説明

光検出器

【課題】 光ディスクの信号記録層から反射される戻り光が照射されるとともに光ピックアップ装置の制御動作を行う信号を生成するべく設けられる光検出器の受光面に傷が付かないようにする。
【解決手段】 光ディスクの信号記録層に照射されたレーザー光の反射光である戻り光が照射されるとともに該戻り光の光量に応じた信号を出力する受光素子Pが透光性樹脂より成るカバー15Bにて被覆された光検出器において、前記カバー15Bの受光面15Cを保護する保護用突部16を該カバー15Bに形成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに記録されている信号の読み出し動作や光ディスクに信号の記録動作をレーザー光によって行う光ピックアップ装置に組み込まれる光検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
光ピックアップ装置から照射されるレーザー光を光ディスクの信号記録層に照射することによって信号の読み出し動作や信号の記録動作を行うことが出来る光ディスク装置が普及している。
【0003】
光ディスク装置としては、CDやDVDと呼ばれる光ディスクを使用するものが一般に普及しているが、最近では記録密度を向上させた光ディスク、即ちBlu−ray規格の光ディスクを使用するものが開発されている。
【0004】
CD規格の光ディスクに記録されている信号の読み出し動作を行うレーザー光としては、波長が785nmである赤外光が使用され、DVD規格の光ディスクに記録されている信号の読み出し動作行うレーザー光としては、波長が655nmの赤色光が使用されている。
【0005】
また、CD規格の光ディスクにおける信号記録層と光ディスクの表面との間に設けられている透明な保護層の厚さは1.2mmであり、この信号記録層から信号の読み出し動作を行うために使用される対物レンズの開口数は、0.47と設定されている。そして、DVD規格の光ディスクにおける信号記録層と光ディスクの表面との間に設けられている透明な保護層の厚さは0.6mmであり、この信号記録層から信号の読み出し動作を行うために使用される対物レンズの開口数は、0.6と設定されている。
【0006】
斯かるCD規格及びDVD規格の光ディスクに対して、Blu−ray規格の光ディスクに記録されている信号の読み出し動作を行うレーザー光としては、波長が短いレーザー光、例えば波長が405nmの青紫色光が使用されている。
【0007】
Blu−ray規格の光ディスクにおける信号記録層の上面に設けられている保護層の厚さは、0.1mmであり、この信号記録層から信号の読み出し動作を行うために使用される対物レンズの開口数は、0.85と設定されている。
【0008】
Blu−ray規格の光ディスクに設けられている信号記録層に記録されている信号の読み出し動作や該信号記録層に信号を記録するためにレーザー光を集光させることによって生成されるレーザースポットの径を小さくする必要がある。所望のレーザースポット形状を得るために使用される対物レンズは、開口数が大きくなるだけでなく焦点距離が短くなるので、対物レンズの曲率半径が小さくなるという特徴がある。
【0009】
前述したCD規格、DVD規格及びBlu−ray規格の全ての光ディスクに記録されている信号の読み出し動作や記録動作を行うことが出来る光ディスク装置が製品化されているが、斯かる光ディスク装置に組み込まれる光ピックアップ装置として、Blu−ray規格の光ディスクに記録されている信号の読み出し動作を行う第1レーザー光を放射するレーザーダイオード、該レーザーダイオードから放射される第1レーザー光を信号記録層に集光させる第1対物レンズ、DVD規格の光ディスクに記録されている信号の読み出し動作を行う第2レーザー光及びCD規格の光ディスクに記録されている信号の読み出し動作を行う第3レーザー光を放射する2波長レーザーダイオード、そして第2レーザー光
及び第3レーザー光を各光ディスクの信号記録層に集光させる第2対物レンズが組み込まれた光ピックアップ装置が一般に採用されている(特許文献1参照。)。
【0010】
また、光ピックアップ装置は、レーザー光を光ディスクに設けられている信号記録層に集光させるフォーカス制御動作や信号記録層に設けられている信号トラックにレーザー光を追従させるトラッキング制御動作を行うことによって光ディスクに記録されている信号の読み出し動作を行うように構成されているが、斯かるフォーカス制御動作やトラッキング制御動作は光ディスクの信号記録層から反射される戻り光が照射される光検出器から得られる信号を利用して行うように構成されている(特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−61781号公報
【特許文献2】特開2009−54271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
