説明

光拡散フィルムおよびその製造方法、光拡散性偏光板、ならびに液晶表示装置

【課題】正面コントラストが高く、広視野角である等、良好な光学特性を示す光拡散フィルムを安定して得る。
【解決手段】基材フィルム101と、該基材フィルム上に積層される光拡散層102とを有する光拡散フィルム100であって、光拡散層は、透光性微粒子104および溶剤を含有する樹脂組成物の乾燥物またはその硬化物からなる層であり、該樹脂組成物は、式(A):S=100−(100×M/30)〔Mは、樹脂組成物30mlを100mlのメスシリンダーに入れ、6時間放置したときに観測される樹脂組成物の透明上澄み層と懸濁層との界面の目盛り〔ml〕を表す。〕で表される沈降度Sが30以下である光拡散フィルムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材フィルム上に透光性微粒子が分散された光拡散層を備える光拡散フィルムおよびその製造方法に関する。また、本発明は、当該光拡散フィルムを用いた光拡散性偏光板および液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置は、携帯電話、パソコン用モニター、テレビ、液晶プロジェクタなどへの用途展開が急速に進んでいる。一般に、液晶表示装置は、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment)モード、IPS(In−Plane Switching)モードなどの表示モードで液晶を動作させて、該液晶を通過する光を電気的に制御して明暗の違いを画面上に表し、文字や画像を表示する。
【0003】
従来、液晶表示装置においては、表示画面を斜め方向から見た場合に、高いコントラストが得られない、さらには画像の明暗が逆転する階調反転現象等により良好な表示特性が得られないなどといった問題、すなわち、視野角が狭いという問題が指摘されてきた。
【0004】
上記問題点を解決するための方法として、液晶表示装置の視認側表面に光拡散フィルムを設ける技術が従来知られている。光拡散フィルムを液晶表示装置の視認側表面に配置し、光拡散性を付与することにより、液晶表示装置の表示画面を斜めから観察した場合における、画像のコントラスト低下や階調反転現象の改善により、広視野角化を図り得る。一般的に、光拡散フィルムは、微粒子を含有する塗工液を基材上に塗工し、乾燥や硬化処理などを経て、微粒子含有の光拡散層を基材上に形成することにより製造される(たとえば特許文献1〜4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−43218号公報
【特許文献2】特開2008−152268号公報
【特許文献3】特開2000−121809号公報
【特許文献4】特開2010−160527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の光拡散フィルムにおいては、広視野角を得るために、光拡散層の微粒子含有量を大きくするなどして十分な光拡散性を付与すると、表示画像の透過鮮明度が低下し、それに伴い表示画像の正面コントラストが低下するとともに、光拡散層の表面乱反射により画面全体が白っぽく感じられる、いわゆる白ちゃけが発生しやすいという問題があった。また、逆に、光拡散層の微粒子含有量を低めに抑えて正面コントラストを高めようとすると、光拡散性が不十分となり、広視野角を得ることができなかった。
【0007】
また、とりわけ光拡散層形成用塗工液の微粒子含有量が大きい場合には、光拡散フィルムの連続的生産において基材上に塗工液を長時間連続的に塗工し続けると、塗工液を供給するダイなどに微粒子が蓄積し、これが光拡散フィルムや製造装置を汚染したり、あるいは時間の経過とともに塗工液中の微粒子の沈降程度が増大したりすることにより、安定した光学特性および外観を有する光拡散フィルムが得られないという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、正面コントラストが高く、かつ広視野角の光拡散フィルム、ならびにこれを適用した光拡散性偏光板および液晶表示装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、高正面コントラストおよび広視野角特性を含め、良好な光学特性を示す光拡散フィルムを安定して連続的に生産することができる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、基材フィルムと、該基材フィルム上に積層される光拡散層とを有する光拡散フィルムであって、光拡散層は、透光性微粒子および溶剤を含有する樹脂組成物の乾燥物またはその硬化物からなる層であり、該樹脂組成物は、下記式(A):
S=100−(100×M/30) (A)
(式中、Mは、樹脂組成物30mlを100mlのメスシリンダーに入れ、6時間放置したときに観測される樹脂組成物の透明上澄み層と懸濁層との界面の目盛り〔ml〕を表す。)で表される沈降度Sが30以下である光拡散フィルムを提供する。
【0010】
透光性微粒子は、重量平均粒径が3μm以上10μm以下の有機微粒子であることが好ましい。樹脂組成物における透光性微粒子の含有量は、樹脂固形分100重量部に対して25重量部以上50重量部以下であることが好ましい。樹脂組成物の25℃における粘度は、10mPa・s以上60mPa・s以下であることが好ましい。樹脂組成物は硬化性樹脂組成物であることができ、この場合、光拡散層は上記硬化物からなる層である。
【0011】
本発明の光拡散フィルムは、0.125mm、0.5mm、1.0mmおよび2.0mmの光学くしを通して得られる透過鮮明度の和が45%以上220%以下であることが好ましく、また、全ヘイズが40%以上70%以下であり、光拡散層の表面形状に起因する表面ヘイズが6%以下であることが好ましい。表面ヘイズは、より好ましくは3%以下である。光拡散層の表面の中心線平均粗さRaは、1μm以下であることが好ましい。
【0012】
本発明の光拡散フィルムは、光拡散層上に積層された反射防止層をさらに備えていてもよい。
【0013】
また本発明は、上記光拡散フィルムを製造するための方法を提供する。本発明の製造方法は、基材フィルム上に上記所定の樹脂組成物からなる塗工液を塗工する工程と、得られた塗工層を乾燥させる工程とを含む。樹脂組成物が硬化性樹脂組成物である場合、乾燥された塗工層を硬化させる工程をさらに含む。
【0014】
さらに本発明は、少なくとも偏光フィルムを有する偏光板と、基材フィルム側が該偏光板に対向するように該偏光板上に積層された上記本発明の光拡散フィルムとを備える光拡散性偏光板を提供する。好ましい実施形態に係る光拡散性偏光板において、偏光フィルムと光拡散フィルムとは接着剤層を介して貼り合わされている。
【0015】
本発明はさらに、上記光拡散フィルムまたは光拡散性偏光板を備える液晶表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、正面コントラストが高く、かつ広視野角の光拡散フィルムおよび光拡散性偏光板を提供できる。また、本発明の方法によれば、高正面コントラストおよび広視野角特性を含め、良好な光学特性を示す光拡散フィルムを安定して連続的に生産することができる。このような優れた光学特性を備える光拡散フィルムまたは光拡散性偏光板を適用した液晶表示装置は、高い正面コントラストと広い視野角とを示す。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の光拡散フィルムの好ましい一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の光拡散フィルムの他の好ましい一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の光拡散フィルムのさらに他の好ましい一例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の光拡散フィルムを製造するための装置の一例を示す概略図である。
【図5】本発明の光拡散性偏光板の好ましい一例を示す概略断面図である。
【図6】本発明の液晶表示装置の好ましい一例を示す概略断面図である。
【図7】プリズムフィルムが有する線状プリズムの稜線方向と、偏光板の透過軸方向との関係を説明するための概略斜視図である。
【図8】本発明の液晶表示装置の他の好ましい一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<光拡散フィルム>
図1および図2はそれぞれ、本発明の光拡散フィルムの好ましい例を示す概略断面図である。本発明に係る図1および図2に示される光拡散フィルム100,200は、基材フィルム101と、基材フィルム101上に積層された光拡散層102とを備える。光拡散層102は、透光性樹脂103を基材とする層であって、透光性樹脂103中に透光性微粒子104が分散されてなる。光拡散層102は、透光性微粒子104および溶剤を含有する樹脂組成物(塗工液)を塗工し乾燥してなる層またはさらにこれを硬化してなる層である。本発明の光拡散フィルムは、図1に示される例のように、光拡散層102の表面が平坦面から構成されていてもよく、あるいは図2に示される例のように凹凸面から構成されていてもよい。以下、本発明の光拡散フィルムについて、さらに詳細に説明する。
【0019】
〔基材フィルム〕
本発明で使用する基材フィルム101としては透光性のものであればよく、たとえばガラスやプラスチックフィルムなどを用いることができる。プラスチックフィルムとしては適度の透明性、機械強度を有していればよい。具体的には、たとえば、TAC(トリアセチルセルロース)等のセルロースアセテート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびポリエチエンテレフタレート等のポリエステル系樹脂などが挙げられる。基材フィルム101の厚みは、たとえば10〜200μmであり、好ましくは20〜100μmである。
