説明

光検出装置

【課題】光検出装置において、入射する光の照度に対するダイナミックレンジを拡大させる。
【解決手段】入射した光の照度に応じて生成される第1の電流を対数圧縮した電圧に変換することにより第1の電圧を生成する光電変換回路101と、第1の電圧の温度補償を行うことにより第2の電圧を生成し、第2の電圧を電流に変換することにより第2の電流を生成する温度補償回路102と、第2の電流に応じた発振周波数であるクロック信号を生成し、クロック信号のパルスを一定期間カウントし、一定期間におけるカウント値をデータとしたデジタル信号を生成するデジタル信号生成回路103と、を有する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁波を検知するための用途に用いられる測光装置は数多く知られており、例えば紫外線から赤外線にかけて感度を有するものは総括して光センサと呼ばれている。その中でも波長400nm〜700nmの可視光線領域に感度を持つものは特に可視光センサと呼ばれ、人間の生活環境に応じて照度調整や、オン状態またはオフ状態の制御などが必要な機器類に数多く用いられている。
【0003】
例えば表示装置は、光センサを用いることにより周囲の明るさを検出し、その表示輝度を調整することができる。周囲の明るさを検出し、適度な表示輝度を得ることにより視認性を向上させ、また表示装置の余分な電力を低減することができる。表示輝度調整のための光センサを有する表示装置としては、例えば携帯電話、表示部を有するコンピュータなどが挙げられる。また、表示装置は、光センサを用いることにより表示装置のバックライトの輝度を検出し、表示画面の輝度を調整することもできる。バックライトを有する表示装置としては、例えば液晶表示装置などが挙げられる。
【0004】
上記光センサを含む装置は、例えば光の検出部(センサ部ともいう)にフォトダイオードなどの光電変換素子を用い、光が光電変換素子に入射することにより光電変換素子に流れる電流の値に基づいて光の強度を検出することができる。特許文献1には電荷蓄積型の光センサについて、入射光量に応じてフォトダイオードから流れる電流によりコンデンサ(容量素子ともいう)に蓄積された電荷を定電流回路(定電流源ともいう)により放電させることで変化する電圧をアナログ信号としてコンパレータで検出し、コンパレータで検出した電圧の変化に要する時間からカウンタ回路及びラッチ回路を用いてデジタル信号を生成する構成について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−313840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の光検出装置は、照度に対するダイナミックレンジが狭いといった問題がある。これは照度が高くなるに従って生成される光電流も線形に増加し、さらに光電流の値が高くなるに従って出力電圧の値も線形に増加するためである。照度のダイナミックレンジが狭いと一定以上の照度範囲を超える光が光電変換素子に入射した場合、表示輝度を調整することができなくなる。
【0007】
例えばデジタル信号を生成する場合、デジタル信号はアナログ信号と比べてより多くのビット数が要求されるため、ダイナミックレンジが狭いという問題はより顕著になる。
【0008】
上記問題を鑑み、本発明では、入射する光の照度に対するダイナミックレンジを拡大させることを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一は、光が入射し、入射した光の照度に応じて生成される第1の電流を対数圧縮した電圧に変換することにより、第1の電圧を生成する光電変換回路と、第1の電圧の温度補償を行うことにより第2の電圧を生成し、第2の電圧を電流に変換することにより第2の電流を生成する温度補償回路と、第2の電流に応じた周波数で発振するクロック信号を生成し、クロック信号のパルスの数を一定期間カウントし、一定期間におけるカウント値をデータとしたデジタル信号を生成するデジタル信号生成回路と、を有する光検出装置である。
【0010】
本発明の一は、光電変換素子及び第1のダイオードを有し、光電変換素子に光が入射し、入射した光の照度に応じた値で生成される第1の電流を第1のダイオードを用いて対数圧縮した電圧に変換することにより第1の電圧を生成する光電変換回路と、第1の電圧の温度補償を行う温度補償回路と、デジタル信号生成回路と、を有し、温度補償回路は、抵抗素子及び第2のダイオードを有し、第2のダイオードにより抵抗素子に流れる電流を対数圧縮した電圧に変換することにより、基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、第1の電圧と基準電圧との差分に応じた値の第2の電圧を生成する演算回路と、第2の電圧を電流に変換することにより第2の電流を生成する出力回路と、を有し、デジタル信号生成回路は、第2の電流の値に応じた周波数で発振する第1のクロック信号を生成する第1のクロック信号生成回路と、一定の周波数で発振する第2のクロック信号を生成する第2のクロック信号生成回路と、第1のクロック信号のパルスの数をカウントする第1のカウンタ回路と、第2のクロック信号のパルスの数を一定の値までカウントすることにより第1のクロック信号のカウント期間を設定する第2のカウンタ回路と、第1のクロック信号のカウント値をデジタル信号のデータとして保持するラッチ回路と、を有する光検出装置である。
【0011】
なお、本発明の一において、第1のクロック信号生成回路は、第2の電流に応じてランプ波形信号を生成するランプ波形信号生成回路と、ランプ波形信号を整形することにより四角波信号を生成する波形整形回路と、四角波信号から第1のクロック信号を生成するバッファ回路と、を有する構成とすることもできる。
【0012】
また、本発明の一において、第2のクロック信号生成回路は、定電流を生成する電流源を有する定電流回路と、定電流に応じてランプ波形信号を生成するランプ波形信号生成回路と、ランプ波形信号を整形することにより四角波信号を生成する波形整形回路と、四角波信号から第2のクロック信号を生成するバッファ回路と、を有する構成とすることもできる。
【0013】
なお、本願の書類(明細書及び特許請求の範囲)において、トランジスタは、ゲート、ソース、及びドレインの少なくとも3つの端子を有する構造とする。例えば電界効果トランジスタを例にすると、ゲート電極の部分(ゲートとなる領域、導電層、及び配線などを含む)または、ゲート電極と電気的に接続されている部分の一部を含めてゲートという。また、ソース電極の部分(ソースとなる領域、導電層、及び配線などを含む)や、ソース電極と電気的に接続されている部分の一部を含めてソースという。また、ドレイン電極の部分(ドレインとなる領域、導電層、及び配線などを含む)や、ドレイン電極と電気的に接続されている部分の一部を含めてドレインという。
【0014】
また、本願の書類(明細書及び特許請求の範囲)において、トランジスタのソースとドレインは、トランジスタの構造や動作条件などによって変わるため、どちらがソースまたはドレインであるかを限定することが困難である。そこでソース及びドレインから任意に選択した一方の端子をソース及びドレインの一方と表記し、他方の端子をソース及びドレインの他方と表記する。
【0015】
なお、本願の書類(明細書及び特許請求の範囲)において、ダイオード(フォトダイオードを含む)はアノードとカソードの2つの電極を有する。そこでアノードを含む端子をダイオードの第1端子と表記し、カソードを含む端子をダイオードの第2端子と表記する。
【0016】
なお、一般的に電圧とは、2点間における電位の差(電位差ともいう)のことをいい、電位とは、ある一点における静電場の中にある単位電荷が持つ静電エネルギー(電気的な位置エネルギー)のことをいう。しかし、電子回路では、一点のみであっても、例えば該一点の電位と基準となる電位(基準電位ともいう)との電位差を値として用いることがあり、また、電圧と電位の値は、いずれもボルト(V)で表されるため、本願の書類(明細書及び特許請求の範囲)では、特に指定する場合を除き、一点のみであっても電圧を値として用いる場合がある。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によれば、光電変換回路により入射した光の照度に応じて生成された電流から対数圧縮した電圧を生成し、その電圧を温度補償回路により電流に変換し、変換した電流から対数圧縮した電圧に応じたデジタル信号を生成することで、入射する光の照度に対するダイナミックレンジを拡大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態1における光検出装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す光電変換回路の構成例を示す回路図である。
【図3】図1に示す温度補償回路の構成例を示すブロック図である。
【図4】図3に示す温度補償回路の構成例を示す回路図である。
【図5】図1に示すデジタル信号生成回路の構成例を示すブロック図である。
【図6】図5に示す第1のクロック信号生成回路の構成例を示す回路図である。
【図7】図6に示す第1のクロック信号生成回路の動作例を示すタイミングチャート図である。
【図8】図5に示す第2のクロック信号生成回路の構成を示す回路図である。
【図9】図1に示すデジタル信号生成回路の動作を示すタイミングチャート図である。
【図10】図3に示す第1のカウンタ回路における照度とカウンタ値の関係を示す図である。
【図11】実施の形態2における光検出装置の構成例を示す断面図である。
【図12】実施の形態2における光検出装置の作製方法例を示す断面図である。
【図13】実施の形態2における光検出装置の作製方法例を示す断面図である。
【図14】実施の形態2における光検出装置の作製方法例を示す断面図である。
【図15】実施の形態2における光検出装置の作製方法例を示す断面図である。
【図16】実施の形態2における光検出装置の作製方法例を示す断面図である。
【図17】実施の形態3における本発明の光検出装置を適用した電子機器の構成を示す模式図である。
【図18】実施の形態3における本発明の光検出装置を適用した電子機器の構成を示す模式図である。
【図19】実施の形態3における本発明の光検出装置を適用した電子機器の構成を示す模式図である。
【図20】実施の形態3における本発明の光検出装置を適用した電子機器の構成を示す模式図である。
【図21】実施の形態3における本発明の光検出装置を適用した電子機器の構成を示す模式図である。
【図22】実施の形態3における本発明の光検出装置を適用した電子機器の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではないとする。
【0020】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である光検出装置について説明する。
【0021】
まず本実施の形態における光検出装置の構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態における光検出装置の構成を示すブロック図である。
【0022】
図1に示す光検出装置は、光電変換回路101と、温度補償回路102と、デジタル信号生成回路103と、を有する。
【0023】
光電変換回路101は、外部から入射した光の照度に応じて第1の電流I101を生成し、生成した第1の電流I101を対数圧縮した電圧に変換し、第1の電圧V101を生成する機能を有する。
【0024】
温度補償回路102は、第1の電圧V101の温度補償を行い、温度補償により生成された電圧を電流に変換することにより第2の電流I102を生成する機能を有する。
【0025】
デジタル信号生成回路103は、第2の電流I102に応じた周波数で発振するクロック信号を生成し、クロック信号のパルスを一定期間カウントし、カウント値をデータとしてデジタル信号を生成する機能を有する。
【0026】
次に各回路の具体的な構成例について説明する。
【0027】
光電変換回路101の構成例について図2に示す。図2は図1に示す光電変換回路の構成例を示す回路図である。
【0028】
図2に示す光電変換回路101は、光電変換素子111と、カレントミラー回路112と、ダイオード113と、を有する。
【0029】
光電変換素子111は、光が入射することにより、光電流Iが流れる機能を有する。光電流Iの値は入射した光の照度に比例する。
【0030】
光電変換素子111としては、例えばPIN型のフォトダイオード、PN型のフォトダイオード、またはフォトトランジスタなどを用いることができる。本実施の形態では、一例として光電変換素子111にPIN型のフォトダイオードを用いる場合について説明する。光電変換素子111としてPIN型のフォトダイオードを用いることにより光の照射による空乏層の応答特性を高めることができる。具体的な構成について以下に説明する。
【0031】
光電変換素子111は、アノード側である第1端子がカレントミラー回路112に電気的に接続される。また光電変換素子111は、カソード側である第2端子に高電源電圧(Vddともいう)が与えられる。
【0032】
カレントミラー回路112は、光電流Iをもとに光電流Iと同じ方向に流れる電流を生成する機能を有する。具体的な構成例について以下に説明する。
【0033】
図2に示すカレントミラー回路112は、トランジスタ1121と、トランジスタ1122と、を有する。
【0034】
トランジスタ1121は、ゲートがトランジスタ1121のソース及びドレインの一方、及び光電変換素子111の第1端子に電気的に接続される。また、トランジスタ1121は、ソース及びドレインの他方に低電源電圧(Vssともいう)が与えられる。
【0035】
トランジスタ1122は、ゲートがトランジスタ1121のゲートに電気的に接続され、ソース及びドレインの一方がダイオード113に電気的に接続される。また、トランジスタ1122は、ソース及びドレインの他方に低電源電圧が与えられる。
【0036】
次にカレントミラー回路112における動作について説明する。
