説明

光波形測定方法

【課題】偏波ダイバーシティ構成を用いずに強度相関信号の偏波依存性を無くす。
【解決手段】光を波形測定する際に、該測定対象となる被測定光をサンプリングするためのサンプリング光パルスを出力し、該被測定光および該サンプリング光パルスによる非線形光学効果を生じさせて、該被測定光のサンプリング結果となる光を出力する一方、該サンプリング結果として出力される光が所定の直線偏波状態を有するように、該測定対象となる被測定光およびサンプリング光パルスの偏波状態を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光波形測定方法に関し、特に、電子回路の動作速度制限のために、電子測定では細部にわたり正確に観測できない光パルス波形を、実波形に忠実に観測する際に用いて好適の、光波形測定装置および光波形測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光パルス波形の観測は、光通信において、受信端での光信号の品質を評価するために必要な機能であるだけではなく、信号中継機や光ネットワークのノードにおける信号品質を監視にも応用可能である。また、光部品の評価にも欠かせない機能である。光ファイバ通信の大容量化に伴い、信号光のビットレートは研究段階では40Gb/sに達している。また、次世代のシステムを目指して、160Gb/s以上のシステムの研究開発も盛んに行なわれている。これらの研究開発を推進するために、信号光の実波形を忠実に観測できる波形測定技術および波形測定装置が求められている。
【0003】
今日、一般に用いられる光波形測定装置においては、図23に示すように、まず、光電変換器101を介して被測定光信号(光パルス)を電気信号に変換する。次に、トリガー回路102で発生させた電気トリガーで駆動する電気サンプリングパルスを電気サンプリングパルス発生回路103で発生させ、サンプリング回路104内で光電変換器101からの電気信号を電気サンプリングパルスでサンプリングして、波形表示器105でサンプリング波形を表示する。即ち、光信号の実波形を、電気信号でサンプリングして波形測定を行なうようになっている。
【0004】
このとき、信号光の波形を忠実に観測するには、信号光を構成する全ての周波数成分を受光しなければならないので、波形測定装置には信号光のビットレートよりも十分広い帯域が求められる。電気サンプリング測定での観測帯域は、光電変換器、トリガー回路、サンプリング回路、波形表示器などの最も狭いもので制限される。通常、50GHz程度と考えられている電子回路の動作帯域制限は、40Gb/sの信号を精細に観測するには必ずしも十分な帯域ではない。
【0005】
この帯域制限の課題を解決する技術としては、信号光を光のままサンプリングする光サンプリング技術がある。この光サンプリング技術は、図24に示すように、非線形媒質からなる光サンプリングゲート111において、被測定光(波長:λsig)とそれよりもパルス幅の短いサンプリング光パルス(波長:λsam)との強度相関信号光を発生させることにより、サンプリング結果を出力するものである。ここで、強度相関信号光とは、被測定光とサンプリング光パルスが時間領域で重なることにより発生した光を示す。
【0006】
ここで、サンプリング光パルスは、サンプリング周波数生成器113からのサンプリング周波数信号によって短パルス光源112を駆動することにより、短パルス光源112の出力として得られるようになっている。サンプリング周波数生成器113では、被測定光に同期したクロック信号(繰り返し周波数f0)をN分周し、更に掃引のための周波数Δfにより周波数シフトすることにより得られる周波数信号(f0/N+Δf)を、サンプリング周波数信号として出力するようにしている。なお、繰り返し周波数とは、光パルスの繰り返し周期の逆数を表す。
【0007】
そして、サンプリングゲート111において、このサンプリング光パルスと被測定光とを合波し、当該サンプリングゲート111内の非線形媒質に入射させることで非線形効果
を生じさせる。この非線形効果により、被測定光とサンプリング光パルスとの強度相関を持つ光信号、即ち強度相関信号光(波長:λc、繰り返し周波数:f0/N+Δf )が得
られるが、この強度相関信号光を光フィルタで抽出し、光サンプリングゲート111から出力する。
【0008】
光サンプリングゲート111から出力された強度相関信号光は、光電変換器114で電気相関信号に変換され、通常、サンプリング周波数信号を用いてアナログ信号からディジタル信号に変換した後、電気信号に変換された強度相関信号として波形表示器115の垂直軸信号ポートに入力される。波形表示器115では、垂直軸信号ポートに入力される強度相関信号を、サンプリング周波数生成器113で用いられている周波数Δfの掃引信号を水平軸信号ポートに入力してトリガーをかけることにより、被測定光波形を表示する。
【0009】
上述の図24に示す光サンプリングの時間分解能は、主にサンプリング光パルスのパルス幅で決定されるので、パルス幅の狭いサンプリング光パルスを用意すれば時間分解能の高い光サンプリングを実現できる。一方、垂直軸に該当する信号光の強度については、強度相関信号光の大きさに依存する。この強度相関信号光は、非線形媒質内で発生するが、この非線形媒質としては、ポタジウムタイタニルフォスファ(KTiOPO4:KTP)結晶や周期分極反転LiNbO3(PPLN)結晶などを用いることができる。
【0010】
しかしながら、前述の結晶内で発生する強度相関信号光は、入射する被測定光およびサンプリング光パルスの偏波状態に依存するために、任意の偏波状態の信号光波形を測定することが困難であるという課題がある。
そこで、以下に示す非特許文献1には、図25に示すように、上述の強度相関信号光が有する偏波依存性を解決し、任意の偏波状態の信号光波形を測定できるようにするために、光パルスを偏波ビームスプリッタ(PBS)125でTE偏波成分とTM偏波成分の二つの偏波成分に分離し、二つの非線形媒質内でそれぞれの偏波成分の強度相関信号光を発生させる偏波ダイバーシティ構成を採用している。尚、図25において、120はサンプリング光パルスを発生するパルス光源、121,122は発振器、123は被測定光を発生するモードロックファイバレーザ(MLFL:Mode Locked Fiber Laser)、124,127は半波長板(HWP:Half Wave Plate)、126,129,131はミラー、128,130はKTP、132はSi−APD(Si-Avalanche Photo Diode)、133はアナログ/ディジタル変換器、134はコンピュータである。
【0011】
偏波依存性を取り除く公知技術として、非特許文献2に記載された技術もある。本技術は、強度相関信号光を発生させるためには、被測定光とサンプリング光パルスの各偏波状態が直線偏波であり、かつ直線偏波方向が互いに40〜50度異なっていることが望ましい。即ち、被測定光の直線偏波状態を基準にすると、サンプリング光パルスの直線偏波はこの基準から40〜50度傾いていることが望ましいことになる。さらに、被測定光とサンプリング光パルスの各偏波状態は直線偏波ではなくとも、測定可能な強度相関信号光を発生できる偏波状態であれば問題はない。これを実現するために、偏波コントローラを用いて、非線形媒質である光ファイバに入射する被測定光とサンプリング光パルスの各偏波状態を設定する。本技術では、光ファイバ中での偏波状態の変化により必ずしも強度相関信号光を発生させるために最適な偏波状態を実現できないことがある。また、被測定光とサンプリング光パルスの各偏波状態を手動で設定する場合、所要時間は長い。その上、手動設定では正確性や再現性確保が難しい。特に、複数の被測定光を同時に観測する場合、所要部材を同時に観測したい被測定光の数だけ用意するのはもちろん、その数の分だけ個別に被測定光とサンプリング光パルスの各偏波状態を設定しなくてはならないので、初期設定に要する時間は膨大になる。
【非特許文献1】N.Yamada et al., "Polarization-insensitive optical sampling system using two KTP crystals," IEEE Photonics technology letters, vol. 16, no.1, pp.215-217, 2004
【非特許文献2】S. Watanabe, et al.," Novel Fiber Kerr-Switch with Parametric Gain: Demonstration of Optical Demultiplexing and Sampling up to 640 Gb/s," Postdeadline session, Th4.1.6, 30th European Conference on Optical Communication, September 5-9, 2004 Stockholm, Sweden
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述の特許文献1に記載された技術においては、非線形媒質として、比較的高価な材料であるKTPが二つ必要になる。
非特許文献2に記載された技術においても、強度相関信号光を監視してその結果をもとに被測定光の偏波状態を制御する機能はなく、被測定光についての実波形を、当該被測定光の偏波状態によらずにスムーズに観測できるようにするための構成についてまでは開示するものではない。
【0013】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、偏波ダイバーシティ構成を用いることなく、強度相関信号光のパワーレベルに基づき被測定光の偏波状態を制御することにより、強度相関信号光が被測定光の偏波状態に依存せずに発生することを可能にした、光波形測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このため、本発明の関連発明の光波形測定装置は、被測定光をサンプリングするためのサンプリング光パルスを出力しうるサンプリング光パルス出力部と、該被測定光および該サンプリング光出力部からの該サンプリング光パルスによる非線形光学効果を生じさせて、該被測定光のサンプリング結果となる光を出力しうるサンプリング結果出力部と、該被測定光の測定開始前において、該サンプリング光出力部に入射される該被測定光の偏波状態を該サンプリング結果出力部において出力される光のパワーレベルに基づき所定の状態になるように制御する偏波状態制御部と、をそなえて構成されたことを特徴としている。ここで、該被測定光の測定開始前とは、光波形測定装置を作製した時点、該被測定光測定中に何らかの原因により該被測定光の偏波状態が変化してしまい、該被測定光の偏波状態を所定の状態に再設定する必要が発生した時点をも含まれる。
また、好ましくは、該偏波状態制御部は、サンプリング光出力部からのサンプリング光パルスの偏波状態についても制御することとしてもよい。
【0015】
さらに、該サンプリング光出力部を、該被測定光の繰り返し周期程度もしくはよりも周期が長い周期に対応するサンプリング周波数を発生させる周波数発生部と、該周波数発生部で発生されたサンプリング周波数をもとにした光変調によって該サンプリング光パルスを生成するサンプリング光生成部と、をそなえて構成することもできる。
また、該サンプリング結果出力部を、該被測定光および該サンプリング光パルスによる非線形光学効果を生じさせるための非線形媒質と、該非線形媒質において生じる非線形光学効果によって偏波状態が変化した、該被測定光についての直線偏波成分を該波形測定用に抽出する直線偏波成分抽出部と、をそなえ、かつ、該偏波状態制御部を、該非線形媒質に入力される該被測定光の偏波状態を、該直線偏波成分抽出部において抽出すべき直線偏波成分の方向とほぼ直交する直線偏波となるように制御するとともに、該非線形媒質に入力される該サンプリング光パルスの偏波状態についても、該被測定光について制御すべき直線偏波の方向に対して40〜50度、好ましくは45度の角度を有する直線偏波となるように制御すべく構成することとしてもよい。
【0016】
さらに、該偏波状態制御部を、該被測定光について直線偏波光にする第1偏波制御部と、該サンプリング光発生部で発生された該サンプリング光について直線偏波光にする第2偏波制御部と、該直線偏波成分抽出部で抽出された該被測定光についての直線偏波成分に基づいて該第1偏波制御部および該第2偏波制御部においてそれぞれ変換される直線偏波光の方向を監視制御する監視制御部と、をそなえて構成することができる。
【0017】
また、該監視制御部を、該直線偏波成分抽出部で抽出すべき直線偏波の方向と、該第1偏波制御部および該第2偏波制御部においてそれぞれ変換される直線偏波光の方向を初期設定する初期設定部をそなえて構成することとしてもよい。
さらに、該初期設定部を、該サンプリング光パルスが入力されない場合には該直線偏波成分抽出部において抽出される直線偏波成分がほぼ最小となるように、該第1偏波制御部において変換される直線偏波光の方向とともに、該直線偏波成分抽出部で抽出すべき直線偏波の方向を初期設定するとともに、該第2偏波制御部において変換される直線偏波光の方向を、該第1偏波制御部において変換される直線偏波光の初期設定方向に対して40〜50度、好ましくは45度の角度を有する直線偏波となるように初期設定を行なうことができる。
【0018】
さらに、本発明の関連発明の光波形測定装置は、複数系列の光を波形測定の対象となる被測定光とし、該複数系列の被測定光をそれぞれサンプリングするための複数のサンプリング光パルスを出力しうるサンプリング光出力部と、該複数系列の被測定光および該サンプリング光出力部からの複数のサンプリング光パルスによる非線形光学効果をそれぞれ生じさせて、該被測定光のサンプリング結果となる光を出力しうる複数のサンプリング結果出力部と、該複数のサンプリング結果出力部において出力される光を用いて該波形測定を行なうことができるように、該サンプリング結果出力部において出力される光に基づいて該サンプリング結果出力部に入力される被測定光の偏波状態を個別に制御しうる偏波状態制御部と、をそなえて構成されたことを特徴としている。
【0019】
また、本発明の関連発明の光波形測定装置は、複数系列の光を波形測定の対象となる被測定光とし、該複数系列の被測定光をサンプリングするための共用のサンプリング光パルスを出力しうるサンプリング光出力部と、該複数系列の被測定光および該サンプリング光出力部からの該共用のサンプリング光パルスによる非線形光学効果を生じさせて、該被測定光のサンプリング結果となる光を出力しうるサンプリング結果出力部と、該サンプリング結果出力部において出力される光を用いて該波形測定を行なうことができるように、該サンプリング結果出力部において出力される光に基づいて該サンプリング結果出力部に入力される被測定光の偏波状態を個別に制御しうる偏波状態制御部と、をそなえて構成されたことを特徴としている。
【0020】
さらに、本発明の光波形測定方法は、光波形測定する際に、該測定対象となる被測定光をサンプリングするためのサンプリング光パルスを出力し、該被測定光および該サンプリング光パルスによる非線形光学効果を生じさせて、該被測定光のサンプリング結果となる光を出力する一方、該サンプリング結果として出力される光が所定の直線偏波状態を有するように、該測定対象となる被測定光およびサンプリング光パルスの偏波状態を制御することを特徴としている。
また、本発明の光波形測定方法は、光波形測定する際に、該測定対象となる被測定光をサンプリングするためのサンプリング光パルスを出力し、該被測定光および該サンプリング光パルスにより非線形媒質で非線形光学効果を生じさせて、該被測定光のサンプリング結果となる光を出力する一方、該サンプリング結果として出力される光が所定の直線偏波状態を有するように、該測定対象となる被測定光およびサンプリング光パルスの偏波状態を制御することを特徴としている。
また、上記の光波形測定方法において、該非線形媒質を光ファイバとすることができる。
【発明の効果】
【0021】