1つの波長のレーザー光を放射するレーザーダイオード、2つの波長のレーザー光を放射する2波長レーザーダイオード、そして2つの対物レンズによって規格の異なる3つの光ディスクに記録されている信号の読み出し動作を行うように構成された光ピックアップ装置において、各レーザー光毎に光路を設けた場合には多くの光学部品を必要とするため高価になるだけでなく、小型化することが出来ないという問題がある。
【0013】
斯かる問題を解決する方法として第1レーザー光、第2レーザー光及び第3レーザー光の光路を共通化することが行われている。斯かる構成の光ピックアップ装置について図6及び図7を参照して説明する。
【0014】
図6において、1は例えば波長が405nmの青紫色光である第1レーザー光を生成放射するレーザーダイオード、2は前記レーザーダイオード1から放射される第1レーザー光が入射される第1回折格子であり、レーザー光を0次光であるメインビーム、+1次光及び−1次光である2つのサブビームに分離する回折格子部2aと入射されるレーザー光をS方向の直線偏光光に変換する1/2波長板2bとより構成されている。
【0015】
3は例えば波長が655nmの赤色光である第2レーザー光を生成放射する第1レーザー素子及び785nmの赤外色光である第3レーザー光を生成放射する第2レーザー素子が同一のケース内に収納されている2波長レーザーダイオードである。
【0016】
4は前記2波長レーザーダイオード3に組み込まれている第1レーザー素子から放射される第2レーザー光及び第2レーザー素子から放射される第3レーザー光が入射される第2回折格子であり、レーザー光を0次光であるメインビーム、+1次光及び−1次光である2つのサブビームに分離する回折格子部4aと入射されるレーザー光をS方向の直線偏光光に変換する1/2波長板4bとより構成されている。
【0017】
5は前記2波長レーザーダイオード3から放射される第2レーザー光及び第3レーザー光が前記第2回折格子4を通して入射される位置に設けられているダイバージェンスレンズであり、入射される発散光であるレーザー光の発散角度を調整する作用を成すものである。
【0018】
6は前記第1回折格子2を透過して入射される第1レーザー光のS偏光光を反射するとともに後述する光路を通して光ディスクから反射されてくる第1レーザー光、第2レーザ
ー光及び第3レーザー光の戻り光であるP偏光光を透過するハーフミラーである。7は前記第2回折格子4及びダイバージェンスレンズ5を通して入射される第2レーザー光及び第3レーザー光のS偏光光を反射するとともに前記ハーフミラー6にて反射されて入射される第1レーザー光を透過させ、且つ光ディスクから反射されてくる第1レーザー光、第2レーザー光及び第3レーザー光の戻り光であるP偏光光を透過させる偏光ビームスプリッタである。
【0019】
8は前記偏光ビームスプリッタ7を透過した第1レーザー光、該偏光ビームスプリッタ7にて反射された第2レーザー光及び第3レーザー光が入射される位置に設けられているとともに3つの異なる波長のレーザー光に対応して入射されるレーザー光を直線偏光光から円偏光光に、また反対に円偏光光から直線偏光光に変換する作用を成す3波長対応型の1/4波長板である。
【0020】
9は前記1/4波長板8を透過したレーザー光が入射されるとともに入射されるレーザー光を平行光に変換するコリメートレンズであり、該コリメートレンズ9の光軸方向への変位動作によって光ディスクの保護層の厚さに起因して生じる球面収差を補正するように構成されている。
【0021】
10は第1レーザー光を第1光ディスクD1(図7参照)に設けられている信号記録層L1に集光する第1対物レンズ、11は第2レーザー光を第2光ディスクD2に設けられている信号記録層L2に集光させるとともに第3レーザー光を第3光ディスクD3に設けられている信号記録層L3に集光させる2波長対応の第2対物レンズである。斯かる構成において、第1対物レンズ10と第2対物レンズ11とは、例えば4本の支持ワイヤーによって光ディスクの面に対して直角方向であるフォーカシング方向への変位動作及び光ディスクの径方向であるトラッキング方向への変位動作を行うことが出来るように支持されているレンズホルダーと呼ばれる部材に搭載されている。
【0022】
前記コリメートレンズ9を透過した第1レーザー光、第2レーザー光及び第3レーザー光は、図7に示す光学系によって第1対物レンズ10及び第2対物レンズ11に導かれるように構成されている。図7において、12は波長選択性素子であり、第1レーザー光を透過させるとともに第2レーザー光及び第3レーザー光を第2対物レンズ11方向へ反射させるように構成されている。13は前記波長選択性素子12を透過した第1レーザー光を第1対物レンズ10方向へ反射させる立ち上げミラーである。斯かる構成は特許文献1に記載されている技術と同一であるので、その説明は省略する。
