説明

光拡散性ポリエステルフィルム

【課題】光拡散性と光線透過率を両立し、異方拡散性に優れた光拡散性ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】下記要件(1)〜(3)を満たすことを特徴とする光拡散性ポリエステルフィルム。(1)結晶性ホモポリエステル、または共重合成分を含む結晶性ポリエステルからなる支持層と、該支持層の少なくとも片面に共押出法で積層された、融点が235〜255℃である共重合成分を含む結晶性ポリエステル50〜99質量部と該ポリエステルに非相溶性の添加剤1〜50質量部との配合組成物からなる光拡散層とを有する、(2)内部ヘーズが表面ヘーズ未満、(3)光拡散層表面の突起について、長手方向における平均突起幅(WMD)と幅方向にける平均突起幅(WTD)の比(WMD/WTDもしくはWTD/WMDのいずれか小さい方の値)が0.60以下

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大画面かつ高輝度のディスプレイのバックライトユニット、照明装置等に用いられる光拡散性フィルムに関する。さらに詳しくは、光拡散性と光線透過率を両立し、異方拡散性に優れた光拡散性ポリエステルフィルムを提供する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイの技術進歩は目覚しく、パソコンやテレビ、携帯電話等の表示装置として広く用いられている。特に近年では、液晶ディスプレイの各種用途で高精細化が進んでおり、特にテレビ用途では、ハイビジョン放送の普及に伴い、従来は大画面液晶テレビでの採用が中心であった横1920×縦1080ドットのいわゆるフルHD表示が可能な液晶パネルが比較的小型の画面サイズの液晶テレビにも採用されるようになってきており、高精細化の要求がますます高まっている。これらの液晶ディスプレイは、液晶表示ユニット単独では発光機能を有していないため、その裏面にバックライトユニットを設置して表示が可能になっている。
【0003】
バックライトユニットには光源が照光面の内側に設置される直下型や、照光面の外側から導光板を介して光を導入するエッジライト型などがある。これらのバックライトユニットには、さらに光拡散性フィルムが設置され、光を拡散、散乱させ、照光面の輝度を均一にする工夫がなされている。また、正面輝度を向上させるため、光拡散性フィルムを透過した光をできるだけ正面方向に集めるように、レンズシートと呼ばれる集光機能を有するシートが用いられる場合がある。このシートの表面にはプリズム状やウェーブ状、ピラミッド状等の微小な凹凸が多数並んでおり、光拡散性フィルムを透過した出射光を屈折させて正面に集め、照光面の輝度を向上させる。この様なレンズシートは、前記光拡散性フィルムの表面側に、1枚もしくは2枚重ねで配設され使用される。また、レンズシートの配設によって生じた輝度ムラやレンズシートの欠陥、あるいは光源ランプの形状を目立たなくする(隠蔽性を向上させる)ために光拡散性フィルムを配設する場合がある。例えば、直下型の場合、直線状の蛍光灯を平行に配したバックライトでは平行に配置した蛍光灯間の陰影(輝度ムラ)を目立たなくすることが必要となる。
【0004】
上記のようなバックライトユニットに用いられる光拡散性フィルムとしては、基材フィルムの表面に微粒子を含有した透明樹脂からなる光拡散層をコーティングして得られたものが用いられている(特許文献1、2)。
【0005】
しかしながら、この方法では、基材フィルムの片面にコーティングにより光拡散層を設ける必要があるため、光拡散層と基材フィルムとの線膨張係数の違いにより、光拡散性フィルムがバイメタル状の構造となり、加熱によるカールを生じやすいという問題がある。この問題は特に大型液晶TVなど、大型でかつ極めて高い輝度が必要な、直下型バックライトユニットを採用する液晶ディスプレイにおいて、重要な問題となりつつある。光拡散性フィルムが大面積化すればする程、カールが顕著になるからであり、さらにディスプレイが高輝度化すればする程、光源の消費電力、即ちバックライトユニットの発熱量が大きくなるからである。
【0006】
一方、近年では、バックライトユニット部品点数の削減や製造工程の簡略化、低コスト化を目的として、光拡散性フィルムと他の光学機能性フィルムとを一体化する検討もなされている(特許文献3、4)。しかしながら、基材内部の光散乱物質により光拡散性が付与されているので、一部の入射光が後方散乱を生じ、光線透過率が低下するという問題がある。
【0007】
また、近年では、優れた耐熱性、機械的強度、厚み均一性を併せ持つ二軸延伸ポリエステルフィルム自体に光拡散性を持たせようとするアプローチもなされている(特許文献5)。しかしながら、二軸延伸ポリエステルフィルムが本来有している特長(耐熱性、機械的強度など)の何れかを損なうものであるか、光線透過率や光拡散性といった光拡散性フィルムが具備すべき特性を損なうものである。
【0008】
また、融点が210℃以下、または非晶性のポリエステルを構成樹脂として、該構成樹脂に非相溶の粒子や熱可塑性樹脂よりなる光拡散性添加剤を配合した光拡散性層を中間層として、その両面に結晶性ポリエステル樹脂層を積層したフィルムが開示されている(特許文献6〜13参照)。
【0009】
しかしながら光拡散性中間層と表面層との間に大きな結晶性の違いがあることに変わりはなく、若干の層厚み変動や表裏の物性変動等によって、温度変化時の平面性が著しく悪化したり、機械的強度が低下する問題を内在している。
【0010】
上述のような問題に鑑み、主として結晶性ポリエステルからなる光拡散層を用いることで二軸延伸ポリエステルフィルム本来の優れた耐熱性、機械的強度を有し、主として表面ヘーズにより光拡散性を付与することで全光線透過率と光拡散性を両立する光拡散性ポリエステルフィルムが提案されている(特許文献14、15)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平6−59108号公報
【特許文献2】特許第3698978号明細書
【特許文献3】特開平9−281310号公報
【特許文献4】特許第3732253号明細書
【特許文献5】特開2005−181648号公報
【特許文献6】特開2001−324606号公報
【特許文献7】特開2002−162508号公報
【特許文献8】特開2002−182013号公報
【特許文献9】特開2002−196113号公報
【特許文献10】特開2002−372606号公報
【特許文献11】特開2004−219438号公報
【特許文献12】特開2004−354558号公報
【特許文献13】特開2004−354558号公報
【特許文献14】特開2009−48156号公報
【特許文献15】特開2009−139684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献14、15に開示の光拡散性ポリエステルフィルムは、優れた機械的強度と、光拡散性と高い光線透過率を併せ持つという特性を有している。
【0013】
光拡散性フィルムは、前述のように光拡散性と全光線透過率との間にはトレードオフの関係がある。しなしながら、例えば、直下型のバックライトにおいて直線状の蛍光灯を平行に配した際に蛍光灯間の陰影(輝度ムラ)を目立たなくするような場合、必ずしもフィルム平面内で均質な拡散性が要求されるとは限らない。すなわち、上記のように望まれる隠蔽性の方向が直交する二軸(長手方向−幅方向)で異なる場合は、拡散性に異方性を有する方が、より効果的に全光線透過率の向上を図ることが可能になると考えられる。
【0014】
そこで、本発明は、優れた機械的強度と、光拡散性と高い光線透過率を併せ持つという特性に加え、光の拡散性に異方性を有する光拡散性ポリエステルフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成することができる本発明の光拡散性ポリエステルフィルムは、以下の構成からなる。
【0016】
すなわち、本発明の内、第1の発明の構成は、二軸配向ポリエステルフィルムよりなる光拡散性ポリエステルフィルムであって、下記要件(1)〜(3)を満たす。
(1)結晶性ホモポリエステル、または共重合成分を含む結晶性ポリエステルからなる支持層と、該支持層の少なくとも片面に共押出法で積層された、融点が235〜255℃である共重合成分を含む結晶性ポリエステル50〜99質量部と該ポリエステルに非相溶性の添加剤1〜50質量部との配合組成物からなる光拡散層とを有すること
(2)内部ヘーズが表面ヘーズ未満であること
(3)光拡散層表面の突起について、長手方向における平均突起幅(WMD)と幅方向にける平均突起幅(WTD)の比(WMD/WTDもしくはWTD/WMDのいずれか小さい方の値)が0.60以下であること
第2の発明の構成は、くし幅2mmにおける像鮮明度について、長手方向での像線明度と幅方向での像線明度のいずれかが50%以下であり、かつ長手方向での像線明度と幅方向での像線明度の比((長手方向での像線明度)/(幅方向での像線明度)もしくは(幅方向での像線明度)/(長手方向での像線明度)のいずれか小さい方の値)が0.70以下であることを特徴とする前記光拡散性ポリエステルフィルである。
第3の発明の構成は、前記光拡散層の表面に、フィルムの延伸・配向完了前に設けられた共重合ポリエステル樹脂、ポリウレタン系樹脂、またはアクリル樹脂を少なくとも1種以上を主成分とする塗布層を有する。
第4の発明の構成は、前記光拡散性ポリエステルフィルムの光拡散層側と支持層側の両方の面に、共重合ポリエステル樹脂、ポリウレタン系樹脂、またはアクリル樹脂を少なくとも1種以上を主成分とする塗布層を有する。
