説明

光源装置および内視鏡システム

【課題】起動時やリセットからの再起動時においても、光源を消灯状態で待機させることなく、適切な光量の重畳光を射出することができる光源装置および内視鏡システムを提供する。
【解決手段】円環状に並べられた複数のLED1と、LED1からの照明光を導光する照明光学系26と、照明光学系26を中心軸線回りに回転駆動するモータ2と、導光された光の強度を検出する画像明るさ算出回路33と、検出された光の強度に基づいてLED1の発光強度を算出する光源光量算出回路35と、算出されたLED1の発光強度を記憶する不揮発メモリ24と、記憶されるLED1の発光強度を所定の間隔で更新する書き込み制御回路25と、モータ2が定速回転に達していない場合に、LED1の発光強度の更新を禁止するとともに、記憶されている最新の発光強度でLED1を順次パルス点灯させる制御部とを備える光源装置を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光源を備えた光源装置およびこれを備える内視鏡システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、円環状に配置したLED等の光源を高出力で順次パルス点灯させ、その点灯周期に合わせて導光ロッドを回転させることにより、高輝度の重畳光を射出する光源装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−71393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような光源装置において、撮像デバイスや表示デバイスの画像の明るさに基づいて光源の発光強度を調整する場合、すなわち自動調光を行う場合には、重畳光の色のちらつきを抑えるために、撮像フレームと照明フレームとを同期させ、それらの周期および位相を一致させる必要がある。
【0005】
しかしながら、撮像フレームと照明フレームの周期および位相を一致させるためには、導光ロッドの回転数が一定となるまで待機する必要がある。したがって、光源装置の起動時やリセットからの再起動時には、導光ロッドの回転数が一定となるまで光源は消灯される。そのため、このような光源装置を内視鏡システムに用いる場合、リセットによる消灯時間が長いと、診断および処置に支障をきたすという不都合がある。
【0006】
また、導光ロッドの回転数が一定となった際には、それまで光源が消灯されていたため、その間に取得された暗い画像に基づいて自動調光が行われる。したがって、光源がフルパワーで発光してしまい、画像が白とびした状態となり、画質を著しく低下させてしまうという不都合がある。
【0007】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、起動時やリセットからの再起動時においても、光源を消灯状態で待機させることなく、適切な光量の重畳光を射出することができる光源装置および内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明の第1の態様は、円環状に所定の間隔で並べられ、該円環の半径方向内方に光軸を向けて配置された複数の光源と、該光源から射出された照明光を入射させる入射面を前記円環の半径方向外方に向けて配置され、該入射面に入射させた照明光を前記円環の中心軸線に沿う方向に導光する導光部と、該導光部を前記中心軸線回りに回転駆動する回転部と、前記導光部により導光された光の強度を検出する光検出部と、該光検出部により検出された光の強度に基づいて前記光源の発光強度を算出する発光強度算出部と、該発光強度算出部により算出された前記光源の発光強度を記憶する記憶部と、該記憶部に記憶される前記光源の発光強度を所定の間隔で更新する更新手段と、前記光源および前記更新手段を制御する制御部とを備え、前記制御部が、前記回転部が定速回転に達していない場合に、前記更新手段による前記記憶部への前記光源の発光強度の更新を禁止するとともに、前記記憶部に記憶されている最新の発光強度で、前記入射面に対向する前記光源を順次パルス点灯させる光源装置である。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、回転部によって導光部が中心軸線回りに回転駆動され、制御部によって導光部の入射面に対向する光源が順次パルス点灯させられる。これにより、光源から射出された高強度の照明光を、導光部の入射面に連続的に入射させ、円環の中心軸線に沿う方向に重畳して射出することができる。
