説明

光源シート、光源装置及び画像形成装置

【課題】有機EL素子を用いた小型、安価な光源および画像形成装置を提供する
【解決手段】この光源シート31は、屈折率差により光を層内に閉じ込める光閉じ込め層34と、透明電極からなる陰極33aと陽極33cにより挟持された有機薄膜層33bにより形成される有機EL素子33と、透明電極33a、33cを透過した光を反射する金属反射膜36と、を備えて構成されている。また、有機薄膜層33bの端部から光が漏れるのを防止するために、各端部にも金属反射膜35を形成した。そして、有機EL素子33を構成する陰極33a(又は陽極33c)の電極側に光閉じ込め層34を積層した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源シート、光源装置及び画像形成装置に関し、さらに詳しくは、光源シートを有機EL素子により構成した場合の、光出射効率を向上する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、カラーレーザプリンタ等の多色(カラー)画像形成装置には、駆動機構により回転駆動される複数の感光体に対して、独立した複数の走査結像光学系による書込手段により、複数の異なった色の情報をそれぞれレーザビームの走査ビームで書込んで静電潜像を形成し、これらの静電潜像を複数の顕像化手段により、異なった色のトナー画像にそれぞれ顕像化して転写材上に重ね合わせて転写し、カラー画像を得るタンデム型の画像形成装置がある。
上記書込手段の各々は、読み出される各色の画像情報信号に応じて駆動制御される半導体からなるレーザからレーザビームを出射する。レーザビームは、主走査方向に偏向走査する偏向走査手段であるポリゴンミラー、レンズ等の光学部品を介して、一様に帯電された感光体面に集光されるとともに走査される。そして回転する感光体面には、所定間隔(副走査方向のビーム間隔)からなる走査ビームとして複数の走査ビームに対応した画像信号が書き込まれ、静電潜像が形成される。
【0003】
尚、書き込み手段として特許文献1には、少なくとも電気的に発光する発光層を備えた発光素子と、発光素子から放出された光を光入射面から入射し、光入射面とは異なる面に形成された光出射面から空気中へ出射する導波路とを備えた光源であって、導波路は、光出射面の面積が光入射面の面積よりも小さく、光入射面から光出射面に向かって徐々に小さくなるように構成している光源及び露光装置について開示されている。
また特許文献2には、発光層から出て素子の前方に直接向かう光と陰極で反射した光の位相差δを、発光位置から反射面までの光学的距離をLとした場合、基板法線方向についてδ=π+4πL/λで求め、発光位置から反射面までに存在する有機材料の光学膜厚ndで与え(nは屈折率、dは膜厚)、発光位置から反射面までに存在する有機材料が複数の層からなる場合には、光学的距離Lは、各有機層の光学的距離(光学膜厚)の和となるように構成した有機EL素子について開示されている。
【特許文献1】特開2004−195789公報
【特許文献2】特開2002−289358公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている従来技術は、素子寿命を短くすることなく効率よく大光量を得ることのできる光源およびこれを用いた露光装置、これを用いた記録装置が提供できるが、画像形成装置用途の光走査装置の光源としては光量不足が解消されず、特に30cpm以上の高速機では光量不足が顕著であるといった問題がある。
また特許文献2に開示されている従来技術は、上記構成としたことにより発光効率(光の取り出し効率)が高く、高輝度で低消費電力の有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子が提供できるが、特許文献1と同様に、画像形成装置用途の光走査装置の光源としては光量不足が解消されず、特に30cpm以上の高速機では光量不足が顕著であるといった問題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑み、有機EL素子から出射された光を光閉じ込め層に効率よく導入すると共に、有機EL素子の形状を光が出射口に集約するようにして、小型、安価な光源および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、屈折率差により光を層内に閉じ込める光閉じ込め層と、透明電極からなる陰極と陽極により挟持された有機薄膜層により形成される有機EL素子と、を備えた光源シートであって、前記陰極又は陽極の何れか一方に前記光閉じ込め層を積層したことを特徴とする。
透明電極により挟持された有機薄膜層は、電極間に電圧を印加すると発光する性質を有する。この透明電極と有機薄膜層により構成された素子を有機EL素子と呼ぶ。有機薄膜層より出射した光は、透明電極を透過して外部に放出される。この放出された光を出射口に導くために本発明では、透明電極の一方に光を閉じ込める光閉じ込め層を積層して、光を出射口から効率よく取り出すものである。これにより、有機薄膜層より出射した光を効率よく出射口から出射することができる。
