説明

光検知器

【課題】光検知器において、輸送効率を低下させずに、量子ドットの束縛準位へのキャリア供給を十分に行なえるようにして、十分に高い検知効率が得られるようにする。
【解決手段】光検知器を、量子ドット1と、量子ドット1を挟む障壁層2,3とを備える複数の量子ドット層4を含む光検知素子5と、光検知素子5を駆動する駆動回路6とを備えるものとし、駆動回路6を、入射する光に応じて光検知素子5に流れる電流を検知する検知期間以外の期間に、電流とは異なる電流を光検知素子5に流すためのキャリア供給回路を含むものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、量子ドットを備える光検知器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、量子ドットを備える光検知器としては、例えば、量子ドット型赤外線検知器がある。
量子ドット型赤外線検知器は、例えば、InAs量子ドットがAlGaAs障壁層で挟み込まれた構造を有する。通常、赤外線を検知する検知効率を高めるために、量子ドットを障壁層で挟み込んで構成される量子ドット層を複数積層させるようにしている。
【0003】
そして、量子ドット層の積層構造をn型GaAs電極層(コンタクト層)で挟み込み、これらのn型GaAs電極層に取り付けられた電極間に電位差を与え、外部から入射する赤外線に応じて流れる電流を検知するようになっている。
このような量子ドット型赤外線検知器では、図10に示すように、外部から赤外線が入射すると、量子ドットの伝導帯側の量子準位に束縛されている電子が、サブバンド間励起される。電極間に電位差が与えられているため、ある量子ドットで赤外線によってサブバンド間励起された電子は、高電位側の電極まで輸送され、電流が流れることとなる。そして、この電流を検知することで、外部から入射する赤外線を検知することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−227744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のような量子ドット型赤外線検知器の性能は、赤外線の入射量に対して発生する電流量で表される検知効率で決まる。
検知効率は、量子ドットの量子準位に束縛されているキャリア量やサブバンド間励起されたキャリアの電極までの輸送効率に関係する。このため、高性能な量子ドット型光検知器を実現するためには、キャリア量と輸送効率を共に高めることが必要となる。
【0006】
上述のような量子ドット型赤外線検知器では、電位差を設けてある電極間に流れる電流によって、量子ドットの量子準位へ電子が供給される。これは、図11に示すように、電流成分である電子が、量子ドットを通過する際にフォノンを放出するなどより束縛準位へ緩和することによって起こる。
しかしながら、一般的な量子ドットでは、3次元方向に量子閉じ込めがなされていることから量子準位の離散化が進んでいる。このため、緩和確率は十分に高くはなく、束縛準位への電子供給は不十分な状態にある。したがって、十分に高い検知効率が得られていない。
【0007】
そこで、電子供給が十分な状態にするために、図12に示すように、量子ドットを挟み込む障壁層のうち高電位側の障壁層のエネルギ障壁を高くし、電極間を流れる電子を量子ドットの位置で停留させ、緩和確率を高くすることが考えられる。
しかしながら、このような構造では、一の量子ドット層よりも低電位側に位置する量子ドット層(図12中、左の方向にある別の量子ドット層)においてサブバンド間励起された電子も、一の量子ドット層の近傍で停留してしまうことになる。このため、高電位側の電極への電子の輸送効率が低下してしまうことになる。したがって、このような構造においても十分に高い検知効率が得られないと考えられる。
【0008】
なお、上述のような量子ドット型赤外線検知器とは反対の導電型を持ち、キャリアが正孔である量子ドット型赤外線検知器においても同様の課題がある。
そこで、輸送効率を低下させずに、量子ドットの束縛準位へのキャリア供給を十分に行なえるようにして、十分に高い検知効率が得られるようにしたい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本光検知器は、量子ドットと、量子ドットを挟む障壁層とを備える複数の量子ドット層を含む光検知素子と、光検知素子を駆動する駆動回路とを備え、駆動回路が、入射する光に応じて光検知素子に流れる電流を検知する検知期間以外の期間に、電流とは異なる電流を光検知素子に流すためのキャリア供給回路を含むことを要件とする。
【発明の効果】
【0010】
本光検知器によれば、輸送効率を低下させずに、量子ドットの束縛準位へのキャリア供給を十分に行なうことができ、十分に高い検知効率が得られるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態にかかる量子ドット型赤外線検知器の構成を示す模式的断面図である。