このように、本発明によれば、該サンプリング結果として出力される光が所定の直線偏波状態を有するように、該測定対象となる被測定光およびサンプリング光パルスの偏波状態を制御することができるので、強度相関信号光の発生が被測定光の偏波状態に依存しなくなることが可能になる利点がある。
さらに、比較的簡素な制御によって強度相関信号光の発生が被測定光の偏波状態に依存しなくなることが可能になる利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照することにより、本発明の実施の形態について説明する。
なお、上述の本願発明の目的のほか、他の技術的課題,その技術的課題を解決する手段及びその作用効果についても、以下の実施の形態による開示によって明らかとなるものである。
〔A〕第1実施形態の説明
〔A−1〕構成
図1は本発明の第1実施形態にかかる光波形測定装置を示すブロック図である。この図1に示す光波形測定装置1は、被測定光の波形測定を行なうものであり、具体的にはサンプリングにより波形の形状を表示する機能をそなえている。ここで、光波形測定装置1は、第1偏波制御部2−1,第2偏波制御部2−2,サンプリング光出力部3,サンプリング結果出力部4,波形表示器5および監視制御部6をそなえて構成されている。
【0023】
ここで、サンプリング光出力部3は、上述の被測定光をサンプリングするためのサンプリング光パルスを出力しうるものであり、このサンプリング光出力部3で出力するサンプリング光は、被測定光よりもパルス幅が狭く、被測定光の繰り返し周期程度もしくはそれよりも周期が長くすなわち繰り返し周波数が低いサンプリング周波数を有するものである。
【0024】
すなわち、サンプリング光出力部3は、後述するように、図4(a)に示すような繰り返し周波数がf0の被測定光が入力された場合においては、図4(c)に示すような、この被測定光よりもパルス幅が狭く、被測定光の繰り返し周波数f0程度もしくはそれよりも低いサンプリング周波数f1(=f0/N+Δf)を有するサンプリング光パルスを出力することができるようになっている。ここで、Nは1以上の整数を表し、以下同様である。
【0025】
さらに、第1偏波制御部2−1は、入力される被測定光についての偏波状態を後述の監視制御部6による制御を受けて直線偏波にしうるものである。又、サンプリング光出力部3は、上述の被測定光をサンプリング、即ち測定対象となる光波形についてサンプリングするためのサンプリング光パルスを出力しうるものである。更に、第2偏波制御部2−2は、サンプリング光出力部3からのサンプリング光パルスの偏波状態を後述の監視制御部6による制御を受けて直線偏波にしうるものである。
【0026】
また、サンプリング結果出力部4は、偏波制御部2−1で直線偏波にされた被測定光と、偏波制御部2−2で直線偏波にされたサンプリング光パルスと、により非線形光学効果を生じさせて、被測定光のサンプリング結果となる光を出力しうるものであって、方向性結合器4a,4d,非線形媒質4bおよび偏光子4cをそなえて構成されている。
方向性結合器4aは、偏波制御部2−1からの被測定光と偏波制御部2−2からのサンプリング光パルスとを合波するものである。又、非線形媒質4bは、方向性結合器4aで合波された被測定光およびサンプリング光パルスによる非線形効果(非線形光学効果)として光カー(Kerr)効果と光パラメトリック効果を生じさせて、被測定光のサンプリング結果となる光を出力することができるようになっている。
【0027】
すなわち、非線形媒質4bにおいては、被測定光とサンプリング光パルスとの強度相関信号光を出力することができるようになっている。尚、上述の非線形媒質4bとしては、例えば光ファイバにより構成することができる。 さらに、偏光子4cは、非線形媒質4bにおいて上述の非線形効果が生じた光成分としての直線偏波成分について取り出すものである。具体的には、非線形媒質4bにおいてサンプリング光パルスが入力されていない状態においては、非線形媒質4bに被測定光が入力されたとしても、偏光子4cで取り出
される光成分は最小であり、実質的には被測定光成分を取り出されない。一方、サンプリング光パルスおよび被測定光が入力されると、偏光子4cでは、サンプリング光パルスが入力されたことによって非線形効果を受けた被測定光成分を取り出すことができるようになる。
【0028】
また、方向性結合器4dは、偏光子4cで取り出された光成分を分岐して、一方を光波形表示のために表示部5へ出力するとともに、他方を監視制御部6に出力するようになっている。従って、上述の偏光子4cおよび方向性結合器4dにより、非線形媒質4bにおいて生じる非線形光学効果によって偏波状態が変化した、被測定光についての直線偏波成分を波形測定用に抽出する直線偏波成分抽出部を構成する。尚、直線偏波成分抽出部としての構成としては、この構成に限定されるものではなく、例えばファラデー回転子を偏光子の前段に設けたり、偏波ビームスプリッタ(PBS)により構成したりすることとしてもよい。また、非特許文献2に示されているとおり、サンプリング結果出力部はCバンド帯域において、強度相関信号光の発生効率の波長依存性は小さいが、更にこの波長依存性を除去するために、光フィルタ(波長特性平坦化フィルタ)を偏光子4cの前部もしくは後部、または方向性結合器4dの後部のいずれかに配置してもよい。このフィルタにより被測定光の周波数(波長)特性をフラットにすることができる。例えば、このフィルタは異なる波長特性を有するフィルタを2枚以上組み合わせること、あるいはファイバブラッググレーティングを用いることにより任意の波長透過特性を得ることができる。当業者であればこのようなフィルタを容易に実現できることは明らかである。
【0029】
さらに、監視制御部6は、偏光子4cで抽出された被測定光についての直線偏波成分に基づいて、第1偏波制御部2−1および第2偏波制御部2−2においてそれぞれ変換される直線偏波光の方向を監視制御するものである。具体的には、方向性結合器4dを通じて、非線形媒質4bにおいて非線形効果を生じた光成分についての偏光子4cを通過した直線偏波成分を入力され、この直線偏波成分が最大になるように、第1偏波制御部2−1および第2偏波制御部2−2をフィードバック制御する。しかしながら、この最大から少しずれたとしてもこの測定には大きな問題とはならない。
【0030】
すなわち、監視制御部6においては、非線形媒質4bに入力される被測定光の偏波状態を、偏光子4cにおいて抽出すべき直線偏波成分の方向とほぼ直交する直線偏波となるように第1偏波制御部2−1を制御するとともに、非線形媒質4bに入力されるサンプリング光パルスの偏波状態についても、被測定光について制御すべき直線偏波の方向に対して40〜50度、好ましくは45度の角度を有する直線偏波となるように第2偏波制御部2−2を制御するようになっている。この場合においては、サンプリング光パルスの偏波状態は、被測定光について制御すべき直線偏波の方向と、偏光子4cにおいて抽出すべき直線偏波成分の方向と、のほぼ中間の角度となるように、第2偏波制御部2−2を制御している。
【0031】
したがって、上述の第1偏波制御部2−1,第2偏波制御部2−2および監視制御部6により、被測定光の測定開始前において、サンプリング結果出力部4に入力される被測定光の偏波状態をサンプリング結果出力部4からの光のパワーレベルに基づき所定の状態になるように制御する偏波状態制御部7を構成する。
ここで、被測定光の測定開始前とは、光波形測定装置を作製した時点、該被測定光測定中に何らかの原因により該被測定光の偏波状態が変化してしまい、該被測定光の偏波状態を所定の状態に再設定する必要が発生した時点をも含まれる。
また、好ましくは、偏波状態制御部7は、サンプリング光出力部からのサンプリング光パルスの偏波状態についても制御することとしてもよい。
なお、サンプリング光パルスの偏波状態については、偏光子4cにおいて抽出すべき直線偏波の方向に対して40〜50度、好ましくは45度の角度を有する直線偏波を安定的に出力可能であれば、第2偏波制御部2−2および監視制御部6を通じたフィードバック制御については適宜省略することができる。
【0032】
また、表示部5は、サンプリング結果出力部4をなす方向性結合器4dから出力されたサンプリング結果となる光について、電気信号に変換するとともに、変換されたサンプリング結果としての電気信号を掃引することにより、被測定光の波形について表示するものである。
〔A−2〕非線形媒質4bによる強度相関信号光の発生について
ついで、上述のごとく構成された第1実施形態にかかる光波形測定装置1をなす非線形媒質4bとして光ファイバを用いながら、強度相関信号光を発生させていることについて、本願発明に関連した技術である光カースイッチの技術とともに説明する。
【0033】
光ファイバ内で発生する非線形効果のひとつに、超高速に応答する四光波混合効果がある。これは、光ファイバの零分散波長と同じ波長をもつポンプ光と、ポンプ光とは異なる波長の信号光との両者を、光ファイバに入射すると、第三の光、アイドラー光が発生する現象である。アイドラー光の強度は、ポンプ光ピークパワーの二乗と信号光ピークパワーの積に比例するので、四光波混合効果により、光学的に強度相関信号光を得られる。
【0034】
ポンプ光強度を大きくすると、同時に光パラメトリック増幅現象が生じる。即ち、ポンプ光のエネルギーが、信号光および第三のアイドラー光に分配され、効率よく強度相関信号光を得られる。この増幅現象は、信号光にも同様に発生する。すなわち、この増幅成分を、光ファイバに入射した信号光と分離できれば、入射信号光波長と同一波長の強度相関信号光を得られる。
【0035】
たとえば、Cバンド全帯域の信号光を観測する場合、ポンプ光はCバンド外に設定しなければならず、必然的にアイドラー光はCバンド外に発生してしまい、これを強度相関信号光として用いるにはCバンド帯域外の光部品が必要になり、光サンプリング装置が高額になってしまう。そのために、信号光と同一の波長の強度相関信号光を得ることは重要である。
【0036】
ここで、別の非線形効果である光カー効果を用いた光カースイッチを用いると、上述の分離が可能になる。光カースイッチは、第1実施形態にかかるサンプリング光出力部4における符号4b,4cに相当する、非線形媒質と偏光子で構成されるスイッチであって、本スイッチに入射した信号光が偏光子を透過しないように、信号光の偏波状態が設定される。
【0037】
そして、信号光の偏波に対して40〜50度、好ましくは45度を成す直線偏波のコントロール光が入射されると、コントロール光により信号光の偏波状態が変化し、強度相関信号光成分のみ、偏光子を通過する。よって、光カースイッチで、入射信号光と同一波長の強度相関信号光を得られうる。なお、光カースイッチは、全光学的なスイッチなので、超高速に応答する。勿論、この光カースイッチにおいても、上述のごとき光パラメトリック増幅現象によって、入力される信号光パルスに対して、KTP等の非線形結晶を用いた場合と比較して、高変換効率で強度相関信号光を得ることができる。
【0038】
この光カースイッチをなす非線形媒質として用いる光ファイバとしては、通常、光ファイバ伝送に用いられるステップインデックス型光ファイバがある。これは、広く使用されているために安価で実現できるものである。又、屈折率分布を変更し実効コア断面積を小さくし、ゲルマニウムをコア部に添加し非線形屈折率を増大させることにより、非線形係数の向上を図ったステップインデックス型シリカ系光ファイバや、ステップインデックス型光ファイバでは実現できないほど小さな実行コア断面積を実現することにより非線形係数を高めたフォトニック結晶ファイバ、更には、非線形屈折率がシリカよりも大きな材料からなる非線形性の高い光ファイバを用いることもできる。非線形係数を高めた光ファイバを採用することにより、強度相関信号光を効率よく発生させるために必要な光ファイバ長の短尺化が可能になり、コンパクトで安定な光サンプリングシステムを実現できる。
【0039】
ところで、前述のパラメトリック増幅現象と光カースイッチを組み合わせて強度相関信号光を得る光スイッチは、増幅機能の効果で、変換効率が1以上にもなり得る。従って、この光カースイッチを、強度相関信号光を発生させる装置に応用すると、KTP結晶などの比較的低い変換効率を飛躍的に向上することができる。
この光カースイッチの詳細は、前述の非特許文献2で開示されているように、 Cバンド全帯域の被測定信号に対して、本スイッチに入射した被測定光パワーの6倍近くのパワーの強度相関信号光発生に成功している。従来のKTP結晶などを使った場合の変換効率が10-4であることを考えると、この光カースイッチによる変換効率は桁違いに高いことが分かる。
【0040】
本実施形態においては、非線形媒質4bおよび偏光子4cをそなえてサンプリング光出力部4を構成することにより、上述のごとき光カースイッチの場合と同様の強度相関信号光の発生効率を高くしながら、第1偏波制御部2−1,第2偏波制御部2−2および監視制御部6により、非線形媒質4bに入力される被測定光およびサンプリング光パルスの偏波状態を互いが40〜50度、好ましくは45度をなす直線偏波にしておくようにして、被測定光の偏波依存性を無くすことができるようになっている。
【0041】
すなわち、第1偏波制御部2−1により、非線形媒質4bに入力される被測定光を、例えば図2に示す直線偏波Esとし、第2偏波制御部2−2により、非線形媒質4bに入力されるサンプリング光パルス、例えば図2に示すEsと40〜50度、好ましくは45度の角度をなすEpとすることにより、サンプリング光パルスと強度相関を有する光成分Es1(サンプリング光パルスEpとほぼ同一の直線偏波成分を有する)が出力される。そして、この直線偏波Es1のうちで、非線形媒質4bに入力される被測定光の直線偏波成分Esに直交する成分について偏光子4cを通過させて、サンプリング結果としての(被測定光と同一波長の)強度相関信号光Es−outを得ている。
【0042】
〔A−3〕作用効果
上述のごとく構成された、本発明の第1実施形態にかかる光波形測定装置1では、光波形測定する際に、測定対象となる被測定光をサンプリングするためのサンプリング光パルスをサンプリング光パルス出力部3で出力し、サンプリング結果出力部4をなす非線形媒質4bで、被測定光およびサンプリング光パルスによる非線形光学効果を生じさせる。
【0043】
そして、偏光子4cを通じ、被測定光およびサンプリング光パルスの強度相関信号光を、被測定光のサンプリング結果となる光として出力する。表示部5においては、上述のサンプリング結果となる光を電気信号に変換し、電気信号に変換されたサンプリング結果を掃引することにより、被測定光の波形について表示し、この表示された波形を通じて被測定光の波形を観測、測定することができる。
【0044】
光波形測定装置1においては、上述のごとき被測定光の波形の測定に先立って、監視制御部6において第1偏波制御部2−1および第2偏波制御部2−2を制御することによって、サンプリング結果として出力される光が最適レベル(例えば最大レベル)の直線偏波状態を有するように、測定対象となる被測定光およびサンプリング光パルスの偏波状態を制御しておく。
【0045】
すなわち、サンプリング光パルスの偏波状態を、サンプリング結果として出力される光が有する直線偏波状態に対して40〜50度、好ましくは45度の角度の直線偏波となるように制御し、測定対象となる被測定光の偏波状態を、サンプリング光パルスが入力されない状態においては、サンプリング結果として出力される光がほぼ最小となるように制御する。
【0046】
換言すれば、サンプリング光パルスが入力されない状態においては、偏光子4cを通じて表示部5に出力されないような方向の直線偏波状態としながら、被測定光がサンプリング光パルスとともに光ファイバ4bに入力された場合においては、光カー効果により被測定光とサンプリング光パルスが時間的に重なっている部分の偏波状態が回転するので、この偏波状態が回転した光を強度相関信号光として偏光子4cを通じて取り出すことができるようになるのである。
【0047】
