説明

光源ユニット及びプロジェクタ

【課題】 光源ランプからの放射光をより効率よく利用することができる光源ユニット及びこの光源ユニットを備えたプロジェクタを提供する。
【解決手段】 光源ユニット11は、光源ランプ11aと、光源ランプ11aの光源を焦点位置に配置し、光源からの放射光を反射する第1反射鏡11bと、第1反射鏡11bに光源を介して対向し、第1反射鏡11bの光反射方向に光源から直接放射される光を第1反射鏡11bに反射する第2反射鏡11cとを有する。第2反射鏡11cは、矢印Bの方向へ進行する光を第1反射鏡11bへ反射し、この反射光は第1反射鏡11bによりフライアイレンズ12に向かって反射することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源ユニット及びプロジェクタに関し、特に放電電極を有する光源ユニット及びこの光源ユニットを備えたプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
光源ランプからの放射光を光学系を通して画像が表示される光変調器に照射し、その画像をスクリーンに投影するプロジェクタが知られている。プロジェクタを用いれば、テレビ、ビデオ、パーソナルコンピュータなどの画像機器が出力する画像をスクリーンに投影し、複数の者がその画像を視聴することができる。しかも、近年、投影される画像の照度が向上したことに伴い、プロジェクタは、オフィスでのプレゼンテーションや家庭でのテレビの視聴などに広く利用されるようになってきた。プロジェクタの基本構造や明るく高精細な画像を実現する種々の改良については、例えば、下記非特許文献1及び非特許文献2に詳説されている。
【非特許文献1】永田信一著、「図解 レンズがわかる本」、日本実業出版社、2002年11月、p.116−117、172−175
【非特許文献2】近岡裕著、「松下電器、プロジェクタの輝度を9000ルーメンに」、日経メカニカル、日経BP社、1998年8月号、No.539、p.58
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
プロジェクタの照度は、高輝度光源ランプの開発や光学系の改良を通して改善されてきたが、それでも尚、照度の更なる向上についての要請は高い。本発明者等は、主に家庭用のプロジェクタについて、照度を更に向上すべく鋭意検討した結果、光源ランプから放射される光のうち、反射鏡により反射される大半の光は光変調器に効率良く到達するものの、光源ランプから光学変調器に向かって直接放射される一部の光は、反射鏡により集光されていないので、光学変調器に到達せずに発散してしまう。すなわち、光源ランプから放射される光には光変調器まで到達しない無駄な一部が存在する。
【0004】
また、家庭用のプロジェクタには、業務用プロジェクタとは異なり、本体を小型化しなければならないという要請がある。したがって、照度向上のためにプロジェクタが大型化することがあってはならず、部品数の削減を通した小型化と高照度化が両立することが望ましい。
【0005】
そこで、本発明は、光源ランプからの放射光をより効率良く利用することができる光源ユニット及びこの光源ユニットを備えたプロジェクタを提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明の他の目的は、部品数を削減することができ、小型化を図ることができるプロジェクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る光源ユニットは、光源ランプと、焦点を持ち、光源ランプの光源を焦点の位置に配置し、光源から放射される光を反射する第1の反射鏡と、第1の反射鏡に光源を介して対向し、第1の反射鏡の光反射方向に光源から直接放射される光を第1の反射鏡に反射する第2の反射鏡と、を備える。
【0008】
本発明の第2の態様に係る光源ユニットは、一対の放電電極を有する光源ランプと、第1の焦点を持ち、一対の放電電極の一方の発光スポットを第1の焦点の位置に配置する第1の反射面、第2の焦点を持ち、一対の放電電極の他方の発光スポットを第2の焦点の位置に配置する第2の反射面、及び、第3の焦点を持ち、一対の放電電極の一方と他方との間の発光スポットを第3の焦点の位置に配置する第3の反射面を有する反射鏡と、を備える。
【0009】
本発明の第3の態様に係るプロジェクタは、第1又は第2の態様に係る光源ユニットと、光源ユニットから放射される光を透過するインテグレータと、インテグレータを透過する光を変調する光変調器と、を備える。
【0010】
本発明の第4の態様に係る光源ユニットは、光源ランプと、複数のレンズを二次元アレイ状に配列したフライアイレンズと、焦点を持ち、光源ランプの光源を焦点の位置に配置し、光源から放射される光をフライアイレンズの複数のレンズのそれぞれに集光する複数の反射面を有する反射鏡と、を備える。
【0011】