【図2】(A)〜(C)は、第1実施形態にかかる量子ドット型赤外線検知器の赤外線検知素子を構成する量子ドット層の伝導帯のエネルギーバンド図であり、(A)はバイアス電圧を印加していない状態、(B)は一の向きにバイアス電圧V(V>0)を印加した状態、(C)は逆向きにバイアス電圧V(V<0)を印加した状態を示している。
【図3】第1実施形態にかかる量子ドット型赤外線検知器の駆動回路の構成を示す図である。
【図4】第1実施形態にかかる量子ドット型赤外線検知器の駆動回路の動作を説明するためのタイムチャートである。
【図5】キャリア供給回路を備えない駆動回路の構成を示す図である。
【図6】キャリア供給回路を備えない駆動回路の動作を説明するためのタイムチャートである。
【図7】(A)〜(C)は、第2実施形態にかかる量子ドット型赤外線検知器の赤外線検知素子を構成する量子ドット層の伝導帯のエネルギーバンド図であり、(A)はバイアス電圧を印加していない状態、(B)は一の向きにバイアス電圧V(V>0)を印加した状態、(C)は同じ向きで異なる値のバイアス電圧V(V>0かつV<V)を印加した状態を示している。
【図8】第3実施形態にかかる量子ドット型赤外線検知器の構成を示す模式的断面図である。
【図9】(A)〜(C)は、第3実施形態にかかる量子ドット型赤外線検知器の赤外線検知素子を構成する量子ドット層の伝導帯のエネルギーバンド図であり、(A)はバイアス電圧を印加していない状態、(B)は一の向きにバイアス電圧V(V>0)を印加した状態、(C)は逆向きにバイアス電圧V(V<0)を印加した状態を示している。
【図10】量子ドット型赤外線検知器の原理を説明するための図である。
【図11】量子ドットの束縛準位への電子の供給を説明するための図である。
【図12】本発明の課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面により、本実施形態にかかる光検知器について説明する。
[第1実施形態]
第1実施形態にかかる光検知器について、図1〜図6を参照しながら説明する。
本実施形態では、本発明を、例えば赤外線の入射量に応じて光電流を発生しうる赤外線検知器であって、量子ドットを赤外線吸収部として用いる量子ドット型赤外線検知器(Quantum Dot Infrared Photodetector;QDIP)に適用した場合を例に説明する。
【0013】
本実施形態にかかる量子ドット型赤外線検知器(撮像デバイス)は、例えば図1に示すように、量子ドット1と、量子ドット1を挟む障壁層2,3とを備える複数の量子ドット層4を含む赤外線検知素子(光検知素子)5と、赤外線検知素子5を駆動する駆動回路6(駆動機構)とを備える。
本実施形態では、赤外線検知素子5は、GaAs基板7上に、下部n型GaAs電極層8(コンタクト層)、InAs量子ドット1の上下をAlGaAs障壁層2,3で挟み込んでなる複数の量子ドット層4、上部n型GaAs電極層9(コンタクト層)を積層した構造になっている。つまり、下部AlGaAs障壁層2上に形成されたInAs量子ドット1を上部AlGaAs障壁層3によって埋め込むことによって各量子ドット層4が形成されており、これらの量子ドット層4を挟み込むように両側にn型GaAs電極層8,9が設けられている。また、下部n型GaAs電極層8及び上部n型GaAs電極層9には、それぞれ、AuGe/Au電極10,11が取り付けられている。そして、これらの電極10,11は駆動回路6に接続されている。
【0014】
ここでは、InAs量子ドット1は、分子線エピタキシャル装置で自己組織化形成法によって形成されるため、成長方向に対して垂直な面内に分布する。そして、赤外線の検知効率を高めるために、この面内に分布したInAs量子ドット1を含む量子ドット層4を複数積層している。
特に、本実施形態では、一の量子ドット層4を構成する両側のAlGaAs障壁層2,3、即ち、InAs量子ドット1を挟む一側及び他側のAlGaAs障壁層2,3は、AlとGaの組成を連続的に変化させた材料からなる。
【0015】
具体的には、AlGaAs障壁層2,3は、入射する赤外線に応じて赤外線検知素子5に流れる電流を検知する検知期間に一の向きにバイアス電圧を印加した場合に低電位側となる面がAl0.2Ga0.8Asからなり、高電位側となる面がAl0.3Ga0.7Asからなるようにしている。そして、これらの面の間の中間部分が、両側を構成する材料のAl組成及びGa組成を連続的に変化させたAlGa1−xAs(0.2<x<0.3)からなるようにしている。つまり、AlGaAs障壁層2,3は、低電位側となる面がAl0.20Ga0.80Asからなり、高電位側となる面がAl0.30Ga0.70Asからなり、低電位側から高電位側へ向けてAl組成を0.20から0.30まで連続的に変化させた傾斜組成AlGa1−xAs(0.2≦x≦0.3)障壁層である。
【0016】
なお、本実施形態では、構成元素が同一で組成が異なるものは、異なる材料とする。このため、量子ドット1の一側及び他側の障壁層2,3は、互いに異なる材料からなることになる。