【0020】
〔光拡散層〕
本発明の光拡散フィルムは、基材フィルム101上に積層された光拡散層102を備える。光拡散層102は、透光性樹脂103を基材とする層であって、透光性樹脂103中に透光性微粒子104が分散されてなる。基材フィルム101と光拡散層102との間に他の層(接着剤層を含む)を有していてもよい。
【0021】
(1)透光性樹脂
透光性樹脂103としては、透光性を有するものであれば特に限定はなく、たとえば、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂などの電離放射線硬化型樹脂や熱硬化型樹脂の硬化物;熱可塑性樹脂;金属アルコキシドの硬化物などを用いることができる。この中でも、高い硬度を有し、液晶表示装置表面に設ける光拡散フィルムとして高い耐擦傷性を付与できることから、電離放射線硬化型樹脂が好適である。電離放射線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂または金属アルコキシドを用いる場合は、電離放射線の照射または加熱により当該樹脂を硬化させることにより透光性樹脂103が形成される。
【0022】
電離放射線硬化型樹脂としては、多官能(メタ)アクリレート化合物を含有するものであることができる。多官能(メタ)アクリレート化合物とは、分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物である。
【0023】
多官能(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、たとえば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物、ウレタン(メタ)アクリレート化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート化合物、エポキシ(メタ)アクリレート化合物等の(メタ)アクリロイル基を2個以上含む多官能重合性化合物等が挙げられる。
【0024】
多価アルコールとしては、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2’−チオジエタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールのような2価のアルコール;トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、ジペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパンのような3価以上のアルコールが挙げられる。
【0025】
多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物として、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0026】
ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、1分子中に複数個のイソシアネート基を有するイソシアネートと、水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体のウレタン化反応物を挙げることができる。1分子中に複数個のイソシアネート基を有する有機イソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレリンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の1分子中に2個のイソシアネート基を有する有機イソシアネート、それら有機イソシアネートをイソシアヌレート変性、アダクト変性、ビウレット変性した1分子中に3個のイソシアネート基を有する有機イソシアネート等が挙げられる。水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートが挙げられる。
【0027】
ポリエステル(メタ)アクリレート化合物として好ましいものは、水酸基含有ポリエステルと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレートである。好ましく用いられる水酸基含有ポリエステルは、多価アルコールとカルボン酸や複数のカルボキシル基を有する化合物および/またはその無水物のエステル化反応によって得られる水酸基含有ポリエステルである。多価アルコールとしては前述した化合物と同様のものが例示できる。また、多価アルコール以外にも、フェノール類としてビスフェノールA等が挙げられる。カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、ブチルカルボン酸、安息香酸等が挙げられる。複数のカルボキシル基を有する化合物および/またはその無水物としては、マレイン酸、フタル酸、フマル酸、イタコン酸、アジピン酸、テレフタル酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、トリメリット酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0028】
以上のような多官能(メタ)アクリレート化合物の中でも、硬化物(被膜)の強度向上や入手の容易性の点から、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のエステル化合物;ヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの付加体;イソホロンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの付加体;トリレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの付加体;アダクト変性イソホロンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの付加体;およびビウレット変性イソホロンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの付加体が好ましい。さらに、電離放射線硬化型樹脂は、厚膜化したときに良好な可撓性(柔軟性を示す性質)を示すことから、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。これらの多官能(メタ)アクリレート化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
【0029】
電離放射線硬化型樹脂は、上記の多官能(メタ)アクリレート化合物のほかに、単官能(メタ)アクリレート化合物を含有していてもよい。単官能(メタ)アクリレート化合物としては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アセチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類を挙げることができる。これらの化合物はそれぞれ単独でまたは2種類以上を併用して用いることができる。
【0030】
電離放射線硬化型樹脂は重合性オリゴマーを含有していてもよい。重合性オリゴマーを含有させることにより、光拡散層の硬度を調整することができる。重合性オリゴマーは、たとえば、前記多官能(メタ)アクリレート化合物、すなわち、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物、ウレタン(メタ)アクリレート化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート化合物またはエポキシ(メタ)アクリレート等の2量体、3量体などのようなオリゴマーであることができる。
【0031】
また、その他の重合性オリゴマーとして、分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートと、少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多価アルコールとの反応により得られるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを挙げることができる。ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレリンジイソシアネートの重合物等が挙げられ、少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多価アルコールとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸のエステル化反応によって得られる水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルであって、多価アルコールとして、たとえば、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等であるものが挙げられる。この少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多価アルコールは、多価アルコールのアルコール性水酸基の一部が(メタ)アクリル酸とエステル化反応しているとともに、アルコール性水酸基が分子中に残存するものである。
【0032】
