説明

光測定装置、光測定方法、及び光測定プログラム

【課題】 埃等の影響を抑制することが可能な光測定装置、光測定方法、及び光測定プログラムを提供する。
【解決手段】 マイクロプレート20などの試料保持部材によって保持された状態の試料からの蛍光を測定する蛍光測定装置1を、試料から放出される蛍光による2次元の蛍光画像を取得する画像取得部40と、蛍光画像を含む測定データに対して解析処理を行うデータ解析装置50とを備えて構成する。そして、蛍光画像について設定される測定領域に対して、所定条件下で取得された参照画像の測定領域内での光強度分布を光強度閾値と比較することで測定除外領域を抽出し、測定領域から測定除外領域を除いた領域を解析領域に設定して、蛍光画像の解析処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料から放出される蛍光や燐光、発光などの光を測定する光測定装置、光測定方法、及び光測定プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
創薬分野等において細胞などの試料からの蛍光を測定する方法として、マイクロプレートを利用した蛍光測定方法が用いられている(例えば、文献1:特開2001−188044号公報参照)。マイクロプレートは、それぞれ試料を保持可能な複数のウェル(テストホール)が設けられた板状の試料保持部材であり、各ウェル内に保持された試料から放出される蛍光を測定することで、試料の評価や必要な蛍光解析を効率的に行うことが可能である。
【特許文献1】特開2001−188044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記文献1に記載された蛍光測定装置では、試料から放出される蛍光を透過するように底面が形成されたマイクロプレートによって試料を保持し、その下方に設置された光検出手段によって蛍光を検出している。このようなマイクロプレートを用いた試料の蛍光測定においては、マイクロプレートの底面、あるいは試料が保持されるウェル内に埃やゴミ、汚れ等がある場合、その埃で発生する自家蛍光の影響が問題となる。また、このような埃等から放出される自家蛍光の影響以外にも、埃等による光の吸収、散乱の影響も問題となる。このような埃等の影響の問題は、マイクロプレート以外の試料保持部材を用いた場合にも同様に生じる。また、埃等に起因する上記の問題は、蛍光測定以外にも、燐光や発光など、試料からの光を測定する場合に一般に生じるものである。
【0004】
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、光測定における埃やゴミ、汚れ等の影響、例えば自家蛍光や光の吸収、散乱の影響、を抑制することが可能な光測定装置、光測定方法、及び光測定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的を達成するために、本発明による光測定装置は、試料保持部材によって保持された状態で測定位置に配置された試料からの光を測定する光測定装置であって、(1)試料から放出される光を含む2次元の光検出画像を取得する画像取得手段と、(2)光検出画像を含む測定データに対して解析処理を行うデータ解析手段とを備え、データ解析手段は、(3)画像取得手段によって取得された光検出画像に対して光測定に用いる測定領域を設定する測定領域設定手段と、(4)画像取得手段によって所定条件下で取得された参照画像を用い、参照画像の測定領域内での2次元の光強度分布を所定の光強度閾値と比較して測定除外領域を抽出する除外領域抽出手段と、(5)測定領域から測定除外領域を除くことによって光検出画像に対する解析領域を設定し、解析領域内での光強度を解析データとして、試料についての解析処理を行う解析処理手段とを有することを特徴とする。
【0006】
また、本発明による光測定方法は、試料保持部材によって保持された状態で測定位置に配置された試料からの光を測定する光測定方法であって、(1)試料から放出される光を含む2次元の光検出画像を取得する画像取得ステップと、(2)光検出画像を含む測定データに対して解析処理を行うデータ解析ステップとを備え、データ解析ステップは、(3)画像取得ステップによって取得された光検出画像に対して光測定に用いる測定領域を設定する測定領域設定ステップと、(4)画像取得ステップによって所定条件下で取得された参照画像を用い、参照画像の測定領域内での2次元の光強度分布を所定の光強度閾値と比較して測定除外領域を抽出する除外領域抽出ステップと、(5)測定領域から測定除外領域を除くことによって光検出画像に対する解析領域を設定し、解析領域内での光強度を解析データとして、試料についての解析処理を行う解析処理ステップとを含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明による光測定プログラムは、試料保持部材によって保持された状態で測定位置に配置された試料からの光を測定する光測定をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、(a)画像取得手段によって取得された、試料から放出される光を含む2次元の光検出画像に対して光測定に用いる測定領域を設定する測定領域設定処理と、(b)画像取得手段によって所定条件下で取得された参照画像を用い、参照画像の測定領域内での2次元の光強度分布を所定の光強度閾値と比較して測定除外領域を抽出する除外領域抽出処理と、(c)測定領域から測定除外領域を除くことによって光検出画像に対する解析領域を設定し、解析領域内での光強度を解析データとして、試料についての解析処理を行う解析処理とを含むデータ解析処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0008】
上記した光測定装置、光測定方法、及び光測定プログラムにおいては、試料からの蛍光や燐光、発光などの光を検出する光検出手段として、2次元の光検出画像(例えば蛍光画像、燐光画像、発光画像)を取得可能な画像取得手段を用いるとともに、埃等の影響についての参照画像として、所定条件下で2次元の参照画像を取得する。そして、この参照画像に対して光強度閾値を適用して埃に対応する測定除外領域を抽出し、通常の測定領域から測定除外領域を除いた領域を解析領域として、光検出画像を用いた試料についての解析処理を行っている。
【0009】
このような構成によれば、試料を保持するマイクロプレートなどの試料保持部材において測定領域内に埃等が存在する場合であっても、自家蛍光や光の吸収、散乱などによる埃等の影響を効果的に除去、抑制することが可能である。したがって、このような光測定装置及び光測定方法を用いることにより、光検出画像を用いた試料の評価等を、充分な精度で確実に行うことが可能となる。
【0010】
除外領域の抽出においては、具体的には、画像取得手段によって所定条件下で取得された参照画像を用い、参照画像の測定領域内での2次元の光強度分布を所定の光強度閾値と比較し、光強度分布中で光強度閾値を超える光強度を有する領域を抽出して測定除外領域とすることが好ましい。このような方法は、埃等の自家蛍光の影響が問題となる場合に有効である。あるいは、光強度分布中で光強度閾値より低い光強度を有する領域を抽出して測定除外領域とすることが好ましい。このような方法は、埃等による光の吸収、散乱の影響が問題となる場合に有効である。
【0011】