第5の発明の構成は、前記光拡散性ポリエステルフィルムの光拡散層とは反対面に、共重合ポリエステル樹脂、ポリウレタン系樹脂、またはアクリル樹脂を少なくとも1種以上を主成分とする塗布層を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の光拡散性ポリエステルフィルムは、全光線透過率と光拡散性を両立するという効果に加え、さらに光拡散層表面凹凸を特定の構造に制御することにより、隠蔽性に異方性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(表面凹凸)
本発明は、加熱によるカールの発生が抑制され、かつ二軸延伸ポリエステルフィルム本来の優れた力学的特性を有し、さらに全光線透過率と光拡散性を両立し、加えて、隠蔽性に異方性を有するという効果をも実現する光拡散性ポリエステルフィルムを提供するものである。上記課題の解決を図るために、本発明者らは、特に光拡散層の表面凹凸構造に着目し、鋭意検討を行った。
【0019】
光拡散層表面に凹凸構造がある場合、表面凹凸により生じた傾斜部分で光が散乱することで、表面凹凸構造に起因した光拡散が生じる。本発明者は、鋭意検討した結果、表面凹凸の形状、特にその傾斜勾配が長手方向と幅方向で異なる場合に光の拡散性に異方性が生じることを見出し、本発明に至ったものである。
【0020】
ここで、平面方向で凹凸構造の異方性は、長手方向と幅方向での表面突起の幅の差異、具体的には、長手方向における平均突起幅(WMD)と幅方向にける平均突起幅(WTD)の比により表される。ここで、平均突起幅とは、マイクロマップで観察した表面凹凸プロファイルを平準化して得られる凹凸形状から求めるものである。フィルムの長手方向および幅方向の2方向についてマイクロマップで観察した表面凹凸プロファイルから高低差0.5μm未満の突起を平準化して得られた突起形状を得る。ここで、高低差5μm未満の突起を平準化するのは主たる散乱の方向性に寄与する表面突起の形状を抽出するためである。得られた突起形状について突起裾部に当たる2つの変曲点間の水平方向での距離を突起の幅として規定し、その平均を平均突起幅とする。こうして得られた長手方向の平均突起幅(WMD)と幅方向での平均突起幅(WTD)の比(WMD/WTDもしくはWTD/WMDのいずれか小さい方の値)を求める。このようにして求めた比が1よりも小さいほど隠蔽性に違法性が生じやすくなく。
【0021】
本発明の光拡散性ポリエステルフィルムは、光拡散層表面の突起について長手方向の平均突起幅(WMD)と幅方向での平均突起幅(WTD)の比(WMD/WTDもしくはWTD/WMDのいずれか小さい方の値)が、0.70以下であることが重要である。当該比が0.70以下の場合、光拡散性の異方性により長手方向での隠蔽性と幅方向での隠蔽性に顕著な差異が生じやすくなる。そのため、特定方向での隠蔽性(光拡散性)を高めることで、全体としてより高い全光線透過率との両立を図りやすくなる。当該比の下限は、理論的に0超であるが、有効な光拡散性を得る為には0.30以上が好ましく、0.40以上がより好ましく、0.50以上がよりさらに好ましい。
【0022】
(光拡散層)
本発明の光拡散性ポリエステルフィルムは、共重合成分を含む結晶性ポリエステルと該ポリエステルに非相溶性な添加剤からなる光拡散層を有する。ここで、結晶性ポリエステルとは融点を有するポリエステルのことをいう。融点とは、いわゆる示差走査熱量測定(DSC)の1次昇温時に検出される融解時の吸熱ピーク温度のことである。示差走査型熱量計を用いて測定した場合に、融点として明確な結晶融解熱ピークが観測されるポリエステルであれば、結晶性ポリエステルにふくまれる。このように本発明の光拡散層を構成するポリエステルは結晶構造を有するため耐熱性、機械的強度、厚み精度といったポリエステルフィルム特有の機械的特性が好適に保持される。
【0023】
フィルムの耐熱性、機械的強度、厚み精度の点からすれば、結晶構造は多い方が有利であるため、ポリエステル樹脂の融点は高いほど望ましい。しかしながら、ポリエステル樹脂の融点が高い場合は、延伸時に伴い発生する延伸応力が増加するため、樹脂中に非相溶添加剤があるとボイド(空洞)が発生しやすくなり、全光線透過率が低下する。よって、ポリエステルとしての機械的特性は保持しつつ、ボイドの発生を抑えるには、光拡散層を構成する樹脂の融点は一定範囲内で制御することが望ましい。光拡散層を構成する共重合成分を含む結晶性ポリエステルの融点の下限は235℃が好ましく、240℃がより好ましい。融点が235℃以上であれば、望ましい耐熱性、機械的強度および厚み精度が好適に発揮できる。また、光拡散層を構成する共重合成分を含む結晶性ポリエステルの融点の上限は255℃が好ましく、250℃がより好ましく、245℃がよりさらに好ましい。融点が255℃以下であれば、光拡散層内でのボイドの発生が好適に抑制することができる。
【0024】
光拡散層を構成する結晶性ポリエステルの融点は、共重合成分を導入することにより制御することができる。共重合成分をポリエステル中に導入することにより、空洞発生を抑制し、光線透過率と光拡散性を高度に両立することが可能となる。しかしながら、共重合成分を過大に導入すると、ポリエステルの融点が低下し、二軸延伸ポリエステルフィルム本来の優れた特性が得られなくなるので、注意が必要である。共重合成分の導入量は、芳香族ジカルボン成分全体、あるいはグリコール成分全体に対し、3モル%以上であることが好ましく、さらに好ましくは5モル%以上、特に好ましくは8モル%以上である。共重合成分の含有量が3モル%より大きい場合には、ボイドの発生が抑制され、光線透過率と光拡散性を高度に両立しやすくなるので好ましい。一方、共重合成分の導入量の上限としては、上記成分に対して20モル%以下であることが好ましく、さらに好ましくは18モル%以下、特に好ましくは15モル%以下である。共重合成分の含有量が20モル%を以下である場合は、二軸延伸ポリエステルフィルムの力学的特性が実用範囲になる程度の融点が得られるので好ましい。なお、本発明で使用可能な共重合成分の組成については、後述する。
【0025】
本発明の光拡散層にはポリエステルに非相溶な添加剤を含み、好適な光拡散性を奏する。本発明の光拡散層の好適な態様は、光拡散層表面に非相溶な添加剤による凹凸形状を有する。光拡散層に入射(光拡散層からの出射)する光は、フィルム表面に付与された凹凸によって、ランダムな方向に屈折・拡散され、表面光拡散性が発現する。そのため、本発明の光拡散性フィルムは内部ヘーズが表面ヘーズ未満であることが望ましい。
【0026】
光拡散層での光の拡散は、フィルムの表面構造に起因する散乱と、フィルムの内部構造に起因する散乱に分かれる。前記散乱は表面ヘーズとして、後記散乱は内部ヘーズとして評価できる。ボイドなどの内部構造による光の散乱は後方散乱を伴う為、高い全光線透過率が得られない。一方、表面構造による光の散乱は、全光線透過率を大きく低下することなく、高い光拡散性を得ることができる。なお、本発明で使用可能なポリエステルに非相溶性の材料については、後述する。
【0027】
本発明の光拡散性ポリエステルフィルムにおける光拡散層は、前記共重合成分を含む結晶性ポリエステル50〜99質量部と該ポリエステルに非相溶性の添加剤1〜50質量部との配合組成物からなる。両者の好ましい配合比率は、ポリエステル75〜98質量部と添加剤2〜25質量部との配合であり、さらに好ましくはポリエステル80〜97質量部と添加剤3〜20質量部との配合である。
【0028】
そして、上記添加剤の混合比率が1質量部未満の場合には、添加剤によるフィルム表面の凹凸形成能力が不足し、十分な表面光拡散性能が得られない。一方、添加剤の混合比率が50質量部を超える場合には、添加剤/ポリエステル界面での光散乱が増大するとともに、ポリエステルの延伸応力が増大して添加剤の周りにボイドを生じやすくなる。その結果、光拡散層の内部ヘーズが大きくなり、全光線透過率が低下する傾向にある。
【0029】
光拡散層の表面ヘーズは表面凹凸が大きい程、高くなる傾向にある。そのため、光拡散層の添加剤の粒径は大きい方が望ましい。表面ヘーズに有効な粒径を得るためには、光拡散層の厚みの下限は3μm以上であることが好ましく、4μmがさらに好ましく、特に好ましくは5μmである。
【0030】
一方、光拡散層の厚みが、非相溶の添加剤の粒径を相当程度上回ると、効果的に表面凹凸構造を形成しにくくなり。そのため、光拡散層の厚みを厚くすると、表面凹凸形成が減少し、表面ヘーズが低下する。また、光拡散層の厚みに従い、光拡散層の内部構造に起因する内部ヘーズが高くなり、全光線透過率が低下する。高い全光線透過率と光拡散性の両立を図る為には、光拡散層の厚みを所定以下の範囲に制御することが望ましい。そのため、光拡散層の厚みの上限は、50μmが好ましく、30μmがさらに好ましく、特に好ましくは20μmである。
【0031】
光拡散層として上記態様を採用する場合、光拡散層を構成する非相溶な添加剤を有する組成物は延伸工程において有効な凹凸形成に寄与する。本発明者は、係る表面凹凸構造に影響を及ぼす要因について鋭意検討したところ、フィルム延伸工程において生じる延伸応力の長手方向/幅方向のバランスが表面凹凸構造の異方性に大きな影響を及ぼすことを見出し、本発明に至ったものである。
【0032】
すなわち、延伸工程ではフィルム樹脂内部に高い応力が生じる。そのため、光拡散層の内部にある非相溶な添加剤は延伸の際には外部から押しつぶされるような力が生じ、その反作用として非相溶な添加剤の内部には外部応力に抗する復元力がはたらく。また、フィルムに加わる延伸応力により、その反作用としてフィルム全体に収縮応力が生じる。その後、外部からの応力が緩和したときに、非相溶な添加剤に生じた復元力が開放され、またフィルム全体に生じる収縮応力により、添加剤が光拡散層表面側へ押し出され、有効な凹凸構造が形成される。ここで、フィルムに生じる延伸応力、ひいてはその反作用による復元力・収縮応力が、長手方向/幅方向でアンバランスに発生すると、形成される凹凸構造もそれに対応して長手方向/幅方向で異方性が生じることが分かった。
