画像を切り欠いて露出させた当該3D画像のライン901に沿った断層面上に重畳する(図9左側の画面参照)。
【0064】
ファイル作成処理手段160は、患者の診断対象の歯牙であるサンプルSを撮影する前に、利用者によってマウス等の入力装置Mから入力された当該患者の個人情報や撮影対象の歯番等の患者個人情報122を含む患者ファイル121を作成するものである。この入力操作で動作するモードは、入力モードである。
【0065】
ファイル作成処理手段160は、利用者による保存操作にしたがって、患者ファイル121において、撮影前に入力された患者個人情報122と、撮影された画像情報123とを紐付けて記憶手段120に格納する。この保存操作で動作するモードは、保存モードである。なお、記憶される患者ファイル121の数は任意である。
【0066】
ファイル作成処理手段160は、利用者による検索操作にしたがって、患者ファイル121に保存されている、撮影された画像情報123を検索して表示装置54に表示させる。この検索操作で動作するモードは、検索モードである。
【0067】
[3.OCT制御装置の動作]
<動作モード>
本実施形態のOCT制御装置100の動作モードの概略について説明する。
≪プレビューモード≫
OCT制御装置100は、外部から、プレビュー指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を開始し、測定指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を終了する。また、OCT制御装置100は、プレビューモード時の撮影により取得された検出信号を画像処理する。表示装置54における画面表示例を図9に示す。なお、詳細については後記するが、図9はオンライン画面を示す。ここで、オンラインとは、診断プローブ部30−光学ユニット部10−制御ユニット部50−表示装置54のラインが繋がっていて、診断プローブ部30で取得した情報をそのままリアルタイムで表示装置54に表示することを意味する。
【0068】
≪測定モード≫
OCT制御装置100は、外部から、測定指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を開始し、所定の解像度に応じた撮影時間で撮影を終了する。また、OCT制御装置100は、測定モード時の撮影により取得された検出信号を画像処理する。表示装置54における画面表示例を図9および図10に示す。なお、詳細については後記するが、図9はオンライン画面、図10はオフライン画面を示す。ここで、オフラインとは、診断プローブ部30で取得した情報をそのまま表示装置54に表示するのではなく、前記したオンラインで取得して記憶手段120に格納した情報を、オンラインを一旦抜けて、その後、読み出して表示装置54に表示することを意味する。
【0069】
≪その他のモード≫
入力モードは、プレビューモードや測定モードの前に行う動作モードである。入力モードにおいて、OCT制御装置100は、外部から、患者の個人情報や撮影対象の歯番等の患者個人情報122の入力を受け付け、患者ファイル121を作成する。
保存モードは、測定モードの後に行う動作モードである。保存モードにおいて、OCT制御装置100は、外部から、画像情報を保存する操作の入力を受け付け、患者ファイル121において、患者個人情報122と、撮影された画像情報123とを紐付ける。
検索モードは、保存モードの後に行う動作モードである。検索モードにおいて、OCT制御装置100は、外部から、画像情報を検索する操作の入力を受け付け、記憶手段120に記憶された患者ファイル121から所望の画像情報123を抽出して表示装置54に表示する。
【0070】
<立体スキャンの概要>
OCT制御装置100が2次元のOCT画像を生成し、さらに立体のスキャンを行う手順について、図5および図6を参照(適宜図3参照)して説明する。
事前に、患者の歯牙(サンプルS)の位置付けを行う。また、利用者の操作に基づいて、走査エリア選択制御手段143は、ガルバノミラー33で走査する範囲を、例えば図4(a)に示す範囲S,M,Lの中から決定する。
【0071】
図5(a)および図5(b)に示すAライン、Bライン、Vラインとは、図4(b)に示す診断プローブ部30のA軸、B軸、V軸に沿った方向を指している。図5(a)に示すAラインは、サンプルSの表面から深さ方向の断層情報(内部情報)を示すデータに相当し、Bラインは、サンプルSの幅方向の内部情報を示すデータに相当する。図5(b)に示すVラインは、サンプルSの奥行方向の内部情報を示すデータに相当する。予め定められた範囲のAライン、Bライン、Vラインの各データを取得すると、1ボリュームの立体(3D)のスキャンを行うことができる。
