説明

光波面の構築

3D画像を生成するための一方法には、所望のシーンによって散乱され、または所望のシーンを通過したコヒーレント光に対して予め選定されたアパーチャにわたって相対位相のピクセル毎のマップをもたらすことなどがある。その方法には、コヒーレント光ビームで照射されたアレイに応答して、予め選定されたアパーチャにわたってピクセル毎のマップをその波面が有する反射光を生成するために再構成可能なミラーアレイの微小ミラーを位置決めすることなどがある。その方法には、所望のシーンの3D画像の生成を可能にするために再構成可能なミラーアレイをコヒーレント光ビームで照射することなどがある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は3次元画像を構築するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この項では本発明のより良き理解を助長する助けになることもある態様を紹介する。したがって、この項の記述はこの観点から読むものとする。この項の記述は、従来技術に何が有り、何が無いかを認めるものと理解するべきではない。
【0003】
3次元(3D)画像を形成する方策の1つはホログラムを使用するものである。1つの形態ではホログラムは、恒久的な光学記録メディアであり、その局部透過性が、画像化される3Dシーンによって散乱されたコヒーレント光ビームの波面から相対振幅および位相情報を記録する。恒久的な光学記録メディアは、光干渉縞に露光された写真媒体を現像することによって生成することができる。光干渉縞は、例えば、3Dシーンによって散乱されたコヒーレント光ビームをコヒーレント参照光ビームに干渉させることによって作成される。
【0004】
3D画像を生成するには、ホログラムを適切なコヒーレント光ビームで再照射する。再照射されたホログラムは、ホログラムを作成するのに使用されたシーンの3D画像を生成する第1の射出光ビームを発生させる。第1の射出光ビームは、波面を有し、その波面上では相対位相および相対振幅は、実質上、ホログラム生成中にシーンによって当初散乱された光ビームのものである。照射されたホログラムは、ホログラムを作成するのに使用されたシーンの3D虚像を生成する第2の射出光ビームも発生させる。
【特許文献1】米国特許出願第11/009,447号
【特許文献2】米国特許出願第10/813,951号
【特許文献3】米国特許出願第11/140,313号
【非特許文献1】Mark Lucente、「Diffraction−Specific Fringe Computation for Electro−Holography」、マサチューセッツ工科大学電気工学およびコンピュータ科学学科における博士論文、1994年9月
【特許文献4】米国特許第6,211,848号
【特許文献5】米国特許第4,834,476号
【特許文献6】米国特許第4,986,619号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ホログラムは3D画像を生成することができるが、3D画像を作成するのに恒久的な光学記録メディアに頼るのは不便である。本明細書では様々な実施形態が、コヒーレント光ビームを恒久的な光学記録媒体よりむしろ再構成可能なアレイで変調することによって3D画像を生成する。したがって、それらの一部の実施形態は一連の実質的に異なる3D画像を生成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は3D画像を生成するための方法を特徴としている。その方法には、所望のシーンによって散乱され、または所望のシーンを通過したコヒーレント光の相対位相のピクセル毎のマップを予め選定されたアパーチャにわたってもたらすことなどがある。その方法には、再構成可能なミラーアレイの微小ミラーを位置決めして、その波面がコヒーレント光で照射されたアレイに応じてピクセル毎のマップを予め選定されたアパーチャにわたって有する反射光を生成することなどがある。その方法には、再構成可能なミラーアレイをコヒーレント光で照射して所望のシーンの3D画像の生成を可能にすることなどもある。
【0007】