このようにして、本実施形態では、図2(A)に示すように、伝導帯エネルギーバンド構造において、一の量子ドット層4を構成する量子ドット1の一側の障壁層2のエネルギ障壁が、バイアス電圧を印加していない状態で、量子ドット1の他側の障壁層3のエネルギ障壁よりも高くなるようにしている。つまり、一の量子ドット層4[図2(A)中、右側]を構成する量子ドット1の検知期間に低電位となる側[図2(A)中、左側]の障壁層2のエネルギ障壁が、バイアス電圧を印加していない状態で、量子ドット1の検知期間に高電位となる側[図2(A)中、右側]の障壁層3のエネルギ障壁よりも高くなるようにしている。なお、図2(A)では、障壁層2,3の組成が連続的に変化することによって、障壁層2,3の伝導帯端のエネルギーレベルが連続的に変化している様子を示している。このように、量子ドット1を挟む両側の障壁層2,3のエネルギ障壁の高さが非対称性を有するものとなっている。
【0017】
このように構成することによって、図2(B)に示すように、検知期間に一の向きにバイアス電圧を印加した場合に、一の量子ドット層4[図2(B)中、右側]よりも低電位側に位置する量子ドット層4A[図2(B)中、左側]においてサブバンド間励起された電子は、一の量子ドット層4の近傍においてエネルギ障壁と感じるものがないため、停留が起こりにくくなる。この結果、一の量子ドット層4よりも低電位側に位置する量子ドット層4Aにおいてサブバンド間励起された電子の高電位側の電極への輸送効率は十分に高い状態に維持される。
【0018】
また、障壁層2,3が、組成を連続的に変化させた材料によって構成されているため、検知期間に一の向きにバイアス電圧を印加した場合に、低電位側から高電位側へ流れる電子にとって、不連続な障壁が現れない。このため、障壁層2,3の部分においてもエネルギ障壁と感じるものがなく、輸送効率が低下するのを回避することができる。この結果、上述のように、量子ドット1を挟む両側の障壁層2,3のエネルギ障壁の高さが非対称になっているものにおいても輸送効率を十分に高い状態に維持することができる。
【0019】
ところで、赤外線検知器では、入射する赤外線に応答して流れる電流を検知する検知期間以外に、これを読み出す読出期間が必要になる。通常、この読出期間には赤外線検知素子に流れる電流は制御されていない(図6参照)。
これに対し、本実施形態では、量子ドット1の束縛準位へのキャリア供給を十分に行なえるようにすべく、検知期間以外の期間(ここでは読出期間)に、検知期間に印加するバイアス電圧の向きと逆向きのバイアス電圧を印加するようにしている。これにより、検知期間以外の期間に、検知期間に流れる電流とは逆向きの電流が赤外線検知素子5に流れることになる。
【0020】
このように、検知期間以外の期間に他の向きにバイアス電圧を印加した場合、図2(C)に示すように、低電位側[図2(C)中、右側]から高電位側[図2(C)中、左側]へ流れる電子は、量子ドット1を挟む両側の障壁層2,3のうち高電位側の障壁層2のエネルギ障壁が低電位側の障壁層3のエネルギ障壁よりも高いため、これを障壁と感じ、量子ドット1の近傍において停留することになる。これにより、緩和確率が高くなり、量子ドット1の束縛準位への電子の供給が十分に行なえることになる。
【0021】
特に、本実施形態では、検知期間と検知期間との間にある読出期間に、検知期間に印加するバイアス電圧の向きと逆向きのバイアス電圧を印加するようにしている。これにより、読出期間の直後に検知期間がくることになるため、量子ドットの束縛準位に電子が十分に供給された状態で検知期間を開始することができる。
このため、本実施形態では、図3に示すように、駆動回路6が、検知期間以外の期間に、検知期間に流れる電流とは向きが異なる電流を赤外線検知素子5に流すためのキャリア供給回路12(電流切替回路)を含む。
【0022】
具体的には、駆動回路6は、図3に示すように、蓄積容量Cと、蓄積容量Cを赤外線検知素子5に接続するためのスイッチGと、蓄積容量Cをバイアス電源(一の向きのバイアス電圧V;V>0)に接続するためのスイッチGとを備える。そして、蓄積容量C、スイッチG、スイッチGのそれぞれの端子を接続した接点X(電圧V)に出力端子(OUT端子)が接続されている。
【0023】
特に、本実施形態では、スイッチGと赤外線検知素子5との間にスイッチGが接続されており、このスイッチGを介して、赤外線検知素子5とバイアス電源(逆向きのバイアス電圧V;V<0)とが接続されるようになっている。このように、駆動回路6は、検知期間以外の期間に、検知期間に印加するバイアス電圧とは極性が異なる電圧を赤外線検知素子5に印加するためのスイッチGを含むキャリア供給回路12を備える。
【0024】
次に、本赤外線検知器の動作について、図4を参照しながら説明する。
まず、検知期間の動作について説明する。
図4に示すように、検知期間において、コントローラからの指令に基づいて、スイッチGはOFFにされ、スイッチGはONにされる。