【0023】
斯かる構成において、コリメートレンズ9を透過した第1レーザー光は、前記波長選択性素子12を透過するとともに立ち上げミラー13にて反射されて第1対物レンズ10に入射されることになる。このようにして第1対物レンズ10に入射された第1レーザー光は、該第1対物レンズ10の集光動作によって第1光ディスクD1に設けられている信号記録層L1に集光されることになる。
【0024】
また、前記コリメートレンズ9を透過した第2レーザー光は、前記波長選択性素子12にて反射されて第2対物レンズ11に入射されることになる。このようにして第2対物レンズ11に入射された第2レーザー光は、該第2対物レンズ11の集光動作によって第2光ディスクD2に設けられている信号記録層L2に集光されることになる。そして、コリメートレンズ9を透過した第3レーザー光は、前記波長選択性素子12にて反射されて第2対物レンズ11に入射されることになる。このようにして第2対物レンズ11に入射された第3レーザー光は、該第2対物レンズ11の集光動作によって第3光ディスクD3に設けられている信号記録層L3に集光されることになる。
【0025】
斯かる構成において、レーザーダイオード1から放射された第1レーザー光は、第1回折格子2、ハーフミラー6、偏光ビームスプリッタ7、1/4波長板8、コリメートレンズ9、波長選択性素子12及び立ち上げミラー13を介して第1対物レンズ10に入射された後、該第1対物レンズ10の集光動作によって第1光ディスクD1に設けられている信号記録層L1に集光スポットとして照射されるが、前記信号記録層L1に照射された第1レーザー光は該信号記録層L1にて戻り光として反射されることになる。
【0026】
また、2波長レーザーダイオード3の第1レーザー素子から放射された第2レーザー光は、第2回折格子4、ダイバージェンスレンズ5、偏光ビームスプリッタ7、1/4波長板8、コリメートレンズ9及び波長選択性素子12を介して第2対物レンズ11に入射された後、該第2対物レンズ11の集光動作によって第2光ディスクD2に設けられている信号記録層L2に集光スポットとして照射されるが、前記信号記録層L2に照射された第2レーザー光は該信号記録層L2にて戻り光として反射されることになる。
【0027】
そして、2波長レーザーダイオード3の第2レーザー素子から放射された第3レーザー光は、第2回折格子4、ダイバージェンスレンズ5、偏光ビームスプリッタ7、1/4波長板8、コリメートレンズ9及び波長選択性素子12を介して第2対物レンズ11に入射された後、該第2対物レンズ11の集光動作によって第3光ディスクD3に設けられている信号記録層L3に集光スポットとして照射されるが、前記信号記録層L3に照射された第3レーザー光は該信号記録層L3にて戻り光として反射されることになる。
【0028】
第1光ディスクD1の信号記録層L1から反射された第1レーザー光の戻り光は、第1対物レンズ10、立ち上げミラー13、波長選択性素子12、コリメートレンズ9、1/4波長板8及び偏光ビームスプリッタ7を通してハーフミラー6に入射される。このようにしてハーフミラー6に入射される戻り光は、前記1/4波長板8による位相変更動作によってP方向の直線偏光光に変更されている。従って、斯かる第1レーザー光の戻り光は前記ハーフミラー6にて反射されることはなく、制御用レーザー光として該ハーフミラー6を透過することになる。
【0029】
また、第2光ディスクD2の信号記録層L2から反射された第2レーザー光の戻り光は、第2対物レンズ11、波長選択性素子12、コリメートレンズ9、1/4波長板8及び偏光ビームスプリッタ7を通してハーフミラー6に入射される。このようにしてハーフミラー6に入射される戻り光は、前記1/4波長板8による位相変更動作によってP方向の直線偏光光に変更されている。従って、斯かる第2レーザー光の戻り光は前記ハーフミラー6にて反射されることはなく、制御用レーザー光として該ハーフミラー6を透過することになる。
【0030】
そして、第3光ディスクD3の信号記録層L3から反射された第3レーザー光の戻り光は、第2対物レンズ11、波長選択性素子12、コリメートレンズ9、1/4波長板8及び偏光ビームスプリッタ7を通してハーフミラー6に入射される。このようにしてハーフミラー6に入射される戻り光は、前記1/4波長板8による位相変更動作によってP方向の直線偏光光に変更されている。従って、斯かる第3レーザー光の戻り光は前記ハーフミラー6にて反射されることはなく、制御用レーザー光として該ハーフミラー6を透過することになる。
【0031】
14は前記ハーフミラー6を透過した制御用レーザー光が入射されるAS板であり、該ハーフミラー6にて生成される非点収差の大きさをフォーカスエラー信号を生成するために適した大きさになるように拡大する作用を成すとともに該ハーフミラー6にて発生するコマ収差を補正する作用を成すものである。斯かるAS板は、収差補正板と呼ばれる光学素子である。