ここで、光測定装置において、解析処理手段は、解析処理として解析領域内での光強度分布における平均光強度を算出する処理を行う平均光強度算出手段を有することが好ましい。同様に、光測定方法において、解析処理ステップは、解析処理として解析領域内での光強度分布における平均光強度を算出する処理を行う平均光強度算出ステップを含むことが好ましい。同様に、光測定プログラムにおいて、解析処理は、解析処理として解析領域内での光強度分布における平均光強度を算出する処理を行う平均光強度算出処理を含むことが好ましい。このように、解析領域内での2次元の光強度分布から平均光強度を求める方法で蛍光解析処理などの解析処理を行うことにより、その解析領域において測定された光の光強度を用いた試料の評価等を、好適かつ簡便な方法で行うことができる。
【0012】
また、光測定装置のデータ解析手段は、除外領域抽出手段における測定除外領域の抽出に用いられる光強度閾値を設定する閾値設定手段を有することが好ましい。同様に、光測定方法のデータ解析ステップは、除外領域抽出ステップにおける測定除外領域の抽出に用いられる光強度閾値を設定する閾値設定ステップを含むことが好ましい。同様に、光測定プログラムのデータ解析処理は、除外領域抽出処理における測定除外領域の抽出に用いられる光強度閾値を設定する閾値設定処理を含むことが好ましい。あるいは、このような光強度閾値としては、あらかじめ設定された閾値を用いても良い。
【0013】
また、光測定装置の除外領域抽出手段は、測定領域に対して測定除外領域を抽出するか否かを選択可能に構成されていることが好ましい。同様に、光測定方法の除外領域抽出ステップは、測定領域に対して測定除外領域を抽出するか否かを選択可能に構成されていることが好ましい。同様に、光測定プログラムの除外領域抽出処理は、測定領域に対して測定除外領域を抽出するか否かを選択可能に構成されていることが好ましい。このような構成によれば、必要に応じて測定除外領域の抽出のON/OFFを切り換えて試料についての解析処理を行うことが可能となる。
【0014】
測定除外領域の抽出に用いられる参照画像については、光測定装置の除外領域抽出手段は、参照画像として、試料が試料保持部材によって保持された状態で取得された光検出画像(例えば蛍光画像)を用いる構成とすることができる。同様に、光測定方法の除外領域抽出ステップは、参照画像として、試料が試料保持部材によって保持された状態で取得された光検出画像を用いる構成とすることができる。同様に、光測定プログラムの除外領域抽出処理は、参照画像として、試料が試料保持部材によって保持された状態で取得された光検出画像を用いる構成とすることができる。
【0015】
あるいは、光測定装置の除外領域抽出手段は、参照画像として、試料とは別の参照用試料が試料保持部材によって保持された状態で取得された光検出画像(例えば蛍光画像)を用いる構成とすることができる。同様に、光測定方法の除外領域抽出ステップは、参照画像として、試料とは別の参照用試料が試料保持部材によって保持された状態で取得された光検出画像を用いる構成とすることができる。同様に、光測定プログラムの除外領域抽出処理は、参照画像として、試料とは別の参照用試料が試料保持部材によって保持された状態で取得された光検出画像を用いる構成とすることができる。
【0016】
また、光測定装置では、試料保持部材が、それぞれ試料を保持可能な複数のウェルが2次元アレイ状に配置されたマイクロプレートであり、データ解析手段において、測定領域、及び解析領域を、マイクロプレートでの複数のウェルのそれぞれに対して設定することとしても良い。同様に、光測定方法では、試料保持部材が、それぞれ試料を保持可能な複数のウェルが2次元アレイ状に配置されたマイクロプレートであり、データ解析ステップにおいて、測定領域、及び解析領域を、マイクロプレートでの複数のウェルのそれぞれに対して設定することとしても良い。同様に、光測定プログラムでは、試料保持部材として、それぞれ試料を保持可能な複数のウェルが2次元アレイ状に配置されたマイクロプレートを用い、データ解析処理において、測定領域、及び解析領域を、マイクロプレートでの複数のウェルのそれぞれに対して設定することとしても良い。このような構成によれば、マイクロプレートを用いた光測定、及びそれによる試料の評価等を好適に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の光測定装置、光測定方法、及び光測定プログラムによれば、所定条件下で取得された埃等の影響を含む2次元の参照画像に対し、光強度閾値を適用して埃等に対応する測定除外領域を抽出し、通常の測定領域から測定除外領域を除いた領域を解析領域として光検出画像を用いた試料についての解析処理を行うことにより、自家蛍光や光の吸収、散乱などによる埃等の影響を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面とともに本発明による光測定装置、光測定方法、及び光測定プログラムの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0019】
図1は、本発明による光測定装置の一例である蛍光測定装置の一実施形態を模式的に示す構成図である。また、図2は、マイクロプレートの構成の一例を示す斜視図である。また、図3は、図2に示したマイクロプレートの断面構造を示す側面断面図である。本実施形態による蛍光測定装置1は、試料保持部材としてマイクロプレート20を用い、マイクロプレート20によって保持された状態で測定位置Pに配置された試料S(図3参照)からの蛍光を測定するための装置である。
【0020】
なお、試料Sについては、蛍光測定の対象となるものであれば特に限定されないが、細胞や抗体などの生体試料が例として挙げられる。また、本発明による光測定装置、光測定方法、及び光測定プログラムは、蛍光測定以外にも、例えば燐光や発光など、試料からの光を測定する光測定に一般に適用可能であるが、以下においては、主として、その一例である蛍光測定装置、蛍光測定方法、及び蛍光測定プログラムについて説明する。以下、本蛍光測定装置1の構成について説明する。
【0021】
図1に示す蛍光測定装置1は、データ取得装置10、励起光源30、及びデータ解析装置50を備えて構成されている。データ取得装置10は、蛍光測定の対象となる試料Sを保持したマイクロプレート20が内部に収容される暗箱15と、暗箱15の内部に設置されて測定位置Pに配置された試料Sからの蛍光の測定に用いられる画像取得部40とを有している。
【0022】
本実施形態において試料保持部材として用いられているマイクロプレート20は、図2及び図3に示すように、複数のウェル(テストホール)21が2次元アレイ状に配置された板状部材であり、その複数のウェル21のそれぞれにおいて、試料Sを保持可能な構成となっている。図2に示した構成例では、複数のウェル21として、8×12=96個のウェル21が2次元アレイ状に配置されている。また、このマイクロプレート20の底面22は、試料Sに照射される蛍光測定用の励起光、及び試料Sから放出される蛍光を透過可能な材質によって形成されている。
【0023】
暗箱15内においては、マイクロプレート20は、蛍光観察用の開口を有するマイクロプレートホルダ11によって保持されている。また、これらのマイクロプレート20及びホルダ11に対して、暗箱15内で所定の方向を搬送方向(図1中においては、右側から左側へと向かう方向)とするマイクロプレート搬送機構12が設置されている。
【0024】
搬送機構12でのマイクロプレート20の搬送方向に対して搬入側となる暗箱15の一方側には、試料Sが保持された測定前のマイクロプレート20を所定枚数(例えば、25枚)ストックしておくための搬入側マイクロプレートストッカー13が設置されている。また、マイクロプレート20の搬送方向に対して搬出側となる暗箱15の他方側には、測定後のマイクロプレート20をストックしておくための搬出側マイクロプレートストッカー14が設置されている。