さらに、サンプリング結果として取り出すべき強度相関信号光をパラメトリック増幅現象によって、従来技術よりも高効率で出力するとともに、偏波状態制御部7による被測定光およびサンプリング光パルスの偏波状態の制御によって、被測定光が任意の偏波状態であっても、波形測定を行なうことができる。
このように、本発明の第1実施形態によれば、偏波状態制御部7において、サンプリング結果出力部4において出力される光を用いて波形測定を行なうことができるように、サンプリング結果出力部4に入力される被測定光の偏波状態を制御することができるので、複雑な偏波ダイバーシティ構成を用いずに、単一の非線形媒質4bを用いながら、強度相関信号光の発生が被測定光の偏波状態に無依存になることが可能になる利点がある。
【0048】
さらに、被測定光の偏波状態のフィードバック制御およびサンプリング光パルスの偏波状態をフィードバック制御するという、比較的簡素な制御によって強度相関信号光の偏波依存性を無くすことができる利点もある。
また、電気サンプリングによるオシロスコープでは実現できない高時間分解能で、任意偏波状態の被測定光の波形を忠実に観測でき、超高速信号光を容易かつ安定に観測可能になり、超高速信号光を用いた通信システム、光信号処理技術の研究開発を加速できる。また、信号品質モニタなどの監視装置への応用も可能であり、簡易な光信号監視の実用が期待できる。
【0049】
〔B〕第2実施形態の説明
〔B−1〕構成
図3は本発明の第2実施形態にかかる光波形測定装置11を示すブロック図であり、この図3に示す光波形測定装置11は、前述の第1実施形態にかかる光波形測定装置1の各構成要素を更に展開したものである。即ち、第2実施形態にかかる光波形測定装置11においても、第1偏波制御部12−1,第2偏波制御部12−2,サンプリング光出力部13,サンプリング結果出力部14,表示部15および監視制御部16をそなえて構成されている。
【0050】
ここで、サンプリング光出力部13は、第1偏波制御部12−1を介してサンプリング結果出力部14に対してサンプリング光パルスを供給するためのものであるが、この図3に示すように、被測定光の繰り返し周期と同程度もしくはこれよりも長いすなわち繰り返し周波数が低いサンプリング周波数f1を発生させる周波数発生部18と、周波数発生部
18で発生されたサンプリング周波数をもとにした光変調によってサンプリング光パルスを生成するサンプリング光生成部19と、をそなえて構成されている。
【0051】
すなわち、周波数発生部18においては、図4(a)に示すような繰り返し周波数f0
(例えば繰り返し周波数f0=160GHz程度)の光を測定対象(被測定光)とする場
合に、この被測定光に同期したクロック信号を取り込んで、取り込んだクロック信号について掃引信号で周波数シフトすることにより、サンプリング周波数信号として出力するものである。
【0052】
具体的には、図4(b)に示すように、この被測定光の繰り返し周波数f0よりも低い
周波数となるf1(=f0/N+Δf)をサンプリング周波数信号として出力するものであ
って、第2実施形態においては、発振器18bおよびトリガー回路18cをそなえて構成されている。
ここで、発振器18bは、被測定光を掃引するための周波数信号Δfを発生しうるものであって、被測定光を掃引するための掃引信号を生成する掃引信号生成部を構成する。尚、Δfは正又は負の周波数信号とすることができる。
【0053】
そして、トリガー回路18cは、被測定光に同期し、その繰り返し周波数である周波数f0のクロック信号を取り込むとともに、上述の発振器18bからの周波数信号Δfを入力されて、上述のサンプリング周波数信号f1を生成することができるようになっている。換言すれば、トリガー回路18cは、取り込んだクロック信号を発振器18bからの掃引信号で周波数シフトすることにより、サンプリング周波数の信号を生成する周波数シフト部を構成する。
【0054】
さらに、図3において、サンプリング光生成部19は、連続光(CW:Continuous Wave)を出力する連続光光源19aと、連続光光源19aからの連続光について、周波数発生部18をなすトリガー回路18cにて発生されたサンプリング周波数f1で変調することによりサンプリング光パルスを出力しうる光変調器19bと、光変調器19bから出力されるサンプリング光パルスを増幅する増幅器19cと、増幅器19cを駆動するドライバ19dと、をそなえて構成されている。なお、光変調器19bから出力されるサンプリング光パルスのパワーが、サンプリング結果出力部14の所要パワーであれば、増幅器19cは省略することができる。
【0055】
ここで、光変調器19bは、上述の周波数発生部18にて発生されたサンプリング周波数信号として、例えば図4(b)に示すようなパルス幅の信号で受信した場合において、図4(c)に示すような、周波数発生部18からのサンプリング周波数信号のパルス幅よりも狭いパルス幅を有するサンプリング光パルスを出力しうるものである。
また、増幅器19cは、光変調器19bからのサンプリング光パルスについて必要に応じて増幅するものであり、ドライバ19dにより例えば自動パワー制御を行なうことによって、光増幅器19cを独立に制御することにより、常に出力パワーを一定の値に保つと装置全体の制御が簡素になる。尚、上述の光変調器19bおよび光増幅器19cの順序としては、逆の配置とすることとしてもよい。
【0056】
また、第1偏波制御部12−1は、第1偏波コントローラ12aおよび第1ドライバ12bをそなえて構成されている。第2実施形態においては、第1偏波コントローラ12aは、4分の1波長板12aaおよび2分の1波長板12abをそなえて構成され、入力される被測定光を上述の4分の1波長板12aaおよび2分の1波長板12abを通じて直線偏波状態とすることができるものである。
【0057】
さらに、第1ドライバ12bは、後述の監視制御部16からの制御を受けて、第1偏波コントローラ12aをなす各波長板12aa,12abの、入射される被測定光に対する結晶軸角度をそれぞれ設定しうるものである。即ち、結晶軸角度が設定された波長板12aa,12abを被測定光が通過することにより、直線偏波に変換することができる。このとき、第1ドライバ12bの波長板12aa,12abの角度設定により、第1偏波コントローラ12aに入力される被測定光が直線偏波に変換される際の直線偏波の方向について設定制御することができるようになっている。
【0058】
同様に、第2偏波制御部12−2は、第2偏波コントローラ12cおよび第2ドライバ12dをそなえて構成されている。第2偏波コントローラ12cについても、4分の1波長板12caおよび2分の1波長板12cbをそなえて構成され、サンプリング光出力部3から入力されるサンプリング光パルスを上述の4分の1波長板12caおよび2分の1波長板12cbを通じて直線偏波状態とすることができる。
【0059】
また、第2ドライバ12dは、後述の監視制御部16からの制御を受けて、第2偏波コントローラ12cをなす各波長板12ca,12cbの、入射されるサンプリング光パルスに対する結晶軸角度をそれぞれ設定しうるものである。即ち、結晶軸角度が設定された波長板12ca,12cbをサンプリング光パルスが通過することにより、直線偏波に変換することができる。このとき、第2ドライバ12dの波長板12ca,12cbの角度設定により、第2偏波コントローラ12cに入力される被測定光が直線偏波に変換される際の直線偏波の方向について設定制御することができるようになっている。
【0060】
なお、上述の第1,第2偏波コントローラ12a,12cとしては、上述のごとき波長板12aa,12ab,12ca,12cbを用いた構成のほか、光ファイバの側部に力を加えるスクイーザタイプ、ニオブ酸リチウム(LN)導波路をもちいたタイプ、ファラデー回転子を用いたタイプなど、他の公知の構成を適用してもよい。又、第1,第2ドライバ12b,12dの構成についても、上述の第1,第2偏波コントローラ12a,12cの構成に応じて適宜構成することができる。
【0061】
なお、第2実施形態の場合のように、波長板を組み合わせたタイプを用いると、任意の偏波状態の被測定光を所望の偏波状態に変更する制御が他の構成と比べて容易である。又、スクイーザタイプのものは挿入損失が極めて小さいので、他の構成と比べて、後述の表示部15をなす光電変換器15b等の処理において信号に重畳される雑音により観測できないほどの小さなパワーの被測定光でさえ観測可能になる上、光ファイバで構成されるので許容入射パワーが極めて高くなる。LN導波路を用いた場合には、他の構成に比べて応答速度が非常に速いので、所望の偏波状態を素早く達成できる。ファラデー回転子を用いた場合も同様に高速に偏波状態を設定できる。
【0062】
また、サンプリング結果出力部14は、前述の第1実施形態におけるサンプリング結果出力部4の場合(図1の符号4a〜4d参照)と同様の方向性結合器14a,非線形媒質としての光ファイバ14b,偏光子14cおよび方向性結合器14dをそなえて構成され、方向性結合器14aを通じて入力された被測定光とサンプリング光パルスとの合波光について、前述の〔A−2〕の場合と同様に強度相関信号光をサンプリング結果として出力しうるものであるが、第2実施形態においては、偏光子14cから出力される直線偏波の方向を、後述の偏波制御部17をなすドライバ17aにより設定することができるようになっている。
【0063】
すなわち、ドライバ17aにより設定される偏光子14cから出力される直線偏波の方向と、第1,第2ドライバ12b,12dを通じて設定される被測定光およびサンプリング光パルスの直線偏波の方向と、の両者の関係によって、光ファイバ14bで非線形光学効果である光カー効果を生じた光(即ち、強度相関信号光)を、被測定光のサンプリング結果として得ることができるのである。
【0064】
なお、上述の方向性結合器14a,14dとしては、例えば光ファイバ型のものを用いることで、簡易、他の部品との接続性も良好となるが、これ以外の構成、例えばダイクロイックミラーを用いた空間型の結合器など、2つの光を一つの光ファイバ内に結合する機能を有するものならばいかなるものであっても良い。
また、光ファイバ14bの温度を安定に調整する温度調整部14gをサンプリング結果出力部14にそなえることとすれば、外部温度変化の影響を光ファイバ14bが受けることがなくなるので、外部温度変化および光入射に起因する光ファイバ14b内での被測定光およびサンプリング光パルスの偏波状態の時間的変動があったとしても、これを抑圧することができるようになる。
【0065】
さらに、監視制御部16は、偏光子14cおよび方向性結合器14dで抽出された被測定光についての直線偏波成分に基づいて、第1偏波コントローラ12aおよび第2偏波コントローラ12bにおいてそれぞれ変換される直線偏波光の方向を、第1ドライバ12bおよび第2ドライバ12dに対する制御を通じて監視制御するものである。このため、この監視制御部16は、パワーメータ16aおよび比較・コントローラ16bをそなえて構成されている。
【0066】
パワーメータ16aは、偏光子14cおよび方向性結合器14dで抽出された被測定光のパワーレベルを測定するものであり、比較・コントローラ16bは、パワーメータ16aからの測定結果を基準値と比較することを通じて、光ファイバ14bに入力される被測定光およびサンプリング光パルスの偏波状態を判定し、第1ドライバ12bおよび第2ドライバ12dとともに、ドライバ17a,19dを制御するものである。
【0067】
すなわち、監視制御部16による第1ドライバ12bおよび第2ドライバ12dに対する制御を通じて、光ファイバ14bに入力される被測定光の偏波状態(図2のEs参照)を、偏光子14cおよび方向性結合器14dにおいて抽出すべき直線偏波成分の方向とほぼ直交する直線偏波(図2のEs−out参照)となるように制御するとともに、光ファイバ14bに入力されるサンプリング光パルスの偏波状態についても、被測定光について制御すべき直線偏波の方向に対して40〜50度、好ましくは45度の角度を有する直線偏波(図2のEp参照)となるように制御するようになっている。この場合においては、被測定光について制御すべき直線偏波の方向と、偏光子14cおよび方向性結合器14dにおいて抽出すべき直線偏波成分の方向と、のほぼ中間の角度を有する直線偏波としている。
【0068】
このように光ファイバ14bに入力される被測定光およびサンプリング光パルスの直線偏波の方向とともに、偏光子14cおよび方向性結合器14dにおいて抽出すべき直線偏波の方向の相対関係を規定することにより、入力される被測定光の偏波状態によらず、常に適切に波形測定を行なうことができるようになる。
したがって、上述の第1偏波制御部12−1,第2偏波制御部12−2および監視制御部16およびドライバ17aにより、サンプリング結果出力部14において出力される光を用いて波形測定を行なうことができるように、サンプリング結果出力部14において出力される光に基づいてサンプリング結果出力部14に入力される被測定光の偏波状態を制御しうる偏波状態制御部17を構成する。
【0069】
また、光波形測定装置11における光波形の測定に先立って、上述の監視制御部16における後述する初期設定動作として、被測定光が入力されない状態において、サンプリング光パルスの偏波状態と、偏光子14cにおいて抽出すべき直線偏波の方向と、を規定すべく第2ドライバ12dおよびドライバ17aを設定制御してから、入力される被測定光の偏波状態を、偏光子14cにおいて抽出すべき直線偏波の方向に直交する直線偏波状態とすべく、第1ドライバ12aを制御するようになっている。この場合においては、監視制御部16は、偏光子14cで抽出すべき直線偏波の方向と、第1偏波制御部12−1および第2偏波制御部12−2においてそれぞれ変換される直線偏波光の方向を初期設定する初期設定部を構成する。
【0070】
表示部15は、サンプリング結果出力部14をなす方向性結合器14dから出力されたサンプリング結果となる光について、電気信号に変換するとともに、変換されたサンプリング結果としての電気信号を掃引することにより、被測定光の波形について表示するものであって、波長フィルタ15a,光電変換器15b,A/D変換器15cおよび波形表示器15dをそなえて構成されている。
【0071】
波長フィルタ15aは、方向性結合器14dから出力された光について、サンプリング光パルスの波長成分を除去して、被測定光の波長成分を取り出すためのものである。この波長フィルタ15aとしては、誘電体多層膜型バンドパスフィルタにより構成することができるが、このようにすれば、サンプリング光パルスを効率よく除去できる。又、サンプリング光パルスのみを透過させないバンド除去フィルタ、例えばファイバブラッググレーティングにより構成する場合、外的な制御を必要とせずに任意波長の被測定光の波形を容易に観測できるようにすることができる。
【0072】
また、サンプリング光パルスをLバンド帯やSバンド帯に設定している場合、C/Lバンド分離用のファイバ型分波器を用いても、外的な制御を必要とせずにCバンド全帯域の任意波長の被測定光を観測でき、装置の高性能化を図れる。また、強度相関信号光のパワーを増幅するために光増幅器を介装する場合は、例えば、被測定光の波長がCバンド帯で、サンプリング光パルスの波長がLバンド帯、もしくはその逆の場合など、すなわち、被測定光とサンプリング光パルスの波長帯が異なる場合、被測定光にかかる光信号の波長帯を増幅する光増幅器を適用することで、サンプリング光パルスの波長帯において当該光増幅器は利得を持たないために、上述のごとき波長フィルタ15aは不要になる。
【0073】
また、上述の表示部15をなす光電変換器15bは、波長フィルタ15aにおいて被測定光の波長成分が透過されたサンプリング結果である強度相関信号光を電気信号に変換するもので、A/D変換器15cは、光電変換器15bからの電気信号の振幅を、上述のトリガー回路18cから出力されるサンプリング周波数信号f1でディジタル信号に変換するものである。波形表示器15dは、A/D変換器15cからのディジタル信号を垂直軸入力とし、発振器18bからの掃引信号Δfを水平軸入力として、被測定光の波形について表示しうるものである。
【0074】