【0010】
また、光検出部により検出された光の強度(例えば、撮像デバイスや表示デバイスの画像の明るさ)に基づいて、発光強度算出部により光源の発光強度が算出される。この発光強度は、記憶部に記憶されるとともに、更新手段によって所定の間隔で更新され、更新された発光強度で光源が発光させられる。これにより、光検出部により検出された光の強度に基づいて、導光部により射出される重畳光の光量を調整する、いわゆる自動調光を行うことができる。
【0011】
この際、回転部が定速回転に達していない場合には、制御部によって、更新手段による記憶部への光源の発光強度の更新が禁止されるとともに、記憶部に記憶されている最新の発光強度で光源が発光するように制御される。これにより、例えば異常リセットによる再起動時において、回転部が定速回転に達していない場合にも、記憶部に記憶されている最新の発光強度、すなわち、再起動前の発光強度で光源を発光させることができる。このようにすることで、再起動の前後における重畳光の光量の変化を小さくして、重畳光の光量が過大あるいは過小となってしまうことを防止することができる。
【0012】
上記態様において、前記制御部が、前記回転部が定速回転に達した場合に、前記更新手段による前記記憶部への前記光源の発光強度の更新を開始させるとともに、更新された発光強度で前記光源を発光させることとしてもよい。
【0013】
更新手段による記憶部への発光強度の更新を開始することで、自動調光を開始することができる。ここで、回転部が定速回転に達した場合には、撮像フレームと照明フレームとを同期させ、それらの周期および位相を一致させることができる。この状態で自動調光を開始することで、重畳光の色のちらつきを抑えることができ、安定した色の重畳光を射出することができる。
【0014】
上記態様において、前記制御部が、前記回転部の回転数に応じて前記光源のパルス幅および駆動電流を制御することとしてもよい。
光源のパルス幅および駆動電流を回転部の回転数に応じて制御することで、光源の発光強度を容易に制御することができる。
【0015】
本発明の第2の態様は、上記のいずれかの光源装置と、該光源装置により照明された領域を撮影する撮像装置とを備える内視鏡システムである。
このような内視鏡システムによれば、前述の光源装置を備えているため、光源装置の起動時やリセットによる再起動時に、光源を消灯状態で待機させることなく、観察をすぐに開始することができる。また、その際、観察領域を照明する重畳光の光量が過大あるいは過小となってしまうことを防止することができ、観察画像の白とびや暗くなってしまうことを防止して、被写体を精度良く観察することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、起動時やリセットからの再起動時においても、光源を消灯状態で待機させることなく、適切な光量の重畳光を射出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る光源装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図2】図1の光源装置の機能ブロック図である。
【図3】LEDの駆動電流とパルス幅との関係を説明する図である。
【図4】図2の駆動信号指示回路による駆動信号の決定方法を説明する図であり、(a)は回転上昇時1、(b)は回転上昇時2、(c)は定常回転時である。
【図5】図1の光源装置における定常回転時の自動調光を説明する図である。
【図6】従来の光源装置のタイミングチャートである。
【図7】従来の光源装置のタイミングチャートである。
【図8】従来の光源装置における非定常回転時の自動調光を説明する図である。
【図9】図1の光源装置における非定常回転時の自動調光を説明する図である。
【図10】図1の光源装置におけるLEDの駆動電流とパルス幅の制御方法を説明する図である。
【図11】図1の光源装置のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る光源装置について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の光源装置10の概略構成を説明する模式図である。