さらに、その他の重合性オリゴマーの例として、複数のカルボキシル基を有する化合物および/またはその無水物と、少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多価アルコールとの反応により得られるポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーを挙げることができる。複数のカルボキシル基を有する化合物および/またはその無水物としては、前記多官能(メタ)アクリレート化合物のポリエステル(メタ)アクリレートで記載したものと同様のものが例示できる。また、少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多価アルコールとしては、上記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーで記載したものと同様のものが例示できる。
【0033】
以上のような重合性オリゴマーに加えて、さらにウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの例として、水酸基含有ポリエステル、水酸基含有ポリエーテルまたは水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルの水酸基にイソシアネート類を反応させて得られる化合物が挙げられる。好ましく用いられる水酸基含有ポリエステルは、多価アルコールとカルボン酸や複数のカルボキシル基を有する化合物および/またはその無水物のエステル化反応によって得られる水酸基含有ポリエステルである。多価アルコールや、複数のカルボキシル基を有する化合物および/またはその無水物としては、それぞれ、多官能(メタ)アクリレート化合物のポリエステル(メタ)アクリレート化合物で記載したものと同様のものが例示できる。好ましく用いられる水酸基含有ポリエーテルは、多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドおよび/またはε−カプロラクトンを付加することによって得られる水酸基含有ポリエーテルである。多価アルコールは、前記水酸基含有ポリエステルに使用できるものと同じものであってよい。好ましく用いられる水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、重合性オリゴマーのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーで記載したものと同様のものが例示できる。イソシアネート類としては、分子中に1個以上のイソシアネート基を持つ化合物が好ましく、トリレンジイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの2価のイソシアネート化合物が特に好ましい。
【0034】
これらの重合性オリゴマー化合物はそれぞれ単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
【0035】
透光性樹脂103を形成する熱硬化型樹脂としては、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化型ウレタン樹脂のほか、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。
【0036】
透光性樹脂103を形成する熱可塑性樹脂としては、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体;酢酸ビニルおよびその共重合体、塩化ビニルおよびその共重合体、塩化ビニリデンおよびその共重合体等のビニル系樹脂;ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール系樹脂;アクリル樹脂およびその共重合体、メタクリル樹脂およびその共重合体等のアクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。
【0037】
透光性樹脂103を形成する金属アルコキシドとしては、珪素アルコキシド系の材料を原料とする酸化珪素系マトリックス等を使用することができる。具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等であり、加水分解や脱水縮合により無機系または有機無機複合系マトリックス(透光性樹脂)とすることができる。
【0038】
(2)透光性微粒子
透光性微粒子104としては、透光性を有する有機微粒子または無機微粒子を用いることができる。たとえば、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、有機シリコーン樹脂、アクリル−スチレン共重合体等からなる有機微粒子や、炭酸カルシウム、シリカ、酸化アルミニウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ガラス等からなる無機微粒子等が挙げられる。また、有機重合体のバルーンやガラス中空ビーズも使用できる。なかでも、後述する所定の沈降度Sを示す樹脂組成物(塗工液)の調製が容易になることから、透光性微粒子104として有機微粒子を用いることが好ましい。
【0039】
透光性微粒子104は、1種類の微粒子から構成されていてもよいし、重量平均粒径や屈折率の異なる2種類以上の微粒子を含んでいてもよい。透光性微粒子104の形状は、球状、扁平状、板状、針状、不定形状等いずれであってもよいが、球状または略球状が好ましい。
【0040】
透光性微粒子104の重量平均粒径(重量平均粒径の異なる2種以上の透光性微粒子を用いる場合にはそれぞれの重量平均粒径)は、3μm以上10μm以下であることが好ましく、3μm以上8μm以下であることがより好ましい。透光性微粒子104の重量平均粒径が3μm未満であると、波長領域が380nmから800nmの可視光を十分に散乱できず、光拡散フィルムの光拡散性が不十分となり、その結果、広視野角が得られない場合がある。また、重量平均粒径が10μmを超える場合、透過鮮明度を後述する好ましい範囲に調整すると、光散乱が弱くなり過ぎるため、十分な光散乱性が得られず、同様に広視野角が得られない場合がある。また、重量平均粒径が10μmを超える透光性微粒子の使用は、所定の沈降度Sを示す樹脂組成物(塗工液)を得る上で、当該樹脂組成物の粘度を調整するなど、別途の調整を要する場合がある。
【0041】
透光性微粒子104の重量平均粒径は、コールター原理(細孔電気抵抗法)に基づくコールターマルチサイザー(ベックマンコールター社製)を用いて測定される。
【0042】
透光性微粒子104と透光性樹脂103との屈折率差は0.04から0.15の範囲が好ましい。屈折率差を上記範囲内とすることによって、当該屈折率差による適度な内部散乱が生じ、光拡散フィルムの全ヘイズおよび内部ヘイズを後述する好ましい範囲内に制御することが容易になるとともに、透過鮮明度を適度に抑制して、後述する好ましい範囲内に制御することが容易になる。
【0043】
(3)光拡散層の表面形状および厚み
本発明の光拡散フィルムにおいて、光拡散層102表面(基材フィルム101とは反対側の表面)のJIS B 0601に従う中心線平均粗さRaは好ましくは1μm以下であり、より好ましくは0.2μm以下である。光拡散層102表面の中心線平均粗さRaが1μmを超える場合、光拡散層の表面乱反射により画面全体が白っぽく感じられる、いわゆる白ちゃけが顕著となる。JIS B 0601に従う中心線平均粗さRaとは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さl(エル)だけを抜き取り、この抜き取り部分の平均線の方向にx軸を、縦倍率の方向にy軸をとり、粗さ曲線をY=f(x)で表したときに、下記式(1):
【0044】
【数1】

【0045】
によって求められる値をマイクロメートル(μm)単位で表したものをいう。中心線平均粗さRaは、JIS B 0601に準拠した共焦点干渉顕微鏡(たとえば、株式会社オプティカルソリューション社製の「PLμ2300」)を用いて上記計算式(1)に基づいてRaを計算できるプログラムソフトにより算出することができる。
【0046】
また、光拡散層の表面(基材フィルム101とは反対側の表面)は、透光性樹脂103のみによって形成されていることが好ましい。すなわち、透光性微粒子104は、光拡散層102表面から突出しておらず、完全に光拡散層102内に埋没していることが好ましい。このために、光拡散層102の厚みは、透光性微粒子104の重量平均粒径(重量平均粒径の異なる2種以上の透光性微粒子を用いる場合には最も大きい重量平均粒径)に対して1倍以上3倍以下であることが好ましい。光拡散層102の厚みが、透光性微粒子104の重量平均粒径の1倍未満である場合、後述する光拡散フィルムの表面ヘイズを好ましい範囲内に制御し難く、これにより白ちゃけが生じる場合がある。また、光拡散層102の厚みが透光性微粒子104の重量平均粒径の3倍を超える場合、光拡散層102の膜厚が厚くなり過ぎ、それに伴い光拡散フィルムの光拡散性が強くなり過ぎるため、その結果、この光拡散フィルムを液晶表示装置に適用したときに、たとえば黒表示において、液晶表示装置の正面方向に対して斜めに漏れ出してくる光が光拡散層により正面方向へ散乱されてしまう等の原因により正面コントラストが低下し、表示品位が悪くなる場合がある。
【0047】
光拡散層102の厚みは、3〜30μmの範囲が好ましい。光拡散層102の厚みが3μm未満の場合、液晶表示装置の視認側表面に配置される光拡散フィルムに要求される十分な耐擦傷性が付与されない場合がある。また、厚みが30μmを超える場合、作製した光拡散フィルムに発生するカールの量が大きくなり、他のフィルムや基板への貼合や液晶表示装置への適用等における取り扱い性が悪くなる傾向にある。
【0048】
〔光拡散層を形成する樹脂組成物(塗工液)〕