なお、上述の表示部15のA/D変換器15cおよび波形表示器15dを構成する回路においては、被測定光の波形表示のためにサンプリング光パルスの繰り返し周期が動作可能帯域として求められる。即ち、サンプリング光パルスの繰り返し周期が長くなれば、上述の動作可能帯域として求められる回路帯域要件も緩和され、これらの装置のコストの低減を図ることができる。被測定光に同期したクロック信号(繰り返し周波数f0)について1/N分周してサンプリング周波数を求めるようにすることによって、このようなA/D変換器15cおよび波形表示器15dを構成するためのコストを削減させることができる。
【0075】
ところで、図5は、上述のトリガー回路18cの一例を示す図であって、この図5に示すトリガー回路18cは、90度位相シフタ20およびアップコンバータ21をそなえて構成され、N=1としたサンプリング周波数信号f1を出力することができるようになっている。即ち、90度位相シフタ20において発振器18bからの周波数信号Δfを90度位相シフトする。そして、アップコンバータ21においては、発振器18bからの周波数信号ΔfをI入力、90度位相シフタ20で位相シフトされた周波数信号ΔfをQ入力、被測定光に同期したクロック信号f0を入力されて、繰り返し周波数f0+Δfを有する上側波帯の側波をサンプリング周波数信号f1として出力することができる。
【0076】
図6はトリガー回路18cの他の例を示す図であって、この図6に示すトリガー回路18cは、図5に示す周波数シフトのための構成に加えて、周波数信号f0をN分周するための分周回路22をそなえている。分周回路22は、図7に示すように、パワーディバイダ(Power Divider)23,プリスケーラ(Prescaler)24,Dフリップフロップ(DFF)25,位相シフタ26およびANDゲート27をそなえて構成されている。
【0077】
すなわち、入力されたクロックf0[図8(a)のfin参照]を、パワーディバイダ23でパワー分岐し、一方のクロック信号f0をプリスケーラ24で繰り返し周波数f0/Nの正弦波に分周する。Dフリップフロップ25では、この分周結果をデータ入力とし、パワーディバイダ23でパワー分岐された他方のクロックf0をクロック入力として、データおよび論理反転データとして出力する。更に、Dフリップフロップ25から出力されるデータおよび論理反転データのタイミングを、位相シフタ26を用いて1/f0(s)だけずらした後に、両者をANDゲート27に入力することにより、図8(b)に示すように、繰り返し周波数はf0/Nでありながら、時間幅が1/f0(s)の周波数信号を得ることができる。
【0078】
これにより、分周回路22で出力される、繰り返し周波数f0/Nで時間幅1/f0(s)の信号を発振器18bからの周波数信号(掃引信号)Δfで周波数シフトすることにより、周波数発生部18出力として、前述の図4(b)に示すような、サンプリング周波数信号f1=f0/N+Δfを、時間幅についてはクロック信号f0の幅を保持して出力することができるようになっている。このように時間幅を保持したサンプリング周波数信号を出力することができるので、後段のサンプリング光生成部19を通じて、被測定光の波形を比較的高い時間分解能でサンプリングしうるサンプリング光パルスを出力することができるようになる。なお、図6では、分周回路22はアップコンバータ21のクロック入力の前部に設置されているが、図5に示す周波数をシフトする回路の出力クロックの後部に、アップコンバータ21を設置する構成としてもよい。
また、上述のサンプリング光生成部19をなす連続光光源19aの波長(λsam)としては、強度相関信号光を発生させる光ファイバの零分散波長と同じ値に設定する。連続光光源19aとしては、DFB(Distributed FeedBack)レーザ、DBR(Distributed Bragg Reflector)レーザなどで実現できるが、これらの光源に限定するものではない。
【0079】
図9は上述の光変調器19bの構成例を示す図である。この図9に示す光変調器19bは、文献A(Y. Takita, F. Futami, M. Doi, and S. Watanabe, Conference on Laser and Electro Optics, (CLEO 2004), CTuN, May 16-21, San Francisco, California, 2004.)にあるように、パルス幅がピコ秒台の短パルスを安定に発生させることができるものであり、これにより、サンプリングの高時間分解能を実現することができる。
【0080】
この図9に示す光変調器19bは、位相変調器28,強度変調器29および分散媒質30をそなえて構成されている。位相変調器28は、連続光光源19aからのCW光に対して、周波数発生部18からのサンプリング周波数信号で位相変調を施し周波数チャープを与える。強度変調器29は、周波数発生部18からのサンプリング周波数信号をもとにして、位相変調器28からの光信号の周波数チャープが単調に増加するアップチャープ成分もしくはその逆のダウンチャープ成分のみを取り出してパルス化する。分散媒質30は位相変調器28で与えられた周波数チャープを分散補償して、繰り返し周波数f1(=f0/N+Δf) (Hz)の短パルス光を生成する。
【0081】
すなわち、位相変調器28は、連続光についてサンプリング周波数に基づき周波数チャープを与える周波数チャープ付与部として、強度変調器29は、位相変調器28で周波数チャープが与えられた光についてサンプリング周波数に基づき光パルス化させる光パルス化部として、分散媒質30は、強度変調器29からの光について分散補償を行ないサンプリング光として出力する分散補償部として、それぞれ機能する。
【0082】
この手法で生成できる短パルス光のパルス幅は、位相変調器28で与える周波数チャープの量および周波数が大きいほど短パルスが生成でき、上述の文献Aに示してあるとおり、10GHzの正弦波信号で変調された場合、パルス幅がピコ秒台のサンプリング光パルス光が実際に安定に生成されている。尚、短パルスを生成するためには位相変調によるチャープにより発生する広帯域スペクトルが不可欠なので、位相変調器28による位相変調は分周する前の比較的大きな周波数で変調することが好ましい。この場合、強度変調器29で、繰り返し周波数f1 (Hz)のサンプリング信号で変調すれば、繰り返し周波数f1(Hz)のサンプリング光パルスを生成できる。
【0083】
なお、光バンドパスフィルタを用いてスペクトル強度を操作することとすれば、分散補償後にパルスの裾部に非分散補償成分が残留しない高品質の短パルス光を生成できる。位相変調器28および強度変調器29としては、例えばLN変調器もしくはInP変調器で実現できる。また、分散媒質30としては、通常の単一モード光ファイバ(通常分散ファイバ)や分散補償ファイバなどを用いることができる。また、分散媒質30として、ファイバブラッググレーティングやフォトニック結晶ファイバなどを利用することも可能である。単一モード光ファイバは損失が小さいので、分散補償時の信号光品質劣化を抑えることができ、高品質のサンプリング光パルスを実現することが可能である。分散補償ファイバを用いた場合、分散補償ファイバは単位長さ当りの分散値が大きくかつ損失が小さいので、分散媒質の所要長を短くすることができ、サンプリング光パルスをより安定に実現できる。また、ファイバブラッググレーティングやフォトニック結晶ファイバを用いた場合には、これらの単位長さあたりの分散値は上述の分散補償ファイバよりも更に大きくすることができるので、分散媒質の一層の短尺化が可能になる。加えて、このような分散媒質の小型化により、ファイバ長の揺らぎに起因する不安定要素を除去できるので、サンプリングシステム全体の安定度が増すという効果も期待できる。
【0084】
また、光変調器19bの他の構成例としては、上述の図9に示す構成のほか、電解吸収型光変調器(EAM)やニオブ酸リチウムマッハツェンダ型LN光変調器(LNM)により構成することもできる。駆動電圧が1V未満の低電圧駆動LNMを用いると、低消費電力を特徴とするサンプリング光パルス光源を実現できる。f0=40GHzの場合、半値全幅が10ピコ秒程度のサンプリング光パルスを生成できるので、10ピコ秒程度の時間分解能が可能になる。一方、EAMでは、DCバイアスおよびサンプリング信号の振幅により生成されるパルスは異なるが、LNMを用いた場合よりもパルス幅の狭いサンプリング光パルスを実現できるので、より時間分解能の高い光サンプリングが可能になる。f0=40GHzの場合、5ピコ秒程度のサンプリング光パルスを実現できる。さらに、DFBレーザとEAMを集積化することにより、安定かつコンパクトにサンプリング光パルスを生成できる。
【0085】
さらに、高時間分解能化のために、より時間幅の短い短パルス光を生成するため、上述のごとく構成された光変調器19bの出力側にパルス圧縮器をそなえることとしてもよい。このパルス圧縮器の構成例としては、例えば特開2003−14548号公報、特開2002−77052号公報に記載されている。
なお、光変調器19bとしては、上述の構成以外のものを適用することも勿論可能である。N=2以上としたf1=f0/N+Δfのサンプリング光パルスを生成する構成としては、上述のごとき構成のほかに、まず、第1の光変調器で連続光を繰り返し周波数f0 (Hz)で変調して繰り返し周波数f0(Hz)のサンプリング光パルスを生成し、次に、第2の光変調器により周波数を分周することにより、所望の周波数のサンプリング光パルスを実現することとしてもよい。この場合は、二つの光変調器を用いなくてはならないものの、繰り返し周波数が小さいがパルス幅の短い光パルスを生成する場合には、電子回路の要件が軽減される。
【0086】
また、第2実施形態にかかる光波形測定装置11の光学部は、すべて入出力が光ファイバピグテールの部品を使用することができ、光学定盤上で空間結合し外部振動や環境変化等に対して脆弱な部品は用いずに、安定に強度相関信号光を得られ、安定な波形観測を行
なうことができる。
〔B−2〕監視制御部16による設定動作について
上述のごとく構成された、第2実施形態にかかる光波形測定装置11においては、入力される光の偏波状態にかかわらず、光波形の測定を行なうことができるが、この光波形の測定に先立ち、図10,図11のフローチャートに示すように、非線形媒質をなす光ファイバ14bに入力される被測定光およびサンプリング光パルスの直線偏波状態を、監視制御部16における第1,第2偏波制御部12−1,12−2に対する制御を通じて設定制御するとともに、偏光子14cにおいて抽出されるべき直線偏波の方向についても、ドライバ17aに対する制御を通じて設定している。
【0087】
すなわち、図10に示すフローチャートにおいて、被測定光をオフとした状態において(ステップS1)、サンプリング結果出力部14から出力されるサンプリング光パルスのパワーについてパワーメータ(PM)16aで測定し、測定結果をPS0として比較・コントローラ16bにおける図示しない記憶領域に記録し(ステップS2)、この測定結果PS0をもとにしてサンプリング光パルスのレベルを最大とするように、第2偏波制御部12−2を設定制御する(ステップS3)。
【0088】
サンプリング光パルスは、非線形媒質である光ファイバ14b中でも、被測定光が入力されていない段階においては非線形効果の影響を考慮する必要がない。従って、上述のステップS3において、サンプリング光パルスのパワーレベルが最大となるように第2偏波制御部12−2に対する制御がなされることで、光ファイバ14bに入力されるサンプリング光パルスを、偏光子14cが透過する直線偏波の方向を有する直線偏波状態にすることができる。
【0089】
上述のごとくサンプリング光パルスが直線偏波状態に設定制御されると、次に、監視制御部16の比較器・コントローラ16bではドライバ17aを制御することにより、偏光子14cが透過する直線偏波の方向を40〜50度、好ましくは45度傾斜させる(ステップS4)。即ち、偏光子14cが透過する直線偏波の方向が、光ファイバ14bに入力されるサンプリング光パルスの直線偏波の方向と実質的に同一となっているので、これを40〜50度、好ましくは45度傾斜させることにより、サンプリング光パルスの直線偏波の方向に対して、偏光子14cが透過する直線偏波の方向を40〜50度、好ましくは45度傾斜させることになる。
【0090】
ついで、サンプリング光パルスをオフとして(ステップS5)、被測定光をオンとして(ステップS6)、被測定光の偏波状態を設定する動作に移る。この場合においても、前述のサンプリング光パルスの偏波状態の設定を行なった場合に準じて、サンプリング結果出力部14から出力される被測定光のパワーについてパワーメータ(PM)16aで測定し、測定結果をPD0として比較・コントローラ16bにおける図示しない記憶領域に記録する(ステップS7)。
【0091】
そして、この測定結果PD0をもとにして被測定光のパワーレベルを最小とするように、第1偏波制御部12−1を制御する(ステップS8)。換言すれば、被測定光の偏波状態を、ステップS4で設定された、偏光子14cが透過する直線偏波の方向に対して垂直な方向の直線偏波とすべく、第1偏波制御部12−1を設定制御している。
このようにして、被測定光の偏波状態を制御するための第1偏波制御部12−1の設定制御がなされると、入力される被測定光を波形測定するための、当該被測定光およびサンプリング光パルスの光ファイバ14bへ入力される段においての偏波状態が制御されることになる。更には、偏光子14cが透過する直線偏波の方向についての設定もなされたことになる。
【0092】
その後、被測定光とともにサンプリング光パルスについても、サンプリング光出力部13から出力されることとなれば(ステップS9)、サンプリング結果出力部14では強度相関信号光を出力することができるので、表示部15においては、波形測定を最適に行なうことができるようになる。
このとき、第1偏波制御部12−1に入力される前の被測定光について、その偏波状態にかかわらず第1偏波制御部12−1において波形測定に適した直線偏波状態に変換することができるので、測定対象の偏波依存性を無くすことができる。
【0093】
図11は上述の図10のステップS3におけるサンプリング光パルスの最大化処理を説明するためのフローチャートである。パワーメータ16aで測定されるサンプリング光パルスのレベルを最大とするにあたっては、第2偏波制御部12−2をなす偏波コントローラ12cの4分の1波長板12cbおよび2分の1波長板12caの結晶軸角度を、それぞれパワーメータ16aで測定されるレベルが最大となるように順次設定する。
【0094】
まず、比較・コントローラ16bを通じて第2偏波制御部12−2をなす第2ドライバ12dを制御することにより、偏波コントローラ12cの4分の1波長板12cbの結晶軸を単位回転量だけ回転させ(ステップA1)、このときのパワーモニタ16aで測定されたサンプリング光パルスのパワーレベルを測定し、PS1として上述のPS0と同様に記録する(ステップA2)。尚、この単位回転量は、回転によって測定レンジ内において少なくともレベル変化が生じうるような回転量とする。
【0095】
そして、比較・コントローラ16bにおいて、4分の1波長板12cbを回転させる前のパワーメータ16aの測定値PS0と、回転させた後のパワーメータ16aの測定値PS1と、の大小を比較し、PS1がPS0よりも大きい場合には、当該PS1をPS0の値に置き換えて(ステップA3のPS1>PS0ルートからステップA4)、更に4分の1波長板12cbを前回の場合と同一の方向に単位制御量回転させる(ステップA4からステップA1)。又、PS0<PS1となった場合には、直前に回転した量を戻す。そして、4分の1波長板12cbの回転方向を前回の場合とは逆方向で(ステップA3のPS1<PS0ルートからステップA7)、単位制御量を回転させてから(ステップA1)、PS0とPS1との比較を行なっていく(ステップA2,ステップA3)。
【0096】