【0007】
請求項2は、前記透明電極を透過した光を反射する金属反射膜を更に備え、該金属反射膜を前記光閉じ込め層と対向する透明電極側に積層したことを特徴とする。
有機EL素子は有機薄膜層を陰極と陽極により挟持しているので、両方の電極から光が透過する。従って、光閉じ込め層と反対側の電極から光が外部に漏れてしまうので、この光も有効に利用するために、その電極側に金属反射膜を積層して、光閉じ込め層側に反射させるものである。これにより、外部に漏洩する光を光閉じ込め層に取り込むことができる。
【0008】
請求項3は、前記有機薄膜層の端部から光が漏れるのを防止するために、各端部に前記金属反射膜を形成したことを特徴とする。
有機薄膜層は所定の厚みを備えた膜であるため、透明電極に電圧を印加すると有機薄膜層の厚み方向の端部からも光が漏洩する。本発明ではこの光も有効に利用するために、各端部に金属反射膜を形成して全ての光を光閉じ込め層に取り込むものである。
【0009】
請求項4は、透明電極からなる陰極と陽極により挟持された有機薄膜層により形成される有機EL素子と、前記透明電極を透過した光を反射する金属反射膜と、を備えた光源シートであって、前記有機EL素子を構成する前記陰極及び陽極に前記金属反射膜を夫々積層したことを特徴とする。
本発明は、光閉じ込め層を省略するために、陰極と陽極の透明電極の外側に夫々金属反射膜を備え、両電極を透過する光を反射して有機薄膜層側に取り込むものである。これにより、光源シートの製造プロセスが簡略化され部品コストを低減することができる。
【0010】
請求項5は、電圧を印加することにより発光する有機薄膜層と、前記有機薄膜層から出射された光を反射する金属反射膜と、を備えた光源シートであって、前記有機薄膜層を挟持するように前記金属反射膜を積層し、該金属反射膜の夫々を電極としたことを特徴とする。
本発明は、陰極と陽極の透明電極を省略するために、有機薄膜層を金属反射膜により挟持して、その金属反射膜を夫々陰極と陽極にするものである。従って、発光した光は金属反射膜により反射して有機薄膜層を伝播して出射口から出射される。これにより、透明電極と金属反射膜が共用され、光源シートの厚みを薄くすることができる。
【0011】
請求項6は、前記有機EL素子はアレイ状の複数の面発光点を有し、一端の側面に対して他端側面の辺長を小さく形成すると共に、該側面を光の出射口としたことを特徴とする。
有機EL素子はアレイ状の複数の面発光点が夫々独立に発光する。従って、有機EL素子の形状を一端の側面に対して他端側面の辺長を小さく形成することにより、光を小さい辺長の側面に集約することができる。これにより、静電潜像を形成するのに必要な露光量を有する光源とすることができる。
【0012】
請求項7は、前記光源シートの面形状は、前記光出射口の辺長が他の辺長より短い台形状に構成されていることを特徴とする。
本発明は請求項6と同様の作用効果を奏する。
【0013】
請求項8は、前記光源シートの面形状は、前記光出射口の近傍まで矩形状に構成され、該光出射口の近傍から台形状に構成されていることを特徴とする。
光源シートの面積が大きいほど出射口から出射する光量は大きくなる。そこで本発明では、可能な限り面積を大きくするために光出射口の近傍まで矩形状に構成して、その近傍から台形状に出射口を絞る構成とする。これにより、全体光量を増大させて、画像形成の更なる高速化に対応させることができる。
【0014】
請求項9は、前記光源シートの面形状は、前記光出射口の近傍まで矩形状に構成され、該光出射口の近傍から曲面形状に構成されていることを特徴とする。
光源シートの面積が大きいほど出射口から出射する光量は大きくなる。そこで本発明では、可能な限り面積を大きくするために光出射口の近傍まで矩形状に構成して、その近傍から曲線形状に出射口を絞る構成とする。これにより、全体光量を増大させて、出射口への合波による損失を低減して、画像形成の更なる高速化に対応させることができる。
【0015】
請求項10は、前記光源シートの面形状は、前記光出射口の辺長が他の辺長より短く、他の辺が全て曲線状に構成されていることを特徴とする。
本発明は、面形状の全ての周囲を曲面としており、光導波の効率や面積は小さいものの、出射口への合波の損失を最小限に抑える形状である。従って、小型で効率のよい光源シートを構成することができる。
【0016】
請求項11は、前記光閉じ込め層は高分子からなる光導波路で形成されていることを特徴とする。
光閉じ込め層を高分子からなる光導波路で形成したことにより、薄膜光源シートが可能となり、高画素密度に対応可能な光源が達成できる。
【0017】
請求項12は、前記光源シートの端面出射口に、1μm以下の格子ピッチからなる凹凸構造を有する光学素子を配置したことを特徴とする。