光拡散層102を形成する樹脂組成物(塗工液)は、少なくとも透光性樹脂103を形成する樹脂(たとえば、電離放射線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂または金属アルコキシド)、透光性微粒子104および溶剤を含む。ここで、本発明において樹脂組成物(塗工液)は、下記式(A):
S=100−(100×M/30) (A)
で表される沈降度Sが30以下とされ、好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下とされる。
【0049】
式(A)中、Mは、樹脂組成物30mlを100mlのメスシリンダーに入れ、25℃において6時間放置したときに観測される樹脂組成物の透明上澄み層と懸濁層との界面の目盛り〔ml〕を表す。Mの最大値は30〔ml〕であり、これは6時間経過後も透光性微粒子の沈降が全く生じておらず、完全に分散している状態である(沈降度S=0)。また、Mの最小値は0〔ml〕であり(ただし、透光性微粒子自身の体積のため完全に0とはならない)、これは6時間経過後、完全にまたはほぼ完全に透光性微粒子が沈降した状態である(沈降度S≒100)。すなわち、沈降度Sは、透光性微粒子が分散している所定量の樹脂組成物(塗工液)を所定時間放置して、透光性微粒子の沈降の度合いを評価した指標であり、沈降度Sが大きいほど(Mが小さいほど)、透光性微粒子が速く沈降することを意味し、沈降度Sが小さいほど(Mが大きいほど)、透光性微粒子が遅く沈降することを意味する。
【0050】
沈降度Sが30を上回ると、塗工液を供給するダイなどに透光性微粒子が蓄積し、これが光拡散フィルムや製造装置の汚染を引き起こし、また、時間の経過とともに塗工液中の透光性微粒子の沈降程度が増大するため、良好な光学特性および外観を有する光拡散フィルムを安定的に得ることが困難となる。すなわち、光拡散フィルムとして望ましい光学特性を実現すべく、上述のように光拡散層の具体的構成を望ましいものに設計しても、沈降度Sが30を上回ると、透光性微粒子が比較的速く沈降してしまうことに起因して、塗工初期に製造された光拡散フィルムの光学特性等と、ある程度の塗工時間経過後に製造された光拡散フィルムのそれとが大きく異なってしまい、ある程度の塗工時間経過後に製造された光拡散フィルムの光学特性等は、設計された望ましい光学特性等から逸脱する。このような理由から、沈降度Sが30を上回る場合には、正面コントラストが高く、かつ広視野角の光拡散フィルムを安定的に得ることが困難である。
【0051】
沈降度Sは、樹脂組成物(塗工液)の粘度、透光性微粒子の重量平均粒径、透光性微粒子の比重と透光性樹脂を形成する樹脂を含有する溶剤との比重差などを調整することにより制御可能である。とりわけ、樹脂組成物の粘度は、沈降度Sに大きく影響を与える傾向がある。樹脂組成物の粘度の調整は、溶剤の量や種類を調整することによって行なうことができる。樹脂組成物の粘度を低くするには、溶剤の量を多く、また粘度の低い溶剤を使用すればよく、樹脂組成物の粘度を高くするには、溶剤の量を少なく、また粘度の高い溶剤を使用すればよい。より具体的には、樹脂組成物の25℃における粘度は、透光性微粒子の重量平均粒径や比重などにもよるが、好ましくは10mPa・s以上60mPa・s以下である。
【0052】
透光性微粒子の重量平均粒径は、所定の沈降度Sを示す樹脂組成物を得るという観点からは、上述のとおり3μm以上10μm以下であることが好ましい。ただし、透光性微粒子の重量平均粒径は、所望の光学特性をも考慮して決定されるべきものである。
【0053】
透光性微粒子の比重、すなわち、材質は上で例示したように多くの選択肢のなかから選択することが可能であるが、透光性微粒子の比重と透光性樹脂を形成する樹脂を含有する溶剤との比重差ができるだけ小さくなるように選択することが好ましい。この点から、透光性微粒子は有機微粒子であることが好ましい。透光性微粒子の材質は、所望の光学特性をも考慮して決定されるべきものである。
【0054】
樹脂組成物(塗工液)中における透光性微粒子104の含有量は、樹脂組成物の樹脂固形分100重量部に対して25重量部以上50重量部以下であることが好ましく、25重量部以上40重量部以下であることがより好ましい。透光性微粒子104の含有量が樹脂固形分100重量部に対して25重量部未満であると、光拡散フィルムの光拡散性が不十分となり、その結果、広視野角が得られず、また、後述する透過鮮明度が220%を超える結果、モアレが生じる場合がある。また、透光性微粒子104の含有量が樹脂固形分100重量部に対して50重量部を超えると、光散乱効果が強すぎて、後述する全ヘイズおよび/または内部ヘイズが70%を超える結果、正面コントラストの低下や光拡散フィルムの透明性の低下が生じる場合がある。
【0055】
透光性樹脂103を形成する樹脂として紫外線硬化型樹脂を用いる場合、樹脂組成物は、光重合開始剤(ラジカル重合開始剤)を含む。光重合開始剤としては、たとえば、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、トリアジン系光重合開始剤、オキサジアゾール系光重合開始剤などが用いられる。また、光重合開始剤として、たとえば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等も用いることができる。光重合開始剤の使用量は、通常、樹脂固形分100重量部に対して0.5〜20重量部であり、好ましくは、1〜5重量部である。
【0056】
溶剤としては、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル化グリコールエーテル類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール等のセルソルブ類;2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール等のカルビトール類などから、粘度等を考慮して選択して用いることができる。これらの溶剤は、単独で用いてもよいし、必要に応じて数種類を混合して用いてもよい。塗工後は、上記溶剤を蒸発させる必要がある。そのため、沸点は60℃〜160℃の範囲であることが望ましい。また、20℃における飽和蒸気圧は0.1kPa〜20kPaの範囲であることが好ましい。
【0057】
樹脂組成物(塗工液)は、必要に応じて、レベリング剤(フッ素系またはシリコーン系レベリング剤等)、帯電防止剤、防汚剤などのその他の添加剤を含有してもよい。
【0058】
〔光拡散フィルムの光学特性〕
(1)透過鮮明度
本発明の光拡散フィルムは、0.125mm、0.5mm、1.0mmおよび2.0mmの光学くしを通して得られる透過鮮明度の和(本明細書中では、単に「透過鮮明度」ということがある)が45%以上220%以下であることが好ましい。「0.125mm、0.5mm、1.0mmおよび2.0mmの光学くしを通して得られる透過鮮明度の和」とは、JIS K 7105に準拠し、暗部と明部との幅の比が1:1で、その幅が0.125mm、0.5mm、1.0mmおよび2.0mmである4種類の光学くしを用いて測定される透過鮮明度(像鮮明度)の和である。したがって、ここでいう「透過鮮明度」の最大値は400%となる。
【0059】
光拡散フィルムの透過鮮明度が45%未満の場合、光散乱が強すぎるため、この光拡散フィルムを液晶表示装置に適用したときに、たとえば白表示において、液晶表示装置の正面方向の光が光拡散層により散乱され過ぎてしまう等の原因により正面コントラストが低下し、表示品位が悪くなる傾向にある。また、透過鮮明度が220%を超える場合、液晶表示装置のバックライト側のプリズムフィルムの表面凹凸構造と液晶セルのカラーフィルターが有する規則的なマトリックス構造との干渉による透過光のモアレが発生する傾向にある。光拡散フィルムの透過鮮明度は、より好ましくは90%以上150%以下である。
【0060】
透過鮮明度の測定は、光学的に透明な粘着剤を用いて、光拡散フィルムを、その基材フィルム101側でガラス基板に貼合した測定用サンプルについて行なう。これにより、測定時におけるフィルムの反りを防止し、測定再現性を高めることができる。測定装置としては、JIS K 7105に準拠した写像性測定器(たとえば、スガ試験機株式会社製の「ICM−1DP」)を用いることができる。
【0061】
(2)ヘイズ
本発明の光拡散フィルムは、全ヘイズが40%以上70%以下であり、かつ内部ヘイズが40%以上70%以下であることが好ましい。また、光拡散層102の表面形状に起因する表面ヘイズは6%以下であることが好ましい。ここで、「全ヘイズ」とは、光拡散フィルムに光を照射して透過した光線の全量を表す全光線透過率(Tt)と、光拡散フィルムにより拡散されて透過した拡散光線透過率(Td)との比から下式(2):
全ヘイズ(%)=(Td/Tt)×100 (2)
により求められる。
【0062】
全光線透過率(Tt)は、入射光と同軸のまま透過した平行光線透過率(Tp)と拡散光線透過率(Td)の和である。全光線透過率(Tt)および拡散光線透過率(Td)は、JIS K 7361に準拠して測定される値である。
【0063】
また、光拡散フィルムの「内部ヘイズ」とは、全ヘイズのうち、光拡散層102の表面形状に起因するヘイズ(表面ヘイズ)以外のヘイズである。
【0064】
全ヘイズおよび/または内部ヘイズが40%未満の場合、光散乱性が不十分であり、視野角が狭くなる傾向にある。また、全ヘイズおよび/または内部ヘイズが70%を超える場合は、光散乱が強すぎるため、この光拡散フィルムを液晶表示装置に適用したときに、たとえば黒表示において、液晶表示装置の正面方向に対して斜めに漏れ出してくる光が光拡散層により正面方向へ散乱されてしまう等の原因により正面コントラストが低下し、表示品位が悪くなる傾向にある。また、全ヘイズおよび/または内部ヘイズが70%を超える場合は、光拡散フィルムの透明性が損なわれる傾向にある。全ヘイズおよび内部ヘイズはそれぞれ、50%以上65%以下であることがより好ましい。