【0072】
画像処理手段150のOCT画像生成手段152は、Aラインデータを取得する(ステップS1)。そして、ガルバノミラー制御回路53は、走査エリア選択制御手段143の制御の下、ガルバノミラーX,Y軸変更を適宜行う(ステップS2)。なお、タイミングの例については後記する。
【0073】
そして、OCT画像生成手段152は、Aラインデータを1ボリューム取得したか否かを判別する(ステップS3)Aラインデータをまだ1ボリューム分取得していない場合(ステップS3:No)、OCT画像生成手段152は、ステップS1に戻る。一方、Aラインデータを1ボリューム取得した場合(ステップS3:Yes)、OCT画像生成手段152は、ウィンドウ処理を行う(ステップS4)。続いて、OCT画像生成手段152は、FFT演算を行う(ステップS5)。
【0074】
<立体スキャンの具体例>
以下、立体スキャンの具体例について説明する。
本実施形態では、例えば、1152ポイントのAラインデータを取得する。この場合、診断プローブ部30のノズル先端に位置付けされたサンプルSの位置に合わせた立方体の仮想空間(一辺L)を想定し、その仮想空間のノズル側最表面を示す第0番目のポイントを波形データの開始点、仮想空間の深さ側の最表面を示す第1151番目のポイントを波形データの終了点として、1152ポイントのAラインデータを取得する。なお、各々の点が深さの位置を示すわけではない。
【0075】
そして、収録されたデータが有限であることによる影響を最小化するために、窓関数を時間領域の計測信号に適用する(ウィンドウ処理を行う)。これにより、急激な推移のない連続的な波形が得られる。
【0076】
そして、Aラインデータに対して周波数解析(FFT処理)ができるようにするため、また、FFT処理後のスペクトルの形を滑らかにするために、1152ポイントのAラインデータにゼロサプレスを行い2048ポイントのデータとする。つまり、1152ポイントのAラインデータに、896ポイントを追加し、追加した各ポイントの波形の振幅がすべて0として扱う。
【0077】
そして、この連続的な2048ポイントからなる波形を周波数解析(FFT処理)することで、1024個の周波数成分が求められる。周波数解析の結果、波形データの中に周波数の低い成分が含まれている場合は浅い位置に、周波数の高い成分が含まれている場合は深い位置に反射体や散乱体が存在することが分かる。
【0078】
Y方向ガルバノミラー33Yが所定の回転角度のときに、X方向ガルバノミラー33Xの軸を僅かに回転させて、レーザの照射位置を、Bラインに沿って横方向(X軸方向)にずらし、Aラインデータを取得する。これを、Bラインの予め定めたポイント数(例えば128ポイント)と同じ回数だけ繰り返し、立体のスライス画像(A、Bラインデータ)を取得する。
【0079】
ここで、立体のスライス画像は、Aラインの1024個の振幅強度を1024個の画素のための輝度値に変換することで生成できる。輝度値を例えば12ビットで表すと、0〜4095の数値なので、1024個の振幅強度に、0〜4095のいずれかをあてはめておけばよい。
【0080】
さらに、Y方向ガルバノミラー33Yの軸を僅かに回転させて、レーザの照射位置を、Vラインに沿って縦方向(Y軸方向)にずらし、スライス画像(A、Bラインデータ)を取得していく。これを、Vラインの予め定めたポイント数(例えば128ポイント)と同じ回数だけ繰り返し、立体のデータを得る。
【0081】
BラインおよびVラインの予め定めたポイント数として、例えばプレビュー時は128ポイント、計測時は、例えば200ポイント、300ポイント、400ポイントの中から選択できるようにする。
【0082】
<オンファス画像の生成処理>
ここでは、オンファス画像の生成処理について、図7を参照して説明する。
ステップS11〜S15の各処理は、ステップS1〜S5の各処理と同様なので、説明を省略する。続いて、画像処理手段150のオンファス画像生成手段151は、Aラインデータ分を加算する(ステップS16)。ここでは、AラインデータをFFT処理した結果として、例えば、1024個の周波数成分が求められている場合、1024個の周波数成分をすべて加算した総和を求める。
【0083】