光源シートの端面出射口に、1μm以下の格子ピッチからなる凹凸構造を有する光学素子を配置したことにより、光源の波長範囲を狭小化しピームスポット品質の劣化のない光源が達成できる。
【0018】
請求項13は、請求項1乃至12の何れか一項に記載の光源シートを複数積層することによりライン状の光源を構成したことを特徴とする。
陽極および陰極と、これらの間に挟持された有機薄膜層により形成される有機EL素子と、有機EL素子に挟持方向に密接するように形成した光閉じ込め層から構成される光源シートを複数積層することにより、ライン状の光源を構成することができる。これにより、簡単な構成で小型、かつ安価な光源を実現することができる。
【0019】
請求項14は、請求項13に記載の光源装置を備えたことを特徴とする。
本発明の光源装置を備えることにより、ポリゴンモータ等の可動部を有する光学系が不要となり、装置の小型化と長寿命化を併せて備え、且つ部品コストを低減した画像形成装置を実現することができる。
【0020】
請求項15は、前記光源装置を構成する光源シートの厚さは、画像形成の画素密度と同等若しくは、それ以下であることを特徴とする。
光源シートの厚さはドット間の間隔となる。即ち、画像形成装置の画素密度が決定した場合、その画素密度と同等か、それ以下になるように光源シートの厚さを決定しなければならない。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、屈折率差により光を層内に閉じ込める光閉じ込め層と、透明電極からなる陰極と陽極により挟持された有機薄膜層により形成される有機EL素子と、を備えた光源シートであって、有機EL素子を構成する陰極又は陽極の何れか一方の電極側に光閉じ込め層を積層したので、有機薄膜層より出射した光を効率よく出射口から出射することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0023】
図1は本発明の光源装置を備えた画像形成装置の要部構成図である。この画像形成装置200は、像担持体である感光体110と、感光体110の周囲には、帯電手段111、露光ユニット112、現像装置113、転写手段114、クリーニング装置115、除電手段116が配置されている。また、符号117は定着装置を示す。そして、感光体110は図面に直交する方向へ長い円筒状に形成され、画像形成時には感光体110が図示しない駆動装置により回転駆動され時計回り(矢印A)に等速回転する。このとき感光体110の表面は帯電手段111により所定極性に均一帯電される。帯電手段111はコロナチャージャのような放電式のものでも良いし、帯電ローラや帯電ブラシ等の接触式のものでもよい。均一帯電された感光体110の表面は、光源部と結像レンズ部からなる露光ユニット112により画像形成すべき画像に応じて露光され静電潜像が形成される。このとき形成される静電潜像は、画像となるべき部分が露光された所謂ネガ潜像である。静電潜像は現像装置113により反転現像され、感光体110の感光層表面にトナー画像として可視化される。
【0024】
また、転写紙やOHPシート(オーバヘッドプロジェクタ用のプラスチックシート)等であるシート状記録媒体Sは、感光体110の回転に伴うトナー画像の移動にタイミングを合わせて転写部へ送り込まれ、転写手段114によりトナー画像を静電転写される。転写手段114は、コロナ放電を利用する放電式のものでも良いし、転写ローラや転写ブラシ等の接触方式のものでもよい。トナー画像を転写されたシート状記録媒体Sは、次いで定着装置117によりトナー画像を定着され、画像形成装置外へ排出される。トナー画像を転写された後の感光体110は、クリーニング装置115により残留トナーや紙粉を除去され、除電手段116により除電される。
【0025】
図2は本発明の一実施形態のカラー画像形成装置について説明する装置全体の概略を示す側面図である。転写ベルト13上には、転写紙の搬送方向上流側より順に、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックK用の4つの画像プロセス部14Y、14M、14C、14Kが順に配設されている。従って、単色ブラック用の画像プロセス部は、黒画像プロセス部14Kとして転写紙1の搬送方向最下流に位置付けられている。これらの画像プロセス部14Y、14M、14C、14Kは転写ベルト13に接触する感光体6を主体として、この感光体6の周囲に帯電装置7、露光ユニット10、現像装置8、及びクリーニング装置CLが順に配置されて構成されている。
【0026】
さらに、通紙経路4は、転写ベルト13を抜けた場所に位置させて定着装置4を備える(画像形成プロセスは図1にて示した構成とレイアウトは異なったり、一部省略されているが図1の画像形成プロセスが各色毎4色分配置されていることと基本的に同じである)。このような構成のカラー画像形成装置では、転写ベルト13によって通紙経路4を案内搬送される転写紙1に対し、各画像プロセス部14Y、14M、14C、14Kが同期的に動作し、イエローY、マゼンタM、シアンC及びブラックKの各現像色のトナー画像を形成していく。これにより、転写紙1にフルカラー画像が得られる。このような画像形成動作に際し、本実施形態のカラー画像形成装置300は、各部を制御するマイクロコンピュータ構成のコントローラとエンジン制御部と(共に図示せず)によって各部を駆動制御する。