つまり、検知期間の開始時点でスイッチGがONにされる。これにより、蓄積容量Cの両端に印加されている電圧V(V>0)が赤外線検知素子5に加わり、赤外線検知素子5に正の電流(図3中、矢印で示す向きの電流I)が流れる。
【0025】
検知期間にはスイッチGはOFFにされているため、赤外線検知素子5に流れる電流は蓄積容量Cに蓄積されている電荷が流れ出たものとなる。
検知期間が終了する時点では、蓄積容量Cに蓄積されている電荷は検知期間の開始時点よりも減少しているため、接点Xの電圧Vは電圧降下を起こしている。
次に、読出期間の動作について説明する。
【0026】
図4に示すように、読出期間において、コントローラからの指令に基づいて、スイッチGはOFFにされる。また、読出期間の一部の期間において、コントローラからの指令に基づいて、スイッチGはONにされる。
読出期間の開始時点でスイッチGはOFFにされ、接点Xの電圧Vの電圧値が出力端子から読み出される。検知期間に赤外線の入射量に応じて赤外線検知素子5に流れる電流が増加し、これに応じて接点Xの電圧Vの電圧値が変わるため、接点Xの電圧Vの電圧値を読み出すことで、赤外線の入射量を検知することができる。
【0027】
このようにして接点Xの電圧Vの電圧値を読み出した後、スイッチGはONにされる。これにより、バイアス電源(一の向きのバイアス電圧V;電位V>0)から蓄積容量Cに電荷が蓄積され、接点Xの電圧Vの電圧値が初めの電圧値に戻る。
そして、読出期間の終了時点でスイッチGはOFFにされる。
このような検知期間の動作及び読出期間の動作は、交互に繰り返されることになる。
【0028】
さらに、本実施形態では、上述のように、駆動回路6にキャリア供給回路12が備えられているため、読出期間の動作として、上述の動作に加え、以下のような動作も行なわれる。
つまり、図4に示すように、読出期間において、コントローラからの指令に基づいて、スイッチGはONにされる。これにより、赤外線検知素子5に、検知期間に印加されるバイアス電圧Vとは逆向きのバイアス電圧V(V<0)が加わり、赤外線検知素子5に負の電流(図3中、矢印で示す向きの電流Iに対して逆向きの電流)が流れる。この結果、量子ドット1の束縛準位への電子の供給が十分に行なわれる。
【0029】
なお、読出期間において、コントローラからの指令に基づいて、スイッチGはOFFにされる。このため、駆動回路6にキャリア供給回路12が備えられていない場合と同様に、上述の読出動作が行われる。
一方、検知期間においては、コントローラからの指令に基づいて、スイッチGはOFFにされる。このため、赤外線検知素子5に流れる電流は、駆動回路6にキャリア供給回路12が備えられていない場合と同じである。
【0030】
これに対し、図5に示すように、駆動回路にキャリア供給回路が備えられていない場合には、図6に示すように、検知期間には赤外線検知素子5に電流が流れるのに対し、読出期間には赤外線検知素子5に電流が流れない。このため、量子ドット1の束縛準位への電子の供給が不十分である。
次に、本実施形態にかかる量子ドット型赤外線検知器の製造方法について説明する。
【0031】
なお、本量子ドット型赤外線検知器を構成する各結晶層は例えば分子線エピタキシー(MBE;Molecular Beam Epitaxy)法による結晶成長によって形成される。
まず、例えば分子線エピタキシャル法によって、GaAs基板7上に、n型GaAs電極層8(コンタクト層)を、例えば基板温度600℃で成長させる(図1参照)。
ここでは、厚さは例えば1000nmとし、n型不純物として、例えばSiを用い、その濃度は例えば2×1018/cmとしている。
【0032】
次いで、n型GaAs電極層8上に、AlGaAs障壁層2を成長させる(図1参照)。
ここでは、厚さは例えば50nmとしている。また、成長中にAl組成比を例えば0.2から例えば0.3まで連続的に変化させて傾斜組成AlGaAs障壁層を成長させている。このような組成の変化は、例えばAlあるいはGaのセルの温度を時間的に変化させることにより実現することができる。
【0033】
また、AlGaAs障壁層2を成長させている間に、基板温度を例えば600℃から量子ドットの自己組織化形成が起こり得る温度、例えば500℃まで低下させる。
そして、基板温度を例えば500℃に維持したまま、成長速度が例えば0.2ML/s(原子層/秒)となるように、InAsを2ML供給する。この供給過程でInAsに加わる圧縮歪が増し、InAsが3次元成長してInAs量子ドット1が形成される(自己組織化形成法)(図1参照)。
【0034】
次に、InAs量子ドット1を覆うように、例えば厚さ50nmのAlGaAs障壁層3を成長させる(図1参照)。
ここでは、上述のAlGaAs障壁層2を形成する場合と同様に、成長中にAl組成比を例えば0.2から例えば0.3まで連続的に変化させて傾斜組成AlGaAs障壁層を成長させている。
【0035】
その後、上述のようなInAs量子ドット1の形成工程と、AlGaAs障壁層2,3の形成工程とを、例えば9回繰り返す(図1参照)。