第2の態様は装置を特徴とする。装置には、選定された波長を有するコヒーレント光の光源、および光源によって照射されるように配置された再構成可能なミラーアレイなどがある。アレイは複数の可動微小ミラーを含む。各微小ミラーの最大有効横方向長さ寸法は波長の10倍より小さい。
【0008】
図および本文において同種の符号は同種の機能を伴う要素を表示する。
【0009】
図で、一部の機能の相対寸法は、その1つまたは複数の構造をより明確に図示するために誇張されていることもある。
【0010】
本明細書では例証となる実施形態の図面および詳細説明により様々な実施形態が十二分に説明されている。それでも尚、本発明は、様々な形態で体現することができ、例証となる実施形態の図および詳細説明で説明される実施形態に制限されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
例証となる実施形態の詳細な説明
A) 3D画像の復元
図1は所望のシーンの3D画像を復元するための方法を概略的に図示している。
【0012】
3D画像の実像を形成するためにコヒーレント光源は、所望のシーンが照射光の部分を散乱させ、または送り、それによって出射コヒーレント光ビームが生成されるようにコヒーレント光で所望のシーンを照射することができる。射出光ビームの一部は、例えば開口絞り(アパーチャ)によって定められるような最初のアパーチャを通過し、所望のシーンの画像をそのアパーチャの反対側に居る観察者の目に形成する。最初のアパーチャにわたって、出射コヒーレント光ビームの相対位相および強度のパターンが、観察者によって見られる光ビームの形態を決定する。
【0013】
アパーチャにわたって、出射コヒーレント光ビームの電界または磁界の相対強度および/または位相をピクセル毎の方式でマップすることが可能である。そのようなアパーチャにわたる相対位相のピクセル毎のマップの有用性、あるいはそのようなアパーチャにわたる相対振幅および相対位相両方のピクセル毎のマップの有用性は、3D画像を復元するための方法の根拠である。
【0014】
3D画像を復元するために光源は再構成可能なミラーアレイをコヒーレント光で照射する。ピクセル毎のマップの形態に応じて、再構成可能なミラーアレイのミラーが位置決めされコヒーレント光源から照射された入射光を、予め選定したアパーチャにわたって大体同じマップを伴う出射コヒーレント光ビームを生成するような方式で反射する。つまり出射コヒーレント光ビームは、予め選定されたアパーチャにわたって相対位相あるいは相対振幅および相対位相の両方の同じピクセル毎のマップを有する。予め選定されたアパーチャは、例えば最初のアパーチャまたはその最初のアパーチャの一部である。そのような復元された光ビームは、所望のシーンによって実際に散乱され、または送られたコヒーレント光ビームと大体同じマップを有するので、復元された光ビームは、予め選定されたアパーチャの右に位置する観察者の目に大体同じ3D画像を発生させる。
【0015】
上記の方法は再構成可能なミラーアレイを使用して最終3D画像を形成する光ビームを構築しているので、その方法は異なる3D画像の時系列を構成するのに適応可能のこともある。これは、恒久的なホログラムを使用して3D画像を形成する方法と対照的である。このようなホログラムでは、恒久的な光学記録メディアへの依存が様々な3D画像の時系列を生成する能力を制限している。
【0016】
本明細書では画像の時系列をビデオと呼ぶ。装置および方法の実施形態の一部は異なる3D画像の時系列を生成することができる。勿論このような実施形態の一部は、人に3Dビデオの認識を与えるのに十分高い周波数、例えば1秒間に約20フレームを超える周波数でビデオ画像を生成することができることもある。
B) 画像構築のための装置
【0017】
図2Aおよび2Bは、図1に図示する方法により3D画像を復元するための例示的な装置10、10’を示している。装置10、10’はコヒーレント光源12、再構成可能なミラーアレイ16、ディジタル・データ・プロセッサ18、ディジタル・データ記憶デバイス20、ならびに任意選択で光学的ビーム・リダイレクタ14および/またはレンズ・システム15を含む。
【0018】