本発明の第5の態様に係るプロジェクタは、光源ランプと、複数のレンズを二次元アレイ状に配列したフライアイレンズと、焦点を持ち、光源ランプの光源を焦点の位置に配置し、光源から放射される光をフライアイレンズの複数のレンズのそれぞれに集光する複数の反射面を有する反射鏡と、フライアイレンズを透過する光を変調する光変調器と、を備える。
【0012】
本発明の第6の態様に係る光源ユニットは、光源ランプと、焦点を持ち、光源ランプの光源を焦点の位置に配置し、光源から放射される光を、対向配置されるフライアイレンズに反射する反射鏡と、を備え、フライアイレンズは第1の方向に配列されるレンズ数に対してそれと交差する第2の方向に配列されるレンズ数が多い長方形を有するフライアイレンズであり、このフライアイレンズの長辺に一致する開口縁を反射鏡が有する。
【0013】
本発明の第7の態様に係るプロジェクタは、光源ランプと、第1の方向に配列されるレンズ数に対してそれと交差する第2の方向に配列されるレンズ数が多い長方形のフライアイレンズと、フライアイレンズの長辺に一致する開口縁を有し、焦点を持ち、光源ランプの光源を焦点の位置に配置し、光源から放射される光をフライアイレンズに反射する反射鏡と、第1の方向に配列される画素数に対して第2の方向に配列される画素数が多く、フライアイレンズを透過する光を光変調する光変調器と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光源ランプからの放射光をより効率よく利用することができる光源ユニット及びこの光源ユニットを備えたプロジェクタを提供することができる。また、本発明によれば、部品点数を削減することができ、サイズを低減することができるプロジェクタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係るプロジェクタについて説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図1に示す通り、プロジェクタ10は、光源ユニット11と、光源ユニット11から放射される光を透過するインテグレータ12と、インテグレータ12を透過する光を変調する光変調器15B、15G及び15Rとを備える。さらに、プロジェクタ10は、インテグレータ12を透過する光を透過するとともにこの光を直線偏光変換する偏光変換器13と、偏光変換器13を透過した光を色分割するダイクロイックミラー14a及び14bと、光変調器15B、15G及び15Rのそれぞれを透過した光を合成するダイクロイックプリズム16とを備えている。なお、偏光変換器13は、後に例示するように光変調器15B、15G及び15Rとして液晶ライトバルブが使用される場合にのみ必要である。
【0017】
光源ユニット11は、図2に示す通り、光源ランプ11aと、光源ランプ11aの光源を焦点位置に配置し、光源からの放射光を反射する第1反射鏡11bと、第1反射鏡11bに光源を介して対向し、第1反射鏡11bの光反射方向に光源から直接放射される光を第1反射鏡11bの理想的には焦点位置に向かって反射する第2反射鏡11cとを有する。
【0018】
光源ランプ11aとしては、例えば、高圧水銀ランプやメタルハライドランプといった放電管ランプを使用することができる。第1の実施の形態の放電管ランプにおいては、この放電管ランプの封止管内に設けられた対向する一対の放電電極E1とE2との間の放電スポットが光源である。そして、この光源が第1反射鏡11bの焦点位置になるように、光源ランプ11aとしての放電管ランプが配設される。
【0019】
第1反射鏡11bは第1の実施の形態において放物面状の反射面を有する。このため、反射鏡11bの焦点位置に配置された光源から放射される光は、反射面により反射されて平行光となって、インテグレータ12(図1)に向かい到達することができる。
【0020】
第2反射鏡11cは、その反射面が第1反射鏡11bに光源ランプ11aの光源を介して対向する位置に配設されている。このように配設されるため、第2反射鏡11cは、光源ランプ11aの光源から第1反射鏡11bの光反射方向に直接に放射される光を、逆に第1反射鏡11bの焦点位置に向けて反射することができる。そして、第2反射鏡11cから第1反射鏡11bの焦点位置へ反射された光は、第1反射鏡11bにより更に反射されて、インテグレータ12に到達することができる。第2反射鏡11cは、光源から直接インテグレータ12側に放射されかつ発散してしまう無駄な光を再度第1反射鏡11bに反射して有効利用するものである。第2反射鏡11cは無駄な光をできる限り第1反射鏡11bの焦点位置に反射し、この焦点位置を通過した反射光は第1反射鏡11bによりインテグレータ12に向かう有効な光として反射することができる。第2反射鏡11cは、第1反射鏡11bの開口の中央部分にこの第1反射鏡11bのサイズよりも小さいサイズにおいて構成されている。
【0021】