【0027】
図3は本発明の光学シートを備えた露光ユニットから感光体へ露光する動作を説明する図である。光源シート(光源部、以下同じ)31の端面31bから出射した拡散光は、結像レンズ群32により集光され感光体110面上にビームスポットを形成する。当該光源シート31が感光体110の長手方向(図の奥行方向)に積層され感光体110表面上にライン状の静電潜像を形成することが可能となる。
【0028】
図4は本発明の第1の実施形態に係る光源シートの構成を示す断面図である。この光源シート31は、屈折率差により光を層内に閉じ込める光閉じ込め層34と、透明電極からなる陰極33aと陽極33cにより挟持された有機薄膜層33bにより形成される有機EL素子33と、透明電極33a、33cを透過した光を反射する金属反射膜36と、を備えて構成されている。また、有機薄膜層33bの端部から光が漏れるのを防止するために、各端部にも金属反射膜35を形成した。そして、有機EL素子33を構成する陰極33a(又は陽極33c)の電極側に光閉じ込め層34を積層した。
このように、有機EL素子33はITO膜等の透明電極からなる陰極33a、陽極33cに挟持されるように有機薄膜層33bが配置され、画像信号に応じた入力信号を電極に印加することにより有機薄膜層33bが発光する(図4では電極33a、33c、有機薄膜層33aが連続しているが実際は図3のようにアレイ状となるため発光点ごとに分断され独立している)。
【0029】
有機薄膜層33bから発光した光は電極33cを透過後、金属反射膜36の表面で反射し対向側の電極33aを透過し、光閉じ込め層34に入射し、層内を導波、伝播して出射口31b側から出射する。図3のアレイ状の発光点31aから光閉じ込め層34に対しては、面方向から入射し光閉じ込め層34と外部との界面で全反射し出射口31bへ至る。光源シート31の面形状は出射口31bの辺長さが他の辺(31c、31d、31e)の長さに比べて最も小さい。また、他の辺(31c、31d、31e)の端面には反射膜で包囲している。以上の構成としていることにより有機EL素子からの複数のアレイ状の発光点からの光を集め、静電潜像を形成するのに必要な露光量を有する光源となる(感光体表面に必要な光量は0.2mW以上であり、有機EL素子の発光点は1000個以上)。
ここで、光閉じ込め層34は高分子からなる光導波路からなり、アレイ状に配列された面上の複数の発光点から出射した光が光導波路内へ入射し出射口31b端面まで到達するまでに合波され光量が増大し出射口から出射する。
【0030】
図5は、光源シートを複数積層することによりライン状の光源を構成した光源装置の構成図である。全積層厚さLは感光体110表面に静電潜像を形成するに必要な画像領域幅(A4版サイズ長手で300mm)以上であり、出射口の隣接間隔(厚さtと同じ)は画像形成の画素密度に相当する量(1200dpiのとき21μm以下、2400dpiのとき10.5μm以下、4800dpiのとき5.3μm以下)である。即ち、本発明の光源シート31は、高分子で形成したことにより、厚さtでの薄膜構成が可能となる。高分子以外のガラス基板では1mm以下が困難、高価である。また高分子基材であるため光閉じ込め層34が光源シートの基板となり有機EL素子の機械的強度を保つことが可能となる。
【0031】
図6は本発明の第2の実施形態に係る光源シートの構成を示す断面図である。この光源シートは、透明電極からなる陰極33aと陽極33cにより挟持された有機薄膜層33bにより形成される有機EL素子33と、各透明電極を透過した光を反射する金属反射膜37a、37cと、を備えた光源シートであって、有機EL素子33を構成する陰極33a及び陽極33cに金属反射膜37a、37cを夫々積層したものである。また、端部から光が漏れるのを防止するために、金属反射膜38を積層する。本実施形態は、光閉じ込め層を省略するために、陰極33aと陽極33cの透明電極の外側に夫々金属反射膜37a、37cを備え、両電極を透過する光を反射して有機薄膜層33b側に取り込むものである。これにより、光源シートの製造プロセスが簡略化され部品コストを低減することができる。
【0032】
図7は本発明の第3の実施形態に係る光源シートの構成を示す断面図である。この光源シートは、電圧を印加することにより発光する有機薄膜層33bと、有機薄膜層33bから出射された光を反射する金属反射膜39a、39cと、を備えた光源シートであって、有機薄膜層33bを挟持するように金属反射膜39a、39cを積層し、この金属反射膜39a、39cの夫々を電極とするものである。本実施形態は、図6の陰極33aと陽極33cの透明電極を省略するために、有機薄膜層33bを金属反射膜39a、39cにより挟持して、その金属反射膜39a、39cを夫々陰極と陽極にするものである。従って、発光した光は金属反射膜39a、39cにより反射して有機薄膜層33bを伝播して出射口33eから出射される。これにより、透明電極と金属反射膜が共用され、光源シートの厚みを薄くすることができる。