コヒーレント光源12は、例えば光源22およびビーム拡張光学装置24を含む。光源22は時間的にコヒーレントである光ビーム26を出力する。例示的な光源22には例えば赤外または可視波長でレーザ光を生成するレーザ装置などがある。ビーム拡張光学装置24は、光源22によって出力された光ビーム26から広い、空間的かつ時間的にコヒーレントな光ビーム28、例えば平行光線を生成する。例示的なビーム拡張光学装置24には屈折レンズまたはレンズ・システム、および反射光学システムなどがある。ビーム拡張光学装置24は、広い光ビーム28を斜めに、例えば図2Aのように再構成可能なミラーアレイ16の方向に向けるか、広い光ビーム28を、例えば図2Bで示すように光学的ビーム・リダイレクタ14に向ける。いずれにしろ広い光ビーム28の部分または全部が再構成可能なミラーアレイ16の前面を全て照射する。
【0019】
光学的ビーム・リダイレクタ14は、広い光ビーム28の部分を、例えば、前記広い光ビーム28の部分が、再構成可能なミラー16で通常な入射光であるように再構成可能なミラーアレイ16の方向に向ける。光学的ビーム・リダイレクタ14は、再構成可能なミラーアレイ16によって反射された光の一部分または全部を送りもして、それによって観察角度の範囲内に広がる観察ビーム30を形成する。例示的な光学的ビーム・リダイレクタ14には部分的に銀メッキされたミラー、光回転体、および偏光ビーム・スプリッタなどがある。
【0020】
再構成可能なミラーアレイ16は、MEMS作動の微小ミラー32の2次元(2D)アレイを含む。微小ミラー32は円形、長方形、三角形、正方形のこともあり、あるいは非対称形を有することさえもある。微小ミラー32は、規則的な長方形格子の頂上に、例えば図3に示すように配置されることもあり、他の規則的な2D格子の頂上に配置されることもあり、または平面領域にわたって無作為に分布されることさえもある。各微小ミラー32は単独に基準平面36に対して直角に移動が可能であり、その標準表面はそれ自体が再構成可能なミラーアレイ16の平均表面にほぼ平行である。
【0021】
図4はMEMS作動の微小ミラー32’の1つの実施形態を示している。微小ミラー32’は制御キャパシタCC、復元ばねRS、および頂部平面ミラー面MS、例えばシリコンまたは金属平面を含む。制御キャパシタCCは可動導通プレートMCPおよび固定導通プレートFCP、つまり平面基板PSに固定されているプレートを含む。復元ばねRSはポストPを経由して可動導通プレートMCPにしっかりと固定されており、制御キャパシタCCが放電したときミラー面MSをその当初位置に戻す復元力をもたらす。可動導通プレートMCPは、対向する導通プレートMCP、FCP間に印加された制御電圧に応答してミラー面MSを平面基板PSの表面に直角に移動する。
【0022】
その他の例示的MEMS作動の微小ミラーおよび/またはその2Dアレイは、例えば、Vladimir A.Aksyukその他によって2004年12月10日に出願された米国特許出願第11/009,447号、Vladimir A.Aksyukその他によって2004年3月31日に出願された米国特許出願第10/813,951号、およびVladimir A.Aksyukその他によって2005年5月27日に出願された米国特許出願第11/140,313号の1つまたは複数に説明されていることもある。これらの特許出願は参照として本明細書にその全体が組み込まれている。再構成可能なミラーアレイ16は、上記の組み入れられた特許出願の1つまたは複数で説明されているように微小ミラーおよび/またはその2Dアレイを含むこともある。
【0023】
ディジタル・データ・プロセッサ18は、MEMS作動の微小ミラー32を作動させる制御信号セットを生成する。MEMS作動装置は制御信号セットの形態に応答する方式で個々の微小ミラー32の基準平面36からの距離を再調整する。ディジタル・データ・プロセッサ18は、受け取ったピクセル毎のマップ各々に対する適切な制御信号セットを光ビームのフィールド値のために予め選定されたアパーチャにわたって生成する。
【0024】