【0037】
まず光電流Iに応じてトランジスタ1121のドレインとソースの間に電流が流れる。さらにトランジスタ1121のゲートの電圧とトランジスタ1122のゲートの電圧が等しくなるため、トランジスタ1122のドレインとソースの間にも電流が流れる。
【0038】
なお、カレントミラー回路112は、トランジスタ1121またはトランジスタ1122のサイズまたは数を変えることにより生成する電流を増幅または減衰させる、若しくは生成する電流の数を増やすことができる。例えばトランジスタ1122を複数設け、それぞれのトランジスタ1122のソース同士及びドレイン同士が電気的に接続されることで、複数のトランジスタ1122が並列接続で電気的に接続された構成にすることにより、光電流Iより高い値の電流を生成することができる。
【0039】
また図1に示す光電変換回路101は、互いに増幅率または減衰率の異なる複数のカレントミラー回路112を設けた構成とすることもできる。この構成により、例えば一定の値より低照度のときには、生成する電流が光電流Iより高い値になるように増幅率または減衰率を設定したカレントミラー回路を用い、一定の値より高照度のときには、生成される電流が光電流Iと同程度、または光電流Iより低い値になるように増幅率または減衰率を設定したカレントミラー回路を用いるといったように、光電変換素子111に入射する光の照度に応じていずれかのカレントミラー回路を選択して用いることもできる。これにより光電変換素子111に入射した光が一定の値より低照度及び高照度のいずれの場合であっても高い分解能を得ることができる。
【0040】
なお、カレントミラー回路112は必ずしも設ける必要はないが、カレントミラー回路112を設けることにより、入射した光の照度が光電変換処理を行えないほど低い場合であっても、光電変換処理を行うために十分な電流を生成することができる。
【0041】
なお、本実施の形態における光電変換回路101において、カレントミラー回路112を設けた場合にはトランジスタ1122のドレインとソースの間に流れる電流が第1の電流I101となり、カレントミラー回路112を設けない場合には、光電変換素子111により生成される電流が第1の電流I101となる。
【0042】
ダイオード113としては、例えばPNダイオード、PINダイオードなどを用いることができる。また、ダイオード接続させたトランジスタなどを用いることもできる。図2に示す光電変換回路101では、一例としてダイオード113にPINダイオードを用いる場合について説明する。
【0043】
ダイオード113は、アノード側である第1端子に高電源電圧が与えられる。また、ダイオード113は、カソード側である第2端子がカレントミラー回路112におけるトランジスタ1122のソース及びドレインの一方に電気的に接続される。ダイオード113を設けることにより、第1の電流I101は、対数圧縮した電圧に変換される。このとき変換された電圧が第1の電圧V101となる。
【0044】
なお、カレントミラー回路112を設けない場合、ダイオード113の第2端子が光電変換素子111の第1端子に電気的に接続される構成とすることにより、図2に示す光電変換回路101と同様に本実施の形態の光電変換回路101として機能させることができる。
【0045】
次に図1に示す温度補償回路102の構成例について図3を用いて説明する。図3は図1に示す温度補償回路の構成例を示すブロック図である。
【0046】
図3に示す温度補償回路102は、基準電圧生成回路201と、増幅回路202と、増幅回路203と、演算回路204と、出力回路205と、を有する。
【0047】
基準電圧生成回路201は、定電圧である基準電圧Vref201を生成する機能を有する。
【0048】
増幅回路202は、基準電圧Vref201を増幅させる機能を有する。
【0049】
増幅回路203は、第1の電圧V101を増幅させる機能を有する。
【0050】
演算回路204は、第1の電圧V101と基準電圧Vref201の差分に応じた第2の電圧V102を生成する機能を有する。
【0051】
出力回路205は、第2の電圧V102を電流に変換することにより第2の電流I102を生成する機能を有する。
【0052】
次に各回路の具体的な構成例について説明する。
【0053】
基準電圧生成回路201、増幅回路202、増幅回路203、演算回路204、及び出力回路205の具体的な構成例について図4に示す。図4は、図3に示す温度補償回路の構成例を示す回路図である。
【0054】
図4に示す基準電圧生成回路201は、抵抗素子211と、カレントミラー回路212と、ダイオード213を有する。
【0055】
抵抗素子211は、第1端子に高電源電圧が与えられ、抵抗素子211の端子間には、抵抗素子211の抵抗値に応じた値の電流が流れる。なお、このとき流れる電流は定電流であることが好ましい。
【0056】
カレントミラー回路212は、抵抗素子211に流れる電流をもとに抵抗素子211に流れる電流と同じ方向に流れる電流を生成する機能を有する。
【0057】
カレントミラー回路212の構成としては、例えば図2の光電変換回路101におけるカレントミラー回路112に適用可能な構成のいずれかを適用することができる。また、カレントミラー回路212は必ずしも設ける必要はないが、カレントミラー回路212を設けることにより、もととなる電流(例えば抵抗素子211に流れる電流)と同じ電流、若しくは増幅または減衰させた電流を複数生成することができる。図4に示すカレントミラー回路212の具体的な構成について以下に説明する。
【0058】
図4に示すカレントミラー回路212は、トランジスタ2121と、トランジスタ2122を有する。
【0059】
トランジスタ2121は、ゲートがトランジスタ2121のソース及びドレインの一方、及び抵抗素子211の第2端子に電気的に接続される。また、トランジスタ2121は、ソース及びドレインの他方に低電源電圧が与えられる。
【0060】
トランジスタ2122は、ゲートがトランジスタ2121のゲートに電気的に接続され、ソース及びドレインの一方がダイオード213に電気的に接続される。また、トランジスタ2122は、ソース及びドレインの他方に低電源電圧が与えられる。
【0061】
次にカレントミラー回路212の動作について説明する。
【0062】
まず抵抗素子211に流れる電流に応じてトランジスタ2121のドレインとソースの間にも電流が流れる。さらにトランジスタ2121のゲートの電圧とトランジスタ2122のゲートの電圧が等しくなるため、トランジスタ2122のドレインとソースの間にも電流が流れる。
【0063】
ダイオード213としては、例えば図2の光電変換回路101におけるダイオード113に適用可能なものいずれかを用いることができ、ダイオード113に適用したものと同じ種類のものを用いることが好ましい。ダイオード213をダイオード113と同じ種類の素子にすることによりダイオード213とダイオード113の特性の差を小さくすることができ、より効果的な温度補償を行うことができる。本実施の形態では、一例としてダイオード213にPINダイオードを用いる場合について説明する。
【0064】
ダイオード213は、第1端子に高電源電圧が与えられる。また、ダイオード213は、第2端子がカレントミラー回路212におけるトランジスタ2122のソース及びドレインの一方に電気的に接続される。
【0065】
図4に示す基準電圧生成回路201では、トランジスタ2122のドレインとソースの間に流れる電流をダイオード213を用いて対数圧縮した電圧に変換することにより、基準電圧Vref201を生成する。またカレントミラー回路212を設けない場合には、抵抗素子211に流れる電流をダイオード213を用いて対数圧縮した電圧に変換することにより基準電圧Vref201を生成する。
【0066】
図4に示す増幅回路202は、トランジスタ221と、トランジスタ222と、を有する。
【0067】
トランジスタ221は、ゲートが基準電圧生成回路201におけるダイオード213の第2端子に電気的に接続される。また、トランジスタ221は、ソース及びドレインの一方に高電源電圧が与えられる。
【0068】
トランジスタ222は、ゲートが基準電圧生成回路201のカレントミラー回路212におけるトランジスタ2121のゲートに電気的に接続され、ソース及びドレインの一方がトランジスタ221のソース及びドレインの他方に電気的に接続される。また、トランジスタ222は、ソース及びドレインの他方に低電源電圧が与えられる。
【0069】
図4に示す増幅回路203は、トランジスタ231と、トランジスタ232と、を有する。
【0070】
トランジスタ231は、ゲートが光電変換回路101のカレントミラー回路112におけるトランジスタ1122のソース及びドレインの一方に電気的に接続される。また、トランジスタ231は、ソース及びドレインの一方に高電源電圧が与えられる。
【0071】
トランジスタ232は、ゲートが基準電圧生成回路201のカレントミラー回路212におけるトランジスタ2121のゲートに電気的に接続され、ソース及びドレインの一方がトランジスタ231のソース及びドレインの他方に電気的に接続される。また、トランジスタ232は、ソース及びドレインの他方に低電源電圧が与えられる。
【0072】
なお増幅回路202及び増幅回路203は必ずしも設ける必要はないが、増幅回路202及び増幅回路203を設けることにより安定した信号を生成することができる。
【0073】
図4に示す演算回路204は、抵抗素子241と、カレントミラー回路242と、抵抗素子243と、トランジスタ244と、カレントミラー回路245と、トランジスタ246と、容量素子247と、トランジスタ248と、トランジスタ249と、を有する。
【0074】
抵抗素子241は、第1端子に高電源電圧が与えられ、抵抗素子241の端子間には抵抗素子241の抵抗値に応じた電流が流れる。
【0075】
カレントミラー回路242の構成としては、例えば図2の光電変換回路101におけるカレントミラー回路112に適用可能な構成のいずれかを適用することができる。また、カレントミラー回路242は必ずしも設ける必要はないが、カレントミラー回路242を設けることにより、もととなる電流(例えば抵抗素子241に流れる電流)と同じ電流、若しくは増幅または減衰させた電流を複数生成することができる。カレントミラー回路242の具体的な構成について以下に説明する。
【0076】
カレントミラー回路242は、トランジスタ2421と、トランジスタ2422と、トランジスタ2423と、を有する。
【0077】
トランジスタ2421は、ゲートがトランジスタ2421のソース及びドレインの一方、及び抵抗素子241の第2端子に電気的に接続される。またトランジスタ2421は、ソース及びドレインの他方に低電源電圧が与えられる。
【0078】
トランジスタ2422は、ゲートがトランジスタ2421のゲートに電気的に接続され、ソース及びドレインの一方がトランジスタ246に電気的に接続される。またトランジスタ2422は、ソース及びドレインの他方に低電源電圧が与えられる。
【0079】
トランジスタ2423は、ゲートがトランジスタ2421のゲートに電気的に接続され、ソース及びドレインの一方がトランジスタ249に電気的に接続される。またトランジスタ2423は、ソース及びドレインの他方に低電源電圧が与えられる。
【0080】
次にカレントミラー回路242の動作について説明する。
【0081】
まず抵抗素子241に流れる電流に応じてトランジスタ2421のドレインとソースの間にも電流が流れる。さらにトランジスタ2421のゲートの電圧とトランジスタ2422のゲートの電圧が等しくなるため、トランジスタ2422のドレインとソースの間にも電流が流れる。さらにトランジスタ2421とトランジスタ2423のゲートの電圧が等しくなるため、トランジスタ2423のドレインとソースの間にも電流が流れる。
【0082】
抵抗素子243は、第1端子が増幅回路203におけるトランジスタ231のソース及びドレインの他方に電気的に接続される。なお、増幅回路203を設けない場合には、抵抗素子243は、第1端子が光電変換回路101のカレントミラー回路112におけるトランジスタ1122のソース及びドレインの一方に電気的に接続される。
【0083】
トランジスタ244は、ゲートが抵抗素子243の第2端子に電気的に接続され、ソース及びドレインの一方がカレントミラー回路245に電気的に接続され、ソース及びドレインの他方がカレントミラー回路242におけるトランジスタ2422のソース及びドレインの一方に電気的に接続される。
【0084】
カレントミラー回路245の構成としては、例えば図2の光電変換回路101におけるカレントミラー回路112に適用可能な構成のいずれかを適用することができる。具体的な構成について以下に説明する。
【0085】
図4に示すカレントミラー回路245は、トランジスタ2451と、トランジスタ2452と、を有する。
【0086】
トランジスタ2451はソース及びドレインの一方に高電源電圧が与えられる。また、トランジスタ2451は、ゲートがトランジスタ2451のソース及びドレインの他方、及びトランジスタ244のソース及びドレインの一方に電気的に接続される。なお、図4に示すトランジスタ2451はP型とする。
【0087】
トランジスタ2452は、ゲートがトランジスタ2451のゲートに電気的に接続される。また、トランジスタ2452は、ソース及びドレインの一方に高電源電圧が与えられる。なお、図4に示すトランジスタ2452はP型とする。
【0088】
次にカレントミラー回路245の動作について説明する。
【0089】
まずトランジスタ244がオン状態であるとき、トランジスタ2451のドレインとソースの間に電流が流れる。さらにトランジスタ2451のゲートの電圧とトランジスタ2452のゲートの電圧が等しくなるため、トランジスタ2452のドレインとソースの間にも電流が流れる。
【0090】
トランジスタ246は、ゲートが増幅回路202におけるトランジスタ221のソース及びドレインの他方に電気的に接続され、ソース及びドレインの一方がカレントミラー回路245におけるトランジスタ2452のソース及びドレインの他方に電気的に接続され、ソース及びドレインの他方がトランジスタ244のソース及びドレインの他方に電気的に接続される。