【0065】
また、光拡散層102の表面形状に起因する表面ヘイズが6%を超える場合、表面乱反射により白ちゃけが発生する傾向がある。白ちゃけをより効果的に防止するためには、表面ヘイズは、3%以下であることがより好ましい。
【0066】
光拡散フィルムの全ヘイズ、内部ヘイズおよび表面ヘイズは、具体的には次のようにして測定される。すなわち、まず、フィルムの反りを防止するため、光学的に透明な粘着剤を用いて光拡散フィルムを、光拡散層102が表面となるように、基材フィルム101側をガラス基板に貼合して測定用サンプルを作製し、当該測定用サンプルについて全ヘイズ値を測定する。全ヘイズ値は、JIS K 7136に準拠したヘイズ透過率計(たとえば、株式会社村上色彩技術研究所製のヘイズメーター「HM−150」)を用いて、全光線透過率(Tt)および拡散光線透過率(Td)を測定し、上記式(2)によって算出される。
【0067】
ついで、光拡散層102の表面に、ヘイズがほぼ0%であるトリアセチルセルロースフィルムを、グリセリンを用いて貼合し、上述の全ヘイズの測定と同様にしてヘイズを測定する。当該ヘイズは、光拡散層102の表面形状に起因する表面ヘイズが貼合されたトリアセチルセルロースフィルムによってほぼ打ち消されていることから、光拡散フィルムの「内部ヘイズ」とみなすことができる。したがって、光拡散フィルムの「表面ヘイズ」は、下記式(3):
表面ヘイズ(%)=全ヘイズ(%)−内部ヘイズ(%) (3)
より求められる。
【0068】
〔光拡散フィルムが有し得るその他の層〕
本発明の光拡散フィルムは、図3に示される光拡散フィルム300のように、光拡散層102上に積層された透光性樹脂からなる樹脂層105を有するものであってもよい。この場合、樹脂層105の表面の中心線平均粗さRaは、好ましくは1μm以下とされる。
【0069】
また、本発明の光拡散フィルムは、光拡散層102上(基材フィルム101とは反対側の面)に積層された反射防止層をさらに備えていてもよい。反射防止層は、反射率を限りなく低くするために設けられるものであり、反射防止層の形成により、表示画面への映り込みを防止することができる。反射防止層としては、光拡散層102の屈折率よりも低い材料から構成された低屈折率層;光拡散層102の屈折率より高い材料から構成された高屈折率層と、この高屈折率層の屈折率より低い材料から構成された低屈折率層との積層構造などを挙げることができる。
【0070】
〔光拡散フィルムの製造方法〕
次に、本発明の光拡散フィルムを製造するための方法について説明する。本発明の光拡散フィルムは、好ましくは次の工程:
(I)基材フィルム101上に、透光性微粒子104および溶剤を含有し、上記所定の沈降度Sを示す樹脂組成物からなる塗工液を塗工する工程、および
(II)得られた塗工層を乾燥させる工程
を含む方法によって製造される。樹脂組成物が硬化性樹脂組成物である場合、乾燥された塗工層を硬化させる工程(III)をさらに含む。
【0071】
塗工液の基材フィルム上への塗工は、たとえば、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ロッドコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、キスコート法、ダイコート法などによって行なうことができる。塗工液の塗工にあたっては、上述のように、光拡散層102の厚みが、透光性微粒子104の重量平均粒径に対して1倍以上3倍以下となるように、塗布膜厚を調整することが好ましい。
【0072】
塗工液の塗工性の改良または光拡散層102との接着性の改良を目的として、基材フィルム101の表面(光拡散層側表面)には、各種表面処理を施してもよい。表面処理としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、酸表面処理、アルカリ表面処理、紫外線照射処理などが挙げられる。また、基材フィルム上に、たとえばプライマー層等の他の層を形成し、この他の層の上に、塗工液を塗工するようにしてもよい。
【0073】
また、本発明の光拡散フィルムを、後述する偏光フィルムの保護フィルムとして使用する場合には、基材フィルム101と偏光フィルムとの接着性を向上させるために、基材フィルム101の表面(光拡散層とは反対側の表面)を各種表面処理によって親水化しておくことが好ましい。
【0074】
ついで、塗工層の乾燥を行ない(工程(II)、樹脂組成物が紫外線硬化型樹脂等の硬化性樹脂組成物である場合には、乾燥された塗工層を硬化させる(工程(III))。硬化工程(III)(透光性樹脂103を形成する樹脂が熱可塑性樹脂の場合には乾燥後の冷却時)は、塗工層の表面に、金型の鏡面または凹凸面を転写する工程を含んでいてもよい。具体的には、図1に示されるような平坦な表面を有する光拡散層を得るためには、塗工層の表面に、鏡面を有する金型(鏡面金型)の当該鏡面を密着させて鏡面を転写する。また、図2に示されるような凹凸表面形状を有する光拡散層を得るためには、塗工層の表面に、凹凸面を有する金型(エンボス加工用金型)の当該凹凸面を密着させて凹凸面を転写する。鏡面金型は鏡面金属製ロールでもよく、また、エンボス加工用金型はエンボス加工用金属製ロールでもよい。このように、金型の鏡面または凹凸面を光拡散層102の表面に転写することによって、透光性微粒子が光拡散層表面に突出することを確実に防止することができ、所望の表面形状を有する光拡散層を形成することができる。
【0075】
さらに具体的に説明すると、透光性樹脂103を形成する樹脂として電離放射線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂または金属アルコキシドを用いる場合は、塗工層を形成し、乾燥(溶媒の除去)した後、その塗工層の表面に金型の鏡面または凹凸面を密着させた状態で、または密着させた後、電離放射線の照射(電離放射線硬化型樹脂を用いる場合)または加熱(熱硬化型樹脂または金属アルコキシドを用いる場合)により塗工層を硬化させる。電離放射線としては、樹脂液に含まれる樹脂の種類に応じて紫外線、電子線、近紫外線、可視光、近赤外線、赤外線、X線などから適宜選択することができるが、これらの中で紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが得られることから紫外線が好ましい。
【0076】
紫外線の光源としては、たとえば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、エキシマランプまたはシンクロトロン放射光等も用いることができる。これらの中でも、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンアーク、メタルハライドランプが好ましく用いられる。
【0077】
また、電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることができる。
【0078】
次に、本発明の光拡散フィルムを製造するための好ましい実施形態について説明する。当該好ましい実施形態に係る製造方法は、本発明の光拡散フィルムを連続的に製造するために、ロール状に巻き付けられた基材フィルム101を連続的に送り出す工程、透光性微粒子104および溶剤を含有する塗工液を塗工し、乾燥させる工程、塗工層を硬化させる工程、および、得られた光拡散フィルムを巻き取る工程を含む。かかる製造方法は、たとえば図4に示される製造装置を用いて実施することができる。以下、図4を参照しながら、当該好ましい実施形態に係る製造方法について説明する。
【0079】
まず、巻き出し装置501により基材フィルム101が連続的に巻き出される。ついで、巻き出された基材フィルム101上に、塗工装置502およびこれに対向するバックアップロール503を使用して、透光性微粒子104および溶剤を含有する塗工液が塗工される。次に、乾燥機504を通過させることにより乾燥される。次に、塗工層が設けられた基材フィルム101は、鏡面金属製ロールまたはエンボス加工用金属製ロール505とニップロール506との間へ、その塗工層が鏡面金属製ロールまたはエンボス加工用金属製ロール505と密着するように巻き掛けられる。これにより、塗工層の表面に鏡面金属製ロールの鏡面またはエンボス加工用金属製ロールの凹凸面が転写される。ついで、基材フィルム101が鏡面金属製ロールまたはエンボス加工用金属製ロール505に巻き掛けられた状態で、基材フィルム101を通して、紫外線照射装置508から紫外線を照射することにより、塗工層を硬化させる。紫外線照射により照射面が高温になることから、鏡面金属製ロールまたはエンボス加工用金属製ロール505は、その表面温度を室温〜80℃程度に調整するための冷却装置をその内部に備えることが好ましい。また、紫外線照射装置508は、1機、もしくは複数機を使用することができる。光拡散層102が形成された基材フィルム101(光拡散フィルム)は、剥離ロール507によって、鏡面金属製ロールまたはエンボス加工用金属製ロール505から剥離される。以上のようにして作製された光拡散フィルムは、巻き取り装置509へ巻き取られる。この際、光拡散層102を保護する目的で、再剥離性を有した粘着剤層を介して、光拡散層102表面にポリエチレンテレフタレートやポリエチレン等からなる保護フィルムを貼着しながら巻き取ってもよい。
【0080】
なお、剥離ロール507によって鏡面金属製ロールまたはエンボス加工用金属製ロール505から剥離された後に、追加の紫外線照射を行なってもよい。また、鏡面金属製ロールまたはエンボス加工用金属製ロール505に巻き掛けられた状態で紫外線照射を行なう代わりに、未硬化の塗工層が形成された基材フィルム101を鏡面金属製ロールまたはエンボス加工用金属製ロール505から剥離した後に、紫外線を照射して硬化させてもよい。
