説明

光活性化抗微生物性物品及び使用方法

光活性化抗微生物デバイス及び物品が開示される。デバイスは、光源と、光感受性物質及び光源からの光を受容するよう適合させた粘弾性材料(感圧接着材など)を含む、光活性化抗微生物物品と、を含む。粘弾性材料は、全内部反射により光を移送するよう適合させることができる。光感受性物質は染料か、金属酸化物か、あるいは酸化又は反応してガスを生成するアニオンを含む組成物を含み得る。光源の活性化により、光感受性物質は抗微生物活性が呈されるように光源からの光を吸収する。光感受性物質は、光活性化抗微生物物品中に含まれてよく、あるいは物品とは別個のものである局所用組成物として提供することもできる。光活性化抗微生物物品及びデバイスは、創傷ドレッシングと類似の構成を有することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は微生物学、特に抗微生物物品、デバイス及びこれらの使用方法に関する。抗微生物活性は光感受性物質に光を照射することにより誘導される。
【背景技術】
【0002】
感染症は、多くの場合、バクテリア、真菌及びウイルスが挙げられる病原微生物が身体に侵入することで生じる。抗生物質、抗ウイルス剤及び酸化剤の開発及び使用を含む、病原微生物を殺菌するか又は増殖を阻害する多くの化学物質及び方法が、長年にわたって開発されてきた。様々な波長範囲で電磁放射線も使用されてきた。病原微生物は、酸素及びある種の光感受性物質の存在下で光に曝露することにより、殺菌又は増殖阻害できることは既知である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
光活性化抗微生物デバイス及び物品が開示される。デバイスは、光源と、光感受性物質及び光源からの光を受容するよう適合させた粘弾性材料(感圧接着材など)を含む、光活性化抗微生物物品と、を含み得る。粘弾性材料は、全内部反射により光を移送するよう適合させることができる。光感受性物質は粘弾性材料に組み込まれてもよく、あるいは粘弾性材料上に配置された光感受層の一部であってもよい。光感受性物質は染料か、金属酸化物か、あるいは酸化又は反応してガスを生成するアニオンを含む組成物を含み得る。有用な粘弾性材料としては感圧接着剤が挙げられる。光活性化抗微生物デバイスは創傷ドレッシングと同様の構成を有してもよく、例えば粘弾性材料は、弾性のフィルム支持体などのフィルム支持体上に配置される。
【0004】
光活性化抗微生物物品及びデバイスは、微生物の増殖を阻害する方法の一部として使用することもできる。好適な方法は、光源を提供する工程と、光感受性物質、及び光源からの光を受容するよう適合させた粘弾性材料を含む、光活性化抗微生物物品を提供する工程と、光感受性物質が粘弾性材料からの光を吸収するよう光源と光感受性物質とを結合させる工程と、を含む。光源と光感受性物質とを結合させる工程は、光源と粘弾性材料とを接触させることを含んでもよい。光活性化抗微生物物品は、光源を光感受性物質と結合させる前又は結合させた後に患者の皮膚に適用することもできる。光活性化抗微生物物品は、微生物がその上に配置されている表面に当てることもできる。方法は、光感受性物質により吸収された光を放出するように、光源を活性化する工程を含んでもよい。
【0005】
他の好適な方法は、光源を提供する工程と、光源からの光を受容するよう適合させた粘弾性材料を提供する工程と、局所用組成物を患者の皮膚に適用する工程と、患者の皮膚上の局所用組成物を粘弾性材料と接触させる工程と、光感受性物質が粘弾性材料からの光を吸収するように光源と光感受性物質とを結合させる工程と、を含んでもよく、局所用組成物は、粘弾性材料により受容された光を吸収する光感受性物質を含む。
【0006】
本発明のこれら及びその他の態様は、以下により詳細に記載される。上記の要約は、決して請求される内容を制限することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面は、本明細書に開示される、例示的な光活性化抗微生物物品及びデバイスの概略図である。物品及びデバイスは必ずしもスケールに沿って記載されているわけではない。
【図1a】例示的な光活性化抗微生物デバイスの概略断面図。
【図1b】例示的な光活性化抗微生物デバイスの概略断面図。
【図2】例示的な光活性化抗微生物デバイスの概略断面図。
【図3】例示的な光活性化抗微生物デバイスの概略断面図。
【図4a】例示的な光活性化抗微生物物品の概略断面図。
【図4b】例示的な光活性化抗微生物物品の概略断面図。
【図5】例示的な光活性化抗微生物デバイスの斜視図。
【図6】例示的な光活性化抗微生物デバイスの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、いずれも参照によって本明細書に組み込まれる、2008年7月10日に申請された米国特許仮出願第61/079639号(64347US002,Shermanら)、2008年8月8日に申請された同第61/087387号(64691US002,Shermanら)、2008年11月14日に申請された同第61/114865号(64347US003,Shermanら)、2008年11月14日に申請された同第61/114849号(64691US003,Shermanら)、及び2009年4月16日に申請された同第61/169973号(64347US008,Shermanら)に関する。
【0009】
一重項酸素は好中球及びマクロファージにより生成され、微生物を殺菌するために使用される。スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、及びペルオキシダーゼはラジカル酸素種及び還元酸素種に対する生体防御であるが、一重項酸素に対しては効果的でない。Cercospora属などの少数の微生物は、一重項酸素に対する耐性を固有し、グラム陽性バクテリアは、慨してグラム陰性バクテリアよりも容易に一重項酸素により殺菌される。エンベロープ型ウイルスは、非エンベロープ型ウイルスよりも容易に一重項酸素により不活化される。バクテリア、真菌又はウイルスにより一重項酸素に対して耐性を得た、単独の文書化された事例(single documented case)が既知であることは注目に値する。
【0010】
用語「光線力学的な効果」は、光の存在下での、光感受性物質による細胞及び微生物の破壊を説明するために使用される。酸素濃度が高く、還元剤が存在しないような条件下では、一重項酸素は破壊剤となると考えられている。これは、光感受性物質が細胞に侵入できない場合の細胞破壊の主要なメカニズム(いわゆるII型機構)である。II型機構は、Escherichia coliに対するキサンテン染料(例えば放射線照射に応じて一重項酸素及びスーパーオキシドラジカルアニオンなどの活性酸素種を生成するローズベンガルなど)の光毒性の、主要な経路であることが既知である。脂質二重膜を通過して、NADPH及びグルタチオンなどの還元剤濃度の高い細胞内部へと侵入できる光感受性物質については、いわゆるI型機構が、細胞破壊を導く主要な経路であると特定されてきた。この機構は、究極的には、光感受性物質のフリーラジカルと反応酸素種(過酸化水素、ヒドロキシラジカル及びスーパーオキシドラジカルアニオン)の形成を包含する。
【0011】
バクテリア及び真菌を殺菌し、並びにウイルスを不活化するために、遊離形態(例えばフタロシアニン、ポルフィリン、ヒペリシン及びローズベンガル)で光感受性物質を利用するための一部の試みが行われてきた。例えば、ローズベンガル及び光によるインフルエンザウイルスの光不活性化が、LenardらによりPhotochemistry and Photobiology,58,527〜531(1993)に開示されている。同様に、国際公開第94/02022号(Raboneら)は、光線力学的に表面上の微生物を殺菌するためにローズベンガルを利用する、改良型の殺菌組成物を開示する。
【0012】
遊離形態と比べて比較的固定化されている結合形態で光感受性物質を利用する試みも行われてきた。光感受性物質は、ビーズ、より大きな分子、オリゴマー、巨大分子及びポリマーに対して共役的に又はイオン的に結合されてきた。例えば、米国特許第5,830,526号(Wilsonら)に開示されているように、色素を織布及び不織布に結合させるためにイオン性結合剤が使用された。正に帯電したポリマー担体は、酸素及び光の存在下で微生物を殺菌するよう、ローズベンガルをイオン的に結合させるために使用された。ポリスチレンビーズに結合したローズベンガルによるEscherichia coliの光線力学的な不活化は、BezmanらによりPhotochemistry and Photobiology,28,325〜329,(1978)に開示されている。
【0013】
本明細書には、光活性化抗微生物物品、デバイス、並びに物品及びデバイスを用いる方法が開示される。「光活性化」は、物品、デバイス又は方法が光線力学的な効果を導入する能力を指す。この意味で、「光活性化」は、光感受性物質が存在し、光からエネルギーを移送して、光感受性物質に関する特定の環境に応じて形成される反応種(例えば、一重項酸素、過酸化水素、ヒドロキシラジカル、スーパーオキシドラジカルアニオン、光感受性物質ラジカル及びその他の多くのラジカル)を生成することを意味する。好ましい光感受性物質は、何らかの毒性の副生成物を生じることなく、一重項酸素、過酸化水素、ヒドロキシラジカル、及び/又はスーパーオキシドラジカルアニオンを生産する。したがって、本明細書に開示される物品、デバイス及び方法は同様に、光に曝露された際に抗微生物性となり得るという意味で、「光活性化」される。
【0014】
「抗微生物性」は、物品、デバイス又は方法が、バクテリア、真菌及びウイルスなどの微生物を殺菌するか又は増殖を阻害する能力を指す。「殺菌するか又は増殖を阻害する」は、少なくとも1種のウイルス、少なくとも1種のバクテリア、少なくとも1種の真菌、又はこれらの組み合わせの存在を制限することを含む。「殺菌するか又は増殖を阻害する」はまた、微生物の複製を不活化及び防止すること、又は微生物数を減少させることも含む。異なる微生物について異なる用語が使用される場合もある。
【0015】
光源が光を放出する際にある種の感染している微生物を殺菌するか又は増殖を阻害するように物品を光学的に光源と結合させることができる場合、物品は「光活性化抗微生物性」であるとみなされる。感染した微生物の試料あたりのコロニー形成単位数を計測するために、様々なインキュベーション方法及び試験方法を使用することができる。物品により殺菌されたか又は阻害されたコロニー形成単位数は、同様の、又はほぼ同様のインキュベーション方法及び試験方法を使用する場合に限り、別個の試料を物品と共にあるいは物品は加えずに光に曝露することにより測定することができる。「光活性化抗微生物性」の物品は、コロニー形成単位の例えば約80〜100%、又は約90〜99.99%の減少をもたらす。布地上の抗微生物活性は、AATCC試験方法100を用いて測定することもできる。
【0016】
光源が光を放出する際にある種の感染している微生物を殺菌するか又は増殖を阻害するように、デバイスを光学的に光源と結合できる場合、デバイスは、「光活性化抗微生物性」であるとみなされる(上記で物品について記載したように)。
【0017】
方法がある種の感染している微生物を殺菌するか又は増殖を阻害するために、光活性化抗微生物物品及び/又はデバイスを何らかの形で使用することを包含する場合、方法は「光活性化抗微生物性」であるとみなされる(上記で物品について記載したように)。
【0018】