【0025】
このような構成において、搬入側マイクロプレートストッカー13から暗箱15内へと搬入されたマイクロプレート20は、マイクロプレートホルダ11によって保持されるとともに搬送機構12によって搬送される。そして、マイクロプレート20は測定位置Pで一旦停止させられ、この状態で、マイクロプレート20によって保持された試料Sに対して必要な光測定、本測定装置1においては蛍光測定、が行われる。測定完了後、マイクロプレート20は再び搬送機構12によって搬送され、搬出側マイクロプレートストッカー14へと搬出される。なお、図1においては、搬送機構12、及びストッカー13、14については、マイクロプレート20を搬入、搬送、搬出するための具体的な構成の図示を省略している。
【0026】
蛍光測定の実行時にマイクロプレート20、及びそれに保持された試料Sが配置される測定位置Pに対し、測定位置Pの上方には、マイクロプレート20の各ウェル21内に試薬等を注入するための分注装置16が設置されている。また、測定位置Pの下方には、ウェル21内に収容された試料Sからマイクロプレート20の底面22を介して放出される蛍光の測定に用いられる画像取得部40が設置されている。
【0027】
本実施形態においては、画像取得部40は、試料Sから放出される蛍光による2次元の光検出画像である蛍光画像を取得可能な2次元CCDなどの撮像装置45を有している。一般には、光測定装置での画像取得部は、試料Sから放出される蛍光や燐光、発光などの光を含む2次元の光検出画像を取得可能に構成される。また、マイクロプレート20が配置される測定位置Pと、撮像装置45との間には、導光光学系41が設置されている。
【0028】
この導光光学系41は、複数のウェル21のそれぞれに試料Sが保持されたマイクロプレート20を底面22側からみた2次元光像を撮像装置45へと導く光学系である。導光光学系41の具体的な構成については、マイクロプレート20及び撮像装置45の構成等に応じ、必要な機能(例えば集光機能、光像縮小機能等)を実現可能な光学素子によって適宜構成すれば良い。文献1:特開2001−188044号公報においては、そのような導光光学系として、テーパファイバを用いる構成を例示している。
【0029】
また、図1においては、さらに、導光光学系41と撮像装置45との間に、必要に応じて蛍光の導光光路上への光学フィルタの配置、切換等を行うことが可能な光学フィルタ部42が設置されている。ただし、このような光学フィルタ部42については、不要であれば設けなくても良い。
【0030】
また、マイクロプレート20のウェル21内の試料Sに対し、蛍光画像を取得するための画像取得部40に加えて、励起光源30が設置されている。この励起光源30は、試料Sに対して蛍光測定用の励起光を供給するための励起光供給手段である。励起光源30の具体的な構成としては、蛍光測定の対象となる試料Sの種類、試料Sに照射する励起光の波長等に応じて適宜構成すれば良いが、例えば、光を供給する照明光源と、励起光の波長の選択、切換を行うための光学フィルタ部とによって構成することができる。また、試料Sに対して行われる光測定の種類により、励起光の供給が不要な場合には、励起光源30を設けない構成としても良い。
【0031】
本実施形態においては、励起光源30は図1に示すように暗箱15に対して外側に配置されており、励起光源30から供給される励起光は、励起光供給用ライトガイド31及び導光光学系41を介して試料Sへと照射される構成となっている。このような構成では、導光光学系41は、マイクロプレート20及び試料Sからの2次元光像を撮像装置45へと導くとともに、励起光源30からの励起光を試料Sへと導くことが可能な光学系として構成される。このような光学系は、例えば、マイクロプレート20からの蛍光を通過させるとともに、励起光源30からの励起光を反射させるダイクロイックミラー等を用いて構成することができる。なお、図1においては、導光光学系41における蛍光及び励起光の光路を、それぞれ実線及び破線によって模式的に示している。
【0032】
これらの画像取得部40を含むデータ取得装置10、及び励起光源30に対し、データ解析装置50が設けられている。このデータ解析装置50は、画像取得部40によって光検出画像として取得された蛍光画像を含む測定データに対して、解析処理を行う解析手段である。また、データ解析装置50は、データ取得装置10及び励起光源30の各部の動作を制御することによって、本蛍光測定装置1における試料Sに対する蛍光測定を制御する。また、図1においては、データ解析装置50に対して、測定結果等を表示する表示装置71と、データの入力や蛍光測定に必要な指示の入力等に用いられる入力装置72とが接続されている。
【0033】
以上の構成において、マイクロプレート20のウェル21内に保持され、暗箱15内で測定位置Pに配置された試料Sに対し、ライトガイド31及び導光光学系41を介して、励起光源30から供給された蛍光測定用の励起光が照射される(励起光供給ステップ)。そして、試料Sから放出された蛍光を含む2次元光像は、導光光学系41を介して撮像装置45へと導かれ、撮像装置45によって2次元の蛍光画像が取得される(画像取得ステップ)。画像取得部40によって取得された蛍光画像を含む測定データは、データ解析装置50へと送られる。そして、データ解析装置50は、入力された測定データに対して、試料Sの評価等に必要な解析処理を行う(データ解析ステップ)。
【0034】
次に、本実施形態の蛍光測定装置1におけるデータ解析装置50の具体的な構成、及びデータ解析方法について説明する。図4は、図1に示した蛍光測定装置1に用いられるデータ解析装置50の構成の一例を示すブロック図である。本データ解析装置50は、解析処理部51と、測定領域設定部56と、除外領域抽出部57と、閾値設定部58とを有して構成されている。
【0035】
解析処理部51は、データ取得装置10の画像取得部40によって取得された試料Sの光検出画像である蛍光画像に対して設定された解析領域に基づき、解析領域内での光強度を解析データとして、試料Sについての蛍光解析処理を行う解析処理手段である。本構成例においては、解析処理部51は、平均光強度算出部52と、解析データ選択部53とを有している。
【0036】
解析データ選択部53は、データ取得装置10から入力された測定データの蛍光画像に対して、蛍光解析処理に用いられる解析領域を設定する。そして、蛍光画像の画像データから解析領域に基づいて必要なデータを選択して解析データとする。また、平均光強度算出部52は、解析データ選択部53によって選択された解析データを用い、試料Sについての蛍光解析処理として、解析領域内での光強度分布における平均光強度を算出する処理を行う(解析処理ステップ、平均光強度算出ステップ)。
【0037】
また、図4に示す解析処理部51においては、データ取得装置10から入力される蛍光画像などの測定データに対して、測定データ補正部54が設けられている。測定データ補正部54は、画像取得部40によって取得された蛍光画像に対するダーク補正、自家蛍光補正、シェーディング補正など、測定データに対して必要な補正(後述)を行う。
【0038】
解析処理部51において蛍光画像に対して適用される解析領域は、測定領域設定部56によって設定される測定領域と、除外領域抽出部57によって抽出される測定除外領域とに基づいて設定される。測定領域設定部56は、画像取得部40によって取得された蛍光画像に対して、試料Sについての蛍光測定に用いる測定領域を設定する(測定領域設定ステップ)。この測定領域は、例えば、マイクロプレート20において試料Sが保持されているウェル21の画像取得部40側からみた円形状の平面形状など、試料Sが存在する領域の形状等に基づいて設定される。