【0033】
逐次二軸延伸方法を採用する場合、フィルム全体に生じる延伸応力は一般に後段の延伸方向の影響が強く働く。例えば、縦−横の逐次二軸延伸方法を採用する場合は、フィルム全体として横(幅方向)への延伸応力が働き易い。そのため、縦−横方向での延伸応力をアンバランス化させるためには、前段の縦方向での延伸応力を比較的小さくすることが容易である。しかし、延伸工程で生じる延伸応力をあまりに小さくすると、フィルム全体としての配向の程度が低下し、ポリエステルフィルムとしての機械的特性の低下や厚み斑が生じやすくなる、そこで、縦方向での延伸工程において、延伸倍率を好ましくは2.8倍以上3.4倍以下、より好ましくは2.9倍以上3.2倍以下に制御する。また、延伸温度としては好ましくは95℃以上115℃以下、より好ましくは100℃以上110℃以下に制御することが望ましい。
【0034】
縦方向の延伸を上記条件で行う場合は、テンター内での横方向の延伸は、2.8倍以上5倍以下の延伸倍率で、温度は120℃から160℃の温度範囲内が望ましい。なお、縦延伸よりも横延伸の方の延伸速度が速く、有効な延伸応力が得られる延伸方法を採用する場合や、横−縦の逐次二軸延伸方法を採用する場合は、上記条件を横延伸工程において採用しても構わない。
【0035】
ただ、製膜工程において凹凸構造が形成されたとしても、その後の熱処理工程において高温に晒されると、凹凸構造が平坦化し、有効な異方性が得られなくなる場合がある。たとえば、フィルム内部のボイドを減少させるため、熱処理工程において235から250℃の高温での熱処理が施す場合がある。この場合、光拡散層を構成する共重合成分を含む結晶性ポリエステルが高温の熱処理により軟化し、延伸工程において形成された凹凸構造が平坦化する場合がある。
【0036】
そこで、熱処理工程においては、光拡散層を構成する樹脂の融点と熱処理温度の差を大きくすることが望ましい。光拡散層を構成する樹脂の融点と熱処理温度の差が小さくなると、熱処理工程において光拡散層が軟化してしまい、結果として異方性を有する表面凹凸構造が形成されなくなる。ただし、光拡散層を構成する樹脂の融点と熱処理温度の差が大きくなると熱処理温度の低下するため、フィルムの熱収縮率が悪化する。また、光拡散層を構成する樹脂の融点が高くなると、光拡散層に含まれる非相溶樹脂の周りに生じたボイドが熱処理によっても消失せず、残存してしまう。ボイドの発生したフィルムは、内部ヘーズが上昇することにより全光線透過率が低下するため好ましくない。そこで、光拡散層の融点と熱処理温度の差は、9℃以上25℃以下の範囲内で制御することが好ましい実施の形態であり、11℃以上23℃以下であればより好ましく、13℃以上21℃以下であれば更に好ましい。
【0037】
(支持層)
本発明の光拡散性ポリエステルフィルムは、支持層の少なくとも片面に共押出法により積層された光拡散層を有する。係る支持層は結晶性ホモポリエステル、または共重合成分を含む結晶性ポリエステルからなり、主としてフィルムの機械的強度を付与する作用を有する。
【0038】
支持層を構成する結晶性ホモポリエステル/結晶性ポリエステルは、機械的特性の点から高い融点を有することが好ましい。具体的には、融点の下限は、250℃以上であることが好ましく、255℃以上であることがより好ましい。融点が250℃以上の場合は、支持層として好適な機械的特性を奏することができる。融点の上限は、ポリエステルの性質から260℃程度が上限であると考える。
【0039】
また、光拡散層のフィルム全体厚みに対する比率が高くなると、機械的強度が低下しやすくなり。さらに、支持層に比べて相対的に融点の低い光拡散層の比率が増すため、フィルム全体として厚み斑が生じやすくなる。一方、光拡散層のフィルム全体厚みに対する比率が小さいと、光拡散層中の添加剤が、フィルムの表面にブリードアウトする場合や、脱落する場合がある。よって、光拡散層のフィルム全体厚みに対する比率は所定の範囲に制御することが望ましく、2〜50%の範囲が好ましい。光拡散層のフィルム全体厚みに対する比率の下限は、2%が好ましく、3%がさらに好ましく、4%が特に好ましい。一方、光拡散層のフィルム全体厚みに対する比率の上限は、50%が好ましく、35%がさらに好ましく、20%が特に好ましい。
【0040】
また、支持層の光拡散層が積層された反対側の面に、他の層を積層することも構わない。例えば、高温加熱での後加工でのカールの発生を抑制するような応力調整のための平滑層を設けることも好ましい態様である。
【0041】
さらに、本発明の光拡散性ポリエステルフィルムを得るための構成、および特性について、以下に詳述する。
(原料)
本発明でフィルム原料として用いる結晶性ホモポリエステルは、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸又はそのエステルと、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどのグリコールとを重縮合させて製造されるポリエステルである。これらのポリエステルは芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接反応させる直重法のほか、芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応させた後、重縮合させるエステル交換法か、あるいは芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させるなどの方法によって製造することができる。
【0042】
前記のポリエステルの代表例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートあるいはポリエチレン−2,6−ナフタレートが挙げられる。前記のポリエステルはホモポリマーであってもよく、実質的にその結晶性を阻害しない範囲で、第三成分を共重合したものであってもよい。これらのポリエステルの中でも、エチレンテレフタレート単位、あるいはエチレン−2,6−ナフタレート単位が70モル%以上、好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上であるポリエステルが好ましい。
【0043】
また、本発明に用いることができる共重合成分を含む結晶性ポリエステルとは、上記の結晶性ホモポリエステルを基本骨格として、第3成分(共重合成分)が主鎖中に導入されたポリエステルのことであり、その構造、分子量、及び組成は限定されず任意である。
【0044】
また、本発明の光拡散性ポリエステルフィルムは、芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコール及び、分岐状脂肪族グリコール又は脂環族グリコールの少なくとも1種を含むグリコール成分とから構成される共重合ポリエステルを、原料の一部あるいは全部に用いることが好ましい。
【0045】
分岐状脂肪族グリコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオールなどが例示される。また、脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロールなどが例示される。
【0046】
これらのなかでも、ネオペンチルグリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールが特に好ましい。さらに、本発明においては、上記のグリコール成分に加えて1,3−プロパンジオールや1,4−ブタンジオールを共重合成分とすることが、より好ましい実施態様である。これらのグリコールを共重合成分として、前述の範囲で導入し、使用することは、前記の特性を付与するために好適であり、さらに、光拡散層内のボイドを低減させ、光線透過率と光拡散性を高度に両立させる点からも好ましい。
【0047】
さらに、必要に応じて、前記のポリエステルに下記のようなジカルボン酸成分及び/又はグリコール成分を1種又は2種以上を共重合成分として併用してもよい。
【0048】
テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体とともに併用することができる他のジカルボン酸成分としては、(1)イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4′−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体、(2)シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸等の脂肪族ジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体、(3)シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体、(4)p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
【0049】
一方、エチレングリコール及び、分岐状脂肪族グリコール及び/又は脂環族グリコールとともに併用することができる他のグリコール成分としては、例えばペンタンジオール、ヘキサンジオール等の脂肪族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族グリコール及びそれらのエチレンオキサイド付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ダイマージオール等が挙げられる。