感染する微生物としては、DNAウイルス、RNAウイルス、RNAレトロウイルス、グラム陰性バクテリア、グラム陽性バクテリア及び真菌が挙げられる。感染する微生物としては、一本鎖及び二本鎖核酸ゲノムも挙げられる。感染する微生物としては、オルソミクソウイルス、ラブドウイルス、パラミクソウイルス、ブニヤウイルス及びフィロウイルスなどの陰性一本鎖RNAゲノム(negative single-stranded RNA genomes)が挙げられる。これらはエンベロープ型ウイルスである。オルトミクソウイルスとしては、インフルエンザウイルスA、B及びCが挙げられる。ラブドウイルスとしては、狂犬病ウイルス及び水疱性口内炎ウイルスが挙げられる。パラミクソウイルスとしては、哺乳類のパラインフルエンザウイルス(ムンプスウイルスが挙げられる)及びニューモウイルス(ヒト及びウシのRSウイルスなど)が挙げられる。ブニヤウイルスとしては、韓国型出血熱及びハンタウイルス肺症候群を引き起こすハンタウイルスが挙げられる。フィロウイルスとしてはマールブルグウイルス及びエボラウイルスが挙げられる。
【0019】
感染する微生物としては、ピコルナウイルス(無エンベロープ型)、レトロウイルス及びトガウイルスなどの陽性一本鎖RNA(positive single-stranded RNA)ゲノムが挙げられる。ピコルナウイルスとしては、ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、A型肝炎ウイルス及びライノウイルスが挙げられる。レトロウイルスとしては、例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)及びウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)が挙げられる。トガウイルスとしては、セムリキ森林ウイルス、黄熱病ウイルス、デングウイルス、ダニ媒介ウイルス(tick-borne virus)及び風疹ウイルスが挙げられる。パルボウイルス(非エンベロープ型)は一本鎖陰性センスDNA(single-stranded negative-sense DNA)ゲノムを有する唯一のウイルスである。このウイルスは主にネコ及びイヌに感染する。
【0020】
感染する微生物としては、パポバウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス及びヘパドナウイルスなどの二本鎖ウイルスが挙げられる。ヘルペスウイルスを除き、これらのウイルスは非エンベロープ型ウイルスである。パポバウイルスとしては、疣贅及び腫瘍を引き起こすパピローマウイルスが挙げられる。アデノウイルスとしては、マストアデノウイルス及び呼吸器に感染し得る様々なウイルスが挙げられる。ヘルペスウイルスとしては、単純ヘルペス1型及び2型、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ヒトヘルペスウイルス6型(多発性硬化症に応答性であることが今日では既知である抗体)、及びヒトヘルペスウイルス7型が挙げられる。ポックスウイルスとしては、痘瘡及び他のpox産生ウイルス(pox-producing viruse)が挙げられる。ヘパドナウイルスとしては、ヒトB型肝炎ウイルスが挙げられる。
【0021】
感染する微生物としては、エンテロコッカス・フェシウム、スタフィロコッカス・アウレウス、シュードモナス・エルジノーサ及びエシェリキア・コリなどのバクテリアが挙げられる。種はスタフィロコッカス、シュードモナス、バークホルデリア、クレブシエラ、クロストリジウム、バチルス、エンテロコッカス、ストレプトコッカス、コリネバクテリウム、リステリア、ナイセリア、及び腸内細菌科(エシェリキア属、サルモネラ属及びシゲラ属を含む)であり得る。大腸菌群はグラム陰性桿菌の、概して腸内細菌科である。一部の大腸菌群は、ヒト及び他の動物の腸管にコロニーを形成する。一部の大腸菌群は疾患に関連付けられる。表面及び液体も同様にこれらのバクテリアに汚染され得る。
【0022】
感染する微生物としては、鵝口瘡として既知の口腔酵母感染並びに外陰腟炎として既知の女性生殖器系感染を生じる、カンジダ・アルビカンスなどの真菌が挙げられる。
【0023】
本明細書に開示される、それぞれの、光活性化抗微生物デバイスは、光源と、光活性化抗微生物物品とを含む。光活性化抗微生物物品には、光感受性物質と、光源からの光を受容するよう適合させた粘弾性材料と、を含み得る。光源からの光は、粘弾性材料に入り、かつ光感受性物質に届くよう調整される。一部の実施形態では、粘弾性材料は全内部反射により光を移送するよう適合させ、2つの基材の間に配置される。各基材は、クラッド層として機能し得るよう、粘弾性材料の屈折率に満たない屈折率を有する。光活性化抗微生物デバイスは、感染している微生物を殺菌するか又は増殖を阻害する。光感受性物質が光源からの光を吸収し、光からエネルギーを移送して、感染した微生物を殺菌するか又は増殖を阻害する反応種を形成することから、光活性化抗微生物活性は、推定上観察される。反応種は、一重項酸素、並びに過酸化水素、ヒドロキシラジカル、スーパーオキシドラジカルアニオン、光感受性物質ラジカル、及び光感受性物質に関する特定の環境に応じて形成されるラジカルなどの、その他の反応種を含み得る。
【0024】
図1aは、光源101と、光活性化抗微生物物品103とを含む、例示的な光活性化抗微生物デバイス100の概略断面図を示す。物品103は、光感受性物質と粘弾性材料とを含む。光源101は、線102により表される光を放出し、この光は入力面104を介して粘弾性材料に入射する。光は、粘弾性材料内部で、この材料を出ることができる1種以上の反応種を生成するよう光感受性物質により吸収される。反応種は一重項酸素()として示され、線105により示されるように粘弾性材料から放出される。図1bは、光活性化抗微生物デバイスのその他の可能な構成の概略断面図を示す。光活性化抗微生物デバイス120は、光源121と、光活性化抗微生物物品123とを含む。物品123は、粘弾性材料124上に配置された光感受層125を含む。光感受性物質層は光感受性物質を含む。粘弾性材料により供給された光の少なくとも一部は、光感受層を出ることができる1種以上の反応種を生成するよう光感受性物質により吸収される。反応種は一重項酸素として示され、線126により示されるように光感受層から放出される。
【0025】
粘弾性材料は、光源から放出される光を少なくともある程度調整する。粘弾性材料は、材料の一か所以上の所望の場所、領域などに光が分配され及び/又は送達されるよう光を調整するので、光の少なくとも一部は光感受性物質により吸収され得る。これらの所望の場所、領域などは、デバイスの全体的な設計、デバイスの所望される性能などに依存して、各デバイスにより異なり得る。例えば、光感受性物質が、粘弾性材料内で勾配を持つよう組み込まれる場合、粘弾性材料は反応種が均一に又はほぼ均一に生成されるよう光を分配及び送達することができる。その他の例としては、光感受性物質が、粘弾性材料の表面上の特定の場所で、あるいは粘弾性材料と何らかの基材との接触面で光感受層として配置される場合、粘弾性材料はこれらの特定の場所に光を供給することができる。
【0026】
粘弾性材料は、ある程度の量の光が粘弾層に入射して光感受性物質により吸収されるよう、光を調整し得る。概して、例えば光感受性物質が染料である場合、光感受性物質は特定の波長又は波長範囲の光を吸収し得る。光源により放出される光は白色光であってもよい。光源により放出される光は、特定の波長又は波長範囲を有してよく、この光は光感受性物質の吸収特性に依存して選択され得る。粘弾性材料に入射して光感受性物質により吸収され得る光量であれば、粘弾性材料は、この光の約10%超、約50%超、又は約80%超が光感受性物質により吸収されるよう光を調整し得る。粘弾性材料に入射して光感受性物質により吸収され得る光量であれば、粘弾性材料は、この光の約10〜約99%、又は約30%〜約70%が光感受性物質により吸収されるよう光を調整し得る。吸光度は、吸収分光法を用いて、ランベルト・ベールの法則を適用することにより測定できる。
【0027】
概して、粘弾性材料は、幾何光学原理、特に反射の法則及び全反射の原理に従い光を調整する。これらの原理は、どのように光が伝搬し、反射し及び/又は材料内で屈折するのかを理論的に決定するために、レイトレーシング技術と組み合わせて適用することができる。この光の挙動は、粘弾性材料の表面構造、粘弾性材料と、粘弾性材料に接触している基材との間の接触面構造、粘弾性材料及び基材の物質的な組み合わせ、並びに粘弾性材料に入射する光の角度分布などの、いくつかの変数に従い変化し得る。これらの光学原理は周知であり、本明細書には記載しない。光の挙動についての詳細な説明については、例えばD.S.Falkらによる「Seeing the Light」、John Wiley and Sons,Inc.,1986,pp.53〜56、並びに上に引用したShermanらを参照されたい。
【0028】
広くは、特定の角度成分又は角度分布を有する光が、臨界角θを超える1つ以上の角度で境界面に入射する場合に、全内部反射が起きる。本明細書で用いるとき、光学的に滑らかな表面とは、表面に入射した光が表面によって望ましくなく影響を受けない程度に表面が十分に滑らかであることを意味し、例えば、表面は、入射光線の波長よりも大きな少なくとも1つの寸法を有する欠損を有さない。光学的に滑らかな表面は、粘弾性材料に入射する光の少なくとも一部が、この光が層内で継続して伝搬するように全内部反射の原理に従って、表面で反射されることを可能にする。光学的に滑らかな表面に入射する光の反射に関し、観察される反射角は、算出された反射角の約10°以内である。全内部反射は、光が材料から意図的に抽出される場合を除き、粘弾性材料から逃げない光が光の所定量又は所定量の少なくとも約10%以内である場合に発生する。
【0029】
概して、粘弾性材料内を伝播する光は反射するかあるいは粘弾性材料から抽出される。光学的に滑らかな表面に入射する光の反射に関し、観察される反射角は、算出された反射角の約10°以内である。同様に、光学的平滑面上に入射する光が屈折するためには、観測される反射角は算出された屈折角の約10°以内である。全内部反射は、光が材料から意図的に抽出される場合を除き、粘弾性材料から逃げない光が光の所定量又は所定量の少なくとも約10%以内である場合に発生する。
【0030】
光源は光源から放出された光の少なくとも一部が粘弾性材料に入射するよう粘弾性材料に対して位置し、一部の実施形態では、全内部反射により粘弾性材料内に移送される。図2は、光源201と、光活性化抗微生物物品203とを含む、例示的な光活性化抗微生物デバイス200の概略断面図を示す。物品203は、基材205と基材206との間に配置された粘弾性材料204を含む。光感受性物質は、光感受性物質と粘弾性材料とが一体形態及び層などを形成するよう粘弾性材料に組み込まれる。光源201は、線202により表される光を放出し、この光は入力面209を介して粘弾性材料204に入射する。単独の線210により表される光は、全内部反射により粘弾性材料内に移送される。粘弾性導光材の少なくとも一部は光学的平滑面207及び/又は208を有している。基材の一つに患者の皮膚を含んでもよい。
【0031】
一部の実施形態では、基材の一つは粘弾性材料の屈折率未満の屈折率を有することから、患者の皮膚は光を抽出しない。この基材は接着剤を含んでもよい。
【0032】