このとき、PS0=PS1となった回数を比較・コントローラ16bではカウントしておき(ステップA3のPS1=PS0ルートからステップA5)。以降、このカウントの値が「5」となるまで、上述の単位制御量回転、PS0およびPS1の比較を繰り返す(ステップA6のYESルートからステップA4)。
そして、カウントの値が「5」となった時点での4分の1波長板12cbの回転角度は、サンプリング光パルスを前述の直線偏波とするための回転角度として定められ、ついで、2分の1波長板12caの回転角度を、上述の4分の1波長板12cbの場合と同様に決定する(ステップA6のNOルートからステップA8〜ステップA14)。尚、ステップA8〜ステップA14は、それぞれステップA1〜ステップA7に対応している。
【0097】
このようにして回転角度が定められた4分の1波長板12cbおよび2分の1波長板12caをサンプリング光パルスが通過することにより、サンプリング光パルスが光ファイバ14bに入力される段においては、偏光子14cが透過する直線偏波の方向と実質的に同一方向の直線偏波状態にすることができるのである(ステップA15)。尚、上述のステップA6,A13におけるカウントの値「5」については一例であり、この値以外の値を、回転角度を定めるための基準としてもよい。
【0098】
なお、上述のステップS3におけるサンプリング光パルスについては、サンプリング光パルスのパワーが最大となるような処理、即ち、偏光子14cの透過しようとする直線偏
波の方向と実質的に同一の方向を有する直線偏波状態とするための処理を行なっているが、本発明によれば、サンプリング光パルスのパワーを最小とするような第2偏波制御部12−2の設定制御を行なうこととしてもよい。この場合においては、偏光子14cの透過しようとする直線偏波の方向と実質的にほぼ垂直の方向を有する直線偏波状態とするための処理となるが、偏光子14cの傾斜動作および被測定光の偏波状態の設定を同様に行なうことで、上述のごとき偏波状態の相対関係を持たせることが可能である。
【0099】
また、図12は上述の図10のステップS8における被測定光の最小化処理を説明するためのフローチャートである。パワーメータ16aで測定される被測定光のレベルを最小とするにあたっては、第1偏波制御部12−1をなす偏波コントローラ12aの4分の1波長板12aaおよび2分の1波長板12abの結晶軸角度を、それぞれパワーメータ16aで測定されるパワーレベルが最小となるように順次設定する。
【0100】
まず、比較・コントローラ16bを通じて第1偏波制御部12−1をなす第1ドライバ12bを制御することにより、偏波コントローラ12aの4分の1波長板12aaの結晶軸を単位回転量だけ回転させ(ステップB1)、このときのパワーモニタ16aで測定された被測定光のパワーレベルを測定し、PD1として上述のPD0と同様に記録する(ステップB2)。尚、この単位回転量は、回転によって測定レンジ内において少なくともレベル変化が生じうるような回転量とする。
【0101】
そして、比較・コントローラ16bにおいて、4分の1波長板12aaを回転させる前のパワーメータ16aの測定値PD0と、回転させた後のパワーメータ16aの測定値PD1と、の大小を比較し、PD1がPD0よりも小さい場合には、当該PD1をPD0の値に置き換えて(ステップB3のPD1<PD0ルートからステップB4)、更に4分の1波長板12aaを前回の場合と同一の方向に単位制御量回転させる(ステップB4からステップB1)。又、PD0>PD1となった場合には、直前に回転した量を戻す。そして、4分の1波長板12aaの回転方向を前回の場合とは逆方向で(ステップB3のPD1<PD0ルートからステップB7)、単位制御量を回転させてから(ステップB1)、PD0とPD1との比較、単位制御量の回転を行なっていく(ステップB2,ステップB3)。
【0102】
このとき、PD0=PD1となった回数を比較・コントローラ16bではカウントしておき(ステップB3のPD1=PD0ルートからステップB5)。以降、このカウントの値が「5」となるまで、上述の単位制御量回転、PD0およびPD1の比較を繰り返す(ステップB6のYESルートからステップB4)。
そして、カウントの値が「5」となった時点での4分の1波長板12aaの回転角度は、被測定光を前述の直線偏波とするための回転角度として定められ、ついで、2分の1波長板12abの回転角度を、上述の4分の1波長板12aaの場合と同様に決定する(ステップB6のNOルートからステップB8〜ステップB14)。尚、ステップB8〜ステップB14は、それぞれステップB1〜ステップB7に対応している。
【0103】
このようにして回転角度が定められた4分の1波長板12aaおよび2分の1波長板12abを被測定光が通過することにより、当該被測定光が光ファイバ14bに入力される段においては、偏光子14cが透過する直線偏波の方向と実質的にほぼ垂直な方向の直線偏波状態にすることができるのである(ステップB15)。尚、上述のステップB6,B13におけるカウントの値「5」についても一例であり、この値以外の値を、回転角度を定めるための基準としてもよい。
〔B−3〕作用効果
上述のごとく構成された、第2実施形態にかかる光波形測定装置11では、サンプリング光出力部13から出力されたサンプリング光パルスは、第2偏波コントローラ12cにおける回転角度が設定された波長板12ca,12cbを通過することにより、直線偏波状態に変換され、かつその直線偏波の方向は偏光子14cの透過する直線偏波の方向に40〜50度、好ましくは45度の角度をなす。
【0104】
そして、被測定光については、第1偏波コントローラ12aにおける回転角度が設定された波長板12aa,12abを通過することにより、直線偏波状態に変換され、かつその直線偏波の方向は偏光子14cの透過する直線偏波の方向にほぼ垂直な角度をなす。
上述の第1,第2偏波コントローラ12a,12cを通過した被測定光およびサンプリング光パルスは、非線形媒質である光ファイバ14bに入力されると、強度相関信号光成分のみ被測定光の偏波状態が回転するために、光ファイバ14bの出力端に設けられる偏光子14cにより、被測定光と強度相関信号光とを分離できる。
【0105】
さらに、サンプリング光パルスを除去するための波長フィルタ15aにより、強度相関信号光のみを取り出し、光電変換器15bに接続し、電気強度相関信号としてA/D変換器15cに出力する。A/D変換器15cでは、光電変換器15bからの電気信号の振幅を、周波数発生部18をなすトリガー回路18cから出力されるサンプリング周波数信号f1でディジタル信号に変換し、波形表示器15dでは、A/D変換器15cからのディジタル信号を垂直軸入力とし、発振器18bからの掃引信号Δfを水平軸入力として、被測定光の波形について画面上に表示することができる。
【0106】
上述の被測定光の波形についての表示を通じて、波形を測定することができるが、必要に応じて、適宜前述の〔B−2〕における偏波コントローラ12a,12cおよび偏光子14cを制御することとしてもよい。この場合においては、入力される被測定光についての偏波状態の変動に対応するため、偏光子14cの回転角度および偏波コントローラ12cで設定されるサンプリング光パルスの直線偏波状態については固定として、偏波コントローラ12aにおける波長板12aa,12abの回転角度のみを制御するようにしてもよい。
【0107】
このように、本発明の第2実施形態によれば、サンプリング結果出力部14において出力される光をもとに波形測定を行なうことができるように、偏波状態制御部17において、サンプリング結果出力部14に入力される被測定光の偏波状態を制御することができるので、複雑な偏波ダイバーシティ構成を用いずに、単一の非線形媒質14bを用いながら、強度相関信号光の発生が被測定光の偏波状態に無依存になることが可能になる利点がある。
【0108】
さらに、被測定光の偏波状態のフィードバック制御およびサンプリング光パルスの偏波状態をフィードバック制御するという、比較的簡素な制御によって強度相関信号光の発生が被測定光の偏波状態に無依存になることが可能になる利点もある。
また、電気サンプリングによるオシロスコープでは実現できない高時間分解能で、任意偏波状態の被測定光の波形を忠実に観測でき、超高速信号光を容易かつ安定に観測可能になり、超高速信号光を用いた通信システム、光信号処理技術の研究開発を加速できる。また、信号品質モニタなどの監視装置への応用も可能であり、簡易な光信号監視の実用が期待できる。
【0109】
〔B−4〕第2実施形態の変形例の説明
上述の第2実施形態にかかるサンプリング結果出力部14をなす直線偏波成分抽出部の構成としては、偏光子14cおよび方向性結合器14dにより構成されているが、本発明によれば、この構成に限定されるものではなく、例えば図13に示す光波形測定装置11Aのように、偏光子の偏波透過面を40〜50度、好ましくは45度回転させる代わりに、ファラデー回転子14fを偏光子の前段に設けて、磁界を印加することにより、取り出すべき直線偏波の偏波面を40〜50度、好ましくは45度程度回転させるように構成することとしてもよい。この場合においては、上述のファラデー回転子14f,偏光子14cおよび方向性結合器14dにより、直線偏波成分抽出部を構成する。
【0110】
また、例えば図14に示す光波形測定装置11Bのように、上述の直線偏波成分抽出部を構成する偏光子14cおよび方向性結結合器14dのかわりに、偏波ビームスプリッタ(PBS)14eを設けることとしてもよい。この図14に示す偏波ビームスプリッタ14eは、1つの入力ポートおよび2つの出力ポートからなる構成で、光ファイバ14bの出力端に設けられ、入射光のTE偏波成分、TM偏波成分をそれぞれ異なる出力ポートに出力するようになっている。例えば、TM偏波成分については表示部15をなす波長フィルタ15aに出力され、TE偏波成分については監視制御部16をなすパワーメータ16aに出力されるようになっている。
【0111】
この場合においては、PBS14eのTM偏波成分を出力するポートが、実質的に前述の第2実施形態の場合の偏光子14cの出力と等価の直線偏波成分を出力することができるようになっており、PBS14eのTE偏波成分の出力するポートについては、上述のTM偏波成分に垂直な直線偏波成分を出力することができるようになっている。即ち、監視制御部16においては、波形測定に先立って、PBS14eのTE変更出力ポートからの光に基づいて、第1,第2偏波制御部12−1,12−2を設定制御することができるようになっている。
【0112】
具体的には、前述の図10のステップS3の場合と同様に、PBS14eのTE偏波出力ポートから出力されるサンプリング光パルスが最大(又は最小)となるように、第2偏波制御部12−2の波長板12ca,12cbの結晶軸角度を回転設定することにより、光ファイバ14bに入力される段におけるサンプリング光パルスの偏波状態を設定する。そして、図10のステップS8の場合と同様に、PBS14eのTE偏波出力ポートから出力される被測定光のパワーが最大となるように、第1偏波制御部12−1の波長板12aa,12abを回転設定することにより、光ファイバ14bに入力される段における被測定光の偏波状態を設定する。
【0113】
上述の第2実施形態の場合においては、直線偏波成分抽出部としては、方向性結合器14dと偏光子14cの2つの部品が必要だったが、この図14に示す光波形測定装置11Bによれば、PBS14e一つでその役割を実現できるので、構成が簡素になる。
〔C〕第3実施形態の説明
図15は本発明の第3実施形態にかかる光波形測定装置31を示す図である。この図15に示す光波形測定装置31は、前述の第2実施形態の場合に比して、波形測定に先立つ、監視制御部16´による第1,第2偏波制御部12−1,12−2の設定制御の態様が異なっており、これ以外の構成については基本的に同様であり、図15中、図3と同一の符号は基本的に同様の部分を示している。
【0114】
第3実施形態にかかる光波形測定装置31の監視制御部16´は、第2実施形態におけるもの(符号16a,16b)とは機能の異なるパワーメータ16a´および比較・コントローラ16b´をそなえて構成され、前述の第2実施形態の場合よりも、上述の第1,第2偏波制御部12−1,12−2の設定制御を容易にしている。
すなわち、この図15に示す光波形測定装置31においては、方向性結合器14aの出力が2分岐され、一方は光ファイバ14bへ接続され、他方は監視制御部16´のパワーメータ16a´に接続されている。そして、このパワーメータ16a´において、光ファイバ14bに入力されるべきサンプリング光パルス又は被測定光の一部のパワーを測定することができるようになっている。
【0115】
さらに、比較・コントローラ16b´においては、上述の光ファイバ14bへ入力される光のパワーから閾値を設定し、偏光子14cから出力される光のパワーと設定された閾値とを比較し、その大小に応じて出力が最小となったと判断するようになっている。
このように構成された光波形測定装置31においても、被測定光の波形測定に先立って、図16,図17のフローチャートに示すように、監視制御部16´による第1,第2偏波制御部12−1,12−2の設定制御が行なわれる。
【0116】
すなわち、図16に示すフローチャートにおいて、被測定光をオフとした状態において(ステップC1)、サンプリング結果出力部14の方向性結合器14aから出力されるサンプリング光パルスのパワー、即ち光ファイバ14bに入力される前段におけるサンプリング光パルスの光パワーをパワーメータ(PM)16a´で測定し、測定結果をPS0として比較・コントローラ16b´における図示しない記憶領域に記録する(ステップC2)。次いで、この測定結果PS0をもとにしてサンプリング光パルスのパワーレベルを最小とするように、第2偏波制御部12−2を設定制御する(ステップC3)。
【0117】
上述のごとくサンプリング光パルスが直線偏波状態に設定制御されると、次に、監視制御部16の比較・コントローラ16b´ではドライバ17aを制御することにより、偏光子14cが透過する直線偏波の方向を40〜50度、好ましくは45度傾斜させる(ステップC4)。即ち、偏光子14cが透過する直線偏波の方向が、光ファイバ14bに入力されるサンプリング光パルスの直線偏波の方向と実質的に垂直となっているので、偏光子14cを40〜50度、好ましくは45度回転させることにより、サンプリング光パルスの直線偏波の方向に対して、偏光子14cが透過する直線偏波の方向を40〜50度、好ましくは45度傾斜させることになる。
【0118】
ついで、サンプリング光パルスをオフとし(ステップC5)、被測定光をオンとして(ステップC6)、被測定光の偏波状態を設定する動作に移る。この場合においても、前述のサンプリング光パルスの偏波状態の設定を行なった場合に準じて、サンプリング結果出力部14の方向性結合器14aから出力される被測定光のパワー、即ち光ファイバ14bに入力される前段における被測定光の光パワーについてパワーメータ(PM)16a´で測定し、測定結果をPD0として比較・コントローラ16b´における図示しない記憶領域に記録する(ステップC7)。次いで、この測定結果PD0をもとにしてサンプリング光パルスのパワーレベルを最小とするように、第1偏波制御部12−1を設定制御する(ステップC8)。
【0119】
このようにして、被測定光の偏波状態を制御するための第1偏波制御部12−1の設定制御がなされると、入力される被測定光を波形測定するための、当該被測定光およびサンプリング光パルスの光ファイバ14bへ入力される段においての偏波状態が制御されることになる。更には、偏光子14cが透過する直線偏波の方向についての設定もなされたことになる。
【0120】
その後、被測定光とともにサンプリング光パルスについても、サンプリング光出力部13から出力されることとなれば(ステップC9)、サンプリング結果出力部14では強度相関信号光を出力することができるので、表示部15においては、波形測定を最適に行なうことができるようになる。
図17は上述のステップC3におけるサンプリング光パルス(又は被測定光)の最大化の処理を説明するためのフローチャートである。上述のステップC3においては、サンプリング光パルスを偏光子14cの透過する直線偏波の方向に垂直な直線偏波の方向に設定している。