そして、オンファス画像生成手段151は、Aラインデータの総和を平均化する(ステップS17)。ここでは、例えば、1024個の周波数成分が求められている場合、Aラインデータの総和を1024で除算して平均値を求める。これらステップS16,S17による周波数成分の平均化処理は、サンプルSの幅方向(Bライン)と、サンプルSの奥行方向(Vライン)とがなす2次元平面の画像(B×Vラインデータ)の1つの画素値を求める処理に相当する(図5(a)および図5(b)参照)。
【0084】
そして、オンファス画像生成手段151は、周波数成分の平均化処理がB×Vラインデータ分終了したか否かを判別する(ステップS18)。B×Vラインデータ分終了していない場合(ステップS18:No)、オンファス画像生成手段151は、ステップS16に戻る。一方、B×Vラインデータ分終了した場合(ステップS18:Yes)、オンファス画像生成手段151は、処理を終了する。例えば、プレビュー時には、128×128ピクセルの解像度のオンファス画像が生成される。また、例えば、400×400計測時には、400×400ピクセルの解像度のオンファス画像が生成される。
【0085】
<画像処理のタイミングの具体例>
ここでは、画像処理のタイミングの具体例について、図8を参照して説明する。
図8は、本発明の実施形態に係るOCT制御装置100による画像処理のタイミングチャートの一例である。
図8(a)は、光源11が出力する走査トリガ(trigger:図2参照)を示す。
図8(b)は、DA変換回路52が出力する開始トリガ(アナログ出力)を示し、図8(a)と同様のパルス波形である。
図8(c)は、ガルバノミラー制御回路53がX方向ガルバノミラー33Xに出力するX方向のアナログ出力電圧を示す。
図8(d)は、ガルバノミラー制御回路53がY方向ガルバノミラー33Yに出力するY方向のアナログ出力電圧を示す。
図8(e)は、光源11が出力するクロック(ck:図2参照)であってOCT画像を生成するためのクロックを示す。
【0086】
この例では、光源11の掃引速度が50kHzであり、これに同期させて、X方向ガルバノミラー33Xの軸の僅かな動作(回転)と停止とを50kHz(パルス周期20us)で繰り返し行わせることとした。なお、usはマイクロ秒を表す。
【0087】
図8(a)に示すSの時刻にて、プレビューまたは計測をスタートする。
スタート後の15パルスの期間を待って、図8(a)に示すAの時刻にて、立体スキャンを開始し、図8(a)に示すBの時刻にて、1ボリュームの立体スキャンを終了する。計測時は、Bの時刻で計測を終了する。プレビュー時は、Bの時刻に続いてAの時刻に戻って処理を繰り返す。
【0088】
図8(c)に示すように、X方向のアナログ出力電圧は、Aの時刻にて−Vxであり、Aの時刻から158パルス目の時刻にて+Vxとなり(ミラー往路)、その後30パルス目の時刻にて再び−Vxとなる(ミラー復路)。以下、1ボリュームの立体スキャンを終了するまで処理を繰り返す。
【0089】
図8(c)に示す158パルスは、Bラインの128ポイントに相当する。必要な128ポイントに対して、30ポイントだけ多くとって158ポイントのデータを取得する理由は、次の通りである。すなわち、ガルバノミラー33が最大振角度となる両端での位置の変化量が微少なため、両端のそれぞれ15ポイントのデータが実用に供することができないからである。
【0090】
なお、Bラインの200ポイント計測時には、230パルス目の時刻にて+Vxとなり、300ポイント計測時には330パルス目の時刻、400ポイント計測時には430パルス目の時刻にて+Vxとなる。
【0091】
また、ミラー復路をミラー往路よりも短時間で移動させているのは、ミラー復路でのデータを使っていないからである。このとき、ガルバノミラー33の動作速度には制限(例えば±30°を振るのに最大で100Hz)があるために、ガルバノミラー33が壊れない程度の速さで戻す必要があるからである。
【0092】
図8(d)に示すように、Y方向のアナログ出力電圧は、Aの時刻から158パルス目の時刻まで−Vyであり、159パルス目(Bライン走査後)に僅かに変化し、以下、Bライン走査後に同様に僅かに変化し、1ボリュームの立体スキャンを終了する時刻の所定時刻前(時刻Bの30パルス前)にて+Vyとなり(ミラー往路)、その後30パルス目の時刻にて再び−Vyとなる(ミラー復路)。
【0093】