ディジタル・データ記憶デバイス20は、データ・プロセッサ18が制御信号セットを決定するのに使用するデータ・セットを記憶する。データ・セットは、例えば予め選定されたアパーチャにわたる相対位相のピクセル毎のマップ、あるいは予め選定されたアパーチャにわたる相対振幅および相対位相のピクセル毎のマップなどのこともある。データ・セットは、このようなピクセル毎のマップを伴う光ビームを照射光から予め選定されたアパーチャにわたって生成するように、微小ミラー32を位置決めするための制御電圧などのこともある。そのデータ・セットは通信回線38を介してディジタル・データ・プロセッサ18に伝えられる。
C) 構築された3D画像に対する視野
【0025】
装置10、10’では、微小ミラー32は、1つまたは2つの小さな横方向長さ寸法を有し、それによって個々の微小ミラー32が光源12によって出力された波長λを有する光を実質上回折することもある。一般的に、個々の微小ミラー32の1つまたは両方の有効横方向長さ寸法は、10λ、5λ、2λ、またはλに等しい予め選定された長さより小さい。例示的な横方向長さ寸法には微小ミラー32の直径およびエッジ長さなどがある。本明細書では有効横方向長さ寸法は、実際の横方向長さ寸法に、装置10、10’の出力光学装置を通してみるとき、例えば図2Aのレンズ15を通して見るときに再構成可能なミラーアレイ16の横方向長さ寸法が有する筈の任意の倍率を掛けたものである。
【0026】
個々の微小ミラー32による回折によって再構成可能なミラーアレイ16は、波長λの入射コヒーレント光を観察方向の範囲内に反射する。その理由で観察ビーム30は光を観察方向の範囲内に送る。観察方向の範囲にわたって観察者は、再構成可能なミラーアレイ16によって復元された3D画像を観察することができる。観察方向の範囲は少なくとも10°の角度範囲をカバーする、あるいはさらに30°の角度範囲またはそれ以上をカバーすることが好ましい。
D) 3D画像を表示する方法
【0027】
図5は、例えば図2Aおよび2Bの装置10、10’を使用してシーンの3D画像を表示するための方法40を図示している。方法40には、シーンによって散乱されている、またはシーンによって送られている筈であるコヒーレント光ビームの波面を大体復元することなどがある。その波面は、コヒーレント光ビームが観察者に達するのにそれを通過している筈である予め選定されたアパーチャにわたって復元される。予め選定されたアパーチャは限られた平面領域であり、その形態は異なる実施形態で変化することもある。
【0028】
方法40は所望のシーンの3D画像が表示され続けているか決定するステップ(ステップ42)を含む。ディジタル・データ・プロセッサ18がこのような決定ステップを行うこともある。表示のための3D画像が残っていない場合には方法40は終了する。
【0029】
3D画像が残っている場合には、方法40には、観察者の目にその所望のシーンの3D画像を生成することができるコヒーレント光ビームの電界または磁界のピクセル毎のマップをもたらすステップ(ステップ44)などがある。コヒーレント光ビームは、所望のシーンによって散乱され、または所望のシーンを通過した光で形成することができる。ピクセル毎のマップは、予め選定されたアパーチャをカバーするピクセルのセットにわたってコヒーレント光ビームの電界または磁界の相対位相をもたらす。ピクセル毎のマップは、任意選択で、同じピクセル・セットにわたって波面の電界または磁界の相対振幅ももたらすことができる。したがって、ピクセル毎のマップは、所望のシーンの3D画像を実像の観察者の目に生成することができるコヒーレント光ビームの波面の記述である。
【0030】
ピクセル毎のマップは、あるリストでそのエントリは予め選定されたアパーチャをカバーするピクセル・セットの個々のピクセルと関係がある。リストでは、各エントリは、対応するピクセルに対してコヒーレント光ビームの電界または磁界の平均相対位相および任意選択で平均相対振幅をもたらす。ピクセル毎のマップは、その全体をディジタル・データ記憶装置、例えばディジタル・データ記憶装置20に記憶させることができ、または例えばディジタル・データ・プロセッサ18により、それ自体がディジタル・データ記憶装置に記憶されている3D画像のためのデータから取り出すことができる。
【0031】