【0091】
容量素子247は、第1端子及び第2端子を有し、第1端子がトランジスタ246のソース及びドレインの一方に電気的に接続される。
【0092】
トランジスタ248は、ゲートがトランジスタ246のソース及びドレインの一方に電気的に接続され、ソース及びドレインの一方に高電源電圧が与えられ、ソース及びドレインの他方が容量素子247の第2端子に電気的に接続される。なお、図4に示す演算回路204においてトランジスタ248はP型とする。
【0093】
トランジスタ249は、ゲートがトランジスタ249のソース及びドレインの一方、トランジスタ248のソース及びドレインの他方、及び容量素子247の第2端子に電気的に接続される。
【0094】
図4に示す出力回路205は、トランジスタ251と、トランジスタ252と、カレントミラー回路253と、カレントミラー回路255と、を有する。
【0095】
トランジスタ251は、ゲートが演算回路204における容量素子247の第2端子に電気的に接続され、ソース及びドレインの一方がカレントミラー回路253に電気的に接続され、ソース及びドレインの他方が演算回路204における抵抗素子243の第2端子に電気的に接続される。
【0096】
トランジスタ252は、ゲートが演算回路204におけるトランジスタ249のソース及びドレインの他方に電気的に接続され、ソース及びドレインの一方がトランジスタ251のソース及びドレインの他方に電気的に接続される。また、トランジスタ252は、ソース及びドレインの他方に低電源電圧が与えられる。
【0097】
カレントミラー回路253としては、例えば図2の光電変換回路101におけるカレントミラー回路112に適用可能な構成のいずれかを適用することができる。具体的な構成について以下に説明する。
【0098】
図4に示すカレントミラー回路253は、トランジスタ2531と、トランジスタ2532と、を有する。
【0099】
トランジスタ2531は、ゲートがトランジスタ251のソース及びドレインの一方に電気的に接続され、ソース及びドレインの一方に高電源電圧が与えられ、ソース及びドレインの他方がトランジスタ2531のゲートに電気的に接続される。
【0100】
トランジスタ2532は、ゲートがトランジスタ2531のゲートに電気的に接続され、ソース及びドレインの一方に高電源電圧が与えられる。
【0101】
次にカレントミラー回路253の動作について説明する。
【0102】
トランジスタ251がオン状態であるとき、トランジスタ2531のドレインとソースの間に電流が流れる。さらにトランジスタ2531のゲートの電圧とトランジスタ2532のゲートの電圧が等しくなるため、トランジスタ2532のドレインとソースの間にも電流が流れる。
【0103】
カレントミラー回路255の構成としては、図2におけるカレントミラー回路112に適用可能な構成のいずれかを適用することができる。具体的な構成について以下に説明する。
【0104】
図4に示すカレントミラー回路255は、トランジスタ2551と、トランジスタ2552と、を有する。
【0105】
トランジスタ2551は、ゲートがトランジスタ2551のソース及びドレインの一方、及びトランジスタ2532のソース及びドレインの他方に電気的に接続される。また、トランジスタ2551は、ソース及びドレインの他方に低電源電圧が与えられる。
【0106】
トランジスタ2552は、ゲートがトランジスタ2551のゲートに電気的に接続され、ソース及びドレインの一方が図1に示すデジタル信号生成回路103に電気的に接続される。またトランジスタ2552は、ソース及びドレインの他方に低電源電圧が与えられる。
【0107】
次にカレントミラー回路255の動作について説明する。
【0108】
カレントミラー回路253におけるトランジスタ2532のソース及びドレインの他方の電圧に応じてトランジスタ2551のドレインとソースの間に電流が流れる。さらにトランジスタ2551のゲートの電圧とトランジスタ2552のゲートの電圧が等しくなるため、トランジスタ2552のドレインとソースの間にも電流が流れる。
【0109】
次にデジタル信号生成回路103の構成について図5を用いて説明する。図5は図1に示すデジタル信号生成回路の構成例を示すブロック図である。
【0110】
図5に示すデジタル信号生成回路103は、第1のクロック信号生成回路301と、第2のクロック信号生成回路302と、第1のカウンタ回路303と、第2のカウンタ回路304と、ラッチ回路305と、を有する。
【0111】
第1のクロック信号生成回路301は、第2の電流I102に応じた周波数で発振する第1のクロック信号CLKを生成する機能を有する。
【0112】
第2のクロック信号生成回路302は、一定の値の周波数で発振する第2のクロック信号CLKを生成する機能を有する。
【0113】
第1のカウンタ回路303は、第1のクロック信号生成回路301で生成された第1のクロック信号CLKのパルスの数をカウントする機能を有する。
【0114】
第2のカウンタ回路304は、第1のカウンタ回路303における第1のクロック信号CLKのパルスの数をカウントする期間を設定する機能を有する。具体的には、第2のカウンタ回路304は第2のクロック信号生成回路302で生成される第2のクロック信号CLKのパルスの数をカウントし、カウントした値(カウント値CNTともいう)に応じて第1のクロック信号CLKのパルスの数をカウントする期間を設定する機能を有する。
【0115】
ラッチ回路305は、第1のカウンタ回路303のカウント値CNTをデータとして保持する機能を有する。保持されたデータはデジタル信号である。
【0116】
第1のクロック信号生成回路301及び第2のクロック信号生成回路302は、例えば機能回路を用いて構成することができる。第1のクロック信号生成回路301及び第2のクロック信号生成回路302の構成例として以下に説明する。
【0117】
第1のクロック信号生成回路301の構成例を図6に示す。図6は図5に示す光検出装置における第1のクロック信号生成回路の構成例を示す回路図である。
【0118】
図6に示す第1のクロック信号生成回路301は、ランプ波形信号生成回路401と、波形整形回路402と、バッファ回路403と、を有する。
【0119】
ランプ波形信号生成回路401は、第2の電流I102に応じてランプ波である信号(ランプ波形信号ともいう)を生成する機能を有する。ランプ波とは一定の期間において出力電圧が線形である波形である。具体的な構成について以下に示す。
【0120】
図6に示すランプ波形信号生成回路401は、トランジスタ411と、トランジスタ412と、カレントミラー回路413と、カレントミラー回路414と、カレントミラー回路415と、容量素子416と、を有する。
【0121】
トランジスタ411は、ゲートがバッファ回路403に電気的に接続され、ソース及びドレインの一方がカレントミラー回路413に電気的に接続される。
【0122】
トランジスタ412は、ゲートがバッファ回路403に電気的に接続され、ソース及びドレインの一方がカレントミラー回路414に電気的に接続され、ソース及びドレインの他方がトランジスタ411のソース及びドレインの他方に電気的に接続される。
【0123】
カレントミラー回路413の構成としては、図2に示す光電変換回路101におけるカレントミラー回路112に適用可能な構成のいずれかを適用することができる。具体的な構成について以下に説明する。
【0124】
カレントミラー回路413は、トランジスタ4131と、トランジスタ4132と、を有する。なお、図6に示すカレントミラー回路413において、トランジスタ4131はP型とする。
【0125】
トランジスタ4131は、ゲートがトランジスタ411のソース及びドレインの一方に電気的に接続され、ソース及びドレインの一方に高電源電圧が与えられ、ソース及びドレインの他方がトランジスタ4131のゲートに電気的に接続される。
【0126】
トランジスタ4132は、ゲートがトランジスタ4131のゲートに電気的に接続され、ソース及びドレインの一方に高電源電圧が与えられ、ソース及びドレインの他方がカレントミラー回路415に電気的に接続される。
【0127】
カレントミラー回路414の構成としては、図2に示す光電変換回路101におけるカレントミラー回路112に適用可能な構成のいずれかを適用することができる。具体的な構成について以下に説明する。
【0128】
図6に示すカレントミラー回路414は、トランジスタ4141と、トランジスタ4142と、を有する。
【0129】
トランジスタ4141は、ゲートがトランジスタ412のソース及びドレインの一方に電気的に接続され、ソース及びドレインの一方に高電源電圧が与えられ、ソース及びドレインの他方がトランジスタ4141のゲートに電気的に接続される。
【0130】
トランジスタ4142は、ゲートがトランジスタ4141のゲートに電気的に接続され、ソース及びドレインの一方に高電源電圧が与えられ、ソース及びドレインの他方が波形整形回路402に電気的に接続される。
【0131】
カレントミラー回路415の構成としては、図2に示す光電変換回路101におけるカレントミラー回路112に適用可能な構成のいずれかを適用することができる。具体的な構成について以下に説明する。
【0132】
図6に示すカレントミラー回路415は、トランジスタ4151と、トランジスタ4152と、を有する。
【0133】
トランジスタ4151は、ゲートがトランジスタ4151のソース及びドレインの一方、及びカレントミラー回路413におけるトランジスタ4131のソース及びドレインの他方に電気的に接続される。また、トランジスタ4151は、ソース及びドレインの他方に低電源電圧が与えられる。
【0134】
トランジスタ4152は、ゲートがトランジスタ4151のゲートに電気的に接続され、ソース及びドレイン一方がカレントミラー回路414におけるトランジスタ4142のソース及びドレインの他方に電気的に接続される。また、トランジスタ4152は、ソース及びドレインの他方に低電源電圧が与えられる。
【0135】
容量素子416は、第1端子及び第2端子を有し、第1端子がカレントミラー回路414におけるトランジスタ4142のソース及びドレインの他方に電気的に接続される。また、容量素子416は、第2端子に低電源電圧が与えられる。
【0136】
波形整形回路402は、コンパレータ421と、コンパレータ422と、インバータ423と、インバータ424と、NOR回路425、NOR回路426と、を有する。
【0137】
コンパレータ421は、反転入力端子がランプ波形信号生成回路401における容量素子416の第1端子に電気的に接続される。また、コンパレータ421は、非反転入力端子に第1の基準電圧Vrefが与えられる。第1の基準電圧Vrefは以下の式で表される。
【数1】

【0138】
コンパレータ422は、非反転入力端子がコンパレータ421の反転入力端子に電気的に接続される。また、コンパレータ422は、反転入力端子に第2の基準電圧Vrefが与えられる。第2の基準電圧Vrefは以下の式で表される。
【数2】

【0139】
インバータ423は、入力端子がコンパレータ421の出力端子に電気的に接続される。
【0140】
インバータ424は、入力端子がコンパレータ422の出力端子に電気的に接続される。
【0141】
NOR回路425は、第1の入力端子がインバータ423の出力端子に電気的に接続される。
【0142】
NOR回路426は、第1の入力端子がNOR回路425の出力端子に電気的に接続され、第2の入力端子がインバータ424の出力端子に電気的に接続され、出力端子がNOR回路425の第2の入力端子に電気的に接続される。
【0143】
バッファ回路403は、インバータ431と、インバータ432と、インバータ433と、インバータ434と、インバータ435と、を有する。
【0144】
インバータ431は、入力端子が波形整形回路402におけるNOR回路425の出力端子に電気的に接続される。
【0145】
インバータ432は、入力端子が波形整形回路402におけるNOR回路426の出力端子に電気的に接続される。
【0146】
インバータ433は、入力端子がインバータ431の出力端子に電気的に接続され、出力端子がランプ波形信号生成回路401におけるトランジスタ411のゲートに電気的に接続される。
【0147】
インバータ434は、入力端子がインバータ432の出力端子に電気的に接続され、出力端子がランプ波形信号生成回路401におけるトランジスタ412のゲートに電気的に接続される。
【0148】
インバータ435は、入力端子がインバータ434の出力端子に電気的に接続される。
【0149】
次に図6に示す第1のクロック信号生成回路301の動作について図7を用いて説明する。図7は図6に示す第1のクロック信号生成回路の動作例を示すタイミングチャート図である。
【0150】
まずランプ波形信号生成回路401において、温度補償回路102で生成される第2の電流I102に応じて容量素子416が充電及び放電を繰り返すことによりランプ波形信号RMPが生成される。このときランプ波形信号RMPの周波数fRMPは、第2の電流I102、及び容量素子416の静電容量C、第1の基準電圧Vref、第2の基準電圧Vrefを用いて、下記式(3)で表される。生成されたランプ波形信号RMPは波形整形回路402に出力される。
【0151】
【数3】

【0152】
また、第2の電流I102は光電変換素子111で生成された光電流Iに比例するため、ランプ波形信号RMPの周波数fRMPは、光電流Iに比例することになる。よって、周波数fRMPと光電流Iの関係は、下記式(4)で表すことができる。式(4)において、Zは比例定数であり、増幅回路202の増幅率、およびランプ波形信号生成回路401を構成するトランジスタの電気的特性などにより決定される定数である。
【0153】
【数4】

【0154】
さらに生成されたランプ波形信号RMPは、波形整形回路402におけるコンパレータ421及びコンパレータ422に出力される。コンパレータ421では、ランプ波形信号RMPと第1の基準電圧Vrefとの比較結果に応じて出力信号CMPが生成される。さらに出力信号CMPをNOR回路425及びNOR回路426で一定期間保持することによりランプ波形信号RMPを四角波信号に整形される。