図8(e)に示すように、画像を生成するために、Aの時刻からBの時刻まで50kHz(パルス周期20us)でデータをサンプリングする。そして、例えば、Aの時刻からのミラー往路(158パルスの期間)のうちの128パルスの期間にて1フレーム目のスライス画像を生成する(画像化(1frame目))。なお、前記したように、前後15パルスの期間の取得データは不使用とする。以下同様に、Bラインのスキャンの際に、各フレームのスライス画像を生成する。この例では、Vラインデータとして、128フレームのスライス画像が生成される。
【0094】
[4.表示装置の画面表示例]
<オンライン画面>
ここでは、オンライン画面の具体例について、図9を参照して説明する。
このオンライン画面では、画像情報として、図9の左側に配置された3D画面、図9の中央下側に配置されたオンファス画面、図9の中央上側に配置されたOCT画面が表示されている。
【0095】
図9に示す例では、診断プローブ部30のノズル先端に位置付けされたサンプルS(臼歯)の位置に合わせた立方体の仮想空間を想定している。例えば、オンファス画面において、その立方体の各面を、S面(オンファス画像のサンプルS面:上表面)、A面(オンファス画像のサンプルS面から見た前面)、P面(オンファス画像のサンプルS面から見た後面)、R面(オンファス画像のサンプルS面から前方を見たときの右側面)、L面(オンファス画像のサンプルS面から前方を見たときの左側面)、I面(オンファス画像のサンプルS面の対向面:下表面)とした。
【0096】
オンファス画面は、S面(オンファス画像のサンプルS面)側から見たサンプルSの表面の情報と、サンプルSの深さ方向の情報とが合わさったオンファス画像を表示する。オンファス画像には、外表面に本来は見えない内部情報も見えている。
【0097】
OCT画面は、A面(オンファス画像のサンプルS面から見た前面)に平行な面であって、オンファス画像中に配置された横線で示すライン901で切断した切断面(断層面)のOCT画像を表示する。図9の例では、A面からP面を見る方向の断層面の画像をOCT画像として表示した。なお、逆にP面からA面を見る方向の断層面の画像をOCT画像として表示してもよい。このライン901は、GUI(グラフィカルユーザインタフェース)上の操作で移動させることができる。具体的には、オンファス画面とOCT画面との間にバー表示されたスライダ902を例えばマウス(入力装置M)でドラッグ・アンド・ドロップすることで移動させることができる。すなわち、マウスのボタンを押下しながらマウスを移動することでスライダ902を移動させ、マウスのボタンの押下を解除することにより、スライダ902の操作を終了すると、マウスのボタンの押下を解除したときのオンファス画面上のラインの位置に対応した断層面におけるOCT画像がOCT画面に表示されることになる。あるいは、ライン901自体をマウスでドラック・アンド・ドロップすることで移動させ、ラインの位置に対応した断層面を表示することができる。なお、オンファス画像はモノクロ画像なので、オンファス画面上のラインは、赤等でカラー表示することが好ましい。
【0098】
3D画面は、オンライン画面右側の「Camera Angle」のA、P、S、I、R、L面を指定することで、所望の面から見た立体画像をリアルタイムに表示する。なお、図示した例は、S面(オンファス画像のサンプルS面)側から見たサンプルSの前左画像である。この3D画面に表示されたライン901は、オンファス画像上に表示されたライン901に同期している。つまり、3D画面に表示されたライン901上での断層が、OCT画面(A面の画面)に表示される。3D画面に表示されたライン901をマウスでドラック・アンド・ドロップすることで移動させると、OCT画面(A面の画面)に表示されるOCT画像が変化する。
また、3D画面には、3D画面のライン901上の断層画像をそのまま表示することができる。これは、サンプルSを3D画面上のライン901上で切断した状態で、ライン901に沿った断層面(切断面)からA面側のデータを削除し、切断面のOCT画像と、残りのP面側の部分の3D画像と、を組み合わせて表示したものに相当する。
【0099】
オンライン画面上部の左側には、患者の個人情報等の各種情報が表示されている。
オンライン画面上部の右側には、操作ボタンとして、「Preview」、「Measure」、「400×400」、「ZeroAdj」、「Save」、「Setting」、「Exit」等が配置されている。
【0100】
「Preview」は、プレビュー指示を入力するためのボタンを示す。このボタンを押下すると、前記した3D画面、オンファス画面、OCT画面にそれぞれの画像がリアルタイムで表示される。例えば約1秒ごとに3D画像が更新される。診断プローブ部30のノズル先端を動かせば、それに追随した画像情報(プレビュー画像)を取得することができる。なお、プレビュー画像は、保存を前提としたものではない。