粘弾性材料内に移送された光は、光感受層などの隣接層に抽出され得る。図3は、光源301と、光活性化抗微生物物品303とを含む、例示的な光活性化抗微生物デバイス300の概略断面図を示す。物品303は、粘弾性材料304と、粘弾性材料304上に配置された光感受層305とを含む。光感受層は、2つ以上の異なる粘弾性材料の領域306、307及び308を含む。線302により表される光は光源301により放出され、この光の少なくとも一部は、単独の線309により表されるように粘弾性材料304に入射する。移送された光が領域307との接触面にぶつかる際に、光は反射し、続いて物質内を伝播する。移送された光が領域310との接触面にぶつかる際に、光は領域、すなわち光感受層305に抽出される。この特定の実施形態では、領域306は光感受性物質を含んでよく、領域307及び領域308は高分子材料を含んでもよい。
【0033】
光感受層は、粘弾性材料内に移送された光の約10%超、約50%超、又は約80%超を抽出することもできる。光感受層は、粘弾性材料内に移送された光の約10〜約99%、又は約30%〜約70%を抽出することもできる。上記のように、粘弾性材料に入射して光感受性物質により吸収され得る光量であれば、光感受性物質は、約10%超、約50%超、又は約80%超の光を吸収し得る。上記のように、粘弾性材料に入射して光感受性物質により吸収され得る光量であれば、光感受性物質は、約10%〜約99%、又は約30%〜約70%の光を吸収し得る。
【0034】
粘弾性材料は、ある程度の量の光が粘弾層に入射して光感受性物質により吸収されるよう、光を調整し得る。概して、例えば光感受性物質が染料である場合、光感受性物質は特定の波長又は波長範囲の光を吸収し得る。光源により放出される光は白色光であってもよい。光源により放出される光は、特定の波長又は波長範囲を有してよく、この光は光感受性物質の吸収特性に依存して選択され得る。粘弾性材料に入射して光感受性物質により吸収され得る光量であれば、粘弾性材料は、この光の約10%超、約50%超、又は約80%超が光感受性物質により吸収されるよう光を調整し得る。
【0035】
粘弾性材料は1種以上の粘弾性材料を含み得る。広くは、粘弾性材料は、変形すると、弾性及び粘性挙動の両方を呈する。弾性特性は、過渡荷重が除去された後でその元の形状に戻る材料の能力を指す。材料の弾性の1つの尺度は永久伸び値と呼ばれ、これは、材料が延伸され、その後延伸されたのと同じ条件下で回復(脱延伸)させた後に残留する伸びの関数である。材料が0%永久伸び値を有する場合は、材料は弛緩の際にその元の長さに回復しており、一方で永久伸び値が100%の場合は、弛緩の際に材料はその元の長さの2倍である。永久伸び値は、ASTM D412を用いて測定することができる。有用な粘弾性材料は、約10%超過、約30%超過、若しくは約50%超過;又は約5〜約70%、約10〜約70%、約30〜約70%、若しくは約10〜約60%の永久伸び値を有してもよい。
【0036】
ニュートン液体である粘着性材料は、応力は剪断勾配と共に直線的に増大すると述べるニュートンの法則に従う粘着性特性を有する。剪断勾配が除かれた際、液体はその形状を回復させない。有用な粘弾性材料の粘着性特性は、材料が分解しないような妥当な温度下での材料の流動性を含む。
【0037】
粘弾性材料は、粘弾性材料と再帰反射フィルムとが光学的に結合されるように、例えば再帰反射フィルム又は基板といった材料から光を抽出するように設計された材料の少なくとも一部による十分な接触又は濡れを促進する特性を有することができる。光は、次いで粘弾性材料から抽出することができる。粘弾性材料は、一般的に、柔らかく、柔軟でかつ可撓性である。したがって、粘弾性材料は、十分な接触がもたらされ得るような弾性率(又は貯蔵弾性率G’)と、層が所望されないように流れないような粘性係数(又は損失率G”)と、層の減衰の相対次数の減衰係数(G”/G’、tan D)とを有し得る。
【0038】
有用な粘弾性材料は、10rad/秒及び約20〜約22℃の温度で測定した場合に、約300,000Pa未満の貯蔵弾性率G’を有し得る。有用な粘弾性材料は、10rad/秒及び約20〜約22℃の温度で測定した場合に、約30〜約300,000Paの貯蔵弾性率G’を有し得る。有用な粘弾性材料は、10rad/秒及び約20〜約22℃の温度で測定した場合に、約30〜約150,000Paの貯蔵弾性率G’を有し得る。有用な粘弾性材料は、10rad/秒及び約20〜約22℃の温度で測定した場合に、約30〜約30,000Paの貯蔵弾性率G’を有し得る。有用な粘弾性材料は、10rad/秒及び約20〜約22℃の温度で測定された場合に、約30〜約150,000Paの貯蔵弾性率G’、並びに約0.4〜約3の損失係数(tan d)を有し得る。材料の粘弾性特性は、例えば、ASTM D4065、D4440、及びD5279に従って、動的機械分析を用いて測定され得る。
【0039】
一部の実施形態では、粘弾性材料は、ダルキスト基準線で説明されるように(Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology,Second Ed.,D.Satas編、Van Nostrand Reinhold,New York,1989で説明されるように)、PSAを含む。
【0040】
粘弾性材料は、特定の剥離力を有することができ、又は少なくとも特定の範囲内の剥離力を呈することができる。例えば、粘弾性材料は、約50〜約3000g/インチ(約19.7〜約1181.1g/cm)、約300〜約3000g/インチ(約118.1〜約1181.1g/cm)、又は約500〜約3000g/インチ(約196.9〜約1181.1g/cm)の90°剥離力を有することができる。剥離力は、IMASSからの剥離試験機を用いて測定することができる。
【0041】
一部の実施形態では、粘弾性材料はスペクトル(約200から約900nm、あるいは約400〜約750nm)の少なくとも一部にわたって約80〜約100%、約90〜約100%、約95〜約100%、又は約98〜約100%の高い光透過率を有する光学的に透明な材料を含む。一部の実施形態では、粘弾性材料は、約5%未満、約3%未満、又は約1%未満のヘイズ値を有する。一部の実施形態では、粘弾性材料は、約0.01〜約5%未満、約0.01〜約3%未満、又は約0.01〜約1%未満のヘイズ値を有する。透過率は、吸収分光法を用いてランベルト・ベールの法則に従って測定することができる。透過率におけるヘイズ値は、ASTM D1003に従ってヘイズメータを用いて決定され得る。
【0042】
一部の実施形態では、粘弾性材料は、高い光透過率と低いヘイズ値を有する光学的に透明な材料を含む。高い光透過率は、可視光スペクトルの少なくとも一部分(約400〜約700nm)にわたって、約90〜約100%、約95〜約100%、又は約99〜約100%であってもよく、ヘイズ値は、約0.01〜約5%未満、約0.01〜約3%未満、又は約0.01〜約1%未満であってもよい。粘弾性材料は、約50〜約100%の光透過率を有することもできる。この文脈において、可視光スペクトルの一部は、1種以上の光感受性物質が使用される場合に、少なくとも1種の光感受性物質の吸収波長のピークの、少なくとも1つであり得る。
【0043】
一部の実施形態では、粘弾性材料には曇りがあり、光、特に可視光を拡散させる。曇りのある粘弾性材料は、約5%よりも高い、約20%よりも高い、又は約50%よりも高いヘイズ値を有してもよい。曇りのある粘弾性材料は、約5〜約90%、約5〜約50%、又は約20〜約50%のヘイズ値を有し得る。
【0044】
粘弾性材料は、約1.3〜約2.6、1.4〜約1.7、又は約1.5〜約1.7の範囲の屈折率を有することができる。粘弾性材料用に選択された特定の屈折率又は屈折率範囲は、光活性化抗微生物デバイスの全体的な設計及びこのデバイスが意図されている具体的な用途に依存して決定され得る。
【0045】
粘弾性材料は、概して少なくとも1つのポリマーを含む。粘弾性材料は、少なくとも1つのPSAを含み得る。PSAは被着体を共に接着するために有用であり、(1)強力かつ恒久的な粘着性、(2)わずかな指圧による接着、(3)被着体に留まるのに十分な能力、(4)被着体からきれいに取り外し可能な十分な凝集力、などの特性を呈する。感圧性接着として良好に機能を果たすことがわかっている材料は、粘着力、剥離接着力、及び剪断保持力の、望ましいバランスをもたらすのに必要な、粘弾性を示すように設計され配合されたポリマーである。特性の適正なバランスを得るのは、単純なプロセスではない。PSAの定量的記述は、先に引用されたダルキストの参考文献に見出すことができる。
【0046】
実用的なPSAは、上記で引用されたShermanらの参考文献に詳細が記載されている。実用的なPSAの簡単な説明のみが、本明細書に含まれる。代表的なポリ(メタ)アクリル酸塩は、PSAの柔軟性及びタックに役立つモノエチレン的に不飽和のアルキル(メタ)アクリレートモノマーを少なくとも1つ含むモノマーA、並びにPSAのTgを上げ、PSAの結合力に役立つ、モノエチレン的に不飽和のフリーラジカル的に共重合する強化モノマーを少なくとも1つ含むモノマーB、から生じる。モノマーBは、モノマーAよりも高いホモポリマーのガラス転移温度(Tg)を有する。本明細書で用いるとき、(メタ)アクリル系とは、アクリル系及びメタクリル系分子種の両方を指し、同様に(メタ)アクリレートに関する。
【0047】
好ましくは、モノマーAは約0℃以下のホモポリマーTgを有する。好ましくは、(メタ)アクリレートのアルキル基が、平均約4から20の炭素原子を有する。モノマーAの例として、2−メチルブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、4−メチル−2−ペンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、及びイソノニルアクリレートが挙げられる。アルキル基は、エーテル、アルコキシエーテル、エトキシル化又はプロポキシル化メトキシ(メタ)アクリレートを含むことができる。モノマーAは、ベンジルアクリレートを含み得る。モノマーAは、ウレタンアクリレートを含み得る。
【0048】
好ましくは、モノマーBは少なくとも約10℃、例えば、約10〜約50℃のホモポリマーTgを有する。モノマーBは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド及びN−モノアルキル又はそのN−ジアルキル誘導体、又は(メタ)アクリレートを含み得る。モノマーBの例としては、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチル−N−アミノエチルアクリルアミド、N−エチル−N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N−ジヒドロキシエチルアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、及びN−オクチルアクリルアミドが挙げられる。モノマーBのその他の例としては、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、2,2−(ジエトキシ)エチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート又はメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート又はメタクリレート、メチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、2−(フェノキシ)エチルアクリレート又はメタクリレート、ビフェニルアクリレート、t−ブチルフェニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジメチルアダマンチルアクリレート、2−ナフチルアクリレート、フェニルアクリレート、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、及びN−ビニルカプロラクタムが挙げられる。モノマーBは、エポキシアクリレートを含み得る。