【0032】
15は前記AS板14を通して制御用レーザー光が照射される光検出器であり、図5に示すような4分割センサー等が設けられており、メインビームの照射動作によって光ディスクの信号記録層に記録されている信号の読み出し動作に伴う信号生成動作及び非点収差法によるフォーカシング制御動作を行うためのフォーカスエラー信号生成動作、そして2つのサブビームの照射動作によってトラッキング制御動作を行うためのトラッキングエラー信号生成動作を行うように構成されている。斯かる各種の信号生成のための制御動作は、周知であるので、その説明は省略する。
【0033】
前述したようにレーザーダイオード1から放射される第1レーザー光の第1光ディスクD1の信号記録層L1までの往路、2波長レーザーダイオード3から放射される第2レーザー光の第2光ディスクD2の信号記録層L2までの往路及び2波長レーザーダイオード3から放射される第3レーザー光の第3光ディスクD3の信号記録層L3までの往路について比較すると、偏光ビームスプリッタ7から波長選択性素子12までの光路を兼用していることがわかる。
【0034】
そして、第1光ディスクD1の信号記録層L1から反射される第1レーザー光の戻り光の光検出器15までの復路、第2光ディスクD2の信号記録層L2から反射される第2レーザー光の戻り光の光検出器15までの復路及び第3光ディスクD3の信号記録層L3から反射される第3レーザー光の戻り光の光検出器15までの復路について比較すると、波長選択性素子12から光検出器15までの光路を兼用していることがわかる。
【0035】
図6に示した光ピックアップ装置は、レーザー光を光ディスクの信号記録層に導く往路及び光ディスクの信号記録層から反射される戻り光を光検出器15に導く復路を全てのレーザー光で兼用しているので、光学部品の数を減らすことが出来、その結果、製造価格を下げることが出来るだけでなく光ピックアップ装置を小型化することが出来るという利点を有している。
【0036】
前述した2波長レーザーダイオードは、一般に第2レーザー光を生成放射する第1レーザー素子と第3レーザー光を生成放射する第2レーザー素子とが110μm離間して配置されているので、第2レーザー光の光軸と第3レーザー光の光軸とがずれることになる。また、3つの異なる波長のレーザー光の戻り光が照射される光検出器15は、第2レーザー光用の受光部と第3レーザー光用の受光部とが光軸のずれに対応して別個に設けられているが、第3レーザー光用の受光部を第1レーザー光用の受光部と兼用するように一般に構成されている。
【0037】
図5は前述した光ピックアップ装置を構成する光検出器15に組み込まれる受光素子の配置例を示すものであり、第1レーザー光と第3レーザー光のメインビームの戻り光が照射される第1メインビーム用受光部M1、第1レーザー光と第3レーザー光のサブビームの戻り光が照射されるサブビーム用受光部S1、S2、そして第2レーザー光のメインビームの戻り光が照射される第2メインビーム用受光部M2が図示したように配置されている。
【0038】
光ピックアップ装置では、前述した第1メインビーム用受光部M1、サブビーム用受光部S1、S2及び第2メインビーム用受光部M2から得られる信号を利用して非点収差法及び差動プッシュプル法等によるフォーカス制御動作や3ビーム法及び位相差法等によるトラッキング制御動作を行うように構成されているが、斯かる動作は周知であるので、その説明は省略する。
【0039】
図4は従来の光検出器を示すものであり、(A)は平面図、(B)はその側面図である。同
図において、15Aは基台であり、図5に示したような受光部が組み込まれている受光素子Pが搭載されている。15Bは前記受光素子Pを被覆するとともに透光性樹脂にて構成されているカバーであり、モールド技術によって前記受光素子Pを被覆するように構成されている。
【0040】
斯かる構成において、光ディスクの信号記録層から反射される戻り光は、前記カバー15Bの上面である受光面15Cを通して前記受光素子Pに照射されるように構成されている。前述した光ピックアップ装置のように複数のレーザー光による信号の読み出し動作を行うことが出来るように構成された光ピックアップ装置では、光検出器15に組み込まれている受光素子Pに各レーザー光を正確に照射させることが非常に難しくなる。各レーザー光の戻り光を受光素子Pに正確に照射させるためには、十分な光量が必要であり、カバー15Bの厚さは、例えば0.3mmのように薄くされている。
【0041】
斯かる構成の光検出器において、製造時や修理を行うときにカバー15Bの受光面15Cを下にして作業台に載せると、該受光面15Bに傷が付くことになる。前記受光面15Bに傷が付くと、その傷によって戻り光が回折や散乱せしめられるので、受光素子Pに照射される戻り光の光量が不足するという問題が発生することになる。