方法40には、適切なコヒーレント光ビームを、その光ビームが予め選定されたアパーチャにわたって同じピクセル毎のマップを有するように変調する方式で反射するために再構成可能なミラーアレイの微小ミラー、例えば微小ミラー32を位置決めするステップ(ステップ46)などがある。適切なコヒーレント光ビームは、一般的に横および縦コヒーレンスの両方を伴う平面波、例えば光源12によって生成される光ビームである。位置決めステップ44は、例えば、個々の微小ミラー32の基準平面36からの距離を変え、それによって入射コヒーレント光ビームは、予め選定されたアパーチャ上で、もたらされたピクセル毎のマップを伴う射出コヒーレント光ビームに変調される。予め選定されたアパーチャの各ピクセルでは変調されたコヒーレント光ビームの電界または磁界の相対位相の空間平均は、所望のシーンによって散乱され、または所望のシーンを通過したコヒーレント光ビームのそれと大体同等になる。相対振幅も復元される場合、各ピクセルでは、変調されたコヒーレント光ビームの電界または磁界の相対振幅の空間平均も、所望のシーンによって散乱され、または所望のシーンを通過したコヒーレント光ビームのそれになる。予め選定されたアパーチャにわたり所望のシーンによって散乱され、または所望のシーンを通過したこのようなコヒーレント光ビームを復元する微小ミラー32に対しては複数セットの位置が存在することもある。
【0032】
位置決めステップ46は、所望のシーンによって分散され、または所望のシーンによって送られたコヒーレント光ビームを予め選定されたアパーチャにわたって復元することができ、その予め選定されたアパーチャは、再構成可能なミラーアレイ16のちょうど前面に配置されている。このような予め選定されたアパーチャに対して、例えば図3に示すような、微小ミラー32の1つの局部操作ユニット(LOU)が入射コヒーレント光を予め選定されたアパーチャの1つのピクセルに反射する。正常に入射する照射光ビームに対してピクセルは、対応する局部操作ユニットのちょうど前面に配置された予め選定されたアパーチャの部分のこともある。このような実施形態では1つのピクセルに対するピクセル毎のマップのエントリは、対応する局部操作ユニットの微小ミラー32の基準平面36からの距離を定める。
【0033】
あるいは、位置決めステップ46は、再構成可能なミラーアレイ16からもっと離れて配置されている予め選定されたアパーチャにわたって所望のシーンにより分散され、または所望のシーンを通過したコヒーレント光ビームを復元することができる。次いで、各微小ミラー32の基準平面36からの距離を決定するためには一般にピクセル毎のマップの複数のエントリの値が必要になる。
【0034】
方法40には、次いで、所望のシーンの3D画像をおよそ生成する変調された光ビームを生成するために適切なコヒーレント光ビームで再構成可能なミラーアレイを照射するステップ(ステップ48)などがある。ステップ46における微小ミラーの位置決めによって変調された光ビームは、予め選定されたアパーチャの各ピクセルで所望のシーンによって分散され、または所望のシーンを通過したコヒーレント光ビームの平均相対位相を有する。相対振幅も復元する実施形態では変調された光ビームは、予め選定されたアパーチャの各ピクセルで所望のシーンによって分散され、または所望のシーンを通過したコヒーレント光ビームの平均相対振幅も有する。
【0035】
3D画像は可視または赤外光で復元することができる。復元を行うためにはコヒーレント光ビームは、再構成可能なミラーアレイの高さおよび幅にわたって空間的にコヒーレントであり、所望のシーンの奥行きを復元するために時間的に十分にコヒーレントでなくてはならない。
【0036】
大きな視野を生成するために再構成可能なミラーアレイ、例えばアレイ16の微小ミラーは、照射光の波長に対して大きすぎない有効横方向長さ寸法を有することもある。上述のように前記微小ミラーの最大横方向長さ寸法、直径、またはエッジ長さは、予め選定した長さに等しいか小さいこともあり、予め選定された長さは前記照射光の波長に10、5、2、または1を掛けた値である。
【0037】
方法40にはステップ42、44、46、および48を繰り返すためにループ・バックするステップ(50)などがあり、したがって所望のシーンの3D画像の時系列を復元することができる。一部の実施形態ではループ・バックするステップは、1秒当たり少なくとも20の3Dフレーム、好ましくは1秒間に30またはそれを超える3Dフレームのレートで新しい3D画像を復元することができる。したがって、このような復元された3D画像に対するフレーム・レートは人に真の3Dビデオを認識させるのに十分に高いこともある。