再び図1を参照すると、光源ユニット11から放射される光Lは、インテグレータ12に入射する。インテグレータ12は、インテグレータ12を透過する光の強度分布を光伝搬方向に垂直な平面内において均一にする機能を有する。第1の実施の形態においては、インテグレータ12は、対向する2つの第1フライアイレンズ12a及び第2フライアイレンズ12bより構成されている。第1フライアイレンズ12aは光源ユニット11側に配設され、第2フライアイレンズ12bは偏光変換器13側に配設される。
【0022】
第1フライアイレンズ12a、第2フライアイレンズ12bは、いずれも2次元アレイ状に配列される複数の矩形レンズを有する。第1フライアイレンズ12a及び12b自体が対向配置されると、複数の矩形レンズもまたそれぞれ対向配置される。また、各矩形レンズは光変調器15の光入射面と相似形である。
【0023】
光源ユニット11から放射されて第1フライアイレンズ12aを透過する光は第1フライアイレンズ12aの各矩形レンズにより、第2フライアイレンズ12bのそれぞれ対向する矩形レンズに集光する。集光した光は、第2フライアイレンズ12bの矩形レンズを透過すると発散光となって偏光変換器13に照射される。ここで、第2フライアイレンズ12bの各矩形レンズからの光が偏光変換器13の入射面上に重ねあわされるため、この入射面内における光強度が均一化される。これにより、プロジェクタ10によってスクリーン上に投影される画像においても光強度が均一化される。
【0024】
偏光変換器13の入射面に照射された光は、偏光変換器13を透過する際に、偏波面が一方向にそろった直線偏光に変換される。この偏光変換器13は、光変調器15R、15G及び15Bが液晶ライトバルブの場合にのみ必要である。直線偏光に変換された光は、その後、コンデンサレンズ17を透過し、ダイクロイックミラー14aにより青色光とその他の色の光に分離される。すなわち、ダイクロイックミラー14aに到達した光(白色光)のうち青色光のみが、ダイクロイックミラー14aを透過することができ、透過後、別のミラーM1に反射されて、青色を表示する光変調器15Gに到達する。一方、ダイクロイックミラー14aにより反射された光は、次のダイクロイックミラー14bにより緑色光と赤色光に分離される。すなわち、緑色光は、ダイクロイックミラー14bにより反射されて緑色を表示する光変調器15Gに導かれ、赤色光は、ダイクロイックミラー14bを透過し、ミラーM2及びM3により、赤色を表示する光変調器15Rに導かれる。このとき、赤色光の光路は青色光及び緑色光の光路に比べて長いため、リレーレンズ18を用いて赤色光の光路長が補正される。
【0025】
光変調器15B、15G及び15Rには、いずれも例えば、液晶ライトバルブを用いることができる。これらを透過する光、すなわち光変調器15Bを透過する光は青色光画像に変調され、光変調器15Gを透過する光は緑色光画像に変調され、そして光変調器15Rを透過する光は赤色光画像に変調される。その後、変調されたそれぞれの光は、クロスプリズム16により合成され、投射レンズ19よりピント調整がなされてスクリーン(図示せず)に投写される。このようにして、各光変調器15B、15G及び15Rのそれぞれにより形成される青色光画像、緑色光画像、及び赤色光画像がスクリーン上に重ね合わされ、カラー画像が映し出される。
【0026】
以下、第1の実施の形態に係る光源ユニット11及びそれを備えたプロジェクタ10においては、以下の効果を奏することができる。図2中の矢印A、Bに示すように、仮に第2反射鏡11cがないとすれば、光源ランプ11aの光源からインテグレータ12に向かって放射される光の一部は、第1反射鏡11bによって反射されることなく、インテグレータ12に到達することなく、光源ユニット11から無駄に発散してしまう。特に、矢印Bに示す、光源ランプ11aの光源から第1反射鏡11bの開口縁方向に向かって放射される光は、そのまま直進し、インテグレータ12に到達することができない。すなわち、このように放射される光は、プロジェクタ10による画像の投影に有効に利用されずに無駄となってしまう。
【0027】
第1の実施の形態に係る光源ユニット11及びそれを備えたプロジェクタ10においては、光源ユニット11の第2反射鏡11cの開口縁、第1反射鏡11bの開口縁のそれぞれが光源から見て一致するようになっているので、矢印B方向に発散する無駄な光は、第2反射鏡11cにより第1反射鏡11bにその焦点位置を通して反射され(図2中の矢印C方向に反射され)、次いで、第1反射鏡11bにより再度反射されて、インテグレータ12へと到達することができる。すなわち、光源から放射される光を無駄なく利用することができ、光源からの放射光を有効に利用することができる。したがって、第1の実施の形態に係る光源ユニット11及びそれを備えたプロジェクタ10においては、投影される画像の照度を向上することができる。
【0028】
さらに、第1の実施の形態に係る光源ユニット11及びプロジェクタ10においては、無駄な光を有効に利用することができ、画像の照度を向上することにより、性能を高めているので、小型化を図ることができる。