【0081】
<光拡散性偏光板>
上述した本発明の光拡散フィルムは、偏光板と組み合わせることにより光拡散性偏光板とすることができる。光拡散性偏光板は、偏光機能と光拡散(防眩)機能とを有する多機能フィルムである。本発明の光拡散性偏光板は、少なくとも偏光フィルムを有する偏光板と、基材フィルム側が該偏光板に対向するように該偏光板上に接着剤層または粘着剤層を介して積層された上記本発明の光拡散フィルムとを備えるものである。偏光板は従来公知の構成であってよく、たとえば、偏光フィルムの片面または両面に保護フィルムを有するものが一般的である。また、偏光板は、偏光フィルムそれ自体であってもよい。
【0082】
図5は、本発明の光拡散性偏光板の好ましい一例を示す概略断面図である。図5に示される光拡散性偏光板600は、偏光フィルム601と、偏光フィルム601の一方の面に貼着された保護フィルム602と、他方の面に貼着された光拡散フィルム100とを備える。光拡散フィルム100は、その基材フィルム101側が偏光板の偏光フィルム601に対向するように貼着されている。光拡散フィルム100および保護フィルム602は、図示しない接着剤層を介して偏光フィルム601に貼着される。このような、偏光フィルムと光拡散フィルムとが接着剤層を介して貼着される構成、すなわち、光拡散フィルムを偏光フィルムの保護フィルムとして使用する構成は、光拡散性偏光板の薄膜化に有利である。
【0083】
偏光フィルム601としては、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル(EVA)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂等からなるフィルムに、二色性染料またはヨウ素を吸着配向させたもの、分子的に配向したポリビニルアルコールフィルム中に、ポリビニルアルコールの二色性脱水生成物(ポリビニレン)の配向した分子鎖を含有するポリビニルアルコール/ポリビニレンコポリマー等が挙げられる。特に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性染料またはヨウ素を吸着配向させたものが偏光フィルムとして好適に使用される。偏光フィルムの厚みに特に限定はないが、一般には偏光板の薄型化等の観点から、100μm以下が好ましく、より好ましくは10〜50μmの範囲、さらに好ましくは25〜35μmの範囲である。
【0084】
偏光フィルム601の保護フィルム602としては、低複屈折性で、透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮蔽性などに優れるポリマーからなるフィルムが好ましい。このようなフィルムとしては、たとえば、TAC(トリアセチルセルロース)などのセルロースアセテート系樹脂;アクリル系樹脂;四フッ化エチレン/六フッ化プロピレン系共重合体のようなフッ素系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリオレフィン系樹脂もしくはポリアミド系樹脂等の樹脂をフィルム状に成形加工したものが挙げられる。これらの中でも、偏光特性や耐久性などの点から、表面をアルカリなどでケン化処理したトリアセチルセルロースフィルムや、ノルボルネン系熱可塑性樹脂フィルムが好ましく使用できる。ノルボルネン系熱可塑性樹脂フィルムは、耐湿熱性が高いため、偏光板の耐久性を大幅に向上させることができるとともに、吸湿性が少ないため、寸法安定性が高く、特に好適である。フィルムへの成形加工は、キャスティング法、カレンダー法、押出法などの従来公知の方法を用いることができる、保護フィルムの厚みに限定はないが、偏光板の薄膜化等の観点から500μm以下が好ましく、より好ましくは5〜300μmの範囲、さらに好ましくは5〜150μmの範囲である。
【0085】
以上のような構成の光拡散性偏光板は、典型的には、液晶表示装置に適用される場合、光拡散フィルムが光出射側(視認側)となるように、粘着剤層等を介して液晶セルのガラス基板に貼着される。
【0086】
<液晶表示装置>
次に、本発明に係る液晶表示装置について説明する。本発明の液晶表示装置は、上記本発明の光拡散フィルムまたは光拡散性偏光板を備えるものである。1つの好ましい実施形態において本発明の液晶表示装置は、バックライト装置と、光偏向手段と、バックライト側偏光板と、液晶セルと、上記本発明の光拡散性偏光板とをこの順で備える。図6は、本発明の液晶表示装置の好ましい一例を示す概略断面図である。図6の液晶表示装置は、ノーマリーホワイトモードのTN方式の液晶表示装置であって、バックライト装置702、光拡散板703、光偏向手段としての2枚のプリズムフィルム704a、704b、バックライト側偏光板705、一対の透明基板711a、711bの間に液晶層712が設けられてなる液晶セル701、および、視認側偏光板706と本発明に係る光拡散フィルム707とからなる光拡散性偏光板がこの順で配置されてなる。
【0087】
図7に示すように、バックライト側偏光板705と視認側偏光板706は、それらの透過軸が直交ニコルの関係となるように配置されている。また、2枚のプリズムフィルム704a、704bはそれぞれ、光入射側(バックライト装置側)の面が平坦面であり、光出射側(視認側)の面(バックライト側偏光板705に対向する表面)に線状プリズム741a,741bが平行に複数形成されている。そして、プリズムフィルム704aは、その線状プリズム741aの稜線742aの方向がバックライト側偏光板705の透過軸方向と実質的に平行となるよう配置され、プリズムフィルム704bは、その線状プリズム741bの稜線742bの方向が光拡散性偏光板を構成する視認側偏光板706の透過軸方向と実質的に平行となるように配置されている。ただし、プリズムフィルム704bの線状プリズム741bの稜線742bの方向がバックライト側偏光板705の透過軸方向と実質的に平行となるよう配置し、プリズムフィルム704aの線状プリズム741aの稜線742aの方向が光拡散性偏光板を構成する視認側偏光板706の透過軸方向と実質的に平行となるように配置することも可能である。以下、本発明の液晶表示装置を構成する構成部材についてより詳細に説明する。
【0088】
〔液晶セル〕
液晶セル701は、スペーサーにより所定距離を隔てて対向配置された一対の透明基板711a、711bと、この一対の透明基板711a、711bの間に液晶を封入してなる液晶層712を備える。一対の透明基板711a、711bには、それぞれ透明電極や配向膜が積層形成されており、透明電極間に表示データに基づいた電圧が印加されることによって液晶が配向する。液晶セル701の表示方式は、上記の例ではTN方式であるが、IPS方式、VA方式などの表示方式も用いられる。
【0089】
〔バックライト装置〕
バックライト装置702は、上面開口の直方体形状のケース721と、ケース721内に複数本並列配置された、線状光源としての冷陰極管722とを備える。ケース721は、樹脂材料や金属材料から成形されてなり、冷陰極管722から放射された光をケース内周面で反射させる観点から、少なくともケース内周面は白色または銀色であることが望ましい。光源としては、冷陰極管の他、線状形状等の各種形状のLED等も使用できる。線状光源を用いる場合、配置する線状光源の本数に特に限定はないが、発光面の輝度ムラの抑制等の観点から、隣接する線状光源の中心間距離が15mmから150mmの範囲であることが好ましい。なお、本発明で使用するバックライト装置702は、図6に示す直下型のものに限定されるものではなく、導光板の側面に線状光源または点状光源を配置したサイドライト型、あるいは平面状光源型などの各種のものが使用できる。
【0090】
〔光拡散手段〕
本発明の液晶表示装置は、バックライト装置702と光偏向手段との間に配置される光拡散手段としての光拡散板703を備えることができる。光拡散板703は、基材に拡散剤が分散混合されてなるフィルムまたはシートである。その基材としては、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸メチルとスチレンの共重合体樹脂、アクリロニトリルとスチレンの共重合体樹脂、メタクリル酸とスチレンの共重合体樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレンやポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド系樹脂等が使用できる。なお、光拡散手段は、光拡散板と光拡散フィルムとを併用したものであってもよい。
【0091】
また、基材に混合分散させる拡散剤としては、基材の材料とは異なる種類のアクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、有機シリコーン樹脂、アクリルとスチレンの共重合体などからなる有機微粒子、および炭酸カルシウム、シリカ、酸化アルミニウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ガラスなどからなる無機微粒子等が挙げられる。使用する拡散剤の種類は、1種類または2種類以上であってよい。また、有機重合体のバルーンやガラス中空ビーズも拡散剤として使用できる。拡散剤の重量平均粒径は0.5〜30μmの範囲が好ましい。また、拡散剤の形状は球形、偏平、板状、針状等であってもよいが、好ましくは球形である。
【0092】
〔プリズムフィルム(光偏向手段)〕