図1に示すように、光源装置10は、円筒状のベース8と、ベース8の内周面に円環状に並んで配置された複数のLED(光源)1と、円環状に並べられたLED1の半径方向内方に配置された導光部材(導光部)11と、導光部材11を支持するロッドベース3と、導光部材11およびロッドベース3を円環の中心軸線L回りに一体的に回転駆動するモータ(回転部)2と、これらを制御する制御部(図示略)とを備えている。
【0019】
LED1は、周方向に所定の間隔をあけて、円環の半径方向内方に光軸を向けて複数配置されており、図示しない電源から駆動電流が供給されることにより、円環の半径方向内方に照明光を射出するようになっている。
【0020】
導光部材11は、LED1から射出された照明光を入射させる入射面9を有し、入射面9に入射させた照明光を円環の半径方向内方に導光する導光ロッド4と、導光ロッド4により導光された照明光を円環の中心軸線Lに沿う方向に反射する反射プリズム5と、反射プリズム5により反射された照明光を中心軸線Lに沿う方向に導光するライトガイド6とを備えている。このような構成を有することで、導光部材11は、LED1から半径方向内方に射出された照明光を中心軸線Lに沿う方向に射出するようになっている。
【0021】
ロッドベース3は、導光部材11の入射面9を半径方向外方に配置した状態で、導光部材11を中心軸線L回りに回転自在に支持する円柱状の部材である。
モータ2は、ロッドベース3の中心軸線Lに沿う方向下方に配置されており、導光部材11およびロッドベース3を中心軸線L回りに一体的に回転駆動するようになっている。
【0022】
ベース8の外周面には、LED1から発生してベース8に伝達された熱を回収するヒートパイプ13が設けられている。また、ヒートパイプ13は、外気との熱交換を行う放熱フィン14に接続されている。このような構成を有することで、LED1から発生した熱を、ベース8およびヒートパイプ13を介して、放熱フィン14によって光源装置10の外部に放散するようになっている。
【0023】
図2は、光源装置10の有する機能を展開して示した機能ブロック図である。
ここでは、本実施形態に係る光源装置10を、撮像デバイス31を備える内視鏡50に適用した場合について説明する。この内視鏡50は、被照明物を照明し、被照明物からの反射光を撮像デバイス31で撮像して、その画面の明るさに基づいて照明光の光量を制御するようになっている。
【0024】
図2に示すように、内視鏡50は、被照明物を照明する照明系20と、照明系20により照明された被照明物からの反射光を撮像する撮像系30とを備えている。
照明系20は、照明光を射出する光源ユニット21と、光源ユニット21に駆動電流を供給する光源駆動回路22と、パルス幅・電流テーブル28を参照して光源駆動回路22に駆動信号を出力する駆動信号指示回路23と、駆動信号指示回路23に光源光量指示値を出力する不揮発メモリ(記憶部)24と、不揮発メモリ24に光源光量指示値を書き込む書き込み制御回路(更新手段)25とを備えている。ここで、光源光量指示値とは、LED1の発光強度を指示する出力値である。
【0025】
光源ユニット21は、前述のLED1と、照明光学系26と、前述のモータ2と、回転検出手段27とから構成されている。
照明光学系26は、前述の導光ロッド4、反射プリズム5、およびライトガイド6から構成されており、LED1から射出された照明光を被照明物に向けて射出するようになっている。
【0026】
回転検出手段27は、例えば、モータ2の側面に光軸を向けて配置された光センサであり、モータ2の側面の一部に貼り付けられた反射板(図示略)を検出するようになっている。回転検出手段27は、反射板が対向した際に検出した信号を基に、光源駆動回路22に点灯タイミング信号を出力するとともに、駆動信号指示回路23および書き込み制御回路25にモータ2の回転数信号を出力するようになっている。
【0027】
パルス幅・電流テーブル28には、予め設定されたLED1の電流値とパルス幅とが対応付けられて記録されている。
ここで、LED1が破壊せずに駆動できる電流値とパルス幅との最大値の関係は、図3の特性Lとして示されるように、パルス幅を小さくするほど電流値を大きくできることが知られている。この特性Lが記録されたパルス幅・電流テーブル28を参照して、駆動信号指示回路23は、光源駆動回路22に駆動信号を出力する。
【0028】
また、駆動信号指示回路23は、回転検出手段27から出力された回転数信号および不揮発メモリ24に書き込まれている最新の光源光量指示値に基づいて、パルス幅・電流テーブル28に予め設定された電流値およびパルス幅でLED1を発光させるように、光源駆動回路22に駆動信号を出力するようになっている。