【0050】
さらに、必要に応じて、前記ポリエステルに、さらにトリメリット酸、トリメシン酸、トリメチロールプロパン等の多官能化合物を共重合させることもできる。
【0051】
前記ポリエステルを製造する際に用いる触媒としては、例えば、アルカリ土類金属化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、チタン/ケイ素複合酸化物、ゲルマニウム化合物などが使用できる。これらのなかでも、チタン化合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、アルミニウム化合物が触媒活性の点から好ましい。
【0052】
前記ポリエステルを製造する際に、熱安定剤としてリン化合物を添加することが好ましい。前記リン化合物としては、例えばリン酸、亜リン酸などが好ましい。
【0053】
本発明の光拡散性ポリエステルフィルムは、前記共重合ポリエステルをそのままフィルム原料として用いてもよいし、共重合成分が多い共重合ポリエステルをホモポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)とブレンドして、共重合成分量を調整しても構わない。
【0054】
特に、後者のブレンド法を用いてフィルムを製造することによって、共重合ポリエステルのみを用いた場合と同等の光拡散性と全光線透過率を両立しながら、高融点(耐熱性)を有する、共重合成分を含む結晶性ポリエステルを調整することができる。
【0055】
また、異なる2種類の結晶性ポリエステルを溶融混合して、両者のエステル交換反応を利用して、主鎖中に第3成分(共重合成分)を導入する方法を採用しても良い。特に、前記共重合ポリエステルと、ポリエチレンテレフタレート、及びポリエチレンテレフタレート以外のホモポリエステル(例えば、ポリテトラメチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート)を少なくとも1種以上ブレンドして、本発明の光拡散性ポリエステルフィルムの原料として使用することは、ボイド低減の点からもさらに好ましい。
【0056】
なお、前記支持層を構成するポリエステルには、実質的に粒子を含有させないことが好ましい。また、光拡散層を構成する結晶性共重合ポリエステルには、後述する添加剤以外の粒子を実質的に含有させないことが好ましい。上記の「粒子を実質的に含有させない」とは、例えば無機粒子の場合、ケイ光X線分析で無機元素を定量した場合に50ppm以下、好ましくは10ppm以下、特に好ましくは検出限界以下となる含有量を意味する。このように不純物の無い、クリーンなポリエステル原料を用いることで、液晶ディスプレイにおける光学欠点の発生を抑制することができる。
【0057】
該結晶性ポリエステルの固有粘度の下限としては、0.50dl/gが好ましく、0.52dl/gがさらに好ましい。固有粘度が0.50dl/g未満では、メルトラインに異物除去用フィルターを設けた場合、溶融樹脂の押出時における吐出安定性が低下する傾向がある。また、結晶性ポリエステルを光拡散層の構成として用いる場合は、結晶性ポリエステルの固有粘度が高くなると、溶融攪拌での剪断力が増加するため、添加剤が細粒化し、光拡散層表面に良好な凹凸構造を付与する程度に有効な分散径が得られない場合がある。そのため、該結晶性ポリエステルの固有粘度の上限としては、0.61dl/gが好ましく、0.59dl/gがさらに好ましい。固有粘度が0.61dl/gを超える場合は、前記添加剤のポリエステル中の分散径が小さくなり、光拡散性が低下する傾向がある。
【0058】
(添加剤<表面凹凸付与剤>)
本発明における添加剤は、光拡散層表面に凹凸を付与し、表面光拡散性能を発現させる目的で添加される。上記添加剤は、ポリエステルに非相溶性の材料であれば何ら制限されるものではなく任意であるが、下記のような材料を使用することが好ましい。
【0059】
(ポリエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂)
本発明において用いることができる最も優れた添加剤は、前記ポリエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂である。すなわち、ポリエステルと熱可塑性樹脂との非相溶性を活用して、二軸延伸フィルムの製造工程(溶融・押し出し工程)において、ポリエステルからなるマトリックス中に該ポリエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂からなるドメインを分散形成させ、表面凹凸形成剤として活用する技術である。この技術を用いることにより、フィルムの溶融・押し出し工程において高精度のフィルターで異物を濾過し、液晶ディスプレイ用フィルムとして必要なクリーン度を達成することができる。
【0060】
これに対し、後述する非溶融性のポリマー粒子や無機粒子を添加剤として用いる場合には、フィルムの製造工程において使用できるフィルターの目開きの細かさに限界があり、高精度で異物を除去することが困難となる。さらに、ポリマー粒子や無機粒子を用いた場合には、粒子とポリエステルとの界面にボイドを発生しやすく、光拡散性と全光線透過率を高度に両立することが困難である。
【0061】
前記添加剤として用いることができるポリエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂としては、例えば以下の材料が挙げられる。即ち、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、各種環状オレフィン系ポリマー等のポリオレフィン、ポリカーボネート、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、アイソタクティックポリスチレン等のポリスチレン、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエステルアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸エステル等のアクリル樹脂、及びこれらを主たる成分とする共重合体、またはこれらの樹脂の混合物等である。
【0062】
その中でも特に、非晶性の透明ポリマーを用いることが、高い光線透過率を有するフィルムを製造するために好ましい。これに対し、結晶性ポリマーを添加剤として用いた場合には、結晶性ポリマーが白濁してフィルムの内部ヘーズが大きくなり、光線透過率が低下する恐れがある。
【0063】
本発明に用いることができる非晶性の透明ポリマーとしては、例えば以下のものが挙げられる。即ち、ポリスチレン(PS樹脂)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、メタクリル酸メチル・スチレン共重合体(MS樹脂)、環状オレフィン系ポリマー、メタクリル樹脂、PMMA、等が例示される。
【0064】
これらの中でも、ポリエステルからなるマトリックスに対して、ポリマーの表面張力が近い非晶性の透明ポリマーを選択することが、ボイド低減の点からも、さらに好ましい。このような表面張力がポリエステルに近い非晶性の透明ポリマーとしては、ポリスチレン(PS樹脂)、PMMA等が特に好ましい。
【0065】
本発明者は光拡散層を構成する該結晶性ポリエステルと非相溶性の熱可塑性樹脂との溶融粘度差とが同程度の場合、二成分は容易に分散し、該熱可塑性樹脂は細粒化し、光拡散層表面に良好な凹凸構造が得られず、表面ヘーズが低下する場合がある。そのため、本発明では、光拡散層を構成する共重合成分を含む結晶性ポリエステルと非相溶の熱可塑性樹脂との溶融粘度差が大きい方が好ましい。該溶融粘度差は、35Pa・s以上が好ましく、40Pa・s以上がさらに好ましい。溶融粘度差が35Pa・s以上では、添加剤のポリエステル中の添加剤が良好な分散径を有し、より好適に光拡散性を奏しやすい。
【0066】
(非溶融性ポリマー粒子)
本発明の添加剤として用いることができる非溶融性ポリマー粒子は、融点測定装置(Stanford Research Systems社製、MPA100型)を用いて、30℃から350℃まで10℃/分で昇温した際に、融解による流動変形が起こらない粒子であれば、その組成は限定されない。例えば、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、フッ素系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂および有機シリコーン系樹脂等が挙げられる。粒子の形状は、球状もしくは楕円状が好ましい。また、該粒子は細孔を有していてもよいし、無くてもよい。さらに、両者を併用してもよい。
【0067】
上記の非溶融性ポリマー粒子が350℃以上の融点を有するポリマーよりなる場合は、非架橋ポリマー粒子を用いてもよいが、耐熱性の点から、架橋構造を有するポリマーよりなる架橋ポリマー粒子を用いることが好ましい。
【0068】
上記の非溶融性ポリマー粒子の平均粒径は、0.1〜50μmが好ましい。上記の非溶融性ポリマー粒子の平均粒径の下限は、0.5μmがより好ましく、特に好ましくは5μmである。良好な光拡散効果を発揮するには、上記の非溶融性ポリマー粒子の平均粒径が0.1μm以上であることが好ましい。
【0069】