E) ミラーアレイの微小ミラーを位置決めする例示的な方式
【0038】
既に説明したように、方法40は、装置10、10’の再構成可能なミラーアレイ16を操作して予め選定されたアパーチャのピクセルにわたって反射した光の相対位相をセットし、または予め選定されたアパーチャにわたって反射した光の相対振幅および相対位相の両方を効果的にセットすることができる。
【0039】
例として、再構成可能なミラーアレイ16のちょうど前面に配置された平面である例示的な予め選定されたアパーチャにわたってこのような相対位相/振幅をセットするための方式が図示されている。
【0040】
このような反射した光の相対位相のみをセットする実施形態では個々の微小ミラー32は、基準平面36に対して別個に移動される。例示的な予め選定されたアパーチャおよび正常に入射する照射光に対しては、各微小ミラー32の基準平面36からの距離が反射された光の相対位相を微小ミラー32の前面に配置されたピクセル上でセットする。つまり、前記距離は、前記微小ミラー32から反射された光が横断する光路長を決定し、したがって微小ミラー32の前面に配置された対応するピクセルでその相対位相を決定する。
【0041】
相対振幅および相対位相の両方をセットする実施形態では、微小ミラー32は一般的に局部操作ユニット(LOU)として一緒にグループで操作される。各局部操作ユニットは隣接する微小ミラー32、例えば2、3、4またはより多い微小ミラー32のグループである。1つの局部操作ユニットの微小ミラー32の基準平面36からの距離が、上記で説明した予め選定されたアパーチャの対応するピクセルへ反射された光の平均相対振幅および平均相対位相を決定する。
【0042】
図6は、各々が2つの微小ミラーすなわち32A’および32B’ならびに微小ミラー32A”および32B”をそれぞれ伴う局部操作ユニットLOU’およびLOU”の動作を図示している。相対振幅については、同じ局部操作ユニットLOU’、LOU”の第1の微小ミラー32A’、32A”から反射された光が横断する光路長と第2の微小ミラー32B’、32B”から反射された光が横断する光路長の間の差が、対応するピクセル39’、39”へ反射される光の平均相対振幅を決める。光路長の差がNλ(ここでNは整数)であれば対応するピクセル39’、39”で平均振幅は最大になり、すなわちλは光の波長である。光路長の差が(λ/2+Nλ)であれば対応するピクセルで平均振幅は最小になる。光路長の差が(xλ+Nλ)であれば(ここで0<x<1/2である)対応するピクセル39’、39”での平均相対振幅は最大値と最小値の間にある。相対位相に関しては、局部操作ユニットLOU’の微小ミラー32A’、32B’から反射された光が横断する平均光路長と局部操作ユニットLOU”の微小ミラー32A”、32B”から反射された光が横断する平均光路長の間の差が、対応するピクセル39’、39”へ反射される光の間の相対位相の差を実質的に決定する。したがって局部操作ユニットLOU’、LOU”が対応するピクセル39’、39”へ反射する光の相対位相は、局部操作ユニットの微小ミラー{32A’、32B”}、{32A”、32B”}をグループとして、つまり前記反射光の対応するピクセル39’、39”での平均相対振幅を変えないように移動するだけで調整することができる。このようなグループ移動は、選定されたアパーチャの異なるピクセルに反射された光の間の相対位相のどのような分布をも復元することができる。
F) アパーチャにわたって波面のピクセル毎のマップを評価する。
【0043】
所望のシーンによって散乱され、または所望のシーンを通過したコヒーレント光ビームのピクセル毎のマップを予め選定されたアパーチャにわたって構成するためのいくつかのテクニックが利用可能である。
【0044】