【0101】
「Measure」は、測定指示を入力するためのボタンを示す。プレビュー時に「Measure」ボタンを押下すると、プレビュー指示が解除されると共に、本撮影が開始され、そのときに選択してある解像度に応じた撮影時間で撮影が自動的に完了する。本撮影とは、保存を前提とした撮影であって、サンプルSを固定して行う。ここで、固定とは、診断プローブ部30のノズル先端をサンプルSに当接させることを示す。このとき、例えば、患者にじっとしていてもらえればよい。「400×400」の解像度の場合、およそ3秒間で本撮影が完了し、それよりも低い解像度であれば、3秒未満で撮影が完了する。
【0102】
「400×400」は、解像度を入力するためのボタンを示す。このボタンは、プレビュー時には「128×128」となる。測定前にボタンを押下すると、プルダウンメニューの中から、「200×200」、「300×300」、「400×400」のいずれかの解像度を選択することができる。
【0103】
「ZeroAdj」は、データ収録前の校正時に、診断プローブ部30のシャッタ31(図2参照)を閉じて、光学系のノイズ等をバックグラウンドデータとして計測する初期化ゼロ点補正を行うときに用いるボタンを示す。OCT画像生成手段152は、データスキャン時に、バックグラウンドデータを収録データから差し引くことにより、ノイズの影響を緩和する。なお、プレビュー時に行えば、測定時には行う必要がない。
【0104】
「Save」は、測定時に、スキャンしたデータをバイナリデータで保存するためのボタンを示す。ここで保存されたデータは、後記するオフライン画面にて読み込んで表示させることができる。なお、プレビュー前に、患者ファイル121(図3参照)を作成し、患者個人情報122を入力しておく。患者個人情報は、氏名等のほかに、撮影対象の部位の歯番等を含む。この事前の入力を前提に、「Save」ボタンを押下し、患者ファイル121(図3参照)に、該当する画像情報123を紐付けることができる。
【0105】
フットコントローラ80で、測定指示を撮影制御手段140に入力した場合、本撮影終了後に、表示装置54の画面は、「Save」ボタンを押下ときに表示される画面(保存操作ページの画面)に遷移する。そして、保存操作ページの画面には、撮影された画像情報の保存を問い合わせるメッセージと、「Yes」ボタンと「No」ボタンとが表示される。利用者がフットコントローラ80のペダルを1段階だけ踏み込んだときに、「Yes」と「No」のいずれかが選択される。ここで例えば「Yes」が選択されたときに、利用者がフットコントローラ80のペダルをもう1段階、つまり合計2段階踏み込んだときに、画像情報の保存指示が確定する。
【0106】
なお、利用者が初めにペダルを1段階踏み込んで「Yes」が選択されたときに足を離すと、ペダルは元の位置に戻り、現在の選択「Yes」は確定しない。そして、利用者がフットコントローラ80のペダルを再び1段階だけ踏み込むと、表示が「No」に入れ替わる。以下、同様に、確定前の「Yes」と「No」とを切り替えることができる。
また、2段階踏込方式の代わりに並列方式を採用した場合、利用者は、「Yes」と「No」に応じたそれぞれのフットスイッチを踏み込む。ここで、「Yes」と「No」に応じたそれぞれのフットスイッチは、第1および第2のスイッチ信号を出力するスイッチが機能を兼用することができるが、フットコントローラ80に専用のフットスイッチを別に設けても構わない。
【0107】
「Setting」は、ガルバノミラー33で走査する範囲を入力するためのボタンを示す。このボタンを押下すると、プルダウンメニューの中から、S、M、Lの3段階のいずれかのエリアを選択することができる。このとき入力された操作データに基づいて、走査エリア選択制御手段143(図3参照)は、ガルバノミラー33で走査する範囲を決定する。
【0108】
「Exit」は、このオンライン画面から抜け出て、前の画面またはトップ画面に戻るためのボタンを示す。
【0109】
オンライン画面右側には、3D画面、全ての画面表示及びA画面に表示された画像の設定等を調整するためのスライダがバー表示されている。
「Window Width」は、コントラストの調整幅を決めるためのバーである。
「Window Level」は、Window Widthの中央値を決めるためのバーである。