プリズムフィルム704a,704bは、光入射面側(バックライト装置側)が平坦面で、光出射側の面(バックライト側偏光板705に対向する表面)に、断面が先細の多角形状、好ましくは三角形状の線状プリズム741a,741bが平行に複数形成されている。プリズムフィルム704a、704bの材料としては、たとえば、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸メチルとスチレンの共重合体樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリルとスチレンの共重合体樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、あるいは、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂などの電離放射線硬化型樹脂等が挙げられる。プリズムフィルムは、異形押出法、プレス成形法、射出成形法、ロール転写法、レーザブレーション法、機械切削法、機械研削法、フォトポリマープロセス法などの公知の方法で製造することができる。これらの方法は、それぞれ単独で使用されてもよいし、あるいは2種以上の方法を組み合わせてもよい。プリズムフィルム704a、704bの厚みは、通常、0.1〜15mmであり、好ましくは0.5〜10mmである。
【0093】
線状プリズム741a,741bの稜線742a,742bに直交する垂直断面での断面形状は、たとえば三角形である。この場合、その三角形の頂点のうち稜線を形成する頂点の頂角θ(図7参照)は、90〜110°の範囲であることが好ましい。また、この三角形は、各辺が等辺、不等辺の何れであってもよいが、正面方向(液晶表示装置の表示面の法線方向)に集光しようとする場合は、光出射側の二辺が等しい二等辺三角形であることが好ましい。線状プリズムの断面形状は、面光源からの出射光の特性に合わせて設定することもでき、曲線を持たせるなど、三角形以外の形状としてもよい。
【0094】
上記プリズムフィルム704a,704bは、たとえば三角形状の断面を有する複数の線状プリズム741a,741bが、三角形の頂角θに相対した底辺が互いに隣接するように順次配置され、複数の線状プリズム741a,741bの稜線742a,742bが互いにほぼ平行になるように配列された構造を有することが好ましい。この場合、集光能力が著しく減退しない限り、線状プリズム741a,741bの断面形状の三角形は、その各頂点が曲線形状となっていてもよい。各稜線間の距離は、通常、10〜500μmの範囲であり、好ましくは30〜200μmの範囲である。
【0095】
〔偏光板〕
光拡散性偏光板を構成するバックライト側偏光板705は上述したものを用いることができる。また、視認側偏光板706としては、従来公知のものを用いることができる。
【0096】
〔位相差フィルム〕
本発明の液晶表示装置は、図8に示されるように、位相差板708を備えることができる。図8において位相差板708は、バックライト側偏光板705と液晶セル701との間に配置されている。この位相差板708は、液晶セル701の表面に対して垂直な方向に位相差がほぼゼロのものであり、真正面からは何ら光学的な作用を及ぼさず、斜めから見たときに位相差が発現し、液晶セル701で生じる位相差を補償するものである。これによって、より広い視野角が得られ、より優れた表示品位および色再現性が得られるようになる。位相差板708は、バックライト側偏光板705と液晶セル701の間、および、視認側偏光板706と液晶セル701の間の一方、または、両方に配置することができる。
【0097】
位相差板708としては、たとえば、ポリカーボネート樹脂や環状オレフィン系重合体樹脂をフィルムにし、このフィルムをさらに二軸延伸したものや、液晶性モノマーをフィルムに塗布し、光重合反応によってその分子配列を固定化したもの等が挙げられる。位相差板708は、液晶の配列を光学的に補償するものであるから、液晶配列と逆の屈折率特性のものを用いる。具体的にはTNモードの液晶セルには、たとえば、「WVフィルム」(富士フイルム株式会社製)、STNモードの液晶表示セルには、たとえば、「LCフィルム」(新日本石油株式会社製)、IPSモードの液晶表示セルには、たとえば、二軸性位相差フィルム、VAモードの液晶表示セルには、たとえば、AプレートおよびCプレートを組み合わせた位相差板や二軸性位相差フィルム、πセルモードの液晶表示セルには、たとえば、「OCB用WVフィルム」(富士フイルム株式会社製)等が好適に使用できる。
【0098】
以上のような構成の液晶表示装置において、図6を参照して、バックライト装置702から放射された光は、光拡散板703によって拡散された後、プリズムフィルム704aへ入射する。バックライト側偏光板705の透過軸方向に直交する垂直断面において、プリズムフィルム704aの下面に対して斜めに入射した光は、正面方向に進路が変えられて出射される。次に、プリズムフィルム704bにおいて、視認側偏光板706の透過軸方向に直交する断面において、プリズムフィルム704bの下面に対して斜めに入射した光は、上記と同様に、正面方向に進路が変えられて出射される。したがって、2枚のプリズムフィルム704a,704bを通過した光は、いずれの垂直断面においても正面方向に集光されたものとなり、正面方向の輝度が向上する。
【0099】
ついで、正面方向に指向性が付与された光は、バックライト側偏光板705によって偏光とされて液晶セル701に入射する。液晶セル701に入射した光は、電場によって制御された液晶層712の配向によって画素ごとに偏光面が制御されて液晶セル701から出射する。そして、液晶セル701から出射した光は、視認側偏光板706を通過して、さらに光拡散フィルム707を通って表示面側に出射する。
【0100】
このように、光偏向手段として2枚のプリズムフィルム704a,704bを用いると、液晶セル701に入射する光の正面方向への指向性をより高めることができ、これにより、正面方向の輝度をより向上させることができる。また、本発明の光拡散フィルムを使用しているので、正面コントラストの低下を招くことなく、優れた光拡散性と高い透過鮮明度が得られる。
【実施例】
【0101】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下の例における光拡散フィルムの光学特性および表面形状、光拡散層の厚み、用いた透光性微粒子の重量平均粒径、光拡散層形成用の樹脂組成物(塗工液)の沈降度Sおよび粘度の測定方法は次のとおりである。
【0102】
(a)透過鮮明度
光学的に透明な粘着剤を用いて、光拡散フィルムを、その基材フィルム側でガラス基板に貼合した測定用サンプルを用いて測定を行なった。測定には、JIS K 7105に準拠した写像性測定器(スガ試験機株式会社製の「ICM−1DP」)を用いた。ここでいう透過鮮明度は、上述の定義のとおり、JIS K 7105に準拠し、暗部と明部との幅の比が1:1で、その幅が0.125mm、0.5mm、1.0mmおよび2.0mmである4種類の光学くしを用いて測定される透過鮮明度(像鮮明度)の和である。
【0103】
(b)ヘイズ
光学的に透明な粘着剤を用いて、光拡散フィルムを、その基材フィルム側でガラス基板に貼合した測定用サンプルを用いて測定を行なった。上述した測定方法に従う全ヘイズ値および内部ヘイズの測定には、JIS K 7136に準拠したヘイズ透過率計(株式会社村上色彩技術研究所製のヘイズメーター「HM−150」)を用いた。その結果に基づき、上記式(3)より表面ヘイズを算出した。
【0104】
(c)中心線平均粗さRa
JIS B 0601に準拠した共焦点干渉顕微鏡(たとえば、株式会社オプティカルソリューション社製の「PLμ2300」)を用いて上記式(1)に基づき測定した。
【0105】
(d)光拡散層の厚み
光拡散フィルムの層厚をNIKON社製 DIGIMICRO MH−15(本体)およびZC−101(カウンター)を用いて測定し、基材フィルムの厚み80μmを測定層厚から差し引くことにより光拡散層の厚みを測定した。
【0106】
(e)透光性微粒子の重量平均粒径
コールター原理(細孔電気抵抗法)に基づくコールターマルチサイザー(ベックマンコールター社製)を用いて測定した。
【0107】
(f)樹脂組成物(塗工液)の沈降度S
上述した測定方法に従い、25℃におけるM値を測定し、上記式(A)に従って25℃における沈降度Sを求めた。
【0108】
(g)樹脂組成物(塗工液)の粘度
B型粘度計(東機産業(株)製「viscometer TVB10」)を用いて25℃における粘度を測定した。
【0109】
〔光拡散フィルムの作製〕
<実施例1>
(1)鏡面金属製ロールの作製
直径200mmの鉄ロール(JISによるSTKM13A)の表面に工業用クロムめっき加工を行ない、ついで表面を鏡面研磨して鏡面金属製ロールを作製した。得られた鏡面金属製ロールのクロムめっき面のビッカース硬度は1000であった。ビッカース硬度は、超音波硬度計MIC10(Krautkramer社製)を用い、JIS Z 2244に準拠して測定した。
【0110】
(2)光拡散フィルムの作製
ペンタエリスリトールトリアクリレート60重量部、および多官能ウレタン化アクリレート(ヘキサメチレンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートとの反応生成物)40重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)に混合し、固形分濃度60重量%となるように調整して紫外線硬化性樹脂組成物を得た。なお、該組成物からプロピレングリコールモノメチルエーテルを除去して紫外線硬化した後の硬化物の屈折率は1.53であった。
【0111】