そして、最後のAlGaAs障壁層3を成長させている間に、基板温度を例えば500℃から例えば600℃に上昇させる。
次に、例えば基板温度600℃で、n型GaAs電極層9(コンタクト層)を成長させる(図1参照)。
【0036】
ここでは、厚さは例えば1000nmとし、n型不純物として、例えばSiを用い、その濃度は例えば2×1018/cmとしている。
このようにして、複数の量子ドット層4がn型GaAs電極層8,9によって挟み込まれた積層構造が形成される(図1参照)。
その後、例えばフォトリソグラフィ及びドライエッチングによって、基板側に位置するn型GaAs電極層8までの一部を除去する加工を行なう(図1参照)。
【0037】
引き続き、例えば金属蒸着法によって、2つのn型GaAs電極層8,9上に、それぞれ、AuGe/Au電極10,11を形成する(図1参照)。
そして、このようにして形成された2つのAuGe/Au電極10,11を、例えばCMOSなどの駆動回路6に接続する(図1参照)。これにより、図1に示すような量子ドット型赤外線検知器が製造される。
【0038】
なお、本実施形態では、上述のように、駆動回路6には、AuGe/Au電極10,11間に電位差を加え、その電極間を流れる電流を検知するための配線系統と、その電流とは向きが異なる電流をその電極間に流すための配線系統と、これらの配線系統を切り替えるためのスイッチ(電流切り替え機構)とを設けておく。
したがって、本実施形態にかかる光検知器によれば、輸送効率を低下させずに、量子ドット1の束縛準位へのキャリア供給を十分に行なうことができ、十分に高い検知効率が得られるという利点がある。
【0039】
つまり、外部より入射した赤外線に対する量子ドット1の応答として発生する電流を検知する機能を有する量子ドット型赤外線検知器において、赤外線検知素子5に含まれる量子ドット層4が非対称性を有し、また、駆動回路6がキャリア供給回路12を備える。このため、量子ドット1の束縛準位への電子供給が十分に行われた状態から電流を検知する時間が開始され、検知時間においてサブバンド間励起された電子は高電位側の電極へ高い効率で輸送されることとなる。これにより、高い検知効率を持つ量子ドット型赤外線検知器を実現することができる。
[第2実施形態]
第2実施形態にかかる光検知器(量子ドット型赤外線検知器)について、図7を参照しながら説明する。
【0040】
本実施形態では、上述の第1実施形態のものに対し、赤外線検知素子5のAlGaAs障壁層2,3の構成、駆動回路6に含まれるキャリア供給回路12の構成が異なる。
つまり、上述の第1実施形態では、駆動回路6が、入射する赤外線に応じて赤外線検知素子5に流れる電流を検知する検知期間以外の期間に、検知時間に流れる電流とは向きが異なる電流を赤外線検知素子5に流すためのキャリア供給回路12(電流切替回路)を含むようにしている。
【0041】
これに対し、本実施形態では、駆動回路6が、入射する赤外線に応じて赤外線検知素子5に流れる電流を検知する検知期間以外の期間に、検知時間に流れる電流と向きが同じで値が異なる電流を赤外線検知素子5に流すためのキャリア供給回路12(電流切替回路)を含むようにしている。
ここでは、上述の第1実施形態の駆動回路6(図3参照)において、スイッチGと赤外線検知素子5との間に接続するスイッチGを介して、赤外線検知素子5とバイアス電源(バイアス電圧Vの向きと同じ向きで大きさが異なるバイアス電圧V;V>0かつV<V)とが接続されるようにしている。このように、駆動回路6は、検知期間以外の期間に、検知期間に印加するバイアス電圧と極性が同じで値が異なる電圧を赤外線検知素子5に印加するためのスイッチGを含むキャリア供給回路12を備えるものとしている。
【0042】
この場合、読出期間において、コントローラからの指令に基づいて、スイッチGがONにされると(図4参照)、赤外線検知素子5に、検知期間に印加されるバイアス電圧Vの向きと同じ向きで大きさが異なるバイアス電圧V(V>0かつV<V)が加わり、検知期間に赤外線検知素子5に流れる電流と同じ向きで大きさ(値)の異なる正の電流が流れる。
【0043】
このように、検知期間以外の期間(読出期間)に、検知期間に印加されるバイアス電圧Vの向きと同じ向きで大きさが異なるバイアス電圧Vを印加した場合、図7(C)に示すように、低電位側[図7(C)中、左側]から高電位側[図7(C)中、右側]へ流れる電子は、量子ドット1を挟む両側の障壁層2,3のうち高電位側の障壁層3のエネルギ障壁が低電位側の障壁層2のエネルギ障壁よりも高いため、これを障壁と感じ、量子ドット1の近傍において停留することになる。これにより、緩和確率が高くなり、量子ドット1の束縛準位への電子の供給が十分に行なえることになる。
【0044】
ところで、上述のように構成する場合、上述の第1実施形態の赤外線検知素子5に対し、AlGaAs障壁層2,3の構成を変える必要がある。
本実施形態では、AlGaAs障壁層2,3を、低電位側となる面がAl0.25Ga0.75Asからなり、高電位側となる面がAl0.2Ga0.8Asからなり、低電位側から高電位側へ向けてAl組成を0.25から0.20まで連続的に変化させた傾斜組成AlGa1−xAs(0.20≦x≦0.25)層としている。