一方、上記の非溶融性ポリマー粒子の平均粒径の上限は、30μmがより好ましく、特に好ましくは20μmである。上記の非溶融性ポリマー粒子の平均粒径が50μmを超える場合、フィルム強度や全光線透過率が低下しやすくなる。該非溶融性ポリマー粒子は、できる限りシャープな粒度分布を有する粒子を用いることが好ましい。
【0070】
上記の非溶融性ポリマー粒子は、1種類でもよいし、2種類以上使用してもよい。シャープな粒度分布を有し(粒子の粒径が均一であることを意味する)、かつ平均粒径の異なる複数の非溶融性ポリマー粒子を併用することは、フィルムの欠点となる粗大粒子の混入が抑制できるので、好ましい実施形態である。
【0071】
なお、上記の粒子の平均粒径の測定は下記方法により行う。
粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で写真を撮り、最も小さい粒子1個の大きさが2〜5mmとなるような倍率で、300〜500個の粒子の最大径を測定し、その平均値を平均粒径とする。また、フィルム中に含有する粒子が単独の場合は、個々の粒子の最大径を測定し、その平均値を平均粒径とする。
【0072】
(無機粒子)
添加剤として用いることができる無機粒子としては、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナ、カオリナイト、タルク等が挙げられる。
【0073】
上記無機粒子の平均粒子径は、通常0.1〜50μmが好ましい。0.5〜30μmがより好ましく、1〜20μmがさらに好ましい。平均粒径が0.1μm未満では良好な光拡散効果が得られない。逆に、50μmを超える場合はフィルム強度の低下等に繋がるので好ましくない。該無機粒子の粒度分布はできる限りシャープなものを用いるが好ましい。粒度分布を広げる必要が生じた場合は、シャープな粒度分布の粒子を複数数配合して対応することが好ましい。該対応によりフィルムの欠点となる粗大粒子径の粒子の混入を抑制することができる。
【0074】
なお、上記の粒子の平均粒径の測定は下記方法により行う。
粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で写真を撮り、最も小さい粒子1個の大きさが2〜5mmとなるような倍率で、300〜500個の粒子の最大径を測定し、その平均値を平均粒径とする。また、フィルム中に含有する粒子の最大径を測定し、その平均値を平均粒径とする。
【0075】
上記の無機粒子の形状は限定されないが、実質的に球状あるいは真球状が好ましい。また、該粒子は無孔または多孔タイプのいずれでもよい。さらに、両者を併用してもよい。
【0076】
本発明に用いる添加剤は、上記の3種の中の1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0077】
[光拡散性ポリエステルフィルムの特性]
(面配向係数)
本発明の光拡散性ポリエステルフィルムは、面配向係数(ΔP)が0.08〜0.17であることが好ましい。面配向係数(ΔP)の下限は、0.09がより好ましく、特に好ましくは0.10である。一方、面配向係数(ΔP)の上限は、0.16がより好ましく、特に好ましくは0.15である。
【0078】
面配向係数(ΔP)が0.17を超える場合、用いる添加剤の種類にもよるが、添加剤の周りに発生するボイドの数や大きさが増加する場合がある。そのため、内部散乱(内部ヘーズ)が大きくなり、全光線透過率が低下する場合がある。
【0079】
一方、面配向係数が0.08以上では、二軸延伸フィルムとしての特徴が発揮され、耐熱性、機械的強度、厚み均一性などが良好であり、加熱カールの発生が抑制される。
【0080】
面配向係数を上記範囲内に制御する方法は任意であるが、例えば、前記共重合成分を含む結晶性ポリエステル中への共重合成分の比率を調整することにより制御することが可能である。光拡散層中の共重合成分の比率を多くすれば、面配向係数は低下する、また、共重合成分の比率を小さくすれば面配向係数を上昇させることができる。好ましい共重合成分の比率は、前記の通りである。
【0081】
(光学的特性)
次に、本発明においては、内部ヘーズが表面ヘーズ未満である。表面ヘーズは、光拡散層の表面凹凸に由来する特性である。そのため、フィルム表面から光が出射する際に、またはフィルム表面に光が入射する際に、光拡散層の表面凹凸で光が屈折することにより表面ヘーズが高くなる。したがって、表面ヘーズと全光線透過率とは基本的に無関係である。そのため、表面ヘーズを高くすることにより、全光線透過率の低下を抑制した状態で、光拡散性を高めることができる。
【0082】
一方、内部ヘーズは、フィルム内部での光散乱に由来する特性である。そのため、入射光の後方散乱の影響により全光線透過率が低下する。したがって、優れた光拡散性と、高い全光線透過率を有する光拡散性ポリエステルフィルムを製造するためには、表面ヘーズを高くするとともに、内部ヘーズを極力小さくすることが有効な手段である。
【0083】
本発明の光拡散性ポリエステルフィルムの全ヘーズ(表面ヘーズと内部ヘーズとから構成される)は5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、15%以上であることがよりさらに好ましい。全ヘーズが上記下限以上であると、光の散乱により効果的に隠蔽性を奏することができる。全ヘーズの上限は特に限定しないが、60%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましく、40%以下であることがさらに好ましい。全ヘーズの上限が上記以下の場合は、全光線透過率との両立をより好適に図ることができる。
【0084】
本発明の光拡散性ポリエステルフィルムの全ヘーズは主として表面ヘーズにより構成されるため、表面ヘーズの好ましい範囲は前記全ヘーズの場合と同様である。すなわち、表面ヘーズの下限は5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。また、表面ヘーズの上限は60%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましく、40%以下であることがさらに好ましい。
【0085】
また、内部ヘーズは、表面ヘーズ未満であることが好ましい。内部ヘーズの上限値は、好ましくは40%、より好ましくは30%、さらに好ましくは20%、よりさらに好ましくは10%、特に好ましくは8%である。
【0086】
内部ヘーズが表面ヘーズと同じ、もしくは表面ヘーズを超える場合には、フィルムの光拡散機能の主体を内部ヘーズが担うこととなり、フィルム内部で、(後方散乱を伴う)光散乱を生じ、全光線透過率が大きく低下する。一方、内部ヘーズの下限は1%が好ましい。内部ヘーズが1%未満のフィルムでは、十分な表面ヘーズが得られない傾向がある。
【0087】
また、本発明の光拡散性ポリエステルフィルムは、86%以上の全光線透過率であることが望ましい。より好ましい光線透過率の下限値は87%であり、さらに好ましい下限値は88%、よりさらに好ましい下限値は89%、特に好ましい下限値は90%である。特に本発明では特定方向で効果的に光拡散性を発揮することができるため、全体としてより高い全光線透過率との両立を図りやすくなる。
【0088】
光拡散性フィルムにより隠蔽性の程度は、例えば像鮮明度によって定量的に評価することができる。像鮮明度とは、フィルムを通して蛍光ランプなどの光源を見た場合の鮮明さを示す指標であり、JIS K 7105「プラスチックの光学的特性試験方法」像鮮明度に準拠して測定する通常の方法で評価された像鮮明度である。像鮮明度が小さい程、隠蔽性が良好であることを表す。
【0089】
本発明の光拡散性ポリエステルフィルムでは、光学くし幅が2mmの透過法において、長手方向での像鮮明度と幅方向での像鮮明度に顕著な差異を有し、隠蔽性に異方性を奏する。本発明の光拡散性ポリエステルフィルムについて、長手方向での像線明度と幅方向での像線明度の比((長手方向での像線明度)/(幅方向での像線明度)もしくは(幅方向での像線明度)/(長手方向での像線明度)のいずれか小さい方の値)が0.70以下であることが好ましく、0.65以下であることがより好ましく、0.60以下であることがよりさらに好ましい。上記比の上限が0.70以下であると、フィルムの長手方向と幅方向で光の散乱に効果的な異方性を有する為、全体としてより高い全光線透過率を両立しやすくなる。上記比の下限は特に限定しないが、異方性が極度の高まると全体としての光の拡散性が低下する場合があるため、上記比の下限は0.40以上であることが好ましい。
【0090】
また、長手方向もしくは幅方向での像線明度の内、いずれか小さい方の値は、50%以下であることが好ましく、45%以下であることが好ましく。40%以下であることが好ましい。上記条件が50%以下である場合、長手方向もしくは幅方向で効果的な隠蔽性を奏することができる。
【0091】
(力学的特性)
また、本発明において、フィルムの原料として結晶性ポリエステルを用いているので、二軸延伸フィルム本来の優れた耐熱性、機械的強度、及び優れた厚み精度を得ることができる。
【0092】
耐熱性に関して、150℃における寸法変化率が横方向、縦方向のいずれにおいても3%以下であることが好ましく、より好ましい上限は2.5%であり、さらに好ましい上限は2%であり、特に好ましい上限は1.5%であり、より特に好ましい上限は1%である。一方、150℃における横方向、縦方向の寸法変化率は小さい方が望ましいが、0%が下限と考える。寸法変化率が3%以下の場合は、高温での加工や高温環境での使用において、寸法変化や平面性が悪化せず、良好な平面性が保たれる。その結果、バックライトユニットにおける光出射面の輝度を均一にするという、光拡散性フィルムの本来目的が達成できる。なお、本発明で縦方向とは製膜時におけるフィルムの流れ方向(巻き取り方向)をいい、横方向とはそれに垂直な方向をいう。