次に、上記紫外線硬化性樹脂組成物の樹脂固形分100重量部に対して、透光性微粒子として重量平均粒径が7.3μmのポリスチレン系粒子(総研化学株式会社製 SX713L、屈折率1.59、比重1.01)を26重量部および重量平均粒径が3.8μmのポリスチレン系粒子(積水化成品工業株式会社製 XX342K、屈折率1.59、比重1.01)を17重量部、光重合開始剤である「ルシリン TPO」(BASF社製、化学名:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)を5重量部添加し、固形分が60重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈して塗工液を調製した。
【0112】
次に、この塗工液を、厚さ80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(基材フィルム)上に、スロットダイコーターを用いて塗工し、80℃に設定した乾燥機中で1分間乾燥させた。乾燥後の基材フィルムを、上記(1)で作製した鏡面金属製ロールの鏡面に、塗工層がロール側となるようにゴムロールで押し付けて密着させた。この状態で基材フィルム側より、強度20mW/cm2の高圧水銀灯からの光をh線換算光量で300mJ/cm2となるように照射して、塗工層を硬化させ、平坦な表面を有する光拡散層と基材フィルムとからなる、図1に示す構造の光拡散フィルムを得た。
【0113】
<実施例2>
溶剤を酢酸エチル(EA)に変更したこと以外は実施例1と同様にして塗工液を調製し、光拡散フィルムを作製した。
【0114】
<実施例3>
塗工液の固形分が40重量%になるように溶剤量を調整したこと以外は実施例1と同様にして塗工液を調製し、光拡散フィルムを作製した。
【0115】
<比較例1>
溶剤を酢酸エチルに変更し、かつ塗工液の固形分が40重量%になるように溶剤量を調整したこと以外は実施例1と同様にして塗工液を調製し、光拡散フィルムを作製した。
【0116】
<比較例2>
紫外線硬化性樹脂組成物の樹脂固形分100重量部に対する重量平均粒径が7.3μmのポリスチレン系粒子(総研化学株式会社製 SX713L)の添加量および重量平均粒径が3.8μmのポリスチレン系粒子(積水化成品工業株式会社製 XX342K)の添加量をそれぞれ、12重量部、8重量部に変更するとともに、塗工液の固形分が40重量%になるように溶剤量を調整したこと以外は実施例1と同様にして塗工液を調製し、光拡散フィルムを作製した。
【0117】
得られた光拡散フィルムおよび使用した塗工液について、上記(a)〜(d)、(f)および(g)の測定結果を表1にまとめた。なお、これらの測定結果はいずれも、塗工液を調製した直後に基材フィルムへ塗工し、光拡散フィルムを作製したときの値である。
【0118】
【表1】

【0119】
〔ダイ汚染性の評価〕
上記実施例および比較例で調製したそれぞれの塗工液を、スロットダイコーターを用いて3時間連続的に基材フィルムに塗工し、スロットダイコーターの吐出部でスロットに沈降蓄積した透光性微粒子の蓄積の程度を目視で確認し、下記の基準で評価した。結果を表2に示す。
○:透光性微粒子の沈降物が認められない。
△:透光性微粒子の沈降物がわずかに認められる。
×:多量の沈降物が認められる。
【0120】
〔光学特性の変動性の評価〕
上記実施例および比較例の手順に従いそれぞれの塗工液を調製し、6時間静置した。この6時間静置後の塗工液を用いて、上記実施例および比較例と同様にして光拡散フィルムを作製し、上述の測定方法に従って光拡散フィルムの全ヘイズを測定し、調製直後の塗工液を用いて光拡散フィルムを作製した場合の全ヘイズと比較した。結果を表2に示す。
【0121】
【表2】

【0122】
〔液晶表示装置の作製およびその表示特性の評価〕
得られた光拡散フィルムを用いて液晶表示装置を作製した。まず、IPSモードのPanasonic製32型液晶テレビ「VIERA TH−32LZ85」のバックライト装置上に、法線方向に対して70°方向の輝度値が法線方向の輝度値の10%である光拡散板を配置するとともに、頂角が95°である複数の線状プリズムが平行に配列されたプリズムフィルムを2枚使用し、これらを光拡散板とバックライト側偏光板との間に配置した。この際、一方のプリズムフィルム(バックライト装置寄りのプリズムフィルム)は、その線状プリズムの稜線の方向がバックライト側偏光板の透過軸に略平行となるように配置し、他方のプリズムフィルム(バックライト側偏光板寄りのプリズムフィルム)は、その線状プリズムの稜線の方向が後述する視認側偏光板の透過軸に略平行となるように配置した。また、視認側偏光板を剥がして、ヨウ素系偏光板(住友化学社製の「TRW842AP7」)を、バックライト側偏光板に対してクロスニコルとなるように貼合し、その上に、実施例1〜3または比較例1〜2の光拡散フィルムを、粘着剤層を介して貼合し、液晶表示装置を得た。ここで、用いた光拡散フィルムは、上記〔光学特性の変動性の評価〕で作製したもの、すなわち、6時間静置後の塗工液を用いて作製した光拡散フィルムである。
【0123】
得られた液晶表示装置について正面コントラストおよび60度視野角を評価した。結果を表3に示す。これらの評価方法は次のとおりである。
【0124】
(a)正面コントラスト
液晶表示装置を暗室内で起動し、黒表示状態および白表示状態における正面輝度を目視で観察し、正面コントラストを評価した。評価基準は次のとおりである。
◎:製品として問題のないレベルである。
○:◎よりわずかに劣るが、製品として問題のないレベルである。
【0125】
(b)60度視野角
視野角(液晶表示装置の正面方向とのなす角度)60°の方向から表示品位を目視で評価した。評価基準は次のとおりである。
◎:表示品位に異常が全く認められない。
○:表示品位に異常がほとんど認められない。
×:諧調潰れや反転が認められる。
【0126】
【表3】

【符号の説明】
【0127】
100,200,300,707 光拡散フィルム、101 基材フィルム、102 光拡散層、103 透光性樹脂、104 透光性微粒子、105 樹脂層、501 巻き出し装置、502 塗工装置、503 バックアップロール、504 乾燥機、505 鏡面金属製ロールまたはエンボス加工用金属製ロール、506 ニップロール、507 剥離ロール、508 紫外線照射装置、509 巻き取り装置、600 光拡散性偏光板、601 偏光フィルム、602 保護フィルム、701 液晶セル、702 バックライト装置、703 光拡散板、704a,704b プリズムフィルム、705 バックライト側偏光板、706 視認側偏光板、708 位相差板、711a,711b 透明基板、712 液晶層、721 ケース、722 冷陰極管、741a,741b 線状プリズム、742a,742b 線状プリズムの稜線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムと、前記基材フィルム上に積層される光拡散層とを有する光拡散フィルムであって、
前記光拡散層は、透光性微粒子および溶剤を含有する樹脂組成物の乾燥物またはその硬化物からなる層であり、
前記樹脂組成物は、下記式(A):
S=100−(100×M/30) (A)
(式中、Mは、前記樹脂組成物30mlを100mlのメスシリンダーに入れ、6時間放置したときに観測される前記樹脂組成物の透明上澄み層と懸濁層との界面の目盛り〔ml〕を表す。)
で表される沈降度Sが30以下である光拡散フィルム。
【請求項2】
前記透光性微粒子は、重量平均粒径が3μm以上10μm以下の有機微粒子である請求項1に記載の光拡散フィルム。
【請求項3】
前記樹脂組成物における前記透光性微粒子の含有量は、樹脂固形分100重量部に対して25重量部以上50重量部以下である請求項1または2に記載の光拡散フィルム。
【請求項4】
前記樹脂組成物の25℃における粘度は、10mPa・s以上60mPa・s以下である請求項1〜3のいずれかに記載の光拡散フィルム。
【請求項5】
前記樹脂組成物は硬化性樹脂組成物であり、前記光拡散層は前記硬化物からなる層である請求項1〜4のいずれかに記載の光拡散フィルム。
【請求項6】
0.125mm、0.5mm、1.0mmおよび2.0mmの光学くしを通して得られる透過鮮明度の和が45%以上220%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の光拡散フィルム。
【請求項7】
全ヘイズが40%以上70%以下であり、前記光拡散層の表面形状に起因する表面ヘイズが6%以下である請求項1〜6のいずれかに記載の光拡散フィルム。
【請求項8】
前記光拡散層の表面の中心線平均粗さRaが1μm以下である請求項1〜7のいずれかに記載の光拡散フィルム。
【請求項9】
前記光拡散層上に積層された反射防止層をさらに備える請求項1〜8のいずれかに記載の光拡散フィルム。
【請求項10】
請求項1に記載の光拡散フィルムの製造方法であって、
前記基材フィルム上に前記樹脂組成物からなる塗工液を塗工する工程と、
塗工層を乾燥させる工程と、
を含む光拡散フィルムの製造方法。
【請求項11】
乾燥された塗工層を硬化させる工程をさらに含む請求項10に記載の光拡散フィルムの製造方法。
【請求項12】
少なくとも偏光フィルムを有する偏光板と、
前記基材フィルム側が前記偏光板に対向するように、前記偏光板上に積層された請求項1〜9のいずれかに記載の光拡散フィルムと、
を備える光拡散性偏光板。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれかに記載の光拡散フィルムまたは請求項12に記載の光拡散性偏光板を備える液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−78736(P2012−78736A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226323(P2010−226323)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】