【0039】
除外領域抽出部57は、画像取得部40によって所定条件下で取得されたマイクロプレート20の2次元画像を参照画像とし、その参照画像を用いて、蛍光解析処理から除かれる測定除外領域を抽出する(除外領域抽出ステップ)。この測定除外領域は、後述するように、マイクロプレート20での埃等の影響を除去するためのものである。
【0040】
具体的には、除外領域抽出部57は、参照画像の測定領域内での2次元の光強度分布を所定の光強度閾値と比較する。そして、その光強度分布中で光強度閾値を超える光強度を有する領域を抽出して測定除外領域とする。あるいは、除去しようとする埃等の影響に応じ、光強度分布中で光強度閾値より低い光強度を有する領域を抽出して測定除外領域とする。また、図4においては、この除外領域抽出部57に対して、閾値設定部58が設けられている。閾値設定部58は、上記のように測定除外領域の抽出に用いられる光強度閾値を所定の方法で設定する(閾値設定ステップ)。
【0041】
解析処理部51で蛍光画像の解析処理に用いられる解析領域は、解析データ選択部53において、測定領域設定部56で設定された測定領域から、除外領域抽出部57で抽出された測定除外領域を除いた領域によって設定される。なお、光強度分布を光強度閾値と比較した結果、測定除外領域が抽出されなかった場合には、測定領域がそのまま解析領域に設定される。また、光検出画像に対する測定領域の設定方法、測定除外領域の抽出方法、測定除外領域の抽出に用いられる参照画像等については、具体的には後述する。
【0042】
また、図4に示すデータ解析装置50においては、データ記憶手段として、測定データ記憶部61、閾値データ記憶部62、及び補正データ記憶部63が設けられている。測定データ記憶部61は、データ取得装置10から入力された測定データ、あるいは測定データ補正部54によって補正された測定データ等の格納に用いられる。また、閾値データ記憶部62は、閾値設定部58で設定される閾値に関するデータ等の格納に用いられる。また、補正データ記憶部63は、測定データ補正部54で測定データの補正を行う際に必要な補正データ等の格納に用いられる。
【0043】
図5は、図4に示したデータ解析装置50のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。本構成例におけるデータ解析装置50は、バス80と、バス80に接続されたCPUなどの演算部81とを有している。また、バス80には、画像メモリ82、外部装置接続用のインターフェース83、プログラム記憶部84、及びデータ記憶部85が接続されており、これによってデータ解析装置50が構成されている。
【0044】
画像メモリ82は、データ取得装置10の画像取得部40で取得された蛍光画像などの画像データの入力等に用いられる。インターフェース83は、データ取得装置10、励起光源30などの蛍光測定装置1を構成する外部装置を接続するために用いられる。プログラム記憶部84は、データ取得装置10の動作、データ取得装置10で取得された測定データの解析等に必要なプログラムが格納され、また、必要に応じて作業領域、パラメータ領域等が設けられる。データ記憶部85は、例えば、図4に示した構成におけるデータ記憶部61、62、63に対応している。
【0045】
また、このデータ取得装置50のバス80には、表示装置71として用いられるモニタ73、及び入力装置72として用いられるキーボード74、マウス75等が接続されている。また、必要に応じて、ハードディスクなどの外部記憶装置をさらに接続しても良い。
【0046】
本実施形態による蛍光測定装置1、及び蛍光測定方法の効果について説明する。
【0047】
図1〜図5に示した蛍光測定装置1、及び蛍光測定方法においては、試料Sからの蛍光を検出する光検出手段として、2次元の蛍光画像を取得可能な撮像装置45を含む画像取得部40を用いるとともに、この画像取得部40によって所定条件下で2次元の参照画像を取得する。そして、この参照画像に対して所定の光強度閾値を適用して測定除外領域を抽出し、通常の測定領域から測定除外領域を除いた領域を解析領域として、蛍光画像を用いた試料Sについての蛍光解析処理を行っている。
【0048】
ここで、上記のように試料Sがマイクロプレート20のウェル21内に保持された状態で蛍光測定を行う構成では、試料保持部材であるマイクロプレート20において、その底面22、あるいはウェル21内などに埃やゴミ、汚れ等(以下、これらを総称して埃という)が存在する場合がある。そして、このような場合には、その埃で発生する自家蛍光や光の吸収、散乱などの現象が、試料Sに対して行われる蛍光測定の結果に影響し、蛍光の測定精度、試料の評価精度等が劣化することが問題となる。これに対して、上記実施形態の蛍光測定装置1では、所定条件下で埃等の影響についての2次元の参照画像を取得し、この参照画像に対して光強度閾値を適用することによって、埃に対応する領域として測定除外領域を抽出している。
【0049】
すなわち、画像取得部40によって取得されるマイクロプレート20の2次元光像による参照画像では、埃が存在する部位において、その自家蛍光によって他の部位よりも検出される光強度が大きくなる。これに対して、参照画像から得られる測定領域内での光強度分布に対して適切な光強度閾値を設定しておき、例えば閾値を超える光強度を有する領域を抽出して測定除外領域とするなどの方法を用いることにより、埃に対応する領域を蛍光解析処理から除くことが可能である。また、埃による光の吸収、散乱が問題になる場合、埃が存在する部位において、それによる光の吸収、散乱によって他の部位よりも検出される光強度が小さくなる。これに対して、例えば閾値より低い光強度を有する領域を抽出して測定除外領域とするなどの方法を用いることにより、埃に対応する領域を蛍光解析処理から除くことが可能である。
【0050】
このような方法を用いることにより、試料Sを保持するマイクロプレート20などの試料保持部材において測定領域内に埃が存在する場合であっても、埃等の影響を効果的に除去、抑制することができ、蛍光画像を用いた試料の評価等を充分に高い精度で確実に行うことが可能となる。なお、具体的な光強度閾値の適用方法については、上記したように、問題となる埃等の影響に応じて設定することが好ましい。また、このような方法は、蛍光画像に対する解析処理以外にも、試料から放出される光を含む2次元の光検出画像に対する解析処理において一般に適用可能である。
【0051】
また、データ解析装置50の解析処理部51で行われる蛍光解析処理などの解析処理については、図4に示した構成例では、平均光強度算出部52によって解析領域内での2次元の光強度分布における平均光強度を算出する方法を用いている。このように、解析領域での平均光強度を求める方法で試料についての解析処理を行うことにより、その解析領域において測定された蛍光などの光の光強度を用いた試料Sの評価等を、好適かつ簡便な方法で行うことができる。また、光検出画像に対する解析処理としては、解析領域内での光強度の平均値を求める方法以外にも、例えば、光強度のメディアン値を求める方法、2次元の光強度分布を直接用いる方法など、様々な方法を用いて良い。
【0052】
また、除外領域抽出部57において測定除外領域の抽出に用いられる光強度閾値については、図4に示した構成例では、閾値設定部58において設定された閾値を用いることとしている。この場合の光強度閾値の設定方法としては、例えば、参照画像などの測定データから閾値を求める方法、操作者による入力装置72からの入力データによって閾値を設定する方法などを用いることができる。あるいは、あらかじめ設定された閾値を用いる構成としても良い。