「Gamma」は、コントラスト調整が可能となるように弱い信号を強調するためのバーである。なお、図示する例では、「3D画面」を指定して調整を下のスライダで行った様子を示している。
【0110】
<オフライン画面>
ここでは、オフライン画面の具体例について、図10を参照して説明する。
図10の中央左上に配置されたOCT画面は、S面(オンファス画像のサンプルS面)に平行な断面で切った断層像を示す。このOCT画面の下側にバー表示されたスライダを移動させることで、Aライン(1024点FFT)のいずれかの深さ位置に相当するスキャン面に平行な画像(1024枚の画像のいずれか)を表示させることができる。
図10の中央左下に配置されたOCT画面は、A面に平行な断面で切った断層像を示す。このOCT画面の下側にバー表示されたスライダを移動させることで、Vライン(400point)のいずれかの位置に相当するスライス画像(A、Bラインデータ)を表示させることができる。
図10の中央右上に配置されたOCT画面は、L面に平行な断面で切った断層像を示す。このOCT画面の下側にバー表示されたスライダを移動させることで、Bライン(400point)のいずれかの位置に相当するスライス画像(A、Vラインデータ)を表示させることができる。
図10の中央右下に配置されたオンファス画面は、S面(オンファス画像のサンプルS面)側から見たオンファス画像を表示している。
【0111】
図10の左側には、保存データからレンダリングされた3D画面を表示している。この3D画面には、GUI上の操作で移動させることができる3本のラインが表示されている。ライン901は、図9に示すライン901と同様なものである。すなわち、A面からP面を見る方向に垂直な断面の断層位置を示すものである。この断面は、図10の中央左下に配置されたOCT画面(A面)に対応する。
ライン1001は、S面(オンファス画像のサンプルS面)から見てライン901に直交している。すなわち、L面からR面を見る方向に垂直な断面の断層位置を示すものである。この断面は、図10の中央右上に配置されたOCT画面(L面)に対応する。なお、R面からL面を見る方向としてもよい。
ライン1002は、S面(オンファス画像のサンプルS面)から見てライン901とライン1001とから45度回転した位置の直線である。この断面についての画面は、図10では省略したが、CT(Computed Tomography)等で利用されている公知の断層表示面である。
これら3D画面上の3本のライン(901、1001、1002)を移動させることで対応する画面(A画面、L画面等)の断層画像が表示される。
【0112】
オフライン画面上部の左側には、患者の個人情報等の各種情報が表示されている。
オンライン画面上部の中央には、撮影日および撮影部位が表示されている。
オフライン画面上部の右側には、操作ボタンとして、「Export」、「Exit」等が配置されている。
「Export」は、画像データを変換して出力するためのボタンを示す。
「Exit」は、このオフライン画面から抜け出て、前の画面またはトップ画面に戻るためのボタンを示す。
【0113】
本実施形態によれば、OCT制御装置100は、プレビューモードにおいて低解像度のOCT画像を表示し、測定モードにおいて高解像度のOCT画像を表示する。したがって、例えば測定や診断に用いるOCT画像を、プレビューモードで粗い解像度とした状態で事前に取得することができる。また、プレビューモードでは、撮影および画像処理されたOCT画像をリアルタイムの動画として表示することができるので、低解像度の異なるOCT画像を繰り返し容易に表示させることができる。したがって、利用者は、サンプルSの断層面の画像として所望の断層面を早く見つけることができ、その情報を用いて、サンプルSの高解像度の所望の断層画像を高速に取得することができる。
【0114】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を変えない範囲で実施することができる。例えば、プレビューモードにおいて、OCT制御装置100は、外部から、プレビュー指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を開始し、測定指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を終了するものとしたが、測定指示の入力とは別に、プレビュー指示の解除指示を行ってもよいことはもちろんである。
【0115】