【0155】
さらに四角波信号をもとにバッファ回路403においてクロック信号が生成される。このとき生成されたクロック信号は、第1のクロック信号CLKとして、第1のカウンタ回路303に出力される。第1のクロック信号CLKの周波数とランプ波形信号RMPの周波数は等しい。つまり、式(4)で示したように、光電変換回路101において生成される光電流Iに比例する周波数で発振する第1のクロック信号CLKがバッファ回路403から出力される。以上が図7に示す第1のクロック信号生成回路301における動作である。
【0156】
次に第2のクロック信号生成回路302の構成例について説明する。
【0157】
第2のクロック信号生成回路302の構成例を図8に示す。図8は図5に示す第2のクロック信号生成回路302の構成例を示す回路図である。
【0158】
図8に示す第2のクロック信号生成回路302は、定電流回路501と、ランプ波形信号生成回路502と、波形整形回路503と、バッファ回路504と、を有する。
【0159】
定電流回路501は、一定の値の電流を生成する機能を有する。具体的な構成例について以下に説明する。
【0160】
図8に示す定電流回路501は、電流源511と、カレントミラー回路512と、を有する。
【0161】
電流源511は、第1端子及び第2端子を有し、一定の電流値である定電流を生成する機能を有する。また、電流源511は、第1端子に高電源電圧が与えられる。
【0162】
カレントミラー回路512の構成としては、図2におけるカレントミラー回路112に適用可能な構成のいずれかを適用することができる。具体的な構成について以下に説明する。
【0163】
カレントミラー回路512は、トランジスタ5121と、トランジスタ5122と、を有する。
【0164】
トランジスタ5121は、ゲートがトランジスタ5121のソース及びドレインの一方及び電流源511の第2端子に電気的に接続される。また、トランジスタ5121は、ソース及びドレインの他方に低電源電圧が与えられる。
【0165】
トランジスタ5122は、ゲートがトランジスタ5121のゲートに電気的に接続され、ソース及びドレインの一方がランプ波形信号生成回路502に電気的に接続される。また、トランジスタ5122は、ソース及びドレインの他方に低電源電圧が与えられる。
【0166】
なお、カレントミラー回路512は必ずしも設ける必要はないが、カレントミラー回路512を設けることにより、もととなる電流(例えば電流源511に流れる電流)と同じ電流、若しくは増幅または減衰させた電流を複数生成することができる。
【0167】
ランプ波形信号生成回路502は、図6におけるランプ波形信号生成回路401と同様の機能を有する。具体的な構成について以下に示す。
【0168】
図8に示すランプ波形信号生成回路502は、トランジスタ521と、トランジスタ522と、カレントミラー回路523と、カレントミラー回路524と、カレントミラー回路525と、容量素子526と、を有する。
【0169】
トランジスタ521は、ゲートがバッファ回路504に電気的に接続され、ソース及びドレインの一方がカレントミラー回路523に電気的に接続され、ソース及びドレインの他方が定電流回路501のカレントミラー回路512におけるトランジスタ5122のソース及びドレインの一方に電気的に接続される。
【0170】
トランジスタ522は、ゲートがバッファ回路504に電気的に接続され、ソース及びドレインの一方がカレントミラー回路524に電気的に接続され、ソース及びドレインの他方がトランジスタ521のソース及びドレインの他方に電気的に接続される。
【0171】
カレントミラー回路523の構成としては、図2に示す光電変換回路101におけるカレントミラー回路112に適用可能な構成のいずれかを適用することができる。具体的な構成について以下に説明する。
【0172】
カレントミラー回路523は、トランジスタ5231と、トランジスタ5232と、を有する。トランジスタ5231は図6に示すカレントミラー回路413におけるトランジスタ4131に相当し、トランジスタ5232は図6に示すカレントミラー回路413におけるトランジスタ4132に相当するため、具体的な構成については、トランジスタ4131及びトランジスタ4132の説明を適宜援用する。
【0173】
カレントミラー回路524の構成としては、図2に示す光電変換回路101におけるカレントミラー回路112に適用可能な構成のいずれかを適用することができる。具体的な構成について以下に説明する。
【0174】
図8に示すカレントミラー回路524は、トランジスタ5241と、トランジスタ5242と、を有する。
【0175】
トランジスタ5241は、図6に示すカレントミラー回路414におけるトランジスタ4141に相当し、トランジスタ5242は、図6に示すカレントミラー回路414におけるトランジスタ4142に相当するため、具体的な構成については、トランジスタ4141及びトランジスタ4142の説明を適宜援用する。
【0176】
カレントミラー回路525の構成としては、図2に示す光電変換回路101におけるカレントミラー回路112に適用可能な構成のいずれかを適用することができる。具体的な構成について以下に説明する。
【0177】
図8に示すカレントミラー回路525は、トランジスタ5251と、トランジスタ5252と、を有する。
【0178】
トランジスタ5251は、図6に示すカレントミラー回路415におけるトランジスタ4151に相当し、トランジスタ5252は、図6に示すカレントミラー回路415におけるトランジスタ4152に相当するため、具体的な構成については、トランジスタ4151及びトランジスタ4152の説明を適宜援用する。
【0179】
容量素子526は図6における容量素子416に相当するため、具体的な構成については容量素子416の説明を適宜援用する。
【0180】
波形整形回路503は、コンパレータ531と、コンパレータ532と、インバータ533と、インバータ534と、NOR回路535と、NOR回路536と、を有する。
【0181】
波形整形回路503は、図6に示す波形整形回路402に相当し、さらにコンパレータ531はコンパレータ421に相当し、コンパレータ532はコンパレータ422に相当し、インバータ533はインバータ423に相当し、インバータ534はインバータ424に相当し、NOR回路535はNOR回路425に相当し、NOR回路536はNOR回路426に相当するため、具体的な構成については、波形整形回路402の説明を適宜援用する。
【0182】
バッファ回路504は、インバータ541と、インバータ542と、インバータ543と、インバータ544と、インバータ545と、を有する。またバッファ回路504は、図6に示すバッファ回路403に相当し、さらにインバータ541はインバータ431に相当し、インバータ542はインバータ432に相当し、インバータ543はインバータ433に相当し、インバータ544はインバータ434に相当し、インバータ545はインバータ435に相当するため、具体的な構成については、バッファ回路403の説明を適宜援用する。
【0183】
次に図8に示す第2のクロック信号生成回路302の動作について説明する。
【0184】
まず定電流回路501において、電流源511により生成される電流をもとにカレントミラー回路512において増幅または減衰された電流が生成され、増幅または減衰された電流がランプ波形信号生成回路502に流れる。
【0185】
ランプ波形信号生成回路502では、定電流回路501により生成された電流に応じて容量素子526が充電及び放電を繰り返すことによりランプ波形信号RMPが生成される。具体的な動作については、図6に示すランプ波形信号生成回路401と同様であるため、図6に示すランプ波形信号生成回路401の説明を適宜援用する。
【0186】
さらにランプ波形信号RMPが波形整形回路503において整形されることにより四角波信号が生成される。波形整形回路503の具体的な動作については図6に示す波形整形回路402と同じであるため、波形整形回路402の説明を適宜援用する。
【0187】
さらに四角波信号はバッファ回路504に出力され、バッファ回路504においてクロック信号が生成される。このとき生成されたクロック信号は、第2のクロック信号CLKとして図5における第2のカウンタ回路304に出力される。なお、バッファ回路504の具体的な動作についてはバッファ回路403と同じであるため、バッファ回路403の説明を適宜援用する。
【0188】
以上のように第2のクロック信号CLKを生成することができる。
【0189】
次に本実施の形態における光検出装置の動作例について説明する。
【0190】
まず図2に示す光電変換回路101における動作について説明する。
【0191】
図2に示す光電変換回路101では、光電変換素子111に光が入射すると、光電変換素子111において、入射した光の照度に応じて光電流Iが生成され、光電流Iに応じてカレントミラー回路112におけるトランジスタ1122のドレインとソースの間に電流が流れる。さらにトランジスタ1122のドレインとソースの間に流れる電流は、ダイオード113により対数圧縮した電圧に変換される。対数圧縮された電圧を第1の電圧V101とする。第1の電圧V101の値は以下のように求めることができる。
【0192】
まずダイオード113の電圧−電流特性は式(5)で表される。
【0193】
【数5】

【0194】
113は、ダイオード113に流れる電流であり、ダイオード113の両端の電圧V113は、ダイオード113に電流が流れることにより誘起される電圧である。
【0195】
なおここでは、便宜のためトランジスタ1121のドレインとソースの間に流れる電流とトランジスタ1122のドレインとソースの間に流れる電流とが同じ値であるとして説明する。
【0196】
式(5)において、Isは逆方向飽和電流、qは電荷素量[C]、kはボルツマン定数[J・K−1]、Tは温度[K]である。なお、逆方向飽和電流Isは温度の項を含む関数であり、式(6)で表される。
【0197】
【数6】

【0198】
式(6)において、Aは定数、Eはバンドギャップエネルギー[J]である。
【0199】
式(5)において、qV113/kTが1より十分大きいとし、式(5)をV113について解くと、式(7)が得られる。
【0200】
【数7】

【0201】
また、第1の電圧V101は、式(8)で表される。
【0202】
101=Vdd−V113 式(8)
【0203】
また、カレントミラー回路112を有する場合I113は、式(9)で表すことができる。
【0204】
113=I×n 式(9)
【0205】
式(9)において、Iは光電変換素子111の光電流、nはカレントミラー回路112の倍率を表している。
【0206】
以上のように、光電変換回路101で生成された第1の電圧V101は光電流Iを対数圧縮した値に比例した値になる。以上が光電変換回路101における動作である。
【0207】
次に温度補償回路102における動作について説明する。
【0208】
基準電圧生成回路201では基準電圧Vref201が生成される。具体的には、抵抗素子211に流れる電流に応じてカレントミラー回路212におけるトランジスタ2122のドレインとソースの間に電流が流れる。さらにトランジスタ2122のドレインとソースの間に流れる電流はダイオード213によって対数圧縮した電圧に変換される。このとき対数圧縮された電圧が基準電圧Vref201となる。基準電圧Vref201は以下のように求めることができる。
【0209】
まずダイオード213の電圧−電流特性は式(10)で表される。
【0210】
【数8】

【0211】
なおここでは、便宜のためトランジスタ2121のドレインとソースの間に流れる電流とトランジスタ2122のドレインとソースの間に流れる電流とが同じ値であるとして説明する。
【0212】
式(10)において、Isは逆方向飽和電流、qは電荷素量[C]、kはボルツマン定数[J・K−1]、Tは温度[K]である。なお、逆方向飽和電流Isは温度の項を含む関数であり、式(6)で表される。
【0213】
式(10)において、qV213/kTが1より十分大きいとし、式(10)をV213について解くと、式(11)が得られる。
【0214】
【数9】

【0215】
また、基準電圧Vref201は、式(12)で表される。
【0216】
Vref201=Vdd−V213 式(12)
【0217】
また、カレントミラー回路112を有する場合I113は、式(13)で表すことができる。
【0218】
213=I211×m 式(13)
【0219】
式(13)において、I211は抵抗素子211に流れる電流、mはカレントミラー回路212の倍率を表している。
【0220】
以上のように、基準電圧Vref201は抵抗素子211に流れる電流を対数圧縮した値に比例した値になる。
【0221】
基準電圧生成回路201で生成された基準電圧Vref201は増幅回路202において増幅される。具体的には、トランジスタ221のゲートの電圧が基準電圧Vref201と同等の値になり、トランジスタ221のゲートの電圧に応じてトランジスタ221のソース及びドレインの他方の電圧は、基準電圧Vref201からトランジスタ221のゲートとソースの間に印加される電圧を引いた値、すなわちVref201−Vgs221になる。このときトランジスタ221のソース及びドレインの他方の電圧を、増幅された基準電圧Vref201とする。
【0222】
また、光電変換回路101で生成された第1の電圧V101は増幅回路203において増幅される。具体的には、トランジスタ231のゲートの電圧が第1の電圧V101と同等の値になり、トランジスタ231のゲートの電圧に応じてトランジスタ231のソース及びドレインの他方の電圧は、第1の電圧V101からトランジスタ231のゲートとソースの間に印加される電圧を引いた値、すなわちV101−Vgs231になる。このときトランジスタ231のソース及びドレインの他方の電圧を増幅された第1の電圧V101とする。
【0223】