【0121】
このために、監視制御部16´においては、方向性結合器14dから出力されるサンプ
リング光パルスのパワーレベルが、閾値として設定された値(例えば光ファイバ14bに入力される段でのサンプリング光パルスのレベルの測定値PS0の1000分の1)となるように、第2偏波コントローラ12cの波長板12ca,12cbの回転角度を設定している。
【0122】
具体的には、まず4分の1波長板12cbを前述の第2実施形態の場合と同様の単位回転量だけ回転させ(ステップD1)、このとき方向性結合器14dから出力されたサンプリング光パルスのレベルをパワーモニタ16a´で測定し、PS1として上述のPS0と同様に記録する(ステップD2)。
そして、このPS1を、4分の1波長板12cbのみを回転させた場合の目標値(例えばPS0の10分の1)と比較して(ステップD3)、PS1が上述の目標値よりも大きい場合には、再び単位回転量だけ4分の1波長板12cbを回転させる(ステップD3の「PS1>PS0/10」ルートからステップD1)。以降、測定されたPS1が目標値PS0/10以下となるまで、4分の1波長板12cbを回転させる。
【0123】
このようにして、測定されたPS1が目標値PS0/10以下となった時点においての4分の1波長板12cbの回転角度が、設定すべき回転角度になる。次いで、2分の1波長板12caの回転角度を設定する。この2分の1波長板12caの設定においては、方向性結合器14dから出力されるサンプリング光パルスのパワーレベルの目標値を、上述の閾値であるPS0の1000分の1に設定する。
【0124】
すなわち、2分の1波長板12caを前述の第2実施形態の場合と同様の単位回転量だけ回転させ(ステップD3の「PS1≦PS0/10」ルートからステップD4)、このとき方向性結合器14dから出力されたサンプリング光パルスのパワーレベルをパワーモニタ16a´で測定し、PS1として上述のPS0と同様に記録する(ステップD5)。
そして、このPS1を上述の閾値(例えばPS0の1000分の1)と比較して(ステップD6)、PS1が上述の目標値よりも大きい場合には、再び単位回転量だけ2分の1波長板12caを回転させる(ステップD6の「PS1>PS0/1000」ルートからステップD4)。以降、測定されたPS1が閾値PS0/1000以下となるまで、2分の1波長板12caを回転させる。
【0125】
このようにして、測定されたPS1が目標値PS0/1000以下となった時点においての2分の1波長板12caの回転角度が、設定すべき回転角度になり、第2偏波コントローラ12aの設定制御が完了する(ステップD6の「PS1≦PS0/1000」ルートからステップD7)。
なお、図16のステップC8における被測定光の最小化の処理についても、上述の図17の場合に準じて行なうことができる。即ち、監視制御部16´では、光ファイバ14bに入力される段における被測定光のパワーレベルの例えば10分の1を、方向性結合器14dから出力される被測定光のパワー目標値とし、第1偏波コントローラ12aの4分の1波長板12aaを回転制御する。
【0126】
そして、この4分の1波長板12aaの回転角度の設定に続いて、2分の1波長板12abについても回転角度を設定する。この場合においても、光ファイバ14bに入力される段における被測定光のパワーレベルの例えば1000分の1を、方向性結合器14dから出力される被測定光のパワー目標値とし、第1偏波コントローラ12aの2分の1波長板12abを回転制御する。
【0127】
これにより、サンプリング光出力部13から出力されたサンプリング光パルスは、第2偏波コントローラ12cにおける回転角度が設定された波長板12ca,12cbを通過することにより、直線偏波状態に変換され、かつその直線偏波の方向は偏光子14cの透
過する直線偏波の方向に40〜50度、好ましくは45度の角度をなす。そして、被測定光については、第1偏波コントローラ12aにおける回転角度が設定された波長板12aa,12abを通過することにより、直線偏波状態に変換され、かつその直線偏波の方向は偏光子14cの透過する直線偏波の方向にほぼ垂直な角度をなす。
【0128】
そして、このように第1,第2偏波制御部12−1,12−2が設定制御されて、被測定光について波形測定を行なうことができる。即ち、第1,第2偏波コントローラ12a,12cを通過した被測定光およびサンプリング光パルスは、非線形媒質である光ファイバ14bに入力されると、強度相関信号光成分のみ被測定光の偏波状態が回転するために、光ファイバ14bの出力端に設けられる偏光子14cにより、被測定光と強度相関信号光とが分離される。表示部15では、この分離された強度相関信号光をディジタル電気信号とし、波形表示器15dを通じて、波形表示を行なう。
【0129】
このように、本発明の第3実施形態においても、前述の第2実施形態の場合と同様の利点があるほか、監視制御部16´による第1,第2偏波制御部12−1,12−2の設定制御、即ち偏波状態制御部によるサンプリング光パルスおよび被測定光の偏波状態の制御を簡単化させることができる。
〔D〕第4実施形態の説明
〔D−1〕構成
図18は本発明の第4実施形態にかかる光波形測定装置41を示すブロック図である。この図18に示す光波形測定装置41は、前述の第2,第3実施形態におけるもの(符号11,31参照)に比して、M(Mは2以上の整数を表す。以下同様。)個の波長λ1〜λMの光波形、即ち複数チャンネルの光波形を測定することができるようになっている点
が異なっている。
【0130】
すなわち、第4実施形態にかかる光波形測定装置31は、前述の第2実施形態におけるもの(符号12−1,12−2,13〜19)に相当する構成(符号32A−1〜32A−M,32B−1〜32B−M,33,34−1〜34−M,35〜39)をそなえているが、各波長の光波形の測定のために、一部の構成要素が各波長の光パルスを測定するために共用にそなえられている。
【0131】
具体的には、サンプリング光出力部33をなす周波数発生部18およびサンプリング光生成部39および監視制御部36が共用にそなえられ、表示部35をなす波形表示器35dについても共用にそなえている(図3,図15の符号15,15d参照)。又、第1偏波制御部32A−1〜32A−M,第2偏波制御部32B−1〜32B−Mおよびサンプリング結果出力部34−1〜34−Mについては、各波長対応にそなえるとともに、表示部35をなす波長フィルタ35a−1〜35a−M,光電変換器35b−1〜35b−MおよびA/D変換器35c−1〜35c−Mについても各波長対応にそなえて構成されている。尚、各構成部分をなす要素に関し、基本的に前述の第2,第3実施形態の場合と同様の機能を持つものには共通の符号を付している。
【0132】
ここで、複数波長の光波形のために共用されたサンプリング光出力部33は、前述の第2,第3実施形態におけるサンプリング光出力部13に比して、サンプリング光生成部39をなす光増幅器19cの出力側にサンプリング光パルスをM分岐する方向性結合器39aが設けられている点が異なっており、それ以外の構成については基本的に同様である。この方向性結合器39aで分岐されたM個のサンプリング光パルスについては、サンプリング光出力部33の出力として、第2偏波制御部32B−1〜32B−Mに分配されるようになっている。
【0133】
また、第2偏波制御部32B−1〜32B−Mは、それぞれ、上述のサンプリング結果出力部33から出力されたサンプリング光パルスを入力されて、後述の監視制御部36による設定制御に基づいて、入力されたサンプリング光パルスの偏波状態を直線偏波に変換して、サンプリング結果出力部34−1〜34−Mに供給するものである。この第2偏波制御部32B−1〜32B−Mは、前述の第2,第3実施形態の場合と同様、第2偏波コントローラ12cおよび第2ドライバ12dをそなえて構成されている。
【0134】
さらに、第1偏波制御部32A−1〜32A−Mは、後述の監視制御部36による設定制御に基づいて、互いに異なるM波長の光(繰り返し周波数は共通のf0)について、それぞれ、直線偏波であって後段のサンプリング結果出力部34−1〜34−Mをなす偏光子14cが透過すべき直線偏波の方向にほぼ垂直な方向を有する直線偏波とするものである。各第1偏波制御部32A−1〜32A−Mは、前述の第2,第3実施形態の場合と同様、第1偏波コントローラ12aおよび第1ドライバ12bをそなえて構成されている。
【0135】
また、サンプリング結果出力部34−1〜34−Mは、それぞれ、被測定光の波長ごとに設けられ、これらの各波長の被測定光ごとにサンプリング結果を出力しうるものである。具体的には、第1偏波制御部32A−1〜32A−Mからの互いに異なるM波長の被測定光を入力されるとともに、第2偏波制御部32B−1〜32B−Mからのサンプリング光パルスを入力されて、それぞれの光ファイバ14bでの非線形効果による強度相関信号光をサンプリング結果として出力することができるようになっている。
【0136】
監視制御部36は、初期設定部として、サンプリング結果出力部34−1〜34−Mをなす方向性結合器14dから出力される光に基づいて、上述の第1偏波制御部32A−1〜32A−Mにおける偏波制御量とともに、第2偏波制御部32B−1〜32B−Mにおける偏波制御量について個別に設定制御しうるものであって、図3におけるもの(符号16a、16b)に相当するパワーメータ36aおよび比較・コントローラ36bをそなえて構成されている。
【0137】
すなわち、監視制御部36のパワーメータ36aおよび比較・コントローラ36bにおいては、測定対象となる波長ごとに独立して、前述の第2実施形態の場合と同様の手順により、対応する光ファイバ14bに入力される段においてのサンプリング光パルスおよび被測定光の直線偏波の方向とともに、対応する偏光子14cにおいて透過すべき直線偏波の方向を、互いに相対関係を定めて設定制御することができるようになっている。
【0138】
したがって、監視制御部36,第1,第2偏波制御部32A−1〜32A−M,32B−1〜32B−Mとともにドライバ37aにより、サンプリング結果出力部34−1〜34−Mにおいて出力される光が所定の直線偏波状態を有するように、被測定光およびサンプリング光パルスの偏波状態を制御する偏波状態制御部37を構成する。尚、ドライバ37aは、監視制御部36からの制御を受けて、各サンプリング結果出力部34−1〜34−Mをなす偏光子14cで透過する直線偏波の方向を個別に可変駆動するものである。
【0139】
さらに、表示部35は、サンプリング結果出力部34−1〜34−Mをなす方向性結合器14dから出力されたサンプリング結果となる各光について、電気信号に変換するとともに、変換されたサンプリング結果としての電気信号を掃引することにより、被測定光の波形について表示するものであって、波長フィルタ35a−1〜35a−M,光電変換器35b−1〜35b−M,A/D変換器35c−1〜35c−Mおよび波形表示器35dをそなえて構成されている。
【0140】
波長フィルタ35a−1〜35a−Mは、それぞれ、サンプリング結果出力部34−1〜34−Mから出力された光について、被測定光として割り当てられている波長成分(即ち強度相関信号光の成分)を取り出すためのものである。光電変換器35b−1〜35b−Mは、それぞれ波長フィルタ35a−1〜35a−Mで取り出された強度相関信号光成分について電気信号に変換するもので、A/D変換器35c−1〜35c−Mは、光電変換器35b−1〜35b−Mからの各電気強度相関信号についてディジタル信号に変換するものである。
【0141】
さらに、波形表示器35dは、A/D変換器35c−1〜35c−Mからのディジタル信号を垂直軸入力とし、周波数発生部18をなす発振器18bからの掃引信号Δfを水平入力として、各波長についての光波形を表示するものである。これら各波長の光波形については、別個に表示するようにしてもよいし、同時に表示するようにすることも可能である。
【0142】
〔D−2〕作用効果
上述のごとく構成された、第4実施形態にかかる光波形測定装置41では、互いに異なるM波長の光波形について波形測定するにあたっては、前述の第2実施形態における〔B−2〕の場合と同様の設定を各波長の光学系ごとに行なう。
すなわち、被測定光監視制御部36において、被測定光をオフとして、第2偏波制御部32B−1〜32B−Mをなす各第2偏波コントローラ12cの波長板12ca,12cb(図3参照)の角度を、サンプリング結果出力部34−1〜34−Mから出力されるサンプリング光パルスをもとにフィードバック制御することにより、各第2偏波制御部32B−1〜32B−Mに入力されるサンプリング光パルスの偏波状態を第2実施形態の場合と同様の偏波状態となるように個別に設定する。又、サンプリング結果出力部34−1〜34−Mをなす各偏光子14cから透過する直線偏波の方向についても、ドライバ17aを通じて個別に設定制御する。
【0143】
ついで、サンプリング光パルスをオフとして、第1偏波制御部32A−1〜32A−Mをなす各第1偏波コントローラ12aの波長板12aa,12ab(図3参照)の角度を、サンプリング結果出力部34−1〜34−Mから出力される被測定光をもとにフィードバック制御することにより、各第1偏波制御部32A−1〜32A−Mに入力される被測定光の偏波状態を第2実施形態の場合と同様の偏波状態となるように個別に設定する。
【0144】
これにより、サンプリング光出力部33から出力されたM個のサンプリング光パルスは、それぞれ、第2偏波制御部32B−1〜32B−Mをなす第2偏波コントローラ12cにおける(回転角度が設定された)波長板12ca,12cbを通過することにより、直線偏波状態に変換され、かつその直線偏波の方向は偏光子14cの透過する直線偏波の方向に40〜50度、好ましくは45度の角度をなす。
【0145】
そして、Mチャンネルの被測定光については、第1偏波制御部32A−1〜32A−Mをなす第1偏波コントローラ12aにおける(回転角度が設定された)波長板12aa,12abを通過することにより、直線偏波状態に変換され、かつそれらの直線偏波の方向は、対応する偏光子14cの透過する直線偏波の方向にほぼ垂直な角度をなす。
上述のごとく第1,第2偏波コントローラ12a,12cおよび偏光子14cが設定制御された状態において、以下に示すように、Mチャンネルの被測定光の波形について測定する。
【0146】
すなわち、各サンプリング結果出力部34−1〜34−Mでは、方向性結合器14aにおいて対応する波長チャンネルについての被測定光とサンプリング光パルスとが合波され、光ファイバ14bで非線形効果を生じさせる。即ち、この光ファイバ14bを通過した光においては、光カー効果により強度相関信号光成分のみ被測定光の偏波状態が回転するために、光ファイバ14bの出力端に設けられる偏光子14cにより、被測定光と強度相関信号光とを分離できる。
【0147】
さらに、波長フィルタ35a−1〜35a−Mにおいて対応する波長チャンネルにかかる被測定光についての強度相関信号光のみを取り出し、光電変換器35b−1〜15b−MおよびA/D変換器35c−1〜35c−Mでの処理を通じて、波形表示器35dにおいて、各波長チャンネルについての被測定光の波形について画面上に表示する。
このように、本発明の第4実施形態によれば、サンプリング結果出力部34−1〜34−Mにおいて出力される光をもとに波形測定を行なうことができるように、偏波状態制御部37において、サンプリング結果出力部34−1〜34−Mに入力される被測定光の偏波状態を制御することができるので、前述の第1〜第3実施形態の場合と同様、複雑な偏波ダイバーシティ構成を用いずに、強度相関信号光の発生が被測定光の偏波状態に無依存になることが可能になる利点がある。
【0148】
さらに、被測定光の偏波状態のフィードバック制御およびサンプリング光パルスの偏波状態をフィードバック制御するという、比較的簡素な制御によって強度相関信号光の発生が被測定光の偏波状態に無依存になることが可能になる利点もある。