【0053】
なお、画像取得部40によって取得される2次元画像における光強度分布は、実際には2次元画像を構成する各画素(撮像装置45の2次元画素構造に対応)での輝度値の分布データとして取得される。したがって、このような場合には、上記した光強度閾値を画像データでの輝度値に対する閾値として設定しておくことが好ましい。これにより、2次元の参照画像の各画素での輝度値と、閾値とを比較することによって、測定除外領域を好適に抽出することができる。
【0054】
また、除外領域抽出部57での領域抽出処理については、それぞれの測定領域に対して測定除外領域を抽出するか否かを選択可能(切換可能)としても良い。このような構成によれば、例えば、埃が存在してもその自家蛍光や光の吸収、散乱などの影響が無視できるような場合に測定除外領域の抽出をOFFにするなど、必要に応じて測定除外領域の抽出処理のON/OFFを切り換えることが可能となる。これにより、データ解析装置50において行われる解析処理の効率が向上される。また、このようなON/OFFの選択、切換については、例えば操作者による入力装置72からの指示に基づいて行う構成とすることが好ましい。
【0055】
また、図1に示した蛍光測定装置1においては、試料Sを保持する試料保持部材として複数のウェル21を有するマイクロプレート20を用いている。このようにマイクロプレート20が用いられる場合には、データ解析装置50において、画像取得部40によって取得される蛍光画像などの光検出画像に対する測定領域、解析領域、及び必要があれば測定除外領域を、複数のウェル21のそれぞれに対して設定することが好ましい。
【0056】
このように、マイクロプレート20での複数のウェル21に対応するように、データ解析装置50において複数の解析領域等を設定して試料についての解析処理を行うことにより、複数のウェル21に収容された試料Sのそれぞれに対して、光測定による試料Sの評価等を個別かつ同時に実行することが可能となる。
【0057】
例えば、図2に示したように8×12=96個のウェル21を有するマイクロプレート20を用いた場合、画像取得部40によって取得される2次元の光検出画像は、図6にその一例を示すように、8×12=96個でそれぞれが円形状のウェル像(試料像)を含む画像となる。この場合、図7に示すように、マイクロプレート20の構成に対応して96個の円形状の測定領域を設定することにより、96個のウェル21に収容された試料Sのそれぞれに対して、必要な解析処理を実行することができる。なお、この図7に示したような測定領域については、例えば、光測定装置において用いられるマイクロプレート20のウェル構造に対応させて、あらかじめプレートマップデータとして用意しておくことが好ましい。あるいは、マイクロプレート20の画像を取得した上で、その画像を参照してプレートマップデータを作成しても良い。
【0058】
また、上記した蛍光測定装置1において実行される蛍光測定方法、特にデータ解析装置50において実行されるデータ解析方法に対応する処理は、試料保持部材によって保持された状態で測定位置に配置された試料からの蛍光を測定する蛍光測定をコンピュータに実行させるための蛍光測定プログラムによって実現可能である。また、一般に蛍光や燐光、発光などの試料からの光を対象とした光測定装置についても、光測定装置において実行される光測定方法、特にデータ解析方法に対応する処理は、試料からの光を測定する光測定をコンピュータに実行させるための光測定プログラムによって実現可能である。
【0059】
例えば、蛍光測定装置1のデータ解析装置50は、図5に例示したようにデータ解析処理に必要な各ソフトウェアプログラムなどが記憶させるROMと、プログラム実行中に一時的にデータが記憶されるRAMとが接続されたCPUによって構成することができる。このような構成において、CPUによって所定の光測定プログラムである蛍光測定プログラムを実行することにより、データ解析装置50、及びそれを含む蛍光測定装置1を実現することができる。
【0060】
このような光測定プログラムとしては、例えば、画像取得手段によって取得された、試料から放出される光を含む2次元の光検出画像に対して光測定に用いる測定領域を設定する測定領域設定処理と、画像取得手段によって所定条件下で取得された参照画像を用い、参照画像の測定領域内での2次元の光強度分布を所定の光強度閾値と比較して測定除外領域を抽出する除外領域抽出処理と、測定領域から測定除外領域を除くことによって光検出画像に対する解析領域を設定し、解析領域内での光強度を解析データとして、試料についての解析処理を行う解析処理とを含むデータ解析処理をコンピュータに実行させるように構成されたプログラムを用いることが好ましい。
【0061】
また、光測定のための各処理をCPUに実行させるための上記したプログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録して頒布することが可能である。このような記録媒体には、例えば、ハードディスク及びフレキシブルディスクなどの磁気媒体、CD−ROM及びDVD−ROMなどの光学媒体、フロプティカルディスクなどの磁気光学媒体、あるいは、プログラム命令を実行または格納するように特別に配置された、例えばRAM、ROM、及び半導体不揮発性メモリなどのハードウェアデバイスなどが含まれる。
【0062】
試料Sの光測定における埃等の影響、光検出画像での測定領域に対する測定除外領域の抽出、及びそれによる効果について、さらに具体的に説明する。なお、ここでは、試料Sの蛍光測定を例として、主に埃の自家蛍光の影響について検討する。また、以下においては、マイクロプレート20における単一のウェル21に着目し、ウェル21に対して取得される画像、設定される領域等を用いて具体的な蛍光測定方法、解析方法について説明する。マイクロプレート20に含まれる複数のウェル21の全体に対して蛍光測定を行う場合には、それぞれのウェル21に対して同様の処理を行えば良い。
【0063】
図8は、マイクロプレート20の単一のウェル21に対応する蛍光画像、測定領域、測定除外領域、及び解析領域の例を示す図である。図8(a)は、ウェルに埃が存在しない場合の蛍光画像の一例を示している。このような蛍光画像に対して、図8(b)に示すように、ウェルの平面形状に対応した円形状の測定領域R1が設定される。また、この例では、埃が存在しないため、この測定領域R1がそのまま解析領域R3となる。
【0064】
一方、図8(c)は、ウェルに埃が存在する場合の蛍光画像の一例を示している。この画像では、埃の形状に対応して光強度が大きい領域(埃の像)が生成されている。このような蛍光画像を参照画像として考え、適当な光強度閾値を適用して測定除外領域の抽出を行うと、図8(d)に示すように、円形状の測定領域R1内において、埃の像に対応する形状の測定除外領域R2が抽出される。そして、測定領域R1から測定除外領域R2を除いた領域(図中で斜線を付した領域)を解析領域R3とすることにより、蛍光解析処理における埃の自家蛍光の影響を抑制することができる。
【0065】
図8に示した蛍光画像に対する解析処理について、さらに具体的に説明すると、埃が存在しない図8(a)の蛍光画像では、測定領域R1と一致している解析領域R3内での光強度分布について、その平均光強度Avが求められる。そして、この平均光強度Avに対して補正係数α、βを用いてダーク補正等の必要なデータ補正を行うことにより、光強度データDが
D=(Av+α)×β
によって求められる。
【0066】