【0049】
一部の実施形態では、(メタ)アクリレートPSAは、約0℃未満及びより好ましくは約−10℃未満のTgが得られるように形成される。そのような(メタ)アクリレートPSAは、両方とも(メタ)アクリレートPSAコポリマーの総重量と比較して、少なくとも1つのモノマーAの重量で約60〜約98%及び少なくとも1つのモノマーBの重量で約2〜約40%を含む。
【0050】
実用的なPSAは、天然ゴム系及び合成ゴム系のPSAを含む。ゴム系PSAとしては、ブチルゴム、イソブチレンとイソプレンのコポリマー、ポリイソブチレン、イソプレンのホモポリマー、ポリブタジエン、及びスチレン/ブタジエンゴムが挙げられる。これらのPSAは、本質的にべとついているか、又はこれらは、粘着付与剤を必要とし得る。粘着付与剤は、ロジン及び炭化水素樹脂を含む。
【0051】
実用的なPSAは、熱可塑性エラストマーを含む。これらのPSAとしては、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリ(エチレン/ブチレン)、ポリ(エチレンプロピレンの弾性のあるブロックをともなうスチレンブロックコポリマーが挙げられる。エラストマー自体が十分に粘着性でない場合は、ゴム相に関連する樹脂を熱可塑性エラストマーPSAと共に使用してもよい。樹脂に関連するゴム相の例としては、脂肪族オレフィン由来の樹脂、水素添加樹脂、及びテルペンフェノール樹脂が挙げられる。エラストマーが十分に硬くない場合は、熱可塑性相に関連する樹脂を熱可塑性エラストマーPSAと共に使用してもよい。樹脂と関連する熱可塑性相には、多環芳香族、クマロンインデン樹脂、コールタール又は石油由来の樹脂が挙げられる。
【0052】
実用的なPSAには、米国特許第7,005,394号(Ylitaloら)に記載されるような、粘着力を高めた熱可塑性エポキシ感圧接着剤が挙げられる。これらのPSAは、熱可塑性ポリマー、粘着付与剤、及びエポキシコンポーネントを含む。
【0053】
実用的なPSAとしては、米国特許第3,718,712号(Tushaus)に記載されるような、ポリウレタン感圧接着剤が挙げられる。これらのPSAは、架橋されたポリウレタン及び粘着付与剤を含む。
【0054】
実用的なPSAとしては、米国特許第2006/0216523号(Shusuke)に記載されるような、ポリウレタンアクリレートが挙げられる。これらのPSAは、ウレタンアクリレートオリゴマー、可塑剤及び反応開始剤を含む。
【0055】
実用的なPSAには、例えば、米国特許第5,214,119号(Leirら)に記載された、ポリジオルガノシロキサン、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミド、シリコーン尿素ブロックコポリマー等のシリコーンPSAが挙げられる。シリコーンPSAは、シリコン結合した水素と不飽和の脂肪族との間のヒドロシリル化反応から形成され得る。シリコーンPSAは、ポリマー又はゴム及び任意の粘着付与樹脂を含み得る。粘着付与樹脂は、トリアルキルシロキシ基でエンドキャップされる三次元ケイ酸塩構造を含み得る。
【0056】
有用なシリコーンPSAはまた、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドと、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,361,474号(Shermanら)に記載のような任意の粘着付与剤とを含んでもよい。有用な粘着付与剤としては、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,090,922 B2号(Zhouら)に記載のようなシリコーン粘着付与樹脂が挙げられる。
【0057】
PSAは、PSAの分子量及び強度を築くため、架橋され得る。架橋剤は、化学架橋、物理架橋又はそれらの組み合わせを形成するために使用されてよく、熱、紫外線等によって活性化され得る。
【0058】
ある実施形態では、粘弾性材料は、米国特許第7,255,920(B2)号(Everaertsら)に記載されるような、(メタ)アクリレートブロックコポリマーから形成されるPSAを含む。広くは、これらの(メタ)アクリレートブロックコポリマーは、アルキルメタクリレート、アラルキルメタクリレート、アリールメタクリレート、又はこれらの組み合わせを含む第1のモノマー組成物の反応生成物である少なくとも2つのAブロックポリマー単位であって、各Aブロックが少なくとも50℃のTgを有し、メタクリレートブロックコポリマーがAブロックを20〜50重量%含む、少なくとも2つのAブロックポリマー単位と;アルキル(メタ)アクリレート、ヘテロアルキル(メタ)アクリレート、ビニルエステル、又はこれらの組み合わせを含む第2のモノマー組成物の反応生成物である少なくとも1つのBブロックポリマー単位であって、Bブロックが20℃以下のTgを有し、(メタ)アクリレートブロックコポリマーがBブロックを50〜80重量%含む、少なくとも1つのBブロックポリマー単位とを含み;Aブロックポリマー単位は、Bブロックポリマー単位のマトリックス中に、約150nm未満の平均寸法を有する微小領域として存在する。
【0059】
一部の実施形態では、粘弾性材料は、例えば3M Companyの転写テープVHB(商標)Acrylic Tape 4910F、及び3M(商標)Optically Clear Laminating Adhesives(8140及び8180シリーズ)などの、透明アクリルPSAを含む。
【0060】
一部の実施形態では、粘弾性材料は、米国特許第6,663,978(B1)号(Olsonら)に記載されるような、置換又は非置換の芳香族部分を含有する少なくとも1つのモノマーから形成されたPSAを含む。
【0061】
一部の実施形態では、粘弾性材料は、(a)ペンダントビフェニル基を有するモノマー単位と、(b)アルキル(メタ)アクリレートモノマー単位とを含む、米国特許出願第11/875194号(63656US002,Determanら)に記載のようなコポリマーを含む。
【0062】
一部の実施形態では、粘弾性材料は、(a)ペンダントカルバゾール基を有するモノマー単位と、(b)アルキル(メタ)アクリレートモノマー単位とを含む米国特許出願第60/983735号(63760US002、Determanら)に記載のようなコポリマーを含む。
【0063】
一部の実施形態では、粘弾性材料は、接着剤マトリクス中に分散してルイス酸−塩基のペアを形成するブロックコポリマーを含む、米国仮特許出願第60/986298号(63108US002,Schafferら)に記載のような接着剤を含む。ブロックコポリマーはABブロックコポリマーを含み、Aブロック相は分離して、Bブロック/接着剤マトリックス内に微小領域を形成する。例えば、接着剤マトリックスは、ペンダント酸官能基を有するアルキル(メタ)アクリレートとの(メタ)アクリレートのコポリマーを含んでもよく、ブロックコポリマーは、スチレン−アクリレートコポリマーを含んでもよい。微小領域は散乱入射光線を前方に進めるほど十分に大きいが、入射光線を後方散乱するほど大きくなくてもよい。典型的にはこれらの微小領域は、可視光の波長(約400〜約700nm)よりも大きい。いくつかの実施形態では、微小領域のサイズは約1.0〜約10μmである。
【0064】
粘弾性材料は、引き伸ばし剥離可能なPSAを含むことができる。ストレッチリリースPSAは、0度角で又はほぼ0度角で延伸されると基材から除去することができるPSAである。一部の実施形態では、粘弾性材料又は粘弾性材料で使用されるストレッチリリースPSAは、1rad/秒及び−17℃で測定した場合に約10MPa未満、又は1rad/秒及び−17℃で測定した場合に約0.03〜約10MPaの剪断貯蔵弾性率を有する。ストレッチリリースPSAは、分解、再加工、又は再生利用が望ましい場合に使用してもよい。
【0065】
一部の実施形態では、ストレッチリリースPSAは、米国特許第6,569,521 B1号(Sheridanら)又は米国特許仮出願第61/020423号(63934US002、Shermanら)及び同第61/036501号(64151US002、Determanら)に記載のようなシリコーン系PSAを含んでもよい。このようなシリコーン系PSAは、MQ粘着付与樹脂及びシリコーンポリマーの組成物を含む。例えば、ストレッチリリースPSAは、MQ粘着付与樹脂と、尿素系シリコーンコポリマー、オキサミド系シリコーンコポリマー、アミド系シリコーンコポリマー、ウレタン系シリコーンコポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択されるエラストマーシリコーンポリマーとを含んでもよい。
【0066】
一部の実施形態では、ストレッチ解放式のPSAは、米国仮出願第61/141767号(64418US002、Yamanakaら)及び同第61/141827号(64935US002、Tranら)に記載があるように、アクリレート系のPSAを含む。このようなアクリレート系のPSAには、アクリレート、無機粒子及び架橋剤の組成物が挙げられる。これらのPSAは、単層又は多層であることができる。
【0067】
粘弾性材料は、米国特許第2006/0035039(A1)号(Ylitaloら)に記載されるような、酸化銀、硫酸銀、酢酸銀、塩化銀、リン酸銀、ステアリン酸銀、チオシアン酸銀、タンパク銀複合物、炭酸銀、スルファジアジン銀、アルギン酸銀、及びこれらの組み合わせを含む、銀系化合物又は「難溶性」銀化合物などの追加の抗微生物性剤を含む。難溶性銀化合物は、可溶化剤の補助なく、約10グラム/リットルまで水に溶解可能であると定義され得る。他の追加の抗微生物剤としては、クロルヘキシジン誘導体などのビグアニド化合物、エタノール又はイソプロパノールなどのアルコール、グルタルアルデヒドなどのアルデヒド、フェノール、トリクロサン及びクロロキシレノールなどのフェノール成分、ポビドンヨードなどのヨウ素及びヨード、塩化ベンザルコニウム及び塩化セチルピリジニウムなどの四級アンモニウム化合物、並びに次亜塩素酸、クロラミン及び塩素酸塩などの酸化剤が挙げられる。
【0068】
粘弾性材料は、ナノ粒子(直径約0.005〜約1μm)、マイクロスフェア(直径1〜約10μm)などの粒子、又は繊維も含み得る。
【0069】
粘弾性材料は、以下に記載されるような様々な形態へと切断することのできる、層、シート、フィルムなどの形態であり得る。粘弾性材料の厚みは、材料が所望される通りに機能できさえすれば特に限定されない。粘弾性材料の厚みは、光源に基づいて又は光源と共に選択され得る。例えば、設計パラメーターは、特定の光源が使用されるように制限されるか、あるいは特定の光源の使用を必要とする場合があり、並びに粘弾性材料に入射するために必要な光の最小量、又は量範囲が存在する場合もある。したがって、粘弾性材料の厚みは、所定の光源から必要量の光が材料に入射可能であるように選択することができる。粘弾性材料の最大厚は、特に薄く設計されたデバイスでの使用に要求され得る。粘弾性材料の例示的な厚みは、約0.4ミル(0.01mm)〜約1000ミル(25mm)、約1ミル(0.025mm)〜約300ミル(7.6mm)、約1ミル(0.025mm)〜約60ミル(1.5mm)、又は約0.5ミル(0.013mm)〜約30ミル(0.76mm)の範囲である。
【0070】