【0029】
第1の実施の形態に係る光源ユニット11及びプロジェクタ10はこの第1の実施の形態に限定されるものではなく、以下の変形例1〜変形例4において説明するように種々変更することができる。なお、変形例の説明においてプロジェクタ10の構成は同一であるので、ここでのプロジェクタ10の説明は重複するので省略する。
【0030】
(変形例1)
図3(A)に示す光源ユニット110においては、第2反射鏡110cが光源ランプ11aの封止管Tの外表面に配設される。詳細には、第2反射鏡110cは、第1反射鏡11bに光源ランプ11aの光源を介して対向する位置であって、かつ、封止管Tの外表面に設けられている。この第2反射鏡110cは、例えば、光源ランプ11aの外表面に光反射率の高い金属を蒸着することにより形成することができる。第2反射鏡110cを備えたことにより、第2反射鏡110cがない場合には図3(A)中の矢印B方向に進行し発散してしまう光を第1反射鏡11bの焦点位置である矢印C方向に反射することができ、有効利用することができる。第1反射鏡11bの焦点位置へ反射された光は、その後、第1反射鏡11bにより反射されてインテグレータ12のフライアイレンズ12a(図1)に到達することができる。すなわち、光源ユニット110は上述の光源ユニット11と同様の効果を奏することができる。
【0031】
(変形例2)
図3(B)に示す光源ユニット111においては、第2反射鏡111cが光源ランプ11aの封止管Tの内表面に配設される。詳細には、第2反射鏡111cは、第1反射鏡11bに光源ランプ11aの光源を介して対向する位置であって、かつ、封止管Tの内表面に設けられている。この第2反射鏡111cは、光源ランプ11aの作製に際して、例えば、光源ランプ11aの封止管の内表面の上述の部位に光反射率の高い金属を蒸着することにより形成される。第2反射鏡110cを備えたことにより、第2反射鏡111cのない場合においては図3(B)中の矢印B方向に進行してしまう光を第1反射鏡11bの焦点位置である矢印C方向に反射することができ、有効利用することができる。第1反射鏡11bの焦点位置へ反射された光は、その後、第1反射鏡11bにより反射されてフライアイレンズ12a(図1)に到達することができる。すなわち、光源ユニット111は上述の光源ユニット11と同様の効果を奏することができる。
【0032】
(変形例3)
図4(A)に示す光源ユニット112においては、第2反射鏡112cは光源ランプ11aの封止管Tの内部に配設されている。詳細には、第2反射鏡112cは、光源ランプ11aの封止管Tの内部であって、かつ、第1反射鏡11bに光源ランプ11aの光源を介して対向する位置に設けられている。第2反射鏡112cを備えたことにより、第2反射鏡112cのない場合においては図4(A)中の矢印B方向に進行し発散してしまう光を第1反射鏡11bの焦点位置である矢印C方向に反射することができ、有効利用することができる。第1反射鏡11bの焦点位置へ反射された光は、その後、第1反射鏡11bにより反射されてフライアイレンズ12a(図1)に到達することができる。すなわち、光源ユニット112もまた、上述の光源ユニット11と同様の効果を奏することができる。
【0033】
(変形例4)
図4(B)に示す光源ユニット113においては、光源ランプ11aは一対の放電電極E1及びE2を備え、第2反射鏡113cは一対の放電電極の一方(E2)の放電面ESにより構成されている。このような構成は、例えば、電極の放電面を研磨して鏡面とすることにより実現することができる。このようにしても、第2反射鏡113cのない場合においては図4(B)中の矢印B方向に進行し発散してしまう光を第1反射鏡11bの矢印C方向に反射することができ、有効利用することができる。変形例4においては、第2反射鏡113cは、放電電極の一方(E2)により構成され、しかも第1反射鏡11bの焦点位置にかなり近接しているので、第2反射鏡113cにより反射される光は直接第1反射鏡11bに反射しても平行光としてフライアイレンズ12aに到達することができる。したがって、光源ユニット113は、上述の光源ユニット11と同様の効果を奏することができる。
【0034】
なお、先の図2に示し説明した第2反射鏡11cは、光源ランプ11aの封止管の直管部分に挿入して固定すると、容易に取り付けることができるため、加工上や製作上において容易に実現することができる。なお、第2反射鏡11cの取付方法は、第1の実施の形態に必ずしも限定されるものではない。
【0035】
このように構成される第1の実施の形態の変形例1〜変形例4に係る光源ユニット110、111、112、113のそれぞれ及びプロジェクタ10においては、光源ユニット110、111、112又は113の電源ランプ11aの封止管Tに第2反射鏡110c、111c、112c又は113cを備えたことにより、第2反射鏡110c、111c、112c又は113cのサイズを小型化することができるので、サイズに制約がある家庭用に最適である。さらに、光源ユニット110、111、112、113のそれぞれの製作過程において、封止管Tの製作精度に近い高精度の加工技術及び組立技術により、第2反射鏡110c、111c、112c又は113cを製造することができるので、光学的精度を容易に確保することができる。