【0029】
この駆動信号指示回路23による駆動信号の決定方法について、図4(a)〜図4(c)を用いて以下に説明する。なお、図4(a)〜図4(c)において、VSは定常回転時の電流値、VDCは定格電流値を示している。
図4(a)および図4(b)に示すように、モータ2の回転上昇時には、電流値Vは、定格電流値VDCよりも大きく、定常回転時の電流値VSよりも小さな値となるように、LED1の駆動電流が制御される。
【0030】
一方、図4(c)に示すように、モータ2が定常回転数に達した場合には、パルス幅を小さくするともに、電流値Vを定常回転時の電流値VSと一致するまで大きくする。このようにすることで、LED1に対して定格電流よりも大きな電流を瞬間的に流すことができ、瞬間的に明るい光を得ることができる。
【0031】
不揮発メモリ24は、不揮発性のメモリであり、書き込み制御回路25から出力された最新の光源光量指示値を保持するようになっている。
書き込み制御回路25は、回転検出手段27からの回転数信号に基づいて、不揮発メモリ24に記憶される光源光量指示値を更新するようになっている。具体的には、書き込み制御回路25は、モータ2が定速回転に達していない場合には、不揮発メモリ24への光源光量指示値の更新が禁止されるようになっている。一方、書き込み制御回路25は、モータ2が定速回転に達した場合には、不揮発メモリ24への光源光量指示値を所定の間隔で更新するようになっている。
【0032】
光源駆動回路22は、回転検出手段27から出力された点灯タイミング信号に基づいて、導光ロッド4の入射面9に対向するLED1を順次パルス点灯させるようになっている。この際、光源駆動回路22は、駆動信号指示回路23から出力された駆動信号、すなわち不揮発メモリ24に書き込まれている最新の光源光量指示値に基づいて、LED1をパルス点灯させる。
【0033】
撮像系30は、撮像デバイス31と、画像処理回路32と、画像明るさ算出回路(光検出部)33と、画像明るさ設定手段34と、光源光量算出回路(発光強度算出部)35とを備えている。
【0034】
撮像デバイス31は、例えばCCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子であり、被照明物を撮像するようになっている。より具体的には、撮像デバイス31は、被照明物からの反射光を光電変換によって電気信号に変換し、撮像信号として画像処理回路32に出力するようになっている。
【0035】
画像処理回路32は、撮像デバイス31からの撮像信号、すなわち撮像デバイス31により取得された被照明物の画像に画像処理を施し、画像信号として画像明るさ算出回路33に出力するようになっている。
【0036】
画像明るさ算出回路33は、画像処理回路32により画像処理された画像信号から、例えば平均明るさ値、明るさピーク値等の画像の明るさを算出し、画像輝度信号として光源光量算出回路35に出力するようになっている。
【0037】
画像明るさ設定手段34は、例えばキーボード等の入力装置であって、ユーザが操作することによって画像の明るさを設定することが可能であり、設定された画像明るさ値を光源光量算出回路35に出力するようになっている。
【0038】
光源光量算出回路35は、画像明るさ算出回路33から出力された画像輝度信号と、画像明るさ設定手段34から出力された画像明るさ値とに基づいて、光源光量指示値、すなわちLED1の発光強度を算出するようになっている。また、光源光量算出回路35は、算出した光源光量指示値を書き込み制御回路25に出力するようになっている。
【0039】
上記構成を有することで、被照明物に向けて射出する照明光の自動調光が行われる。具体的には、撮像デバイス31により取得した被照明物の画像信号から、画像明るさ算出回路33により画像明るさを算出し、その値が所定の画像明るさ値になるように、LED1の光量が調節される。
【0040】
ここで、比較例として、従来の光源装置における照明光の調節方法について説明する。
従来の光源装置においては、モータの回転が定速回転に達してから自動調光が開始されていた。これは、撮像デバイスや表示デバイスの画像の明るさに基づいて自動調光を行う場合には、重畳光の色のちらつきを抑えるために、図5に示すように、撮像フレームと照明フレームとを同期させ、それらの周期および位相を一致させる必要があるためである。
【0041】