一方、埃が存在する図8(c)の蛍光画像では、測定領域R1をそのまま解析領域とした場合、求められる平均光強度は埃の自家蛍光によるオフセットγが加わってAv+γとなる。また、この平均光強度Av+γに対してデータ補正を行うと、光強度データDは
D=(Av+γ+α)×β
となり、データDが埃の自家蛍光によるオフセットγの影響を受けることとなる。
【0067】
これに対して、図8(d)に示したように、光強度閾値に基づいて抽出された測定除外領域R2を測定領域R1から除いて解析領域R3を設定することにより、埃の自家蛍光の影響が除去された解析領域R3内での光強度分布を用いることとなるので、本来の平均光強度Av、及び光強度データDを求めることが可能となる。また、埃の自家蛍光の影響が残った場合でも、測定領域R1をそのまま解析領域とした場合に比べて、その影響を充分に抑制することができる。
【0068】
また、図8(c)に示したような蛍光画像を参照画像とする場合、測定除外領域R2の抽出に適用する光強度閾値については、上記したようにあらかじめ設定された閾値を用いることができる。あるいは、各参照画像に応じて確実に測定除外領域R2の抽出を行う上では、参照画像から閾値を設定する方法を用いることが好ましい。そのような設定方法の具体例としては、測定領域R1の全体での平均光強度を求め、得られた平均光強度に対して所定の閾値設定係数を掛け合わせた値を光強度閾値とする方法が挙げられる。
【0069】
また、通常の測定領域R1についてマイクロプレート20に対応するプレートマップデータが作成されている場合には、測定除外領域R2の抽出結果に基づいてプレートマップデータを修正し、埃の影響が除去された解析領域R3のプレートマップデータを作成して蛍光解析処理に用いることが好ましい。
【0070】
ここで、試料Sの評価等のための蛍光測定は、例えば試料Sを刺激した際の光強度の時間変化を測定することによって行われるが、その具体的な解析方法としては、蛍光強度の絶対値を用いる方法、及び蛍光強度の変化量を示す比(レシオ)を用いる方法がある。測定除外領域を抽出して解析を行う上記の手法は、絶対値解析及びレシオ解析のいずれの解析方法が適用される場合でも効果があるが、特に、レシオ解析を行う場合に有効である。
【0071】
図9は、蛍光画像から得られる光強度の時間変化の例を示す図である。図9(a)は、蛍光画像に対して絶対値解析を行って得られる光強度の時間変化のグラフであり、横軸は時間tを示し、縦軸は各時刻tでの光強度データD(t)を示している。また、グラフ中において、実線は埃なしでの光強度データを示し、破線は埃ありでの光強度データを示している。このグラフに示すように、絶対値解析による光強度の時間変化では、埃からの自家蛍光による光強度のオフセットがあるが、試料Sからの蛍光による時間変化量は埃の有無にかかわらず同じとなる。
【0072】
一方、図9(b)は、蛍光画像に対してレシオ解析を行って得られる強度比の時間変化のグラフであり、横軸は時間tを示し、縦軸は時刻t=0を基準とした各時刻tでの光強度データの強度比D(t)/D(0)を示している。また、グラフ中において、実線は埃なしでの強度比データを示し、破線は埃ありでの強度比データを示している。このグラフに示すように、レシオ解析で得られる強度比の時間変化では、上記した光強度のオフセットによって時刻0での光強度D(0)と、時刻tでの光強度D(t)との比が変化してしまい、試料Sからの蛍光による時間変化量が埃ありの場合に小さくなってしまう。これに対して、上記方法によって埃の自家蛍光の影響が除去される解析処理を行えば、埃によって強度比の時間変化量が小さくなることが防止され、その測定精度が向上される。
【0073】
なお、上記のように強度比を用いるレシオ解析法は、光強度をそのまま用いる絶対値解析法に比べていくつかの利点を持っている。まず、光強度データD(t)のベースラインについては、埃によるオフセット以外にも様々な要因で変動する場合があるが、強度比を用いることにより、ベースラインを簡単に揃えることができる。また、ベースラインが揃うことにより、蛍光による光強度の変化量の評価が容易である。また、光強度の比をとることにより、試料Sの濃度ばらつき等の影響を相殺することができる。
【0074】
次に、測定除外領域の抽出に用いられる参照画像について説明する。このような参照画像としては、例えば、試料Sがマイクロプレート20によって保持された状態で取得された蛍光画像や発光画像等の光検出画像を用いることができる。この場合の光検出画像としては、光解析に用いられる本測定での測定データを用いることができる。あるいは、試料Sを配置した状態で本測定に先立って行われる較正測定での較正データを用いても良い。
【0075】
また、参照画像として、試料Sとは別の参照用試料がマイクロプレート20によって保持された状態で取得された光検出画像を用いることができる。特に、参照用試料を用いて蛍光画像を取得する場合、参照用試料として蛍光物質を実質的に含まない試料(コントロールサンプル)を用いることが好ましい。このような参照用試料としては、例えば純水が挙げられる。
【0076】
純水などの参照用試料に対して取得された蛍光画像を参照画像とする場合、埃が存在する部位以外では、参照用試料が蛍光物質を含まないために光強度が充分に小さい。このため、測定領域内での光強度分布による埃の識別、及び光強度閾値を用いた測定除外領域の抽出を容易かつ確実に実行可能である。蛍光物質を含まない参照用試料に対して得られる参照画像のデータは、下記に詳述する自家蛍光補正において、自家蛍光補正データとして好適に使用することができる。
【0077】
その他の参照用試料としては、蛍光物質が挙げられる。所定濃度の蛍光物質をマイクロプレートに均一に入れた状態で取得された蛍光画像を参照画像とする場合、得られる参照画像のデータは、下記に詳述するシェーディング補正において、シェーディング補正データとして好適に使用することができる。このような参照用試料を用いた参照画像は、例えば、試料Sに対する蛍光測定前で、補正データを作成するための予備的測定時に取得することができる。
【0078】
次に、光検出画像から得られる光強度データ等に対して行われる補正、及び補正に用いられる補正データの取得等について説明する。蛍光画像などの光検出画像に対する補正としては、具体的には(1)ダーク補正、(2)自家蛍光補正、及び(3)シェーディング補正の3つの補正がある。これらの各補正は、それぞれの蛍光測定装置1などの光測定装置の構成や要求される測定精度などを考慮して、必要に応じて適宜行われる。また、これらの補正に用いられる補正データは、通常、試料Sに対する本測定に先立って、それぞれ所定の条件下で予備的測定を行うことで取得される。
【0079】
ダーク補正は、光検出画像の取得に用いられる撮像装置45(図1参照)についての補正である。CCDカメラなどの撮像装置45では、通常、暗中でもある程度の出力(輝度値)を持っている。ダーク補正では、暗中で励起光を照射しない条件下で撮像装置45によって画像を取得し、得られた画像データをダーク補正データとする。そして、測定データ取得時に補正データを差し引くことにより、ダーク補正を行う。
【0080】
自家蛍光補正は、試料Sを保持するマイクロプレート20等に起因する蛍光についての補正である。上記のように、マイクロプレート20の底面22やウェル21内に埃がある場合、埃に起因する自家蛍光が問題になるが、埃が存在しない場合でもマイクロプレート20の材質自体で、ある程度の自家蛍光が発生する。このようなマイクロプレート20自体の自家蛍光の影響が問題になる場合には、水やバッファなどの自家蛍光参照用の試料がマイクロプレート20によって保持された状態で参照画像となる蛍光画像を取得し、得られた画像データを自家蛍光補正データとする。そして、測定データ取得時に補正データを差し引くことにより、自家蛍光補正を行う。