【0036】
さらに、第1の実施の形態の変形例1〜変形例4に係る光源ユニット110、111、112、113のそれぞれ及びプロジェクタ10においては、光源ユニット110、111、112又は113の電源ランプ11aの封止管Tに第2反射鏡110c、111c、112c又は113cを備えたことにより、電源ランプ11aの交換とともに第2反射鏡110c、111c、112c又は113cを交換することができるので、長期間の使用に伴い第2反射鏡110c、111c、112c又は113cがたとえ熱による変形や損傷が発生しても定期的にメンテナンスを行うことができる。
【0037】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係る光源ユニット21及びプロジェクタ10について説明する。このプロジェクタ10は、第1の実施の形態に係る光源ユニット11に代えて、図5(A)に示す光源ユニット21を備えている。なお、第2の実施の形態及びこれ以降の実施の形態に係るプロジェクタ10の構成は第1の実施の形態に係るプロジェクタ10と同一構成であり、プロジェクタ10の説明は重複するため省略する。
【0038】
光源ユニット21は、一対の放電電極E1及びE2を有する光源ランプ21aと、この一対の放電電極E1、E2のいずれか一方(E1)の発光スポットS1を焦点位置とする第1反射面121、いずれか他方(E2)の発光スポットS2を焦点位置とする第2反射面321、及び双方(E1とE2と)の間の発光スポットS3を焦点位置とする第3反射面221を有する反射鏡21bとを備えている。
【0039】
一対の放電電極E1及びE2は光源ランプ21aの封止管内に設けられている。放電電極E1とE2との間には交流電圧が印加され、光源ランプ21aが発光する。光源ランプ21aの発光時においては、一方の放電電極E1が正電位の時に、この放電電極E1の端部に近い発光スポットS1において強い放電発光が生じる。また、放電電極E1が負電位の時(放電電極E2が正電位の時)には、他方の放電電極E2の端部に近い発光スポットS2において強い放電発光が生じる。さらに、放電電極E1とE2との間の発光スポットS3においても、発光スポットS1及びS2ほどの発光強度を有してはいないものの、放電発光(放電コラム)が生じる。
【0040】
反射鏡21bの第1反射面121、第2反射面321、及び第3反射面221は、互いに異なる曲率を有し、反射鏡21bの開口から頭頂部に向かって第1反射面121、第3反射面221、第2反射面321の順に配列している。これらの第1反射面121、第2反射面321、及び第3反射面221の曲率は以下の通り決められている。
【0041】
図5(A)に説明の便宜上示した仮想の補助曲線C1は発光スポットS1を焦点位置とする放物曲線であり、補助曲線C2は発光スポットS3を焦点位置とする放物曲線であり、補助曲線C3は発光スポットS2を焦点位置とする放物曲線である。ここで、第1反射面121は補助曲線C1に沿って形成され、第3反射面221は補助曲線C2に沿って形成され、第2反射面321は補助曲線C3に沿って形成されている。すなわち、第1反射面121は発光スポットS1からの光を反射して平行光L1を生成し、第3反射面221は発光スポットS3からの光を反射して平行光L3を生成し、第2反射面321は発光スポットS2からの光を反射して平行光L2を生成することができる。
【0042】
光源ユニット21は、上述の通り構成されているので、以下の効果を奏することができる。すなわち、放電管ランプ21aに交流電圧を印加することにより動作させる場合には、局所的には、発光スポットは1つではなく、3つの発光スポットS1〜S3において放電発光が発生する。単一の焦点位置を有する単一の反射面をもつ反射鏡を備える光源ランプにおいては、複数の発光スポットS1〜S3のいずれかのみを焦点位置にすることになり、焦点位置にならない他の発光スポットからの光を十分な平行光とすることはできない。このため、光源からの放射光を十分にフライアイレンズ12aへ到達させることができない。
【0043】
これに対し、第2の実施の形態に係る光源ユニット21は、3つの第1反射面121、第2反射面321、第3反射面221を有し、これらがそれぞれ3つの発光スポットS1、S2、S3に対応する焦点位置を有しているため、各発光スポットS1〜S3からの光を一層効率良く平行光とすることができる。
【0044】
さらに、光源ユニット21は、放電電極E2が発光スポットS2よりも反射鏡21の開口側にあり、しかも、通常、放電電極E2の直径が発光スポットS3よりも大きいため、発光スポットS2の光は、主として、反射鏡21の頭頂部側へ放射される。ここで、頭頂部側には、発光スポットS2を焦点位置とする第2反射面321が形成されているため、発光スポットS2からの光の殆どが第2反射面321に至り、フライアイレンズ12a(図1)へ反射されることとなる。すなわち、発光スポットS2の光を効率的にフライアイレンズ12aに導くことができる。