光感受性物質は、抗微生物活性が生じるように、粘弾性材料から抽出された光エネルギーを移送し得る、任意の材料を含み得る。抗微生物活性は、光感受性物質に関する特定の環境に応じて形成される、1種以上の反応種(例えば、一重項酸素、過酸化水素、ヒドロキシラジカル、スーパーオキシドラジカルアニオン、光感受性物質ラジカル及び多くの他のラジカルなど)の発生により生じ得る。
【0071】
概して、光感受性物質は、不可視光又は可視光スペクトルを吸収する材料を含む。光感受性物質は、約200〜約750nm又は約400〜約750nmの範囲内の、特定の波長又は波長範囲を吸収し得る。好適な光感受性物質としては、約400〜約750nmの範囲内の、かなり狭い範囲の光を吸収し得る染料が挙げられる。好適な染料は、以下の部類の任意の1種以上を含む:ポルフィリン、フルオロセイン、フェノチアジン、フタロシアニン、アクリジン、キサンテン、チオニン、オキサジン、トリフェニルメタン、C.I.アズール色素、アントラセン、アントラキノン、及びキナクリン。光感受性物質としては、アクリジンイエローG、ローズベンガル、エリトロシン、フロキシンB、メチレンブルー、トルイジンブルー、テトラトリルホスフィン(Tetratolylphorphine)、テトラフェニルホスフィン(Tetraphenylporphine)及び/又はアクリジンオレンジが挙げられ得る。光感受性物質は、白金又はパラジウム含有化合物を含み得、ここで白金又はパラジウムはヘテロ環の窒素原子と錯体形成する;これらの化合物は、米国特許第6,248,733(B1)号(Landgrebeら)に記載される。
【0072】
更に他の実施例では、光感受性物質は、例えば、国際公開第99/62822号(Kobayashiら)及び米国継続出願第1038135号(Langeら)に記載されるような、アナターゼ型二酸化チタンを含み得る。
【0073】
更に他の実施例では、光感受性物質は、二酸化塩素、二酸化硫黄、硫化水素、塩素、一酸化二塩素、シアン化水素酸、二酸化窒素、一酸化窒素、及び亜酸化窒素などのガスを放出する組成物を含み得る。これらの例示的な組成物は、米国特許第7,273,567(B1)号(Wellinghoffら)に記載されている。概して、気体を放出する組成物は、電磁放射線により活性化される(典型的にはUV及び/又は可視光を吸収する)触媒、並びに酸化又は反応することで気体を生成し得るアニオンを含有している固体を含む。例示的な触媒は、金属酸化物、金属硫化物、金属カルコゲン化物、リン化金属、ヒ化金属、非金属半導体(non-metallic semiconductors)、高分子半導体、光学活性ホモポリアニオン、及び光学活性ヘテロポリイオンからなる群から選択される。例示的なアニオンは、亜塩素酸塩、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、水硫化物、硫化物、次亜塩素酸塩、シアン化物及び硝酸塩からなる群から選択される。一実施形態では、触媒は、塩化ナトリウムコーティングを有するアナターゼ型二酸化チタン粒子を含む。
【0074】
光感受性物質は、より大きい分子、巨大分子又はポリマーと、共有結合する場合もある。例えば、光感受性物質は、光感受性のペンダント基を有するポリマーを含み得る。光感受性のペンダント基を有するポリマーは、光感受性のペンダント基を有する1種以上のモノマーと他のモノマーとの付加及び/又は縮合重合により、1種以上の光感受性基をポリマーの主鎖又は副鎖(予め形成されている)上にグラフト化することにより、あるいは架橋により、作製してもよい。共有結合した光感受性物質を有するポリマーは、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエチレンイミン、ポリカーボネート、セルロース、ポリエステル、ポリイミド、ポリ尿素、ポリアミド、ポリエーテル又はこれらの組み合わせであり得る。共有結合した光感受性物質を有するポリマーは、白金若しくはパラジウム含有基を有するポリウレタン又はポリオレフィンを含んでもよく、ここで、白金又はパラジウムはヘテロ環の窒素原子と錯体形成する;これらの化合物は、米国特許第6,432,396(B1)号(Landgrebeら)に記載される。共有結合した光感受性物質を有するポリマーは、ローズベンガルペンダント基を有するポリスチレン/ジビニルベンゼンコポリマーを含み得る。
【0075】
光感受性物質との共有結合を有するポリマーは、4−ビニルピリジンの窒素原子を官能基化することにより作製してもよい。
【0076】
グラフト化に使用し得る光感受性物質としては、カルボン酸、ヒドロキシル、アミノ、チオール又はアルケン官能基などの反応性のペンダント基を有するものが挙げられる。
【0077】
光感受性物質は、光感受性物質に関する特定の環境に依存して遊離型であっても、遊離型でなくてもよい。例えば、光感受性物質は、より巨大な分子、巨大分子、ポリマー、又は粒子とイオン結合していてもよい。イオン結合は、典型的には、反対の電荷を有する種間の静電相互作用である。例えば、光感受性物質は、アニオン性に又はカチオン性に荷電し、反対の電荷を有するより大きな分子、より大きな分子、巨大分子、ポリマー又は粒子とイオン結合により結合し得る。例えば、光感受性物質がイオン結合によりポリマーと結合しており、かつこの2つの物質の組み合わせがある程度親水性であり、次いで十分な湿分に曝露された場合に、物品、デバイス又は方法の保管又は使用時に、光感受性物質を動員することができる。しかしながら、2つの物質の組み合わせが疎水性である場合には、光感受性物質は、物品、デバイス又は方法の保管又は使用時に、固定化されたままであり得る。
【0078】
光感受性物質は、光源から放出された光が光感受性物質により吸収できる限りは、任意の方法により粘弾性材料に配置され得る。例えば、光感受性物質は粘弾性材料に、この2つが単一層又は他の形態を形成するよう、組み込まれ得る。光感受性物質は、上記のように遊離形態で、又は結合形態で組み込んでもよい。光感受性物質は、粘弾性材料中に均一に又はほぼ均一に組み込んでもよい。光感受性物質は、粘弾性材料中に勾配を形成するように組み込んでもよい。光感受性物質は、粘弾性材料中の別個の領域(区域、縞模様など)に組み込んでもよい。
【0079】
光感受性物質を含む光感受層は、粘弾性材料上に配置され得る。一部の実施形態では、光感受層は、光感受性物質から本質的になる。例えば、光感受性物質溶液を粘弾性材料上にコーティングし、得られた湿潤層を乾燥させることで、光感受性物質の乾燥コーティングを提供することもできる。光感受性物質は、粘弾性材料を完全に覆うか又は部分的に覆うかのいずれかで、連続層として配置することもできる。同様に、光感受性物質は、粘弾性材料上に均一に又何らかの種類の模様又は他の非連続的なレイアウトで配置することもできる。同様に、光感受性物質は、デバイスが均一に又は模様状に取り付けられる基材上に、配置することもできる。
【0080】
光感受層には、光感受性物質及び多孔質物質又は無孔物質を含み得る。
【0081】
一部の実施形態では、光感受層は光感受性物質及び繊維性物質を含む。好適な繊維性物質は、絹、ナイロン、木綿、アラミド及びポリオレフィン、並びにこれらのコポリマーなどの、天然及び/又は合成物質を含む。繊維性物質は、織りにより形成された布地などの、織布物質を含み得る。繊維性物質は、長い繊維を化学処理、機械処理、熱処理又は溶媒処理により共に結合させた、不織布物質を含み得る。例えば、布地を光感受性物質の溶液で濡らし、得られた濡れた布地を乾燥させることで、布地を構成している繊維上に光感受性物質が堆積している乾燥布地を提供することもできる。
【0082】
一部の実施形態では、光感受層は、光感受性物質と、組成物の2成分間の選択的なバリアとして機能する膜とを含み、組成物の一部は膜を通過することができるが、一部は通過できない。膜は、無機膜、ポリマー膜又は生物学的膜であってよい。膜は、ポリマー又はポリマーブレンド、核形成剤及び希釈剤を使用する、熱誘起相分離法(thermally induced phase separation、TIPS)として既知のプロセスにより作製され得る。TIPSを用いて作製される膜は、約0.05〜約20μmの内のいずれかの平均孔径を有するようカスタマイズすることができる。膜を作製するためのTIPSの使用は、国際公開第2009/048743(A1)号(Mrozinski);米国特許第2005/0058821(A1)号(Smithら);同第2006/148915(A1)号(Floydら);及び同第2003/228459(A1)号(Mrozinskiら)に記載されている。
【0083】
一部の実施形態では、光感受層は、光感受性物質及びポリマー材料を含む。例えば、光感受性物質はポリマー材料に、この2つが単一層を形成するよう、組み込まれてもよい。光感受性物質は、上記のように遊離形態で、又は結合形態で組み込んでもよい。組み込まれた光感受性物質を有するポリマー材料は、上記の繊維性物品の製造に使用することもできる。
【0084】
光活性化抗微生物デバイスが上記のように機能し得る限り、任意のポリマー材料を使用することができる。光感受性物質は、例えば、光感受性物質がポリマー材料と凝集することで、光感受性物質による光の吸収に干渉することのないよう、ポリマー材料と相溶性であることが必要な場合がある。ポリマー材料は、特定の波長範囲内の光をわずかに吸収するかあるいは全く吸収しない材料である必要があり得る。例えば、ポリマー材料は、デバイスの有効性に影響し得るものとして光感受性物質により吸収されることが意図される波長範囲内の光を、わずかに吸収するかあるいは全く吸収しない材料である必要があり得る。ポリマー材料(例えば結合剤)が光感受性物質により産生される酸化種により容易に分解されないこともまた、より長期間使用され得るデバイスについて重要である。
【0085】
光感受性物質は、所望の効果を得るのに必要とされる任意の量で使用することができる。例えば、光感受性物質は、コロニー形成単位の例えば約80〜100%を減少させるのに有効な量で使用することができる。光感受性物質は、重量により、及び光感受性物質が使用される層又は材料の重量に対して約0.01〜約10重量%、又は約0.1〜約5重量%の量で、使用することができる。
【0086】
光活性化抗微生物物品は、粘弾性材料が堆積した基材を更に含んでもよい。基材は、光活性化抗微生物物品に意図される特性に基づいて、様々な種類の材料を含み得る。基材は手により曲げられるものであってよく、又は手によりわずかに曲げられるかあるいは全く曲げられないような堅いものであってもよい。基材は特定の用途で必要とされる任意のバルク状の三次元形状を有してもよい。基材は粘弾性材料の大きさと同じであってよく、又は粘弾性材料と比べてより大きいかあるいはより小さいものであってもよい。基材は、層、シート、フィルムなどの形態であってよい。基材は、ポリマーフィルム、紙、布地、又はこれらの組み合わせを含み得る。基材の例示的な厚みは、約0.4ミル(0.01mm)〜約1000ミル(25mm)、約1ミル(0.025mm)〜約300ミル(7.6mm)、約1ミル(0.025mm)〜約60ミル(1.5mm)、又は約0.5ミル(0.013mm)〜約30ミル(0.76mm)の範囲である。
【0087】
基材は、入射光を反射し、粘弾性材料内に移送する、反射体を含み得る。この方法では、例えば光は全内部反射により移送され、粘弾性材料を介して、又は材料の特定の領域へと分散される。基材は、反射する場合には、入射光の約50〜約100%、約70〜約100%、約90〜約100%を反射する。基材は、入射光の約0〜約20%を抽出するよう選択することができる。
【0088】