さらに演算回路204において、第1の電圧V101と基準電圧Vref201の差分に応じて第2の電圧V102が生成される。具体的には、演算回路204において、トランジスタ246のゲートの電圧が増幅回路202で増幅された基準電圧Vref201と同等の値になる。一方、演算回路204により、トランジスタ244のゲートの電圧が、トランジスタ246のゲートの電圧と同等になる。ただし、演算回路204の性質上、トランジスタ244のゲートの電圧と、トランジスタ246のゲートの電圧が、厳密には同等とならないこともある。なお、以下では、理解を容易にするため、トランジスタ244のゲート電圧が、トランジスタ246のゲート電圧と同等となることを前提として説明する。
【0224】
上記により、抵抗素子243には、トランジスタ244のゲートの電圧と、増幅回路203で増幅された基準電圧Vref201の差分の電圧が印加されることとなる。従って、抵抗素子243に印加された電圧を、抵抗素子243の抵抗値で割った値が、抵抗素子243に流れる電流となる。
【0225】
ここで、トランジスタ251がオン状態になり、且つトランジスタ252がオフ状態の場合、抵抗素子243に流れる電流は、トランジスタ2531とトランジスタ251のドレインとソースの間に流れる電流と同等である。厳密には、抵抗素子243に流れる電流は、トランジスタ2531のドレインとソースの間に流れる電流に、トランジスタ252のドレインとソースの間のオフ電流を引いた電流になる。
【0226】
一方、トランジスタ251がオフ状態になり、且つトランジスタ252がオン状態の場合、抵抗素子243に流れる電流は、トランジスタ252のドレインとソースの間に流れる電流と同等である。厳密には、抵抗素子243に流れる電流は、トランジスタ252のドレインとソースの間に流れる電流に、トランジスタ251のドレインとソースの間のオフ電流を引いた電流になる。
【0227】
トランジスタ251がオン状態になり、且つトランジスタ252がオフ状態の場合、トランジスタ2531に流れる電流が、カレントミラー回路253により増幅され、トランジスタ2532のドレインとソースの間に電流が生成される。
【0228】
トランジスタ2532のドレインとソースの間に流れる電流が、トランジスタ2551のドレインとソースの間に流入し、その電流がカレントミラー回路255により増幅されることにより、トランジスタ2552のドレインとソースの間に電流が生成される。以下、この電流を、第2の電流I102と呼称する。
【0229】
トランジスタ251がオフ状態になり、且つトランジスタ252がオン状態の場合、トランジスタ2531に電流は流れず、トランジスタ2532のドレインとソースの間にも電流は生成されない。
【0230】
トランジスタ244は、ゲートの電圧に応じてオン状態になり、トランジスタ244がオン状態であるとき、トランジスタ244のドレインとソースの間に電流が流れ、カレントミラー回路245におけるトランジスタ2451のドレインとソースの間にも電流が流れる。さらにトランジスタ2451のゲートの電圧とトランジスタ2452のゲートの電圧が等しくなるため、トランジスタ2452のドレインとソースの間にも電流が流れる。
【0231】
また、トランジスタ246は、ゲートの電圧に応じてオン状態になり、トランジスタ246がオン状態であるとき、トランジスタ246のドレインとソースの間に電流が流れる。このときトランジスタ246のソース及びドレインの一方の電圧は、トランジスタ246のドレインとソースの間に流れる電流に応じた値となる。さらにトランジスタ246のソース及びドレインの一方の電圧に応じた値の電荷が容量素子247に蓄積される。
【0232】
さらにトランジスタ248は、ゲートの電圧がトランジスタ246のソース及びドレインの一方の電圧と同等の値になる。トランジスタ248は、ゲートの電圧に応じてオン状態になり、トランジスタ248がオン状態であるときトランジスタ248のソース及びドレインの他方の電圧を第2の電圧V102とする。また、トランジスタ249のソース及びドレインの他方の電圧は、トランジスタ248のソース及びドレインの他方の電圧からトランジスタ249のゲートとソースの間の電圧Vgs249を引いた値、すなわちV102−Vgs249となる。
【0233】
さらに温度補償回路102では、出力回路205において第2の電圧V102が電流に変換され、第2の電流I102が生成される。具体的な動作について以下に説明する。
【0234】
トランジスタ251においてゲートの電圧が第2の電圧V102と同等の値になり、トランジスタ252のゲートの電圧がV102−Vgs249と同等の値になる。このときトランジスタ251及びトランジスタ252は、ゲートの電圧に応じて一方がオン状態になり、他方がオフ状態になる。それぞれの場合について以下に説明する。
【0235】
トランジスタ251がオン状態であり、トランジスタ252がオフ状態であるとき、トランジスタ251のゲートの電圧に応じてトランジスタ251のドレインとソースの間に電流が流れ、さらにトランジスタ251のドレインとソースの間に流れる電流に応じてカレントミラー回路253におけるトランジスタ2532のドレインとソースの間にも電流が流れる。このときトランジスタ2532のドレインとソースの間に流れる電流は第1の電流I101に応じた値、すなわち光電変換回路101に入射した光の照度に応じた値となる。
【0236】
さらにトランジスタ2532のソース及びドレインの他方の電圧に応じてトランジスタ2552のドレインとソースの間に電流が流れる。このときトランジスタ2552に流れる電流を第2の電流I102とする。
【0237】
さらにトランジスタ251のドレインとソースの間に電流が流れることにより、演算回路204において、抵抗素子243に応じた電流が流れ、トランジスタ244のゲートの電圧が変化する。これによりトランジスタ244のゲートの電圧を演算回路204のオフセット分だけ補正することができる。
【0238】
また、トランジスタ251がオフ状態であり、トランジスタ252がオン状態であるとき、トランジスタ252のゲートの電圧に応じてトランジスタ252のドレインとソースの間に電流が流れる。しかしカレントミラー回路253に電流が流れないため、カレントミラー回路255にも電流が流れない。
【0239】
次に図1に示すデジタル信号生成回路103における動作について図9を用いて説明する。図9は図1に示すデジタル信号生成回路の動作を示すタイミングチャート図である。
【0240】
第1のクロック信号生成回路301で生成される第1のクロック信号CLKは、温度補償回路102で生成された第2の電流I102に応じた周波数であり、第1のクロック信号CLKの周波数をf301とすると、f301=Z×I102(Zは比例定数)が成り立つ。
【0241】
また、第2のクロック信号生成回路302で生成される第2のクロック信号CLKは、基準クロック信号として機能し、定電流をIcとし、第2のクロック信号CLKの周波数をf302とすると、f302=Z×Ic(Zは比例定数)が成り立つ。
【0242】
期間tにおいて、リセット信号RSTがハイ状態になり、第1のカウンタ回路303の第1のカウント値CNT及び第2のカウンタ回路304の第2のカウント値CNTがリセットされ、0になる。
【0243】
次に期間tになると、リセット信号RSTはロウ状態になり、第1のカウンタ回路303では第1のクロック信号CLKのパルスの数のカウントアップが開始され、また第2のカウンタ回路304では第2のクロック信号CLKのパルスの数のカウントアップが開始される。
【0244】
次に第2のカウント値CNTが所定の値になる期間tにおいて、期間tから期間tまでの第1のカウント値CNTのデータがデジタル信号DTLとしてラッチ回路305に保持される。図9に示すタイミングチャートでは一例として第2のカウント値CNTが8になったときの第1のカウント値CNT、すなわち15のデータがデジタル信号DTLとしてラッチ回路305に保持されるように設定されているが、これに限定されず他のカウント値に設定することもできる。
【0245】
さらに期間tになると、リセット信号RSTがハイ状態になり、第1のカウント値CNT及び第2のカウント値CNTが再びリセットされ、0になる。以上がデジタル信号生成回路103における動作である。
【0246】
ここで照度と第1のカウンタ回路303のカウント値の関係について図10を用いて説明する。図10は、図3に示す第1のカウンタ回路における照度とカウント値との関係を示す図である。図10に示すように、図3に示す第1のカウンタ回路303は、照度が高くなるにつれてカウント値も大きくなる、いわゆる右上がり型の照度−カウント値の関係であることがわかる。
【0247】
以上のように、本実施の形態の光検出装置は、入射した照度に応じて生成された電流から対数圧縮した電圧を生成することができ、また、対数圧縮した電圧に応じた値のデジタル信号を生成することができる。よって、照度に対するダイナミックレンジを拡大させることができる。
【0248】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態1に示した光検出装置の構成及び作製方法について説明する。
【0249】
まず、本実施の形態における光検出装置の構成について図11を用いて説明する。図11は、本実施の形態における光検出装置の構成を示す断面模式図である。なお、図11に示す光検出装置は、便宜のため、一部または全部において実際とは異なる寸法を用いて図示している。
【0250】
図11に示す光検出装置は、基板901と、下地膜902と、半導体層9031、ゲート絶縁膜9032、及びゲート電極9033を有するトランジスタと、層間膜904と、電極9051と、電極9052と、電極9053と、樹脂層906と、層間膜907と、電極908と、P型半導体層991、高抵抗半導体層992、及びN型半導体層993を有する光電変換層と、層間膜910と、電極9111と、電極9112と、パッシベーション膜912と、樹脂層913と、電極9141と、電極9142と、を有する。
【0251】
基板901としては、例えばガラス基板、石英基板、または可撓性基板などを用いることもできる。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブルであるともいう)基板のことであり、可撓性基板としては、例えばポリカーボネート、ポリアリレート、またポリエーテルスルフォンなどからなるプラスチック基板などが挙げられる。また、基板901としては、貼り合わせフィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる)、繊維状な材料からなる紙、基材フィルム(ポリエステル、ポリアミド、無機蒸着フィルム、紙類等)などを用いることもできる。
【0252】
下地膜902は、基板901上に設けられる。例えば酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、または窒素を含む酸化シリコン膜などを用いることができる。また下地膜902は、上記に挙げたシリコン膜を積層して設けることもできる。なお下地膜902は必ずしも設ける必要はないが、下地膜902を設けることにより、例えば基板901からアルカリ金属などの不純物が拡散するのを抑制することができる。また下地膜902を設ける場合には、基板901としてシリコン基板、金属基板、またはステンレス基板などを用いることもできる。
【0253】
半導体層9031は、下地膜902上に選択的に設けられる。なお下地膜902を設けない場合には、基板901上に選択的に設けられる。また、半導体層9031には一対の不純物領域931が設けられる。一対の不純物領域931は、ソースまたはドレインの一部として機能し、N型の導電型を有する不純物元素(N型不純物元素ともいう)、またはP型の導電型を有する不純物元素(P型不純物元素ともいう)を半導体層9031に添加することにより設けられる。また、不純物濃度の異なる複数の領域を設けて不純物領域とすることもできる。このとき相対的に不純物濃度の低い領域を低濃度不純物領域(LDD:Lightly Doped Drain領域ともいう)という。LDD領域を設けることにより局所的な電界の集中を抑制することができる。半導体層9031としては、例えば非晶質シリコン、微結晶(マイクロクリスタルともいう)シリコン、単結晶シリコン、または多結晶シリコンなどの半導体層を用いることができる。
【0254】
ゲート絶縁膜9032は、半導体層9031上に設けられる。ゲート絶縁膜9032としては、例えば窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒素を含む酸化シリコン膜などを用いることができる。
【0255】
ゲート電極9033は、半導体層9031上の部分のゲート絶縁膜9032上に設けられる。ゲート電極9033としては、例えばチタン、タングステン、タンタル、モリブデン、ネオジム、コバルト、ジルコニウム、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、アルミニウム、金、銀、及び銅のいずれかから選ばれた元素、若しくは上記に挙げた元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料、または上記に挙げた元素の窒化物などを用いることができる。また、ゲート電極9033は、上記に挙げた材料を積層して設けることもでき、例えば1層目の電極の一部の上に2層目の電極を積層してゲート電極9033とすることもできる。この構成によりホットキャリアによる劣化を抑制することができる。また、ゲート電極9033は、不純物領域931上、例えばLDD領域を設けた場合にはLDD領域上の部分のゲート絶縁膜9032上まで延伸させて設けることができる。
【0256】
層間膜904は、ゲート電極9033及びゲート絶縁膜9032上に設けられる。層間膜904としては、例えば酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、または窒素を含む酸化シリコン膜などを用いることができる。また上記に挙げたシリコン膜を積層して層間膜904とすることもできる。