【0045】
(変形例)
続けて、第2の実施の形態に係る光源ユニット21の変形例について説明する。図5(B)を参照すると、変形例に係る光源ユニット210においては、3つの第1反射面1210、第3反射面2210、第2反射面3210は、隣り同士、段差なく滑らかに結合されている。換言すると、図5(A)に係る光源ユニット21の第1反射面121、第3反射面221、第2反射面321のそれぞれの曲率が互いに隣り合う反射面の間において連続的に変化したものが、変形例に係る光源ユニット21の反射面21bである。したがって、反射鏡21bは、光源ランプ21aの発光スポットS1からS3を介してS2までの範囲において、3つの焦点位置を有している。このため、発光スポットS1、S2、S3のそれぞれから放射された光を効率的に平行光にすることができるとともに、光源ランプ21aからの放射光をより一層効率的にフライアイレンズ12a(図1)へと導くことができる。
【0046】
(第3の実施の形態)
次いで、本発明の第3の実施の形態に係る光源ユニット31及びプロジェクタ10について説明する。このプロジェクタ10は、第1の実施の形態に係る光源ユニット11に代えて、図6に示す光源ユニット31を備えている。
【0047】
光源ユニット31は、光源ランプ31aと、複数のレンズNを二次元アレイ状に配列したフライアイレンズ31dと、光源ランプ31aの光源から放射される光をフライアイレンズ31dの複数のレンズNのそれぞれに集光する複数の反射面Rを有する反射鏡31bとを備えている。すなわち、光源ユニット31は、光源ランプ31a及び反射鏡31bに加えて、本来プロジェクタ10に設けられるフライアイレンズ31dを備え、ユニット化している。なお、図示しないが、プロジェクタ10にはフライアイレンズは備えていない。
【0048】
このような構成により、光源ユニット31は以下の効果を奏することができる。光源ランプ31aの光源からの放射光は、反射鏡31bの複数の反射面Rにより、フライアイレンズ31dの複数のレンズNにそれぞれ集光する。集光した光は、各レンズNを透過すると発散光となり偏光変換器13(図1)に照射される。
【0049】
光源ランプ31aからの放射光は、反射鏡31bの複数の反射面Rにより反射され、フライアイレンズ31dの複数のレンズNに直接に集光される。したがって、第3の実施の形態に係るプロジェクタ10の光源ユニット31は、第1の実施の形態に係るプロジェクタ10の平行光を集光するフライアイレンズ12aを必要とせず、フライアイレンズ12bに相当する1つのフライアイレンズ31dのみを有する。
【0050】
1つのフライアイレンズ31dで足りるため、第3の実施の形態に係るプロジェクタ10においては、部品点数を削減でき、小型化を実現することができる。例えば、第1の実施の形態に係るプロジェクタ10においては、フライアイレンズ12aと12bとの間隔として、フライアイレンズ12aの焦点距離だけの長さが必要である。これに対して、第3の実施の形態に係るプロジェクタ10は、フライアイレンズ12aとこの焦点距離に必要な間隔を必要としないので、小型化を実現することができる。また、部品点数の低減に伴い、プロジェクタ10の製作コストを削減することができる。
【0051】
なお、第3の実施の形態に係る光源ユニット31は、光源ランプ31a、フライアイレンズ31d、及び反射鏡31bを備え、フライアイレンズ31dと反射鏡31bとの間の位置精度をユニットとして確保しているが、本発明は、光源ランプ31a及び反射鏡31bを備えて光源ユニットを構成し、フライアイレンズ31dをプロジェクタ10に備えてもよい。
【0052】
(第4の実施の形態)
次いで、本発明の第4の実施の形態に係る光源ユニット41及びプロジェクタ10について説明する。このプロジェクタ10は、図7に示すように、光源ユニット41、フライアイレンズ42a及び42b、及び光変調器43の形状が異なる点を除き、第1の実施の形態に係るプロジェクタ10と同一の構成を有する。
【0053】
このプロジェクタ10は、光源ランプ41aと、第1の方向(ここでは縦方向)に配列されるレンズ数に対してそれと交差する第2の方向(ここでは横方向)に配列されるレンズ数が多い長方形のフライアイレンズ42a及び42bと、フライアイレンズ42a、42bのそれぞれの長辺に一致する開口縁を有し、光源ランプ41aの光源を焦点位置に配置し、光源から放射される光をフライアイレンズ42a、42bのそれぞれに反射する反射鏡41bと、第1の方向に配列される画素数に対して第2の方向に配列される画素数が多く、フライアイレンズ42a、42bのそれぞれを透過する光を光変調する光変調器43とを備えている。なお、説明の便宜上、図7において、プロジェクタ10を構成する偏光変換器、ダイクロイックミラー、リレーレンズ及びダイクロイックプリズムなどの図示は省略する。また、同図中、光変調器については便宜的に1つのみを図示している。