【0033】
図8は、光学素子の構成を示す図である。この光学素子51は、図3の光源シート31の出射口31bに配置されている符合31gである。出射口31bから出射される光は、図12に示すような波長分布71(有機EL素子の発光波長分布。縦軸単位は[a.u.]:任意単位)をしており、約300nmの範囲内の広範囲な範囲に分布している。広範囲に分布しているので、結像レンズ群32の収差の影響により形成されるビームスポットプロファイルが劣化(ビームが絞れない)し、画像形成時の画素の小径化が困難となる。そこで、光学素子51を配置することにより、広範囲な波長分布をもつ入射光71が符合72のような波長分布をもつ透過光となる(反射光も同様の波長分布をもち強度が強い。透過光で強度が不足する場合は反射光を利用する方が好適であり、その際には入射側(反射側)にハーフミラー(図示しない)を配置し、ミラー(図示しない)で感光体110側に光路を折り返す方法がよい)。
【0034】
光学素子51は狭帯域の波長フィルタとして作用し、約300nmの範囲内の広範囲な範囲に分布している波長を感光体110の感度波長に最も適した650nmを中心に半値幅2nm以下の波長を有する光源が実現できる。光学素子51は1μm以下の格子ピッチDを有する微細な凹凸構造52(所謂サブ波長構造:凹凸構造の格子ピッチD、深さが波長オーダまたはそれ以下の構造)からなり多数の凹凸溝が周期的に形成されている(図8の奥行き方向には一様に同じ構造)。上記波長フィルタの透過波長は凹凸構造のうちピッチDのほか、深さ、凹凸比率により適宜設定される。
なお、有機EL素子の点滅するためのドライバ(図示しない)は複数のアレイ状の発光点(例えば1000箇所)を全て点灯または消灯するように駆動される(発光点1箇所毎に点滅駆動するような回路構成とはしないので、ドライバは各発光点毎にもつ必要はない)。なお、点滅のタイミングは形成する画像情報に基づいて生成された画像信号により決定される。
【0035】
図9は本発明の第4の実施形態に係る光源シートの構成を示す断面図である。この光源シートの面形状は、光出射口31bの近傍aまで矩形状に構成され、光出射口31bの近傍から台形状に構成されている。即ち、光源シートの面積が大きいほど出射口31bから出射する光量は大きくなる。そこで本実施形態では、可能な限り面積を大きくするために光出射口31bの近傍aまで矩形状に構成して、その近傍aから台形状に出射口31bを絞る構成とする。これにより、全体光量を増大させて、画像形成の更なる高速化に対応させることができる。
【0036】
図10は本発明の第5の実施形態に係る光源シートの構成を示す断面図である。この光源シートの面形状は、光出射口31bの近傍まで矩形状に構成され、光出射口31bの近傍aから曲線形状bに構成されている。即ち、光源シートの面積が大きいほど出射口31bから出射する光量は大きくなる。そこで本実施形態では、可能な限り面積を大きくするために光出射口31bの近傍まで矩形状に構成して、その近傍から曲線形状bに出射口31bを絞る構成とする。これにより、全体光量を増大させて、出射口31bへの合波による損失を低減して、画像形成の更なる高速化に対応させることができる。
【0037】
図11は本発明の第6の実施形態に係る光源シートの構成を示す断面図である。この光源シートの面形状は、光出射口31bの辺長が他の辺長より最も短く、他の辺が全て曲面状bに構成されている。即ち、本実施形態は、面形状の全ての周囲を曲面としており、光導波の効率や面積は小さいものの、出射口31bへの合波の損失を最小限に抑える形状である。従って、小型で効率のよい光源シートを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の光源装置を備えた画像形成装置の要部構成図である。
【図2】本発明の一実施形態のカラー画像形成装置について説明する装置全体の概略を示す側面図である。
【図3】本発明の光学シートを備えた露光ユニットから感光体へ露光する動作を説明する図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る光源シートの構成を示す断面図である。
【図5】光源シートを複数積層することによりライン状の光源を構成した光源装置の構成図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る光源シートの構成を示す断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る光源シートの構成を示す断面図である。