【0042】
本発明は、光ピックアップ装置に組み込まれる光検出器が有する前述した問題を解決することが出来る光検出器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0043】
本発明は、光ディスクの信号記録層に照射されたレーザー光の反射光である戻り光が照射されるとともに該戻り光の光量に応じた信号を出力する受光素子が透光性樹脂より成るカバーにて被覆された光検出器において、戻り光が照射されるカバーの受光面を保護する保護用突部を該カバーに形成したことを特徴とするものである。
【0044】
また、本発明は、保護用突部をカバーに一体成形したことを特徴とするものである。
【0045】
そして、本発明は、保護用突部を受光素子に対応する受光面を囲むように円環状に形成したことを特徴とするものである。
【0046】
また、本発明は、保護用突部として複数の突部を形成したことを特徴とするものである。
【0047】
そして、本発明は、保護用突部が受光素子に対応する受光面の周囲に形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0048】
本発明は、光ディスクの信号記録層に照射されたレーザー光の反射光である戻り光が照射される受光素子を被覆するカバーの受光面に保護用の突部を形成したので、光検出器が作業台等に受光面を下にして載せられても受光面に傷が付くことはない。従って、本発明の光検出器によれば受光素子に照射される戻り光の光量が散乱や回折によって減少せしめられることはなく、フォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号の生成動作を正確に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る光検出器の実施例1を示す概略図である。
【図2】本発明に係る光検出器の実施例2を示す概略図である。
【図3】本発明に係る光検出器の実施例3を示す概略図である。
【図4】従来の光検出器を示す概略図である。
【図5】光検出器に組み込まれる受光素子の配置例を示す図である。
【図6】本発明に係る光ピックアップ装置の光学系を説明するための概略図である。
【図7】本発明に係る光ピックアップ装置の光学系を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
光ピックアップ装置におけるフォーカス制御動作を行うためのフォーカスエラー信号やトラッキング制御動作を行うためのトラッキングエラー信号を生成するために設けられる光検出器に関するものである。
【実施例1】
【0051】
図1は本発明の光検出器の一実施例であり、図4に示した光検出器と同一の作用を成す部品には同一の符号を付している。
【0052】
本実施例は、図1に示すように受光素子Pに対応する受光面15CCを囲むように円環状の保護用突部16を形成したことを特徴とするものである。斯かる保護用突部16は、カバー15Bをモールド成形する工程時に該カバー15Bと一体成形することが出来るが、別々に成形し、カバー15Bの受光面15Cに接着固定することも出来る。
【0053】
斯かる構成によれば、カバー15Bの受光面15Cより上方に突出した保護用突部16が設けられているので、光検出器15が受光面15Cを下にして作業台上に載せられても該受光面15Cが作業台に接触することはない。従って、カバー15Bの受光面15Cに傷が付くことはなく、光ディスクの信号記録層から反射される戻り光が前記受光面15Cにて散乱や回折されることはない。
【0054】
このように本発明の光検出器によれば、カバー15Bの受光面15Cを通して受光素子Pに照射される戻り光の光量が不足することはなく光ピックアップ装置におけるフォーカス制御動作及びトラッキング制御動作等を行うための光検出動作を正確に行うことが出来る。
【実施例2】
【0055】
図2は本発明の光検出器の一実施例であり、図4に示した光検出器と同一の作用を成す部品には同一の符号を付している。
【0056】
本実施例は、図2に示すように3つの円柱状の保護用突部17をカバー15Bの受光面15Cに形成したことを特徴とするものである。斯かる保護用突部17は、カバー15Bをモールド成形する工程時に該カバー15Bと一体成形することが出来るが、別々に成形し、カバー15Bの受光面15Cに接着固定することも出来る。
【0057】
斯かる構成によれば、カバー15Bの受光面15Cより上方に突出した保護用突部17が設けられているので、光検出器15が受光面15Cを下にして作業台上に載せられても該受光面15Cが作業台に接触することはない。従って、カバー15Bの受光面15Cに傷が付くことはなく、光ディスクの信号記録層から反射される戻り光が前記受光面15Cにて散乱や回折されることはない。