【0045】
これにより、図7(A)に示すように、伝導帯エネルギーバンド構造において、一の量子ドット層4を構成する量子ドット1の一側の障壁層3のエネルギ障壁が、バイアス電圧を印加していない状態で、量子ドット1の他側の障壁層2のエネルギ障壁よりも高くなる。つまり、一の量子ドット層4を構成する量子ドット1の検知期間に高電位となる側[図7(A)中、右側]の障壁層3のエネルギ障壁が、バイアス電圧を印加していない状態で、量子ドット1の検知期間に低電位となる側[図7(A)中、左側]の障壁層2のエネルギ障壁よりも高くなる。なお、図7(A)では、障壁層2,3の組成が連続的に変化することによって、障壁層2,3の伝導帯端のエネルギーレベルが連続的に変化している様子を示している。このように、量子ドット1を挟む両側の障壁層2,3のエネルギ障壁の高さが非対称性を有するものとなる。
【0046】
このように構成することによって、図7(B)に示すように、検知期間に一の向きにバイアス電圧を印加した場合に、一の量子ドット層4[図7(B)中、右側]よりも低電位側に位置する量子ドット層4A[図7(B)中、左側]においてサブバンド間励起された電子は、一の量子ドット層4の近傍において停留しにくくなる。この結果、一の量子ドット層4よりも低電位側に位置する量子ドット層4Aにおいてサブバンド間励起された電子の高電位側の電極への輸送効率は十分に高い状態に維持される。
【0047】
また、障壁層2,3が、組成を連続的に変化させた材料によって構成されているため、検知期間に一の向きにバイアス電圧を印加した場合に、低電位側から高電位側へ流れる電子にとって、不連続な障壁が現れない。このため、障壁層2,3の部分においてもエネルギ障壁と感じるものがなく、輸送効率が低下するのを回避することができる。この結果、上述のように、量子ドット1を挟む両側の障壁層2,3のエネルギ障壁の高さが非対称になっているものにおいても輸送効率を十分に高い状態に維持することができる。
【0048】
なお、その他の詳細は、上述の第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
したがって、本実施形態にかかる光検知器によれば、上述の第1実施形態の場合と同様に、輸送効率を低下させずに、量子ドット1の束縛準位へのキャリア供給を十分に行なうことができ、十分に高い検知効率が得られるという利点がある。
【0049】
つまり、外部より入射した赤外線に対する量子ドット1の応答として発生する電流を検知する機能を有する量子ドット型赤外線検知器において、赤外線検知素子5に含まれる量子ドット層4が非対称性を有し、また、駆動回路6がキャリア供給回路12を備える。このため、量子ドット1の束縛準位への電子供給が十分に行われた状態から電流を検知する時間が開始され、検知時間においてサブバンド間励起された電子は高電位側の電極へ高い効率で輸送されることとなる。これにより、高い検知効率を持つ量子ドット型赤外線検知器を実現することができる。
[第3実施形態]
第3実施形態にかかる光検知器(量子ドット型赤外線検知器)について、図8,図9を参照しながら説明する。
【0050】
本実施形態では、上述の第1実施形態のものに対し、赤外線検知素子を構成する量子ドット層の障壁層の構成が異なる。
つまり、上述の第1実施形態(図1参照)では、量子ドット1を挟む両側の障壁層2,3を、同一の傾斜組成AlGaAs障壁層としているのに対し、本実施形態では、図8に示すように、量子ドット1を挟む両側の障壁層2A,3Aを、組成を変化させずに、互いに異なる材料からなるものとし、2層構造にしている点が異なる。なお、図8では、上述の第1実施形態のものと同一のものには同一の符号を付している。
【0051】
本実施形態では、量子ドット1を挟む両側の障壁層2A,3Aのうち、入射する赤外線に応じて赤外線検知素子5に流れる電流を検知する検知期間に一の向きにバイアス電圧を印加した場合に低電位側に位置する障壁層2Aを、AlGaAs層(ここではAl0.1Ga0.9As層)とし、高電位側に位置する障壁層3Aを、GaAs層としている。このように、量子ドット1の一側及び他側の障壁層2A,3Aは、互いに異なる材料からなるものとしている。
【0052】
このようにして、本実施形態では、図9(A)に示すように、伝導帯エネルギーバンド構造において、一の量子ドット層4を構成する量子ドット1の一側の障壁層2Aのエネルギ障壁が、バイアス電圧を印加していない状態で、量子ドット1の他側の障壁層3Aのエネルギ障壁よりも高くなるようにしている。つまり、一の量子ドット層4を構成する量子ドット1の検知期間に低電位となる側[図9(A)中、左側]の障壁層2Aのエネルギ障壁が、バイアス電圧を印加していない状態で、量子ドット1の検知期間に高電位となる側[図9(A)中、右側]の障壁層3Aのエネルギ障壁よりも高くなるようにしている。このように、量子ドット1を挟む両側の障壁層2A,3Aのエネルギ障壁の高さが非対称性を有するものとなっている。