反射体は、光の反射角が入射角の約16°以内である鏡面反射鏡を含み得る。好適な鏡面反射体としては、基材上にコーティングされた反射材料のフィルムを備えた、平面鏡などの鏡が挙げられる。好適な反射体としては、多層光学フィルムである鏡が挙げられる。有用な多層光学フィルムは、第1及び第2のポリマー層の約10〜約10,000の交互層を有するフィルムを含み、このポリマー層はポリエステルを含む。例示的な多層光学フィルムは、米国特許第5,825,543号及び同第5,828,488号(Ouderkirk et al.)、並びに上記に参照されたShermanらのいずれかの追加の引用文献に記載されている。代表的な鏡面反射体としては、3M(商標)Companyから入手可能なもの、例えば、High Reflective Visible Mirror Film及びHigh Transmission Mirror Filmなどの3M(商標)High Intensity Grade Reflective Products、並びにVikuiti(商標)Enhanced Specular ReflectorなどのVikuiti(商標)フィルムが挙げられる。
【0089】
反射体は拡散反射体を含んでもよく、ここで、粘弾性材料の内部を伝播する光は拡散反射体の表面で反射及び拡散する。拡散反射面では、所与の入射角の光は複数の反射角で反射し、反射角の少なくともいくつかは入射角の約16°超過である。拡散反射面は、反射される光の波長に対して不規則な表面を含んでもよい。拡散反射面は、基材の上に配置された有機粒子、無機粒子、又は有機/無機混合粒子の層を含んでもよい。粒子は、約0.01超過から約100μm、約0.05超過から約100μm、又は約0.05超過から約50μmの直径を有することができる。粒子は、高分子結合剤に分散させてもよい。結合剤としては、1種以上のポリマーが挙げられ、例えば、PSAなどの上記の粘弾性材料のいずれかであってよい。
【0090】
一部の実施形態では、基材は多層光学フィルムを含む。鏡である多層光学フィルムは上述されている。多層光学フィルムのその他の種類を使用することも可能であり、例えば、多層光学フィルムは、反射フィルム、偏光フィルム、反射偏光フィルム、拡散混合反射偏光フィルム、拡散フィルム、輝度上昇フィルム、転向フィルム、ミラーフィルム、又はこれらの組み合わせであってもよい。代表的な多層光学フィルムには、3M(商標)Companyから入手可能な3M(商標)Vikuiti(商標)フィルムが挙げられる。代表的な多層光学フィルムは、鏡である多層光学フィルムに関して先に引用された参照文献に記載されている。
【0091】
光活性化抗微生物物品は、粘弾性材料上に配置された剥離ライナーを含んでもよい。剥離ライナーは、通常、接着層と接触するための低い接着表面を有する。剥離ライナーは、クラフト紙などの紙、又はポリ(塩化ビニル)、ポリエステル、ポリオレフィン、酢酸セルロース、エチレンビニルアセテート、ポリウレタン及びこれらに類するものなどのポリマーフィルムを含んでもよい。剥離ライナーは、シリコーン含有材料又はフルオロカーボン含有材料のような剥離剤の層でコーティングされてもよい。剥離ライナーは、材料を含有するシリコーンでコーティングされたポリエチレンでコーティングされた紙又は高分子フィルムを含み得る。代表的な剥離ライナーとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にシリコーン剥離コーティングを有するCP Film Inc.から、商品名「T−30」及び「T−10」として市販されているライナーが挙げられる。
【0092】
概して、粘弾性材料は、光源により放射された光の少なくとも一部を受容するよう適合させる。一部の実施形態では、光源と粘弾性材料が接触し、光学的な結合が生じるように、光源が粘弾性材料に押し付けられ得ることから、特別に設計された入力表面は必要とされない。一部の実施形態では、例えば、材料がPSAを含む場合、光源を粘弾性材料に貼り付けることができる。一部の実施形態では、光源は粘弾性材料に埋め込まれていてもよい。
【0093】
光源及び粘弾性材料は、必ずしも以下の実施形態に記載されるように接触している必要はない。特定の実施形態では、粘弾性材料は光源からの光を受容するように適合させた入力面を有する。入力面は、光結合手段及び/又は特定の光源に応じて様々なトポグラフィーを有し得る。入力面は適切な曲率を有することができる。入力面を含む入力縁部は、光源の凸状レンズを受容するための特定の空洞、例えば、凹状の半球形空洞を有してもよい。あるいは、入力面は、光源からの光を粘弾性材料に光学的に結合させるために、プリズム又はレンズなどの屈折構造を有し得る。
【0094】
光活性化抗微生物物品は、粘弾性材料が堆積された基材を更に含んでもよく、ここで基材は光源を含む。
【0095】
一部の実施形態では、光源によって放出される光の少なくとも一部との光結合を促進するために、光源と入力縁部との間に配置される抽出器物品を使用してもよい。有用な抽出器物品は、光源からの光を抽出するのに適切な曲率を有することができる。粘弾性材料の屈折率と、光源のいくつかの要素の屈折率を一致させるための、結合材料を使用してよい。粘弾性材料を光源の一部に付着させるために架橋性材料を使用し、続いて熱及び/又は光を使用して硬化させることで、架橋材料を形成してよい。
【0096】
結合材料はシリコーンゲルを含むことができる。シリコーンゲルは架橋されることができる。シリコーンゲルはシリコーンオイルと混合することができる。シリコーンゲルは、例えば、ジメチルシリコーン、ジフェニルシリコーン、又はフェニルメチルシリコーンなどの1つ以上のシリコーン材料を含んでもよい。シリコーンゲルは、架橋されているフェニルメチルシリコーン部分を含むことができる。シリコーンゲルは、架橋されているフェニルメチルシリコーン部分とフェニルメチルシリコーンオイルとを含むことができる。シリコーンゲルは、架橋されているフェニルメチルシリコーン部分とフェニルメチルシリコーンオイルとを、0.2:1〜5:1の重量比で含むことができる。シリコーンゲルは架橋されたフェニルメチルシリコーンを含むことができる。シリコーンゲルの代表的な使用は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,315,418号(DiZio et al.)に記載されている。
【0097】
光源は、粘弾性材料に光源からの光の少なくともある程度が入射できるように、粘弾性材料に光学的に結合し得る。例えば、光源は、光源から放出された光の1%超が、10%超が、20%超が、30%超が、40%超が、50%超が、90%超が、又は約100%が粘弾性材料に入射するよう、粘弾性材料に光学的に結合してもよい。別の例では、光源は、光源によって放射される光の約1〜約10%、約1〜約20%、約1〜約30%、約1〜約40%、約1〜約50%、約1〜約100%、約1〜約100%、約50〜約100%、又は約1〜約100%が粘弾性材料に入射するように粘弾性材料と光学的に結合させることができる。光源は、ランダムな又は特定の角度分布を有する光を放出することができる。
【0098】
光源は、任意の好適な光源を含むことができる。一部の実施形態では、1種以上の光感受性物質が使用される場合、光源は、少なくとも1種の光感受性物質のピーク吸収波長の少なくとも1つに近い光を放出すべきである。代表的な光源としては、冷陰極蛍光ランプなどの線状光源、及び発光ダイオード(LED)などの点光源が挙げられる。代表的な光源としては、有機発光デバイス(OLED)、白熱電球、蛍光灯、ハロゲンランプ、紫外線電球、赤外線源、近赤外線源、レーザ、又は化学光源もまた挙げられる。広くは、光源によって放出される光は、可視であっても不可視であってもよい。少なくとも1つの光源を使用することができる。例えば、1〜約10,000個の光源を使用することができる。光源は粘弾性材料の端部又はその近くに配置されたLEDの列を含んでもよい。光源は、LEDから発せられた光が所望の領域全体にわたって継続的又は均一に粘弾性材料を照らし出すように回路上に配置されたLEDを含んでもよい。光源は、異なる色の光を放射するLEDを含むことにより粘弾性導光材内で各色が混じり合うようにしてもよい。このようにして、グラフィックを、使用中の異なる時間に違ったように見えるようにデザインすることができる。
【0099】
光源は、任意の好適な手段によって電力供給することができる。光源は、バッテリー、直流電源、AC〜DC変換電源、交流電源、又は太陽光電池を用いて電力供給することができる。光源はまた、歩行などの動作により電力供給されてもよい。光源は遠隔的に電力供給されてもよく、例えば患者が接続ワイヤから自由になれるように、RF識別タグなどの誘導により、電力供給されてもよい。
【0100】
図4aは、例示的な光活性化抗微生物物品の概略断面図を示す。光活性化抗微生物物品400は、光学的剥離ライナー403とフィルム支持体402との間に配置された粘弾層401を含む。物品400の一実施形態では、光感受性物質は層401を形成する粘弾性材料中に組み込まれる。物品は、取り外すことのできる剥離ライナーと、フィルム支持体402の反対面を患者の皮膚に適用することのできる粘弾層とを提供することもできる。有用なフィルム支持体には、以下の図5に記載される弾性のフィルム支持体を含む。
【0101】
物品400の他の実施形態では、光感受性物質は粘弾層401に含まれなくてもよい。代わりに、光感受性物質は、光活性化抗微生物物品又はデバイスから別個に供給されるローション、フォーム、ムース、スプラッシュ、エアロゾル又は他の局所用組成物中に配合することもできる。局所用組成物は、光感受性物質を均一に配合することができ、所望されるように光感受性物質を機能させることのできる、任意の組成物であってよい。ローションは典型的には局所用組成物として特徴づけられ、クリーム及びゲルが含まれる。多くのローションは水中油型エマルションであるが、油中水型の調製も既知である。有用なローションとしては抗バクテリアのローション、又はハンドクリーム若しくはフェースクリームとして既知のローションが挙げられる。例示的なローション組成物は3M(商標)Avagard(商標)Dインスタント型手用消毒薬であり、この組成物は保湿基剤中にエチルアルコールを含む。
【0102】
一部の実施形態では、局所用組成物は光感受性物質を含み、組成物は、光が皮膚に対する全内部反射で維持され得るように、粘弾性材料の屈折率よりも小さな屈折率を有する。粒子も組成物に含めることができ、粒子は組成物中で光を局所用組成物中に抽出し、ひいては光感受性物質に曝露させるよう作用する。
【0103】
局所用組成物に使用される粒子の量は、組成物が均質であり、かつ均一に広げることができるように調節され得る。局所用組成物は、組成物が適用される他の領域と比較してより厚く又はより薄く適用することもできる。例えば、局所用組成物は、処理される領域にわたってより厚く適用することができ、及び処理する必要のない領域にわたってより薄く適用することもできる。
【0104】
物品400の更に他の実施形態では、光感受性物質は粘弾層401に含まれてもよく、ローション中に別個に提供されてもよい。
【0105】
図4bは、例示的な光活性化抗微生物物品の概略断面図を示す。光活性化抗微生物物品410は、光感受層412とフィルム支持体413との間に配置された粘弾層411を含む。層414は光感受層412上の粘弾層が配置されている側とは反対側に配置される。層414は取り外すことができ、光感受層を、粘弾層411に面している面とは反対の面で患者の皮膚に適用することができる。
【0106】