このようなピクセル毎のマップを構成するための1つのテクニックは、相互にコヒーレントな点光源のセットによって先ず所望のシーンを近似し、次いで予め選定されたアパーチャにわたって各点光源の電界または磁界のピクセル毎のマップを計算するものである。このテクニックは、所望のシーンによって散乱され、または所望のシーンを通過した光ビームの最終のピクセル毎のマップを、個々の点光源の電界または磁界をピクセル毎の方式で合計することによって得る。合計値から、予め選定されたアパーチャの各ピクセルで所望のコヒーレント光ビームに対する相対振幅および相対位相の概略値を見い出すことができる。このテクニックは、そこに対称性を有利に組み込む、所望のシーンの変換、例えば周期的な所望のシーンに対してはフーリエ変換、円筒状に対称な所望のシーンに対してはベッセル変換を使用することによってさらに改善することができる。
【0045】
ピクセル毎のマップを構成するためのもう1つのテクニックは、選定されたアパーチャにわたってそのピクセル毎のマップを得るために実際に所望のシーンによって散乱され、または所望のシーンを通過したコヒーレント光ビームの測定を行うものである。そのテクニックはこのようなコヒーレント光ビームの強度をピクセル毎の方式で予め選定されたアパーチャにわたって測定するものである。強度のピクセル毎のマップは、例えば電荷結合検出装置(CCD)を使用して作成することができる。一般的にはコヒーレント光ビームの位相のピクセル毎のマップを予め選定されたアパーチャにわたって直接測定する方法はない。したがって、テクニックには、実際に所望のシーンによって分散され、または所望のシーンを通過したコヒーレント光ビームと、知られている特性をもつ相互にコヒーレントな参照光ビームとの間の干渉縞の強度のCCD測定を行うことなどがある。テクニックには、所望のシーンによって散乱され、または所望のシーンを通過したコヒーレント光ビームの強度、および干渉縞に対して測定されたピクセル毎のマップ、ならびに参照光ビームの知られている形態を使用して実際に所望のシーンによって散乱され、または所望のシーンを通過したコヒーレント光ビームの相対位相のピクセル毎のマップを引き出すことなどがある。参照コヒーレント光ビームが、選定されたアパーチャにわたって実際に所望のシーンによって散乱され、または所望のシーンを通過したコヒーレント光ビームより非常に強ければ、その2つの光ビームの間の前記干渉縞が「x」の点で大略下記の形態の強度パターンIP(x)を有することが期待される:
IP(x)=[1−α[A(x)/A]cos[φ(x)−φ(x)]]
ここで、A(x)およびφ(x)は、所望のシーンによって散乱され、または所望のシーンを通過したコヒーレント光ビームに対するそれぞれ相対振幅および位相であり、Aおよびφ(x)は、それぞれ参照コヒーレント光ビームに対する振幅、つまり一定値と想定されている振幅、および位相であり、αはCCDの効率である。A(x)およびIP(x)の測定値および知られているφ(x)の値に基づいてIP(x)に対して上記方程式を数的に解き、予め選定されたアパーチャにわたって所望のシーンによって散乱され、または所望のシーンを通過したコヒーレント光ビームの相対位相φ(x)のためのピクセル毎のマップを引き出すことができる。
【0046】
最後に、所望のシーンによって散乱され、または所望のシーンを通過したコヒーレント光ビームの相対位相および相対振幅のピクセル毎のマップを予め選定されたアパーチャにわたって構成するためのその他のテクニックおよびその他のアルゴリズムが、マサチューセッツ工科大学電気工学およびコンピュータ科学学科のMark Lucenteによる1994年9月付けの博士論文「Diffraction−Specific Fringe Computation for Electro−Holography」、米国特許第6,211,848号、米国特許第4,834,476号、米国特許第4,986,619号の内の1つまたは複数で説明されている。前掲の論文および米国特許は参照としてその全体が本明細書に組み入れられている。
【0047】
これらの開示、図面、および特許請求の範囲から本発明のその他の実施形態は当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】3次元(3D)画像を復元する方式を概略的に示す図である。
【図2A】例えば図1の方法にしたがって、3D画像を生成するためにコヒーレント光ビームを変調する装置のブロック図である。