【0093】
また、フィルムの引張強さの下限は、好ましくは100MPa、さらに好ましくは130MPa、特に好ましくは160MPaである。引張強さが100MPa以上では、二軸延伸フィルムの力学的強度が発揮され、フィルムの加工工程で割れ、破れ、折れ、裂け等の不具合を生じ難くなる。
【0094】
また、本発明の光拡散性ポリエステルフィルムの厚みは任意であり、特に制限されないが、25〜500μmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは75〜350μmの範囲である。
【0095】
(二軸延伸フィルムの製造)
本発明において、前記の特性を満足させる方法として、例えば、以下の製造方法を用いることが好ましい。
【0096】
フィルムの力学的特性や光学特性は製膜条件によっても制御することができる。フィルムの延伸温度を高くすると、延伸応力が低下するので、配向係数が低くなり、ボイドの発生が抑制される。そのため、全光光線透過率と光拡散性の両立の点からは、高温で延伸することが望ましい。しかしながら、前述のように延伸応力を低下させると、均質で有効な凹凸形成が得られにくい。そのため、本発明の光拡散性ポリエステルフィルムにおいては前述のような延伸条件を採用することが好ましい。
【0097】
以下、本発明の光拡散性ポリエステルフィルムの好適な製造方法について、光拡散層の原料である共重合成分を含む結晶性ポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレート共重合体(以下、単にポリエステルと略称することもある)のペレットを用いた代表例について詳しく説明する。
【0098】
まず、フィルム原料として、ポリエステルと、ポリエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂をそれぞれ、真空乾燥あるいは熱風乾燥によって、水分率が100ppm未満となるように乾燥する。次いで、各原料を計量、混合して押し出し機に供給し、シート状に溶融押出を行う。さらに、溶融状態のシートを、静電印加法を用いて、表面温度10〜50℃に制御された金属製の回転ロール(チルロール)に密着させ、未延伸PETシートを得る。本発明においては、各原料のうち、非相溶添加剤については、基材ポリマーの全部または一部と、非相溶性添加剤をあらかじめ押出機を用いて溶融混合した予備混練マスターペレットとして用いてもよい。
【0099】
この際、押出機の溶融部、混練り部、ポリマー管、ギアポンプ、フィルターまでの樹脂温度を220〜290℃、その後のポリマー管、ダイまでの樹脂温度を210〜295℃に制御することが、劣化物等の異物の発生を抑制するために好ましい。
【0100】
また、溶融樹脂が一定温度275℃に保たれた任意の場所で、樹脂中に含まれる異物を除去するために高精度濾過を行う。溶融樹脂の高精度濾過に用いられる濾材としては、ステンレス焼結体の濾材が、樹脂中のSi、Ti、Sb、Ge、Cuを主成分とする凝集物や高融点の有機物を除去する性能に優れ好適である。高精度濾過を行う際に、溶融樹脂の温度が275℃よりも低い場合には濾圧が上昇するため、原料樹脂の吐出量を低くするなどの操作を行う。
【0101】
さらに、濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)は、20μm以下、特に15μm以下が好ましい。濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が20μmを超えると、20μm以上の大きさの異物を十分に除去することが困難になる。濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が20μm以下の濾材を用いて溶融樹脂の高精度濾過を行うことにより、生産性が低下する場合があるが、粗大粒子による光学欠点の少ないフィルムを得るためには重要な工程である。なお、本発明では、添加剤として結晶性共重合ポリエステルに非相溶性の熱可塑性樹脂を用いることで、上記のような高精度濾過が可能となる。
【0102】
光拡散層と支持層とを共押出し積層するためには、2台以上の押出し機を用いて、各層の原料を押出し、多層フィードブロック(例えば角型合流部を有する合流ブロック)を用いて各層を合流させ、スリット状のダイからシート状に押出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。あるいは多層フィードブロックを用いる代わりにマルチマニホールドダイを用いても良い。
【0103】
また、本発明の光拡散性ポリエステルフィルムにおいては、少なくとも一方の表面に塗布層を有していることが好ましく、さらには両面に塗布層を有していることが好ましい。好ましい塗布量は、0.005〜0.20g/mの範囲である。光拡散層の表面に塗布層を設けることによって、フィルム表面での反射光の発生を抑制して、全光線透過率をさらに高めることができる。また、支持層に塗布層を設け、該塗布層の表面にレンズシート加工やハードコート加工を施す場合には、易接着性を付与することができる。また支持層の光拡散層とは反対側に他の樹脂層が積層されている場合は、当該他の樹脂層の表面に塗布層を付与することが可能である。
【0104】
この場合、前記の方法によって得られた未延伸フィルムに塗布層を設けた後、二軸延伸を行う。同時二軸延伸法でも逐次二軸延伸法によっても良いが、逐次延伸法で行う場合、縦または横方向に一軸延伸したフィルムに塗布層を設けた後、直交方向に延伸し、二軸延伸を行う。
【0105】
塗布層形成用塗布液を未延伸フィルムまたは一軸延伸フィルムに塗布するための方法は、公知の任意の方法から選択することが出来、例えば、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ダイコーター法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーコート法、パイプドクター法、含浸コート法、カーテンコート法、などが挙げられ、これらの方法を単独で、あるいは組み合わせて塗工する。
【0106】
塗布層を構成する樹脂は、レンズシート用途や光拡散性フィルム用途において、他の光学機能層とのより優れた密着性を確保する観点から、共重合ポリエステル樹脂、ポリウレタン系樹脂、またはアクリル系樹脂の少なくとも1種以上を主成分とすることが好ましい。また、これらの樹脂は、光拡散層の表面における反射光の発生を抑制するという観点からも推奨される。なお、塗布層を構成する樹脂において、前記の「主成分」とは、該塗布層を構成する樹脂100質量%に対して、前記の樹脂の少なくとも1種が50質量%以上含まれていることを意味する。
【0107】
なお、フィルムの透明性を高くするために、光拡散層以外の層中に粒子を含有させないか、透明性を阻害しない程度に少量しか含有させないと、フィルムの易滑性が不十分となりハンドリング性が悪化する場合がある。そのため、上記の塗布層には、易滑性の付与を目的に、粒子を含有させることが好ましい。これらの粒子には、透明性を確保するために可視光線の波長以下の極めて平均粒径が小さい粒子を用いることが重要である。
【0108】
上記の粒子としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデンなどの無機粒子;架橋高分子粒子;シュウ酸カルシウムなどの有機粒子などが挙げられる。塗布層を、上記共重合ポリエステル樹脂を主体として形成する場合には、シリカが特に好ましい。シリカは、ポリエステルと屈折率が比較的近いため、より透明性に優れた光拡散性ポリエステルフィルムを確保し得る点で最も好適である。
【0109】
塗布層に含有させる粒子は、平均粒径(SEMにより観察される個数基準の粒子の平均最大径)が0.005〜1.0μmであることが、フィルムの透明性、ハンドリング性、耐スクラッチ性確保の点から好ましい。粒子の平均粒径の上限は、透明性の点から、0.5μmであることがさらに好ましく、特に好ましくは0.2μmである。また、粒子の平均粒径の下限は、ハンドリング性と耐スクラッチ性の点から、0.01μmであることがさらに好ましく、特に好ましくは0.03μmである。
【0110】
なお、上記の粒子の平均粒径の測定は下記方法により行う。
粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で写真を撮り、最も小さい粒子1個の大きさが2〜5mmとなるような倍率で、300〜500個の粒子の最大径を測定し、その平均値を平均粒径とする。また、塗布層に含有する粒子の平均粒径を求める場合は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、最も小さい粒子1個の大きさが2〜5mmとなるような倍率で塗布フィルムの断面を撮影し、塗布層の断面に存在する粒子の最大径を求める。凝集体からなる粒子の平均粒径は、塗布フィルムの塗布層の断面を、光学顕微鏡を用いて倍率200倍で300〜500個撮影し、その最大径を測定する。
【0111】
塗布層中の粒子の含有量は、塗布層を構成する組成物に対して、0.1〜60質量%であることが、光学用積層フィルムの透明性、密着性、ハンドリング性、耐スクラッチ性を確保する点から好ましい。粒子の含有量の上限は、透明性と密着性の点から50質量%であることがさらに好ましく、特に好ましくは40質量%である。また、粒子の含有量の下限は、ハンドリング性と耐スクラッチ性の点から1質量%がさらに好ましく、特に好ましくは0.5質量%である。
【0112】
上記粒子は2種類以上を併用してもよく、同種の粒子で粒径の異なるものを配合してもよいが、いずれにしても、粒子全体の平均粒径、および合計の含有量が上記範囲を満足することが好ましい。