また、電気サンプリングによるオシロスコープでは実現できない高時間分解能で、任意偏波状態の被測定光の波形を忠実に観測でき、超高速信号光を容易かつ安定に観測可能になり、超高速信号光を用いた通信システム、光信号処理技術の研究開発を加速できる。また、信号品質モニタなどの監視装置への応用も可能であり、簡易な光信号監視の実用が期待できる。
【0149】
さらに、複数チャンネルの被測定光波形を測定する際に、サンプリング光出力部33および波形表示器35dを共用することができるので、装置構成が簡素になり、装置の小型化や低消費電力化を図ることができる利点がある。
なお、上述の第4実施形態においては、互いに異なるM個の波長の光の波形を測定しているが、本発明によればこれに限定されず、M系列の光波形を測定するのであれば、同一波長の光パルスが含まれていても良い。
【0150】
〔E〕第5実施形態の説明
図19は本発明の第5実施形態にかかる光波形測定装置51を示すブロック図である。この図19に示す光波形測定装置51は、前述の第4実施形態におけるもの(符号41参照)と同様、M個の波長の光波形、即ち複数チャンネルの光波形を測定することができるようになっているが、サンプリング結果出力部44をなす非線形媒質としての光ファイバ14bを、各波長の光波形を測定するために共用の構成を有している点が、前述の第4実施形態の場合と主として異なっている。
【0151】
すなわち、光ファイバ14bに複数波長(チャネル)の被測定光が同時にある条件下でも、サンプリング光パルスは、それぞれの波長(チャネル)の信号光に対して、独立に光カー効果を誘起できるので、サンプリング結果出力部44をなす光ファイバ14bは、各波長の被測定光の波形を測定する際には共用に用いることができるのである。
なお、第5実施形態にかかる光波形測定装置51においては、前述の第2実施形態の場合と同様のサンプリング光出力部13,監視制御部16,第2偏波状態制御部12−2およびドライバ17aをそなえている。更に、前述の第4実施形態の場合と同様の構成を有する表示部35および第1偏波制御部32A−1〜32A−Mをそなえている。
【0152】
そして、各波長の被測定光をサンプリングするサンプリング光パルスとしては、サンプリング光出力部13から出力され第2偏波制御部12−2で偏波状態が制御されたものを共用するとともに、第1偏波制御部32A−1〜32A−Mにおける各被測定光の偏波状態を、監視制御部16において、それぞれの第1ドライバ12bを通じて制御することができるようになっている。尚、各構成部分をなす要素に関し、基本的に前述の第2〜第4実施形態の場合と同様の機能を持つものには共通の符号を付している。
【0153】
換言すれば、上述の第1,第2偏波制御部32A−1〜32A−M,12−2,監視制御部16aおよびドライバ17aにより、サンプリング結果出力部44において出力される光が所定の直線偏波状態を有するように、被測定光およびサンプリング光パルスの偏波状態を制御する偏波状態制御部47を構成する。
また、サンプリング結果出力部44は、前述の第2実施形態の場合と同様の方向性結合器14a,光ファイバ14b,偏光子14cおよび方向性結合器14dをそなえるとともに、第1偏波制御部32A−1〜32A−Mで偏波状態が制御された各被測定光を合波する方向性結合器44aと、方向性結合器14dを通じて出力される光を波長チャンネルごとに分波する方向性結合器44bと、をそなえて構成されている。
【0154】
なお、方向性結合器44bで分波された光は、対応する波長チャンネルの強度相関信号光を取り出す波長フィルタ15a−1〜15a−Mにそれぞれ導かれるようになっており、これにより、表示部35をなす波形表示器35dでは、各波長チャンネルの被測定光の波形について測定することができるようになっている。
上述のごとく構成された、第5実施形態にかかる光波形測定装置51においても、互いに異なるM波長の光波形について波形測定するにあたっては、前述の第2実施形態における〔B−2〕の場合と同様の設定を行なう。このとき、サンプリング光パルスについては、各波長チャンネルにおける被測定光のサンプリングのために共通に用いるので、第4実施形態の場合のようにチャンネルごとに個別に偏波状態を設定する必要はない。被測定光の偏波状態については、監視制御部16により、第2偏波制御部12−2の設定および偏光子14cの設定が行なわれた後、各チャンネルの被測定光の入力偏波状態に応じて個別に順次設定していく。
【0155】
これにより、サンプリング光出力部13から出力されたサンプリング光パルスは、第2偏波制御部12−2をなす第2偏波コントローラ12cにおける(回転角度が設定された)波長板12ca,12cbを通過することにより、直線偏波状態に変換され、かつその直線偏波の方向は偏光子14cの透過する直線偏波の方向に40〜50度、好ましくは45度の角度をなす。
【0156】
そして、Mチャンネルの被測定光については、第1偏波制御部32A−1〜32A−Mをなす第1偏波コントローラ12aにおける(回転角度が設定された)波長板12aa,12abを通過することにより、直線偏波状態に変換され、かつそれらの直線偏波の方向は、対応する偏光子14cの透過する直線偏波の方向にほぼ垂直な角度をなす。
上述のごとく第1,第2偏波コントローラ12a,12cおよび偏光子14cが設定制御された状態において、前述の第4実施形態の場合と同様にMチャンネルの被測定光の波形を測定することができる。
【0157】
すなわち、サンプリング結果出力部44では、方向性結合器44aで合波されたM個の波長チャンネルについての被測定光は、サンプリング光パルスとともに光ファイバ14bを通過することにより、独立に光カー効果を生じているので、偏光子14c,方向性結合器14dおよび方向性結合器44bを介して各波長フィルタ15a−1〜15a−Mに入力された光について、波長チャンネルの光を透過させることで、当該波長チャンネルについての強度相関信号光を取り出すことができるのである。
【0158】
その後、光電変換器35b−1〜15b−MおよびA/D変換器35c−1〜35c−Mでの処理を通じて、波形表示器35dにおいて、各波長チャンネルについての被測定光の波形について画面上に表示する。
このように、本発明の第5実施形態によれば、サンプリング結果出力部34−1〜34−Mにおいて出力される光を用いて波形測定を行なうことができるように、偏波状態制御部47において、サンプリング結果出力部44に入力される被測定光の偏波状態を制御することができるので、前述の第1〜第4実施形態の場合と同様の利点があるほか、複数チャンネルの被測定光の波形を測定する際に、サンプリング結果出力部44をなす非線形媒質である光ファイバ14bおよびサンプリング光出力部13の構成を共用することができるので、装置構成が更に簡素になり、装置の小型化や低消費電力化を図ることができる利点がある。
【0159】
〔F〕第6実施形態の説明
図20は本発明の第6実施形態を示す図である。上述の第1〜第5実施形態にかかる光波形測定装置1,11,11A,11B,31,41,51は、例えばこの図20に示すような、光伝送システムにおける光信号を送信する光送信機62における送信信号光の品質を監視する送信信号光監視システム61として適用することができる。即ち、この図20に光送信機62から出力される信号光の一部を、方向性結合器63で分岐し、第1〜第5実施形態にかかる光波形測定装置1,11,11A,11B,31,41,51において波形を観測し、信号光の品質を監視する。監視した信号品質情報は、送信機に伝えられて信号高品質が良くない場合、光送信機62内の設定を、制御信号を通じて適当に変更することにより、高品質の信号を常に出力可能になる。この場合においては、例えば監視制御部中に制御信号を供給する機能を追加する。尚、波形観測に不可欠なクロック信号f0
は、入力される信号光から抽出してもよいが、図中に示すように、送信機62で用いられているクロック信号をトリガー信号として取り込めばよい。
【0160】
したがって、任意偏波状態の被測定光の波形を忠実に観測でき、超高速信号光を容易かつ安定に観測可能になり、超高速信号光を用いた通信システム、光信号処理技術の研究開発を加速できる。また、信号品質モニタなどの監視装置への応用も可能であり、簡易な光信号監視の実用が期待できる。
〔G〕第7実施形態の説明
図21は本発明の第7実施形態を示す図である。第6実施形態は、送信信号光の品質を監視する送信信号光監視システム61であったが、これに対し、第7実施形態は、光伝送システムにおける光信号の受信側における受信信号光の品質を監視する受信信号光監視システム71に、第1〜第5実施形態にかかる光波形測定装置1,11,11A,11B,31,41,51を適用するものである。
【0161】
前述の第6実施形態の場合のように、送信端ではクロック信号f0を取り込むことは比較的容易であるが、受信端では送信端とは異なる構成が必要となる。この点、図21に示すように、方向性結合器72およびクロック抽出回路73をそなえることにより、伝送されてきた光信号から、当該光信号に同期した繰り返し周波数f0を抽出することができる。
【0162】
すなわち、伝送路74を伝送されてきた光信号を方向性結合器72で一部分岐し、一方を光波形測定装置1,11,11A,11B,31,41,51への被測定光として出力し、他方をクロック抽出回路73に出力する。クロック抽出回路73では、光信号の繰り返し周波数f0を抽出し、当該被測定光に同期したクロック信号f0として光波形測定装置1,11,11A,11B,31,41,51に供給することができる。
【0163】
なお、クロック抽出回路73では、被測定光のビットレートが電子回路の応答速度制限よりも小さな値、すなわち40Gb/s程度以下の場合は、まず、被測定光を光電変換器で電気信号に変換し、電気信号の中からビットレートに対応する周波数成分をフィルタで抽出するように構成し、これにより、被測定光に同期したクロック信号を得ることができる。
【0164】
また、より高品質のクロックを抽出するためには、前述の電気信号と電圧制御発振器(VCO)から出力されるクロックとの位相を比較して、位相差分を誤差信号としてフィードバックする位相同期ループ(PLL)をもちいればよい。電子回路で処理できない高速ビットレートの場合は光学的な位相比較器をもちいたPLL回路により被測定光に同期したクロックを安定に抽出できる。
【0165】
なお、上述の光学的な位相比較器としては、文献(C.Boerner, et al., "160 Gbit/s clock recovery with electro-optical PLL using bidirectionally operated electroabsorption modulator as phase comparator", Electronics Letters, Vol.39, No.14, 2003, pp.1071-1073)に記載されたものや、文献(D. T. K. Tong, et al., "160 Gbit/s clock recovery using electroabsorption modulator-based phase-locked loop," Electronics Letters , Vol. 36, No. 23, 2000, pp.1951-1952.)に記載されたものがある。
【0166】
したがって、任意偏波状態の被測定光の波形を忠実に観測でき、超高速信号光を容易かつ安定に観測可能になり、超高速信号光を用いた通信システム、光信号処理技術の研究開発を加速できる。また、信号品質モニタなどの監視装置への応用も可能であり、簡易な光信号監視の実用が期待できる。
〔H〕第8実施形態の説明
図22は本発明の第8実施形態を示す図である。この図22に示すものにおいては、上述の第1〜第5実施形態にかかる光波形測定装置1,11,11A,11B,31,41,51を、光3R(Re-Shaping, Re-Timing, Re-Amplification)再生器82の出力信号を監視する3R再生信号監視システム81に適用したものである。
【0167】
3R再生器82は、信号光(被光3R再生信号光)が入力されると、3R再生処理を施して出力する。この3R再生器82からの出力信号の一部は、方向性結合器83を介して、光波形測定装置1,11,11A,11B,31,41,51に入力され、この光波形測定装置1,11,11A,11B,31,41,51において、3R再生された信号光について品質を監視することができる。
【0168】
第8実施形態の場合においても、トリガー信号として被監視信号光から同期信号(クロック信号f0)を抽出する機能であるクロック抽出部85をそなえている。
なお、3R中継器82としては、電子回路動作速度を上回る信号光の光3R再生が、これまでにいくつか提案され実証されている。例えば、文献(S. Watanabe, et al., "160 Gbit/s Optical 3R-Regenerator in A Fiber Transmission Experiment," OFC 2003, ThQ1, Optical Fiber Communication Conference, Atlanta, Georgia, March 23-28, 2003. )に記載されたものがある。
【0169】
このように構成された3R再生信号監視システム81においては、3R再生器82で3R再生された光信号の品質を、方向性結合器83を通じて光波形測定装置1,11,11A,11B,31,41,51において観測し、観測した信号品質を制御信号として、光3R再生器82にフィードバックすることにより、この制御信号を受けて光3R再生器82の内部設定を調整し、3R再生効果を向上させ、高品質の光3R再生信号光を光3R再生器82から出力することが可能になる。
【0170】
このように光3R再生器82から出力される光信号の品質を監視することは、被光3R再生信号光のビットレートが、電子回路の動作速度を超えている場合に特に有用になる。なぜならば、このような超高速信号光の品質を電子回路で監視するには、まず、光多重分離装置を用いて超高速信号光を電子回路で取り扱えるビットレートまで低速にした後、光電変換器を用いて電気信号に変換し、電子回路で監視するという煩雑な手続きを行なわなければならなく、また、この場合、装置が非常に複雑になるからである。
【0171】
したがって、任意偏波状態の被測定光の波形を忠実に観測でき、超高速信号光を容易かつ安定に観測可能になり、超高速信号光を用いた通信システム、光信号処理技術の研究開発を加速できる。また、信号品質モニタなどの監視装置への応用も可能であり、簡易な光信号監視の実用が期待できる。
〔I〕その他
なお、本発明によれば、上述の各実施形態にかかわらず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種種変形して実施することが可能である。
【0172】
たとえば、上述の第1〜第5実施形態においては、非線形媒質として光ファイバを適用しているが、本発明によれば、従来技術で用いられる偏波依存性のあるKTP結晶やPPLN結晶を用いたとしても、第1,第2偏波制御部による被測定光およびサンプリング光パルスの偏波状態の制御によって、偏波無依存の光サンプリングを実現することができる。
【0173】
また、上述の第1〜第5実施形態において、サンプリング光出力部から、非線形媒質である光ファイバに入力される際に設定しておくべき直線偏波状態としてサンプリング光パルスを出力するようにするとともに、サンプリング光出力部から出力される偏波状態を非線形媒質である光ファイバの入力端まで保持する偏波保持型の光部品を用いることとすれば、上述の第1〜第5実施形態のごとき第2偏波制御部の構成は省略することも可能である。
【0174】
また、上述の第1〜第5実施形態にかかる光波形測定装置1,11,11A,11B,31,41,51によれば、上述の第6〜第8実施形態以外の態様で実システムに適用することも、もちろん可能である。
さらに、上述した実施形態の開示により、本発明の装置を製造することは可能である。
〔J〕付記
(付記1) 被測定光をサンプリングするためのサンプリング光パルスを出力しうるサンプリング光出力部と、