【図2B】例えば図1の方法にしたがって、3D画像を生成するためにコヒーレント光ビームを変調する他の装置のブロック図である。
【図3】図2Aおよび2Bの装置のための例示的な再構成可能なミラーアレイの概略上面図である。
【図4】例えば図2Aおよび2Bの装置で使用することができる微小電気機械システム(MEMS)作動の例示的な微小ミラーの斜視図である。
【図5】例えば図1の方法にしたがい、および/または図2Aおよび2Bの装置を使用して3D画像を生成するための方法を図示するフロー・チャートである。
【図6】図2A、2B、および3の再構成可能なミラーアレイの一部の側面概略図であり、その中の局部操作ユニットを図示する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め選定されたアパーチャにわたって所望のシーンによって散乱された、または所望のシーンを通過したコヒーレント光に対して相対位相のピクセル毎のマップをもたらすステップと、
ミラーアレイがコヒーレント光ビームで照射されることに応答して反射光を生成するために再構成可能なミラーアレイの微小ミラーを位置決めするステップであって、前記反射光の波面が、前記予め選定されたアパーチャにわたって前記ピクセル毎のマップを有するステップと、
前記所望のシーンの3D画像を生成することができるように前記再構成可能なミラーアレイを前記コヒーレント光ビームで照射するステップと
を含む、3D画像を生成するための方法。
【請求項2】
前記微小ミラーの有効横方向長さ寸法が前記ビームの前記光の波長の約10倍より小さい請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記微小ミラーの有効横方向長さ寸法が前記ビームの前記光の波長の約5倍より小さい請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記位置決めステップが前記微小ミラーを前記アレイの平均面に直角に移動するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ピクセル毎のマップが、所望のシーンによって散乱された、または所望のシーンを通過した前記コヒーレント光に対して相対強度をもたらし、
同じアレイで異なる3D画像を生成することを可能にするために前記もたらすステップ、位置決めステップ、および照射するステップを繰り返すステップを含む
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
選定された波長を有するコヒーレント光の光源と、
前記光源で照射しようと配置され、複数の可動微小ミラーを含む再構成可能なミラーアレイと
を備え、各微小ミラーの前記最大有効横方向長さ寸法が前記波長の10倍より小さい
装置。
【請求項7】
各微小ミラーの前記最大有効横方向長さ寸法が前記波長の5倍より小さい請求項6に記載の装置。
【請求項8】
各微小ミラーの前記最大有効横方向長さ寸法が前記波長の2倍より小さい請求項6に記載の装置。
【請求項9】
複数のMEMS作動装置をさらに備え、各MEMS作動装置が対応する前記微小ミラーの1つを実質的に前記アレイの前記表面に直角に移動するように設定されている請求項6に記載の装置。
【請求項10】
コヒーレント光ビームの強度および位相のピクセル毎のマップのアパーチャにわたる受領に応答して、前記MEMS作動装置に前記微小ミラーの再位置決めを行わせるように設定されているプロセッサをさらに備える請求項9に記載の装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−540361(P2009−540361A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514276(P2009−514276)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/012038
【国際公開番号】WO2007/145777
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(596092698)アルカテル−ルーセント ユーエスエー インコーポレーテッド (965)
【Fターム(参考)】