【0053】
このように構成することによって、図9(B)に示すように、検知期間に一の向きにバイアス電圧を印加した場合に、一の量子ドット層4[図9(B)中、右側]よりも低電位側に位置する量子ドット層4A[図9(B)中、左側]においてサブバンド間励起された電子は、一の量子ドット層4の近傍において、停留が起こりにくくなる。この結果、一の量子ドット層4よりも低電位側に位置する量子ドット層4Aにおいてサブバンド間励起された電子の高電位側の電極への輸送効率は十分に高い状態に維持される。
【0054】
特に、本実施形態では、上述の第1実施形態の場合と同様に、量子ドット1の束縛準位へのキャリア供給を十分に行なえるようにすべく、検知期間以外の期間(ここでは読出期間)に、検知期間に印加するバイアス電圧の向きと逆向きのバイアス電圧を印加するようにしている。これにより、検知期間以外の期間に、検知期間に流れる電流とは逆向きの電流が赤外線検知素子5に流れることになる。
【0055】
このように、検知期間以外の期間に他の向きにバイアス電圧を印加した場合、図9(C)に示すように、低電位側[図9(C)中、右側]から高電位側[図9(C)中、左側]へ流れる電子は、量子ドット1を挟む両側の障壁層2A,3Aのうち高電位側の障壁層2Aのエネルギ障壁が低電位側の障壁層3Aのエネルギ障壁よりも高いため、これを障壁と感じ、量子ドット1の近傍において停留することになる。これにより、緩和確率が高くなり、量子ドット1の束縛準位への電子の供給が十分に行なえることになる。
【0056】
次に、本実施形態にかかる量子ドット型赤外線検知器の製造方法について説明する。
なお、本量子ドット型赤外線検知器を構成する各結晶層は例えば分子線エピタキシー(MBE;Molecular Beam Epitaxy)法による結晶成長によって形成される。
まず、GaAs基板7上に、n型GaAs電極層8(コンタクト層)を、例えば基板温度600℃で成長させる(図8参照)。
【0057】
ここでは、厚さは例えば1000nmとし、n型不純物として、例えばSiを用い、その濃度は例えば2×1018/cmとしている。
次いで、n型GaAs電極層8上に、AlGaAs障壁層2Aを成長させる(図8参照)。
ここでは、厚さは例えば50nmとし、Al組成比を例えば0.1とする。また、AlGaAs障壁層2Aを成長させている間に、基板温度を例えば600℃から量子ドット1の自己組織化形成が起こり得る温度、例えば500℃まで低下させる。
【0058】
そして、基板温度を例えば500℃に維持したまま、成長速度が例えば0.2ML/s(原子層/秒)となるように、InAsを2ML供給する。この供給過程でInAsに加わる圧縮歪が増し、InAsが3次元成長してInAs量子ドット1が形成される(自己組織化形成法)(図8参照)。
次いで、InAs量子ドット1を覆うように、例えば厚さ25nmのGaAs障壁層3Aを成長させる(図8参照)。
【0059】
次に、GaAs障壁層3A上にAlGaAs障壁層2Aを成長させる(図8参照)。ここでは、厚さは例えば25nmとし、Al組成比を例えば0.1とする。
その後、上述のようなInAs量子ドット1の形成工程と、GaAs障壁層3Aの形成工程と、AlGaAs障壁層2Aの形成工程とを、例えば8回繰り返す(図8参照)。
そして、最後のInAs量子ドット1を形成した後、InAs量子ドット1を覆うように、例えば厚さ50nmのGaAs障壁層3Aを成長させる(図8参照)。
【0060】
この最後のGaAs障壁層3Aを成長させている間に、基板温度を例えば500℃から例えば600℃に上昇させる。
次に、例えば基板温度600℃で、n型GaAs電極層9(コンタクト層)を成長させる(図8参照)。
ここでは、厚さは例えば1000nmとし、n型不純物として、例えばSiを用い、その濃度は例えば2×1018/cmとしている。
【0061】
このようにして、複数の量子ドット層4がn型GaAs電極層8,9によって挟み込まれた積層構造が形成される(図8参照)。
その後、例えばフォトリソグラフィ及びドライエッチングによって、基板側に位置するn型GaAs電極層までの一部を除去する加工を行なう(図8参照)。
引き続き、例えば金属蒸着法によって、2つのn型GaAs電極層8,9上に、それぞれ、AuGe/Au電極10,11を形成する(図8参照)。
【0062】
そして、このようにして形成された2つのAuGe/Au電極10,11を、例えばCMOSなどの駆動回路6に接続する(図8参照)。これにより、図8に示すような量子ドット型赤外線検知器が製造される。
なお、その他の詳細は、上述の第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0063】
したがって、本実施形態にかかる光検知器によれば、上述の第1実施形態の場合と同様に、輸送効率を低下させずに、量子ドット1の束縛準位へのキャリア供給を十分に行なうことができ、十分に高い検知効率が得られるという利点がある。