該被測定光および該サンプリング光出力部からの該サンプリング光パルスによる非線形光学効果を生じさせて、該被測定光のサンプリング結果となる光を出力しうるサンプリング結果出力部と、
該被測定光の測定開始前において、該サンプリング光出力部に入力される該被測定光の偏波状態を該サンプリング結果出力部からの光のパワーレベルに基づき所定の状態になるように制御する偏波状態制御部と、
をそなえて構成されたことを特徴とする、光波形測定装置。
【0175】
(付記2) 該サンプリング光出力部で出力するサンプリング光パルスは、該被測定光よりもパルス幅が狭く、該被測定光の繰り返し周期と同程度もしくはそれよりも長い、サンプリング周波数を有することを特徴とする、付記1記載の光波形測定装置。
(付記3) 該偏波状態制御部は、サンプリング光出力部からのサンプリング光パルスの偏波状態についても制御することを特徴とする、付記1または2記載の光波形測定装置。
【0176】
(付記4) 該偏波状態制御部は、該サンプリング光出力部からのサンプリング光パルスの偏波状態について偏光子の45度回転機能を使って制御することを特徴とする、付記1または2記載の光波形測定装置。
(付記5) 該サンプリング光出力部が、該被測定光の繰り返し周期と同程度もしくはそれよりも低いサンプリング周波数を発生させる周波数発生部と、該周波数発生部で発
生されたサンプリング周波数をもとにした光変調によって該サンプリング光パルスを生成するサンプリング光生成部と、をそなえて構成されたことを特徴とする、付記1〜4のい
ずれか1項記載の光波形測定装置。
【0177】
(付記6) 該サンプリング光生成部が、連続光を出力する連続光光源と、該連続光光源からの連続光について該周波数発生部にて発生されたサンプリング周波数を用いることにより該サンプリング光パルスに変調する変調器と、をそなえて構成されたことを特徴とする、付記5記載の光波形測定装置。
(付記7) 該変調器が、ニオブ酸リチウム光変調器もしくはインジウムリン光変調器により構成されたことを特徴とする、付記6記載の光波形測定装置。
【0178】
(付記8) 該変調器が、電界吸収型光変調器により構成されたことを特徴とする、付記6記載の光波形測定装置。
(付記9) 該変調器が、該連続光について該サンプリング周波数に基づき周波数チャープを与える周波数チャープ付与部と、該周波数チャープ付与部で該周波数チャープが与えられた光について該サンプリング周波数に基づき光パルス化させる光パルス化部と、該光パルス化部からの光について分散補償を行ない該サンプリング光として出力する分散補償部と、をそなえて構成されたことを特徴とする、付記6記載の光波形測定装置。
【0179】
(付記10) 該サンプリング光生成部が、該変調器で変調された光を更にパルス圧縮するパルス圧縮部をそなえ、該パルス圧縮部でパルス圧縮された光を該サンプリング光として出力すべく構成されたことを特徴とする、付記5〜9のいずれか1項記載の光波形測定装置。
(付記11) 該周波数発生部が、該被測定光を掃引するための掃引信号を生成する掃引信号生成部と、該被測定光に同期したクロック信号を取り込むとともに該取り込んだクロック信号を該掃引信号生成部からの該掃引信号により周波数シフトすることにより該サンプリング周波数の信号を生成する周波数シフト部と、をそなえて構成されたことを特徴とする、付記5記載の光波形測定装置。
【0180】
(付記12) 該周波数発生部が、該周波数シフト部で取り込まれるクロック信号を分周する分周器をそなえ、該周波数シフト部が、該分周器で分周されたクロック信号を該掃引信号で周波数シフトすることにより該サンプリング周波数の信号を生成すべく構成されたことを特徴とする、付記11記載の光波形測定装置。
(付記13) 該サンプリング結果出力部が、該被測定光および該サンプリング光パルスによる非線形光学効果を生じさせるための非線形媒質と、該非線形媒質において生じる非線形光学効果によって偏波状態が変化した、該被測定光についての直線偏波成分を該波形測定用に抽出する直線偏波成分抽出部と、をそなえ、
かつ、該偏波状態制御部が、該非線形媒質に入力される該被測定光の偏波状態を、該直線偏波成分抽出部において抽出すべき直線偏波成分の方向とほぼ直交する直線偏波となるように制御するとともに、該非線形媒質に入力される該サンプリング光パルスの偏波状態についても、該被測定光について制御すべき直線偏波の方向に対して40〜50度の角度を有する直線偏波となるように制御すべく構成されたことを特徴とする、付記1〜12のいずれか1項記載の光波形測定装置。
【0181】
(付記14) 該偏波状態制御部が、該被測定光について直線偏波光にする第1偏波制御部と、該サンプリング光発生部で発生された該サンプリング光について直線偏波光にする第2偏波制御部と、該直線偏波成分抽出部で抽出された該被測定光についての直線偏波成分に基づいて該第1偏波制御部および該第2偏波制御部においてそれぞれ変換される直線偏波光の方向を監視制御する監視制御部と、をそなえて構成されたことを特徴とする、付記13記載の光波形測定装置。
【0182】
(付記15) 該監視制御部が、該直線偏波成分抽出部で抽出すべき直線偏波の方向と、該第1偏波制御部および該第2偏波制御部においてそれぞれ変換される直線偏波光の方向を初期設定する初期設定部をそなえて構成されたことを特徴とする、付記14記載の光波形測定装置。
(付記16) 該初期設定部が、該サンプリング光パルスが入力されない場合には該直線偏波成分抽出部において抽出される直線偏波成分がほぼ最小となるように、該第1偏波制御部において変換される直線偏波光の方向とともに、該直線偏波成分抽出部で抽出すべき直線偏波の方向を初期設定するとともに、該第2偏波制御部において変換される直線偏波光の方向を、該第1偏波制御部において変換される直線偏波光の初期設定方向に対して40〜50度の角度を有する直線偏波となるように初期設定を行なうことを特徴とする、付記15記載の光波形測定装置。
【0183】
(付記17) 該サンプリング結果出力部から、該被測定光のサンプリング結果となる光の波長特性を平坦にする光フィルタを備えることを特徴とする付記1〜16のいずれか記載の光波形測定装置
(付記18) サンプリング結果出力部から、該被測定光のサンプリング結果となる光を入力されて、該サンプリング結果について掃引することにより、該被測定光の波形を表示する表示部をそなえて構成されたことを特徴とする、付記1〜16のいずれか1項記載の光波形測定装置。
【0184】
(付記19) 複数系列の光を波形測定の対象となる被測定光とし、該複数系列の被測定光をそれぞれサンプリングするための複数のサンプリング光パルスを出力しうるサンプリング光出力部と、
該複数系列の被測定光および該サンプリング光出力部からの複数のサンプリング光パルスによる非線形光学効果をそれぞれ生じさせて、該被測定光のサンプリング結果となる光を出力しうる複数のサンプリング結果出力部と、
該複数のサンプリング結果出力部において出力される光を用いて該波形測定を行なうことができるように、該サンプリング結果出力部において出力される光に基づいて該サンプリング結果出力部に入力される被測定光の偏波状態を個別に制御しうる偏波状態制御部と、
をそなえて構成されたことを特徴とする、光波形測定装置。
【0185】
(付記20) 複数系列の光を波形測定の対象となる被測定光とし、該複数系列の被測定光をサンプリングするための共用のサンプリング光パルスを出力しうるサンプリング光出力部と、
該複数系列の被測定光および該サンプリング光出力部からの該共用のサンプリング光パルスによる非線形光学効果を生じさせて、該被測定光のサンプリング結果となる光を出力しうるサンプリング結果出力部と、
該サンプリング結果出力部において出力される光を用いて該波形測定を行なうことができるように、該サンプリング結果出力部において出力される光のパワーレベルに基づいて該サンプリング結果出力部に入力される被測定光の偏波状態を個別に制御しうる偏波状態制御部と、
をそなえて構成されたことを特徴とする、光波形測定装置。
【0186】
(付記21) 光を波形測定する際に、
該測定対象となる被測定光をサンプリングするためのサンプリング光パルスを出力し、
該被測定光および該サンプリング光パルスによる非線形光学効果を生じさせて、該被測定光のサンプリング結果となる光を出力する一方、
該サンプリング結果として出力される光が所定の直線偏波状態を有するように、該測定対象となる被測定光およびサンプリング光パルスの偏波状態を制御することを特徴とする、光波形測定方法。
【0187】
(付記22) 該サンプリング光パルスの偏波状態を、該サンプリング結果として出力される光が有する直線偏波状態に対して40〜50度の角度の直線偏波となるように制御し、
該測定対象となる被測定光の偏波状態を、該サンプリング光パルスが入力されない状態においては、該サンプリング結果として出力される光がほぼ最小となるように制御することを特徴とする、付記21記載の光波形測定方法。
【図面の簡単な説明】
【0188】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる光波形測定装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態の動作を説明するための図である。
【図3】本発明の第2実施形態にかかる光波形測定装置を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2実施形態の動作を説明するための図である。
【図5】本発明の第2実施形態にかかる光波形測定装置の要部を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2実施形態にかかる光波形測定装置の要部を示すブロック図である。
【図7】本発明の第2実施形態にかかる光波形測定装置の要部構成を示すブロック図である。
【図8】(a),(b)はともに本発明の第2実施形態にかかる光波形測定装置の要部の動作を説明するための図である。
【図9】本発明の第2実施形態にかかる光波形測定装置の要部構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第2実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の第2実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】本発明の第2実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】本発明の第2実施形態の変形例を示すブロック図である。
【図14】本発明の第2実施形態の変形例を示すブロック図である。
【図15】本発明の第3実施形態にかかる光波形測定装置を示すブロック図である。
【図16】本発明の第3実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図17】本発明の第3実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
【図18】本発明の第4実施形態にかかる光波形測定装置を示すブロック図である。
【図19】本発明の第5実施形態にかかる光波形測定装置を示すブロック図である。
【図20】本発明の第6実施形態にかかる光波形測定装置を示すブロック図である。
【図21】本発明の第7実施形態にかかる光波形測定装置を示すブロック図である。
【図22】本発明の第8実施形態にかかる光波形測定装置を示すブロック図である。
【図23】従来技術を説明するためのブロック図である。
【図24】従来技術を説明するためのブロック図である。
【図25】従来技術を説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
【0189】
1,11,11A,11B,31,41,51 光波形測定装置
2−1,12−1,32A−1〜32A−M 第1偏波制御部
2−2,12−2,32B−1〜32B−M 第2偏波制御部
3,13,33 サンプリング光出力部
4,14,34−1〜34−M,44 サンプリング結果出力部
5,15,35 表示部
6,16,36 監視制御部
7,17,37,47 偏波状態制御部
4a,4d,14a,14d,39a,44a,44b,63,72,83 方向性結合器
4b,14b 光ファイバ(非線形媒質)
4c 偏光子
12a 第1偏波コントローラ
12aa,12ab,12ca,12cb 波長板
12b 第1ドライバ
12c 第2偏波コントローラ
12d 第2ドライバ
14e PBS
14f ファラデー回転子
15a,35a−1〜35a−M 波長フィルタ
15b,35b−1〜35b−M 光電変換器
15c,35c−1〜35c−M A/D変換器
15d,35d 波形表示器
16a,16a´,36a パワーメータ
16b,16b´,36b 比較・コントローラ
17a,19d,37a ドライバ
18 周波数発生部
18b 発振器
18c トリガー回路
19,39 サンプリング光パルス生成部
19a CW光源
19b 光変調器
19c 光増幅器
20 90度位相シフタ
21 アップコンバータ
22 分周回路
23 パワーディバイダ
24 プリスケーラ
25 Dフリップフロップ
26 位相シフタ
27 ANDゲート
28 位相変調器
29 強度変調器
30 分散媒質
61 送信信号光監視システム
62 送信機
71 受信信号光監視システム
73,85 クロック抽出回路
74 伝送路
82 光3R再生器
101,114 光電変換器
102 トリガー回路
103 電気サンプリングパルス発生回路
104 サンプリング回路
105,115 波形表示器
111 光サンプリングゲート
112 短パルス光源
113 サンプリング周波数生成器
120 光信号源
121,122 発振器
123 モードロックファイバレーザ(MLFL:Mode Locked Fiber Laser)
124,127 半波長板(HWP:Half Wave Plate)
126,129,131 ミラー
128,130 KTP
132 Si−APD(Si-Avalanche Photo Diode)
133 アナログ/ディジタル変換器
134 コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を波形測定する際に、
該測定対象となる被測定光をサンプリングするためのサンプリング光パルスを出力し、
該被測定光および該サンプリング光パルスによる非線形光学効果を生じさせて、該被測定光のサンプリング結果となる光を出力する一方、
該サンプリング結果として出力される光が所定の直線偏波状態を有するように、該測定対象となる被測定光およびサンプリング光パルスの偏波状態を制御することを特徴とする、光波形測定方法。
【請求項2】
光を波形測定する際に、
該測定対象となる被測定光をサンプリングするためのサンプリング光パルスを出力し、
該被測定光および該サンプリング光パルスによる非線形光学効果を非線形媒質で生じさせて、該被測定光のサンプリング結果となる光を出力する一方、
該サンプリング結果として出力される光が所定の直線偏波状態を有するように、該測定対象となる被測定光およびサンプリング光パルスの偏波状態を制御することを特徴とする、光波形測定方法。
【請求項3】
該非線形媒質は光ファイバであることを特徴とする、請求項2記載の光波形測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2008−116468(P2008−116468A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−312709(P2007−312709)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【分割の表示】特願2005−9509(P2005−9509)の分割
【原出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】