撮像フレームと照明フレームの周期および位相を一致させるためには、モータの回転数が一定となるまで待機する必要がある。したがって、従来の光源装置では、図6に示すように、光源装置の起動時やリセットからの再起動時には、モータの回転数が定常回転数となるまで、光源は消灯される。そのため、このような光源装置を内視鏡システムに用いる場合、リセットによる消灯時間が長いと、診断および処置に支障をきたすという不都合がある。
【0042】
さらに、再起動時には、それまでLED1が消灯されており、その間に取得された暗い画像に基づいて自動調光が行われる。したがって、従来の光源装置において再起動後すぐに自動調光を行った場合には、図6の領域Wに示すように、LED1がフルパワーで発光してしまい、必要輝度とのずれが大きくなる。その結果、画像が白とびした状態となり、画質を著しく低下させてしまうという不都合がある。
【0043】
一方、従来の光源装置において、LEDを再起動後すぐに点灯させ、定常回転数に達した際に自動調光を行う場合には、図7の領域X,Yに示すように、自動調光が働くまではLED1がフルパワーで発光してしまい、必要輝度とのずれが大きくなる。その結果、画像が暗くなったり(領域Y)、画像が白とびした状態となり(領域X)、画質を著しく低下させてしまうという不都合がある。
【0044】
また、従来の光源装置において、モータの回転数が定常回転数に達する前に自動調光を開始した場合には、図8に示すように、撮像フレームと照明フレームが一致してしないため、画像明るさに基づいて調節される照明輝度が、照明フレームの途中で切り替わってしまう。その結果、複数色のLEDでスペクトルを構成する光源装置の場合、照明フレーム内の色バランスが崩れてしまう。
【0045】
具体的には、図8の例において、1番目の撮像フレームではR,G成分のみが照明され、3番目の撮像フレームではG成分の比率が高い照明光が照射されることとなる。人間の目には視覚の残像現象によって数フレーム画像の明るさの積分値で知覚されることを考慮しても、このようなスペクトル成分の変動によって、色のちらつき感は強く残ることとなる。
【0046】
これに対して、本実施形態に係る光源装置10では、図9に示すように、モータ2の回転数が定常回転数に達する前、すなわち撮像フレームと照明フレームが一致しない場合には、調光値を固定するように制御する。このような制御を行うことで、各撮像フレームにおける、被照明物に照射する照明光のRGBの比率を固定することができ、色のちらつき感を防止することができる。
【0047】
上記制御を行う光源装置10の動作について以下に説明する。
光源装置10を起動させると、モータ2によって導光部材11が中心軸線L回りに回転駆動され、導光部材11の入射面9に対向するLED1が順次パルス点灯させられる。これにより、LED1から射出された高強度の照明光を、導光部材11の入射面9に連続的に入射させ、ライトガイド6から被照明物に向けて重畳して射出する。
【0048】
被照明物からの反射光は撮像デバイス31により取得され、画像処理回路32を介して画像明るさ算出部33に画像信号として送られる。画像明るさ算出部33では、画像の明るさ情報として画像輝度信号が算出され、光源光量算出回路35に送られる。光源光量算出回路35では、画像明るさ算出回路33から出力された画像輝度信号と、画像明るさ設定手段34から出力された画像明るさ値とに基づいて、光源光量指示値、すなわちLED1の発光強度を算出し、算出した光源光量指示値を書き込み制御回路25に出力する。
【0049】
この場合において、モータ2の回転数が定常回転数に達しているときは、光源光量算出回路35によって算出された光源光量指示値が、書き込み制御回路25によって不揮発メモリ24に1フレームごとに書き込まれる。駆動信号指示回路23は、不揮発メモリ24に書き込まれた内容、回転検出手段27からの回転数信号、およびパルス幅・電流テーブル28の値に従って、光源駆動回路22に駆動信号を出力する。光源駆動回路22は、駆動信号と点灯タイミング信号により生成した駆動電流を各LED1に送り、導光部材11の入射面9に対向するLED1を順次パルス点灯させる。
【0050】
一方、モータ2が起動途中であって、モータ2の回転数が定常回転数に達していない場合には、書き込み制御回路25による新たな光源光量値の不揮発メモリ24への書き込みが禁止される。これにより、不揮発メモリ24には起動(または再起動)直前の値が保持される。そして、駆動信号指示回路23は、起動(または再起動)直前の光源光量指示値と、モータ2の回転数に応じた電流値・パルス幅から、光源駆動回路22への駆動信号を生成する。