【0054】
光変調器43は、透過型の液晶ライトバルブであり、長方形である。この形状を反映して、液晶ライトバルブの画素は、長方形の短辺方向よりも長辺方向に多く配列されている。
【0055】
また、フライアイレンズ42a、42bのそれぞれもまた、液晶ライトバルブ(光変調器15)の光入射面と同形状の光入射面及び光出射面を有する。また、フライアイレンズ42a、42bのそれぞれは、詳細に示していないが、それらの光入射面と相似形であり、2次元アレイ状に配列される複数の長方形レンズを有している。このような構成により、フライアイレンズ42a、42bのそれぞれの長辺方向の長方形レンズ数を増加することができ、フライアイレンズ42a及び42bにより光強度を均一化することができる。
【0056】
反射鏡41bは上下に対向する一対の平面部Pを有し、この平面部Pにより、反射鏡41bの開口縁Fにはフライアイレンズ42aの長辺に沿って伸びる一対の直線部(長辺部)Lが形成されている。このため、図8(A)に示す通り、反射鏡41bの開口縁Fは、フライアイレンズ42aの光入射面の上辺及び下辺の輪郭に沿う形状において形成されている。
【0057】
仮に、図8(B)に示すように、反射鏡が略正方形の開口縁F1を有する場合には、反射鏡の開口縁の形状には、フライアイレンズ42aとは対向していない部分Rが生じる。この部分Rから放射される光は、光源ランプからフライアイレンズに到達することができない。第4の実施の形態に係る光源ユニット41の反射鏡41bによれば、光源ランプ41aの光源から放射される光のほぼ全てをフライアイレンズ42aに照射することができる。したがって、光源ランプ41aからの光を効率よく利用することができる。
【0058】
また、図8(B)に示す開口縁F1が略正方形の反射鏡においては、上下左右に2組の直線部Lが対向して存在するのに対し、第4の実施の形態における反射鏡41bに存在する直線部Lは1組だけである。反射鏡41bにおいては、1組の直線部Lの間には放物面を形成することができるため、この間に直線部Lを有する反射鏡に比べ、より多くの光を平行光にすることができる。したがって、より多くの光がフライアイレンズ42aに到達することができる。
【0059】
以上、幾つかの実施の形態を参照しながら、本発明について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されることなく種々変形することができる。
【0060】
例えば、第1の実施の形態において、反射鏡11bの反射面が放物面である場合について説明したが、反射鏡11bの反射面は放物面に限らず、楕円回転面であってもよい。ただし、反射面が楕円回転面である場合は、反射鏡11bの焦点位置に配置される光源からの放射光は、この反射面により反射されて収束光となるため、補正レンズを用いて平行光とする必要がある。
【0061】
また、上記のいずれの実施の形態においても、光源ランプ11aとして放電管ランプが使用される場合について説明したが、第1の実施の形態の変形例4を除き、フィラメントを光源とするランプであってもよい。
【0062】
さらに、第1の実施の形態における光源ユニット11の第1反射鏡11bは、第2の実施の形態における光源ユニット21の反射鏡21bと同様に、第1反射面121、第2反射面321、第3反射面221を有することができる。
【0063】
また、第2の実施の形態における光源ユニット21が、第1の実施の形態における光源ユニット11の第2反射鏡11cを有していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るプロジェクタの構成を示す概略図である。
【図2】図1に示すプロジェクタが有する光源ユニットの構成を示す概略図である。
【図3】図2に示す光源ユニットの変形例1を示す概略図である。
【図4】図2に示す光源ユニットの変形例2を示す概略図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るプロジェクタが有する光源ユニットの構成を示す概略図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係るプロジェクタが有する光源ユニットの構成を示す概略図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係るプロジェクタの要部を示す概略図である。
【図8】図7に示す反射鏡、フライアイレンズ、及び液晶ライトバルブの対向関係を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