【0058】
このように本発明の光検出器によれば、カバー15Bの受光面15Cを通して受光素子Pに照射される戻り光の光量が不足することはなく光ピックアップ装置におけるフォーカス制御動作及びトラッキング制御動作等を行うための光検出動作を正確に行うことが出来る。
【0059】
また、本実施例では、3つの保護用突部17をカバー15Bの受光面15Cに形成したが、保護用突部17の数は3以上であれば良く、その数は限定されるものではない。また、斯かる保護用突部17は、受光素子Pに対応する受光面15CCを囲むように配置すれば良い。
【0060】
尚、本実施例では、保護用突部17の形状を円柱状にしたが、三角柱状や四角柱状にすることも出来る。
【実施例3】
【0061】
図3は本発明の光検出器の一実施例であり、図4に示した光検出器と同一の作用を成す部品には同一の符号を付している。
【0062】
本実施例は、図3に示すように一対のレール状の保護用突部18をカバー15Bの受光面15Cに形成したことを特徴とするものである。斯かる保護用突部18は、カバー15Bをモールド成形する工程時に該カバー15Bと一体成形することが出来るが、別々に成形し、カバー15Bの受光面15Cに接着固定することも出来る。
【0063】
斯かる構成によれば、カバー15Bの受光面15Cより上方に突出した保護用突部18が設けられているので、光検出器15が受光面15Cを下にして作業台上に載せられても該受光面15Cが作業台に接触することはない。従って、カバー15Bの受光面15Cに傷が付くことはなく、光ディスクの信号記録層から反射される戻り光が前記受光面15Cにて散乱や回折されることはない。
【0064】
このように本発明の光検出器によれば、カバー15Bの受光面15Cを通して受光素子Pに照射される戻り光の光量が不足することはなく光ピックアップ装置におけるフォーカス制御動作及びトラッキング制御動作等を行うための光検出動作を正確に行うことが出来る。
【0065】
また、本実施例では、一対の保護用突部18を平行に配置したが、必ずしも平行に配置する必要はない。一対の保護用突部18を受光素子Pに対応する受光面15CCを挟むように平行に配置させると該受光面15CCに埃が付着した場合の刷毛によるクリーニング作業を容易に行うことが出来るという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本説明では、3つのレーザー光によって規格が異なる複数の光ディスクに記録されている信号の読み出し動作を行うことが出来る光ピックアップ装置に組み込まれる光検出器に実施した場合について説明したが、1つのレーザー光によって1つの規格の光ディスクに記録されている信号の読み出し動作を行うように構成された光ピックアップ装置に実施した場合にも大きな効果を奏するものである。
【符号の説明】
【0067】
15 光検出器
15A 基台
15B カバー
15C 受光面
16 保護用突部
17 保護用突部
18 保護用突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクの信号記録層に照射されたレーザー光の反射光である戻り光が照射されるとともに該戻り光の光量に応じた信号を出力する受光素子が透光性樹脂より成るカバーにて被覆された光検出器であり、戻り光が照射されるカバーの受光面を保護する保護用突部を該カバーに形成したことを特徴とする光検出器。
【請求項2】
保護用突部をカバーに一体成形したことを特徴とする請求項1に記載の光検出器。
【請求項3】
保護用突部が受光素子に対応する受光面を囲む円環状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光検出器。
【請求項4】
保護用突部として複数の突部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の光検出器。
【請求項5】
保護用突部が受光素子に対応する受光面の周囲に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の光検出器。
【請求項6】
保護用突部として一対のレール状の突部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の光検出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−99166(P2012−99166A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243356(P2010−243356)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(504464070)三洋オプテックデザイン株式会社 (315)
【Fターム(参考)】