【0257】
電極9051は、層間膜904に設けられた開口部を介してゲート電極9033に接する。電極9052は、ゲート絶縁膜9032及び層間膜904に設けられた開口部を介して半導体層9031における一対の不純物領域931のいずれか一方に接するように設けられ、電極9053は、ゲート絶縁膜9032及び層間膜904に設けられた開口部を介して半導体層9031における一対の不純物領域931のいずれか他方に接するように設けられる。電極9051乃至電極9053としては、例えばチタン、タングステン、タンタル、モリブデン、ネオジム、コバルト、ジルコニウム、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、アルミニウム、金、銀、及び銅のいずれかから選ばれた元素、若しくは上記に挙げた元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料、または上記に挙げた元素の窒化物などを用いることができる。また、電極9051乃至電極9053は、上記に挙げた材料を積層して設けることもできる。
【0258】
樹脂層906は、平坦化膜として機能し、層間膜904、電極9051、電極9052、及び電極9053の上に選択的に設けられる。図11に示す光検出装置では、トランジスタ上及び上部に電極9141及び電極9142が設けられる部分に設けられる。このとき樹脂層906は、断面において端部が曲線状であることが好ましい。曲線状にすることにより、樹脂層906上に設けられる膜のカバレッジを向上させることができる。樹脂層906としては、ポリイミド(polyimide)、芳香族ポリアミド、ポリベンゾイミダゾール(polybenzimidazole)などの耐熱性高分子、又はシロキサン樹脂を用いることができる。また、樹脂層906としては、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、またはウレタン樹脂などの樹脂材料を用いることができる。
【0259】
層間膜907は、樹脂層906上、並びに層間膜904、電極9051、電極9052、または電極9053の樹脂層906が設けられていない部分の上に設けられる。層間膜907としては、例えば酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、または窒素を含む酸化シリコン膜などを用いることができる。また上記に挙げたシリコン膜を積層して層間膜907とすることもできる。また上記に挙げたシリコン膜を設け、シリコン膜上にTEOS(テトラエチルオルトシリケート)を用いて形成した酸化シリコン膜を積層して層間膜907とすることもできる。
【0260】
電極908は、層間膜907に設けられた開口部を介して電極9052に接する。電極908としては、例えばチタン、タングステン、タンタル、モリブデン、ネオジム、コバルト、ジルコニウム、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、アルミニウム、金、銀、及び銅のいずれかから選ばれた元素、若しくは上記に挙げた元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料、または上記に挙げた元素の窒化物などを用いることができる。また、電極908は、上記に挙げた材料を積層して設けることもできる。
【0261】
P型半導体層991は、電極908の端部に接するように設けられ、高抵抗半導体層992は、P型半導体層991上に設けられ、N型半導体層993は、高抵抗半導体層992上に設けられる。高抵抗半導体層992は、P型半導体層991及びN型半導体層993より抵抗の高い半導体層である。このときP型半導体層991に接する電極908の端部は、テーパ状であることが好ましい。テーパ状にすることにより、P型半導体層991のカバレッジを向上させることができる。
【0262】
層間膜910は、層間膜907、電極908、及び光電変換層上に設けられる。層間膜910としては、例えば酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、または窒素を含む酸化シリコン膜などを用いることができる。また上記に挙げたシリコン膜を積層して層間膜910とすることもできる。また上記に挙げたシリコン膜を設け、シリコン膜上にTEOS(テトラエチルオルトシリケート)を用いて形成した酸化シリコン膜を積層して層間膜910とすることもできる。
【0263】
電極9111は、層間膜910に設けられた開口部を介して電極908に接し、電極9112は、層間膜910に設けられた開口部を介して光電変換層に接する。電極9111及び電極9112としては、例えばチタン、タングステン、タンタル、モリブデン、ネオジム、コバルト、ジルコニウム、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、アルミニウム、金、銀、及び銅のいずれかから選ばれた元素、若しくは上記に挙げた元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料、または上記に挙げた元素の窒化物などを用いることができる。また、電極9111及び電極9112は、上記に挙げた材料を積層して設けることもできる。
【0264】
パッシベーション膜912は、層間膜910並びに電極9111及び電極9112上に設けられ、且つ下地膜902、ゲート絶縁膜9032、層間膜904、層間膜907、及び層間膜910の端部の一方または両方に接する。パッシベーション膜912としては、例えば酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、または窒素を含む酸化シリコン膜などを用いることができる。
【0265】
樹脂層913は、パッシベーション膜912上に設けられる。
【0266】
電極9141は、パッシベーション膜912及び樹脂層913に設けられた開口部を介して電極9111に接するように設けられ、電極9142は、パッシベーション膜912及び樹脂層913に設けられた開口部を介して電極9112に接する。電極9141及び電極9141としては、例えばチタン、タングステン、タンタル、モリブデン、ネオジム、コバルト、ジルコニウム、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、アルミニウム、金、銀、及び銅のいずれかから選ばれた元素、若しくは上記に挙げた元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料、または上記に挙げた元素の窒化物などを用いることができる。また、電極9141及び電極9142は、上記に挙げた材料を積層して設けることもできる。また電極9111または電極9112に接するように導電性樹脂膜を設け、導電性樹脂膜上に上記に挙げた材料を積層して電極9141または電極9142とすることもできる。
【0267】
以上の構成とすることにより、実施の形態1における光検出装置とすることができる。また、本実施の形態における光検出装置は、トランジスタと光電変換層を同一基板上に形成することができるため、作製が容易となり、量産しやすくなる。
【0268】
次に本実施の形態における光検出装置の作製方法について図12乃至図16を用いて説明する。図12乃至図16は、本実施の形態における光検出装置の作製方法を示す断面模式図である。
【0269】
まず図12(A)に示すように基板901上に下地膜902を形成する。下地膜902は、例えばプラズマCVD法などにより形成することができる。ここでは、一例として基板901として厚さが0.7mmであるガラス基板(AN100)を用い、さらに窒化酸化シリコン膜を140nmの膜厚で形成し、窒化酸化シリコン膜上に酸化窒化シリコン膜を100nmの膜厚で形成することにより下地膜902を形成する。
【0270】
次に図12(B)に示すように下地膜902上にトランジスタ903を形成する。トランジスタ903の具体的な作製方法については、以下に説明する。
【0271】
トランジスタ903は、下地膜902上に半導体層9031を選択的に形成し、半導体層9031上にゲート絶縁膜9032を形成し、半導体層9031上の部分のゲート絶縁膜9032上にゲート電極9033を形成することにより作製する。半導体層9031に多結晶半導体膜を用いる場合、例えば非晶質半導体膜を公知の技術(固相成長法、レーザ結晶化方法、触媒金属を用いた結晶化方法など)を用いて結晶化することにより形成することができる。
【0272】
また、半導体層9031に単結晶半導体層を用いる場合には、例えばSOI(シリコン・オン・インシュレータ)基板を用いることもできる。SOI基板としては、公知のSOI基板を用いればよく、その作製方法や構造は特に限定されない。SOI基板としては、代表的にはSIMOX基板や貼り合わせ基板が挙げられる。また、貼り合わせ基板の例として、ELTRAN(登録商標)、UNIBOND(登録商標)、スマートカット(登録商標)等が挙げられる。
【0273】
SIMOX基板は、単結晶シリコン基板に酸素イオンを注入し、1300℃以上で熱処理して埋め込み酸化膜層(BOX;Buried Oxide)を形成することにより、表面に薄膜シリコン層を形成し、SOI構造を得ることができる。薄膜シリコン層は、埋め込み酸化膜層により、単結晶シリコン基板と絶縁分離されている。また、埋め込み酸化膜層形成後に、さらに熱酸化するITOX(Internal Thermal Oxidation−SIMOX)と呼ばれる技術を用いることもできる。
【0274】
貼り合わせ基板は、酸化膜層を介して2枚の単結晶シリコン基板(第1単結晶シリコン基板、第2単結晶シリコン基板)を貼り合わせ、一方の単結晶シリコン基板を貼り合わせた面ではない方の面から薄膜化することにより、表面に薄膜シリコン層を形成したSOI基板のことをいう。酸化膜層は、一方の基板(ここでは第1単結晶シリコン基板)を熱酸化して形成することができる。また、2枚の単結晶シリコン基板は、接着剤を用いずに直接貼り合わせることができる。
【0275】
なお、貼り合わせ基板としては、2枚の単結晶基板を貼り合わせることに限らず、ガラス基板等の絶縁表面を有する基板と、単結晶基板とを貼り合わせてSOI基板を作製してもよい。
【0276】
ここでは、一例として半導体層9031として多結晶半導体層を50nmの厚さで形成する。具体的な作製方法について以下に説明する。
【0277】
まず下地膜902上に水素を含む非晶質シリコン膜を大気に触れることなく形成し、重量換算で10ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル溶液をスピナーで添加する。なお、溶液を添加する方法に代えてスパッタ法でニッケル元素を全面に散布する方法を用いてもよい。次に熱処理(500℃、1時間)の後、結晶化のための熱処理(550℃、4時間)を行って多結晶珪素膜を形成する。
【0278】
次に形成した多結晶珪素膜表面の酸化膜を希フッ酸等で除去する。その後、結晶化率を高め、結晶粒内に残される欠陥を補修するためのレーザ光(XeCl:波長308nm)の照射を大気中、または酸素雰囲気中で行う。
【0279】
レーザ光には波長400nm以下のエキシマレーザ光や、YAGレーザの第2高調波又は第3高調波を用いる。ここでは、周波数10〜1000Hz程度のパルスレーザ光を用い、当該レーザ光を光学系にて100〜500mJ/cmに集光し、90〜95%のオーバーラップ率をもって照射し、シリコン膜表面を走査させればよい。本実施の形態では、周波数30Hz、エネルギー密度470mJ/cmでレーザ光の照射を大気中で行う。
【0280】
なお、大気中、または酸素雰囲気中で行うため、レーザ光の照射により表面に酸化膜が形成される。なお、本実施の形態ではパルスレーザを用いた例を示したが、連続発振のレーザを用いてもよく、半導体膜の結晶化に際し、大粒径に結晶を得るためには、連続発振が可能な固体レーザを用い、基本波の第2高調波〜第4高調波を適用するのが好ましい。代表的には、Nd:YVOレーザ(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を適用すればよい。
【0281】
連続発振のレーザを用いる場合には、出力10Wの連続発振のYVOレーザから射出されたレーザ光を非線形光学素子により高調波に変換する。また、共振器の中にYVO結晶と非線形光学素子を入れて、高調波を射出する方法もある。そして、好ましくは光学系により照射面にて矩形状または楕円形状のレーザ光に成形して、被処理体に照射する。このときのエネルギー密度は0.01〜100MW/cm程度(好ましくは0.1〜10MW/cm)が必要である。そして、10〜2000cm/s程度の速度でレーザ光に対して相対的に半導体膜を移動させて照射すればよい。
【0282】
次に上記レーザ光の照射により形成された酸化膜に加え、オゾン水で表面を120秒処理して合計1〜5nmの酸化膜からなるバリア層を形成する。このバリア層は、結晶化させるために添加した触媒元素、例えばニッケル(Ni)を膜中から除去するために形成する。ここではオゾン水を用いてバリア層を形成したが、酸素雰囲気下の紫外線の照射で結晶構造を有する半導体膜の表面を酸化する方法や酸素プラズマ処理により結晶構造を有する半導体膜の表面を酸化する方法やプラズマCVD法やスパッタ法や蒸着法などで1〜10nm程度の酸化膜を堆積してバリア層を形成してもよい。また、バリア層を形成する前にレーザ光の照射により形成された酸化膜を除去してもよい。
【0283】
次にバリア層上にスパッタ法にてゲッタリングサイトとなるアルゴン元素を含む非晶質珪素膜を10nm〜400nm、ここでは膜厚100nmで成膜する。ここでは、アルゴン元素を含む非晶質珪素膜は、シリコンターゲットを用いてアルゴンを含む雰囲気下で形成する。プラズマCVD法を用いてアルゴン元素を含む非晶質珪素膜を形成する場合、成膜条件は、モノシランとアルゴンの流量比(SiH:Ar)を1:99とし、成膜圧力を6.665Paとし、RFパワー密度を0.087W/cmとし、成膜温度を350℃とする。
【0284】