【0113】
次に、上記の方法で得られた未延伸フィルムを同時二軸延伸または逐次二軸延伸し、次いで前述の条件により熱処理を行う。
【実施例】
【0114】
次に実施例及び比較例を用いて、本発明を具体的に説明する。まず、本発明で使用した特性値の評価方法を下記に示す。
【0115】
[評価方法]
(1)固有粘度
JIS K 7367−5に準拠し、溶媒としてフェノール(60質量%)と1,1,2,2−テトラクロロエタン(40質量%)の混合溶媒を用い、30℃で測定した。
【0116】
(2)結晶融解熱量、融点およびガラス転移温度
エスアイアイ・ナノテクノロジー社製DSC6220型示差走査型熱量計を用いて求める。窒素雰囲気下、樹脂サンプルを300℃で5分間加熱溶融した後、液体窒素で急冷し、粉砕した樹脂サンプル10mgを20℃/分の速度で昇温させ、示差熱分析を行った。結晶融解熱量は、JIS−K7121−1987、9・1項に定義される融解ピーク温度(Tpm)、補外融解開始温度(Tim)および補外融解終了温度(Tem)とを囲むDSC曲線を積分して求めた。また、該融解ピーク温度(Tpm)を融点とした。さらに、JIS−K7121−1987、9・3項に基づいて、ガラス転移温度(Tg)を求めた。
【0117】
(3)溶融粘度
樹脂サンプルの粘度は、JIS K 7199「プラスチック−キャピラリーレオメータ及びスリットダイレオメータによるプラスチックの流れの特性試験方法」、5.1.3項の方法A(キャピラリーダイ)に準拠して測定した。東洋精機製キャピログラフ1Bにて、φ1mm、L/D=10のキャピラリーダイを用い、270℃に保ったシリンダ内に、乾燥した樹脂サンプルを充填し、約1分間溶融した後、せん断速度608.0sec−1下で溶融粘度を測定した。なお、複数の樹脂を基材ポリマーとして用いる場合、前記基材ポリマーの溶融粘度は、予め複数の樹脂サンプルを十分に混合した後、シリンダに充填し、上記と同様の方法にて溶融粘度を測定した。
【0118】
(4)フィルムの厚み斑
横延伸方向に3m、縦延伸方向に5cmの長さの連続したテープ状サンプルを巻き取り、フィルム厚み連続測定機(アンリツ株式会社製)にてフィルムの厚みを測定し、レコーダーに記録する。チャートより、厚みの最大値(dmax)、最小値(dmin)、平均値(d)を求め、下記式にて厚み斑(%)を算出した。なお、横延伸方向の長さが3mに満たない場合は、つなぎ合せて行う。なお、つないだ部分については上記データ解析からは削除する。
厚み斑(%)=((dmax−dmin)/d)×100
【0119】
測定は3回行い、その平均値を求め、下記の基準により評価した。
○:厚み斑が5%以下
×:厚み斑が5%を超える
【0120】
(5)ヘーズ、全光線透過率
フィルム試験片のヘーズ(曇価)および全光線透過率はJIS K 7105「プラスチックの光学的特性試験方法」に準拠して測定した。フィルム試験片のフィルム長手方向を鉛直方向に、光拡散層(B)面を光源側に向けて設置し、日本電色工業社製NDH−300A型濁度計を用いて測定した。
【0121】
(6)内部ヘーズ、全ヘーズ、表面ヘーズ
フィルム試験片の両面にセダー油を塗布し(塗布量:片面につき20±10g/m2)、ヘーズが1.0%未満の高透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(例えば、東洋紡績社製、A4300、厚さ100μm)2枚で挟み合わせたものを、内部ヘーズ測定用試料とした。また、該高透明ポリエチレンテレフタレートフィルム2枚を、セダー油を介して重ね合わせたものを、ブランク試料とした。
【0122】
次いで、内部ヘーズ測定用試料と、ブランク試料のヘーズを、(5)記載の方法によって測定した。そして、内部ヘーズ測定用試料のヘーズ値から、ブランク試料のヘーズ値を差し引き、内部ヘーズを求めた。また、(5)記載の方法により測定したフィルム試験片単体でのヘーズを全ヘーズとし、全ヘーズ値から内部ヘーズ値を差し引き、表面ヘーズを求めた。
【0123】
(7)像鮮明度
JIS K 7105「プラスチックの光学的特性試験方法」像鮮明度に準拠して透過法により測定した。長手方向での像鮮明性を測定する場合は、フィルム試験片はフィルム長手方向を鉛直方向とし、光拡散層(B)の面を光源側に向けて測定した。また、幅方向での像鮮明性を測定する場合は、フィルム試験片はフィルム幅方向を鉛直方向とし、光拡散層(B)の面を光源側に向けて測定した。測定器には、スガ試験機社製ICM‐1T型写像性測定器を用いた。
長手方向での像線明度と幅方向での像線明度の比は、長手方向での像線明度と幅方向での像線明度の内いずれか大きい値を分母として長手方向での像線明度と幅方向での像線明度の比を求めた。
【0124】
(8)引張強さ
JIS C 2318−1997 5.3.3(引張強さ及び伸び率)に準拠して測定した。
【0125】
(9)寸法変化率
JIS C 2318−1997 5.3.4(寸法変化)に準拠して測定した。
【0126】
(10)面配向係数(ΔP)
JIS K 7142−1996 5.1(A法)により、ナトリウムD線を光源としてアッベ屈折計によりフィルム長手方向の屈折率(nx)、幅方向の屈折率(ny)、厚み方向の屈折率(nz)を測定し、下記式によって面配向係数(ΔP)を算出した。
ΔP=(nx+ny)/2−nz
【0127】
(11)カール値
フィルムを長手方向に100mm、幅方向に50mmに枚葉状に切り出し、無荷重の状態で、100℃で30分間加熱処理した後、フィルムの凸部を下にして水平なガラス板上に静置し、ガラス板と立ち上がったフィルム4隅の下端との垂直距離を最小目盛り0.5mm単位で定規を用いて測定し、この4箇所の測定値を平均値を求めた。3つのフィルム試験片について同様の測定を行い、この平均値をカール値とし、下記の基準により評価した。
○:カール値が5mm以下
×:カール値が5mm以上
【0128】
(12)長手方向における平均突起幅(WMD)と幅方向にける平均突起幅(WTD)の比
フィルムの光拡散層(B)を上向きにして、三次元形状測定装置(菱化システム社製、マイクロマップTYPE550、対物レンズ10倍)を用いて光拡散層(B)表面の表面凹凸プロファイルを測定した。測定したプロファイルからフィルムの縦方向(長手方向)、横方向(幅方向)の直行する2軸おいて断面プロファイルを切り出した。得られた断面プロファイルについて高低差0.5μm未満の突起を平準化した突起形状プロファイルを作成する。得られた突起形状プロファイルについて突起裾部に当たる2つの変曲点間の水平方向での距離を突起の幅として規定して突起の幅を測定する。長手方向、幅方向のそれぞれから得た突起形状プロファイルから30個の突起について突起幅を測定し、その平均を平均突起幅(W)とした。長手方向での平均突起幅(WMD)と幅方向での平均突起幅(WTD)の内いずれか大きい値を分母として長手方向における平均突起幅(WMD)と幅方向にける平均突起幅(WTD)の比を求めた。
【0129】
実施例1
(1)結晶性ホモポリエステル樹脂(M1)の製造
エステル化反応缶を昇温し、200℃に到達した時点で、テレフタル酸(86.4質量部)及びエチレングリコール(64.4質量部)からなるスラリーを仕込み、攪拌しながら触媒として三酸化アンチモン(0.017質量部)及びトリエチルアミン(0.16質量部)を添加した。次いで、加圧昇温を行いゲージ圧3.5kgf/cm、240℃の条件で、加圧エステル化反応を行った。その後、エステル化反応缶内を常圧に戻し、酢酸マグネシウム4水和物(0.071質量部)、次いでリン酸(0.014質量部)を添加した。さらに、15分かけて260℃に昇温し、リン酸トリメチル(0.012質量部)、次いで酢酸ナトリウム(0.0036質量部)を添加した。15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、減圧下260℃から280℃へ徐々に昇温し、所定の固有粘度になるまで、285℃で重縮合反応を行った。
【0130】
重縮合反応終了後、濾過粒子サイズ5μm(初期濾過効率:95%)のナスロン製フィルターで濾過処理を行い、ノズルからストランド状に押出し、予め濾過処理(孔径:1μm以下)を行った冷却水を用いて冷却、固化させ、ペレット状にカットした。得られた結晶性ホモポリエステル樹脂(M1)は、結晶融解熱が35mJ/mg、融点が256℃、固有粘度が0.56dl/g、溶融粘度が91Pa・s、Sb含有量が144ppm、Mg含有量が58ppm、P含有量が40ppm、カラーL値が56.2、カラーb値が1.6であった。また、不活性粒子及び内部析出粒子は実質上含有していなかった。
【0131】
(2)共重合ポリエステル樹脂(M2)の製造
芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸単位100モル%、ジオール成分としてエチレングリコール単位70モル%及びネオペンチルグリコール単位30モル%を構成成分とする、固有粘度が0.59dl/g、溶融粘度が121Pa・s、の共重合ポリエステル樹脂(M2)を(M1)の作製方法に準じて作製した。
【0132】
(3)ポリスチレン(M3)
溶融粘度が147Pa・sのポリスチレン樹脂(PS)を使用した。
【0133】
(4)塗布液(M4)の調製