【0081】
図10は、自家蛍光補正データの導出方法の一例を示すフローチャートである。この方法では、まず、上記したように暗中の条件下でダーク補正用の画像を取得し(ステップS101)、ダーク補正データD11を求める。次に、純水などの参照用試料をマイクロプレート20に入れて、励起光を照射して自家蛍光補正用の画像を取得する(S102)。そして、得られた蛍光測定データD10に対して、ダーク補正データD11を差し引くダーク補正を行う(S103)ことにより、自家蛍光補正データD12
D12=D10−D11
が導出される。
【0082】
シェーディング補正は、撮像装置45や導光光学系41を含む光学系に起因するデータばらつきについての補正である。シェーディング補正では、例えば蛍光測定においては、蛍光試料をマイクロプレート20に均一に入れた状態で参照画像の光検出画像となる蛍光画像を取得し、得られた画像データをシェーディング補正データとする。そして、測定データ取得時に補正データを用いて、シェーディング補正を行う。
【0083】
図11は、シェーディング補正データの導出方法の一例を示すフローチャートである。この方法では、まず、上記したように暗中の条件下でダーク補正用の画像を取得し(ステップS201)、ダーク補正データD21を求める。次に、均一な蛍光試料をマイクロプレート20に入れて、励起光を照射してシェーディング補正用の画像を取得する(S202)。そして、得られた蛍光測定データD20に対して、ダーク補正データD21を差し引くダーク補正を行い(S203)、さらにあらかじめ取得された自家蛍光補正データD22を差し引く自家蛍光補正を行う(S204)ことにより、シェーディング補正データD23
D23=D20−D21−D22
が導出される。
【0084】
これらの補正データを取得後に試料Sに対して本測定を行う場合、本測定で得られた測定データに対する補正(図4に示した解析処理部51の測定データ補正部54参照)は、例えば以下のように行われる。
【0085】
図12は、補正された光測定データの導出方法の一例を示すフローチャートである。この方法では、まず、上記したように暗中の条件下でダーク補正用の画像を取得し(ステップS301)、ダーク補正データD31を求める。次に、測定対象となる試料Sをマイクロプレート20に入れて、励起光を照射して本測定の光検出画像である蛍光画像を取得する(S302)。そして、得られた蛍光測定データD30に対して、ダーク補正データD31を差し引くダーク補正を行い(S303)、さらにあらかじめ取得された自家蛍光補正データD32を差し引く自家蛍光補正(D304)、及びシェーディング補正データD33によって補正するシェーディング補正を行う(D305)ことにより、補正された蛍光測定データD35
D35=(D30−D31−D32)/D33×(D33の平均値)
が導出される。
【0086】
ここで、測定除外領域の抽出に用いる参照画像に関して上記した純水などの参照用試料を用いた参照画像は、これらの補正データ取得用の予備的測定のうちの自家蛍光補正用の予備的測定、あるいはシェーディング補正用の予備的測定などにおいて取得することができる。また、この測定除外領域については、補正データ取得時にも本測定と同様に適用することが好ましい。すなわち、補正データ取得用の予備的測定では、通常は本測定よりも全体の光強度が小さく、埃等の影響を受けやすい。このように、埃等の影響を受けた状態で補正データを取得すると、その補正データを用いて行われる本測定の測定精度が低下してしまう。
【0087】
これに対して、補正データ取得時、特に自家蛍光補正データ取得時において、測定除外領域を適用して解析処理を行うことにより、補正データの精度、及びそれを用いた本測定での測定精度を向上することができる。なお、自家蛍光補正データについては、マイクロプレート20が有する自家蛍光特性が製造メーカ毎に揃っているような場合には、製造メーカに対応した補正データをあらかじめ用意しておき、必要に応じて補正データを読み出して用いる構成としても良い。
【0088】
本発明による光測定装置、光測定方法、及び光測定プログラムは、上記した実施形態及び構成例に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、試料Sを保持する試料保持部材については、それぞれ試料Sを保持可能な複数のウェル21を有するマイクロプレート20を例示したが、これに限らず、例えば単一の試料Sのみを保持可能な試料保持部材など、様々な部材を用いて良い。また、マイクロプレート20としては、96ウェルのマイクロプレートに限られるものではなく、384ウェル、あるいは1536ウェルのプレートを用いても良い。また、光測定装置の具体的な構成については、図1に示した蛍光測定装置1は、試料保持部材としてマイクロプレート20を用いた場合の構成の一例を示すものであり、一般には、試料保持部材の種類や光測定の条件等に応じて、様々な構成を用いて良い。
【0089】
また、上記実施形態では、本発明による光測定装置、光測定方法、及び光測定プログラムの一例として、主に蛍光測定装置、蛍光測定方法、及び蛍光測定プログラムについて説明したが、本発明は、上記したように、蛍光測定以外にも、例えば燐光や発光など、試料からの光を測定する光測定に一般に適用可能である。この場合、例えば発光測定では、図1に示した構成において励起光源30等は不要である。また、この場合に測定対象となる試料Sからの発光現象としては、試料Sに試薬を注入したときに生じる発光が例として挙げられる。また、光測定装置の具体的な構成については、図1に示した蛍光測定装置1はその構成の一例を示すものであり、一般には、試料からの光の測定条件、光学系の構成等に応じて、様々な構成を用いて良い。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、埃等の自家蛍光や光の吸収、散乱などの影響を抑制することが可能な光測定装置、光測定方法、及び光測定プログラムとして利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】蛍光測定装置の一実施形態を模式的に示す構成図である。
【図2】マイクロプレートの構成の一例を示す斜視図である。
【図3】図2に示したマイクロプレートの断面構造を示す側面断面図である。
【図4】データ解析装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】図4に示したデータ解析装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図6】画像取得部によって取得される蛍光画像の一例を示す図である。
【図7】図6に示した蛍光画像に対する測定領域の設定の一例を示す図である。
【図8】マイクロプレートの単一のウェルに対応する蛍光画像、測定領域、測定除外領域、及び解析領域の例を示す図である。
【図9】蛍光画像から得られる光強度の時間変化の例を示す図である。
【図10】自家蛍光補正データの導出方法の一例を示す図である。
【図11】シェーディング補正データの導出方法の一例を示す図である。
【図12】補正された蛍光測定データの導出方法の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0092】
1…蛍光測定装置、10…データ取得装置、11…マイクロプレートホルダ、12…搬送機構、13…搬入側マイクロプレートストッカー、14…搬出側マイクロプレートストッカー、15…暗箱、16…分注装置、20…マイクロプレート、21…ウェル、22…底面、30…励起光源、31…励起光供給用ライトガイド、40…画像取得部、41…導光光学系、42…光学フィルタ部、45…撮像装置、