その後、650℃に加熱された炉に入れて3分の熱処理を行い触媒元素を除去(ゲッタリング)する。これにより結晶構造を有する半導体膜中の触媒元素濃度が低減される。炉に代えてランプアニール装置を用いてもよい。
【0285】
次にバリア層をエッチングストッパとして、ゲッタリングサイトであるアルゴン元素を含む非晶質珪素膜を選択的に除去した後、バリア層を希フッ酸で選択的に除去する。なお、ゲッタリングの際、ニッケルは酸素濃度の高い領域に移動しやすい傾向があるため、酸化膜からなるバリア層をゲッタリング後に除去することが望ましい。
【0286】
なお、触媒元素を用いて半導体膜の結晶化を行わない場合には、上述したバリア層の形成、ゲッタリングサイトの形成、ゲッタリングのための熱処理、ゲッタリングサイトの除去、バリア層の除去などの工程は不要である。
【0287】
さらに本実施の形態では、得られた結晶構造を有する半導体膜(例えば結晶性珪素膜)の表面にオゾン水で薄い酸化膜を形成した後、第1のフォトマスクを用いてレジストからなるマスクを形成し、所望の形状にエッチング処理して島状に分離された半導体層9031を形成した後、レジストからなるマスクを除去する。
【0288】
さらに本実施の形態では、半導体層9031に不純物元素(ホウ素またはリン)を添加することにより一対の不純物領域931を形成する。不純物元素の添加としては、例えばイオンドープ法を用いて行うことができる。
【0289】
なお、フッ酸を含むエッチャントで酸化膜を除去すると同時に半導体層9031の表面を洗浄することが好ましい。
【0290】
次に半導体層9031上にゲート絶縁膜9032を形成する。ゲート絶縁膜9032は、例えばプラズマCVD法により形成することができる。ここでは、ゲート絶縁膜9032として酸化窒化シリコン膜を30nmの膜厚で形成する。
【0291】
次に半導体層9031上のゲート絶縁膜9032の部分の上にゲート電極9033を形成する。ここでは一例として半導体層9031上のゲート絶縁膜9032の部分の上に窒化タンタル膜を30nmの膜厚で形成し、窒化タンタル膜上にタングステン膜を170nmの膜厚で形成し、エッチングすることによりゲート電極9033を形成する。
【0292】
次に図12(C)に示すように、トランジスタ903上に層間膜904を形成する。ここでは一例としてトランジスタ903上に酸化窒化シリコン膜を50nmの膜厚で形成し、酸化窒化シリコン膜上に窒化酸化シリコン膜を165nmの膜厚で形成、窒化酸化シリコン膜上に酸化窒化シリコン膜を600nmの膜厚で形成することにより層間膜904を形成する。
【0293】
次に、図13(D)に示すように、層間膜904上に電極905を形成する。具体的には層間膜904に選択的に開口部を形成し、さらに開口部を介してゲート電極9033に接するように電極9051を形成し、開口部を介して一対の不純物領域931のいずれか一方に接するように電極9052を形成し、開口部を介して一対の不純物領域931のいずれか他方に接するように電極9053を形成する。ここでは、一例として第1のチタン膜を100nmの膜厚で形成し、第1のチタン膜上にアルミニウム膜を100nmの膜厚で形成し、アルミニウム膜上に第2のチタン膜を50nmの膜厚で形成し、エッチングすることにより電極9051乃至電極9053を形成する。
【0294】
次に図13(E)に示すように、層間膜904及び電極905上に樹脂膜961を形成する。ここでは、樹脂膜961として、ポリイミド膜を1.5μmの膜厚で形成する。
【0295】
次に図13(F)に示すように、樹脂膜961を加工し、断面において端部が曲面の樹脂層906を選択的に形成する。さらに樹脂層906上、及び樹脂層906が設けられていない部分の層間膜904及び電極905上に層間膜907を形成する。ここでは、一例として窒化シリコン膜を100nmの膜厚で形成し、窒化シリコン膜上にTEOSを用いて酸化シリコン膜を200nmの膜厚で形成することにより層間膜907を形成する。
【0296】
次に図14(G)に示すように、層間膜907に開口部を形成し、開口部を介して電極9052に接するように電極908を形成する。ここでは、チタン膜を400nmの膜厚で形成し、エッチングすることにより電極908を形成する。なおこのとき電極908の端部をテーパ状に加工することが好ましい。端部がテーパ状である電極908は、例えばグレートーンマスクを用いたフォトリソグラフィー工程などを用いて形成することができる。
【0297】
次に図14(H)に示すように、電極908の端部に接するように光電変換層909を形成する。ここでは、一例として電極908の端部に接するようにP型半導体層991を60nmの厚さで形成し、P型半導体層991上に高抵抗半導体層992を400nmの厚さで形成し、高抵抗半導体層992上にN型半導体層993を80nmの厚さで形成することにより光電変換層909を形成する。
【0298】
次に図14(I)に示すように、層間膜907、電極908、及び光電変換層909上に層間膜910を形成する。ここでは、一例として窒化シリコン膜を100nmの膜厚で形成し、窒化シリコン膜上にTEOSを用いて酸化シリコン膜を400nmの膜厚で形成することにより層間膜910を形成する。
【0299】
次に図15(J)に示すように、層間膜910に開口部を形成し、開口部を介して電極908に接するように電極9111を形成し、さらに開口部を介して光電変換層909におけるN型半導体層993に接するように電極9112を形成する。ここでは、第1のチタン膜を50nmの膜厚で形成し、第1のチタン膜上にアルミニウム膜100nmを形成し、アルミニウム膜上に第2のチタン膜を50nmの膜厚で形成し、エッチングすることにより電極9111及び電極9112を形成する。
【0300】
次に図15(K)に示すように、ゲート絶縁膜9032、層間膜904、層間膜907、及び層間膜910に開口部を形成する。さらに開口部を介して下地膜に接し、且つゲート絶縁膜9032、層間膜904、層間膜907、層間膜910、電極9111、及び電極9112を覆うようにパッシベーション膜912を形成する。ここでは、一例として、窒化シリコン膜を100nmの膜厚で形成することによりパッシベーション膜912を形成する。
【0301】
次に図15(L)に示すように、層間膜910、並びに電極9111及び電極9112上の部分のパッシベーション膜912上に樹脂層913を形成する。ここでは、一例として絶縁樹脂を25μmの厚さで形成することにより樹脂層913を形成する。
【0302】
次に図16(M)に示すように、樹脂層913に開口部を形成し、開口部を介して電極914を形成する。具体的には、開口部を介して電極9111に接するように電極9141を形成し、開口部を介して電極9112に接するように電極9142を形成する。ここでは、一例としてニッケル樹脂膜を1.5μmの膜厚で形成し、ニッケル樹脂膜上にチタン膜を150nmの膜厚で形成し、チタン膜上にニッケル膜を750nmの膜厚で形成し、ニッケル膜上に金膜を50nmの膜厚で形成し、エッチングすることにより電極914を形成する。
【0303】
以上により本実施の形態における光検出装置を作製することができる。ただしこの構成に限定されず、他の構成においても作製することができる。
【0304】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0305】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様である光検出装置を適用した電子機器について説明する。
【0306】
本発明の一態様である光検出装置は、コンピュータ、ディスプレイ、携帯電話、テレビなど様々な電子機器の光検出部に適用することができる。これらの電子機器の具体的な構成例を図17乃至図21を用いて説明する。図17乃至図21は本実施の形態における本発明の光検出装置を搭載した電子機器の構成を示す模式図である。
【0307】
図17は携帯電話であり、本体(A)1000、本体(B)1001、筐体1002a及び筐体1002b、操作キー1003、音声入力部1004、音声出力部1005、回路基板1006、表示パネル(A)1007、表示パネル(B)1008、蝶番1009、透光性材料部1010、光検出装置1011を有している。本発明の一態様である光検出装置は光検出装置1011に適用することができる。
【0308】
図17に示す携帯電話では、光検出装置1011により透光性材料部1010を透過した光を検知し、検知した外部光の照度に合わせて表示パネル(A)1007及び表示パネル(B)1008の輝度がコントロールされる、また光検出装置1011で得られる光の照度に合わせて操作キー1003の照明制御を行う。これにより携帯電話の消費電流を抑えることができる。
【0309】
図18(A)及び図18(B)に携帯電話の別の例を示す。図18(A)及び図18(B)において、本体1100、筐体1101、表示パネル1102、操作キー1103、音声出力部1104、音声入力部1105、光検出装置1106、光検出装置1107を示している。
【0310】
図18(A)に示す携帯電話では、本体1100に設けられた光検出装置1106により外部の光を検知することにより表示パネル1102及び操作キー1103の輝度を制御することが可能である。
【0311】
また図18(B)に示す携帯電話では、図18(A)の構成と異なり、本体1100の内部に光検出装置1107を設けている。光検出装置1107により、表示パネル1102に設けられているバックライトの輝度を検出することも可能となる。
【0312】
図19(A)はコンピュータであり、本体1200、筐体1201、表示部1202、キーボード1203、外部接続ポート1204、ポインティングデバイス1205などを含む。
【0313】
また図19(B)は表示装置でありテレビ受像器などがこれに当たる。図19(B)における表示装置は、筐体1206、支持台1207、表示部1208などによって構成されている。
【0314】
図19(A)のコンピュータに設けられる表示部1202、及び図19(B)に示す表示装置の表示部1208として、液晶パネルを用いた場合の詳しい構成を図20に示す。
【0315】
図20に示す液晶パネル1300は、筐体1301に内蔵されており、基板1302a及び基板1302b、基板1302a及び基板1302bに挟まれた液晶層1303、偏光フィルタ1304a及び偏光フィルタ1304b、及びバックライト1305等を有している。また筐体1301には光検出装置1306が形成されている。
【0316】
本発明の一態様である光検出装置が適用された光検出装置1306はバックライト1305からの光量を感知し、その情報がフィードバックされて液晶パネル1300の輝度が調整される。
【0317】
図21(A)及び図21(B)は、本発明の一態様である光検出装置をカメラ、例えばデジタルカメラに適用した例を示す図である。図21(A)は、前面方向から見たデジタルカメラの斜視図、図21(B)は、後面方向から見たデジタルカメラの斜視図である。図21(A)において、デジタルカメラには、リリースボタン1400、メインスイッチ1401、ファインダ窓1402、フラッシュ部1403、レンズ1404、鏡胴1405、筺体1406が備えられている。
【0318】
また、図21(B)において、ファインダ接眼窓1407、モニタ1408、操作ボタン1409が備えられている。
【0319】
リリースボタン1400は、半分の位置まで押下されると、焦点調整機構および露出調整機構が作動し、最下部まで押下されるとシャッターが開く。
【0320】
メインスイッチ1401は、押下又は回転によりデジタルカメラの電源のON/OFFを切り替える。
【0321】
ファインダ窓1402は、デジタルカメラの前面のレンズ1404の上部に配置されており、図21(B)に示すファインダ接眼窓1407から撮影する範囲やピントの位置を確認するための装置である。
【0322】
フラッシュ部1403は、デジタルカメラの前面上部に配置され、被写体輝度が低いときに、リリースボタンが押下されてシャッターが開くと同時に補助光を照射する。
【0323】
レンズ1404は、デジタルカメラの正面に配置されている。レンズは、フォーカシングレンズ、ズームレンズ等により構成され、図示しないシャッター及び絞りと共に撮影光学系を構成する。また、レンズの後方には、CCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子が設けられている。
【0324】
鏡胴1405は、フォーカシングレンズ、ズームレンズ等のピントを合わせるためにレンズの位置を移動するものであり、撮影時には、鏡胴を繰り出すことにより、レンズ1404を手前に移動させる。また、携帯時は、レンズ1404を沈銅させてコンパクトにする。なお、本実施の形態においては、鏡胴を繰り出すことにより被写体をズーム撮影することができる構造としているが、この構造に限定されるものではなく、筺体1406内での撮影光学系の構成により鏡胴を繰り出さずともズーム撮影が可能なデジタルカメラでもよい。
【0325】
ファインダ接眼窓1407は、デジタルカメラの後面上部に設けられており、撮影する範囲やピントの位置を確認する際に接眼するために設けられた窓である。
【0326】
操作ボタン1409は、デジタルカメラの後面に設けられた各種機能ボタンであり、セットアップボタン、メニューボタン、ディスプレイボタン、機能ボタン、選択ボタン等により構成されている。
【0327】
本発明の一態様である光検出装置を図21(A)及び図21(B)に示すカメラに組み込むと、光検出装置が光の有無及び強さを感知することができ、これによりカメラの露出調整等を行うことができる。
【0328】
以上のように本発明の一態様である光検出装置は、光電変換において、光の照度に対するダイナミックレンジを拡大させることができるため、本発明の一態様である光検出装置を上記電子機器の光検出部に適用することにより精度の高い輝度調整を行うことができる。
【0329】
また本発明の一態様である光検出装置はその他の電子機器、例えばプロジェクションテレビ、ナビゲーションシステム等に応用することが可能である。すなわち光を検出する必要のあるものであればいかなるものにも用いることが可能である。