【0051】
具体的には、図10に示すように、起動後の必要光量が起動前光量の100%の場合には、A点→D点→E点となるように、LED1の駆動電流とパルス幅とが制御される。同様に、起動後の必要光量が、起動前光量75%の場合にはA点→C点→F点、起動前光量50%の場合にはA点→B点→G点、起動前光量25%の場合にはI点→H点となるように、LED1の駆動電流とパルス幅とが制御される。
【0052】
上記の動作について、図11に示すタイミングチャートを用いて以下に説明する。
図11は、起動する前に不揮発メモリ24に記録された光量指示値が100%の場合の動作を示す。
図11の領域aに示す停止状態から光源装置10を起動させると、図11の領域bに示すように、モータ2の回転数が徐々に増加していく。この際、LED1のパルス幅を小さくするとともに電流値を増加させると、それに伴ってLED1の射出光量が増加する。この状態において、モータ2は回転上昇中であり、回転数に応じたパルス幅と、パルス幅に応じた前述の特性Lで決まる電流値とでLED1は駆動される。この場合のLED1の光量は不揮発メモリ24に記録された光源光量指示値が100%のため、特性Lで決まる電流値でLED1は駆動される(図10におけるA点からD点の状態)。
【0053】
そして、図11の領域cに示すように、モータ2の回転上昇中においてLED1の電流値が最大値で一定となると、回転数に応じたパルス幅と最大電流値でLED1は駆動される(図10におけるD点からE点の状態)。
【0054】
そして、図11の領域dに示すように、モータ2の回転数が定常回転数に達すると、画像明るさに応じた自動調光が、LED1のパルス幅を調整することで行われる。
この状態において、例えば異常等によりリセットを行った場合には、図11の領域eに示すように、モータ2の回転数が徐々に低下していくとともに、LED1の電流値がゼロとなる。
【0055】
その後、異常リセット等により光源装置10の再起動を行うと、図11の領域fに示すように、モータ2の回転数が徐々に上昇し、回転数に応じたパルス幅でLED1が駆動される。この際、前述の特性Lで決まる電流値でLED1を駆動したときの光量が、不揮発メモリ24に記録された光源光量指示値を超えるまでは、特性Lで決まる電流値でLED1が駆動される。
【0056】
そして、図11の領域gに示すように、パルス幅に応じた前述の特性Lで決まる電流値でLED1を駆動したときの光量が、不揮発メモリに記録された光量値と等しくなるように電流値を調整し、不揮発メモリ24に記録された光源光量指示値とされる。具体的には、例えば、LED1を駆動したときの光量が不揮発メモリに記録された光量値を超えた場合には、図10のB点からG点で示した電流値、またはC点からF点ので示した電流値に調整する。
そして、図11の領域hに示すように、モータ2の回転数が定常回転数に達すると、画像明るさに応じた自動調光が、パルス幅を調整することで行われる。
【0057】
以上のように、本実施形態に係る光源装置10によれば、画像明るさ算出部33により算出された画像の明るさに基づいて、光源光量算出回路35によりLED1の光源光量指示値が算出される。この光源光量指示値は、不揮発メモリ24に記憶されるとともに、書き込み制御回路25によって所定の間隔で更新され、更新された光源光量指示値でLED1が発光させられる。これにより、画像明るさ算出部33により算出された画像の明るさに基づいて、ライトガイド6から射出される重畳光の光量を調整する、いわゆる自動調光を行うことができる。
【0058】
この際、モータ2の回転数が定常回転数に達していない場合には、書き込み制御回路25による不揮発メモリ24へのLED1の光源光量指示値の更新が禁止されるとともに、不揮発メモリ24に記憶されている最新の光源光量指示値でLED1が発光するように制御される。これにより、例えば異常リセットによる再起動時において、モータ2が定常回転数に達していない場合にも、不揮発メモリ24に記憶されている最新の光源光量指示値、すなわち、再起動前の光源光量指示値でLED1を発光させることができる。このようにすることで、再起動の前後における重畳光の光量の変化を小さくして、重畳光の光量が過大あるいは過小となってしまうことを防止することができる。
【0059】