光活性化抗微生物物品及びデバイスは、治療用デバイス中に組み込むこともできる。例えば、本明細書に開示されている光活性化抗微生物物品及びデバイスは、組織に光線療法を施すためのコンフォーマルパッチで使用されてもよい。代表的なコンフォーマルパッチは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,096,066号(Chenら)に記載されている。更なる治療用装置は、全て参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第2005/0070976 A1号(Samuelら)、Electronics World(2007年10月)、及びLEDs Magazine(2006年11月)に記載されている。
【0107】
図5は、例示的な光活性化抗微生物デバイス500の斜視図を示す。デバイス500は光治療用の創傷ドレッシングとして使用することもできる。この実施形態において、デバイス500は、マイクロコントローラにより電源と電気的に接続した光源501を含む。デバイス500はまた、フィルム支持体504上に配置された粘弾層503を有する、光活性化抗微生物物品502を含む。光感受性物質は粘弾層に組み込まれるか、又は粘弾層の頂面に別個の光感受層(図示せず)として存在する。光感受層を使用する場合、光感受層は、織布又は不織布の、木綿又はレーヨンパッド、シリコンゲルパッド又はヒドロゲルパッドに光感受性物質を含み得る。光源501は粘弾層に接触し、この2つは光源から放出される光が粘弾層に入射し得るように光学的に結合される。類似のデバイスは、瘻造設術的に安全なデバイス(ostomy secural devices)として有用なものであり得る。
【0108】
フィルム支持体504は、解剖学的表面に対して適合性のある支持体を含む。例えば、フィルム支持体には弾性のフィルム支持体を含むこともできる。フィルム支持体はまた、半透明及び/又は透明であってよい不織布繊維ウェブ、織布繊維ウェブ、ニット、及びポリマーフィルムを含み得る。フィルム支持体は支持体の頂面にPSA層を含み(図示せず)、PSA層は粘弾層を取り囲み、最終的には物品又はデバイスを皮膚に付着させるために使用される。有用な弾性フィルム支持体の特性は、5,738,642(Heineckeら)及び該当文献中の参照文献に記載される。例えば、弾性フィルム支持体は、許容される速度で水蒸気が支持体を透過し得るように水蒸気を透過可能である必要がある。好ましくは、水蒸気透過速度は皮膚に対するものより大きいか、又はそれと等しいものである。例示的な弾性フィルム支持体は、ポリウレタン、ポリエステル又はポリエーテルブロックアミドフィルム上にコーティングされたPSAを有する。
【0109】
光活性化抗微生物物品502は更に、粘弾層(又は光感受層)の頂部に、フィルム支持体の曝露されたPSA層を覆う剥離ライナーを含んでもよい。光活性化抗微生物物品502は、フィルム支持体の、PSA層とは反対の面上に配置された、キャリアフレームを更に含んでもよい。キャリアフレームは、創傷ドレッシングの取り扱いを容易にするために使用することもできる。創傷ドレッシングは、例えば、米国特許第6,264,976(B1)号(Heineckeら)及び米国特許第5,738,642号(Heineckeら)並びにこれらの文献中に引用される参照文献に記載されている。同様のデバイスは、外科的な切開ドレープとしても有用であり得る。外科的な切開ドレープは、例えば、米国特許第5,803,086号(Scholzら);米国特許第5,979,450号(Bakerら)及び米国特許第5,985,395号(Comstockら)に記載されている。
【0110】
図6は、例示的な、光活性化抗微生物デバイス600の斜視図を示す。デバイス600は光治療用の創傷ドレッシングとして使用することもできる。この実施形態において、デバイス600は、マイクロコントローラにより電源と電気的に接続した光源601を含む。デバイス600はまた、フィルム支持体604上に配置された粘弾層603を有する、光活性化抗微生物物品602を含む。光感受性物質は粘弾層に組み込まれるか、又は粘弾層の頂面に別個の層(図示せず)として存在する。光源601は、フィルム支持体のPSAと、この2つが光学的に結合するように接触する。光はフィルム支持体のPSAにより粘弾層へと移送することができる。
【0111】
図5及び6に示す実施形態は、物品及びデバイスのいくつかの有用な変形を例示する。例えば、粘弾性材料はフィルム支持体より小さくても、又は大きさが釣り合っていてもよい。粘弾層及びフィルム支持体は同じ形状を有していても異なる形状を有していてもよい。他の実施例について、光源は粘弾性材料又は光源と隣接してもよく、粘弾性材料は、フィルム支持体のPSA表面の一部により仕切られていてもよい。この場合、光源はフィルム支持体のPSAと光学的に結合され得る。
【0112】
粘弾性材料は、粘弾性物品を作製するために、一般に使用される方法又はプロセスのいずれかを使用して作製することができる。典型的なプロセスは、連続鋳造及び硬化、押出成形、マイクロレプリケーション、並びにエンボス方法などの連続プロセスであるプロセスを含む。様々な種類の放射線を、材料が硬化される、例えば、架橋される必要があるプロセスで用いることができる。放射線を必要としないものを含む様々な種類の化学的性質を、硬化される必要のある材料に対して用いることができる。粘弾性材料が硬化性材料から作られている場合、材料は光源との接触の前、接触の後、又は接触の間に硬化させることができる。粘弾性材料が硬化性材料から作られている場合、材料は基材との接触の前、接触の後、又は接触の間に硬化させることができる。
【0113】
従来の成形プロセスを用いることも可能である。成形は、成形材料のマイクロマシニング、研磨又はレーザーアブレーションにより行ってもよい。成形型の材料としてはポリマー、ガラス及び金属材料が挙げられる。成形型は、粘弾性材料の光学的平滑面を作製するのに適したものであることが求められる場合がある。粘弾性材料の光学的平滑面は、硬化性材料から作られている場合には、材料を空気又は他の雰囲気中で材料がそれ自体で平らになるように単純に硬化させることによって形成することができる。
【0114】
粘弾性材料及び基材を含む、光活性化抗微生物物品は、様々な方法で作製することができる。一部の実施形態では、材料及び基材は別々に作製して接触させ、指の圧力、ハンドローラー、エンボス加工機、又はラミネーターを使用して互いに押圧することができる。
【0115】
一部の実施形態では、基材は、材料上に基材材料をコーティングすることによって粘弾性材料上に形成することができる。この後、基材材料を処理して基材を形成することができる。例えば、基材材料を層の形態に粘弾性材料上に押し出してから冷却することによって材料を固化させて基材を形成することができる。また、基材材料が硬化性であってもよく、これに熱処理を行うか、かつ/又は放射線を照射することによって基材を形成することもできる。基材材料は溶媒を含んでもよく、溶媒を除去することによって基材が形成される。
【0116】
一部の実施形態では、粘弾性材料は、基材上に粘弾性材料をコーティングすることによって基材上に形成することができる。粘弾性材料は、その後、粘弾性材料を形成するために、処理され得る。例えば、粘弾性材料を層の形態に基材上に押し出してから冷却することによって材料を固化させて材料を形成することができる。また、粘弾性材料が硬化性であってもよく、これに熱処理及び/又は放射線照射を行うことによって材料を形成することもできる。粘弾性材料は、溶媒を含むことができ、材料は、その溶媒を除去することにより形成される。
【0117】
基材材料又は粘弾性材料が硬化性である場合には、それぞれ部分的に硬化した基材又は材料を有する物品を作製することができる。基材材料又は粘弾性材料が硬化性である場合には、材料が架橋されるように化学的硬化性の材料を使用することができる。基材材料又は粘弾性材料が硬化性である場合には、材料を光源の別の材料と接触させる前、その後、及び/又はその間に硬化させることができる。
【0118】
基材材料又は粘弾性材料が光硬化性である場合には、光源を材料と光学的に結合させ、光源から光を注入することによって硬化を行うことができる。
【0119】
本明細書に開示される、光活性化抗微生物物品及びデバイスは、任意の数の手段により提供することもできる。光活性化抗微生物物品及びデバイスは、平らに置かれたシート又はストリップとして提供されてよく、あるいは丸めてロールとしてもよい。光活性化抗微生物物品及びデバイスは、単独のアイテム、又は複数のアイテム、組み合わせでのアイテムなどとしてパッケージ化してもよい。光活性化抗微生物物品及びデバイスは、組み立て形態、すなわち何らかのより大きな構成体の一部として提供されてもよい。光活性化抗微生物物品及びデバイスは、キットとして提供されてもよく、この場合物品とデバイスは互いに分離しており、ある時点でユーザーによって組み立てられる。光活性化抗微生物物品及びデバイスはまた、ユーザーのニーズに従って組み合わせかつ適合させることができるように、別々に提供されてもよい。光活性化抗微生物物品及びデバイスは、一時的に又は恒久的に組み立てることもできる。
【0120】
光源と、光源からの光を受容するよう適合させた粘弾性材料と、粘弾性材料により受容された光を吸収する光感受性物質を含むローションと、を含む医療用キットもまた本明細書に開示されている。
【0121】
本明細書に開示される、光活性化抗微生物物品及びデバイスは、微生物の増殖を阻害する方法の一部として使用することもできる。好適な方法は、光源を提供する工程と、光感受性物質、及び光源からの光を受容するよう適合させた粘弾性材料を含む、光活性化抗微生物物品を提供する工程と、光感受性物質が粘弾性材料からの光を吸収するよう光源と光感受性物質とを結合させる工程と、を含む。光源と光感受性物質とを結合させる工程は、光源と粘弾性材料とを接触させることを含んでもよい。光活性化抗微生物物品は、光源を光感受性物質と結合させる前又は結合させた後に患者の皮膚に適用することもできる。光活性化抗微生物物品は、微生物がその上に配置されている表面に当てることもできる。方法は、光感受性物質により吸収された光を放出するように、光源を活性化する工程を含んでもよい。
【0122】
他の好適な方法は、光源を提供する工程と、光源からの光を受容するよう適合させた粘弾性材料を提供する工程と、局所用組成物を患者の皮膚に適用する工程と、患者の皮膚上の局所用組成物を粘弾性材料と接触させる工程と、光感受性物質が粘弾性材料からの光を吸収するように光源と光感受性物質とを結合させる工程と、を含んでもよく、局所用組成物は、粘弾性材料により受容された光を吸収する光感受性物質を含む。
【0123】
用語「接触した」及び「配置された」は、アイテム全体が所望どおり機能できるように、一般的に2つのアイテムが相互に隣接していることを説明するために使用される。これは、アイテムが要望通りに機能する限り、隣接するアイテムの間に追加材料が存在し得ることを意味することができる。
【実施例】
【0124】
8”(20cm)×11”(28cm)ナイロン不織布材料を、ハイグレードの光学ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)フィルムのより大きなシートの頂面に配置した。次いで、アクリジンイエローGの0.05重量%水溶液をナイロン上にピペットで取り、他のPETフィルムの同一シートを試料を覆って配置させた。この構成物の下側に紙タオルを配置し、ローラーを使用して、染料溶液をナイロン全体に均一にプレスした。過剰な溶液は、ローラーにより紙タオル上に押し出した。溶液が均一に分配されたらPETフィルムを取り除き、ナイロン試料をきれいな紙の上に配置し、乾燥させた。
【0125】