10…プロジェクタ、11,21,31,110〜113,210…光源ユニット、11a,21a,31a,41a…光源ランプ、11b…第1反射鏡、11c…第2反射鏡、12…インテグレータ、12a,12b…フライアイレンズ、13…偏光変換器、15B,15G,15R…光変調器、14a,14b…ダイクロイックミラー、16…ダイクロイックプリズム、17…コンデンサレンズ、18…リレーレンズ、21b,31b…反射鏡、31d,42a,42b…フライアイレンズ、43…光変調器(液晶ライトバルブ)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源ランプと、
焦点を持ち、前記光源ランプの光源を前記焦点の位置に配置し、前記光源から放射される光を反射する第1の反射鏡と、
前記第1の反射鏡に前記光源を介して対向し、前記第1の反射鏡の光反射方向に前記光源から直接放射される光を前記第1の反射鏡に反射する第2の反射鏡と、
を備えたことを特徴とする光源ユニット。
【請求項2】
前記第2の反射鏡は、前記光源ランプの封止管の表面に配設されたことを特徴とする請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項3】
前記第2の反射鏡は、前記光源ランプの封止管の内部に配設されたことを特徴とする請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項4】
前記光源ランプの光源は一対の放電電極を備え、前記第2の反射鏡は前記一対の放電電極の一方の放電面により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項5】
一対の放電電極を有する光源ランプと、
第1の焦点を持ち、前記一対の放電電極の一方の発光スポットを前記第1の焦点の位置に配置する第1の反射面、第2の焦点を持ち、前記一対の放電電極の他方の発光スポットを前記第2の焦点の位置に配置する第2の反射面、及び、第3の焦点を持ち、前記一対の放電電極の一方と他方との間の発光スポットを前記第3の焦点の位置に配置する第3の反射面を有する反射鏡と、
を備えたことを特徴とする光源ユニット。
【請求項6】
前記反射鏡の前記第1の反射面、前記第2の反射面、前記第3の反射面のそれぞれの間は段差がなく滑らかに結合されていることを特徴とする請求項5に記載の光源ユニット。
【請求項7】
前記請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の光源ユニットと、
前記光源ユニットから放射される光を透過するインテグレータと、
前記インテグレータを透過する光を変調する光変調器と、
を備えたことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項8】
光源ランプと、
複数のレンズを二次元アレイ状に配列したフライアイレンズと、
焦点を持ち、前記光源ランプの光源を前記焦点の位置に配置し、前記光源から放射される光を前記フライアイレンズの複数のレンズのそれぞれに集光する複数の反射面を有する反射鏡と、
を備えたことを特徴とする光源ユニット。
【請求項9】
光源ランプと、
複数のレンズを二次元アレイ状に配列したフライアイレンズと、
焦点を持ち、前記光源ランプの光源を前記焦点の位置に配置し、前記光源から放射される光を前記フライアイレンズの複数のレンズのそれぞれに集光する複数の反射面を有する反射鏡と、
前記フライアイレンズを透過する光を変調する光変調器と、
を備えたことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項10】
光源ランプと、
焦点を持ち、前記光源ランプの光源を前記焦点の位置に配置し、前記光源から放射される光を、対向配置されるフライアイレンズに反射する反射鏡と、を備え、
前記フライアイレンズは第1の方向に配列されるレンズ数に対してそれと交差する第2の方向に配列されるレンズ数が多い長方形を有するフライアイレンズであり、このフライアイレンズの長辺に一致する開口縁を前記反射鏡が有することを特徴とする光源ユニット。
【請求項11】
光源ランプと、
第1の方向に配列されるレンズ数に対してそれと交差する第2の方向に配列されるレンズ数が多い長方形のフライアイレンズと、
前記フライアイレンズの長辺に一致する開口縁を有し、焦点を持ち、前記光源ランプの光源を前記焦点の位置に配置し、前記光源から放射される光を前記フライアイレンズに反射する反射鏡と、
前記第1の方向に配列される画素数に対して前記第2の方向に配列される画素数が多く、前記フライアイレンズを透過する光を光変調する光変調器と、
を備えたことを特徴とするプロジェクタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−98926(P2006−98926A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−286911(P2004−286911)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】