50…データ解析装置、51…解析処理部、52…平均光強度算出部、53…解析データ選択部、54…測定データ補正部、56…測定領域設定部、57…除外領域抽出部、58…閾値設定部、61…測定データ記憶部、62…閾値データ記憶部、63…補正データ記憶部、71…表示装置、72…入力装置、73…モニタ、74…キーボード、75…マウス、80…バス、81…演算部、82…画像メモリ、83…インターフェース、84…プログラム記憶部、85…データ記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料保持部材によって保持された状態で測定位置に配置された試料からの光を測定する光測定装置であって、
試料から放出される光を含む2次元の光検出画像を取得する画像取得手段と、
前記光検出画像を含む測定データに対して解析処理を行うデータ解析手段とを備え、
前記データ解析手段は、
前記画像取得手段によって取得された前記光検出画像に対して光測定に用いる測定領域を設定する測定領域設定手段と、
前記画像取得手段によって所定条件下で取得された参照画像を用い、前記参照画像の前記測定領域内での2次元の光強度分布を所定の光強度閾値と比較して測定除外領域を抽出する除外領域抽出手段と、
前記測定領域から前記測定除外領域を除くことによって前記光検出画像に対する解析領域を設定し、前記解析領域内での光強度を解析データとして、前記試料についての解析処理を行う解析処理手段と
を有することを特徴とする光測定装置。
【請求項2】
前記解析処理手段は、前記解析処理として前記解析領域内での光強度分布における平均光強度を算出する処理を行う平均光強度算出手段を有することを特徴とする請求項1記載の光測定装置。
【請求項3】
前記データ解析手段は、前記除外領域抽出手段における前記測定除外領域の抽出に用いられる前記光強度閾値を設定する閾値設定手段を有することを特徴とする請求項1または2記載の光測定装置。
【請求項4】
前記除外領域抽出手段は、前記測定領域に対して前記測定除外領域を抽出するか否かを選択可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の光測定装置。
【請求項5】
前記除外領域抽出手段は、前記参照画像として、前記試料が前記試料保持部材によって保持された状態で取得された光検出画像を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の光測定装置。
【請求項6】
前記除外領域抽出手段は、前記参照画像として、前記試料とは別の参照用試料が前記試料保持部材によって保持された状態で取得された光検出画像を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の光測定装置。
【請求項7】
前記試料保持部材は、それぞれ前記試料を保持可能な複数のウェルが2次元アレイ状に配置されたマイクロプレートであり、
前記データ解析手段において、前記測定領域、及び前記解析領域を、前記マイクロプレートでの前記複数のウェルのそれぞれに対して設定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の光測定装置。
【請求項8】
前記除外領域抽出手段は、前記光強度分布中で前記光強度閾値を超える光強度を有する領域を抽出して前記測定除外領域とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の光測定装置。
【請求項9】
試料保持部材によって保持された状態で測定位置に配置された試料からの光を測定する光測定方法であって、
試料から放出される光を含む2次元の光検出画像を取得する画像取得ステップと、
前記光検出画像を含む測定データに対して解析処理を行うデータ解析ステップとを備え、
前記データ解析ステップは、
前記画像取得ステップによって取得された前記光検出画像に対して光測定に用いる測定領域を設定する測定領域設定ステップと、
前記画像取得ステップによって所定条件下で取得された参照画像を用い、前記参照画像の前記測定領域内での2次元の光強度分布を所定の光強度閾値と比較して測定除外領域を抽出する除外領域抽出ステップと、
前記測定領域から前記測定除外領域を除くことによって前記光検出画像に対する解析領域を設定し、前記解析領域内での光強度を解析データとして、前記試料についての解析処理を行う解析処理ステップと
を含むことを特徴とする光測定方法。
【請求項10】
前記解析処理ステップは、前記解析処理として前記解析領域内での光強度分布における平均光強度を算出する処理を行う平均光強度算出ステップを含むことを特徴とする請求項9記載の光測定方法。
【請求項11】
前記データ解析ステップは、前記除外領域抽出ステップにおける前記測定除外領域の抽出に用いられる前記光強度閾値を設定する閾値設定ステップを含むことを特徴とする請求項9または10記載の光測定方法。
【請求項12】
前記除外領域抽出ステップは、前記測定領域に対して前記測定除外領域を抽出するか否かを選択可能に構成されていることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項記載の光測定方法。
【請求項13】
前記除外領域抽出ステップは、前記参照画像として、前記試料が前記試料保持部材によって保持された状態で取得された光検出画像を用いることを特徴とする請求項9〜12のいずれか一項記載の光測定方法。
【請求項14】
前記除外領域抽出ステップは、前記参照画像として、前記試料とは別の参照用試料が前記試料保持部材によって保持された状態で取得された光検出画像を用いることを特徴とする請求項9〜12のいずれか一項記載の光測定方法。
【請求項15】
前記試料保持部材は、それぞれ前記試料を保持可能な複数のウェルが2次元アレイ状に配置されたマイクロプレートであり、
前記データ解析ステップにおいて、前記測定領域、及び前記解析領域を、前記マイクロプレートでの前記複数のウェルのそれぞれに対して設定することを特徴とする請求項9〜14のいずれか一項記載の光測定方法。
【請求項16】
前記除外領域抽出ステップは、前記光強度分布中で前記光強度閾値を超える光強度を有する領域を抽出して前記測定除外領域とすることを特徴とする請求項9〜15のいずれか一項記載の光測定方法。
【請求項17】
試料保持部材によって保持された状態で測定位置に配置された試料からの光を測定する光測定をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
画像取得手段によって取得された、試料から放出される光を含む2次元の光検出画像に対して光測定に用いる測定領域を設定する測定領域設定処理と、
前記画像取得手段によって所定条件下で取得された参照画像を用い、前記参照画像の前記測定領域内での2次元の光強度分布を所定の光強度閾値と比較して測定除外領域を抽出する除外領域抽出処理と、
前記測定領域から前記測定除外領域を除くことによって前記光検出画像に対する解析領域を設定し、前記解析領域内での光強度を解析データとして、前記試料についての解析処理を行う解析処理と
を含むデータ解析処理をコンピュータに実行させるための光測定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−278984(P2007−278984A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−108838(P2006−108838)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】