【0330】
さらに本発明の一態様である光検出装置をセンサ内蔵型画像入出力装置に適用した例について図22を用いて説明する。図22は、本実施の形態におけるセンサ内蔵型画像入出力装置の構成を示す図である。
【0331】
図22に示すセンサ内蔵型画像入出力装置は、画素部2001と、第1の走査線駆動回路2002と、複数の第1の走査線2021と、第2の走査線駆動回路2003と、複数の第2の走査線2031と、信号線駆動回路2004と、複数の信号線2041と、制御部2005と、を有する。なお、図22に示すセンサ内蔵型画像入出力装置はアクティブマトリクス型とする。
【0332】
画素部2001は、複数の画素2010を有し、画素2010は、画素回路2011と、センサ回路2012と、を有する。
【0333】
画素回路2011としては、スイッチング素子と、スイッチング素子を介して信号線2041に接続された表示素子により構成することができる。表示素子としては、例えば液晶素子のような通過する光の偏波状態が変わる素子、EL(エレクトロルミネッセンス)素子などの発光素子などがある。液晶素子を用いる場合、液晶分子の配向が制御され、通過する光の偏光状態が制御されることにより所望の輝度に透過光量が調節される。また、発光素子を用いる場合、発光素子に印加される電圧が制御されることにより、所望の輝度に発光素子が調節される。
【0334】
センサ回路2012は、入射した光の照度に応じた電流を生成する機能を有する。センサ回路2012は、例えばスイッチング素子と、スイッチング素子を介して信号線に接続された光検出回路によって構成することができる。本発明の一態様である光検出装置は、例えばセンサ回路2012における光検出回路に設けることができる。また、光電変換回路のみをセンサ回路2012における光検出回路に設け、信号線2041毎に温度補償回路及びデジタル信号生成回路を設ける構成とすることもできる。信号線2041毎に温度補償回路及びデジタル信号生成回路を設けることにより、回路面積を小さくすることができる。なお、図22に示すセンサ内蔵型画像入出力装置において、画素2010毎にセンサ回路2012を設ける場合について説明したが、これに限定されず、複数の画素に対して一つのセンサ回路2012を設ける構成とすることもできる。また、センサ回路2012に光電変換回路、温度補償回路、及びデジタル信号生成回路を適用することもできる。
【0335】
第1の走査線駆動回路2002は、第1の走査線2021を介して画素2010における画素回路2011に電気的に接続される。
【0336】
第2の走査線駆動回路2003は、第2の走査線2031を介してセンサ回路2012に電気的に接続される。
【0337】
信号線駆動回路2004は、信号線2041を介して画素回路2011及びセンサ回路2012に電気的に接続される。なお図22に示すセンサ内蔵型画像入出力装置において、画素回路及びセンサ回路が共通の信号線駆動回路に電気的に接続される例について説明したが、これに限定されず、画素回路及びセンサ回路が別々の信号線駆動回路に電気的に接続される構成とすることもできる。
【0338】
制御部2005は、画素回路2011を制御する第1の制御回路2051と、センサ回路2012を制御する第2の制御回路2052と、を有する。
【0339】
次に図22に示すセンサ内蔵型画像入出力装置の動作について説明する。
【0340】
図22に示すセンサ内蔵型画像入出力装置の動作は、表示期間と読み取り期間に分けられる。以下各期間における動作について説明する。
【0341】
まず表示期間では、第1の制御回路2051から入力される信号に従って第1の走査線2021を介して第1の走査線駆動回路2002から画素回路2011に信号が入力されることにより、順次画素2010が選択され、選択された画素2010では、信号線2041を介して信号線駆動回路2004から表示用の信号が入力され、それぞれの画素2010において表示が行われる。
【0342】
次に読み取り期間では、第2の制御回路2052から入力される信号に従って第2の走査線駆動回路2003から第2の走査線2031を介してセンサ回路2012に信号が入力されることにより、順次画素2010が選択され、選択された画素2010では、センサ回路2012に入射された光の照度に応じて生成される信号が信号線2041を介して信号線駆動回路2004に出力され、それぞれの画素2010において読み取りが行われる。
【0343】
この読み取り動作により、例えばいずれかの画素2010上にペンや指などの入力手段がある場合、センサ回路2012に入射する光の照度が変化する。その変化した照度に応じて生成される信号をデータとして画素の位置を特定することができるため、タッチパネルのように文字入力及び位置検出を行うこともできる。
【0344】
また、図22に示すセンサ内蔵型画像入出力装置では、画素部上に原稿などの被読み取り物を置き、各画素において入射される照度に応じた信号を生成することにより、被読み取り物を読み取り、読み取った画像をデータとして次の表示期間で画素部2001に表示することもできる。
【0345】
また、上記動作に限らず、本実施の形態のセンサ内蔵型画像入出力装置は、他の回路と組み合わせて様々な機能を付加することができる。例えば上記読み取り動作により指紋を読み取り、読み取った指紋を別途メモリなどに保持された複数の指紋のデータと照合することにより指紋認証を行うこともできる。
【0346】
上記のように本発明の一態様である光検出装置をセンサ内蔵型画像入出力装置に搭載することにより、タッチパネルのように文字入力や位置検出機能を持たせることができ、さらにスキャナーのように被読み取り物を読み取り、読み取った画像を画素部に表示させることができる。
【0347】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0348】
101 光電変換回路
102 温度補償回路
103 デジタル信号生成回路
101 光電変換回路
111 光電変換素子
112 カレントミラー回路
113 ダイオード
201 基準電圧生成回路
202 増幅回路
203 増幅回路
204 演算回路
205 出力回路
211 抵抗素子
212 カレントミラー回路
213 ダイオード
221 トランジスタ
222 トランジスタ
231 トランジスタ
232 トランジスタ
241 抵抗素子
242 カレントミラー回路
243 抵抗素子
244 トランジスタ
245 カレントミラー回路
246 トランジスタ
247 容量素子
248 トランジスタ
249 トランジスタ
251 トランジスタ
252 トランジスタ
253 カレントミラー回路
255 カレントミラー回路
301 クロック信号生成回路
302 クロック信号生成回路
303 カウンタ回路
304 カウンタ回路
305 ラッチ回路
401 ランプ波形信号生成回路
402 波形整形回路
403 バッファ回路
411 トランジスタ
412 トランジスタ
413 カレントミラー回路
414 カレントミラー回路
415 カレントミラー回路
416 容量素子
421 コンパレータ
422 コンパレータ
423 インバータ
424 インバータ
425 NOR回路
426 NOR回路
431 インバータ
432 インバータ
433 インバータ
434 インバータ
435 インバータ
501 定電流回路
502 ランプ波形信号生成回路
503 波形整形回路
504 バッファ回路
511 電流源
512 カレントミラー回路
521 トランジスタ
522 トランジスタ
523 カレントミラー回路
524 カレントミラー回路
525 カレントミラー回路
526 容量素子
531 コンパレータ
532 コンパレータ
533 インバータ
534 インバータ
535 NOR回路
536 NOR回路
541 インバータ
542 インバータ
543 インバータ
544 インバータ
545 インバータ
901 基板
902 下地膜
903 トランジスタ
904 層間膜
905 電極
906 樹脂層
907 層間膜
908 電極
909 光電変換層
910 層間膜
912 パッシベーション膜
913 樹脂層
914 電極
931 不純物領域
961 樹脂膜
991 P型半導体層
992 高抵抗半導体層
993 N型半導体層
1000 本体(A)
1001 本体(B)
1002a 筐体
1002b 筐体
1003 操作キー
1004 音声入力部
1005 音声出力部
1006 回路基板
1007 表示パネル(A)
1008 表示パネル(B)
1009 蝶番
1010 透光性材料部
1011 光検出装置
1100 本体
1101 筐体
1102 表示パネル
1103 操作キー
1104 音声出力部
1105 音声入力部
1106 光検出装置
1107 光検出装置
1121 トランジスタ
1122 トランジスタ
1200 本体
1201 筐体
1202 表示部
1203 キーボード
1204 外部接続ポート
1205 ポインティングデバイス
1206 筐体
1207 支持台
1208 表示部
1300 液晶パネル
1301 筐体
1302a 基板
1302b 基板
1303 液晶層
1304a 偏光フィルタ
1304b 偏光フィルタ
1305 バックライト
1306 光検出装置
1400 リリースボタン
1401 メインスイッチ
1402 ファインダ窓
1403 フラッシュ部
1404 レンズ
1405 鏡胴
1406 筺体
1407 ファインダ接眼窓
1408 モニタ
1409 操作ボタン
2001 画素部
2002 走査線駆動回路
2003 走査線駆動回路
2004 信号線駆動回路
2005 制御部
2010 画素
2011 画素回路
2012 センサ回路
2021 走査線
2031 走査線
2041 信号線
2051 制御回路
2052 制御回路
2121 トランジスタ
2122 トランジスタ
2421 トランジスタ
2422 トランジスタ
2423 トランジスタ
2451 トランジスタ
2452 トランジスタ
2531 トランジスタ
2532 トランジスタ
2551 トランジスタ
2552 トランジスタ
4131 トランジスタ
4132 トランジスタ
4141 トランジスタ
4142 トランジスタ
4151 トランジスタ
4152 トランジスタ
5121 トランジスタ
5122 トランジスタ
5231 トランジスタ
5232 トランジスタ
5241 トランジスタ
5242 トランジスタ
5251 トランジスタ
5252 トランジスタ
9031 半導体層
9032 ゲート絶縁膜
9033 ゲート電極
9051 電極
9052 電極
9053 電極
9111 電極
9112 電極
9141 電極
9142 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が入射し、入射した光の照度に応じた値の第1の電流を生成し、前記第1の電流を対数圧縮した電圧に変換することにより第1の電圧を生成する光電変換回路と、
前記第1の電圧の温度補償を行うことにより第2の電圧を生成し、前記第2の電圧を電流に変換することにより第2の電流を生成する温度補償回路と、
前記第2の電流に応じた周波数で発振するクロック信号を生成し、前記クロック信号のパルスの数を一定期間カウントし、前記一定期間におけるカウント値をデータとしたデジタル信号を生成するデジタル信号生成回路と、を有する光検出装置。
【請求項2】
光電変換素子及び第1のダイオードを有し、前記光電変換素子に光が入射し、入射した光の照度に応じた値の第1の電流を生成し、前記第1の電流を前記第1のダイオードを用いて対数圧縮した電圧に変換することにより第1の電圧を生成する光電変換回路と、
前記第1の電圧の温度補償を行う温度補償回路と、
デジタル信号生成回路と、を有し、
前記温度補償回路は、
抵抗素子及び第2のダイオードを有し、前記第2のダイオードにより前記抵抗素子に流れる電流を対数圧縮した電圧に変換することにより、基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、
前記第1の電圧と前記基準電圧との差分に応じた値の第2の電圧を生成する演算回路と、
前記第2の電圧を電流に変換することにより第2の電流を生成する出力回路と、を有し、
前記デジタル信号生成回路は、
前記第2の電流の値に応じた周波数で発振する第1のクロック信号を生成する第1のクロック信号生成回路と、
一定の周波数で発振する第2のクロック信号を生成する第2のクロック信号生成回路と、
前記第1のクロック信号のパルスの数をカウントする第1のカウンタ回路と、
前記第2のクロック信号のパルスの数を一定の値までカウントすることにより前記第1のクロック信号のカウント期間を設定する第2のカウンタ回路と、
前記第1のクロック信号のカウント値をデジタル信号のデータとして保持するラッチ回路と、を有する光検出装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1のクロック信号生成回路は、
前記第2の電流に応じてランプ波形信号を生成するランプ波形信号生成回路と、
前記ランプ波形信号を整形することにより四角波信号を生成する波形整形回路と、
前記四角波信号から前記第1のクロック信号を生成するバッファ回路と、を有する光検出装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3において、
前記第2のクロック信号生成回路は、
定電流を生成する電流源を有する定電流回路と、
前記定電流に応じてランプ波形信号を生成するランプ波形信号生成回路と、
前記ランプ波形信号を整形することにより四角波信号を生成する波形整形回路と、
前記四角波信号から前記第2のクロック信号を生成するバッファ回路と、を有する光検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−85396(P2010−85396A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201802(P2009−201802)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】