常法によりエステル交換反応および重縮合反応を行って、ジカルボン酸成分として(ジカルボン酸成分全体に対して)テレフタル酸46モル%、イソフタル酸46モル%および5−スルホナトイソフタル酸ナトリウム8モル%、グリコール成分として(グリコール成分全体に対して)エチレングリコール50モル%およびネオペンチルグリコール50モル%の組成の水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂を調製した。次いで、水51.4質量部、イソプロピルアルコール38質量部、n−ブチルセルソルブ5質量部、ノニオン系界面活性剤0.06質量部を混合した後、加熱撹拌し、77℃に達したら、上記水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂5質量部を加え、樹脂の固まりが無くなるまで撹拌し続けた後、樹脂水分散液を常温まで冷却して、固形分濃度5.0質量%の均一な水分散性共重合ポリエステル樹脂液を得た。
【0134】
さらに、凝集体シリカ粒子(富士シリシア(株)社製、サイリシア310)3質量部を水50質量部に分散させた後、上記水分散性共重合ポリエステル樹脂液99.46質量部にサイリシア310の水分散液0.54質量部を加えて、撹拌しながら水20質量部を加えて、塗布液(M4)を得た。
【0135】
(5)光拡散性ポリエステルフィルムの製造
光拡散層(B)の原料として、135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した結晶性ホモポリエステル(M1)74質量部と、70℃で12時間減圧乾燥(1Torr)した共重合ポリエステル(M2)23質量部と、ポリスチレン(M3)3質量部とを混合し、押出機2に供給した。また、支持層(A)の原料として135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した結晶性ホモポリエステル(M1)を押出機1に供給した。
【0136】
各押出機の溶融部、混練り部、ポリマー管、ギアポンプ、フィルターまでの設定温度を275℃、フィルターの後のポリマー管の設定温度を270℃とし、押出機2、及び押出機1から供給された各原料を、2層合流ブロックを用いて積層し、口金よりシート状に溶融押し出した。
【0137】
なお、(A)層と(B)層との厚み比率は、89対11となるように、各層のギアポンプを用いて制御した。また、上記のフィルターには、いずれもステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度:10μm粒子を95%カット)を用いた。また、口金の温度は、押出された樹脂温度が275℃になるように制御した。
【0138】
押し出した樹脂を、表面温度30℃の冷却ドラムに静電印加法を用いて密着させて冷却固化し、未延伸フィルムを作成した。このとき、(A)層面を冷却ドラムに接する面とした。また、冷却ドラムによる未延伸フィルムの引き取り速度は、12m/分とした。
【0139】
得られた未延伸フィルムを、予熱ロールを用いて79℃に加熱し、周速が異なるロール間で、流れ方向に3.1倍に延伸した。このとき、赤外線放射温度計にてフィルムの温度をモニターし、フィルムの最高温度が100℃になるように、ヒーター温度を制御した。
【0140】
縦延伸完了後、得られた一軸延伸フィルムを50℃まで冷却した後、フィルムの両面に塗布液(M4)を塗布した。溶液塗布量は、両面ともそれぞれ最終膜厚が0.08g/mとなるように制御した。その後、乾燥炉にて塗布面を乾燥した。
【0141】
塗布層を有する一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持して、テンターに導き、120℃に予熱した後、135℃で幅方向に2.5倍延伸したのち、140℃で幅方向に1.6倍延伸し、さらに231℃で10秒間熱処理し、60℃まで冷却する過程で幅方向に3.3%の緩和処理を行い、全厚み188μmの光拡散性ポリエステルフィルムを作成した。
【0142】
なお、各層のポリエステルの融点および固有粘度を測定するため、(B)層の吐出を一時的に停止して(A)層単独の未延伸フィルムを採取した。同様に、(A)層の吐出を一時的に停止し、(B)層単独の未延伸フィルムを採取した。
【0143】
(6)フィルムの特性
本実施例1で得られたフィルムの特性を表1に示す。表1から分かる通り、本発明で得られる光拡散性ポリエステルフィルムは、二軸延伸フィルム本来の優れた耐熱性と機械的強度、厚み精度を有している。また、内部ヘーズが小さく、高い光線透過率を有している。さらに、全ヘーズの大半が表面ヘーズによって付与されており、その光拡散性も優れていることが分かる。加えて、凹凸形状に異方性により、隠蔽性の異方性を奏する。
【0144】
実施例2、3
縦方向の延伸条件を表1のように変更した以外は実施例1に示したのと同じ方法にて実施例2、3の光拡散性ポリエステルフィルムを作成した。
【0145】
実施例4
光拡散層(B)の原料として、135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した結晶性ホモポリエステル(M1)55質量部と、70℃で12時間減圧乾燥(1Torr)した共重合ポリエステル(M2)38質量部と、ポリスチレン(M3)7質量部とを混合し、押出機2に供給したこと、224℃で10秒間熱処理したことを除いては実施例3に示したのと同じ方法にて実施例4の光拡散性ポリエステルフィルムを作成した。
【0146】
実施例5
縦方向の延伸条件を表1のように変更した以外は実施例1に示したのと同じ方法にて実施例5の光拡散性ポリエステルフィルムを作成した。
【0147】
実施例6
光拡散層(B)の原料として、135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した結晶性ホモポリエステル(M1)65質量部と、70℃で12時間減圧乾燥(1Torr)した共重合ポリエステル(M2)23質量部と、ポリスチレン(M3)12質量部とを混合し、押出機2に供給したこと、縦方向の延伸条件を表1のように変更した以外は実施例1に示したのと同じ方法にて実施例6の光拡散性ポリエステルフィルムを作成した。
【0148】
実施例7
縦方向の延伸条件を表1のように変更した以外は実施例1に示したのと同じ方法にて実施例7の光拡散性ポリエステルフィルムを作成した。
【0149】
比較例1、2
縦方向の延伸条件を表1のように変更した以外は実施例1に示したのと同じ方法にて比較例1、2の光拡散性ポリエステルフィルムを作成した。
【0150】
比較例3
光拡散層(B)の原料として、135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した結晶性ホモポリエステル(M1)97質量部と、ポリスチレン(M3)3質量部とを混合し、押出機2に供給したこと、縦方向の延伸条件を表1のように変更したことを除いては実施例4に示したのと同じ方法にて比較例3の表面光拡散性ポリエステルフィルムを作成した。
【0151】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0152】
本発明の光拡散性ポリエステルフィルムは、液晶ディスプレイのバックライトユニット、照明装置等に用いられる光拡散性フィルムとして用いることができる。また、レンズシート用基材フィルムとして用いることができる。したがって、産業界に寄与することが大である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二軸配向ポリエステルフィルムよりなる光拡散性ポリエステルフィルムであって、下記要件(1)〜(3)を満たすことを特徴とする光拡散性ポリエステルフィルム。
(1)結晶性ホモポリエステル、または共重合成分を含む結晶性ポリエステルからなる支持層と、該支持層の少なくとも片面に共押出法で積層された、融点が235〜255℃である共重合成分を含む結晶性ポリエステル50〜99質量部と該ポリエステルに非相溶性の添加剤1〜50質量部との配合組成物からなる光拡散層とを有すること
(2)内部ヘーズが表面ヘーズ未満であること
(3)光拡散層表面の突起について、長手方向における平均突起幅(WMD)と幅方向にける平均突起幅(WTD)の比(WMD/WTDもしくはWTD/WMDのいずれか小さい方の値)が0.60以下であること
【請求項2】
くし幅2mmにおける像鮮明度について、長手方向での像線明度と幅方向での像線明度のいずれかが50%以下であり、かつ長手方向での像線明度と幅方向での像線明度の比((長手方向での像線明度)/(幅方向での像線明度)もしくは(幅方向での像線明度)/(長手方向での像線明度)のいずれか小さい方の値)が0.70以下であることを特徴とする請求項1記載の光拡散性ポリエステルフィル。
【請求項3】
前記光拡散層の表面に、フィルムの延伸・配向完了前に設けられた共重合ポリエステル樹脂、ポリウレタン系樹脂、またはアクリル樹脂を少なくとも1種以上を主成分とする塗布層を有することを特徴とする請求項1または2に記載の光拡散性ポリエステルフィルム。
【請求項4】
前記光拡散性ポリエステルフィルムの光拡散層側と支持層側の両方の面に、共重合ポリエステル樹脂、ポリウレタン系樹脂、またはアクリル樹脂を少なくとも1種以上を主成分とする塗布層を有することを特徴とする請求項1または2に記載の光拡散性ポリエステルフィルム。
【請求項5】
請求項1または2に記載の光拡散性ポリエステルフィルムの光拡散層とは反対面に、共重合ポリエステル樹脂、ポリウレタン系樹脂、またはアクリル樹脂を少なくとも1種以上を主成分とする塗布層を有することを特徴とするレンズシート用光拡散性ポリエステルフィルム。

【公開番号】特開2011−133871(P2011−133871A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260059(P2010−260059)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】