【図8】光学素子の構成を示す図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る光源シートの構成を示す断面図である。
【図10】本発明の第5の実施形態に係る光源シートの構成を示す断面図である。
【図11】本発明の第6の実施形態に係る光源シートの構成を示す断面図である。
【図12】有機EL素子の発光波長分布を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
31 光源シート、31a 発光点、31g 光学素子、32 結像レンズ群、33a 陰極、33c 陽極、33b 有機薄膜層、33 有機EL素子、34 光閉じ込め層、35、36 金属反射膜、110 感光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈折率差により光を層内に閉じ込める光閉じ込め層と、透明電極からなる陰極と陽極により挟持された有機薄膜層により形成される有機EL素子と、を備えた光源シートであって、
前記陰極又は陽極の何れか一方に前記光閉じ込め層を積層したことを特徴とする光源シート。
【請求項2】
前記透明電極を透過した光を反射する金属反射膜を更に備え、該金属反射膜を前記光閉じ込め層と対向する透明電極側に積層したことを特徴とする請求項1に記載の光源シート。
【請求項3】
前記有機薄膜層の端部から光が漏れるのを防止するために、各端部に前記金属反射膜を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の光源シート。
【請求項4】
透明電極からなる陰極と陽極により挟持された有機薄膜層により形成される有機EL素子と、前記透明電極を透過した光を反射する金属反射膜と、を備えた光源シートであって、
前記有機EL素子を構成する前記陰極及び陽極に前記金属反射膜を夫々積層したことを特徴とする光源シート。
【請求項5】
電圧を印加することにより発光する有機薄膜層と、前記有機薄膜層から出射された光を反射する金属反射膜と、を備えた光源シートであって、
前記有機薄膜層を挟持するように前記金属反射膜を積層し、該金属反射膜の夫々を電極としたことを特徴とする光源シート。
【請求項6】
前記有機EL素子はアレイ状の複数の面発光点を有し、一端の側面に対して他端側面の辺長を小さく形成すると共に、該側面を光の出射口としたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の光源シート。
【請求項7】
前記光源シートの面形状は、前記光出射口の辺長が他の辺長より短い台形状に構成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の光源シート。
【請求項8】
前記光源シートの面形状は、前記光出射口の近傍まで矩形状に構成され、該光出射口の近傍から台形状に構成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の光源シート。
【請求項9】
前記光源シートの面形状は、前記光出射口の近傍まで矩形状に構成され、該光出射口の近傍から曲面形状に構成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の光源シート。
【請求項10】
前記光源シートの面形状は、前記光出射口の辺長が他の辺長より短く、他の辺が全て曲線状に構成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の光源シート。
【請求項11】
前記光閉じ込め層は高分子からなる光導波路で形成されていることを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の光源シート。
【請求項12】
前記光源シートの端面出射口に、1μm以下の格子ピッチからなる凹凸構造を有する光学素子を配置したことを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項に記載の光源シート。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか一項に記載の光源シートを複数積層することによりライン状の光源を構成したことを特徴とする光源装置。
【請求項14】
請求項13に記載の光源装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
前記光源装置を構成する光源シートの厚さは、画像形成の画素密度と同等若しくは、それ以下であることを特徴とする前記請求項14に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−41373(P2008−41373A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−212644(P2006−212644)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】