重量比85/14/1のイソオクチルアクリレート/アクリル酸イソボルニル/アクリル酸と、0.08重量%の1−6−ヘキサンジオールジアクリレートと、0.20重量%のIRGACURE 651(Ciba Specialty)とを含むPSA組成物を、ハンドローラーを使用して、ポリマーミラーフィルム4”(10cm)×4”(10cm)の上にコーティングした。ポリマーミラーフィルムは、多層ポリマーミラーフィルム(3M CoからのVikuiti(商標)ESR)であった。PSA層の厚みは40ミル(1000μm)であった。
【0126】
PSA層の上に剥離ライナーを配置した。サイド発光LEDは一端をPSA層に押し込まれ、9VのバッテリーがLEDに接続されたところ、PSA層の全長にわたって光を容易に透過した。
【0127】
ナイロン試料は試験前に滅菌しなかった。試料を2”(5cm)×2”(5cm)の正方形に切断し、剥離ライナーの頂面に配置した。剥離ライナーはPSA層の表面から取り外さなかった。各サンプルは、約1−2×10コロニー形成単位(cfu)/mLの好適な試験生物を含有する懸濁液1mLを接種した。接種を暗所で実施した。微生物懸濁液の蒸発を防ぐため、ペトリ皿のカバーを試料の上に配置した。黒色絶縁テープを、LED−PSAの接続部を覆って巻き付け、放射された全ての光がPSAを通過することを確実なものとした。次いでLEDを9Vバッテリーに接続した。余分な光を侵入させないように、アルミホイルにより試料を覆い、28℃にて24時間にわたってインキュベートした。24時間のインキュベーション後、各試料を剥離ライナーから分離し、滅菌したストマッカー・バッグに配置し、100mLのD/E中和培養液を添加した。サンプルはSEWARD Model 400 Stomacher内で1分間処理した。10、10及び10までの連続希釈物を調製し、3M(商標)Petrifilm Aerobic Count(AC)を用いる好気性菌のプレート計数を、ペトリフィルムプレートを37℃にて48時間にわたってインキュベートした後に実施した。
【0128】
表1に記載のように、実施例1〜5を設計し、以下の変更点を加えたことを除き上記のように試験した。
【0129】
実施例1は抗微生物処理をしていない素のナイロン試料であった。対照として提供された。インキュベーター内に取り付けられた標準ランプによりインキュベートした。LED/PSA構成体は配置しなかった。
【0130】
実施例2はアクリジンイエローGナイロンであった。インキュベーター内に取り付けられた標準ランプによりインキュベートした。LED/PSA構成体は配置しなかった。
【0131】
実施例4は抗微生物処理をしていない素のナイロン試料であった。対照として提供された。この試料は暗所でインキュベートした。LED/PSA構成体は配置しなかった。
【0132】
実施例5はアクリジンイエローGナイロンであった。この試料は暗所でインキュベートした。LED/PSA構成体は配置しなかった。
【0133】
35℃±1℃にて48時間のインキュベーション後に試料あたりの全コロニー形成単位を記録し、実際のカウント数をlog/cmに変換した。試料は黄色ブドウ球菌に対して試験した(ATCC 6538)。
【0134】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
光感受性物質及び前記光源からの光を受容するよう適合させた粘弾性材料を含む、光活性化抗微生物物品と、を含む、光活性化抗微生物デバイス。
【請求項2】
前記粘弾性材料が、全内部反射により光を移送するよう適合している、請求項1に記載の光活性化抗微生物デバイス。
【請求項3】
前記光感受性物質が、前記粘弾性材料に組み込まれる、請求項1に記載の光活性化抗微生物デバイス。
【請求項4】
前記光活性化抗微生物物品が、前記粘弾性材料上に配置された光感受層を含み、前記光感受層が前記光感受性物質を含む、請求項1に記載の光活性化抗微生物デバイス。
【請求項5】
前記光感受層が、前記光感受性物質から本質的になる、請求項4に記載の光活性化抗微生物デバイス。
【請求項6】
前記光感受層が繊維性物質を含む、請求項4に記載の光活性化抗微生物デバイス。
【請求項7】
前記光感受層がポリマー材料を含む、請求項4に記載の光活性化抗微生物デバイス。
【請求項8】
前記光感受層が膜を含む、請求項4に記載の光活性化抗微生物デバイス。
【請求項9】
前記光感受性物質が染料を含む、請求項1に記載の光活性化抗微生物デバイス。
【請求項10】
前記光感受性物質がアナターゼ型二酸化チタンを含む、請求項1に記載の光活性化抗微生物デバイス。
【請求項11】
前記光感受性物質が、
電磁放射線を吸収する触媒であって、金属酸化物、金属硫化物、金属カルコゲン化物、リン化金属、ヒ化金属、非金属半導体、高分子半導体、光学活性ホモポリアニオン、及び光学活性ヘテロポリイオンからなる群から選択される、触媒と、
酸化又は反応してガスを生成するアニオンを含む固体であって、前記アニオンが、亜塩素酸塩、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、水硫化物、硫化物、次亜塩素酸塩、シアン化物及び硝酸塩からなる群から選択される、固体と、を包含する組成物を含む、請求項1に記載の光活性化抗微生物デバイス。
【請求項12】
前記粘弾性材料が感圧接着層を含む、請求項1に記載の光活性化抗微生物デバイス。
【請求項13】
前記光活性化抗微生物物品が更に基材を含み、前記粘弾性材料が前記基材上の層として配置される、請求項1に記載の光活性化抗微生物デバイス。
【請求項14】
前記基材が弾性フィルム支持体を含む、請求項13に記載の光活性化抗微生物デバイス。
【請求項15】
前記光活性化抗微生物デバイスが、前記粘弾性材料上に配置された剥離ライナーを更に含む、請求項1に記載の光活性化抗微生物デバイス。
【請求項16】
前記光活性化抗微生物物品が、更に、
弾性フィルム支持体であって、前記粘弾性材料が前記支持体上に粘弾層として配置される、弾性フィルム支持体と、
前記粘弾層の、前記支持体とは反対側の面上に配置された剥離ライナーと、を含み、
前記光感受性物質が前記粘弾層に組み込まれる、請求項1に記載の光活性化抗微生物デバイス。
【請求項17】
前記光活性化抗微生物物品が、更に、
フィルム支持体であって、前記粘弾性材料が前記支持体上に粘弾層として配置される、フィルム支持体と、
前記粘弾層の、前記支持体とは反対側の面上に配置された光感受層と、
前記粘弾層の、前記光感受層とは反対側の面上に配置されたライナーと、を含む、請求項1に記載の光活性化抗微生物デバイス。
【請求項18】
前記フィルム支持体が弾性フィルム支持体である、請求項17に記載の光活性化抗微生物デバイス。
【請求項19】
前記光源が前記粘弾性材料に接触する、請求項1に記載の光活性化抗微生物デバイス。
【請求項20】
前記光源が前記粘弾性材料に接触しない、請求項1に記載の光活性化抗微生物デバイス。
【請求項21】
前記光活性化抗微生物物品が、前記粘弾性材料を上に配置した基材を更に含み、前記基材は前記光源を含む、請求項1に記載の光活性化抗微生物デバイス。
【請求項22】
光感受性物質と、光源からの光を受容するよう適合させた感圧接着層とを含み、前記光を全内部反射により移送する、光活性化抗微生物物品。
【請求項23】
前記光感受性物質が前記感圧接着層に組み込まれる、請求項22に記載の光活性化抗微生物物品。
【請求項24】
前記光活性化抗微生物物品が、前記感圧接着層上に配置された光感受層を含み、前記光感受層が前記光感受性物質を含む、請求項22に記載の光活性化抗微生物物品。
【請求項25】
前記光感受性物質が染料を含む、請求項22に記載の光活性化抗微生物物品。
【請求項26】
前記光感受性物質がアナターゼ型二酸化チタンを含む、請求項22に記載の光活性化抗微生物物品。
【請求項27】
前記光感受性物質が、
電磁放射線を吸収する触媒であって、金属酸化物、金属硫化物、金属カルコゲン化物、リン化金属、ヒ化金属、非金属半導体、高分子半導体、光学活性ホモポリアニオン、及び光学活性ヘテロポリイオンからなる群から選択される、触媒と、
酸化又は反応してガスを生成するアニオンを含む固体であって、前記アニオンが、亜塩素酸塩、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、水硫化物、硫化物、次亜塩素酸塩、シアン化物及び硝酸塩からなる群から選択される、固体と、を包含する組成物を含む、請求項22に記載の光活性化抗微生物物品。
【請求項28】
前記光活性化抗微生物物品が更に弾性フィルム支持体を含み、前記感圧接着層が前記支持体上に配置される、請求項22に記載の光活性化抗微生物物品。
【請求項29】
前記光活性化抗微生物物品が、前記感圧接着層上に配置された剥離ライナーを更に含む、請求項22に記載の光活性化抗微生物物品。
【請求項30】
微生物の増殖を阻害する方法であって、
光源を提供する工程と、
光感受性物質及び前記光源からの光を受容するよう適合させた粘弾性材料を含む、光活性化抗微生物物品を提供する工程と、
前記光源と前記光感受性物質とを、前記光感受性物質が前記粘弾性材料からの光を吸収するように結合させる工程と、を含む、方法。
【請求項31】
前記光源と前記光感受性物質とを結合させる工程が、前記光源と前記粘弾性材料とを接触させることを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記光活性化抗微生物物品が、前記光源が前記光感受性物質と結合される前に患者の皮膚に適用される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記光活性化抗微生物物品が、前記光源が前記光感受性物質と結合された後に患者の皮膚に適用される、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
更に、
前記光活性化抗微生物物品を、微生物がその上に配置されている表面に当てる工程を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
更に、
前記光感受性物質により吸収された光を放出するように、前記光源を活性化する工程を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
医療用キットであって、
光源と、
前記光源からの光を受容するよう適合させた粘弾性材料と、
前記粘弾性材料により受容される光を吸収する光感受性物質を含む局所用組成物と、を含む、医療用キット。
【請求項37】
医療用キットの使用法であって、
光源を提供する工程と、
前記光源からの光を受容するよう適合させた粘弾性材料を提供する工程と、
局所用組成物を患者の皮膚に適用する工程であって、前記局所用組成物が、前記粘弾性材料により受容された光を吸収する光感受性物質を含む、局所用組成物を適用する工程と、
前記粘弾性材料により、前記局所用組成物を前記患者の皮膚に接触させる工程と、
前記光感受性物質が前記粘弾性材料からの光を吸収するように前記光源と前記光感受性物質を結合させる工程と、を含む、方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−531264(P2012−531264A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517671(P2012−517671)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/039577
【国際公開番号】WO2010/151563
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】