また、モータ2が定常回転数に達した場合に、書き込み制御回路25による不揮発メモリ24への発光強度の更新を開始することで、自動調光を開始することができる。ここで、モータ2が定常回転数に達した場合には、撮像フレームと照明フレームとを同期させ、それらの周期および位相を一致させることができる。この状態で自動調光を開始することで、重畳光の色のちらつきを抑えることができ、安定した色の重畳光を射出することができる。
【0060】
また、LED1のパルス幅および駆動電流をモータ2の回転数に応じて制御することで、LED1の発光強度を容易に制御することができる。
【0061】
また、このような内視鏡50によれば、前述の光源装置10を備えているため、LED1装置の起動時やリセットによる再起動時に、LED1を消灯状態で待機させることなく、観察をすぐに開始することができる。また、その際、観察領域を照明する重畳光の光量が過大あるいは過小となってしまうことを防止することができ、観察画像の白とびや暗くなってしまうことを防止して、被照明物を精度良く観察することができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、本実施形態において光源装置10を内視鏡50に適用した例を説明したが、プロジェクター等の他の装置に適用することとしてもよい。
また、本実施形態においてCCD等の撮像デバイスによって被照明物からの反射光の明るさを検出することとしたが、光センサ等により重畳光自体の光量を検出することとしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 LED
2 モータ
3 ロッドベース
4 導光ロッド
5 反射プリズム
6 ライトガイド
9 入射面
10 光源装置
11 導光部材
20 照明系
21 光源ユニット
22 光源駆動回路
23 駆動信号指示回路
24 不揮発メモリ(記憶部)
25 書き込み制御回路(更新手段)
26 照明光学系
27 回転検出手段
28 パルス幅・電流テーブル
30 撮像系
31 撮像デバイス
32 画像処理回路
33 画像明るさ算出回路(光検出部)
34 画像明るさ設定手段
35 光源光量算出回路(発光強度算出部)
50 内視鏡
L 中心軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円環状に所定の間隔で並べられ、該円環の半径方向内方に光軸を向けて配置された複数の光源と、
該光源から射出された照明光を入射させる入射面を前記円環の半径方向外方に向けて配置され、該入射面に入射させた照明光を前記円環の中心軸線に沿う方向に導光する導光部と、
該導光部を前記中心軸線回りに回転駆動する回転部と、
前記導光部により導光された光の強度を検出する光検出部と、
該光検出部により検出された光の強度に基づいて前記光源の発光強度を算出する発光強度算出部と、
該発光強度算出部により算出された前記光源の発光強度を記憶する記憶部と、
該記憶部に記憶される前記光源の発光強度を所定の間隔で更新する更新手段と、
前記光源および前記更新手段を制御する制御部とを備え、
前記制御部が、前記回転部が定速回転に達していない場合に、前記更新手段による前記記憶部への前記光源の発光強度の更新を禁止するとともに、前記記憶部に記憶されている最新の発光強度で、前記入射面に対向する前記光源を順次パルス点灯させる光源装置。
【請求項2】
前記制御部が、前記回転部が定速回転に達した場合に、前記更新手段による前記記憶部への前記光源の発光強度の更新を開始させるとともに、更新された発光強度で前記光源を発光させる請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記制御部が、前記回転部の回転数に応じて前記光源のパルス幅および駆動電流を制御する請求項1または請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の光源装置と、
該光源装置により照明された領域を撮影する撮像装置とを備える内視鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−50442(P2011−50442A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199979(P2009−199979)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】