また、本発明は、光源11で用いるレーザの性能として、可干渉距離(コヒーレント長)が10mm以上の高コヒーレントなものに限定されるものではない。
また、本実施形態では、SS−OCT方式を用いて説明したが、SD−OCTやTD−OCTを用いてもよい。
また、診断プローブ部30において、図4(b)に示すノズル先端は、サンプルSが前歯の場合に用いることが好ましく、サンプルSが臼歯の場合、レーザ光を直角に反射することのできる部材をノズル先端に装着することが好ましい。
本発明において、被写体は、歯牙に限定されるものではない。また、歯科以外の医療機器、非破壊検査等に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0116】
1,1A OCT装置(光干渉断層画像生成装置)
10 光学ユニット部(光学ユニット)
11 光源
12 カップラ
13 サンプルアーム
14 サーキュレータ
15 偏光コントローラ
16 カップラ
17 レファレンスアーム
18 サーキュレータ
19 コリメータレンズ
20 集光レンズ
21 レファレンスミラー
22 偏光コントローラ
23 ディテクタ(検出器)
30 診断プローブ部(プローブ)
31 シャッタ
32 コリメータレンズ
33 ガルバノミラー(走査機構)
33X X方向ガルバノミラー
33Y Y方向ガルバノミラー
34 集光レンズ
50 制御ユニット部(制御ユニット)
51 AD変換回路
52 DA変換回路
53 ガルバノミラー制御回路
54 表示装置
60 ケーブル
70 単関節アーム
70A 多関節アーム
80 フットコントローラ
100 OCT制御装置
110 入出力手段
120 記憶手段
121 患者ファイル
122 患者個人情報
123 画像情報
130 演算手段
140 撮影制御手段
141 第1撮影制御手段
142 第2撮影制御手段
143 走査エリア選択制御手段
150 画像処理手段
151 オンファス画像生成手段
152 OCT画像生成手段
153 レンダリング手段
154 断層位置ライン生成手段
160 ファイル作成処理手段
M 入力装置
S サンプル(被写体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体にレーザ光を周期的に照射する光源と前記被写体の内部情報を検出する検出器とを含む光学ユニットと、前記レーザ光を2次元走査する走査機構を含み前記光学ユニットからのレーザ光を前記被写体に導くと共に前記被写体で反射した光を前記光学ユニットに導くプローブと、前記レーザ光に同期して前記走査機構を制御することで撮影を行うと共に前記検出器の検出信号を変換したデータから前記被写体の光干渉断層画像を生成する制御を行う制御装置および前記光干渉断層画像を表示する表示装置を含む制御ユニットと、を備える光干渉断層画像生成装置の前記制御装置であって、
外部からの入力に基づいて、予め定められた撮影モードの撮影を行う撮影制御手段と、
撮影により取得された前記検出信号を画像処理する画像処理手段と、
を備え、
前記画像処理手段は、
前記被写体における光軸に垂直な方向のスキャン面の2次元画像として、前記レーザ光が照射された前記被写体の表面の情報と、当該被写体における光軸に沿った方向の情報とが合わさった画像であるオンファス画像を生成するオンファス画像生成手段と、
前記表示装置に表示される前記オンファス画像上に前記光干渉断層画像の断層位置をライン状に描画して重畳する断層位置ライン生成手段と、
前記表示装置に表示された断層位置のラインに対する選択および移動の指示を受け付け、選択および移動されたラインの情報に基づいて、前記検出器の検出信号を変換したデータから前記光干渉断層画像を生成する光干渉断層画像生成手段と、
を備えることを特徴とする光干渉断層画像生成装置の制御装置。
【請求項2】
前記オンファス画像生成手段は、前記オンファス画像を生成する過程で、前記被写体の3D画像を生成し、
前記断層位置ライン生成手段は、前記オンファス画像上に表示されたラインに同期して前記表示装置に表示される前記被写体の3D画像上に前記光干渉断層画像の断層位置をライン状に描画して重畳し、
前記光干渉断層画像生成手段は、前記表示装置に表示された3D画像において、前記断層位置のラインに対する選択および移動の指示を受け付け、選択および移動されたラインの情報に基づいて、前記検出器の検出信号を変換したデータから前記光干渉断層画像を生成し、前記3D画像を切り欠いて露出させた当該3D画像の前記ラインに沿った断層面上に重畳することを特徴とする請求項1に記載の光干渉断層画像生成装置の制御装置。
【請求項3】