つまり、外部より入射した赤外線に対する量子ドット1の応答として発生する電流を検知する機能を有する量子ドット型赤外線検知器において、赤外線検知素子5に含まれる量子ドット層4が非対称性を有し、また、駆動回路6がキャリア供給回路12を備える。このため、量子ドット1の束縛準位への電子供給が十分に行われた状態から電流を検知する時間が開始され、検知時間においてサブバンド間励起された電子は高電位側の電極へ高い効率で輸送されることとなる。これにより、高い検知効率を持つ量子ドット型赤外線検知器を実現することができる。
[その他]
なお、量子ドットを挟む両側の障壁層の構成は、上述の各実施形態のものに限られるものではなく、バイアス電圧を印加していない状態で、量子ドットを挟む両側の障壁層のエネルギ障壁の高さが非対称になっていれば良い。
【0064】
例えば、量子ドットを例えば自己組織化形成法によって形成すると、量子ドット層は基板に垂直な方向に対して非対称な構造になる。これにより、量子ドットを挟む両側の障壁層を異なる材料(組成を連続的に変化させた材料)によって構成しなくても、量子ドットを挟む両側の障壁層のエネルギ障壁の高さが非対称になる。つまり、量子ドットを挟む両側の障壁層を、組成変化のない同じ材料によって構成し、上述の各実施形態のように、駆動回路を、キャリア供給回路を含むものとして構成するだけで、上述の各実施形態の場合と同様の効果が得られる。
【0065】
また、量子ドットや障壁層を構成する材料は、上述の各実施形態のものに限られるものではなく、例えば、InAs,GaAs,AlAsあるいはこれらの混晶によって構成されていれば良い。
また、上述の各実施形態では、アンドープの量子ドット層をn型コンタクト層で挟み込むようにしているが、これに限られるものではない。例えば、量子ドット層に不純物を添加しても良い。また、例えば、n型不純物(Si)に代えてp型不純物(Be)を添加して、n型コンタクト層をp型コンタクト層にしても良い。この場合、キャリアは正孔になり、価電子帯エネルギーバンド構造を利用することになる。
【0066】
また、上述の各実施形態では、成長方法として分子線エピタキシャル成長法を用いているが、これに限られるものではなく、例えば有機金属気相成長法(MOCVD法)や原子層成長法(ALE法)などの他の成長方法を用いても良い。
また、上述の各実施形態では、量子ドット層を10層にしているが、量子ドット層数は任意であり、数層から30層程度の範囲内で適宜選択すれば良い。
【0067】
なお、本発明は、上述した各実施形態及び変形例に記載した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 量子ドット
2,2A,3,3A 障壁層
4,4A 量子ドット層
5 赤外線検知素子(光検知素子)
6 駆動回路
7 GaAs基板
8 n型GaAs電極層
9 n型GaAs電極層
10,11 AuGe/Au電極
12 キャリア供給回路
C 蓄積容量
スイッチ
スイッチ
スイッチ
X 接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子ドットと、前記量子ドットを挟む障壁層とを備える複数の量子ドット層を含む光検知素子と、
前記光検知素子を駆動する駆動回路とを備え、
前記駆動回路が、入射する光に応じて前記光検知素子に流れる電流を検知する検知期間以外の期間に、前記電流とは異なる電流を前記光検知素子に流すためのキャリア供給回路を含むことを特徴とする光検知器。
【請求項2】
前記量子ドットの一側の前記障壁層のエネルギ障壁は、バイアス電圧を印加していない状態で、前記量子ドットの他側の前記障壁層のエネルギ障壁よりも高くなっていることを特徴とする、請求項1記載の光検知器。
【請求項3】
前記量子ドットの一側及び他側の前記障壁層は、互いに異なる材料からなることを特徴とする、請求項1又は2記載の光検知器。
【請求項4】
前記量子ドットの一側及び他側の前記障壁層は、組成を連続的に変化させた材料からなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光検知器。
【請求項5】
前記キャリア供給回路は、前記検知期間以外の期間にバイアス電圧とは極性が異なる電圧又は極性が同じで値が異なる電圧を前記光検知素子に印加するためのスイッチを含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光検知器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−114200(P2011−114200A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269843(P2009−269843)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、防衛省、「2波長赤外線センサ(その2)」試作研究請負契約、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】