前記画像処理手段は、
前記被写体を撮影したときの前記検出器の検出信号を変換したデータとして記憶手段に保存された前記データから、前記被写体の3D画像をレンダリングにより作成するレンダリング手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光干渉断層画像生成装置の制御装置。
【請求項4】
前記撮影制御手段は、
前記被写体の内部情報を測定するために前記走査機構に前記被写体の撮影対象範囲を所定ピッチで走査させる測定指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を開始し、前記所定ピッチに応じた撮影時間で撮影を終了する第1撮影制御手段と、
前記走査機構に前記撮影対象範囲を前記所定ピッチよりも粗いピッチで走査させるプレビュー指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を開始し、前記プレビュー指示を解除する指示の入力を受け付けたと判別したときに撮影を終了する第2撮影制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の光干渉断層画像生成装置の制御装置。
【請求項5】
前記制御ユニットは、前記撮影制御手段に対して有線または無線で通信可能に接続されたフットコントローラを備え、前記フットコントローラは、第1のスイッチおよび第2のスイッチを有し、利用者が足で前記第1のスイッチまたは前記第2のスイッチを操作したときに当該いずれかのスイッチに対応して第1のスイッチ信号または第2のスイッチ信号を前記撮影制御手段に対して通知し、前記第2撮影制御手段は、前記フットコントローラから前記第1のスイッチ信号の入力を受け付けたときに、前記プレビュー指示の入力を受け付けたと判別し、前記第2のスイッチ信号の入力を受け付けたときに前記プレビュー指示を解除する指示の入力を受け付けたと判別し、前記第1撮影制御手段は、前記フットコントローラから前記第2のスイッチ信号の入力を受け付けたときに、前記測定指示の入力を受け付けたと判別することを特徴とする請求項4に記載の光干渉断層画像生成装置の制御装置。
【請求項6】
被写体にレーザ光を周期的に照射する光源と前記被写体の内部情報を検出する検出器とを含む光学ユニットと、前記レーザ光を2次元走査する走査機構を含み前記光学ユニットからのレーザ光を前記被写体に導くと共に前記被写体で反射した光を前記光学ユニットに導くプローブと、前記レーザ光に同期して前記走査機構を制御することで撮影を行うと共に前記検出器の検出信号を変換したデータから前記被写体の光干渉断層画像を生成する制御を行う制御装置および前記光干渉断層画像を表示する表示装置を含む制御ユニットと、を備える光干渉断層画像生成装置の制御方法であって、
前記制御装置は、
外部からの入力に基づいて、予め定められた撮影モードの撮影を行う工程と、
撮影により取得された前記検出信号を画像処理する画像処理工程とを含んで実行し、
前記画像処理工程は、
前記被写体における光軸に垂直な方向のスキャン面の2次元画像として、前記レーザ光が照射された前記被写体の表面の情報と、当該被写体における光軸に沿った方向の情報とが合わさった画像であるオンファス画像を生成するオンファス画像生成ステップと、
前記表示装置に表示される前記オンファス画像上に前記光干渉断層画像の断層位置をライン状に描画して重畳する断層位置ライン生成ステップと、
前記表示装置に表示された断層位置のラインに対する選択および移動の指示を受け付け、選択および移動されたラインの情報に基づいて、前記検出器の検出信号を変換したデータから前記光干渉断層画像を生成する光干渉断層画像生成ステップと、
を有することを特徴とする光干渉断層画像生成装置の制御方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の光干渉断層画像生成装置の制御装置の各手段として、コンピュータを機能させるための光干渉断層画像生成装置制御プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−210293(P2012−210293A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76957(P2011−76957)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000141598)株式会社吉田製作所 (117)
【Fターム(参考)】